1: 2011/06/19(日) 00:35:28.39 ID:6Ujy1sFH0
ほむら宅―――

ほむら「お願いだから、あなたを私に守らせて」

まどか「・・・ほむらちゃん。ちょっと付き合ってもらっていいかな?」




5: 2011/06/19(日) 00:41:45.29 ID:8HJoBBmn0

雨が降る小道をまどかにつられて歩く。

随分歩いたようで、隣町まで来てしまっている。

まどか「あっ、ここだよ。ほむらちゃん」

ほむら「喫茶店?」

そこには、小さな喫茶店があった。

ほむら「えっと・・・」

ほむら(なんて読むのかしら・・・すい・・・)

まどか「ここのケーキね。すっごく美味しいんだよ。さっ、入ろ入ろ」グイッ

からんころ~ん

ほむら「あっ、まどか―――」

まどかは返事も聞かず、私の手を引いて喫茶店の中に入ってしまった。

6: 2011/06/19(日) 00:43:40.18 ID:8HJoBBmn0

店員「いらっしゃ―――あっまどかちゃん。いらっしゃい」

店員「あら、お友達?」

まどか「こんちには。友達のほむらちゃんです」

ほむら「あ、暁美ほむらです。はじめまして」ペコッ

店員「いらっしゃい。ゆっくりしていってね」ニコッ

店員「運が良いわね。ちょうど一番良い席が空いてるわよ。今日のおすすめも二人分ね」

まどか「わー本当ですか。じゃあ、それと紅茶をお願いします」

まどか「やったよ、ほむらちゃん。ここのお店のおすすめケーキ、すっごく人気あってなかなか食べられないんだよ」

ほむら「そ、そうなの」

ほむら(まどか、一体何を・・・)

8: 2011/06/19(日) 00:47:21.63 ID:8HJoBBmn0

店員「はい、どうぞ。今日のおすすめ『鈴鳴チーズケーキ』と紅茶セットね」

店員「ごゆっくりどうぞ」

随分と若々しく、それでいて大人の風格を持った店員さん、というのが第一印象だった。

まどか「ありがとうございます」

ほむら「ど、どうも」

まどか「さ、食べよ。ほんっとに美味しいんだよ。ここのケーキ」

ほむら「そうなの・・・」

そう言って、フォークをケーキに挿し、口に運ぶ。

9: 2011/06/19(日) 00:49:27.21 ID:8HJoBBmn0

ほみゅゅぅうううん

思わず、頭の中に今まで経験したことのない擬音が流れる。

ほむら「おいしい!」

まどか「でしょ!でしょ!ここの喫茶店御夫婦でやっててね。さっきの店員さんがパティシエなの」

まどか「旦那さんもかっこよくてね。娘さんにも一度会ったんだけど、すんごく格好よくて美人!」

まどか「ここのケーキね。ショートケーキがすんごく美味しいの!」

まどか「ほむらちゃんも今度食べてみるといいよ!」

まどか「でもね。やっぱり『今日のおすすめ』!これが一番!」

まどか「学校帰りに寄るんだけど、もうその時間には売り切れちゃっていることも多いの!」

10: 2011/06/19(日) 00:50:54.84 ID:8HJoBBmn0

いつもより饒舌なまどかに、ほむらは少々面食らう。

そして、心がぐらぐらと揺らぎ、熱いものが体の中から溢れ―――目に涙が浮かんだ。


あまりにも―――

あまりにも―――

出会った頃のまどかに、そっくりだったから。

11: 2011/06/19(日) 00:53:07.73 ID:8HJoBBmn0

まどか「ほ、ほむらちゃん、どうしたの!?」

ほむら「まどか・・・まどか、あなたはどうして笑っていられるの?」ポロッ

ほむら「友達がいなくなって、事情を知って慰めてくれる人もいない」

ほむら「なのに、何で、私みたいな得体の知れない転校生にこんなにもやさしく出来るの?」ポロッポロッ

まどか「ほむらちゃん・・・」


聞かずにはいられない。

言わずにはいられない。


ほむら「あなたはいつだってそう」

ほむら「自分が苦しくても、まず私の苦しみを取り除こうとする」

ほむら「自分がどんなに苦しくったって、まず私を助けようとする」

ほむら「前の世界も、その前の世界も、その前だって―――初めて会ったときだって!!」

まどか「・・・・・・」

13: 2011/06/19(日) 00:54:43.77 ID:8HJoBBmn0

まどか「・・・・・・」

ほむら「・・・・・・」

―――沈黙が流れる。

まどか「・・・紅茶、冷めちゃうよ」

ほむら「まどか、私は―――」

まどか「このお店ね。マミさんに教えてもらったんだ」

ほむら「!!」

まどか「さやかちゃんも一緒に三人で初めて来たときも」

まどか「店員さんが優しく笑いかけてくれて、美味しいケーキと紅茶を出してくれて、三人で何てことない話をして」

まどか「その後も何度か一人で来たりもして、店員さんとおしゃべりして、マミさんの知らない一面も話してくれた」

ほむら「・・・・・・」

まどか「でもね、マミさん、あんなことになっちゃたでしょ?」

まどか「その後、ふらふらっと立ち寄ったの、ここに。一人で」

14: 2011/06/19(日) 00:56:19.06 ID:8HJoBBmn0

まどか「きっと、そのときの私はひどい顔をしていたと思う」

まどか「店員さんがどうしたのって訊ねてくれたけど、私は何も答えられなかった」

まどか「そしたらね、店員さん、それ以上は何も聞かないでケーキと紅茶を出してくれたの」

まどか「紅茶、ちょっと熱かったけど、美味しかった」


まどか「さやかちゃんのときもここに来た。もっともっとひどい顔だったと思う」

まどか「でも、店員さんはやっぱり黙ってるしかない私に、ケーキと熱い紅茶を出してくれた」

まどか「美味しかった」


まどか「不思議だよね、不謹慎だよね」

まどか「家に帰ってベッドに入ると、悲しくて、怖くて、辛くって、涙が止まらないのに―――」

このお店に来ると、笑っちゃう

15: 2011/06/19(日) 00:59:26.00 ID:8HJoBBmn0

まどか「ついこの間会ったばっかりの人にでも優しく出来る」

まどか「ううん、あの人ならきっと初めて会ったばかりの人にでも、同じように手を差し伸べると思う」

ほむら「まどか・・・」

まどか「ほむらちゃんは、ずっと、ずっと、私の為に戦ってくれてたんだよね」

まどか「わたしがQBと契約しなくてもいいように。何回も、何回も」

まどかが、わたしの手を取った。

心が、気持ちが―――


まどか「この世界で私はほむらちゃんのこと、全然知らないけど」

まどか「それでも、私はほむらちゃんが大切だし、生きていて欲しい!」

まどか「どこにも行かないで、一緒にいて欲しい!」

ほむら「まどかぁ・・・ふっ、うぁ、ううぅうぅぅぁぁあああぁぁぁぁんんん」

―――振り切れる。

16: 2011/06/19(日) 01:00:32.98 ID:8HJoBBmn0

涙が止まらない。

止まらなくっていい。

まどかの声が、もっと聞きたい。

まどかの言葉を、もっともっと聴いていたい。


まどかと、ずっと一緒にいたい。

私もまどかと、ずっとずっと一緒にいたい。


そんな気持ちが―――

心から嬉しいから―――

涙なんて止まらなくっていい。

17: 2011/06/19(日) 01:03:24.90 ID:8HJoBBmn0

まどか「でもね、ほむらちゃんのお願い・・・ほむらちゃんに守ってもらう・・・」

まどか「お願いきいちゃうと、私に出来ることは何もなくなっちゃうね」

ほむら「ぅん」グスッ

まどか「・・・・・・」

ほむら「・・・・・・」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「はゃい!」ズズッ

まどか「ここのケーキ、もう一回食べに来よう」

まどか「学校なんてサボっちゃってさ、ここのおすすめケーキ食べに来よう」

まどか「約束!」スッ

そう言って、まどかは小指を差し出した。

18: 2011/06/19(日) 01:04:27.59 ID:8HJoBBmn0

ほむら「約束・・・」

まどか「そう、約束」

まどか「他の世界の私とも約束があるんでしょ?」

まどか「じゃあ、この世界の私とも約束して」

まどか「ここのおすすめケーキをもう一度、一緒に食べに来る、って」

ほむら「・・・うん!」

19: 2011/06/19(日) 01:05:18.43 ID:8HJoBBmn0

約束とは、お互いの「時間」をもらうこと。

約束を果たすまで、私の「時間」はまどかにあずけ、まどかの「時間」は私があずかる。

何度も何度も時間を巻き戻してきた私が、まどかからあずかっている「時間」はもうどれくらいになっているだろう。


契約なんて重たいものじゃない。

でも、それよりもっと大切なこと。


私の小指を、まどかと重ね合わせる。

ちょっとしか触れていないのに、まどかのあったかさがすごく伝わってくる。


また一つ、貸しができてしまった。

だけど、これでもう大丈夫。

この世界で、私は一人じゃない。

この約束を果たすまで―――私は、負けない。

20: 2011/06/19(日) 01:07:14.88 ID:8HJoBBmn0

まどか「それにね―――」

ほむら「?」

小指を重ね合わせたまま、まどかは続ける。

まどか「私たちは一人でなければ、二人ぼっちでもない」

まどか「ここの店員さんみたいに、きっと誰かが手を差し伸べてくれる」

まどか「きっと、あったかくて、やさしい誰かが手を貸してくれる」

まどか「それを忘れないで」

そう言って、まどかは微笑んだ。

その顔はまるで、女神のようだった。

22: 2011/06/19(日) 01:09:35.50 ID:8HJoBBmn0

ワルプルギスの夜、襲来―――

QB「これで良かったと思っているのかい?」

まどか「・・・・・・」

QB「まったく、ワルプルギスの夜に一人で勝つだなんて、無茶もいいところだよ」

QB「暁美ほむら一人じゃ、勝ち目はないよ」

まどか「ほむらちゃんは約束したもん。必ず帰ってくるって」

QB「そんな約束でワルプルギスの夜に勝てるわけがないだろう?」

QB「第一、今まで約束を果たせなかったから暁美ほむらは時間を繰り返し、今ここにいるんじゃないのかい?」

23: 2011/06/19(日) 01:10:33.17
まだ杏子が生きてる

まだ戦術的撤退するには早い

24: 2011/06/19(日) 01:11:45.72
日本中の魔法少女集めろって感じだよな

25: 2011/06/19(日) 01:12:00.99 ID:8HJoBBmn0

まどか「それでも、ほむらちゃんは言った。負けないって」

QB「ふー、感情を持たない僕たちにはわかりかねるよ」

QB「約束や想いが、運命を覆す力を持つなんてね」

まどか「・・・・・・」

まどか「何度言っても無駄だよQB」

まどか「私はほむらちゃんを信じる。ここで待ち続ける」

まどか「私の為に戦ってくれてる、ほむらちゃんを」

まどか「約束どおり、ワルプルギスの夜を倒して!」

まどか「きっと、帰ってくる!」

27: 2011/06/19(日) 01:13:23.07 ID:8HJoBBmn0



QB「―――君は何か勘違いをしているようだね」




28: 2011/06/19(日) 01:15:11.88 ID:8HJoBBmn0

まどか「・・・どういうこと?」

QB「何度も言うように、暁美ほむら一人でワルプルギスの夜に挑んだって、勝機はない」

QB「だけどね。引き分けぐらいなら有り得たんだよ」

まどか「・・・それって、どういう―――」

QB「暁美ほむらが玉砕覚悟で向かっていれば、相打ちぐらいには持ち込めたってことだよ」

QB「いくら強いといっても、魔女であることには変わりないしね」

QB「だけど、この世界の君との約束によって、暁美ほむらは「勝つ」ことを目的とした」

まどか「・・・・・・QB、それって」

QB「わかったかい、まどか?」

QB「よくて相打ちの相手に「必ず帰る」なんて条件を付けて勝てるわけがないじゃないか」


QB「君との約束が、暁美ほむらの「敗北」を絶対のものにしたのさ」

29: 2011/06/19(日) 01:16:52.83 ID:8HJoBBmn0

まどか「う、嘘!嘘よ!そんなことない!」

まどか「ほむらちゃんは負けない!」

まどか「きっと私との約束を果たして、帰ってくる!」

QB「別に僕の言うことを信じる必要はないよ」

QB「ただ、僕から言えることは、君なら間違いなくワルプルギスの夜に勝てるってことさ」

QB「暁美ほむらを救い、二人でのんびり暮らすなんてことも夢じゃない」

まどか「そ、それこそ嘘よ!」

まどか「私がそんなすごい魔法少女になって最悪の魔女を倒せるんなら」

まどか「そんな幸せな未来が待っているなら」

まどか「ほむらちゃんが、あんなにボロボロになって何度も戦う理由がないじゃない!」

30: 2011/06/19(日) 01:18:57.61 ID:8HJoBBmn0

QB「以前の時間軸で、君がどれほどの魔力を持っていたのかはわからない」

QB「だけど何度も言うように、今の君ならワルプルギスの夜に勝てる」

QB「もしかしたらこの時間世界が、暁美ほむらを因果の円輪から解き放つ、最初で最後のチャンスなのかもしれないね」

まどか「!!」

QB「次の時間軸に行ってしまうにしても、魔女になるにしても、自ら命を絶つにしても」

QB「彼女が彼女としてここに帰ってくることはないよ」


QB「君が迎えにいってあげない限りはね」

31: 2011/06/19(日) 01:22:22.87 ID:8HJoBBmn0

戦場―――

ほむら「今度こそ、決着をつけてやる」

自分の持てる力を全て出す。


幾多の世界で戦った。

アイツの手は知り尽くしている。

アイツに勝たなきゃ、世界は救われない。

私が勝たなきゃ、まどかは救われない。


まどかの為にも、私は負けない。

32: 2011/06/19(日) 01:23:31.14 ID:8HJoBBmn0



だが―――



それでも、敵は強大だった。





33: 2011/06/19(日) 01:24:46.51 ID:8HJoBBmn0

ほむら「ぐぅぅうぅぅ」

また、だ。

どれだけ策を練っても、また、こうしてアイツに負ける。


何で?

何で勝てないの?

私の想いは、そんなに大それたものなの?

まどかと一緒にいたい。

たった、たったそれだけなのに。


負けるわけにはいかない。

これ以上、まどかとの約束を破るわけにはいかない。

34: 2011/06/19(日) 01:26:37.21 ID:8HJoBBmn0

だけど、どうしたらいいの?

どうやったら、アイツに勝てるの?

魔力も切れた。

武器もいくつか残すだけ。


時間を巻き戻すことを考える。

だけど、これ以上時間を巻き戻せば、まどかが背負う因果は更に膨大なものになる。

どうやっても、まどかが不幸になってしまう。

どうやっても、まどかが悲しむ顔しか浮かばない。


ああ、あのとき、あんな願い事をしなければよかった。

まどかと一緒にいたいなんて、願わなければよかった。

あのとき―――まどかは笑って逝ったのに。

36: 2011/06/19(日) 01:29:49.00 ID:8HJoBBmn0

ほむら「ごめん、ごめんね。まどか」

ほむら「私があのとき、あんなわがまま言ったから」

ほむら「あなたと一緒にいたいなんて、わがまま願ったから」


もうこれ以上、やり直すなんて出来ない。

私のせいで、まどかを苦しませたくない。


絶望が拡がっていくのがわかる。

まどかに、これ以上迷惑をかけないように。


ガチャリ

ピストルをソウルジェムに当てる。

ほむら「約束、守れなくてごめんね」

涙を流す間もなく―――引き金をひいた。

38: 2011/06/19(日) 01:31:57.42 ID:8HJoBBmn0

ほむら「・・・・・・」

ほむら「・・・・・・?」

弾丸は発射された。

でも、私は死んでいない。

おそるおそる目を開ける。


ほむら「!」

そこにいたのは、

銃口を空に向けたのは、

ピストルを持つ私の腕を握り締めているのは、


鹿目まどかではなく―――


「こ~ら、友達との約束は、ちゃんと守らなくちゃダメだよ~」

白い、天使のような女性だった。

39: 2011/06/19(日) 01:33:07.34 ID:8HJoBBmn0

QB「本当に、行かなくていいのかい?最後の別れになるだろうに」

まどか「ううん、私は信じてる。ほむらちゃんは帰ってくる」

まどか「それにね。私の方こそ約束したもん」

まどか「ほむらちゃんを信じて待つ、って」

まどか「ほむらちゃんに守られる私でいる、って」

41: 2011/06/19(日) 01:36:21.42 ID:8HJoBBmn0

?「わっ、ひどい怪我。痕が残ったら大変」

ほむら「あ、あなたは」

どこかで見たような、だけど初めて会う人だった。

今までのどの世界でも、こんな展開はなかった。

ほむら(何が、どうなってるの・・・)

混乱する私に、その女性はクスリと微笑んで私の頭を撫でた。

?「よく頑張ったね。辛かったでしょう。ここからは私に任せて」

その手は、とてもあたたかくて、やさしかった。

?「ちょっと待っててね。すぐに終わらせるから」

そう言って彼女は私の前に立ち、左手に持った杖をかざした。

42: 2011/06/19(日) 01:38:01.02 ID:8HJoBBmn0

キィィィィン

桜色の陣が彼女の周りに展開する。

キンキンキンキン

杖の先端に四方八方から光が集まる。

そのエネルギーの大きさは、もはや常人では計り知ることも出来ない。

だが―――

人はその力が、必ず自分を守ってくれると知っている。

その力を振るう英雄が、必ず自分を助けてくれると知っている。

幾多の苦難を乗り越え、能力と評価と人望を兼ね備えたエース・オブ・エース。


時空管理局武装隊・戦技教導官

高町なのは一等空尉

その人であった。

45: 2011/06/19(日) 01:39:30.00 ID:8HJoBBmn0

ほむら「あ、あ、あ、あ・・・」

何が起きているのか、わからない。

何が起こるのか、わからない。

でも―――

きっとこの人は―――

きっとこの力は―――


なのは「悪い夢は、さっさと終わりにしてしまおう」

なのは「スターライト―――」

魔法を使う者であれば惚れ惚れするような―――

魔法を使う者であれば恐れおののくような―――

全てを救う至高の一撃が、一寸の躊躇なく放たれた。

なのは「―――ブレイカァー!!!!!!」

46: 2011/06/19(日) 01:40:37.33 ID:8HJoBBmn0

QB「まさか、そんな・・・」

QB「この宇宙に、こんな力が存在するなんて・・・」

QB「いや、おかしい、さすがにこれはない、納得がいかない」

QB「この次元で、こんなにも魔力エネルギーが集約するなんて」

QB「ましてや、ソレが明らかに人為的に行使されるなんて」

QB「一体、何がどうなって―――」

まどか「別に不思議でも何でもないんだよ、QB」

QB「!」

QB「どういう意味だい、まどか?」


うろたえるQBに、

まどかはさも当然のように言い放った。


まどか「頑張る人の努力が報われた」

まどか「ただ、それだけのことだよ」

47: 2011/06/19(日) 01:42:56.80 ID:8HJoBBmn0

翌日―――

まどか「ふ~ん。それでその女の人はどこかに行っちゃったんだ」

ほむら「ええ。怪我の手当てをしてくれた後―――」


なのは「色々聞きたいことはあると思うし、私からも聞きたいことはあるんだけど・・・」

突然の出来事に頭が付いていかない私の口に、そっと指を当て―――


なのは「それよりも大事なことがあるよね」

にこっ、と笑った。


その言葉を聞いて、居ても立ってもいられなくなった私はまどかの元へ向かった。

そしてまどかの顔を見た途端、体から力が抜けて気を失ってしまった。

近いうちにまた会えるから、と言って見送ってくれたあの人は、一体何者だったのだろうか?

まどかのことも知っていたようだったけれど・・・

48: 2011/06/19(日) 01:44:09.98 ID:8HJoBBmn0

まどか「でも、ほむらちゃんが無事に帰ってきてくれて良かった」

まどか「さやかちゃんとマミさんのことは残念だけどね」


そう。

ワルプルギスの夜を倒しても、

美樹さやかは帰ってこない。

巴マミは帰ってこない。

佐倉杏子は帰ってこない。

そして―――

私もいつか、彼女たちと同じように―――

49: 2011/06/19(日) 01:45:48.51 ID:8HJoBBmn0

まどか「でもね、マミさんもさやかちゃんも、魔法少女になってよかった、って言ってると思う」

まどか「三人でケーキを食べながら話してたんだけどね」

まどか「マミさん、命を救ってくれた魔法に感謝してる、って言ってた」

ほむら「・・・・・・」


まどか「二人っきりのとき、さやかちゃんも言ってた」

まどか「恭介の手を治してくれた魔法に「ありがとう」って言える、って」

ほむら「・・・そう」


まどか「今日、仁美ちゃんが言ってたんだけどね」

まどか「今度、上条くんがさやかちゃんのお墓の前で、一曲弾いてくれるんだって」

ほむら「・・・そうなの」

51: 2011/06/19(日) 01:47:15.96 ID:8HJoBBmn0

まどか「それにね、ほむらちゃんも大丈夫だと思うよ」

ほむら「?」

まどか「ほむらちゃんはこうやって約束を守って、今ここにいるんだもん」

まどか「今まで頑張ってきたほむらちゃんが、報われたこの世界」

まどか「きっと、その女の人みたいに、あったかくてやさしい誰かが手を差し伸べてくれる」

まどか「私だって、ずっとほむらちゃんの味方だよ」

まどか「ほむらちゃんと、ずっと一緒にいたい」

まどか「だからさ、ほむらちゃんも信じよう、言い返そう」


まどか「希望を抱くのが間違いだなんて、そんな世界、違うって」

52: 2011/06/19(日) 01:48:09.97 ID:8HJoBBmn0

ああ、

やっぱりまどかは強いなぁ


こんなまどかと、一緒にいられる世界を望んだから

こんなまどかと、一緒にいられる希望を抱いたから

私は魔法少女になったのだ。


ほむら「ええ、私も―――」

まどかと一緒にいたい。


笑ってそう言える。

何度だって、そう言える。

何時までだって、言い張れる。


53: 2011/06/19(日) 01:51:06.48 ID:8HJoBBmn0

まどか「ふふっ」

ほむら「?」

まどか「やっぱりほむらちゃんは、笑った方がかわいいね」

ほむら「なっ!」ボンッ

まどか「あらら、真っ赤に照れたほむらちゃんも捨てがたいな」

ほむら「あの・・・まどか・・・」

まどか「あっ、着いたよ。ほむらちゃん。見て見て。お店の前にボードが出てる」

いつの間にか、喫茶店の前。

火照る頭で、まどかと約束したときのことを思い出す。

―――

―――あれ?

―――そう言えばあの店員さん、どこかで会ったことあるような・・・


まどか「さ~て、今日のおすすめは―――」

54: 2011/06/19(日) 01:51:46.64 ID:8HJoBBmn0

桃子「それで、結局無事に済んだのね?」

喫茶店で一組の似た者親子がカウンター越しに話す。


桃子「かなり深刻そうだったけど、すぐに片付くようなことだったの?」

なのは「・・・どうもあの子の体は普通じゃないみたいなんだけどね」

シャーリー『映像解析の結果から、彼女の魂は別のところに移されているようです』

シャーリー『ですが、魂の在り処がハッキリしているのであれば、既存の技術の転用で何とかなると思います』

シャーリー『闇の書に取り込まれたフェイトさんが、自力で脱出した例もありますし』

なのは「だって」

なのは「あの子みたいな女の子がこの世界には、まだまだたくさんいるみたい」

なのは「だけどクロノ君も急いで対応するようにって、本部に掛け合ってくれてる」

なのは「フェイトちゃんやはやてちゃん、ユーノ君たちも色々調べてくれてる」

なのは「希望はきっとある」

55: 2011/06/19(日) 01:53:35.45 ID:8HJoBBmn0

桃子「そう、それなら一安心ね」

桃子「ありがとう、なのは。お疲れ様」

桃子「常連さんがいつまでも暗いままじゃ、悲しいものね」

なのは「悪い夢は早く終わりにしてあげないとね」

桃子「ええ、本当に」


桃子「・・・さてそれじゃあ、出来る女のなのはさんにご褒美!」

桃子「今日の自信作、おすすめケーキをご馳走しちゃおっかな~」

なのは「わ~!本当?何?何?」

桃子「ふっふっふ。今日のおすすめはね―――」


からんころ~ん

桃子「あっ、いらっしゃい」

なのは「いらっしゃいませ~」

56: 2011/06/19(日) 01:54:45.46 ID:8HJoBBmn0

そこは海鳴市藤見町、高町士郎桃子夫妻が経営する喫茶店・翠屋。

因果も希望も結びつける、美味しいケーキが自慢です。

さて、今日のおすすめは何でしょう?



おわり



57: 2011/06/19(日) 02:01:24.76

61: 2011/06/19(日) 02:12:10.68 ID:8HJoBBmn0
なのはさん急に出して、ふざけんなですよねぇ
一応、ヒントっぽいものは最初の方に2、3散りばめていたつもりです。
とはいえ、なのはを詳しく知らない方には知るかボケェですよねぇ

ひとつ本編に入れ忘れましたが、翠屋は「みどりや」です。
ほむほむが言ってるような「すいや」とは読みません。
・・・読めねぇよ。

とにかくも、ここまで読んで頂いてありがとうございました。
>>24にはビビりました。

62: 2011/06/19(日) 02:40:31.25

結局、ほむらちゃんの努力は意味もなかったね
なのはさん流石です

引用元: まどか「さ~て、今日のおすすめは―――」