1: 2012/03/08(木) 20:28:56.05 ID:ewHLZLHH0
このスレはおっさんが立てました
元ネタを知らない若人はこんな所にいないで他のスレへ向かってください

P「……もう一度お願いします」

社長「うちで新しいドラマを作る事は前々から話してたよね」

P「はい、でも脚本がなかなか仕上がらないんで頓挫したと聞きました」

社長「そうだ、だがついこの間無事に書きあがってこれから撮影に入るんだ」

P「……それは大体理解できました。それで、なぜこのタイトルなのですか?」

社長「それはもちろん、モデルが君だからだよ」

P「マジデカ?」

社長「さぁ、早くロケ地に行かないと!」

P「な、社長! ……分かりましたよ、後で細かい事を教えてもらいますからね!」

2: 2012/03/08(木) 20:31:55.36
懐かしすぎワロタ

5: 2012/03/08(木) 20:37:13.47 ID:ewHLZLHH0
P「全く、あの社長は……」

俺がモデル、この言葉は恐らく俺は昔から転校を繰り返したことが元となっているのだろう

P「まずは……春香からか……ロケ地は青森……」

呆れた顔で空港に向かうとすぐさま青森行きの便に飛び乗った

P「青森かぁ……」

窓の外を眺めているうちに気が付けばあっという間に青森へと付いてしまった
そしてすぐさまバスに乗り、ロケ地を目指す

P「相変わらずだな、ここは」

春香「プロデューサーさーん!」

P「おっ、どうだ、撮影は!」

春香「はい、順調ですよ!」

7: 2012/03/08(木) 20:43:08.31 ID:ewHLZLHH0
春香「でも、お味噌汁が上手くいかなくて」

P「味噌汁ねぇ……」

春香「いつもお母さんと作っているんですけどここに来てからこう……」

P「しっくり来ないのか?」

春香「はい……」

味噌汁かぁ… そういえば味噌汁が上手くいったら……なんだたっけ?

P「うーん、参ったなぁ……」

春香「とりあえずプロデューサーさんも飲んでみてください。何かが足りないと思うんですが…」

P「そうだな、いっぱい貰うよ。ついでにおにぎりがあったらくれ」

春香「あっ、はい!」

9: 2012/03/08(木) 20:48:33.32 ID:ewHLZLHH0
春香「どうぞ」

春香が味噌汁を持ってきた。出来立てなのか湯気が立っている。具はワカメと豆腐だ

P「頂きます」(ズズッ)

……正直言って美味いとは思えなかった
別に不味すぎるわけじゃないがもう一つ何かが欲しい、なんだろう?

春香「どうですか?」

P「もう一つだな」

春香「そうですか……」

俺がそういうと春香は少し腕を組んで考え始めた

春香「…プロデューサーさん、何かヒントを下さい」

P「ヒント? 俺だって何が足りないのか分からないぞ」

春香「社長が言ってました、このドラマに詰まったらプロデューサーさんに昔の事を聞けって」

P「昔の事ねぇ……」

俺はゆっくりと思い出を掘り起こし始めた

10: 2012/03/08(木) 20:54:19.68 ID:ewHLZLHH0
俺がまだ小学校4年生だった頃だ。
俺の家族は古い酒屋の二階に間借をしていたんだ
いわゆるマスオさんみたいなもんだ
ンで、その酒屋の奥さんがなかなか太っ腹、というか出来た人で
両親が帰ってくるのが遅い日に毎回食事を作ってもらったんだ

??「はい、お味噌汁」

そうだ、その時毎回女の子に味噌汁を持ってもらってた
お母さんに似てとても世話焼きな子だったな

春香「世話焼き……私と同じですね!」

P「いや、どこが?」

春香「……」

P「それでどうだったんだっけ?」

春香「覚えてないんですか?」

P「ああ」

13: 2012/03/08(木) 21:00:36.47 ID:ewHLZLHH0
春香「それでそのまま転校をして女の子とはそれっきりなんですか?」

P「ああ……いや、ちょっと待て。確か転校する前になんかがあったんだ」

春香「何か、ですか?」

P「ええっと、そうだ、わざわざ鉄橋のそばで怒られたんだ」

春香「お、怒られた!?」

P「ああ、転校の当日にあの子が来なくてな。姿が見えなくて心配していたんだが……」

春香「もう少し詳しく話してくれませんか?」

そうだな、俺は転校をする一週間前辺りを思い出そうとしてみた

15: 2012/03/08(木) 21:06:04.09 ID:ewHLZLHH0
転校をする一週間前ほどだ

俺と女の子は毎回登下校が一緒だった。

正確に言えばいつも通りにやってたことが最近はなんか恥ずかしかったな、うん

その頃になるとなんか男女の境でなんかもやもやした言いようの無い雰囲気が漂っていたんだ

そんなある日の事だ、黒板にデカデカと相合傘が書かれていて

そこに俺と女の子の名前が書かれていた

クラスのガキ大将曰く「おしどり夫婦!」だの「ラブラブカップル!」だの散々はやし立てられたな

俺は彼女の名誉を守る為に「こんなの違う!」と叫んで黒板けしで消したんだ

向こうも向こうで同じように「勝手に決めないで!」とかなんとか

そんで、転校をする前日までずっと別々に登下校をしたんだ……

春香「……プロデューサーさんにもこどもの頃があったんですね」

P「当たり前だ、こどもの頃が無い奴ってどんなヤツだ」

春香「社長とか?」

P「……樹の股から生まれたわけじゃないだろ」

17: 2012/03/08(木) 21:12:01.28 ID:ewHLZLHH0
春香「……プロデューサーさん、その子の事、好きでしたか?」

P「なんだよ、藪から棒に」

春香「いいから、答えてください」

P「……わからん、だが、とても大事だって事はあのころから変わってない」

春香「ふーん、なるほど」

P「……何が足りないか分かったか?」

春香「参考にはなりましたよ! ところで良いんですか?」

P「何が?」

春香「みんなの所を回るつもりじゃなかったんですか?」

P「いや、そういうつもりは……」

春香「駄目ですよ! プロデューサーさんがしっかりしないと皆が困ります!」

P「わかったよ、じゃあ他の所に向かうけど…しっかりやれよ、春香。くれぐれもドジをしないように」

春香「あ、当たり前じゃないですか! じゃあ私撮影があるので…」ドンガラガッシャン

俺はそんな春香をみながら一路、千早がいる町へと向かった

23: 2012/03/08(木) 21:19:38.24 ID:ewHLZLHH0
P「長崎かぁ……」

俺は千早がいる長崎へとやってきた。

どうでもいいがちゃんぽんが食いたくなってきた。

カステラでも買って小鳥さんにおすそ分けも良いなぁ…

P「千早は……多目的ホールか」

俺は足早に千早のロケ地へと向かった

P「相変わらずでっかいな」

ここに来るのはもう十年以上昔に感じる
俺は警備員に身分証明書を見せ、中へと入った

P「おお、やってるな」

そこには必氏の形相で演技をしている千早がいた

スタッフ「はい、OKです!」

スタッフがカチンコを鳴らすと俺は千早のほうへ歩いていった

24: 2012/03/08(木) 21:23:56.37 ID:ewHLZLHH0
P「なかなか良い演技だったぞ、千早」

千早「プロデューサー!」

P「どうだ、このまま女優にシフトっていうのは?」

千早「やめておきます、私は歌が好きですから」

そう笑顔でいう千早はとても可愛い
普段は他人に厳しい彼女も笑うととても可愛かったな

千早「それで、プロデューサーは何故ここに?」

P「ああ、春香にせがまれて一応見回りにな」

千早「もう、春香ったら……」

P「それで、どうだ?」

千早「どうだって?」

P「演技の方だ、うまく行ってるんだろ?」

千早「演技は上手くいってると思ってます、しかし……」

P「なんだよ、まさかスタッフの奴らに」

千早「そうじゃありません、与えられた役がどうにもしっくり来ないんです」

25: 2012/03/08(木) 21:28:54.15 ID:ewHLZLHH0
P「しっくり来ない? 春香も似たようなこといってたな」

千早「というよりも役にのめりこめていない、というのが実情ですね」

P「そうか、でもお前は歌が……」

千早「プロデューサー!」

P「な、なんでしょうか!?」

千早「歌だろうと演技だろうと気持ちが入っていないものは見ている人への侮辱ですよ!」

P「は、はい……」

千早「……だから、プロデューサーの昔話をしてください。役にのめりこむ為に」

P「別に良いけど……長いぞ」

千早「別にかまいません」

P「そういってくれると助かる」

俺は再びこの長崎での事を思い出し始めた

28: 2012/03/08(木) 21:38:55.93 ID:ewHLZLHH0
俺がこの長崎に来たのはおおよそ中二の秋だった

当時の俺はまだ学校になれて無くてな、右に左にと 夢遊病者のように彷徨っていた

んで、移動教室が終わって下校時刻になった。今日もまた当たり前のように学校の中を彷徨っていた

廊下をフラフラ歩いているとなんか凄い音楽が聞こえてきた

一人の女の子が顔をしかめてバイオリンを弾いていたんだ

思わず拍手をしながら部屋の中に入って「すごい」と褒めた

でも女の子は俺を歓迎していないようだった、まあ、練習の最中だったのもあるんだろう。

「どこが良かった?」 何て聞いてきた。

俺は「分からない! でも凄くて素敵!」と答えた!

千早「……プロデューサー……」

P「いや、そんな呆れた顔をされても困るんだが…」

千早(私だけじゃないんですね)

P何か言ったか?」

千早「いえ、なんでもありません」

34: 2012/03/08(木) 21:46:53.84 ID:ewHLZLHH0
まあ、その答えが気に入ったのか分からんが期限は少し良くなったな

もっとも、その時の俺はバイオリンがとても弾いてみたくてな

女の子にバイオリンを弾かせてくれと頼み込んだんだ

千早「プロデューサー、それ無茶すぎませんか? バイオリンってかなりの値段がするんですよ」

P「分かってる、あん時の俺は若かった!」

向こうは少し呆れた顔して、今日は練習するけど明日ならいいと言ってくれた

こうして俺たちは彼女の個人レッスンを受けることになった

千早「楽しかったですか?」

P「どうなんだろうな? 音を出すのに3週間もかかったぞ」

千早「そんなに?」

P「とにもかくにも音を出そうと必氏でな、額に汗をかくぐらいひどかったな」

千早「ふふっ」

P「笑うな、とにかく俺たちは楽しいひと時を過ごしたわけだ」

35: 2012/03/08(木) 21:55:38.22 ID:ewHLZLHH0
んで、月日は流れて三月が終るか終わらない頃か、彼女のコンクールがあったんだ

でも最悪なことにその日は俺が転校する日だった。

俺は親に土下座をした、せめてコンクールが終わる明日にしてくれと

だが、現実は無常でな、引越しの日は覆らなかった

仕方なく俺は花束とメッセージカードを彼女の楽屋において去るしかなかった

千早「聴いたんですか? 彼女の演奏」

P「当たり前だ、練習の数十倍、いや、数百倍凄かった」

千早「……胸に残る音楽……」

P「…参考に…」

千早「ええ、あんまりなりませんでしたね」

P「くっ…」

千早「でもいい気分転換になりました、ありがとうございます」

P「いや、良いってことよ」

俺は席を立つと長崎を後にした

36: 2012/03/08(木) 22:00:44.88 ID:ewHLZLHH0
P「やれやれ、大阪は相変わらずだな」

仕事で来た事はあるとはいえどうにも道になれない

当たり前か、俺は真がいるロケ地へと向かっている

P「スポーツ少女、真に合いすぎだろ?」

鉄板過ぎてどうにも面白くない

P「ここか!?」

俺は甲子園球場、ではなく競技場へと来ていた。

P「さて、真は……」

俺が辺りを見渡していると一人の少女が走っていた、あれは……真だ!

Pおーい、真!」

真「あっ、プロデューサー!」

37: 2012/03/08(木) 22:06:02.09 ID:ewHLZLHH0
P「何だ、撮影中か?」

真「いえ、個人的な趣味です」

P「趣味?」

真「はい、なんか広くてここで色んな人が走ったんだなって思うといてもたってもいられなくて」

P「ふーん」

真「どうしたんですか、その気の無い返事は」

P「だって、俺にとってこの場所は……」

真「場所は?」

P「……いいだろ、そんなことは」

真「途中で切るなんてひどいですよ! 全部言ってください!」

P「個人的に良心の呵責にせき立てられる場所なんだよ!」

真「? 何か悪いことで押したんですか?」

P「……ああ」

真「それなら話してくださいよ、別に怒るつもりはありませんから」

P「そう言って律子に何遍も怒られた経験があるからなぁ……まあ、いいか」

39: 2012/03/08(木) 22:17:28.09 ID:ewHLZLHH0
事の発端は校庭を走ってるあの子に目が奪われたからだ

あの直向さに俺は心を打たれたのだ

真「なんか、妙に詩人ですね」

P「事実なんだから仕方が無い」

俺は彼女に声をかけた、走ってるのが楽しいのかと、彼女は大きく頷いた

次の日、俺と彼女は同じクラスになった

真「え?どういうことなんですか?」

P「いや、恥ずかしい話なんだが……来る時間帯を間違えてな…」

真「なるほど、良く分かりました」

そんでそのときに小学校別の運動会みたいな物があってな

真「小学生選抜陸上大会ですね」

…それでリレーの選手がなかなか決まらなかったんだ

そこで仕方なく、いや、もっと打算的だなクラスに溶け込むためにそのリレーに立候補したんだ

真「ええ!? プロデューサーってかなりの運動音痴ですよね!?」

P「みなまで言うな、恥ずかしいだろうが!」

42: 2012/03/08(木) 22:24:02.43 ID:ewHLZLHH0
女子の方は当然、あの子だった

運動音痴で通っている俺だったがやる以上手は抜かない

彼女と一緒に毎日練習したんだ、朝と放課後

真「なるほど、プロデューサーの辛抱強さはここにあるんですね」

P「案外家系的なものかもしれないけどな」

練習の最中にクラスの奴らがたまに見に来るんだ

最初は冷やかしばっかだったが気が付けばなんか応援団が出てきた

真「凄いじゃないですか! プロデューサーの直向さがクラスを動かしたってことですよ」

P「そうなら良いんだがなぁ…」

んで、ついに本番当日! 俺は転校することになった

真「ええええええええ!?」


43: 2012/03/08(木) 22:31:45.58 ID:ewHLZLHH0
真「ど、どうしてですか!?」

P「いろんなことが急に決まったんだ。いきなり荷造りをして、いきなり部屋を引き払って…」

真「それで大会は?」

P「代理を頼んだ。俺よりも速いクラスの奴に。ぶっちゃけて言えば土下座もした」

真「はぁ…・・・・」

P「俺は出たかった、負けてもいいしみっともなくてもかまわない、出れないって本当に悔しいぞ」

真「プロデューサー……」

P「俺はそんな悔しい思いをしながら電車に乗ったんだ…それと同時にあの子への裏切りをした自分を恥じた」

真「それがプロデューサーのトラウマなんですか」

P「ああ……もう少しなんとかなんないかな、と思ってる」

真「じゃあ、プロデューサー、走りましょう!」

P「え?」

真「あの思いを引きずったままじゃ皆にも迷惑がかかります、だから走りましょう」

P「そうだな」

俺はトラックを軽く一周した後、次のロケ地へと向かった

47: 2012/03/08(木) 22:56:37.29 ID:ewHLZLHH0


P「今度は北海道か……」

俺は辺りを見渡す、広い草原が床までも広がっている

P「ジンギスカンのなべっていくらすんのかな?」

俺はそんな事を考えながら雪歩がいる牧場へを向かった

P「雪歩はっと……」

雪歩「プ、プロデューサァァ・・・・」

どこからとも鳴く雪歩の声が聞こえてくる、辺りを見渡しても誰もいない

P「どこだ? どこにいるんだ?」

雪歩「こ、ここですー!」

雪歩は自分が掘った穴の中に隠れていた

P「何やってるんだ、そこで」

雪歩「馬に乗れって監督が・・・!」

馬か……

49: 2012/03/08(木) 23:02:50.84 ID:ewHLZLHH0
俺は雪歩の襟首を掴むと馬の方へと歩いていく

雪歩「プ、プロデューサァァ! や、やっぱり私!」

P「大丈夫だ、触ってみろ」

雪歩「で、でもぉ……」

P「噛んだら俺が一生面倒見てやる、だから触ってみろ…」

雪歩「わ、分かりました」

雪歩が恐る恐る馬をなでると馬は軽くないただけで雪歩のほうへ身体を摺り寄せた

雪歩「あっ…」

P「ほら、大丈夫だった」

雪歩「はい……」

P「このまま馬に乗ってみろ、いい絵が取れると思うぞ」

雪歩「え? はい!」

雪歩は調子に乗ったのかそのまま馬に跨る

雪歩「……すごい……」

P「いいぞ、雪歩」

50: 2012/03/08(木) 23:09:17.29 ID:ewHLZLHH0
結局、雪歩はハイテンションを維持したままあっさりと撮影は終了

雪歩「お疲れ様でした」

P「ああ、お疲れ」

雪歩「それにしてもプロデューサーって動物が好きなんですか?」

P「いや?」

雪歩「でも普通、馬に触れって言われても戸惑いますよ」

P「まあな、俺は馬には前歴があるから」

雪歩「前歴……まさか、馬をプロデュースしたんですか?」

P「俺は人間、しかも女の子限定だ」

雪歩「じゃ、じゃあ……」

P「馬が好きな子が居たんだよ、性格もかなり雪歩に似てたな」

雪歩「ええ!? ど、どんな子ですか?」

P「どんな子といわれてもなぁ…普通の子だよ……」

俺はゆっくりと北海道の話を掘り返した

52: 2012/03/08(木) 23:16:47.52 ID:ewHLZLHH0
北海道といえば痛い思いでしかなかった

雪歩「痛い思い出」

P「骨折したんだよ、俺」

雪歩「ええ!?」

原因は簡単、女の子を助けたから

雪歩「プロデューサー、いくらなんでも嘘はいけないと思います」

P「いや、本当だって! 俺は助けたんだ! 信じてくれ」

雪歩「それを馬と何の関係があるんですか?」

まず、馬が好きな女の子がいた。自然体験学習でなんと馬に乗れることに!

女の子は率先して馬に乗った! だが、こういうときに必ずアホなガキがいたずらをしてな

雪歩「いたずら?」

P「馬の尻尾を思い切り引っ張ったんだよ」

そのいたずらのせいで馬は驚き、女の子は地面にまっ逆さま!

雪歩「ええ! 結構高さがありましたよ!」

P「うん、俺も後で乗ってみたけど結構高いんだよな、馬って奴は」

53: 2012/03/08(木) 23:23:55.85 ID:ewHLZLHH0
あわやという時に俺登場! 女の子を身を呈して庇った!

雪歩「す、凄いです! プロデューサーにそんな勇気があるなんて!」

P「意外と腹黒いですね、雪歩さん」

だが、俺はうっかり足を折ってしまう。名誉の負傷というヤツだな

雪歩「女の子の方はどうだったんですか?」

P「怪我一つ無かったよ、でもなぁ……」

病院に運ばれた俺、しかし……やることが全く無い!

雪歩「勉強は?」

P「するつもりは毛頭無い」

ンで、暇を持て余し始めた頃にあの女の子が来たんだよ。お見舞いの花と日記帳をもってな

雪歩「日記帳、ですか?」

P「ああ、実はこれ交換日記だったんだ」

初めは単なる連絡帳だと思ってたから読んですぐ置いたな

文字も少なかったし、書いてあることも女の子の事ばかりだ

一体何の意味があるのか、と考え出した頃だ

54: 2012/03/08(木) 23:32:52.75 ID:ewHLZLHH0
女の子にこういわれたんだ、あなたも書いてって

雪歩「プロデューサー……」

P「そんな顔で見るな、言われるまで全く気が付かなかったんだから仕方がない」

んで、俺も何かを書くわけだが…正直言って何を書けばいいのか分からなかった

書くことなんて病院食の話や同室の爺さんの話、テレビの話を一、二行書くだけだった

雪歩「ひどいですね、プロデューサー」

P「あー、もうしょうがないだろうが! 当時子供だったんだぞ!」

雪歩「それにしても……もう少しなんとかならなかったんですか?」

P「なったらなったでおかしいだろうが!」

まあ、そんなこんなでで無事退院! 学校に通えるようになったんだが…

交換日記を続けたいことを彼女に伝えたんだ。もちろん彼女も承諾してくれた!

雪歩「プロデューサーって……結構オマセさんだったんじゃ…」

P「あー、何も聞こえマセーン!」

んで……しばらくして、日記に書くことが億劫になってきたんだ

雪歩「どうしてですか?」

55: 2012/03/08(木) 23:38:16.75 ID:ewHLZLHH0
転校することになったんだよ

雪歩「あっ……」

向こうもなんかぎこちなくてな、もしかしたら嫌な言葉を書いたかもしれない…

それで、最後に彼女にノートを渡してそのまま……

雪歩「……なるほど」

P「はは、すっきりしない終わりだろ?」

雪歩「いえ、逆に私が知らないプロデューサーを見れて面白かったです」

P「そうか、それは良かったな!」

雪歩「プロデューサー、恥ずかしいんですか?」

P「いや、雪歩の手厳しい突っ込みに疲れているだけだ」

雪歩「プ、プロデューサー!」

P「はは、じゃあ次のロケ地に向かうわ」

雪歩「はい、お気をつけて」

俺は北海道に背をお向けて、他のロケ地へと向かった

57: 2012/03/08(木) 23:45:35.54 ID:ewHLZLHH0
P「名古屋か……」

俺は何故名古屋県ではなく愛知県という名称にしたのか理解に苦しんでいる

同じように神奈川県を横浜県にしないことにも腹を立てている

P「やよいの奴、大丈夫か?」

一応家族には了承を取っているとはいえやっぱり遠出をさせるのは心が痛む。

P「ええっと、化石博物館か…ちょっと寄ってみるか」

俺はやよいを探すのを後回しにしてふらりと博物館の中へと入っていく

P「ふむ、やっぱりティラノだよな、恐竜は」

恐竜は男のロマンだ。でも社長は車の方がロマンがあるといったんだよなぁ……

???「プロデューサー!」

だれだ、俺を呼ぶのは? 博物館では静かにするべきだ

P「こら、博物館では静かにしろよ!」

やよい「す、すみませーん…」

…あれ、何でやよいがここにいるんだ?

59: 2012/03/08(木) 23:52:18.31 ID:ewHLZLHH0
やよい「す、好きなだけ飲んでいいんですか?」

P「ああ、お好きに…」

俺たちは近くのファミレスに入った。そのままドリンクバーを二人分頼む

やよい「うっうー、コ、コーラを飲んでもいいんですよね!?」

P「もちろんだとも」

やよい「やったー!」

こうまで喜んでくれると俺も嬉しい。やよいはたっぷりとコーラをついで帰ってきた

P「さて、やよい……お前撮影を抜け出して……」

やよい「撮影は終わりましたよ」

マジでか

P「んで、何であそこに居たんだ?」

やよい「撮影が早めに終わったんで色んな所に行ってみました、デパートとかスーパーとか…」

P「そうか……」

やよい「ところでプロデューサーは名古屋に来たことありますか?」

P「あるけど……あんまり居たくはないな」

61: 2012/03/09(金) 00:01:17.68 ID:p+Xkmtkl0
やよい「どうしてですか?」

P「俺はとんずらしたからだよ」

やよい「ええ!? プロデューサー、借金はしないほうが…」

P「借金なんてしてねぇ! 名古屋にいたのは子供の頃だ」

小学校5年くらいのとき、俺は名古屋へと転校してきた

やよい「その時に借金を……」

P「借金から離れてくれ」

まあ、こういうときに限って男だとか女とかいろいろ隔たりみたいなものができ始めるわけだ

やよい「そうなんですか?」

P「じゃあさ、風呂に入るときにお前と同じ歳の男と一緒に入れるか?」

やよい「今はちょっと……」

P「だろ?」

でも、このクラスは不思議なことにそういった隔たりみたいなものが無かった

空気がいいんだろうな、あの子のおかげで

62: 2012/03/09(金) 00:08:37.49 ID:p+Xkmtkl0
やよい「あの子?」

ああ、クラスのリーダーっぽい女の子

その子のおかげで男女平等っぽいものができてた

やよい「凄いですね、そんな事できちゃうなんて!」

P「ああ、おれもそう思ってる」

気も強い女の子だったな、俺もいつ張り倒されるかと思ったぜ

やよい「乱暴な子だったんですか?」

P「いや、乱暴な子ではないな、うちにはいない姉御っぽい子だった」

そんなある日の事だ、俺たち二人は当番になってな理科の授業で使った化石を片付けようとしたんだ。

やよい「化石、ですか?」

P「アンモナイトみたいなでかい奴、ってわからないか?」

やよい「さっき博物館で見ました、凄くおっきかったです!」

そのでかい化石を彼女一人で片付けようとしたんだ

63: 2012/03/09(金) 00:14:14.56 ID:p+Xkmtkl0
でも、アレはかなり重くてな、右に左にとふらふらしてた

やよい「それをみているだけだなんてプロデューサーってひどい人ですね」

P「俺は何度も大丈夫か、と聞いたよ!」

それで案の定落しちゃうわけだ、ガッチャンと音をたてて壊れちまった

やよい「…プロデューサー……」

P「みなまで言うな、俺だって反省してる」

青い顔をしている彼女を見た俺は腹を括った

すぐさま欠片を拾い集めて、一通り元通りにして理科準備室にしまった

やよい「それで知らない顔をするなんて……!」

P「最後まで話を聞いてください、やよいさん」

んで、次の翌日……案の定、先生が言うわけだ

この化石を壊したのはだれだぁ!と

青い顔をしてるあの子を見て俺は颯爽と手を上げた!

壊したのは俺だ! とね

やよい「ええ!?」

65: 2012/03/09(金) 00:20:44.11 ID:p+Xkmtkl0
運が良いのか悪いのか、俺にはさっぱり分からない

あの日、俺は転校を親から告げられた

俺がいなければ彼女は無罪放免、事件はうやむやだぜ

青い顔をしていた彼女は俺をじっと見つめているが……俺は彼女の方を向けなかった

おまけに転校する間、ハブにされたんだよな、やっぱきつい…

やよい「それだけですか?」

P「ああ、本当にそれだけだ」

やよい「やっぱりプロデューサーはひどい人です」

P「え?」

やよい「もしも、その子がプロデューサーに謝りたかったらどうするんですか?」

P「知らん」

やよい「そのこは一生プロデューサーに対してごめんなさいしなきゃいけないんですよ、それでもいいんですか?」

P「だから知らないって」

やよい「プロデューサー、身代わりになって貰うのもいいですけどやっぱり悪い事は自分でごめんなさいって言ったほうがいいです!」

P「そうだよな

66: 2012/03/09(金) 00:28:10.97 ID:p+Xkmtkl0
俺はやよいと別れるとすぐさま次の町、福岡へとやってきた

P「偉大なる先輩、タモリ。長寿レギュラーの秘訣とか無いかな?」

ここに貴音がいれば一月ほどとんこつの臭いが取れないだろう

P「伊織のいる場所は…」

俺は福岡ドームへと向かった。

個人的にソフトバンクが優勝しても形態料金は下がらないのが悲しい

P「おっ、いたいた」

あのデコっぱち、誰がどう見ても維織だ

P「おーい、伊織!」

俺はデコっぱち、もとい伊織に声をかける

伊織「あら、あんたどうしてここにいるのよ」

P「どうしてって…見回りだけど?」

伊織「見回りねぇ……良く体力が続くわね」

良く良く考えてみれば社長に出会ってからしばらくの間休む間もなく飛び回っている

交通費は765プロが持ってくれてるとはいえ……まぁ、いいか

68: 2012/03/09(金) 00:35:11.95 ID:p+Xkmtkl0
伊織「それで、何かお土産とか差し入れとかは?」

P「そんなものはない」

伊織「なんですって! 一体何しにここへ来たのよ!」

p「だから見回りだって…」

伊織「…まあ、いいわ……」

伊織はそういうと俺に背を向け歩き始めた

P「どこへ行くんだよ」

伊織「ふんだ、一人になれるところよ!」

P「なんだよ、何を怒ってるんだ!?」

伊織「……ないのよ…」

P「へ?」

伊織「伊織ちゃんにはロックの魂が無い、って言われたのよ!」

P「ロックの魂?」


69: 2012/03/09(金) 00:42:31.17 ID:p+Xkmtkl0
伊織「で、ここはどこよ!」

P「決まってるだろ、ライブハウスだ」

正直、適当なライブハウスは常に目をつけている。

765プロが弱小だった頃、スカウトも俺の仕事の内にしていた

え? 成果? あったらもっとアイドルが増えてるよ

伊織「それにしても空気が悪いわね…換気扇、回ってるの?」

P「大丈夫、すぐに気にならなくなる」

伊織「気にならなくなるって…」

伊織がさらに非難を口にする前にドラムの音が辺りに鳴り響いた

ギターやベースがドラムのリズムに合わせて鳴り響く

ボーカルのシャウトが俺の心を揺さぶり始めた

一曲、一曲と流れるたびに俺の血が激しく動き出す。

これは当たりだ…… 技術という面でなら本職である俺たちのほうが上だ。でも想いならこっちだって十分にいける!

その証拠に隣にいる伊織も完全にリズムに乗っていた

これで伊織もロックの魂が理解出来ればいいんだが…

70: 2012/03/09(金) 00:49:15.60 ID:p+Xkmtkl0
伊織「あー、楽しかった」

Pそれは良かったな」

伊織「……何よ、その顔は。ニヤニヤしちゃって気持ちわるーい」

P「ふふ、それで伊織ちゃんにはロックの魂がわかったのかな?」

伊織「……なんとなくだけど、分かった気がする」

P「よろしい、ではお嬢様のご褒美にとんこつラーメンでも食べに行きますか」

俺たちは赤い提灯がぶら下がっている屋台に入った

P「おっちゃんラーメン二つ」

そういうと俺たちの前に二つのドンブリが置かれた

P「頂きまーす」

伊織「……頂きます」

……美味い! 麺もさることながらスープにクド味が無い! 良いスープだ

だが、伊織の顔はどこか暗かった

P「どうしたんだよ」

伊織「……ねえ、このままでいいと思う?」

74: 2012/03/09(金) 00:57:55.57 ID:p+Xkmtkl0
P「このままって……」

伊織「竜宮小町とか個人プロデュースとか色々やったけど今回は今までの私とは違うんだもの…」

確かにそうだ、伊織のイメージは激しさよりもどちらかといえば可憐さだ

今まで違うものを見せる、というのが伊織の中で引っかかっているのだろう

P「……嫌いか? ロック、いや別のものに変わるの」

伊織「見ているものが違うんじゃないかな、と」

P「……昔話、聞いてくれるか?」

伊織「良いけど……短くお願いね」

んじゃ、俺はロックになった! おしまい

伊織「それじゃ分かんないわよ! もう少し丁寧に!」

OK、そんじゃまず…俺がまだ中三だった頃だ

転校ばっか繰り返してた成果順応力も無駄に高まってきた

悪く言えば期待することを諦めた、って言うのが実情だ

やっても無駄、頑張っても何にもならない、俺は親のおもちゃ

そんな考えで福岡に来たんだ

75: 2012/03/09(金) 01:05:53.20 ID:p+Xkmtkl0
そんでダラダラしてたら一人の女の子が来たんだ

俺が座っている席は元々は彼女の物でな

パッとみた感じ、クラスの皆が不良扱いされてる子だった

伊織「不良? 良くそんな席でダラダラできたわね」

P「ここまで来ると肝っ玉も正座するわ、それに予備の机と椅子も来たしね」

隣に座った彼女はイヤフォンで音楽を聞いていた

伊織「不良扱い、って言うより完全な不良じゃない」

P「いや、更生の見込みがあるし、何より彼女自身は酒やタバコもやんないぞ」

皆が無視する中、隣にいる俺はイライラしっぱなしだった

伊織「当然ね、五月蝿かったんでしょ?」

俺は思い切って声をかけた、何を聞いてるの?と

伊織「はぁ? あんた何を考えてるのよ! このおバカ!」

うん、おれもそう思う。でも本当に気になって仕方が無かった

すると彼女は俺にもう一つのイヤフォンを俺に向けた

>>73
ありがとう、できるだけやらせてもらいます

76: 2012/03/09(金) 01:13:35.53 ID:p+Xkmtkl0
俺はそのままイヤフォンを受け取ると耳に当てたんだ

伊織「へぇ、そのこって結構いい子だったんだ」

P「ああ、いい子だ。勉強ができても性格が腐ってちゃ誰も近付きたがらないしな」

曲は良く分からなかった、後で知ったんだがクラシックロックって言うジャンルだった

彼女が俺に聞いて来るんだ。この曲どうだ?って

聞いたこと無い音楽だったけど俺は気に入ったっていったんだ

伊織「あんた、誰に対してもそんな事言うの?」

P「俺は率直な感想を言っただけだ」

それで、彼女は俺をライブハウスに招待してくれた、本物の方がもっと凄いって。

伊織「いきなりデートだ何てやるじゃない!ニヒヒ!」

P「デートというよりも仲間を増やしたかったんじゃないのかな、友達がいなさそうだったし」

伊織「あんたは今でも友達はいないでしょ?」

P「ひっどいの」

でもまあ、彼女の言葉には嘘がなかった。本当に凄くて本当に心が揺さぶられた

一番いいのガギターを弾いている彼女がとても可愛かったことかな

78: 2012/03/09(金) 01:23:43.10 ID:p+Xkmtkl0
伊織「女の子目当てだったってこと?」

P「違う、目が素直に一番輝いているものに行っただけだ」

彼女達は本当にロックが好きだった、それをみてるとさ、俺もなんかやりたくなってくるわけで…

伊織「ギターを弾いちゃったって訳?」

P「まぁな、正直に言えば俺の演奏は下手だった。指使いだってろくなモンじゃない」

伊織「でも弾けたんだからいいじゃない」

ああ、そうだな。演奏も形になってくるとライブハウスのマスターがとんでもない事を要求してきた

オリジナル曲を作ってみろって

伊織「中学生でオリジナルって難易度が高くない?」

P「でもあの子の才能なら絶対出来るって俺は信じてた」

あの子が四苦八苦してる間に仲間内でゲリラライブをやりたくなってな

伊織「ゲリラライブって…」

P「大層な物じゃないよ、ただ放送室を乗っ取って全校に聞かせるっていうだけだ」

伊織「十分事件じゃない!」

P「いや、先生を殴ったとかじゃないからいいじゃないかよ」

80: 2012/03/09(金) 01:32:28.92 ID:p+Xkmtkl0
俺はギターにロックの良さ、自分の思いを込めた

ドラムもベースも最高だった。何より一番いいのは彼女のボーカルだった

受験も学年も関係なく盛り上がった

伊織「凄いじゃない! 今頃本気を出してれば…」

P「いや、アレが恐らく限界だったと思ってる。疲れたでも無理でもない、出来ることの勢威っぱいがあれだった」

曲が全て終わったときにな、俺はこの学校で出来る事は全て終えたんだと思った

伊織「それでそのまま卒業ってわけね!」

いや、ちがう。あの子の作った曲を聴いて学校を去ろうと思ったんだ

伊織「退学ってこと?」

違う、転校だ。最後の転校なんだ。でもあの子の曲は聴けなかった、出来てないって言ってた

伊織「それを信じてるの?」

本人がそういったんだ、俺はそれを信じるしかない。もし出来ていたとしても無理に聞くつもりも無い

伊織「そうね」


81: 2012/03/09(金) 01:35:13.99 ID:p+Xkmtkl0
P「それで伊織はどうすんだ?」

伊織「どうするって……」

P「あの後、クラスの奴らはみんなあの子を見直したんだぜ」

伊織「……そうね、やってみてあげてもいいわ」

P「ありがとな」

伊織「お礼は撮影が終わってからにして」

P「ああ、分かってる」

俺は伊織の頭を軽く撫で、福岡に後にした

82: 2012/03/09(金) 01:42:05.38 ID:p+Xkmtkl0
P「今度は横浜かぁ」

ランドマークタワーがドンとそびえ立っている

P「一旦家に帰りてぇ……」

俺が小さく呟くと後ろから二つの影が飛びついてきた

亜美「それ良くないぜぇ…」

真美「仕事をほっぽり出すなんてプロじゃないぜぇ…!」

P「亜美! 真美! 何で二人なんだ!?」

突然の登場で俺は戸惑いを隠せなかった

そして、重いのと柔らかいの背中で堪能していた

Pふ、二人ともそろそろどいてくれないか?」

亜美「兄С→それは無理って言うもんだぜぇ…」

真美「今の亜美と真美は兄C→分が不足してるんだぜぇ…」

P「耳元で息を吹きかけるな!」

俺の理性が吹き飛ぶ!

そして逮捕!

84: 2012/03/09(金) 01:47:54.51 ID:p+Xkmtkl0
P「と、ところで撮影は終わったのか?」

亜美「今休憩中だよ」

真美「天気もいまいちだって言ってた」

そうか……

亜美「それよりも兄C→」

真美「わしらに肉まんをおごってくだせぇー!」

P「肉マンっていうと中華街のか?」

真美「おういえ」

亜美「アンマンとかピザまんとかじゃ駄目だかんね」

P「くっ、跡で小鳥さんに領収書を叩きつけてやる」

結局、俺は二人に肉まんを奢ってやることになった

一個500円は無いわ もうヤマザキの肉まんしか食べねぇ


85: 2012/03/09(金) 01:52:56.88 ID:p+Xkmtkl0
亜美「フー 亜美は満足でごじゃる」

真美「んで、余った時間はどうする?」

二人が相談している中、俺は映画館を見つけた

やってるのはあの映画だった。中学の頃やっていたあの……

亜美「どうしたの? 兄C→」

真美「ははーん、映画がみたいのですかな? いいですよ真美は貴方のお供に!」

P「……だめだな」

亜美・真美「ええー!?」

P「映画もいいけど、二人と話がしたいな、おれは」

亜美「ええ? どうする?」

真美「…いいよ、でもどこでする…」

P「適当な喫茶店に入るか」

亜美「ケーキ頼んでいい?」

真美「アイスでしょ、ここは」

P「ハイハイ、入ってからな」

86: 2012/03/09(金) 02:00:01.66 ID:p+Xkmtkl0
喫茶店に入ると早速注文をする二人

亜美はオレンジフロート、真美はメロンソーダ、俺はコーヒーを頼んだ

黒の塊をじっと見つめるがこいつは白い湯気しか俺の顔に吹き付けない

亜美「…ねぇ、どうしたの?」

真美「真美たちといるとつまんない?」

P「いや、そうじゃない。ただ昔の事を思い出してただけだ」

亜美「兄C→の」

真美「昔」

亜美・真美「聞きたい聞きたい聞きたい!」

P「わかったわかった、つまんないと思うけど最後まで聞いてくれよ」

亜美・真美「ラジャー!」

この横浜に越してきた時は丁度俺が中学生の頃だった

ここら辺は店の出入りが激しく昨日あった店がなくったリ、いつの間にか新しい物ができていたりする

みっともない話だが俺は恐ろしいほど流行に疎かった

一方、俺と真っ先に友達になった彼女は流行り物に強かった

87: 2012/03/09(金) 02:09:08.70 ID:p+Xkmtkl0
亜美「今でも十分弱いよね」

P「否定はしない、が流行は作り出す物だ」

真美「おお、強気な発言! どう思いますかな、亜美コメンテーター」

亜美「これは兄C→の自信だと思います」

P「話を続けるぞ」

彼女はやたらと好奇心が旺盛だった

新しい店があれば行ってみて、新しいものがあればお小遣いギリギリまで買い

新しい恋占いを実践したかと思えば外を出歩いてまた新しい物を発見する、そんな子だった

俺もかなり振り回されたな、でも嫌いじゃなかった

亜美「聞きましたか?」

真美「ええ、聞きました。兄C→の振り回され属性の原点ですな」

P「バカヤロウ、こちとらガキのころから親っていうモンスターに振り回されてんだ、小娘の一人や二人どうってことねぇや!」

亜美「そう言いながらへとへとになってかえって来ても説得力無いよね」

真美「うんうん」

P「お前ら…」

88: 2012/03/09(金) 02:15:31.58 ID:p+Xkmtkl0
まあ、とにもかくにも彼女に振り回されているうちに情報の目ざとさも移ってしまった

んで、ある日とあるジンクスが流行るんだ

亜美「ほほう、ジンクスとな」

真美「ジンクスとは…何?」

亜美「亜美に振らないでよ」

P「簡単に言えばおまじないだな、こういうことすればお金が儲かるとか」

ある映画を二人で見るとそのカップルは永遠に結ばれるっていう奴だ

亜美「ほほう、それはいい事を聞きましたな」

真美「どう、兄C→、真美と一緒にその映画…」

亜美「あっ、ずるい!」

P「二人とも喧嘩すんな、所詮は嘘かもしれないんだから」

亜美「あーあ、がっかり」

まあ、そんなわけで俺も彼女に誘われたんだ、映画を見に行こうって

でも、俺はいけなかったんだ

亜美「うえ!?」

89: 2012/03/09(金) 02:21:18.80 ID:p+Xkmtkl0
真美「兄C→、約束破っちゃ駄目じゃない」

P「面目ねぇ……って何をいわせる」

亜美「兄C→ノリノリだね」

いけなかった理由はとっても簡単、急に転校が決まったから

直接謝りに行こうと思って走ったんだが……彼女の姿はどこにもなかった

亜美「そりゃあ、怒ると思うよ」

真美【うん、真美も許さない」

そんでそのまま横浜を離れたって訳

亜美「ふぅん」

P「やっぱりつまらなかったか?」

真美「つまんないって言うよりも」

亜美「やっぱり亜美たちが兄C→の苦手を克服してあげよう!」

P「何でそうなる」

亜美「あの映画館、まだやってるはずだよ」

真美「急がないと!」

91: 2012/03/09(金) 02:26:53.76 ID:p+Xkmtkl0
P「全く、あの二人ときたら……」

結局、二人で映画を見たのだが途中で亜美と真美は寝てしまった

まあ、当たり前か……

そんな思いでこの金沢の町を歩いていた。

P「律子は…っと」

俺は辺りを見渡すが律子らしい姿がどこにも見えない

どこで撮影してるんだ?

??「プロデューサー! プロデューサーじゃないですか」

誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる

声のするほうを見ると……そこには着物を着た律子がいた

律子「こっちです!」

大きく手を振る律子のほうへ俺は歩いていく

P「何だ、お前。成人式の真似事か?」

律子「あって開口、その言葉ですか?」

P「スマンスマン、だが似合っているぞ」

92: 2012/03/09(金) 02:32:41.91 ID:p+Xkmtkl0
律子「今更おだてても無駄です!」

相変わらずきつい事を言う……

P「さて、律子…には何も言わないぞ」

律子「知ってますよ、プロデューサーの過去がこのドラマの筋書きになってるって」

P「ああ、良く分かってるな」

律子「本当に良く色々な所に転校しましたね」

P「我ながら良く我慢をしたもんだ」

律子「やっぱりここでも思い出があるんですか?」

P「当たり前だ、そこにすめば思い出の一つや二つ簡単にできるぞ」

律子「そうですよね」

P「……なあ、律子」

律子「なんですか?」

P「胸が大きいと着物って似合わないよな」

律子「そんな事呟かないで下さい」

94: 2012/03/09(金) 02:41:25.94 ID:p+Xkmtkl0
相変わらず冗談が嫌いな奴である

俺は町をゆっくりと歩きながら景色を眺めていた

ふと無意識に律子の手を取ってしまう

P「おっと、すまないな」

律子「…良いですよ、ほんの少しなら」

手を握ったまま無言で町を歩く、端から見ればおかしな感じなのかもしれない

そうだ、あの子とであったのもこんな感じだったな

律子「プロデューサー高台がありますよ」

律子が指した方向には広い高台があり、ベンチが置いてる。

P「少し休むか」

俺は律子の手を引いて階段を上がっていく、そして、高台から二人で金沢の町を眺めた

正直、無性に話したい。まあ、勝手に呟いていれば良いか

俺は金沢の町を一望しながら昔の事を話し出した

俺が金沢に来たのは中学生のころだった

律子「そこでも馬鹿な事を言っていたんですか?」

96: 2012/03/09(金) 02:48:40.34 ID:p+Xkmtkl0
P「かもしれないな」

もっとも、クラスの委員長は律子みたいに刺々しくはなかった

律子「刺々しくて悪くかったですね」

生真面目で勤勉、品性方向良しの才女だったな

学校のことは殆ど彼女に任せきりだった…

律子「本当に不真面目ですね」

P「悪かったな」

実家も老舗の呉服問屋、まさに非の打ち所が無い感じだった

でも、彼女が一番素敵だったのは絵を描いている時だった

律子「絵、ですか?」

P「ああ、風景画が特に素敵だった」

でも、彼女は悩んでいるようだった。自分の道か、家族の思いか…

律子「……なんとなくですが分かりますね」

P「まあな、自由奔放に育てられると自省が聞かなくなって困る」

律子「なるほど……」

97: 2012/03/09(金) 02:55:00.93 ID:p+Xkmtkl0
俺の事は置いておくとして…

律子「逃げましたね」

俺は気分転換に彼女を美術館に連れて行った

律子「デートですか?」

P「ああ、デートだ」

元々、絵画に興味がある彼女だ。とても喜んでくれた

その時、俺が言った言葉に彼女はとても興味を持ってくれたんだ

律子「なんていったんですか?」

P「ええっと、確か……」

着物もまるで絵画のようだね、だったか?

律子「なるほど……いい言葉だと思いますよ」

P「何を勝手に感心してるんだ」

律子「少なくとも着物はとても綺麗だってことですよね」

P「そういうことになるな」

そして、夏祭りの日……

98: 2012/03/09(金) 03:00:36.10 ID:p+Xkmtkl0
俺は彼女と一緒に夏祭りに行ったんだ

律子「……本当に節操がなさそうですね」

P「何を言う、親しい人を誘うのは当然じゃないのか?」

律子「まぁ、そうですが…」

楽しかったな、こういうものは一人よりも二人だ

律子「そうですね」

…もっとも、これが終わったら俺は転校するんだけどね

律子「プロデューサー……」

なぁ、律子、あの子は楽しんでくれたのかな?

律子「私はその人ではないのでわかりません、でも……」

P「でも?」

律子「プロデューサーの思いは伝わってると思います」

P「気休めでも嬉しいな、ありがとう。じゃあ、俺は次の町に向かうよ」

律子「いえいえ、鈍感なプロデューサーにはこれくらいしないと…じゃあ東京で」

Pああ、分かった」

99: 2012/03/09(金) 03:06:12.64 ID:p+Xkmtkl0
P「お好み焼き戦争はいつ終わるんだろうな」

俺は手に持っているお好み焼きをを食べながら歩いている

歩きながら食べるのはみっともないだのいわれいるが企業戦士である俺には丁度いい

P「何であずささんなんだろうか?」

俺は広島の地図を広げて大きくため息を付いた

相手はあのあずささんだ、俺の全体力をもってしても捕まるかどうか…

そんな考えをあざ笑うかのように突如後ろから何者かが俺の視界を塞いだ

???「だーれだ」

この胸の感触は覚えている、

P「あずささんだ!」

俺の言葉と共に視界が解放された

あずさ「良く分かりましたね、流石プロデューサーさん」

こんなことで当ててしまう自分が情けない

P「それで…・・・撮影は?」

あずさ「それが…スタッフの人とはぐれてしまって」

100: 2012/03/09(金) 03:14:09.13 ID:p+Xkmtkl0
おかしい、俺はスタッフの人にあずささんから目を離さないようにとお願いしたはずなのに…

あずさ「でもプロデューサーさんが来てくれたおかげでなんとかなりますね」

のほほんというあずささんに対し、俺は戦慄を覚えた

P「と、とにかく行きましょう」

俺たち二人はロケ地を目指して歩き始めた

一応鍛えてあるとはいえあずささんは大丈夫なのだろうか?

P「あずささん、だいじょうぶですか?」

…いない!

P「あああああああずぅぅぅぅぅぅぅぅさぁぁぁぁぁぁぁ!」

あずさ「はーい!」

俺の絶叫にあずささんは答えてくれた。……がまた迷うかもしれない

俺は落ちていた蔦でお互いの身体を縛った。

P「これで良いですね?」

あずさ「はい」

空をふと見上げると星が輝いていた……

101: 2012/03/09(金) 03:19:30.95 ID:p+Xkmtkl0
あずさ「綺麗ですね」

一面に見える星を見て、俺は思わず呟いてしまった

P「ペルセウス流星群…」

あずさ「え? なんですか、それ」

P[あっ、いや、その……」

らしくもなくつい、ドギマギしてしまう

今まで話してしまったんだ、全部話してしまえ

P「今の時季ではないんですけど星を見てたらつい、呟いてしまったんです」

俺はあずささんに星の事を教えてくれた女の子の話をした

季節は八月、今よりもちょっと熱かった頃だ

俺は誰もいない夜道を散歩していた

眠れないのもあるがそれ以上に何かがないかと思い外へと飛び出してしまったのだ

あずさ「プロデューサーさんもそうなんですか?」

P「も、って事はあずささんも?

あずさ「はい、なんだかワクワクしてつい外に……」

102: 2012/03/09(金) 03:27:51.03 ID:p+Xkmtkl0
P「アイドルなんですから外に飛び出すのはやめてください…」

あずさ「はい、わかりました」

まあ、道も分からないまま適当に歩いていると砂浜に出てしまった

夜の海はなかなか幻想的で、遠くにある月も綺麗だった

あずさ「わかりますよ、私もつい朝が来るまで浜辺に座ってることもあるんです」

P「夜半外出禁止」

まあ、俺が海を見てると一人の女の子が居たんだ

そのこも海と同じようにとても幻想的だった

あずさ「どんな子だったんですか?」

自分の事は多くは語らない子だった、でもそれがまた彼女の魅力だったな

あずさ「へぇ、そうなんですか……」

彼女が空を見ると俺もつられて空を見る

そこには無数の星が輝いてきれいだったな

もっといい場所があるって言うんで彼女といっしょにその良い場所へと向かったんだ

あずさ「良く、見ず知らずの方と一緒に行けますね」

104: 2012/03/09(金) 03:36:06.65 ID:p+Xkmtkl0
あずささんだけには言われたくなかった

でも相手は同い年だったし、女の子だったから

あずさ「プロデューサーさん、女の子に着いていくの禁止しますよ」

まあ、それは置いておくとして

そのいい場所っていうのが本当にいい場所で、砂浜なんかよりも綺麗な空が広がっていたんだ

あずさ「そうなんですか、私もいってみたいです」

P「無理だと思いますよ、もう無いんですから」

あずさ「そうですか……」

そして、幾つもの流星が流れ始めました

あずさ「ペルセウス流星群、ですね」

彼女は来年もまた一緒にみようと行ってくれましたが約束は守れずじまいでした

あずさ「え?」

本来入るはずだった学校が急遽取りやめになりましてね

あずさ「まぁ……」

仕方が無いのでとある場所にメモ書きを置いておくだけでした

105: 2012/03/09(金) 03:38:59.05 ID:p+Xkmtkl0
あずさ「……不思議ですね」

P「え?」

あずさ「一月しかなかったって言うのにあなたはそれを覚えているんですから」

P「まあ、彼女はインパクトが強かったですからね」

あずさ「案外向こうも幻だったと思ってるんじゃないでしょうか?」

P「ええ!? 参ったなぁ……」

あずさ「あっ、プロデューサーさん。スタッフの皆さんですよ!」

P「あっ、ほんとうだ、おおい!」

スタッフの皆さんにあずささんを預けると俺は次の土地を目指し、飛んでいった

107: 2012/03/09(金) 03:44:46.21 ID:p+Xkmtkl0
P「ようやく仙台か……」

小鳥さん曰く撮影はもう半分終わったそうだ

後は美希と響と貴音だが……

P「美希の奴、どこへ行ったんだ?」

おにぎりがある場所ならいると思ったがどこにもいない……

P「伊達政宗に聞いてみるか」

俺は政宗像の前に来るとパンパンと二回手を叩いた

P「偉大なる伊達公、この度は我に力を与えたまえ…」

その時、俺に大いなる力が宿ったのか宿らなかったのか分からないが美希の居場所がわかったのだ

P「よりにもよって小学校かよ……」

俺が辺りを見渡すと……

P居た、って言うかなんで居るんだよ!」

美希が備え付けのベンチで眠っていた

子供たちがツンツンと美希を突っつくが当の美希は起きる様子が全くなかった

落書きされてるな、こりゃあ

108: 2012/03/09(金) 03:52:56.83 ID:p+Xkmtkl0
俺は美希を背負い、学校から立ち去ろうする。

正直言って、ちょっと重い。やっぱりスタイルの良さが裏目に出た結果だろう

必氏になって駅の椅子に座らせるとプロデューサー必須用具、ウェットティッシュで美希の顔を拭く

うん、ヨゴレは取れたな

だが、ここからが問題だ……こいつをロケスタッフのところに連れて行かなきゃいけない

大八車があれば楽なんだが……

と思った矢先、美希が目を覚ました

美希「おはようなの、ハニー」

P「お早う、美希」

美希「まさか夜中に撮影を行うとは思わなかったの」

P「うん? じゃあ撮影は?」

美希「OKは貰ったの、それじゃおやすみ、ハニー」

P「うん、おやすみ」

いや、おやすみじゃないだろ。なんか、こう美希がシャッキーンとするような…

P「ベントラー、ベントラー、ベントラー」

109: 2012/03/09(金) 03:59:20.63 ID:p+Xkmtkl0
俺は何を言ってるんだ?

だが、その言葉を聞いた美希はパッチリと目を覚ました

と思いきやすぐに眠ってしまった

もしも、こういう状況をあの子が見たらきっと喜ぶんだろうな……

美希「りゅんりゅん」

美希、お前起きてるだろ?

とにかく、ここにおいておくわけにも行かず、俺は美希を背負ってた行き場所であるホテルへとむかった

あの子はこういうことが好きだったな

UFO、幽霊、宇宙人に超能力

今の俺はどうだろうか? 目に見えるものだけを信じていないだろうか?

P「くっそ、重たい!」

美希を背負いなおすと辺りを見渡した

案外おかしな物はどこにでもあるものかもしれないな

背負った人を見るのは十分おかしいし

ましてやアイドルなんていう職業を見るのは誰だって珍しいだろう

110: 2012/03/09(金) 04:06:42.46 ID:p+Xkmtkl0
そういえば旧校舎に閉じ込められたな……

美希「ハニー、それは駄目なの」

P「何が駄目なんだ?」

旧校舎に幽霊が出るとか出ないとか噂になったんだ

その時、俺と彼女は真実を探る為に校舎の奥へと入った

でも幽霊は全くでなかったんだよな・…運がいいとか悪いというか

でも逆に警備員に校舎のドアに鍵をかけられて外へ出られなくなった

困った俺たちは校舎の中を彷徨うことに……

不安がる彼女をなだめながら出口を探す俺

またも運がいいのかわからないけど床がはがれたむき出しの地面にラムネのビンが刺さってた

そのビンの近くを調べて見ると窓が開いて脱出できたんだ

俺は美希をホテルまで連れてくるとそっとベットに横たわらせる

P「あー重かった」

美希はいつも通り幸せそうな顔で眠っている

111: 2012/03/09(金) 04:09:57.79 ID:p+Xkmtkl0
美希「ハニー……」

一体どんな夢を見てるのやら……

P「美希、お前に大事なものあるか?」

答えないだろうと思うがつい聞いてしまった。

あの後、彼女はあのラムネの瓶を宝物として残すといってくれた

あの顔は今でも忘れられない

美希「もちろん、ハニーとの思い出……」

P「……そうか」

俺は襟を正すと別の土地へと向かった

112: 2012/03/09(金) 04:16:14.35 ID:p+Xkmtkl0
P「響かぁ……」

俺は高松を歩いていた

うどん県とか言われているが俺はうどんを食べに来たんじゃない

響の状況を確認に来たのだ

下手をしたらゾウのパオ美とかクマのクマ吉とが人里に現れかねない

そうなったらどうする?

765プロ破産!

俺、路頭に迷う!

それだけならまだいい、毒をもつ動物ならさらに厄介だぞ!

毒消しでも用意しておくか?

そんな考えをあざ笑うかのように響の声が聞こえてきた

「ハト蔵!」

良し、ハトなら問題ない!

タカとかワシとかならさじを投げていたがハトならだいじょうぶ!

113: 2012/03/09(金) 04:21:36.83 ID:p+Xkmtkl0
響「あっ、プロデューサー!」

響は俺に気が付くと一目散に近付いてきた

P「分かってる、ハト蔵が失踪したんだろ?」

響「良くわかったな! 流石プロデューサーだ!」

アレだけ大げさに騒いで居れば誰だって気が付くわ

だが、俺はこの言葉をぐっと飲み込む。まずは撮影のことを…

P「響、撮影は?」

響「ハト蔵が見つかるまでちょっと止めてもらってる」

これは後で謝っておかないとな・・・

俺は腕をまくるって軽く屈伸すると

P「さて、ハト蔵を探すぞ」

響「プロデューサー!」

P「俺はどれが鳩蔵か分からない、だから頼んだぞ、響」

響「ああ、自分に任せてくれ!」

114: 2012/03/09(金) 04:25:31.46 ID:p+Xkmtkl0
P「ハト蔵!」

響「ハト蔵!」

P「ハト蔵!」

響「ハト蔵!」

P「くっそ、どこにもいやしない」

響「ハト蔵……」

P「となると……残りはあそこか…」

正直行きたくない、でもあそこしか探してない

響「プロデューサー、いこう!」

P「ああ、そうだな」

俺たちは山の方に向かって歩き始めた

一歩一歩進んでいくたびに鼓動が早くなっていく

別に悪事をしたわけでもない、でも…・・・

響「プロデューサー、顔がこわばってるぞ」

P「そうか、なら話でもしながら行くか?」

115: 2012/03/09(金) 04:32:26.24 ID:p+Xkmtkl0
響「そうだな、怖い顔をして登られても自分も困るしな!」

俺と響は他愛の無い話を始めた。

飼っているペットの事、撮影スタッフの事

嫌、響はもう分かっているのかもしれない

響「プロデューサー、どうしてそんなに怖い顔をしてるんだ?」

P「実はな、昔の事を思い出してたんだ」

響「昔の事? 嫌なことなのか?」

P「嫌なこと、なのかな? 無責任かもしれないことはやったな」

響「なら自分に話してくれ、黙っているよりも話した方が身体にいい!」

P「そうだな、なら遠慮なく話させてもらうとするか」

俺がまだ中学生だった頃、先生にプリントを届けるように頼まれた

響「どこにだ?」

P「この山に住んでる女の子にだ」

彼女は体が弱くて外に出る機会が全く無かった。

彼女曰く、友達は鳥だけだったらしい

116: 2012/03/09(金) 04:39:30.07 ID:p+Xkmtkl0
響「友達が取りだけなんて、悲しいな」

P「お前はどうなんだよ、良くネットでボッチ扱いされるけど」

響「プロデューサー、それは偏見というものさ」

まあ、外に出ることができなかったから友達も少なかったから俺が友達になった

響「友達だったのか?」

P「俺はそう思ってる」

自分から率先して彼女の所に通ったからな

響「流石プロデューサー、女の子と見たら見境が無い!」

P「別に女の子だったら誰でもいいわけじゃないからな」

徐々にだが体調は良くなっていった、でも彼女は勇気をなくしてしまった

響「外に出る勇気だ」

外への恐怖、やっていけるかどうかの不安に完全に押しつぶされてしまった

響「……なんだか身をつまれる話だな」

P「身に覚えがあるならいいぞ、反省しない奴よりはましだ」

でも俺は彼女に外に出て欲しかった。そこでなんとか頭を捻って案を出そうとする…

117: 2012/03/09(金) 04:45:49.78 ID:p+Xkmtkl0
響「どうしたんだ?」

言葉をかけ続けた。彼女を信じて待った。

響「それだけか?」

P「それだけだな、蒼い鳥じゃないけど羽を動かすには勇気が必要だろ?」

響「おお、プロデューサーって意外とスゴい人なんだな!」

P「今頃気づいたか」

それで、彼女は学校へ来てくれるって言ったんだ……

響「やったじゃないか!」

P「でもな、その明日って言うのは俺が転校する日だったんだ」

響「ええ!? それじゃ何にもならないんじゃ……」

P「ああ、だから掘った」

響「机に掘ったのか?」

P「ああ、また引っ込まれる方が皆にも損だろ? 怒られるのは俺だけでいい」

118: 2012/03/09(金) 04:49:54.38 ID:p+Xkmtkl0
響「プロデューサーは格好付けだな…」

P「うるせぇ、男は女の子の前では格好を付けたいの!」

響「そういうものなのか? ……おお、ハト蔵!」

P「うん、包帯を巻かれているな?」

響「どうやら怪我をしてたみたいだな、自分の不注意だ…」

P「はは、ハト蔵もお前に会えてホッとしてるみたいだな」

響「ああ、もう放さないぞ」

P「さて、そろそろ撮影にもどれ」

響「おお、超特急で仕上げるから待っててくれ」

俺はスタッフたちに一通り頭を下げると高松を去った

119: 2012/03/09(金) 04:55:17.03 ID:p+Xkmtkl0
P「うーん、京都といえば修学旅行生だよな…」

俺は貴音を探すの後にして修学旅行生に目を向けていた

P「あの子か? あの子もいいな、いや、あの子でしょ?」

一通り探し続けるがやっぱり合格点となるとあまりいない

P「やっぱり、スカウト能力は社長の方が上だな」

俺ため息を付く近くの茶屋で煎茶を頼んだ

正直言って正座するのはかなり辛い……

P「さてと、貴音の状況はと……」

俺は地図を広げると貴音が今居るであろう寺院を尋ねた

だが、貴音の姿やスタッフはどこにも居なかった

P「一体どういうことなんだ?」

俺はやむなく京都を歩き始めた。

121: 2012/03/09(金) 05:01:05.76 ID:p+Xkmtkl0
右に左にと適当に歩いていると…

P「迷った…」

地図は持っている,、携帯電話の充電はバッチリ

それなのに迷ったのだ、いるのかさっぱり分からない

P「ええっと、ここを右に曲がると寺院があって……」

無い

P「そこを左に曲がると教会が…・・・・」

無い

P「真っ直ぐ行けば神社が・・・…」

無い

マジデカ?

P「どうしたらいいんだぁぁぁ!?」

??「何を叫んでいらっしゃるのですか、貴方様」

その声は…

P「貴音!」

122: 2012/03/09(金) 05:07:24.03 ID:p+Xkmtkl0
P「な、なんで貴音がここに居るんだ?」

貴音「それはこちらの台詞です、何故貴方様がこちらに?」

P「俺は見回りだよ」

貴音「そうですか……」

P「どうしたんだよ、何か元気無さそうだけど…」

貴音「監督という方に振り回されて少々……」

P「ロケ地を転々とさせれたってことか?」

貴音「お恥ずかしい限りで」

P「別にいいさ、それよりも今は休憩中なんだろ? 大福でも食いながら気分転換しようぜ」

貴音「そうですね」

P「すみません、大福二つ!」

俺が注文すると大福が運ばれてきた

P「いやぁ、和菓子といえば大福だよな」

貴音「ええ、本当に」

P「このずっしりとした餡子がたまらない!」

123: 2012/03/09(金) 05:13:28.71 ID:p+Xkmtkl0
貴音「……」

P「うーん、やっぱり貴音はお姫様って感じだよな」

貴音「そうでしょうか?」

P「なんていうか、上品なんだよ」

貴音「らぁめんを食べていても、ですか?」

P「…どうだろ? でも仕草が上品だから姫何じゃないか?」

貴音「それはとてもつまらない、のかもしれませんね」

P「そういうものかな?」

貴音「私も一人の女性です、と言ったら貴方はどう思いますか?」

P「はぁ?」

貴音「みな、私の事を姫だのなんだの申しますが……」

P「そう思われるのはいや、ってわけか」

貴音「分かっているのです、これが我侭であることも……」

P「ならさ、貴音から見てこの話はどう思ったか聞かせてほしいんだ」

貴音「え? お話を、ですか?」

124: 2012/03/09(金) 05:19:48.09 ID:p+Xkmtkl0
まだ俺が小学生だった頃だ、俺がこの京都に引っ越してきたばかりで右も左もわからないという状況だ

そんな俺に一人の女の子がいた、女の子は同じ歳とは思えないほど大人びていた。

子供心になんか別次元のものだと思ってた

でもそうじゃなかった、あの子は普通の女の子だった

みんなと普通に遊びたいだけど普通の子

貴音「何故、そう思ったのですか?」

寂しそうな顔をする子が普通の子じゃないってお前言えるか?

貴音「それは……どうなのでしょうか?」

少なくとも俺はそう思った、だから俺は思い切って声をかけた

一緒に遊ばない、と

最初は何言ってんだ、こいつって言う目で見られたな

クラスからもやめとけと忠告されたし

でも俺は嫌だった、だって、寂しそうな顔をし続けるとその内泣く事も出来なくなるんだぜ

貴音「貴方様、いくらなんでもそれは」

P「ありえないだろ、でも俺はそう思ってた」

125: 2012/03/09(金) 05:26:55.13 ID:p+Xkmtkl0
後は根競べだった

自家用車で送り迎えをしている子だったけど俺はしつこいくらい一緒に帰らない、遊ばない、と誘った

クラスの奴らから怖い爺さんの話が出てきたが俺には関係なかった

そしてついにあの子は俺に負けた! 俺の誘いに頷いてくれた

後はトントン拍子だ。きっかけがあればみんな遊んでくれる。

だがな、これが悪かった。

貴音「悪かった、とは?」

P「あの子の素行が悪くなったとかなんとか、教育にありがちなもんだよ」

女の子は蔵に閉じ込められた。

貴音「そしてそのまま、と?」

P「ああ、そのままだ」

貴音「貴方様の軽率な行動が…」

P「アレ、なんか勘違いしてない? 閉じ込められたって聞いて俺はそのまますっ飛んでったんだよ」

その日は両親は仕事で帰ってこれないからな、

それに俺のせいで閉じ込められたっていうんだから助けるのは必然だったのかもしれない

126: 2012/03/09(金) 05:32:51.70 ID:p+Xkmtkl0
屋敷の小さな穴から入り込み、彼女の声と懐中電灯を頼りに探し出した

貴音「不法侵入ですよ」

P「そんなのより、けじめをつけないほうがよっぽどひどくないか?」

んで、蔵を見つけると忍者のように縄を使ってよじ登った

女の子の名前を呼んであげると俺のほうに顔を向けてくれた

結局助けるなんてたいそうな事は出来なかったけど一晩中彼女の側に居てやった

P「さて、貴音、この話の感想は?」

貴音「面妖な……気分です」

P「…そうですか」

貴音「でも嫌いじゃありません、貴方のお話」

P「そうかそいつはどうも……」

貴音「どちらに?」

P「一旦東京に帰るよ」

貴音「そうですか……では、私も撮影に戻ります」

P「ああ、頑張ってくれ」

127: 2012/03/09(金) 05:39:18.78 ID:p+Xkmtkl0

東京の765プロ本社

P「うーつかれたー」

小鳥「お疲れ様です、プロデューサーさん」

P「春香の奴が言い出さなきゃ日本を右往左往しくてもすんだんだが・・・」

小鳥「でも皆喜んでたじゃないですか」

P「そうかねぇ?」

小鳥「そうですよ」

P「ところでこの手紙、何? 差出人も消印もないんだけど」

小鳥「ポストに入ってましたよ、プロデューサーさん宛ての手紙みたいです」

P「カミソリレターとか?」

小鳥「大丈夫です、チェックはしてありますから」

P「それならいいや、ええっと」(ビリビリ)

手紙「おぼえていますか? 初めて会ったあの日――」

END

129: 2012/03/09(金) 05:48:49.76

引用元: P「十二都市十二少女物語?」