1: 2013/05/19(日) 03:18:56.63 ID:CMdVeINx0

 ちょっとだけ早く目が覚めた朝っていいよね。
 テレビを付けてもまだロクな番組もやってなくてつまんないけど。

 なんだか、いまこの時間に起きてるのは亜美だけなんじゃないかな、って思ったりするんだ。

 爽やかな空気を吸って、まだセルリアンブルーの空を見上げる。
 そういうの、すっごくいいと思わない?

真美「んー……そんなこと言うだけに起こしたの……?」

亜美「うむ!」

真美「……寝るっ」

亜美「あぁ、ちょっと待ってよう、真美ぃ! ごめんって!」

 へいへいみなさんおはよーございます。
 亜美と真美、はるるんと千早お姉ちゃんで泊まりのロケに来ておりました。
 日曜日、時刻はもうすぐ……5時30分でごぜーます!

真美「すぴー…………」

亜美「二度寝はやっ!」


https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368901136/

2: 2013/05/19(日) 03:20:46.40 ID:CMdVeINx0

真美「むー……ねむい」

亜美「へいお嬢ちゃん、顔を洗いな……」

真美「……うん」

亜美「朝だと真美もノリ悪いねぇ」

真美「5時半のノリじゃないっしょ」

亜美「あ、ハイ……」

 リモコンでいろいろとチャンネルを変えてみる。
 すごいや、ゴルフか買い物かしかないや。


3: 2013/05/19(日) 03:24:39.44 ID:CMdVeINx0

 千早お姉ちゃんとはるるんは隣の部屋にいる。
 ここは亜美と真美の部屋。ふたつ下の階のシングルルームににいちゃんが泊まってる。

 あんまり広くないけど、それぐらいがちょうどいいよね。落ち着くもん。

真美「さっぱりしたー」

亜美「おー、おかえりー」

真美「ただいまー」

亜美「ねえねえ、真美」

真美「うん?」

亜美「亜美は昨日から行きたいスポットがあってですな」


4: 2013/05/19(日) 03:31:26.23 ID:CMdVeINx0

真美「ほう」

亜美「朝風呂というものにデスネ」

真美「朝風呂?」

亜美「そーそー。ここ、ビジネスホテルだけど温泉があるのがウリじゃん」

真美「でっかい湯船だったねぇ」

亜美「そんで、朝も開いてるんだってさ」

真美「ほうほう。いいですなぁ」

亜美「行ってみない?」

真美「真美はもちろんいいけど……はるるんと千早お姉ちゃんは?」

5: 2013/05/19(日) 03:36:54.07 ID:CMdVeINx0

亜美「誘ってみようかなって」

真美「ならば……善は急げ、だよ!」

亜美「そーだね!」

 『水瀬インホテルズ』のロゴ入りバスローブを整えて、真美と外へ。
 鍵を閉めて、隣の部屋のドアを2回ぐらいノック。

真美「おっはよ→!」

亜美「ねー、真美」

真美「んー?」

亜美「れーせーに考えたらさ、こんな起こされ方メーワクじゃない?」

真美「だって提案者亜美じゃん!」

 小走りで向かってくる音がして、ドアが開く。

6: 2013/05/19(日) 03:40:40.81 ID:CMdVeINx0

千早「あら、おはよう。どうしたの、こんなに朝早く?」

 千早お姉ちゃんがバスローブを着ると、普段と違うイメージだね。

亜美「うん、朝風呂に一緒に行きたいなぁって」

千早「朝風呂? 確か、6時からよね」

 腕時計で時間を確認する千早お姉ちゃん。

真美「腕時計つけてるんだ。起きてたの?」

千早「ええ。昨日は早く寝てしまったから。ベッドの中で通販番組を見ていたわ」

亜美「はるるんは?」

千早「春香は……幸せそうに寝てるわよ。どうぞ?」

 部屋に入れてもらった。

7: 2013/05/19(日) 03:43:41.43 ID:CMdVeINx0

千早「それじゃあ、6時の少し前に春香を起こして、4人で行きましょうか」

亜美「うん、ありがとっ」

千早「プロデューサーを誘っても、仕方がないものね」

真美「女湯には入れないしねぇ」

『こちらのタラバガニ……』

真美「あっ、カニ」

亜美「美味しそうだねぇ」

千早「朝食のバイキングに、あるかもしれないわよ?」

亜美「カニはないと思うなぁ」

8: 2013/05/19(日) 03:47:09.47 ID:CMdVeINx0

 真美がベッドの上に座って、ゆっくり跳ねている。

千早「カニ……いくらだと思う?」

亜美「うーん、一万円ぐらいかな」

真美「八千円?」

千早「それじゃあ私は、間を取ろうかしら」

『こちら、なんと三万円!』

亜美「たっ……か!」

真美「もったいなくて食べられないよ」

千早「高いわね……」

9: 2013/05/19(日) 03:49:22.55 ID:CMdVeINx0

 あっという間に時間は過ぎていって、5時55分。

千早「春香、春香……」

春香「……ちはやちゃーん……」

千早「おはよう。朝風呂に行くから、準備をして」

春香「はーい……あっ、おはよう、あみ、まみ」

亜美「おっはよーん!」

真美「はるるんも眠気覚まそうYO!」

春香「顔洗ってくるねー」

千早「ええ」

10: 2013/05/19(日) 03:51:48.09 ID:CMdVeINx0

春香「じゃあ行こうか!」

亜美「主導権を握られたッ!」

 タオルとシャンプーと下着と……そのへんを持って、部屋の外へ。
 廊下には誰も居なかった。

真美「いざ出発!」

 エレベーターで地下1階に降りる。
 地下がまるまる、温泉スペースになってるんだ。

 自販機とかレトロゲームも置いてあって、良い感じ。

11: 2013/05/19(日) 03:53:58.76 ID:CMdVeINx0

 脱衣場にも誰もいない。

春香「一番乗りだね!」

千早「やっぱり、朝と夜では印象が違うわ」

亜美「外明るいねぇ」

真美「あれっ、地下なのに外が見えるの?」

千早「ええ、ここは高い場所にある建物だから」

春香「そっかぁ……なるほど」

18: 2013/05/19(日) 18:21:55.21 ID:CMdVeINx0

 湯気がもくもくとたちこめている。
 目の前にはプラスチックの「お湯をかけてからご入浴ください」的な文字。
 昨日に体験済みだもんねっ!

ザバー

春香「あちゅいっ!」

千早「もう、春香ったら大げさね……つっ!?」

亜美「いけにえって必要だよね→」

真美「亜美、はるるんたちのリアクションで温度を知るなんて……おそろしい娘っ」


19: 2013/05/19(日) 18:26:59.58 ID:CMdVeINx0

 朝の光が差し込む湯船に、4人で入る。

真美「あっついねー」

春香「うぅ、目が覚めたよぉ」

千早「気持ちいいわね……」

亜美「そだねー……」

 水の流れる音が響いて、くもっているガラスに真美が指でいたずら書き。
 静かな、心地良い時間。


20: 2013/05/19(日) 18:39:19.09 ID:CMdVeINx0

春香「真美、なに描いてるの?」

真美「はるるん」

春香「えっ、それ私!?」

千早「私にはリボンにしか見えないのだけれど……ふふっ、そうね、春香ね」

亜美「そっくりだね!」

春香「みんな酷いよぅ!」

千早「そういえば春香、リボンはどうしたの?」

春香「お風呂に入るときぐらいは外すよ!」

亜美「リボンがないと分かんないねぇ」

春香「あ、亜美と真美だって髪結んでないじゃない!」

真美「なーに言ってるのはるるん、お風呂に入るときは結ばないよう」

春香「もーっ!」

21: 2013/05/19(日) 18:46:31.33 ID:CMdVeINx0

千早「昨日のロケは楽しかったわね」

亜美「そうだねー、アイスも美味しかったし」

真美「亜美、ソフトクリーム3個ぐらい食べてたよね」

亜美「美味しいんだもん」

春香「あはは」

千早「春香、亜美と一緒に連続で並んでいなかった?」

春香「……美味しいんだもーん」

真美「あー、マネしたー」

亜美「ひどいやはるるーん」

春香「ええっ!?」

千早「もう一度食べたいわね……」

22: 2013/05/19(日) 18:53:58.34 ID:CMdVeINx0

亜美「そんじゃあさ、にいちゃんに頼んであのサービスエリアに寄ってみよーYO!」

春香「あっ、いいねーそれ! 賛成っ」

真美「おみやげも買いたいしねー」

千早「ええ、いいわね。私、プロデューサーに提案してみるわ。……ところで、おみやげは何を買うの?」

亜美「うーん、りっちゃんしかリクエストしてないんだよねぇ。いっそのこと、してくれたほうがいいんだけど」

真美「何が欲しいか分かんないよねー」

春香「律子さん、何が欲しいの?」

亜美「お饅頭だって。りっちゃんのお家の分と、事務所のみんなの分と、お客さん用。お金はもらってるよ」

千早「それは果たしておみやげなのかしら……」

23: 2013/05/19(日) 18:56:29.07 ID:CMdVeINx0

真美「真美、ちょっとのぼせ気味だから、一旦あがるよ」

春香「大丈夫? 気分が悪かったら、すぐに言うんだよ?」

真美「うん、だいじょーぶ。身体洗ってるよ」ザバー

亜美「……はるるん、お母さんだね」

千早「ええ、お母さんね」

春香「へぇっ!? い、いきなり何!」

亜美「心配性だし」

千早「面倒見も良いし」

亜美・千早「ねー」


24: 2013/05/19(日) 19:04:59.13 ID:CMdVeINx0

春香「お母さんじゃありません! だいたい、事務所だったらお母さんはあずささんみたいな……」

千早「それ以上はダメよ、春香」

亜美「はるるん、絶対にあずさお姉ちゃんの前で言っちゃダメだよ」

春香「ごっ……ごめん」

 シャワーの音が止まった。ふと真美を見ると、シャンプーが髪の上で泡立っている。

千早「そういえば、水瀬さんとあずささんはこのロケに来なかったのね」

亜美「そーそー。真美とのお仕事だからねー。竜宮の仕事は明後日まで無いのだよ」

春香「明日はやよいとライブだっけ。大変だよね」

亜美「午後からふたりと一緒にラジオじゃーん! こっちのセリフだYO!」

27: 2013/05/19(日) 19:13:01.69 ID:CMdVeINx0

千早「そうねぇ……私たちも、忙しいのかも」

春香「お仕事いっぱいあるのはいいことだし、こうやってゆっくりお風呂に入れてるから……私は満足かなぁ」

亜美「うんうん」

 シャワーの音がまた聞こえ始める。

千早「……ふぅ。お風呂だと話も弾むわね」

 千早お姉ちゃんが伸びをしながら笑った。そーだねぇ。

亜美「なんとなく、喋ると間延びしちゃうよねぇ」

春香「癒される感じがするよー、なんだか寝ちゃいそう……」

28: 2013/05/19(日) 19:16:55.40 ID:CMdVeINx0

亜美「今度は事務所のみんなで朝風呂とか入りたいねー」

春香「そうだね、なんだか貴音さんとか、朝に弱そう」

千早「一番朝に弱いのは春香だと思うけれどね」

春香「むー! 弱くないもん!」

亜美「いやいや、弱いっしょ→!」

真美「ただいまぁ」

亜美「おかえりー」

 真美は湯船に入らずに、お風呂のフチに座って足をお湯にいれる。
 のぼせたとき、そういう入り方するよねぇ。

亜美「そういえば、真美も朝に弱いんだよ?」

29: 2013/05/19(日) 19:19:23.20 ID:CMdVeINx0

千早「そうなの? 可愛いわね」

春香「真美、お姉ちゃんなのにー」

真美「違うYO→! だって亜美、朝すっごい酷かったんだよ!?」

亜美「へ?」

春香「ん、どういうこと?」

真美「だってさぁ」

 

31: 2013/05/19(日) 19:26:19.25 ID:CMdVeINx0

 ――――

亜美「真美、まーみっ! 起きるのDA!」

真美「うみゅー……」

亜美「ほら、もうこんな時間だよ!」

真美「え……?」

亜美「はい、ベッドから出るっ」

真美「んー……」

亜美「ところでさ、真美」

真美「なにさ……」

亜美「ちょっとだけ早く目が覚めた朝っていいよね!」

 ――――


32: 2013/05/19(日) 19:30:36.97 ID:CMdVeINx0

千早「それは……弱いということになるのかしら?」

春香「判定は……ファールでーす」

 はるるんがバッ、とファールのポーズ。

亜美「えー……弱いよねえ?」

真美「いやいや」

亜美「いやいやいや」

真美「いやいやいやいや」

千早「亜美、今日は何時に起きたの?」

亜美「んーとね、5時過ぎ?」

春香「はやっ!」

33: 2013/05/19(日) 19:37:06.45 ID:CMdVeINx0

亜美「昨日早く寝たからねぇ」

真美「ま、真美は夜更かししたから……」

千早「夜更かししたの?」

真美「うん、亜美が寝たのが10時ぐらいで、そのあと真美は深夜番組見てたんだ」

春香「あっ、もしかして『サタデーフェアリー』?」

真美「そー、それ!」

亜美「ミキミキたちの番組だね」

千早「本当は見たかったんだけれど……眠気に勝てなくて」

34: 2013/05/19(日) 19:41:32.69 ID:CMdVeINx0

真美「でもでも、亜美も千早お姉ちゃんも起きるの早いんじゃない?」

千早「そうかしら……私、普段から5時20分ぐらいには起きているけれど」

亜美「早いねぇ」

千早「でも、朝食とシャワーで時間は潰れるわね」

春香「あー、わかるよ。朝ってすっごく早く時間が流れるんだよね」

千早「不思議よね」

真美「うんうん」

亜美「気づいたらもう学校に行く時間だったり……」

35: 2013/05/19(日) 19:51:37.65 ID:CMdVeINx0

春香「でも、きょうみたいな日はゆっくりだよねぇ」

千早「予定が入っていないから、かしら?」

真美「心にヨユーがあるとゆっくりなんじゃないかなぁ」

亜美「お風呂もあったかいし、こんな朝だったらどんと来いだよねー」

春香「うんうん……さーて、そろそろ身体を洗おうかなっ」ザバー

千早「じゃあ、私も」

亜美「それじゃあ真美、行ってくるよ……」

真美「あ、亜美! 真美を1人にするのっ!?」

亜美「真美……亜美は、身体を洗わなくちゃ……いけないんだッ……!」ザバーッ

真美「い、いかないで亜美ーっ!」

千早「……元気ねぇ」

春香「あはは、そうだね」

36: 2013/05/19(日) 19:58:49.40 ID:CMdVeINx0

 ――
 ――――

亜美「ふぃー……いいお湯でしたなぁ」

真美「そだねー」

春香「そーだ。こういう時はコーヒー牛乳だよ! コーヒー牛乳!」

千早「買いましょうか」

 女湯から出てきて、自販機コーナーの椅子に座る。
 朝からホカホカで気持ちよく入れたよん。

 男湯は賑わっているようで、おじさんとか親子が目の前を通っていた。

春香「んっふっふー、お姉さんがトクベツに奢ってあげよう!」

亜美「わーい! 大好きはるるん!」

真美「ありがとうはるるん!」

春香「えへへ……」

 それじゃあ買ってくるね、と小走りで自販機に向かうはるるん。
 髪を結ぶ途中の真美の横に千早お姉ちゃんが座る。

37: 2013/05/19(日) 20:04:49.38 ID:CMdVeINx0

千早「本当は今日、仕事があったみたいなのだけれど……」

真美「え?」

千早「プロデューサーが、記者の方に頼み込んでずらしてもらったそうよ」

亜美「そうなの?」

千早「ええ。だから、しっかりお礼をしないと。帰る途中、いっぱい寄り道ができるんだから」

 にいちゃん、何にも言わなかったよね。
 ただ、「今日のロケ頑張れば、明日はまるまる遊べるぞ!」って。

真美「にいちゃんにありがとーって伝えなきゃね!」

亜美「うんうん!」

千早「ふふ……って、プロデューサー?」

 振り返ると、そこには髪がしっとり濡れたにいちゃん。
 メガネはかけていなかった。

P「おう、みんな。朝風呂か?」

38: 2013/05/19(日) 20:07:10.79 ID:CMdVeINx0

春香「あっ、プロデューサーさん!」

 はるるんが自販機の前からブンブンと手を振る。

P「おはよー、春香」

春香「おはようございます! あのっ、コーヒー牛乳飲みますか?」

P「ん? ああ、そうだな。みんなの分の金も出すから、買ってくれないか」

春香「分かりました! でも、大丈夫ですよ? 私が出しますから」

P「いいんだよ、遠慮するな」

春香「それじゃあ、おねがいしますねー」

39: 2013/05/19(日) 20:11:35.87 ID:CMdVeINx0

千早「プロデューサーも早起きしたんですか?」

P「ああ、それでせっかくだから入ろうと思ってな」

亜美「早く起きた朝っていいよね!」

P「いいよな、特に目覚めもスッキリしてると」

春香「お待たせしました!」

P「おう、ありがとうな。はいこれ」

春香「ありがとうございます」

千早「それじゃあ、いただきます。プロデューサー、春香」

亜美「いただきまーす」

真美「いただきまーっす!」


40: 2013/05/19(日) 20:16:21.78 ID:CMdVeINx0

 ごく、ごく、ごく。
 フタを開けて喉に流し込む。冷たくて甘いコーヒー牛乳。

P「くー、やっぱり風呂あがりはこれだな」

真美「にいちゃん、オヤジっぽいよー」

P「ふっふっふ、デキる男の間違いじゃないのか?」

亜美「デキる男が間違いだよ→」

千早「そうだ、プロデューサー。今日、昨日のサービスエリアに行きたいのですが」

P「あそこか? いいぞ、おみやげ買うのか?」

千早「はい。あと、ソフトクリームを食べたいなと」


41: 2013/05/19(日) 20:17:54.19 ID:CMdVeINx0

春香「5人で食べましょうよ!」

真美「ねー、いいでしょー?」

P「分かった。みんなで食おうな」

千早「ありがとうございます!」

亜美「やったー!」

 ちょっとだけ早く目が覚めた朝っていいよね!
 だって、いいことがたくさんあるんだもん!


42: 2013/05/19(日) 20:18:55.95 ID:CMdVeINx0

 終わりです。投下途中に寝ちゃってすみませんでした。
 朝風呂後のコーヒー牛乳とか、アイスとか最高ですよね。
 お読みいただき、ありがとうございました。お疲れ様でした。

43: 2013/05/19(日) 20:23:02.48
乙です

引用元: 亜美「あさ!」真美「ぶろ!」