1: 2013/09/12(木) 01:29:44 ID:rmVkXz.6
ゆうしゃ「おうさまー」

王様「勇者、よくぞ来た」

ゆうしゃ「おはなしってなに?」

王様「お前に大切な任務を授ける」

ゆうしゃ「にんむ? おしごとだね!」

王様「いかにも!」

王様「勇者よ、魔王を討伐するのだ!」

2: 2013/09/12(木) 01:34:07 ID:rmVkXz.6
ゆうしゃ「ま、まおうを!?」

王様「では説明しよう」

王様「先日、あばれ大猿の騒ぎがあったのは知ってるか?」

ゆうしゃ「うん。 おいはらうのたいへんだったよ」

王様「お前も退治に参加していたのか、礼を言うぞ」

ゆうしゃ「えへへ」

王様「そう、最近になって魔物どもの動きが活発化しているのだ」

王様「つまりこれは……魔王がなにかをしている!」

王様「可能性が高い!」

ゆうしゃ「たしかに!」

3: 2013/09/12(木) 01:39:17 ID:rmVkXz.6
王様「だから魔王城に行き! 事の真偽を確かめ!」

王様「魔王を討ち倒すのだ!」

ゆうしゃ「わかりました!」

ゆうしゃ「あ……でも」

ゆうしゃ「まおうのせいじゃなかったら どうするの?」

王様「その場合の判断はお前に任せよう!」

ゆうしゃ「まかされました!」

4: 2013/09/12(木) 01:44:06 ID:rmVkXz.6
王様「さて、先ほど言ったように今は魔物の動きが活発だ」

王様「城の兵士を派遣するわけにはいかん」

ゆうしゃ「うん。 ひとりでいってくるよ」

王様「そうもいかん。 危険な旅になるだろう」

王様「魔法使いを一人お供につける」

王様「彼女と協力し……我が国に平和をもたらしてくれ!」

ゆうしゃ「はい!」

5: 2013/09/12(木) 01:48:29 ID:rmVkXz.6
――

ゆうしゃ「おしろの いちばんたかいところ……」

ゆうしゃ「ここにいるって きいたんだけどなあ……」

魔法使い「あらあら、かわいい勇者様ね」

ゆうしゃ「あ、あなたが」

魔法使い「そう。 私があなたの監視役よ」

魔法使い「よろしくね」

6: 2013/09/12(木) 01:53:16 ID:rmVkXz.6
ゆうしゃ「かんし?」

魔法使い「そうよ。 城の兵じゃないあなたを完全に信用してるわけじゃないの」

魔法使い「手柄を横取りされても困るしね」

ゆうしゃ「よくわかんない」

魔法使い「……」

魔法使い「川の向こうに城が見えるかしら?」

ゆうしゃ「うん。 このおしろよりもおおきいね」

魔法使い「あれが魔王城よ」

ゆうしゃ「そうなんだ!」

ゆうしゃ「ちかい!」

7: 2013/09/12(木) 01:57:32 ID:rmVkXz.6
魔法使い「あそこによくドラゴンが降りているの」

ゆうしゃ「どらごん……すごくつよいやつだね」

魔法使い「そうよ。 ほかにも大型の魔物が出入りしているのを見たわ」

魔法使い「つまり……」

魔法使い「あれは間違いなく魔王城よ!」

ゆうしゃ「なるほど!」

魔法使い「誰がどう見ても、あからさまに魔王城……つまり」

魔法使い「昔から魔王城として認知されていたの」

魔法使い「この城が建つ前からね」

8: 2013/09/12(木) 02:01:09 ID:rmVkXz.6
ゆうしゃ「まおうじょうのほうが ふるいの?」

魔法使い「そういうこと」

魔法使い「恐ろしいであろう魔王城を見張る必要がある」

魔法使い「だから小屋を建てて」

魔法使い「情報を伝えやすくするために道を作って」

魔法使い「すると人がなんとなく集まってきたから……」

魔法使い「なんとなく城が建った」

魔法使い「そうやってできたのがこの国よ」

ゆうしゃ「すごい」

9: 2013/09/12(木) 02:05:35 ID:rmVkXz.6
魔法使い「つまり、この国は魔王城を見張るために存在しているの」

魔法使い「だから魔王城へ行くことは、この国にとって歴史的な任務なの」

魔法使い「あなたにもその自覚を持ってほしいってこと」

ゆうしゃ「う、うん。 がんばるよ」

ゆうしゃ「でも……おうさまは そこまでかんがえてるかなあ」

魔法使い「あ、それもそうね」

魔法使い「じゃあ今言ったことは一旦忘れて」

ゆうしゃ「うん!」

10: 2013/09/12(木) 21:14:21 ID:rmVkXz.6
――

ズルズル ズルズル

魔法使い「ふぅふぅ……小舟ぐらい川につけておきなさいよ」

ゆうしゃ「うう……重い……」

魔法使い「運ぶだけで一苦労ね」


大猿A「……」ジー


ゆうしゃ「あ、まものがいるよ」

魔法使い「目を合わせちゃダメよ。襲ってくるかもしれないわ」

ゆうしゃ「わかった」

魔法使い「あ、目を離してもダメよ。襲ってくるかもしれないわ」

ゆうしゃ「むずかしいね」

12: 2013/09/12(木) 21:33:04 ID:rmVkXz.6
ザザーン

ゆうしゃ「かわについたよ」

魔法使い「この地点に来たのも私達が初めてよ」

ゆうしゃ「そうなんだ。さかなをとったりしないの?」

魔法使い「したいけど怖かったからやめといたの」

魔法使い「それがこの国の歴史よ」

ゆうしゃ「なるほど」

13: 2013/09/12(木) 21:43:23 ID:rmVkXz.6
ゆうしゃ「よいしょっと」

魔法使い「あら、オール持ってきたの?」

魔法使い「私が風の魔法で船を進めるから必要ないわよ」

ゆうしゃ「えっ? でも……」

ゆうしゃ「かわのうえでおそわれたら ふねがしずんじゃうよ?」

魔法使い「……なるほど」

魔法使い「確かに魔法は護衛に回した方がよさそうね」

魔法使い「じゃあ漕いでもらえるかしら?」

ゆうしゃ「まかせて!」

14: 2013/09/12(木) 21:55:24 ID:rmVkXz.6
ギーコ ギーコ

魔法使い「けっこう力あるのねえ」

ゆうしゃ「えへへ」

魔法使い「そういえば、あなたのことを聞いてなかったわね」

ゆうしゃ「うん? ぼくはふつうのにんげんだよ」

ゆうしゃ「ちょっとだけつよいから おうさまのおてつだいをしてるんだ」

魔法使い「……」

魔法使い「あなた、男の子だったのね」

ゆうしゃ「えっ!?」

16: 2013/09/12(木) 22:15:50 ID:rmVkXz.6
ギーコ ギーコ

ゆうしゃ「なかなかつかないね」

魔法使い「川が狭かったら魔王城が近いでしょ」

魔法使い「だからこれでいいのよ」

ゆうしゃ「そうだね」

ザバァッ!

首長竜「……グルルッ!」

ゆうしゃ「あっ」

ゆうしゃ「つよそう」

魔法使い「魔物っ!?」

17: 2013/09/12(木) 22:23:33 ID:rmVkXz.6
魔法使い「ふ、伏せてなさい!」

ボウッ

魔法使い「火球魔法!」

首長竜「!」ピクッ

ヒョイッ

魔法使い「えっ」

魔法使い「かわされ――」

首長竜「グルアァッ!!」

18: 2013/09/12(木) 22:27:50 ID:rmVkXz.6
魔法使い(そんな!?)

魔法使い(魔物のくせに火も魔法も知っていて)

魔法使い(その上で襲いかかってきてるの!?)

魔法使い(こんなやつがいるなんて……)

魔法使い(やっぱり魔王城に行くなんて無茶だったんだ……)

魔法使い(二人共、殺されちゃうんだ……!)

ゆうしゃ「たぁああっ!!」

バッ

19: 2013/09/12(木) 22:32:21 ID:rmVkXz.6
ゆうしゃ「だぁっ!」

ガキッ!

首長竜「ッ!」

ゆうしゃ「かたいっ!?」

魔法使い「剣が弾かれた!? なんて丈夫なお鼻なの!?」

首長竜「グァァアアア!!」

ザパーン

魔法使い「あれ……潜った……?」

魔法使い「……」

魔法使い「来ないわね……」

ゆうしゃ「いたかったのかな」

魔法使い「と、とにかく! 今のうちに船を進めましょう!」

20: 2013/09/12(木) 22:37:00 ID:rmVkXz.6
――

ゆうしゃ「はぁ……はぁ……」

魔法使い「な、なんとか向こう岸までついたわね」

ゆうしゃ「うん。 3にんとも ぶじでよかった」

魔法使い「3人?」

ゆうしゃ「だって まおうじょうからも このかわはみえるよね?」

魔法使い「え……」

魔法使い「あっ! そうか!」

魔法使い「あの竜を使役できる相手なら退治なんか無理なんだ!」

魔法使い「話し合いに持ち込むなら道中の殺生は避けるべきね!」

21: 2013/09/12(木) 22:42:03 ID:rmVkXz.6
ゆうしゃ「はなしあい できるといいね」

魔法使い「可能性は……あるわ」

魔法使い「長い間、向こうから攻めてくることもなかったんですもの」

ゆうしゃ「まものがあばれるのが まおうのせいだったらどうしよう?」

魔法使い「その場合魔王と敵対することになるわ、この国はおしまいね」

魔法使い「そうなったらあなたは逃げなさい」

ゆうしゃ「魔法使いさんは?」

魔法使い「……」

魔法使い「最初に魔王城を見つけたのはね、私のご先祖様なのよ」

魔法使い「国にはそれなりの愛着があるの。 だから戦うわ」

22: 2013/09/12(木) 22:46:14 ID:rmVkXz.6
ゆうしゃ「そうなんだ」

ゆうしゃ「じゃあぼくもたたかうよ。 にげられないかもしれないし」

魔法使い「……まあ、あまり悪い方には考えないようにしましょう」


魔法使い「さて、着いたわ」

魔法使い「魔王城よ」

ゆうしゃ「すごいおおきい……」

ゆうしゃ「いりぐちは はんたいがわかな?」

魔法使い「まずいわね……川の向こう側から見えない位置だわ」

23: 2013/09/12(木) 22:51:45 ID:rmVkXz.6
赤鬼「……」

緑鬼「……」


ゆうしゃ「つよそうな みはりがいるね」

魔法使い「そうね、足が震えてきたわ」

魔法使い「でも……行くしかないわよね」

魔法使い「さあ! 任務開始よ!」

ゆうしゃ「うん!」

25: 2013/09/13(金) 21:22:57 ID:2RszuoI6
ゆうしゃ「ご、ごめんくださーい」

赤鬼「あ? なんだお前ら」

魔法使い「川の向こう側から来た人間です」

赤鬼「 ハァッ!? 」
緑鬼「 ナニィ!? 」

ゆうしゃ「うわっ……おっきぃこえ……」

緑鬼「どうすんだよこれやべえやべえやべえよ」

魔法使い「わ、私達は話し合いに……」

赤鬼「ちくしょうなんで俺達が門番の時にこんなこと……」

26: 2013/09/13(金) 21:31:07 ID:2RszuoI6
緑鬼「通せばいいのか!? 潰せばいいのか!?」

赤鬼「こんなことならまじめに話を聞いておくんだった……」

緑鬼「ま、魔王様に判断をあおってくる!」

赤鬼「あ! 逃げるのかてめぇ!」


赤鬼「……」

赤鬼「まあちょっとここで待ってくれや」

ゆうしゃ「う、うん……」

27: 2013/09/13(金) 21:39:13 ID:2RszuoI6
ドワァアアアアア!
ハァ!? ニンゲン!? ヤッチマオウゼ!
  ナンデニンゲン!? ヤベェ!
ウワァアア!! マオウサマー!!

魔法使い「お、大事になってるみたいね……」

赤鬼「向こうってことは川を渡って来たんだよな?」

ゆうしゃ「うん、そうだよ」

赤鬼「じゃあ……」

赤鬼「いや、やっぱりいい」

ゆうしゃ「?」

赤鬼「かってに話したらダメかも知れねえ」

28: 2013/09/13(金) 21:46:18 ID:2RszuoI6
ガチャ

緑鬼「と、通せってよ!」

ゆうしゃ「!!」

赤鬼「マジか! じゃあ通れ!」

魔法使い「これは……うまくいくかもしれないわね」

ゆうしゃ「よし! いこう!」


赤鬼「い、一体どうなるんだ……」

29: 2013/09/13(金) 21:55:26 ID:2RszuoI6
ギィィイイ……

ゆうしゃ「あれっ?」

ゆうしゃ「まっくらだ」

魔法使い「おかしいわね……」

バタンッ

ゆうしゃ「ドアがしまった!」

魔法使い「ま、まさか罠!?」

30: 2013/09/13(金) 22:08:14 ID:2RszuoI6
シュボッ

ゆうしゃ「あかりがついた!」

ゆうしゃ「……あれ? ドアにはりがみが……?」

ゆうしゃ「ちょっとこれみてよ、まほうつかいさん」

魔法使い「あ……あ……」

ゆうしゃ「まほうつかいさん?」


ドラゴン「グォォオオオオン!!!」

31: 2013/09/13(金) 22:15:27 ID:2RszuoI6
魔法使い「ど、ドラゴン……」

ドラゴン「グルル……」

ゆうしゃ「ぼ、ぼくたちは はなしあいに……」

ドラゴン「グォオオオン!!!」

魔法使い「ひぃいいっ!!」

魔法使い「に、にに、にげっ!」

ゆうしゃ「わかった! にげよう!こっちに!」


ドラゴンB「グワァアアアアアア!!!」

ゆうしゃ「!! かこまれた!」

魔法使い「だ……」

魔法使い「ダメだわ……もうおしまいよ……」

32: 2013/09/13(金) 22:21:10 ID:2RszuoI6
ドラゴン「グルル……」

ドラゴンB「ガルル……」

ゆうしゃ「ま、まおうをだしてください!」

魔法使い「もう無理よぉ……話し合いどころじゃないわぁ……」

魔法使い「あぁ……」

魔法使い「死ぬならせめて向こう岸の……故郷で……」


魔王「ワハハハハ!! 滑稽だな人間よ!!」

33: 2013/09/13(金) 22:28:48 ID:2RszuoI6
魔王「500年の沈黙を打ち破り、何をしに来たかと思えば!!」

魔王「話し合いだと? 片腹痛いわ!!」

ゆうしゃ「あのひとが……まおう……」

魔王「ドラゴン2匹に腰を抜かす者に話すことなどない!」

魔王「情けなく逃げ帰り、この魔王の恐ろしさを語り継ぐがよい!!」

魔法使い「え……?」

34: 2013/09/13(金) 22:33:15 ID:2RszuoI6
魔法使い「逃して……くれるの……?」

魔王「どうした? ドラゴンの血肉になりたいのか?」

魔法使い「い、いえ! 帰ります!」

ゆうしゃ「……いっしょだ」

魔法使い「勇者くん何やってるの! 逃げ帰るわよ!肩を貸して!」

ゆうしゃ「まおうのセリフ、いっしょだよ?」

ゆうしゃ「ドアのはりがみに かいてることと」

魔法使い「……え?」


ドラゴン「アッ バレタ」

35: 2013/09/13(金) 22:38:41 ID:2RszuoI6
ドラゴンB「ダカラ アンキシロッテ イッタノニ」

魔王「う、うるさい! しょうがないだろう!」

魔王「500年だぞ!? 緊張するわ!!」

魔法使い「え? え?」

ゆうしゃ「あ! あのまおうよくみると……」

ゆうしゃ「やさしそうなおじさん!!」

魔王「!!」

魔王「そんなこと初めて言われたぞ!!」

36: 2013/09/13(金) 22:46:43 ID:2RszuoI6
ドラゴン「エッ ジジイジャン」

ドラゴンB「オイボレジャン」

魔王「少し黙ってろ!」

魔王「……ゴホン」

魔王「人の子よ、話を聞こう」

ゆうしゃ「やさしい!」

魔法使い「どういうことなの……?」

37: 2013/09/13(金) 22:57:45 ID:2RszuoI6
ゆうしゃ「まほうつかいさん、だいじょうぶ?」

魔法使い「え……?」

ゆうしゃ「ぼくが きいたほうがいい?」

魔法使い「あ……う、ううん。 大丈夫よ」

魔法使い「……こほんっ」

魔法使い「魔王よ、最近我が国の近くでは魔物の動きが活発になっています」

魔法使い「この現象は……あな、あなたが関係しているのですか?」

魔王「魔物? どんなやつだ?」

ゆうしゃ「あばれおおざるです」

魔王「……」

魔王「そんなご当地系のやつの名前を言われても困るな……」

38: 2013/09/13(金) 23:02:57 ID:2RszuoI6
魔王「すこし待っていろ、書庫で調べてくる」

ドラゴン「エッ ワザワザシラベルノカ?」

ドラゴンB「マオウサマ! イゲンヲカンガエヨウ!」

魔王「ではやってくれるのだな?」

ドラゴン「イッテラッシャイマセ!」
ドラゴンB「イッテラッシャイマセ!」


魔法使い「部下とも友好的にやってるのね……」

39: 2013/09/13(金) 23:08:33 ID:2RszuoI6
ドラゴン「マア スワレヤ」

ゆうしゃ「うん。ありがとう」

魔法使い「しゃ……しゃべるドラゴンなんて聞いたことないわ」

ドラゴンB「ソリャアレダ キアイ?」

ドラゴン「オウヨ キアイデ ナントカシタゼ」

ゆうしゃ「すごい」

40: 2013/09/13(金) 23:14:45 ID:2RszuoI6
ゆうしゃ「そういえば、なんでおいかえそうとしたの?」

魔法使い「そ、そうよ。 わざわざ恐怖を煽るようなことして」

ドラゴン「ニンゲント ナカヨクヤルノモ ヘンダロウ」

ドラゴンB「ホカノチイキヘノ シメシッテノガ アルンダヨ」

魔法使い「つまり形式上は敵国として扱ってるの?」

ドラゴンB「マア ソンナヤツダ」

41: 2013/09/13(金) 23:18:20 ID:2RszuoI6
魔法使い「それなら大猿退治も手伝ってはくれないのね」

ドラゴン「サルグライ ナントカナルサ ダイジョウブ」


魔王「……というより、なんとかするしかないのだ」

ゆうしゃ「はやい!」

魔王「待たせたな。 わかったぞ」

ゆうしゃ「すごい!」

魔王「分からないことがわかったぞ!」

ゆうしゃ「そうでもなかった!」

42: 2013/09/13(金) 23:23:18 ID:2RszuoI6
魔王「あばれ大猿。魔獣系の魔物」

魔王「単体で行動し、気性が荒いため同種同士での争いが絶えない」

魔王「以上だ」

魔法使い「私の国にある文献とあまり変わらないわね」

魔王「なぜこの時期になって被害が増えてるのかは分からなかった」

ドラゴン「ツカエネエナ」

ボカッ

ドラゴン「イテェ!」

魔王「が、魔物を黙らせるには拳を振るうのが一番だ」

43: 2013/09/13(金) 23:31:50 ID:2RszuoI6
魔王「猿を素手のみで叩き伏せ」

魔王「それを別の猿たちに見せつければ」

魔王「大人しくなるだろう」

ゆうしゃ「できるかなあ」

魔王「まあ繁殖期かなにかで気が立っているだけかもしれぬぞ」

魔王「放おっておけばそれで解決するかもしれん」

魔法使い「そうだといいんだけど……」

44: 2013/09/13(金) 23:36:16 ID:2RszuoI6
ゆうしゃ「ありがとう、まおうさん」

魔王「解決していないことに礼などいらん」

魔法使い「ここまで優しいと友好条約とか結べそうね」

魔王「さすがにそれはできん。魔王にも立場がある」

魔王「……そうだな。貴様らは魔王と取引をしたのだ」

魔王「その代償をもらうとするか」

ゆうしゃ「えっ?」

45: 2013/09/13(金) 23:44:24 ID:2RszuoI6
魔王「"一本"もらおう」

ゆうしゃ「いっぽん? なにを?」

魔王「……」

魔法使い「自分で考えろってことかしら」

46: 2013/09/14(土) 21:17:19 ID:aQubWh6I
魔王使い(一本?)

魔法使い(剣や杖のことかしら……)

魔法使い(いいえ、これは魔王の問よ)

魔法使い(なにかおどろおどろしい意味があるはず……)

魔法使い(て、手足の事だったらどうしよう……)

魔法使い(……まさか!)

魔法使い(人間を数える単位……?)ゾッ

ゆうしゃ「オールでいい?」

魔王「構わんぞ」

47: 2013/09/14(土) 21:22:41 ID:aQubWh6I
ドラゴン「デハ マタナ!」

ドラゴンB「マタナ!」

魔王「頻繁に来られても困る」

魔王「しかし有事の際はその限りではないぞ」

ゆうしゃ「うん、ありがとう!」

魔法使い「とてもいい体験になったわ」

48: 2013/09/14(土) 21:27:50 ID:aQubWh6I
赤鬼「おう、お帰りかい」

緑鬼「気をつけて帰るんだぞ」

ゆうしゃ「うん」

赤鬼「ああそうだ、これをやろう」

魔法使い「えっ?」

赤鬼「菓子の詰め合わせ、まあ土産物だ」

赤鬼「だいたいの魔物が食うやつだし、人間の口にも合うだろう」

ゆうしゃ「わぁー! ありがとう!」

緑鬼「おいおい、バレたらまた魔王様に投げ飛ばされるぞ」

赤鬼「バレなきゃいいんだよ」

ゆうしゃ「なげられるの?」

赤鬼「俺達は魔王様よりタッパあるからな」

赤鬼「ゲンコツが届かねえのよ」

ゆうしゃ「へぇー……」

49: 2013/09/14(土) 21:32:06 ID:aQubWh6I
魔法使い「また川まで戻ってきたわね」

ゆうしゃ「まほう、まだできる?」

魔法使い「大丈夫よ」

魔法使い「でもまたあの竜が出てきたら……」

ゆうしゃ「だいじょうぶだよ」

魔法使い「本当? 信じるわよ」

50: 2013/09/14(土) 21:43:15 ID:aQubWh6I
魔法使い「はぁっ……!」

ザザーン

ゆうしゃ「わっ、すすんだ」

魔法使い「この魔法使ってる間は他のことができないから」

魔法使い「なにか出たらなんとかしてね」

ゆうしゃ「うん」

魔法使い「本当になんとかできるのね!?」

ゆうしゃ「た、たぶん」

51: 2013/09/14(土) 21:47:57 ID:aQubWh6I
ザザーン

ゆうしゃ「……」

ザバァッ

首長竜「ガァッ!」

ゆうしゃ「あっでた」

魔法使い「えぇ!? た、頼むわよほんとに!!」

52: 2013/09/14(土) 21:52:39 ID:aQubWh6I
ゆうしゃ「はい」

首長竜「ガァッ?」

ゆうしゃ「おにさんがくれた おかしだよ」

ポイッ ガブッ

首長竜「ガァガァ!」

ゆうしゃ「よかった。たべてる」

魔法使い「そ、そういえば赤い方の鬼は川がどうとか言ってたわね」

魔法使い「この竜の対処法のヒントだった……てこと?」

ゆうしゃ「そうみたい」

53: 2013/09/14(土) 21:56:58 ID:aQubWh6I
ゆうしゃ「かわをわたりきったよ」

魔法使い「おとなしくなって助かったわ」


ゆうしゃ「あれ? なんだかおしろのほうが にぎやかだね」

魔法使い「ふふっ。 超重要任務を果たしたんだもの」

魔法使い「私達を出迎える準備をしてるのよきっと」

ゆうしゃ「……」

ゆうしゃ「ちがう」

魔法使い「えっ?」

54: 2013/09/14(土) 22:13:15 ID:aQubWh6I
タッタッタッ……

兵士A「ハァ……ハァ……」

兵士B「も、もう少しで城門だ。そこまで逃げ切れば……」


大猿A「ガァアアアッ!」

兵士A「き、来やがった!」

兵士B「城門閉めろー! 俺達は滑りこむ!」

55: 2013/09/14(土) 22:16:10 ID:aQubWh6I
バターンッ

兵士A「ぜぇ……ぜぇ……」

兵士B「ま、間に合った……」


兵士D「な、なんとか全員無事みたいだな」

兵士C「まさか見回りのルートで待ち伏せしているとは……」

兵士E「おーおー。小窓を覗いてみろよ。うじゃうじゃいやがる」

56: 2013/09/14(土) 22:22:53 ID:aQubWh6I
ズズ……

大猿B「ウホッ……」

大猿C「ウガッ! ウガッ!」

大猿D「……」

ズズ……


兵士A「お、おい……やばくないかあれ」

兵士E「はぁ? 何を言って……」

兵士E「!!」

兵士E「ま、丸太を運んでやがる!!」

57: 2013/09/15(日) 19:10:20 ID:5nPxnVbY
ゴ ン ッ !

ゴ ン ッ !

兵士A「す、すごい衝撃だ!」

ゴ ン ッ !

ミシッ

兵士C「やベェッ! 門にヒビが!」

兵士D「このままだと突破されるぞ!」

58: 2013/09/15(日) 19:14:05 ID:5nPxnVbY
兵士B「……しかたない。 みんな、武器を構えろ」

兵士A「ち、ちくしょう! 結局やるしかないのか!」

「火球魔法!」

「「グギャーッ!」」

魔法使い「まったく、なにが"単体で行動する"よ」

魔法使い「思いっきり群れてるじゃない。 道具まで使って」

ゆうしゃ「だんだん かわってきてるのかも……」

魔法使い「なるほど。 ありえない話じゃないわね」


兵士B「あ、あれは……」

兵士C「勇者くんが来てくれたぞ!」

兵士D「いつも仕事を手伝ってくれる勇者くんだ!」

兵士E「兵士長と模擬戦して勝っちゃった勇者くんだ!」

兵士A「兵士長の見苦しい言い訳を素直に信じた勇者くんだ!」

59: 2013/09/15(日) 19:19:15 ID:5nPxnVbY
ゆうしゃ「みんなだいじょうぶ?」

兵士A「ああ、俺達は大丈夫だが……」

兵士B「兵士長がやられた」

ゆうしゃ「……えっ?」

兵士B「汚名返上だと先陣を切って返り討ちに……」

ゆうしゃ「そんな……」

60: 2013/09/15(日) 19:41:42 ID:5nPxnVbY
大猿B「ウ、ウゥ……」

魔法使い「丸太は焼けたけど、倒せてはいないようね」

魔法使い「勇者くん、私達も避難しましょう」

ゆうしゃ「……いや」

ゆうしゃ「たたかうよ。 すでで」

61: 2013/09/15(日) 19:46:42 ID:5nPxnVbY
魔法使い「な、何言ってるの! 無理に決まってるでしょう!」

ゆうしゃ「たおせば おとなしくなるんだよね」

魔法使い「そんなの分からないわ!」

魔法使い「あなたの言うとおり……あいつらが進化しているとしたら!」

魔法使い「もう昔とは別の魔物だとしたら!」

魔法使い「魔王の言う対処法なんてあてにならないわ!」

ゆうしゃ「それなら はやめにたおさないと まずいよね」

魔法使い「……それでも一度戻ってから!」

ゆうしゃ「だいじょうぶ」

ゆうしゃ「ぜったいかつから みててね」

63: 2013/09/15(日) 19:53:40 ID:5nPxnVbY
ゆうしゃ「さあ! かかってこい!」

大猿E「ウガ……!」

大猿F「ウホ……」

大猿A「……」

ゆうしゃ「!!」

魔法使い「ま、まだいるの!? 囲まれた!!」

ゆうしゃ「まほうつかいさんには てをだすな!」

ゆうしゃ「1たい1で しょうぶだ!」

大猿D「……ッ!」

バッ!

魔法使い「来たっ!」

64: 2013/09/15(日) 19:57:19 ID:5nPxnVbY
ブオンッ!

ゆうしゃ「こ、ここだ!」

ガシッ ブワッ

ズズーンッ!

大猿D「ウギャア!!」

魔法使い「す、すごい!」

魔法使い「殴りに来た右腕を両手で絡めとり!」

魔法使い「体をねじりながら相手の懐に入って!!」

魔法使い「その勢いのまま背負うようにして投げた!!!」

65: 2013/09/15(日) 20:02:13 ID:5nPxnVbY
大猿C「ガァーッ!」

魔法使い「ま、またきた!!」

パシッ! ヒュルッ

ベシャァッ!

大猿C「ギャァアア!!」

ゆうしゃ「どうだ!」

魔法使い「今度は蹴りで相手の体勢を崩して」

魔法使い「そのまま手繰り寄せるように組み伏せた!!」

66: 2013/09/15(日) 20:05:55 ID:5nPxnVbY
大猿B「ウホォ……」

大猿E「ウガッ……」

魔法使い「動揺してる……このまま退散してくれたらいいのだけど……」

ゆうしゃ「はぁ……はぁ……よ、よし!」

ゆうしゃ「おもいしったか!」

ゆうしゃ「これにこりたら もう……」

ズシッ

ゆうしゃ「……?」

ズシッ

ズシッ

白大猿「ウム……」

魔法使い「な、なにあいつ……」

67: 2013/09/15(日) 20:12:09 ID:5nPxnVbY
白大猿「ウム……ウムウム……」

大猿B「ウホ、ウホウホ……」

魔法使い「か、会話してる?」

白大猿「フムッ!」

ベシッ

大猿B「ウギャアッ!」

魔法使い「仲間を殴った!?」

ゆうしゃ「あれが あいつらのボス……!」

68: 2013/09/15(日) 20:15:23 ID:5nPxnVbY
大猿A「ウ、ウガッ!」

大猿E「ウガッ!」

魔法使い「統率を取り戻した……それに……」

白大猿「ウム」

ゆうしゃ「おおきい……」

魔法使い「2階建ての屋根に手が届きそう……」

ゆうしゃ「でも……」

ゆうしゃ「あれをやっつければ かいけつだ!」

70: 2013/09/15(日) 20:20:06 ID:5nPxnVbY
白大猿「ウム……ッ!」

ゆうしゃ「こいっ!」

ブオンッ!

ゆうしゃ「!!」

バッ

魔法使い「うまい! かわし……」

ゆうしゃ「うわっ!?」

ブワッ ベシャッ!

ゆうしゃ「あいたた……」

白大猿「ウム……?」

魔法使い「な、なんで!? 勇者くんが吹き飛ばされた!!」

71: 2013/09/15(日) 20:25:58 ID:5nPxnVbY
白大猿「ム……ウム」

魔法使い「ま、まさか体格差!?」

魔法使い「拳をかわしてもその風圧で飛ばされてしまうの!?」

ゆうしゃ「ま、まだだ!!」

ヌワッ

白大猿「ムウンム……!!」

魔法使い「掴みかかりに来た!! あぶない!」

ゆうしゃ「それならっ!」

バッ!

魔法使い「突っ込むの!? なんで!?」

72: 2013/09/15(日) 20:28:34 ID:5nPxnVbY
ヌッ サッ

白大猿「ウム?」

魔法使い「またかわした!!」

魔法使い「勇者くん本当にすばしっこい!!」

ゆうしゃ「だぁっ!!」

ゴッ

白大猿「ムッ!?」

ヨロッ

魔法使い「左足におもいっきり体当りした!!」

魔法使い「さすがに体勢を崩したようね!」

73: 2013/09/15(日) 20:32:28 ID:5nPxnVbY
白大猿「……ウムゥ!」

ブォンッ!

魔法使い「危ない! 体勢が崩れたまま強引に右腕で潰しにきたわ!」

ゆうしゃ「っ!」

スッ

白大猿「ムゥゥ……ッ!」

グルンッ

ズズーンッ

魔法使い「か、かわしたら一回転して仰向けに倒れた!」

魔法使い「チャンスよ!!」

74: 2013/09/15(日) 20:35:51 ID:5nPxnVbY
ゆうしゃ「やぁああああああっ!!!」

ギュルッ ガシッ

ギチッ!

白大猿「ムッ! ウムッ!!??」

ジタバタ

魔法使い「こ、これは……!」

魔法使い「無防備になった左腕を両足で挟み込み固定!!」

魔法使い「そのまま手首を掴んで全身を反らせること……どぅぇ……」

魔法使い「ぜぇ……ぜぇ……」

魔法使い「あ、相手を固めて動けなくしたのね!!」

魔法使い「すごいわ勇者くん!」

75: 2013/09/15(日) 20:39:57 ID:5nPxnVbY
兵士A「す、すげぇ……」

兵士C「あんなバケモノを抑えこんじまった……」

兵士D「あれが……勇者の力……?」


白大猿「ウム……ウ……!」

ジタバタ

白大猿「ウ……ウ……」

白大猿「ウマ」

大猿A「!!」

76: 2013/09/15(日) 20:43:15 ID:5nPxnVbY
大猿A「ウ……ウガ……?」

白大猿「ウマ」

大猿A「ウガ! ウガウガ!」

白大猿「ウマ!」

大猿A「ッ……!」

魔法使い「な、なにを話してるの……?」

77: 2013/09/15(日) 20:46:42 ID:5nPxnVbY
大猿A「ウガッ!」

バッ!

魔法使い「えっ」

ガシッ!

魔法使い「きゃぁぁあああ!!!」

白大猿「……ウム」ニヤリ

ゆうしゃ「ま、まほうつかいさん!?」

78: 2013/09/15(日) 20:52:39 ID:5nPxnVbY
魔法使い「ちょっと! 離しなさいよ!」

大猿A「……」

ゆうしゃ「ひ、ひきょうだぞ!」

白大猿「ウム……!」

ゆうしゃ「……くそう…………」

魔法使い「勇者くんは離しちゃダメよ!」

魔法使い「どのみち全員殺すつもりなんだから!」

魔法使い「そんな腕、折っちゃいなさい!」

79: 2013/09/15(日) 21:00:26 ID:5nPxnVbY
白大猿「ウムッ……」

大猿A「……ウガ」

ギリギリ

魔法使い「ひぎっ! い、痛い痛い痛い!!」

ゆうしゃ「や、やめろぉ!!」

白大猿「ウム」

ゆうしゃ「ぐ……」

ゆうしゃ「わ、わかった」

魔法使い「ゆ、勇者くん! ダメ!!」

80: 2013/09/15(日) 21:03:55 ID:5nPxnVbY
パッ

白大猿「……ウム」

ゆうしゃ「は、はなしたぞ! まほうつかいさんを……」

白大猿「ム」

ベシャ

ゆうしゃ「かはっ……!」


兵士A「そ、そんな……勇者くんが……」

兵士C「潰された……」

81: 2013/09/15(日) 21:09:58 ID:5nPxnVbY
魔法使い「や、やだ……嘘よこんなの……」

ズシッ

ズシッ

白大猿「……ウム」

魔法使い「ひっ……!」

魔法使い(だ、駄目! やっぱり全員殺す気なんだ……)

魔法使い(私達、みんなこいつに殺されちゃうんだ……)

魔法使い(こんなやつに……!)

82: 2013/09/15(日) 21:15:59 ID:5nPxnVbY
兵士B「卑怯者!!」

兵士D「そ、そうだそうだ! 勇者くんは約束を守った!人質を開放しろ!」


魔法使い(そんなこと言っても聞くわけがない……)

魔法使い(こいつらは所詮魔物なのよ……)

魔法使い(……)

魔法使い(ううん、私は魔王城で何を見てきたの?)

83: 2013/09/15(日) 21:20:51 ID:5nPxnVbY
魔法使い「あなたたち!!」

大猿E「!!」

白大猿「ム?」

魔法使い「どうせ言葉は分かるんでしょう!? 知ってるんだから!」

魔法使い「こんなことして恥ずかしいと思わないの!!」

魔法使い「あんなに小さい勇者くん相手に人質使って!」

魔法使い「その上攻撃をやめないだなんて!!」

大猿A「ウ、ウガ……」

白大猿「ウム」

ベシッ

魔法使い「きゃぁっ!!」

84: 2013/09/15(日) 21:24:47 ID:5nPxnVbY
魔法使い(ちょ、ちょっとかすっただけなのにすごく痛い……)

魔法使い(勇者くんはこんなのと戦ってたのね……)

魔法使い(わ、私も……まだ諦めない……!)

魔法使い(だれか……誰か一匹でも言葉を聞いてくれたら)

魔法使い(統率は乱れるはず……)

魔法使い「聞きなさい!」

魔法使い「せ……せっかく進化したのに! 賢くなったのに!」

魔法使い「こんなやつの下で満足なの!?」

魔法使い「誇りを持ってない種族なんてただのケダモノ! いやそれ以下よ!」

白大猿「ウム」イラッ

魔法使い(や、やっぱり……ダメだ……)


ボゴォッ!

85: 2013/09/15(日) 21:29:59 ID:5nPxnVbY
白大猿「ウブッ!?」

大猿A「……ウガ」

魔法使い「え……?」

魔法使い(あいつが……ボス猿を殴った?)

86: 2013/09/15(日) 21:34:58 ID:5nPxnVbY
魔法使い「あ、あなたは……」

ボガッ!

白大猿「ガフッ!? ゲフッ!?」

バシィッ! バシィッ!

バゴォォォオオンッ!

ドシャァァァアアアア!

白大猿「」ピクピク

魔法使い「あなたは……行き掛けに私達を見てた……?」

大猿A「……ウガ」

87: 2013/09/15(日) 21:37:40 ID:5nPxnVbY
兵士A「な、なんだ!? どうなった!?」

兵士B「すげぇ……」

兵士B「軽いパンチをあのボス猿に当てたあと」

兵士B「左右交互に顔面を連打」

兵士B「最後は顎を下から思い切り殴り飛ばした……!」

88: 2013/09/15(日) 21:41:28 ID:5nPxnVbY
魔法使い「け、けしかけておいてなんだけど……よかったの?」

大猿A「ウガ」

魔法使い「でも……」

大猿E「う、うが……???」

大猿F「……??」ビクビク

魔法使い「他の猿は動揺してるみたいね」

魔法使い「あなたが次のボスで終わり、ってわけにもいかないみたい」

大猿A「……」

ゆうしゃ「そ、それなら……つぎにすることは ひとつだよ」

89: 2013/09/15(日) 21:45:55 ID:5nPxnVbY
魔法使い「ゆ、勇者くん!? 無事なの!?」

ゆうしゃ「うん なんとかね」

魔法使い「よかった……!」

大猿A「……」

ゆうしゃ「さあ! さいごのしょうぶだ!」

大猿A「ウガ!」

魔法使い「な、何を言ってるの!? ボロボロじゃない!」

ゆうしゃ「……」

ゆうしゃ「ぼくがまけても あいつはボスになれる」

ゆうしゃ「そうすれば いきなりおそってくることはなくなるよね」

魔法使い「そんな……!?」

90: 2013/09/15(日) 21:50:16 ID:5nPxnVbY
ゆうしゃ「もちろん、まけるつもりはないよ!」

ゆうしゃ「おまえをたおすのがいちばん このくにのためになる!」

ゆうしゃ「にんげんのほうがつよいって! おしえてやる!!」

大猿A「……ウガ!」

大猿A「ウガァァアアアア!!!」

魔法使い「は、始まっちゃった……」

91: 2013/09/16(月) 20:36:18 ID:c6LKpmcI
ゆうしゃ「いくぞお!!」

大猿A「ウガァアアア!!」

シュッ シュッ

ゆうしゃ「!!」

バッ


兵士D「勇者くんが距離をとった!」

兵士C「な、なんでだ?」

兵士B「おそらく……」

92: 2013/09/16(月) 20:40:05 ID:c6LKpmcI
大猿E「ウガ! ウガウガ?」

魔法使い「ひっ!?」

大猿E「ウガウガ?」

魔法使い「え……なに……?」

大猿E「ウガ?」

魔法使い「何が起こってるか知りたいの……?」

大猿E「ウガ!」

93: 2013/09/16(月) 20:46:57 ID:c6LKpmcI
大猿A「ウガァアッ!」

シュッ シュバッ

ゆうしゃ「く、くそ……」


魔法使い「勇者くんは返し技中心で戦ってるの」

魔法使い「腕力に差があるからそれを逆手に取ってるわけね」

大猿E「ウガ……」

魔法使い「でも、あいつはそれを見てた」

魔法使い「だから体重の乗ってないパンチを打ってるの」

魔法使い「それなら隙が作らないで攻撃できるからね」

94: 2013/09/16(月) 20:52:14 ID:c6LKpmcI
兵士B「そして、勇者くんは一発でもまともに喰らったら負けだ」

兵士C「な、なんだって?」

兵士B「あのボス猿を倒した時の猛ラッシュを見ただろ?」

兵士B「反撃する間もなくボロ雑巾になっちまう」


シュッ シュッ

大猿A「ウガッ! ウガッ!」

パシッ!

ゆうしゃ「ぐぅ……!」


兵士A「お、おい! 喰らっちまったぞ!」

兵士B「だ、大丈夫だ! 腕を上げてガードしてる!」

95: 2013/09/16(月) 21:01:50 ID:c6LKpmcI
兵士B「体重が乗ってない分威力は低い!」

兵士B「体勢を保っている限り連打には移行されない!」


バシッ! バシッ!

ゆうしゃ「く……くそう……」


兵士A「だからってこのままじゃジリ貧だ!」

兵士A「子供ひとりに任せておけるか! 俺は加勢しに行くぜ!」

兵士B「お、おい待て!」

96: 2013/09/16(月) 21:06:30 ID:c6LKpmcI
ダッ

兵士A「勇者くん!」

魔法使い「あ、ダメよ!」

兵士A「あんたは国お抱えの……」

魔法使い「これは二人の真剣勝負なの、水を差しちゃダメ」

兵士A「そんなこと言ったって!」

魔法使い「ああもう! あとで説明するから……」

兵士A「今行くぞ!」

ガシッ

兵士A「!?」

大猿E「ウガ」フルフル

97: 2013/09/16(月) 21:09:31 ID:c6LKpmcI
兵士A「なんだてめぇ! やろうってのか!」

魔法使い「逆よ。 大事な戦いの邪魔をさせたくないの」

兵士A「そんなわけが……」

大猿E「ウガ」

魔法使い「彼らはあなたが思ってるよりずっと賢いわ」

魔法使い「そして、今が彼らを落ち着かせる一番のチャンスなの」

魔法使い「わかって」

兵士A「……ちっ」


ブンッ


魔法使い「!! 勇者くんも拳を出した!」

兵士A「なにっ!?」

98: 2013/09/16(月) 21:14:32 ID:c6LKpmcI
ゆうしゃ「そこだっ!」

バシッ

大猿A「グァッ!」


兵士A「な! 拳同士でぶつかったのにダメージを与えたぞ!」

大猿E「ウガ!?」

魔法使い「あ、相手の親指を狙ったんだわ!」

99: 2013/09/16(月) 21:39:38 ID:c6LKpmcI
大猿A「グッ……」

バッ バッ


兵士A「後ろに飛んで距離をとりやがった! 慎重なヤローだ!」

魔法使い「!!」

魔法使い「勇者くんもそれを読んでる!」


ゆうしゃ「はぁあっ!!」

ドゴッ

大猿A「ガッ!?」

ドテーンッ

100: 2013/09/16(月) 21:44:00 ID:c6LKpmcI
兵士A「着地点に低姿勢で体当たり! ありゃあ効いたぜ!」

魔法使い「うつ伏せに倒れた! チャンスよ!」


ゆうしゃ「だあっ!」

大猿A「ウガァ!」

ドゴッ! バッ


兵士A「よし! 横っ腹に蹴りが入った!」

魔法使い「でも体勢を立て直された!」

101: 2013/09/16(月) 21:49:51 ID:c6LKpmcI
ゆうしゃ「はぁっ……はぁっ……!」

大猿A「ウガッ……ウガッ……!」


兵士A「な、なんか勇者くんかなり消耗してないか?」

魔法使い「馬鹿ね。 あのボス猿の一発を忘れたの?」

魔法使い「それに勇者くんは今日動きっぱなしだったから……」

兵士A「そういえばあんたらは魔王城視察の大任を……」

兵士A「……」

兵士A「頑張れェ!」

魔法使い「えっ?」

兵士A「お、応援ぐらいさせろ!」

兵士A「勇者なんだろ!! そんなやつに負けるなあああ!!」

102: 2013/09/16(月) 21:52:27 ID:c6LKpmcI
大猿E「ウ、ウガァアアア!!」

大猿B「……ウガゥ!!」

大猿C「ウ、ウホォ!!」


兵士C「な、何だあいつら! 回復したのか!?」

兵士D「まあ転ばされただけのやつもいるしな」

兵士E「な……なんで戦いに参加しないんだ?」

兵士B「やつらは……応援してるんだ……!」

103: 2013/09/16(月) 21:55:17 ID:c6LKpmcI
王様「その通り!」

兵士B「お、王様!?」

王様「彼は力を持っている」

王様「腕力ではなく、人を引き付ける力だ」

王様「誰もが彼から目を離せない!」

王様「全ての者を鼓舞させ! 心に勇気の火をつける!」

王様「だから人は、私は、彼を勇者と呼ぶのだ!」

兵士E「お、王様!」

兵士D「それを言うためにわざわざここに来たのですか!?」

王様「その通り!」

104: 2013/09/16(月) 22:00:12 ID:c6LKpmcI
ゆうしゃ「うわぁああああ!!」

大猿A「ウガァアアアアア!!」

シュッ パシッ!

バシッ! ビシッ!

大猿A「ウゥ……」


兵士A「いいぞ! 押してる!」

魔法使い「相手の攻撃はうまくさばいてこっちの攻撃を確実に当ててる!」

魔法使い「このままの攻防が続けば……!」

105: 2013/09/16(月) 22:04:54 ID:c6LKpmcI
大猿E「ウガアアア!!」

大猿B「ウガゥウウウ!!」

大猿C「ウホオオオ!!」


兵士B「いけえええええ!!」

兵士C「そこだあああああ!!!」

兵士D「勇者ああああああ!!!」

兵士E「ふんばれえええええ!!!」

王様「やっちまぇえええぇええぇええ!!!!」

106: 2013/09/16(月) 22:08:44 ID:c6LKpmcI
大猿A「ウガァアアアアア!!」

ゆうしゃ「だぁああああ!!」

グァッ


兵士A「しめた! あのヤローあんなに振りかぶって!」

兵士A「投技の餌食だぜ!」

魔法使い「!! 勇者くんも振りかぶってる!!」


ドゴォッ!

107: 2013/09/16(月) 22:12:41 ID:c6LKpmcI
大猿A「ガ……」

ズズーンッ

ゆうしゃ「……」

ゆうしゃ「かった……!」

108: 2013/09/17(火) 01:01:54
頑張ったなゆうしゃくん

109: 2013/09/17(火) 21:44:56 ID:42eFDcoA
――

―――――

ゆうしゃ「う……」

ゆうしゃ「うーん……」

魔法使い「あ、気がついた?」

ゆうしゃ「ここは……」

魔法使い「私の部屋……の隣。 城の空き部屋よ」

ゆうしゃ「そ、そうだ!」

ゆうしゃ「あれからどうなったの?」

110: 2013/09/17(火) 21:49:29 ID:42eFDcoA
魔法使い「あなたのおかげで解決したわ」

魔法使い「勝利の瞬間を全員が見ていたから」

魔法使い「猿達は新旧のボスを引き連れて帰ったし」

魔法使い「その出来事は国中に知れ渡ってお祭り騒ぎ」

魔法使い「今も城の中庭でぎゃーぎゃー騒いでるわ」

魔法使い「主役のあなたを一人でほったらかすわけにはいかないから」

魔法使い「私はここでちびちび飲んでたってわけ」

ゆうしゃ「そっか……」

ゆうしゃ「よかった……」

111: 2013/09/17(火) 21:53:14 ID:42eFDcoA
ゆうしゃ「それじゃあ、まおうのおじさんのことはあとでいいかな」

魔法使い「そうね。王様も飲み過ぎてベロベロになってたわ」

ゆうしゃ「あはは……」

魔法使い「勇者くん、体は大丈夫?」

ゆうしゃ「うん、もうなんともないよ」

魔法使い「それじゃあ私達も参加しましょうか」

ゆうしゃ「そうだね」

112: 2013/09/17(火) 21:59:27 ID:42eFDcoA
ガヤガヤ ドンチャン

王様「そしてぇ! 戦いは勇者のえぐり込むようなパンチで幕を閉じたのだぁ!」

王様「こんな感じだぁ!」

ドゴッ

兵士B「げふぅ!?」

兵士A「あっひゃっひゃっひゃっ!!」


魔法使い「悪酔いしてるわね」

ゆうしゃ「そうだね」

113: 2013/09/17(火) 22:05:55 ID:42eFDcoA
兵士B「王様! そろそろお休みになってください!」

王様「なにおゆ! ワシはまだまだ……」

ゆうしゃ「おうさまー」

王様「お? なんでこんなところに子供がいるんだ」

王様「まあいい! お前も飲め!!」

王様「……うぷっ!」

兵士B「お、王様!」

兵士B「すまない、色々話したいが王様を寝室へ連れて行く」

魔法使い「そうね、お願いするわ」

兵士B「……その前に一言だけ」

兵士B「勇者くん、ありがとう!」

ゆうしゃ「うん!」

114: 2013/09/17(火) 22:11:32 ID:42eFDcoA
兵士A「おお! 勇者くん!目がさめたか!」

ゆうしゃ「うん、もうだいじょうぶだよ」

「わぁー! あれがこの国を救った英雄か!」

「ちっちゃい! 本当に強いのか?」

「大猿を投げたってマジかよ!」

兵士A「全部本当に決まってんだろ! 俺はこの目で見たんだ!」

兵士A「そうだ勇者くん! 俺のことも猿みたいにぶん投げてくれ!」

ゆうしゃ「えぇっ!?」

兵士A「そしたらみんな信じるし! この場も盛り上がるぜ!」

ゆうしゃ「で、できないよそんなこと……」

兵士A「だいじょーぶだって! この際骨ぐらい折れていいから!」

115: 2013/09/17(火) 22:16:02 ID:42eFDcoA
兵士長「いや、勇者の相手をするのは俺だ」

ゆうしゃ「あ、ぶじだったんだね! へいしちょうさん!」

兵士A「真っ先にノビた兵士長!」

魔法使い「勇者くんに負けて言い訳したらしい兵士長!」

兵士長「ええい! あれは本当に腹が痛くて……」

兵士長「そうだ勇者! この場でもう一度模擬戦をしろ!素手で!」

兵士長「それで全てをわからせてやる!」

116: 2013/09/17(火) 22:20:11 ID:42eFDcoA
ゆうしゃ「え、えーい!」

兵士長「ぎゃあああああああ!!!」

ブンッ ボフッ!

「うぉー!」「すげー!」

魔法使い「干し草を重ねてるところに投げたけど、すっごい痛そう!」


こうして祭りは夜遅くまで続けられた

人々は脅威に驚きつつも、それを未然に防いだ勇者を褒め称え

勝利に喜び、歌い、踊り、祭りに酔いしれた

そして夜が明けた!

117: 2013/09/17(火) 22:28:12 ID:42eFDcoA
――

王様「あいたたた……」

ゆうしゃ「おうさま、ふつかよい?」

王様「うむ、勇者よ。 昨日の活躍は素晴らしかったぞ」

ゆうしゃ「えへへ」

王様「このまま褒美を出して開放してやりたいところだが」

王様「まだ聞かねばならないことがある」

ゆうしゃ「うん、まおうじょうのことだね」

ゆうしゃ「……えと」

魔法使い「そうね。任せて」

魔法使い「王様、それは私から説明します」

118: 2013/09/17(火) 22:35:00 ID:42eFDcoA
魔法使い「――というわけで今回の異変と魔王に関係はなく」

魔法使い「魔王はこの国に対して敵対感情を持っていません」

王様「信じられるのか?」

ゆうしゃ「ぼくは しんじるよ」

魔法使い「私も信じます」

王様「じゃあワシも」

ゆうしゃ「やったあ」

119: 2013/09/17(火) 22:40:34 ID:42eFDcoA
ゆうしゃ「おしごと だいせいこうだね」

魔法使い「そうね」

ゆうしゃ「ごほうびは はんぶんこでいい?」

魔法使い「え? 何言ってるのよ」

魔法使い「ほとんどあなたの活躍じゃない」

ゆうしゃ「てがらは ひとりじめしないって……」

魔法使い「それは最初の最初の話でしょ!」

魔法使い「もう勇者くんを信じきってるから! 褒美は相応の分貰いなさい!」

魔法使い「それに私はあなたを……」

王様「話を続けたいのだが」

魔法使い「あ、はい! すみません!」

120: 2013/09/17(火) 22:45:16 ID:42eFDcoA
王様「二人の働きにより魔王城の実態がある程度判明した」

王様「これは我が国にとって……」

王様「我が国にとって……あー……」

魔法使い「はい。 我が国創設時以前からこの場所に伝わる任務の成功を意味します」

魔法使い「あとはこの情報を各国に伝えれば完遂です。 私にお任せください」

王様「うむ、それだ。 任せたぞ」

ゆうしゃ「あ、じゃあぼくもてつだうよ」

魔法使い「えっ?」

121: 2013/09/17(火) 22:50:32 ID:42eFDcoA
魔法使い「大丈夫よ勇者くん、そんなに危ない旅路じゃないわ」

ゆうしゃ「あのさるみたいなやつが ほかにもいるかもしれないよ」

魔法使い「あんなのそうそういないわよ」

王様「よし、では勇者も行くが良い!」

ゆうしゃ「はい!」

魔法使い「えぇっ?」

王様「勇者がついていくのが一番安全だろう」

王様「それに大猿のような進化した魔物の危険性を説明するのにも」

王様「当事者がいたほうが早い」

王様「あとはこの場の流れだ!」

ゆうしゃ「なるほど!」

王様「では行くが良い! ……あいたたた」

ゆうしゃ「ふつかよい?」

王様「うむ」

122: 2013/09/17(火) 22:54:09 ID:42eFDcoA
――

魔法使い「結局最後まで付き合ってもらうことになったわね」

ゆうしゃ「うん、よろしくね」

魔法使い「言っとくけど世界中の国を全部周るのよ。長い旅になるわ」

魔法使い「今ならまだ引き返せるわよ」

ゆうしゃ「せかいぜんぶ? たのしみだね!」

魔法使い「……」

魔法使い「ふふ、じゃあ出発しましょうか」

123: 2013/09/17(火) 23:01:52 ID:42eFDcoA
魔法使い「ああそうそう、城で言いそびれたことがあったわね」

ゆうしゃ「なんだっけ?」

魔法使い「勇者くん」

魔法使い「私はあなたのことを……」

魔法使い「人外の者じゃないかって疑ってたの」

ゆうしゃ「……」

ゆうしゃ「えっ?」

魔法使い「もちろん今は違うわよ」

124: 2013/09/17(火) 23:05:05 ID:42eFDcoA
魔法使い「川や魔王城であなたはやけに落ち着いてたし」

魔法使い「なにより子供なのにあんなに強いんですもの」

魔法使い「魔王城から流れこんできたんじゃないかって、ちょっとだけね」

ゆうしゃ「いまは どうおもってるの?」

魔法使い「……」

魔法使い「大猿の中に一匹だけ白い奴がいたでしょ?」

魔法使い「あんな特異体が生まれることで進化していったんだと思うわ」

魔法使い「勇者くんもそんな感じのあれなのかも」

125: 2013/09/17(火) 23:10:20 ID:42eFDcoA
魔法使い「まあ、あの白い猿はボスの座を追われたでしょうし」

魔法使い「特異だからって偉いわけじゃないし」

魔法使い「えーと……だから」

魔法使い「今は、あなたが何者でも構わないって思ってるわ」

ゆうしゃ「……そっかぁ」


魔法使い「あら?」

魔法使い「あれは何かしら」

126: 2013/09/17(火) 23:13:30 ID:42eFDcoA
ドドドドドド

大猿A「ウガー!」キラキラ

大猿C「ウホゥ!」キラキラ

白大猿「ウムッ!」ギラギラ

大猿E「ウキーッ!」キラキラ


魔法使い「さ、猿達が全貌の眼差しで追いかけてくるわ!」

ゆうしゃ「あはは、にげよう!」

127: 2013/09/17(火) 23:21:35 ID:42eFDcoA
こうして勇者と魔法使いの旅は始まった

世界が平和であると確信した二人の足は軽やかにすすむ

 ゆうしゃ「うわっ! おもったよりほんきでおいかけてくる!」

 魔法使い「歩幅が違う! めっちゃ速いわあいつら!」

もしこの先に困難が待ち受けていたとしても

二人が越えられぬ障害とはなりえないだろう

 ゆうしゃ「うわー!」

 魔法使い「いやー!」

 大猿A「ウガーッ!」キラキラ

おわり

128: 2013/09/18(水) 00:44:47
乙!面白かった

129: 2013/09/18(水) 06:27:28

引用元: ゆうしゃ「まおうじょうに いくよー」