前回の話
唯「あずにゃんが横浜のドラフト1位!?」
1: 2011/07/13(水) 19:29:59.92 ID:FB8G4ZTc0
憂「お姉ちゃん達が、なんとプロ野球に指名されました!」

憂「そして!なんだかんだあってシーズン終盤!」

憂「クライマックスシリーズまで待ったなし!お姉ちゃん達の活躍を追っていきたいと思います!」

5: 2011/07/13(水) 19:32:41.66 ID:FB8G4ZTc0
憂「さて!梓ちゃんの横浜ベイスターズがまさかの三位入りでプレーオフ進出を決めました!」

憂「梓ちゃん凄い!頑張ったね!」

憂「でもパリーグはまだ三位が決まってないし、セも何試合か残ってます」

憂「そして何より!お姉ちゃん率いる巨人の優勝がまだ決まっていません!」

憂「プレーオフの前にそれらの試合の応援に行って来たいと思います!」

7: 2011/07/13(水) 19:34:35.67 ID:FB8G4ZTc0
憂「その前に、各選手の前提情報と各リーグの順位を!」

 ○平沢唯:巨人 3B 右投げ右打ち 
 ○田井中律:阪神 C 右投げ右打ち
 ○中野梓:横浜 リリーバー 右投げ右打ち
 ○琴吹紬:広島 RF兼クローザー 右投げ両打ち
 ○秋山澪:日ハム スターター 左投げ左打ち
 ○鈴木純:ソフトバンク LF 右投げ右打ち
 ○山中さわ子:西武 セットアッパー 右投げ右打ち

 ※真鍋和:中日のスコアラー

10: 2011/07/13(水) 19:37:02.05 ID:FB8G4ZTc0
セリーグ
 
 1巨人☆
 2中日☆
 3横浜☆
 4広島
 5ヤクルト
 6阪神

パリーグ
 
 1日ハム☆
 2ソフトバンク☆
 3西武
 4オリックス
 5楽天
 6ロッテ

 ☆=プレーオフ出場権獲得

憂「セパ共に大混戦の中、セは横浜が三位に滑り込み!
  パは四球団すべてにまだ三位の可能性があります!」

12: 2011/07/13(水) 19:39:49.24 ID:FB8G4ZTc0
憂「CS(クライマックスシリーズ)出場をかけた争いから目が離せませんね!」

憂「それでは今日はこの試合を観に行きましょう!」

 楽天vsロッテ

14: 2011/07/13(水) 19:41:48.39 ID:FB8G4ZTc0
 ~楽天ベンチ~

星野「おい若王子!今日という今日はスタメンで出ぇ!」

いちご「え、ヤダ」

星野「何たわけたこと言うとるんや!今日負けたらCS出場の可能性がなくなるんやぞ!」

いちご「ふーん」

星野「しかもお前、なんでいつもベンチ裏におるんや!」

いちご「なんかオヤジ臭いから」

星野「……」

16: 2011/07/13(水) 19:45:44.05 ID:FB8G4ZTc0
聖澤「ま、まぁまぁ監督!ここは抑えて!」

星野「なんや聖澤!チーム全体で戦う意志のない奴に味方するんか!」

聖澤「いやそうじゃなくて…、でもそんなに強く言ったらいちごちゃんもビビっちゃいますよ!」

いちご(いちごちゃんて)

17: 2011/07/13(水) 19:47:25.38 ID:FB8G4ZTc0
聖澤「ねっ、いちごちゃん!頑張ってCS出ようよ!それで日本シリーズに出よう!」

聖澤「日本一になったら凄いよ!祝勝会に海外旅行だよ!」

いちご(興味ない)

鉄平「旅行か…中日時代行ったなぁ…。あ、いや、そういえば俺行ってないな」

いちご(聞いてないよ)

いちご(はぁ…めんどくさ)

19: 2011/07/13(水) 19:51:06.94 ID:FB8G4ZTc0
 ~ロッテベンチ~

今江「こ、これが新発売のウチ名物の応援弁当…」

里崎「これって応援弁当が出ると活躍できなくなるってジンクスが…」

伊志嶺「いや、でもあの二人ならそういうの喜びそうな…」


麻呂みたいな眉の娘「これがあの不幸を呼ぶ弁当…」

ハマーン様みたいな髪の娘「不吉なオーラが…。これは是非オカ研発表会でテーマに」


今江・里崎・伊志嶺「……」

24: 2011/07/13(水) 19:56:31.13 ID:FB8G4ZTc0
今江「そもそもどうやって入ったんや?」

伊志嶺「なんか催眠術で色々ごまかしたって噂が…」

里崎「催眠術て……」


麻呂眉「今日の千葉地方へのUFOの出現確率は」

ハマーン髪「12%…。アダムスキー型より葉巻型の方が可能性高」


里崎「……ありえるな」


25: 2011/07/13(水) 19:58:49.69 ID:FB8G4ZTc0
 ~マリンスタジアム~

 憂「さて、この試合は私の知ってる人は出ないんですが」

 憂「負けた方はCS出場の可能性が断たれるという大きな試合です!」

 憂「おや、そろそろ始まるようですね!」

『一番、レフト、若王子…』

 憂「わ!この若王子という選手はずっと代打だったんですがついに先発するようです!」

いちご「はぁ、めんどくさ」

26: 2011/07/13(水) 20:02:39.03 ID:FB8G4ZTc0
 実況「さて左打席には若王子いちご。
    ここまで長打はないものの巧みなバットコントロールで、代打で四割の打率を残しています」

 実況「吉見、第一球…投げた!」

いちご「……」カキッ

審判「ファール!」

 実況「難しい球を打っていきました」
 
 小宮山「非常にリストが柔らかいですね」

 実況「早くも仙台のイチローの呼び声もあがっています」

 小宮山「え?専大に一浪?いや私は早稲田に二浪です」

 実況「小宮山さん落ち着いて下さい」

27: 2011/07/13(水) 20:07:03.32 ID:FB8G4ZTc0
いちご「……」カキン!

 実況「若王子打った!これは二遊間を…!」

麻呂眉「…予想通り」パシッ

 実況「抜けなーい!セカンド、絶妙な守備位置!」

ハマーン髪「風水に基づいたポジショニング」コクコク

 実況「今季途中加入のこの二遊間、井口を指名打者に追いやっただけあります!」

 小宮山「荻野君が今季三度目のケガをしている間にスタメンを勝ち取りたいですね」

29: 2011/07/13(水) 20:12:05.50 ID:FB8G4ZTc0
 実況「楽天一回は三者凡退。さてロッテの一番二番はこの二人」

麻呂眉「……」コツン ポテッ

ハマーン髪「……」ポキッ コテン

 実況「完全に打ち取った当たりがなぜかことごとくテキサスヒット!」

 実況「さあ一二塁で打席には井口!」

 カキィーン!!

 実況「打ったー!これはレフト若王子全力で追――」

いちご「……」

 実況「――っていない!若王子微動だにしない!!」

 小宮山「これは二点間違いないですよ」

聖澤「うおおおおおおおおおお!!!」ダダダダダダ…

32: 2011/07/13(水) 20:17:37.35 ID:FB8G4ZTc0
 実況「センター聖澤快脚飛ばしてレフトに猛ダッシュ!!」

聖澤「いちごちゃーーーーーーん!!」

 ダダダダダダダダ パシッ

 実況「捕ったぁぁーーー!!」

聖澤「いちごちゃーーーーん!!」ゴロゴロゴロ

いちご「口リコ…いえ、聖澤さん」

聖澤「いちごちゃん…」

いちご「ありがと」

聖澤「いちごちゃーーーーん!!!」

 小宮山「僕が現役のころの初芝と小坂の関係に似てますね」

 実況「いやー、若王子、聖澤らの楽天外野陣は非常に強い絆で結ばれているんですね!」

鉄平「……」

35: 2011/07/13(水) 20:21:08.22 ID:FB8G4ZTc0
 実況「しかしこれはランナーは飛び出していた!ロッテピンチ!!」

麻呂眉「……」

 実況「あれ!??動いていない!!」

ハマーン髪「打球がキャトルミュートレーションされる可能性88%」


 憂「なんだか凄い試合になりそうですね!さて西武ドームの西武、オリックス戦は…」

 憂「あ!西武が一点差で勝ってる!これは山中先生の出番がありそうですね!」

36: 2011/07/13(水) 20:24:57.37 ID:FB8G4ZTc0
 ~西武ドーム~

銀仁朗「あれ?さわさんは?監督呼んでるのに」

石井「ベンチ裏ぁー」

銀仁朗「ベンチ裏?なにしてんだこんな時に――わっ」

 ピコピコ ボーン ボーン

銀仁朗「さわさん!何してんスか!」

さわ子「うるさいわね!ああもう!あんたのせいでリモコン取り逃したじゃない!」

 ボーン!

さわ子「キーッ!ああああ!イライラして自分の爆弾に挟まれたじゃない!!」

西口「山中ーそろそろやめようぜー…?」

銀仁朗「なにしてんスか…」

37: 2011/07/13(水) 20:30:23.88 ID:FB8G4ZTc0
 ドタドタドタ…

江草「お、おい山中!」

岡本「山中!頼む、出てくれ!」

藤田「好調オリックス打線に一点差…お前の力が必要なんだ!」

星野「俺達じゃダメなんだ!」

 「「「俺達じゃダメなんだ!!!」」」

さわ子「……」

岡本「山中……?」

さわ子「しゃぁ゛ーね゛ぇーなぁー!!」ギラッ

江草「山中ぁ!!!」

40: 2011/07/13(水) 20:35:53.31 ID:FB8G4ZTc0
 ~福岡ドーム~

純「なんか…平和ですねー」

澪「…はは…そう、だね…平和…だね…アハハハハハ」

純「澪センパイ…。落ちついて下さい、昨日のアレはよくあることですって!」

澪「アハハハハハ…全国放送の優勝決定戦で、なぜか監督の後に突然胴上げされて…」

澪「勢いのあまりズボンが脱げてパンツを晒すことがよくあること…?アハハハハ……」

純「い、いいじゃないですか!優勝したんですから!ウチは悔しいんですよ!」

内川「そう。負けた悔しさはある。これは横浜にいた時は感じなかったね」

内川「横浜にいた時は負けてもどこか『自分のせいじゃない』という気持ちがあった」

内川「横浜に来た選手はみんな苦しそうに思えたね」

純「横浜…。そういえば梓は今なにしてんのかなぁ」

42: 2011/07/13(水) 20:40:22.08 ID:FB8G4ZTc0
梓「…ちょっと早く来すぎちゃったみたいですね」

紬「すごい人ね~。入れるかしらー?」

梓「大丈夫です。ちゃんと席はとっておきましたから」

紬「梓ちゃんは頼りになるねェ~。そういえば憂ちゃんは?」

梓「憂はデーゲームのロッテ‐楽天の試合を観てからこっち来る、って…」

紬「わぁー、ロッテって最近オカルト研究会の人が入ったのよねー」

紬「ね、ね。キャトられるってどういう意味?」

梓「えらく昔のこと覚えてますね…。あ、入れるみたいですよ」

 ~神宮球場~ 『 巨人マジック1!優勝決定戦! ヤクルト‐巨人 』


45: 2011/07/13(水) 20:52:21.53 ID:FB8G4ZTc0
梓「あ、えーと、ここらへんですね、私たちの席」

紬「梓ちゃん!梓ちゃん!」

梓「はい?」

紬「じゃぁーん♪」

梓「わぁっ!?いつの間にそんな食べ物を!?」

紬「神宮カレーにソーセージ盛りにモツ煮丼にジャンバラヤー♪」

梓「…ムギ先輩、ハードなトレーニングしててもさすがにそんなに食べたらふと――むぅっ!?」

紬「はい、あーん♪」

梓「…(もむもむ)…」

紬「はいもう一口~…ってあら?あ、あのヤクルトの選手…」

梓「ん?」

46: 2011/07/13(水) 20:57:07.56 ID:FB8G4ZTc0
 ~ヤクルトベンチ~

小川監督(今年は各球団のルーキー達にやられたが)

小川監督(うちの新人はしっかり二軍で経験を積んできた)

小川監督(来年はうちの若手が新人王、そしてヤクルトを優勝に導いてくれる!)カッ


 ~巨人ベンチ~

「お、おい平沢!あのヤクルトのかわいい選手は誰だ!?」

唯「ふぇ?……あ!ほんとだ!ペンギンのチームに女の子がいる!」

「やっぱりお前の知り合いか!た、頼む紹介してくれ!」

唯「えー?もうー…」

唯「おーい!春子ちゃーん!信代ちゃーん!!」

近田春子・中島信代「「ん?」」

唯「谷さんが呼んでるよー!」

50: 2011/07/13(水) 21:01:55.72 ID:FB8G4ZTc0
信代「唯ー、今日勝てば優勝なんだって?そうはさせないからね!」

唯「そうなんだよー、今日と明日の二試合でどっちか勝てばうちが優勝!」ふんす

信代「連敗したら?」

唯「そ、それは中日が優勝……うぅっ」

信代「引き分けがあったら?」

唯「それは、えーと、えーと…」

春子「ややこし…」

52: 2011/07/13(水) 21:07:17.18 ID:FB8G4ZTc0
 ~マリンスタジアム~

いちご「……!!」カキィン!

 実況「今度こそ若王子、二遊間を破――」

ハマーン髪「プラズマを応用した守備位置」パシィ!

 実況「――れません!楽天若王子、このような打球が三打席続いております!」

いちご「……」

53: 2011/07/13(水) 21:13:27.09 ID:FB8G4ZTc0
聖澤「き、気にすることないよいちごちゃん!」

いちご「…別に気にしてないし」

聖澤「いちごちゃん、チームの誰よりいい当たり打ってるよ!間違いないよ!」

松井稼「諒の言う通りや。アンラッキーを気にし過ぎて自分を崩したら意味あれへん」

いちご「……」

草野「若王子、お前はいい感じで打ててる。結果は後からついてくる。今は自分の打撃をしろ」

内村「ああ。正直お前を頼りにしてるんだぜ」

いちご「……」

星野「おい若王子!ちゃんと腰入れて打てや!育てたらんぞ!」

いちご「………………………………」

聖澤「い、いちごちゃーん……」

56: 2011/07/13(水) 21:18:40.39 ID:FB8G4ZTc0
岩隈「ハァハァ…」

 実況「さあ岩隈、ここまで球数120球を超えていますが、それでも八回のマウンドにのぼります!」

星野「エースなら喜んで投げるべきや」

岩隈「せ、先生…お力を……!」

 ピュッ

麻呂眉「……」カキン!

ハマーン髪「……」カキン!

 実況「ロッテ二連打!これで一二る…あぁっ!イレギュラーで鉄平後逸!その間にランナー走る!」

麻呂眉「…」サササササ
 
 実況「意外な俊足をとばし…今ホームイン!ロッテ先制!」

57: 2011/07/13(水) 21:22:36.78 ID:FB8G4ZTc0
 実況「さあロッテCSへの一縷の希望をつなぐため、九回に薮田を投入したのですが…」

薮田「はぁはぁ…」

 実況「ツーアウトながら一塁二塁の大ピンチ!」

 実況「そして打席には若王子いちご!」

いちご「……」

「若王子ー!」「頼んだぞー!」「お前なら打てる!」「いちごちゃああああん!」

里崎「さて、この打席もショート真正面に打ってもらおうか」

いちご「……」ぎゅっ

里崎「それともセカンド正面がいいかな?」

いちご「……打つ」

里崎「あん?」

61: 2011/07/13(水) 21:27:01.39 ID:FB8G4ZTc0
薮田「これで…終わりだ!」

 ピシュッ

いちご「……」

  カァァーーン!!

 実況「いったーーーーーーー!!ライトスタンドへの大きな放物線!」

 実況「入るか!?入るか!?」

麻呂眉「むにゃむにゃむにゃむにゃむにゃ…」

ハマーン髪「むにゃむにゃむにゃむにゃむにゃ…」

今江「な、なにしてるんや!?」

ハマーン髪「これはインカ文明に伝わる風を呼ぶ儀式」

今江「ハァ!?」

62: 2011/07/13(水) 21:31:25.56 ID:FB8G4ZTc0
  ビュウウウウッ

 実況「ああーっと!ここで突然マリンスタジアム名物の強風が!」

 実況「若王子の打球、失速!失速!そして…」

  パシッ

 実況「ああー!捕られてしまった!ゲームセット!!楽天CSへの希望ここで潰える!!」

いちご「………」

聖澤「い、いちごちゃん…。残念だったけど…来年があるよ」

いちご「……」

聖澤「あれ?いちごちゃん…目、どうしたの?ゴミでも入った?」

いちご「……なんでも」スタスタ

69: 2011/07/13(水) 21:35:02.11 ID:FB8G4ZTc0
 ~ベンチ裏~

星野「おう、なんや若王子か」

いちご「……」

星野「なんや最後のあの打球は!根性と体力がないんや!」

いちご「……」

星野「あれこれ理由つけて代打ばっかりやりよってからに……」

星野「若王子!その程度の体力でフルシーズン戦えると思うな!」

いちご「……」

星野「お前は来年からイーグルスの不動のトップバッターなんやからな!」

いちご「……はい」

72: 2011/07/13(水) 21:41:41.41 ID:FB8G4ZTc0

 ~西武ドーム~

さわ子「ううう……」

 実況「どうしたんでしょうマウンド上の山中。珍しくピンチを招いています」

さわ子「え、えいっ」

  ぽいっ

  カキーン!

 実況「バルディリス、クリーンヒット!これで三塁一塁!」

銀仁朗「ど、どうしたんスかさわさん……」


岡田監督「グフフ…」

74: 2011/07/13(水) 21:44:44.25 ID:FB8G4ZTc0
「「「「山中先生がんばってぇーー!!!」」」」

さわ子(ま、まさか学校の生徒や先生方が見にくるなんて)

さわ子(山中さわ子といえば可憐清廉おしとやかの代名詞!
    うら若き乙女達が憧れる教職員ナンバーワンに輝く女!)

さわ子(その私が奇声をあげて剛速球を投げ込むだなんて…)

さわ子(ダメ!!絶対!!)

さわ子「ウフフフフーそぉーーれ、いきますわよー」

 ふわっ ポスン

銀仁朗「ちょっ…、さわさんなんなんスか!もっといつものような人を殺しそうな気迫を…」

さわ子「わっわっわっちょっと!ヘンなこと言わないで!」

76: 2011/07/13(水) 21:49:34.10 ID:FB8G4ZTc0
さわ子「うふふー。ボール投げるのって難しいんですねぇー」

銀仁朗「いやいつも剛速球を…」

さわ子「(ギ口リ)」

銀仁朗「ヒッ!」

  ふにゃっ カキン!

 実況「前田にさえヒット!これでオリックス同点!」

岡田監督(グフフ…敵がアレ(弱点があるん)やったらそれをアレ(リサーチ)して、
     こっちが(対策を)するんはそらそう(当然)やろ)

78: 2011/07/13(水) 21:53:24.41 ID:FB8G4ZTc0
 ~神宮球場~

憂「あ、お待たせしましたー」

紬「あら、いらっしゃぁーい♪」

梓「憂、ナイスタイミング。ちょうど始まったくらいだよ。千葉はどうだった?」

憂「うん、凄い試合だったよ。それにしてもロッテって諸積選手って引退したんだねー」

梓「なんで諸積…」

憂「私、諸積と大塚と定詰しかロッテの選手知らないから分かんなかったよー」

紬「まぁまぁ♪」

梓「諸積さんくらいしかしらないなんて…おかしい…こんなことは許されない……」

79: 2011/07/13(水) 21:57:33.61 ID:FB8G4ZTc0
憂「――ってあれ?今日のヤクルトのスターティングメンバー…」

1 LF 青木
2 2B 田中
3 CF 近田
4 RF バレンティン
5 1B 中島
6 3B 宮本
7 SS 川端
8 C 相川

憂「クリンアップに新人が二人も……?」

梓「あ、今からその近田春子って選手が打席に入るみたいよ」

80: 2011/07/13(水) 21:58:14.93 ID:FB8G4ZTc0
 実況「ヒットで出塁の青木を一塁に置いて、左打席には新人の近田。サングラスが光ります」

 実況「二軍では現在打点3位、長打率は2位、盗塁は1位と、新人離れした成績を残しています」

 実況「さあピッチャーの内海、第一球!」

春子(ここまでストレートが相当走ってる。球速も145キロくらいは出てる)

春子(その代わり変化球のコントロールがついてないし、青木さんにも真ん中に入ったカーブを打たれた)

春子(初球なら安易にストレートをストライクゾーンに投げ込んでくる可能性も…)

 ピシュッ

春子(ズバリ)

  カキィーーン!

 実況「近田ジャストミート!ファーストの頭を超えライト前ヒッ――」

 古田「オッケーイ!」

81: 2011/07/13(水) 22:01:22.43 ID:FB8G4ZTc0
  キィーーーン!! バンッ

 実況「い、いや打球が落ちない!そのままフェンス直撃!」

 古田「オッケーーイ!」

春子「よっしゃ!」ザザァッ

 実況「俊足飛ばし近田、三塁打!ヤクルト先制!」

 古田「オッケェーーイ!!」

82: 2011/07/13(水) 22:02:48.45 ID:FB8G4ZTc0
 実況「さらにバレンティンを四球で出し、ここで五番ファースト中島」

 実況「中島、右打席に入って、ぐぐっと両足を広げます、おおっ!これはノーステップ打法ですね!」

信代「……」

 実況「打席で構える姿はまさに和製アルバート・プーホールズ!」

 実況「この打法で飛距離を出すにはかなりの力が必要ということですが…」

  コキン!

 実況「ああっ打ちあげてしまいました!セカンドの藤村が数歩下がって捕球体勢に入ります」

信代「……」

83: 2011/07/13(水) 22:08:03.84 ID:FB8G4ZTc0
 実況「藤村下がる下がる…おっと処理をライトの亀井に任せます。おや亀井も下がる…」

 実況「亀井下がる!まだ打球が落ちてこない!亀井下がる!」

亀井「くっ……!」

 実況「もう後がない!亀井フェンスに張り付いて腕を伸ばす!」

  ポォーーン…

 実況「入ったーーーー!ライトスタンドに飛び込む中島第一号スリーラン!!」

 古田「オッケェーーイ!!」

信代「ありゃ。思ったより飛ばなかったな」

 実況「巨人の優勝に大きく立ちふさがる初回4得点!」


88: 2011/07/13(水) 22:13:51.00 ID:FB8G4ZTc0
唯「うぅ…一気に四点かぁ…」

唯「でも!少しずつ取り返して行くしかないよ!」

 実況「巨人、取り返せるでしょうか。ワンナウト二塁で平沢」

唯「チャンスだ!……でも私、打てるのかなぁ…」

 実況「平沢、ここ五試合でノーヒット。全く打てていません」

館山(…外角のスライダーでいいんですね?)

相川(そうだ!平沢への対策はもうハッキリしている)

  ズバーン!

89: 2011/07/13(水) 22:15:30.42 ID:FB8G4ZTc0
唯「うう…打てない。それなら…」スッ

 実況「おっ、これは中日戦でみせた一本足打法!」

相川(だが一本足をした時の対策ももう知ってるんだぜ!)

  ズバっ ブルーン!!

 実況「ああっ平沢内角を突かれて空振り三振!」

唯「あうぅ~バッ太(三代目)~なんとかしてよぉ~」

 憂「お姉ちゃん……」

91: 2011/07/13(水) 22:18:31.32 ID:FB8G4ZTc0
 ~試合中盤~

 実況「巨人、小刻みに点は返しているのですが、やはり初回の四点が大きく4-2」

 実況「さあ優勝に向けて同点、逆転できるか!打席には平沢唯」

唯「と、とぉー…」

 コキッ ぼてぼて…

 実況「ああーっと、平沢ぼてぼてのショートゴロ!今日もいいところがありません!」

唯「はぁぁぁぁ…」

 憂「…お姉ちゃん……」

92: 2011/07/13(水) 22:19:16.42 ID:FB8G4ZTc0
 憂「あ、ジュースなくなっちゃいましたね。買ってきます」

 紬「あらいいのよ?気にしなくて」

 憂「いいんです。昼からずっとイスに座ってたからちょっと立ちたくって」

 ~売店~

 憂「えーと梓ちゃんがスコールで…ってあれ?」

??「…」ススッ

 憂「あ、あの人……!!」

 憂「ま、待って下さい!」

??「!」

94: 2011/07/13(水) 22:23:30.58 ID:FB8G4ZTc0
 憂「和ちゃん…」

 和「あら憂。お久しぶり。私のデータ役に立ってる?」

 憂「…和ちゃん…。アレ、本物のデータ?」

 和「もう。ひどいのね。さすがに嘘のデータを渡すようなことはしないわよ」

 憂「…でも、お姉ちゃんに分かるわけないし、野球に詳しくない私にも…って分かってたでしょ?」

 和「ダメよ、分かるようにならなきゃ。データ分析はスポーツ選手の義務なんだから」

 憂「……。でもね、ほんとに和ちゃんに聞きたいことはまだあるんだ…」

 和「なに?」

 憂「……和ちゃん。お姉ちゃんのデータ、他球団に売った…?」

 和「……」ニッ

95: 2011/07/13(水) 22:28:29.31 ID:FB8G4ZTc0
  ゴシャッ 

 実況「いった!いった!これはいったー!」

 実況「センター長野!追うことさえしません!」

 実況「中島信代!!神宮の杜にかける今日二本目の大アーチ!!」

唯「ふ、ふいー…凄い当たり……」

坂本「…おかわりちゃんだな…」

信代「ふぅーっ」 ドスドスドスドス…

 実況「巨人優勝の夢をさらに突き離すソロホームラン!」

 実況「これで5-2!」

96: 2011/07/13(水) 22:31:04.82 ID:FB8G4ZTc0
 憂「最近突然お姉ちゃんが打てなくなったの…。今までは中日相手だけだったけど」

 和「駄目ね。研究されてもそれを覆す力がないと」

 憂「和ちゃん!はぐらかさないで!」

 和「……」

 憂「どうしてそんなことするの?優勝したいから?巨人が負けたら中日が優勝だから?」

 和「…もしそうなら巨人全員のデータを渡すわよ」

 憂「それってお姉ちゃんのデータは渡したってこと!?」

 和「………」

111: 2011/07/13(水) 23:40:39.99 ID:FB8G4ZTc0
相川(えーと『前の打席で外角を意識させた場合、
   スタンスがややクローズド気味になっていれば
   内角を突く球で詰まらせれば効果的』……だったか)

  ピシュッ

唯「うひゃー!」

  ゴキン! ボテボテボテ…

 実況「平沢今日二度目の内野ゴロで三打数無安打!」

相川(誰が送り主かは知らないが…ほんと助かるぜ。『ゴールデンルーキー対策ノート』)

113: 2011/07/13(水) 23:44:47.28 ID:FB8G4ZTc0
 ~試合終盤~

 憂「…お待たせ」

 梓「どしたの憂。遅かったね」

 紬「あら?そこにいるのは…」

 和「こんばんわ。久しぶりね」

 梓「あれ!?あ、もしかして応援にいらしてたんですか!?」

 憂(そっか。和ちゃんが中日のスコアラーだってことは私しか知らないんだ)

 憂「う、うん。お姉ちゃんの応援に来て下さったんだってー」

 梓「わぁ!それなら連絡いただけたらいっしょに来れたのに!」

 和「ウフフ」

114: 2011/07/13(水) 23:49:11.97 ID:FB8G4ZTc0
 梓「それで…最近私芯で捉えられることが多くなって」

 和「へえ、そうなの」

 梓「なんていうか…クセでも読まれてるんでしょうか…?」

 紬「私も経験あるけど、それって中日?」

 梓「! そうです!そうなんです!あそこってどうも研究が早くって…」

 梓「でも最近はどこの球団もそうみたいで…」

 憂「あ、梓ちゃん。人もいるんだしそういう話は…」

 梓「? 別に大きな声で話してるわけじゃないし大丈夫だよ。変な憂」

 憂「……」

115: 2011/07/13(水) 23:50:08.79 ID:FB8G4ZTc0
 実況「さあ九回表!ジャイアンツに大きなチャンスがやってきました!」

 実況「イムチャンヨン、エラーと四球でツーアウト満塁!」

 実況「一発出れば逆転のチャンスで、ホームランバッターの平沢!」

唯「ふぅー」

相川(問題ない。こいつは安パイだ)

  ズバッ  バシィィッ

 実況「イム、ギアを上げてきたか!?一気にツーストライク!」

唯「ふうー、ふうー、ふうー。冷静に冷静に」

唯(私らしく…私のバッティングをしよう!)

 実況「さあイム最後の一球になるか!?」

  ピシュッ

相川(よし、注文通りのコース!これで終わりだ!)

 カキィィン!

相川「!!?」

116: 2011/07/13(水) 23:52:15.71 ID:FB8G4ZTc0
 実況「いったー!バックスクリーンへ一直線!」

 憂「キャー!キャー!お姉ちゃーん!」

 梓「入れ!入れ!」

 和「……!」グッ

春子「……」タタタタタタタタ

 実況「俊足近田追う追う!」

春子「やぁぁぁっ!!」

 ガッ

 実況「近田フェンスを蹴った!そしてジャーンプ――」

 パシィ

 実況「捕ったー!近田ビッグプレイ!試合終了!!」

春子「ヘヘ…そう簡単に優勝なんてさせねぇーって」

青木「大丈夫か? 入ったかと思ったぜ」

春子「ヘヘ…バーロー」

118: 2011/07/13(水) 23:55:27.96 ID:FB8G4ZTc0
 ~平沢家!~

憂「おねえちゃーん、お風呂ー」

唯「はーい!今入るよー!」

憂「入ったらもう寝る?」

唯「うん!今日は疲れたからすぐ寝るー」

120: 2011/07/13(水) 23:59:25.10 ID:FB8G4ZTc0
 ~脱衣所!~

唯「きょぉーじーんるーいがーはじーめてー♪」フンフン

唯「みえたよあのこのまんじゅしゃがー♪…きゃぁぁぁ!窓に誰か!?」

??「……」

唯「変態だ!変態だ!おまわりさんに…」

??「まて…ゆい」

唯「ほえ…?私のこと知ってるの?」

??「わた、あたいは…トンちゃんだ!ちぇけらっちょい!」

唯「トンちゃん…?」

122: 2011/07/14(木) 00:04:57.38 ID:LFe4qYf20
唯「ト、トンちゃんは何をしにきたの?」

トン「あ、アタイは全然打てないお前を心配して見に来てやったのだ!」

トン「唯、お前は今日打てたのか!?」

唯「よ、四打数ノーヒット……です…」

トン「それなのにさっき、『お風呂入ったらすぐ寝る』って言ってたな!?」

唯「ヒィィ!すみません!」

トン「風呂から出たら!?」

唯「す、素振りします!!」

トン「よろしい!」

124: 2011/07/14(木) 00:09:31.24 ID:LFe4qYf20
 ~庭!~

唯「ひゃくー、ひゃくいちー……」ブン、ブン

トン「唯、お前はちゃんと考えて振ってるのか!?」

唯「ふえ…。と、トンちゃーん、塀に隠れてないでこっち来てよー」

トン「い、いいから!どうなんだい!ちぇけらっちょい!」

唯「いやーとにかく目いっぱい振ることを心がけてるけど…」

トン「それがダメなのよ!」

唯「ヒィィッ」

トン「なぜ自分が打てないのか、そして常に打てるようにするにはどうすればいいか
   それを自発的に自分で考えて、自分なりの答えを見つけようと努力しないと駄目でしょう!?」

唯「は、はい…」

トン「なぜ失敗したか考えなさい!そしてそれを解決するにはどうすればいいか!いいわね!?」

唯「はい…あ、ありがとうございますトン様……」

125: 2011/07/14(木) 00:14:41.00 ID:LFe4qYf20
唯「うー…なんで打てなかったか…」

唯「トン様ー……はもう帰っちゃったみたいだし…」

唯「そういえば今日の四打席目はいい感じに打てたな…」

唯「力を抜いて…自然体で…」

唯「………そっか」

127: 2011/07/14(木) 00:19:30.09 ID:LFe4qYf20
 ~横浜!~

梓「はぁー、明日は練習かぁ。唯先輩の応援にはいけないね」

森本「おーい、あずにゃーん、手紙だってよー。すごい長い手紙だ」

梓「手紙?」

 ~西宮!~

律「手首を…こうッスか?」

藤井「違う違う。それじゃミットが流されちゃうから…こう!」

律「さっすがー!藤井さんおっとこ前だなぁー!惚れちまうぜ!」

藤井「はは。まぁ顔が唯一の取り柄だからな」

小宮山「おーい、田井中ー、なんかファックスが大量に届いてるぞー」

律「ほえ?」

128: 2011/07/14(木) 00:23:41.60 ID:LFe4qYf20
 ~福岡!~

純「むにゃむにゃ…もうモツ鍋は食べられらいよ…むにゃむにゃ…」

  ♪げーんかーいなーだーのー しーおかーぜーにー♪

純「電話…?(ピッ)ふぁい、もひもひ…」

 『トンちゃんだ!最近お前が不調の理由を考えたことがあるか?』

純「……しらにゃいひとからら…」
 
 プチッ

純「むにゃ…」

130: 2011/07/14(木) 00:28:22.36 ID:LFe4qYf20
和「あら、切れちゃったわ」

さわ子「あらー?そこにいるのは生徒会長の真鍋しゃまかしらぁ~?」ヒック

和「ちょっせんせ…どうしたんですか、そんなに酔って」

さわ子「だぁれが酔ってんのよ誰がぁ!わたひはシラフよぉ!」ヒック

和「そうですか。じゃあ私帰りますね」

さわ子「こらぁ!酔った人を見捨てるなぁ!」

和「さっき酔ってないっていったじゃないですか」

131: 2011/07/14(木) 00:32:22.29 ID:LFe4qYf20
和「そうですか…初めて負け投手に…」

さわ子「ううう~~!やることがコスいのよあの雑巾タヌキうどんは!!」

和「でもまだ三位。着実に勝てば大丈夫ですよ」

さわ子「むにゃむにゃ…」

和「……大変そうですね。それじゃ私…」

 ガシッ

和「!?」

さわ子「大変なのはお互いさまでしょぉー?中日のスコアラーさんー!」

和「え…」

さわ子「やることが回りくどいのよぉー!和ちゃんはぁー!」ヒック

和「先生…」

132: 2011/07/14(木) 00:34:28.90 ID:LFe4qYf20
和「…みんなプロ野球選手になっていって…」

和「なんていうか、疎外感みたいなものを感じてたのかもしれません」

和「で、あの日を期に野球を勉強して、いざ彼女たちの野球を観ていたら…」

和「だんだん隙みたいなものがあることが分かってきて…」

和「プロ野球は真剣勝負の世界。自分で修正する能力がなければ、才能だけじゃ勝ち残れない…」

和「老婆心じゃないけれど、なんとかして彼女たちにその重要性を気付いてほしいと思ったら」

和「なんだか私がやらなきゃ、ううん、なんとかして彼女たちに関わりたい――なんて」

和「でもなかなか自分では気づいてくれないものですね。今日は結局四人に、私からヒントを送っちゃいました」

和「すみません。変なこと言っちゃって。それも自分に都合のいいことばっかり…」

和「でも話せて…気が楽になりました」

さわ子「うぅ~ん秀章のバカァ…私を完全スルーしてなんであんな年増のアナと…」ヒック

和「…………」

134: 2011/07/14(木) 00:40:34.45 ID:LFe4qYf20
 ~翌日! 神宮球場!~

憂「もう!こんな日に寝坊してどうするの!」

唯「ご、ごめ~ん。昨日は遅くまで練習してて……」

憂「早く中に入らないと!えーと選手は………あっ!!」

唯「ほえ?」

和「あら、唯と憂じゃない」

憂「……」キッ

和「…………」

唯「あ!の、のどかちゃん!昨日はありがとう!」

憂・和「「え!?」」

135: 2011/07/14(木) 00:42:23.82 ID:LFe4qYf20
和「な、なに言ってるのよ唯!昨日は私、あんたと会ったりなんてしてないわよっ!?」

唯「ほえ?あ、そっかそっか!昨日はトンちゃんが…あれぇ?でものどかちゃんに教えてもらったような気も…」

憂「お姉ちゃん…トンちゃんが野球教えるわけないでしょ…」

唯「あ、あれぇ!?じゃあアレは全部夢!?夢だったのかなぁ!?」

唯「な、なんだかこんがらがっちゃったけど!なんかのどかちゃんにありがとう言わなきゃいけない気がしたの!」

和「……ばかね、唯」

136: 2011/07/14(木) 00:48:05.32 ID:LFe4qYf20
  ~試合開始前! スタンド!~

律「ったくぅ…いつになったら試合始まるんだよー」ボリボリ

澪「律!お菓子一人占めするな!」

律「あーら、ビッグマウスな澪さまはお口が大きいだけあって一杯食べるんですのね」

澪「だ、だからそれは誤解だって何度も言ってるだろぉ!?」

憂「ま、まぁまぁお二人とも……」

澪「とにかく、あれは全部マスコミが勝手に…」

律「あ!つば九郎だ!おーい!!」

澪「聞けよ話をぉ!」

139: 2011/07/14(木) 01:18:17.95 ID:LFe4qYf20
つば九郎「!」

律「おーい!私だよわったしぃー!」

つば九郎「(カキカキ…)」

澪「なんか書いてる…」

憂「つば九郎は筆談するんですよ」

つば九郎《まさかとはおもいますが、そんなおでこで で~と にきたんですか。》

律「おい!そんなおでことはどういうことだ!またプロレス技かけてやろうか!」

つば九郎《どうせなら となりの みおさん にかけてもらいたい。へでで。》

澪「お、おい律!あんまりやると周りの人に私たちのことバレちゃうだろ!」

律「ハハハ!でも面白いんだぜ。この前、技かけたら、すげぇ低音で
  『苦しい…苦しいから…』ってうめいたんだー」

憂「そ、その話はあまり大きい声でしないほうが…」

141: 2011/07/14(木) 01:25:21.78 ID:LFe4qYf20
律「あ!スタメンの発表だ!」

澪「どれどれ…ってえぇ!?」

1 LF 青木         1 SS 坂本
2 2B 田中         2 2B 藤村
3 CF 近田         3 1B 小笠原
4 RF バレンティン     4 LF ラミレス
5 1B 中島         5 C 阿部
6 3B 畠山         6 CF 長野
7 SS 川端         7 3B 亀井
8 C 相川         8 RF 谷

憂「お姉ちゃんが…」

澪「唯が…」

律「スタメン落ち…?」

143: 2011/07/14(木) 01:32:35.21 ID:LFe4qYf20
  ~試合序盤~

信代「どっせい!」 カキン!

 実況「これは大きなフライ!犠牲フライには十分!青木、悠々かえって…ヤクルト先制!」

谷「いいなぁ…信代たん…実にいい……」

 律「だぁーーっ!いきなり先制点とられちゃったよ!」

 澪「巨人もさっきの攻撃でいい形つくったんだけどな…」

 律「唯だ!唯をださないからこんなことになるんだよ!原のアホー!」

 澪「唯……落ち込んでなきゃいいけどな……」

  ~ベンチ裏~

唯「うまい!おかわり!」

鈴木「平沢…控えだからってそんなに食うなよ…」

唯「えへへ~控えっていいなー、好きな時にごはん食べられるんだもん!」

145: 2011/07/14(木) 01:39:13.31 ID:LFe4qYf20
 ~試合中盤~

 実況「六回終わって3-0。ヤクルトのリードです」

 実況「ここまで中島の犠牲フライ、青木のタイムリー、
    さらに近田のホームスチールと効果的に点を取ってきました」

 実況「今日負ければ首位の座を中日に明け渡す巨人!優勝へ赤信号!」


 律「……」イライラ

 澪「唯…出番ないな…」

 律「やっぱさっきの二三塁だ!あん時亀井さんに代打出すべきだったんだよ!」

 澪「済んだことはしかたないだろ!とにかくこれからどうやってチャンスを作るかだ!」

 律「ちきしょー、原監督めぇ…なんでこの大一番で唯を外すんだよ…」

146: 2011/07/14(木) 01:45:32.92 ID:LFe4qYf20
 和「……」

 和(このままいけば自分のチームが優勝なのにそうならないことを考えてる。駄目ね、私は)

  ピリリリリリリ…

 和(電話…?山中先生から…?)

 和「はい、もしもし。いいんですか?そっちも試合中じゃ…」

 さわ子『いいのよ!今こっちはロッテにボロ勝ちだもの。出番もないしCSも決定的ね』

 和「へえ、でも最近調子の良いロッテを…」

 さわ子『ええ。オカ研の娘たちには『北海道でミステリーサークルが』と言っておいたわ。
     見事に二人は欠場よ』

 和(外道…)

147: 2011/07/14(木) 01:51:51.51 ID:LFe4qYf20
 さわ子『で、そっちはどう?唯ちゃんは?』

 和「ええ、かくかくしかじかで…」

 さわ子『…そう。ヤクルトにも近田さんと中島さんがいるし、元担任としては複雑だけど…
     でも優勝は私の教え子に勝ちとってもらいたいわね』

 和「先生?私も先生の教え子ですよ?」

 さわ子『あら?じゃああなたはヤクルトの勝利を心から願ってるの?』

 和「……教え子を困らせることが恩師のすることですか?」

 さわ子『責めてるわけじゃないのよ?結果としてあなたはチームのためにも、
     彼女たちのためにもなることをしたわ。後悔するよう必要はありません』

 和「…覚えてたんですね。昨日の話」

 さわ子『どんな状況であれ…そう、狙った獲物に逃げられ、その上敗戦投手にもなって
     ヤケ酒した夜であれ、生徒の話は聞くのが教師ってものよ』

 和「…私は聞いてもらった感覚はありませんけど」

149: 2011/07/14(木) 01:58:22.88 ID:LFe4qYf20
 ~試合終盤~

 実況「結局3-0のまま、ついに試合は最終九回まで進んでまいりました」

 実況「秋風の冷たいこの神宮で…巨人優勝の夢は手のひらからすり抜けてゆくのでしょうか」

 実況「全てはこの男の右腕に懸かっています…燕の守護神、イムチャンヨン!」


 澪(イムさんはいいクローザーかもしれない…けど!)

 律(ただでさえ昨日ピンチを招いて…)

 憂(その上連投!)


 和「つけいるスキはあるわ」


150: 2011/07/14(木) 02:05:29.87 ID:LFe4qYf20
  カキン!

 実況「打った!ベテラン谷!しぶとくつないでついに……」

 澪「満塁!」

 憂「ホ、ホームランが出れば…一気に逆転!」

 律「ここで投手の打順だろ!?代打だ!唯だ!
   昨日いい当たりされた唯が出てくるのが一番キャッチャーにはイヤなはずだ!」

 客A「はぁ!?おいおい、ここはヨシノブだろ!イムは右投手!左の高橋しかいねーよ!」

 客B「そうそうwwそれに平沢ってww 六試合ノーヒットの新人に任せられっかよww」

 客C「アレじゃね?平沢とか今ベンチ裏で菓子食って動けないんじゃね?ありえそうじゃね?」

 客D「ヤバイヨヤバイヨwwイムヤバイヨww」

 律「テメェら…!」ギロッ

 澪「お、おい律…!ちょっ憂ちゃん止め…」

 憂「…………へぇー……そういうこと言っちゃうんだぁ……」ポツリ

 澪(こ、こっちもご立腹…!)

152: 2011/07/14(木) 02:12:02.40 ID:LFe4qYf20
『九番、ピッチャー西村に代わりまして…』

 律・澪・憂「ゴクリ…」

『ピンチヒッター、高橋由伸』

 律・澪・憂「えっ……」

「「「ワァァァァァァァァァ!」」」

「ヨシノブー!」「ガンバレー!」「パーンーダ!パーンーダ!」

 澪「……ずっと打ててない唯よりは…やっぱりそうなのかな」

 律「…絶対唯だと思ったんだけどな…」

 憂「だ、大丈夫ですよ!ここは由伸さんが打って、お姉ちゃんはプレーオフで活躍します!」

153: 2011/07/14(木) 02:18:50.87 ID:LFe4qYf20
高橋由「……」

  ブンッ!ガキッ!

  実況「高橋、積極的に振っていきますが、空振りとファールでツーストライク」

 律「ああああもう!だから唯にしておけば…」

 澪「うるさいぞ律!こうなったら由伸さんを応援しよう!」
 
  実況「イム、最後の一球になるか!第三球、投げた!」

  ガギッ

  実況「おっとファール!ファールです!……おや?」

154: 2011/07/14(木) 02:26:09.26 ID:LFe4qYf20
高橋由「……ツッッ…!!」

  実況「打席の高橋、脚をおさえてうずくまってしまいました。自打球を当てたのでしょうか?」

  実況「おっと、ここで治療をしていたスタッフが首を振ります!高橋、立つこともままなりません!」

  『バッター、高橋由伸に代わりまして…ピンチヒッター、平沢』

 澪「お?」 律「おおお?」 憂「お姉ちゃん……!?」


156: 2011/07/14(木) 02:31:48.97 ID:LFe4qYf20
唯「はれ?」

唯「あ!りっちゃんに澪ちゃん!おーい!おーい!」

 澪「ちょっ…!」 律「バカ!こんな緊迫した時に…!」

唯「おーい!私だよー!今から打つからねー!見ててねー!」

 客B「んだよアイツwww集中ゼロかよwwww死ねよwwwww」

 客A「はぁ…原マジ最悪だわ……」

158: 2011/07/14(木) 02:37:03.24 ID:LFe4qYf20
唯「ふんふーん♪」

唯「よしっ!頼むねバッ太!」

唯(今まで野球が大変で気がつかなかったけど)

唯(今ここにいられるのって大変なことなんだよね)

唯(原監督やチームの偉い人が指名してくれなかったらここにはいられなかった)

唯(金なんとかさんや、江藤コーチ、セコムしてますかのおじいさんも色々教えてくれた)

唯(チームメイトのみんながいたからきょじんは一位になれた)

唯(あずにゃんにりっちゃん…ムギちゃんや澪ちゃんが頑張ってるから私も頑張れた)

唯(憂が毎日栄養を考えたご飯を作ってくれる)

唯(和ちゃんやトンちゃんも…私を応援してくれてる!)

唯「よしっ!」

160: 2011/07/14(木) 02:43:08.81 ID:LFe4qYf20
実況「さあ代打の代打となった平沢。ここで一発……おや?」

 古田「またフォームが変わっていますね」

 
 実況「非常に自然体といいますか…ゆったりと構えていますね」

 実況「ここまで平沢はよくフォームを変えていますが…それで打てるものなのでしょうか?」

 古田「いや、一朝一夕で身につくものではないですよ」

 実況「なるほどまさに付け焼刃…といったところでしょうか」

161: 2011/07/14(木) 02:49:27.20 ID:LFe4qYf20
唯(今までなんとか打とうって頑張ってたけど…何も考えないでぼーっとしてるのが結局私らしいんだよね)

唯(それで打てなきゃしかたないよ…ねっバッ太!)

 実況「さあイム…平沢へ…投げた!」

  ズバーン!

 実況「ギリギリいっぱい!ストライクアウ……おや?球審の橘高さんの判定はボール!」

相川「お、おい平沢…今のボールだと思って見送ったのか?」

唯「えへへーあんないいタマ打てないよ。打てないのに手を出すのはやめようって」

相川「いや…代打の代打だから今ツーストライクだぞ」

唯「ハッ!そっかぁ!」

審判(あまりに堂々と見逃すためにボールと判定してしまった…)

162: 2011/07/14(木) 02:53:58.87 ID:LFe4qYf20
唯「じゃあ次は打たなきゃね…よーし」

イム(なんとなくイヤな感じだ…WBCでイチローと対戦した時のような…)

  ビシュッ

相川(さっき以上にナイスコース!外角いっぱいへのストレート!これで決まりだ!)

  カンッ

相川(なに!?)

 実況「打ったー!平沢外角の速球を見事にライトへ弾き返した!!」

 古田「コースに逆らわない打撃で、今までの平沢君には見られなかった打球ですね」

 実況「一点!さらに一点!同点のランナーも還るか!?」

谷「うおおっ!」

 実況「一塁ランナー谷も還ってきた!これで同点!!」

 実況「さあこれでどうて…あぁっ!打球の処理がモタついている!!」

唯「はぁ、はぁ、はひ…」タタタタタタタ…

 実況「平沢、三塁を周るか!?周るか!?まわったー!」

164: 2011/07/14(木) 02:59:50.48 ID:LFe4qYf20
唯「はぁ、はひ、はふ…」 グラッ

 実況「あぁっ!三塁を周ったところでバランスを崩した!」

唯「わっ、たっ、ととっ…!」

 律「頑張れ唯!」

 澪「こらえろ!」

 憂「お姉ちゃーん!!」

唯「ふんす!」ガッ

 実況「た、耐えた!平沢そのままホームにつっこむ!返球が返ってくる!さあどうなる!」

  ザザァッ

審判「……」

唯「…はぁ、はぁ……」

相川「……ッ…!」



   審判「セーフ!」


165: 2011/07/14(木) 03:04:04.50 ID:LFe4qYf20
 律「やったぁーーー!」

 憂「お姉ちゃんかっこいいーーーー!キャアアアアアア!!」

  実況「平沢激走実った!なんと九回土壇場で平沢が逆転満塁ランニングホームラン!」

平沢「はぁ…はぁ…もう…一年分走ったよ……」

原監督「……平沢…!」クワッ

原監督(ここまでのジャイアンツ愛を持った選手だったとは…まさに侍!)クワッ

原監督「なめていたようだ…平沢のジャイアンツ愛を!」クワワッ

166: 2011/07/14(木) 03:10:52.36 ID:LFe4qYf20
  バシッ

 実況「久保!最後を三振で締めくくったー!巨人、優勝決定!!」

 実況「最後の最後で大ドンデン返し!優勝を決めたヒーローはもちろんこの人!」

アナ『逆転ランイングホームラン!平沢唯選手です!』

\\\ワァァァァァァァ\オネイチャーンオエイチャーン!!/ァァァァァァァ///

アナ『平沢選手!ファンへ一言!』

唯「みなさん!我がきょじん軍は…いつまでも…いつまでも…」

\\\ワァァァァァァァ\オネイチャーンコッチムイテー!!/ァァァァァァァ///

唯「いつまでも…ずっとずーっと……!!」

\\\ワァァァァァァァ\オネイチャーンカッコイイヨォー!!/ァァァァァァァ///

唯「永久に放課後です!!!」

   ……………………\オネイチャーンステキィィーー!!/…………………

唯「……あれ?」

168: 2011/07/14(木) 03:17:29.13 ID:LFe4qYf20
 律「いや、放課後の意味分からん」

 澪「うん。さすがの私にも意味不明だ」

 憂「キャー!キャー!お姉ちゃーん!!新世代のミス・ジャイアンツ!!!キャー!」

 律「憂ちゃんは一人ではしゃいでるし…」

アナ『さ、さあ次は優勝監督インタビューです…』

原監督(ん?今までの流れを聞いてなかったが…えらく静かだな)

   ……………………\オネイチャーン!!/…………………

原監督(一人だけやたら声の聞こえる女の子が…ん!?あれは!?)クワッ

原監督(侍・平沢の……そっくりさん!?)クワッ

原監督(なるほど、侍・平沢の妹さんか…)

169: 2011/07/14(木) 03:22:19.90 ID:LFe4qYf20
  ~その夜!~

律「えー、唯は未成年&女の子ということでビールかけに参加できませんでした!」

律「というわけで…『ドキッ!女の子だけのコーラかけ大会』を開催します!」

律「コーラの提供は中島酒店!さらに…」

唯「わお!ごちそうもいっぱいだよ!」

紬「ご、ごめんなさい。斎藤が張り切っちゃって…」

内川「お!サイトゥー!」

律「そう!観戦にはこられなかったムギと梓も来てくれたぜ!」

唯「みんなー!ありがとー!」

律「それじゃコーラかけ…スタート!」

内川「横浜にいた時は借金からスタートしていた」

 わぁぁぁぁぁぁぁぁ!キャッキャッ

170: 2011/07/14(木) 03:27:03.82 ID:LFe4qYf20
梓「あ、ムギ先輩、このまえはどうも…」

律「くんじゃねー!」

梓「えっ」

律「今ムギは私とBクラスの悔しさを語り合ってるんだよ!三位は来るんじゃねー!!」

紬「ねぇりっちゃん…クスン…なんで私あそこで五本もホームランを…クスン」

律「泣くなムギぃ!お前が悪いんやない!上位や!Aクラスがみんな悪いんやぁ!!」

梓「……。はーあ。じゃあ私はのんびりしてますね。律先輩と違ってまだシーズン続いてるんで」

律「死ね!」

173: 2011/07/14(木) 03:33:09.88 ID:LFe4qYf20
  ドタドタドタ…バターン!

純「ちょっ…なんで私を…なんで私を呼んでくれないんですかぁ!」

律・澪・唯・梓「……」

律「すまん。連絡を忘れていたというより…」

梓「存在を忘れてた」

  ドタドタドタ…バーン!

さわ子「じゃあ私はどういうことなの!?」

澪「さわ子先生は…」

律「来てほしくなかった。騒ぎ起こしそうなんで」

さわ子・純「ひどすぎる!!」

174: 2011/07/14(木) 03:37:48.87 ID:LFe4qYf20
純「そもそも私が呼ばれないでなんで内川さんが来てるのよォ!」

澪「あれ!?本当だ!」

梓「なぜ…」

内川「男だけでは味わえなかったドーンときてガシャーンとやられる感覚」

律「す、すみませんけど今日はお引き取りを…」

 バタン!

 ~廊下~

内川「アッタマ来た!なんだろアレは!」

176: 2011/07/14(木) 03:43:12.72 ID:LFe4qYf20
憂「…というわけで、無事、レギュラーシーズンは終了しました!」

憂「結果、クライマックスシリーズ出場はこのようになりました!」

 ☆パシフィックリーグ

・ファーストステージ(三試合)
 ソフトバンク(パ2位)-西武(パ3位)

・ファイナルステージ(4勝先取。1位チームに1勝のアドバンテージ)
 日本ハム(パ1位)-ファーストステージ勝者

 ★セントラルリーグ

・ファーストステージ(三試合)
 中日(セ2位)-横浜(セ3位)

・ファイナルステージ(4勝先取。1位チームに1勝のアドバンテージ)
 巨人(セ1位)-ファーストステージ勝者

憂「ついに待ちに待ったクライマックスシリーズ!」

憂「果たして日本シリーズに駒を進めるのは一体どこでしょうか!?」

177: 2011/07/14(木) 03:48:25.72 ID:LFe4qYf20
~パリーグ CS ファーストステージ 福岡ドーム~

さわ子「あ、浅村くん、ボンバーマンやらない?」

浅村「…さわさん…もうすぐ試合なんですから…」モフモフ

さわ子「何お堅い事を!私が前顧問してたクラブなんて本番前にお茶を…って浅村君!なにそのモップみたいなの!」

浅村「あ、これッスか?」モフモフ

中島「どうした?」モフモフ

中村「なんスか?」モフモフ

さわ子「…ナカジさんとおかわりさんまで…。それ、なんなんですか?」

浅村「これはソフトバンクの新発売グッズ『純のモフモフカチューシャ』ですよ!」

さわ子「…売れるのかしら…」

178: 2011/07/14(木) 03:53:53.10 ID:LFe4qYf20

純「ふっふっふ…ついに私のグッズが!」

王「おっ、鈴木か。どうだ調子は」

純「バッチリですよ!見て下さいコレ!ついに私もグッズ化です!」

王「ほう。鈴木の髪形を模したカチューシャか」

純「そういえば王さんもグッズになってましたよねー。なんかトイレのスッポンみたいなやつ」

王「……」

純「はれ?どうしました王会長?」

王「…………」

純「ヘンなのー」

181: 2011/07/14(木) 04:10:27.80 ID:LFe4qYf20
 憂「…というわけでついにプレーオフ開幕!」

 憂「一試合目はソフトバンクの打線が爆発!二戦目は帆足さんが完封!」

 憂「ここまで一勝一敗!今日は第三戦です!」

 憂「ちなみにここ二試合で山中先生は登板がありませんでした」

 憂「純ちゃんは8打数ノーヒット 8三振 1振り逃げ 1盗塁死!」

 憂「では、第三戦は私も応援に行きたいと思います!」

182: 2011/07/14(木) 04:13:31.32 ID:LFe4qYf20
  ~福岡ドーム~

 実況「さあ、ソフトバンク二回の攻撃、早くも先制のチャンスです」

 実況「二塁打の松田をセカンドにおいて、ここで打席には鈴木純」

 実況「この鈴木、育成出身ながらうまくチャンスをつかんできました」

 実況「五月、ロングスリーパーしていたヨーヨー(ステルスレイダー)が予想外に早く
    かえってきて指を負傷した多村に代わり一軍登録」

 実況「七月、不調に見舞われましたが、復帰したばかりの多村が、今度は
    ケーニッヒケルベロスをシメ打ちしすぎてまたも指を負傷」

 実況「ここまでスタメン組のケガを補うように活躍してきました、鈴木」

鈴木「おりゃーー!!」 ブゥーーーン!!!

 実況「鈴木豪快な三振!これで九連続!」

184: 2011/07/14(木) 04:19:59.89 ID:LFe4qYf20
 憂「うーん純ちゃん、調子悪いのかなぁ」モフモフ

 憂「でもまぁ、成績をみたらいつも通りなのかも」モフモフ

  実況「鈴木、レギュラーシーズンの成績は打率.185 27本 180三振」

  実況「『和製アダム・ダン』という異名は褒めているのでしょうか」

  実況「あっと福田も三振!ソフトバンク先制のチャンスをつかめません!」

 憂「う~ん、石井さんも山田さんもなかなか点は取られそうにないですねぇ」モフモフ

 憂「これは接戦の予感かも…」モフモフ

185: 2011/07/14(木) 04:25:13.59 ID:LFe4qYf20
 ~試合終盤~

さわ子「うおおおおおおおりゃあああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

  バッシィィィーーーーンン!!

 実況「山中もの凄い気迫!これで7回から続いて9回も無得点に抑えました!」

 実況「これで0-0のまま、ついに延長戦に突入することが決まりました!」

純「う゛~~~…また打てなかった…」

純「なんでなんだろ…何がダメなのかな…何かダメなところがあるんだろうな…」

内川「そう。僕も『このまま横浜にいたらダメになる』と思ってここに来た」

純「グッズ発売で調子に乗ってる場合じゃなかったなぁ…」

187: 2011/07/14(木) 04:31:37.86 ID:LFe4qYf20
さわ子「はぁ…はぁ…」

中島「お疲れさま。山中」

さわ子「あっナ、ナカジさん…!別に疲れてなんて…」

岸「いや、シーズン終盤も結構投げてたし、疲れもあるんちゃう?」

さわ子「エヘヘ、エヘ、そんなぁ大丈夫ですよぅ」

さわ子(カネも地位も、そして顔もある獲物…一匹たりとて逃すもんですか!)

許「すまんな。俺達がふがいないばかりに…」

さわ子(既婚者はおよびじゃねえええええ!!!許さん!!)

188: 2011/07/14(木) 04:37:19.64 ID:LFe4qYf20
 ~11回~

  ざわ… ざわ…

 憂「えっ…まさか…」

  どよ… どよ…

 実況「なんということでしょう!山中、ついに五イニング連続のロングリリーフ!」

 実況「確かに西武は終盤特にリリーフ陣が崩れましたが…」

 実況「これはあまりに酷ではないでしょうか?」

さわ子「はぁ…はぁ…」

さわ子(頑張る姿を見せることで守りたい女度アップよ!!)

星野「くそっ、監督が俺達のことを信頼してくれたら…!」

岡本「でも…確かに俺達じゃ…!」

平野「俺達じゃ…ダメなのか!!」

「「「俺達じゃ…!!!」」」

189: 2011/07/14(木) 04:42:38.51 ID:LFe4qYf20
 実況「さあ、この回、先頭はここまで全打席三振の鈴木」

純「ふうー。集中集中!」

さわ子(ここも三者三振で『頼りになるお姉さんキャラ』でいったほうがいいのかしら…)

さわ子(それともあえてピンチを招いて『守りたいキャラ』か…)

 ピシュッ

さわ子「あ…ヤバ…」

 ゴオオオオオオオオッ

銀仁朗(うわ…顔面に…)

 実況「危なーーーーーーーい!!!」


  カッ


さわ子「え」

純「どりゃぁぁぁ!!!」グワラモジャガキィィーーーーン!!

190: 2011/07/14(木) 04:47:53.04 ID:LFe4qYf20

 実況「いったぁぁぁぁぁーーーーーーーー!」

 実況「鈴木純!汚名を返上する!超特大アーチ!!」
 
 実況「それは値千金!勝負を決めるサヨナラホームランだッ!!」

さわ子「……嘘……」

 実況「山中!がっくりとマウンド上に膝を突きます!
    …おっとベンチから西武の選手が心配して走っていきます!」

岸「山中…大丈夫か…?」

さわ子「岸きゅん……」

岸「大丈夫だ。山中はよくやった。今夜は飲みに行こう」

中島「いやお前、そんなことして奥さんに怒られへんの?」

岸「あ、確かに…」

さわ子「……」

さわ子「既婚者はおよびじゃねええーー!!」バキッ

岸「ぐふぅっ!」

191: 2011/07/14(木) 04:54:39.58 ID:LFe4qYf20
 ~セリーグ CS ファーストステージ ナゴヤドーム~

梓「ふぅ…ついにこの舞台に来たんだ!」

和田「お、中野か」キラッ

梓「! あなたは和田さん!」

和田「調子はどうだ?」キラッ

梓(まぶしい…!これがスターの輝き!)

和田「そういえば中野はハムの秋山、阪神の田井中と知り合いなんだってな?」

梓「はい?」

和田「いっしょに頑張ろうと伝えておいてくれ!」キラッ

梓「は、はい!」

梓(って……なんでその二人?)

194: 2011/07/14(木) 05:03:11.70 ID:LFe4qYf20
井端「お、中野か」

梓「わっ、今度は井端さん!?」

井端「かつて全盛期を築いたドメや川上がいないからといって甘く見るなよ」

梓「えっ!?いえっ!そんなことは!」

井端「日本一になるのとリーグ二位で終わるのでは大きく違う…」

梓「も、もちろんです!」

井端「何が違う?」

梓「えっ!?そりゃ、充実感とか、喜びとか…」

井端「甘い!!!契約更改が違うんだ!!!!!」

井端「見せてやろう…。俺達が最強の銭闘民族であるということを…」

梓「ゴクリ」

195: 2011/07/14(木) 05:08:49.24 ID:LFe4qYf20
 ~試合開始!~

井端「うおおお!」カキン!

 吉田沙保里「きゃー!井端さんきゃー!!」

梓「すごい…!でもウチだって!」

スレッジ「ウオオ!オレタチもAクラスだッ!」カンッ!

中村ノリ「銭闘力やったら負けへんで!グヘヘヘヘヘ!!」カキィン!

村田「おりゃああ!全力疾走!!……ああッ!脚が…!!」

 実況「横浜!打線爆発!好投手チェンを打ち砕きました!」


梓「へへん、です!一戦目はウチの勝ち!」


197: 2011/07/14(木) 05:16:49.21 ID:LFe4qYf20
 ~二戦目!~

梓「一戦目はかなり打ってくれたけど…」

吉見「……」ピシュッ スパーン!

梓「今日の吉見さんを打つのはなかなか難しそう…」

梓「で、でも!」

山本「おりゃっ!」バシィ!

梓「なんだかんだでウチの山本さんだって8回まで無得点に抑えてます!」

梓「さあ、きゅうか――あ!」

  カッキイイイイィィン!!

 実況「入ったー!中日!平田のサヨナラホームラン!」

梓「あちゃー…」

アナ「平田選手!球場のファンにエールを!」

平田「今日は球場入りの最後の、振ろう、決めてて!ガンってなって!お酒いっぱい飲んで下さい!」

アナ「……???」

198: 2011/07/14(木) 05:24:46.78 ID:LFe4qYf20
 ~第三戦!~

 実況「さてついに第三戦、今日の勝者が勝ちあがるということですが」

 立浪「横浜はここ二戦で中野、江尻、山口を温存していますからね」

 実況「ほう。では横浜有利…と」

 立浪「いえ。中日の今日の先発の山本昌投手はベテランらしい勝ち方を知っている投手ですから」

 立浪「今も横浜打線へ投げるイメージを膨らませていると思いますよ」

山本昌「……」

山本昌(やはりドリフト用のタイヤを履かせるべきか…いやサーキットの具合も…)

山本昌(オオクワに餌やり忘れたな…今から帰っていいかな…)

199: 2011/07/14(木) 05:31:33.08 ID:LFe4qYf20
梓「今日はウチが加賀さんで中日が山本昌さんか…」

梓「どっちもあんまりイニングを投げるタイプじゃないし、今日は中継ぎが勝負を分けるかも」

江尻「その通り」

牛田「万全の肩を作っておかなきゃな」

梓「……はい!」

  カキン!

梓「お?」

 実況「打ったぁ!石川、執念のタイムリー!」

梓「先制!先制だ!」

牛田「さて…ますます気合入れないとな」

200: 2011/07/14(木) 05:38:29.23 ID:LFe4qYf20
 実況「さぁ立浪さん、横浜に待望の先制点が入りました」

 立浪「ただ先発の加賀投手の球が前の回あたりから上ずってきました」

 立浪「試合も終盤で指の感覚にも疲れが出てきますから、変化球の制球がうまくいっていません」

 立浪「中日の選手は低目は思い切って捨てて、高めの球を狙ってほしいですね」

堂上兄「ていっ」カキン!

井端「やっ!」キイン!

大島「はっ!」カン!

 実況「おっとぉ!立浪さんのおっしゃる通り、代打堂上から三連打!」

 実況「ノーアウト満塁!ここでピッチャー代わります!」

『ピッチャー、加賀に代わりまして…中野』

202: 2011/07/14(木) 05:45:53.53 ID:LFe4qYf20
 実況「中野です!ハマの中継ぎエース、中野!立浪さん、ここは?」

 立浪「基本中野はシンカーメインでゴロを打たせる投手です」

 立浪「ですが大きく落ちるシンカーもあり、三振を狙ってとれる投手でもあります」

 立浪「江尻投手はデッドボールの危険がありますし、牛田投手のフォークは暴投の危険があります」

 立浪「ここでの横浜のベストは次の打者を三振、その次の打者を併殺でしょう」

 立浪「それを狙っての中野投手の起用でしょう」

 実況(なるほど!さすがインテリヤクザこと立浪さん)

 立浪「今何か考えましたか」

 実況「滅相もございません」

205: 2011/07/14(木) 05:54:01.54 ID:LFe4qYf20
梓(まずは三番の森野さん。まずはここは安全にアウトをとりたい)

梓(けど私には勢いだけで三振をとれる球威は無い)

梓「それなら…」

梓「……にゃっ!」

  ピシィッ

 実況「中野、外角一杯にストレート!ストライク!」

 立浪「素晴らしいコースです。しかし本当なら最後の一球に取っておきたかったですね。
    あれより甘い球だと打ちにこられる、ということですから」

206: 2011/07/14(木) 05:59:20.09 ID:LFe4qYf20
梓「…にゃっ!」

  ピシュッ ピシュゥッ

 実況「中野、外角に続けてシンカー。しかし二球ともボールです」

 立浪「中日は中野をよく研究していますから。配球、タイミング、どれも把握しているでしょう」

梓(……次の一球が勝負…)

梓(練習の成果をみせてやるです!)

梓「んん……にゃぁっ!」

  ビシュッ

森野「!!」

  ガギッ

 実況「ああーっと森野!内角の速球を打ちあげた!キャッチャーフライ!」

 立浪「うーん、落ち着いて打ちにいってほしかったですね」

248: 2011/07/14(木) 09:16:25.64 ID:LFe4qYf20
梓(さあ…次は和田さん)

和田「……」キラッ

梓(正直、和田さんの打撃は理解できない…切れたと思った打球が切れなかったり、打球にスピンがかかってたり…)

梓(でもどんなバッターでもここが崩れれば打撃が出来ない、ってもんがある)

梓「ん……にゃ、あっ!」

  ピシュッ パシィーン

 実況「中野、外角へカット気味の球を投げてワンストライク」

 立浪「そこまで際どいコースでもありませんでしたから振っても面白かったかもしれませんが、
     待っていた球が違ったんでしょうね」

和田「……」

梓(さあて次は…)

251: 2011/07/14(木) 09:23:04.44 ID:LFe4qYf20
 実況「さあ中野和田に対して第二球…」

中野「にゃあ!」

  シュッ シュルル… ブンッ スパーン!

和田「……っ」

梓「よしっ」

 実況「これが先ほど立浪さんがおっしゃった大きなシンカーですね」
  
 立浪「ええ二階から落ちてくるような非常に大きな落差のあるタマですね」

 立浪「若干気になるのは和田選手の下半身と上半身の動きがかみ合っていなかったことですね」

和田「……」

梓(あえて遊び球は使わない…一気に決めにいきます!)


254: 2011/07/14(木) 09:33:21.74 ID:LFe4qYf20
 実況「立浪さんは次の球、どう思われますか?」

 立浪「ツーストライクと追い込みましたが、ゴロを打たせるという狙いが未だあるなら外角低めへのシンカーでしょう」

細山田(中野、ここは外角低めに小さなシンカーでひっかけてもらおう)

梓(いえ……外角低めには投げません)

梓(内角を突きます)

和田(次の球…外への小さな変化の球で凡打を打たせる…かもしれないが)

和田(気をつけるべきは内角を鋭く突いてくるファスト系のボール)

和田(内角に照準を絞る)

梓(内角で打ちとる)


257: 2011/07/14(木) 09:39:03.03 ID:LFe4qYf20
梓「んん……にゃ…あぁぁっ!!」

  ビシュッ

和田「!」

和田(ズバリ!左中間に持っていく!)

 カキィィン!

梓「!!」

細山田「!!」

258: 2011/07/14(木) 09:48:24.29 ID:LFe4qYf20
  バシィィィ!!

 実況「鋭い当たり!しかしショートの石川!これをナイスキャッチ!」

 実況「そして…!」

石川「6!」

渡辺「4!」

ハーパー「3!」

 実況「中野!注文通りの643のダブルプレイ!ノーアウト満塁のピンチをゼロで乗り切った!」

和田(……完全に捉えたつもりが…これは…)

 立浪「タイミング、ですね」

梓(トンちゃんからの手紙…私が打たれた時の配球と投球フォームのあらゆるデータ)

梓(はじめはフォームが揃っていることをいいことととらえていたけど)

梓(同時にそれは私の弱点でもあった)

260: 2011/07/14(木) 09:54:37.81 ID:LFe4qYf20
 実況「タイミング、ですか?」

 立浪「はい。今日の中野投手は左脚をあげて、その脚を早くおろしたり逆にタメを作ったりの工夫をしていました」

梓(私みたいな緩急で勝負するタイプはそれがより有効に働くはず)

梓(……私への対策をしっかりすすめていた中日ならなお有効になったはずです)

 立浪「森野くんが打ちあげたボール、そして和田くんが打ち損じたボール、どれもワンテンポ、半テンポ外されていました」

 立浪「コース的には芯でとらえてもおかしくない球でしたが、」
 
 立浪「半テンポの狂いがそれをフライとゴロに変えてしまいました」

木塚「中野、ナイスピッチング!よくやったぞ!」

梓「コーチ、私まだいけます。8回も投げさせてください!」

 

262: 2011/07/14(木) 09:59:39.74 ID:LFe4qYf20
梓「んにゃ…あぁ!」

  ビシュッ

 実況「なるほど、今のは脚の下ろし始めがかなりゆっくりでしたね」

 立浪「そこからピュッとフォームを早めるために打者のタイミングを外すわけです」

  ガキッ コテン ポキッ

梓「にゃあ!」

 実況「中野!この回も素晴らしいピッチング!中日打線相手に凡打の山!」

 立浪「基本的にゴロピッチャーですから、球数を要しないのも彼女の魅力の一つですね」

 実況「さあ横浜の攻撃終わって1-0。ここで横浜のマウンドにはこの男が上がります!」

山口「……」

264: 2011/07/14(木) 10:06:43.96 ID:LFe4qYf20
山口「ふぅーっ、ふぅーっ」

細山田(大丈夫かコイツ)

山口「フフ…大丈夫ですよ細山田さん。オレには秘策があります」

細山田「秘策?」

山口(中野…お前を見て気付いたぜ!タイミングは外す妙技をな!!)

265: 2011/07/14(木) 10:10:23.29 ID:LFe4qYf20
山口「どっ……せい!」

  コキッ

山口「ドッセイ!」

  ポキッ
 
 実況「山口ここまで順調!横浜、ファイナル進出へ待った無しか!?」

 立浪「う~ん…なんというか…フォームからいつもの力感が消えてますね。似合わないことでも考えてるんじゃないでしょうか」

山口(クックッ…柔軟使いこなす俺は…まさにハマの横綱!)

山口「どっ……せぇい!!」

 カキィン! キィン!

山口「え」

268: 2011/07/14(木) 10:17:58.29 ID:LFe4qYf20
 実況「井端、大島連続ヒット!一塁二塁!中日最後に大きなチャンス!」

細山田「おい山口…」

山口「大丈夫!大丈夫ッスから!」

山口(落ちつけ…四股を踏んでリラックスだ…)どすっどすっ

山口(ちょっと対応されたが…もっとタイミングを外してやれば…!!)

 実況「さあ!ここで打席には森野!」

山口「どっ………」

森野「…………」

山口「…………」

山口「せ…」

審判「ボーク!ランナー進塁!」

山口「えぇぇぇぇぇぇぇ!!」

269: 2011/07/14(木) 10:24:29.10 ID:LFe4qYf20
 実況「痛い!これは痛いボーク(不正投球)!ランナー進んで二塁三塁!」

 立浪「フォームを完全に止めるのはボークです。」

  バボッ

 実況「山口、ボークのショックでしょうか!森野をフォアボール!」

 実況「ここで迎えるは四番和田!」

 実況「おっとここでマウンドに内野陣が集まります!

 実況「ん……?外野から誰かが…」

森本「おい山口!」

山口「わっ、ひちょりさん!?なんでここに来てるんスか!」

森本「これを見ろ。」すぽっ

山口「こ…これは!?」

270: 2011/07/14(木) 10:34:09.87 ID:LFe4qYf20
山口「それは…ネコミミ!?また!?」

中野「あ…確かに手元にない」

森本「どう思う」

山口「いや…気持ち悪いっすけど…」

森本「…そう。そういうことだ」スタスタスタ…

山口「そうか…!そういうことか……!!」

272: 2011/07/14(木) 10:43:59.99 ID:LFe4qYf20
山口(小細工は俺には似合わない…!俺には…俺のスタイルがある!)

山口(俺のスタイルは…このストレートだ!)

山口「うおおおおおおおお!!」

  ビシュゥゥッ!!

  キィン!

山口「!!」

 実況「和田、山口のストレートを芯で捉えた!――しかし!」

  バシッ

 実況「サード村田の正面!サードライナーでスリーアウト!試合終了!!」

 実況「CSファイナルステージへの切符、横浜ベイスターズが手にしました!」


「「「ワァァァ!!やったー!やったやったー!わぁぁぁ!!」」」


梓「…まだ喜ぶわけにはいきません!次…次巨人に勝たなきゃなんの意味もありません!」

276: 2011/07/14(木) 10:51:26.12 ID:LFe4qYf20
梓「ふう…さ、シャワーも浴びたし……あれ?」

和「お疲れ様」

梓「和先輩?どうして名古屋に…?」

和「あなたの応援、っていったら?」

梓「え?ええ?そ、そんな!ほ、本当ですか!?」カァァ

和「ま、そうじゃないんだけどね」

梓「ガクッ」

和「それにしても今日はうまく適応したわね。ああいう姿勢が大切よ」

梓「! は、はい!ありがとうございます!」

善村(…!?真鍋和が中野と直接接触…!?この大胆さは脅威……!!)
 
 善村スコアラーは一段と和への警戒を強めた……


277: 2011/07/14(木) 10:58:31.01 ID:LFe4qYf20
憂「さぁ、ついにファイナルステージの組み合わせが決定しました!」

憂「パリーグが日ハム対ソフトバンク!」

憂「セリーグが巨人対横浜です!」

278: 2011/07/14(木) 11:09:18.12 ID:LFe4qYf20
 パシャパシャパシャ…

澪(あうう…この取材っていつまでも慣れないなぁ…なんかカメラ多い気がするし…)

澪(それに…いつも私が大口叩いたようにされて…今日こそはちゃんと言わなきゃ!)

澪「あ、あの!」

マスコミ「はい?」

澪「その…私が…生意気なこと言ってるようにするの…やめてくれませんか!?」

マスコミ「…分かりました。じゃあおかしなことがないようにイエスノー形式にしましょう」

澪「! はい!ありがとうございます!!」(なんだ…言えば分かってくれるいい人たちじゃないか!)

マスコミ「まず…ホークス打線は強力ですが、つけいる隙はあると思います。やはりそういう隙を突く投球をしたいですか?」

澪「は、はい!」

マスコミ「次に…ホークス先発陣は駒は揃っていますが時折崩れることがあります。
      そんなピッチングをファイナルでしてくれると助かりますよね?」

澪「は、はい!で、ででででも!い、いい投球をされても!私がもっといい投球をして!か、勝ちたいです!」

マスコミ「はい、秋山投手、ありがとうございます!」

澪「はい!ありがとうございます!」

澪(やった!今日のマスコミ対応は100点満点だ!)

280: 2011/07/14(木) 11:19:29.69 ID:LFe4qYf20
  ~翌日~

 『秋山、CSに向けてホークスディスった!あきれた暴言放言!!』

記者:ホークス打線についてどう思われますか?

秋山:強力打線とか世間じゃ言われてるけどさ、よく見りゃ隙だらけなんだよね。
    そう言われて調子こいてるやつらも哀れだし、そう思いこんでるヒヨコ集団のファンも哀れだ。
    俺が見本を見せてやるから、馬鹿どもはよーくおめめを開いておくことだな。

記者:ではホークスの先発陣については?

秋山:駒は揃ってるけど基本ガタガタ(笑) たとえマトモなピッチングされても、俺の前じゃ小バエのクソほどの価値もないけどね

秋山:この前飛行機のパイロットに「俺の先祖は貴族なんだ」って言ったら「それがどうした!?」だって。
    アイツは本当にクソだよ!!

秋山:誰とは言わないけど、投手によってはただ速い球を投げて満足しているヤツがいる。
    そこには組み立てのカケラもない。あるのは『こんなに速い球が投げられるんだぜ~』っていう悲鳴だけ(笑)

秋山:繰り返すようだが俺の先祖は貴族なんだ。正確には伯爵だ。

284: 2011/07/14(木) 11:33:05.69 ID:LFe4qYf20
  ~札幌ドーム~

澪「鈴木さん、いや純ちゃぁ~ん」

純「わっ!な、なんですかぁ!そんなにくっつかないでください!」どきどき

澪「違う、違うんだぁあの記事はぁ~」

純「分かってますよ…でもうちの選手、結構怒ってる人いましたよ」

澪「ヒッ!だ、誰?」

純「ファルケンボーグとか」

澪「ヒッ」

純「カブレラとか」

澪「ヒィィ!」

純「杉内さんとか」

澪「…それはあんまり怖くなさそう」

純「もっと怒りますよ」

285: 2011/07/14(木) 11:43:59.17 ID:LFe4qYf20
ダル「あ、秋山ここにおったんか。もうすぐミーティングやで」

澪「ダ、ダルさん…」

純「ダルさん!ダルさん!!私です!覚えてますか!?鈴木です鈴木純です!!」

ダル「ああ覚えとるよ。相変らず凄い髪やな…」モフモフ

純「キャーッ!どうしよう!褒められちゃった!」

澪(褒めたのかな…)

ダル「さ。行くで、秋山」ズルズル…

澪「あっ!あの!私、いつ…」

ダル「安心せぇ。お前は6戦目や」

澪「えっ…6…」

ダル「監督が気ぃ聞かしてん。『あんな記事出て秋山はまともに投げられん』って」

ダル「今日オレで次勝さん、次ウルフ、ケッペル、五戦目が斎藤や。その間に三つは勝てるて」

澪「そ、そうですよね!よかったぁ…」

287: 2011/07/14(木) 11:48:43.17 ID:LFe4qYf20
澪(が、しかし。人生はそう甘くは無かったのです)

澪(一戦目は順調にダルさんが完投勝利)

澪(しかし続く二戦目は勝さんの好投報われず、打線が無得点)

澪(結局純ちゃんがワンバウンドのボール球をホームラン。結局それが決勝点でした)


288: 2011/07/14(木) 11:53:32.97 ID:LFe4qYf20
澪(が、しかし。人生はそう甘くは無かったのです)

澪(一戦目は順調にダルさんが完投勝利)

澪(しかし続く二戦目は勝さんの好投報われず、打線が無得点)

澪(結局純ちゃんがワンバウンドのボール球をホームラン。結局それが決勝点でした)

澪(三戦目は辛くも勝利。しかし四戦目はケッペルさんが踏ん張りきれず敗北)

澪(斎藤さんは持っていませんでした…。四回六失点)

澪「ああああああああ……」

澪(そして今日…私が先発…相手は一戦目で投げた杉内さん……)

澪(勝った方が日本シリーズ進出の試合で私が先発……!!!)

澪(ダルさんがリリーフにまわってくれるとはいえ…)

289: 2011/07/14(木) 12:07:13.75 ID:LFe4qYf20
澪「私……ハリーホークになりたい……」

中田「おい秋山」

澪「それでハニーホークと一緒に遊ぶの…」

糸井「おーい」

澪「ウフフフフフフフフフ…」

稲葉「ありゃー…」

292: 2011/07/14(木) 12:26:19.20 ID:LFe4qYf20
 ~試合中盤~

 実況「さあ、ここまで杉内、秋山両左腕の投げ合いで進んできましたが」

 実況「とうとうその均衡が破られようとしています」

 実況「ツーベースの小久保を二塁に置いて、打席には鈴木純!」

澪(…こういう時右バッターにはスライダー系の球をヒザもとに投げてバランスを崩し)

澪(最後にフォーク……っていうのが定番なんだけど)

  ピシュッ バシュッ

 実況「秋山!鈴木のヒザ元内角へスライダーを二つきめました!」

純「……」ぽへー

澪(バランスが崩れてるのか全然わからん!)

293: 2011/07/14(木) 12:31:12.25 ID:LFe4qYf20
純(んー。二球見逃しちゃったな)

純(いつも監督には『お前は三振が多いんだから早いカウントから勝負しろ』って言われるけど)

純(ま、あんなん打てないし、しょうがないじゃん?)

純(純ちゃんポジティブ!そういうところが好きっ!そういうところがかわいい!)

純(んー、次の球だけど)

純(福良コーチは澪センパイは追い込んでからボール球で勝負してくるって言ってたなー)

純(でも澪センパイ頭いいからそれを読んでストライクでくるかも)

純(んーー…)

純(ま、いいや。打てる球打と)

 ピシュッ

純(あ…)

294: 2011/07/14(木) 12:38:44.13 ID:LFe4qYf20
澪(決め球のフォーク…!純ちゃんは内角にビビってカカトに体重が乗っているはず!)

澪(そうなればこの外角へのフォークには中途半端なスイングしかできず三振してくれる…はず!)

澪(ああ神様お願い!)

  カッキィーーーン!

澪「!」

 実況「打ったぁ!鈴木純!低目のフォークを、ヒザを地面にこするほど重心を下げて打っていきました!」

 実況「打球はセンターオーバー!カブレラ帰ってホークス一点先制!」

 実況「あっと打った鈴木は二塁を蹴る!しかしセンターは糸井だ!」

審判「アウト」

 実況「……鈴木暴走であえなくチャンスは終了」

 実況「し、しかし!ホークスに貴重な先制点!」

秋山監督「……おい鈴木、さっきの走塁、ちゃんとコーチの指示を…」

純「えへへ!うまく打ったでしょ?褒めて下さい!褒めて褒めて!」

秋山監督「ま、まったくお前ってやつは…」なでなで

295: 2011/07/14(木) 12:45:46.21 ID:LFe4qYf20
澪「……はぁ…やっちゃった…」

稲葉「気にするな。一失点ならまだまだ大丈夫さ」

中田「ホームラン一本で追いつく点差やからな」

糸井「すぐ返せるて。次の回から抑えてくれたらええ」

澪「み、みんな……!」

ダル「胴上げからのパンツ見せっていうお約束せなアカンもんな」

澪「お、お約束じゃありません!」

299: 2011/07/14(木) 12:53:25.87 ID:LFe4qYf20
杉内「…CSで一勝…MVP…日本シリーズ…日本一…」ブツブツ

杉内「まだだ…こんなとこじゃ終われん!」

杉内「今年の俺は……!去年のようにやすやすと判は押せん!」

杉内「ここで負けると勝つのとでは…3000万は変わってくるんだよォ!」

 ビシュッ

糸井(いける!)カキィン!

中田(秋山に負けついたら可哀そうやもんな)カァン!

稲葉(シーズン一位がやすやすやられてたまるかよ!)カキン!

 実況「おおおっ!!日ハム打線噴火!連続ツーベースで二点!逆転!!」

 実況「ああーっ、ここで杉内、降板です!これは杉内悔しいノックアウト!」

杉内「……くそっ…くそっくそっくそくそぉぉぉ……!!」

杉内「うおおおおおおお!!!」ガンッガンッガンッ!

純「利き手はやめて下さい!ブルガリア!ブルガリア!」

305: 2011/07/14(木) 13:06:48.89 ID:LFe4qYf20
 ~九回~
  
 実況「さあ最後の九回!梨田監督!最後までマウンドを秋山に託します!」

小久保「……」ボスッ

 実況「あっとしかし秋山、これは珍しくフォアボール!ノーアウトで同点のランナー一塁!」

 実況「ここで打席には先制タイムリーの鈴木!」

純「よーし!お父さん逆転サヨナラホームラン打っちゃうぞー!」

大野「…ホークスはビジターだからサヨナラは無いだろ…」

純「え!?そうなんですか?サヨナラってそういうシステムなんですか!?」

306: 2011/07/14(木) 13:07:57.64 ID:LFe4qYf20
澪(………今日一日純ちゃんと対戦して思った…)

澪(この子なにも考えてないんじゃ…)

 ピシュッ

純「やー!」ブルーン!

純「やー!」ブルーン!

純「やー!」ブルーン!

審判「アウト」

 実況「秋山三球連続のフォーク!そして鈴木三球連続の見事な空振り!」

秋山監督「……鈴木…なぜ三振したか分かるか…!?」

純「バットがボールに当たらなかったからです!」

秋山監督「……そうか」

308: 2011/07/14(木) 13:13:37.23 ID:LFe4qYf20
 実況「おっと秋山監督ここで動きます!」

 実況「ここまで四打数ノーヒット。明らかに秋山に合っていない松田に代えて…」

  『ピンチヒッター…松中…背番号…3…』

 実況「おおっ!ここで三冠王!松中が代打です!」

 実況「左対左になりますが…松中は左を苦にしません!!」

松中「……」ブンッ!ブンッ!ブンッ!

 実況「松中のスイング!キレがあります!」

 実況「松中!最北の地から、九州で待つファンへとビッグアーチを架けられるか!」

 実況「松中対秋山……!!最後の決戦!!」

310: 2011/07/14(木) 13:17:33.12 ID:LFe4qYf20
┌─┬─┬─┐
│  │  │  │
├─┼─┼─┤
│  │●│  │
├─┼─┼─┤
│  │  │  │
└─┴─┴─┘
     球種    球速   コース   結果
●1 ストレート 140km/h 真中中央 ゴロ(二併打)
                        [ 併殺打 併殺 ]

312: 2011/07/14(木) 13:21:19.98 ID:LFe4qYf20
松中は打った…!三冠王の維持を、そしてホークスの主砲としての維持を、なにより男の意地をかけて打った…!

男の打球がセカンドへボテボテと転がった後…

男の哀しい背中は秋の札幌へ消えていった…

外にはただ黒洞々たる夜があるばかりである…

松中の行方は、誰も知らない。

315: 2011/07/14(木) 13:32:17.75 ID:LFe4qYf20
梓「…!ついにやってきました東京ドーム!」

唯「あっずにゃーん!」だきっ

梓「ゆ、唯先輩!もうっ、敵同士なんだからそんなことは…!」

唯「むひひ~いいんだよーどうせきょじんが勝つもーん!」

梓「! それは聞き逃せない発言ですよ!巨人だって穴はあるじゃないですか!」

唯「どこ?」

梓「抑え…とか」

唯「むふふ遅れてるなあずにゃんは…。見よ!きょじんの誇る鉄壁のくろーざー!」

久保「抑え候補の久保だ」

山口「同じく抑え候補の風神こと山口だ」

越智「抑え候補と言えば俺。雷神、越智だ」

東野「なぜ自分がここにいるのか分からないが、この東野も抑え候補だ」

ロメロ「ボクもデース!」

唯「どうだ!あずにゃん!恐れ入ったか!」

梓(……誰が抑えなんだろ…?)

316: 2011/07/14(木) 13:33:22.16 ID:LFe4qYf20
松中は打った…!三冠王の意地を、そしてホークスの主砲としての意地を、なにより男の意地をかけて打った…!

男の打球がセカンドへボテボテと転がった後…

男の哀しい背中は秋の札幌へ消えていった…

外にはただ黒洞々たる夜があるばかりである…

松中の行方は、誰も知らない。

318: 2011/07/14(木) 13:44:44.32 ID:LFe4qYf20
 憂「ふう…」

 律「お!どうした憂ちゃん!心配なのか?」

 憂「えぇ、まぁ…」

 紬「でもほんと、どっちを応援しようか迷っちゃう~」

 さわ子「応援っていうのは勝つためにするばっかりじゃないのよ?
      どっちもがいいプレイができるように応援すればいいのよ」

 律「おおっ大人の意見!」

 憂「……お姉ちゃん…」

320: 2011/07/14(木) 13:55:09.95 ID:LFe4qYf20
 ~試合開始!~

 実況「さあ!ついにはじまりました、セのクライマックスシリーズ、ファイナル!」

 実況「今日の解説は栗山さんと、ゲスト解説の野茂さんでお送りします。よろしくお願いします!」

 栗山「よろしくお願いしまーす!」

 野茂「……ます」

石川「…ていっ」カキン!

 実況「おっ!石川早速出塁!栗山さん、どうでしょうこの石川選手のバッティングは!」

 栗山「去年からヒジョーに良くなってます。見て下さい。ここで上半身が崩れないんですね。ここ!ここです!
     これでミートの時に…パンッ!と強くボールが叩けるわけです!」

 野茂「………」

金城「…りゃっ!」カァーン!

 実況「おおっ!二番下園の送った石川を、見事金城がたいむりーで返しました!横浜先制!」

 栗山「この金城選手のバッティングも今、ヒジョーにノッてますよ。この腰の回転がいいんですね」

 実況「野茂さん、投手にとって初回に点を取られるというのはどういうお気持ちなんでしょうか?」

 野茂「……えー…、まぁ一点なんで、気持ちを切り替えて……、次を抑えるということじゃないですかね」ポリポリ

 実況「……はい!ありがとうございます!」

322: 2011/07/14(木) 14:08:47.15 ID:LFe4qYf20
 ~試合終盤!~

 実況「さあここまで4-3と横浜リード」

 栗山「巨人は平沢選手がいいですね!来る球を素直に打ち返す、ヒジョーに柔らかなバッティングを見せています」

 実況「平沢はここまで四打数二安打、さきほどはあわやホームランという2点タイムリーがありました」

 実況「平沢、この回もまわってきます!」

 実況「野茂さんは、気になる投手はいらっしゃいますか?」

 野茂「………………」

 栗山「野茂さん」

 野茂「……ぁぁ…、まだ投げてないんですけど」

 実況「ほう」

 野茂「ファーストステージのVTR見た感じ…中野投手が、……あー、面白そうだと」

『ピッチャー、江尻に代わりまして…中野』

 実況「おおっ!お二人があげた選手同士の対決が実現しそうですね!」

324: 2011/07/14(木) 14:23:57.29 ID:LFe4qYf20
 実況「巨人、ここまで横浜を圧倒する安打を放っているのですが点に結びついていません」

 実況「得点のためにもここで平沢が出塁したいところ」

唯「あずにゃ~ん、おいでおいで~」

梓「なにやってるんですかもう!マジメにやって下さい!」

梓(…唯先輩のバッティングが変わってる。前は思いっきり振ってくるバッターだったけど)

梓(今は気に入らない球は思い切って捨てて、そして打てる球をうまくバットに乗せてる)

梓(理想としては低めに沈む変化球で打ちとりたいけど、そのためには腰を引かせたいところかな)

  ピシュッ ズバッ

 実況「内角へのシンカーとストレート、一球ストライク、一球ボールでカウント1-1」

梓(ここで外角低めにチェンジアップ…)

  カキン!

梓「!」

 実況「平沢いい当たり!…しかしこれはファーストの正面。ガッチリとって今…アウト!」

唯「ああ~ん、もーちょっとだったのにぃ!」

梓(危ない危ない…油断ならないよホント)

325: 2011/07/14(木) 14:30:07.16 ID:LFe4qYf20
審判「ゲームセット!」

 実況「試合終了!横浜、5-3で巨人を下しました」

 栗山「非常に両者の力が均衡したいい試合でした!特に横浜はシーズン以上の戦いができた、という感じですね」

 野茂「…………………」

 実況「野茂さん」

 野茂「…………………」


 律「おおー!初戦は梓の勝ちか!」

 紬「アドバンテージがあるからこれでタイよね?」

 憂「………」

 さわ子「…?憂ちゃん、どうかした?」

 律「ま、巨人が負けて残念なのは分かるけどさ。まだタイだから大丈夫だって!」

 憂「い、いえ…そういうことじゃないんです」

327: 2011/07/14(木) 14:40:54.07 ID:LFe4qYf20
 ~数日後!~

唯「ういーアイス…」

憂「お姉ちゃん、今日何本目?」

唯「だってぇ、横浜に1勝3敗だよ?王手かけられたんだよ?」

憂「だからってヤケにならないの」

唯「うぅ…ズルいよ…横浜三位なのに…」

憂「仕方がないでしょ?そういうシステムなんだから!」

唯「ういーアイス…」

憂「もう…」

328: 2011/07/14(木) 14:47:41.78 ID:LFe4qYf20
 ~翌日! 東京ドーム!~

律「えぇっ?唯が欠場?」

紬「こ、声が大きいわよりっちゃん…それにまだ確定じゃないし」

律「でもそういう噂なんだろ?」

紬「うん…なんでもお腹壊したって…」

律「あちゃー…唯は調子良かったのに…こりゃ巨人負けかな」

331: 2011/07/14(木) 15:00:41.63 ID:LFe4qYf20
 ~試合開始!~

梓「……あの噂本当だったんだ」

梓「唯先輩がスタメンから外れてる」

梓「ま、ウチは楽になるからいいけど」

 ~試合中盤~

 実況「村田三振!横浜、ここまで得点がありません!」

 実況「阿部ゲッツー!巨人、やはりランナーは出しても残塁!巨人もここまで無得点」

梓「……」

梓「これは私の出番がありそうだね」

  カン! キィン!

 実況「やはり疲れが出てきたか高崎!ここで二連打!」

『ピッチャー、高崎に代わりまして…中野…』

 実況「あっと、やはりここでピッチャーを代えます!ツーアウト一二塁という厳しい場面で中野!」

333: 2011/07/14(木) 15:11:26.50 ID:LFe4qYf20
梓「ふう…さて…ここで打順は投手。そりゃ代打だよね」

梓「ヨシノブさん?矢野さん?高橋信二さん?」

梓「ま、誰が出たっていいけどね」

梓(最近私…いい感じにゆとりがでてきてる。慌てることがなくなったかな)

 『ピンチヒッター…平沢』

梓「へっ!?」

梓「な、なんだ…いるんじゃん唯先輩……ってえぇ!?」

唯「……」

梓「唯先輩が左打席?なんで?まさかの稼頭央化?スイッチヒッター!?」

梓(やばい前言撤回…私めちゃ慌ててる)

334: 2011/07/14(木) 15:16:05.79 ID:LFe4qYf20
唯「………」

梓(いつもなら『あずにゃ~ん』とか言うのに…)

梓「ええい!何余計なこと考えてるのよ梓!集中集中!!」

梓(と言っても…左だし、なんか全然フォーム違うし…)

梓「と、とにかく!全力投球!」

梓(見た感じ、肩に力入ってるし打ち気はマンマンって感じ…それなら!)

  ピュッ

梓(外一杯へ……!)

唯「…」ピク

梓(振れ!振れ!)

339: 2011/07/14(木) 15:24:42.67 ID:LFe4qYf20
唯「……!!」グンッ

梓(振ったぁー!ばーかばーか!!)

 ククッ

唯「……!!」

梓(外に逃げてなおかつ沈む小さなシンカー!振ったらまず三塁側へのゴロだよ!)

 「甘いよ梓ちゃん」

梓「へっ?」

 カキィーン

342: 2011/07/14(木) 15:26:59.24 ID:LFe4qYf20
>>335
金村曉「絶対に許さない。顔も見たくない(涙目で)」

343: 2011/07/14(木) 15:33:33.37 ID:LFe4qYf20
 実況「打ったー!切れない、切れない!レフト線ギリギリのフェアゾーンに落ちるタイムリーヒット!」

 実況「大きな大きな一点!巨人!横浜中野から先制の一撃!」

梓「……」

梓「ういー…」

憂「あはっ、ばれた?」

梓「何やってんのよ…それアリなの?こんなんアリ?」

憂「あはは…巨人優勝戦のあと原監督に話しかけられて…一応準備してたんだ」

憂「ちなみにルール的には……ナシ、かな…アハハ…」


 ナベツネ「かまわん。ルールはさっき書き換えた」

 桃井オーナー「ははっ、見事なご手腕で…」

原監督「これぞ本当のニセ侍」

内海「……」グスッ…

344: 2011/07/14(木) 15:41:31.17 ID:LFe4qYf20
 ~試合後~

 実況「今日も巨人ー横浜の試合、接戦になりました!」

 実況「しかしスイッチに転身した平沢の見事なタイムリーで巨人先制!そのまま逃げ切りました!」

 実況「これでアドバンテージ含め三勝三敗!巨人が逆王手!」


梓「はぁ…」

憂「あ、梓ちゃーん!」

梓「もう…今日は憂のせいで負け投手だよ」

憂「ご、ごめんね!でも私もお姉ちゃんに日本シリーズ行ってほしかったし…」

憂「お詫びに今日はごちそうするよ!ね、うち来てくれない?」

梓「えぇーもう…しかたないなぁ…」

347: 2011/07/14(木) 15:46:20.68 ID:LFe4qYf20
 ~平沢家!~

唯「おぉー!あずにゃん!いらっしゃーい!」

梓「…元気じゃないですか」

唯「憂のヒット見てたら元気百倍だよ!」

梓「…もう憂がメインで出たら…?」

唯「おおー!それいいねぇー!」

憂「駄目だよー!私お姉ちゃんみたいに守備できないもん!」

梓「そうかな?憂のほうがうまくできるんじゃない?」

唯「ガーン!」

梓「冗談ですよ」


349: 2011/07/14(木) 15:49:06.68 ID:LFe4qYf20
唯「それにしても…梓ちゃん良かったですなぁ横浜に行って…」

梓「え?」

唯「最初あずにゃん凄くいやがってたじゃん?横浜に指名されて」

梓「もう…古い話を…」

唯「それが今ではプレーオフだもんねー」

梓「……良かったです。横浜に来れて」

憂「ふふっ」

唯「あずにゃん!明日は勝っても負けてもうらみっこなしだよ!」

憂「楽しんでね?梓ちゃん」

梓「……うん!」

350: 2011/07/14(木) 16:00:06.30 ID:LFe4qYf20
 ~宿舎!~

梓「ふうー、ごちそうになってたら遅くなっちゃった」

梓「ん?メール来てたのに気づかなかった」

梓「律先輩と…澪先輩ムギ先輩、あ、さわ子先生からも…。あ!純からもだ!」

梓「どれどれ…」

 律『梓!ついに明日だな!今日のことは仕方ないって!切り替えて行こう!
   どっちを応援とかは出来ないけど、悔いの残るプレーだけはするなよ!』

 澪『明日、凄く緊張すると思う。球場の雰囲気も凄いだろうし…。でもそういう時こそ周りを見て、
   バックを信頼して投げるんだぞ。』

 紬『今日はお疲れ様。勝つのも負けるのも野球。今日の失敗は反省はしなきゃいけないけど、
   それは今日まで。明日になったら新しい気持ちでゲームに臨んで下さいね』

 さわ子『ここまでこれたのは梓ちゃんだからこそだと思います。自分を信じて。自分の気持ちに正直に、
      野球にも、日々の生活にも、そして恋愛にも!嘘をつかないで接してね』

 純『緊急!!!!!切れ痔疑惑!!!!!!!!!!
   どうしたらいい???痔の薬って薬局で売ってるよね??何がいいの??返信求ム!!!!』

梓「みんな…!」

梓「ありがとう…!元気湧いてきた!このメールは宝物にしよう!!そして純のアドレスは消そう!!」
 

351: 2011/07/14(木) 16:07:14.17 ID:LFe4qYf20
 ~試合当日!~

梓「ふわ…凄い人…」

村田「見ろ。ウチのファンも一杯来てるぞ!」

 「ワー!」「ガンバレー!」「日本一だー!」「あずにゃーん!」

梓「うわ…!」

梓「なんていうか…ウチのファンって…こんなにいたんですね」

森本「あははは!なんだそりゃあずにゃん!」

早川「いや…でも俺もベイのファンがここまでいるのは初めて見ますよ」ポイポーイ!

村田「バットを投げるなバットを…。とにかく今日は!大勢のファンを裏切らないプレーをしようぜ!」

「「「おうっ!!」」」


352: 2011/07/14(木) 16:09:53.38 ID:LFe4qYf20
 ~巨人ベンチ~

原監督「いいか。長いシーズンを勝って来たのは俺達だ」

原監督「自分たちの野球を、自分たちの能力を信じて戦えば必ず勝てる!」

原監督「そして平沢!」

唯「はい!」

原監督「今日の打線のキーマンはお前だ!もう体調は万全だな!」

唯「ばっちしですよー!ぶいぶい!!」

原監督「よし!本当の王者はどっちかみせてやろうぜ!」

 「「「オオッ!!!」」」

353: 2011/07/14(木) 16:12:03.59 ID:LFe4qYf20
 実況「さあ!今日で決まりますセリーグの日本シリーズ進出チーム!」

 実況「この重要な一戦を、解説の桑田さん、そしてゲスト解説の川藤さんでお送りします!」

 桑田「お願いします」

 川藤「おないしゃす!」


354: 2011/07/14(木) 16:16:15.54 ID:LFe4qYf20
梓「とうとう試合が始まるのか…」

梓「私の出番あるのかな…昨日打たれちゃったし…」

梓「そもそも先発がボコボコに打たれたら出番なんて…」

梓「!!」ブンブン!

梓「何考えてるのよ梓!勝つ!絶対勝つよ!」

梓「そしてどんな試合でも最高のピッチングができるように備えるのが仕事じゃない!」

江尻「さっきから何ブツブツ言ってんだ中野」

牛田「ま、俺達は最初は神様に運命託すしかないっしょ」

山口「そんなもんっすよね」

梓「そ!そうですよね!今から緊張したって仕方ないですよね!!」

356: 2011/07/14(木) 16:27:15.32 ID:LFe4qYf20
バシッ ブンッ カキッ ビシッ

 実況「…なんというかこの試合、中盤までは非常に静かな投手戦となっています」

 実況「内海投手の好投はまだしも、なんというか横浜の山本投手も意外といっては失礼でしょうがいい投球ですね」

 川藤「山口さん!それはアンタ失礼ですよ!」

 実況「あっそうですよね!」

 川藤「こういうねぇ?バッと力出さなあかん時にね?選手いうもんは不思議なモンで、今まで出したことないよな
     力がカーッと出るもんなんですよ!それはこの桑田さんの方が詳しやろけどね?」
 
 桑田「ええ。そういう未知の力が出せる時って言うのは、時々経験がありますね」

 バシッ

 実況「さあ山本、ここもアウト!三者凡退!この回も無得点に抑えました!
     横浜、次の攻撃は四番、男・村田から!」


村田「………フーーッ」

357: 2011/07/14(木) 16:35:07.88 ID:LFe4qYf20
村田(…誰がこの舞台に立てると想像した?)

村田(…誰が横浜がプレーオフに出られると予想した?)

村田(…誰が日本シリーズまであと一歩のところまで来られると思った?)

村田「……ふぅー…」

村田(世間の野球評論家がどう思っていたのかは知らん)

村田(だが)

村田(俺は信じられなかった)

村田(俺達が…横浜ベイスターズが勝てるチームなんだということを)

村田(俺は大馬鹿野郎だ)

村田(『俺達は勝てる』…その言葉を)

 実況「内海、村田へ第一球!」



     カッ


村田「キャプテンが信じなくてどうするんだっ!」

360: 2011/07/14(木) 16:38:19.85 ID:LFe4qYf20
 ドォォォォォォォォォォッ

梓「!」

江尻「点が入ったか?」

牛田「シュウさんだ!村田さんのホームラン!」

山口「おおおっ!」

梓「……!」

江尻「ってことはウチが一点リード?」

牛田「当たり前っしょ!」

山口「うわぁーマジかよドキドキしてきた…」

梓「勝てる…?」

361: 2011/07/14(木) 16:45:23.76 ID:LFe4qYf20
 ~試合終盤~

牛田「ッ!」

審判「ボールフォア!」

 実況「さあついに八回まで試合が進んでまいりました!」

 実況「横浜、村田のソロという虎の子の一点を、七回江尻、八回牛田と守っていきたいところ…だったんですが」

 実況「牛田、三番小笠原にストレートのフォアボール!」

 桑田「うーん、坂本君、亀井君を三振にはとったんですが、正直コントロールはイマイチですね」

 実況「坂本にはあわやホームランという当たりもありました」

 桑田「次のバッターのことも考えて代えた方がいい気がしますね」

 実況「はい。次のバッターは…」

 『四番 サード 平沢』
 
 実況「不調のラミレスに代えて…原監督最後の最後で大きな決断!」

 実況「新人の平沢唯に…巨人軍の四番サードの座を任せました!」

唯「うう…さすがにちょっと緊張するよ…」

362: 2011/07/14(木) 16:51:05.92 ID:LFe4qYf20
 桑田「あ、尾花監督出てきましたね。牛田を代えます」

『ピッチャー牛田に代わりまして…中野…ピッチャー、中野…』

 桑田「でしょうね」

 実況「川藤さん、この中野という投手、どう見ますか」

 川藤「あぁね山口さんね?この中野いうピッチャーをなめたあきませんよ」

 実況「い、いえそんな…」

 川藤「なんやね?なんや妙な髪形…ツ、つ、ツイテン、ツン、……なんやゴキブリみたいなアタマしてますけどね?」

 実況「そちらの方が失礼では…」

 川藤「投げる球見たら、そらぁキモが座ってますよ」

梓「ふぅ…。この一回、いや、唯先輩だけ打ちとればいいんだ。後は山口さんに…」

梓「……唯先輩」

唯「あはは…あずにゃん、なんか凄い場面で対決になっちゃったね~」

373: 2011/07/14(木) 17:45:22.76 ID:LFe4qYf20
梓「……いつも通り…いつも通り」

梓「落ち着いて落ち着いて…」

梓「……」

 そう唱える度…。自分の体の感覚が消えていくのが分かりました。

 指先はどんどん冷たくなり、脚は果てしなく遠くに行ってしまったように感じます。

梓「いつも通り…いつも通り…」

 ダメだと分かってるのにそれでも唱えてしまう。

梓「落ち着いて…落ち着いて梓…」

 ぎゅっと目をつぶっても、ファンの声援、ベンチからの応援
 
 なにより自分の「勝ちたい」という声が、私の頭に飛び込んでかきまわしていきます。

 今まで、あまりに勝ちを意識しすぎて、失敗を重ねてきました。

 駄目だと分かっているのに、それでも私は、みんなと私の声を聞いてしまう。

    「「「あとちょっとで勝てるんだ!」」」

375: 2011/07/14(木) 17:50:23.46 ID:LFe4qYf20
 震える指をボールに押しつけ、私はわざと大きな声を出します。

梓「よしっ!」

 目の前にいる唯先輩が大きく見える。

 投げるのが怖い。

 今、もし打たれたら……。

梓「えぇいっ!今までの強気はどうしたのよ梓ぁ!」

 いつもどおり、セットポジションに構えて、いつも通り腕を振って――

梓「にゃああっ!!」

376: 2011/07/14(木) 17:57:33.74 ID:LFe4qYf20
 実況「……桑田さんこれは…」

 桑田「……意識しすぎたんでしょう。そう考えるほかないと思いますね…」

 川藤「………」

梓「はあっ、はあっ、はあっ…」

 実況「マウンド上の中野、大きく肩で息を切ります。そこまで球数は…?」

 桑田「精神的なものでしょうね。明らかにいつもの中野投手とは様子が違います。」

  カァン!

 実況「ああっ打った!ランナー帰って…ホームイン!」

 実況「長野、塁上で大きくガッツポーズ!」

 実況「これで四連打!1-4!巨人!逆転!そして大きく勝ち越し!!」

 実況「どうした中野梓!平沢、ラミレス、阿部、長野に連続タイムリーを浴びるつるべ打ち!!」

 実況「あっ…監督出てきました。ピッチャーを代える模様です」

 実況「…これは…中野への継投は失敗だったということでしょうか…?」

 桑田「そういうこと…でしょうね」

 実況「中野…帽子を目深にかぶり、木塚コーチに引き連れられ、ゆっくりとマウンドを降りて行きます…」

378: 2011/07/14(木) 18:06:52.98 ID:LFe4qYf20
木塚「泣くな、中野。まだ試合中だ」

梓「だって…私…私…」

木塚「…お前はここまで俺達を連れてきてくれた。お前一人が責任を感じる必要は無い」

梓「私…私…なんて謝ったらいいか…」

木塚「…謝る必要は無い。本当は俺達がお前に礼を言わなきゃいけないんだ」

梓「………」

 実況「中野、ベンチに腰掛け…がっくりとうなだれます」

 桑田「…大きなショックでしょうね…」

 川藤「…これを糧にしたらええんですよ!なんの、大変な目に会って来た選手はよぉさんおるんですから!」

 実況「しかし…これは一人の少女にはあまりに残酷な運命といいましょうか…」

 川藤「山口さん、そら言うたらあかんことですよ!」

 桑田「そうですね。グラウンドに立つ限り年齢も性別も関係ありませんよ。
     中野投手はこれだけの重さを受けとめて、そして、それでも前に進むしかないんです」

381: 2011/07/14(木) 18:19:00.55 ID:LFe4qYf20
 
  カァン!

 実況「あっと代わった篠原!高橋に大きな飛球!また追加点なるか!?」

  パシッ

 実況「なんとかセンター森本、フェンスいっぱいでキャッチ!これでようやくスリーアウト!」

 実況「しかし…この東京ドーム…どこか不思議な雰囲気ですね…」

 実況「もちろん勝ちこした巨人側のベンチやスタンドが盛り上がっているのはもちろんなんですが…」

 実況「ベイブルーに染まる三塁側スタンドには、逆転を許した中野へのヤジなどは聞かれません」

 実況「どこかこう…非常に静かというか…」

 実況「ゆっくりと戻ってくる横浜ナインへ…今、誰かが、拍手を送っています」


「頑張ったよな…今年の横浜」「毎年最下位だったんだから…すげえよ」「中野ー!来年待ってるぞー!」

「ほんと…まさかここまで来れるなんてな…」「最下位が当たり前のチームが巨人をここまで追い詰めたんだからさ…」

「今年の横浜…いいチームだったな…」

「よく頑張ったよ…」

382: 2011/07/14(木) 18:23:40.43 ID:LFe4qYf20
村田「中野」

梓「……」

村田「顔を上げろ。お前がしょんぼりしてる所なんて見たくない」

吉村「…お前のおかげでここまでこれたんだって、みんな分かってるぞ」

金城「ああ、だからそんな顔すんな、な?」

森本「あずにゃん…」

渡辺「来年はもっと強いチームになれる。野球が終わったわけじゃないんだ」

梓「……」

383: 2011/07/14(木) 18:27:50.60 ID:LFe4qYf20
梓(……これで終わり…?)

梓(……嫌だ…)

梓(………シーズン…終わりたくない…)

村田「さぁ!クヨクヨすんな!最後まで顔あげて行こうぜ!」

 「「「オウッ」」」

梓「あっ、あの!!」

石川「ん?」

村田「なんだ?中野」

梓「あの…昨日の負け投手で…今日もこんなぐちゃぐちゃなピッチングした私が言うのは間違ってるのは分かってます…」

梓「でも…」

梓「この試合…勝ちたいです…!」

村田「……」

梓「まだ…まだこのチームで…野球がしたいです……!!」

388: 2011/07/14(木) 18:32:02.08 ID:LFe4qYf20
梓「…ごめんなさい…大切な試合を…めちゃくちゃにしちゃって…こんなこと言って…」

梓「でも…私…みんなと日本シリーズに行きたいです!日本一になりたいです!」

梓「ごめんなさい…行ってること、ぐちゃぐちゃで…」

村田「いや、ええんや中野」

村田「三点…たった三点だ!」

村田「俺達はカープ戦で四点差をひっくり返したじゃないか!」

村田「何をたった三点差を諦めてるんだ!」

吉村「村田さん一番最初に諦めてたでしょ」

村田「うるさい黙れ!」

389: 2011/07/14(木) 18:40:01.81 ID:LFe4qYf20
中村ノリ「ま…当然やろそんなことは」

村田「ノリさん…」

中村ノリ「負ける思うて打席立ったらおもろないわ」

中村ノリ「バットは勝つために振るもんやろ」

村田「ノリさん…!」

中村ノリ(よっしゃ決まった!これは記事になる!『ノリ、名言でハマに火をつけた!』ノリブランド急上昇や!)

村田「そうだ!俺達の…横浜の、マシンガン打線の本気を見せてやろうぜ!」

   「「「「「おおおっ!!」」」」」

梓「……みなさん…」

森本「中野、ただ一つだけ言うことがある」

森本「これからの攻撃…中野が一番声を出して応援するんだ」

梓「……はい!」

391: 2011/07/14(木) 18:47:55.44 ID:LFe4qYf20
「おおおっ!」「打て打て!」「いけるぞーっ!」

 実況「おお?俄然横浜ベンチに活気が戻ってきました」

 桑田「いいですね。こういう雰囲気が何かを呼んでくれるんですよ」

 川藤「そらそうですよ!ゲームセットまで諦めへんからこそあんな弱いチームがここまで来れたんです!」

石川「よっしゃぁ!」

 実況「この回横浜はトップバッター石川から!好打順です!」

石川「らぁっ!」 キンッ

 実況「痛烈!石川初球をヒット!!」

梓「石川さーん!!ナイスヒーット!!!」

393: 2011/07/14(木) 18:55:43.75 ID:LFe4qYf20
 実況「これはどうしたことでしょうか!」

 実況「続く下園!スレッジ!ヒットで続き満塁!」

 実況「いやーどちらも綺麗な安打ではありませんでしたが!」

 川藤「そらねえ?振りの最後で『こなくそ!』いう気持ちがこもってるからこそヒットになるんですよ!」

 実況「さあ!一発出れば一気に逆転というところで…今日ホームランの村田!」

村田「フンッ!!」ガギッ

 桑田「決めてやる、という気持ちがありますね。空回りしなければいいですが」

村田「チィッ!」ガギッ カギッ ゴキッ

梓「……!!」

梓「村田さーーん!!ウチの打線を信じて下さい!」

梓「言ったじゃないですか!うちはマシンガン打線だって!」

村田「……!!」

  バスッ

実況「あっと村田選んだ!フォアボール!押しだしで横浜に一点が入ります!」

394: 2011/07/14(木) 19:04:07.09 ID:LFe4qYf20
 実況「そしてハーパー!」

ハーパー「ヌ…ヌオオォ!」ガッ

 実況「ああ…っ打ちあげた!」

ハーパー「グッ……!!」

 実況「これで流れが止まるか!?ライトの亀井ダッシュ!ダッシュ!」

  ぽすっ

 実況「落ちた!落ちた!落ちた!カメラは悪くありません!今はっきりとボールが亀井のグラブの前で落ちました!」

下園「っしゃああ!」

 実況「今下園がホームイン!一点!またも一点追加!ついに一点差!」

 実況「ここで六番渡辺に代打!中村ノリ!」

399: 2011/07/14(木) 19:10:09.86 ID:LFe4qYf20
中村ノリ(ここで『ノリ決めた!満塁ホームラン!!』でもええかもわからん…)

中村ノリ(けどそれはハードル高いで…)

中村ノリ(ここは…これやろ!)

  カァァァン…

 実況「高いフライ!これは犠牲フライには十分!」

中村ノリ(『ノリ献身の犠牲フライで同点』…この姿勢がノリブランドを上げる…)

 実況「同点!同点です!なんと横浜、これぞマシンガン!たやすく三点差を同点!」

森本「ノリさんナイスっす」

中村ノリ「おう。ヒーローお前に任せたで」

中村ノリ(このチームメイトを立てる姿勢こそがノリブランドの真骨頂や)

406: 2011/07/14(木) 19:21:44.30 ID:LFe4qYf20
梓「ひちょりさん……!ガンバレ!ひちょりさんがんばれ!!!」

森本「ふぅー」

 実況「さあ、打席には森本!ランナーは二塁ランナーもさきほどのフライでタッチアップして三塁一塁!」

 実況「勝ち越しのチャンスは十分にあります!」

 実況「さあ森本!どう出る!」

  ピシュッ 

森本「……」スゥ

 実況「スクイズ!」

森本「…ッ」コツン!

 実況「決まった決まった!代走稲田滑り込んで…セーフ!勝ち越し!!」

森本「うしっ」

 その後も横浜打線は打ち続けた…
 最下位の常連と言われた鬱憤を晴らすように…
 球界のお荷物と言われた過去を振り払うように…
 かつて全盛期に築いたマシンガン打線が、再び彼らの中に呼びもどされたように…



410: 2011/07/14(木) 19:33:29.87 ID:LFe4qYf20
 実況「さあ…横浜ベンチ、選手たちが身を乗り出してその時を待っております」

 実況「キャプテンの村田…先発の山本…そして打ち崩された中野の顔もあります」

 実況「目は赤くはれています。それは先ほどの悔しさの涙でしょうか、それともこれからの歓喜の時を考えてでしょうか」

 実況「横浜ナイン、そして横浜ファンの期待と渇望を背負って…今、この男が最後の一球を投げ込まんとしています!」

 実況「山口俊…今、投げたッ!」

  カァン!

 実況「上がった!大きく上がった打球は、鋭く天を裂き、今、山口の真上に落ちてきます!」

 実況「山口、若きクローザーが、大きく手を広げて、勝利の時を待ちます!」

  パシッ


411: 2011/07/14(木) 19:34:15.68 ID:LFe4qYf20
村田「やったああああああああ!!!」ダダダダダダダ

吉村「よっしゃああーーー!!」

森本「てめぇ!点差ねえとほんといいピッチングしやがる!」

山口「痛い!痛いっすよ!うははははは!」

渡辺「おい!シュウがまた脚肉離れてるぞ!」

梓「よかった…良かったぁ……」

山口「おいおい中野ぉ!涙は日本一にとっとくんじゃねーのかよ!」

梓「だって…だって…」

森本「よっしゃあ!監督を胴上げだ!」

早川「うおっ!監督いたんスか!」

尾花監督「いたよバカヤロー!最初っから!」

森本「よっしゃぁ!次はあずにゃん!あずにゃんを胴上げだ!」

梓「ちょっ…わっ…キャアアアア!もう!やだぁ!あははははは!」

413: 2011/07/14(木) 19:38:30.93 ID:LFe4qYf20

 

  しかし、その胴上げは彼らの最後の胴上げとなった。

  巨人との死闘に全てを出しつくした彼らは

  続く日本シリーズで、日本ハムの前に

  あの戦いが嘘のように四連敗を喫した――



416: 2011/07/14(木) 19:46:41.26 ID:LFe4qYf20
梓「そ、それでも!」

村田「うん?」 吉村「なんだでかい声で」

梓「う、うっさいです!とにかく!」

梓「ベイスターズは、今年こそ!リーグを優勝して!そして日本一を取るんです!」

梓「誰にも文句を言わせないナンバーワンになるんです!」

 
 森本「にしても三浦さん、よかったんすか?」

 三浦「んん?…まぁなんかさびしいけど、あいつの方がこれからのベイのためっしょ」

 森本「ま、そう…かもしれないっすね」


筒香「ていうか、キャンプ前の目標宣言ってもっと手短に言うもんでしょ」

真下「まず自分の名前とかも最初に言うしな」

梓「むむむ…」

梓「ええいもう!じゃあ手短に!」


梓「今年こそ絶対絶対絶対日本一! 中野梓!背番号18!」


417: 2011/07/14(木) 19:47:23.09 ID:LFe4qYf20
~おわり~

423: 2011/07/14(木) 20:02:12.33 ID:LFe4qYf20
憂「ちなみに、みなさんの最終成績です!」

○平沢唯
 .266 27本 82点 7盗塁 14失策

○田井中律
 .301 11本 76点 22盗塁

○琴吹紬
 .262 13本 53点 防御率2.45 2勝3敗21S

○中野梓
 防御率2.01 4勝 2敗 1S 17H

○秋山澪
 防御率2.61 12勝6敗 3完封4完投

○鈴木純
 .185 27本 81点 180三振 2盗塁 18盗塁死

憂「セリーグの新人王は見事!お姉ちゃんです!」

憂「でもネットでは『デコニキやろボケエエエエ』や『むぎたそむぎたそ!』や『ゴキにゃんだろjk…』という声で大騒ぎだったそうですよ!」

憂「ちなみにパの新人王は澪さん!こちらは『純ちゃんだろ!』という騒ぎになったという話は聞きません」

424: 2011/07/14(木) 20:05:52.04 ID:LFe4qYf20
じゃあ予告通りこれで消えます。
予定より二時間遅れという大惨事になってしまいました。
最初のスレはめちゃ気軽に立てたんですけどね…。



432: 2011/07/14(木) 20:18:58.41
おつ!

引用元: 唯「あずにゃんが横浜のドラフト1位!?」憂「クライマックス!」