1: 2012/10/30(火) 18:23:26 ID:vtS73XOw
男「……初耳ですね」
医師「それもそのはずです。最近、見つかったんですから」
男「……具体的な症状は?」
医師「恋心や好意を抱いてる人に対し、異常なまでの束縛、独占欲や露骨な愛情表現。更には嫉妬が暴走し、第三者の異性の関わりがあると知ると……」
男「知ると?」
医師「……血が流れることになるでしょうね」
男「っ…………せ、先生、幼馴染は……まさかそれに……」
医師「……残念ながら、患っています」
男「……な、治すには?」
医師「……症状があったように、ほぼ心理的で、尚且つ精神的なものばかり……それでいて、身体には正常そのもの。治す手立ては……ありません」
男「………そ、そんな」
こんな感じで幼馴染と男の周りで巻き起こる修羅場をオナシャス!
医師「それもそのはずです。最近、見つかったんですから」
男「……具体的な症状は?」
医師「恋心や好意を抱いてる人に対し、異常なまでの束縛、独占欲や露骨な愛情表現。更には嫉妬が暴走し、第三者の異性の関わりがあると知ると……」
男「知ると?」
医師「……血が流れることになるでしょうね」
男「っ…………せ、先生、幼馴染は……まさかそれに……」
医師「……残念ながら、患っています」
男「……な、治すには?」
医師「……症状があったように、ほぼ心理的で、尚且つ精神的なものばかり……それでいて、身体には正常そのもの。治す手立ては……ありません」
男「………そ、そんな」
こんな感じで幼馴染と男の周りで巻き起こる修羅場をオナシャス!
10: 2012/10/31(水) 09:31:08 ID:VzNbe4Yw
男「…………」
幼馴染「あ、男~」 シタタタ…
幼馴染「先生なんだって?」
男「う、うん。 (体には)問題ないって」
幼馴染「でしょー?」
幼馴染「だから言ったのに」
男「う、うん」
幼馴染「じゃ、帰ろ!」 グッ(腕くみ)
男「…………」
11: 2012/10/31(水) 09:45:33 ID:VzNbe4Yw
~男の家~
男「ただいま」
幼馴染「ただいま」
シーン……
男(俺の両親、今は居ない)
男(仕事の都合で二人共カナダに行ってる。 半年の予定だ)
男(元々、両親の受けは良かった幼馴染……)
男(俺一人になってからの幼馴染は、もの凄く積極的になった)
男(活発な方だったし、特に気にも止めていなかったが……)
男(家に泊まり込む様になってから、おかしな事が始まった)
幼馴染「じゃ、夕御飯作るね!」
男「ああ……」
12: 2012/10/31(水) 09:58:18 ID:VzNbe4Yw
男「…………」 カチャ…(携帯)
男「…………」 ピ……ピピ……
男(……今日も着信無し)
男(ありえないだろ……今日で一週間だ)
男(…………)
男(幼馴染が来てから……女からの連絡が一切無くなった……)
男(…………)
男(もちろん、偶然の可能性も捨てきれないが……)
男(しかし……もしやと思って、連れて行った病院の診断結果……)
男(…………)
幼馴染「男ー?」
男「! お、おう。 何だ? 幼馴染?」
幼馴染「お皿、出してくれる? 平たくて大きいやつ」
男「わかった」
13: 2012/10/31(水) 10:06:36 ID:VzNbe4Yw
カチャカチャ……
幼馴染「でさ、モブ子ったら~」
男「ごちそうさま」 ガタッ
幼馴染「え? 男、もういいの?」
男「うん……何だか疲れたのかな? もう眠くって……」
幼馴染「そっか。 わかった、洗い物しておくから、流しに置いておいて?」
男「ああ……悪いな、幼馴染」
幼馴染「ううん、じゃ、お休み、男!」 ニコ
男「お休み……」
テク テク テク…
幼馴染「…………」
14: 2012/10/31(水) 10:17:09 ID:VzNbe4Yw
男「はあ~……」 ドサッ…
男「…………」
男(正直……うぬぼれかもしれないけど、幼馴染は俺の事が好きなんだろうと思ってた)
男(これがまた、可愛いんだよな)
男(肩くらいの黒髪で、目がクリクリしてて、スタイルも悪くない)
男(胸はCカップ以上はありそうだし) ///
男(身長も俺より20cmくらい低くてちょうどいい)
男(…………)
男(ヤンデレかぁ……)
男(…………)
男(…………)
男(…………) ぐ~…zzz
―――――――――――
16: 2012/11/01(木) 07:29:35 ID:ohO7w.WU
チュンチュン……
幼馴染「男ー! 朝だぞー!」
男「んあっ……」
男「ふあああああぁ……もう朝か」
幼馴染「ほらほら、シャキっとする!」 ウフフ
男「いてっ……背中、叩くなよ」
男「つーか、人の部屋に勝手に入るな」
幼馴染「何よー? 起きて来ない男が悪いんでしょ!」 ツン!
男「わかったわかった……悪かったよ」
幼馴染「ふむ。 わかればよろしい!」 ニコ
幼馴染「朝御飯、出来てるからね? 早く来てよ?」 トトト…
男「ほいほい……ってもう居ない」
男「朝から元気だなー」 フウ…
17: 2012/11/01(木) 07:44:10 ID:ohO7w.WU
ハムハム……
男「朝はやっぱトーストだな」
幼馴染「作る方としてもありがたいメニューね♪」
幼馴染「あ、そうだ、男」
男「ん? 何?」
幼馴染「はいこれ。 ケータイ」 スッ
男「……!」
幼馴染「? どうしたの? 男の部屋で拾ったんだけど、渡すの忘れてたんだ」
幼馴染「ごめんね」 テへ
男「あ……ああ」
男「いや、こっちこそすまん」
男「ありがとう、幼馴染」 ニコ
幼馴染「どういたしまして!」 ///
幼馴染「じゃ、私、先に学校へ行くから!」 タタタッ
男「おー……」
18: 2012/11/01(木) 07:59:34 ID:ohO7w.WU
ガヤガヤ……
男「…………」 ピッ……ピッ……ピッ……
男(特に異常はないな)
男(あの後、ポケットに入れてたと思ってたけど……)
男(うっかり落とした可能性がある)
男(…………)
男(ったく……こんな事なら病院になんて行くんじゃなかったぜ……)
男(…………) ハアッ…
?「どうしたの? 男くん?」
19: 2012/11/01(木) 08:00:24 ID:ohO7w.WU
男「……あ、女ちゃん」
女「ため息なんてついて……高校生らしくないぞ♪」 クスッ
男「いや、大した事じゃないよ」
女「そう? ならいいんだけど……」
女「最近ケータイにかけても出てくれないし……連絡もないから」
女「嫌われたのかと思って……」
男「……ごめん」
男「ちょっと、色々あって……」
20: 2012/11/01(木) 08:12:02 ID:ohO7w.WU
男(女ちゃん……同じクラスの同級生)
男(背中まである、長い黒髪が特徴の可愛い女の子だ)
男(同性からも好かれている、印象の良い娘で もちろんヤロー共の人気も高い)
男(そんな彼女だが、何故か浮いた話は全く聞かない)
男(誰か、心に決めた人でも居るのだろうか……?)
女「男くん?」
男「ハハハ……いや、ホントに何でもないから」
女「変な男くん。 じゃ、また後でね」 ニコ
男「ああ……」
男「…………」 フウッ
??「おい……男……」
21: 2012/11/01(木) 08:23:53 ID:ohO7w.WU
男「おー、友か」
ガシッ (ヘッドロック)
友「ぬわーにが『友か』だ!」
友「朝から見せつけやがって。 このっ! このっ!」
男「ギブギブギブッ! つーか、何の話だよ!?」
友「てめ……! 自覚無しか!?」
友「くっそー! 何でこんな奴に! 女ちゃんや幼馴染ちゃんが気軽に声をかけるんだぁー!」
男「おめーは何、朝からサカってんだよ!」
友「うるせー! てめーに俺の気持ちはわからねえよ!」
男「ああ、わかんねぇよ! さっさとロック外せ!」
友「誰が外すか! フラグへし折るまでやってやるうっ!」
22: 2012/11/01(木) 08:37:49 ID:ohO7w.WU
男(こいつは友)
男(高校入学した時に知り合った)
男(くせ毛の茶髪でチャラい印象があるが、そのまんま見た目通りチャラい)
男(常に女の子の目を意識して行動している)
男(その努力を別の方向に向ければいいのに……)
男「いいかげんにしろ! 友! マジで痛いって!」
友「ちっ! 仕方ねえ……」 パッ…
男「ふー……死ぬかと思った」
友「けどよぉ……お前はホントに幸せな立場なんだぞ?」
男「……幼馴染はともかく、女ちゃんは無いって」
友「ちくしょー! ヨユーかましやがってぇー!」 ドドド…
男「…………」
男「……あいつ何しに来たんだ」 ハア…
23: 2012/11/01(木) 16:42:08 ID:ohO7w.WU
キーン コーン カーン コーン…
男「ふう……昼休みか」
幼馴染「男!」
男「……! 幼馴染」
幼馴染「ご挨拶ね。 どうかしたの?」
男「何でも無い。 昼飯だな? 中庭にでも行くか?」
幼馴染「いいね! 早く行こ!」 ニコ
男「ほいほい」
モグモグ……
男「うん、美味い」
幼馴染「でしょ?」 ンフフ
24: 2012/11/01(木) 17:03:25 ID:ohO7w.WU
男「弁当、いつも悪いな」
幼馴染「いーのよ別に。 ついでよ、ついで」
男「わー、そっけねー」
幼馴染「まあ? そんな健気な私に、何かプレゼントとか してくれてもいいんですけど?」
男「露骨だな」
幼馴染「ニシシ。 女の子は打算的なの!」 クスッ
男「…………」
幼馴染「……男?」
男「ん? 何でもある」
幼馴染「何よそれ……」
男「真面目に、何かお礼とかした方がいいな、と思ったんだけど……」
男「幼馴染は何か欲しい物あるか?」
幼馴染「!?」 /// ドキッ
25: 2012/11/01(木) 17:17:04 ID:ohO7w.WU
幼馴染「い……いきなり、言われても……」 ///
男(可愛いな……幼馴染) ///
男「正直、インスタントとコンビニ弁当のループを断ち切ってくれたし」
男「やっぱり労働に対する 対価は支払わないと」
幼馴染「……そう」
男「……?」
幼馴染「ううん、そういう事なら欲しい物、考えとく!」
男「言っとくけど高校生の財布の中身で、何とかなる物にしといてくれよ?」
幼馴染「男の財政事情くらい知ってるわよ」 フフ
男「さいですか」
幼馴染「あ、それでさ、話題変わるんだけど……」
―――――――――――
26: 2012/11/01(木) 17:52:40 ID:ohO7w.WU
キーン コーン カーン コーン…
ガヤガヤ……
友「男ー」
男「なんだ首絞めジャック」
友「連れない事言うなよ、リア充」
男「誰がリア充だ」
友「オメーだよ、オメー」
友「子供の頃からの付き合いの可愛い女の子と、ひとつ屋根の下で寝起きする……」
友「これがリア充と言わずに何と言う!!」
男「ただの同居だろーが……で? 何か用か?」
友「久しぶりにカラオケにでも行かね? と思って」
男「悪ぃ……今日は食材の買い出しに行く予定」
友「なんだよ、もう尻に敷かれてんのか?」
男「俺は座布団じゃないっての。 それじゃ、また明日な」
友「ああ、またな」 ニッ!
27: 2012/11/01(木) 18:04:29 ID:ohO7w.WU
テク テク テク…
男「!」
幼馴染「あ! 男!」
男「……どうした?」
幼馴染「? どうもしないよ? ただの偶然」
幼馴染「私は、これから部活だし……男は今帰り?」
男「ああ……」
幼馴染「そう! 買い出し、よろしくね!」 タタタタッ…
男「…………」
男(……気にしすぎ、だろ) ハア…
28: 2012/11/01(木) 18:34:05 ID:ohO7w.WU
テク テク テク…
ガヤガヤ…
男(えーっと、白菜、キャベツに人参、ピーマン……)
男(……ピーマンは忘れた事にしておこう)
男(後は玉ねぎに豚肉……ウインナーでも可、か……)
男(おっと……お米も忘れずに、と……)
男(……ん? あれ?)
男(女ちゃんだ……珍しいな)
女「……あれ? 男くん?」
男「やあ、女ちゃん。 珍しいね、こんな所で会うなんて」
女「うん。 でも私、ここで結構買い物してるんだけどな」
男「そうなんだ」
女「男くんは……男くんも買い出し? すごい量だね」
男「今日はたまたま。 お米を買ったし」
29: 2012/11/01(木) 18:43:11 ID:ohO7w.WU
ピピピ……ピピピ……
男「おっと……メールが」 カチャ(携帯オープン)
Re 幼馴染
ごめーん、卵も買っといてー
男「…………」
女「男くん、幼馴染さんから?」
男「…………」
女「男くん?」
男「! あ、いや……うん、そう。 幼馴染から」
女「男くん、仲いいもんね」 クス
男「ハハハ……」
男(…………)
男(偶然……偶然だよな……)
30: 2012/11/01(木) 18:57:35 ID:ohO7w.WU
男「じゃ、女ちゃん、俺はこれで」
女「うん! また明日!」
ガヤガヤ……
男「…………」
男「さて、玉子買わないと」
男「…………」
―――――――――――
31: 2012/11/01(木) 19:09:28 ID:ohO7w.WU
ガチャ……キィ……パタン
男「ただいまー」
男「…………」
男「……? 幼馴染、まだ帰ってないのかな」
シャアァァァァァ……
男「ああ……シャワー浴びてんのか」
コン コン
男「おーい、幼馴染ー」
???『! んー?』
男「言われたもの、買ってきたぞー。 台所に置いとくから」
???『んー』
男「じゃ、メシできたら言ってくれ。 俺、部屋に居るから」
???『んー』
テク テク テク…
32: 2012/11/01(木) 19:22:16 ID:ohO7w.WU
男「…………」
男「……?」
男(おかしいな……何か違和感を感じたけど……)
男(まあいいか)
男(…………)
男(……そうだ) ピッポッパッ
プルルルル……プルルルル……ガチャ
友『うーっす、絶賛彼女募集中の友でーすっ☆』
男「すみません、間違えました」
友『おいおい、軽いジョークのわからない奴だな』
男「お前、それ、かかってきた電話 全てにやってるのか?」
友『親愛なる、お前にだけだよ☆』
男「……本題に入るわ」
友『おう! 何だよ?』
33: 2012/11/01(木) 19:32:57 ID:ohO7w.WU
男「病院紹介しといてもらって何だけど……」
男「ヤブって事はないよな?」
友『おいおい……そんな事言われると、いくら俺でもブロークンハートになるぜ?』
友『どうしたんだ? 何かあったんだろ? 言ってみ?』
男「ああ……実はな……」
―――――――――――
男「つーワケなんだ……」
友『……ウッソ。 マジ信じらんね』
男「俺もだよ」
友『けど、あの病院は俺もかかった事あるし』
友『ネットの評価もかなり高いぜ?』
男「そうなのか?」
友『疑うなら病院の名前でググってみ? 検索でかかると思うから』
34: 2012/11/01(木) 19:48:09 ID:ohO7w.WU
男「そうか……でも、本当に信じられないんだ」
男「幼馴染はいつも通りで、明るく可愛いし……」
友『んだよー、惚気かー?』
男「そうじゃないって」
友『へいへい。 さいですか……でもよー男』
男「ん?」
友『お前、幼馴染ちゃんの事……マジどう思ってんの?』
男「……!」
友『だんまりは無しだぜ?』
友『異性として見てんのかどうか、だけでもいい……』
友『聞かせてくれよ』
男「…………」
35: 2012/11/01(木) 19:58:30 ID:ohO7w.WU
男「お、俺は……別に」 ///
友『……本当か?』
男「いや……そりゃ可愛いとは思ってる」 ///
友『女の子として?』
男「あ、ああ……」
友『……そうか』
男「……何だよ、友。 ずいぶん踏み込んで聞くじゃないか」
友『……そりゃそうだろ。 気になる娘がダチと同居してりゃ』
男「………………え?」
友『言わせてもらうけど、俺はマジだぜ? 本気と書いてマジ』
男「……いつからだよ」
友『入学式で見かけてからずっと』
友『ここだけの話、オメーに話しかけたのも幼馴染ちゃんの為だ!』 ドヤッ!
男「ぶっちゃけすぎだろ……」
36: 2012/11/01(木) 20:14:30 ID:ohO7w.WU
男「……けど、友。 幼馴染は……」
友『カンケーねえよ』
男「…………」
友『ヤンデレ症候群? はあ? クソ食らえだっての!』
友『好きになった娘が、どんな病気かかえようとも……』
友『ハートで何とかする!』
友『それでいいじゃねーかよ』 ハハハ…
男「…………」
男(うらやましい……)
友『とにかくだ』
友『いずれ……頃合が来たら、俺は幼馴染ちゃんに告るぜ?』
男「……!」
37: 2012/11/01(木) 20:27:11 ID:ohO7w.WU
友『……って言いながら、ビビってるけどな』
男「…………」
友『俺から言うのもおかしいけどさ、はっきりしておけよ? そのへんの気持ち』
男「…………そう……だな」
友『……他に何か用はあるか?』
男「いや……」
友『そうか。 じゃ、また明日、学校でな』
男「ああ」
ブッ……ツー……ツー……
男「…………」
男「自分の気持ち……か……」
―――――――――――
38: 2012/11/01(木) 20:47:12 ID:ohO7w.WU
カチャカチャ…
男「ごちそうさま」
幼馴染「お粗末さまでした」
男「さて、風呂にでも行くかな」
幼馴染「どうぞー」
男「おー」
ザブン……
男「ふいー……生き返る~」
男「…………」
男(……そういや、ラノベや工口ゲで ありがちな展開の)
男(ラッキースケベには、まだ遭遇しとらん……)
男(…………)
男(所詮フィクションだな……)
39: 2012/11/01(木) 20:59:39 ID:ohO7w.WU
テク テク テク…
男「ふう……さっぱりした」
幼馴染「みたいね」 クス
男「…………」
男「……なあ、幼馴染」
幼馴染「ん?」
男「その、さ……緊張とか、しないのか?」
幼馴染「? 日本の夏?」
男「金○の夏……って、ちっがーう」
幼馴染「アハハ……ごめん」
幼馴染「……でも、それは無いかな」
男「一応俺もヤローなんだけど……」
幼馴染「お? 何々? ついに私の魅力にノックアウトされた?」
男「……もういい、寝るわ」
幼馴染「あ……」
40: 2012/11/01(木) 21:13:00 ID:ohO7w.WU
幼馴染「…………」
幼馴染(どうしたんだろう……?)
幼馴染(あんな事聞いてくるなんて)
幼馴染(…………) ///
幼馴染(意識……されてるのかな? 私……) ///
幼馴染(……ううん) ///
幼馴染(意識してもらう為に、私はここに居る) ///
幼馴染(男が……望むのなら、え、えっちな事だって……) ///
幼馴染(~~~~~~!!) /// ジタバタ ジタバタ
幼馴染(…………) ///
幼馴染(だって……私は……) ///
幼馴染(男の事……好きだから――) ///
41: 2012/11/02(金) 19:03:49 ID:/48Git5k
~翌日~
友「うーっす、おはよ」
男「おう、朝から元気だな」
友「まあそれが取り柄だからな!」 ニカッ!
男(……ちょっちウゼーけど)
男「そういや今日の英語の宿題、やってきたか?」
友「あー……そういや、そんなのあったな」
男「やってないのか?」
友「いや、そんな事は無い」
男「じゃあ後で見せてくれるか?」
友「2行だけでいいのなら」
男「そういうのは、やったとは言わないだろ!」
友「俺は学校で宿題をやる主義だ!」
男「それじゃ宿題にならねーだろーが……」
42: 2012/11/02(金) 19:29:11 ID:/48Git5k
女「男くん」
男「あ、女ちゃん」
女「良かったら……これ使う?」 スッ…
男「! ……英語のノート。 いいの?」
女「うん。 でも、宿題はちゃんとやらないとダメだよ?」
男「……はい」
友「あー……女ちゃん、俺もいい?」
女「もちろんいいよ」 クスッ
男「あなたが神か……!」
友「女ちゃん、マジ天使……!」
43: 2012/11/02(金) 19:38:41 ID:/48Git5k
キーン コーン カーン コーン…
男「女ちゃん、サンキュ。 助かった」 ニコ
女「どういたしまして」 クスッ
男「お礼に今度飯でも……」 ハッ!?
女「? 男くん?」
男「い、いや、何でも無い。 ともかく、ありがとう」 ハハハ…
女「……変な男くん」
男(やべえやべえ……もし幼馴染がこんな現場を見たら)
男(女ちゃんを巻き込んじまう! ……危ない所だった)
友「…………」
44: 2012/11/02(金) 19:46:20 ID:/48Git5k
友「男~」
男「なんだ?」
友「ちょっち言いづらいんだけど……」
友「今日の昼、幼馴染ちゃんと食うのか?」
男「? ああ……」
友「頼む! 今日だけでいい!」
友「俺も同席させてくれねーかな!?」
男「え!?」
友「たぶん、お前はいい気持ちしないだろうけど……」
友「今の幼馴染ちゃんにとって、俺が、どの程度のラインに居るのか」
友「どうしても知りてーんだよ!!」
男「えー……」
友「頼む! 男!」
―――――――――――
45: 2012/11/02(金) 20:02:35 ID:/48Git5k
男「……というわけで、連れてきた」
※注 友の目的は隠してあります。
友「ちぃーすっ! 幼馴染ちゃん!」
幼馴染「あ、うん……よろしくね、友くん」
男(予想はしてたけど……若干引いてるな、幼馴染……)
男「すまんな、幼馴染。 今日だけだから」
友(いきなり釘さしキター!)
幼馴染「ううん、たまにはいいよね、こういうのも」
アハハ……
46: 2012/11/02(金) 20:14:12 ID:/48Git5k
幼馴染「そうそう、昨日言い忘れてたけど」
幼馴染「男、ピーマンわざと買い忘れたでしょ?」
男「おまっ!? 今それを言うか!?」 ///
友「なになにー? 男キュンは、ピーマン食べられないんでちゅかー?」 クスクス
男「ぐっ……!」 ///
幼馴染「好き嫌いは、いけないよねー」 クスクス
男「お前だってグリーンピースとブロッコリーがダメじゃねーかよ!」
幼馴染「がっ!!」 ///
友「あ、俺もブロッコリーは苦手だよ、幼馴染ちゃん♪」 ナカマ ナカマ♪
幼馴染「……男、触れちゃいけない所にさわったわね」 ゴゴゴ…
友「およ?」
47: 2012/11/02(金) 20:25:12 ID:/48Git5k
男「へっ……凄んだって怖かねーぞ」
幼馴染「あらそう……?」
幼馴染「じゃあ……明日からのお弁当の中身」
幼馴染「ピーマンのおかずにピーマン御飯のピーマン尽くしにしてあげるから」 ククク…
男「すんません! ちょーしに乗ってました! マジ勘弁してください、幼馴染様!」
友「陥落はやっ!」
幼馴染「解ればよろしい」 フフン♪
友(でも、こんな一面もあるのか……幼馴染ちゃん) ///
男「……ピーマンなんて食わなくても死にゃしないのに」 ボソ…
幼馴染「ん?」
男「なんでもございません!」
48: 2012/11/02(金) 20:49:42 ID:/48Git5k
友「じゃあさ、逆に幼馴染ちゃんの好物って何なの?」
幼馴染「え? う~ん……ドーナツかな? 後、ケーキ!」
友「うんうん、やっぱ女の子は甘い物が好きなんだね~」
友(うし! 貴重な情報げっとぉ!) グッ!
男(焼き芋にスルメだろーが……)
友「ついでに男は?」
男「ついで言うな……唐揚げ、フライドチキンにフライドポテト」
友「揚げもんばっかだな……」
男「ほっとけ」
幼馴染(後、ラーメンだよね。 ネギたっぷりのメンマ抜き) ンフフ
友「おめーは? 友?」
49: 2012/11/02(金) 20:59:33 ID:/48Git5k
友「よくぞ聞いてくれました!」
友「俺の好きな食いもんは、ホットケーキ!」
男「ガキかお前……」
友「ピーマン嫌いのお前に言われたくないな」
男「ぐぬぬ……」
幼馴染「へえ~。かけるものは? メイプルシロップ? それともハチミツ?」
友「もち、ハチミツ! メイプルはちょっと甘すぎるんだよなー」
幼馴染(私はメイプル派なんだけどなー……)
ハハハ……
50: 2012/11/02(金) 21:37:58 ID:/48Git5k
キーン コーン カーン コーン…
幼馴染「わっ!? もうこんな時間!?」
友「うへぇ……もう終わりかよ」
男「あっという間だったな……」
幼馴染「うん! 楽しかったね! 男! 友くん!」 ニコ
男「そうだな」 クス
友「それは光栄の至り……」
男「……似合ってねーぞ」
友「うるせー」 ///
幼馴染「あはは……」
―――――――――――
51: 2012/11/02(金) 21:47:14 ID:/48Git5k
男「ふう……もう放課後か……」
友「おーい、男ー」
男「なんだ?」
友「一緒に帰らね?」
男「ああ、いいぞ」
テク テク テク…
友「そーいや幼馴染ちゃんは?」
男「部活。 合気道部なんだ」
友「へー、そうなのか」
友「…………」
友「なあ、男」
男「ん?」
友「幼馴染ちゃん、俺の事どう思っていると見た?」
52: 2012/11/02(金) 22:42:11 ID:/48Git5k
男「…………」
男「……友達ってとこじゃね?」
友「…………」
友「……へっ」
友「お前、やさしーな……」 クスッ…
男「…………」
友「完璧に俺、アウトオブ眼中じゃねーかよ……ありゃ」
男「…………」
友「けどよ」
友「俺はあきらめねーぜ?」
男「…………」
男「……そっか」
53: 2012/11/02(金) 22:56:20 ID:/48Git5k
男「…………」
友「……って言われても困るわな、フツー」 フフッ
友「だけどな……」
友「ヨユーコケるのも今の内だからな?」
男「どーいう意味だよ」
友「そのまんまさ。 ウサギとカメの童話」
男「俺がウサギってか?」
友「そゆこと」
男「…………」
男「俺がウサギ、ね……」
54: 2012/11/02(金) 23:21:56 ID:/48Git5k
友「……っと」
友「じゃ、俺こっちだから」
男「ん? そうか……」
男「じゃあ、また明日」
友「おう! またな!」
タッ タッ タッ…
友「…………」
友「ったく、おやさしー事で……」
友「…………」
友「悪ぃけど、つけ込まさせてもらうぜ……男」
友「俺は……幼馴染ちゃんを手に入れる為に」
――手段を選ばねぇ――
55: 2012/11/02(金) 23:34:04 ID:/48Git5k
―――――――――――
男(…………)
――お前、幼馴染ちゃんの事……マジどう思ってんの?――
男(俺は……)
――恋心や好意を抱いてる人に対し、異常なまでの束縛――
――独占欲や露骨な愛情表現。更には嫉妬が暴走し――
男「幼馴染の事……」
――第三者の異性の関わりがあると知ると――
男(…………)
――血が流れることになるでしょうね――
男(俺は……!)
――はっきりしておけよ? そのへんの気持ち――
男(…………っ)
―――――――――――
56: 2012/11/02(金) 23:50:15 ID:/48Git5k
―――――――――――
男「ごちそうさま」
幼馴染「ごちそうさま」
カチャ カチャ…
男「…………」
男「なあ、幼馴染」
幼馴染「んー?」
男「ちょっと……話があるんだ」
幼馴染「……うん」
男「…………」
男「……えっと、な」
幼馴染「…………」
57: 2012/11/02(金) 23:59:16 ID:/48Git5k
男「食事とか、いつもありがとう」
幼馴染「……うん」
男「えと……その…………俺」
幼馴染「…………」
男「幼馴染の事が、好きだ」 ///
幼馴染「……!」 ///
男「…………」 ///
幼馴染「…………」 ///
幼馴染「……嬉しい、男」 ///
幼馴染「私も男の事……」 ///
――大好きです――
64: 2012/11/05(月) 17:09:27 ID:oWmboDYs
チュン チュンチュン…
幼馴染「男ー? 朝だよー」 ユサユサ
男「んー……」
男「……おはよう、幼馴染」
幼馴染「えへへ……」 ///
男「……? どうした? 幼馴染?」
男「顔が赤い……あ」
幼馴染「…………」 ///
男(そ、そうだった。 俺、昨日……) ///
幼馴染「……頭、はっきりした?」 ///
男「あ、ああ」 ///
幼馴染「フフッ……朝御飯、出来てるよ!」 ///
65: 2012/11/05(月) 17:10:24 ID:oWmboDYs
モグモグ…
男「ごちそうさま」
幼馴染「ごちそうさま」
カチャ カチャ… ジャー…
男「……ところでさ、幼馴染」
幼馴染「うん、何?」
男「俺達が付き合っている事……しばらく内緒にしておかないか?」
幼馴染「え……」
男「やっぱり、クラスの噂になるかも、だし」
男「幼馴染もそれは嫌だろ?」
幼馴染「…………」
66: 2012/11/05(月) 17:12:17 ID:oWmboDYs
クラスの噂……いや、そんなのはこじつけだ。
本当は、友の気持ちを知りながら 幼馴染へ告白した事に、罪悪感を抱いていたから。
それだけだった……。
いつか、友が幼馴染に告白して玉砕した時――
……俺達の友情は、終わるかもしれない。
幼馴染の病気を考慮して……俺が他の女の子に接触しなければ大丈夫。
最悪の事態にならないよう 最大限気を付ける。
後は……
幼馴染に病気の事を伝えるかどうか……それだけは、まだ迷っていた。
67: 2012/11/05(月) 17:13:32 ID:oWmboDYs
男「……ダメ、かな?」
幼馴染「…………」
幼馴染「ううん……」 フルフル
幼馴染「男が、そうしたいのなら」 ニコ
男「……すまない」
幼馴染「でも」
男「!」
幼馴染「浮気したら許さないからね……」 ゴゴゴ…
男「……ああ」
幼馴染「……ホントに許さないんだから」
ギュッ…
幼馴染「!!」 ///
男「その時は……遠慮なく殺してくれ。 構わないから」
幼馴染「男……?」 ///
68: 2012/11/05(月) 17:14:21 ID:oWmboDYs
男「そ、それから……」 ///
男「こ、これ以上の行為は、しないつもりだから」 ///
男「今の状況だと、歯止め効かなくなりそうだし……」 ///
幼馴染「!! ……お、男のえっち!」 ///
バッ!
幼馴染「わ、私、朝練あるから!」 ///
ダダダッ…
男「…………」 ///
男(幼馴染……) ///
男(良い匂いだったなぁ……) ///
69: 2012/11/05(月) 17:15:11 ID:oWmboDYs
タッ タッ タッ…
幼馴染「……ふう」
男「こ、これ以上の行為は、しないつもりだから」 ///
男「今の状況だと、歯止め、効かなくなりそうだし……」 ///
幼馴染「~~~~!」 ///
幼馴染(…………ヤバイ) ///
幼馴染(歯止め……) ///
幼馴染(私も効かないかも……) ///
幼馴染(~~~~!!) ///
70: 2012/11/05(月) 17:16:14 ID:oWmboDYs
―――――――――――
ガヤガヤ…
男「よお、おはよう」
友「おう、おっはー」
女「おはよう、男くん」 ニコ
男「ああ、女ちゃん。 おはよう」 ニコ
男「珍しいね? 友に何か用でも?」
女「今日の日直の事でね」 クス
男「なるほど」
友「はは……嫌な日直仕事も花があれば、ちったぁマシってもんさ」
男「……?」
男(友……何だか元気がない? 日直だからか?)
71: 2012/11/05(月) 17:17:01 ID:oWmboDYs
友「男……そろそろ担任が来るころだぜ? 席に付いとけよ」
男「ああ、そうだな」
女「じゃあ、友くん。また後でね」
友「おー……」
男「…………」
男(腹でも壊したのかな……)
男(ま、いいか)
72: 2012/11/05(月) 17:17:54 ID:oWmboDYs
キーン コーン カーン コーン
幼馴染「男~」
男「おう、幼馴染」
男「じゃ、メシに行きますか」 ニコ
幼馴染「うん!」 ///
モグモグ…
男「…………」
幼馴染「どうしたの? 男?」
男「気のせいか……今日の弁当は、いつもより美味しいような……」
幼馴染「そりゃあ、愛情たっぷり入れたもん!」 ///
男(普段なら「いつもは手を抜いてやがったな」とか言う所だが)
男「そうか……ありがとうな、幼馴染」 ニコ
幼馴染「エへへ……」 ///
73: 2012/11/05(月) 17:18:38 ID:oWmboDYs
?「あ、男くん?」
男「! ……女ちゃん」
女「たまには外で食べようかな? と思って、出てきただけなの」
女「邪魔しちゃって ごめんなさい」 クスッ
男「あ、いや……」
スタ スタ スタ…
幼馴染「…………」
幼馴染「今の……誰?」
男「! ……女ちゃん。 ただのクラスメイトだよ」
幼馴染「……本当?」
74: 2012/11/05(月) 17:19:19 ID:oWmboDYs
男「嘘ついてどうなるんだよ……」
幼馴染「それはそうだけど……」
幼馴染「何だか男……挙動不審だし」
幼馴染「女ちゃん?は可愛い人だったし……」
男「…………」
幼馴染「……男?」
男「悪ぃ……」
男「嫉妬する幼馴染も可愛いな、と思って」 ニコ
幼馴染「!!!」 ///
幼馴染「バ、バカ! そ、そんなんで、ごまかされないんだから……!」 ///
男「ハハハ……」
75: 2012/11/05(月) 17:20:11 ID:oWmboDYs
男「幼馴染のクラス、次の授業、何?」
幼馴染「現国」
男「よく眠れそうだな」 クス
幼馴染「寝ないよ……男は?」
男「体育。 跳び箱だったかな?」
幼馴染「ふうん。 私は苦手だな」
男「へえ? なんか意外」
幼馴染「跳び箱だけは、どうしてもダメなの……」 ハア…
76: 2012/11/05(月) 17:21:02 ID:oWmboDYs
ピッ タタタッ ドン! シュタッ
友「あ~……かったりー」
男「メシの後の授業は、みんなそうだよ……」
友「まあ、そうだわな」
男「うし、俺の番か」
ピッ タタタッ ドン! シュタッ
グきッ ☆
男「おうふっ!!」
友「!? 男!」
男「……ったあ……着地の時に足首ヒネっちまった……」
77: 2012/11/05(月) 17:22:30 ID:oWmboDYs
友「先生~! 男が怪我したみたいなんで、保健室に連れて行きます」
体育教師「なに……ふむ、仕方ないな」
体育教師「よし、許可しよう」
友「ありがとうございます。 ほら、肩につかまれ、男」
男「すまん……友……いつつ……」
友「少し腫れてきたな……」
―――――――――――
78: 2012/11/05(月) 17:25:34 ID:oWmboDYs
保健医「これは、ちょっと酷いわね……」
保健医「体育の先生に、後の授業は無理だって言っておいてくれるかしら?」
友「わかりました」
友「じゃあな、男」
男「ああ……」
ガラガラ……パタン
保健医「そこのベッドに横になって休んでいなさい」
保健医「折れてはいないと思うけど……松葉杖がいると思うから、取ってくるわ」
男「わかりました」
ガラガラ……パタン
79: 2012/11/05(月) 17:26:16 ID:oWmboDYs
男「ふう……」
男「帰りに病院、行ったほうがいいかな……」
男「…………」
男「せっかくだし寝ておくか♪」
―――――――――――
?「……男くん。 男くん?」
男「……ん?」
男「あ、女ちゃん」
女「ふふ、おはよう」 クス
男「ふあっ……」
女「お寝坊さんね。 もう放課後だよ?」
80: 2012/11/05(月) 17:27:18 ID:oWmboDYs
男「そっか……すっかり眠り込んだみたいだ」
男「ところで女ちゃんは、どうしてここに?」
女「男くんの荷物を届けに来たの。 ほら」 ヒョイ
男「あ……俺のカバン。 わざわざごめん」
女「いいのよ。 どうせ学級日誌を職員室に届けに行くついでだったし」
男「あ、そうか。 日直だったけ……友は?」
女「いつの間にか居なくなってた。 たぶん、先に帰ったと思うわ」
男「あんにゃろ……」
女「大丈夫。 その事、ちゃんと日誌に書いておいたから」 ニコ
男「さすが女ちゃん」 クス
ハハハ…
81: 2012/11/05(月) 17:29:23 ID:oWmboDYs
ガラガラ!
幼馴染「男!」
男「! 幼馴染……」
幼馴染「だ、大丈夫!?」
男「大丈夫。 まだ痛むけど」
幼馴染「そ、そう……良かった」 グス…
女「えと……幼馴染さん?で、いいかしら?」
幼馴染「え? あ、はい……えと、女さん……でしたっけ?」
女「あ、男くんに聞いてたのね。 あらためまして、幼馴染さん。 女です」 ニコ
幼馴染「こちらこそ。 あらためまして、女さん……」
幼馴染「それで……どうしてここに?」
女「男くんの荷物を届けに来たの。 もう帰るところだから」 クス
82: 2012/11/05(月) 17:30:55 ID:oWmboDYs
女「じゃあね、男くん」
男「ああ、また明日」
幼馴染「…………」
ガラガラ……パタン
男「じゃ、俺達も帰るか?」
幼馴染「……うん」
男「幼馴染、ちょっと肩を貸してくれるか?」
幼馴染「! ごめん、今手伝うから……」
―――――――――――
83: 2012/11/05(月) 17:31:40 ID:oWmboDYs
カチャ カチャ……
男「ごちそうさま」
幼馴染「……ごちそうさま」
幼馴染「…………」
男「……どうした? 幼馴染」
幼馴染「! うん……」
男「元気無いみたいだけど……」
幼馴染「…………」
男「……?」
84: 2012/11/05(月) 17:32:35 ID:oWmboDYs
幼馴染「……あのね、男」
男「うん」
幼馴染「こんな事言うと……変に思われるかもしれないけど」
幼馴染「あの人……女さん?」
幼馴染「……何か嫌な感じだった」
男「……!」
男(もう症状が悪化してる……!?)
幼馴染「あの人……私に笑いかけた時……」
幼馴染「まるで挑戦状を叩きつけてる様な目で睨んだの……」
幼馴染「ちょっと怖かった」
男「…………」
85: 2012/11/05(月) 17:33:23 ID:oWmboDYs
男「俺は、そう思わなかったけど……」
幼馴染「女の子にしかわからない世界よ」
男「そういうものか?」
幼馴染「…………」
幼馴染「信じてくれないんだ……」
男「そうは言ってないだろ」
幼馴染「もういい……私、寝る」 ガタッ…
男「あ……」
トコ トコ トコ…
男「…………」
男「洗い物、やっておくか……」 ガタッ
86: 2012/11/05(月) 17:34:12 ID:oWmboDYs
男「ふう……」 ドサッ
男(…………)
男(幼馴染……)
男(やっぱり病気のせいで……?)
男(…………)
男(女の子の世界、か)
男(俺にわかるわけもないな……)
男(…………)
男(…………) zzz
87: 2012/11/05(月) 17:35:04 ID:oWmboDYs
幼馴染(…………)
幼馴染(…………)
幼馴染(やっぱり言うんじゃなかった……)
幼馴染(男……変に思ってただろうな……)
幼馴染(…………)
幼馴染(でも、ホントなんだもん)
幼馴染(…………)
幼馴染(それとも……ただ、嫉妬してるだけなのかな?)
幼馴染(…………)
幼馴染(なんか……やだな……)
幼馴染(…………) zzz
94: 2012/11/07(水) 22:03:00 ID:ozNcERR2
チュン チュン…
男「……おはよう」
幼馴染「! 男……おはよう」
幼馴染「今日は、起きれたんだね」
男「ああ、珍しく、な」 ポリポリ…
幼馴染「…………」
男「…………」
男「顔、洗ってくるわ」
幼馴染「う、うん」
95: 2012/11/07(水) 22:03:49 ID:ozNcERR2
モグモグ……
男「……ごちそうさま」
幼馴染「……ごちそうさま」
カチャ カチャ……
幼馴染「じゃ、私、先に行くから」
男「ああ……」
幼馴染「…………」
トトト……
男「…………」
男「さて……洗い物しておかなくちゃ」
96: 2012/11/07(水) 22:04:39 ID:ozNcERR2
~学校~
男「ふう……」
友「よう、男。 元気ねーな?」
男「……だいぶマシになったけど、足が痛いからな」
友「あ……なるほど。 そういやそうだったな……」
男「つーか保健室まで、お前が連れてって……まあいいけど」
男「そう言う友も、腹痛は治ったのか?」
友「は? 何の話?」
男「昨日元気が無かったから、腹でも壊したのかと思ってよ」
友「……気のせいだろ」
97: 2012/11/07(水) 22:05:22 ID:ozNcERR2
友「つーか、何で腹痛なんだよ? お前の中で、俺はどういうキャラ付けなわけ?」
男「食い意地張ったチャラ男」
友「泣くよ? 俺、泣いちゃうよ?」
女「おはよう、男くん、友くん。 今日も仲良しね」 ニコ
男「ああ、女ちゃん。 おはよう」
友「おはよー」
女「男くん、足はどう?」
男「まだ痛いけど……だいぶマシ。 歩けるしね」
女「そう、良かった」
98: 2012/11/07(水) 22:06:03 ID:ozNcERR2
女「あ……包帯、ほどけてるね」
男「……ホントだ」
女「私が直してあげよっか?」
男「え!? いいよいいよ! 何か悪いし」
女「いいからいいから。 私こういうの得意なの」
シュル シュル シュル…
男「へえ……手馴れてるね」
女「私のお父さん、お医者さんでね。 応急処置とかは一通り習ってるんだ」
女「はい! 出来上がり」 ニコ
男「おお……完璧。 ありがとう、女ちゃん」
女「どういたしまして」 クスッ
テク テク テク…
99: 2012/11/07(水) 22:06:58 ID:ozNcERR2
友「俺も怪我してぇ……」
男「お前は動機が不順だ」
男「……気持ちはわかるけどな」
友「はあ……世の中、不公平だ……」
キーン コーン カーン コーン
男「そろそろ担任が来るぞ」
友「へいへい。 自分の席帰るわ」
テク テク テク…
―――――――――――
100: 2012/11/07(水) 22:07:33 ID:ozNcERR2
ガヤガヤ……
男「…………」
男(幼馴染……来ないな) グゥゥゥッ…
男(…………)
男(腹減った……)
タタタッ
幼馴染「ごめん、男!」 ハア ハア…
男「お、来たか。 どうしたんだ? 幼馴染?」
幼馴染「ちょっと着替えに手間取っちゃって……」
男「着替え? 体操服からの?」
幼馴染(うっかりパンツの履く穴を間違えてて、トイレで直してた、なんて言えない……) ///
男「……幼馴染?」
幼馴染「い、いいから!」 ///
101: 2012/11/07(水) 22:08:05 ID:ozNcERR2
モグモグ…
男「うん、美味しい」
幼馴染「そう、良かった」 ニコ
幼馴染「足は痛む?」
男「痛みはあるけど、大丈夫」
幼馴染「ならいいんだけど……包帯は、ほどけてない?」
男「それも大丈夫。 女ちゃんが直して……」
男「あ」
幼馴染「…………」
男「い、いや自分でやろうとしたんだけど……」
102: 2012/11/07(水) 22:08:48 ID:ozNcERR2
幼馴染「う、うん……き、気にしてないから」
男「そ、そうか」
男「…………」
男「そういや、もうすぐ試験だな」
幼馴染「……話題、変えたかったのはわかるけど」
幼馴染「もう少し別の話、無かったの?」
男「すみません……」
幼馴染「まあ……いいけど」
幼馴染「男はしてるの? 試験勉強」
男「英語以外はそれなりに」
103: 2012/11/07(水) 22:09:31 ID:ozNcERR2
幼馴染「私も英語苦手だなぁ~」
男「日本語も難しいけどな」
幼馴染「数学の方がもっと難しいよ」
男「そう? 俺はわりと好き」
幼馴染「男は理数系、昔から得意だもんね」
男「幼馴染は音楽が得意だったな」
幼馴染「必須科目でないのが残念……」
ハハハ……
幼馴染「今晩、何が食べたい?」
男「ピーマン以外なら何でも」
幼馴染「じゃあ、ピーマンの肉詰めにしよう」
男「いや、マジ勘弁してください!」
―――――――――――
104: 2012/11/07(水) 22:10:25 ID:ozNcERR2
日直「きりーつ、一同、れい」
サヨウナラー
ガヤガヤ……
友「さて、今日も一日終わったな」
男「そうだな」
友「久しぶりにゲーセン、行かね?」
男「ふむ……ま、たまには付き合うか。 いいぜ、友」
友「よし、決まりだ!」
友「駅前のいつもんトコでいいか?」
男「他に知らねーし」
ハハハ……
105: 2012/11/07(水) 22:11:31 ID:ozNcERR2
キュン……キュン…キュン……
男「やっぱここは落ち着くな」
友「ちょっとレトロな格ゲーがいいよな」
男「まったくだ」
―――――――――――
男「うえ!? もうこんな時間か……」
友「フフフ……諦めろ男。 もう無理だぜ? 対戦成績を五分に持っていくのは」
男「ちえっ……覚えてろ、友。 じゃあ今日は帰るわ」
友「ああ。 また明日な」
男「おう、また明日ー」
―――――――――――
106: 2012/11/07(水) 22:16:13 ID:ozNcERR2
男「うわぁ……日が暮れてる」
男「幼馴染、怒ってるだろうな……」
男「…………」
男「どうやって機嫌とろう?」 ウーム…
ガチャ……
男「ただいまー。 ごめん、幼馴染、遅くなった……」
男「……ん?」
ラ ラ ラ、ラ、ラ ラ、ラ、ラ、ララ、ラ、ラ、ラ……
108: 2012/11/07(水) 22:18:37 ID:ozNcERR2
男(なんだ、風呂か……)
男(じゃ、今の内に自分の部屋に逃げておこう) シメシメ…
―――――――――――
ガラッ!
幼馴染「こら! 男!」
男「うひゃ!?」
男「……な、何でございましょう? 幼馴染さん?」
幼馴染「…………」
幼馴染「御飯、出来てるよ♡」 ニコ♡
男「!? ……お、おう」
幼馴染「じゃ、待ってるからね♡」 スタ スタ スタ…
男「…………」
男「……てっきり怒られると思ったのに」
109: 2012/11/07(水) 22:19:08 ID:ozNcERR2
男「」
ピーマンの肉詰め
男「…………」
幼馴染「…………」 ニコニコ
男「幼馴染さん……」
幼馴染「なあに?」 ニコニコ
ガバッ!(土下座)
男「お願いです! いやもう、ホント、勘弁してください!」
幼馴染「んー? 別に私、怒ってないよー?」
幼馴染「でも、残さず食べてね♡」 ニコニコ
男「いやああああああああああああっ!」
110: 2012/11/07(水) 22:20:59 ID:ozNcERR2
俺はもう、恥も外聞もかなぐり捨てて謝り倒した。
……そこ、ピーマンぐらい食えよ、って言わない。
人には、ど―――――――――――しても!
受け入れられないモノが、3つや4つはあるもんだ。
30分後くらいかな? どうにか、あのおぞましい物体を下げてくれた幼馴染は
ハンバーグとサラダ、納豆と味噌汁を出してくれた。
この時のメシは本当に美味かった……。
その後は、風呂に入ってすぐに寝た……早く忘れたかったし……うう。
どうか夢の中ぐらいは、平穏でありますように……。
114: 2012/11/09(金) 18:14:32 ID:gdmYD3U.
チュン チュン…
男「……朝、か……」
男「…………」
男「昨日はリアルで悪夢を見たっけ……」
男「…………」つ(時計)
男「……ずいぶん早く目を覚ましたな?」
男「そういや早くに寝たから、こんな時間に起きたのか……」
ガバッ
男「たまには早起きするか!」
トテ トテ トテ…
115: 2012/11/09(金) 18:15:53 ID:gdmYD3U.
男(……幼馴染は、まだ起きてない)
男(うし! ここはひとつ、点数稼ぎに)
男(朝ごはんと弁当を作ろう!)
―――――――――――
幼馴染「…………」
幼馴染「……ん?」
幼馴染「…………」 クンクン…
幼馴染「いーにおい……」
116: 2012/11/09(金) 18:16:41 ID:gdmYD3U.
トテ トテ トテ…
幼馴染「……男、おはよう」
男「おう、おはよう、幼馴染」 ニコ
幼馴染「…………」
男「もうすぐ出来るからな。 スクランブルエッグ」
―――――――――――
男「ほい、お待たせ」 コト…
男「トーストもあるぞ?」
幼馴染「……ありがと」
幼馴染「…………」 ハム……モグモグ
幼馴染「うん、美味しい」
117: 2012/11/09(金) 18:17:18 ID:gdmYD3U.
コポポポ……
男「ほら、コーヒー」
幼馴染「うん」 ズズッ
幼馴染「ふう……」
男「さて、俺も食うかな」 ストン(着席)
幼馴染「…………」
幼馴染「…………男」
男「ん?」 モグモグ
幼馴染「昨日は……その、ごめん」
男「……いや、悪いのは俺の方だし、ちゃんと食事用意してくれたし」
幼馴染「…………」
118: 2012/11/09(金) 18:18:03 ID:gdmYD3U.
男「少しは点数稼ぎしたいし」
幼馴染「それが本音ですか」
男「まあ、冗談はそのくらいにして……」
男「昨日は本当に悪かったよ。 反省した」
男「許してくれるか?」
幼馴染「…………」
幼馴染「ま、そんなに怒ってたわけじゃないし」
幼馴染「いいよ、男」 クスッ
男「ハハハ……」
幼馴染「でもピーマンは、食べれる様になってね?」
男「…………善処します」
―――――――――――
119: 2012/11/09(金) 18:18:36 ID:gdmYD3U.
幼馴染「じゃ、先に行くね?」
男「ああ。 行ってらっしゃい」
幼馴染「行って来まーす!」
パタン
男「…………」
男「さて、洗い物を片付けて、俺も行きますか!」
男「…………」
男(ヤンデレ症候群……)
男(今は……大丈夫なのかな……?)
男(…………)
120: 2012/11/09(金) 18:19:32 ID:gdmYD3U.
~学校~
男「おはよう、友」
友「おう! 来たか、男!」
男「……機嫌良さそうだな」
友「ニシシシ……昨日はお前に圧勝したからな♪」
友「気持ちよく起きれたぜ!」
男「さいですか……」
友「今日もどうだ? 男? リターンマッチするか?」
男「いや……遠慮しとくよ」
友「んだよ、連れねーな」
男「俺は寝覚めが悪かったんでね」
121: 2012/11/09(金) 18:20:28 ID:gdmYD3U.
女「おはよう、男くん、友くん」
男「ああ、おはよう、おん……!?」
友「え!? ちょっと女ちゃん、どうしたんだよ! その右腕!?」
女「エへへ……転んだ拍子に捻っちゃった」
男「そうか……災難だったね……」
友「つーか、利き腕はやべえなぁ……」
女「うん……まあでも、ただの捻挫だからすぐ治ると思うし」
男「何か困った事があれば言ってくれ。 手伝うから」
友「俺も及ばずながら、手伝うぜ?」
女「ありがとう……男くん、友くん」
女「その時は、頼りにさせてもらうわ」 ニコ
122: 2012/11/09(金) 18:21:12 ID:gdmYD3U.
キーン コーン カーン コーン
友「やっと昼だ……」
友「おめーはいいよなぁ……毎日、幼馴染ちゃんの愛妻弁当、食えるんだもの」
男「今日は俺が作ったけどな」
友「へえ? お前、料理なんてできるの?」
男「たしなむ程度には」
友「でも、食ってみたいとは思わない不思議」
男「……なんか地味に腹立つな」
友「じゃあお前、俺の作った料理、食ってみたいと思う?」
男「微塵も思わねえ」
友「……言われると腹立つな」
男「だろ」
123: 2012/11/09(金) 18:21:52 ID:gdmYD3U.
幼馴染「男~」
男「おう、幼馴染」
男「じゃ、行くか」
幼馴染「うん!」
タッ タッ タッ…
友「…………けっ」
友「さぁーて……購買にでも行きますか」
ピピピッ……ピピピッ……
友「…………」 ガチャ
友「……ああ、わかってる」
友「お前こそしくじんなよ?」 ピッ…
友「…………」
124: 2012/11/09(金) 18:22:37 ID:gdmYD3U.
ハム……モグモグ……
幼馴染「うん、美味しい!」
男「……正直、幼馴染には負けてるな」
幼馴染「そお? 十分、美味しいけど」
男「多分あれだ、フタを開ける楽しみが無いからだ」
幼馴染「フタを開ける楽しみ?」
男「自分が作ってると、中身が何か、わかってるからな……」
幼馴染「ああ……そういう事」
幼馴染「私は、そういうのあんまり気にしないけど……」
幼馴染「誰かにお弁当を作ってもらえるのって嬉しいし」
幼馴染「自分が作ったお弁当を『美味しい』って言って食べてもらえるのも嬉しい」 ニコ
125: 2012/11/09(金) 18:23:23 ID:gdmYD3U.
男「幼馴染らしいな」 クス
幼馴染「それって褒めてるの?」
男「もちろん」
幼馴染「…………」
幼馴染「……明日、休みだね」
男「週末だもんな」
幼馴染「よ、良かったら、さ……」
幼馴染「どこか行かない?」 ///
男「遊園地とか?」
幼馴染「うん。 そういうのでもいいし、公園を散歩、とかでもいい」 ///
幼馴染「男と付き合って初めて……二人きりで、どこかに行きたいの」 ///
男「幼馴染……」 ///
126: 2012/11/09(金) 18:24:35 ID:gdmYD3U.
男「そういう事なら、何か考えてみるかな」
幼馴染「うん!」 ///
男「でも、家でも二人っきりだけど……?」
幼馴染「……!」 ///
幼馴染「お、男のえっち!」
男「なんでそうなる……あ」
男「……悪ぃ」 ///
幼馴染「…………」 ///
幼馴染(でも……男が、それを望むなら……) ///
幼馴染(私……) ///
―――――――――――
127: 2012/11/09(金) 18:25:19 ID:gdmYD3U.
キーン コーン カーン コーン
男「さーて、今日も終わった。 帰るか……」
女「男くん、友くん」
男・友「ん?」
女「あの……突然なんだけど、ちょっと付き合ってもらえないかな?」
男「これから? ……どうしたの?」
女「実は……お母さんに買い物を頼まれたんだけど」
女「私、ついうっかり怪我してるのを忘れて、受けちゃたの……」
友「ありゃりゃ……今からでも断れねーの?」
女「それが……お母さん、携帯の電源切ってるみたいで……」
友「そっか……うーん、間が悪いなぁ……」
男「ん? 間が悪い?」
128: 2012/11/09(金) 18:26:22 ID:gdmYD3U.
友「それがよ、学年主任に放課後、呼び出されてるんだわ」
男「お前、何やらかしたんだよ?」
友「俺が幽霊の部活顧問なんだわ」
友「部室の整理するから顔出せって……バックレたら担任にある事無い事ぶちまけるってよ」
男「……それもどうかと思うけど、お前も悪いな」
友「そんなわけで、俺、参加できない。 ……ごめん、女ちゃん」
女「ううん……私の方こそ、無理を言ってるんだから……気にしないで?」
友「じゃ、行ってくるわ」
テク テク テク…
男「…………」
女「…………」
129: 2012/11/09(金) 18:27:24 ID:gdmYD3U.
男「……えと、じゃあ行きますか?」
女「ごめんね、男くん……」
男「いいさ。 役に立てるならこっちも嬉しい」 ニコ
女「ありがとう」 ニコ
女「じゃあ、この前のスーパーに行きましょう?」
男「ああ」
―――――――――――
130: 2012/11/09(金) 18:28:44 ID:gdmYD3U.
幼馴染「お疲れ様でしたー」
オツカレー
幼馴染「ふう……」
テク テク テク
?「あれ? 幼馴染ちゃん?」
幼馴染「えっ?」
友「や!」
幼馴染「えっと……友くん?」
幼馴染「どうしたの? 部活、してたっけ?」
友「いやぁ……それがさぁ……」
―――――――――――
131: 2012/11/09(金) 18:29:35 ID:gdmYD3U.
幼馴染「それは友くんが悪いと思うな」
友「面目ありません……」
幼馴染「ふふ、ちゃんと部活は、やっておいた方がいいよ?」
友「ハハハ……」
友「ところで……、一緒に帰らない?」
幼馴染「えっ?」
友「だ、だめ、かな?」
幼馴染「…………」
幼馴染「……いいけど」
友「あ、ありがとう! 幼馴染ちゃん!」
132: 2012/11/09(金) 18:30:12 ID:gdmYD3U.
友「へえ、これから買い出しか」
幼馴染「うん」
幼馴染「だって男に頼むと、ピーマン買って来ないし」
友「……男、嫌いなんだし、いいんじゃない?」
幼馴染「私が好きなんだもん」
友(ちょっと同情するわ……男)
幼馴染「ところで友くんは、道、いいの?」
友「幼馴染ちゃんさえ良ければ、家まで送るよ?」
幼馴染「え、えっと……さすがに遠慮しとく」
友「ハハハ……」
133: 2012/11/09(金) 18:31:10 ID:gdmYD3U.
幼馴染「さて、スーパーに到着!」
友「俺も手伝おうか?」
幼馴染「え? ううん、いいよ、そんなに大した荷物じゃないし」
友「そっか……じゃあ、俺はここで」
友「またね、幼馴染ちゃん!」
幼馴染「うん、またね! 友くん」
タッ タッ タッ…
幼馴染(さぁーて、今日のメニューは何にしよう?)
幼馴染(野菜炒めかな……それとも……)
幼馴染「」
幼馴染(男……それに女さん!?)
134: 2012/11/09(金) 18:32:27 ID:gdmYD3U.
幼馴染(……何……してるの?)
幼馴染(あ……女さん、腕に包帯巻いてる)
幼馴染(…………)
幼馴染(きっと……頼まれたんだわ)
幼馴染(買い物を手伝ってって……)
幼馴染(…………)
幼馴染(…………でも)
幼馴染(何か……嫌!) ダッ!
タッ タッ タッ…
友「…………」
135: 2012/11/09(金) 18:33:30 ID:gdmYD3U.
友(…………さぁーて)
友(どうする? 男……)
友(幼馴染ちゃんをヤンデレ症候群と知ってるお前が)
友(今日の出来事を正直に話せるかな?)
友(見ものだな……クックックッ……)
友(…………)
―――――――――――
136: 2012/11/09(金) 18:34:14 ID:gdmYD3U.
男「ただいまー」
幼馴染「……お帰り、男」
幼馴染「遅かったね」
男「ああ……また友に誘われてゲーセンに行って来た」
幼馴染「…………」
幼馴染「……そう」
男「…………幼馴染?」
幼馴染「何でも無い」
幼馴染「御飯、出来てるから」
男「あ、ああ……」
男(……?)
137: 2012/11/09(金) 18:34:55 ID:gdmYD3U.
男「ごちそうさま」
幼馴染「ごちそうさま」
カチャ カチャ…
男「あ、洗い物は……」
幼馴染「いい。 私、やるから」
男「…………」
男「……どうしたんだ? 幼馴染……」
男「俺、何かしたか?」
幼馴染「…………別に」
男「…………」
男「……そうか。 じゃ、俺、風呂入ってもう休むわ。 お休み、幼馴染」
幼馴染「……お休み」
138: 2012/11/09(金) 18:35:43 ID:gdmYD3U.
男「…………」
男(……まさか)
男(今日の事、知ってる?)
男(…………)
男(……だとしたら、マズかった?)
男(…………)
男(だけど……)
男(ヤンデレ症候群を悪化させるわけにもいかないし……)
男(…………)
男(…………)
男(…………くそ、どうすりゃ良かったんだよ……!)
139: 2012/11/09(金) 18:36:24 ID:gdmYD3U.
幼馴染(…………)
幼馴染(…………)
幼馴染(……どうして)
幼馴染(こんなにショックなんだろう?)
幼馴染(…………)
幼馴染(そうだよ)
幼馴染(嘘付かれたのが……嫌だったんだ)
幼馴染(…………)
幼馴染(…………)
幼馴染(…………男) ジワッ…
140: 2012/11/09(金) 18:37:08 ID:gdmYD3U.
~翌日~ ~休日の朝~
チュン…… チュンチュン
男「……ふあ」
男「おはよう、幼馴染……」
男「……うん?」
幼馴染「…………」
男「どうしたんだ? 幼馴染……」
男「こんな早くに、すっかり着替えて?」
幼馴染「…………」
男「ああ、あれか。 二人でどっかに行こうって……」
幼馴染「男」
141: 2012/11/09(金) 18:37:46 ID:gdmYD3U.
男「ん?」
幼馴染「私……自分の家に戻る」
男「…………」
男「は?」
幼馴染「もうすぐ試験だし……勉強しないと」
男「え? は? いえ?」
幼馴染「男なら、ご飯くらいどうとでも出来るでしょ?」
幼馴染「じゃ、もう行くから……」
男「…………」
キィ……パタン……
男「…………」
男「……え? え?」
142: 2012/11/09(金) 18:38:55 ID:gdmYD3U.
――しばらく俺は――
――何が起こったのか、理解できないでいた――
145: 2012/11/20(火) 09:29:04 ID:MFlSqfYE
―――――――――――
男「…………」つ(カップ麺)
男「…………」 ペリペリペリ…
男「…………」 ズズッ……
男「…………」
男(……結局、幼馴染とまともに話せずじまい)
男(虚しく夕食をひとり、カップ麺すする事に……)
男(…………) ズズッ……
男(…………)
男(…………) ハア……
146: 2012/11/20(火) 09:29:51 ID:MFlSqfYE
ピピピ……ピピピ……
男(幼馴染!?) バッ!
男(…………友か) ピッ
男「……もしもし」
友『いよー! 絶賛彼女募集中の』
ブッ
男「…………」
ピピピ……ピピピ……
男「…………」 ピッ
友『酷ぇーじゃねーかよ! 男! いきなり切るなんて!』
147: 2012/11/20(火) 09:31:22 ID:MFlSqfYE
男「……悪いけど、今、すげぇ機嫌が悪いんだ」
友『……んだよ? 幼馴染ちゃんとケンカでもしたのか?』
男「…………」
友『もしかして図星?』
男「用がないのなら切っていいか?」
友『わー! ちょい待ち!』
友『ま、まあそういう事とは露知らず……メシでも食いに行かね?』
男「唐突だな……けどパス。 今、カップ麺食ってるところだ」
友『そ、そうか……』
友『……なんつーか変な話だけど、元気出せよ、男』
男「……言われるまでもねーよ」
友『そっか……じゃあな』
ブッ……ツー、ツー
148: 2012/11/20(火) 09:32:18 ID:MFlSqfYE
男「…………」
男「あいつ……何しに……」
男「…………」
男「まあ……普段から下らない事で、よくかけてくる奴だったな」
―――――――――――
友「…………」
友「へへ……どうやら相当、落ち込んでるみたいだな」
友「ま……お前のせいじゃ無いけど……」
友「…………」
友「悪く思うなよ、男」
149: 2012/11/20(火) 09:33:11 ID:MFlSqfYE
―――――――――――
男「ふあ……」
男「朝……か」
男「…………」
男(やべぇ……何もやる気が起きねぇ……)
男「…………」
男「……しっかりしろ、男」
男「別に死に別れたわけじゃないだろ……」
男「すぐ隣の家に居るじゃないか、幼馴染は」
男「…………」
男「……ハア」
150: 2012/11/20(火) 09:34:04 ID:MFlSqfYE
男(休日二日目……)
男(何すっかな)
男(…………)
男(試験勉強でもするか)
ピピピ……ピピピ……
男(また友か?)
男(……ん? 女ちゃん?)
男(珍しいな……) ピッ
男「もしもし」
女『あ、男くん?』
151: 2012/11/20(火) 09:35:22 ID:MFlSqfYE
男「どうしたの? 女ちゃん。 珍しいね?」
女『えっ? これまでも何回か、かけていたんだけど……』
女『履歴……残ってない?』
男「……あ~、ごめん。 そういやそうだった……」
女『もう……酷いな、男くん』
男「で? 何か用なの?」
女『この間はありがとう。 すごく助かったわ』
男「なんでもないよ、あれくらい……」
女『でね、そのお礼……したいな、って思って』
男「えっ!? い、いや、いいよ、そんな……」
女『ああ、そんな大層なモノじゃないの。 友くんや幼馴染さんなんかも誘って』
女『私の家で、一緒にお昼でもどうかな?ってだけだから……』
男「そ、そうなんだ……」
152: 2012/11/20(火) 09:36:34 ID:MFlSqfYE
男「えと……幼馴染の都合を聞いてからでいい?」
女『ええ、もちろん!』
男「じゃ、また後でかけるから……」
女『うん、待ってるね』
ブッ……ツー ツー
男「…………」
男(とは言うものの……)
男(幼馴染……出てくれるかな……)
―――――――――――
153: 2012/11/20(火) 09:37:23 ID:MFlSqfYE
幼馴染(…………)
幼馴染(ハア……)
幼馴染(何もやる気しない……)
幼馴染(…………)
幼馴染(男……今、何してるのかな?)
幼馴染(…………)
幼馴染(……結局)
幼馴染(男の事ばかり考えてる……)
幼馴染(…………)
幼馴染(…………)
幼馴染(男……どうして嘘ついたの……?)
幼馴染(…………)
154: 2012/11/20(火) 09:38:20 ID:MFlSqfYE
プルルル……プルルル……
幼馴染「……あ」
幼馴染「男だ……」
幼馴染「…………」
幼馴染「…………」 ピッ
幼馴染「……もしもし」
男『……! 幼馴染!』
男『良かった……出てくれたか』
幼馴染「…………」
幼馴染(男の声……久しぶりに聞いた気がする)
幼馴染(…………っ) ジワッ…
幼馴染(嬉しい……嬉しいよ……)
155: 2012/11/20(火) 09:39:37 ID:MFlSqfYE
男『……幼馴染、元気か?』
幼馴染「……うん」
男『そっか……なんて言うか……久しぶりにお前の声聞けて、嬉しいよ』
幼馴染「男……」
幼馴染「……わ、わた」
男『それでさ、ちょっと話があるんだけど……』
幼馴染「う、うん……」
男『……まず、先に謝っておく。 ごめん、幼馴染』
幼馴染「え……」
男『俺……嘘ついてた』
幼馴染「!」
156: 2012/11/20(火) 09:40:52 ID:MFlSqfYE
男『一昨日、遅くなったのは友とゲーセンに行ったからじゃない』
男『実は……怪我をした女ちゃんの買い物を手伝ってたんだ……』
幼馴染「…………」
幼馴染「うん……知ってた」
男『……え!?』
幼馴染「あの日、偶然友くんと帰る事になってね」
男『げ……』
幼馴染「私も買い物にスーパーに寄ったんだ」
幼馴染「そしたら……」
男『…………なんか、もう、ホントに、ごめん……』
幼馴染「ふんだ。 私、嘘つかれて、すっごく傷ついたんだからね?」
男『いや、もう、ホントにすみません……』
157: 2012/11/20(火) 09:42:03 ID:MFlSqfYE
幼馴染「いいわ……正直に話して、謝ってくれたから許してあげる」
幼馴染「……でも、もう嘘つかないでよね?」
男『あ、ああ……』
幼馴染「ふふ……。 で? 用って何?」
男『それが……その、女ちゃんがその時のお礼がてらに、友や幼馴染も呼んで』
男『一緒にご飯食べないか?って……』
幼馴染「……!」
男『もちろん、幼馴染が嫌なら、俺も断るつもりだ』
男(……クラスじゃちょっと気まずくなるだろうけど)
幼馴染「…………」
幼馴染「ううん、私、行くわ」
男『え』
158: 2012/11/20(火) 09:43:13 ID:MFlSqfYE
男『いいのか?』
幼馴染「なによ~? 私がそんなに心の狭い人間だと思うの?」
男『いやいやいや! そんな事は!』
幼馴染「じゃあ決まり! ふふふ~どんなご飯か、楽しみ!」
男『そ、そうか……』
男『じゃあ、準備が出来たら、俺の家まで来てくれ』
男『女ちゃんの家に一緒に行こう』
幼馴染「うん!」
男『じゃ、また後で』
幼馴染「また後でね!」 ピッ
ツー……ツー……
159: 2012/11/20(火) 09:43:58 ID:MFlSqfYE
幼馴染「…………」
幼馴染「女さんか……」
幼馴染(…………)
幼馴染(女さん、男の事、好きだよね……)
幼馴染(あの時のあなたの目は……絶対、私に対する『挑戦状』だった)
幼馴染(…………)
幼馴染(いいじゃない……受けて立つわ、その戦い)
幼馴染(たぶん、この食事もその一環……)
幼馴染(どんな考えがあるのか、わからないけど)
幼馴染(あえて、その誘いに乗ってあげる……!)
幼馴染(絶対に、負けないんだから!) グッ…!
―――――――――――
160: 2012/11/20(火) 09:44:44 ID:MFlSqfYE
男「…………」
男(幼馴染……俺に嘘をつかれて、怒って)
男(……いや)
男(信頼を裏切られて、ショックだったんだな……)
男(…………)
男(…………けど)
男(ヤンデレ症候群……)
――治す手立ては……ありません――
男(……っ) ゾクッ…
男(…………)
161: 2012/11/20(火) 09:45:58 ID:MFlSqfYE
男(……迷うな、俺)
男(何があっても……たとえ幼馴染に殺される事になろうとも)
男(それを受け入れるって、覚悟を決めたじゃないか)
男(…………)
男(…………)
男「ふう……」
男「さて、女ちゃんに電話を入れておくか……」
―――――――――――
162: 2012/11/20(火) 09:46:57 ID:MFlSqfYE
タッ タッ タッ
幼馴染「男、お待たせ!」
男「お、来たか。 幼馴染」
幼馴染「…………」
男「…………」
幼馴染・男(久しぶりに顔が見れた……) ///
男「じゃ、じゃあ、行こうか?」 ///
幼馴染「う、うん!」 ///
テク テク テク
幼馴染「ところで、女さんの家って?」
男「意外と近い。 歩いて10分くらい」
男「考えてみれば俺達のよく行くスーパーで買い物してるって言ってたし……」
幼馴染「知らない内に、顔を合わせてるかもしれないね」
男「そうだな」
163: 2012/11/20(火) 09:47:59 ID:MFlSqfYE
ピンポーン
インターホン『はい?』
男「あ、えと……男です」
インターホン『ああ、男くんね? ちょっと待ってて……』 ブッ…
幼馴染「……結構大きなお家だね」
男「……庭が広いな」
ガチャ
女「お待たせ、男くん、幼馴染さん」 ニコ
女「どうぞ、入って?」
男・幼馴染「お邪魔します」
164: 2012/11/20(火) 09:49:04 ID:MFlSqfYE
友「よう! 男、幼馴染ちゃん!」
男「おう。 友」
幼馴染「こんにちは、友くん」
友(……男の奴。 もう幼馴染ちゃんと仲直りしたのか……)
女「さて、みんな揃った事だし、始めるね?」
男「おー……天ぷらだ」
幼馴染「豪勢ね~」
友「超美味そう~」
女「ちょっとお昼には重いかもしれないけど、揚げたてをご馳走したくて」
女「どうかな?」
165: 2012/11/20(火) 09:50:11 ID:MFlSqfYE
男「うん、全然オッケーだよ。 好物だし」
幼馴染「私も!」
友「俺も!」
女「うふふ、良かった。 じゃ、まず何から行く?」
女「私、どんどん揚げていくから」
男「俺、エビ!」
幼馴染「私、ピーマン!」
友「お、幼馴染ちゃん? ピーマンは無さそうだけど?」
幼馴染「え~?」
女「ご、ごめんなさい、女さん。 ピーマンは無いわ……」
男「いや、女ちゃん、気にしないで。 ふつー天ぷらにピーマンは無いよ」
幼馴染「ぶー……じゃあ、獅子唐!」
友(どんだけピーマン好きなんだよ……)
166: 2012/11/20(火) 09:50:59 ID:MFlSqfYE
女「あ、そうだ」
女「言い忘れてたけど、そこにいくつかの天つゆを用意しておいたから」
女「自分の好みに合わせて使ってね?」
男「ああ、わかった」
幼馴染「醤油ベースとゴマだし……へえ、こんなのもあるんだ」
友「おっ! このゴマだしのやつ、結構いける!」
ワイノ ワイノ
男「ウ○ターソースはある?」
女「もちろん。 はい、どうぞ」
友「おっさんくせーな、男」
男「うるせー、好きなんだからいいだろ」
167: 2012/11/20(火) 09:51:55 ID:MFlSqfYE
幼馴染「友くんはそれ、何つけて食べてるの?」
友「シンプル イズ ベストに、塩」
男「おめーの方が、おっさんくせーじゃねーかよ」
友「うるせー、ツウって言え。 ツウって」
幼馴染「アハハ」
ワイノ ワイノ
男「そろそろ交代しようか? 女ちゃん」
女「え? いいよ、私は後で……」
友「遠慮すんなよ、女ちゃん。 こういうのは、みんなで食べるから美味いんだぜ?」
女「でも……」
幼馴染「いいからいいから。 私も手伝うよ、男」
男「おう、すまんな、幼馴染」
女「じゃあ、お願いするね?」
168: 2012/11/20(火) 09:54:06 ID:MFlSqfYE
ワイノ ワイノ
女「うん! 美味しい!」
女「男くん、天ぷら揚げるの上手ね!」
男「そう? 結構適当だけど」
友「どれどれ……」 パク
友「お! ホントだ、美味しく揚がってる」
幼馴染「でしょ? 以外に料理上手いの、男」
男「以外は余計だ」
女「ふふふ、好感度上がっちゃうな」
友「……俺も料理、覚えようかな」
ワイノ ワイノ
友「ふい~……食った食った」
男「美味かったな」
幼馴染「でも揚げたてで、アツアツだったから口の中、火傷だらけ……」
女「ちょっと痛いね……美味しかったけど」 クスッ
169: 2012/11/20(火) 09:55:26 ID:MFlSqfYE
幼馴染「あ、女さん。 その、お手洗いを貸してもらえる?」
女「ええ。 そこを出て……あ、いいわ、私が案内するから」
幼馴染「え? 場所さえ教えてくれたら……」
女「いいから。 ついて来て?」
幼馴染「うん」
テク テク テク
男「あーねみー」
友「至福の時だなー」
―――――――――――
170: 2012/11/20(火) 09:57:03 ID:MFlSqfYE
女「はい、ここよ」
幼馴染「ありがとう、女さん」
ガチャ……キィ……パタン
幼馴染「ふう……」
※注 ドア越しです
女「…………」
女「…………」
女「ねえ、幼馴染さん」
幼馴染「ふいえ!? ……な、何、かな? 女さん」 ///
女「あなたは」
女「男くんと……」
女「キスした事……ある?」
171: 2012/11/20(火) 09:58:24 ID:MFlSqfYE
幼馴染「!?」
女「…………」
女「ふふふ……」
女「私は、あるんだ……」
女「男くんと、キスした事」
幼馴染「!!?」 ビクン
女「保健室でね……」
女「男くんの唇、意外と柔らかいのよ?」
女「ふふふ……」 スタ スタ スタ…
幼馴染「…………」
172: 2012/11/20(火) 09:59:38 ID:MFlSqfYE
―――――――――――
男「お、帰ってきたか、幼馴染」
幼馴染「……うん」
男「……?」
女「…………」
友「…………」
男「ええと、それじゃあそろそろ、片付けをしますか?」
女「あ、いいよ、男くん。 みんなは今日のゲストなんだし」
女「私がやるから」 ニコ
男「でも……」
友「そうだぜ、女ちゃん? ご馳走になってばかりじゃ気が引けるってもんさ」
女「そう?」
173: 2012/11/20(火) 10:00:52 ID:MFlSqfYE
女「じゃあ……友くんだけ手伝ってくれる?」
男「え? なんで?」
女「なんだか、幼馴染さんの調子が悪そうだし……彼女に付き添ってあげて?」
幼馴染「!?」
男「……そうなのか? 幼馴染?」
幼馴染「え? あ……その……」 オロオロ…
男「……確かに、調子は悪そうだな」
友「俺の事は気にすんな。 この前は俺、女ちゃんの事、手伝ってやれなかったし」
男「じゃあ悪いけど……お言葉に甘えさせてもらうよ、女ちゃん、友」
女「うん! また学校でね、男くん」
友「またなー」
テク テク テク…
174: 2012/11/20(火) 10:01:47 ID:MFlSqfYE
友「…………」
女「…………」
友「上手くやったか?」
女「多分ね」
友「ククク……さぁて、どうしますかね? お優しい男くん?」
女「…………」
―――――――――――
男「大丈夫か? 幼馴染?」
幼馴染「うん……大丈夫、男」
男「なら、いいけど……」
テク テク テク…
175: 2012/11/20(火) 10:03:00 ID:MFlSqfYE
幼馴染「…………」
幼馴染「ねえ、男……」
男「うん?」
幼馴染「私……男の家に戻ってもいい?」
男「…………」
男「ああ、いいぜ?」 ニコ
幼馴染「ありがとう、男」 ホッ…
男「正直……ひとり寂しく食べるカップ麺は、美味くない」
幼馴染「私も久しぶりに両親と食べたんだけど……何故か違和感を感じちゃって……」
男「…………」
幼馴染「…………」
アハハハ……
176: 2012/11/20(火) 10:03:43 ID:MFlSqfYE
幼馴染「晩御飯、何にする?」
男「……今は何も思いつかないな」 ウプ…
幼馴染「軽いもの……あっさりした物がいいかな?」
男「あ~……確かにそうだな」
幼馴染「お茶漬けとか?」
男「いいね」
男「沢庵とか、漬物で食いたいかも」
幼馴染「じゃあ、それにしましょ♪」
アハハハ……
幼馴染(…………)
177: 2012/11/20(火) 10:04:40 ID:MFlSqfYE
―――――――――――
幼馴染「ごちそうさま」
男「ごちそうさま」
カチャ カチャ…
幼馴染「あ、洗い物しておくから、お先にお風呂どうぞ」
男「ん? じゃあ、お先に」
幼馴染「うん」
ザザーン……
男「ふうー……。 いい湯だ」
幼馴染『男~』
男「……!? え!? な、何!?」 ///
178: 2012/11/20(火) 10:05:42 ID:MFlSqfYE
幼馴染『……石鹸、まだある?』
男「お? ……ああ、まだあるぞ」
幼馴染『そう。 ごめん、それだけだから』
男「お、おう……」
男「…………」
男「……びっくりした」
男(まあ……ちょっと妄想するなら)
男(お背中流しますか~? なんて……) ///
男(ぬっふっふっ……) ///
―――――――――――
179: 2012/11/20(火) 10:06:41 ID:MFlSqfYE
男「幼馴染~。 風呂、空いたぞ」
幼馴染「あ、うん。 ありがと」
幼馴染「じゃ、入ってくるね」 ニコ
男「おー」
トトトトト…
男「…………」
男「さて、後は寝るだけだな……」
男(…………)
男(今日は何事もなく、平穏に終わった……)
男(明日もこうだったらいいんだけど)
男(……ま、それは神知るかな)
テク テク テク……
―――――――――――
180: 2012/11/20(火) 10:08:01 ID:MFlSqfYE
男「……さぁーて、そろそろ眠るとしますか」
男「…………」 ゴソゴソ……
コン コン
幼馴染『……男』
男「ん? どうした? 幼馴染?」
ガチャ……キィ……
幼馴染「…………」
男「…………」
男「…………?」
男「どうした? 幼馴染?」
181: 2012/11/20(火) 10:09:33 ID:MFlSqfYE
……幼馴染は、何も言わず俺の部屋に入ると、そのまま俺のベッドに入り込んだ。
男「」
幼馴染「…………」 ///
男「……お、幼馴染、さん?」 ///
幼馴染「…………」 ///
風呂上がりのパジャマ姿……幼馴染から石鹸とシャンプーの香りがただよってくる……。
俺の心臓が、動きを早めていく……。
そして、彼女は、目を伏せながら、信じられない一言を言い放った。
幼馴染「…………」 ///
幼馴染「……男」 ///
182: 2012/11/20(火) 10:10:52 ID:MFlSqfYE
幼馴染「私を……男のモノにして――」 ///
186: 2012/11/28(水) 17:27:02 ID:jVu2WPhw
―――――――――――
顔が熱い……胸の鼓動が、収まらない……。
私…………大きな決断をした。
保健室での出来事を確かめるよりも……
女さんが、これ以上男に何かをする前に行動をしたかった。
ただ……それだけだった。
187: 2012/11/28(水) 17:28:12 ID:jVu2WPhw
………………………………。
本当はこんな事……望んでいない。
もっと、ゆっくりと、お互いの気持ちを確かめて、感じて……
それからにしたかった……。
……怖い。 心の準備も出来ないまま……私は、ここに居る。
何をするのか、どういう事なのかは、頭でわかってるのに……
男の事、好きなのに。 怖くて怖くて……仕方なかった……。
188: 2012/11/28(水) 17:28:58 ID:jVu2WPhw
男「…………」 ///
男(……?)
男(幼馴染……震えてる?)
……何が、幼馴染にこれをさせたのか……わからない。
けど……
男「……幼馴染」
幼馴染「!」 ビクッ!
男「いったい、どうしたんだ?」
幼馴染「…………」
男「……おさな」 ハッ!?
189: 2012/11/28(水) 17:29:55 ID:jVu2WPhw
――具体的な症状は?――
――恋心や行為を抱いてる人に対し、異常なまでの束縛――
――独占欲や露骨な愛情表現――
男(…………っ)
男(……やばい)
男(もう……相当に症状が悪化してるのか?)
幼馴染「…………」
男(…………) ゾクリ…
男(どうする?)
男(どうしたら……幼馴染を止められる!?)
男(どうしたら……!)
190: 2012/11/28(水) 17:30:48 ID:jVu2WPhw
男(…………)
男(…………仮に)
男(このまま幼馴染を受け入れたら、どうなる?)
男(…………)
男(それは、俺への依存度を高める行為に他ならない)
男(……つまり、病気を進行させ)
男(嫉妬に狂った幼馴染が……誰かを……襲う可能性を)
男(高める、という事……!)
幼馴染「…………」
191: 2012/11/28(水) 17:31:34 ID:jVu2WPhw
男(…………)
男(…………)
男(…………なんて事だ)
男(俺は……今の今まで……幼馴染が)
男(ヤンデレ症候群じゃないって……思い込もうとしていたんだ)
男(だからこそ……)
男(一番、病気を進行させない方法を)
男(意識的に避けてきた……)
男(…………)
男(…………)
男「幼馴染……」
幼馴染「…………」
192: 2012/11/28(水) 17:32:14 ID:jVu2WPhw
男「もう……やめよう?」
幼馴染「……!!」
男「……その、気持ちは嬉しい」
男「でも……こんなのは、不自然だ」
幼馴染「…………」
男「だから……な?」
ダッ!!
男「あっ!!」
男「…………」
男「…………」
194: 2012/11/28(水) 17:34:42 ID:jVu2WPhw
翌日の朝、俺は朝寝坊した。
幼馴染が起こしに来なかったからだ。
195: 2012/11/28(水) 17:35:43 ID:jVu2WPhw
そして、幼馴染は、もう居なかった。
学校に行ったから、じゃない。 彼女の持ち物も全部無くなっていた。
それは……もうここに、俺の家に戻る気が無い、と、いう事なのだろう。
もちろん、昼に幼馴染が来る事も無くなった。
……珍しく、友が何かを察して、それをツッこむ事は無かったが
逆にそれが辛くもあった……。
196: 2012/11/28(水) 17:37:21 ID:jVu2WPhw
幸い、と言うか、すぐ試験期間に突入したので学校は昼で終わり。
正直、助かっていた。 ……幼馴染に遭遇する確率が少なくて済むからだ。
クラスが違うから、と言っても偶然には会ってしまう。
その時の幼馴染は……俺が嘘を着いた時と同じように
……いや、それ以上に、俺に失望した、という様な表情を見せた。
でも……これで良かったのかもしれない。
幼馴染が俺と仲良くなればなる程、彼女は……誰かを傷つける可能性が高まるのだから……。
そして……試験期間は終わり、試験休みに入った。
試験結果は……当然の事ながら、あまり期待できそうになかった。
197: 2012/11/28(水) 17:38:00 ID:jVu2WPhw
―――――――――――
男「…………」
ゴウン ゴウン
男(はあ……)
男(……今夜、何を食うかな)
男(…………)
ピー、ピー、ピー
男「お……洗濯、終わったか」
男「……よいしょっと」
カタン……スッ、スッ……
男(…………)
198: 2012/11/28(水) 17:38:54 ID:jVu2WPhw
男(……すぐそこに幼馴染の家が見えるのにな)
男(目に見えない、分厚い壁がある様に思える……)
男(…………) パンパンッ
男(今日はいい天気だな……)
男(…………) スッ スッ
男(…………) パンパンッ
―――――――――――
男「…………」つ(コンビニ弁当)
男「いただきます」
男「…………」 モグモグ
男「…………」 モグモグ
男「……ごちそうさま」
199: 2012/11/28(水) 17:39:33 ID:jVu2WPhw
男「はあ……」 ゴロン
男「…………」
男「…………」
男(幼馴染……何してるかな……)
――私を……男のモノにして――
男「…………」
男「…………はあ」
男「あ、やべ。 風呂沸かしてなかった!」 ガバッ
200: 2012/11/28(水) 17:40:17 ID:jVu2WPhw
―――――――――――
幼馴染「…………」
幼馴染(……男、何してるかな?)
幼馴染(…………)
幼馴染(ちゃんと、食べてるかな……)
幼馴染(…………)
――もう……やめよう?――
幼馴染(…………)
幼馴染(…………男)
幼馴染(冷静だったな……)
幼馴染(…………)
201: 2012/11/28(水) 17:41:12 ID:jVu2WPhw
幼馴染(…………)
幼馴染(……やっぱり小さい頃から一緒だと)
幼馴染(異性として見てもらえないのかな……)
幼馴染(…………)
幼馴染(…………) グスッ…
幼馴染「うっ………ヒクッ………うっ…うっ…」 ポロッ…
幼馴染「……ううっ………ぐっ………うっくっ……」 ポロッ…
幼馴染「私……頑張ったのに…………怖くて……も……」 ポロポロ…
幼馴染「……男な、らって、……私…………私……わ、たし……」 ポロポロ…
幼馴染「迷、惑だ……った?……魅力が……無か、った?……」 ポロポロ…
幼馴染「うあああっ……あっ……あっ……うっうっ……」 ポロポロ…
―――――――――――
202: 2012/11/28(水) 17:41:49 ID:jVu2WPhw
~翌日~ ~休日の朝~
チュン…… チュンチュン
男「ふあああああっ……」
男「…………」 ポリポリ…
男「試験休みは明日でおしまい、か……」
男「……よっと」 スクッ
男「…………」
男「朝飯食ったら……どこかプラプラしますか」
男「…………」
男「とりあえず顔洗おう……」
スタ スタ スタ…
203: 2012/11/28(水) 17:42:29 ID:jVu2WPhw
男「ごちそうさま、と……」
男「さて、着替えますか」
男「…………」 サッ サッ
男「…………」
男「駅前いって……本屋行って……」
男「そうだ、久しぶりにゲームショップも覗いてみよう……」
男(……なんか、独り言が多くなったな……) ハア…
ガチャ……キィ……パタン カチリ☆
男「…………」 (幼馴染の家を)チラ
男「…………」
テク テク テク…
204: 2012/11/28(水) 17:43:16 ID:jVu2WPhw
~学校~
幼馴染「ふう……」
?「いよっ! 幼馴染ちゃん!」
幼馴染「……? 友くん」
友「今、部活?」
幼馴染「……ついさっき終わった」
友「そう。 じゃあさ、昼……、一緒しない?」
幼馴染「え……」
友「嫌ならいいけど……最近、男と何かあったんだろ?」
友「男の奴……元気ねーし。 話してくれねーし。 俺で良かったら、相談に乗るぜ?」
幼馴染「…………」
幼馴染「道着、着替えるから、ちょっと待っててくれる?」
友「モチのロンだぜ!」
205: 2012/11/28(水) 17:43:55 ID:jVu2WPhw
~大衆食堂~
イラッシャイマセー
友「俺、ラーメンね」
幼馴染「……私、鯖の味噌煮定食」
―――――――――――
友「で? 何があったの?」
幼馴染「…………」 モグモグ
幼馴染「……ケンカ」
友「そっか……」 ズルズル…
友「どっちが悪かったの?」
幼馴染「…………」 モグモグ
幼馴染「…………」
206: 2012/11/28(水) 17:44:47 ID:jVu2WPhw
幼馴染「……男は、どうしてる?」
友「……元気無い、としか言い様がないな」
友「俺が知る限り最上級に」
幼馴染「…………」
友「…………」
友「…………」 ズルズル…
友「……気分転換にさ、どっか行かね?」
幼馴染「え?」
友「いきなり言われても困るだろうけど……デートとかって意味合いじゃなく」
友「散歩みたいな感じで、さ」
友「どう?」
幼馴染「…………」
207: 2012/11/28(水) 17:45:23 ID:jVu2WPhw
―――――――――――
~駅前付近~
男「…………」
男(……本屋、潰れてやがる)
男(ここが無くなったら、知ってる本屋、隣町まで行かないと もう無い……)
男(世知辛い世の中だ……) ハア…
男(…………)
男(ゲームショップも閑散としてたし……ヤベェよなぁ……)
男(…………)
男「とにかく行ってみるか」
?「あら? 男くん?」
208: 2012/11/28(水) 17:46:02 ID:jVu2WPhw
男「へ? あ……女ちゃん」
女「偶然ね。 男くんもショッピング?」
男「まあ、そんなとこ」
女「じゃあさ、デートしない?」
男「え!?」
女「あら何? その反応?」
男「い、いや……女ちゃんって、そんなキャラだっけ?」
女「あーら。 女の子って、時には大胆になるのよ?」
男「そ、そう、なんだ……」
女「で? お返事は?」
男「…………」
男「……まあ、俺でいいのなら」
209: 2012/11/28(水) 17:46:37 ID:jVu2WPhw
女「うふふ、ありがとう!」
女「じゃあ……男くんは、どこに行くつもりだったの?」
男「これからゲームショップに行くつもりだけど」
女「ふうん。 じゃ、まずそこで」
男「女ちゃん、ゲームやるの?」
女「全然」
男「……それじゃ、楽しくないんじゃない?」
女「でも、興味はあるから」
男「そう……構わないのなら、いいけど……」
女「行きましょ、男くん!」 ニコ!
210: 2012/11/28(水) 17:47:19 ID:jVu2WPhw
男「さあて……新作は、と……」
女「あ、これ知ってる。 アニマルの森って言うんだよね?」
男「ああ……テレビでガンガン宣伝してるしね」
女「それだけじゃないよ? 私の友達もやってる娘、結構いるし」
男「そうなんだ」
女「男くんは?」
男「三次元デスは持ってるけど、このゲームは持ってない」
女「私みたいな初心者でも出来るかな?」
男「それは……うーん、確かに初心者向きだけど……」
男「合うか合わないかは、人それぞれだし」
女「そっか……」
女「じゃあ男くん、私がこのゲーム買ったら、やり方を教えてくれたりする?」
男「……女ちゃんの友達に聞いた方がいいんじゃない?」
211: 2012/11/28(水) 17:47:59 ID:jVu2WPhw
女「私は、男くんに教えて欲しいな」 ニコ
男(ヤベェ……なんか知らんけど、女ちゃん、すごい積極的だ……)
女「だめ?」
男「……そ、そんな事は無いけど」
女「そっか……そんなに嫌なのね……」
男「教えます、教えますとも!」
女「じゃあ、三次元デスと一緒に買う! 男くんも買って一緒にやろうよ!」
―――――――――――
男「……で、こうやって、少しづつ住みよい村にしていくんだ」 ピコピコ
女「最終的には、借金を返せばいいの?」 ピコピコ
男「それも目的なんだけど、のんびりプレイすればいいんだよ」 ピコピコ
女「ふうん」 ピコピコ
212: 2012/11/28(水) 17:48:50 ID:jVu2WPhw
男「過去作では、あえて木を全部切り倒して」
男「ゴーストタウンみたいにして、ヒャッハー!してた奴もいたし」
女「……それは、ちょっとどうかと思うけど」
男「そういう楽しみ方も出来るって事だよ」
女「自由度が高いのね」
男「そういう事」
男「……あ、もうこんな時間か」
女「うわ……結局ゲームで、こんなに時間使っちゃった……」
男「それは考えない方がいいよ……」
男「さて……昼はうどん食ったし、晩は何するかな?」
女「…………」
213: 2012/11/28(水) 17:49:43 ID:jVu2WPhw
女「……ね、男くん」
男「ん?」
女「私、作ってあげようか?」
男「……え?」
女「男くんの、夕御飯」 ///
男「…………」
男「…………」
男「……それは」
男「俺の家で……って事?」
女「……うん」 ///
214: 2012/11/28(水) 17:50:23 ID:jVu2WPhw
男「…………」
男「……俺の家、両親が」
女「え?」
……この時の俺は、どうかしてた。 いや……それは言い訳かな。
女ちゃんは、時折電話をかけてきてたし、警戒心は無かった。
そして……何よりも幼馴染ととる夕飯が無くなって、誰かと食事する事に飢えていたのだと思う。
男「……いや、何でも無い……」
女「変な男くん」
男「じゃあ……頼めるかな?」
215: 2012/11/28(水) 17:51:12 ID:jVu2WPhw
―――――――――――
友「……ごめん、こんな遅くまで連れ回して」
幼馴染「ううん……楽しかったよ、友くん」
友「そう言ってくれるとありがたいよ、幼馴染ちゃん」
友「…………」
友「男と仲直り……」
友「早く出来るといいね」
幼馴染「……うん」
友「…………」
友「……とにかく、男と話をしないとダメだぜ? 幼馴染ちゃん」
216: 2012/11/28(水) 17:51:52 ID:jVu2WPhw
幼馴染「……うん。 友くんの言う通りだよ」
友「へへへ……」
友「おっと、俺こっちの道だ」
友「じゃあね、幼馴染ちゃん。 また学校で」
幼馴染「うん! また、学校で!」
タッ タッ タッ…
友「…………」
友「…………」
友「…………」 ピッ ピッ ピッ
友「…………」 プルルルルル……プルルルルル……
友「…………」 ガチャ
217: 2012/11/28(水) 17:52:35 ID:jVu2WPhw
友「……今、そっちに行ったぜ」
友「…………」
友「そうか……そいつはいいタイミングだったな」
友「…………」
友「ああ……ちゃんと言っておいたさ」
友「男と話すように、ってな」
友「しっかりやれよ? 大きな山場だし……じゃあな」
ブッ…
友「…………」
友「…………へっ」
友「ちいっとばかし……胸が痛むね……」
218: 2012/11/28(水) 17:53:20 ID:jVu2WPhw
―――――――――――
幼馴染「…………」
幼馴染「……男、またコンビニ弁当と インスタントのループかな?」
幼馴染「…………」
幼馴染「やっぱり、今の時期、鍋だよね」
幼馴染「……喜んでくれるかな? 男……」
幼馴染「…………」
幼馴染(正直……何を話したらいいのか解らないけど……)
幼馴染(でも……)
幼馴染(会わないと……話さないと……)
幼馴染(だめ、だよね……)
219: 2012/11/28(水) 17:54:01 ID:jVu2WPhw
~男の家の前~
幼馴染「…………」 ドキドキ
幼馴染「……よ、よしっ」 グッ
ピンポーン
幼馴染「…………」 ドキドキ
ガチャ……
男「はーい、どなたですか……」
幼馴染「あっ、男!」
男「! ……幼馴染!」
220: 2012/11/28(水) 17:56:02 ID:jVu2WPhw
私は、久しぶりの男の声と顔に高揚した。
その時の男の表情が、どんなモノかも考えずに浮かれていた――
女「男くーん? 誰だったのー?」
――その声を聞くまでは――
226: 2012/12/05(水) 21:35:38 ID:hZFy1W0.
幼馴染「…………」
男「…………」
……女さん?
幼馴染「…………」
男「…………」
男の家に……どうして居るの?
227: 2012/12/05(水) 21:36:28 ID:hZFy1W0.
幼馴染「…………」
男「…………」
いつから?
幼馴染「…………」
男「…………」
そこは――
228: 2012/12/05(水) 21:37:14 ID:hZFy1W0.
幼馴染「…………っ」
男「…………」
私の居場所じゃないの?
幼馴染「…………」
男「…………」
私の――
229: 2012/12/05(水) 21:38:14 ID:hZFy1W0.
女「ねえ、男くん、誰なの……あ」
女「……幼馴染さん」
幼馴染「………っ!」
男「女ちゃん……!」
男「あ、あの、幼馴染! これは今日、たまた――」
バシッ!!
男「ぐっ……!」
私は……買ってきた鍋の材料を 男に投げつけた。
そのショックで思わず尻餅をつく男……。
幼馴染「……」
ダッ!!
男「…………」
230: 2012/12/05(水) 21:39:06 ID:hZFy1W0.
ガチャ、キィ、バタン! …カチリ☆
幼馴染「…………」
幼馴染「……っ」 ウルッ
幼馴染「やだ……」
幼馴染「こんなの…………」 ポロッ
幼馴染「いやだよっ……!」
幼馴染「……うっ……うっ……うあっ……あああっ…………!」 ボロボロッ
幼馴染「うああああああああああああああああっ……!」 ボロボロッ
幼馴染「ひぐっ……ああああああああああああああああっ……!」 ボロボロッ
幼馴染「あんま、りだ、よっ……! ああああああああああああああああああっ……!」 ボロボロッ
幼馴染「うあっ……ひど、いっ……よっ……おと、こ……男おおおおっ……!」 ボロボロッ
幼馴染「あああああああああああああああああああああああっ……!」 ボロボロッ
―――――――――――
231: 2012/12/05(水) 21:39:50 ID:hZFy1W0.
男「…………」
女「……あの、男、くん?」
男「…………」
女「男くん……」
男「…………」
男「……女ちゃん」
女「! う、うん」
男「せっかく、だけど……」
男「今日は帰ってくれるかな?」
女「…………」
女「……うん」
232: 2012/12/05(水) 21:40:31 ID:hZFy1W0.
―――――――――――
男「……ハクション!」
男「うう……」 ブルッ……
玄関でほうけてた俺は、自分のクシャミで我に返った。
時計を見ると、21時を指している。
男「もうこんな時間か……鍵しておかないと……」
ガチャ ガチャ… カチリ☆
233: 2012/12/05(水) 21:41:27 ID:hZFy1W0.
男「…………」
男「…………」
その後は、何もやる気が起きず……そのまま自分の部屋のベットに潜り込んだ。
……なんか、頭痛ぇー……。 風邪、引いたかなぁ……。
…………。
もう……どうでもいいや……。
―――――――――――
234: 2012/12/05(水) 21:42:18 ID:hZFy1W0.
男「ごほっ……ごほっ……」
男(…………ちょーだりー……)
男(…………)
男(……喉も痛ぇ)
男(…………)
男(…………)
男(熱……相当ある?)
男(…………)
男(…………)
235: 2012/12/05(水) 21:42:58 ID:hZFy1W0.
男(…………)
男(何か……せめて、水分を取らないと……) ムク…
男「くっ…………」 フラッ…
男「ごほっ……ごほっ……」
男(……やべぇ……真面目に……)
男(冷蔵庫……こんなに遠かったっけ……)
男「ごほっ……ごほっ……」
ドサッ……!
男「がっ…………ふ…………」
男(……っ)
男(…………)
男(…………)
男(……幼馴染)
男(…………)
236: 2012/12/05(水) 21:43:37 ID:hZFy1W0.
そういや……ここの所、幼馴染の顔……見てないな。
………………。
どうして……俺、今、一人なんだろう……?
………………。
何で、こんなに静かなんだろう……?
………………。
どうして、俺は……こんなに頑張れないんだろう……?
男「…………」
237: 2012/12/05(水) 21:44:18 ID:hZFy1W0.
今……何時かな……。
真っ暗だから、夜は明けてないみたいだけど……。
……寒い……寒いなぁ……。
…………。
幼馴染……どうしてるかな……。
………………会いたいな、幼馴染に……。
……………会いたい………。
―――――――――――
238: 2012/12/05(水) 21:45:00 ID:hZFy1W0.
ピピピ……ピピピ……
男「……!」
男「う……」 ヨロッ…
ピピピ……ピピピ……
男「…………」
男(あ……携帯の着信音か……)
男(…………)
男(俺の部屋に置いてたっけ……誰からだろう……)
男(…………)
239: 2012/12/05(水) 21:45:52 ID:hZFy1W0.
男(寒いな……)
男(…………)
男(夜が明けてる……)
ヨロ ヨロッ…
男(熱……多少は下がったのかな……?)
男(……とにかく、何か……飲まないと……)
男(冗談じゃなく死んじまいそうだ……)
ヨロ ヨロッ… ガチャ…
グビッ グビッ グビッ…
男「……ふう」
男「ごほっ……ごほっ……」
男「…………」
240: 2012/12/05(水) 21:46:54 ID:hZFy1W0.
―――――――――――
?「――くん! 男くん!!」
男「………?」
女「男くん!! よ、良かった……!」 ウルッ…
男「……女ちゃん?」
女「心配したんだから……! 男くん!」
男「…………」
男「……どうして、君が居るの?」
女「えっ? そ、その……携帯に何度かけても出ないし」
女「昨日……あんな事、あったし……」
241: 2012/12/05(水) 21:47:49 ID:hZFy1W0.
男「…………」
男(……俺、玄関の鍵、締め忘れたっけ……?)
男「ともかく、ありがとう、女ちゃん」
男「助かったよ……」
女「! ううん……気にしないで。 それよりも病院行く?」
男「うん……行くよ。 まだ死にたくないし」
女「じゃあ、タクシーを呼ぶね?」
男「歩いていけるよ」
女「ダメよ、男くん。 高熱で倒れたんだから……」
女「とにかく、暖かい格好に着替えて出かけないと!」 バタバタ…
男「あ……女ちゃん……」
男(…………あれ? どうして?)
242: 2012/12/05(水) 21:49:28 ID:hZFy1W0.
―――――――――――
オダイジニー
女「良かった……ただの風邪で……」
男「(新型じゃない)インフルエンザだけどね」
女「もう……どっちにしても、危なかった事に変わりはないんだから」
女「今日は大人しく、あったかくして横になるのよ?」
男「わかってるよ」
女「でも……心配だから、今日くらいは付き添うわ」
男「え? い、いいよ。 そこまでしてくれなくても……」
女「こんな時まで遠慮しないで、男くん」 ニコ
男「…………」
243: 2012/12/05(水) 21:50:14 ID:hZFy1W0.
―――――――――――
カチャ カチャ
女「フー、フー……」
女「はい、あーん」
男「あ、あの……女ちゃん?」 ///
女「えへへ……いちど、やってみたかったの」 ///
女「……ダメ?」 ///
男「う……あ、あーん……モグモグ」 ///
女「どう?」
男「うん、美味しいよ、このお粥」
女「良かった……」 ///
244: 2012/12/05(水) 21:51:09 ID:hZFy1W0.
―――――――――――
女「それじゃ、帰るね? 男くん」
男「ありがとう、女ちゃん」
男「本当に助かったよ……」
女「ううん、これくらい何でも無いよ、男くん」
男「……風邪、うつしたらごめん」
女「ああ、それは大丈夫。 私、予防接種、受けてるから」
男「そっか……安心した」
女「明日、男くんが休む事は、私から学校に伝えておくね?」
男「ああ、頼むよ」
女「じゃ、また明日。 学校終わったら様子を見に来るから……」
ガチャ……キィ……パタン
男「…………」
245: 2012/12/05(水) 21:51:52 ID:hZFy1W0.
男「……さて、戸締りをして、と……」
カチリ☆
男「…………」
男(今日は大人しく、薬を飲んで寝ておこう)
男(調べるのは明日になってからだ……)
男(…………)
男(……だが)
男(もしかしたら……)
男(…………)
246: 2012/12/05(水) 21:53:36 ID:hZFy1W0.
~翌日の学校~
ガヤガヤ
友「……ずいぶんご機嫌だな?」
女「フフフ……まあね」
女「至福のひと時だったわ……」
友「…………」
女「そんなわけで、幼馴染は傷つているはずだから」
女「あなたにとって、絶好のチャンスよ?」
友「……言われなくてもわかってるよ」
女「上手く行くといいね。 健闘を祈ってるわ」
友「ああ」
女「それじゃあね、友くん♪」
友「…………」
247: 2012/12/05(水) 21:54:34 ID:hZFy1W0.
キーン コーン カーン コーン
ジャアネー カエルベー
友「…………」
友「……さて、行きますか、と」
テク テク テク
―――――――――――
友「やあ、幼馴染ちゃん」
幼馴染「…………友くん」
友「…………」
友「……上手く、行かなかったの?」
幼馴染「…………」
友「…………」
248: 2012/12/05(水) 21:55:37 ID:hZFy1W0.
友「な、なあ、幼馴染ちゃん」
友「面白い……つーか、笑える映画のチケットが手に入ったんだ」
友「別に俺と一緒に行かなくてもいい」
友「なんて言うか、気分転換に……どう?」
幼馴染「…………」
幼馴染「……今は、いい」
友「そ、そう……」
幼馴染「それじゃあね、友くん……」
友「……あ、ああ」
テク テク テク…
友「…………」
249: 2012/12/05(水) 21:56:22 ID:hZFy1W0.
友(…………)
友(しょげるなよ、俺……)
友(これから、だろ?)
友(これから……)
友(…………)
友(…………)
友(……っ)
友「くそっ!!」 ダッ!
タッ タッ タッ…
250: 2012/12/05(水) 21:57:16 ID:hZFy1W0.
―――――――――――
ピンポーン
女「…………」
インターホン『はい?』
女「男くん、私、女です」
インターホン『ああ、女ちゃん。 ちょっと待ってて』 ブッ
ガチャ
男「お待たせ」
女「ううん、元気そうで良かった」
男「どうぞ、入って」
女「お邪魔します」
251: 2012/12/05(水) 21:58:07 ID:hZFy1W0.
男「明日は、学校に行けると思う」
女「もう一日くらい休んだら?」
男「それも考えたけど……幼馴染との誤解を早く解きたいし」
女「……そう」
女「うん、きっとそうだよね。 幼馴染さん……ちょっと様子がおかしかったものね」
男「…………」
女「そうだ、私、今日も男くんに、ご飯を作ってあげようと思っていたの」
女「またお粥とかどう?」
男「うん……頼めるかな? 助かるよ」
女「フフ、任せて!」
252: 2012/12/05(水) 21:59:39 ID:hZFy1W0.
カチャ カチャ
グツ グツ グツ グツ…
女「これでよし、と……後はお塩を……」 カパッ
女「あれ」
女(お塩、切れてる……)
女(昨日はまだあったのに……)
女(ま、いっか)
女(買い置きの塩は、確かここに……)
ゴソゴソ……
女(あった!)
女(まずはお塩をお粥に入れて) パッパッ
女(小瓶にお塩を足して、と……)
253: 2012/12/05(水) 22:00:42 ID:hZFy1W0.
女「お待たせ、男くん」
男「ああ、ありがとう、女ちゃん」
男「うん、美味そうだ」
女「たーんと召し上がれ♪」
男「モグモグ……美味しい」
男「いいお嫁さんになるよ、女ちゃん」 ニコ
女「! えへへ……もう、やだなぁ、男くん」 ///
アハハ……
男(…………)
254: 2012/12/05(水) 22:01:27 ID:hZFy1W0.
―――――――――――
男「じゃあね、女ちゃん。 お粥ありがとう、本当に助かったよ」
女「ううん、大した事じゃないから。 気にしないで、男くん」
男「それじゃ、また明日」
女「うん、また明日、学校でね」
キィ……パタン カチリ☆
男「…………」
男(……さて、どうするかな?)
男(…………)
男(……無駄かもしれないけど)
男(…………) ピッピッピッ
男(…………) プルルルルル……プルルルルル……
男(…………) プルルルルル……プルルルルル……
男(…………) プルルルルル……プルルルルル……
255: 2012/12/05(水) 22:02:09 ID:hZFy1W0.
男(…………) ……ピッ
男(…………)
男(幼馴染……やっぱり出てくれないか……)
男(…………)
男(…………)
男(……もうおしまいかもしれないけど)
男(会って、話がしたいな)
男(…………)
262: 2012/12/07(金) 21:13:46 ID:/jXlJGgE
それからの数日間……幼馴染との会話は無い。
学校に行けば、会う機会もあるが――
強引に行けば、逆効果になりそうで恐ろしかった。
あれから女ちゃんは、良く話かけてくる様になった。
良く言えば、フレンドリーに。 悪く言えば、馴れ馴れしく。
そして、何も言わない友。
明らかに……元気が無かった。
263: 2012/12/07(金) 21:14:42 ID:/jXlJGgE
~学校~
ガヤ ガヤ
友「よ、幼馴染ちゃん」
幼馴染「……友くん」
友「…………」
友「あの、さ……」
友「話したい事が、あるんだ」
幼馴染「……うん。 何?」
友「あー……その……」
友「ここじゃ話しにくいんだ……」 ///
264: 2012/12/07(金) 21:15:12 ID:/jXlJGgE
幼馴染「……そう」
幼馴染「じゃあ……部活の後なら、時間あるけど……」
幼馴染「それでいい?」
友「お、おう! それでいいよ!」 ///
幼馴染「じゃ……」
スタ スタ スタ…
友「あ……」
友「…………」
―――――――――――
265: 2012/12/07(金) 21:16:14 ID:/jXlJGgE
友「…………」
友「…………」
友「…………」
友「!」
友「幼馴染ちゃん!」
幼馴染「……お待たせ」
友「いや、全然待ってないよ? ハハッ」
幼馴染「……そう」
幼馴染「それで? 話したい事って?」
友「あ、ああ……うん」 ///
友「……その……俺!」 ///
266: 2012/12/07(金) 21:16:59 ID:/jXlJGgE
友「幼馴染ちゃんの事が、好きだ!」 ///
幼馴染「…………」
友「……男の事、引きずってるのわかってるけど、つ、付き合いたい!」 ///
幼馴染「…………」
友「…………」 ///
幼馴染「…………」
友「…………」 ///
幼馴染「…………」
友「……幼馴染ちゃん?」
幼馴染「……あ、うん……」
友「……へ、返事は?」
267: 2012/12/07(金) 21:17:40 ID:/jXlJGgE
幼馴染「…………」
幼馴染「……いいよ、別に付き合っても」
友「……!」
幼馴染「…………」
友「…………」
幼馴染「…………」
友「……んだよ、それ」
幼馴染「……?」
友(そんな……投げやりな態度で……虚ろな目で……言われても)
幼馴染「……友くん?」
268: 2012/12/07(金) 21:18:25 ID:/jXlJGgE
友「ああ、いや、何でも無い」
友「じゃ……また明日」
幼馴染「……うん」
友「…………っ」
タッ タッ タッ…
幼馴染「…………」
幼馴染(……もう……どうでもいいや)
269: 2012/12/07(金) 21:19:21 ID:/jXlJGgE
タッ タッ タッ…
友「はあっはあっはあっ……」
友「……っだよ、これ」
友「わかってた事じゃねえかよ……」
友「しっかりしろよ、友……」
友「とにかく……OKもらえたじゃねえか……」
友「これから幼馴染ちゃんを支えて……楽しい時間を……たく、さ、ん……」
友「……っ ……くっ…………ぐすっ……」 ポロッ
友「こ、これで……ひぐっ…………良かったんだろ…………うあっ……」 ボロボロッ…
友「憧れの……幼馴染ちゃん…………ぐすっ……お前の……彼女じゃねーかよ……」
友「うあっ……どうして…………こんなに…………嬉しくも何ともないんだよっ……!!」
友「どうしてこんなに悲しいんだよおおおおっ!!」 ボロボロッ…
友「うあっ……ああああああああああああああああっ…………」 ボロボロッ…
―――――――――――
270: 2012/12/07(金) 21:20:09 ID:/jXlJGgE
友「…………」
友「…………」
友「……時間かけりゃ、いいじゃねーか」
友「そうすりゃ……いつか……」
友「…………」
友(……『いつか』って、いつだ?)
友(…………)
友(それまで……俺は……俺の心は)
友(耐えられるのか?)
友(…………)
友(……この、”罪悪感”に……)
友(…………)
271: 2012/12/07(金) 21:20:55 ID:/jXlJGgE
~翌日の学校~
ガヤ ガヤ
友「……や」
幼馴染「……友くん」
友「…………」
友「昼飯、一緒に食わね?」
幼馴染「…………」
幼馴染「……いいよ」
友「……そう」
友「じゃ、じゃあ、行こっか!」
幼馴染「……うん」
272: 2012/12/07(金) 21:21:38 ID:/jXlJGgE
幼馴染「…………」 モグモグ
友「…………」 モグモグ
友「そういやさ、TVで見たんだけど……」
友「久々に面白い芸人が出てきてさ! 傑作だったんだ!」
友「そのギャグっていうのが……」
幼馴染「…………」 モグモグ
友「…………」
友「…………」 モグモグ
幼馴染「……ごちそうさま」
友「……ごちそうさま」
幼馴染「…………」
友「…………」
273: 2012/12/07(金) 21:22:36 ID:/jXlJGgE
幼馴染「…………」
友「……なあ」
幼馴染「……うん?」
友「”幼馴染”って呼んでいいか?」
幼馴染「……!」
幼馴染「……うん。 いいよ、別に……」
友「……そう」
友「じゃあ……」
友「キスしてもいいか? ……幼馴染」
274: 2012/12/07(金) 21:23:27 ID:/jXlJGgE
幼馴染「……え」
友「俺達、付き合ってるんだろ? それくらい、フツーするだろ?」
幼馴染「…………」
友「…………」
幼馴染「……いいよ」
友「……っ」
幼馴染「……友くんのしたい様にしたらいい」
幼馴染「私は……抵抗しないから」
友「…………」
幼馴染「…………」
友「……うだろ」
幼馴染「……?」
友「違うだろ!! それ!!」
275: 2012/12/07(金) 21:24:18 ID:/jXlJGgE
幼馴染「…………」
友「嫌なんだろ!? 嫌なら嫌って言ってくれよ!!」
友「俺は……俺は……!」
友「こんなの、望んでいねーよ!!」
幼馴染「…………」
友「忘れられないんだろ!? 男の事!!」
友「今でも好きなんだろ!?」
友「はっきり言ってくれよ!!」
友「俺の事、嫌いだって!!」
幼馴染「…………」
276: 2012/12/07(金) 21:24:47 ID:/jXlJGgE
幼馴染「…………」
幼馴染「嫌いじゃないよ、友くんの事」
友「……!」
幼馴染「…………」
幼馴染「……ただ」
幼馴染「何もかもが、どうでも良くなっただけ……」
友「!!」
幼馴染「それだけ……」
友「…………」
友「……そうかよ」
幼馴染「…………」
277: 2012/12/07(金) 21:25:46 ID:/jXlJGgE
友(ちくしょう……)
友(ちくしょう、ちくしょう……)
友(ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう……)
友(ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう)
友(ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう)
友(ちくしょ――――――――――――――――――――――!!!)
ダッ!!
幼馴染「…………」
―――――――――――
278: 2012/12/07(金) 21:26:51 ID:/jXlJGgE
ガヤガヤ
男「ああ、女ちゃん」
女「? 男くん、どうしたの?」
男「うん……実は」
男「大事な話があるんだ」
女「!!」 ///ドキッ
女「……だ、大事……って?」 ///
男「今は……ちょっと……」
男「だから、放課後……教室に残ってくれるかな?」
男「二人きりで話がしたい」
女「!!」 ///
女「う、うん! わかった……!」 ///
男「じゃ、放課後にね……」
279: 2012/12/07(金) 21:27:38 ID:/jXlJGgE
女「…………」 ///
女(放課後……大事な話……二人きり……) ///
女(~~~~!!) ///
女(きっと……告白ね……) ///
女(嬉しい、男くん……) ///
女(エへへ……) ///
―――――――――――
280: 2012/12/07(金) 21:30:05 ID:/jXlJGgE
キーン コーン カーン コーン
男「…………」
女「お待たせ、男くん」
男「あ、女ちゃん」
女「それで……何かな? わざわざ放課後に呼び出して、話って……」 ///
男「うん……」
女「…………」 ///ドキドキ
男「まず……風邪ひいた時はありがとう。 いろいろと助かったよ」
女「ううん、そんなの、大した事ないよ」 ///
男「それで……本題だけど」
女「う、うん」 ///
281: 2012/12/07(金) 21:32:59 ID:/jXlJGgE
男「もう止めてくれ」
女「……え?」
男「…………」
女「や、止めてって……何を?」
男「ストーカー行為」
女「!?」
男「……最初は、ね」
男「友を疑ってた」
女「…………」
男「俺は風邪で休んだ日に、ネットで”ヤンデレ症候群”を調べてみたんだ」
男「病院の先生は、最近見つかったばかりの症例だって言ってたけど」
男「検索に全く引っかからないのは、どう考えてもおかしい」
282: 2012/12/07(金) 21:34:17 ID:/jXlJGgE
男「そして、病院を紹介したのは友だから、あいつが怪しいと思った」
男「……でも」
女「…………」
男「病院の医師紹介名簿に」
男「君と同じ名字の医者がいた」
女「…………」
男「したら、ヤンデレ症候群を告げた医者だったよ……」
男「君のお父さんなんだろ? 以前、父親が医者だって言ってたしな」
女「…………」
男「そこで初めて、俺は女ちゃんが主犯じゃないのか?と思った」
男「友には悪いが……あいつに、こんな策を練る頭は無いだろうし」
女「…………」
283: 2012/12/07(金) 21:35:26 ID:/jXlJGgE
女「……何を言ってるの? 男くん」
女「ストーカー? 私がそんな事してるわけ、無いじゃない」
男「……動機は」
男「俺と幼馴染を別れさせる事」
女「………っ」
男「第一段階として、幼馴染に対して俺に『不安感』を抱かせた」
男「携帯電話の履歴に女ちゃんのだけ残らないカラクリ」
女「…………」
男「まあ、単純だけど、女ちゃんは電話を『掛けなかった』だけだろ?」
男「まるで、幼馴染が履歴を消しているかの様に見せかける為に……」
男「女ちゃんは、俺に『電話を掛けてる』と言えばいいだけ」
女「…………」
284: 2012/12/07(金) 21:36:26 ID:/jXlJGgE
男「それとも見せられるかい? 君の携帯の送信履歴」
女「……っ」
男「そして次に」
男「どうやって君の父親の医者を 丸め込んだのか解らないけど」
男「第二段階として、ヤンデレ症候群を告げ、俺に、幼馴染への『不信感』を抱かせる」
男「……まんまと騙されたよ」
男「まさか、本職の医者に真面目な顔してウソつかれるなんて」
男「思いもしなかった」
女「だ、だから……」
男「次に」
285: 2012/12/07(金) 21:37:25 ID:/jXlJGgE
男「俺の家に盗聴器を仕掛ける」
女「……!」
男「これも風邪で休んだ日に、盗聴器バスター業者に連絡して調べてもらった」
女「…………」
男「……不思議だろうね」
男「じゃあ何故、今の今まで普通に盗聴出来たのか?」
女「…………」
男「君を油断させる為に、気がついた日、以降も」
男「俺が業者に頼んで、いつでも外せる状態で盗聴器を生かしておいたからだ」
女「…………」
男「…………」
286: 2012/12/07(金) 21:38:11 ID:/jXlJGgE
女「ち……違う……私、じゃ……ない……」
女「お願い、信じて……! 男くん……!」
男「…………」
パチ パチ パチ パチ パチ パチ……
男・女「!?」
友「……すげぇな、男」
友「よく見破ったもんだ」
女「!!」
男「…………」
女「あ、あなた、何を言って……!」
友「諦めろよ、女ちゃん……」
友「もう……男は騙せない」
287: 2012/12/07(金) 21:39:25 ID:/jXlJGgE
友「ところで男、どこでおかしいって思った?」
友「こう言っちゃ何だが……俺は上手くやってるって、自分でも思ってたんだが」
男「……そうだな。 お前には完璧に騙された」
男「俺が最初に不審に思ったのは……」
男「風邪で倒れたあの日……女ちゃんに助けられた事だ」
女「…………」
男「家の戸締りは、したハズなのに……なぜ?」
男「そして、俺の服を取りに行くときに」
男「女ちゃんは、迷わず俺の着替えが入ってるタンスの引き出しを開けた」
女「…………」
男「だけど、あの時は熱で意識がもうろうとしていたから、確信が持てなかった」
288: 2012/12/07(金) 21:40:35 ID:/jXlJGgE
男「だから俺は、トラップを仕掛けた」
友「トラップ?」
男「俺の家で女ちゃんに料理を作らせて、塩を使わせる事」
女「……!」
友「どういう意味だ?」
男「俺はわざと塩を切れさせ、反応を見たんだ」
男「普通は台所の棚とか引き出しに、買い置きの調味料を置いておくけど」
男「我が家では、冷蔵庫横の細長い箱に入ってる」
友「……なるほど。 内情を知らなきゃ見つけられそうにもねぇな」
男「女ちゃんは、俺に聞かずに見事、塩のありかを見つけていたよ」
女「そ、そんな……」
289: 2012/12/07(金) 21:41:42 ID:/jXlJGgE
男「……それから、ずいぶん前だけど」
男「俺の家で風呂に入ってただろ? 女ちゃん」
女「!!」
友「……お前、何やってんだよ」
女「ち、違う! 私じゃない!」
女「き、きっと、幼馴染さんがシャワーを浴びてたんだよ!」
男「…………」
友「あ~あ……」
女「……!?」
男「どうして、『シャワーを浴びてる』なの?」
女「…………」
男「俺は『風呂に入ってた』と、言ったはずだけど?」
女「!!!!」
290: 2012/12/07(金) 21:42:41 ID:/jXlJGgE
男「……それに、幼馴染は風呂に入ると、決まって歌を歌うんだ」
男「あの時感じた違和感はそれだった」
友「…………」
男「それに気がついた俺は、盗聴器を仕掛けられているかもしれないと思った」
男「あの時点で、相当俺をストーカーしていたんだな……」
女「…………」
友「諦めなよ……女ちゃん」
女「……いやよ」
友「おいおい……」
291: 2012/12/07(金) 21:43:36 ID:/jXlJGgE
女「あの娘は、小さい頃から一緒に居るってだけの女の子じゃない……!」
女「男くんを『好き』って気持ちは、私の方がずっとずっと上なんだから!」
男「…………」
女「それなのに……」
女「それなのに……それなのにっ……それなのにっ!!」
女「あの娘は! いつもいつも、男くんの隣にいる!」
女「まるでそれが、当たり前の様に!!」
友「…………」
女「何なのよ! あの娘!! あまつさえ、私の男くんの家にまで押しかけて、誘惑して!」
女「どうして男くんは、それを受け入れてるのよ!!」
女「私でしょ!? 男くんが好きな女の子は!?」
女「私の事、いいお嫁さんになるって、言ってくれたじゃない!!」
女「私が男くんに相応しいのよ!!」
男「…………」
292: 2012/12/07(金) 21:44:42 ID:/jXlJGgE
友「……なんつーか」
友「終わったな」
女「…………」
男「…………」
男「じゃ……俺、もう行くな」
男「多分、合鍵持っているんだろうけど」
男「今日、鍵を変える予定だから、別に返さなくてもいいよ、女ちゃん」
女「…………」
男「それから警告。 盗聴器は十分証拠品になる」
男「これ以上、ストーカー行為を続けるのなら警察に被害届を出す。 いいね?」
女「…………っ」
友「ああ、ちょい待ち、男」
男「ん?」
293: 2012/12/07(金) 21:45:40 ID:/jXlJGgE
友「今更だけど……謝るわ」
友「悪かった、男……」
男「…………」
友「俺、さ」
友「幼馴染ちゃんのどこが好きなのかな?って」
友「改めて考えてみた」
男「…………」
友「俺――」
友「お前の事を見てる幼馴染ちゃんが、好きだったんだ」
友「クリクリした目で、ニコニコして、いつも可愛い笑顔で、お前を見ていた」
男「…………」
友「あの目を、笑顔を」
友「俺にも向けて欲しかった……」
294: 2012/12/07(金) 21:46:30 ID:/jXlJGgE
友「ところがどうだ……」
友「幼馴染ちゃんが傷つく事も承知の上で、女ちゃんの策に乗って」
友「やっとの思いで手に入れた幼馴染ちゃんは」
友「まるで抜け殻の様だった……」
男「…………」
友「……何やってたんだろうな、俺……」
友「最初から、勝目なんて無かったんだ」
友「お前が、ヤンデレ症候群と知りつつ、幼馴染ちゃんに告白した時点で」
男「……!」
男「そうか……盗聴してた女ちゃんに聞いたのか」
友「幼馴染ちゃんが、お前に『男のモノにして』って頼んだのもな」
295: 2012/12/07(金) 21:47:22 ID:/jXlJGgE
男「…………」
友「あの時は、女ちゃんと一緒に聞きながら、焦ったね」
友「確かに何かのアプローチをするだろうと思ってたけど」
友「あそこまでの暴挙に出るとは思わなかったから……」
男「…………」
友「そして、気づくべきだった」
友「幼馴染ちゃんのお前に対する、純粋な気持ちに、な……」
男「…………」
友「引き止めて悪かった。 これでオシマイだ、男」
男「……そうか」
友「それから、伝言」
男「? 伝言?」
296: 2012/12/07(金) 21:48:19 ID:/jXlJGgE
友「幼馴染ちゃんには、俺から全部話してある」
男「!!」
友「……お前の家で『待ってる』ってさ」
男「そうか……ありがとう、友」
友「よせよ……フツー殴るところだぜ? ここは」
友「さあ、早く行ってやれ」
男「ああ……」
タッ タッ タッ…
友「…………」
女「…………」
297: 2012/12/07(金) 21:49:21 ID:/jXlJGgE
女「……っ!」 ギリッ
女「私っ……諦めない……!」
女「男くんは、私を試してるのよ……!」
女「私が、こんな事でへこたれる様なヤワな精神か、試してるのよ!」
女「男くんは、私の事が好きなんだから……!」
友「…………」
友「……なあ」
女「……何よ」
友「俺達、付き合わね?」
女「……は?」
女「何言ってるの? 気でも狂れたの? 気持ち悪いわよ……」
友「……今回の出来事で、男も、お前に対して、おんなじ事を思っただろうな」
女「……!」
298: 2012/12/07(金) 21:50:15 ID:/jXlJGgE
友「それによ、女ちゃん」
友「お前、今回の計画が上手く行ったとして」
友「『ずうっと』本性を隠し通せると思っているのか?」
女「私は、何も隠していない!」
友「盗聴器仕掛けたのだって見抜かれたくせに……」
女「……ぐっ」
友「まだわかんねーのかよ?」
友「男は、はっきり『警告』と言ったんだ」
友「つまり」
友「お前の事を『敵』として認識してんだよ」
女「……!」
299: 2012/12/07(金) 21:51:00 ID:/jXlJGgE
女「でも……でもっ……」
女「男くんは、私を……」
友「その辺にしとけ。 引き際を考えろ」
友「そしてお前の気持ちは、好きでも、恋愛感情でも、何でも無い」
友「自分を騙す為の、ただの『願望』だ」
女「……!!」
友「ま、俺も人の事、言えねーけど……」
女「…………」
300: 2012/12/07(金) 21:51:52 ID:/jXlJGgE
女「……違う」
女「私が……男くんを好きな気持ちは……嘘じゃない……!」 ポロッ…
女「ぜったい…………ウソ……なんかじゃ…………ないっ……」
女「うあっ……あああああっ! ……男くんっ…………おと、こ、くんっ……!」 ポロポロ…
女「ホントにっ……すきっ……うぐっ……だったのっ……!」 ポロポロ…
女「ウソじゃ……ウ、ソなんかじゃ……ない、よう……! ひぐっ……」 ポロポロ…
友「…………」
友(それもわかっているさ……)
友(だから、うっかりバレる事を忘れ、鍵を使って、男に家に入ったんだろ?)
友(男を……心配して、な……)
友(……けど、黙っとくぜ、女ちゃん)
友(それが……女ちゃんの為だ……そして)
301: 2012/12/07(金) 21:52:26 ID:/jXlJGgE
友(幼馴染ちゃんの為にも……な)
―――――――――――
302: 2012/12/07(金) 21:53:08 ID:/jXlJGgE
ガチャ…
男「……ただいま」
トテ トテ トテ
幼馴染「男……」
幼馴染「……っ」
幼馴染「お帰り、男」 ニコ!
男「幼馴染……ただいま」 ニコ
幼馴染「えへへ……」 グスッ…
幼馴染「久しぶり、だね。 男」
男「ああ……本当にな」
男「すげー嬉しい」 ニコ
303: 2012/12/07(金) 21:54:03 ID:/jXlJGgE
幼馴染「これが盗聴器……」
男「全部で4つ……どうやったのか、電話機の中にまであった」
幼馴染「うわ……」
男「もう電源は切ってる。 大丈夫だ」
幼馴染「…………」
幼馴染(……女さん、これからどう男と向き合って行くのかな……)
男「さて……幼馴染」
幼馴染「え?」
男「……ごめん」
幼馴染「…………」
304: 2012/12/07(金) 21:55:11 ID:/jXlJGgE
男「結局、最初に病気の事を告げていれば……幼馴染に辛い思いをさせずに済んだのに……」
幼馴染「……ううん」
幼馴染「それは、私の事を考えての事だし……」
幼馴染「あの時……男は『殺してもいい』って言ってくれた」
男「…………」
幼馴染「言われた時は、訳がわからなかったけど……」
幼馴染「『覚悟』を決めて、私を受け入れてくれた、って事だよね?」 ///
男「…………」 ///
幼馴染「それだけで、私は嬉しい」 ///ニコ
男「幼馴染……」 ///
幼馴染「それに……」
305: 2012/12/07(金) 21:55:55 ID:/jXlJGgE
幼馴染「謝らないといけないのは、私も、だよ」
男「……え?」
幼馴染「私……友くんから真相を聞くまで、男に私への気持ちは、もう無いって思ってたの……」
男「…………」
幼馴染「……目の前に突き出された事実だけを見て……」
幼馴染「男を信じられなくなって……絶望してた」
男「…………」
幼馴染「ごめんなさい、男」
幼馴染「何もかもが、どうでも良くなった私は……」
幼馴染「友くんの告白をOKしたり、キスとかもどうぞって言っちゃった……」
男「…………」
男「はあ!?」
306: 2012/12/07(金) 21:56:52 ID:/jXlJGgE
幼馴染「……本当にごめん……驚いた?」
男「衝撃の事実だよ……」
幼馴染「……ごめん」
男「もういい……つーか聞きたくない」
幼馴染「ああ、でも友くん、なんかいきなり怒り出して、何もしないで走り去っていったの」
幼馴染「すぐ帰ってきたけど」
男「……あいつの行動は、イミフだな」
幼馴染「その後、土下座しながら事情を話してくれたんだ……」
男「そっか……」
308: 2012/12/07(金) 21:58:54 ID:/jXlJGgE
男「…………」
ガタッ
幼馴染「? 男?」
男「…………」
男「……ちょっと立ってくれるか?」 ///
幼馴染「! ……う、うん」 ///ガタッ
ギュッ…
幼馴染「ん……」 ///
男「…………」 ///
男「……本当に久しぶりだな」 ///
幼馴染「うん……」 ///ギュッ…
309: 2012/12/07(金) 22:00:00 ID:/jXlJGgE
男「幼馴染の匂いだ……」 ///
幼馴染「男の匂いがする……」 ///
男「俺……寂しかった……」
幼馴染「私も……」
男「幼馴染と食べる夕食、どんなに楽しかったか、身にしみた……」
幼馴染「ふふっ……時々喧嘩もするけどね」 クスッ
男「幼馴染……俺、幼馴染の事が」
男「好きだ」 ///
幼馴染「うん……私も、男の事」
幼馴染「大好き」 ///
スッ……
310: 2012/12/07(金) 22:01:24 ID:/jXlJGgE
……気持ちを確かめ合った俺と幼馴染は、その日、お互い初めての口づけを交わした。
彼女の唇は暖かく、柔らかだった。
311: 2012/12/07(金) 22:02:42 ID:/jXlJGgE
友と女ちゃんは、『付き合って』いないそうだが、仲良さそうにしていた。
友は相変わらずチャラい態度で軽口を叩き、以前と変わらず俺と顔を付き合わせている。
……こいつの神経の図太さは、大いに尊敬してしまうな。
でも、さすがに幼馴染に対しては、バツが悪そうだった。
女ちゃんは、性格がだいぶ変わった。 ……いや、友に言わせれば、こっちが本性なのだとか。
平気で悪態をつき、同性の人気はダダ下がり。
ヤローは、引く奴もいたけど別カテゴリーの人気が出ていたので差し引きゼロ、といったところか。
……けど、前より伸び伸びしている様にも思えた。
312: 2012/12/07(金) 22:03:43 ID:/jXlJGgE
ある日、女ちゃんは、俺と幼馴染に謝罪に来た。 決まりが悪そうに。
付き添ってきた友と、何度も頭を下げ、謝る彼女。
そして、彼女自身の『ケジメ』をつける為に、と、密かに持っていた合鍵を返してくれた。
それ以降、女ちゃんとは話していない。 話そうとしても彼女は『聞く』だけだった。
313: 2012/12/07(金) 22:04:38 ID:/jXlJGgE
そして、俺と幼馴染は相変わらずだった。
二人で夕食を摂り、二人でゲームしたり、二人でテレビ見て笑ったり
時々喧嘩したり……。 それを繰り返して、楽しく過ごしていた。
314: 2012/12/07(金) 22:05:37 ID:/jXlJGgE
~数週間後~
タッ タッ タッ
幼馴染「男! お待たせ!」
男「おう、幼馴染」
幼馴染「今日はどこに行くの?」
男「特に決めてない」
幼馴染「何よそれー。 最近手抜きじゃない?」
男「はは……すみません」
男「……でも」
幼馴染「でも?」
男「幼馴染と一緒なら、どこでも楽しいから」 ニコ
幼馴染「……っ」 ///
幼馴染「ふ、ふーんだ!」 ///
幼馴染「そんな殺し文句、聞き飽きたもーん!」 ///
315: 2012/12/07(金) 22:06:38 ID:/jXlJGgE
男「機嫌直してくれよ……昼飯はおごるから」
幼馴染「……やだ。 夕飯も作ってくれなきゃ許してあげない」
男「わかったわかった……」
幼馴染「やった!」
幼馴染「男の手作り夕御飯~♪」
男(お茶漬けとかだったら怒るかな……やっぱ)
男「じゃ、そろそろ行くか。 駅前のブティックから行ってみる?」
幼馴染「それでいいよ。 うう~……今日も寒いね」
男「そうだな……つなぐ?」
幼馴染「うん!」 ///ニコ
――幼馴染の手は、小さくて、冷たくて、でも……とても愛しかった――
おしまい
316: 2012/12/07(金) 22:07:56 ID:/jXlJGgE
みなさんお疲れ様でした。これで終了です。
友と女が、あまり不幸になっていないじゃないか!と怒っている方も居るかと思いますが
女に友が、刺し殺されたりするのも考えたんですけど……
それだと幼馴染と男は、後味悪くなって、幸せになれそうになかったのでこうしました。
自分はスクイズのファンなので、そういうドロドロも書いてみようかな……とも思ったんですけどね。
結局、友は幼馴染にとって最後まで「どうでもいい」存在で、女も男にとって同様と言えます。
これだけ努力(間違った方向だけど)して
好意を寄せる相手に何とも思われてないのは、悲しいものです……。
最後に、遅い投下を待っててくれた人、ラストまで読んでくれた人、友に憤慨してくれた人
ありがとうございました!
317: 2012/12/07(金) 22:15:35
乙
面白かった
面白かった
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