2: 2012/07/24(火) 17:01:52.90 ID:iYBEe1Q8o
――誰かが私を呼ぶ声がする

『……ちゃん、ほむらちゃん!!』

どうやら気を失っていたようだ

まだぼんやりしている視界で見たものは

破壊された街と

魔法少女姿の彼女だった

3: 2012/07/24(火) 17:02:51.81 ID:iYBEe1Q8o
ほむら「あなた、その姿……!」

まどか「……ごめんね。契約、しちゃった」

ほむら「どうしてなの…ワルプルギスは私に任せてくれればいいってあれほど……!」

QB「まどかを非難する権利は君にはないんじゃないかな」

QB「このままワルプルギスを野放しにしておけば、被害は広がる一方さ」

ほむら「だから、そうならないように私が……」

QB「でも事実、君一人ではワルプルギスには全く歯が立たないじゃないか」

4: 2012/07/24(火) 17:03:49.38 ID:iYBEe1Q8o
QB「それにもう、武器もろくに残っていないんだろう?」

QB「他に戦える魔法少女がいない以上、まどかが契約してワルプルギスを倒す。これ以外にもう手段はないと思うけど?」

ほむら「……っ!」

悔しいがインキュベーターの言うことはもっともだ

武器が尽きた以上、魔法で武器を生み出せない私が戦う術はもう、残っていなかった

手元にあるのはワルプルギスにはとても通じそうもない拳銃が一丁、弾は一発

ただ、この拳銃だけは使うわけにはいかなかった

5: 2012/07/24(火) 17:04:38.58 ID:iYBEe1Q8o
まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「……まどか?」

まどか「わたし…やるよ。わたしが、ワルプルギスの夜を倒す」

ほむら「まどか、あなた何を言って……」

まどか「キュゥべえも言ってたけど、これ以上ワルプルギスを放ってはおけない」

まどか「あとはわたしがワルプルギスを倒して、それでおしまいだよ」

ほむら「ま…どか……」

6: 2012/07/24(火) 17:05:37.40 ID:iYBEe1Q8o
まどか「ほむらちゃん」

ほむら「……何…かしら?」

まどか「ほむらちゃんはまた、時間を巻き戻すんだよね?」

ほむら「えぇ……」

まどか「……ほむらちゃんが今まで何回やり直してきたかのか、わたしにはわからない。だけど」

まどか「きっと、今のわたしの願いが、ほむらちゃんを助けてくれる」

まどか「そう思ったから契約したんだよ」

ほむら「あなたの…願い?」

7: 2012/07/24(火) 17:06:21.94 ID:iYBEe1Q8o
まどか「うん。でも願いの内容は言えない。それを言っちゃうと、ほむらちゃんをもっと縛りつけちゃう」

まどか「都合のいい話かもしれないけど、信じてくれないかな」

ほむら「まどか…えぇ、わかったわ」

ほむら「あなたとの約束と、あなたの願い」

ほむら「それがある限り、私は諦めない」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

まどか「キュゥべえも言っちゃダメだよ」

QB「言いはしないけど、その願いにはたして意味があるのかな」

8: 2012/07/24(火) 17:07:05.72 ID:iYBEe1Q8o
まどか「……それじゃあ、そろそろお別れだね」

ほむら「……ええ、でも……」

まどか「うん…魔女化のことだよね」

まどか「大丈夫…自分のことは自分でやる、魔女になんかならない」

そう言って、彼女は目に涙を浮かべている

私が不甲斐ないせいで、今回もまどかを救うことができなかった……

まどか「次のわたしのことも…よろしくね……」

ほむら「まどか…まどかぁ……」ポロポロ

まどか「あはは…もう、なん…で…ほむらちゃんが…泣くの……」ポロポロ

9: 2012/07/24(火) 17:08:01.54 ID:iYBEe1Q8o
まどか「それじゃあね、ほむらちゃん」

そう言ってまどかはワルプルギスへ向き直る

ほむら「ええ…またね、まどか」

私は盾の砂時計をひっくり返す

1ヶ月前のあの日へ、時間を遡っていった

10: 2012/07/24(火) 17:09:03.15 ID:iYBEe1Q8o
――――――

まどか「……行っちゃった…か」

QB「よかったのかい、ほむらに願いのことを言わなくて」

まどか「うん、よかったんだよ」

まどか「ほむらちゃんとわたしが、自分でそうなってくれないと意味がないよ」

QB「まどかがそう言うなら、僕は何も言わないよ」

まどか「ありがとう、キュゥべえ」

QB「それよりも、そろそろ……」

まどか「うん、ワルプルギスの夜を…倒さないと」

QB「でも、今の君に倒せるのかい?君はもう……」

まどか「それでも…やらなくちゃ。街を守るためにも…ほむらちゃんのためにも」

11: 2012/07/24(火) 17:09:53.55 ID:iYBEe1Q8o
まどか「……」

どうして魔女なんてものがいるんだろう

魔女がいなければ、わたし、さやかちゃん、マミさん、杏子ちゃん、それにほむらちゃん

みんなで幸せに過ごせたのかな……

みんなでお昼ご飯食べたり、お買い物したり、マミさんの家でティータイムを楽しんだり、したかったな……

それにもう、この気持ちを伝えることもできなくなっちゃったな……

まどか「……人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて氏んじまえ、だよ」ボソ

QB「ん?何か言ったかい、まどか?」

まどか「ううん、何でもないよ」

12: 2012/07/24(火) 17:11:09.55 ID:iYBEe1Q8o
あの願いならきっと、ワルプルギスを倒してくれる

いつか必ず、みんなを救ってくれる

わたしは信じてるよ

ほむらちゃん

大好きだよ

20: 2012/07/25(水) 03:38:14.04 ID:xhfHP//0o
夜つってもこんな深夜になってしまいました
次から今回投下分

21: 2012/07/25(水) 03:39:06.66 ID:xhfHP//0o
――――――

ほむら「……っ」

また、ここに戻ってきてしまった

この天井を見上げるたびに、またまどかを救えなかったと考えてしまう

ほむら「……」

だけど私は諦めない、絶対に

ベッドから飛び起きて、鏡の前に立つ

髪を解き、魔力で視力を治す

これでいつもの私だ

ほむら「……ふう」

22: 2012/07/25(水) 03:39:39.90 ID:xhfHP//0o
まだ学校の登校日まで時間がある

それまでにやっておくことというと…当面はグリーフシード集めと使い切ってしまった武器の補充、そんなところか

ほむら「……そういえば」

ほむら「結局まどかの願いは何だったのかしら?」

ほむら「まどかは私を縛りつけるとかで教えてくれなかったし……」

ほむら「とりあえず今は、できることをしましょう」

ほむら「まずは武器を補充しないと……」

今度こそ、まどかを救ってみせる

まどかとの約束のために

23: 2012/07/25(水) 03:40:23.79 ID:xhfHP//0o
――見滝原中学 教室――

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

とりあえず登校日までにできることは全てやった

私の戦いはここからだ

まどかの方を見ると、驚いたような困惑したような顔でこちらを見ている

ほむら(まどか…必ず、あなたの願いに辿り着いてみせる)

まどか「……?」

24: 2012/07/25(水) 03:41:10.95 ID:xhfHP//0o
生徒A「暁美さんって、前はどこの学校だったの?」

生徒B「前は、部活とかやってた?」

中沢「ちょっと、僕の席取らないでよ!座れないじゃ……」

生徒C「うっさい、中沢」

中沢「あ、すいません。座ってても立っててもどっちでもいいです……」

いつも通り、質問攻めに遭う

とにかくまどかと話をしなければ

ほむら「ごめんなさい、保健室に行かせてもらえるかしら?」

中沢「あ、じゃあ案内しましょうか……?」

ほむら「いえ、係の人にお願いするわ」

中沢「あ、そうですか……」

25: 2012/07/25(水) 03:41:44.95 ID:xhfHP//0o
さやか「いや~、すごい人気だねぇ、転校生」

まどか「う、うん…そうだね……」

まどか(でもあの子、確か……)

仁美「あら?こちらに来ますわ」

さやか「あ、ホントだ」

ほむら「鹿目まどかさん、あなたがこのクラスの保健係よね?」

まどか「え?あ、そうだけど……」

ほむら「保健室に案内してもらえるかしら?」

26: 2012/07/25(水) 03:42:27.07 ID:xhfHP//0o
まどか「あ…あの、暁美さんはなんでわたしが保健係だって……?」

ほむら「先生に聞いたの。それと、ほむらでいいわ」

まどか「う、うん、ほむら…ちゃん」

ほむら「鹿目まどか」

まどか「な、何?」

ほむら「あなたは自分の人生が、貴いと思う?家族や友達は大切?」

まどか「……!え…えっと、わたしは……」

27: 2012/07/25(水) 03:43:10.08 ID:xhfHP//0o
まどかは少し考えた後、真剣な顔で答えた

まどか「……うん、大切、だよ。家族も、友達のみんなも」

まどか「もちろん、ほむらちゃんもだよ」

ほむら「そ、そう…なら、今とは違う自分になろうなんて、思わないことね」

ほむら「さもなければ、全てを失うことになる」

まどか「え……!」

ほむら「あなたは今までどおりのあなたでいればいい。保健室、案内ありがとう」

まどか「あ……」

いつもと違い物怖じしない答えに驚いたけれど、忠告はした

あとは奴と契約しないように動くだけだ

28: 2012/07/25(水) 03:44:12.38 ID:xhfHP//0o
――放課後 改装フロア――

バァン バァン

ほむら「……くッ」

私は逃げるアイツを追いかけながら銃を撃つ

だが小さくてすばしっこいアイツにはなかなか当たらなかった

早く始末しないと、もうすぐここにまどかがやって来る

ほむら(時間を止めて始末するしか…でも魔力は極力温存したい)

QB「やれやれ、君はどうしてそこまで僕を憎んでいるんだい?」

ほむら「お前には関係ない」バァン

QB「全く、わけがわからnぎゅぷっ!!」ガシャーン

足を撃たれたインキュベーターは派手に転んで転がっていった

とりあえず、これで動きは封じた

あとは止めを刺すだけ、そう思い転がって行った方へ向かう

インキュベーターが倒れている広間へ出るとそこには

奴を抱き抱えた鹿目まどかの姿があった

29: 2012/07/25(水) 03:45:03.10 ID:xhfHP//0o
ほむら(遅かった…時間を止めてでも始末していれば……)

まどか「ほむら…ちゃん?何してるの……?」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「だ、ダメだよ!この子怪我してるよ!」

ほむら「あなたには関係ない」

まどか「ねえほむらちゃん、どうしてこんなことするの?訳を話してよ!」

ほむら「あなたには関係ないと……」

ブシュゥゥゥゥゥ

さやか「まどか!こっち!」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「とにかく逃げるよ!」

まどか「う、うん!」

30: 2012/07/25(水) 03:45:54.98 ID:xhfHP//0o
ほむら「……くっ、待ちなさ……!」

ズズズ…

ほむら「結界……!?こんなときに……!」

このままではあの2人も結界に飲み込まれてしまう

とにかくまどかを守らなくては

ほむら(時間停止!)

カシャッ

まどか「」

さやか「」

31: 2012/07/25(水) 03:46:28.63 ID:xhfHP//0o
時間の止まった世界

その中を動き、2人の前に立ち塞がるようにして時間停止を解除した

さやか「……てぇっ!!てってってっ、転校生!?」

まどか「ほむらちゃん、いつの間に……」

ほむら「2人とも、私から離れないで」ジャキ

さやか「そ、そんなこと言ったって、銃ぶら下げてる奴の言うことなんて聞けるか!」

さやか「またいつまどかに危害を加えるかわかったもんじゃ……」

まどか「……うん、わかった。わたし、ほむらちゃんから離れない」

さやか「まどか!?」

32: 2012/07/25(水) 03:47:14.97 ID:xhfHP//0o
ほむら「ありがとう、まどか…さて、お出ましのようね……」

ズズズ…

さやか「あ…あれ?周りの景色が……?」

使い魔「……」

さやか「ひい!?な、何あの綿菓子みたいな奴……!」

まどか「だ…大丈夫だよさやかちゃん、ほむらちゃんが必ず助けてくれるよ!」

さやか「だ、だけどさ……!」

ぐずぐずしていてはいつ2人に危害が及ぶかわからない

手早く倒したいが、拳銃では時間がかかるし、爆発物では一般人の2人が危険だ

ならばと盾の中の機関銃に手をかけた、その時

33: 2012/07/25(水) 03:47:56.02 ID:xhfHP//0o
『ティロ・フィナーレ!!』

ズドォォォォン

背後から飛んできた砲撃は、使い魔を全て倒していた

振り返るとそこには、黄色を基調とした魔法少女姿の彼女がいた

マミ「危なかったわね。でももう大丈夫」

さやか「あ、ありがとうございます…あ、周りの景色も戻ってる」

ほむら「……巴…マミ……」

マミ「魔女は逃げて行ったわ。仕留めたいのなら追いかけたら?」

ほむら「私が用があるのは……」

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」

ほむら「……っ」ダッ

34: 2012/07/25(水) 03:48:33.61 ID:xhfHP//0o
まどか「あ、ほむらちゃん!」

まどか「さやかちゃん、この子お願い!」ダッ

QB「きゅっぷい」

さやか「え?ちょ、まどか!?」

さやか「おーい、まどかぁー!?はぁ……」

マミ「……何がどうなってるのかしら?」

さやか「あ、すいません…えーと」

マミ「巴マミよ。見滝原中学の3年生。あなたは?」

さやか「あたしは美樹さやかです」

さやか「それと、さっきのピンクの髪が友達の鹿目まどか、黒髪のコスプレが転校生の暁美ほむら。見滝原中学の2年生です」

35: 2012/07/25(水) 03:49:20.96 ID:xhfHP//0o
マミ「そう、よろしくね美樹さん」

さやか(あれ、よく見たらこの人もコスプレ……?)

さやか「落ち着いたところで聞きますけど、さっきのアレ、一体何ですか?」

さやか「景色はわけわかんないのに変わるわ、変な綿菓子みたいなのは出てくるわ……」

マミ「そうね、説明したほうがよさそうね…キュゥべえも見えているようだし」

さやか「へ?」

マミ「私の家に来ない?そこでならゆっくり説明できると思うわ」

さやか「は、はい!よろしくお願いします!」

マミ「ふふ、それじゃあ行きましょうか」

さやか(まどか…何だってあんな奴に着いて行くのさ……)

36: 2012/07/25(水) 03:50:11.24 ID:xhfHP//0o
――――――

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「ま、まどか!?どうしてここに……?」

まどか「ほむらちゃんが…急に走ってっちゃったから…追いかけてきたの……」ゼエゼエ

まどか「わたしが追いかけないと…ほむらちゃん、独りぼっちになっちゃうから……」ゼエゼエ

ほむら「まどか…ありがとう……」

37: 2012/07/25(水) 03:50:53.60 ID:xhfHP//0o
まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「ほむらちゃんはどうして、あの動物?を襲ってたの……?」

まどか「それにあの変な世界とか、綿菓子みたいなのも、一体何?」

ほむら「……そうね、説明したほうがいいわね」

ほむら「本当はアイツと接触する前にケリをつけたかったけど、それはもう手遅れのようだし」

ほむら「明日の昼休み、屋上へ来てくれるかしら?そこで説明するわ」

まどか「明日の昼休みだね、わかったよ」

55: 2012/07/25(水) 04:16:18.19 ID:xhfHP//0o

ほむら「それじゃあ、今日は失礼するわ」

ほむら「あなたも遅くなる前に家に帰りなさい」

まどか「うん、ほむらちゃん、また明日」

ほむら「えぇ、また明日」

インキュベーターとまどかを接触させてしまったが、この時点でまどかが私の話を聞いてくれるというのはまたとないチャンスだ

さて、どこまで説明したものか……

39: 2012/07/25(水) 03:52:34.21 ID:xhfHP//0o
――翌日――

キーンコーンカーンコーン

さやか「ふぃー、やっとお昼かぁー」

まどか「さやかちゃんごめん、わたし用事があってお昼一緒に食べられないや」

さやか「あたしも教室外で食べるからいいけど…またあの転校生?」

まどか「え?あ、いや、その……」

さやか「あんたはお人好しすぎんのよ…まぁ、あの時狙ってたのはキュゥべえだったみたいだから大丈夫だと思うけど」

さやか「一応気をつけなさいよ?」

まどか「う、うん、ありがと。じゃ、行ってくるね」ガラ

さやか「……まったく、あれのどこがいいんだか……」

さやか「さて、あたしは……」

40: 2012/07/25(水) 03:53:23.87 ID:xhfHP//0o
ガチャ

まどか「ほむらちゃん?」キョロキョロ

ほむら「待っていたわ」

まどか「あ、ごめんね。さやかちゃんに呼び止められて」

ほむら「美樹さやかは一緒じゃないの?」

まどか「さやかちゃんも教室外で食べるって言ってたから、何か用事かな」

ほむら(きっと巴マミのところね……)

まどか「それで、ほむらちゃん……」

ほむら「ええ、昨日言ったとおり説明するわ。食べながら聞いて頂戴」

まどか「うん。ほむらちゃんは?」

ほむら「私はもう食べ終わってるからお構いなく」

まどか「そ、そうなんだ……」

41: 2012/07/25(水) 03:54:14.90 ID:xhfHP//0o
私は昨日あったことを説明した

魔法少女のこと、魔女のこと、キュゥべえのこと

まどかは弁当を食べながらも、真剣に聞いてくれた

ほむら「――というわけよ」

まどか「魔法少女…かぁ。目の前で変身されたら、さすがに信じるしかないよね……」

まどか「……ほむらちゃんは、何の願いで魔法少女になったの?」

ほむら「……私は……」

まどか「あ、ごめんね。言いたくなかったら言わなくても……」

ほむら「……いつか、必ず話すわ」

42: 2012/07/25(水) 03:54:49.68 ID:xhfHP//0o
ここまではインキュベーターが話すことと同じ内容だ

この先の話…魔法少女の真実について話すべきか

ほむら「まど……」

マミ「何を吹き込んでいるのかしら?」

さやか「まどか、大丈夫?何もされてない?」

巴マミに美樹さやか…人の話の邪魔を……

まどか「う、うん…大丈夫だよ」

43: 2012/07/25(水) 03:55:31.98 ID:xhfHP//0o
マミ「暁美ほむらさん…だったかしら。そうまでして魔法少女を増やしたくない理由は何かしら?」

ほむら「まどかには昨日あったことの話をしただけよ」

さやか「はっ、どうだか」

まどか「あ、あなたは昨日の……?」

マミ「えぇ、私は巴マミ。よろしくね、鹿目まどかさん」

まどか「よ、よろしくお願いします……」

44: 2012/07/25(水) 03:56:12.09 ID:xhfHP//0o
まどか「それで、2人はどうして屋上に?」

さやか「マミさんと一緒にお昼食べようと思って屋上に来たんだけど」

マミ「昨日の怪しい魔法少女が何かを吹き込んでいるようだったから釘を刺しに、ね」

ほむら「だから何も余計なことなど……」

さやか「それよりもマミさん、お昼にしましょうよ。時間なくなっちゃいますよ」

マミ「あら、ホントね。それじゃあお昼にしましょうか」

さやか「マミさんのお弁当どんなだろう…昨日のケーキも凄かったからなぁ……」

マミ「あら、お弁当は普通よ?お菓子作りは趣味でやってるだけよ」

45: 2012/07/25(水) 03:56:50.57 ID:xhfHP//0o
巴マミと美樹さやかはここで昼食にするらしい

これ以上、ここで話すわけにはいかない…ならば

ほむら「まどか……」コソ

まどか「え…何?ほむらちゃん」

ほむら「今日の放課後、さっきの話の続きがしたい。時間を空けておいてくれるかしら」

まどか「うん、わかったよ」

ほむら「それじゃあ私は失礼するわ…話、聞いてくれてありがとう」

放課後に話をする約束をして、その場を後にする

背後から楽しそうな談笑が聞こえてくる

私がその輪の中に入ることは、もうできないだろう……

46: 2012/07/25(水) 03:57:42.28 ID:xhfHP//0o
――放課後――

キーンコーンカーンコーン

さやか「おーい、まどかー」

まどか「さ、さやかちゃん?わたし、ほむらちゃんと……」

さやか「あんな奴に付き合うことないって。放課後はあたしとマミさんに付き合いなよ」グイ

まどか「ちょ、ちょっとさやかちゃん、引っ張らないで~!」

ほむら「……」

美樹さやかに強引に連れて行かれてしまった

巴マミの魔女狩りに付き合わせるのだろう

生徒「暁美さん、喫茶店寄っていかない?」

ほむら「ごめんなさい、急ぎの用事が」ダッ

47: 2012/07/25(水) 03:58:28.00 ID:xhfHP//0o
――廃屋――

昨日逃げた魔女の結界に先回りした

恐らく狙いはコイツだ

しばらく待っていると、彼女たちがやってきた

さやか「あ、転校生!」

まどか「え?あ、ほむらちゃん」

マミ「……どうしてここに?」

ほむら「放課後、まどかと約束があるから」

マミ「じゃあ、そこで待っていなさい。魔女は見つけたから、あとは倒して終わりだから」

ほむら「なら私も一緒に……」

マミ「結構よ。何をしでかすか分からない人と一緒には戦えないもの」

ほむら「……」

48: 2012/07/25(水) 03:59:28.47 ID:xhfHP//0o
マミ「じゃあ2人とも、行くわよ」

さやか「はい、マミさん!」

ほむら「まどか……」

まどか「ほむらちゃん、少し待っててね。すぐ戻ってくるから」

そう言ってまどかは巴マミに連れられて魔女の結界に入って行った

この魔女…薔薇園の魔女は大した強さでもないせいか、10分程で戻ってきた

49: 2012/07/25(水) 04:00:31.14 ID:xhfHP//0o
マミ「お疲れさま、2人とも」

さやか「マミさん、ありがとうございました!」

まどか「ただいま、ほむらちゃん」

ほむら「お帰りなさい、まどか。それじゃあ行きましょうか」

まどか「え、あ、うん。マミさん、今日はありがとうございました」

マミ「……鹿目さんはどうして、あそこまで暁美さんに入れ込むのかしら……?」

さやか「それはあたしにもちょっと…それでマミさん、その黒いのは何ですか?」

マミ「え?あぁ、これはグリーフシードと言って……」

50: 2012/07/25(水) 04:01:36.64 ID:xhfHP//0o
――――――

まどかとハンバーガーショップに入った

絶対にまどかを魔法少女にするわけにはいかない

なら、魔法少女の真実…ソウルジェムと魔女について話すしかない

まどか「それでほむらちゃん、話の続きって……」

ほむら「その前にひとつだけ約束して。これから話すことは絶対に他の人には話さないで」

ほむら「美樹さやかにも、巴マミにも、キュゥべえにも」

まどか「……うん、わかった」

ほむら「それじゃあ話すわ。魔法少女の真実について……」

51: 2012/07/25(水) 04:02:22.29 ID:xhfHP//0o
ほむら「――これが、魔法少女の真実……」

まどか「そ…そんな…嘘…嘘だよね……?」

ほむら「いえ、本当のことよ。私たちの本体はソウルジェムで肉体を操る有効範囲は100m。そしてそのソウルジェムが濁りきると魔女になる」

ほむら「これが本体なのだから、ソウルジェムが砕ければ当然氏んでしまう」

まどか「そ…それじゃあ、ほむらちゃんやマミさんもいつか魔女に……?」

ほむら「えぇ、そうなるわね」

まどか「そんな…そんなのってないよ……」

ほむら「えぇ、ないわね。だからあなたは魔法少女になるべきではないわ。絶対に」

52: 2012/07/25(水) 04:03:15.78 ID:xhfHP//0o
まどか「でも、目の前のほむらちゃんは普通に動いて、息をして、食べ物を食べてるのに……」

ほむら「……私の家で話すべきだったかしら。ソウルジェムが本体だっていう証明の実験もできたし」

まどか「そ、そのソウルジェムが本体だったとしても、わたしにとってのほむらちゃんは人間だよ!」

まどか「だから、そんなこと言わないでよ……」

ほむら「……ごめんなさい」

ほむら「ともかく、あなたは魔法少女になっては駄目よ。絶対に」

まどか「うん、ここまで話してくれたんだもん…魔法少女にはならないよ。絶対」

ほむら「……ありがとう、まどか」

53: 2012/07/25(水) 04:04:21.67 ID:xhfHP//0o
まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

まどか「マミさんやさやかちゃんとは仲良くできないのかな……?」

ほむら「……難しいでしょうね。もう既に何だか危ない奴という印象を持たれているようだし」

まどか「でも、マミさんと一緒に戦えば今よりも安全に戦えるんだよね?」

ほむら「それはそうよ。巴マミほどの実力の魔法少女が一緒なら、1人より遥かに安全に戦える」

まどか「なら、マミさんと協力しようよ!わたしも魔法少女以外のことなら手伝うから!」

ほむら「まどかが一緒でもそれは…いえ、それなら……」

ほむら「まどか、私に考えがあるわ。チャンスは恐らく1回限り。協力してくれるかしら?」

まどか「任せてよ、ほむらちゃん!」

ほむら「ありがとう。それで作戦なんだけど……」

58: 2012/07/25(水) 17:40:09.65 ID:xhfHP//0o
――数日後 病院前――

さやか「まったく恭介の奴、せっかくさやかちゃんが来たってのに都合が悪いってどういうことよ」

さやか「まどかはまどかで相変わらず転校生にべったりくっついてるし……」

QB「そのまどかも暁美ほむらと接触してから、魔法少女には絶対にならないって言ってるんだよね」

さやか「そうなの?もー、何がどうなってる……!」

さやか「あれ…これ、グリーフシードじゃないの!?」

QB「それもマズいことに、孵化しかかってるよ」

さやか「どどど、どうしよう……!」

QB「とにかく、マミを呼ばないと」

59: 2012/07/25(水) 17:41:15.80 ID:xhfHP//0o
さやか「わ、わかった!」

さやか(マミさん、マミさん!)

マミ(あら美樹さん。どうかしたの?)

さやか(病院の前でグリーフシードを見つけたんです!しかも孵化しかかってるってキュゥべえが!)

マミ(わかった、今すぐそっちに向かうわ)

さやか(お願いします!)

さやか「……これで大丈夫、かな」

QB「あとはマミが来るのを待つだけだね。君も早く離れるんだ」

さやか「いや…あたしは、こいつを見張ってるよ」

60: 2012/07/25(水) 17:42:02.74 ID:xhfHP//0o
QB「そんな、無茶だよ。魔法少女でもない君が、結界へ入るなんて……」

さやか「でも結界が出来ちゃうと、またどこにいるかわからなくなるんでしょ?ほっとけないよ」

さやか「……それに、あんたも一緒にいてくれるんでしょ?万一の時は契約するよ、あたし」

QB「さやか…わかったよ」

さやか「ありがと、キュゥべえ。さて、それじゃこのさやかちゃんが張り切って見張って……」

QB「さやか、グリーフシードから結界が!」

さやか「え!?ちょおおおお!?」ズアア

61: 2012/07/25(水) 17:42:57.93 ID:xhfHP//0o
ガサガサ

まどか「……ふう」

まどか「ほんとにほむらちゃんが言ったとおりだよ……」

――――――

ほむら「まどか、あなたには美樹さやかの尾行をしてもらうわ」

ほむら「数日中に彼女は上条恭介のお見舞いに行くはず」

ほむら「その帰りに、孵化しかけのグリーフシードを見つけて、その結界に飲み込まれる」

ほむら「そしてその魔女を倒しに、巴マミがやってくる。ここまでが第1段階よ」

ほむら「もし途中でお腹が空いたらこれを食べるといいわ」ゴソゴソ

――――――

まどか「……って、渡してくれたのはいいんだけど……」

まどか「カロ○ーメイト…もしかしてほむらちゃんいつもお昼コレ食べてるんじゃ…妙に食べるの早いし」

62: 2012/07/25(水) 17:43:39.90 ID:xhfHP//0o
タッタッタ…

まどか「あ、マミさん!」

マミ「あら、鹿目さん。美樹さんは?」

まどか「そ、それが…グリーフシードを見張ってるって言って、そのまま結界に……」

マミ「あの子…無茶しすぎ、と言いたいけど今回はお手柄ね」

マミ「鹿目さん、あなたはどうする?」

まどか「わ、わたしも連れて行ってください、マミさん!」

マミ「わかったわ、それじゃ行きましょう。私から絶対に離れないでね」

まどか「はい!」

まどか(ほむらちゃん、わたし頑張るよ!)

63: 2012/07/25(水) 17:44:34.79 ID:xhfHP//0o
ガサガサ

ほむら「……」

まどかは巴マミと一緒に結界へ入ったようだ。これで第2段階クリアね

あとはまどかに頼んだ最終段階…それもクリアできれば、今よりは友好的になれるかもしれない

巴マミとは別に争いたいわけじゃない。しかし、いつからかずっとこんな調子だった。でも、まどかがいればきっと……

それにしても……

ほむら「……何でバレたのかしら、私がお昼にカロ○ーメイト食べてるの」

ほむら「まぁいいわ。そろそろ私も行かないと」

64: 2012/07/25(水) 17:45:32.55 ID:xhfHP//0o
――結界内――

マミ「鹿目さん、ひとつ聞いてもいいかしら?」

まどか「はい、なんでしょう?」

マミ「鹿目さんはどうして暁美さんと一緒にいるのかしら?」

まどか「……正直、自分でもよくわからないんです」

まどか「最初にほむらちゃんを見たときは、すごい美人な子だなって思ったんです」

まどか「でもわたしを見たときの眼が、なんだかつらそうというか、寂しそうに見えて…気のせいだと思うんですけど」

まどか「それから魔法少女のことを知って、マミさんとケンカしたほむらちゃんを見たら…なんだか放っておけなかったんです」

まどか「さやかちゃんはマミさんと一緒にいるから、わたしまでマミさんに着いて行っちゃうと…ほむらちゃん、独りぼっちになっちゃうから……」

まどか「だから…ですかね」

65: 2012/07/25(水) 17:46:43.89 ID:xhfHP//0o
マミ「そう……」

まどか「わたし、マミさんとほむらちゃんも仲良くしてほしいんです」

まどか「このままだときっと、敵か味方かってことになっちゃう気がして」

まどか「そのときにわたし、マミさんか、ほむらちゃんか、なんて選べないですから……」

マミ「鹿目さん…わかった。暁美さんとはなるべく友好的にするわ」

まどか「……!あ、ありがとうございますマミさん!」

まどか「あ、それと……」

66: 2012/07/25(水) 17:47:31.84 ID:xhfHP//0o
マミ「あら、何かしら?」

まどか「……絶対に誰にも言わないって約束してくれます?」

マミ「?ええ、わかったわ」

まどか「ほむらちゃんを…夢で見た…気がするんです」

マミ「……」

まどか「マミさん?」

マミ「……そう、夢で…ね……」プフフ

まどか「わ、笑わないでくださいよ!」

マミ「ご、ごめんなさい…そんなこと…ふふっ、言い出すと思わなかったから……」

マミ「あなたたち前世で恋人か何かだったんじゃないかしら?素敵よ」

まどか「もー!」

67: 2012/07/25(水) 17:48:50.65 ID:xhfHP//0o
ほむら「巴マミ!」シュタ

マミ「ほら、恋人さんが来たわよ」

ほむら「……何の話?」

まどか「な、なんでもないよ!」アタフタ

マミ「それで、何かしら?」

ほむら「ここの魔女は強い。あなたと手を組みたい」

マミ「……いいわ。今回は手を組んであげる。鹿目さんと、魔女のところにいる美樹さんのことをお願いするわ」

ほむら「……わかったわ」

まどか「ありがとうございます、マミさん!」

68: 2012/07/25(水) 17:50:17.15 ID:xhfHP//0o
巴マミが手を組んでくれたということは、まどかの説得が成功したのだろう。ありがとう、まどか

以前より少しは友好的になれたかもしれない

問題はここの魔女…お菓子の魔女だ

放っておけば、まず間違いなく巴マミの頭が食べられてしまう…私がなんとかしないと……

マミ「――ここね、魔女は。暁美さん、準備はいいかしら?」

ほむら「ええ、大丈夫。まどか、私から離れないで」ジャキ

まどか「うん!」

マミ「じゃ、行くわよ」

69: 2012/07/25(水) 17:51:24.86 ID:xhfHP//0o
マミ「美樹さん!」

さやか「あ、マミさん!もうすぐ孵化するみたいです!」

マミ「そう、間に合ってよかった」

QB「おや、今日は暁美ほむらも一緒にいるのかい?」

さやか「えっ!?あ、転校生!なんでここに!?」

マミ「今回は彼女と手を組んだの」

さやか「ど、どうしてですか!?」

マミ「……ちょっと、ね」

さやか「……まぁ、マミさんがそう言うなら……」

70: 2012/07/25(水) 17:52:23.68 ID:xhfHP//0o
QB「マミ、魔女が孵化するよ!」

マミ「……!暁美さん、鹿目さんと美樹さんをお願い。私は魔女を……!」

ほむら「ええ、わかったわ。美樹さやか、あなたも私から離れないで」

さやか「……わかったよ」

まどか「さやかちゃん……」

ほむら「……来るわよ」

パァァ

魔女「……」

さやか「……あれが、魔女?なんかあんまり強そうには……」

まどか「それに、ちょっと可愛いかも……」

ほむら「見た目はね。それでも魔女なんだから、凶悪な奴よ」

さやか「そ、それもそうか……」

71: 2012/07/25(水) 17:53:18.95 ID:xhfHP//0o
マミ「生まれてきて早々悪いんだけど、お帰り願おうかしら?」チャキ

マミ「はっ!」パァン

魔女「……」

マミ「やっ!」ガッ

魔女「……」

マミ「まだよ!」シュル

魔女「……」グルグル

さやか「魔女を打ち上げて拘束…なら、次に来るのは……!」

マミ「これで……」

マミ「終わりよ!」ジャキン

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

ズドォォォォォン

さやか「やったぁ!」

72: 2012/07/25(水) 17:54:13.11 ID:xhfHP//0o
いや、まだだ。まだ中身の恵方巻きが出てきていない

いつ中身が出てきてもいいよう、私は盾に手をかけた

さやか「さっすがマミさん!」

マミ「もう、美樹さんたら。煽てたって何も……」

魔女「……」ブルブル

まどか「……あれ、あの魔女、震えてるよ?」

QB「……!マミ、まだだ!」

ズルゥ

マミ「……え?」

さやか「あ……!」

ほむら(ここだ…時間停止!)

カシャッ

73: 2012/07/25(水) 17:55:15.73 ID:xhfHP//0o
なんとか頭を食べられる前に時間を止めることが出来た

巴マミを魔女の前から引き離し、魔女の口の中に爆弾を放り込んでから時間停止を解除した

ズドォォォン

さやか「わぁ!?な、何!?いや、それよりもマミさんは!?」

まどか「あ、あそこ!マミさん無事だよ!」

マミ「……あ、あれ?私は……?」

ほむら「巴マミ、まだ戦えるわね?」ジャキ

マミ「え、えぇ。ごめんなさい、助かったわ」

さやか「うぅ、こちとら一般人だというのに…またドカンとやりそうだからあたしゃこのケーキの陰に隠れてるよ……」

74: 2012/07/25(水) 17:56:08.76 ID:xhfHP//0o
恵方巻きのような魔女の中身と向き合う

この中身、中々に厄介だ。手早く本体を叩いて終わらせたいところだ

まずは目の前の恵方巻きを攻撃して動きを止める。そう考えていた時だった

魔女「……」ズオオ

ほむら「……チッ」

こちらの考えが纏まる前に魔女が動き出した

迎撃しようと私と巴マミが武器を構える。だが

75: 2012/07/25(水) 17:56:55.10 ID:xhfHP//0o
魔女「……」グオオ

マミ「……あら?」

魔女は私たちを素通りしていった

私と巴マミはここ、美樹さやかはあのケーキの陰…魔女の狙いはまさか……

ほむら「まどか!逃げて!!」

まどか「え……」

76: 2012/07/25(水) 17:57:57.53 ID:xhfHP//0o
ほむら「まどか!!逃げて!!早く!!」

まどかに向かって力の限り逃げろと叫ぶ

しかし、まどかは動けなかった

時を止めることも忘れ、必氏にまどかを守ろうと、彼女の元へ向かう

巴マミもリボンで拘束しようと試みるが、その勢いは止まらない

ほむら「まど……!」

まどかの眼前に大口を開けた魔女が迫る

そしてまどかに喰らいつかんとしたその瞬間に

私の意識は

途絶えた

90: 2012/07/26(木) 18:03:10.32 ID:xpQIPckAo
――誰かが私を呼ぶ声がする

『……ちゃん、ほむらちゃん!!』

どうやら気を失っていたようだ

まだぼんやりしている視界で見たものは

巴マミの部屋と

くしゃくしゃに泣いている彼女の姿だった

91: 2012/07/26(木) 18:03:56.89 ID:xpQIPckAo
――マミの家――

まどか「ほむらちゃん!!目を覚ましてよ、ほむらちゃん!!」

ほむら「……う…ここ…は…?まど…か…?」

まどか「ほむらちゃん!目が…目が覚めたんだね……!」

まどか「わたし、ほむらちゃんが氏んじゃうんじゃないかって…よかった…よかったよぅ……」ポロポロ

ほむら「まどか……」

泣きじゃくる彼女をそっと抱き寄せる

抱きしめられたことで、少し落ち着いたようだ

ほむら「心配させてしまってごめんなさい。でも大丈夫、私はこうしてちゃんと生きているわ」

まどか「うん…うん……!」

92: 2012/07/26(木) 18:04:40.68 ID:xpQIPckAo
ほむら「それに言ったでしょう?私は魔法少女…多少の怪我程度、なんてことないわ」

まどか「前にも言ったけど、わたしにとってのほむらちゃんは人間なんだよ…?ほむらちゃんが怪我したり倒れちゃったりしたら、すごく辛いし、悲しいよ……」

私のことを心の底から心配してくれているようだ。まどかを悲しませてしまった自分が許せなかった

そして、魔法少女の私なんかをここまで気にかけてくれるまどかが、とても愛おしく感じた

ほむら「まどか、もう大丈夫かしら?」

まどか「うん、ありがとうほむらちゃん」

完全に落ち着いたようなので、まどかから離れる

そういえばあの2人の姿が見えないが…覗き見とは趣味が悪い

ほむら「そこの2人、そんなところでコソコソしてないで入ってきなさい」

93: 2012/07/26(木) 18:05:17.81 ID:xpQIPckAo
ガチャ

さやか「ば、バレてましたか……」

マミ「ご、ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったんだけど……」

QB「僕は数に入れてもらえないのかい?」

マミ「鹿目さんの目が覚めたって声が聞こえたから様子を見に来たんだけど」

さやか「あんたら2人が熱い抱擁してたもんで、入るに入れなくて……」

まどか「あ…う……」カア

ほむら「目が覚めたところで聞きたいのだけれど、私はどうなっていたの?」

マミ「覚えていないの?あれだけのことをしておいて……」

さやか「どこまで覚えてるのさ?」

覚えている分だけ思い出す

結界に入って…巴マミと共闘して…魔女の中身が出てきて……

ほむら「……」サァー

さやか「なんか真っ青になってない?」

94: 2012/07/26(木) 18:06:07.17 ID:xpQIPckAo
ほむら「ご、ごめんなさいまどか…私、あなたを命の危険に晒して……!」

まどかに向かって頭を叩きつける勢いで土下座する

まどか「い、いいんだよほむらちゃん。着いて行きたいって言い出したのはわたしなんだし…それに」

まどか「わたしもほむらちゃんも生きてるんだから…ね?」

ほむら「ありがとう…まどか……」

さやか「ん~、まどかが齧られそうになるあたりまでかな、覚えてるのは」

ほむら「えぇ、そうね。その後何が起こったか、教えてくれるかしら?」

マミ「わかったわ。あの後起こったのは……」

95: 2012/07/26(木) 18:06:56.00 ID:xpQIPckAo
――――――

魔女「……」アーン

まどか(あぁ…わたし、食べられちゃうんだ……)

まどか(わたし、ここで氏んじゃうのかな…ごめんね、さやかちゃん、マミさん。ごめんなさい、パパ、ママ……)

まどか(ごめんね、ほむらちゃん。……ほむら…ちゃん……)

まどか(助けて…助けて、ほむらちゃん……!)

ガッ

まどか「……あれ?……え!?」

ほむら「……」グググ

まどか「ほ、ほむらちゃん!」

ほむら「……」ジャキ

ズドドドドドドド

魔女「……」ボロボロ

まどか「ま、魔女が穴だらけに……」

まどか(ほむらちゃんって、もしかしてもの凄く強いのかな……)

96: 2012/07/26(木) 18:07:42.79 ID:xpQIPckAo
ガシ

まどか「え?ほむらちゃん?」

ほむら「……」カシャッ

まどか(え……?なに…これ……?)

魔女「」

マミ「」

さやか「」

まどか(みんなの動きが止まってる…これが、ほむらちゃんの魔法……?)

ほむら「……」ポイポイポイポイ

まどか「ほ、ほむらちゃん……」

ほむら「……」ダッ

カシャッ

97: 2012/07/26(木) 18:09:03.37 ID:xpQIPckAo
ズドォォォォォン

マミ「きゃっ!?な、何!?」

さやか「え、恵方巻きが大爆発を…転校生の奴、またやりおったな……!」

魔女「」シーン

さやか「……原型留めてませんね。転校生、魔法少女というより爆発少女のほうが似合ってるんじゃ……」

QB(これは…暁美ほむらの魔力が跳ね上がった……?一体何故?)

マミ「それよりも鹿目さんと暁美さんは!?」

さやか「……!あそこです、ぬいぐるみみたいな魔女の上!」

グシャ

マミ「……踏み潰したわね」

さやか「でもあっちが本体だったみたいですよ。グリーフシードが」カラーン

ほむら「……」ドサ

98: 2012/07/26(木) 18:09:41.78 ID:xpQIPckAo
マミ「え?ちょっと、暁美さん!?」ダッ

さやか「ど、どうしたんですか!?」

マミ暁美さんが倒れたわ!!とにかく私の家へ運びましょう!!」

さやか「は、はい!」

――――――

マミ「――ということよ。どう?」

ほむら「……本当に私がそんなことを?」

まどか「うん、間違いないよ。ほむらちゃんが魔女の口をつっかえ棒みたいに押さえてたよ」

さやか「うひゃあ…無茶するなあ……」

QB「あの変貌ぶりは僕も驚いたよ」

マミ「魔法で生み出した武器でもないのに魔女に風穴を開けたのは…魔力を纏わせたからかしら……?」

マミ「でも普通、あそこまでの威力は……」

99: 2012/07/26(木) 18:10:36.50 ID:xpQIPckAo
ほむら「確かに多少なりとも魔力は纏わせているけど…風穴を開けるなんてとても……」

ほむら「魔女の口を受け止めるなんて真似も普段ならできないわね」

まどか「じゃあ普段のほむらちゃんはもの凄く強いってわけじゃないの?」

ほむら「えぇ、魔法少女としては弱い部類でしょうね。魔法で武器も作れないからこういった現代兵器に頼らざるを得ないわけだし」

ほむら「固有魔法の方もちょっと……」

まどか「あ、でもあの魔法は凄かったよ。なんか周りがみんな……」

ほむら「え!?ままま、まどか、ちょ、ちょっと……」

100: 2012/07/26(木) 18:11:22.52 ID:xpQIPckAo
ほむら「まどか、あなたきっと私の魔法を見たんだと思うけど、それについては秘密にして欲しいの」コソコソ

まどか「え、どうしてなの?」コソコソ

ほむら「あの魔法は相手がトリックを知らないから強いの。だからよ、お願い」コソコソ

まどか「う、うん、わかったよほむらちゃん……」コソコソ

マミ「2人で何をコソコソ話してるのかしら?」

ほむら「何でもないわ。ちょっとまどかが思い返して怖くなってしまっただけよ」

101: 2012/07/26(木) 18:12:19.93 ID:xpQIPckAo
マミ「でもあれは一体何だったのかしら……」

さやか「火事場の馬鹿力……?」

まどか「キュゥべえは何かわからないの?」

QB「推測はいくつかあるけど、どれも確証はないね」

ほむら「何かしらの力の暴走だったようだし、もう2度と起こらないよう努力するわ」

でも実際、暴走するような力は私にはないはずだ。そもそも今までこんなことは起こらなかった

もしかして前の世界のまどかの願いによるもの?だとしても内容に検討がつかない……

マミ「えぇ、それがいいわね。あの姿は正直もう見たくは……」

さやか「うん…ぶっちゃけ怖かったよ」

102: 2012/07/26(木) 18:13:13.69 ID:xpQIPckAo
マミ「でも鹿目さんを守ろうと必氏に戦うあの姿…虜の狂戦士……」ブツブツ

マミ「いえ待って、彼女たちは前世で恋人…愛に生き、愛に氏ぬ…愛の哀戦士……」ブツブツ

さやか「マミさん?マミさーん?」

まどか「だ、だから違うって言ってるじゃないですかマミさん!」

ほむら「早く戻ってこないとひっぱたくわよ」

103: 2012/07/26(木) 18:13:59.45 ID:xpQIPckAo
さやか「まぁ、ほむらが無事に目が覚めたので、あたしとマミさんから言いたいことがあります」

ほむら「えぇ、何…あなた、今何て……」

さやか「ほむら!」

マミ「暁美さん!」

さやか・マミ「今までごめんなさい!!」

ほむら「え…一体何?」

さやか「今までほむらのこと、まどかを狙う危険人物とか、マミさんの邪魔する魔法少女…敵みたいに思ってた」

さやか「でもあれだけ必氏にまどかを守ろうとしてくれてるほむらは、悪い奴じゃないんだなと」

マミ「私も美樹さんと同じような考えだったわ…急に現れた魔法少女のあなたに、必要以上の敵意を抱いていた」

マミ「でも今日、やられそうになったところを助けてくれた時に…本当に敵なら、そんなことするはずないと思って」

104: 2012/07/26(木) 18:14:43.04 ID:xpQIPckAo
さやか「あとはまどかが普段のほむらはこんな奴だ、って話してくれてね」

さやか「まどかの奴、次から次へとほむらのこと話すんだよ…それこそ、ほむらが好きなんじゃないかってくらいにさ」

まどか「うぇひひ……」

ほむら「まどか……」

またまどかに助けられた。どうにもこの時間軸に来てからは、まどかに助けられてばかりだ

あなたはいつどこの時間軸でもそうだ。優しくて、強くて……

私は溢れ出しそうな涙を堪えるのに必氏だった

ほむら「さやか…マミ…ありがとう……」

105: 2012/07/26(木) 18:15:25.62 ID:xpQIPckAo
マミを助けられたし、さやかとも打ち解けることができた

この話をするには絶好の機会だ

ほむら「3人とも、ちょっと聞いて頂戴」

ほむら「3週間後、この街にワルプルギスの夜が現れる」

マミ「ワルプルギスの夜…ですって……!?」

さやか「ワルプルギスの夜?」

まどか「それも魔女なの?」

ほむら「一度現れただけで何千人と氏者が出る超弩級の魔女。一般人からは自然災害とされているわ」

ほむら「そしてその強さから、結界を持っていない」

まどか「そ、そんな魔女がこの街に現れるの……?」

106: 2012/07/26(木) 18:16:28.19 ID:xpQIPckAo
マミ「暁美さん、疑うわけではないけど…どこからその情報を?」

QB「僕も気になるね。急に現れたイレギュラーがそんなことを言い出すなんて」

ほむら「ごめんなさい、それは今は言えない。でもワルプルギスが現れるのは間違いない」

ほむら「私の目的はワルプルギスを倒す事。マミ、力を貸してくれないかしら」

マミ「私はこの街の魔法少女よ?もちろん協力するわ」

ほむら「ありがとう、マミ」

さやか「そんなに強い魔女ならあたしも魔法少女に……」

ほむら「その必要はないわ」

さやか「で、でも……!」

ほむら「それにもう1人、魔法少女にアテがあるわ。3人で戦えば大丈夫よ」

ほむら「だからあなたたちは魔法少女にはならないで」

まどか「うん」

さやか「わかったよ……」

さやか(でも…あたしは……)

107: 2012/07/26(木) 18:17:57.54 ID:xpQIPckAo
マミ「そういえばもう随分と日が暮れたけど、みんな大丈夫なの?」

まどか「え?う、嘘!?もうこんな時間!?」

さやか「あたしは両親帰りが遅いんで大丈夫です」

ほむら「私は一人暮らしだから」

まどか「は、早く帰らないと……!」

マミ「じゃあ私が鹿目さんと美樹さんを送って行くわ。暁美さんはどうする?」

ほむら「私も帰ろうかしら」

まどか「ほむらちゃん、もう大丈夫なの?また倒れたりしない?」

ほむら「えぇ、もう大丈夫よ。だから安心して」

108: 2012/07/26(木) 18:18:30.65 ID:xpQIPckAo
マミ「それじゃあ暁美さん、気をつけてね」

まどか「ほむらちゃん、また明日」

さやか「またなー、ほむら」

ほむら「えぇ、また明日」

まどかにさやかにマミ。またこの3人とこんな風に過ごせるとは思ってもなかった

まどかが協力してくれなかったら、今のこの関係はなかっただろう

そしてマミは対ワルプルギスの協力も約束してくれた。今回はうまく行きそうだ

今度。今度こそ、まどかを

……まどかと、みんなを救ってみせる

109: 2012/07/26(木) 18:19:12.53 ID:xpQIPckAo
――翌日 放課後――

まどか「さやかちゃん、帰りにほむらちゃんと一緒に寄り道していかない?」

さやか「ごめん、あたしは恭介のとこ行ってくる」

まどか「そう?じゃあまた明日ね」

さやか「おう、また明日」

さやか「……はぁ」

さやか(ほむらには契約するなと言われたけど……やっぱりあたしは、恭介のバイオリンが聞きたい)

さやか(でもマミさんにも夢を叶えてほしいのか、叶えた恩人になりたいのか?って聞かれたしなぁ……)

さやか(どうしたらいいんだろう…とりあえず)

さやか「恭介のとこ行きますか」

110: 2012/07/26(木) 18:20:38.86 ID:xpQIPckAo
さやか「恭介、CD買ってきたよ」ガラ

恭介「さやか……」

恭介「さやかはさぁ…僕を苛めてるのかい?」

さやか「え?」

恭介「もう聞きたくないんだ!!自分で弾けない曲なんて!!」

さやか「だ、大丈夫だよ。諦めなければさ……」

恭介「諦めろって言われたんだ!!先生に!!」

さやか「!!」

恭介「もう動かないんだ…!奇跡か魔法でもなければ……」

さやか「あるよ」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」

111: 2012/07/26(木) 18:21:22.83 ID:xpQIPckAo
――――――

まどか(ほむらちゃんとあちこち行ってたら遅くなっちゃった…早く帰らないとまた怒られちゃう……)

まどか「あれ?仁美ちゃん?」

仁美「あら鹿目さん、ご機嫌よう」フラフラ

まどか「仁美ちゃん、今日はお稽古……!」

まどか(これ、魔女の…!?)

仁美「これから素晴らしいところへ行くんですの。鹿目さんもご案内しますわ」フラフラ

まどか「とにかくマミさんとほむらちゃんに連絡しないと……!」ピッピッ

112: 2012/07/26(木) 18:22:05.21 ID:xpQIPckAo
――工場内――

まどか「だ」ガシ

まどか「めぇ!」ガシャーン

工場長「なっ、何をするだァーッ!!」

まどか「わ、わ!に、逃げないと……!」ガチャン

まどか「ふう…あ、あれ?…結界!?」

ズズズ…

まどか「ど、どうしよう…まだほむらちゃんもマミさんも来てないよ……!」

使い魔「……」

まどか「あ…あぁ……」

ズバン

113: 2012/07/26(木) 18:22:56.00 ID:xpQIPckAo
まどか「……え?……さ、さやかちゃん!?」

さやか「まどか、ちょーっと待っててね」

さやか「はっ!」ズバン

魔女「……!」

さやか「ていっ!」ズバンズバン

魔女「……!」

さやk「うおりゃっ!」ズバンズバンズバン

魔女「……!」

さやか「これで……」

魔女「……!!」

さやか「とどめだっ!!」ズバン

魔女「!!」シュゥゥ

114: 2012/07/26(木) 18:23:52.41 ID:xpQIPckAo
カラン

さやか「よし、グリーフシードゲット」

まどか「さ、さやかちゃん…その格好……」

さやか「あー…まぁ、心境の変化ってやつ?」

まどか「で、でもあれだけほむらちゃんが契約はするなって言ってたのに……」

さやか「……ほむらが言いたいこともわかるけどさ。あたしもこればっかりは譲れないの」

まどか「さやかちゃん……」

115: 2012/07/26(木) 18:24:46.92 ID:xpQIPckAo
タッタッタ…

まどか「あ、ほむらちゃん!マミさん!」

マミ「美樹さん…契約、したのね?」

さやか「……はい」

マミ「私が以前言ったこと、忘れてないわよね?」

さやか「はい。大丈夫、です」

マミ「そう、ならいいわ。これからよろしくね」

さやか「はい!……で、ほむらは何でそんな頭抱えてんのよ。確かにほむらの忠告無視しちゃったけどさ」

ほむら「いえ、なんでもないわ……」

116: 2012/07/26(木) 18:25:31.70 ID:xpQIPckAo
さやかが契約してしまった

経験上、さやかは契約してしまうとほとんど魔女になってしまう。どうしたものか……

マミ「倒れている人は警察に任せるとして、何もなければ帰りましょう」

まどか「ご、ごめんね、仁美ちゃん……」

さやか「え、仁美が巻き込まれてたの?……よかった、助けられて」

まどか「うん…そうだね」

さやか「それじゃ、帰るとしますか」

ほむら「えぇ、そうね。それじゃ、まどかは私が送って行くわ」

マミ「暁美さん、よろしくね」

まどか「あ!……今日もまた怒られそうだよ……」

118: 2012/07/26(木) 18:26:36.09 ID:xpQIPckAo
――――――

杏子「こっちの縄張りも頂こうと思ったら、どうなってんだ?」

杏子「なんで1箇所に3人も魔法少女がいるんだ?」

QB「その3人は手を組んでるみたいだね」

QB「1人はさっき契約したばかり、1人は君もよく知ってる人物」

QB「そして最後の1人はイレギュラーだ。なんせ僕も契約した覚えがない」

杏子「何だそれ、そんなことあるのか?」

QB「だからイレギュラーなんだ。ともかく彼女…暁美ほむらには注意したほうがいい」

杏子「フン…まぁいいさ。要するに」

杏子「ぶっ潰しちゃえばいいんだろ…全員」

126: 2012/07/27(金) 19:57:43.78 ID:IYuSvT1bo
――――――

まどか「ほむらちゃん!!ほむらちゃん、しっかりしてよ!!」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん……」

QB「まどか、早くしないと街が壊滅してしまうよ」

QB「それにほむらはもう武器が残っていない。それでも、指を咥えて見ているのかい?」

まどか「キュゥべえ…うん、わかった。契約、するよ」

QB「わかったよ、まどか。君はその魂を代価に、何を願う?」

まどか「私の願いは――」

127: 2012/07/27(金) 19:58:41.62 ID:IYuSvT1bo
ピピピピピピピピピ

まどか「……夢?」

まどか(そうだよね…あれだけ、契約はしないって約束したもん)

まどか(でも今の夢…なんだったんだろう…)

まどか(なんだか最近、ほむらちゃんが出てくる夢ばかり見るよ……)

まどか(ほむらちゃんと遊ぶ夢、壊れた街中にほむらちゃんが倒れててわたしが契約する夢、そして……)

まどか(まぁ夢だし、あんなこと起こるわけないよね、うん)

知久「まどか、起きてるかい?朝ご飯できてるよ」

まどか「あ、起きてるよ!おはよう、パパ」

128: 2012/07/27(金) 19:59:27.57 ID:IYuSvT1bo
――昼休み 屋上――

ほむら「今日の放課後、話したいことがあるの。みんな時間を空けておいて頂戴」

さやか「ふも?ほへっへ、ふぁほうひょうひょのほほ?」モグモグ

まどか「さやかちゃん、何言ってるかわけわかんないよ……」

さやか「……ゴクン。それって、魔法少女のこと?」

ほむら「えぇ。これからの方針と、もう1人のアテがあると言った魔法少女のことよ」

マミ「じゃあ、放課後は私の家でそれについて話しましょう。それでいいわね?」

ほむら「えぇ、それでいいわ。それじゃ私はお昼も終わってるし、これで……」

まどか「ちょっと待ってほむらちゃん。毎日お昼にカロ○ーメイト食べてないで、ちゃんとしたもの食べようよ。体壊しちゃうよ」

さやか「え、ほむらって毎日お昼それだったの?なんというか……」

マミ「えぇ、いつも私たちが来る前には終わってるから、何食べてるんだろうとは思ってたけど……」

129: 2012/07/27(金) 20:00:10.24 ID:IYuSvT1bo
ほむら「まどか、私は魔法少女……」

まどか「……3回目だよ、ほむらちゃん。わたしにとってのほむらちゃんは人間なの」

ほむら「……善処するわ」

まどか「うーん…あ、そうだ!」

ほむら「?」

まどか「明日からほむらちゃんのお昼に、お弁当作って来るよ!」

ほむら「え、まどか?そんな、悪いわ……」

まどか「いいの、わたしがしたくてするんだから。……だから、食べてくれると嬉しいな」

ほむら「……わかったわ、ありがたく頂くことにするわ」

まどか「うん、明日から持ってくるね。楽しみにしててよ」

マミ「がんばってね、鹿目さん。……それじゃ、私はそろそろ行くわね。放課後に私の家に来てちょうだい」

ほむら「えぇ。それじゃまた後で」

130: 2012/07/27(金) 20:01:02.38 ID:IYuSvT1bo
――放課後 マミの家――

ほむら「まずワルプルギスの夜に向けての今後の方針だけど」

ほむら「グリーフシードの収集と、さやかの戦闘訓練に充てようと思う」

さやか「へ?あたしの?」

ほむら「えぇ。さやかは私やマミと違って契約したばかりだから。ワルプルギスが来る前に一人前になってもらわないと」

ほむら「私はあまり人に教えるのは得意ではないから…マミ、お願いできるかしら?」

マミ「えぇ、わかったわ。美樹さん、よろしくね」

さやか「マミ先生、よろしくお願いします!」

マミ「うふふ、それじゃ美樹さん、ビシバシ行くわよ」

さやか「はは…お手柔らかにお願いします……」

まどか「がんばってね、さやかちゃん」

ほむら「グリーフシードに関しては私に任せて頂戴」

マミ「じゃあ暁美さん、そっちはお願いね」

131: 2012/07/27(金) 20:01:50.16 ID:IYuSvT1bo
ほむら「それで、アテがあると言ったもう1人の魔法少女だけど……」

ほむら「隣町の魔法少女の佐倉杏子。彼女を引き込もうと思う」

マミ「……そう。やっぱり、佐倉さんだったのね」

マミ「この辺りでワルプルギスの夜に対抗できるような魔法少女は、彼女しかいないはずだもの……」

まどか「マミさん、その佐倉杏子って子とお知り合いなんですか?」

マミ「昔ちょっと…ね……」

ほむら「彼女の説得も私に任せてくれればいいわ」

ほむら「それじゃ話はこれで終わり。各自行動を……」

まどか「ほむらちゃん、わたしはどうしたらいいの?」

ほむら「ま、まどか?え、えーとあなたは……」

132: 2012/07/27(金) 20:02:33.19 ID:IYuSvT1bo
さやか「まどかはほむらと行動したらいいと思うよ。あたしの特訓見てたって仕方ないし」

ほむら「え?わ、私と?」

まどか「ほむらちゃん、お願い。結界の中には入らないから」

ほむら「仕方ないわね…結界の前までよ?」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん!怪我したらわたしに任せてよ、保健係だから!」

ほむら「え、えぇ…その時はよろしくね、まどか……」

さやか(魔女相手だと保健係じゃどうにもならないレベルの怪我じゃないかとさやかちゃんは思います……)

マミ(相手が相手だから私を呼んでくれた方が……)

133: 2012/07/27(金) 20:03:14.54 ID:IYuSvT1bo
マミ「それじゃ美樹さん、行きましょうか」

さやか「はい!よろしくお願いします!」

まどか「ほむらちゃん、わたしたちも行こうよ」

ほむら「えぇ、わかったわ」

さやかの特訓はマミに任せるとして、私がやることは2つ。グリーフシード集めと、佐倉杏子の説得

グリーフシードの方は問題ないとして、杏子の説得をどうするか…もしかするともう行動を起こしてるかもしれない

マミとさやかに注意しておいたほうがいいと思い振り返ったが、既にいなかった

特訓するだけだろうし大丈夫だろう。テレパシーで伝えることもせず、まどかと一緒に魔女探しをすることにした

134: 2012/07/27(金) 20:04:06.39 ID:IYuSvT1bo
――――――

マミ「お疲れさま、美樹さん」

さやか「お疲れさまです……」ドンヨリ

マミ「そんなに落ち込まないで、まだあなたは契約したばかりじゃない」

さやか「だってマミさん遠距離なのにあたしの攻撃簡単に防いでくれるんですもん…あたし剣2本使ってるのに……」ドンヨリ

マミ「両手に持てば強いってわけじゃないのよ…あら?」

さやか「どうかしました?」

マミ「ソウルジェムに反応が…これは使い魔かしらね」

さやか「使い魔か…でも、人を襲うんですよね?」

マミ「えぇ、そうよ。だから……」

さやか「放っておけない…ですね。マミさん、行きましょう」

135: 2012/07/27(金) 20:05:04.95 ID:IYuSvT1bo
――路地裏――

使い魔「……」

さやか「あ、いた!」

マミ「よかった、見つけられて……」

さやか「それじゃあこの魔法少女さやかちゃんが、使い魔を成敗します!」チャキ

さやか「おりゃ~!」

使い魔「!!」ズバン

さやか「これでよし、と」

マミ「さすがに暁美さんだけじゃ使い魔まで手が回らないかしらね…使い魔の方は私たちが見つけて倒して行きましょう」

さやか「そうですね。それじゃ戻りますか」

『ちょっと待ちな、アンタら』

136: 2012/07/27(金) 20:05:54.73 ID:IYuSvT1bo
さやか「え?誰?」

マミ「……!!」

杏子「一体何やってんのさ。使い魔だよ?今の」

さやか「使い魔だって人を襲うんでしょ?なら……」

杏子「だからほっとけっての。数人喰わせて魔女になりゃ、グリーフシードを孕むんだからさ」

さやか「な…!普通の人は使い魔が見えないんだよ!?それをほっとけっていうの!?」

杏子「アンタ大元から勘違いしてんじゃない?弱い人間を魔女が喰う。その魔女をアタシたちが喰う。学校で習わなかったか?食物連鎖ってさ」

杏子「まさかとは思うけど、やれ人助けだ正義の味方だなんて冗談かます為に契約したわけじゃないよね、アンタ」

さやか「あんた…!」

137: 2012/07/27(金) 20:06:57.99 ID:IYuSvT1bo
杏子「それとも、そいつと関わっちまったからそうなっちまったのかねぇ……」

さやか「な、何のことよ!?」

杏子「何とか言ったらどうだよ、マミ?」

マミ「……」

さやか「え?マミさん!?それじゃコイツが……」

マミ「……えぇ。この子が暁美さんが言ってた、佐倉杏子さんよ」

さやか「ほむらの奴、何でよりによってこんな奴を……!」

杏子「何言ってるのかは知らないけど…遊びで首突っ込まないでくれる?超ウゼェんだわ、そういうの」

さやか「……!あんた、いい加減に……!!」ダッ

マミ「美樹さん!無茶よ!」

杏子「やめとけって…の!」ガン

さかや「うぐ……!」

杏子「これだからトーシロは…頭冷やせって……?」

138: 2012/07/27(金) 20:07:53.78 ID:IYuSvT1bo
さやか「くそっ……!」

杏子「おっかしいなあ…全治3ヶ月程度にはかましたと思ったんだけど」

さやか「アンタは…アンタだけは、許さない!!」ダッ

杏子「面白いこと言うねえ…契約したてのひよっこが、アタシに敵うわけないだろ!」ダッ

マミ「美樹さん、やめて!あなたでは勝てる相手じゃないわ!」

マミ「佐倉さんも!私たちはあなたと話がしたいの!」

杏子「ハッ!今更何を話そうってんだ!?それより……」

杏子「今はこいつの心配したほうがいいんじゃねぇか!?」ガッ

さやか「あぐっ……」

マミ「美樹さん!」

杏子「言って聞かせても駄目、殴ってわからせようにも駄目。となりゃああとは……」

杏子「頃しちゃうしか、ないよねぇ?」

マミ「な……っ!」

139: 2012/07/27(金) 20:09:12.34 ID:IYuSvT1bo
マミ「やめて…佐倉さん!やめて!!」

さやか「誰が…誰が、あんたなんかに!!」

さやか「殺されて、たまるもんかあああ!!」

杏子「終わりだよ!」

さやか「!!」

ズドォォォォォン

マミ「美樹さん!美樹さん!!」

146: 2012/07/28(土) 18:05:30.36 ID:R3jrXXg+o
杏子「へっ、くたばったか…何!?」

さやか「あいたたた…一体何がどうなって…あ、ほむら!まどか!」

まどか「さやかちゃん大丈夫!?今手当てするね!」

さやか「いやもうそういうレベルじゃ…今のうちにマミさんのところまで退こう」ヨタヨタ

マミ「美樹さん!よかった…無事だったのね……」ギュウ

さやか「ちょ、ちょっとマミさん……」

ほむら「……」

まさかもう既に杏子がこちらに来ているとは予想外だった

マミが氏んでしまった場合はともかく、今回は生きているというのに

インキュベーターがけしかけたか、マミごと叩き潰して縄張りを奪いに来たか、どちらかだろう

147: 2012/07/28(土) 18:06:33.25 ID:R3jrXXg+o
杏子「ほむら……?……そうかい、アンタが噂のイレギュラーって奴か」

杏子「いきなりアタシの目の前に現れたと思ったら、仕留められたはずの青い奴を既に移動させていたなんて、妙な魔法を使うもんだね」

杏子「アンタ、一体何者だ?」

ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵。あなたはどっちなの?佐倉杏子」

杏子「な…どっかで会ったか?それとも、マミに聞いたか?」

ほむら「さぁ、どっちかしら」

杏子「チッ、手札がまるで見えないとはね…今日のところは降りさせてもらうよ」スタスタ

マミ「佐倉さん……」

148: 2012/07/28(土) 18:07:44.37 ID:R3jrXXg+o
――マミの家――

マミ「美樹さん、もう大丈夫なの?」

さやか「はい、もうすっかり。心配かけてすいませんでした」

さやか「それにしてもほむら、なんであんな奴仲間にしようと思ったのさ」

ほむら「そうね。簡単に言えば、ワルプルギスに対抗できるだけの力を持っているから、かしら」

さやか「……実際、戦ってみたけど、あいつは凄く強い。だけど……」

さやか「あたしは、あいつを許せない。いくらなんでもひどすぎるよ」

ほむら「彼女の考えが理解できないのはわかるわ。だけど、彼女以外にアテはないの。ワルプルギスを倒すまでの間だけ、我慢して頂戴」

さやか「……」

ほむら「明日、杏子を探して話をしてくるわ。さやかとマミはいつも通り特訓を。それでいいわね」

さやか「うん……」

マミ「えぇ……」

149: 2012/07/28(土) 18:08:30.24 ID:R3jrXXg+o
――翌日――

まどか「ほむらちゃん、本当にここにいるの?」

ほむら「えぇ、そのはず…いた、あそこね」

まどか「あれは…ダンスゲームかな」

~~♪~~♪~~♪

杏子「ほっ、とっ」タンタン

まどか「わ、杏子ちゃん上手」

ほむら「暇があるとあぁやってダンスゲームで遊んでるみたいね」

まどか「すごいなぁ、パーフェクトだって…終わったみたいだね」

ほむら「えぇ。行きましょう」

150: 2012/07/28(土) 18:09:24.93 ID:R3jrXXg+o
杏子「ふー……」

ほむら「お疲れ様。パーフェクトおめでとう」

杏子「……そりゃどーも。で、今日は一体何の用だい?」

ほむら「今日はあなたにお願いがあって来たの」

杏子「お願い?」

ほむら「今から2週間後、この街にワルプルギスの夜が現れる。それを倒すのに協力して欲しい」

杏子「ワルプルギスの夜がこの街にか……?なんでそんなことがわかる?」

ほむら「それは秘密。手を貸してくれたなら、きっと話せると思う」

杏子「ふぅん…で、見返りは?まさか、タダで手を貸してもらえるとも思っちゃいないだろ?」

ほむら「そうね…この街の縄張りの一部…それで、どうかしら」

杏子「一部、ね…さて、どうしたもんかねぇ」

まどか「お願い、杏子ちゃん。力を貸してほしいの」

151: 2012/07/28(土) 18:10:25.84 ID:R3jrXXg+o
杏子「……アンタ、誰だい?魔法少女じゃなさそうだが」

ほむら「彼女は鹿目まどか。私が守るべき人よ」

まどか「や、ほ、ほむらちゃん、守るべき人だなんて、そんな……」モジモジ

杏子「おい、顔真っ赤にしてっぞ、コイツ」

ほむら「あらまどか、どうしたの?具合でも悪いのかしら」

まどか「な、なんでもないよ!」アタフタ

杏子「いや、そういうことじゃないと思うが……ま、いいけどよ」

ほむら「それで、協力してもらえるのかしら?」

杏子「……いいぜ、協力してやる」

ほむら「……!」

まどか「杏子ちゃん…!ありがとう!」

152: 2012/07/28(土) 18:11:17.18 ID:R3jrXXg+o
杏子「ただし、とりあえずはワルプルギスを倒すまでの間だけだ」

杏子「そのあとも協力するか、風見野に帰るか、アンタら全員ぶっ潰して縄張りを頂くかはアタシに決めさせてもらうよ」

ほむら「えぇ。今はそれで構わない。よろしくお願いするわ」

まどか「よろしくね、杏子ちゃん!」

杏子「そんじゃまぁ、お近づきの印に……」ゴソゴソ

杏子「食うかい?」

153: 2012/07/28(土) 18:12:05.57 ID:R3jrXXg+o
――マミの家――

ほむら「そういうわけで、対ワルプルギスの協力を取り付けてきたわ」

杏子「アタシはいいって言ってんのに、ほむらの奴が全員で話がしたいんだと」

マミ「佐倉さん…協力、してくれるの?」

杏子「とりあえずワルプルギスを倒すまでの間な。その後はアタシが決める」

マミ「佐倉さん…ありがとう」

杏子「……別に、アンタに礼を言われるようなことはしちゃいないよ。アタシはあくまで報酬目当てさ」

マミ「……えぇ、今は何だっていいわ。佐倉さんが、こうして帰ってきてくれたんだもの……」

杏子「……フン」

154: 2012/07/28(土) 18:13:36.67 ID:R3jrXXg+o
さやか「……」

まどか「さやかちゃん……」

杏子「おう、青いの。昨日の怪我はもういいのかい?」

さやか「……さやか。美樹さやか。協力してくれるなら、名前くらい覚えなさいよね」

杏子「……別に普段から仲良くしろなんて言わないけどよ。戦う時は協力してくれよ」

杏子「まぁ、アタシがこんなひよっこの手を借りることなんてないと思うけどな」

さやか「あんた……!」

まどか「な、仲良くしようよ、2人とも……」

ほむら「喧嘩は後にして頂戴。今日の予定なんだけど……」

ほむら「そろそろさやかを実戦に出すべきよね…杏子、さやかをお願いできないかしら」

杏子「はぁ?アタシか?」

さやか「な、なんでよりによってこいつと!」

ほむら「同じ近接型の魔法少女なんだから、学ぶべきことは多いと思うけれど?」

155: 2012/07/28(土) 18:14:44.11 ID:R3jrXXg+o
杏子「まぁ、アタシはいいけどよ…コイツが納得してないみたいだぜ?」

さやか「……」

マミ「美樹さん、これはあなたのためでもあるのよ。遠距離の私だけじゃ、どうしても基本的なことだけになっちゃうし……」

さやか「……わかりました」

ほむら「私はワルプルギスに向けてやることがあるから、まどかはマミと一緒にいて頂戴」

マミ「あらそう?わかったわ」

まどか「え、今日はほむらちゃんと一緒じゃないの?」

ほむら「えぇ。ごめんなさい」

まどか「ほ、ほむらちゃんがそう言うならしょうがないや……」

マミ「今日は暁美さんと離ればなれで寂しいだろうけど、私で我慢してね」

まどか「ま、マミさん!何言うんですか!?」

ほむら「それじゃ、私は行くわね」

マミ「えぇ、また後で」

まどか「ちょっとマミさん!」

156: 2012/07/28(土) 18:15:42.13 ID:R3jrXXg+o
なんとか杏子を仲間に引き入れることに成功した

さやかは未だに納得できない様子だったが、きっと大丈夫。あの子たちは相性がいいから

ワルプルギスの夜まであと2週間。ここまでは順調だ

しかし、ここからが大変だ。…主にさやかの魔女化のことが。何とか折れてしまうであろう彼女を立ち直らせないと

でもここまでいい具合に進んでいる。彼女を折らせないように動くのも選択肢に入れるべきか

ほむら「ふう……」

ほむら「思えば、今日まで動きっぱなしだったわね……」

ほむら「今日は魔女狩りはさやかと杏子に任せたし…少しは休めるかしらね。肝心な時に動けませんじゃ話にならないし」

ほむら「さて、着いたわね。それじゃ……」

157: 2012/07/28(土) 18:16:35.51 ID:R3jrXXg+o
――――――

ほむら「すっかり遅くなってしまったわね…今日はもうお開きになってるかしら」ピンポーン

ギャーギャー

ほむら「あら、騒がしいわね。あの2人かしら」

ガチャ

まどか「あ、ほむらちゃん!大変なの、あの2人が!」

ほむら「……今日は早く帰れると思ったのに…で、何が原因なの?」

まどか「たぶん今日の魔女狩りで何かあったんだと思う……」

ほむら「大方さやかに対して杏子が何か指摘して、それでさやかが怒ったってところかしら。とにかく2人を止めないとね」

158: 2012/07/28(土) 18:17:33.40 ID:R3jrXXg+o
さやか「あたしの動きが悪かったのはわかってるよ!!だけど言い方ってもんがあるでしょうが!!」

杏子「言い方だぁ!?丁寧に言ってれば動きがよくなるってんなら苦労はないだろうが!!」

杏子「口調に文句つけたいなら、こっちの言った動きができるようになってからにしな!!あんなもん、できて当然なんだからさぁ!!」

さやか「な、なんだと!?」

マミ「ふ、2人とも落ち着いてちょうだい…それにもう夜なのよ?近所迷惑に……」

ガチャ

ほむら「……またえらく派手に言い争ってるわね」

マミ「あ、暁美さん、お帰りなさい。見ての通り、2人が…ね」

ほむら「そこの2人、少し落ち着きなさい。一体何があったの?」

さやか・杏子「外野は黙ってろ!!」

ほむら「そういう反応は息が合うのになんでまた……」

マミ「さっきから何か言うとこの反応が返ってきて……」

159: 2012/07/28(土) 18:18:21.98 ID:R3jrXXg+o
ほむら「2人とも、本当にもう静かにしなさい。このままだとあなたたちの騒音のせいでマミのご近所関係が険悪になるわ」

マミ「」

ほむら「そうなるとマミの豆腐のような心は砕けてしまうわ。だからお願い、静かにして頂戴」

マミ「ちょっと!?今聞き捨てならない言葉があったわよ!?」

まどか「ま、マミさん落ち着いて……」

ほむら「……駄目ね。この説得も効果なし。もう言いたいだけ言わせておくしかないんじゃないかしら?」

マミ「……私、明日からどんな顔してご近所さんと話せばいいのかしら……」ズーン

まどか「マミさん、元気出してください……」

160: 2012/07/28(土) 18:19:46.66 ID:R3jrXXg+o
さやか「あーもうあったまに来た!!勝負よ!!」

杏子「面白いこと言うじゃねぇか!!アンタみたいなのがアタシに勝てるわけないだろ!?」

さやか「1回勝ったくらいでいい気にならないでよね!!負けるのが怖いの!?」

杏子「テメ…いいよ、うけてやろうじゃん!!どうなっても知らねぇからな!!」

バタン

ほむら「……これは」

マミ「追いかけないと……」

まどか「まずいよね……?」

ほむら「マミを立ち直らせていたらとんでもないことになったわね」

マミ「あなたのせいでしょう!?」

まどか「2人とも、早く追いかけないと!」

161: 2012/07/28(土) 18:20:40.42 ID:R3jrXXg+o
――――――

まどか「あ、ほむらちゃん!あそこ!」

ギィン ギィン

ほむら「なんでまたあの2人の戦闘を止めないといけないのよ……」

マミ「きっと頭に血が上ってるだけよ。冷静になってくれればきっと……」

ほむら「そう願いたいものね。それでどうやって止めようかしら」

マミ「私は佐倉さんを止めるわ。あなたは美樹さんをお願い」

ほむら「了解したわ。急ぎましょう」

ガィン

まどか「さ、さやかちゃんが!」

162: 2012/07/28(土) 18:21:14.80 ID:R3jrXXg+o
さやか「く、くそっ……!」

杏子「ちったぁ頭冷えたか?今のアンタじゃどう頑張ってもアタシには勝てねぇっての」

杏子「それにさっきアタシが言ったことの半分もできてないじゃねぇか」

さやか「うるさい!」ブン

杏子「おっと、まだやろうってのか?アタシはもう帰りたいんだけ、ど!」ガン

さやか「うぐっ……」

杏子「だから言ってるだろ。今のアンタじゃ勝てないって」

さやか「……」

163: 2012/07/28(土) 18:22:23.57 ID:R3jrXXg+o
さやか(杏子とまともに戦ったって勝ち目はない。そんなのわかってる)

さやか(なら、一か八か…狙うのはあそこだ)

さやか「うおりゃあああああ!!」ダッ

杏子「まだやるのか?もう勘弁してく……!」

さやか「せい!」ブン

杏子「うお!?」

杏子(な、何だ…今、アタシのソウルジェムを狙ったのか!?)

杏子(ソウルジェムがなけりゃ変身も魔法も使えない…それをわかってやってんのかコイツ!?)

杏子(向こうがその気ならアタシだって……!)

164: 2012/07/28(土) 18:23:10.57 ID:R3jrXXg+o
ギィン ギィン

ほむら「なんだかあの2人戦い方が変わった気が……」

マミ「えぇ、相手の出方を伺って…それにお互い同じような場所ばかり攻撃してるような……」

まどか「ね、ねぇほむらちゃん、あれってまさかソウルジェムを狙ってるんじゃ……」

ほむら「まさか…とにかく、早く2人のところに!取り返しのつかなくなる前に!」ダッ

まどか「う、うん!」ダッ

マミ「え?ちょっと、一体何だっていうの!?」

165: 2012/07/28(土) 18:23:59.35 ID:R3jrXXg+o
さやか「ハァ…ハァ…」

杏子「ハァ…ハァ…」

さやか(ソウルジェムだけを狙う魔女なんて聞いたことないから試してみたけど…やっぱり杏子も慣れてない戦い方みたい)

さやか(押してる…とは言えないけど、五分くらいには戦えてる…なら!)

杏子(まさかソウルジェムを狙ってくるとはな…体の方は多少傷ついたって魔法で治せばいいけどよ……)

杏子(コレばっかりはそうはいかないだろうしな…やりづれぇぜ…なら!)

さやか・杏子(次の一撃で決める!)

さやか「うおおおおおおお!!」ダッ

杏子「はああああああああ!!」ダッ

さやか「これで……!」

杏子「最後だあああ!!」

166: 2012/07/28(土) 18:24:55.38 ID:R3jrXXg+o
まどか「もうやめて!2人とも!!」バッ

さやか「ま、まどか……!ダメ、下がって!!」

杏子「おい!出てくるなって!危ねぇ!!」

まどか「え……!?」

ほむら「まどか!?」

ドガァァァァァン

さやか「ちょ、ちょっと…まどか?まどか!?……へ?」

杏子「なんであいついきなり……は?」

マミ「暁美さんに鹿目さん、おいてかないでよ…美樹さんに佐倉さん、戦いをやめて……え?」

167: 2012/07/28(土) 18:25:35.92 ID:R3jrXXg+o
まどか「……あ、あれ、私…あ!」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん?ほむらちゃんってば。……まさか」

さやか「あー…例のモード入っちゃってますね……」

杏子「お、おい…こいつ、ほむら…なのか?」

マミ「えぇ。何かをスイッチとしてこうなってしまうみたいなの。本人でさえよくわかってないみたいだけど」

杏子「はぁ?それじゃこれは本人の魔法じゃねぇのか?」

マミ「暁美さんが言うにはそういうことらしいわ」

杏子「何だそりゃ…魔法もイレギュラーだってのか?」

ほむら「……」ジャキ

168: 2012/07/28(土) 18:26:41.28 ID:R3jrXXg+o
まどか「ほむらちゃん?」

さやか「ほむら、どうした?銃なんか構え――」バァン

さやか「……ハイ?」タラー

マミ「暁美さん……?」

ほむら「……」

杏子「おいおい、一体何だって――」バァン

杏子「……は?」タラー

まどか「ちょっとほむらちゃん、何やってんの!?何で2人に向かって撃つの!?」

ほむら「……」

169: 2012/07/28(土) 18:27:43.75 ID:R3jrXXg+o
さやか「どどど、どうすんのよこれ!?」

杏子「知るか!!怪我の治りが早い奴はいいけどよ、アタシはあんなの当たりたくないからな!!」

さやか「あたしだってヤだよ!!前見たときは魔女蜂の巣にしてたもん!!」

ほむら「……」ジャキ

さやか「あああごめんなさい!!ケンカしてごめんなさい!!」

杏子「おいよせ、撃つんじゃねぇ!!」

まどか「ほむらちゃん!」ギュウ

ほむら「……」

まどか「あの2人、反省してるよ。もう許してあげて」ギュウ

170: 2012/07/28(土) 18:28:37.26 ID:R3jrXXg+o
ほむら「……」スゥ

ほむら「……あら、私は何を?……そうだ、さやかと杏子を止めないとだったわね」

さやか「も、もう大丈夫です!もうケンカしてません!」ビクビク

杏子「お、おう!もう仲直りしたぞ!ホントだぞ!」ビクビク

ほむら「何でそんなビクビクしてるのよ…まどか?マミ?」

まどか「ほむらちゃん…元に戻ってくれてよかったよぅ……」グス

マミ「また倒れられるんじゃないかと心配したわ」

ほむら「……まさか、また?」

マミ「えぇ、そのまさかよ。しかも今回は美樹さんと佐倉さんに銃を向けた…一体何なのかしら、あれは」

ほむら「それはともかくとして…まどか」

まどか「なに?」

171: 2012/07/28(土) 18:29:35.44 ID:R3jrXXg+o
ほむら「まどか…無事でよかった……」ギュウ

ほむら「あなたにもしものことがあったら、私……」

まどか「わ、わ、ほむらちゃん!」

さやか「おーおー、相変わらずお熱いことで……」

マミ「やっぱりあなたたち恋人か何かだったのよ」

ほむら「……だから一体何の話?」

まどか「な、何でもないってば!」

杏子「なぁ、それにしたってよ」

杏子「何でアタシたちの間に出てきたんだ?止めるのならマミとほむらじゃないと危ないってわかってたんだろ?」

まどか「そ、それは……」

『よかったじゃないか、まどかが止めてくれて』

ほむら「!?」

172: 2012/07/28(土) 18:30:43.96 ID:R3jrXXg+o
QB「まどかが止めてくれてなかったら、今頃大変なことになっていたよ」

マミ「あらキュゥべえじゃない。最近は私の家にも来てくれないで何してるのかしら?」

QB「ちょっと調べていることがあってね。それよりも……」

QB「ソウルジェムが砕かれなくてよかったよ。砕かれてしまうと、僕たちにとっても不利益だしね」

杏子「おいキュゥべえ…このソウルジェムって…一体何なんだ?答えやがれ!」

QB「それはね」

173: 2012/07/28(土) 18:31:31.87 ID:R3jrXXg+o





QB「君たちの体から抜き取った魂を」

QB「ソウルジェムとして作り変えたんだ」






174: 2012/07/28(土) 18:32:41.12 ID:R3jrXXg+o
さやか「な……」

マミ「え…それって、つまり……」

杏子「テメェ、どういうことだ……」

QB「だから今言ったじゃないか。もうちょっと詳しく説明する……」バァン

QB「と……?」ドシャ

ほむら「もういい。何も喋らないで」

まどか「ほ、ほむらちゃん……」

さやか「ほむら、まどか…あんたたち、このこと知ってたの?」

ほむら「……えぇ」

杏子「ほむら、教えてくれ。ソウルジェムってのは一体何なんだ?」

ほむら「……わかったわ。ただ、これだけは約束して」

ほむら「どんな内容だろうと、決して絶望しないで。自分を見失わないで」

175: 2012/07/28(土) 18:34:37.58 ID:R3jrXXg+o
マミ「え、えぇ……」

ほむら「それじゃ私の家でいいかしら。まどか、あなたも来て頂戴」

QB「僕も着いて行くよ。何か間違っていたら訂正しよう」

ほむら「……もう復活したの」

マミ「え、キュゥべえ?でもさっき撃たれて……」

QB「代わりはいくらでもいるからね。でも無意味に固体を潰さないでおくれよ。もったいないじゃないか」

ほむら「無駄に潰されたくなかったら黙って着いて来なさい」

QB「やれやれ、わかったよ」

ほむら「それじゃ、行くわよ」

油断した。ここ最近インキュベーターを見かけていないから何もしてこないと思っていた

しかも、思わぬ形でソウルジェムの秘密が露呈してしまった。杏子はきっと大丈夫だろうけど、マミとさやかが心配だ

ふとまどかを見ると、何か考えているようだった。彼女も彼女なりにどうしたらいいか考えてくれているのだろう。……時々顔が真っ赤になるけど

もうあの悲劇は繰り返さない。私とまどかで、きっとなんとかしてみせる。そう自分に言い聞かせ、私の家に向かった

183: 2012/07/29(日) 19:24:22.81 ID:FAJG0CVZo
――ほむらの家――

ほむら「――これが、ソウルジェムと魔法少女の真実。ほとんどの魔法少女が知らないことよ」

まどか「……」

さやか「そ…んな……」

マミ「待ってよ…それじゃ私たち……」

杏子「ゾンビにされちまったようなもんじゃねぇか!!」

QB「むしろ感謝してほしいな。その体のおかけで安全に魔女と戦うことができる」

QB「それにしても、人はどうしてそこまで魂の在処にこだわるんだい?ソウルジェムにしなければ見えもしないものなのに」

杏子「うるせぇ!そういうことじゃねぇんだよ!!」

184: 2012/07/29(日) 19:25:39.82 ID:FAJG0CVZo
私は3人に隠していた全てを話した。ソウルジェムの真実、魔法少女の最期を

さやかは真っ青な顔をしているし、マミは錯乱しかけている。杏子はインキュベーターに怒鳴っていた

杏子は怒鳴ってはいるが、大丈夫そうだ。なら、私が対応すべきなのは……

さやか「そんな…そんなの…う……」

さやか「うわああああああ!!」バタン

まどか「さやかちゃん!!」

マミ「それに何…最期には魔女になるって…そんな話聞いてないわよ……」

ほむら「さやか…!いえ、とにかく今はマミを……」

マミ「私たちが魔女になるのなら、いっそのこともう……」

杏子「何で最初に言わなかったんだキュゥべえ!?」

QB「訊かれなかったからね」

まどか「ど、どうしようほむらちゃん!?」

ほむら「……」

185: 2012/07/29(日) 19:26:52.32 ID:FAJG0CVZo
バァン バァン バァン

マミ「!?」

杏子「!?」

QB「」

ほむら「2人とも、落ち着きなさい。そして私の話を聞きなさい」

まどか「ほむらちゃん、威嚇射撃はいいんだけど天井に穴が…あとキュゥべえが……」

ほむら「問題ないわ」

マミ「あ、暁美さん……」

杏子「あ、おう…悪かったな……」

186: 2012/07/29(日) 19:27:47.58 ID:FAJG0CVZo
ほむら「いきなりこんなこと言われて混乱するな、というのは無理かもしれない。でも……」

ほむら「あなたたちは1人じゃない。仲間がいるでしょう?」

マミ「で、でも…私の全てはこのソウルジェムで…そして、最期には魔女に……」

ほむら「確かにいつかは魔女になるかもしれない。でも、そのいつかは今じゃないでしょう?」

ほむら「あなたはそのいつかを今にして未来を諦めるの?」

まどか「ほむらちゃんにも言ったことだけど…わたしにとっての2人は、魔法少女とか関係なく人間だよ!」

杏子「ほむら……」

マミ「鹿目さん……」

187: 2012/07/29(日) 19:28:32.00 ID:FAJG0CVZo
ほむら「2人とも、もう大丈夫ね」

杏子「あぁ、悪かったな。世話かけちまったな」

マミ「えぇ、何とか…ごめんなさい、暁美さん、鹿目さん」

マミ「あれ、でもじゃあ私が今まで倒してきた魔女って……」

杏子「全部使い魔が育った奴だ」

マミ「え?」

杏子「全部使い魔が育った奴だった。そう思っとけ、身が持たねぇぞ」

マミ「佐倉さん…ありがとう」

ほむら「……本当に大丈夫なのかしら」

マミ「も、もう大丈夫よ!」

188: 2012/07/29(日) 19:29:17.02 ID:FAJG0CVZo
マミ「あら、そういえば美樹さんはどこに?」

ほむら「2人が錯乱してる間に飛び出して行ったわ」

まどか「さやかちゃん、大丈夫かな……」

ほむら「とにかく今日はもう遅いわ。明日学校に来ないようなら、手分けして探しましょう」

杏子「もし来なかったらアタシに連絡してくれ。探しておくよ」

まどか「ありがとう、杏子ちゃん」

ほむら「本当はもうひとつ話したいことがあったのだけど…これはさやかもいた方がいい話ね」

杏子「なんだ、まだ何かあんのか……?」

マミ「もうこんな話勘弁してほしいんだけど……」

ほむら「いえ…私のことよ。例のアレについていくつか気がついた点があったから話しておきたかったんだけど」

ほむら「結局話したのは話したくもないこんな話になってしまったし」

189: 2012/07/29(日) 19:30:32.06 ID:FAJG0CVZo
QB「君のその考えとやらは非常に気になるね。僕も推測ばかりで未だ結論が出ないんだ」

QB「今日また変貌した時、前回よりもさらに魔力が大きくなっていたようだしね」

ほむら「……一体どうなってるの?このまま魔力が膨れ上がっていって大丈夫なのかしら」

ほむら「まぁああなった時だけみたいだから大丈夫だと思うけど…心配ね」

ほむら「とにかく、今日は一旦お開きにしましょう。もう遅い時間だし」

マミ「私はこのまま美樹さんを探してみるわ」

杏子「アタシも手を貸すよ」

ほむら「私はまどかを家に送ってからにするわ」

マミ「わかったわ、じゃあ先に出るわね」

杏子「見つけたら連絡するよ」

ほむら「えぇ、頼むわ。それじゃまどか、家まで送るわ」

まどか「うん、ありがとう。……マミさん、杏子ちゃん。さやかちゃんのこと、お願いするね」

190: 2012/07/29(日) 19:31:54.78 ID:FAJG0CVZo
――――――

まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら」

まどか「さやかちゃん、大丈夫かな……」

ほむら「そうね、今はまだ大丈夫だと思う。でも助けるのが遅れればきっと……」

まどか「魔女になっちゃうの……?」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん、さやかちゃんを…助けてあげて……!」

ほむら「……大丈夫よ、まどか。絶対にさやかを助け出すわ」

まどか「うん、お願いね。……あ、ここまででいいよ。送ってくれてありがとう」

ほむら「そう、それじゃおやすみなさい、まどか。……さて、私は」

ソウルジェムの秘密を話したが、2人とも絶望せずに済んだ。あとはさやかをなんとかするだけだ

まどかのためにも、絶対にさやかを救ってみせる

そう思い、私は夜の街へ走り出した

198: 2012/08/01(水) 19:22:11.85 ID:ZbQgNMaYo
――――――

ほむら「……」

まどか「……」

マミ「……」

まどか「さやかちゃん…どこ行っちゃったの……」

マミ「えぇ…私たちからこれほどまでに身を隠しながら動けるなんて……」

ほむら「ごめんなさい、まどか…あれだけ偉そうなこと言っておきながら……」

まどか「ううん、ほむらちゃんたちは悪くないよ……あ、ほむらちゃん。これ今日のお昼……」

ほむら「ありがとう、まどか……」

あの日以来、さやかは私たちの前に現れなくなった。自宅には帰ってないようで、もちろん学校にも来ていない

放課後にみんなで手分けして探してはいるが、一向に見つかる気配はない

彼女がいない間に上条恭介が登校してきた。いつもであればここで志筑仁美からの宣戦布告があるはず

だが、その当人がいないので今のところは何もしていない

ワルプルギスの夜襲来までもう時間がない。なんとしてもさやかを見つけ出さないと

199: 2012/08/01(水) 19:22:48.63 ID:ZbQgNMaYo
――マミの家――

マミ「美樹さん、大丈夫かしら……」

ほむら「自暴自棄になって無茶な戦いをしてなければいいんだけど……」

まどか「そんな…大丈夫、だよね……?」

ほむら「……なんとも言えないわね。無茶の程度にもよるだろうし……」

ほむら「ただ、彼女の場合傷の回復は得意みたいだから、心配すべきなのはソウルジェムのほうね」

まどか「ソウルジェム…さやかちゃんの本体……」

マミ「砕ければ即氏、濁れば魔女化…ひどい話ね」

ほむら「それでも、私は自分の願いのために魔法少女になった。後悔はしてない」

マミ「暁美さんはよく平気で…って、知ってたのよね。その話を知った時もそんな感じだったのかしら」

200: 2012/08/01(水) 19:23:25.35 ID:ZbQgNMaYo
ほむら「……確かに初めて知った時は驚いたわ。私の魂はこんなちっぽけな石にされたんだと」

ほむら「でも今はそんなことはどうだっていい。私は私の目的のために魂…いえ、私の全てを捧げたのだから……」

まどか「それがワルプルギスの夜を倒すことなんだね」

ほむら「えぇ、そうよ…アイツは、アイツだけはなんとしても……」

マミ「暁美さんが言ってたワルプルギスが現れる日も近いわ。早く美樹さんを…あら?」

ほむら「マミ、どうかした…この反応は」

マミ「魔女ね。グリーフシードもだいぶ集まってきたけど…まだいるのかしら」

ほむら「ワルプルギス相手では多すぎるということはないわ。集められるだけ集めておきましょう」

マミ「じゃあちょっと行ってくるわね。鹿目さん、留守番お願いね」

まどか「はい、任せてください。ほむらちゃん、気をつけてね」

ほむら「えぇ、わかってるわ」

201: 2012/08/01(水) 19:24:08.07 ID:ZbQgNMaYo
ほむら「そう言えば杏子はどこ行ったのかしら。魔女が出たというのに」

マミ「美樹さんを探してるんだと思うけど…魔女より美樹さんが優先、ってことかしら。佐倉さんも変わったわね」

ほむら「ともかく、魔女はこちらで何とかしましょう」

マミ「えぇ、そうね」

杏子(おいほむら、マミ!聞こえるか!?)

ほむら(杏子?どうしたの、今魔女が現れたからマミと倒しに……)

杏子(今その魔女の結界にいるんだけどよ、さやかがいるんだよ!)

マミ(美樹さんが?それで、彼女は無事なの?)

杏子(無事も何もねぇよ、アイツ…うわ、またやりやがった…とにかく、早く来てくれ!)

ほむら(わかった、なるべく急いで行くわ)

マミ「佐倉さん、どうしたのかしら」

ほむら「……嫌な予感がするわね、急ぎましょう」

杏子がさやかを見つけてくれたのは幸運だ。何としてもここでさやかを捕まえなければ

全てが手遅れになる前に

202: 2012/08/01(水) 19:25:03.85 ID:ZbQgNMaYo
――――――

杏子「あ、お前ら!おせぇぞ!」

ほむら「ごめんなさい。遅かったようね」

マミ「佐倉さん、美樹さんは?」

杏子「グリーフシードだけ置いて行きやがった。アイツ、ろくに浄化してない上にあの戦い方を続けたら……」

マミ「美樹さんはどう戦ってたの?」

杏子「どうもこうもねぇよ。アイツ、痛覚全部消して、魔女の攻撃全部受けるつもりで戦ってやがった」

マミ「そんな……!」

ほむら「……まずいわね。このまま捕まえられないでいるといつ魔女になるかわからない……」

ほむら「杏子、さやかはどっちへ行ったの?」

杏子「向こうに走ってったよ。……せっかく見つけたと思ったのによ」

ほむら「とにかく、なんとしても見つけるわよ。それじゃ各自これをひとつずつ持ってって頂戴」ゴソゴソ

マミ「これ…グリーフシード?」

203: 2012/08/01(水) 19:25:58.02 ID:ZbQgNMaYo
ほむら「もう彼女のソウルジェムは相当濁ってるはずよ。彼女を見つけたらそれで浄化して」

ほむら「探す方向は…杏子はさやかが走って行った方、マミは今来た道をお願い」

杏子「あぁ!」ダッ

マミ「わかったわ、行ってくるわね!」ダッ

彼女が魔女化するときに、最後にいる場所はこれまでに数箇所あった

公園、駅、さやかの自宅、学校……

杏子とマミは公園と駅の方へ探しに行ってもらった。自宅は私たちよりも適任がいる

ほむら「それじゃ私は……」ピッピッ

Prrrrrrrr

204: 2012/08/01(水) 19:26:39.71 ID:ZbQgNMaYo
まどか『もしもし、ほむらちゃん?』

ほむら「まどか、さやかを見つけたわ」

まどか『え、ほんと!?さやかちゃん大丈夫なの!?』

ほむら「それがさっき言った魔女の結界にいたようで、私たちが着く前に逃げられてしまったの」

まどか『さやかちゃん…どうしてなの……?』

ほむら「それでまどか、何としても彼女を今日中に捕まえたいの。手を貸してくれるかしら?」

ほむら「まどか、あなたにはさやかの自宅周辺をお願いできるかしら?万一帰っていたら教えて頂戴」

まどか『うん、わかった!すぐ行くよ!』

ほむら「えぇ、それじゃ頼んだわよ」ピッ

ほむら「さやかのこと、本当に心配してるのね、まどかは……」

ほむら「まどかをあんなに悲しませるなんて…あなたはどこまで愚かなの、美樹さやか……」

205: 2012/08/01(水) 19:27:25.23 ID:ZbQgNMaYo
――――――

さやか「よっと……」スタッ

さやか「ここに来るのも久しぶりだなぁ……」

さやか「ちょっと前までは、みんなとここでお昼食べてたりしてたんだよね……」

さやか「でもなんでまたここに来ようと思ったんだろ…ま、いいか」

『待ってたわよ、美樹さやか』

さやか「え!?」

ほむら「……」スッ

さやか「ほむら…なんであたしがここに来るって……?」

ほむら「統計よ」

さやか「何よそれ…まぁ見つかっちゃったことだし…ちょっとあたしの話、聞いてくれる?」

206: 2012/08/01(水) 19:28:13.56 ID:ZbQgNMaYo
さやか「あたしは恭介の怪我を治す願いで魔法少女になった。それは間違ってなかったって思うし、後悔もしてない」

さやか「そして、ここから見える街を…そこに住む人たちを、ほむらとマミさんと一緒に守ろうと思った。杏子は…まだよくわかんないや」

さやか「でもほむらの話を聞いたあと…あたしがこんな石ころにされたとわかった途端に……」

さやか「あたしはこの街を守るだけの道具なんじゃないかって思っちゃった……」

さやか「こんなゾンビみたいな体で、まどかや仁美と対等に向き合えないんじゃないかって……」

さやか「何よりこんな体じゃ…恭介に好きです、なんて…言えるわけないよ……」ポロポロ

さやか「自分でもわけがわからなくなって、がむしゃらに戦って…気がついたときにはもうソウルジェムは濁ってて……」

さやか「そして杏子に見つかって、グリーフシード投げつけて、思わず逃げ出して…ほんと、救いようがないよ、あたし」

ほむら「……」

207: 2012/08/01(水) 19:29:07.76 ID:ZbQgNMaYo
ズズ…

さやか「……もう、ソウルジェムも限界かな…話、聞いてくれてありがと」

さやか「それで最後の頼みなんだけど…あたしのソウルジェム、砕いてくれない…かな」スッ

さやか「魔女になってみんなに迷惑かけたくないしね」

ほむら「……あなたって、ほんと馬鹿ね」

さやか「うん…ごめんね、ほむら。この街のこと、マミさんと杏子のこと、まどかのこと…よろしくね」

さやか「ここにいたのがほむらでよかったよ。こんなこと、マミさんや杏子には頼めないから……」

ほむら「……」

さやか「……それじゃ、さよなら、ほむら」

208: 2012/08/01(水) 19:29:50.06 ID:ZbQgNMaYo





さやか「あたしって、ほんとバカ」






209: 2012/08/01(水) 19:30:36.85 ID:ZbQgNMaYo
シュゥゥゥゥゥ

さやか「……え?」

ほむら「ほんと、大馬鹿よ」

さやか「え…グリーフシード……?そんな、それはワルプルギスと戦うために集めてるんじゃ……」

ほむら「たとえワルプルギスを倒したところで、あなたがいなければ意味がないわ」

ほむら「それにあなたが氏ぬなんて結末、誰も認めないわ」

ほむら「さて、と……」ピッピッ

Prrrrrrrr

ほむら「まどか?さやか、無事見つけたわ。えぇ、ソウルジェムも浄化したから大丈夫よ」

ほむら「学校の屋上にいるから…夜だから閉まってたわね。校門前まで来て頂戴。それとマミにも連絡してあげて」

ほむら「杏子は携帯持ってないからマミがテレパシーで連絡すると思うわ。えぇ、それじゃ」ピッ

210: 2012/08/01(水) 19:32:02.71 ID:ZbQgNMaYo
ほむら「今まどかに連絡したわ。じきにみんな来るだろうから大人しくしてて頂戴」

さやか「なんでよ…なんで砕いてくれなかったのさ!!」

さやか「あたしは…ほむらや、マミさんや、杏子みたいに…強くないんだよ。魔法少女としても、人間としても……」

さやか「魔法少女としても、人間としても生きられないなら…もう氏ぬしかないよ!!」

パーン

さやか「……っ!」

ほむら「言いたいことはそれだけ?なら、今度は私の番よ」

さやか「えっ、ちょ、ほむら?」

パーン パーン パーン

さやか「へぶっ!うごっ!ぶへっ!」

211: 2012/08/01(水) 19:32:37.40 ID:ZbQgNMaYo
さやか「な、何すんのさ……」ヒリヒリ

ほむら「とりあえず今のは愛のムチってところね」

さやか「はぁ……」

ほむら「さやか」

ほむら「最初から強い人なんていないわ。私も、マミも、杏子も昔から強かったわけじゃない」

ほむら「みんな色んな経験を積み上げて強くなってきたの。いい経験も、悪い経験も、全部」

ほむら「もちろんあなたにだってできるはずよ。私たちにできて、あなたにできないはずないじゃない」

ほむら「あなたがどう生きたいかは、あなたにしか決められない。でも」

ほむら「辛くなったり、折れてしまいそうになっても私たちがあなたの支えになる。だって私たち…仲間でしょう?友達でしょう?」

さやか「ほむら…ほむらぁ…ごめん、あたし……」ポロポロ

212: 2012/08/01(水) 19:33:24.01 ID:ZbQgNMaYo
ほむら「それとこれはまどかの言葉だけど……」

ほむら「さやか、あなたが魔法少女だろうが何だろうが関係ない。まどかにとって、あなたは人間なの」

ほむら「ゾンビでも化け物でもない…人間よ」

さやか「まどかの奴、滅茶苦茶な事を…でも、ありがとう、まどか……」

ほむら「まどかが人間だって言ってるんだもの。上条恭介にも好きだって伝えればいいじゃない」

さやか「い、いや、あたしは…その……」

ほむら「全く、どうしようもないわね。そんなヘタれてるから掻っ攫われるのよ」

さやか「だ、誰がヘタレか!それに誰よ、恭介を掻っ攫う奴って!……はっ」

さやか「まさか…ほむら、あんたか!」

ほむら「誰があんな男が好きですって!?冗談じゃないわよ!」

さやか「あんな男言うな!」

213: 2012/08/01(水) 19:34:11.90 ID:ZbQgNMaYo
さやか「ならあんたどんな人が好きなのさ!?」

ほむら「どんな人ですって!?そんなのもちろん……」

ほむら「……?」

さやか「?」

ほむら「い、今まで人を好きになったことがないからわからないわ……」

さやか「ほむら…あんたって子は……」ホロリ

ほむら「憐れみの目で見ないで頂戴」

さやか「なら、今一番好きなのは誰なのよ?あ、恭介は除いてね」

ほむら「だから誰があんな男…一番好きなのは…まどか。うん、まどかね」

さやか「」

ほむら「さやか?」

さやか「あ、あの、ほむらさん。それは友達としての好きですか、恋愛としての好きですか」

ほむら「友達としてだと思う…多分」

さやか「多分、ですか……」

214: 2012/08/01(水) 19:35:10.24 ID:ZbQgNMaYo
さやか「……うん。あたし、新しい目的、見つけた」

さやか「ほむらとまどかを応援する。これが新しい……」

ほむら「ちょ、ちょっと待ちなさい!どうしてそうなるのかしら!?」

さやか「だって人のことヘタレだの何だの散々言ってくれてたじゃん。だったらあんたも一番好きなまどかを愛しちゃいなよ」

ほむら「あなたって人はどうしてそうぶっ飛んだ……」

Prrrrrrrr

ほむら「あ、あら、携帯?……まどかからだわ」

さやか「ここでまどかからかかってくるとは……。やっぱあんたら恋人になるべきなんだよ」

ほむら「何言ってるの。……もしもし、まどか?……えぇ、わかった。今からそっちに行くわ。待ってて頂戴」ピッ

ほむら「まどかたちが校門まで来たそうよ。行きましょう」

さやか「うん、わかった」

ほむら「……ちゃんと謝るのよ」

さやか「……わかってるよ。心配させちゃったからね」

215: 2012/08/01(水) 19:36:20.98 ID:ZbQgNMaYo
さやかを連れてまどかたちと合流した。まどかはさやかに抱きついてぼろぼろと泣いていた

マミや杏子も口ではさやかを叱っていたが、内心安堵していることだろう

さやかは1人ずつごめんなさいと謝った。そして、これからも一緒に戦うと言ってくれた

もう、さやかは大丈夫だろう。あとは、ワルプルギスの夜を倒すだけだ

しかしさやかの発言には驚かされた。まどかを愛せだなんて……

この気持ちがどういう好きかは、正直まだよくわからない。でも

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「何かしら」

まどか「さやかちゃんのこと、ありがとう」

ほむら「……私は何もしてないわ」

まどか「ううん、ほむらちゃんだからできたんだよ。だから、ありがとう、ほむらちゃん」ニコ

ほむら「まどか……」

216: 2012/08/01(水) 19:37:14.28 ID:ZbQgNMaYo
でも、まどかの笑顔を見ると、こっちまで嬉しくなる。ずっと一緒にいたくなる

これは恋愛としての好き…なのかも知れない

どちらの好きだって構わない。今度、今度こそ、ワルプルギスを倒して、未来を掴んでみせる

ほむら「あら……?」パァァ

ほむら「何かしら、ソウルジェムが光って……」ゴソゴソ

ほむら「え……?どうなってる…のかしら……?」

223: 2012/08/02(木) 19:28:33.78 ID:GtwJ6/ieo
――数日後 ほむらの家――

ほむら「今日は集まってくれてありがとう」

ほむら「話したいことというのは例の私の変貌についてよ。本当はこの前話したかったのだけど」

ほむら「あの時はさやかは飛び出して行くわマミと杏子は錯乱するわでとてもそれどころじゃなかったから……」

さやか「その節は本当にご迷惑を……」

マミ「もういいのよ。美樹さんもこうして無事にここにいるんだから」

杏子「まぁ…あんな内容の話だったんだ。取り乱すなってのが無理な話だしな」

さやか「マミさん…杏子……」

まどか「それでほむらちゃん、アレについての話って……」

224: 2012/08/02(木) 19:29:15.77 ID:GtwJ6/ieo
ほむら「ひとつずつ話していきましょうか」

さやか「じゃあ…ほむらは自分の魔法で変貌しちゃうわけ?」

ほむら「……私の魔法にあのように変貌するような物はない。とすると他の何かが要因だと思うわ」

ほむら「魔女か、魔法少女か…誰かが契約する際に私がこうなるように願ったということも……」

マミ「でも魔法少女関係の方は違うと思うわ。暁美さんと関わりがある魔法少女はここに全員いるし」

さやか「ほむらの変貌を望んで魔法少女になるような奴はいないと思うよ」

杏子「知らないうちに頭でも打ったんじゃないのか?」

さやか「……頭打ってあれだけ強くなれるならあたしだって2、3発打つよ」スッ

まどか「さやかちゃん、机に頭打ちつけようとしないで……」

225: 2012/08/02(木) 19:29:56.59 ID:GtwJ6/ieo
マミ「それじゃあ次ね。暁美さんは何をスイッチとして変貌してしまうの?」

ほむら「私が変貌したのは2回。それぞれどんなときだった?」

まどか「えーと…最初は病院に現れた魔女と戦ってるとき……」

杏子「次がアタシとさやかがやり合ってるとき。……そうか」

マミ「戦闘中に強い相手を倒す、もしくは止める理由で変貌する……?」

ほむら「違うわね。変貌する直前に、それぞれ何が起こったか思い出して」

さやか「魔女のときはまどかが食べられそうに……」

マミ「美樹さんと佐倉さんの戦いのときは2人の攻撃の間に……」

まどか「わたしが…危なくなったとき……?」

226: 2012/08/02(木) 19:30:47.46 ID:GtwJ6/ieo
ほむら「えぇ、その通り。まどかが危なくなったとき、まどかを守りたい。そう強く願ったとき」

ほむら「私は変貌する。……私はそう考えているわ」

さやか「そんなまさか、と言いたいけど実際まどかのピンチで変貌してまどかを助けてるんだよねぇ」

マミ「美樹さんと佐倉さんは鹿目さんの命の危機の原因だったから2人に発砲したのかしらね」

ほむら「えぇ、多分そんなところね」

マミ「それにしても鹿目さんの危機に現れて彼女を救う…紫の守護者……」ブツブツ

マミ「いえ待って、彼女たちは前世で恋人…運命の永遠の愛……」ブツブツ

杏子「あー、また始まったか。マミも相変わらずだな」

まどか「ちょ、ちょっとマミさん!?」

ほむら「わけのわからないこと言ってるとひっぱたくわよ」

さやか「まぁまぁほむら、そういうあんたは覚悟はできたのかね?」

ほむら「な、何の話よ……」

さやか「決まってるじゃん。まどかを愛する……」

ほむら「さ、さやか!その話は今しなくていいことよ!」

227: 2012/08/02(木) 19:31:46.26 ID:GtwJ6/ieo
杏子「それじゃアタシだ。どうして変貌すると魔力が跳ね上がるんだ?」

ほむら「その話の前にまずはこれを見て頂戴」スッ

まどか「これ…ほむらちゃんのソウルジェム?」

さやか「え、でもなんか…変だね」

ほむら「えぇ。ソウルジェムというのは基本的に一色のはず。でも……」

マミ「暁美さんのは元の紫以外に少しピンクが入ってるわね」

杏子「いつこうなったんだい?」

ほむら「先日、さやかを見つけた日の夜よ。まどかにありがとう、って言われて、その後に色々考えたことを纏めたときに」

さやか「あーはいはい。さやかちゃんわかっちゃったよ」

さやか「そのピンクはまどかの想いだね。まどかってピンク髪だし。うん、間違いないわこりゃ」

まどか「さやかちゃん、わたし恥ずかしいんだけど……」カァ

228: 2012/08/02(木) 19:32:39.82 ID:GtwJ6/ieo
マミ「それで、魔力増大とこのピンク色に何の関係が?」

ほむら「私が変貌したときに魔力が増えるのは、その私を変貌させている何かの魔力が宿っているからだと思うわ」

ほむら「キュゥべえが言うに、1回目より2回目の方が魔力量が多いみたい。それは流れ込む魔力が増えたものだと考えてる」

ほむら「そして魔力が増えるのは変貌したときだけだと思っていたんだけど…このピンク色が現れたときを境に」

ほむら「通常状態のときでも魔力量が増えたの」

杏子「つまりその魔力をほむら自身が物にしたか、その魔力に乗っ取られているか、ってことか」

マミ「前者ならいいんだけど…後者だとどうなるかわからないわね……」

さやか「え?あれ?あたしの推理は?あたし的にまどかのほむらへの想いが溢れ始めたからだと」

まどか「さ、さやかちゃん……」カァ

ほむら「あなたもしつこいとひっぱたくわよ」

229: 2012/08/02(木) 19:33:42.24 ID:GtwJ6/ieo
ほむら「他に何か聞きたいことは?」

さやか「今のところは…大丈夫かな」

まどか「あ、あの……」

ほむら「あらまどか?何かしら?」

まどか「わたしが危なくなったときに、ほむらちゃんはほむらちゃんでなくなっちゃうんだよね?」

ほむら「推測が正しければ、その通りね」

まどか「それじゃほむらちゃんをおかしくさせちゃったのって、わたしのせい…なのかな……」

まどか「危ないってわかってて結界に着いて行ったり、考えもなしに2人の間に飛び出したりして……」

まどか「きっとほむらちゃんに迷惑かけちゃってる…よね」

まどか「……ごめんね。本当にごめんね、ほむらちゃん……」ポロポロ

ほむら「まどか、何も泣かなくても……」

230: 2012/08/02(木) 19:34:32.57 ID:GtwJ6/ieo
ほむら「まどか、私は迷惑だなんて思ってないわ。だから泣かないで」

まどか「でも……」

ほむら「……まどか、私はあなたを守りたい。そのためだったら得体の知れない魔力だって使いこなしてみせる」

ほむら「だから、私にあなたを守らせて。これが私の意志よ」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「まどか……」

さやか「……」ニタニタ

マミ「……」ニコニコ

杏子「……」ニヤニヤ

ほむら「……はっ」

まどか「……あっ」

231: 2012/08/02(木) 19:35:19.06 ID:GtwJ6/ieo
さやか「やーさすがほむらさん。あたしもあんなこと言われてみたいもんだわー」ニタニタ

マミ「そうよね、一度でいいから言われてみたいわ。女の子ですもの」ニコニコ

杏子「お前ら仲いいよな。話には聞いてたけど予想以上だったわ」ニヤニヤ

ほむら「そ、そのニヤニヤニタニタするのをやめなさい……」

まどか「は、恥ずかしい…恥ずかしいよぅ……」カァ

杏子「そんだけ仲いいんだろ?恋人じゃねぇのか?」

マミ「実はね佐倉さん。この2人、前世で恋人だったのよ」

ほむら「ちょっとマミ、いい加減に……」

杏子「は?どういうことだそりゃ?」

マミ「前に鹿目さんが言ってたんだけどね、暁美さんが夢に……」

まどか「ちょっとマミさん!?誰にも言わないって約束したじゃないですか!!」

232: 2012/08/02(木) 19:35:59.81 ID:GtwJ6/ieo
さやか「まぁこれ以上弄るとまどかは恥ずかしさで爆発しちゃいそうだし、ほむらは盾から何かヤバいもの出してきそうだからこれまでとして」

まどか「……」カァ

ほむら「……」ブツブツ

さやか「今日はこの後どうするのさ?明後日にはもうワルプルギスが襲ってくる日だよ?」

ほむら「特にないわ」

マミ「え、何もしないの?」

ほむら「えぇ。明日はワルプルギス戦の作戦やら何やらで私の家に缶詰になると思う。今日は各自自由に過ごして頂戴」

さやか「なら明日はそのままほむらの家に泊まっていけばいいよね。当然まどかも来るでしょ?」

まどか「え?わ、わたし、魔法少女じゃないからいても……」

さやか「何を今更なことを。あたしたち…仲間、でしょうが」

まどか「さやかちゃん……」

233: 2012/08/02(木) 19:36:43.64 ID:GtwJ6/ieo
ほむら「別にそれは構わないけど…着替えなんかは自分たちで持ってきなさい」

ほむら「それじゃ、今日はこれでおしまい。みんな、悔いのないように過ごして頂戴」

さやか「そんじゃ行くとしますかね。じゃあほむら、また明日」

マミ「明日はおいしいお菓子、作って持って行くわね」

杏子「自由行動つってもな…ま、今日は好きにさせてもらうよ」

バタン

ほむら「ふぅ…さて、私は……」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「あらまどか、まだ帰ってなかったの?」

まどか「うん。……わたし、今日はほむらちゃんと一緒にいたいの」

234: 2012/08/02(木) 19:37:34.97 ID:GtwJ6/ieo
まどか「明日はきっと、一緒にどこか行ったりする時間なんてないと思うし…ダメ、かな」

ほむら「まどか…えぇ、じゃあ一緒に出かけましょうか」

ほむら「ただ、その前にやることがあるから、それを先に片付けさせて頂戴」

まどか「うん、ありがとうほむらちゃん!」

ほむら「それじゃ行きましょうか、まどか」

まどか「うん!今日は思いっきり楽しもうよ!」

ほむら「えぇ、そうね……」

明日はどこかへ行く時間なんてないだろうし、明後日は決戦

こうしてまどかと過ごせるのは今日で最後になるかもしれない

無論、やられる気などない

……でも、今だけ。今だけは、まどかと思いっきり楽しもう

ワルプルギス前の、最後の日常を……

235: 2012/08/02(木) 19:38:44.70 ID:GtwJ6/ieo
――――――

さやか「さーって、どこ行こうかな。……そういや今何時だろ?」ピッ

さやか「ありゃ、仁美から?話し込んでて気がつかなかったな。なんだろう」ピッ

Prrrrrrrr

仁美『あ、さやかさん』

さやか「ごめん仁美、電話くれたみたいなのに気がつかなかったよ。何か用?」

仁美『さやかさん、今日これからお時間空いてます?』

さやか「ん、大丈夫だけど?」

仁美『さやかさんにお話したいことがあります。いつものお店に来てくれませんか?』

さやか「わかった。これから向かうよ」

仁美『よろしくお願いしますわ。それでは』プツッ

さやか「仁美、なんだろう話って…ま、言ってみますか」

236: 2012/08/02(木) 19:39:24.37 ID:GtwJ6/ieo
さやか「それで仁美、話って何?」

仁美「……ずっと、さやかさんに秘密にしてきたことがあるんです」

仁美「私、上条恭介君のことを…お慕いしてましたの」

さやか「え…そう…なの?……き、恭介の奴、仁美に好かれるなんて……」

仁美「私、さやかさんには抜け駆けも横取りもしたくないんですの」

さやか「な、何の話……?」

仁美「明後日に…上条君に告白します。一日、お待ちしますわ。さやかさんは後悔……」

さやか「……」

仁美「さやかさん?」

さやか「……あたしは、告白はしないよ」

仁美「それは…どうしてですの?」

237: 2012/08/02(木) 19:40:01.41 ID:GtwJ6/ieo
さやか「あたしの友達がね。明後日にとても大変なことをしないといけないの」

さやか「それはすごく危険なことなんだけど、絶対にやらなくちゃいけない。だから」

さやか「あたしは友達として、そいつを助けてあげなくちゃいけない。そりゃ、恭介も大事な人だけど」

さやか「そいつだって、あたしの大事な人なんだ。絶対にやることを成功させてあげたい」

さやか「明日はその準備で、そいつの家に泊まりこむの。……だから、あたしは告白、しない」

仁美「さやかさん……」

さやか「それと、すごく危険なことって言ったでしょ?だから、もしあたしが帰ってこなかったら、そのときは……」

仁美「さやかさん」

さやか「何?」

238: 2012/08/02(木) 19:40:41.08 ID:GtwJ6/ieo
仁美「そんなこと仰らないでください。あなたがいなくなっては、私も、上条君も、とても悲しくなりますわ」

さやか「あ…ごめん」

仁美「ですからこの話、そのしなくてはならないことが終わるまで延期ということで」

さやか「え…いいの?」

仁美「本当は上条君が登校してきたときに話そうと思っていたんですけれど…あの頃、さやかさんは行方不明になっていたので言えなかったんですの」

仁美「それを考えたら数日待つ程度、どうってことないですわ」

仁美「ただし条件があります。やらなくてはならないことを必ず成功させて、無事に帰ってきてくださること」

さやか「仁美…ありがとう」

さやか「あたし、必ず成功させて、無事に戻ってくるよ」

仁美「えぇ、お待ちしておりますわ」

239: 2012/08/02(木) 19:41:23.57 ID:GtwJ6/ieo
――――――

マミ「明日持って行くお菓子の下準備、こんなもんでいいかしらね」

マミ「さすがに明日一から作ってる時間はないでしょうし……」

マミ「それにしてもワルプルギスの夜…ね」

マミ「過去何度か現れ、その度に大きな被害をもたらす最強の魔女」

マミ「その魔女が明後日…この街に現れるのね……」

マミ「暁美さんが魔女の強さは元の魔法少女の強さに比例する、なんて言ってたけど」

マミ「じゃあワルプルギスの夜になった魔法少女はどれだけ強かったのかしらね……」

マミ「……本当に、勝てるのかしら……」

240: 2012/08/02(木) 19:42:11.68 ID:GtwJ6/ieo
マミ「……いえ、勝たないとね。絶対に。こっちだって魔法少女が4人に、グリーフシードだって十分蓄えはある」

マミ「そして勝つための明日の打ち合わせ。大丈夫、勝てるわ」

マミ「それにしてもワルプルギスが現れる日を知っていたり、作戦を立てられるほどワルプルギスの行動を知っている……」

マミ「暁美ほむらさん…一体、何者なのかしら。彼女は予言や予知の魔法ではなさそうだし」

マミ「……まぁ、彼女が何者かなんて、どうでもいいことよね。私たち、仲間ですものね」

マミ「それじゃ、夕飯の材料でも買いに行こうかしらね。あ、明日の夕飯どうするのかしら」

マミ「暁美さんのことだから…カロ○ーメイトが出てきたりしないわよね?」

マミ「それは明日決めればいいわね…それじゃ、行ってきます」

241: 2012/08/02(木) 19:43:02.40 ID:GtwJ6/ieo
――――――

杏子「……」

杏子(親父…お袋…モモ……)

杏子(アタシはアタシの願いのせいで、みんなを失っちまった)

杏子(自分以外のために願いや、魔法を使ったって碌なことにならない。そう思ってた)

杏子(だけど、さやかを見ていたら…他人のために動くことだって、悪くないんじゃないかって思えてきたよ)

杏子(ほむらにさやかにマミにまどか。……仲間がいるってのも、いいもんだなって考えられるようになったよ)

杏子(こんなアタシを仲間だって言ってくれる、大切な人たち……)

杏子(アタシはもう、大切な人を失いたくはない…だから……)

242: 2012/08/02(木) 19:43:38.98 ID:GtwJ6/ieo
杏子(アタシはもう一度、自分以外のために魔法を使ってみるよ)

杏子(明後日、見滝原にワルプルギスの夜って魔女が現れる)

杏子(アタシはみんなを守るために、そいつと戦ってくる)

杏子(親父…お袋…モモ……)

杏子(アタシたちを、どうか見守っていてくれ)

243: 2012/08/02(木) 19:44:35.01 ID:GtwJ6/ieo
――――――

ほむら「お待たせ、まどか」

まどか「おかえり、ほむらちゃん。こんな川岸に何の用なの?」

ほむら「対ワルプルギスの仕掛けを、ね」

まどか「え、そうなの?でもそんな風には……」

ほむら「それは時間停止中に仕掛けたからね。内容はちょっと勘弁してもらえるかしら?きっとドン引きされるだろうから……」

まどか「う、うん……」

244: 2012/08/02(木) 19:45:45.48 ID:GtwJ6/ieo
まどかと出かける前に対ワルプルギス用の仕掛けの準備をしておいた。ここに仕掛けたのはタンクローリーと対空ミサイル

タンクローリーはともかくとして、まどかにこんな物騒極まりないものは見せられない。拳銃やらは既に何度も見られてはいるが……

それにこんなもの見られて、私のことを爆発大好きの爆弾魔だとかに思われても困る

準備が終わった以上、もうここに用はない。今日はまどかと思いっきり楽しむのだから

ほむら「それじゃまどか、どこに行きましょうか?」

まどか「そうだねぇ…そうだ、喫茶店行こうよ!わたしいいお店知ってるから!」

ほむら「じゃあそこに行きましょうか。案内お願いね」

245: 2012/08/02(木) 19:46:46.25 ID:GtwJ6/ieo
――喫茶店――

まどか「自分で喫茶店って言っておいてあれなんだけど」

まどか「もっと別のところにしたらよかったよ。マミさんやほむらちゃんの家で大体何か食べたり飲んだりしてる気が……」

ほむら「そう言われると……」

まどか「……まぁ、いいか。せっかく来たんだし。それに……」

ほむら「それに?」

まどか「今日はほむらちゃんと2人きりだしね。ほむらちゃんと2人きりになるの、久しぶりだね」

ほむら「そうね。以前はさやかとマミに敵視されていた私にずっと付き合ってくれていたものね」

ほむら「あのときは本当に嬉しかったわ。ありがとう、まどか」

まどか「お礼なんて…わたしがほむらちゃんの側にいたかったからだよ」

まどか「それにあのときほむらちゃんと一緒にいたから、今こうやって仲良くできてるんだよね」

246: 2012/08/02(木) 19:48:08.50 ID:GtwJ6/ieo
ほむら「まどかが仲良くしてくれたから、さやかとマミとも仲良くできた。本当、まどかにはいくら感謝してもしきれないわね」

ほむら「それにしても私の側にいたかった、なんて…そう言われるとちょっと恥ずかしいわね……」

まどか「もちろん今も同じだよ。ほむらちゃんの側にいたかったから、今日はほむらちゃんとお出かけしたの」

ほむら「私には、まどかみたいにどこかに引っ張って行ってくれる人が必要なのかもね。自分から外出はあまりしないから……」

まどか「この前も今日は予定がないからってまっすぐ家に帰ってウェヒヒヒヒって爆弾作ってたもんね」

ほむら「人をそんな爆弾魔みたいに言わないで頂戴。あとそんな奇声出してないわよ」

まどか「えー、そうだったかなぁ」

ほむら「そうよ。あんまり変なこと言わないでほしいわ」

まどか「うぇひひ、ごめんね?」

ほむら「もう……」

247: 2012/08/02(木) 19:49:08.56 ID:GtwJ6/ieo
ほむら「思えば、今日までいろんなことがあったわね」

まどか「そうだね。ほむらちゃんが転校してきて、魔法少女の存在を知って……」

ほむら「さやかとマミと仲良くなって、杏子を仲間に引き入れて……」

まどか「さやかちゃんと杏子ちゃんがケンカして、さやかちゃんが行方不明になって……」

ほむら「それも全てはワルプルギスを倒すため。必ず、ワルプルギスを倒してみせるわ」

まどか「うん。……あ、そろそろ帰ろっか」

ほむら「あら、もうこんな時間?あっという間だったわね」

まどか「好きな人と一緒にいると時間は早く過ぎるんだよ」

ほむら「そう言ってもらえると嬉しいわね。ありがとう、まどか」

まどか「うん、わたしも楽しかったよ」

248: 2012/08/02(木) 19:49:50.98 ID:GtwJ6/ieo
――――――

まどか「じゃあほむらちゃん、今日はありがとう」

ほむら「えぇ、私も楽しかったわ。それじゃ、また明日ね」

まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「わたしたち、ずっと、ずーっと一緒にいようね」

まどか「ワルプルギスを倒して、その先もずっと、ね」

ほむら「まどか……」

249: 2012/08/02(木) 19:50:57.28 ID:GtwJ6/ieo
まどかの言葉を聞いた瞬間、熱いものが溢れてきた

こんな私なんかとずっと一緒にいたいと言ってくれた。それが何より嬉しかった

私は思わず、まどかを抱きしめた

ほむら「まどか……!」ギュウ

まどか「わ、ほむらちゃん……?」

ほむら「私、必ずワルプルギスを倒してみせるわ…必ず……!」

まどか「……うん」

250: 2012/08/02(木) 19:52:14.64 ID:GtwJ6/ieo
ほむら「……取り乱してしまったわね。ごめんなさい」

まどか「ううん、そんなことないよ」

ほむら「まどかは明日はどうするの?私の家に来る?」

まどか「……わたし、邪魔にならないかなぁ」

ほむら「そんなことないわ。まどかはまどかのできることをしてくれてるじゃない」

まどか「そうかな…それじゃ、明日はわたしも行くよ」

ほむら「えぇ、待ってるわね」

まどか「うん、それじゃまた明日」

ほむら「えぇ、また明日」

ほむら「……さて、人数分の布団、どこにしまったかしら……」

ほむら「それと夕飯…カロ○ーメイトは…さすがにないわね。どうしましょうか……」

255: 2012/08/03(金) 20:02:18.66 ID:bNQ0h0eOo
――――――

まどか「あ、さやかちゃん!ごめんね、待った?」

さやか「ん、あたしも今来たとこだから大丈夫だよ」

まどか「よかった。……それじゃ、行こっか」

さやか「それにしても……」

まどか「何?」

さやか「泊り込みで対策を練るなんて…ほむらの奴、よっぽどワルプルギスを倒したいんだね」

まどか「さやかちゃんだって、そう思ってるんじゃないの?」

さやか「そりゃ、あたしやマミさんや杏子だって倒したいとは思ってるよ。でもさ」

さやか「ほむらからは何というか…執念みたいなのを感じる気がしてね」

さやか「ワルプルギスを倒したいって思いは、ほむらが一番強いんじゃないかな」

256: 2012/08/03(金) 20:02:52.61 ID:bNQ0h0eOo
さやか「きっと、今までもずっとその思いを持ってたんだろうね」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「だから、ほむらが今日まで潰れずに頑張れたのは、きっとまどかがいたからじゃない?」

まどか「え、わたし……?」

さやか「うん。ほむらにとっては、まどかの存在が一番の心の支えになっていたと思うよ」

まどか「そうかなぁ……」

さやか「そうだよ、自信持ちなって。あんたらは夢に見るほど愛し合った恋人同士だったんだからさ。前世で」

まどか「え!?ちょ、ちょっとさやかちゃん、何でその話……」

さやか「この前マミさんから聞いた」

まどか「マミさん…他の人には話さないでって言ったのに……」ブツブツ

257: 2012/08/03(金) 20:03:26.57 ID:bNQ0h0eOo
さやか「でもまぁ、あんたもほむらが好きなんじゃないの?」

まどか「……そう…かな」

さやか「なんだかはっきりしないねぇ。あれだけイチャイチャしといて否定されても説得力ないよ?」

まどか「……昨日、ほむらちゃんと一緒にいて、帰るときにずっと一緒にいようね、って言ったの」

まどか「でもほむらちゃんは魔法少女だから…それのせいでわたしとは一緒にいられないんじゃないかって……」

まどか「それに、わたしとほむらちゃん、女の子同士なんだよ……?だから……」

さやか「まどか、あんたがそれ言っちゃダメでしょうが……」

まどか「え、え、わたし、何か変なこと言った?」

さやか「ほむらのこと、魔法少女なんて関係ない、人間なんだって言ったの、まどかでしょ」

まどか「あ……」

258: 2012/08/03(金) 20:04:22.86 ID:bNQ0h0eOo
さやか「それに、女の子同士だろうが、好きになったんでしょ?なら、そんなの関係ないじゃない」

まどか「で、でも……」

さやか「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて氏んじまえ、って言うでしょ」

さやか「だから、好きになったんなら、もう突っ走っちゃいなよ」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「まぁでも、ほむらの邪魔したら銃で撃たれそうだけどね」

まどか「……うん、わたし…この想い、伝えてみるよ」

さやか「ん、きっと悪いことにはならないと思うよ」

まどか「ありがとう、さやかちゃん」

259: 2012/08/03(金) 20:05:09.74 ID:bNQ0h0eOo
――――――

ピンポーン

ほむら「いらっしゃい。あがって」

ほむら「マミと杏子はもう来てるわ。随分時間かかったみたいだけど、何かあったの?」

さやか「ちょっとまどかの相談に乗ってあげただけだよ」

まどか「さやかちゃん、こればっかりはほんと言っちゃダメだからね!」

さやか「わかってますって」

ほむら「?それじゃさやかも来たことだし、対策会議にしましょう」

まどか「わ、わたしは何をしたらいいかな?」

ほむら「とりあえず、最初に私と杏子から話があるの。それだけは聞いて頂戴」

まどか「うん、わかった」

260: 2012/08/03(金) 20:05:51.06 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「それじゃあ全員揃ったので、ワルプルギスの夜対策会議としたいんだけど……」

ほむら「私と杏子からみんなに話したいことがあるの」

マミ「佐倉さんと暁美さんから?」

杏子「まずアタシから話すよ。聞いてほしいのは…アタシの身の上の話さ」

マミ「……!」

さやか「……なんだか真面目な話みたいだね」

まどか「杏子ちゃんの昔の話……」

261: 2012/08/03(金) 20:06:39.69 ID:bNQ0h0eOo
杏子「アタシの家は教会でね、親父は神父だった。……優しい人でね、どうしたら世の中が良くなるか、真剣に悩むような人だった」

杏子「だからあるとき、教義にない話をし始めたんだ。当然、信者はぱったりいなくなった」

杏子「そのときアタシは思ったんだ。少しだけでいい、親父の話を聞いてほしい、ってね」

杏子「だからキュゥべえに頼んだんだ。親父の話を、真面目に聞いてくれますように、って」

杏子「次の日からは信者が大勢詰め掛けていたよ。アタシは嬉しかった。親父の話を聞いてもらえて」

杏子「だけどあるとき、そのカラクリがバレちまった。信者が魔法の力で集められているんだって」

杏子「その日から親父は狂っちまった…最後にはアタシだけ残して、一家心中さ」

まどか「そんな……」

マミ「佐倉さん……」

262: 2012/08/03(金) 20:07:37.87 ID:bNQ0h0eOo
杏子「アタシの祈りが、家族を壊しちまった。だからその日から、アタシは自分自身以外のために、魔法は使わない。そう決めたんだ」

さやか「だからあんなことを……」

杏子「だけどさ、ほむらに連れてこられて、お前らと過ごすようになってから……」

杏子「もう一度だけ、自分以外のために魔法を使おうと、そう思えるようになった」

杏子「こんなアタシを仲間だって言ってくれる、そんな奴らを守るために、な」

さやか「杏子……」

マミ「佐倉さん……」

まどか「杏子ちゃん……」

杏子「ほむらがアタシを連れて来なければ、アタシの考えはあのままだった」

杏子「だから、アタシの考えを変えさせてくれたほむらには…感謝してるよ。ありがとな、ほむら」

ほむら「……別に、私はあなたの戦闘能力を買って引き抜いただけよ」

杏子「そう照れんなって。……これで、アタシの話は終わりだ」

263: 2012/08/03(金) 20:08:22.99 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「次は私の番ね」

まどか「ほむらちゃんの話…一体何だろう……」

ほむら「杏子と似たようなことね。身の上というか…暁美ほむらという人間について、ね」

ほむら「元々私は運動も勉強も出来ない、冴えない人間だった」

ほむら「心臓病が理由で入院していたこともあって、人付き合いも碌に出来なかった」

ほむら「私なんか生きていても仕方ない。氏んでしまったほうがマシだ。いつしか、そんなことを考えるようになってしまった」

ほむら「そんなとき、ある同級生が私を助けてくれた。友達になってくれたの。私は嬉しかった」

ほむら「その子は魔法少女でね。いつも私を守っていてくれた。こんな日が、いつまでもずっと続くんだと思っていた」

ほむら「でもね、ある日…ワルプルギスの夜が現れたの。その子も魔法少女だから、当然ワルプルギスと戦った。でも……」

ほむら「ワルプルギスに敗れて、その子は…氏んでしまった」

ほむら「私は悲しかった。氏んでしまったその子を救いたかった。だから、キュゥべえと契約したの」

ほむら「その子との出会いをやり直したい、と」

264: 2012/08/03(金) 20:09:14.64 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「そして私は、彼女を救うために、この1ヶ月間を何度もやり直している」

マミ「ちょ、ちょっと待って。それじゃあなたは……」

ほむら「えぇ。私は、この時間の人間じゃない。……私は、未来から来たの」

まどか「え……」

マミ「そんなことって……」

杏子「んなこと…出来んのかよ……」

さやか「杏子の話聞いた後だからよっぽどでなければ驚かないと思ったけど…これはまた……」

マミ「未来から来た…それなら、今までの行動も説明がつくわね」

さやか「逃げられた魔女の結界に先回りしてたり、病院に出た魔女が強いってことを知っていたり……」

杏子「ワルプルギスが現れるのを知っているのも、その能力があるからなんだな」

マミ「じゃあ、暁美さんの魔法って……」

ほむら「私の魔法は『時間停止』と『時間遡行』の2つ。時間停止は読んで字の如く。自分と、私が触れている物以外の時を止める」

ほむら「時間遡行は、盾の砂が落ちきったとき、ひっくり返すことによって1ヶ月時を遡る」

マミ「なるほど…瞬間移動や超スピードじゃなかったのね」

265: 2012/08/03(金) 20:10:17.77 ID:bNQ0h0eOo
まどか「ねぇ、ほむらちゃん…ほむらちゃんはこの1ヶ月を何回もやり直してるんだよね……?」

ほむら「えぇ、そうよ」

まどか「……もう、何回やり直したの?」

ほむら「……そうね…数えるのを諦める程には」

まどか「そんな…そんなのってないよ…あんまりだよ……」ポロポロ

ほむら「ま、まどか……?」

まどか「だって、ほむらちゃん、この1ヶ月を何回もやり直してるってことは……」

まどか「ワルプルギスを倒さないと、ほむらちゃん…未来に進めない、ってことでしょ……?」

まどか「このままだとほむらちゃん、永遠にこの1ヶ月から抜け出せなくなっちゃう……!」

まどか「それにまた、時間を戻しちゃったら…ほむらちゃん、いなくなっちゃう…わたし、ほむらちゃんと離れたくないよ!!」

まどか「昨日、約束したよね…ずっと一緒にいてね、って。約束、破らないよね……?」

ほむら「まどか……」

266: 2012/08/03(金) 20:12:20.05 ID:bNQ0h0eOo
まどかが言葉を発する度、まどかの想いも一緒に溢れ出す

まどかはこんなにも、私のことを想っていてくれていたなんて

今までのまどかにも、そんな気持ちを持っていたまどかがいたのかもしれない。それは今となっては確認のしようはない。ただ

私が何か失敗して時間を巻き戻す度に、そんなまどかを独りぼっちにしてきたのだろう

まどかの想いに答えられるかどうかはまだわからない。だけど

もう2度と、まどかを悲しませない。絶対に

ほむら「まどか、大丈夫……」

まどか「ほむら…ちゃん……」

ほむら「あなたとの約束、忘れるわけないじゃない。私はどこにも行かないわ」

まどか「ほむらちゃん…ほむらちゃん……!」ギュウ

ほむら「だから、あなたは私たちが帰って来るのを、信じて待っていて頂戴」

まどか「うん……!」

267: 2012/08/03(金) 20:13:00.03 ID:bNQ0h0eOo
さやか「……」

マミ「……」

杏子「……」

さやか「えーっと、今日は何をするつもりで集まったんでしたっけ?」ヒソヒソ

マミ「私はワルプルギスの夜対策会議って聞いたはずだけど……」ヒソヒソ

杏子「なのになんでまたこいつらの惚気見せられてるんだ、アタシたちは」ヒソヒソ

さやか「というか、うまくはぐらかした気になってるけど、話に出てきた同級生ってどう考えてもまどかでしょ?」ヒソヒソ

マミ「普段からの態度見ればわかることなのになんでまた……」ヒソヒソ

杏子「とにかくあいつら呼び戻さないとどうしようもねぇぞ。さやか、頼んだ」ヒソヒソ

さやか「え、ちょっ、あたし!?……仕方ないなぁ」ヒソヒソ

268: 2012/08/03(金) 20:13:45.44 ID:bNQ0h0eOo
さやか「あ~、ほむらさんにまどかさん。親交を深めるのはいいんですがそろそろ本来の目的を……」

ほむら「……あっ」

さやか「……やっと戻ってきたか……」

まどか「ご、ごめんねほむらちゃん。なんだかわーっと喋っちゃって」

ほむら「い、いえ私の方こそごめんなさい、あなたを不安にさせてしまって……」

まどか「そんな、ほむらちゃんは悪く……」

ほむら「いえ、やっぱり悪いのは私で……」

さやか「もういい加減にしないとひっぱたくよあんたら」

269: 2012/08/03(金) 20:14:51.68 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「と、とにかく、私の話は以上よ」

マミ「本来ならもっと驚く内容のはずなんだけど……」

杏子「あぁ、その後の展開で驚きがどっか行っちまった」

さやか「それじゃ話も終わったし、ワルプルギス対策の話をしたいんだけど……」

マミ「……先に夕飯にしたほうがよさそうね。お腹空いてると集中できないわよ」

ほむら「あらそう、なら夕飯にしましょう」ゴソゴソ

さやか「だからご飯としてカロ○ーメイトを出さないでください」

まどか「……ほむらちゃん、まさか夕飯もコレ食べてるなんてこと、ないよね?」

ほむら「手軽に食べられて栄養バランスも最適…何がいけないってのよ……」ブツブツ

杏子「それはわかってるがそれを主食とするってのはどうなんだよ……」

マミ「案の定ね…何か簡単なもの作るわね。鹿目さん、手伝ってくれる?」

まどか「あ、はい!」

270: 2012/08/03(金) 20:15:24.46 ID:bNQ0h0eOo
――――――

ほむら「……それじゃ、そろそろ本題に入りましょうか」

マミ「えぇ…と言っても、ワルプルギスの行動がわかってるのは暁美さんだけだから、暁美さんが指示をお願い」

ほむら「わかったわ、それじゃまず……」

まどか「……」

まどか(ほむらちゃんたち、すごく真剣に話し合ってる…邪魔しちゃ悪いよね……?)

まどか(魔法少女でないわたしが話に入ってもしょうがないし…わたしにできること…できること……)

まどか(……そうだ!)

271: 2012/08/03(金) 20:16:03.33 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「……ちょっと喉渇いてきたわね」

杏子「そう言われると…ずっと喋りっぱなしだしな」

ほむら「そうね…それじゃ、今何か……」

まどか「みんな、コーヒー淹れて来たよ!」

ほむら「え?えぇ、ありがとうまどか……」

さやか「まどか、あんた何してんの……?」

まどか「わたし、魔法少女じゃないから話に入ってもしょうがないけど」

まどか「このくらいのことならわたしに任せてよ!」

272: 2012/08/03(金) 20:16:46.45 ID:bNQ0h0eOo
マミ「鹿目さん……」

まどか「あ、もうちょっとしたらお風呂も沸くと思うよ」

ほむら「何だか雑用みたいで悪いわね……」

まどか「ううん、そんなことないよ。それにほむらちゃん言ってくれたでしょ」

まどか「わたしにできることをしてくれてる、って。だからだよ」

ほむら「そう…ありがとう、まどか」

マミ「それじゃ、この辺りで休憩にしましょうか」

273: 2012/08/03(金) 20:17:36.36 ID:bNQ0h0eOo
――――――

さやか「……それじゃ、そろそろ再開としますか」

ほむら「えぇ、それじゃ細かい所の詰めを……」

杏子「……そこはさやかを壁にするってのは」

さやか「あんたあたしを何だと……」

マミ「それじゃ使い魔はそっちに任せても……」

まどか(わたしは…お布団でも準備してこようかな)

まどか(ほむらちゃんは確かこっちだって……)

『まどか、ちょっと来てくれないかな?話があるんだ』

まどか「え、この声…キュゥべえ?」

274: 2012/08/03(金) 20:18:23.33 ID:bNQ0h0eOo
ガチャ

まどか「ここ…かな……?」

QB「よかった、来てくれてありがとう、まどか」

まどか「それで、わたしに話って…やっぱり魔法少女のこと?」

QB「それもあるけど…もうひとつ。暁美ほむらのことさ」

まどか「ほむらちゃんの……?」

QB「話を聞かせてもらったけど、彼女は未来から来たらしいね。これで僕が契約した覚えがないのに魔法少女になっていることに説明がつくよ」

QB「それと、ほむらの変貌…最初は魔力を蓄えて、危機に陥ったときそれを開放して強化しているのかと思ったけど」

QB「彼女はそんなタイプの魔法じゃないし、蓄えるほどの魔力を彼女は持っていない。何より」

QB「2回目の変貌のとき、彼女の魔力量は1回目のときと比べて圧倒的に違いすぎる」

QB「この間はその魔力の一部を自分の物にしたみたいだね。それが理由で普段の魔力も増えたんだろうね」

275: 2012/08/03(金) 20:19:33.32 ID:bNQ0h0eOo
QB「そして色々と推測を立てて考えてみた結果、あるひとつの推測に辿り着いた」

QB「最後に残ったのがこんな推測じゃきっとはずれだと思ったけど…ほむらが時間移動をしていると聞いて、信憑性は増したよ」

まどか「そ、それでキュゥべえ…ほむらちゃんは、どうして……?」

QB「ほむらは、ほかの誰かから『ほむらに力を与えて』みたいな魔力の譲渡の願いを受けた」

QB「それも何故か無条件に全てを与えるのではなく、何かの条件をつけてね」

まどか「何かの…条件?」

QB「1回目より2回目の方が魔力が増えていたのは、その条件を満たしつつあるからだろう」

QB「あの変貌自体も願いに含まれていたのかまではわからないけどね」

まどか「でも、一体誰がそんな願いを……?」

QB「それは…まどか、君だよ」

276: 2012/08/03(金) 20:20:39.79 ID:bNQ0h0eOo
まどか「え…わ、わたし?」

QB「ほむらは何らかの理由で、この街に固執している。そして、この街とその近辺で魔法少女の素質があるのは君たちだけ」

QB「その中であれだけの魔力を生み出せるのは…まどか、君だけだよ」

QB「君はまだ魔法少女にはなっていない。でも、ほむらが未来から来たということなら……」

QB「きっと君は、過去の時間でほむらへ力を譲渡する願いで契約したんだろうね」

まどか「そんな…過去のわたしは、契約…しちゃったの……?」

QB「一応言っておくけど、これはあくまで僕の推測だ。もしかしたらはずれかもしれない」

まどか「ほむらちゃん、わたし……」

277: 2012/08/03(金) 20:21:20.81 ID:bNQ0h0eOo
QB「……やれやれ、それじゃ僕はもう行くけど、その前に……」

QB「まどか、僕と契約して、魔法少女になってよ」

まどか「……わたしは…魔法少女にはならない。ほむらちゃんと約束したもん」

まどか「ねぇキュゥべえ…どうしてみんなにあんなひどいことするの……?あんまりだよ……」

QB「魔法少女の姿については訊かれなかったからだよ。それに、魔女になることにもちゃんと意味があるんだ」

QB「せっかくだから、君にその理由…見てもらおうかな」

278: 2012/08/03(金) 20:22:29.05 ID:bNQ0h0eOo
――――――

QB「……それじゃ、宇宙のために氏ぬ覚悟ができたら、いつでも呼んでね」スゥ

まどか「あ…あぁ……」

まどか「こんな…こんなのってないよ…ひどすぎるよ……」ポロポロ

ガチャ

ほむら「まどか?もう話終わったけど…こんな部屋で何を……?」

まどか「ほむら…ちゃん…ほむらちゃん!!」ギュウ

ほむら「え、ちょっと、まどか?一体どうしたの……?」

まどか「キュゥべえ…キュゥべえが……」

ほむら「あいつ、またまどかに何か…まどか、もう大丈夫だから。泣かないで」

まどか「ほむらちゃん……」

279: 2012/08/03(金) 20:23:16.73 ID:bNQ0h0eOo
ガチャ

さやか「おーいほむらー、布団、敷き終わった……」

ほむら「……」

まどか「……」

さやか「えーっと、あれだ、うん、どうもお邪魔しました。どうぞごゆっくり……」ソソクサ

ほむら「待ちなさいさやか」ガッ

さやか「あああすいませんごめんなさい!邪魔して申し訳ございません!」

ほむら「まどかがキュゥべえに何か言われたせいで泣いてたから、慰めてただけよ」

さやか「……そうなの?」

まどか「う、うん……」

さやか「そ、そうだったの…あたしてっきり……」

ほむら「それで、どうしたの?」

さやか「あぁ、布団敷き終わったって。話も纏まったし、後は明日に備えて寝たほうがいいよね」

ほむら「そうね、早めに寝ておきましょう。……ほら、まどかも行きましょう」

まどか「う、うん」

280: 2012/08/03(金) 20:24:01.00 ID:bNQ0h0eOo
――――――

まどか「ほむらちゃん…もうひとつ、頼んでもいいかな……」

まどか「わたし、魔女になんかなりたくない…だから、わたしのソウルジェム…砕いてほしいんだ」

まどか「うん…ありがとう、ほむらちゃん……」

281: 2012/08/03(金) 20:24:38.51 ID:bNQ0h0eOo
――――――

まどか「ほむらちゃ……!」

まどか「……夢…か」

まどか(またあの夢…ほむらちゃんが出てくるけど、見たくない夢)

まどか(魔法少女のわたしが、ほむらちゃんにソウルジェムを撃たせる夢)

まどか(どうしてあんな夢見るんだろう…わけわかんないよ……)

まどか「はぁ…ちょっとお水もらってこよう……」

282: 2012/08/03(金) 20:25:18.81 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「……」

話し合いの上ではワルプルギス対策は万全だ。後は全力で戦うだけ

それに今回はひとりじゃない。マミ、さやか、杏子…一緒に戦ってくれる仲間がいる。絶対に勝てるはずだ

それでも、ワルプルギスの前の夜はいつもこうだ。不安と恐怖で眠れなくなる

口で何度ワルプルギスを倒すと言っただろうか。その結末は、いつも敗北

今回もまた、負けてしまうんじゃないだろうか……

ほむら(……駄目ね、そんな風に考えていては。勝てるものも勝てなくなる)

ほむら「……いい加減、布団に戻りましょう…少しでも体を休めておかないと」

ガチャ

まどか「あれ、ほむらちゃん」

283: 2012/08/03(金) 20:25:56.06 ID:bNQ0h0eOo
まどか「どうしたの、ほむらちゃん。眠れないの?」

ほむら「えぇ、少し…まどかは?」

まどか「何だか変な夢見ちゃって…それでお水もらいに……」

ほむら「そうだったの…それじゃ、私は行くわね」

まどか「あ、ちょ、ちょっと待ってほむらちゃん!」

まどか「あの、わたしの話…聞いてくれないかな…ちょっと変な話だけど……」

ほむら「……わかったわ。コーヒーでも淹れてくるわね」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

284: 2012/08/03(金) 20:26:47.87 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「それで、話って何かしら?」

まどか「……わたしね、ほむらちゃんが転校してくるちょっと前から、夢を見るようになったの」

まどか「……ほむらちゃんが出てくる夢を」

ほむら「私が……?」

まどか「うん。最初は誰だかわからない女の子が出てくる夢だな程度に思ってたの。でも」

まどか「ほむらちゃんが転校してきた日の夢で、ほむらちゃんがしてくれた忠告…あれと同じことを言われたの」

ほむら「……それで、あんなにすんなりと返答が出来たのね」

まどか「どうしてもあの話の答えをだしておかないと、って気がしてね」

まどか「それで、ほむらちゃんが転校してきてからは、色んな夢を見たの」

まどか「ほむらちゃんとお出かけする夢。ほむらちゃんとお話してる夢。ほむらちゃんが出てくる夢を見るのが、楽しみになってたの」

285: 2012/08/03(金) 20:28:30.55 ID:bNQ0h0eOo
まどか「でも……ひとつ。ひとつだけ、絶対に見たくない夢があるの」

ほむら「絶対に見たくない夢……?」

まどか「うん…わたしが魔法少女になってて、眼鏡をかけて三つ編みのほむらちゃんに、ソウルジェムを砕いて、って頼んでる夢」

ほむら「……!」

まどか「あの夢だけは、絶対…絶対に見たくない。でも、頭から離れてくれないの」

まどか「真っ黒になったわたしのソウルジェム、ほむらちゃんの顔、構えた拳銃……」

まどか「さっきもこの夢見ちゃって、それで……」

ほむら「まどか」

まどか「え、何?」

ほむら「あなたが見たって言う拳銃……」パァァ

ほむら「もしかして、これじゃないかしら?」カチャ

まどか「あ、これ……!」

286: 2012/08/03(金) 20:29:20.98 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「……やっぱり、そうなのね」

まどか「……うん。間違いないよ。……でも、何で?」

ほむら「私は未来から来たって言ったわよね?」

まどか「うん、それで何回もやり直してるって」

ほむら「私があなたを撃つっていうその夢…夢じゃないの。以前に、実際にあったことなの」

ほむら「……私がこの拳銃で、あなたのソウルジェムを撃った」

まどか「え……」

287: 2012/08/03(金) 20:30:13.09 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「私は、あなたを頃したの。……頃して…しまったの……!」

ほむら「ごめんなさい…ごめんなさい、まどか……」ポロポロ

まどか「ほむらちゃん……」ギュウ

ほむら「あ…まどか……?」

まどか「謝らなくていいの。きっと…そのわたしも、そうしてもらえることを、望んでいたと思うから……」

ほむら「まどか…まどか……!」ポロポロ

まどか「ごめんね、ほむらちゃん…辛いこと、させちゃったよね……」ポロポロ

288: 2012/08/03(金) 20:30:55.17 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「ねぇ、まどか……」

まどか「何……?」

ほむら「以前、聞いてきたことがあったわよね。私の契約について……」

まどか「うん…でも、さっき話したことじゃないの?」

ほむら「あれはぼかして伝えただけ。……私が契約した内容はね……」

ほむら「まどかとの出会いをやり直したい。まどかに守られる私じゃなく、まどかを守る私になりたい」

ほむら「……これが、私の契約した理由」

289: 2012/08/03(金) 20:31:57.43 ID:bNQ0h0eOo
まどか「え……?そ、それじゃ話に出てきた同級生って……」

ほむら「えぇ。まどか、あなたのことよ」

まどか「わたし、魔法少女になって…ワルプルギスの夜に殺されちゃったの……?」

ほむら「……えぇ」

まどか「じゃあほむらちゃんは…わたしのために、何度もやり直してるってことなの?」

ほむら「その通りよ。私は、あなたが氏んでしまう未来なんて認めない。あなたを助けるためなら、何度でもやり直すわ」

まどか「わたしなんかのために…この1ヶ月間にほむらちゃんを閉じこめちゃったのは、わたしだったんだね……」

ほむら「わたしなんか、なんて言わないで。そんなあなただから、何がなんでも助け出そうと思ったのよ?」

まどか「ほむらちゃん……」

290: 2012/08/03(金) 20:36:10.90 ID:bNQ0h0eOo
まどか「ねぇ、ほむらちゃん……」

ほむら「何かしら……?」

まどか「この夜が明けたら…ワルプルギスの夜が現れるんだよね……?」

ほむら「えぇ、そうよ。夜が明けたと思っても、その先も夜。……私はいつになったら、朝に辿り着けるのかしらね……」

まどか「大丈夫だよ、明けない夜なんてないんだから」

ほむら「まどか…えぇ、そうね。その通りね。明けない夜なんて、あるわけない」

まどか「うん…でも……」

まどか「今はこの夜が長く続いてほしいな」

まどか「ほむらちゃんと少しでも長く、一緒にいたいから……」ギュウ

ほむら「まどか……」

291: 2012/08/03(金) 20:37:56.44 ID:bNQ0h0eOo
まどか「ねぇほむらちゃん、もうひとつ…聞いてくれないかな」

ほむら「えぇ、何?」

まどか「ほむらちゃん、今日までわたしのこと、守ってくれてありがとう。でもね……」

まどか「わたし、思ったの。わたしを守って、傷ついて、倒れちゃって…何でほむらちゃんばかりこんな目に遭うの、って」

まどか「ほむらちゃん、きっとわたしを守るためなら、どんなに危険だってわかってても、立ち向かって行くだろうから……」

まどか「これじゃほむらちゃんが…幸せになれないって」

ほむら「私はまどかが幸せならそれで……」

まどか「ううん、このままじゃわたしも幸せになれない。ほむらちゃんが幸せじゃなければ、わたしも幸せじゃない」

まどか「だから決めたの。……わたしが、ほむらちゃんのこと、幸せにしてみせるって」

ほむら「まどか、あなた何が言いたい……」

まどか「ほむらちゃん」

まどか「わたしは、ほむらちゃんのことが……」

292: 2012/08/03(金) 20:38:43.09 ID:bNQ0h0eOo





まどか「大好きだよ」





293: 2012/08/03(金) 20:39:54.01 ID:bNQ0h0eOo
ほむら「……え、まどか……?」

ほむら「大好きって…私が?」

まどか「うん…友達としてじゃなく、1人の女の子としてほむらちゃんが、大好き。愛してるの」

まどか「ごめんね、ワルプルギスと戦う前なのに、こんなこと伝えちゃって。でも……」

まどか「今伝えないともう…伝えられない気がして……」

ほむら「まどか、私……」

まどか「ううん、返事は今しないで。……ワルプルギスを倒して帰ってきたら、返事…聞かせてほしいな」

まどか「だから…絶対、絶対にワルプルギスを倒して、帰ってきてね。わたし、待ってるから……」

まどか「それじゃ…おやすみ、ほむらちゃん」

バタン

ほむら「……私は……」

302: 2012/08/04(土) 18:44:20.17 ID:iUqrxKp3o
――――――

ビュオオオオオ

さやか「いよいよか……」

マミ「大丈夫、あれだけ打ち合わせしたんだもの。勝てるわ」

杏子「まどかだって、アタシたちを信じて待ってるんだ。負けられないね、こりゃ」

ほむら「……」

杏子「ほむら?どうしたよ、ボーっとして」

ほむら「……ごめんなさい。なんでもないわ」

さやか「もうすぐ現れるんでしょ?しっかりしなさいって」

ほむら「えぇ……」

さやか「ほむらが素直だと……?何か調子狂うなぁ……」

303: 2012/08/04(土) 18:45:20.03 ID:iUqrxKp3o
突然のまどかからの告白。あの後、結局眠ることができず朝を迎えた

私だって、まどかが嫌いなわけじゃない。むしろ告白されて嬉しいと感じた

きっと私も、まどかのことがそういう意味で好きなのだろう

だけど、あの場で答えを出すことは出来なかった。全ては、コイツのせい

今まで幾度となく挑んで、その全てで敗れてきたワルプルギスの夜

今回は仲間…マミが、さやかが、杏子が、いてくれる。そして、理由はわからないが私の魔力も増えている

今回こそ、奴を倒してみせる



ほむら「……!来るわよ!」



さやか「それじゃ、打ち合わせ通りに!」



マミ「えぇ、わかってるわ!」



杏子「よっしゃ、行くぜ!」

304: 2012/08/04(土) 18:46:12.51 ID:iUqrxKp3o
ゴゴゴ…

ワルプルギス「アハハハハハ」

ほむら「来たわね…相変わらずの笑い声ね」

ほむら「まずは私から……」スッ

ほむら「いくわよ……!」ズラァ

ほむら「時間停止……!」カシャッ

ワルプルギス「」

ほむら「時間が止まってる間に……!」ズドンズドン

ほむら「爆発物は…最初に全部くれてやるわ!」ズドンズドン

ほむら「解除!」カシャッ

ズガガガガガァン

ワルプルギス「アハハ!」

305: 2012/08/04(土) 18:46:54.04 ID:iUqrxKp3o
ほむら「次はこいつを食らいなさい!」ブロロロ

ほむら「ロードロー…タンクローリーよッ!」ブロロロ

ほむら「ここね…脱出!」ヒュー

ボガァァァァァン

ほむら「うまく当たってくれたわね。次、行くわよ!」ザブン

ほむら「発射!」ボシュウ

ドゴォォォォォン

ほむら「止めよ…発破!」

ズドォォォォォン

306: 2012/08/04(土) 18:47:48.15 ID:iUqrxKp3o
さやか「」

マミ「」

杏子「」

ほむら「戻ったわ。これで少しは削れたと思うわ」

さやか「ほむら、やっぱあんた魔法少女より爆発少女のほうがいいよ」

マミ「ロケット砲打ち込んでタンクローリーで突っ込んで……」

杏子「どっから持ってきたのか知らんがミサイルまで打ち込んで、最後に大爆発…アタシ、あんたがこええよ」

ほむら「とにかく、二手に分かれるわよ。私とさやかは使い魔を、マミと杏子はワルプルギス本体をお願い」

マミ「えぇ!行くわよ、佐倉さん!」ダッ

杏子「おう!お前ら、氏ぬんじゃねぇぞ!」ダッ

さやか「それじゃ使い魔の相手、してあげようじゃん!」チャキ

ほむら「さやか、行くわよ」ジャキ

さやか「おうよ!」

307: 2012/08/04(土) 18:48:42.52 ID:iUqrxKp3o
――――――

ワルプルギス「アハハハハ」

マミ「あれだけ打ち込んでもほとんどダメージがないなんて…ふざけてるわね」

マミ「でもこれなら…どうかしら!?」

ワルプルギス「アハ?」

ジャラジャラジャラ

杏子「まぁまぁ、動くんじゃねぇって。せっかく実弾食らったんだ。オマケに魔法の大砲も食らっていきな」

ワルプルギス「アハ?アハハ!」ギリギリ

マミ「佐倉さん、槍を巨大化させて拘束するなんて…やるわね」

マミ「私も負けてられないわね…行くわよ!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

308: 2012/08/04(土) 18:49:45.12 ID:iUqrxKp3o
ズドォォォォォン

ワルプルギス「ア…ハハ」

マミ「実弾より魔法攻撃の方が効いてるみたいね…いけるわ!」

杏子「マミ!お前はそこから砲撃を頼む!アタシは…あいつをかく乱する!」

杏子(親父、お袋、モモ…アタシに力を貸してくれ!)

杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」

ズララララ

マミ「佐倉さん、その技……!」

杏子「行くぜ、おらああ!!」

309: 2012/08/04(土) 18:50:36.03 ID:iUqrxKp3o
――――――

さやか「な、何あれ!?杏子がいっぱい……」ズバン

ほむら「あれが杏子の本来の魔法…幻覚の魔法よ」ズドドド

さやか「杏子の奴…さやかちゃんも負けてられませんな!!」ズバン

ほむら「とにかく本体は魔法攻撃が通用している。マミと杏子に任せましょう」ズドドド

ほむら(魔力が上がったことで、肉体強化も攻撃強化も以前より強くなった。これなら……!)

ワルプルギス「アハハハ!」ズアア

さやか「ほむら!ワルプルギスの攻撃が来るよ!!」

310: 2012/08/04(土) 18:51:17.11 ID:iUqrxKp3o
ほむら「な……!くっ……!」バチィ

さやか「ほむら!大丈夫!?」

ほむら「えぇ、かすっただけよ」

さやか「こっちにまで攻撃してくるなんて…やりにくいなぁ」

さやか「しかし、キリがないね…どんどん増えてくよ、こいつら」

使い魔「……」ワラワラ

ほむら「泣き言言ってる暇ないわよ!」ズドドド

さやか「わかってる!」ズバン

311: 2012/08/04(土) 18:52:10.78 ID:iUqrxKp3o
――避難所――

まどか(すごい風…みんな、ワルプルギスと戦ってるんだよね……)

まどか(わたしは一緒には戦えないけど…無事に帰ってくるのを、信じてるよ)

『まどか、まどか』

まどか(え……?キュゥべえ?)

『まどか、話があるんだ。ちょっと来てくれないかな』

まどか「パパ、ちょっとお手洗い行ってくるね……」

知久「わかったよ。気をつけてね」

まどか「うん……」

312: 2012/08/04(土) 18:53:09.18 ID:iUqrxKp3o
まどか「それでキュゥべえ、話って……」

QB「率直に言うよ。ほむらたちではワルプルギスには勝てない」

まどか「え……」

QB「ワルプルギスの夜は舞台装置の魔女とも言われている。彼女は魔法少女との戦いを舞台に見立てて話を作るんだ」

QB「その結末は、魔法少女の敗北ということで幕を閉じる」

QB「だけど、まどか。君ならその舞台装置を壊すことができる。みんなを助けることができるんだ」

QB「だからまどか、僕と契約して魔法少女に……」

まどか「……わたしは、魔法少女にはならないよ」

313: 2012/08/04(土) 18:53:58.19 ID:iUqrxKp3o
QB「どうしてだい?みんなを助けたくないのかい?」

まどか「……わたしが契約して、ワルプルギスを倒しても…それはきっと、ほむらちゃんを傷つけることになっちゃうから」

まどか(もう2度と、ほむらちゃんにあんなことさせない……!)

まどか「それに…わたし、信じてるから。みんなを…ほむらちゃんを」

QB「信じる?それで何かが変わるっていうのかい?」

まどか「うん。わたしが信じていれば大丈夫だよ。絶対に」

QB「やれやれ、わけがわからないよ」

まどか(ほむらちゃん…わたし、信じてるから……!)

314: 2012/08/04(土) 18:54:35.11 ID:iUqrxKp3o
――――――

ワルプルギス「アハハ、アハハハ!」

杏子「チッ、あの野郎、いつまで笑ってやがるんだ!?」

マミ「ティロ・フィナーレをこれだけ打ち込んでもまだピンピンしてるなんて…さすがというべきね」

杏子「そろそろフィナーレにしてやれ!グリーフシードも残りがやべぇぞ!」

マミ「えぇ、わかってるわ!ティロ・フィナーレ!!」

ズドォォォォォン

杏子「命中確認!次はアタシの番だ!」ダッ

ワルプルギス「アハハ……!」キィィン

杏子「……何だ?あいつ、攻撃が止んだぞ?」

マミ「……!ダメ、佐倉さん!!離れて!!」

杏子「あ?急に何を……」

315: 2012/08/04(土) 18:55:38.53 ID:iUqrxKp3o
――――――

さやか「……!ほむら!グリーフシード、使うよ!」

ほむら「わかった、その間は私に任せて」ズドドド

さやか「ふぅ…マミさんたちが攻め立ててくれてるからか、さっきよりは数が減ったかな……?」

さやか「それにしても…一体何発ティロ・フィナーレ叩き込めば倒せるのよ、あいつ」

ほむら「杏子がかく乱してマミが砲撃。ひとりで戦うより安全な戦い方ね。グリーフシードもまだあるでしょうし、大丈夫よ」

さやか「うん…あれ?ほむら、ワルプルギスの攻撃が止んだみたいだけど、あれ倒したの!?」

ほむら「……そんなまさか、使い魔はまだ出ている……!」

ほむら「さやか!危険よ、下がって!!」

さやか「え、ほむら?一体何……」

316: 2012/08/04(土) 18:56:32.48 ID:iUqrxKp3o
ワルプルギス「アハハハハハハハ!!」

ズァァァァァ

杏子「ぐあぁぁぁぁぁ!」

マミ「きゃあぁぁぁぁぁ!」

さやか「うわぁぁぁぁぁ!」

ズガァァァァァン

ほむら「マミ!!さやか!!杏子!!」

ほむら「そんな…今まであんな攻撃は…いえ、それより……!」

ほむら(マミ!さやか!杏子!大丈夫!?)

マミ(……う……)

杏子(……ゲホッ、クソ…すま…ね……)

ほむら(ちょっと…しっかりして!マミ!!杏子!!)

マミ(……)

杏子(……)

317: 2012/08/04(土) 18:58:31.39 ID:iUqrxKp3o
ほむら「……そんな、ここまで…ここまで来て、また駄目だったというの……?」

ほむら「まどか…まどか、ごめんなさい…私、約束守れそうもないわ……」ポロポロ

ほむら「今回もまた、あいつに負けてしまった…でも……」

ほむら「いつか必ず、あなたを…みんなを、救ってみせるわ…だから……」

ほむら「次の時間に…行かせてもらうわね……」

ワルプルギスの見たこともない衝撃波のような攻撃を受けたマミと杏子がやられた

さやかに至っては最初の呼びかけにすら応答がなかった。意識を失っているのか、それとも……

どの道、私ひとりではあいつには勝てない。既に奴に通用しそうな爆発物は全て使い切ってしまった

残る武器は、拳銃やら機関銃なんかの銃火器。ただこれも、奴の装甲の前にはとても効果があるとは思えない

こうなってしまった以上、時間を巻き戻すしかない。盾の砂時計も、いつの間にか全てが落ち切っていた

まどかにもう悲しい思いはさせない。そう決めたはずなのに、私はまた、まどかを悲しませようとしている

暁美ほむら、私はどこまで愚かなのかしら

ほむら「……さようなら、まどか……」

318: 2012/08/04(土) 18:59:27.73 ID:iUqrxKp3o
――――――

まどか「……ほむらちゃん……?」

まどか(何だろう…今行かないと……)

まどか(もう2度とほむらちゃんに会えなくなっちゃうような気がする……)

まどか(ほむらちゃん、約束したよね。絶対に帰ってきてくれるって……)

まどか(ほむらちゃん…ほむらちゃん……!)

まどか(……)

まどか「……行かなきゃ。ほむらちゃんのところへ」

319: 2012/08/04(土) 19:00:12.81 ID:iUqrxKp3o
まどか(待ってて、ほむらちゃん……!)

まどか「あ……」

詢子「……」

まどか「ママ……」

詢子「まどか、こんな時にどこに行こうってんだ?」

まどか「……」

詢子「言えない、ってか。何をする気か知らないけど、警察消防に任せとけって」

まどか「……ほむらちゃんを、助けに行くの」

詢子「ほむらちゃんって…あのよく話してくれる転校生の子か?」

詢子「その子もこの嵐の中外にいて、それをあんたが助けに行くって…一体どういうことなんだ?」

まどか「……ごめんなさい。それは、言えない。でも……」

まどか「今行かないと、全て終わっちゃうような気がして……」

320: 2012/08/04(土) 19:01:12.44 ID:iUqrxKp3o
詢子「こんな嵐なんだ。不安になるのもわかるけどさ…大人を信じて待ってなって……」

まどか「それじゃ、ダメなの……」

詢子「まどか……?」

まどか「それじゃダメなの。手遅れになっちゃう。もう2度と、会えなくなっちゃう……!」

まどか「もうほむらちゃんに、会えなくなっちゃう…わたし、そんなの嫌」

まどか「だから、わたしが行かないと。わたしが、ほむらちゃんを助けないと」

まどか「だって…だってわたし、ほむらちゃんが……」

まどか「……大好きだから。愛してるから」

321: 2012/08/04(土) 19:02:16.36 ID:iUqrxKp3o
詢子「な……!」

まどか「だからお願い、ママ。行かせてほしいの」

詢子(まどかの奴、ほむらちゃんを愛してる、か。ほむらちゃんのことが好きなんだろうなとは思ってたけど、まさかそこまで想ってるなんてね……)

詢子(女の子同士の恋愛なんだ。それをアタシに言うってことは…もう、覚悟を決めたってことか……)

詢子「……ひとつだけ、約束してくれ。絶対、ほむらちゃんと一緒に帰って来いよ」

まどか「ママ……!」

詢子「ほら、早く行ってこい。……手遅れになる前にな」

まどか「……うん。ありがとう、ママ!」ダッ

詢子「……行ったか。絶対、助けてやれよ……」

322: 2012/08/04(土) 19:03:50.15 ID:iUqrxKp3o
――――――

さやか「ほむら、待って……!」

ほむら「……!さやか、無事だったの!?」

さやか「いや、無事って言うほど無事じゃ…ちょっとあちこち魔法で治さないとヤバいね…それより」

さやか「あんた、今時間戻す気だったでしょ?」

ほむら「……えぇ、そうよ。マミと杏子は通信途絶。あなたは戦闘不能。私は武器がない。もう時間を戻すしか……」

さやか「あんた、そうやって失敗したから次、って簡単にやってくれるけど……」

さやか「ここに残されたあたしたちや…まどかはどうするのさ!?」

ほむら「だからって…ここからどうやって勝てと言うのよ!?」

ほむら「もう戦う手段…ないじゃない……!」

さやか「だけど、まだあんたもあたしも氏んでないでしょ!?マミさんや杏子だって、きっと生きてる!!」

さやか「あんた、まどかと約束したんでしょ!?ワルプルギスを倒して、ずっと一緒にいるって!!」

ほむら「……!そ、それは……」

323: 2012/08/04(土) 19:04:22.69 ID:iUqrxKp3o
さやか「……もういい。あんたなんかもう、次の時間にでもどこにでも行きなさいよ」チャキ

ほむら「さやか?あなた、何を……」

さやか「……飛んでけ!」バシュウ

ワルプルギス「アハハ!」ガィン

さやか「……くそっ、くそっ!!」バシュウ

ワルプルギス「アハハ!」ガィン

ほむら「やめなさい、さやか!あなたの攻撃では……」

さやか「それでも…それでも、あたしは諦めるもんか!!」バシュウ

ワルプルギス「アハハ!」ズッ

さやか「うああああっ!!」ズガッ

ほむら「さやか!!」

324: 2012/08/04(土) 19:05:41.55 ID:iUqrxKp3o
さやか「ほむら…あんたはどう思ってるか知らないけどさ……」

さやか「まどかは、あんたのことが大好きなんだよ……!」

さやか「それでも…それでも、あんたはまどかを捨てて、次の時間に行こうっての……?」

ほむら「……えぇ。知ってるわ。昨日の夜に、まどかから…告白されたわ」

ほむら「返事はワルプルギスを倒して、帰ってきてからしてほしい、って」

さやか「……何よそれ…あんた、その返事もせずに行くつもりなの!?」

ほむら「……」

さやか「……ほむら…逃げるんじゃないわよ!!あんただって、決めたんじゃなかったの!?」

さやか「まどかを愛するって!!」

325: 2012/08/04(土) 19:06:51.89 ID:iUqrxKp3o
ほむら「私は……」

私はどうしたいんだろうか。この時間を諦めるべきなのか。まどかは生きているのに?

この先何度か繰り返して、増幅した魔力の原因を調べて魔力をさらに増やせば、私ひとりでもワルプルギスに勝てるかもしれない

今回のように協力する必要がなくなれば、さやかやマミを無理に助ける必要もなくなる

でも、それはきっと違う。例えワルプルギスを倒したとしても、さやかたちを失えばまどかは深く悲しむだろう

私はそんなまどかは見たくない。まどかにはいつも笑顔でいてほしい

なら、この時間で戦うべきなのか。ワルプルギスに勝てる見込みはないのに?

まどか、私は一体どうしたらいいのかしら……

326: 2012/08/04(土) 19:07:35.90 ID:iUqrxKp3o
――――――

まどか『あ…あの、暁美さんはなんでわたしが保健係だって……?』

まどか『……うん、大切、だよ。家族も、友達のみんなも。もちろん、ほむらちゃんもだよ』

まどか『そのソウルジェムが本体だったとしても、わたしにとってのほむらちゃんは人間だよ!』

まどか『わたし、ほむらちゃんが氏んじゃうんじゃないかって…よかった…よかったよぅ……』

まどか『や、ほ、ほむらちゃん、守るべき人だなんて、そんな……』

まどか『わたしたち、ずっと、ずーっと一緒にいようね。ワルプルギスを倒して、その先もずっと、ね』

――――――

327: 2012/08/04(土) 19:08:11.32 ID:iUqrxKp3o
この時間のまどかとの思い出が、走馬灯のように頭に浮かんでくる

最初は友達のつもりだったのだろう。だがいつからか、恋愛感情が生まれていたようだ

ほむら(まどか…まどか、私は……)

――――――

まどか『ほむらちゃん、きっとわたしを守るためなら、どんなに危険だってわかってても、立ち向かって行くだろうから……』

まどか『これじゃほむらちゃんが…幸せになれないって』

まどか『だから決めたの。……わたしが、ほむらちゃんのこと、幸せにしてみせるって』

まどか『ほむらちゃん、わたしは、ほむらちゃんのことが……』

まどか『大好きだよ』

――――――

328: 2012/08/04(土) 19:09:04.16 ID:iUqrxKp3o
さやか「ほむら!何とか言いなさいよ!!」

ほむら「……ふふ、ふふふふふ」

さやか「な、何笑ってんのさ!?」

ほむら「……いえ、ごめんなさい。あまりにも愚かだったものだから、つい」

ほむら「ほんと、救いようがないほどの愚かさね、暁美ほむら」

さやか「誰が愚かなのよ!?ちょっとはまどかのことも考え…え?」

ほむら「まどかが私を愛してくれてるのなら、答えなんてひとつしかないじゃない。どうしてわからなかったのかしら」

さやか「ほむら……?」

ほむら「さやか、あなた言ったわよね。逃げるな、まどかを愛するんじゃなかったのか、って」

さやか「え?う、うん」

ほむら「最初は不安だったの。私なんかがまどかを幸せにできるのかって。でも」

ほむら「今なら胸を張って言えるわ。私は、まどかのことが……」

329: 2012/08/04(土) 19:09:42.64 ID:iUqrxKp3o





ほむら「大好き。愛してるわ。心の底から」




330: 2012/08/04(土) 19:11:09.90 ID:iUqrxKp3o
まどかは私を大好きだと言ってくれた。とても嬉しかった

でも、いくらまどかが人間だと言ってくれたって、私は魔法少女。いつかは魔女になってしまう存在

私なんかが、まどかを幸せにできるはずない。そう考えていた

だけど、さやかに言われて気がついた。声に出す勇気が湧いた

まどかの告白が頭に浮かんだときに思った。私は、まどかと離れたくない。ずっと、ずっとまどかと一緒にいたい

もう2度と、まどかを離さない。離すものか

さやか「ほむら、あんた……」

ほむら「……もう、次の時間なんてない。ここで全て…終わりにするわ!」

ほむら「あいつを倒して…私の想い、まどかに伝える!」

ならば、私のやることはひとつ。今もなお笑い続けているあの魔女を、倒す

武器がなかろうが関係ない。今までの私ならとうに諦めている状況なのに、今は違う

本当に奴を倒せるという自信に溢れていた

331: 2012/08/04(土) 19:11:45.48 ID:iUqrxKp3o
ほむら「さやか、魔力が少ないところ悪いのだけれど、剣を1本お願いできるかしら」

さやか「え?うん、いいけど……」チャキ

ほむら「ありがとう、さやか。あなたは自分の怪我を治した後、マミと杏子をお願いするわ」

さやか「そんな、ほむら!あたしも一緒に……!」

ほむら「私は大丈夫。まどかへの想いと……」

ほむら「まどかからの想いがある限り、私は負けない」スッ

さやか「あ…そのソウルジェム……」

332: 2012/08/04(土) 19:12:21.81 ID:iUqrxKp3o
ほむら「あなた、言ってたでしょ。このピンクはまどかの想いだって」

ほむら「それなら私は戦ってるときだって、まどかと一緒にいられる。なら、何も恐れるものはないわ」

さやか「ほむら……」

ほむら「それじゃ、私は行くわ。……まどかと、一緒に」

ほむら「まどか、私と一緒に…ワルプルギスと戦って……!」

パァァァァァ

さやか「ほ、ほむら!?」

以前さやかが言ってくれた。ソウルジェムのピンクはまどかの想いだと

まどかが一緒にいてくれる。まどかが一緒に戦ってくれる。そんなことを考えていたとき、私のソウルジェムが光り輝いた

ソウルジェムから発せられた光は私を包み込み、やがて意識も光の中に飲まれて行った

341: 2012/08/05(日) 20:00:50.34 ID:oaJ1r4HQo
――――――

ほむら「……ここは?私は確か、ワルプルギスと戦おうとして……」

『ほむらちゃん』

ほむら「この声…まさか……」

まどか「うん。わたしだよ、ほむらちゃん」

まどか「久しぶりだね、ほむらちゃん。……って、ほむらちゃんは毎日わたしと会ってたっけ」

ほむら「まどか…あなたは、この時間のあなたではないのね……?」

まどか「……うん。正確には、元のわたしが魔法を使ってほむらちゃんの中に遺したわたしの意識」

まどか「わたしがいた時間からどれだけ経ったかわからないけど…わたしは、ほむらちゃんに願いを託したわたし」

ほむら「……そう。あなたは、ひとつ前の時間のまどかなのね……」

まどか「色々話したいこともあるけど…その前に……」ギュウ

ほむら「まどか?」

まどか「会いたかった…会いたかったよ、ほむらちゃん……!」ポロポロ

ほむら「まどか…ごめんなさい、あなたを救えなくて……」

342: 2012/08/05(日) 20:01:56.58 ID:oaJ1r4HQo
まどか「それでほむらちゃん、わたしがこうして出てこれたってことは」

まどか「きっとわたしとほむらちゃんの気持ちが、一緒になれたんだと思う」

ほむら「……やっぱり、今までの私に起こったことは、あなたの願いによるものだったのね」

ほむら「私の突然の変貌、ソウルジェムの変化、魔力の増加……」

まどか「……うん。」

ほむら「まどか、教えて。あなたは一体、何を願ったの?」

まどか「わたしの願いは……」

まどか「わたし…鹿目まどかと、ほむらちゃんの想いがひとつになったとき、ほむらちゃんにわたしの全ての力を与えて」

まどか「これが、わたしの願い」

ほむら「まどか、あなた……」

343: 2012/08/05(日) 20:02:57.91 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「じゃあ、私のソウルジェムの変化は……」

まどか「ほむらちゃんの中で、わたしへの想いが生まれたから…かな」

まどか「ほむらちゃんの魔力が増えたのも、同じ理由。ほむらちゃんの中にわたしの魔力が入ったから、ソウルジェムが変化したんだと思う」

ほむら「じゃあ、私のあの変貌は何だったの?」

まどか「あれは…ほむらちゃんがわたしを助けたい、って強い想いが」

まどか「ほむらちゃんの中に封じ込めたわたしの魔力を、無理やり引き出したから……」

まどか「無理やりだったから、ほむらちゃんにも制御できなかったんだと思う。だから、わたしに危害を与えようとしたものは全部倒そうとしたんじゃないかな」

ほむら「それであの2人に発砲したのね。元に戻れたのはきっと、あなたの魔力だったからこそ、まどかが呼びかけてくれたからかしら……」

まどか「うん。……それで、ほむらちゃん」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん。わたしを、好きになってくれて」

344: 2012/08/05(日) 20:04:07.66 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「え、まどか?」

まどか「さっきも言ったけど、この力はわたしとほむらちゃんの想いがひとつになったとき、ほむらちゃんのものになるの」

まどか「願いの対象者が『鹿目まどか』だから、どこかの時間の鹿目まどかとほむらちゃんが両想いになってくれたら、この仕掛けは発動するの」

まどか「だからほむらちゃんは、わたしのことを好きになってくれたんだと…思うんだけど……?」

ほむら「……えぇ、そうよ。私は、まどかが好き。大好きよ」

まどか「……ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「でもどうしてこんな条件を……?」

まどか「わたしはね…ほむらちゃんのことが…好き、だったんだ」

まどか「でもわたしには、それを伝える勇気がなかった」

まどか「さやかちゃんやマミさんに、ほむらちゃんと仲良くしてほしいって、言えなかった」

まどか「もっと早くほむらちゃんと仲良くなれたら、きっとさやかちゃんやマミさんとも仲良くなれたと思うと、すごく悔しいの……」

345: 2012/08/05(日) 20:05:04.89 ID:oaJ1r4HQo
まどか「ほむらちゃんがこの1ヶ月を何度もやり直してるって聞いて…わたし、別のわたしに賭けたの」

まどか「このわたしみたいに、ほむらちゃんのことを好きになってくれるわたしがいるって……」

まどか「ほむらちゃんを好きになったわたしが、きっとほむらちゃんのことを、支えてくれると思って」

まどか「ほむらちゃんがわたしを守ってくれたみたいに…今度はわたしが、ほむらちゃんを護る番」

まどか「ほむらちゃんがわたしを護って、わたしがほむらちゃんを護れば絶対、2人で幸せを掴み取れると思ったから……」

まどか「もしかしたらわたしの願いは無意味になるかもしれない。ほむらちゃんの足を引っ張っちゃうかもしれない」

まどか「でもわたしには、他にほむらちゃんを助ける方法が思いつかなくて…でも……」

まどか「わたしの願い…叶ってよかった…ほむらちゃんと両想いになれて、よかった……!」ポロポロ

ほむら「まどか…私も、まどかと両想いになれて…嬉しいわ、すごく……」

346: 2012/08/05(日) 20:05:37.77 ID:oaJ1r4HQo
まどか「あとは最初から力を全てほむらちゃんに渡しちゃったら、きっとほむらちゃん、混乱すると思って……」

ほむら「そうだったの。……あれ、でも待って。あなたの力をもらってしまったら、あなたは……」

まどか「わたしは…きっと、ワルプルギスにやられちゃったと思うから……」

ほむら「そんな…あなたはワルプルギスにやられるはずは……」

まどか「ほむらちゃんへの力の譲渡だったから、あの時点でもう、わたしの魔力は……」

ほむら「ならどうして、私に行け、なんて……」

347: 2012/08/05(日) 20:06:39.08 ID:oaJ1r4HQo
まどか「そんなの決まってるよ。……好きな人の前で、かっこ悪いところなんて…見せたくないから」

ほむら「まどか……」

まどか「でもね、わたしにとってのほむらちゃんは、いつでもかっこいいほむらちゃんでいてほしいの」

まどか「だからほむらちゃんが諦めるとか、わたしを泣かせちゃうとか、そんなかっこ悪いことはさせたくない」

まどか「そしてこの時間はすごくうまく行ってる。あとは、ワルプルギスを倒すだけだよ」

ほむら「でも、私に戦う力は……」

まどか「もう、だから言ってるでしょ。今のほむらちゃんには、わたしの力が宿ってるって」

まどか「大丈夫。わたしも一緒に…戦うから」

ほむら「そうだったわね…ありがとう、まどか。……それじゃ行きましょう」

まどか「うん!行こう、ほむらちゃん!」

ほむら「未来を掴むために」

348: 2012/08/05(日) 20:07:53.34 ID:oaJ1r4HQo
――――――

シュゥゥゥゥゥ

さやか「ほむら!?一体何が……!」

さやか「ほむら、あんた…その姿……」

ほむら「……大丈夫。あの子が…まどかが、力を分けてくれた。私とまどかの想いと力があれば……」

ほむら「私たちに倒せない敵なんて、いるわけない」

私を包んでいた光は消え、現実に戻ってきた。さやかは私の変化に驚いていた

まどかの力をもらった影響か、私の魔法少女の姿は、以前と少し変わっていた

頭には赤いリボン。盾には紫とピンクの紋様と、尽きることなく流れる砂時計。そして

左手のソウルジェム。私の魂の宝石は、大きく様変わりしていた

形はひし形から、ハートマークに。そして左右に色が2色に分かれていた。私の紫と、まどかのピンク

これが、私とまどかの想いがひとつになった結果なのだろう

349: 2012/08/05(日) 20:09:21.89 ID:oaJ1r4HQo
さやか「……うん。あたし、うまく言えないけど……」

さやか「今のほむらを見てると…まどかも一緒にいるんだなって、そう思うよ」

ほむら「それじゃさやか、マミと杏子のこと…お願いね」

ほむら「そしてその後は…マミたちと待っていて。私が帰って来るのを」

さやか「……うん、わかった。マミさんと杏子のことはあたしに任せといて!」ダッ

ほむら「それじゃまどか…行きましょう」

まどか『うん。頑張ろう、ほむらちゃん』

そう言って、私はワルプルギスへ走り出す

あの忌まわしい魔女を、倒すために

350: 2012/08/05(日) 20:10:17.08 ID:oaJ1r4HQo
――――――

マミ「……う…ここは……?」

杏子「……あ、アタシ…生きて……?」

さやか「マミさん!杏子!……よかった、気がついて……」

杏子「さやか?アタシたちを助けてくれたのか?」

マミ「ありがとう、美樹さん。……それで、今は何がどうなって……?」

さやか「ワルプルギスの夜は…まだ生きてます」

杏子「お、おい!それを早く言えってんだ!!すぐ戻るぞ、マミ!!」

マミ「グリーフシードはもう残ってないけど…やるしかないわね!」

さやか「待ってください!ワルプルギスは今、ほむらが…ほむらとまどかが…戦ってます」

さやか「あたしがほむらに頼まれたのは、2人を治療した後、2人と一緒に待っていてくれ、ってことです」

マミ「暁美さんと鹿目さんが……?どういうことなの?」

さやか「あたしも詳しくはわかりません。でも、まどかが契約したってことじゃないです」

杏子「……んん?余計に意味がわかんねぇな」

351: 2012/08/05(日) 20:11:13.94 ID:oaJ1r4HQo
ガァァァァァン

杏子「うおっ、何だ!?」

マミ「……!見て、あそこ!暁美さん……?」

マミ「暁美さんって、あんな格好だったかしら……?」

さやか「ほむらは、まどかが力を分けてくれた、って言ってました。きっとそれが理由だと思います」

マミ「あの格好…何だか、暁美さんと鹿目さんが一緒にいる、って気になるわね」

杏子「あぁ…何と言うか、あの2人が一緒なら、何が来ても大丈夫なんだろうな……」

さやか「あたしもそう思うよ。……だから、信じて待ってようよ。ほむらと、まどかを」

杏子「……あぁ、わかったよ。アタシも信じてみるよ、あの2人を」

マミ「……えぇ、信じましょうか。あの2人が、帰って来るのを」

さやか「ほむら…まどか…絶対、勝ってよ…あたし、信じてるから!」

352: 2012/08/05(日) 20:12:25.32 ID:oaJ1r4HQo
――――――

ワルプルギス「アハハハ!」ズズッ

まどか『ほむらちゃん、来るよ!』

ほむら「えぇ、わかってる!」ヒュッ

まどかの魔力…すさまじいものだとは思っていたが、これほどとは思わなかった

肉体強化も私のものとはレベルが違う。武器に魔力を纏わせて撃てば、拳銃でさえも装甲を軋ませ、ワルプルギスを後退させる威力

これだけの力があれば、私は負けない。そして私には、まどかとひとつになった想いもある

ほむら「これで…どう!?」バァン

ワルプルギス「アハッ!?」バキィン

ほむら「装甲を砕いた……!これで……」

ゴゴゴゴゴ…

ほむら「な、何……?」

ワルプルギス「アハ、アハハ、アハハハハ!!」グルン

ほむら「なっ…ワルプルギスの夜が…反転した……?」

353: 2012/08/05(日) 20:13:32.59 ID:oaJ1r4HQo
まどか『きっとワルプルギスも、本気を出して来たんだと思うよ』

ほむら「まどか……?」

まどか『ワルプルギスの夜は舞台装置の魔女。だから、主演でもないほむらちゃんがでしゃばったから、怒ったんじゃないかな』

ほむら「魔女でも怒るものなのね…それに、私が脇役だなんてね。でも……」

ほむら「この最悪な舞台…私が幕を下ろしてあげるわ!」

ワルプルギス「アハハハハ!」ズズズ

使い魔「……」ワラワラ

まどか『ほむらちゃん、使い魔を出して来たよ!』

ほむら「なら、纏めてなぎ払うだけよ!」ジャキ

ほむら「食らいなさい!!」ズドドドド

使い魔「!!」バチュン

ワルプルギス「アハハ!?」ガガガガ

354: 2012/08/05(日) 20:14:58.80 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「まどか!一気に近づくわよ!」ダッ

まどか『わかったよ、ほむらちゃん!』

ほむら「今の機関銃で連射の利く武器は弾切れ。後は拳銃とかショットガンだけになるわ」

まどか『大丈夫なの、ほむらちゃん?』

ほむら「私を誰だと思ってるの?ありとあらゆる銃器と爆発物を使いこなす魔法少女、暁美ほむらよ?」

まどか『ほむらちゃん、かっこいいのか危ない人なのかわかんないよ……』

ワルプルギス「アハハハ!!」ズズ

ほむら「防御魔法展開!」パァァ

ワルプルギス「アハハハハハ!!」グアア

ほむら「く…この……!」ガィンガィン

ほむら「私は…私は、まどかとずっと一緒にいるって決めたの……!」

ほむら「だから…お前なんかに負けてられないのよ!!」

355: 2012/08/05(日) 20:15:51.17 ID:oaJ1r4HQo
まどか『ほむらちゃん!射程内だよ!』

ほむら「わかったわ、時間を止めるわよ!」

まどか『わかった!』

ほむら「時間停止!」カシャッ

ワルプルギス「」

ほむら「残ってる武器…全弾くれてやるわ!!」バァンバァンバァン

ワルプルギス「」

ほむら「まだよ!まだまだ!!」ズドン

ワルプルギス「」

ほむら「これで、最後よ!」ズガンズガン

356: 2012/08/05(日) 20:16:40.35 ID:oaJ1r4HQo
ワルプルギス「」

ほむら「……時間停止解除」カシャッ

ズガガガガガガガガガ

ワルプルギス「ア?アハ?アハハッ!?」

まどか『やったの!?』

ほむら「……いえ、まだよ。もう少し」

ワルプルギス「ア…アハハ、アハ……」

ほむら「とはいえ今ので…何か、何か武器は……」ゴソゴソ

ほむら「あ…これは……」

まどか『ほむらちゃん?』

ほむら「……大丈夫、なんでもないわ。この1発が、最後の武器」

ほむら「これで、終わりにするわ」

357: 2012/08/05(日) 20:17:51.07 ID:oaJ1r4HQo
盾の中に残っていた最後の拳銃

それはまどかに見せた、私がまどかを撃った銃

1発だけ残しておいたのは、まどかを救い全てが終わったとき、これで自分を撃つために

まどかを撃ったこの銃で、私も氏ぬつもりだった

だが、私は決めたんだ。まどかとずっと一緒にいると。だからもう、この銃は私には必要ない

思えば、あの日から私の長い、長い1ヶ月が始まったんだ。まどかを救う約束をして、まどかを撃ったあの日から

この銃口が狙うのはまどかじゃない。全ての元凶、ワルプルギスの夜…お前だ

お前がいたせいで、まどかが氏に、まどかが泣き、まどかが苦しんだ。絶対、許せない

358: 2012/08/05(日) 20:18:42.26 ID:oaJ1r4HQo
ワルプルギス「ア、アハ……」

ほむら「逃がさない。これで、止めよ……」

まどか『ほむらちゃん』スゥ

ほむら「まどか…あなた、姿が……!」

まどか『うん。言ったでしょ、一緒に戦う、って』

ほむら「まどか…えぇ、そうね。それじゃ、この銃に私の想いと……」

まどか『わたしの想い、ひとつに合わせて……』

ほむら・まどか「ワルプルギスの夜を、倒す!」ジャキ

359: 2012/08/05(日) 20:20:34.42 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「まどかの恋路を邪魔した挙句に…今度は私の恋路まで邪魔するつもりかしら?」

まどか『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて…なんて言うけれど』

ほむら「お前はそれじゃ生ぬるい」

ほむら「だからお前は……」

まどか『人の恋路を邪魔する魔女は!!』

ほむら「銃に撃たれて氏んじまえ!!」

ズドォォォォォ

ワルプルギス「ア…アア……」

360: 2012/08/05(日) 20:21:33.86 ID:oaJ1r4HQo
私とまどかが放った弾丸は、まっすぐワルプルギスへ向かって行く。そして……

ズガァァァァァン

ワルプルギス「ア…アアア…アアアアアアア!!」

ワルプルギスの夜を、貫いた

ワルプルギス「アアアアアアアアア!!」ガラガラ

ほむら「ワルプルギスが崩壊していく…って、ことは……」

ほむら「私…ワルプルギスを…倒したの……?」

まどか『うん、そうだよ!ほむらちゃん!!』

ほむら「私…私、やっと…やっとまどかを……!」ポロポロ

まどか『……うん。今まで頑張ったね、ほむらちゃん……』ギュウ

361: 2012/08/05(日) 20:22:27.60 ID:oaJ1r4HQo
――――――

さやか「……!見て、ワルプルギスが!!」

マミ「崩れていくわ……」

杏子「ってことは…ほむらの奴、ワルプルギスに…勝ったんだな!!」

マミ「えぇ、そうよ!……でも、あの最後の攻撃のとき、隣に……」

さやか「……うん、魔法少女のまどかが…いたような気がする……」

杏子「じゃああいつら2人で倒した、ってわけか。まさに最後に愛と勇気が勝つストーリーじゃねぇか」

さやか「ほむら、まどか…よかった…よかったよ……」ポロポロ

マミ「もう、美樹さんったら、何も…泣かなくたって……」ポロポロ

杏子「おいおい、マミ、お前だって…泣いてるじゃ、ねぇか……」ポロポロ

362: 2012/08/05(日) 20:23:15.57 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「まどか…ありがとう。私に力を分けてくれて。そして……」

ほむら「私と一緒に戦ってくれて」

まどか『ううん、いいの。これでもうわたしには、心残りはないから……』

ほむら「まどか?あなた、何を言って……?」

まどか『このわたしは、元のわたしが魔力で作ったもの。だから、魔力がほむらちゃんのものになった時点で、わたしは消える運命なの』

ほむら「そんな…そんな、まどか……!」

まどか『大丈夫だよ。わたしが消えたって、わたしの魔力としてずっとほむらちゃんの中にいるから。それに……』

まどか『ほむらちゃんには、わたし以上にほむらちゃんを想ってくれる子がいるでしょ?』

『ほむらちゃん!ほむらちゃん!!』

まどか『ほら、呼んでるよ、ほむらちゃん』

ほむら「……えぇ。行かないと、ね」

363: 2012/08/05(日) 20:24:02.20 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「まどか……」ギュウ

まどか『ほむらちゃん……』

ほむら「ありがとう、まどか…それじゃ、また、ね……」

まどか『……うん。またね、ほむらちゃん……』スゥ

ほむら「……まどか、私は……」

『ほむらちゃん!!どこにいるの!?ほむらちゃん!!』

ほむら「まどか…私、私やっと……」ポロポロ

ほむら「まどか!!」

364: 2012/08/05(日) 20:24:44.24 ID:oaJ1r4HQo
――まどかが私を呼ぶ声がする

『ほむらちゃん!!ほむらちゃん!!』

どうやらまだ私に気づいていないようだ

涙でぼやける視界で見たものは

私が守った街と

私が護り抜いた彼女だった

365: 2012/08/05(日) 20:25:50.70 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「まどか!まどか!!」

まどか「ほむらちゃん!!」

まどかの下に走り出す。まどかもこちらに走ってくる

そして、お互いに抱きしめ合う。もう2度と、離ればなれにならないように

ほむら「まどか、私…私、やっとワルプルギスを……!」ギュウ

まどか「うん…うん……!」ギュウ

ほむら「私…もうまどかを離さない!!」

まどか「わたしも……!わたしも、ほむらちゃんを離さない!!」

366: 2012/08/05(日) 20:26:34.68 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「まどか…約束通り、返事をさせて頂戴」

まどか「うん……」

ほむら「私も、まどかが大好き。愛してるわ」ギュウ

まどか「ありがとう…ありがとう、ほむらちゃん」ポロポロ

まどか「わたし…ほむらちゃんに言いたいことがあるの」

ほむら「私も、まどかに伝えたいことがあるわ」

367: 2012/08/05(日) 20:27:15.20 ID:oaJ1r4HQo





まどか「ほむらちゃん」

まどか「ほむらちゃん、ありがとう。わたしを護ってくれて。わたしを救ってくれて」




368: 2012/08/05(日) 20:27:48.24 ID:oaJ1r4HQo





ほむら「まどか」

ほむら「まどか、ありがとう。私を好きになってくれて。私を愛してくれて」




369: 2012/08/05(日) 20:28:54.05 ID:oaJ1r4HQo
まどかは私に、私はまどかに、想いを伝える

まどかが、心の底から私を好きでいてくれる。愛してくれている。こんなに嬉しいことはない

私が魔法少女だとか、女の子同士だとか、そんなものどうだっていい。私には関係ない

私は、まどかと一緒に幸せになると決めたんだ

それを邪魔する奴は、銃で撃たれて氏んでしまえばいい

ほむら(まどか)

ほむら(まどか、ありがとう。私に力を分けてくれて。私と一緒に戦ってくれて)

ほむら(あなたのおかげで、私はまどかと未来へ歩き出せる)

ほむら(ありがとう、まどか……)

370: 2012/08/05(日) 20:29:33.22 ID:oaJ1r4HQo
遠くからさやかたちの声が聞こえる。こちらに向かってきているようだ

ほむら「まどか」

まどか「ん?何、ほむらちゃ――」

ほむら「ん……」

こんなところ、さやかたちには見られたくない。また何を言われるかわかったものじゃないから

だから、まどかを呼んで、まどかが振り返ったところを狙って

まどかに、唇を重ねた

371: 2012/08/05(日) 20:30:32.00 ID:oaJ1r4HQo
ほむら「……ぷはっ」

まどか「も、もう、ほむらちゃん!ずるいよ!いきなりだなんて……」カァ

ほむら「あら、ごめんなさい。さやかたちには見られたくなかったから」

まどか「そ、それにしたって、もうちょっとやり方が……」カァ

ほむら「嫌だったかしら?」

まどか「……嫌なわけ、ないよ。嬉しいよ、すごく……」

まどか「わたし、ほむらちゃんのこと…幸せにするよ」

ほむら「私も…まどかを、幸せにしてみせるわ」

372: 2012/08/05(日) 20:32:08.40 ID:oaJ1r4HQo
まどか「……あ、さやかちゃん!マミさん!杏子ちゃん!」

ほむら「向こうもこちらに気づいたみたいね」

まどか「じゃあほむらちゃん、行こっか!」

ほむら「えぇ、そうね」

みんなのところへ、まどかと一緒に歩き出す。ワルプルギスの夜は倒された。もう、まどかを私の後ろに隠す必要はない

まどかの隣が、私のいるべき場所。私の隣には、いつもまどかがいてくれる。これから、ずっと

ふと、空を見上げる

晴れ渡った青空が、どこまでも続いていた

373: 2012/08/05(日) 20:34:11.23 ID:oaJ1r4HQo





Fin



375: 2012/08/05(日) 20:36:03.83 ID:oaJ1r4HQo
これにて完結です
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました

377: 2012/08/05(日) 21:30:29.63
圧倒的乙ッッッッッ

379: 2012/08/05(日) 21:47:15.08

乙!!

391: 2012/08/06(月) 22:12:14.41
乙乙

引用元: ほむら「人の恋路を邪魔する魔女は銃に撃たれて死んじまえ」