1: 2013/07/16(火) 21:14:18.94 ID:rph7ZoIN0
P「記憶喪失……ですか?」
菜緒『はい……私たち家族や学校の友達のことは覚えているのですけれど、自分のこと――特にアイドルに関することはみんな忘れているみたいなんです』
P「それはまた……」
菜緒『それで、お医者様から思い出すかもしれないと……』
P「事務所に、ということですか?」
菜緒『はい』
P「本当に記憶喪失なんですか?」
菜緒『はい。少なくとも以前の美希とは別人です』
P「わかりました。ともかくお待ちしてます」
※記憶喪失ネタなので、キャラ崩壊済み。
ヤ、という方は右上の核発射ボタンお願いします。
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373976858
2: 2013/07/16(火) 21:16:03.73 ID:rph7ZoIN0
小鳥「美希ちゃんが……だいじょうぶかしら?」
P「怪我自体はたいしたことないらしいですが……」
社長「うむむ……心配だねぇ……」
プロデューサーの電話が鳴る。
P「はい、えぇ。着きましたか? はい、そうです」
ドアをノックする音、プロデューサー開ける。
菜緒「あ、お久しぶりです、プロデューサーさん」
P「どうも、お久しぶりです……あれ、美希はいっしょじゃ……?」
菜緒「あっ、あの子また……美希! だいじょうぶだからこっち来なさい!」
美希「」コソッ
P「!!!??」
菜緒「ほら、この人がプロデューサーさんよ」
美希「あ、あの……星井美希、です……」モジ
P「す、すみません、ちょっと……あ、どうぞ中に入ってください……」
3: 2013/07/16(火) 21:16:44.51 ID:rph7ZoIN0
社長室に入るプロデューサー。
P「ぶはぁっ!」
社長「ど、どうしたかね、キミぃ!? すごい鼻血だよ!」
P「な、なんですあの美希のしおらしさは!? かわいい! かわいすぎます!」
社長「そ、それほど違っていたのかね?」
P「社長も味わってくるといいです」
社長「うぅむ、にわかには信じがたいが……」
社長室から出る社長、すぐ戻ってくる。
社長「……」ツツー
P「社長、ティッシュどうぞ」
社長「す、すまんね……しかし、あれは反則だよキミぃ……」
P「あれはもう、スケジュール全消去ですね」
社長「う、うむ……ティンとくるどころではない。早く元に戻ってもらわないと、我々も仕事どころではなくなってしまう」
P「知ってますか? 音無さんは既に死んでますよ。ほら、ここまで鼻血が」
社長「と、とにかくこの件はキミに任せた。さぁて私は961プロの牽制にでもいくかなぁ!」
P「ちょ、ちょっと、社長ー!」
社長、窓から飛び降りて退場。
4: 2013/07/16(火) 21:17:47.92 ID:rph7ZoIN0
P「だいじょうぶだ、美希は美希だ。いつもどおりに接すればだいじょうぶさ」
社長室から出るプロデューサー。
P「お待たせしました」
菜緒「ほら、美希、怖がってちゃダメでしょ」
美希「う、うん」
P「美希、転んだらしいけど、怪我はだいじょうぶか?」
美希「は、はい。ケガはないみたいです。でも、記憶が……」
P「それはこれから思い出せばいいさ。ほら、ここが美希の事務所だ」
美希「ここが、私の通っていた……」
P「思い出さないか?」
美希「ごめんなさい……でも、家にいるみたいにすごく落ち着きます。あ、これ……」
P「あぁ、765プロのライブポスターだよ。これがオールスターの1stで……」
美希「わ、わたし……」
P「ん?」
美希「わたし……こんな格好で、は、はずかしい~!」
P「なっ……!」
5: 2013/07/16(火) 21:22:35.34 ID:rph7ZoIN0
美希「私、アイドルのお仕事って、テレビでお話してるんじゃないんですか!?」
菜緒「あー……ごめんなさい、アイドルがどういう仕事かっていうのも忘れちゃってたみたいで……」
P「なんと」
美希「だ、だって、おへそまでこんな……はっ! これがあってことは……」
P「これは本当にアイドルどころじゃないな……」
美希「うぅ……」チラッ
P「ん?」
美希「うぅぅ~!」バッ
P「???」
6: 2013/07/16(火) 21:23:01.13 ID:rph7ZoIN0
菜緒「あの、プロデューサーさん」
P「あ、はい」
菜緒「とりあえず、今日はここに美希をおいていきますので、あとはよろしくお願いしますね」
美希「そ、そんなお姉ちゃん!」
菜緒「ダメよ~、ちゃーんと思い出す努力ぐらいはしないと」
美希「うぅ……」チラッ
P「ん?」
美希「~っ!」バッ
P「???」
菜緒「という訳で、よろしくお願いします」
P「あ、は、はい!」
菜緒「駄々こねるようでしたら、ガッといってバッといってチュッとしてオッケーですから」
P「し、しません!」
菜緒「ふふ、それじゃ失礼しますね」
菜緒、事務所から退場。シナリオからも退場。
7: 2013/07/16(火) 21:23:29.99 ID:rph7ZoIN0
P「ま、まあそんなところでへたれてないで、こっちソファに座ってくれ」
美希「は、はい」
遠慮がちに座る美希、そんなの見たことない。
P「なにか飲むか? たしか冷蔵庫にいちごオレあったな」
美希「い、いえっ、お気遣いなく……」
P(すげぇやりにくい。かわいいし)
美希「」モジ
P「そのソファな」
美希「は、はい!」
P「美希がいつも昼寝してたソファなんだ」
美希「私が?」
P「昼寝もしなくなったのか?」
美希「は、はい……以前の私はいっぱいしていたみたいですけど、今は……」
P「ちなみに、今日は何時に起きたんだ?」
美希「朝5時くらいには……」
P「5時!? え、寝たのは何時だ?」
美希「えと、9時くらいには」
P「健康的すぎる。やよいかっ」
8: 2013/07/16(火) 21:24:11.16 ID:rph7ZoIN0
美希「あ、あの」
P「なんだ?」
美希「その、ちょっと、横になってみてもいいですか?」
P「ん? あぁ、そうだな、何か思いだすかもしれないな」
美希「失礼します……」
P「……どうだ?」
美希「はい、なんだか知っているような気がします……でも、何か物足りないような気も……」
P「あ、たぶん、これだ」
美希「なんですか?」
P「このクッション、よく使っていたよ」
美希「そうなんですか? 少し、お借りします」
P「あぁ。ん、すまん、ちょっと席を外すよ」
美希「はい」
P(美希が記憶喪失だって、みんなに伝えないとな)
美希(なんだろう、ここ、すごく心地良い……私、たしかにここを知ってる……でも、何か足りない……)
9: 2013/07/16(火) 21:24:39.46 ID:rph7ZoIN0
千早「プロデューサー、美希が記憶喪失って、本当ですか!?」
P「おぉ、千早、早かったな」
千早「えぇ、今日は早く目が覚めて……じゃなくて、美希は!?」
P「そこ」
千早「えっ?」
美希「あ、あの……おはようございます」
千早「!!?」プシッ
P「おい、千早、鼻血出てるぞ」
千早「ハッ! す、すみません!」
P「いや、わかる。社長ですらK.O.された」
10: 2013/07/16(火) 21:25:36.54 ID:rph7ZoIN0
千早「本当に、美希なのよね?」
美希「は、はい。星井美希です……ごめんなさい」
千早「あ、謝ることなんてないわ! むしろなんというか、その……いいわ!」
P「鼻血注意のメールも送っておくか……」
美希「あなたも……その、アイドルなんですか?」
千早「そうよ、如月千早。美希からは……そう、千早お姉ちゃんと呼ばれていたわ!」
P「おい」
美希「千早……お姉ちゃん?」
千早「ゴザァッ!!」ブシュゥ!
P「お、おい、千早ァーッ!」
11: 2013/07/16(火) 21:26:30.50 ID:rph7ZoIN0
美希「春香お姉ちゃん?」
春香「ヴァイッ!」ブシッ
美希「雪歩お姉ちゃん?」
雪歩「ぽえっ!」シュブッ
美希「真お姉ちゃん?」
真「まきょぉっ!」マッコマッコリーン
美希「貴音お姉ちゃん?」
貴音「しじょっ!」ブッシャァ
美希「あずさお姉ちゃん?」
あずさ「あっらー」ドタプシャァ
美希「やよいちゃん?」
やよい「うっうー!」ヨロコビ
美希「亜美ちゃん?」
亜美「とか!」グッ
美希「真美ちゃん?」
真美「ちー!」ガッ
美希「デコちゃん?」
伊織「なんでよ!?」ペカッ
12: 2013/07/16(火) 21:26:58.06 ID:rph7ZoIN0
亜美「せっかくだからりっちゃんも呼んでもらいなよー」
律子「わ、私はいいわよ、別に……」
美希「あ……あぅ」
P「どうした、美希?」
美希「そ、その……なんだか、こわい、です……」
律子「――」
亜美「あー……」
真美「普段厳しくしてきたケツがまわってきたねぇ」
律子「い、いいわよ、別に……ぐすん」
P「あー、美希、ちょい耳」
美希「はい……はい、えっと……いつもありがとうございます、律子おねえちゃん」
律子「――!? み、美希ぃ~!」ダバー
P「ハハハ……」
美希「……?」ホワッ
13: 2013/07/16(火) 21:28:36.06 ID:rph7ZoIN0
美希(なんだろう、この人の傍にいると、ポカポカしてくる……この人の手……これが……)
ぎゅっ
P「わっ!」
美希「――! ご、ごめんなさい!」
P「い、いや、こっちこそスマン。びっくりしただけだ」
美希「ち、違います! 私こそ勝手に……ぷ、プロデューサーさんの腕が、その……今、すごくふわって……あ、あの……」
P「な、なんだ?」
美希「……おにいちゃん?」
P「」パリン!
亜美「に、兄ちゃんの眼鏡が……」
真美「割れた……!」
20: 2013/07/17(水) 01:01:18.34 ID:+zpMQN610
閉め切られた社長室。灯りはランタン。
春香「さて、みんなに集まってもらったのは他でもないよ」
真「美希のことだね?」
真美「このままじゃヤバイね」
亜美「ぶつりタイプがいきなりとくこうタイプに進化したからね」
真美「ゆきぴょんとやよいっちを足して2で掛けたみたいな破壊力だからね」
雪歩「でも、今の美希ちゃんも、すっごくかわいいよ」
響「たしかにあの美希は捨てがたいけれど」
春香「私たちには、それ以上に守らなければならないものがあるんだよ。仲間だもんね」
伊織「いったい、ナニ仲間なのかしらねぇ」
貴音「それで、具体的に何をするというのですか?」
亜美「そりゃー、ミキミキの記憶を取り戻すんだよ!」
千早「どうやって?」
真美「あぅ」
21: 2013/07/17(水) 01:04:32.41 ID:+zpMQN610
あずさ「たしか、頭を打ったって言ったわねぇ……」
響「じゃあ、もう一回頭を打てば……」
伊織「殺人に発展しそうだからやめてほしいわ」
真「うーん、偶然を装って……」
春香「偶然かぁ……」
千早「……」
春香「ん? なに、千早ちゃん?」
真「……」
春香「え? 真もなに?」
真美「……」
亜美「……」
春香「え? え?」
雪歩「……」
貴音「……」
伊織「……」
響「……」
あずさ「……」
春香「…………わたし?」
律子とやよいは出かけてます。Pが出れないから。
22: 2013/07/17(水) 01:05:14.53 ID:+zpMQN610
同じ時間。テレビの前。美希のライブ映像。
美希「これが、私……?」
P「あぁ、アイドルの美希だ」
美希「すごい……」
P「思い出さないか?」
美希「……ごめんなさい」
P「そうか、まあ、無理しなくていいさ」
美希「あの……」
P「なんだ?」
美希「プロデューサーさんにとって、私はどんな子でしたか?」
P「そうだなぁ……すぐに寝て、練習しなくて、敬語も使えない時のほうが多かったなぁ……」
美希「す、すごくご迷惑をかけていたみたいで……」
P「でもな」
美希「?」
P「ステージに立つ時、美希は誰よりも輝こうとしていた」
美希「!」
23: 2013/07/17(水) 01:06:32.50 ID:+zpMQN610
P「きっと、唯一本気になれること。それが美希にとってのアイドルだったんだと思う」
美希「……」
P「誰よりも強く、まっすぐに、自分を世界に向けて訴えていた。それが美希の力で、みんなを引きつけていたんだと思う」
美希「私は、そんなにすごい子だったんですか……?」
P「あぁ」
美希「あの……わたし……」
春香「プッロデュッサーッさーん! お茶もってきましたよー! お茶ー!」
亜美(いっけぇぇー! はるるん!)
P「お、おい春香! お前事務所で走ったら――」
ガッ!
24: 2013/07/17(水) 01:07:27.98 ID:+zpMQN610
春香「あっ! うわぁぁ!」
千早(――早いわ!)
真(あれじゃあ美希まで届かない!)
バーン!!
美希「!!」
春香「アツゥイ!!」ビシャー
響(あれは!)
真美(はるるんの手から飛んだおぼんがミキミキに!)
貴音(さすが春香! ドジを完全に操る面妖な女!)
あずさ(美希ちゃん、だいじょうぶかしら……)
伊織(誰か春香の心配もしなさいよ……)
美希「……」
P「だ、だいじょうぶか、美希?」
美希「ひ、ひぐっ……えぅぅ……」
((((!!!!!????)))))
25: 2013/07/17(水) 01:08:00.81 ID:+zpMQN610
亜美(な、泣いたー!?)
真美(どうすんの!? 泣いちゃったよ、ミキミキ!)
真(まさか、あそこまで打たれ弱くなっていたなんて!)
響(雪歩以上の豆腐メンタルだぞ!)
雪歩(あぅぅぅ~)
春香「ご、ごめんね、美希! だいじょうぶ!?」
美希「ひぐっ、ぐすっ……」
P「痛いか? たんこぶとかできてないか?」
春香「ひ、冷やすもの持ってきます!」
美希「だ、だいじょうぶです……ちょっと、びっくりしただけで……」
春香「ほ、ほんとに……?」
美希「そ、それより、春香さんこそ、びしょぬれで……拭かないと風邪ひいちゃいます……」ニコッ
春香「――!!」アマミハルカデスッ!
亜美(は、はるるんが……)
春香「み、美希ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」ガバチュ
真美(墜ちたーーーーー!!)
36: 2013/07/21(日) 00:36:29.72 ID:GW0vvq/q0
765プロ。レッスン場。
美希「きゃっ!」
どん
美希「あぅっ!」
がら
美希「あっ――」
がっしゃーん
響「あちゃー……」
千早「だいじょうぶ、美希?」
美希「は、はい……」
響「う~ん、ダンスの記憶もさっぱいないのか」
美希「……ごめんなさい」
千早「もしかして、歌や演技とかも忘れているんじゃないのかしら……?」
美希「……そうかもしれません」
千早「テストしてみましょう。美希、あなたの曲よ」
37: 2013/07/21(日) 00:37:00.78 ID:GW0vvq/q0
ふるふるフューチャーを歌う美希。
響「どう、千早?」
千早「音程やリズムは問題ないと思うわ。でも……」
響「でも?」
千早「言ってしまうと、美希の歌じゃないのよね」
響「あ、それは自分も思ったぞ。美希らしくないなぁって」
美希「実は昨日、プロデューサーさんからライブの映像を見せてもらって、そんな風に歌えばいいかなって……」
千早「……そう」
響「千早?」
千早「今の美希は前の美希を模倣しているだけ……本来あったはずの美希の気持ちがそっくり欠けているのよ」
美希「私の、気持ち……?」
響「千早、それって……」
38: 2013/07/21(日) 00:37:29.28 ID:GW0vvq/q0
千早「美希が誰のために歌って、誰のためにアイドルを続けていたのか……それは……」
響「千早! ちょっと待ってよ!」
千早「でも、やはり美希のことを思い出すためには……」
美希「プロデューサーさん、ですか……?」
千早「!?」
美希「その……私の部屋に写真が……プロデューサーさんと写ってハニーって……携帯も、手帳も……」
響「あー……たしかに美希ならやりかねないなー……」
美希「やっぱり、私はプロデューサーさんを好き、だったんですか?」
千早「そうね……誰の目にもわかるくらいに」
美希「でも、アイドルは恋愛禁止で……」
千早「そうね。だから美希は……」
レッスン場のドアが開く。
P「おっす。三人とも、調子はどうだ?」
「「「!」」」
39: 2013/07/21(日) 00:38:49.05 ID:GW0vvq/q0
P「美希、調子はどうだ? ダンスは出来てるか?」
美希「プ、プロデューサーさん……」
(私は星井美希)
(ミキは、プロデューサーが好き)
(私はアイドル)
(プロデューサーがミキのハニー)
(アイドルなのに)
P「おい、美希?」
美希「いやっ!」
パシンッ!
P「!?」
千早「美希!?」
美希「いやあああああああああああああ!!」
響「あっ! 美希!!」
美希、頭を抱えてしゃがみこむ。響と千早が支える。
40: 2013/07/21(日) 00:39:22.86 ID:GW0vvq/q0
事務所。プロデューサーと千早。
P「そうか……余計なことしちゃったんだな、俺……」
千早「いえ、プロデューサーのせいではありません。私が勝手に話をしてしまったのが良くなかったんです」
響、入場。
P「響、美希はどうだ?」
響「今は落ち着いて、寝てるよ」
P「そうか……ありがとう」
響「ううん。これから美希、どうするんだ?」
千早「少なくとも、アイドルとして活動はできなさそうですね」
響「アイドル、やめちゃうのか……?」
P「それは、俺じゃ決められない。しばらくは活動休止にして、社長や家族の人と相談しないと……」
携帯『イキテクツヨサヲォーカサネアワセェーアイニイキルゥーウッウー』
P「はい、どうした、雪歩?」
雪歩『あ、あの今、事務所の近くまで来てて、その、美希が走って行っちゃうのを見たんですけれど……』
P「なんだって!?」
プロデューサー、退場し、すぐに戻ってくる。
P「しまった!」
響「いなくなっちゃのか!?」
P「あぁ!」
響「そんな……! さっきまで……」
P「雪歩! 美希はどこに向かった!?」
雪歩『え、えっと……』
41: 2013/07/21(日) 00:39:52.46 ID:GW0vvq/q0
商店街。ジャージ姿の美希。
美希「私、どうしたら……」
『大人気コーナー! 星井美希の先週のジョーシキ非ジョーシキ!』
美希「!」ビクッ
『今週はねー、キラッ☆ってして、あはっ☆なカンジ?』
美希「前の私……プロデューサーさんが好きなのに、アイドルやっていた……」
『ミキ的にはー、帽子が欲しい気分かな?』
美希(私じゃないわたし……ミキ……)
「お、おい、あれ星井美希じゃね?」
美希「!」ビクッ
「ホントだよ、絶対そうだって!」
「ホントだ!」
美希「え、あ、あの」
「サインください!」
「握手してください!」
美希「あ、あの、私は……」
「星井美希だって!」
「ホント!?」
「マジ!?」
美希「ご、ごめんなさい!」
人だかりから逃げる。
42: 2013/07/21(日) 00:40:21.86 ID:GW0vvq/q0
公園。息を切らした美希。
美希「はあ、はあ……」
(歌って、踊って、はずかしい格好もして……さっきみたいにたくさんの人に追いかけられて……)
美希「わたし……できないよぉ……」
「グワッ」
美希「……?」
公園の池に鴨。
「グワッ」
美希「いいなぁ……」
(私も、あんな風にゆったりと生きられたら……)
「ねぇねぇ、キミ、星井美希ちゃんだよねぇ?」
美希「きゃあっ!」
「やべー、本物だよモノホン」
「マブい! 超マブいんだけどぉ!」
43: 2013/07/21(日) 00:41:00.43 ID:GW0vvq/q0
「ねぇねぇ、星井美希ちゃんだよねぇ?」
美希「はぃ、い、いえ、違います……」
「ウッソだー! 本物だよぜってー本物!」
「なぁなぁ、俺のこの二等辺三角形のリーゼント見てくれよ、こいつをどう思う?」
美希「すごく……尖ってます」
「ヒューッ!」
「ヤベー! チョーマブい! チョマチョブ!!」
「でも美希ちゃんテレビとぜんぜんちがくね?」
「バッカ、じゃないからだろ。こっちが素なんだよきっと」
「やべー、ギャップ萌えー」
美希「ひ、ひっ……」
「おぉっと逃がさないぜぇ」
「俺たちとカラオケ行こうぜぇ」
「そんで米米クラブの浪漫飛行とか歌おうぜぇ」
「ブランキーのわるいひとたちとかもデュエットしようぜぇ」
美希「う、うぅ……」
「美希ぃぃぃ!」
美希「!」
44: 2013/07/21(日) 00:41:28.53 ID:GW0vvq/q0
プロデューサー、登場。
P「美希! だいじょうぶか!?」
美希「プロデューサーさん!」
「プロデューサー? じゃあホントに美希ちゃん?」
P「はい、765プロのプロデューサーです。美希を返していただけませんか?」
「やだー」
「これからカラオケ行くんだもーん」
「俺たちはこれから美希ちゃんと惑星のランデブーだもんねー」
「プラネットパトロールしちゃうもんねー」
P「強硬な手段を取らせてもらうこともありますよ」
「どんなー?」
「おせーてー?」
45: 2013/07/21(日) 00:41:59.39 ID:GW0vvq/q0
P「765プロは水瀬財閥と懇意にさせていただいています。電話一本で水瀬セキュリティーの者が来ます」
「げぇっ! 水瀬!」
「水瀬セキュリティーって言ったら!」
「絶対安心・家内安全・一族安泰でおなじみの水瀬セキュリティー!」
「やべぇよ、やべぇよ……」
「じゃ、じゃあ、せめて握手してください!」
美希「あ、は、はい……」
「一生の思い出にします!」
「これで真面目に生きられます!」
「東大合格できます!」
美希「は、はい……がんばってください……」
46: 2013/07/21(日) 00:43:59.37 ID:GW0vvq/q0
P「落ち着いたか?」
美希「はい……」
P「気を付けないと、美希はアイドルなんだから、ジャージのままなんかで出かけたらすぐにバレちゃうぞ」
美希「どうして……」
P「ん?」
美希「どうして、私の場所がわかったんですか?」
P「わかった訳じゃないよ」
美希「それじゃあ……」
P「……ここで、美希と約束したからな」
美希「やくそく……?」
P「美希をトップアイドルにして、キラキラさせてやるって」
47: 2013/07/21(日) 00:44:31.68 ID:GW0vvq/q0
美希「それは……前の私との約束ですよね」
P「そうだけど……俺にとっては美希は美希だよ」
美希「でも、私にアイドルなんて……」
P「……ちょっと都合よく考えちゃうけどな。今の美希がやりたいことを応援する、じゃダメか?」
美希「私の、やりたいこと?」
P「前の美希はやりたいことがなくて、きっとアイドルなら人生おもしろくなるかもしれないって思って、デビューしたんだよ。たぶん、生きがいを探していたんだよ」
美希「生きがい……」
P「今の美希も、前の美希もスタートラインは同じなんだよ。アイドルじゃなくていい。ダンスがダメならモデルや歌だけでもいい。何か、思いっきり別のことでもいいさ――それを765プロで探してほしいんだ」
美希「プロデューサーさん……」
P「それなら、俺にも手伝えるしな、はは」
「ばぅわぅ!」
P「うわっ! い、いぬ美か?」
「ばぅわぅ!」
P「ってことは」
「「「「プロデューサー! 美希ー!!」」」」
美希「みなさん……」
P「頼むから、いなくならないでくれよ」
美希「……」
P「みんな、お前が好きなんだからさ」
美希「……はいっ!」
「グワッ」
48: 2013/07/21(日) 00:45:02.99 ID:GW0vvq/q0
765プロ前。箒を持つやよいと美希。
やよい「うっうー! 美希さんとお掃除なんて初めてでなんだか楽しいですー!」
美希「ふふ、ありがとう、やよいちゃん。しばらくまたお世話になるからね」
やよい「うぅ、じゃあじゃあ、やっぱりアイドルやめちゃうんですかぁ?」
美希「それはわからないかな。やっぱりアイドルが一番かもしれないし……あ、でも、なりたいものなら見つかったかな」
やよい「え、なんですかぁー?」
美希「は、恥ずかしいから、耳かして……」
やよい「はいー」
美希「えっと……お・よ・め・さん」
やよい「え……えええぇぇぇぇー!!」
美希「あはっ☆」
――おわり。
49: 2013/07/21(日) 00:50:04.53 ID:GW0vvq/q0
ED:生きてく強さ So:GLAY
おつかれ。
百万通りの解釈ができる終わらせ方です。
本編はむしろこれからな気がするけど、もうゴールしてもいいよね。
次は貴音か、あずささん。
貴音は短い。一発ネタを二つやる感じ。
あずささんはこれとおなじくらいか。
あずささんは誕生日に間に合わせたかったけどね。
響は……うん、ごめん。
50: 2013/07/21(日) 00:53:06.68 ID:GW0vvq/q0
あと今さらなんだけどねぇ。
この記憶なくした美希ねぇ。
完全に雪歩なんだよなぁ……。
51: 2013/07/21(日) 02:39:16.08
雪歩はもっと前向きでパワフルで芯が強いと思う
52: 2013/07/21(日) 11:48:39.70
おつー
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります