1: 2010/06/30(水) 21:19:07.59 ID:1jPYnrgF0
憂「おねーちゃん、朝だよーっ」

唯『うーん、お早う憂ー』

憂「朝ごはんできてるよ」

唯『うん、今行くよー』

唯『……』

唯『ぐう』

憂「お姉ちゃんったらー」

2: 2010/06/30(水) 21:23:45.62 ID:1jPYnrgF0
憂「どう?お姉ちゃん美味しい?」

唯『おいしい!』

憂「ふふっ、良かったー」

憂「あっ、お姉ちゃんお口についてるよっ」

唯『憂とってー』

憂「いいよっ」フキフキ

憂「はい、取れた」

唯『ありがとー憂!』

憂「えへへっ」

憂(お姉ちゃん、かわいいなー)

3: 2010/06/30(水) 21:29:42.66 ID:1jPYnrgF0
憂「そろそろ学校行かなきゃ」

唯『うん!』

憂「今日もいい日だといいね」

唯『きっと楽しい一日になるよっ』

憂「そうだねっ」

唯『ねー、憂?』

憂「なあにお姉ちゃん?」

唯『手つないでいこっか?』

憂「えーっ、なんか恥かしいよー」

唯『いいじゃん』ギュッ

憂「お姉ちゃん…///」

4: 2010/06/30(水) 21:38:58.30 ID:1jPYnrgF0
唯『あっ、和ちゃんだ!』

憂「ほんとだっ、お早う和ちゃん!」

和「あっ、お早う憂」

唯『おはよー』

和「今日も姉妹で仲良く登校なの?」

憂「うん、私達いつも一緒だからっ」

唯『仲良しだもんねっ』

憂「えへへ」

和「そうなんだ」

憂「それじゃあ、和ちゃん、お姉ちゃんをよろしくお願いします」

和「ええ、それじゃまたね憂」

5: 2010/06/30(水) 21:49:54.36 ID:1jPYnrgF0
憂の教室!

梓「それで、『ふざけるなっ』て澪先輩が律先輩にげんこつしちゃって」

純「あははっ、あの二人、いつもそんな感じなんだね」

梓「でも、ホントは仲がいいから出来るんだろうねー」

憂「お姉ちゃんも、澪さんと律さん、仲が良くて羨ましいって言ってたよっ」

梓「?」

純「お姉ちゃん?」

憂(あっ!いけないっ、つい言っちゃった!!!)

憂「あっ、いやっ、なんでもないのっ!」

梓「なんか憂って、たまにおねえ…」

純「あっ!先生来たよっ」

憂「えっ、じゃあ私、席に戻るねっ」

憂(またやっちゃったよ、気をつけなきゃ…)

7: 2010/06/30(水) 21:56:45.46 ID:1jPYnrgF0
憂の家!

憂(今日はハンバーグ、お姉ちゃん喜んでくれるかな?)

唯『憂ー、ごはんまだーっ?』

憂「もう直ぐだからちょっと待っててね」

唯『早く食べたいよー』

憂「お姉ちゃんったら、食いしん坊さんなんだからぁ」

唯『だってぇ、憂のごはん美味しいんだもん!』

憂「ふふっ、ありがとうお姉ちゃん!」

10: 2010/06/30(水) 22:01:20.80
なんだこの・・・違和感・・・なにか・・・くる・・・

12: 2010/06/30(水) 22:07:24.68 ID:1jPYnrgF0
憂「それでお姉ちゃん、軽音部の方はどお?」

唯『すごく楽しいよっ、ムギちゃんの淹れてくれるお茶は美味しいし』

唯『毎日出してくれるお菓子も美味しいよっ!』

憂「食べ物以外は?」

唯『律ちゃんは楽しいし、澪ちゃんとムギちゃんは優しいし』

唯『あずにゃんもすっごく可愛いよ!』

憂「軽音部なのに、音楽の話は無いの?」

唯『あっ、そうだった、私達軽音部だもんねっ』

憂「お姉ちゃんったらーっ」

唯『えへへっ』

憂「うふふっ」

憂(お姉ちゃんと一緒だと楽しいな)

14: 2010/06/30(水) 22:15:19.16 ID:1jPYnrgF0
学校!

憂「あっ、律さん!」

律「えっ?」

憂(あっ、つい気安く声かけちゃった)

律「あっ、確か梓の友達のー」

憂「憂、平沢憂です」

律「憂いちゃんか、名前覚えてくれてたんだ、ありがとう」

憂「軽音部の皆さんの名前はみんな知ってますよ」

律「梓の奴、クラスで私達の噂してるんだなーっ」

憂「えーっ、梓ちゃん変な事言ってませんよー」

憂「軽音部楽しいって」

律「えへっ、そっか」

17: 2010/06/30(水) 22:19:45.03 ID:1jPYnrgF0
澪「おーい、律、おいてくぞーっ!」

律「あー、今行くよっ」

律「じゃあね、憂ちゃん」

憂「はい…」

憂「」

憂(お姉ちゃんのいる部活だもん、知らないわけないもんっ)

憂(お姉ちゃん…)

20: 2010/06/30(水) 22:27:54.31 ID:1jPYnrgF0
和「憂、こんな所にいたのね」

憂「和ちゃん…」

和「ちょっと話があるの」

憂「話って?」

和「唯のことよ…」

憂「私もっ、私も和ちゃんとお姉ちゃんの事話したかった!」

憂「和ちゃん以外、お姉ちゃんの話聞いてくれなくて」

和「……」

憂「昨日はね、お姉ちゃん、軽音部がんばるぞって張り切っちゃって」

憂「家でも寝るまでギターの練習してるんですよっ!」

和「……」

憂「張り切りすぎて、部活遅くならないといいんですけど」

和「……」

和「もうそろそろ終わりにしたいの」

憂「!!!?」

24: 2010/06/30(水) 22:36:21.55 ID:1jPYnrgF0
憂「終わりって……どういうことですか?」

和「もう私達高校生なの、わかるわよね?」

憂「……」

和「私はもう直ぐ大学生」

和「何時までも続けられないの」

和「こんな、妄想ごっこ!」

憂「!!!?」

憂「……何を、言ってるの和ちゃん?」

憂「変な和ちゃん」

憂「生徒会や勉強で忙しすぎて、おかしくなっちゃたのかなぁ?」

和「お願い憂っ!大切な話なの」

憂「そんなの知りませんっ」

憂「私、お家に帰って、お姉ちゃんの為に色々しなくちゃ」

憂「帰りますっ!!!」

和「待ってよ憂っ!!!」

25: 2010/06/30(水) 22:43:26.52
狂気を感じる

26: 2010/06/30(水) 22:45:22.12 ID:1jPYnrgF0
憂の家!

憂(和ちゃんのバカ)

憂(和ちゃんのバカっ!!!)

憂(お姉ちゃんの為にお料理するの)

憂(お姉ちゃんの為にお洗濯するの)

憂(お姉ちゃんの為にいい子でいるの)

憂(両親にほったらかしにされてるから)

憂(仕方なく炊事をしている訳じゃないっ!!!)

憂(両親の気を引くために)

憂(必死にいい子でいる訳じゃないよっ!!!)

憂(私はそんな寂しい子じゃないっ!!!)

憂(だって、だって、私には、お姉ちゃんが)

憂(大好きなお姉ちゃんがいるからっ!!!)

憂「……」

憂「ううっ、うっ、ぐすっ」ポロポロ

30: 2010/06/30(水) 22:54:23.44 ID:1jPYnrgF0
唯『ただいまーっ!』

憂「あっ、お姉ちゃんだっ!!!」

唯『あれっ?憂泣いてるの?』

憂「えへへっ、ちょっとね」グスッ

唯『可愛そうな憂、さあこっちにおいでっ』

憂「おねーちゃーん」ダキッ

唯『よしよし、いい子だね憂』

唯『憂にはお姉ちゃんがいるよ』

唯『寂しい事なんて、何もないんだよ』

憂「お姉ちゃんっ!おねえちゃんっ!!!」

憂「お姉ちゃんは、ずっと私と一緒だよねっ!?」

憂「離れ離れにはならないよねっ!?」

唯『心配しなくても、ずっと一緒だよ』

憂「よかったーっ!お姉ちゃん大好きっ!!!」

唯『私もだよっ、憂』

32: 2010/06/30(水) 23:07:15.74 ID:1jPYnrgF0
学校!

和「憂っ!」

憂「和ちゃん…」

和「昨日の話の続きなんだけど…」

憂「そんな話っ、したくありませんっ!」

和「憂…」

憂「決めたんですっ!私達は、ずっと一緒にいますっ!!!」

和「そんな訳にはいかないわっ」

和「きっとこれは変な事なの、もしかしたら病的なものかも…」

憂「ははっ、何を言ってるんです?いい加減にしてくださいっ!」

憂「いくら幼稚園から付き合いの和ちゃんでも」

憂「それ以上変な事言うと、私っ……許しませんよ」

和「……」

和(そう、私がいけないんだわ)

和(憂ちゃんに罪は無い、私がもっと早くに止めてあげればこんなことに…)

35: 2010/06/30(水) 23:18:36.66 ID:1jPYnrgF0
憂の教室!

梓「それでね、扇風機が壊れちゃって」

純「うっわー、最悪っ!聞いただけでこっちまで熱い」

梓「でもその時ムギ先輩が氷を持ってきててー」

純「えっ、そんな重いものをわざわざ?」

憂「あのさ、ちょっといいかな?」

梓「えっ、なに?」

純「改まっちゃってどうしたの?」

憂「例えばね、例えばの話だよ?」

梓「うん」

憂「私にお姉ちゃんがいるとしてね」

純「でも憂って一人っ子だよね?」

梓「だから例えばって、憂言ったじゃん」

憂「そのお姉ちゃんは、とっても可愛くてね」

憂「でも、ちょっとのんびり屋さんでー」

38: 2010/06/30(水) 23:28:53.15 ID:1jPYnrgF0
憂「私がいつも面倒を見てあげるの」

純「お姉ちゃんなのに?」

憂「うん、でも、私もそれが嫌じゃないというか」

憂「むしろ楽しみで、お姉ちゃんと私はいつも一緒にいるの」

純「憂はしっかり者だからね」

梓「それで、その話がどうしたの?」

憂「お姉ちゃんは軽音部に入ってるの!」

梓「えっ?」

憂「軽音部のみんなも、お姉ちゃんの事が大好きなんだよっ!」

憂「もちろん、お姉ちゃんも軽音部の事が大好きなのっ!!!」

梓「何言ってんのっ、憂っ!?」

憂「梓ちゃんのことも大好きで、あずにゃんって呼んで抱きついたりしてねっ!!!」

純「憂っ!ちょっと声が大きいよっ!」

39: 2010/06/30(水) 23:35:47.86 ID:1jPYnrgF0
ガヤガヤ

純「あー、みんなこっち見てるよー」

純「憂っ、興奮しすぎだよっ!」

純「落ち着いて」

憂「えっ?あっ……ごめん」

梓「」

梓「なんかさ」

憂「?」

梓「なんか変だよ憂」

憂「えっ?」

梓「あずにゃんって何?軽音部にお姉ちゃんがいる?」

梓「……」

梓「気持ち悪い」

憂「!!!?」

44: 2010/06/30(水) 23:46:52.26 ID:1jPYnrgF0
憂「そんな……」

純「そうかなーっ?別に気持ち悪くなんか無いよ」

憂「えっ…」

純「こんな姉妹がいたらいいなー、なんて」

純「誰もが一度は考える事じゃない?」

純「私だって澪先輩みたいなお姉さん欲しいし」

憂「純ちゃん…」

梓「違うよっ!」

梓「憂のはそんなんじゃないよ」

梓「私、さっきはちょっと怖かった」

梓「もう変な話はしないで」

憂「ごめんね、梓ちゃん…」

憂「」

憂(ううっ、お姉ちゃん…)

49: 2010/06/30(水) 23:56:36.01 ID:1jPYnrgF0
憂の家!

憂「お姉ちゃん!おねえちゃんっ!!!」

憂「帰ってきてっ!」

憂「今日は早く帰ってきてっ!」

憂「そうじゃないと、私おかしくなりそうっ!!!」

憂「おねーちゃーんっ!!!!」

シーン

憂「お姉ちゃん?」

憂「なんで今日に限って帰りが遅いの?」

憂「早く出てきてお姉ちゃんっ!!!」

憂「早くっ、早くっ!」

憂「私寂しくて死んじゃうっ!!!!」

憂「おねえちゃんっ!おねえちゃんっ!!!」

憂「おねーちゃーーーーんっ!!!!!!!!!!!!!」

憂「うぁあぁああ、ううっ、ああぁ、ひぐっ、ぐすっ」ポロポロ

54: 2010/07/01(木) 00:06:15.20 ID:9tJMLFCV0
私は小さな頃から寂しかった

両親は仲が良いし、お金持ちだった

だけど私を愛してはくれなかった

いろんな物を買ってもらった

素敵な学校にも入れてもらった

だけど、私と一緒にはいてくれなかった…

寂しかった私にも友達がいた

一つ上の和ちゃん

私は和ちゃんをお姉ちゃんにしたかったけど

和ちゃんはやっぱり他所の子

和ちゃんには和ちゃんの姉弟がいて

和ちゃんは違う人のお姉ちゃんだった

だから私は自分でお姉ちゃんをつくった

はじめは和ちゃんとのお遊びだった…

でも、今は違う、お姉ちゃんがいなければ……わたし……

58: 2010/07/01(木) 00:13:57.60 ID:9tJMLFCV0
ガチャ

憂(あれっ?玄関の開く音?)

憂「何方ですかーっ?」

唯「ただいま憂っ」

唯「ごねんね、ちょっと遅くなっちゃった」

憂「!!!?」

62: 2010/07/01(木) 00:21:51.76 ID:9tJMLFCV0
憂「お姉ちゃん?」

唯「!!!?」

唯「えっ!?」

唯「憂……」

唯「憂なんだよねっ?」

唯「本当に憂なんだよねっ?」

憂「そりゃそうだよ、でも、なんで?お姉ちゃん、まるで」

憂「現実にいるみたい…」

唯「ういーっ」ガバッ

憂「わっ!」

唯「会いたかったよっ、私、ずっと憂に会いたかったよっ!!!」

憂(お姉ちゃん、あったかいっ!)

憂(想像してたのよりずっと暖かいっ!!!)

憂「おねーちゃーん!!!」ダキッ

唯「ういーっ!!!」ヒシッ

63: 2010/07/01(木) 00:22:57.96
エエハナシヤアアアア

64: 2010/07/01(木) 00:23:02.70
おねえちゃあああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!

68: 2010/07/01(木) 00:26:38.28
なにがおきたんです?

69: 2010/07/01(木) 00:27:08.39 ID:9tJMLFCV0
ジリリリリリリリッ

唯「あっ、もう起きなきゃ」

憂『お姉ちゃん、起きてー朝だよっ』

唯「ありがとう憂っ」

唯「一緒に朝ごはん食べようね」

憂『うんっ』

70: 2010/07/01(木) 00:29:27.82
どういうことだ…

73: 2010/07/01(木) 00:34:28.27 ID:9tJMLFCV0
憂『どう?お姉ちゃん、おいしい?』

唯「うん!憂の作ってくれるご飯はいつも美味しいよっ!」

憂『えへへっ』

憂『今日もお弁当作ったんだよっ!』

唯「ありがとう憂っ」

憂『今日は手をつないで学校に行こうねっ』

唯「えーっ、ちょっと恥かしいよ…」

唯「でも、いいよね、私達仲良しだからっ」

憂『うんっ///』

76: 2010/07/01(木) 00:42:00.06 ID:9tJMLFCV0
学校!

律「さあっ、飯にしようぜ」

澪「ムギのお弁当は相変らず凄いな」

紬「沢山食べなきゃ、力がでないからー」

紬「澪ちゃんのお弁当も可愛いわねっ」

澪「そんなことないよ」

律「今日はタコさんウインナーでちゅか?ウサギさんりんごでちゅかぁ?」

澪「バカにするなっ」ゴン

律「いでぇーっ!」ヒリヒリ

律「おっ、唯のはー」

唯「!?」

78: 2010/07/01(木) 00:50:21.76 ID:9tJMLFCV0
律「相変らず、なんか地味だなっ」

唯「そんなっ」

澪「おい律っ、人のお弁当に文句言うなよっ」

澪「唯は私たちと違って、自分でお弁当作ってるんだぞっ」

唯「私、不器用だから、あんまり色々作れないから…」

律「ああっ、ごめん唯っ!そんなつもりじゃ」

紬「私、唯ちゃんのお弁当好きよ」

澪「唯、私のとおかず交換しないか?」

唯「えへっ、みんなありがとうっ」

唯「」

唯(でも違うんだもんっ)

唯(これは私が作った下手糞なお弁当じゃないんだもんっ!)

唯(憂が作ってくれた、美味しくて素敵なお弁当なんだもんっ!!!)

82: 2010/07/01(木) 01:01:25.36 ID:9tJMLFCV0
放課後!

和「ちょっと唯、いいかしら?」

唯「えっ、和ちゃん何?」

和「ちょっと話があるの」

唯「話って?」

和「憂の事なんだけど…」

唯「あっ、私も憂の話したかったんだっ!」

唯「みんなの前では、あんまり出来ないからね」

唯「今日も憂の作ったお弁当美味しかったんだよー」

唯「みんな誉めてくれたし、律ちゃんなんか羨ましがってさー」

和「嘘っ!」

唯「!!!?」

和「もうこういうのはダメよ」

和「ちゃんと現実を見なくちゃ…」

唯「何言ってるの?和ちゃん?」

87: 2010/07/01(木) 01:10:13.14 ID:9tJMLFCV0
和「元から間違ってたのよ」

唯「和ちゃん?」

和「あんな遊び、するんじゃなかった…」

唯「遊びなんかじゃないよっ!本当にいるんだもんっ!!!」

和「それがいけないのよ、ちゃんと向き合わなくちゃ、自分とっ」

唯「和ちゃんのバカっ!そんな酷い事和ちゃんは言わないよっ!!!」

唯「私と憂と和ちゃんは、ずっと仲良し、いつも一緒だったじゃないっ!!!」

唯「なのに…酷いよ」

唯「そんな話、したくないよ…」

和「唯…」

和(私が全部悪いの…)

和(ごめんなさい唯…)

91: 2010/07/01(木) 01:18:15.55 ID:9tJMLFCV0
帰り道!

唯(今日も軽音部楽しかったなぁ)

唯(でも、家に帰っても楽しいんだ)

唯(だって、憂が待っててくれるもん)

唯(私の為にごはん作ったり)

唯(お風呂わかしたり)

唯(今日も、いろいろ憂とお話するんだ)

唯(だから)

唯(家に帰っても真っ暗じゃないし)

唯(一人でごはん作って、一人でごはん食べなくていい)

唯(憂いがいるから大丈夫だもん)

唯(私は寂しくなんか無いもん)

唯(一人ぼっちなんかじゃないもん)

96: 2010/07/01(木) 01:23:34.61 ID:9tJMLFCV0
私は小さな頃から寂しかった

両親は仲が良いし、お金持ちだった

だけど私を愛してはくれなかった

いろんな物を買ってもらった

素敵な学校にも入れてもらった

だけど、私と一緒にはいてくれなかった…

寂しかった私にも友達がいた

同じ歳の和ちゃん

私は和ちゃんにべったりだったけど

和ちゃんはやっぱり他所の子

一緒に住める訳じゃなかった

だから私は自分で妹をつくった

はじめは和ちゃんとのお遊びだった…

でも、今は違う、憂がいなければ……わたし……

97: 2010/07/01(木) 01:30:20.80 ID:9tJMLFCV0
ガチャ

憂「何方ですかーっ?」

唯(憂の声?まるで本当の声みたい)

唯「ただいま憂っ」

唯(あれ?私電気消し忘れたかな?)

唯「ごめんね、ちょっと遅くなっちゃった」

憂「!!!?」

憂「お姉ちゃん?」

唯「!!!?」

唯「えっ!?」

102: 2010/07/01(木) 01:32:38.41 ID:9tJMLFCV0
唯「憂……」

唯「憂なんだよねっ?」

唯「本当に憂なんだよねっ?」

憂「そりゃそうだよ、でも、なんで?お姉ちゃん、まるで」

憂「現実にいるみたい…」

唯「ういーっ」ガバッ

憂「わっ!」

唯「会いたかったよっ、私、ずっと憂に会いたかったよっ!!!」

唯(憂、あったかいっ!)

唯(想像してたのよりずっと暖かいっ!!!)

憂「おねーちゃーん!!!」ダキッ

唯「ういーっ!!!」ヒシッ

107: 2010/07/01(木) 01:45:39.05 ID:9tJMLFCV0
唯「もう離さないよっ!ずっと私達一緒だよっ!」ポロポロ

憂「当たり前だよっ、私達やっと会えたんだもん」ポロポロ

唯「ういー、本当に憂だっ、こんなに凄いことって無いよっ!!!」

憂「おねえちゃんっ!お姉ちゃんっ!」

憂「体温も匂いも、ちゃんとある、本当にあるっ」

唯「よかったぁ、ほんとうによかったよ…」グスッ

憂「そうだっ!お姉ちゃん、私の料理食べてっ!」

唯「うんっ!食べるっ、いっぱい食べるよっ!」

憂「一緒に寝て、私が起こしてあげるんだからねっ!」

唯「学校に行くのも一緒だよっ!」

憂「それからそれからね、お姉ちゃんとしたい事沢山ありすぎるよっ!」

唯「何でもしようっ!これからは二人で、楽しくっ」

唯「もう一人ぼっちじゃないんだねっ!!!」

ガチャ

和「おめでとう、二人とも…」

109: 2010/07/01(木) 01:47:07.09
何がどうなったの?

110: 2010/07/01(木) 01:47:09.07
おめでとう

112: 2010/07/01(木) 01:48:23.95
おめでとう

116: 2010/07/01(木) 01:54:04.60 ID:9tJMLFCV0
唯「和ちゃん!?」

憂「和ちゃんにも、お姉ちゃんが見えるの?」

唯「憂は本当にいるんだよねっ?」

和「心配しなくていいわ」

和「二人とも、やっと会えたのよ」

唯「よかった、夢だったらどうしようかと思ったよ」

憂「大丈夫だよお姉ちゃん、私は本当にいるよっ!」

唯「そうだね、もう疑わないよっ!」

和「ごめんなさいね、二人とも」

和「二人が離れ離れだったのは、私の責任なの」

和「私の心が弱かったから…」

唯「和ちゃん?」

121: 2010/07/01(木) 01:58:29.61
つまり…どういうことだってばよ?

126: 2010/07/01(木) 02:08:42.32 ID:9tJMLFCV0
憂「それって…」

和「幼稚園の頃、三人で遊んだよね」

唯「三人で?」

憂「そういえば、記憶がある」

憂「でもそれは、小さい頃だから」

憂「想像と現実がごちゃ混ぜになってるんだと思ってた」

唯「そうだっ!私もっ!」

和「二人があまりにも仲のいい姉妹だったから」

和「私、酷い事を…ごめんなさい」

憂「どういう事ですか?」

和「……」

和「ごめんなさい、だから、せめてこれからは姉妹仲良く暮らしてね」

和『私にはこんな事しか出来なくてごめんなさい』

唯「あれ?和ちゃん?」

和『さよなら、二人とも、どうか、ずっと元気でね…』

130: 2010/07/01(木) 02:18:13.71 ID:9tJMLFCV0
憂「和ちゃん、さよならってどういうこと!?」

唯「嫌だよ和ちゃんっ!せっかく憂と会えたのにっ!」

唯「なんで和ちゃんとお別れしなきゃならないのっ!?」

和『唯…憂…』

和『二人といれた時間、とっても楽しかった』

和『私達、親友だった…』

唯「行かないでっ!和ちゃん!」

憂「私達と一緒にいようよっ!!!」

和『ありがとう、でも…もうそれは出来ないの』

和『さよならっ!』

137: 2010/07/01(木) 02:28:27.04 ID:9tJMLFCV0
学校!

澪「和、どうしたんだ?ぼーっとして?」

和「んっ、いや、何でもない…」

澪「たまに和ってそういう時あるよな?」

和「そうかな?」

澪「そうだよ」

和「でも、もう二度とそんなこと無いわよ」

澪「どういうことだ?」

和「……」

和「例えばね、例えばの話だけどね」

澪「うん」

和「私には、幼稚園からの付き合いの年子の姉妹がいるの」

和「お姉ちゃんの方は私達と同じ学年で」

和「妹は一つ下、同じ学校なの!」

澪「へー、それで?」

145: 2010/07/01(木) 02:37:37.68 ID:9tJMLFCV0
和「お姉ちゃんの方は軽音部なのよっ!」

澪「そうなのかっ?それでどんな子なんだ?」

和「うーん、天然って言うか、抜けてるというか」

和「でも、とっても可愛くて、憎めない子」

和「だけど妹の方は、しっかりしてて礼儀正しくて」

和「お姉ちゃんを支えてるの」

澪「なんか面白い姉妹だなっ」

和「澪…」

澪「どうした?」

和「こんな話したら、引かれるんじゃないかと心配してた…」

澪「バカだな」

澪「逆に、私はそういう話、大好物だぞっ」

澪「律の前じゃ、馬鹿にされるから出来ないけどなっ」

和「あははっ、確かにね」

和「でもね、話はそれだけじゃないの…」

149: 2010/07/01(木) 02:50:22.60 ID:9tJMLFCV0
和「私はね、その仲のいい姉妹を離れ離れにしたの」

澪「えっ?なんで?」

和「私が妄想の友達を持ってるんだから」

和「それを共有できる人が欲しかった…」

和「でも、そんな友達いないから…」

澪「その姉妹が、お互いに妄想だということにした?」

和「その通り」

和「だから、二人には永い間寂しい思いをさせたわ」

和「だから、最後には二人を一緒にしてあげたの」

澪「そうか…」

澪「もう、その空想はしないのか?」

和「ええ、もう流石に幼稚だからね」

和「でも、もっと早く澪に出会っていれば」

和「二人を離れ離れにしなくてよかったのに…」

澪「和…」

154: 2010/07/01(木) 02:58:14.39 ID:9tJMLFCV0
律「おーい澪っ、部活だぞーっ」

澪「じゃあね、和、また後で」

和『そうね、私も生徒会に行かなくちゃ』

律「澪ってばっ」バッ

澪「わっ、飛び掛ってくるなよー」

律「何してたんだ?誰かと話してると思ったけど?」

澪「何でもないっ、さっ、一緒に行くぞっ」

律「なんだよもー」

170: 2010/07/01(木) 03:06:47.30 ID:jENXt/ld0
二年生の時、知ってる人のいない一人きりのクラスになった

お昼休みと放課後は、みんなの所で過ごせてたけど

それ以外は最悪だった

私はいつも一人

ペアを組んだりグループ分けで

私はいつも余っていた

だから私は、頭の中に友達をつくった



頼りがいがあって

しっかりしてて

それでいて、私と気の会う

普段は見せない顔だけど

さっきみたいな話もしてくれて

深いところでも結びついてる

そんな友達…

172: 2010/07/01(木) 03:14:17.96 ID:jENXt/ld0
部室!

紬「お茶がはいったわよーっ」

律「おっ、チーズケーキかっ!」

澪「美味そうだな」

梓「でもみなさん、ちょっと待ちましょうよー」

紬「そうね、まだ一人来てないから…」

律「あー、そうだな、何やってるんだあいつは」

澪「おかしいな?私達より先に教室から出たと思ったんだけど…」

ガチャ

?「お待たせみんなっ」

177: 2010/07/01(木) 03:24:31.89 ID:jENXt/ld0
唯「ごめんねー、憂と話込んじゃってー」

澪「お前達、仲がいいもんな」

律「それじゃ、いつものティータイムにしようっ!」

澪「その後はちゃんと練習だからなっ」

律「わかってるよーだ」

唯「あっ、おいしいよこのケーキ!」

律「わっ、こいつ待ってやってたのに先に食べやがってぇー」

梓「ちょっとは落ち着いて、食べましょうよー」

紬「うふふっ」

180: 2010/07/01(木) 03:37:40.55 ID:jENXt/ld0
紬(楽しいな、軽音部のみんな大好きっ)

澪『本当においしいなこれっ』

紬「ほんと?よかったぁ!」

律『いつもありがとうなムギっ!』

唯『ムギちゃんの淹れるお茶は最高だよっ!』

紬「えへへっ」

梓『先輩たちはお茶とお菓子ばっかり』

梓『ムギ先輩は楽曲面やその他の気配りでも』

梓『軽音部には必要な人ですっ!』

紬「梓ちゃん…」

律『そん事言って、梓が一番早くケーキ食べ終わってるぞっ』

唯『あずにゃんったら、食いしん坊さんなんだからー』

梓『そ、それは、ケーキがおいしかったからぁー///』

186: 2010/07/01(木) 03:45:48.78 ID:jENXt/ld0
私は寂しかった

お金はあっても

広い家に住んでいても

私には本当のお友達がいなかった

使いたいものが無ければお金の意味は無い

お茶を淹れてあげたい人がいなければ

どれだけお茶いれが上手くなっても

その意味は無い

生きていたいと思える時間が無ければ

生きている意味が無い

だから私は

お友達を、軽音部を自分の頭の中につくった

187: 2010/07/01(木) 03:55:18.78 ID:jENXt/ld0
紬「そう、全ては私の妄想、空想、絵空事」

紬「でもね、私だってイメージ」

紬「あなたがこれを読んで」

紬「私という人格をイメージしているに過ぎない」

紬「でもね、それはみんな同じでしょ?」

紬「あなたの知っている人で」

紬「あなたが今一緒にいない人は」

紬「本当に存在しているのかしら?」

紬「実在と空想の違いって何?」

紬「私達は現実じゃない絵空事?」

紬「でも、あなた達とどこが違うって言うのかしら?」

紬「じゃあね、そろそろ私は消えるわ」

紬「あなたがこの文章を読み終えたとき」

紬「私は消える」

紬「ほら…消えた」

191: 2010/07/01(木) 04:01:29.83 ID:jENXt/ld0
憂「おねーちゃん、朝だよーっ」

唯「うーん、お早う憂ー」

憂「朝ごはんできてるよ」

唯「うん、今行くよー」

唯「でもちょっと待っててね、憂」




唯「あのさ、ちょっと気になってたんだけど」

唯「さっきからずっと私達を見てる君っ!」

唯「そうだよっ、君のことだよっ」

唯「あのさ、きみはー」

唯「君は誰のイメージ?」

193: 2010/07/01(木) 04:03:30.21
なんだこの文学

194: 2010/07/01(木) 04:04:24.81
人間原理を信じてる俺には読み辛いものがあった

195: 2010/07/01(木) 04:07:14.02
うわあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!

196: 2010/07/01(木) 04:08:00.04 ID:jENXt/ld0
終わりです お疲れ様です


読んで下さった方、コメントしてくださった方
長時間つきあって下さった方、ありがとうございます
寝ます お休みなさい

197: 2010/07/01(木) 04:10:51.02
乙!

206: 2010/07/01(木) 04:31:34.50

なんか世にも奇妙な物語に出てきそうな話しだったな

引用元: 唯「君は誰のイメージ?」