不良「オラ、こっち来いよ！」ｸﾞｲｯ

眼鏡「いたた……」

黒髪「ひっ……！」

DQN「ハハハ……」

ピアス「へへへ……」

不良「パンパカパーン！　試合開始ー！　じゃあさっそくお前ら……やり合えや！」

眼鏡「……」

黒髪「……」

不良「やれやオラァ！　やらなきゃブッ頃すぞ！」

眼鏡「うう……て、てやっ」ﾍﾟﾁｯ

黒髪「たあっ」ﾊﾞｼｯ

不良「なーにチンタラやってんだよォ！　もっと本気で殴り合えやァ！」

眼鏡「うぐ……」

黒髪「ひっ……」

眼鏡「うわああああああああっ！」

黒髪「でやああああああああっ！」

ﾊﾞｷｯ　ﾄﾞｶｯ　ﾍﾞｼｯ　ﾊﾞｼｯ　ﾄﾞｶｯ

不良「ヒャハハ、いいぞいいぞーっ！　オラ、もっと手ぇ出せ手！」

眼鏡「うっ、うっ、うっ……」

黒髪「い、いたい……」



不良「あー、面白かった！」

DQN「意外と見ごたえあったわ！」

ピアス「またやろうなー」

ｱｯﾊｯﾊｯﾊ…



眼鏡「ごめんね……」

黒髪「いや、こっちこそ……」

……

眼鏡（今日は早く帰ろう……）

不良「おーっと、どこ行くんだよ！」

眼鏡「！」ｷﾞｸｯ

不良「てめえも逃げんじゃねーぞ！」

黒髪「うう……」

不良「それじゃ、今からこの教室闘技場な！　机下げろー！」

ｶﾞﾀｶﾞﾀ…　ｺﾞﾄｺﾞﾄ…

眼鏡「てやっ！」ﾊﾞｷｯ

黒髪「だあっ！」ﾎﾟｶｯ

不良「オラ、もっとちゃんとやれやァ！　ブチ頃すぞ！」

眼鏡「うう……」

黒髪「ハァ、ハァ……」

担任「コラ、君たち何をしているんだ！」

DQN「や、やべっ……」

不良「……」

不良「みんなで遊んでるんでーす」

担任「む……」

不良「いけませんか、遊んでちゃ」

担任「……」

担任「程々にしておくように」ｽﾀｽﾀ

不良「はーい」

不良「オラ、続きだ！　ガシガシ殴り合えや！」

眼鏡「ううう……」

黒髪「もうやだ……」

不良「早くやれやァァァァァ！！！」

……

不良「おい、お前ら！」

眼鏡「うっ……」ﾋﾞｸｯ

黒髪「な、なに？」

不良「今日は特別に、俺がお前らと戦ってやるよ！　二対一でいいぜ！」

DQN「おっ、マジかよー！」

ピアス「日頃の仕返しするチャンスだぞ、頑張れー！」

不良「オラァッ！」

ドゴッ！

眼鏡「ぐへあっ！」

不良「セリャアッ！」

バキィッ！

黒髪「ぎゃふっ！」

DQN「ハハ……容赦ねえ……」

ピアス「あいつマジでプロ目指してジム通いしてるし……勝てっこねえよ」

不良「こんなもんかよ！？　あぁん！？　もっと俺を楽しませろやァ！　カスどもがァ！」

眼鏡「うぅぅ……」

黒髪「く、くそっ……」

不良「お、来いや！」

黒髪「たあっ！」

バキッ！

不良「あ……？」ｶﾞｸｯ

DQN「あ……顎に入った！」

ピアス「ヒザついた……」

不良「くっ……」

不良「このヤロォォォォォォォォ！！！」ｶﾞｼｯ

黒髪「わっ！」

不良「オラッ！　オラオラッ！　オラァッ！　氏ねやァァァ！」

ドゴッ！　ドボッ！　ドゴォッ！

黒髪「ぐえっ！　うええっ！」

眼鏡「ひ、ひいい……！」

DQN「うっわ……腹にヒザ連打……」

ピアス「あーあ、反撃なんかするから……」

……

不良「今日はちょっと趣向を変えて……」

不良「古代ローマのグラディエーター再現といこうやァ！」

眼鏡「グラディエーター……？」

黒髪「どういうこと……？」

不良「お前ら二人とも、これ持てや」

眼鏡「えっ！」

黒髪「カッターナイフ……！」

DQN「お、おい……さすがにこれはヤベェんじゃ……」

不良「大丈夫だって！　たまにはスリルあった方がいいじゃんか！」

眼鏡「ひっ……」

黒髪「ハァ、ハァ、ハァ……」

不良「オラ、なにやってんだよ、早くやれやァ！」

眼鏡（そんなこといったって……）

黒髪（こんなのが相手に刺さったら……）

不良「チンタラやってねえで……早くやり合えよ！」ﾄﾞﾝｯ

眼鏡「うわっ！」ﾖﾛｯ…

ザクッ！

眼鏡「あ……」

黒髪「うわあああああああっ！　あああああああああっ……！」

眼鏡「ご、ごめん！　ごめんよぉ……！」



不良「……」

不良「俺、知ーらねっと。お前らが悪いんだからな」

DQN「お、俺も……」

ピアス「じゃ、じゃあなー」

ﾀﾀﾀｯ…

不良（その事故があってから、二人とも学校に来なくなり……）

不良（ほどなくして、二人とも転校したって知らせを聞いた）

不良（幸い、俺はほとんどお咎めを受けずに済んだ。俺は突き飛ばしただけだし、当然なんだけど）

不良（だけど、今でも二人には悪いことをしたと思ってる。ちゃんと反省してる）

不良（青春のほろ苦い1ページ……だ）

不良（そんな俺も――）



――――

――

格闘家（そんな俺も今では晴れてプロ格闘家になった。ガキの頃からの夢を叶えたんだ）

トレーナー「いいか、分かってるな」

トレーナー「今日の試合は、敏腕プロモーターが組んでくれた試合なんだ」

トレーナー「この試合で勝てば、お前の格闘技界での地位は確かなものになる」

トレーナー「絶対勝てよ！」

格闘家「分かってるって！　タオル投げたら頃すからな！」

反省してないじゃん

ﾜｧｧｧｧ…　ﾜｧｧｧｧ…

実況『ただいまより、メインイベントを開始いたします！』

実況『なんとこの試合は、プロモーターがレフェリーを務めることになっています！』

実況『それだけ、二人に期待をかけているということでしょう！』



格闘家（あれが俺の相手か……）

対戦相手「……」

格闘家（顔に傷があるが……なーんかどっかで見たような……）

レフェリー「ファイッ！」

カーンッ！

格闘家（まあいいや、すぐにKOしてリングに沈めてやらァ！）

格闘家「いくぜ――」

対戦相手「……」ｷﾞｭﾝｯ!

格闘家「えっ」

ドゴォッ！

格闘家「ぐはぁっ！」

バキィッ！　ドゴォッ！　バキィッ！

格闘家「ぐえっ！　ぐほっ！　ぐふぁっ！」

格闘家（やべえ、あっという間にコーナーに追い詰められた……！）

バキィッ！

格闘家「ふごっ！」

ドズッ！

格闘家「げぶっ！」

ドゴォッ！

格闘家「ごふっ……！」

格闘家（なんなんだ、この殺気のこもった連打、は……！　どうなってやが、る……）

ドゴォッ！

格闘家「おぼおっ！」

対戦相手「……」ｷﾞﾛｯ

格闘家「え……」

対戦相手「やっと……お前を殺せる……」

格闘家「……！」

格闘家（このツラ……思い出した！）

格闘家（こいつ、あの時の闘技場ごっこで傷を負った……）

バキィッ！

格闘家「へぶうぅっ！」

ボスッ！　ドゴッ！　バキッ！

格闘家（そういやこいつ……あの頃から……打撃センス……はあった……）

格闘家（俺がダウンしないよう……元気に見えるよう……殴り続けて……きやがる……）

ボゴッ！　ドスッ！　ボゴォッ！

格闘家（ヤ、ヤバイ……マジで……殺されちまう……！）

格闘家（そ、そうだレフェリーは……このイベントの……主催者！）

格闘家（氏人は出したくねえ、はず……）

格闘家「おい……レフェリー……！　ギブだ……ギブアップだ……！」

格闘家「た、助けて、くれ……。し、氏ぬ……」

レフェリー「……」

レフェリー「やっと……お前を殺せる……」

格闘家「え……！？」

格闘家（こいつ……まさか！？）

格闘家（まさか、こいつら……俺への復讐のためだけに、格闘家とプロモーターに……）

対戦相手「……」ﾆｨｯ

レフェリー「……」ﾆｨｯ

格闘家「ひっ……！　た、助け……」

うわあぁぁぁぁぁぁ……！！！






―END―

乙
面白かった