6: 2012/12/14(金) 00:39:22.01 ID:EJs/L7p/0
春香「おはようございまーす!今日も一日、よろしく……おねが……」

P「ライダーキィィィック!」シュバッ

小鳥「必殺!俺の必殺技!」グオッ

春香「なっ、何やってるんですかふたりとも!」

P「ムッ!は、春香か……恥ずかしい所を見せたな……」

小鳥「はぁ、はぁ、はぁ……ほんと、落ち着いてくださいよプロデューサーさん、たかが……」

P「たかが!?たかがって言いましたか!?」

春香「ちょっと、本当に落ち着いてください!一体どうしたんですか?」

P「あ、ああ。いや、実はな……」

小鳥「プロデューサーさんが酷いんですよ!私が仮面ライダーが好きだって言ったら……」

春香「かめんらいだーですか?」

P「春香は知ってるか?」

11: 2012/12/14(金) 00:42:29.96 ID:EJs/L7p/0
春香「名前くらいは……日曜の朝にやってますよね」

小鳥「そうなのよ。実はその仮面ライダーに出演しないかってオファーがあってね」

春香「うそっ!?だって、あれってかなり有名な特撮ドラマですよね?」

小鳥「ええ。二人ほどアイドルを出演させないかって。しかもレギュラーよ!」

春香「すごいじゃないですか!それで何で揉めてたんですか?」

P「だから、小鳥さんがライダーが好きだって言ったからなんだ」

春香「プロデューサーさんは仮面ライダー、嫌いなんですか?」

P「いいや、大好きだ」

春香「だったらなんで……」

P「だからなんだよ!平成ライダー、特に最近のシリーズはライダーだと思えない!」

小鳥「なんでですか!かっこいいじゃないですか!」

春香「え、えぇ……?」

P「じゃあ聞きますがね!小鳥さんはどのライダーが一番好きなんですか!?」

14: 2012/12/14(金) 00:45:05.71 ID:EJs/L7p/0
小鳥「え、ええと……電王……」

P「それは俺の一番嫌いなライダーの名だァッ!」

小鳥「だと思った」

春香「ええと……?」

小鳥「じゃあ何ならいいんですか」

P「昭和。昭和最強。昭和最高」

小鳥「あんなもっさりしたスーツの何がいいんだか……」

P「言ったな!」

小鳥「映像もアクションも今と比べたら……ははっ」

P「時代だけは……時代だけは勝てないってわかってて……!」

小鳥「ストーリーだって後付けと人気取りばっかりで破綻しまくりで。どこがいいんですか?」

P「なっ、破綻なんて……」

小鳥「『そんなこと俺が知るか!』」

P「ぐっ……」

小鳥「ストロンガーはどうやって脱出したんですかね~?」

16: 2012/12/14(金) 00:48:08.26 ID:EJs/L7p/0
春香「あのー、全然ついていけてないんですけど、何がどうなってるんですか?」

P「……そうだな、どうせしばらく時間もあるし、軽く説明しようか」

小鳥「そうですね、少し熱くなりすぎました」

春香「まず、昭和とか平成ってなんですか?」

P「うん、それは簡単。仮面ライダーの一番最初のシリーズが放送されたのが1971年。それから一度シリーズが一度中断されたのがRXの1989年」

小鳥「それからしばらく期間が空いて、次の仮面ライダークウガの放映が開始したのが2000年で、今やってるシリーズはそこから続く物ね」

春香「なるほど、だから昭和と平成なんですね」

P「結構な期間が空いて、はっきり時代が変わった事もあって……昭和ライダーと平成ライダーではかなり作風に変化があるんだ」

春香「それで、プロデューサーさんは昭和のほうが好きだと」

P「うん。好みの問題なんだけどな」

小鳥「昭和はストーリーも単純な『ライダーが悪の組織と戦う』の一点で、とにかく当時の子どもたちのヒーローであり続ける事を目的にしていたみたい」

P「逆に平成は、当時すでに大人になっていただろうライダーファンも違和感無く見られるようにハードで重厚なストーリーだった」

春香「なるほど……だった?」

P「今は違う。ストーリーは深くても重さも無いしハードさもなかったりする。そのターニングポイントとなったのが……」

小鳥「……それは認めます。電王ですね」

19: 2012/12/14(金) 00:51:09.57 ID:EJs/L7p/0
P「コメディ調の強いストーリー、仲良さげに和む主人公とその仲間。今までのかっこいいライダーから面白いライダーに変わった」

春香「あ、それ見たことあるかもしれません。電車のヤツですよね」

小鳥「そうなのよ。それに出てくるイマジンっていうキャラ達がみんなかわいかっこよくてね」

P「と、こんな風に言うファンが増えた。そして子供にも結構ウケてしまった。大人向けに傾きすぎていた事にスタッフが気付いたんだな」

小鳥「それからは極端に重くなる事のないように、設定は深く、けど明るく話が進むことが多くなったのよ」

春香「はぁ~……」

P「俺はそれが気に食わない。デザインは比べ物にならないくらいかっこよく、洗練されていると思うし、設定もよく練られてる。はっきり言って面白い」

P「けど、俺が昔かっこいいと思った部分はデザインじゃない。そりゃ当時はあのデザインでもかっこいいと思ったけど、それだけじゃないんだ」

P「春香。特撮作品って他になにがある?」

春香「え?怪獣映画とか……あ、ウルトラマン!同じ正義の味方ですよね!」

P「そうだ。けど俺はウルトラマンよりライダーが好きだった。何故かわかるか?」

春香「えーと……デザインが好みだった?あ、アクションが良かったとか!」

P「それもある。けどさっきも言ったけどそれだけじゃない。なぜなら、ウルトラマンは人間じゃない」

春香「そうでしたっけ?」

P「ウルトラマンは異星人で、最初から強力な力を持ってる。けどライダーは人間だ。人間が改造されて、人じゃなくなってしまう。心は人間のまま、体は別物になるんだ」

21: 2012/12/14(金) 00:52:34.15
正確にはカブトの後半からもうアウトだったよな

24: 2012/12/14(金) 00:54:18.39
ブレイドは終始一貫してたな

25: 2012/12/14(金) 00:54:30.13 ID:EJs/L7p/0
小鳥「……確かに、そういう点で平成は軽いです。ベルトさえあればある程度誰でもライダーになれる設定が増えましたから」

小鳥「逆に言えばいつでも戦いをやめられる。本人の意志で戦っているだけなのだから」

P「改造されてしまったライダー達は、戦うしか無いから戦っている。いわば宿命だ。それでも折れない、その姿が好きだったんだ」

春香「へ、へー……」

小鳥「すみませんでした、プロデューサーさん。昭和ライダー、実は全部見てます」

P「こっちこそ、先に煽っちゃってすみません。平成ライダーのかっこよさも本当はちゃんとわかってますよ」

小鳥「今度私の部屋で鑑賞会しましょうよ、二人で」

P「あ、それは遠慮します」

小鳥「はい」

……。

春香「って事があったんだよー」

真「へー、あの二人が……」

春香「でさ、私達が出る事になったじゃない?」

真「うん。実はボクも最近のシリーズはちょくちょく見てたんだ。出たい!ってプロデューサーに頼み込んじゃったよ」

春香「私もそう。あの二人見てたら、そこまでのファンがいるっていう作品に出てみたくなっちゃって」

28: 2012/12/14(金) 00:57:37.97 ID:EJs/L7p/0
真「でも不安でもあるよね」

春香「そうだね。いつもなら見えないファンのみんなの為に、って感じだけど……」

真「下手打ったらプロデューサーから直でお言葉が頂けそうだしね」

春香「だねー。あの荒れ狂いっぷりを見ると……ほんとにしっかりやらなきゃって思えるよ」

真「一度語ってみたいなぁ」

春香「でも昭和シリーズは見てないんでしょ?」

真「そうなんだよねー。見てみたいのは見てみたいんだけどさ」

春香「プロデューサーさんならなんとかしてくれるんじゃないかな?今度二人で頼んでみようよ」

真「そうだね!よっし!それじゃ収録、がんばろう!」

春香「おー!」

……。

春香・真「お疲れ様でしたー!」

真「春香、大丈夫?」

春香「っはぁ~……疲れたぁ。真は元気だねぇ」

31: 2012/12/14(金) 01:00:16.51 ID:EJs/L7p/0
真「へへっ、鍛えてるからね!……っと。あれ?」ガサゴソ

春香「どうしたの?」

真「そうだ、楽屋!タオル忘れてきちゃったみたいだから取りに行ってくるよ」

春香「あ、そうなの?行ってらっしゃい」

真「すぐ戻ってくるから!」タタッ

春香「待ってるねー……はぁ」

春香「真はすごいなぁ……私、これからやっていけるのかな。いや、体は平気なはず!でも、緊張はどうしようも……うぅ……」

春香「はぁ~あ、やっぱり体力はもうちょっと欲しいなぁ。これでも動ける方だと思ってたんだけど……」

「それは良かった。君の望みはすぐに叶うだろう」

春香「だっ、誰ですか!?」

黒服「ショッカー」

春香「んむっ!?」

黒服「じっとしていろ。すぐに楽になる。すぐに……」

春香「あ……あ……?」クラッ

……。

34: 2012/12/14(金) 01:01:31.18
電王は本編は面白いけど映画やりすぎて嫌いな人が多そうなイメージ

37: 2012/12/14(金) 01:03:27.49 ID:EJs/L7p/0
春香「……う」

春香「うわっ!私、なんで裸!?って、う、動けない……」ギシギシ

ブゥン……

『目覚めたか』

春香「誰っ!?」

モニターの男『天海春香。君はショッカーを知っているかね?』

春香「……ショッカー」

春香(そういえば、黒服の人もそんな事を……何かの企画かな。あの人も変なマントしてるし)

マントの男『そう、ショッカーだ』

春香「ごめんなさい、何の事か……あの、服を返してもらえませんか?」

マントの男『……本当に、知らないのか』

春香「は、はい……撮影とかじゃないですよね?こんなの放送できないし……」

マントの男『そうか……』

春香(あれ、なんだか寂しそう……怖い人じゃないのかな)

春香「もしかして、ファンの人ですか?好きでいてくれるのは嬉しいけど、こんな事されちゃ……プロデューサーさんや他のみんなが心配しちゃうから……」

44: 2012/12/14(金) 01:06:22.66 ID:EJs/L7p/0
マントの男『私は君のファンではない。知らないのなら教えてやろう。ショッカーとはその科学力と武力を持って世界を征服する組織の名だ!』

春香「え……やっぱり撮影か何か……」

マントの男『それは違う。ナチスドイツは知っているだろう。かの国の思想を受け継いだ組織、と言えば少しは理解できるかね?』

春香「それで、どうしてそのショッカーさんが私みたいな普通の女の子を誘拐するんですか?」

マントの男『普通ではない。君はアイドルだ』

春香「そりゃ……そうですけど」

マントの男『この国は素晴らしい。健康的な体、優秀な頭脳を持つ人材が一般人にも非常に多くいる。にも関わらず、危機意識は皆無に近い』

マントの男『これだけ素晴らしい素材にあふれた国だ。……ショッカーの再びの君臨は、やはりこの地より始まるのが相応しい』

春香「素材?何言ってるかわかりません。早く解放してくれないと、本当に誰かが気付いて警察を呼ぶかもしれませんよ」

マントの男『警察なぞにこの場所がわかるものか。我々の敵は警察では無かった。今まではな』

春香「今までは?」

マントの男『忌まわしい事に、警察はともかく、国家単位の軍事力は中々の物だ。武力のみによる世界征服はほぼ不可能と言っていい』

春香「そうですよ。まして私なんか拐ったところで……」

マントの男『で、あるから、人心から掌握する事にしたのだ。天海春香、アイドルは塔にぴったりでは無いか?』

春香(何を言ってるの……?やっぱり危ない人なんじゃ……)

51: 2012/12/14(金) 01:09:53.54 ID:EJs/L7p/0
マントの男『君にはこれより我々の広告塔になってもらおう。何、心配しなくていい。アイドル活動は続けられる』

マントの男『それどころか、ファンは世界中にできるだろう。そしてその情熱は宗教の域まで達する。まさに偶像として崇められる事になるのだ』

春香「そんな……私をどうするんですか!?」

マントの男『君には改造手術を受けてもらう。ショッカー最高にして究極の怪人、“ホッパー”として生まれ変わるのだ!』

白服「……」スッ

春香(この人達、どこから……手に持ってるのは、メス?)

春香「い、いや……いやぁっ!」

マントの男『君を皮切りに、日本は我々ショッカーが支配する。この死神博士の技術によってな!ふふふ……ふはははははは!』

……。

春香「うわぁっ!!」ガバッ

春香「っは……はぁ……夢……?」

春香「私の部屋だ……こ、怖かったぁ……」

春香「うわ、パジャマびしょびしょ。シャワー浴びてから事務所行かないと……」

春香「朝から憂鬱だなぁ……」

55: 2012/12/14(金) 01:12:47.12 ID:EJs/L7p/0
春香「おはようございます……」ガチャ

P「おう、おはよう」

小鳥「おはよう、春香ちゃん」

春香(ふたりともいつも通りだ……やっぱり夢だったみたい)

P「どうした、まだ疲れてるのか?」

春香「あ、はい……どうもそうみたいです」

P「はは、昨日は大変だったみたいだしな」

春香「えっ?」

P「慣れないジャンルだからなぁ。しばらくはそんな感じかもしれないな」

小鳥「疲れた顔してるわよー。ほら、元気が一番!はい、コーヒー飲んで目覚しましょ」コトッ

春香「ありがとうございます、小鳥さん。……あの、プロデューサーさん。昨日は……」

P「ん?ああ……いいよ、別に。ちゃんと帰宅連絡はくれたからな」

春香「帰宅連絡?あの、それって……」

真「おっはようございまーす!今日も一日、頑張りましょー!」バタンッ

58: 2012/12/14(金) 01:15:49.07 ID:EJs/L7p/0
P「おはよう。真は朝から元気だな」

真「へへっ、それが取り柄ですから!あ、春香。体大丈夫?」

春香「あ、うん。なんとか……」

真「びっくりしたよー。昨日タオル取って戻ってきたら春香いないんだもん。何事かと思っていろんな人に声かけまくっちゃったよ」

春香「あ、えっと……真、あの後私、どうしてたか知らない?」

真「え?……春香、本当に大丈夫?」

P「……ま、よっぽど疲れてたんだろうな。帰ってすぐ寝ちゃったらしいし」

真「春香、昨日ボクとプロデューサー置いて帰っちゃったんだよ」

春香「私が……?」

P「ああ。心配してたんだけど、お前のお母さんから連絡があってな。ふらっと帰ってきたと思ったらそのまま寝ちゃったってさ」

春香「そうなんですか……全然覚えてないや」

春香(けど、ベッドで寝てたし……よっぽど疲れてたのかな?)

60: 2012/12/14(金) 01:18:39.04 ID:EJs/L7p/0
真「今度から春香も一緒に走る?体力つけなきゃ!」

P「それがいいかもな。どうする?春香」

真「え、それはちょっと……勘弁してもらいたいかな~、なんて」

小鳥「私もダイエットの為に付きあおうかしら、なんちゃって!」

P「……いや、それがいいかもしれませんよ」

小鳥「ちょ、ちょっと!?」

春香「あはは……」

……。

P「よーしそろそろ出るぞー。春香、準備いいか?」

春香「あ、はーい。カップ片したらすぐに……」ピキッ

春香「あっ」

パリーンッ

P「春香っ!怪我ないか!?」

65: 2012/12/14(金) 01:21:41.10 ID:EJs/L7p/0
春香「は、はい。あの、ごめんなさい」

P「見せてみろ……あー、取っ手とれちゃってるな。小鳥さーん。これお任せしていいですか?」

小鳥「おかしいなー、新品だったんですけど……もしかして不良品掴まされたかしら。掃除はやっときますから、お仕事行ってらっしゃい」

春香「すみません、小鳥さん。カップ壊しちゃって……」

小鳥「いいのいいの。春香ちゃんに怪我がなくて良かったわ。じゃ、がんばってね」

真「あ、ボクも手伝いますよー」

P「春香、ちょっと力入れすぎじゃないか?なんて、普通に無理だよな。陶器だし」

春香「そうですよー。そんなに馬鹿力じゃないですっ!」

P「はは、そうだよな。よし、それじゃ行こう」

春香「無理……だよね……?」

……。

春香「はぁ……」

P「お疲れ。今日は災難だったな」

春香「うぅ、はい……どうしちゃったんでしょうか。ちょっと触っただけなのにセットは欠けるし、マイクは壊れちゃうし……」

P「春香のせいじゃないよ。壊滅的にツイてない日なんだろ、多分」ポンポン

66: 2012/12/14(金) 01:24:39.29 ID:EJs/L7p/0
春香「だといいんですけど……」

P「えっと……今日はこれで終わりだっけか」

春香「あの、プロデューサーさん。相談したい事が……」

ブーッブーッ

P「っと、律子からだ。話は後でな。もしもし?律子?……ああ、今局だけど……何?」

P「悪い、春香。相談にのるのはまた今度だ」

春香「何かあったんですか?」

P「……亜美が、帰ってこないって」

春香「亜美が……?」ハッ

『アイドルは広告塔にはぴったりだろう』

P「春香、一人で帰れるな?俺、これからいろいろ回らないといけなくなったから」

春香「はい、大丈夫です。あの、何かわかったら……」

P「うん、連絡するよ。春香も何か気付いたら教えてくれ」

春香「わかりました。プロデューサーさん、その……気をつけて」

P「おいおい、俺が心配されるのか。まぁ、忠告は受け取っとくよ。春香の方こそ気をつけてな」

67: 2012/12/14(金) 01:27:28.76 ID:EJs/L7p/0
春香「……とりあえず、事務所で待ってるのが一番かなぁ」

……。

春香「すぅ……はぁ……落ち着いて、焦ったら駄目。きっとプロデューサーさんが何とかしてくれるはず」

春香「事務所までの道で何か見つけられるといいんだけど……あれ?」

春香「亜美の携帯……っ!?」

春香「やっぱりそうだ!ってことは、この辺りで……?」

春香「落ち着いて、落ち着いて……とにかく、一度プロデューサーか小鳥さん辺りに……」

春香「すぅ……はぁ……落ち着いて、落ち着いて……はぁ……はぁ、はぁ、はぁ……」

春香「亜美……亜美っ……」ザワザワ

男「今日寒くねー?」

女「明日何時だっけ?」

男「あ、それいいな。どこで見つけたんだよ?」

「……ゃだ……」

女「風邪ひいたかもー」

69: 2012/12/14(金) 01:30:20.36 ID:EJs/L7p/0
春香「……今、聞こえた!」

春香「……亜美っ!」ダッ

春香(お願い、無事でいて!今、今助けるから!)

春香「声はこの辺で……どうしよう、人通りも全然無いし、もし見つけても……」

春香「あの車……違ってたら、後で謝ろう!」

春香「こん……のぉっ!」バキッメキメキッ

男「な、なんだ!?ドアが外れて……」カチャカチャ

亜美「はるるん……?」

春香「亜美っ……」

春香(男の人が、下を脱いで……亜美、まさか……亜美っ!)ガシッ

男「うっ!苦し……天海春香が、なんでここに……」

春香「……せない」グググ

亜美「は、はるるん?」

春香「許せない……!」バリーンッ

男「ぎゃあああああ!顔っ、窓ガラスで、顔がっ!い、痛いよぉ!」ジタバタ

71: 2012/12/14(金) 01:33:34.25 ID:EJs/L7p/0
春香「死……」グッ

男「まっへ、やめ、死んじゃ……」

亜美「はるるん!もう良いって!」

春香「あ、亜美……」

亜美「亜美、何もされてないから!まだ何も……それ以上やったら、その人死んじゃうってば!」

春香(私……今、殺そうと……?)

亜美「もう何もしなさそうだしさ、怖かったけど、はるるん来てくれたし……それに……」

亜美「今のはるるんの方が、なんか、怖いよ……」

春香「あ……」パッ

男「ぐえっ!も、もうしません、許してください……」ガタガタ

春香「亜美、本当に何もされてないの?」

亜美「うん。もうちょいでヤバかったっぽいけどね」

72: 2012/12/14(金) 01:37:17.80 ID:EJs/L7p/0
春香「良かった……本当に良かった……」ギュッ

亜美「ちょ、はるるん、痛い……苦しいって!」

春香「ご、ごめんね!えっと……」

亜美「あ、はるるん。兄ちゃんに連絡しないと」

春香「あっ、そうだよね。携帯……そうだ、亜美の携帯も拾って来たんだよ」

亜美「マジ!?良かったぁ~、車ん中入れられる時落としちゃって、もう戻ってこないと思ってたよ~」

春香「うん、えっと……あ」グシャッ

亜美「えー、こんなんなっちゃってる……もー、はるるん気合い入れすぎだよー」

春香「あはは……私の携帯でプロデューサーさん呼ぶね」

春香(亜美、あんまりこっち見てくれない……怖がらせちゃったかな……)

……。

75: 2012/12/14(金) 01:40:25.22 ID:EJs/L7p/0
P「亜美、なんともなかったって。ただ怖い目にあったから、しばらくは……」

春香「そう、ですか……」

P「春香は検査しなくていいのか?」

春香「あ、ええ、私は……あの人の血しか付いてませんし」

P「……そうか」

シーン……

P「しかし、驚いたな。行ってみたら車はベコベコ、ドアは取れてるし大の男が泣いて顔から血を流しながらうずくまってるし」

春香「……あはは」

P「今日が色んな物壊しちゃう日で良かったかもな。お陰で亜美も助かった、ありがとう」

春香「私なんて……たまたまですよ、たまたま」

P「亜美は律子が送ってくってさ。……春香、今日言ってた相談したい事ってなんだったんだ?」

『今のはるるんの方が、なんか、怖いよ』

春香「……なんでもないんです。プロデューサーさんも疲れたでしょうから、また今度で」

79: 2012/12/14(金) 01:42:24.27 ID:EJs/L7p/0
春香「……なんでもないんです。プロデューサーさんも疲れたでしょうから、また今度で」

P「そうか。あのな、春香。俺はプロデューサーで、プロデューサーの仕事はお前たちを輝かせる事だろ」

P「……まだまだ未熟だけど、その為に出来る事はなんだってする。だから、お前の顔がそんな風に曇ってしまう事があるなら、いつでも取り除く」

P「だから、気兼ねせずに相談してくれ。無理には聞かないけど。……送ってくよ」

春香「……ありがとうございます」

春香(ごめんなさい。あなたには、きっと相談できない)

……。

春香「頭の中ぐちゃぐちゃで、良く寝られなかったや……けど、一応事務所には行かないと。昨日の今日だし」

春香「おはようございま……」ガチャ

真「おおっ!来た来た、ヒーローの登場だ!」

春香「ひ、ヒーローって……真、いきなり何言ってるの」

真「またまたー、謙遜しちゃって。聞いたよ、昨日の春香の活躍」

春香「もー、言っちゃったんですか?」

P「いや、その……みんな心配だったみたいでさ。なるべく簡潔に説明しようとしたらついな……」

83: 2012/12/14(金) 01:47:11.67 ID:EJs/L7p/0
真「いいじゃんいいじゃん!ね、みんな!」

あずさ「そうよ~、すごいじゃない春香ちゃん。大活躍よ」

春香「そんな、たまたま見つけられただけで……」

伊織「見つけたのはたまたまかも知れないけど、その後は違うでしょ?聞いたわよ、アイドルにあるまじき大暴れ。やるじゃない!にひひっ」

やよい「うっうー!すごいです春香さん!ヒーローみたいです!」

雪歩「ほんと、すごいよね。私じゃまごまごしちゃって、何も出来なかったかも……春香ちゃん、すごいよ」

律子「あんまり危ない事するのは関心できないけど、お陰で亜美は無事だった。……いろんな意味で、感謝してるわ。ありがとう」

美希「車のドア壊しちゃったって聞いたの。春香って見かけによらずすっごく強いんだね」

響「自分がいたら春香だけに無茶させなかったんだけどなぁー。何も出来なかったのが悔しいぞ!」

貴音「真、勇気ある行動ですね。春香の仲間を想う気持ちは本物なのでしょう」

真「ボクもそんな活躍してみたいなー!悪いヤツをビシバシーってね!」

春香(ああ、みんなにとっては私の悩みもその程度なんだ)

春香(そりゃそうだよね。こんなわけのわからない事……誰にも理解されるはずない)

春香(理解できないくせに、面白半分でこんな……こんな風に……!)ドンッ

85: 2012/12/14(金) 01:49:04.71 ID:EJs/L7p/0
P「春香!」

春香「えっ、真……?」

真「……いきなり何すんだよ春香!」

春香「あっ、その、私……」

小鳥「ほ、ほら。春香ちゃんも現場を見ちゃったわけだから、まだ混乱してるのよ。ね?」

春香「そ、そうなんです。ごめんね真、その、立てる?」

春香「ほら、手……」

真「……」パシンッ

春香「あ……」

真「あ……ごめ、春香……」

春香「わた、私、その……う……」ダッ

千早「春香っ!」

春香(ごめんね、真。ごめんね、千早ちゃん。ごめんね、プロデューサーさん)

春香(あれ、そういえば千早ちゃんだけは何も言わなかったな……)

春香(……どっちにしろ、戻れないよ。私は……)

87: 2012/12/14(金) 01:51:23.08 ID:EJs/L7p/0
『すまない。間に合わなかった』

『あの、間に合わなかったって……』

『君の体は既に、俺と同じ存在に改造されてしまった。なんとか洗脳前に救い出す事は出来たが……』

『え、改造……この傷……』

『傷は消える。よほど激しい怒りを覚えない限り浮かぶ事もない。だが、君はもう人間ではない』

『人間じゃない……?』

『人間外の力を持つ改造人間だ。細胞の大半が人造の物に置き換えられている。人より遥かに強い力を手に入れる代償として、人らしさを失ってしまったんだ』

『うそ、だって、私は』

『良く聞いてくれ。君のその体を戻す事は出来ない。しかし君の心は人間だ。人の心で、その体をどう使うか。それを考えて欲しい』

『そんな、私、無理です、そんなこと』

『……君はいつか、俺を呪うだろう。助けてくれなくてよかったと。いっそ脳も改造されて、何もわからなくなった方が幸せだった。そう言う日が来るだろう』

『……』

『だが、もしそれを乗り越えられたなら……もしかすると君は……』

春香「全部、思い出した。こんな……こんな事なら……助けてくれなくてよかったのに」

春香「……ここ、どこだろう。随分走っちゃった」キョロ

90: 2012/12/14(金) 01:54:16.68 ID:EJs/L7p/0
春香「……ふぅ。ちょっと喉乾いたな。あ、あそこ」

“喫茶 アミーゴ”

春香「変な名前。でもいいや。何か飲み物……」カランカラン

マスター「いらっしゃい」

春香「あ、はい……」

マスター「注文は?」

春香「あっあの、ええと……アイスコーヒーを」

マスター「……」カチャカチャ

春香(いい香りだけど、お客さんいないなぁ。流行ってないのかな)

春香(あ、店員さんが何か無愛想だから……かも。ちょっと怖いな)

マスター「どうぞ」トンッ

春香「え、あれ、あの、これホットで……」

マスター「……ヨーロッパでは、ホットコーヒーに氷を入れて冷ますのがアイスコーヒーというんだ」

春香(そうなんだ。知らなかった……けど、冷たいのが飲みたかったんだけど)

マスター「心配しなくとも、熱くはない。飲みやすいはずだよ」

92: 2012/12/14(金) 01:57:27.73 ID:EJs/L7p/0
春香(まぁ、いいか……)ゴク

春香「あ……」

春香「美味しいです、すごく」

マスター「それは良かった」

春香「あの、マスター」

マスター「……俺の事か。そう呼ばれるのにまだ慣れてないんでねぇ」

春香(レトロな感じだけど、開店したばっかりなのかな?)

春香「なら、なんて呼べばいいですか?」

マスター「知り合いは、おやじさんと呼ばれていたから、その方が馴染みがある」

春香「なんでおやじさん……変なの」クスクス

おやじさん「そうかな?」

春香「じゃあ、おやじさん……少しだけ、お話してもいいですか?」

おやじさん「……」コクリ

春香「私ね、すごいんですよ。こう見えて、すっごい力持ちなんです」

おやじさん「そうなのか」

94: 2012/12/14(金) 02:00:12.53 ID:EJs/L7p/0
春香「そうなんですよー。でもね、筋トレしたとかじゃなくて、実は私の体は人間じゃないんです。悪の組織に改造された改造人間なんですよ」

おやじさん「そうなのか」

春香「それでね、悪の思想を植え付けられる前に脱走して、普通の人間に混ざって……今まで通りに、暮らそうとするんですけど……」

春香「もう、人間じゃないから、失敗しちゃって。今までの友達とか、好きな人とかに、怖がられ……ちゃって……」

春香「それで、どうしたらいいか、わかんなくなって。こんな事なら、何もわからなくなって、悪の怪人になってた方が良かったかも、なんて」

春香(今日会ったばかりの人に何を言っているんだろう、私。何を期待してるのかな)

おやじさん「……まるで、仮面ライダーだな」

春香「仮面ライダー?」

おやじさん「君くらいの歳の子は知らないかもしれないねぇ。悪の組織に改造された体で、悪の組織と戦う改造人間の名前だよ」

春香「知ってますよ、だってそのシリーズまだやってますもん」

おやじさん「そうか」

春香「……」

おやじさん「仮面ライダーは、人間の心に人外の体を持って、悩んだ。愛する資格も愛される資格も失ったと知って絶望した」

おやじさん「だけど、彼は戦ったんだよ。自分以外の、全ての人の為に」

95: 2012/12/14(金) 02:03:15.70 ID:EJs/L7p/0
春香「何ででしょうね。自分は人じゃないのに。どれだけ相手の事を思っても、相手は化物を見るような目で……」

おやじさん「彼は、それでも人が好きだったからだ」

おやじさん「相手がどう思っていようと、彼は人間が大好きだった。友達や、友達の友達。みんなが大好きだった。だから、命を賭けて戦った」

おやじさん「そうしたら、理解者が出来、友人や仲間が出来……テレビの前の子供達に愛される存在になった」

春香「……それが、仮面ライダー」

おやじさん「君はどうなんだ?今までの友達や、君の好きだった人を、もう嫌いになったのか?」

春香「……そんなこと」

春香(事務所のみんな……プロデューサーさん……真……千早ちゃん……お父さん、お母さん……)

春香「みんな、大好きに決まってるじゃないですか」

おやじさん「……そうか」

春香「でも、私は……もう戻れないんです。だって、友達に酷い事を……それに、私の体はもう……」

おやじさん「それを決めるのは君じゃあないんじゃないか?」

春香「私じゃない……?」

おやじさん「もう一度、話してみたらいい。友達なら、きっと聞いてくれるだろう」

98: 2012/12/14(金) 02:06:07.13 ID:EJs/L7p/0
春香「……そうなんでしょうか」

おやじさん「きっとね」

春香「あ、おやじさん。最後に名前、教えてもらっていいですか?」

おやじさん「ん?」

春香「友達と、また来ますから。良ければ」

おやじさん「ああ……俺の名前は……」

春香「コーヒー、美味しかったです。それじゃ、また!」

おやじさん「……ありがとうございました」カランカラン

春香「なんか、不思議な人だったなぁ。ライダーファンなのかな」

春香「……友達なら聞いてくれる、か。本当に、そうだといいんだけど」

春香「どちらにせよ、またきっと来ます。本郷さん」

……。

100: 2012/12/14(金) 02:09:19.37 ID:EJs/L7p/0
春香「えーと、ここを曲がったような……そうじゃないような」

千早「春香……?」

春香「あ……」

千早「……心配したのよ?」

春香「うん。ごめんね、千早ちゃん」

千早「真も別に怒ってないわ。事務所に帰りましょう」スッ

春香「……やっぱり、無理だよ」ボソッ

千早「えっ?」

春香「ごめん、千早ちゃん。来ないで」

千早「春香……?」

春香「私、帰るね。プロデューサーさんには……」

千早「春香、やっぱり何か悩んでるのね?」

春香「えっ、どうして……」

千早「見ればわかるわ。でも、みんなも悪気があったわけじゃないのよ」

101: 2012/12/14(金) 02:12:11.55 ID:EJs/L7p/0
春香「それは、うん。わかってる、んだけど……」

千早「私は、春香が深刻そうだから……あまり茶化すのもどうかなって思って黙っていたのだけれど。注意すべきだったかもしれないわね」

春香「そんな事、ないよ」

千早「どうしたの、春香。どこか痛いの?」

春香「来ないでっ!」

千早「……」

春香「来ないで、千早ちゃん。私、私は……」

千早「よっぽど、深刻な悩みなのね」

春香「私は、千早ちゃんに心配してもらう資格なんか無いんだよ」

千早「何を言うの。友達の心配をする事がそんなに変かしら?」

春香「私はもう千早ちゃんの友達じゃないから」

千早「春香、落ち着きましょう?」

春香「落ち着けないよ!千早ちゃんにはわからないんだから。私がどんな気持ちでいるか」

102: 2012/12/14(金) 02:15:15.17 ID:EJs/L7p/0
春香「私は、もう人間じゃないんだよ?ちょっと力を入れたら何だって壊せちゃう」

春香「コップだって、セットだって、マイクだって、人だって」

春香「見て、千早ちゃん。この手。自分で言うのもなんだけど、可愛い手でしょ?」

春香「だけど、この手を取れる人はいないんだよ。私が握れば、その手は砕けてしまうから」

春香「だから、だから……もう、私は誰の友達でも、仲間でもない。アイドルも、やめ」

千早「春香!!」

春香「」ビクッ

千早「それ以上言っちゃ駄目よ」スッ

春香「千早ちゃん、近寄らないで。本気で止めようと思ったら、千早ちゃんくらいすぐ……」

千早「そうね。真をふっ飛ばしたんだもの、私に同じようにするのは簡単でしょうね」グイッ

春香「千早ちゃ……」

千早「綺麗な手。本当に可愛らしい手ね。で、何て言ったのかしら。この手を取れる人はいない?」グッ

春香「千早ちゃん!首、危ないから!離して!」ギリギリ

千早「うっ、くっ、かはっ……なに、が、危ない、よ……私のこの、ほそ、い、首も……折れない、で」

103: 2012/12/14(金) 02:18:15.26 ID:EJs/L7p/0
春香「ダメだってば!」バッ

千早「けほっ、ごほっ……」

春香「だめだよ、そんなことしちゃ!千早ちゃん、歌えなくなっちゃうよ!?」

千早「私が歌えなくなった時、助けてくれたのは春香だわ」

春香「……千早ちゃん」

千早「だから、春香のためならもう一度歌えなくなっても構わない。……春香が友達じゃないって言っても、私にとって春香はずっと、かけがえのない親友だもの」

春香「ちはや、ちゃ……」

千早「手」ギュッ

春香「あ……」

千早「ちゃんと握れるじゃない」

春香「うん……うん……」

千早「さ、事務所に帰りましょ」

春香「ありがとう、千早ちゃん……」

……。

105: 2012/12/14(金) 02:21:10.51 ID:EJs/L7p/0
春香「うぅ、緊張する……」

千早「大丈夫よ、誰も怒ってないから。むしろみんな心配してるわ」

春香「本当の事言っても、信じてもらえないかも……」

千早「そうかもしれない。でも、私は信じるわ」

春香「……うん」

千早「開けるわね」ガチャ

春香「あのっ……?」

シーン……

千早「あら?おかしいわね、さっきまで……みんな、春香を探しに行ったのかしら」

春香「でも、誰も事務所にいないなんて変じゃない?」

千早「確かに、それは変ね……どうしたのかしら」

千早「……あら?なにかしら、この手紙」カサッ

春香「そのマーク……!」

千早「事務所の連中は預かった、返して欲しければ……何、これ」

春香「千早ちゃん。場所は書いてある?」

108: 2012/12/14(金) 02:24:08.07 ID:EJs/L7p/0
千早「え、ええ。だけど天海春香一人で来いって……」

春香「……じゃあ、行ってくるよ」

千早「無理よ!危ないわ!」

春香「大丈夫だよ」

千早「まず警察に……でも、通報したのがバレたらみんなが……どうしたら……」

春香「大丈夫、なんだよ。千早ちゃん」

千早「何を言っているの、そんな事……」

春香「私は大丈夫。だって、私は……」

春香「今から仮面ライダーだから」

……。

ザッザッザッ……

黒服「来たか、天海春香。いや、ホッパー!」

春香「みんなはどこ!?」

黒服「あそこで眠っている。ホッパーよ、貴様は失敗作だ」

110: 2012/12/14(金) 02:27:11.89 ID:EJs/L7p/0
春香「失敗作……?」

黒服「そうだ。脳改造前に邪魔が入り、素晴らしいショッカーの思想を理解していない」

黒服「今からでも間に合うぞ?我々の元へ来れば、素晴らしい悪の世界が開けるのだ!そこの連中を始末してからな!」

春香「悪いけど、遠慮しておこうかな」

黒服「愚か者め……ではここで始末する!変身!」ザワザワザワ

蜘蛛男「怪人態になる方法も知らん貴様なら、私一人で充分だ!ふははははは!」

春香「……」

『もし君がそれを乗り越え、君の力を使う事を決めたなら……』

『これから俺がやるポーズを取り、体の中にあるスイッチを入れるんだ』

『燃える闘志とそのスイッチがあれば、君の体はその力を100%発揮する事ができるようになる』

春香「なり方なら……」スッ

春香「あの人に聞いたから」ススッ

蜘蛛男「何!?貴様……」

113: 2012/12/14(金) 02:30:10.20 ID:EJs/L7p/0
春香「ライダー……」グルン

『もし君がそれでも、正義の為に戦うならば……』

春香「変」

『俺と同じ、仮面ライダーを名乗るといい』

春香「身!」シュバッ

蜘蛛男「……ふふふ、ふはははははは!やはり、やはり貴様が邪魔をするか!ならば良かろう!また戦おうではないか!」

蜘蛛男「仮面ライダーよ!」

……。

116: 2012/12/14(金) 02:39:36.32 ID:EJs/L7p/0
千早「春香……大丈夫かしら……」

ドサッ

千早「外……?まさか、春香!」ガチャ

春香「あ、千早ちゃん……」

千早「大丈夫!?やっぱり何かされたとか……」

春香「ううん、大丈夫。私ね、勝ったよ」

千早「春香……」

春香「みんなも無事。一応、警察に連絡したから大丈夫なはずだけど……あ痛」

千早「怪我してるの?」

春香「打ち身かな?大したことないよ」

千早「もう!だから危ないって言ったのに!」

春香「いたたた……ごめんね、千早ちゃん」

千早「いいわ、無事だったから。でももうこんな真似はやめて。私、心配で……」

春香「うん……だけどごめん。私、まだ戦わなきゃいけないんだと思う」

千早「何を言ってるの、春香がそんな事しなきゃいけない理由なんて……」

119: 2012/12/14(金) 02:54:30.04 ID:EJs/L7p/0
春香「あるの。あるんだよ」

春香「だって私は、仮面ライダーだから」

千早「仮面、ライダー」

春香「そう。なんだっけ、プロデューサーさんに聞いたんだけどな。えっと……」

千早「……」スゥ

千早「仮面ライダー、天海春香は改造人間である。彼女を改造したショッカーは世界制覇を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは人間の自由のために……」

千早「ショッカーと戦うのだ、ね」

春香「わ、すごい。知ってたの?」

千早「その、弟が好きだったから。昔は良く一緒に見たのよ」

春香「そっか……男の子だもんね」

千早「ふふっ、仮面ライダーの友達なのよ、なんて。いろんな所で自慢できそうね」

春香「じょ、冗談じゃないんだよー。本当に私は……」

千早「……」ギュッ

春香「わっ、ち、千早ちゃん!?」

121: 2012/12/14(金) 03:02:29.92 ID:EJs/L7p/0
千早「わかってるわ。嘘なんかじゃないって。でも、本当に心配なの。本当に……」

春香「千早ちゃん……」

千早「きっと、止めても無駄なんだと思う。だって春香、誰よりも私達の事を考えてくれてるもの」

千早「人間の自由のために、それってつまり、私達のために戦うんでしょう?」

春香「……うん。多分、ショッカーはこれから動き出すんだと思う。だから、私が戦わないと」

千早「わかってるわ。現実にみんなが巻き込まれたんですもの。だけど、忘れないで。私は、それからみんなも、いつも春香の事を心配しているから」

春香「えへへ、嬉しいな。だったら私、頑張っちゃうよ」

千早「……止めても無駄なら、せめて応援させてもらうわ。がんばって、正義の味方」

春香「……うん」

……。

マントの男「蜘蛛男が敗北したか……」

軍服の男「それも計算の内だろう。やはり、こうでなくてはな」

被り物の男「仮面ライダー、そしてショッカー。最早忘れ去られた我々の事を思い出させてやろうではないか」

マントの男「新たな仮面ライダー、天海春香。貴様を打ち倒し、今度こそショッカーによる世界制覇を成す!」

ふふ、ふははは、はーっはっはっはっは……

122: 2012/12/14(金) 03:06:32.24 ID:EJs/L7p/0
P「しかし、昭和から全部見たいなんてなぁ。えらく勉強熱心だなふたりとも」

春香「だって、プロデューサーさんがあれだけハマっちゃう仮面ライダー、見たくなったんですもん」

真「そーですよ。楽しみだなぁ、やっぱりアクションがこう……」

P「で、千早はどうして?」

千早「私がいてはいけないでしょうか?」

P「いや、興味持ってもらえるのは嬉しいんだけど。なんというか、意外というか」

千早「先輩の活躍を見ておこうと思っただけです」

P(芸能界の先輩って意味かな?千早にしちゃ珍しいな)

真「いいから早く見ましょうよ!長いんですから、ちゃっちゃとこなしていかないと!」

春香「そうそう、全部見るんですからね!何日かかっても!」

千早「……長いの?」

P「長い。ま、ヤル気があるのは良い事だ。じゃあ初代、仮面ライダーから行くぞー」

真「わくわく……」

春香「どきどき……」

123: 2012/12/14(金) 03:08:27.98 ID:EJs/L7p/0
『仮面ライダー本郷猛は改造人間である……』

春香(……ん?本郷、本郷……あれ、嘘、まさか、そんな)

春香「あーっ!ほ、本物だー!」

P「!?」ビクゥ

おわり

124: 2012/12/14(金) 03:09:53.86

まさかの方向で驚いたけど面白かったよ

125: 2012/12/14(金) 03:10:39.84
乙彼

127: 2012/12/14(金) 03:11:34.85 ID:EJs/L7p/0
次回予告

やよい「うっうー……べろちょろの中身ばら撒いちゃいましたぁ」

撮影に向かった現場で小銭を振りまいてしまったやよい。

やよい「あれ?これ、お金じゃない……なんだろう、綺麗ですぅ!」

拾った小銭に混ざって、赤い鳥の刻まれたメダルを拾う。
メダルを追うように現れた怪物。その時べろちょろからメダルとベルトが吐き出された。

べろちょろ「おいお前!これを使え!」

やよい「べ、べろちょろが喋った!」

べろちょろ「いいから早くしろ!腰に巻いてメダルを差し込むんだ!」

べろちょろの指示に従うやよい。

やよい「へ、変身!」シュッ チャリンチャリンチャリン

タカ!トラ!バッタ!タ!ト!バ!タトバタ!ト!バ!

やよい「今の歌、なんですかぁ!?」

べろちょろ「歌は気にするな!」

次回、アイドルマスター『アイドルは、助け合いですよね!』

130: 2012/12/14(金) 03:14:21.64 ID:EJs/L7p/0
以上。
冒頭でPが言っているのはライダーファンの中でも「極端な」お話。
実際、ライダーってこうだっけ?って思う事はあっても面白くなかったライダーは無いと自分は思ってます。
まぁ、ファン層が違うとか映画出過ぎとかで目障りに感じる事はありますが・・・誰とは言わん。

たまには昭和ライダーの話とかしたいなぁって思って書いたけど、勢いで物を書くべきじゃないと思った(KONAMI)
自分はシリーズとしてはBLACK(RX含む)、ライダーだけなら真かアナザーアギトが好きです。
遅くまでかかってしまい申し訳ない。ありがとうございました。

134: 2012/12/14(金) 03:24:48.01


ライダーは比較的昭和と平成の垣根は低い方だと思うんだけどな
ガノタ同士の争いとか本当に見るに耐えないし

135: 2012/12/14(金) 03:27:41.07
乙でござった!

137: 2012/12/14(金) 03:29:28.15
おのれディケイド!
昭和と平成の垣根も破壊されてしまった!

引用元: P「平成ライダーとか(笑)」