1: 2013/09/01(日) 13:02:45.81 ID:kR1HqKCv0
勇者「この大役、必ずや」ザッ


勇者「陛下との謁見は終わった。行こう」

戦士「おうよ」

魔法「ええ」

僧侶「はい!」

戦士「にしても……これでお前がカラクリだとはなぁ」マジマジ

魔法「何度言われても信じられないわね」

僧侶「言われても人にしか見えませんものね」

4: 2013/09/01(日) 13:06:06.76 ID:kR1HqKCv0
勇者「だが、この体は間違いなく機械で出来ている」

戦士「そのキカイってのがよく分んねえんだけど、ゴーレムとは違うんだよな?」

勇者「様々な金属のパーツを組み合わせ電気……雷撃魔法の極々小規模の力で動いている」

戦士「???」

僧侶「は、はあ……?」

魔法「ふーん……興味深いわね」

戦士「噛み砕いてくれ」

魔法「雷撃魔法の力を原動力にした時計と思えば良いわよ。よって魔力が切れると動かなくなる」

勇者「その通りだ」

5: 2013/09/01(日) 13:10:11.50 ID:kR1HqKCv0
僧侶「あの……魔力の補給はどの様に?」

勇者「多少なら大気中より吸収できる」

勇者「が、そればかりでは足りないからな。各地を守る魔術師達から魔力を供給させるとの事だ」

戦士「あれって町結界で覆ってるんだろ? やばくないか? だいたい、それで足りるのか?」

勇者「町の規模にもよるが一日毎に補給を行った場合、最大三日でフルになるだろうとの試算だ」

魔法「そしてその三日間はあたし達が町を守ると」

僧侶「結果的にそういう事になりますよね……」

7: 2013/09/01(日) 13:12:27.38 ID:kR1HqKCv0
僧侶「ここから先に魔物達が」ゴクリ

戦士「僧侶は魔物と戦うの初めてか?」

僧侶「私達の中で魔物と戦った事のある人はそうそういませんよ……」

魔法「勇者は?」

勇者「起動テストとして数体との戦闘を行った。インプ、ゴブリンあたりだったか」

戦士「このあたりだと強いの、つったらそれぐらいだもんな」

9: 2013/09/01(日) 13:15:24.52 ID:kR1HqKCv0
ザザザ
魔法「!」

戦士「敵か!」

スライムA「ウボァ」ウジュウジュ

スライムB「ヌボォ」ズルズル

僧侶「ひい!」

勇者「スライムか……」

戦士「おいおい……こんな高レベルな魔物がどうしてここに?」

魔法「近づかれる前にやるわよ! 氷結魔法!」カッ

11: 2013/09/01(日) 13:18:30.46 ID:kR1HqKCv0
スライムAB(氷)「……」

戦士「おらあ!」ガシャァン

勇者「……」ガシャァン

魔法「ふぅ……危なかったわね」

僧侶「あ、あの……ドロドロして気持ち悪かったですけど、皆さんが恐れるほどの魔物なんですか?」

勇者「スライムは非常に強い酸性を帯びた、粘着性の高い液体の体で出来ている」

勇者「このぐらいならまだ平気だが、上位種となると私の体でも溶かされるだろう」

僧侶「……」ゴクリ

12: 2013/09/01(日) 13:21:49.55 ID:kR1HqKCv0
勇者「因みにスライム達は凍結させてしまえば簡単に倒せる。が上位種になればなるほど凍結し辛くなる」

僧侶「ひい……」

魔法「今のが一番弱いやつだったから良かったものの」

戦士「全くだな……げっ」

僧侶「ひぃ! なんですかそれぇ! スライム?!」

勇者「……これはインプだな。大方、先のスライムに捕食されたのだろう」

魔法「体の殆どが溶けているわね……」

13: 2013/09/01(日) 13:24:18.89 ID:kR1HqKCv0
戦士「同じ魔物でもこうして捕食されるのだ。自業自得とは言え憐れ」ガササ

インプA「人間メ! ヨクモ仲間ヲ!」

インプB「ブッ倒シテヤル!」

インプC「男ハ殺セー! 女ハ犯セー!」

戦士「とりゃあ!」ズバン

勇者「ふっ!」サン

インプBC「」

インプA「アレー?」

14: 2013/09/01(日) 13:27:40.97 ID:kR1HqKCv0
僧侶「す、凄い……」

魔法「流石は王国一の剣の使い手と新技術のからくりね」

戦士「よーし、僧侶。残ったのを倒せ」

僧侶「えええぇぇ?!」

勇者「戦闘経験が無いのだろう? ここである程度慣れるべきだ」

インプA「ア、俺サンドバックッスカ」

魔法「鈍化魔法、鈍化魔法、鈍化魔法」キュゥゥン

16: 2013/09/01(日) 13:30:53.95 ID:kR1HqKCv0
僧侶「ひぃ……ひぃ……」

インプA「」

僧侶「酷いです……こんなスパルタ」

戦士「いざという時、ある程度身の守り方知っていて貰わないと俺達も困るしさ」

僧侶「魔法使いさんはいいんですか?!」

魔法「あら、あたしこれでも棍術習っているのよ?」

勇者「道理で長い杖を使っているわけだ」

魔法「戦士が左腕一本しか使えないハンデならそこそこ良い勝負よ」

戦士「ハンデきつ過ぎて凄いのか分んね」

17: 2013/09/01(日) 13:33:51.07 ID:kR1HqKCv0
『サポートシステム起動します』

勇者「なに?」

僧侶「え?」

戦士「どうした?」

勇者「視界によく分らないシステムメッセージが出てきた」

魔法「どういう事?」

勇者「体を動かしているのは俺の意志だが、様々な機能は別の……人格を持たない意思が執り行っている」

勇者「例えば魔力の残量が少なくなれば、極力魔力消費の少ないようにしたり」

戦士「さっぱり分んね」

18: 2013/09/01(日) 13:36:15.78 ID:kR1HqKCv0
魔法「で、それを統括しているのが何ですって?」

勇者「何やらサポートしてくれるらしいが、それ以上のメッセージが出ない」

僧侶「……故障でしょうか?」

『セルフスキャン開始……異常ありません』

勇者「エラー……問題は発生していないようだ」

戦士「ま、とにかく進むしかないだろ。その内、魔法使いが転移魔法覚えたら一旦王都に帰ろうぜ」

魔法「そうねぇ……他所では対応できない事だし、出来れば今すぐ戻るべきだとも思うけども」

勇者「いや、進もう。異常そのものが無いのに時間を食うわけにもいくまい」

19: 2013/09/01(日) 13:39:17.59 ID:kR1HqKCv0
勇者「たあ!」ザザン

インプF「トアアァァ!」バッ

勇者「遅い」ガッ

勇者「……」ドッ

インプF「ウォッ」

勇者「は!」ズシャン

僧侶「勇者様格好良い……」

魔法「よそ見していると死角から襲われるわよー」

20: 2013/09/01(日) 13:43:01.77 ID:kR1HqKCv0
戦士「しっかしすげぇな勇者は。横からの攻撃を瞬時に盾で受け止め、突き放して切りつける」

戦士「兵士でも教官クラスじゃないとできねぇな」

魔法「で、あなたは剣に関してはトップクラスと」

戦士「いや?」

僧侶「え?」

勇者「私もそう聞いていたのだが違うのか?」

戦士「騎士団長様にゃあ二勝二敗三引き分けだ。決着ついてねーぜ」

魔法「き、騎士団長ってそれこそトップの方じゃない」

戦士「先に二勝勝ち越した方がって取り決めなんだが中々なぁー」

21: 2013/09/01(日) 13:45:49.68 ID:kR1HqKCv0
戦士「今日は野宿かぁ」パチパチ

魔法「ほら焼けたわよ」スッ

僧侶「あ、ありがとうございます。勇者様もどうぞ」

勇者「私は食事の必要が無い。それにしても魔法使いは手馴れているな」

魔法「まあね。薬草採取とかで野外で行動するのは多いもの」

戦士「意外と肉体派なんだな」

魔法「そこらの病的な連中と一緒にするんじゃないわよ」

魔法「800mくらいの山なら登るもの」

戦士「そんな魔法使いお前だけだと思うぞ」

22: 2013/09/01(日) 13:48:41.26 ID:kR1HqKCv0
戦士「ところでよ、勇者は今までどうしていたんだ? そのなんだ? 調整みたいのとかか?」

勇者「そんなところだな。あとは今回の任務、各地での戦闘報告を元に大まかな、複数ある敵の拠点」

勇者「そういった情報を取りまとめていた」

魔法「ねえ……貴方、本当に王都で開発されたの?」

勇者「研究所の場所までは分からないな。私が起動した時には王都だった」

僧侶「どうかされたのですか?」

魔法「異常なのよ……こんな技術力、王都に……いえあたし達人間側にあるわけが無いわ」

23: 2013/09/01(日) 13:52:12.93 ID:kR1HqKCv0
勇者「正直なところ、それは私も疑問に感じていた。それらしい技術を他に見ていない」

勇者「単にこうした戦闘用のみしか開発されなかった可能性もある。がそれはいくつもの試作機があるべきだ」

勇者「全て破棄する訳にもいかないだろうし……何故見かけないのだろうか」

戦士「さーなー……意外と俺達の知らない所で前線に送られてボッコボコになってんじゃねーの」

魔法「その可能性もあるのでしょうけども……一切そういう話を聞かないというのもねえ」

僧侶(さっきから何を話してらっしゃるのかさっぱり分らない……)

勇者「しかし、どうあれ私はここにこうして対魔王軍として使命を与えられた以上」

勇者「全力で立ち向かうまでだ」

24: 2013/09/01(日) 13:54:55.82 ID:kR1HqKCv0
勇者「たあ!」ザン

戦士「そらあ!」ズバン

魔法「ふう……そろそろ町ね」

僧侶「やっとお風呂に入れますね」

『機能拡張』
『エナジーシールドが開放されました』

勇者「む……」

戦士「? ああ、何ちゃら何ちゃらーか?」

魔法「どんなメッセージかしら?」

25: 2013/09/01(日) 13:57:21.65 ID:kR1HqKCv0
『左手の甲より障壁を展開。出力以上の衝撃を受けると一時機能停止する為、』
『攻撃を受ける際は障壁を傾斜させて受け流す事。尚、左椀部に何も装備しない事』

勇者「どうやら魔力による障壁を展開できるようだ。そこまで出力は高くないみたいだな」

戦士「そりゃすげーな」

魔法「へえ……使うに十分な経験を積むと色々と機能が開放されるのかしら」

僧侶「なんだか凄いですね」

勇者「次の戦闘では私が一人で受け持つ」

戦士「試し……受け? は大切だもんな」

勇者「その言い方は何か嫌だな……試運転とでも言ってもらいたい」

26: 2013/09/01(日) 14:00:29.13 ID:kR1HqKCv0
勇者「敵が弱すぎてよく分らなかったな……」

戦士「んじゃー町に着いたら俺と手合わせしようぜ」

勇者「それが一番良さそうだな」

魔法「これ魔力で生成しているのだし、魔法も防げるんじゃないかしら?」

戦士「つってもそんな大型の盾じゃねーんだから、炎とかはどうにもならなくねぇか?」

僧侶「飽くまで盾として機能しているんですものね……」

28: 2013/09/01(日) 14:03:46.68 ID:kR1HqKCv0

僧侶「お風呂♪ お風呂♪」

戦士「俺はちょっと道具屋見てくるわ。装備の手入れ道具忘れてきちまった」

勇者「羨ましいな。私のは専用のものしか使えないからな。これが駄目になったらどうすれば……」

魔法「そういえば、勇者の剣って普通じゃなかったわね」

勇者「よく分らないがこれも何かしらの機能があるらしい。恐らくエナジーシールドと同じなのだろう」

戦士「とりあえず俺は行ってくるわ。泊まる宿屋の前で誰か立っててくれ」

29: 2013/09/01(日) 14:06:57.62 ID:kR1HqKCv0
戦士「おっ」

勇者「来たな」

魔法「それじゃあ行きましょうか」

戦士「え? ここじゃないのかよ」

勇者「エナジーシールドを試すのだろう」

戦士「僧侶は?」

魔法「お風呂。留守番お願いしてきたわ」

勇者「この先に広場がある。そこで行おう」

30: 2013/09/01(日) 14:09:46.64 ID:kR1HqKCv0
戦士「たああ! せやぁ!!」

勇者「……」ギィンギィィン

戦士「くらえええ!!」ブァ

魔法「ちょ、そんな大振り!」

勇者「ぐ!」ギュァァァ

戦士「うげ! なんだこの火花!」バッ

魔法「物理的な壁じゃないもの。真正面から切りかかればそうなるでしょ」

勇者「しかし戦士の上段に耐えられるのなら、人型の魔物には十分通用するな」

戦士「逆に大型の魔物は跳ね飛ばされるのかねぇ」

勇者「まず衝突の衝撃に、私が耐え切れなくてはならないからな」

31: 2013/09/01(日) 14:12:23.17 ID:kR1HqKCv0
魔法「それじゃあ次はあたしね」

戦士「お、お前こそ手加減しろよ?」

魔法「任せなさい。まずは火玉魔法いくわよ」ボッ

勇者「……」チュィン

戦士「お、弾いた」

魔法「投石魔法いくわよ」ドッ

勇者「っと」ガッ

魔法「火炎魔」ウズウズ

勇者「待て」

戦士「止めろ」

32: 2013/09/01(日) 14:15:17.09 ID:kR1HqKCv0
魔法「……っち」

勇者「なんか一瞬目が本気になったと思えば……」

戦士「油断ならねぇ女だよな」

勇者「とにかく、これの有効性は分かった事だし宿に戻ろうか」

魔法「……そうね、何時までも僧侶を放置している訳にもいかないし」

戦士「腹も減ったしとっとと行こうぜー」

33: 2013/09/01(日) 14:18:30.30 ID:kR1HqKCv0
僧侶「どうでしたか?」

魔法「まあそこそこかしら。魔法防御の付いた高価な盾くらいの性能はあるわね」

戦士「まあ今後、更に強化されるかもしれないしな」

勇者「そうだな……私自身機能が分らない以上、何が出来るようになるかは未知数だ」

魔法「ところで魔力は大丈夫なのかしら?」

勇者「現在93%ぐらいのようだ」

戦士「結構長持ちするな」

勇者「しかし、今後使えるようになる能力は全て魔力依存なのだろう。燃費は悪くなる一方のはずだ」

魔法「それは仕方ないことよね……」

34: 2013/09/01(日) 14:21:25.39 ID:kR1HqKCv0
戦士「うっしゃあ! 出発だぁ!」

勇者「魔力も100%だ。こちらに気にせず進んでくれ」

魔法「え? 大気中からそんなに魔力を吸収できるの?」

勇者「早朝、この町の魔術士達に差し支え無い程度に分けて貰った」

僧侶「なるほど……そうすれば私達がここに何泊もする必要が無いのですね」

勇者「そういう事だ。しばらくはこれで様子を見ようと思う」

35: 2013/09/01(日) 14:25:09.47 ID:kR1HqKCv0
ゴブリンA「ぎゃああ!」ブシュァァ

ゴブリンB「うおらああ!」ブォン

戦士「ちっ!」

僧侶「たあああ!」ドッ

ゴブリンB「ぐげ?!」

魔法「風矢魔法」シュシュシュ

ゴブリンC「ガアア!」ドドッ

ゴブリンB「く、くそっ! 逃げ」バッ

勇者「逃がすか」ヒュン

36: 2013/09/01(日) 14:27:19.19 ID:kR1HqKCv0
勇者「だいぶ僧侶も動けるようになったな」

僧侶「あ、ありがとうございます!」

戦士「ぶっちゃけ俺達が怪我しない分、僧侶暇になっちゃうもんな」

僧侶「あはは……はは」

魔法「勇者、魔力大丈夫かしら? 結構シールド使っているでしょ」

勇者「そこまで消費が高くないらしいな。今はまだ93%だ」

戦士「流石に減りは早くなっているな……」

勇者「どうにか他の方法で補給する手段を見つけないとな」

38: 2013/09/01(日) 14:30:14.86 ID:kR1HqKCv0
勇者「あれは……」

戦士「あんな所に集落なんてあったか?」

魔法「……あれ、ゴブリンの群れよ。しかも上位種もいるわね」

僧侶「そんな。あそこに拠点なんて……」

勇者「小規模だから気付かなかったのだろう。二手に分かれて挟撃するぞ、私と魔法使いで南部を討つ」

戦士「あいよ。僧侶、お前は魔法で支援してくれ。北に回るぞ」

僧侶「は、はい! 頑張ります!」

39: 2013/09/01(日) 14:33:21.48 ID:kR1HqKCv0
勇者「ぐ!」ドドン

魔法「魔法を封じた魔石……なんて厄介なの!」ドゥン

勇者「おまけにこの数は……見誤ったか!」ザン

ゴブリンK「ぎゃああぁ!」

ゴブリンP「食らえ!」ポィ

勇者「!」ドォン

『エナジーシールド過負荷。機能一時停止』

勇者「こんな時に!」ギリ

『機能拡張』
『火玉魔法が開放されました』

41: 2013/09/01(日) 14:37:02.17 ID:kR1HqKCv0
戦士「こいつら……! 卑怯な!」ギィンザシュゥ

ゴブリンAG「もっとだ! 魔石を持ってこい!!」

ゴブリンAH「氷結魔法の魔石持って来たぜ!」

僧侶「対氷障壁!」パァ

戦士「さんきゅ! つっても、これじゃあ……」

ゴブリンAG「い、が!」タタタンチュチュン

ゴブリンAH「な、何が起こぐあああ!」タタンタン タタタタタ

勇者「戦士、僧侶! 伏せろ!」トタタタタン タタタタタタン

42: 2013/09/01(日) 14:39:40.66 ID:kR1HqKCv0
『左椀部より火玉魔法を高速射出。低出力の為、射程は5m程度』
『ただし威力は低い為、耐久力の高い敵には何十発も撃ち込む必要がある』

勇者「……」タタタタタタン

『残り魔力90%を切りました』

戦士「な、なんだありゃあ……左腕が『開いて』いやがる……」

僧侶「左手から……あんな連続で魔法を」

魔法「火炎魔法! 勇者、右からも!」

勇者「了解」タタタン タタタタタ

43: 2013/09/01(日) 14:42:38.90 ID:kR1HqKCv0
戦士「すげぇ……お前、魔力は大丈夫なのか?」

勇者「現在88%。しかし……この先強敵が現れた時を考えると不安だな」カション

僧侶「左腕が元に戻った……」

魔法「小さい建物は下っ端の居住スペースのようね」

僧侶「じゃああの大きな建物はここの魔物の統率していたものが……?」

勇者「調べてみる価値があればいいのだが……」

戦士「二人は外で待機だ。トラップがあると厄介だからな」

魔法「そうさせて貰うわ」

44: 2013/09/01(日) 14:45:54.35 ID:kR1HqKCv0
戦士「ものの見事に何もねーな」

勇者「全くだな……ん?」

戦士「何か……なんだそりゃ。随分と光ってんな。魔石かなにかか?」

勇者「分らない。トラップでなければいいのだが」スッ

戦士「ありゃ? 触れたら消えちまったな」

勇者「……?」

『データ解析...拡張機能を入手』

勇者「なに?」

戦士「またか?」

45: 2013/09/01(日) 14:48:20.07 ID:kR1HqKCv0
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量80%』
『ハイジャンプを入手。跳躍力おおよそ三倍』

戦士「どうだって? まさか今のお前専用の魔石か?」

勇者「よく分らないが魔力の貯蔵能力が少し上がったらしい」

勇者「後、跳躍力が三倍になったようだ」

戦士「……は? じゃあそこの棚に向かってジャンプしてみてくれよ」

勇者「……」ダッ

勇者「……の、登れてしまった」トッ

戦士「すっげ……俺よりでけぇ棚に軽々と……」

46: 2013/09/01(日) 14:51:38.60 ID:kR1HqKCv0
魔法「あら早かったわね」

僧侶「何か収穫がありましたか?」

戦士「勇者がパワーアップした」

魔法「どういう事?」

勇者「私にもよく分からないが、光る石を見つけて触れた途端に消えてしまったのだ」

勇者「そうしたら例のメッセージが……魔力の貯蔵量上昇と跳躍力の倍増が得られた」

僧侶「どれだけ高く飛べるんですか?」

勇者「おおよそ三倍だそうだ」

戦士「俺よりでかい棚に乗りやがったぞ」

魔法「……」

47: 2013/09/01(日) 14:54:23.47 ID:kR1HqKCv0
戦士「初の拠点攻めの成功を祝いまして、乾杯!」カシャン

魔法「乾杯」カシャン

僧侶「乾杯っ」カシャン

勇者「か、乾杯」カシャ

魔法「飲食できない勇者にこれは酷じゃないかしら?」

戦士「んな事言ったら何時も気遣わねーとじゃねーか。雰囲気味わえって事だよ」

勇者「しかし、いきなり乾杯と言われても、私にはこれがどういう意味か分らないんだが」

戦士「雰囲気だっての」

僧侶「……説明放棄?」

魔法「むしろ出来なくて諦めた、かしら」

49: 2013/09/01(日) 14:57:17.46 ID:kR1HqKCv0
戦士「そりゃあそうさぁ、俺ぁ剣一本でのし上がってきてよぉ」

僧侶「せ、戦士さん、飲みすぎですって」

魔法「……ねえ」

勇者「どうかしたか? ああ、俺の事なら」

魔法「それも無くはないけども、拠点での話よ。魔石を手に入れた時、何ていうメッセージが出たの?」

勇者「いきなりだったからよく覚えていないが……何かを解析して機能を拡張したようだ」

魔法「……」

50: 2013/09/01(日) 15:01:27.25 ID:kR1HqKCv0
勇者「どうかしたか?」

魔法「機能拡張……とはあるけれども、実際には元々貴方に与えられた機能。つまり機能使用の許可や権限を得ているだけ」

魔法「と考えると、魔物の拠点で貴方の機能を拡張する何かがあったというのは謎だわ」

勇者「ふむ……」

勇者「例えばそれら機能の開放に大量の魔力を必要とし、魔王軍の純度の高い魔石が適しているとしたら」

魔法「その考え方は分らなくもないわね……一つ聞いていいかしら? 魔力の貯蔵が増えたと言ったけども」

魔法「増えた時に残り魔力は何%と出たの?」

勇者「確か80%だったか……ああ、貯蔵量は10%増えたらしい」

魔法「……拠点に入る前は確か88%と言ってたわね。つまり最大容量110%を100%とみなした時」

魔法「残量88%は110%の八割、80%にあたる。魔石の魔力を吸収したのであればこれは不自然だわ」

勇者「君がそれを覚えている事の方が驚きでならないのだが」

52: 2013/09/01(日) 15:04:12.38 ID:kR1HqKCv0
魔法「ま、机組の人間だからね」

勇者「それは800mもの山を登る人間に当てはまるのだろうか……」

魔法「話が反れているわねぇ……何にせよ少し引っかかるわね」

勇者「……ふむ、やはり転移魔法を覚え次第戻ってみるか」

魔法「んー……現状だとまだ判断つかないし様子見でっもいいんじゃないのかしら?」

戦士「うおらぁぁぁお前らぁ飲んでるかぁぁぁ?」

僧侶「せ、戦士さぁん」

魔法「あたし飲まないし」

勇者「私は飲めないしな」

53: 2013/09/01(日) 15:06:31.42 ID:kR1HqKCv0
……
戦士「確か次の町までは距離があったな」

勇者「次の目的地は北にある魔物の砦だ。元から報告のあった場所で、これを撃破する」

魔法「一部の行商ルートが潰されていて、そこれなりの被害を被っているという話ね」

僧侶「何としてでも倒さないとなりませんね……」

戦士「敵の種類は?」

勇者「話だとゴブリンだそうだが、大半が上位種だそうだ」

魔法「この間の拠点はそこから出たものなのかもしれないわね」

54: 2013/09/01(日) 15:09:16.65 ID:kR1HqKCv0
マジックゴブリン「来タゾ!」

アーチャーゴブリンA「足止メヲスルゾ!」

アーチャーゴブリンB「射レー!」ビュッ ビュッ


僧侶「対遠距離障壁はまだ……!」

戦士「うおっ地味にやべぇ!」

勇者「一気に間合いを詰めるぞ」ガショォ

『魔法モード [>火玉魔法』ピピ

勇者「続け!」タタタタタン タタタタ

55: 2013/09/01(日) 15:12:36.53 ID:kR1HqKCv0

魔法「紅蓮魔法!!」ゴアアァァァ

戦士「すっげ……魔法使いと勇者だけでいいんでねーの? もう」

僧侶「う……や、役立たずですみません」

勇者「突入するぞ。警戒しろ」ザザ


グレートゴブリンA「人間メ……来タカ」

グレートゴブリンB「ダカココマデダ!」

グレートゴブリンC「我々ト魔王様ヨリオ預ケ頂イタコイツデ!」

ロボゴブリン「……」ガション ガション

56: 2013/09/01(日) 15:15:34.80 ID:kR1HqKCv0
勇者「! 機械のゴブリン……?」

魔法「魔王軍も機械化を……」

グレートゴブリンA「殺セ!!」バッ

戦士「こりゃあ……勇者はあの変なゴブリンを頼む!」

勇者「グレートゴブリン三体を?」

戦士「任せろよ、俺も活躍しなくちゃぁな」バッ

勇者「……魔法使い達は戦士のサポートを」バッ

僧侶「対物障壁展開!」シュア

57: 2013/09/01(日) 15:19:10.94 ID:kR1HqKCv0
戦士「でやあああああ!」ギィィィン

グレートゴブリンB「グ! コノ人間強イ!?」ギィィン

グレートゴブリンC「イヤアアァァァ!!」ブォン

戦士「よっと、はっ!」シャァン シュバァ

グレートゴブリンB「ウオッ」ヨロッ

グレートゴブリンC「ギャアアアア!」ズシャアァ

グレートゴブリンA「隙アリ!!」バッガキィ

僧侶「……何とか、障壁で受け止め」ギリギリ

魔法「僧侶ナイス。いくわよぉ……」キィィン

58: 2013/09/01(日) 15:21:12.70 ID:kR1HqKCv0
勇者「……」キィィンキィンギィン

ロボゴブリン「……」ギィンガギィン

勇者「たあああ!」ズバン

ロボゴブリン「ギギ」フラ

勇者「終わりだ!!」シャン

ロボゴブリン「ギギ...」ズシャァァ

勇者「……」

ロボゴボリン「ギ...ギ」ズズ

魔法「電流魔法」バチィィ

59: 2013/09/01(日) 15:24:29.55 ID:kR1HqKCv0
ロボゴブリン「ギ...」ジジジ

ロボゴブリン「ギ」ドゴォォン

勇者「……」

魔法「全く、倒したなら倒したでとっとと止めを刺しなさい」

勇者「容赦が無いな……まあいい、そっちは大丈夫だったか?」

戦士「グレートゴブリン如きに引けをとる俺かよ」

僧侶「でも無事、ここを撃破できてよかったですね」

戦士「お? おい、勇者」

勇者「どうし……これは」

魔法「? これが光る魔石かしら? 機械のゴブリンの中から?」

勇者「ああ……」

60: 2013/09/01(日) 15:27:31.34 ID:kR1HqKCv0
魔法「勇者、触れてみて」

勇者「あ、ああ……」スッ

『データ解析...拡張機能を入手』

勇者「始まった」

魔法「やっぱり勇者専用なのかしら?」

僧侶「どういう事です?」

『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量80%』
『ES機能が開放されました。フレイムエレメントが開放されました』

62: 2013/09/01(日) 15:30:47.36 ID:kR1HqKCv0
勇者(ES機能?)

『エレメントソード機能。現在エレメント設定フレイム。振るうと炎を帯びます』

魔法「……と、いう事よ」

戦士「そりゃあなんか怪しくねーか?」

僧侶「変、ですよね」

魔法「今の所はなんともねぇ……どうだったのかしら?」

勇者「剣に備えられた機能が動き出した」スラン ブァン

戦士「おお?! 炎が!」

魔法「属性……魔法剣の類なのかしら」

64: 2013/09/01(日) 15:33:24.32 ID:kR1HqKCv0
戦士「お、なんか奥に部屋があんぞ」

僧侶「まさかまだ魔物が……」

勇者「いや……あれだけの戦力を投入してきた以上、ここには戦力は無いと思われるが」ギィ

魔法「これは……研究所?」

戦士「見たことの無い道具ばっかりだな」

勇者「……そうか、恐らくこれはあれをメンテナンスする為の」

僧侶「さっきのゴブリンですか?」

魔法「なるほど……資料とかあればいいのだけれども」

戦士「とりあえず探してみっか」

65: 2013/09/01(日) 15:36:44.06 ID:kR1HqKCv0
僧侶「あ……これでしょうか?」

戦士「お、なになに『A.H.A.01 開発者備考』?」

魔法「もっと大本の情報が欲しいけれども……一先ずはこれで我慢かしら」

勇者「試作機。ゴブリン最上位種であるグレートゴブリン並と言ったところか」

戦士「よえーな、それ」

勇者「これなら量産できそうだが、魔法防御力が皆無の上に物理防御もそこまで優秀でもない」

魔法「もしかして電流魔法直撃だけでも……?」

勇者「かもな……」

66: 2013/09/01(日) 15:39:30.07 ID:kR1HqKCv0
勇者「恐らく、量産の価値はないだろう。他種族をベースに作り直しと要改良」

僧侶「これが何時の事かによって、深刻な問題になり得ますね」

勇者「前衛として出す分にはそこそこの戦力となるだろう。が、グレートゴブリン二匹の方が低コストだ」

戦士「せつねーな、あのゴブリン」

魔法「それにしても……A.H.A.ねえ」

戦士「どういう意味なんだろうな」

僧侶「魔法使いさんでも分らないのでしょうか?」

魔法「そりゃそうよ」

1: 2013/09/01(日) 23:04:52 ID:WQ8rFx6E
戦士「他に資料らしきものはねーな」

魔法「そうねぇ……」ノビー

勇者「ここは諦めて先に進むべきかもしれ」ゴソゴソ

勇者「あ」スッ

僧侶「どうしたのですか?」

勇者「光るものがあったが……消えた」

『データ解析...』

戦士「は? 二つ目? すごくね?」

魔法「ますますもって謎だわ……やはりただの高純度魔石なのかしら」

2: 2013/09/01(日) 23:06:06 ID:WQ8rFx6E
僧侶「また一段と勇者様が強くなるのですね」

勇者「だといいのだが、これが安全であるとも言い切れないあたり不安を感じるな」

『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ

勇者「!」

戦士「今度はなんだー?」

勇者「解析できなかった。未詳アイテムと返されてしまった」

魔法「……?」

魔法(そうなるとやはりあれは勇者専用の機能そのものになる)

魔法(魔王軍にそれがあるのも気になるけども、解析できなかったとは?)

戦士「ゴミだったのかねぇ……」

勇者「……ある種の魔石を吸収して解析し、機能として再構築しているのだろうか?」

魔法(うーん、うーん)ブツブツ

僧侶「ま、魔法使いさん……」

3: 2013/09/01(日) 23:09:07 ID:WQ8rFx6E
勇者「せぃや! たあああ!」ブォンブォン ズガァァ

オークAB「ギャアアア!!」ゴロゴロ

戦士「火炎斬りいいなぁ」チリ ボッ

僧侶「せ、戦士さん! 引火してますよ!」

戦士「うおぉぉぉ!」メラァ

勇者「戦士!!」

魔法「はいはい、水撃魔法微弱」プシュゥゥ

僧侶「回復魔法!」パァ

戦士「た、助かったぜ」

勇者「す、すまない戦士! 大丈夫か?」

戦士「おうよ!」

4: 2013/09/01(日) 23:12:59 ID:WQ8rFx6E
魔法「その剣、通常の状態にできないのかしら? 炎属性耐性の敵が出たらどうするのよ」

勇者「あ、ああそうだな」

『エレメントソードの付与属性を解除しますか?』

勇者「解除できるみたいだな」

魔法「属性に頼らなきゃいけない訳でもないし切っておきなさい」

魔法「無用な事故の発生率を上げているだけじゃない」

戦士「てめぇ! 漢の浪漫を!」

勇者「いや、魔法使いの言うとおりだろう」

5: 2013/09/01(日) 23:16:44 ID:WQ8rFx6E
僧侶「それにしても改めて凄い技術ですよね」

魔法「全くね」

『機能拡張』
『ロングショットが開放されました』

勇者「む、機能拡張がきた」

戦士「ほうほーう。次はどんなだ」

『魔法モードの射撃上昇。火玉魔法射程15m』

勇者「魔法の射程が15mになったそうだ」

戦士「へー……え?」

6: 2013/09/01(日) 23:19:37 ID:WQ8rFx6E
勇者「……」トタタタ タタタタタン


僧侶「ひぃぃぃ!」チュチュン チチチュン チュチュチン


魔法「本当に15mくらいあるわね」

戦士「けど結構ばらつくなー。僧侶の対火障壁に当たってんのどんなもん?」

魔法「2,3割程度かしら? ゴブリンクラスの大きさならそうは当たらないわね」

7: 2013/09/01(日) 23:21:23 ID:WQ8rFx6E
勇者「しかしこれはこれで牽制に使えるだろうな」

戦士「だなぁ」

僧侶「ひ、酷いですよぉ勇者様ぁ……」

勇者「いや、君の障壁なら問題ないだろう。少なくとも私は君の力をそう評価している」

僧侶「勇者様ぁ……」

魔法「いちゃついている所悪いけど、勇者の残りの魔力は?」

勇者「現在71%。流石に砦の寄り道は大きいな」

戦士「ま、ここの山超えりゃすぐ町だからよ」

8: 2013/09/01(日) 23:24:28 ID:WQ8rFx6E
勇者「で、小さい砦が見えるわけだが……」

戦士「こんな山間誰も気付かねーわな」

魔法「あたしが魔法をぶつけるから出てくる魔物を勇者が魔法で。取りこぼしは戦士ね」

戦士「あいよ」

勇者「任せろ」ガショォ

僧侶「何といえば良いのでしょうか……凄い殲滅戦ですね」

9: 2013/09/01(日) 23:27:40 ID:WQ8rFx6E
魔法「爆発魔法」ポポポ

魔法「いけっ!」ビュッ


戦士「始まったな」ドドン タタタ トタタタタドオォン

僧侶「こちらまで来そうに無いですね」タタタタン ドォンドォン


勇者「……こんなところか」タタタ タタン タタタン

10: 2013/09/01(日) 23:30:18 ID:WQ8rFx6E
勇者「……」ザッザッ

戦士「本当にちっさいところだな……前のゴブリンの集落より規模が小さいんじゃないのか?」

勇者「もしかしたら斥候として居たのかもしれないな。まただ」ポァ

戦士「毎度毎度いくつもあるな。とっととパワーアップして戻ろうぜ」

勇者「ああ」スゥ

『データ解析...拡張機能を入手』
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量48%』
『アイスエレメントを入手しました』

勇者「剣の属性に氷が追加された」

戦士「お、それなら事故はなさそうだな」

11: 2013/09/01(日) 23:37:40 ID:WQ8rFx6E
『振るうと氷属性を発し、斬りつけた相手を凍結させる事がある』

勇者(完全凍結ではないのか)

勇者(それにしても連続で容量の最大値だけが上がっていく所為で、残りの魔力の数値が不安を煽るな)

戦士「おっしゃあ、とっとと行こうぜ」

勇者「ああ、そうだな」

『エレメントソード付与属性 [>アイス』ピピ

勇者(後で試してみるか)

12: 2013/09/01(日) 23:42:41 ID:WQ8rFx6E
戦士「町だ!」

魔法「今回は大変ね」

勇者「すまんな」

僧侶「仕方が無いですよね」

戦士「え?」


町防衛 一日目

戦士「え?」

13: 2013/09/01(日) 23:45:32 ID:WQ8rFx6E
魔法「どう?」

勇者「65%だな」

戦士「あと何日かかるんだよー……」

勇者「いや、初期から130%増えている事を考えると凄い回復量だ」

戦士「? あー……100%でいいのか?」

勇者「後二日ぐらいでいけそうだな」

魔法「出発は三日後かしら」

戦士「んじゃま、戦闘は俺達に任せてお前は休んでいろよ」

勇者「すまないな」

14: 2013/09/01(日) 23:48:30 ID:WQ8rFx6E
戦士「うおらああああ!」ズバン

魔法「紅蓮魔法!」ゴアアアア

火炎トカゲ「ゲッゲッ、ゲゲッ!!」ゴォォォゥ

僧侶「対炎障壁!」シュィン

魔法「氷結凍結!!」ブアァァァ

火炎トカゲ「ゲェェェ……」

戦士「おらああぁ!」ザン

フレイムスネーク「シャアァァ……」ブシャァ

僧侶「な、何とか戦えますね」

魔法「そりゃあ勇者一人に頼っていたわけじゃないもの」

15: 2013/09/01(日) 23:51:17 ID:WQ8rFx6E
『データ再解析...』

『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ

勇者(やはり駄目か……一体どんな機能なのだろうか)

勇者(もしや分割されているのか? もう一つ別の拡張を得ると解析できるように……?)

『データ再解析...』

『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ

勇者(ふむ……)

16: 2013/09/01(日) 23:55:06 ID:WQ8rFx6E
戦士「ただいまぁー!」

勇者「大丈夫だっただろうか?」

魔法「今のところはね」

僧侶「迫り来る魔物を戦士さんと魔法使いさんがそれはもうばったばったと薙ぎ払って」

戦士「お前の障壁があるからな。背中を気にせずに戦えるんだよ」

勇者「それにしても魔物と言うのは厄介だな」

勇者「町を守る結界を敷く魔術師達の魔力が消耗を察して押し寄せてくるとは……」

魔法「というよりも結界が不安定になるからそれを感知しているのかもね」

17: 2013/09/01(日) 23:57:18 ID:WQ8rFx6E
二日目

魔術士B「今日はここまでだ」

勇者「かたじけないな」

魔術士A「ま、防衛はやってもらっているしな。魔王討伐、頼むぜ」

勇者「ああ」

『魔力残量、87%』

勇者(20%近く回復したか……少し、戦士達を手伝うか)

18: 2013/09/02(月) 00:00:22 ID:RPJwolLs
オークB「なんとしても突き崩せ!」

オークアーチャーK「うおおおおお!」ビュッ ビュンッ


戦士「くそ! なんて数だ!」

僧侶「な、なんとか障壁で防げていますが……」

魔法「どうする? あたしが全力で叩き潰そうかしら?」

戦士「後続部隊でもいたら危険だ……が、このままじゃ傍観と変わらないし、僧侶の魔力だって……」

19: 2013/09/02(月) 00:03:18 ID:RPJwolLs
戦士(少しずつ距離を詰めて……いや意味は無いだろ、向こうだって退くに決まっている)

戦士(だがこんなジリ貧じゃあ話になんねぇし)ワーグワー

戦士「なんだ?」

魔法「あれは……まさか」


オークR「ギャアアア!」タタタン チュチュン チュン

オークアーチャーAC「なんだこ、ぐぁっ!」チュン


勇者「……これで弓兵は掃討できたか」タタタタン タタタタ

勇者(残り魔力83%……アイスエレメントを試してみるか?)

20: 2013/09/02(月) 00:06:39 ID:RPJwolLs
戦士「あんの馬鹿!」

魔法「……弓兵はいなさそうね」キィィィン

僧侶「ま、魔法使いさん?」

戦士「え? なにこの魔力」

魔法「勇者を見て思いついた魔法の応用があるのよ」ィィィィン

魔法「投石魔法……爆発魔法」ィィィィィ

戦士「ん? それってつまり……」

僧侶「あ、勇者様が魔物に近づ」

魔法「吹き飛べ」カッ

21: 2013/09/02(月) 00:09:42 ID:RPJwolLs
勇者(あれは落石魔法か?)ポポポポポ

勇者(一度にこれだけ……魔法使い、凄い勢いで力をつけているな)ヒュー

勇者(少し下がって様子を見)ッドォォン

勇者「え?」ヒューーー

オークAZ「なんd」ドォォンドォン

オークAE「退きゃ」ドドォン

オークアーチャーAT「たs」ドドドォン

勇者「う、お、うおおお!」ドドドドン

22: 2013/09/02(月) 00:12:39 ID:RPJwolLs
戦士「おい、あれ……」ドドン

僧侶「勇者様!!」ドドン ドドド

魔法「効果範囲が広すぎるわね……勇者、逃げ切りなさいよ」ドドドド ドドン

戦士「酷くね?!」ドドドドドド


勇者「くそ! 追いつかれる!」ヒューーーー

『機能拡張』
『スピードブースターが開放されました』

勇者「!? 背中と足に」カション

勇者「違和かぁぁぁ!?」ギュォ ドゥッ

24: 2013/09/02(月) 00:15:45 ID:RPJwolLs
勇者「なーーー?!」ズダダダダダ

『一定以上直線距離を走り続けた場合、背部ならびに脚部ブースター点火』
『直線においてのみ超加速で走る事が可能』

勇者「魔法の範囲から出たか?! くそ、止まれぇぇぇ!」ズザアアァァァ


戦士「すっげ……」

僧侶「ゆ、勇者様ー?!」

魔法「……」

魔法(あれ、対物障壁貼ればちょっとした……)

25: 2013/09/02(月) 00:18:43 ID:RPJwolLs
魔法「ごめんね」テヘペロッ

勇者「死ぬかと思った……」

戦士「ま、新しい能力も開放されてよかったじゃねーか。あれなんなの? 加速装置?」

勇者「スピードブースターと言って一定距離、直線に走ると加速するようだ。逃げる為だけなのだろうか……」

魔法「障壁かければ敵陣を崩す砲弾になるわね」

僧侶「魔法使いさん! そんな酷い事を勇者様にさせられません!」

勇者「……いや、状況によっては活路が見えてくるな。悪くない案だ」

26: 2013/09/02(月) 00:21:37 ID:RPJwolLs
三日目
戦士「静かだ」

魔法「昨日で敵戦力もだいぶ減ったんじゃないの?」ペラ

僧侶「他の箇所の守りは大丈夫なのでしょうか?」

魔法「こっち側だけ結界を無くして、他に力をいれているそうよ」

戦士「何れにしても、魔物達が突破するにはここを抜けなきゃならんからな」

27: 2013/09/02(月) 00:24:31 ID:RPJwolLs
勇者「……」キィンキィィン

勇者「たあっ!」ギィィン

兵士「ま、参った」

兵士長「すまんな、こんな事に付き合わせてしまって」

勇者「なに、私も余裕があるし動いていたほうが落ち着くからな」

兵士長「それはなによりだ。では次は私だ!」

勇者「……」ザッ

28: 2013/09/02(月) 00:28:25 ID:RPJwolLs
勇者「よし、出発だ」

魔法「次の敵拠点は……ここね、オークが大量にいるようね」

戦士「もしかして一昨日の軍団はそこからか?」

僧侶「かもしれませんね……」

魔法「到着次第、勇者アタックをしかけてみようかしら」

戦士「本当にやるのか……」

勇者「……」

僧侶「ゆ、勇者様も拒否をしていいのですからね!」

勇者「いや、存外楽しみだ」

戦士「お前……」

29: 2013/09/02(月) 00:31:16 ID:RPJwolLs
僧侶「対物障壁!」コァ

勇者「よし、行ってくる!」タタタ

戦士「うっしゃあ! 勇者に続けぇ!」

魔法「……」ワクワク

僧侶「魔法使いさんがすっごい良い笑顔!」

勇者「……」タタタダダダ

『スピードブースター点火』ギュォッ

勇者「うおおお!」ズダダダダ

30: 2013/09/02(月) 00:33:53 ID:RPJwolLs
ハイオークA「なんだ? 人間? え、早」   タタタタ

ナイトオークC「逃げろぉ! 奇しゅ」 ダダダ

オークキング「本当に人な」ズダダダダ



ドッゴォォォン

戦士「おー……」ガラガラ

僧侶「砦が崩れていきますね」

魔法「あ、勇者、まだ減速すらしてないっ」

31: 2013/09/02(月) 00:36:56 ID:RPJwolLs
戦士「ま、後始末くらい俺らでやろうぜ」  ガション

僧侶「え、この音……」ガション ガション

メカオーク「……」ガション ガショ

魔法「……」ゴクリ

戦士「こいつ、なんて重装備な……」

僧侶「きます!」

メカオーク「……」ドォッ

32: 2013/09/02(月) 00:40:35 ID:RPJwolLs
魔法「電撃魔法!」ジジ バヂヂ

メカオーク「……」バヂヂヂ バヂン

メカオーク「……」グォ

戦士「うぐ!」ガッ

僧侶「治癒魔法!」パァ

戦士「っしゃあ! りゃああぁ!」ギィィン

メカオーク「……」ギギギ

33: 2013/09/02(月) 00:42:38 ID:RPJwolLs
魔法「戦士!」

戦士「おうよ!」バッ

魔法「凍結魔法」

メカオーク「……」ビキビキビキ

魔法「爆発魔法」カッ

メカオーク「ギギ……」ッドッゴォォォォン

戦士「すげー身も蓋もねぇ」

34: 2013/09/02(月) 00:45:25 ID:RPJwolLs
勇者「三人とも、無事か!」

戦士「おーう、終わったところだぞ」

僧侶「まだ魔王軍の機械には私達だけでも対抗できますね」

魔法「そんな事より探すわよ!」

僧侶「な、何をです?」

魔法「勇者のパワーアップ!」

戦士「おっしゃあ!」

勇者「しかし半壊した砦で探すといっても……このオークには内臓されていないようだし」

35: 2013/09/02(月) 00:48:43 ID:RPJwolLs
地下室
戦士「簡単だったな」

魔法「むしろ勇者が吹っ飛ばしてくれたお陰で地下室入り口が探しやすかったわね」

勇者「よく分らない装置が多いな」

僧侶「これ……王都よりも技術が上なんじゃないでしょうか?」

戦士「つっても相手はあのガッチョンガッチョンいうので、こっちは勇者だぜ?」

勇者「一先ず光る魔石と資料を集めよう」

魔法「少し見つかったわ。A.H.A.02改造計画……ここに配備すると共に、改造していたようね」

戦士「あの重装備はそれでか」

36: 2013/09/02(月) 00:51:52 ID:RPJwolLs
勇者「また開発者備考か……」カササ

戦士「お、見つけたか」

勇者「より前衛型となったが、やはり魔法防御力が課題であると言える」

魔法「とすると電撃魔法に対してはここでの改造の結果かしら」

勇者「このままでは量産したところで人間軍の魔法で薙ぎ払われるのが目に見えている」

僧侶「凍結魔法は直撃でしたね……」

勇者「接近戦に持ち込めばそれなりの力になるだろうが……。これで終わりだな」

戦士「やー確かに力はあったが技量が足らなさ過ぎて、タイマンでも勝てたぞ、あれ」

37: 2013/09/02(月) 00:57:02 ID:RPJwolLs
勇者「三人の方で魔石は見つかったか?」

戦士「いや」

魔法「全くね」

僧侶「も、申し訳ありません」

勇者「とすると……この変な装置か」

戦士「そりゃいくらなんでも冒険過ぎないか?」

勇者「いや、やってみる価値はきっとあるだろう」カチャカチャ ポチポチポチ

38: 2013/09/02(月) 01:00:29 ID:RPJwolLs
勇者「流石に緊張してきたな……」カタタタタ ギュォンギュォン

戦士「やばそうならすぐ言えよ。ぶっ壊してやる」

勇者「ああ……」ギュォン ギュォ ギュォ ギュォ ギュォ

勇者「……」シュォォォン

『マジックアーマーを入手しました』
『物理防御力、魔法防御力向上』
『火属性耐性が開放されました』
『魔力が全回復しました』

勇者「……なんだ、これは」

戦士「鎧の形と色が……」

僧侶「勇者様……格好良いです」

魔法「……」

39: 2013/09/02(月) 01:04:11 ID:RPJwolLs
戦士「にしてもすっげーパワーアップだったな!」

勇者「ああ……しかしこれは」

魔法「……ま、今は素直に喜んでいましょう」

僧侶「どうかされたのですか?」

戦士「なんだ?」

勇者「いや、気にしないでくれ」

40: 2013/09/02(月) 01:06:55 ID:RPJwolLs
オークゾンビ「ガアアア!」ドド

リトルゴーレム「ゴゴ」ドゥ

『エレメントソード属性付与 [>アイス』ピピ

勇者「たあああ!」ズシャァ

オークゾンビ「ウゥガ」ビシビシ

リトルゴーレム「ウゴ...」ビシピシピシ

戦士「どりゃああ!」ブァ

オークゾンビ「ガッ」ガッシャァン

魔法「落石魔法!」

リトルゴーレム「ゴ...」ゴシャァァ

41: 2013/09/02(月) 01:09:39 ID:RPJwolLs
僧侶「回復魔法」パァ

戦士「おう、すまんね」

勇者「そろそろ次の町か」

僧侶「次は確か都市でしたよね」

魔法「簡単に補給できそうね。勇者の魔力は?」

勇者「現在92%だな」

戦士「お、燃費が上がったのか?」

勇者「いやだから……いやもういい」

魔法「戦士に説明するだけ無駄よ……」

42: 2013/09/02(月) 01:13:43 ID:RPJwolLs
勇者「うん?」

戦士「どうした」

勇者「煙が見える……」

魔法「そうかしら? 都市のほうの炊事の煙かしらね」

勇者「妙だな……多すぎる」

戦士「なんかあったのかねぇ」

僧侶「どうしましょうか……」

勇者「少し急ごう、僧侶」

僧侶「分りました、加速魔法」パァ

43: 2013/09/02(月) 01:30:52 ID:RPJwolLs
都市
戦士「……一体何が起こっているんだ?」

勇者「城壁外でこれほどの人々が野営……正気か?!」

兵士A「な、なんだあんた、いきなり」

勇者「私は東の大国より勇者の命を受けた者だ。状況報告を願いたい」

兵士A「ゆ、勇者様?! し、失礼しました! 先日、ここより西にある国の都市が魔物の襲撃で陥落」

兵士A「ここにいるのはそこの都市の民間人です」

魔法「難民、なの……?」

僧侶「それも魔物の襲撃で都市が落とされるだなんて」

44: 2013/09/02(月) 01:34:48 ID:RPJwolLs
兵士B「おい! 今すぐ民間人を避難させろ!」ザカザ ザザ

兵士A「は? お前、国境警備じゃ……」

兵士B「魔物の大軍だ! とんでもなく強いのも二体! 西の国の都市の兵の証言通りだ!」

「まさかあの魔物達……」ザワ
「駄目だ……今度こそ殺される!」ザワ

兵士B「国境警備隊がなんとか足止めしている! 早く本隊も出撃支持を頼む!」

兵士B「俺は戻る……後は頼むぞ!」ヒヒーン ザカザ ザカザ

兵士A「ぐ……!! 門番!」

門番A「持ち場頼むわ」

門番B「おう、急いでくれ」

45: 2013/09/02(月) 01:37:11 ID:RPJwolLs
戦士「おいおい……やべぇ事になったぞ」

勇者「この人々の誘導が或るところ申し訳無い。敵戦力の情報を」

兵士A「巨大なゴーレムと人骨みたいなやつがゾンビ種とゴーレム種を率いている」

兵士A「ゴーレムは魔法、物理ともに殆どダメージを与えられないが動きが非常に鈍い。ただ突進力はあるそうだ」

兵士A「人骨みたいなのは凄まじい素早さで攻撃を避け、魔法を弾く体をしているそうだ」

戦士「おいおい……なんだよその鉄壁、どうやって戦う?」

魔法「勇者は剣以外は魔力が元だから……人骨とは相性が極端に悪そうね」

僧侶「一体どうしたら……勇者様?」

46: 2013/09/02(月) 01:49:00 ID:RPJwolLs
戦士「ん? え? あいつどこ?」

魔法「あ、もうあんなところに?!」


『スピードブースタ点火』ギュォッ

勇者(聞く限りではゾンビ種リーダーとは戦いにならないだろう……であれば俺が受け持つのは)ズダダダ

勇者(しかし敵の数如何によっては……国境警備隊も心配だ。どうなっている?)ダダダダダ

兵士B「え? な?! 速!!」ザカザ ザカ ザカ ザ

勇者(これは厳しい戦いになるな……)ゴクリ

49: 2013/09/02(月) 20:10:39 ID:RPJwolLs
兵士達「な、なんだあんたは?!」

勇者「私は勇者だ。加勢に来た」

兵士達「え!?」

警備隊長「我々は雑魚を押さえる!」

勇者「あの巨人はこちらで引きつける。巻き込まれるな」カション

勇者「お前の相手は私だ!」タタタタタタン タタタタン

メタルゴーレム「……」チュチュチュン チュチュン チュチュチュチュン

勇者(やはり火力が足らなさ過ぎる……)

メタルゴーレム「……」ズゥゥン ズゥゥン

勇者「だが食いつけいてくれればこちらの思惑通りだ」

50: 2013/09/02(月) 20:15:06 ID:RPJwolLs
メタルゴーレム「……」ズオォ

勇者「……!」タタタタタタ

勇者「くっ!」バッ

メタルゴーレム「……」ドッゴォォォ

勇者「……ただの振り下ろしが」ゴォォォ

勇者「迂闊に近づけば叩き潰されるか」ズザァァ

勇者「だが!」

『エレメントソード付与属性 [>フレイム』

51: 2013/09/02(月) 20:19:00 ID:RPJwolLs
勇者「……」グォォォ

勇者「たあああああ!」ギィィィン

勇者「この感触……まさかこいつも機械」

メタルゴーレム「……」ノソリ

勇者(金属型のゴーレムかと思ったが……だからこその対魔法耐性か? しかし!)

メタルゴーレム「……」ズッドォォォ

勇者(これでは引き付けるだけしか!)ズザアァァ

メタルゴーレム「……」ブォォ

勇者「く!」キュァン

52: 2013/09/02(月) 20:21:56 ID:RPJwolLs
メタルゴーレム「……」ギュァァァ ッガン

勇者「ぐっ! 耐え切った!」

『エナジーシールド過負荷。機能一時停止』

勇者「……果たして、何時までもつか」


メタルスケルトン「……」シュタタタタ

弓兵達「射れーーーー!」ビュビュビュビュ

メタルスケルトン「……」スィスイスィッ

戦士「華奢な体叩き折ってやらああぁぁ!」ブァ

メタルスケルトン「……」ヒョイ

戦士「あら?」スカッ

53: 2013/09/02(月) 20:24:45 ID:RPJwolLs
魔法「爆撃魔法!!」ドドドン

メタルスケルトン「……」シュババババ

戦士「なんなんだこいつは……」

僧侶「攻撃はしてきませんね……」

戦士「……こいつ、まさか陽動が目的か?」

魔法「仮にそうだとしても、どんな攻撃をするか分らないし、放置する訳にもいかないわ」

僧侶「勇者様は大丈夫でしょうか……?」

54: 2013/09/02(月) 20:28:12 ID:RPJwolLs
勇者「ぐっ!」ゴォォォォ

メタルゴーレム「……」ズゥゥン

勇者「きついな……」

メタルゴーレム「……」

メタルゴーレム「……」クルゥリ

勇者「は?」

メタルゴーレム「……」ズゥゥン ズゥゥン

勇者「何処へ行く! お前の相手は私だぞ!」タタタタタタン

メタルゴーレム「……」チュチュチュン チチンチュン チュチュン

55: 2013/09/02(月) 20:30:51 ID:RPJwolLs
メタルゴーレム「……」ズゥゥン ズゥゥン

勇者「不味いこのままでは……何としても止めないと」

メタルゴーレム「……」ズゥゥン ガッショ ズゥゥン ギュオォォッ

勇者「は? 背部が開いた……」

メタルゴーレム「……」ドォォゥッ

メタルゴーレム「……」ズゥンズゥンズゥン

勇者「な……奴もスピードブースターを?! くそ!」タタタタ

勇者(何故、いや今はそれよりも止める事を……!)タタタタタカショ

56: 2013/09/02(月) 20:34:50 ID:RPJwolLs
メタルゴーレム「……」ズゥンズゥンズゥン

勇者(追いついたがどうやって止めれば!)ダダダ

『エレメントソード付与属性 [>アイス』

勇者(凍らせられるか……あの巨体を!)ギリリ

『機能拡張』
『チャージ機能が開放されました』
『ESを右手に装備時に使用可能』
『一定時間のチャージ後、振るうと威力の高い衝撃波が発生。属性効果上昇』

勇者「! これなら!」ギュォォ

57: 2013/09/02(月) 20:36:24 ID:RPJwolLs
勇者「たあああ!」ズドン

メタルゴーレム「……」ビキビキビキ

メタルゴーレム「……」ドドォォン

勇者「……」タンッ

勇者「ブースターが無防備だな」スタッ タタ

勇者「くらえ」ギュォォ

58: 2013/09/02(月) 20:40:23 ID:RPJwolLs
勇者(この装甲……恐らく魔法による耐性というよりも、ミスリル銀による耐性に思える)

『エレメントソード付与属性 [>フレイム』ピピ

勇者(だとすれば絶対の防御能力を持っているわけではないはず)ギュォォォ

勇者「こちらの魔力が尽きるか、お前の内部が焼き切れるか……試してみるか」ブォォッ


魔法「水流魔法!」ビュビュッ

メタルスケルトン「……」ヒョイ スイスィ

戦士「とりゃあああ!」

僧侶「や、やあああ!」

メタルスケルトン「……」ベシャベシャ

59: 2013/09/02(月) 20:42:48 ID:RPJwolLs
魔法「水流魔法! 水流魔法!」ビュビュビュビュ

戦士「とやああああ!」

僧侶「やあああ!」

メタルスケルトン「……」スィ ベシャベチャベシャ

メタルスケルトン「……?」ベシャ パシャ

戦士「たあああ!」

メタルスケルトン「……」スィ ベシャベシャ

魔法「ここよ、凍結魔法!」カッ

メタルスケルトン「!」ビキビキビキ

戦士「物理的に凍らせる……本当に有効だとはな」

60: 2013/09/02(月) 20:45:20 ID:RPJwolLs
ゴーレム「……」ブシュゥゥ

勇者「……」タタタ カション

ゴーレム「……」ジ ジジジ ブルッ

勇者「間に合え!」ギュォッ ッドド


戦士「……」ヒュン ヒュヒュン

メタルスケルトン「ギ...ギギギ...」ジ ジジジ

魔法「戦士! 逃げるわよ!」

僧侶「加速魔法!」

戦士「うおおおお!」

61: 2013/09/02(月) 20:48:13 ID:RPJwolLs
ッドドオオオオォォォン


勇者「……」ビュアァァ

兵士達「勇者様ー!!」

勇者「こちらは片付いたぞ」

兵士達「雑魚ゴーレムは片付きました! 隊長はゾンビ部隊の方に!」

勇者「こちらも加勢する」バッ


勇者「!」ズザァァ

戦士「よう、遅かったな」

勇者「お前達も勝てたのか」

魔法「あたしの機転のお陰でね」フフン

僧侶「でも実際、魔法使いさんがいなければ手も足も出なかったですね……」

62: 2013/09/02(月) 20:51:50 ID:RPJwolLs
衛生兵「負傷者はこっちへーー!」

警備隊長「動ける者はこちらを手伝えーー!」


戦士「見つけてきたぜ」

魔法「こっちもあったわ」

勇者「敵の機械からそれぞれ一つずつか……」

魔法「勇者……」

勇者「今は迷う時ではないな」

63: 2013/09/02(月) 20:54:27 ID:RPJwolLs
『データ解析...拡張機能を入手』
『氷属性耐性を入手しました』
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量75%』

『データ解析...』
『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ

戦士「どうだ?」

勇者「一つは氷属性耐性だそうだ。もう一つはまた未詳アイテムだ」

魔法「また……一体なんなのかしらねぇ」

僧侶「でも着実と勇者様が強くなってらっしゃいますし」

戦士「だなぁ」

64: 2013/09/02(月) 20:57:34 ID:RPJwolLs
僧侶「あの方々、大丈夫なのでしょうか?」

戦士「曲りなりにも精鋭の集まりだ。立て直しと撤退なんぞ俺達が支援しなくてもどうとでもなるだろ」

勇者「なにより、先の戦闘で向こうも多くの戦力を失っているはずだからな」

魔法「襲撃を受ける確率はぐっと下がるわよね」

僧侶「な、なるほど……でもあれが襲撃の為だけの戦力だとしたら……」

勇者「機械の魔物は私達が受け持っていたとは言え、あれだけの数の敵を抑えられたんだ」

勇者「そこらの魔物とて迂闊に攻撃は出来まい」

戦士「つーわけで俺達は気兼ねなく出発できるわけだ。で、こらからどう進路をとる?」

勇者「陥落した都市へ向かう。敵戦力が占領している可能性が高い。またそこからあの部隊の進行ルートを探す」

勇者「彼らとて何処かに拠点をもっていたはずだ」

65: 2013/09/02(月) 21:00:39 ID:RPJwolLs
滅んだ都市
戦士「こりゃひでーな」

勇者「しかし魔物はいないようだな」

魔法「あたしは進行ルートの割り出しに当たるわ」

戦士「一応探索しておくか」

勇者「僧侶は魔法使いと共に行動してくれ」

僧侶「分りました」

勇者「二時間後にここに集まるとしよう。各自、警戒を厳に」

66: 2013/09/02(月) 21:03:19 ID:RPJwolLs
勇者(特別何かが残っているわけではないな……しかしこの徹底した破壊)

勇者(確実にこちらへ打撃を与える事を目的としている。あの部隊をあそこで食い止められたのは大きいな)

勇者(……一先ず探索はこの程度でいいか? 魔法使いの成果に期待だな)


勇者「どうだ?」

戦士「なんも。ああ、死体が見つかったぐらいだ。簡単に埋めて供養はしたがよ」

勇者「そうか……」

戦士「進行ルート割り出すって事は大量に見る事になるぞ」

勇者「止むを得まい」

67: 2013/09/02(月) 21:06:21 ID:RPJwolLs
魔法「あの巨大ゴーレムのお陰で分かりやすかったわよ」

僧侶「……」

勇者「あの山から降りてきたのか」

戦士「僧侶……どうした?」

僧侶「た、たくさんの人が……う、ううっ」

戦士「あー……」

魔法「穴開けてきたからお願いできるかしら?」

勇者「ああ。戦士、行くぞ」

戦士「あいよ。お前らはちっとここで休んでろよ」

68: 2013/09/02(月) 21:09:22 ID:RPJwolLs
勇者「……」ザッザッ

魔法「……」ザッザッ

僧侶「……」ザッザッ

戦士「……薄らとだがすげー足跡。ルートどうのじゃなく道しるべだな」ザッザッ

勇者「全くだな……」

魔法「流石にあの巨体が動けば跡が残るものね」

僧侶「あ……建物が見えてきましたよ」

69: 2013/09/02(月) 21:12:27 ID:RPJwolLs
勇者「殆ど物資が無いな」

戦士「全て引き揚げて進行した感じだな」

魔法「あのゴーレムがいただけあって大きいわね」

僧侶「ここでも探索するんですよね……」

戦士「こんだけ広いとなると、今日はここで寝るか」

勇者「それが打倒だろうな。放棄された場所だし、トラップがないとも限らない。気をつけろ」

70: 2013/09/02(月) 21:16:30 ID:RPJwolLs
一時間後
勇者「……」

『データ解析...拡張機能を入手』
『火玉魔法出力上昇、火球魔法が開放されました』
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量65%、現在初期容量より150%』

勇者「お……」

『火玉魔法より火力・射程・精度向上、魔力消費増、連射力減』
『連続して命中させる事で相手に燃焼を与える事ができる。火玉魔法との切り替えが可能』

勇者(後で試し撃ちがしてみたいところだな)

『魔法モード [>火球魔法』ピピ

71: 2013/09/02(月) 21:18:55 ID:RPJwolLs
戦士「こっちはすかんぴんだぜ」

魔法「資料、見つかったわよ」

僧侶「こちらにも資料がありましたー」

勇者「私は機能が拡張したよ。左腕からの射撃能力が上がったようだ」

戦士「そりゃあ頼もしいな。で、二人のほうは?」

魔法「あたしからいくわ」

魔法「A.H.A.03。素早さ、魔法防御を特化させた。が、攻撃能力が非力過ぎる」

戦士「俺らが戦った奴か」

72: 2013/09/02(月) 21:22:46 ID:RPJwolLs
魔法「撹乱という点においては優秀だが、それならばこの予算をドラゴン増殖に向けるべきだろう」

勇者「よく倒せたな」

僧侶「魔法使いさんが物理的に凍らせて下さったお陰です」

魔法「水流魔法で周囲を水浸しにして、相手の下半身がずぶ濡れになった所で地面事凍らせたのよ」

勇者「なるほど」

僧侶「こちらは勇者様が戦った方でしょうか。A.H.A.04開発者備考」

僧侶「防御能力並びに攻撃力に特化させてみた。並の事では倒せないだろう」

勇者「させてみた、で苦戦させられたのか。私は」

73: 2013/09/02(月) 21:24:35 ID:RPJwolLs
僧侶「が動きが非常に遅く、攻撃が避けられやすい」

僧侶「ブースターを付けている為、逃げられる事は無いだろう。相手の疲労を狙って突き崩す戦法が有力か」

戦士「ブースター? それって」

勇者「……ああ、私と同じだった」

僧侶「……どういう事なのでしょう」

魔法「どちらなのかしらね……というよりまあそうよねぇ」ブツブツ

勇者「え?」

魔法「勇者に込められた技術は到底、人間側には無かった」

魔法「とすると、技術そのものは魔王側、誰かが盗んできたのかしら」

戦士「だろうなぁ」

74: 2013/09/02(月) 21:27:22 ID:RPJwolLs
ホーホー
戦士「で、こっからどうするんだ?」

勇者「この国の城下を目指す。そろそろ魔力の補給も必要だ」

魔法「城下町の規模なら、あたし達が防衛線張らなくても補給できそうね」

戦士「俺は体が鈍るから動きたいんだがなぁ」

僧侶「そうすると……このままこの山間を抜けたほうが早いでしょうか」

勇者「時間的にはな。しかし体力的には辛くなるだろう。三人はどう思う」

魔法「あたしは構わないわ」

僧侶「私も頑張ります」

戦士「んじゃあとっとと城下町目指すって事で」

75: 2013/09/02(月) 21:30:57 ID:RPJwolLs
ウィプスA「ヒヒ、ヒヒヒ」ヒュンヒュン

ウィプスB「ヒヒヒヒ」ヒューン

戦士「くっそぉ、対空戦力ひきーんだぞ!」

魔法「低いのは戦士だけよ、風刃魔法!!」ビュアァァ

勇者「いい試運転になるな」カション

勇者「……」タ タ タ タ タ

ウィスプA「ヒッ」ボシュ

戦士「弾が大きくなったな」

勇者「まだ精度が低いな……中々当たらない」

僧侶「それでも飛んでいるウィプスに当てるなんて凄いのでは……」

76: 2013/09/02(月) 21:34:13 ID:RPJwolLs
勇者「……」タ タ タ タ タ タ タ

グレートオーク「ひぃ!」ドタタタ

オーガ「なんなんだあいつは!」ダダン ダダダ

戦士「つえー……」

魔法「釘付けにしたわね……水撃魔法!」ビュァ

グレートオーク「ぐぎゃ!」ドシャァ

僧侶「水が矢のように……」

戦士「恐ろしい女だ……」

魔法「そういう魔法なんだから仕方が無いでしょ」

77: 2013/09/02(月) 21:36:40 ID:RPJwolLs
城下町
戦士「やっと着いたな」

魔法「そういえばあたし、国の外に出るのって初めてね」

僧侶「私に至ってはあの町を出るのも初めてでした……」

戦士「俺は何度か来たな。こっちの国の方が良い武器あるんだわ」

勇者「なら二人は満喫してきてくれ」

戦士「は? お前は……あー魔力の補充か」

勇者「そういう訳だ。すまんな」

魔法「ま、こっちはのんびりやるからいいわよ」

78: 2013/09/02(月) 21:39:29 ID:RPJwolLs
戦士「俺は武器を見てくるがお前達はどうする?」

魔法「あたし達も買い物してくるわ」

僧侶「宿屋の場所、勇者様は分かりますかね」

魔法「ついでに勇者のところにも寄って行こうかしら」

戦士「いんや、俺は武器屋廻りしているから武器屋探してくれって言ってある」

魔法「それはそれで入れ違いにならないのかしら?」

戦士「ある程度店が集まっているからな。そー簡単には行き違いにはならないだろ」

79: 2013/09/02(月) 21:42:49 ID:RPJwolLs
戦士「戻ったぞー」

勇者「遅くなってすまない」

魔法「別にいいわよ」

僧侶「勇者様の方はどうでした?」

勇者「後二日といったところか」

戦士「おー連休だな」

魔法「思えばのんびりできなかったものね」

僧侶「ですねぇ」

80: 2013/09/02(月) 21:45:57 ID:RPJwolLs
勇者「休暇も兼ねてゆっくり休んでくれ」

僧侶「……ですけども、勇者様に申し訳ないような」

勇者「私とて魔力の補充をしてもらう以外、特別何かをしているわけではないからな」

勇者「それと三人にちょっとした朗報だ」

戦士「お、なんだ?」

魔法「……?」

勇者「敵の巨大な拠点が発見されたらしい」

僧侶「……ぇー」

81: 2013/09/02(月) 21:49:25 ID:RPJwolLs
勇者「場所はここだ」ガササ

戦士「俺達のルートから思いっきし外れて、おいこれ山頂付近じゃねーか」

魔法「ヘヴィーね……」

僧侶「……」ピシッ

戦士「これは流石に険しすぎねーか……特に一人」

僧侶「……」ピクッ

魔法「そうよねぇ……僧侶にはきついわよね」

僧侶「……」ビクッ

82: 2013/09/02(月) 21:52:26 ID:RPJwolLs
勇者「しかしこんな所で巨大な砦というのも……何を考えているのだろうか」

戦士「魔物達の考える事なんぞ俺らに分かるかよ」

魔法「全くだわ」

勇者「……ふむ。まあ兎に角、補充が済み次第向かう。各自英気を養ってくれ」

僧侶「……はーい」

魔法「強く生きるのよ、僧侶」

83: 2013/09/02(月) 21:54:29 ID:RPJwolLs
数日後
僧侶「ひぃ……ひぃ……」

戦士「よくもまあ高山病にならないな」

魔法「この程度の高さならまだ起こらないわよ」

僧侶「でも……しんどい、です……」

勇者「少し休憩を取るか……俺は周囲の索敵にあたる」

戦士「んじゃ俺も」

魔法「あたしは休むわ」

84: 2013/09/02(月) 21:58:04 ID:RPJwolLs
……
僧侶「ふぅ……落ち着きました」

勇者「僧侶、いけるか?」

魔法「大丈夫そうよ」

戦士「ありゃあやべーよな」

勇者「あの中に一体何が……」

魔法「何かあったの?」

僧侶「魔物の拠点が見つかったんですか?」


メカサイクロプス「……」ズシィン

魔僧「えっ」

85: 2013/09/02(月) 22:01:36 ID:RPJwolLs
メカサイクロプス「ガアアアア!!」ドッ

魔法「なにあの巨人!!」

僧侶「機械です! 機械の巨人です!」

勇者「構えろ! いや散れ!」

戦士「やっべ突っ込んでくる!」

僧侶「対物障壁!!」カァァッ

勇者「間に合わないか」キュアアァァ

メカサイクロプス「ガアアア!」ドッ

86: 2013/09/02(月) 22:03:48 ID:RPJwolLs
『機能拡張』
『エナジーシールドの出力上昇』

勇者「……」ギァァァァ

メカサイクロプス「ガ……」バッ

勇者「……何とか耐えたか」

戦士「あの巨人の突撃を受け流しやがった……」

魔法「無茶するわねぇ……」

勇者「僧侶の障壁が無ければ潰れていたな」

87: 2013/09/02(月) 22:07:53 ID:RPJwolLs
勇者「……」タ タ タ タ タ

メカサイクロプス「ガアアア!」ド ド ド ド ド

魔法「氷結魔法!」カッ

メカサイクロプス「ガアア!」ピシ パチパキパキン

戦士「魔法が効いてねぇ」

僧侶「魔法耐性が高いのでしょうか……」

メカサイクロプス「ガアアアアア!!」ブァ

魔法「ひぃっ!」

勇者「ぐく! 大丈夫か!」ギアァァァァ

魔法「え、ええ、紅蓮魔法!」ゴアアァァ

メカサイクロプス「ガア!」バッ

88: 2013/09/02(月) 22:12:46 ID:RPJwolLs
勇者「……」ギュアァ

勇者「たああ!」ズバン

メカサイクロプス「ガア?!」ドズン

戦士「その足頂く!!」ダッ

僧侶「皆さんは距離を! 対物障壁!!」

勇者「?」バッ

メカサイクロプス「ガアアア!」ブォン

戦士「ぐぅ!!」ギィィン

戦士「耐えたぁ!!」ダダッ

89: 2013/09/02(月) 22:15:17 ID:RPJwolLs
勇者「耐えた?! あの裏拳を……」

魔法「戦士に障壁を集中しているのよ。あたし達は障壁無くなっているから気をつけてよ」

勇者「なるほど」

戦士「でやあああ!」ザザン

メカサイクロプス「ガアアアア!!」ズズゥン

僧侶「障壁戻します!」

勇者「いや、戦士に集中。私にはこれがある」キュァァ

勇者「戦士! 腕を落とすぞ!」

戦士「あいよ!」

90: 2013/09/02(月) 22:18:17 ID:RPJwolLs
メカサイクロプス「ガアアア!!」バタバタ

勇者「……ふっ」サッ

戦士「とうっ!」バッ

メカサイクロプス「ウガアアア!」ブォォン

勇者「ぐぅ!」ギュァァァ

戦士「ぐおっ!」ガッ

勇者「よし!」バッ

戦士「間合いだ!」バッ

91: 2013/09/02(月) 22:21:09 ID:RPJwolLs
メカサイクロプス「ガアアアア!」ドドズン

戦士「勇者、任すぜ! 頭部頂き!」ズガン

戦士「かってぇぇぇ! が!」

メカサイクロプス「ガァァァ」ビキビキ

勇者「……」ダダダ

『エレメントソード付与属性 [>フレイム』ピピ

勇者「これで」ギュオオオ

勇者「終わりだああ!」ズドッ

92: 2013/09/02(月) 22:24:35 ID:RPJwolLs
メカサイクロプス「」ブシューーー

戦士「何とか爆発しなかったな」

勇者「恐らく胸部周辺に動力部があるのだろう。それを刺激しないように倒せば爆発はしない」

魔法「これで爆発したら確実に道連れだったものね」

僧侶「にしても広いですね……また家捜しするんですよね」

戦士「おっしゃあ、気合入れていくぜ」

勇者「ここからだとすぐに日が暮れるだろうし、今日はここで休むとしよう」

93: 2013/09/02(月) 22:27:55 ID:RPJwolLs
戦士「さっきの奴の情報めっけたぜー」

魔法「こっちも光る魔石見つけたわ」

僧侶「意外と早く済みましたね」

勇者「魔石から頼む」

魔法「はい、これ」

『データ解析...拡張機能を入手』
『魔力初期容量より10%拡張』
『凍結魔法を入手しました』

94: 2013/09/02(月) 22:30:39 ID:RPJwolLs
『左椀部より凍結魔法を射出。高精度、中威力、凍結効果有り。射程は10m程度』
『連射性は低いがチャージが可能であり、威力、凍結効果が増大』

勇者「凍結魔法が撃てるようになったようだ」

戦士「そりゃー凄いな。着実と魔王に対抗し得る力が備わってきたな」

魔法「……本当ね」

僧侶「戦士さんの方はどうだったんですか?」

戦士「ぶっちゃけ倒した後に資料読んでも仕方ない気がしてきたんだが」

勇者「いや、魔王軍の意向が見えるかもしれない。読んでくれ」

95: 2013/09/02(月) 22:35:42 ID:RPJwolLs
戦士「あーA.H.A.05。そこそこの魔法防御力と高い攻撃力を持つ。かなり安定した戦力であろう」

戦士「次からは遠距離攻撃も視野に入れるべきだろうな」

戦士「しかし、A.H.A.04のあたりより、量産が難しくなってきている。一騎当千の精鋭一体を目指すべきか」

魔法「あら有力な情報ね」

僧侶「遠距離……弓矢や魔法でしょうか?」

勇者「あのサイクロプスでさえ、一体に集中していたわけじゃないのか……」

戦士「まあ何だろうと僧侶が障壁、魔法使いがドーン、俺と勇者でズバーンだろ」

勇者「私も彼ぐらいに楽天的になった方がいいのだろうか?」

魔法「勇者がそっちに堕ちると困るんだけども」

96: 2013/09/05(木) 20:12:07 ID:lYGCkzIA
勇者「ここから先は魔王軍領土だ。警戒を厳にせよ」

戦士「あいよ」

魔法「ええ」

僧侶「障壁展開準備できています」


ベビードラゴンABC「ギヤアアアアアア!!」ドドド

勇者「たあああ!」ズバン

戦士「とうや!」ズシャン

魔法「雷撃魔法!」ビシャアア

僧侶(私、本当に必要なのかなぁ……)

97: 2013/09/05(木) 20:15:23 ID:lYGCkzIA
ハイオーガ「人間だ! 人間が来たぞ!」

サイクロプス「ニンゲン、コロス!」ドスドス

アイアンゴーレム「ゴオオ!」ドズン ドズン

魔法「凍結魔法!」キィィン

『魔法モード [>凍結魔法』ピピ

勇者「……」ビュァッ ビュァッ

サイクロプス「グ、ガガ」ビキビキビキ

アイアンゴーレム「ゴオ……オ」ビシビシビキ

98: 2013/09/05(木) 20:18:30 ID:lYGCkzIA
ハイオーガ「う、お……く、くそ!」ダダ

戦士「おーっと逃がさねえぜ」ババ

ハイオーガ「人間如きが!」ブァ

戦士「よっ」ギィン

戦士「とおおぉぉ!」ズバン

ハイオーガ「ばが、な……」ゴボッ

魔法「雷撃魔法!!」ビシャァァ

サイクロプス「ガアアア!」

アイアンゴーレム「ゴ、ゴ……」

99: 2013/09/05(木) 20:21:27 ID:lYGCkzIA
勇者「ふう……」

戦士「見えてきたな」

魔法「ええ……」

僧侶「あれが魔王城……勇者様」

勇者「魔力残量は75%……何とかなるだろう」

戦士「おっしゃあ気合入れて行くぜ!」


メタルドラゴン「……」ギュィーンガショッ ギュィーンガショッ

メタルドラゴン「ギュアアアアアア!!」ゴゥッ

戦魔僧「ゎー……」

100: 2013/09/05(木) 20:24:58 ID:lYGCkzIA
勇者「遠距離攻撃……まさかブレスか」

僧侶「えーと火? 火でいいですか? 大丈夫ですよね?!」

魔法「火と氷なら魔法で相殺が狙えるわ、対雷障壁お願い!」

メタルドラゴン「アアアァァァ」キィィィン

戦士「うお、すっげ魔力……」

魔法「やばいわね……」

勇者「耐え切れるか……」ギュァァァ

メタルドラゴン「ァァァ」ィィィン

『ブレス [>灼熱魔法』ビビ

101: 2013/09/05(木) 20:26:58 ID:lYGCkzIA
メタルドラゴン「ガアアアアアアア!!」ゴアァァァ

魔法「吹雪魔法!!」ビュアア

勇者「ぐうううう!」ジュゥゥゥ

僧侶「た、対炎障壁」ピキィン

戦士「ぐおお! 相殺どころかもろじゃねえか!」ジュウウ

僧侶「治癒魔法!」パァ

魔法「こいつ……強いわ」

102: 2013/09/05(木) 20:30:02 ID:lYGCkzIA
『魔法モード [>凍結魔法』

勇者「く……」ビュアッ ビュァッ

メタルドラゴン「……」シュバッ

戦士「勇者の魔法が効かないのか!」ダッ

メタルドラゴン「……」ギュィーンガショッ

僧侶「対物障壁!」

メタルドラゴン「……」ギュァン ドゴォォン

魔法「紅蓮魔法!」ゴアアア

勇者「でやあああ!」ギャィィン

103: 2013/09/05(木) 20:33:10 ID:lYGCkzIA
メタルドラゴン「ギュアア! ギュアアアア!」キィィィン

戦士「またブレスくるぞ!」バッ

勇者「!」ギュィィン

魔法「勇者! 避ける事を集中して!」

僧侶「対! 対……対炎障壁!」

メタルドラゴン「アアアア!」ガパァ

勇者「そこだ!」ビシュァ

メタルドラゴン「ガアアアア!!」ガションガション

104: 2013/09/05(木) 20:36:07 ID:lYGCkzIA
戦士「退いた?!」

勇者「やはり……あれの口腔は外殻ほどの強度がないようだ」

魔法「……となれば」ニヤリ

メタルドラゴン「ギュアアアア!」ギュィン ブン

僧侶「対物障壁!」

魔法「きゃああ!」ガァン

戦士「こりゃあ……俺の出る幕は無さそうだな」

105: 2013/09/05(木) 20:39:35 ID:lYGCkzIA
メタルドラゴン「ギュアアアアア!」

勇者「そこ!」ビシュァ

メタルドラゴン「ガアアアアアア!!」ガションガションガション

僧侶「と、突進してきます!」

魔法「隆起魔法!!」ドドズゥン

メタルドラゴン「ガアア!」ヨロ

勇者「……」ビシュァ

メタルドラゴン「ガアアアア!」ガション ガション ガション

勇者「これだけチャージした凍結魔法を当てているのに……」

戦士「全く凍結しねーな」

106: 2013/09/05(木) 20:42:39 ID:lYGCkzIA
勇者「ならば……」

『魔法モード [>火球魔法』

勇者「これならどうだ」タ タ タ タ タ

メタルドラゴン「ギュアアアア」チュイン チュチュン

魔法「火力が低すぎるわ……雷撃魔法!」ビシャアア

メタルドラゴン「ギュアアアア」ガション

メタルドラゴン「ガアアアアアア!!」ドドゥ

勇者「く!」バッ

魔法「きゃああ!」

戦士「ぐああ!」

107: 2013/09/05(木) 20:45:21 ID:lYGCkzIA
僧侶「治癒魔法! 治癒魔法!」

魔法「い、生きているのが不思議ね」

勇者「くそ……こいつに勝てないようでは魔王など」

戦士「……ん?」

勇者「私が引きつけるから魔法使いは攻撃を!」バッ

魔法「分ったわ!」バッ

戦士「……んー?」

僧侶「対物障壁!」カッ

108: 2013/09/05(木) 20:49:00 ID:lYGCkzIA
メタルドラゴン「ギュアアアア!」ガション ガション

戦士「でやああああ!!」ギャイィン

勇者「戦士?!」

魔法「あの馬鹿! 何時の間にあんな所に!」

僧侶「き、危険です! 逃げて下さい!」

メタルドラゴン「ガアアアア!」ギリギリ

戦士「ふっくぅぅぅ」ギリギリ

戦士「だらああああ!」ギャギン

勇者「メタルドラゴンの足を斬った!?」

109: 2013/09/05(木) 20:52:47 ID:lYGCkzIA
メタルドラゴン「ギュアアアア!」ズズン

戦士「やっぱりな! 生き物同様、関節は弱いみたいだな」

戦士「これで戦いやすくなったぜ、勇者!」バッ

勇者「ああ!」バッ

メタルドラゴン「アアアアアアア!」ガパ

戦士「でやああああ!」

勇者「たあああああ!」

110: 2013/09/05(木) 20:54:42 ID:lYGCkzIA
メタルドラゴン「……」ブスブス プスン

勇者「何とか倒せたな……」

戦士「俺の機転に感謝しろよなー!」フフン

魔法「これほどのもの、きっと中に凄い魔石があるはずよ!」ガチャガチャ

僧侶「敵陣真っ只中でもそれをするんですか?!」

魔法「見つけたわ!」

勇者「早いな……」

戦士「魔法使いの探索スキルとかカンストしてんじゃねーの? 後衛じゃねーだろそれ」

111: 2013/09/05(木) 20:57:56 ID:lYGCkzIA
『データ解析...』

『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ

勇者「また未詳アイテムか」

戦士「またか。がっかりだな」

魔法「にしても一体どんな条件があるのかしら」

僧侶「……もう魔王は目と鼻の先なんですよね」

112: 2013/09/05(木) 21:00:28 ID:lYGCkzIA
魔王城内
勇者「敵がいないな……」

戦士「どういうつもりだ? まさかもう戦力がいねーとか言わないだろうな」

魔法「あのサイクロプスの備考から考えると否定しきれないわね」

僧侶「でも消耗が少なくなるのはありがたいですよね」

勇者「……? あそこ、通路になっているのか?」

戦士「おーあんな高い所に。どうやって行くんだ? 魔法使いの爆発魔法でも使うか?」

魔法「いい度胸ね戦士。飛びたいなら飛ばすわよ、肉片を」

113: 2013/09/05(木) 21:04:04 ID:lYGCkzIA
勇者「たあ!」バッ

僧侶「すっごい……」

戦士「相変わらずすげー跳躍力」

魔法「今まで活きなかったものね」

勇者「い、いや、ゴーレムとの戦いでは一応は役には、立ったぞ……」

僧侶「あの勇者様の語勢があんなに弱く……」

114: 2013/09/05(木) 21:06:19 ID:lYGCkzIA
勇者「……」シュタ

戦士「どうだった?」

勇者「恐らくメタルドラゴンの研究所だろうな。資料と魔石があった」

魔法「魔石!」キラン

勇者「恒例の未詳アイテムだったがな」

僧侶「あー……」

勇者「資料の方だが」ペラ

115: 2013/09/05(木) 21:09:40 ID:lYGCkzIA
勇者「A.H.A.06。試行錯誤の末、ドラゴンの名に恥じぬ性能で作る事が出来た」

戦士「まー確かに最大難易度だったな」

勇者「魔法を応用して炎、氷、雷撃ブレスを吐ける。これを応用すれば多様な攻撃方法が得られるだろう」

魔法「……」ゾォ

僧侶「……ブレスの属性切り替えられていたら」ブルル

勇者「完成形が見えてきたが、恐らく次は試作機一体を作るだけで予算が尽きるだろう」

戦士「まだもう一体いるのか……こりゃ魔王の前哨戦に出てくるな」

116: 2013/09/05(木) 21:13:02 ID:lYGCkzIA
勇者「……」カツカツ

戦士「……ドラゴン以外本当にいないな」カツカツ

魔法「……」ブル

僧侶「この魔力……」

勇者「ああ……いくぞ」ギィィ


魔王「ふふ、よくぞ来たな。人間ども」

117: 2013/09/05(木) 21:15:25 ID:lYGCkzIA
魔王「我が世界征服を打ち砕かんとする者達よ」

魔王「だがそれもここまでだ」

勇者「ここまでなのはお前だ」ザ

魔王「無用心な事だ」パチン

側近「……」シュタ

戦士「な!」

僧侶「勇者様!」

魔法「分断されたわね……」

118: 2013/09/05(木) 21:18:59 ID:lYGCkzIA
側近「お前達の相手は私達だ」ギィ

魔物達「グアアアア! ギョアアアア!!」

戦士「ちっ! 囲まれているのか」スラァン

僧侶「勇者様!」

魔法「こいつらとっとと蹴散らして、勇者の方に向かうしかなさそうね」

側近「勝てると思っているのか……浅はかな」ゴァァ

戦士「こりゃあ……やばいぜ」ビリビリ

119: 2013/09/05(木) 21:24:35 ID:lYGCkzIA
魔王「……だがしかし、思わぬデータ収集となったわけだ」

勇者「なに……?」ビシュァ

魔王「ふん、まだ気付かぬか?」バッ

魔王「お前自身の存在の疑問に。お前の力の疑問に」スラァン

勇者「!」ギィィン

勇者「何が言いたい!」ギャイン ギィン ギャィィィン

魔王「お前の力を高めるものが何故、我々魔王軍側にあったのか」ギャィィィィ

勇者「!」バッ

120: 2013/09/05(木) 21:27:40 ID:lYGCkzIA
魔王「A.H.A.……Anti-Human Arms。それが我が軍団が作っていたものだ」

勇者「……アンチヒューマン」

魔王「人間どもを根絶やしにする為の兵器だ。確かにメタルドラゴン一匹でも脅威となりえた」

魔王「だがそれでも、人間ども魔術士連中が徒党を組めば倒せる範疇であった」

魔王「そして最後に完成したA.H.A.。それが何故現れんと思う」

勇者「……」

魔王「薄々は気付いていたという顔だな」フッ

魔王「そうだ、貴様だ! 貴様こそがA.H.A.07だ!」バッ ギィィン

121: 2013/09/05(木) 21:30:27 ID:lYGCkzIA
魔王「問題が発生し保管されていた貴様が警備の目を掻い潜り、逃げ出したのか思えばよもや人間に盗まれていたなど……」ギィィン

勇者「ならば何故、私の能力を強化するものがあれほどにあったんだ! 何故あのように配置されていた?!」キィィン ギィン

勇者「お前の言葉信じるに足らない!」ビュォン

魔王「逆だ。暴走の可能性を秘めたお前の力を隔離する為に、各地に駐屯する部隊に分けていたのだ」バッ

魔王「基底ともなる能力さえもなければ、お前に手を焼く事はない」スタッ

魔王「最も、皮肉にもお前を着実と成長させる事になったのだがな」スゥ

魔王「だがいいデータが取れた。お前をスクラップにしてもう一度作り直す」バッ

魔王「そしてフルコンデションのお前を人間側に送り込めば……人間達は瓦解する」ブァッ

勇者「……!」ギャィィン

122: 2013/09/05(木) 21:34:11 ID:lYGCkzIA
魔王「お前にはまだ機能していない能力がある。それすら無くして我を倒す事など不可能!」バッ

魔王「ここで朽ちろ! 鉄屑がああ!!」ゴアアア

魔王「爆撃魔法!!」ドドドドン

勇者「ぐうう!」ギュアアアア

『エナジーシールド過負荷。機能一時停止』

勇者(一撃で?!)

魔王「まずは……」ビュン

勇者(間合いをとらn)

魔王「右腕ぇ!!」ズバン

123: 2013/09/05(木) 21:36:21 ID:lYGCkzIA
勇者「ぐ!」バッ

『魔法モード [>凍結魔法』ピピ

魔王「次は」ガッ

魔王「左腕!!」ボキャァ

勇者「ぐああああ!」

魔王「……蟲のように這いずれ」バッ

魔王「爆撃魔法!!」ドドドドドド

勇者「がああああああ!!」ドドドド

124: 2013/09/05(木) 21:39:13 ID:lYGCkzIA
勇者「ぐ、あ!」ガラガラガラ

魔王「む、床が抜けてしもうたか」


魔法「勇者!」

僧侶「勇者様!」

戦士「……」

戦士「退くぞ!」

魔法「は?!」

戦士「血路を開く! 続け!!」ズバン

125: 2013/09/05(木) 21:42:32 ID:lYGCkzIA
側近「ちっ!」バ

魔王「よい」

側近「よろしいのですか?」

魔王「構わん。決して弱いとは言わんが、我を倒せるほどでもあるまい」

魔王「生きていても何の影響力もない。先にA.H.A.07の処分だ」

側近「は! 下層部に部隊を進行させています」

魔王「下層部……アレがあったか。念には念をだ。急がせろ」

126: 2013/09/05(木) 21:45:30 ID:lYGCkzIA
魔法「戦士! 戦士!!」グィ

戦士「勇者を救出する事を優先しろ!」

僧侶「え?」

戦士「あの時の勇者は両腕が無いような状態だ。それにあの穴、そう大きくは無い」

戦士「つまり、勇者への追撃は勇者が落ちたと思われる部屋に城内の道で行く必要があるだろう」

魔法「……あ」

僧侶「??」

戦士「よーするにあの穴から勇者の所に行こうとするのは無謀。恐らく追撃部隊が動いているはずだ」

戦士「俺らは何としても先に勇者を回収して、王都に戻ってでも勇者を回復させねーと勝ち目がねーのさ」

127: 2013/09/05(木) 21:48:41 ID:lYGCkzIA
勇者「うぐ……」

『両腕部大破、右脚部損傷』

勇者「く、そ……ここまで、なのか」

勇者「ここは……」カサ

勇者「……紙?」

『A.H.A.07 アンドロイド 開発者備考
 人の姿をしてドラゴンをも凌ぐ性能、これであれば人間側に潜りこませるのも難しくないはずだ。
 魔法を応用して矢のように、それも高速連射が可能な攻撃を持つ。
 もはやメタルドラゴン二体同時に相手取っても問題ないだろう。
 しかし問題は火力が巨大過ぎる事だ。暴走したら魔王軍が瓦解する。魔王様に要相談である』

128: 2013/09/05(木) 21:51:19 ID:lYGCkzIA
勇者「……俺が魔王軍の」

勇者「……」

勇者「ならばここは俺が開発された場所……なにか、手段は」

勇者「あの装置は……」ズル

勇者「頼む……力を……私に力を」ズルズル

勇者「魔王を倒す力を……仲間を助ける力を……」カタタタ

勇者「人々を守る力を!」ギュオンギュオン ギュオギュオギュオギュオ

129: 2013/09/05(木) 21:54:08 ID:lYGCkzIA
『パワードアーマーを入手しました』
『全修復完了』
『物理防御力、魔法防御力向上、全機能ロック解除』

「」プシューー

『エナジーシールドの出力制限解除』
『通常射撃出力制限解除、炎球魔法開放』
『高威力、高射程、高精度の魔法を低連射にて射出する』

「」カタタタタ

『未詳アイテムの解析完了』
『雷属性耐性機能開始』
『エレキエレメント機能開始』

130: 2013/09/05(木) 21:57:16 ID:lYGCkzIA
『光線魔法使用可能』
『威力射程精度共に最高度。ただし連射が効かない。チャージ可能』
『多少の障害物や障壁を貫通する。誤射に注意』

「……」シュォォン

『爆熱魔法使用可能』
『超高熱を周囲に放つ。自身への無力化の為に魔力を多く消費する』
『使用の際は周囲に友軍がいない事を要確認とする』

勇者「……」ザ

『現在、初期魔力容量より200%。魔力全回復』

勇者「……」ギュォォォ

勇者「……」ズビャァ

131: 2013/09/05(木) 22:00:42 ID:lYGCkzIA
魔王「!?」ビュオッ

側近「穴から光線?!」

魔王「まさか……」ブル

勇者「……」バッ

勇者「そのまさかだ。この部屋の直下に私の開発室があるとは、お前も思っていなかったのだな」

魔王「……」ギリ

側近「ま、魔王様!」

魔王「側近、手を貸せ! この死に損ないに引導をくれてやる!」

132: 2013/09/05(木) 22:03:51 ID:lYGCkzIA
側近「対魔障壁!」カッ

勇者「……」ギュォォォ

魔王「雷撃魔法!!」ビシャァァ

勇者「……」バチバチ

魔王「……ら、雷耐性!?」

勇者「どうやら……お前の言うフルコンディションなのかもしれないな」ズビャァ

側近「がふっ!」ジュォッ

魔王「な、馬鹿な!」

133: 2013/09/05(木) 22:06:25 ID:lYGCkzIA
勇者「お前達は私の能力の全貌を知らないのか」ギュォォォ

魔王「爆撃魔法!!」ドドドド

勇者「ぐ!」ドドドドドン

勇者「……」ズビャァ

魔王「ぐぅ!」ドシュ

魔王(これほどなのか……A.H.A.07の力は!)

134: 2013/09/05(木) 22:10:06 ID:lYGCkzIA
魔王「とあああ!」ブォ

勇者「……」バッ

『魔法モード [>炎球魔法』ピピ

勇者「……」ドゥッ ドゥッ ドゥッ

魔王「ぐ! があ!」ドッ ドッ

側近「ま、魔王ざま……ごふっ」

魔王「おのれ……しかしっ!」クワッ

135: 2013/09/05(木) 22:12:30 ID:lYGCkzIA
勇者「ぐ!」ドゥッ

魔王「対魔耐性が高いのであれば!」スラァン

魔王「刻むまでよ!!」シュバ

『エナジーシールド最大出力』

勇者「……」ギャィィィィン

魔王「エナジーシールド!? 我が一撃を耐える出力なのか!」バッ

勇者「たあ!!」ズバン

136: 2013/09/05(木) 22:15:35 ID:lYGCkzIA
魔王「せいっ!」ヒュヒュン

勇者「ぐ!」ザザシュ

勇者「……」ギュオオオ

魔王(チャージ! 距離を取らねば!)バッ

勇者「遅い!」ババ

勇者「終わりだ」ズドン

137: 2013/09/05(木) 22:18:15 ID:lYGCkzIA
魔王「ここ、までか」ドザ

側近「ひゅー……ひゅー……」

勇者「これで終わりだ」スラァン

魔王「ふふ、だが……」ビシビシビシ

勇者「……床の穴が更に」ガラガラガラ


A.H.A.07開発室
勇者「だがこれでどうなる?」スタ

魔王「側近よ……」

側近「こふっ……は、い」

魔側「爆発魔法」カッ

138: 2013/09/05(木) 22:22:29 ID:lYGCkzIA
勇者「……」ゴゴゴゴ

勇者「それで刺し違えるつもりだったのか?」

側近「」

魔王「まさか……だがこれで、上への通路は塞げた。扉も、崩れた」

勇者「……それがなんだと言うんだ?」

魔王「我が死ねば、ここは崩れる……今から脱出、できるか? ふは、ははは……」

勇者「……」ゴ ゴゴゴ

勇者「死んだ、のか」ガラガラガラ

139: 2013/09/05(木) 22:25:20 ID:lYGCkzIA
勇者(通路を確保しなくては)

『魔法モード [>爆熱魔法』ピピ

勇者「流石に自分をも巻き込む魔法は緊張するな」キュォォォン

勇者「は!」ドゥッ

勇者「これ、は」ゴォォォォ

魔側「」ジリジリジリ

勇者「!」ドゥッ

魔側「」ジュォッ

140: 2013/09/05(木) 22:27:40 ID:lYGCkzIA
『魔力10%消費』プシュー

勇者「一撃で10%も消費するのか……しかし天井は塞がったままか」

勇者「何とか通路から撤退するしかないな」


勇者「……」ズビャァ ズビュァ

キングオーガ「ガアアア!」ジュァ

ミスリルゴーレム「オオオオ!」ジュォ

勇者「不味いな、敵が多すぎる……」

141: 2013/09/05(木) 22:30:28 ID:lYGCkzIA
勇者「!?」ドゴォォン

勇者「新手か!」バッ

戦士「うおらあああ!」ドバッ

ハイガーゴイル「ガアアアア!」

勇者「戦士!?」

魔法「勇者!」

僧侶「勇者様! ご無事でしたか!」

142: 2013/09/05(木) 22:33:39 ID:lYGCkzIA
勇者「三人とも……」ゴゴゴ

戦士「ん? あれ? お前体大丈夫なのか?」ガラガラガラ

魔法「とにかくここを脱出するわよ!」ゴゴゴ

僧侶「このあたりは転移魔法が封じられているそうです!」ドコン ガララ

勇者「先陣は私が行く。後ろは任せたぞ」ギュォォ

戦士「おう! ってお前また鎧が変わっているな……」ドゴンドゴン

勇者「話は後だ。行くぞ!」ズビャァ

143: 2013/09/05(木) 22:37:09 ID:lYGCkzIA
ゴゴン ズゴゴゴ

勇者「崩れていくな」

戦士「これで俺達の勝ち、なんだよな」

魔法「ええ、そうよ」

僧侶「後は陛下への報告だけですね」

勇者「長かったような短かったような」

戦士「全くだな。これで報奨金たんまりだってんだから有り難いぜ」

144: 2013/09/05(木) 22:39:42 ID:lYGCkzIA
魔法「その……勇者。魔王の言っていた事は……」

勇者「本当のようだ。地下の施設で私に関する資料も見つけた」

戦士「へー……じゃあこれからは壊されないよう気をつけねーとな」

僧侶「そうですね……修復が難しいという事ですものね」

魔法「この二人は事の重大さを……」

勇者「いや……これでいいさ。私も気が楽だ」

魔法「けれども……貴方の身の振り方を決めないと、大変な事になるわよ」

勇者「……」

145: 2013/09/05(木) 22:42:29 ID:lYGCkzIA
国王「勇者とその仲間達よ、大儀であった!」

国王「これで魔王軍による侵攻もなくなり、国々は仮初の平和を手に入れた」

戦士「ん? なんだって?」ヒソ

魔法「当然でしょ。魔王軍の魔界から来た魔物以外にも、原生種で凶暴な魔物は今も生息しているのよ」ヒソヒソ

僧侶「各国、絶滅させるのではなく共存する、というのが指標ですからね」ヒソヒソ

国王「しかし当面、表立った障害は発生しないだろう。そなたら無くして得られなかっただろう」

国王「今宵は宴だ! 国を挙げて行うぞ。城下町に告知しろ。そなたらは宴までゆっくりと休みたまえ」

146: 2013/09/05(木) 22:45:21 ID:lYGCkzIA
戦士「久々に豪華な食事だな!」ジュルリ

魔法「ええ、楽しみね」

僧侶「……勇者様」

勇者「気にするな。私は城勤めの魔術士から魔力を失敬するさ」

魔法「……」

戦士「そりゃあいいな!」

僧侶「それならいいのですが……」

147: 2013/09/05(木) 22:48:27 ID:lYGCkzIA
国王「魔王を討った英雄達は旅の疲れを癒してくれ」

国王「過酷な戦いの中、戦い守り抜いた者達は一時の安息に浸ってくれ」

国王「苦しい中耐え抜いた、多くの民達はこれまでの鬱憤を晴らしてくれ」

国王「今宵は無礼講だ! 大いに食って飲んで騒ぐといい!」

国王「我々の英雄に、我々の未来に……乾杯!!」

「「「「乾杯!!!!」」」」


戦士「うめ! うめ!」ガツガツ

僧侶「食べ過ぎて動けなくならないでくださいよー……」

魔法「その時は爆発魔法で転がしていってあげるわ」

勇者「はははは、まだ根に持っているのか」

148: 2013/09/05(木) 22:52:26 ID:lYGCkzIA
「戦士様ーーー! どうか私を弟子に!!」
「ま、魔王を討った魔法使いはどの娘だ?! 是非とも我が研究所に!」
「ここから先は重役の方のみ場所です、お下がり下さい」
「無礼講じゃねーのかよぉ! 勇者様を一目見てーんだよぉ!」
「仕事してんな兵士ぃ!!」


戦士「すっげぇ喧騒だなーおい」

僧侶「そ、そうですね……」

魔法「まあ仕方ないわよね。ね、勇者?」



魔法「……勇者?」

149: 2013/09/05(木) 23:00:19 ID:lYGCkzIA
半年後

張り紙『南方連邦にてグランドラゴンが大量発生した』

張り紙『魔王軍の攻撃が無くなり、原生種の力が回復しつつあるようだ』

張り紙『各国にて傭兵を募り討伐に当たる事となった。志願の意思ある者はは各兵士用施設まで』

「……」

「おい、聞いたか? 中央諸国で問題になっていた巨大スライムが討伐されたってよ」

「すごいな。魔術士が束になっても凍らせられなかったんだろ?」

「誰が倒したのかも分らないんだと。少人数だろうし一体何者なんだろうな」

「その調子でこれも片付けてくれればいいんだけどな」

150: 2013/09/05(木) 23:03:57 ID:lYGCkzIA
「……」クル

「お、あんた、志願すんのか?」

「おいおい、盾も無しにどうするってんだ?」

「……」タタタ

「行っちまったぜ……」

「あれが隠密の戦士なのかもな」ハハ


「……」タタタ カショ

勇者「……」ギュォ ドゥッ

『......Missonを作成』ピピ

『"南部連邦で進行中のグランドラゴンを食い止めろ"』


      国王「行け! ロボ勇者よ! 魔王を倒すのだ!」   終

151: 2013/09/06(金) 02:36:54

引用元: 国王「行け! ロボ勇者よ! 魔王を倒すのだ!」