(´・ω・｀)「…….」

(´・ω・｀)「とは言っても、なりたい職業とかないなぁ」

(´・ω・｀)「どうしよう」

(´・ω・｀)「そうだ、友達に相談してみよう」

(´・ω・｀)「えーっと……電話電話……」

('A`)『は？』

(´・ω・｀)「だから、僕って何の仕事が向いてると思う？」

('A`)『知らねーよ……』

(´・ω・｀)「知っててよ」

('A`)『理不尽だな……』

(´・ω・｀)「ダメだ、欲しい答えが出てこない」

(´・ω・｀)「他の友達に相談してみよう」

(　＾ω＾)『向いてる仕事かお？』

(´・ω・｀)「うん、そろそろ就活しようかなって」

(　＾ω＾)『……え？ 本気で言ってるのかお？』

(´・ω・｀)「何が？」

(　＾ω＾)『今から就活を始めるって、遅すぎやしないかお？』

(´・ω・｀;)「え？ そうなの？」

(　＾ω＾)『少なくとも……大きいところはもう大半がエントリーを締切ってるはずだお』

(´・ω・｀;)「………」

(　＾ω＾)『それなのに、なりたい職業もまだ決まってないなんて……』

(　＾ω＾)『ヤバいお、ヤバすぎるお』

(´・ω・｀;)「……そんなにヤバいの？」

(　＾ω＾)『絶対ヤバいお』

(　＾ω＾)『とにかく、なりたい職業を今日中に決めて、明日にでも説明会へ行った方が良いお！』

(　＾ω＾)『このままだと、しょぼんくんは確実にニートルートだお』

ニ　ー　ト
ニート
ﾆｰﾄ

(´゜ω゜｀)「………」

(´゜ω゜｀)「……考えてみるよ」

(´・ω・｀)「皆とっくに就活を始めてたんだ……」

(´・ω・｀)「ヤバいヤバい……」

(´・ω・｀)「心臓がどくどくいってる……」

(´・ω・｀)「とにかく、なりたい職業を早く決めないと……」

(´・ω・｀)「なりたい職業……なりたい職業……」

(´・ω・｀)「………」

(´・ω・｀)「……警察官とか？」

(´・ω・｀)「警察官……なりたい……」ｶﾀｶﾀ

(´・ω・｀)「………」ｶﾁｯ

(´・ω・｀)「………」

(´・ω・｀;)(……公務員試験)

(´・ω・｀)「勉強苦手だし……とても無理だなぁ」

(´・ω・｀)「どうしよう……」

(´・ω・｀)「なりたい職業なんて無いよ……」

(´・ω・｀)「とりあえず……リクナビ？ とか見てみようかな」

(´・ω・｀)「眺めてるうちに……なりたい職業が見えてくるかも」

(´・ω・｀)「うん、そうしよう」ｶﾀｶﾀ

事務員 清掃員 IT IT 清掃員 運送業 事務員

(´・ω・｀)「…………」

(´・ω・｀)「何か……職の代わり映えがないな」

(´・ω・｀)「なんだこれ……」

＿＿＿
＿＿
＿

(´・ω・｀)「一通り見たけど……同じ仕事ばかりだ」

(´・ω・｀)「パン屋とかあったけど、朝5時起きなんて無理だし」

(´・ω・｀)「家電販売員ってあれでしょ……？ お客さんに商品をアピールする……あの人でしょ？」

(´ーωー｀)「………無理だぁ」

(´・ω・｀)「でもこの中から決めないと、昔から馬鹿にしてたニートに、自分がなってしまう」

(´・ω・｀)「ニートのうたで笑えなくなってしまう」

(´・ω・｀)「ダメだ……決めよう……この中から……」

(´・ω・｀)「例えやりたくなくても……やるしかない」

＿＿＿
＿＿
＿

(´・ω・｀)「……よし、事務員に決めた」

(´・ω・｀)「コミュニケーションが苦手な僕にできそうな仕事は、もうこれしかない」

(´・ω・｀)「えーっと……エントリー方法は……」

(´・ω・｀)「とりあえず履歴書を書かなきゃ」

(´・ω・｀)「去年、念の為に買っておいてよかった」

(´・ω・｀)「では早速……えーっと……？」

(´・ω・｀)「…………」

(´・ω・｀)「うわ、自己PRの欄がある……」

(´・ω・｀)「めんどくさ……」

(´・ω・｀)「…………」

(´・ω・｀)「…………………」

(´・ω・｀)「……………………………」

(´・ω・｀)「自己PRが書けない」

(´・ω・｀)「僕が他人にアピールできることなんてあるっけ？」

(´・ω・｀)「えーっと……」

(´・ω・｀)「…………」

(´・ω・｀)「え、笑顔が……素敵なこと……と……集中力が……」ｶｷｶｷ

(´・ω・｀)「何とか書けた」

(´・ω・｀)「後は……これを面接の時に持っていくんだよね」

(´・ω・｀)「……面接」

(´・ω・｀)「…………」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

(´・ω・｀)「エントリーは済ませたし、後は待つだけ……ネットゲームでもしよう」ﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷ

(´・ω・｀)「………」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

(´・ω・｀)「……………」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

(´・ω・｀)「………ダメだ、救心飲もう」ﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷ

ー 面接当日

(´・ω・｀)「いよいよ面接か……」

(´・ω・｀)「頑張ろう」

(´・ω・｀)「会場に着いたぞ」ｽﾀｽﾀ

川 ﾟ -ﾟ)「おはようございます」ﾍﾟｺｯ

(´・ω・｀)「お、ｵﾊﾖｳｺﾞｻﾞｲﾏｽ……」ﾍﾟｺｯ

川 ﾟ -ﾟ)「履歴書はここで提出してください、後はこの用紙に記載してある名前欄の横に〇を……」

(´・ω・｀)「は、ﾊｲ……」

(´・ω・｀)(……当たり前だけど、僕以外にも面接ウケに来る人がいるんだね)

(´・ω・｀)(……なんか複雑)

(´・ω・｀)「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

(´・ω・｀)「…………」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

(^q^)「ありあとやしたぁー」ｶﾞﾁｬｯ ﾊﾞﾀﾝｯ

(´・ω・｀)(うわ、前にやってた人の面接が終わった……ってことは……)

川 ﾟ -ﾟ)「しょぼんさーん」

(´・ω・｀)「は、はひっ！」

川 ﾟ -ﾟ)「お部屋にお入りください、面接官がお待ちです」

(´・ω・｀;)「……分かりました」ｽｯ

(´・ω・｀)「……」ｺﾝｺﾝ

＜ どうぞー？

ｶﾞﾁｬｯ

(´・ω・｀)「し、失礼します……」ｽﾀｽﾀ

ﾊﾞﾀﾝｯ

(　´∀｀)「そこへお座り下さい」

(´・ω・｀)「は、はい……」ｽﾀｽﾀ

(　´∀｀)「ではお名前をお願いしますモナー」

(´・ω・｀)「……しょぼんです」

(　´∀｀)「ありがとうございます、今回面接官を務めるモナーです、よろしくお願いしますモナー」

(´・ω・｀)「よろしくお願いします……」

(　´∀｀)「では……えっと、しょぼんさん！ 弊社への入社を希望した理由は何ですか？」

(´・ω・｀)(え？ 入社を希望した理由？)

(´・ω・｀)(……無いんだけど)

(´・ω・｀)(ただ事務員ってだけで選んだから……)

(´・ω・｀)(別にこの会社に入りたかったわけじゃ……)

(　´∀｀)「？ しょぼんさん？」

(´・ω・｀;)「は、はい！ えーっと！ 弊社を希望した理由はですね……！」ｱﾀﾌﾀ

(´・ω・｀;)(な、何か無いか！ 何か！)

(´・ω・｀)(そ、そうだ！)

(´・ω・｀)「えーっと……会社との通勤時間が短いためです！」

(　´∀｀)「ここまで来るのにどれくらいかかりましたか？」

(´・ω・｀)「えーっと……30……？ いや、40分くらいです……」

(　´∀｀)「なるほど」ｶｷｶｷ

(´・ω・｀)(乗り切ったぁ……)

(　´∀｀)「では、自己PRをお願いします」

(´・ω・｀)「え？ 自己PRですか？」

(　´∀｀)「はい、よろしくお願いします」

(´・ω・｀;)「え、えーっと……」

(´・ω・｀;)(履歴書になんて書いたっけ……？ 覚えてないよ……)

(´・ω・｀;)「え、えーっと……」

(　´∀｀)「………」

(´・ω・｀;)「その……」

(　´∀｀)「結構です、ありがとうございます」ｶｷｶｷ

(´・ω・｀;)「あっ……わ、分かりました」

(´・ω・｀;)(せっかく順調な滑り出しだったのになぁ……)

(　´∀｀)「弊社のホームページはご覧になりましたか？」

(´・ω・｀)「ホームページですか？ いえ……見てないです」

(　´∀｀)「そうですか」ｶｷｶｷ

(　´∀｀)「履歴書を見た限りですと……特に資格は持ってないと」

(´・ω・｀)「は、はい……」

(　´∀｀)「今、何か取りたいと思ってる資格はありますか？」

(´・ω・｀)「……特に無いです」

(　´∀｀)「そうですか……」

(´・ω・｀)(……あれ、何かまずい流れ？)

正直すぎる(´;ω;｀)

(　´∀｀)「弊社以外に、何処か受けている会社はありますか？」

(´・ω・｀)「いや……無いです」

(　´∀｀)「分かりました」ｶｷｶｷ

(´・ω・｀)(………さっきから何を書かれてるんだろう)

(　´∀｀)「最後ですが、何か質問はありますか？」

(´・ω・｀)(え？ もう最後なの？)

(´・ω・｀)(面接って案外短いんだね)

(´・ω・｀)(質問……質問かぁ……)

(´・ω・｀)「新人って有給はどれくらい貰えるんですか？」

(　´∀｀)「有給ですか？」

(´・ω・｀)「はい」

(　´∀｀)「弊社の場合、新人は10日間の有給が与えられますよ」

(´・ω・｀)「へぇ………」

(´・ω・｀)(新人でも有給が貰えるんだね！)

(　´∀｀)「他に質問はありますか？」

(´・ω・｀)「いえ、ないです」

(　´∀｀)「分かりました、以上で面接を終わります」

(　´∀｀)「選考結果はお電話でお伝えしますか？ それともメールでお伝えしますか？」

(´・ω・｀)「……メールで」

(　´∀｀)「メールですね」ｶｷｶｷ

(　´∀｀)「一次面接に通過されますと、次は二次面接となります」

(　´∀｀)「会場は変わらずここですので、よろしくお願いします」

(´・ω・｀)「はい、了解です」

(　´∀｀)「では自分からは以上です、本日はありがとうございました」

(´・ω・｀)「ありがとうございました」ﾍﾟｺｯ

(´・ω・｀)「失礼しました」

ｶﾞﾁｬｯ ﾊﾞﾀﾝｯ

(´・ω・｀)(二次面接のことを説明されちゃったぞ)

(´・ω・｀)(もしかして通ったのかな？)

(^O^)「………」

(´・ω・｀)(次はあの人か……せいぜい頑張れ～)ｽﾀｽﾀ

(´・ω・｀)「はー！ 疲れた！」

(´・ω・｀)「一次面接、通ってるといいなぁ」

(´・ω・｀)「ファミレスでご飯でも食べて帰ろ！」ｽﾀｽﾀ

＿＿＿
＿＿
＿

(´・ω・｀)「くそっ、やられちゃったな……相手のエイム神ってるよ……」

(´・ω・｀)「………」

(´・ω・｀)「……そろそろメール来たかな？」ｶﾀｶﾀ

【選考結果について】

(´・ω・｀)「！！」

(´・ω・｀)「き、来た……選考結果だ……」

(´・ω・｀)「ひ、開くぞ……開くぞ……」

(´・ω・｀)「それ！」ｶﾁｯ

しょぼん様
VIP株式会社 人事部のモナーと申します。
この度は、弊社の採用選考にエントリーしていただき、誠にありがとうございました。
今回の選考結果についてですが、検討を重ねたところ、
誠に申し訳ないのですがしょぼん様の採用は見送らせて頂くことになりました。
大変申し訳ございません。
今回は多くの企業の中から弊社を選んで下さり、ありがとうございました。
しょぼん様のこれからのご活躍、ご発展を心よりお祈り申し上げます。

(´・ω・｀)「…………」

(´・ω・｀)「…………………」

(´・ω・｀;)「……………………え？」

(´・ω・｀;)「お、落ちた？」

(´・ω・｀;)「これ、アレだよね？ お祈りメールだよね？」

(´・ω・｀;)「……………」

(´・ω・｀;)「受かったと思ってたのに……どうしよう……」

(´・ω・｀)「……他の会社も」

(´・ω・｀)「他の会社も受けよう！」

(´・ω・｀)「今回は一社だけじゃなくて複数受けよう……！」ｶﾀｶﾀ

(´・ω・｀;)「急げ……急げ……急げ……！」

ニート

(´・ω・｀;)(なってたまるか……！)ｶﾁｯｶﾁｯ

自分を見ているようで辛い

最初こんな感じやったわ

お祈り申し上げます

お祈り申し上げます

お祈り申し上げます

(´・ω・｀;)「三社ともお祈りメール……」

(´・ω・｀;)「上手くできたと思ったところもあったのに……」

(´・ω・｀;)「まずい……まずいまずいまずい……」

(　＾ω＾)『こんな夜中にどうしたお？』

(´・ω・｀;)「やばいよ……会社が全然決まらないよ……どうしよう……」

(　＾ω＾)『アレからちゃんと就活やってたんだお……ちなみに何社受けたお？』

(´・ω・｀)「四社……全部落ちちゃったよ……」

(　＾ω＾)『は？ 四社？』

(´・ω・｀)「えっ」

(　＾ω＾)『四社しか受けてないお？』

(´・ω・｀)「え？ 四社も……じゃなくて……四社しか？」

(　＾ω＾)『四社はまだ全然受けてないと思うお』

(´・ω・｀)「四社って少ないの……？」

(　＾ω＾)『皆、普通に二十社くらいは受けてるんじゃないかお』

(´・ω・｀)(マジか……)

(´・ω・｀)「ちなみに……ブーンくんってもう決まってるの？」

(　＾ω＾)『僕は決まってるお』

(´・ω・｀)「そうなんだ……何社受けた……？」

(　＾ω＾)『一社だけだお、去年の夏から動いて……インターンシップをしてたんだお』

(´・ω・｀)(インターンシップって……体験入社みたいなやつか……)

(　＾ω＾)『あとは面接の練習や、履歴書の書き方をたくさん練習したのが多分効いたんだお』

(´・ω・｀)(だから去年、やけに休みが多かったのか……)

(´・ω・｀)(僕はネトゲばかりしてたのに……ブーンくんはその頃から就活をしてたんだね……)

就活してたとき思い出して苦しくなってきた

(´・ω・｀)(その後も就職活動を続けたけど……)

お祈り申し上げます

(´・ω・｀)(何も準備してなかった僕を……)

お祈り申し上げます

(´・ω・｀)(欲しいと思ってくれる会社なんて……)

お祈り申し上げます

(´・ω・｀)(あるわけがなかった)

お祈り申し上げますお祈り申し上げますお祈り申し上げますお祈り申し上げますお祈り申し上げますお祈り申し上げますお祈り申し上げますお祈り申し上げますお祈り申し上げま…………

(´・ω・｀)「………」

(　＾ω＾)「あっ、しょぼんくん……卒業おめでとうだお」ｽﾀｽﾀ

(´・ω・｀)「ああ、おめでとう……仕事頑張ってね」

(　＾ω＾)「……しょぼんくん、これからどうするお？」

(´・ω・｀)「……分かんない」

(´・ω・｀)「最終選考まで行ったところもあったんだけど……学力試験がね……」

(´・ω・｀)「勉強してる時間も余裕もなくて……落ちちゃって……」

(´・ω・｀)「そこからは一次から落ちたりとか……一次だけ受かって二次で落ちたりとか……」

(´・ω・｀)「中途半端なものばかりで、あっという間に卒業になっちゃったよ」

(　＾ω＾)「そうなんだお……」

(´・ω・｀)「とりあえずフリーターでもしながら……色々足掻いてみようと思う」

(　＾ω＾)「困ったことがあったら僕に相談するお、できる限り力になるお」

(´・ω・｀)「ありがとう、ブーンくん」

＜おーい！ ブーン！ 同じところへ入る同士で写真撮ろうぜ！

(　＾ω＾)「あっ、うん……今行くお！」

(　＾ω＾)「それじゃ！ 頑張ってねしょぼんくん！」ﾀｯﾀｯﾀｯ

(´・ω・｀)「うん……」

(´・ω・｀)「…………」

(´・ω・｀)(就職先が決まってれば……明るい気持ちで卒業できたんだろうな)

(´・ω・｀)(……はぁ)

(´・ω・｀)(話によると就職が決まらなかった人は僕を含め6人……)

(´・ω・｀)(それ以外は皆、就職先が決まったんだ……)

(´・ω・｀)「……………ハァ」

(´・ω・｀)「……何かため息しか出ないや」

＿＿＿
＿＿
＿

(´・ω・｀)「いらっしゃいませ」

(その後、大学を卒業した僕はコンビニでバイトを始めた)

(明らかに不足していた、コミュニケーション能力を補うためだ)

(´・ω・｀)「580円になります」

(就活は今でも続けているが、なかなか決まらない)

(もしかしたらずっと決まらないのかも)

(´・ω・｀)「ありがとうございました」

(いっそのこと、コンビニバイトで一生を過ごすのも良いかもしれない)

(´・ω・｀)「ここに品出しを……」

(そんな考えを、最近は持ってしまう)

(´・ω・｀)「ダンボール重いな……」

(時間が経つに擦れ、卒業してからの空白期間が空いていく)

(就職するのが、だんだん難しくなる)

(´・ω・｀)「窓拭き窓拭き……」

(けど、誰も助けてなんてくれない)

(自分が何とかするしかないんだ)

(馬鹿にしていたハローワークに通っていることを知ったら……)

(´・ω・｀)「先上がります」

(昔の僕はどう思うのだろう)

(笑うのだろうか？ 嘆くのだろうか？)

(´・ω・｀)「………夜飯はマックで良いや」ｽﾀｽﾀ

(もしも、昔の僕に一言でも……何かを伝えられるなら、これだけは伝えたい)

(´・ω・｀)「…………」ｽﾀｽﾀ

(もっと努力をしろ)

(´・ω・｀)「場所が近めの事務員募集があるなぁ、受けてみるか……」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

(そう、今の自分にも言い聞かせた)

わりとポジティブじゃん
乙

いい話だ