1: 2017/04/20(木) 21:08:56.764 ID:qHWXostz0
-図書館-
タプリス(はぁ……決まらない)
タプリス(天真先輩の誕生日まで、もう日にちがないのに……)
タプリス(先輩は、どんなプレゼントをあげたら、喜んでくれるんでしょうか)
タプリス(パソコンの何か? でも、先輩は先輩なりのこだわりがありそうですし)
タプリス(わたしが変な物をあげても、使ってもらえない可能性があります)
タプリス(それじゃあ食べ物? でも先輩、好き嫌い多そうですし)
タプリス(もしも、嫌いな食べ物をあげちゃったら、目も当てられません)
タプリス(あぁ……悩みますぅ……)
タプリス(先輩……他の方からもきっと、素敵なプレゼント貰うんだろうなぁ)
タプリス(……)
タプリス(あ、そうだ!)
タプリス(他の先輩たちが、天真先輩の誕生日に何をあげるか)
タプリス(聞いてまわって参考にしましょう!)
3: 2017/04/20(木) 21:12:49.625 ID:qHWXostz0
-ヴィーネの家-
ヴィーネ「ガヴの誕生日プレゼント? ええ、準備してるわよ」
タプリス「ほんとですか!? 是非教えていただきたいです!」
タプリス「わたしも考えているんですが、なかなか決まらなくて……」
ヴィーネ「別にそんなに深く考えなくても」
ヴィーネ「タプちゃんからのプレゼントだったら、何でも喜ぶと思うわよ」
タプリス「そ、そうでしょうか」
ヴィーネ「ええ。あ、ちょっと待っててね。作りかけだけど、持ってくるわ」
タプリス「は、はい!」
タプリス(作りかけ? ま、まさか手作りってやつですか、すごいなぁ……)
4: 2017/04/20(木) 21:16:05.520 ID:qHWXostz0
ヴィーネ「お待たせ、これよ」
タプリス「わぁ! 可愛いクマの人形! これ本当に手作りなんですか!?」
ヴィーネ「ありがとう、タプちゃん。裁縫は半分、趣味みたいなものだから」
タプリス「さすが月乃瀬先輩です! 少し触ってもいいですか?」
ヴィーネ「ええ、どうぞ」
タプリス「わぁ……」スッ
カチャ
タプリス「ん??」
ブンブンッ カチャカチャ
タプリス(中から金属音……?)
ヴィーネ「どうしたの、タプちゃん?」
タプリス「い、いえ、なんでもないです……」
タプリス(……聞かないでおきましょう)
5: 2017/04/20(木) 21:18:34.161 ID:qHWXostz0
-サターニャの家-
サターニャ「はぁ? なんで私がガヴリールなんかに……」
サターニャ「プレゼントをあげなきゃいけないのよ」
タプリス「あ、あれ? 誕生日って普通プレゼント渡しませんか?」
タプリス(悪魔の方にはそういう習慣はないのでしょうか)
タプリス(月乃瀬先輩が特別なだけ?)
サターニャ「いや、別にあげる人にはあげるけど……」
サターニャ「なんで私の最大の敵であるガヴリールに、ってことよ!」
タプリス「で、では、もしあげるとしたらっていう、仮定でいいですから!」
13: 2017/04/20(木) 21:20:14.166 ID:qHWXostz0
サターニャ「……そうねぇ、メロンパンでいいんじゃない?」
タプリス「それ、胡桃沢先輩が好きなだけじゃ……」
サターニャ「自分が好きなものあげて何が悪いのよ!」
タプリス(……でも、確かに自分の好きなものをプレゼントして)
タプリス(その良さをわかってもらえたり、共通の話題とかにできたら)
タプリス(嬉しいですよね)
タプリス「ありがとうございます、胡桃沢先輩! 参考になりました!」
サターニャ「そう。よくわからないけど、悪い気はしないわ」
サターニャ「確か……敵に塩を送るっていう言葉もあったわね」
サターニャ「癪だけど、誕生日にメロンパンの一つでもあげようかしら」
タプリス「あははは……」
15: 2017/04/20(木) 21:22:29.386 ID:qHWXostz0
-ラフィエルの家-
ラフィエル「ガヴちゃんへの誕生日プレゼントですか?」
タプリス「はい、白羽先輩のご意見をお聞きしたくて……」
ラフィエル「そうですかそうですかぁ」
タプリス「ずっと考えてはいるのですが、なかなか……」
ラフィエル「私は……最近、ガヴちゃん、目が疲れて辛いって言ってましたから」
ラフィエル「疲労回復効果のあるアロマアイマスクをあげようと思ってます」
タプリス「おぉ……天真先輩の最近の悩みからの、プレゼントですか」
タプリス「さすが白羽先輩です!」
ラフィエル「えぇ、これをつけると……とっても気持ちよくなれるんですよ」
タプリス「……気持ちよくなれる? 寝れる、ではなくてですか?」
ラフィエル「えぇ」
タプリス「……」
ラフィエル「……」
タプリス「それって、大丈夫なやつですよね?」
ラフィエル「うふふ、知りたいですか?」
タプリス「い、いえ、いいです……」
16: 2017/04/20(木) 21:25:09.255 ID:qHWXostz0
ラフィエル「あ、そうそう、タプちゃんに良い物を貸しましょう」
タプリス「えっ、なんでしょうか?」
ラフィエル「これです」
タプリス「これは……綺麗な石ですね」
ラフィエル「天使石といいまして、これで頭を叩くと」
ラフィエル「その人の性格が模範的な天使のようになるという、優れものです」
ラフィエル「そして、もう一度叩くと元に戻ります」
タプリス「そ、そんな道具があるんですね……って、まさか!?」
ラフィエル「うふふ、そのまさかです。困ったときに使用してみてください」
タプリス「あ、あまり頼りたくはないですけど……」
タプリス「最終手段として使わせていただきますね! ありがとうございます!」
ラフィエル「はい、がんばってくださいね、タプちゃん」
17: 2017/04/20(木) 21:28:15.880 ID:qHWXostz0
-商店街-
タプリス(皆さんの意見を聞くことができましたが)
タプリス(やっぱり、まだ迷っちゃいますね……)
タプリス(ここは甘いものでも食べて、頭を働かせましょうか)
タプリス「んーっ、シュークリームおいしいー!」
タプリス(このとっても甘めな生クリームが堪りません!)
タプリス「……そういえば、買った時に福引券をもらったような」
タプリス「どうせ、ポケットティッシュしか当たらないでしょうけど」
タプリス「貰っていきましょうか」
20: 2017/04/20(木) 21:30:57.414 ID:qHWXostz0
からんからんっ
店員「おめでとうございまーす!!」
店員「特賞、ペア温泉宿泊チケット、大当たりぃぃ!!」
タプリス「……」パクパク
店員「はい、可愛いお嬢さん。こちらの封筒をお受け取りくださいね」
タプリス「こ、こんなすごいもの、本当に貰ってしまっても良いのですか?」
店員「ははっ、当たったんだから勿論だよ」
タプリス「あ、ありがとうございます!」ペコペコ
店員「そこまで喜んでもらえると、こっちも嬉しいねぇ!」
店員「また商店街、利用してくれよな!」
タプリス「は、はい!」
タプリス(こ、こんなの初めてです、一生分の運を使い切った感じがします)
タプリス(はっ、まさか明日、わたしは氏ぬのでは!?)
タプリス(でも、ペアチケット……ですか)
タプリス(先輩たちを誘うには、枚数が足りませんね……)
タプリス(誰か一人を誘うとしたら……)
タプリス(……)
タプリス(そうだ! これです!)
23: 2017/04/20(木) 21:33:49.894 ID:qHWXostz0
-ガヴリールの家-
ガヴリール「めんどいからパス」
タプリス「即答!?」
タプリス(と、当日はきっと、皆さんで誕生日会とかを開くでしょうから)
タプリス(前日に温泉旅行に誘ってみたものの……まさかの玉砕、です)
ガヴリール「他のやつ、誘ってくれ。ほら、ヴィーネとか喜んで行きそうだろ」
タプリス「で、ですが……わたしは、天真先輩と行きたいなぁって」
ガヴリール「なんで?」
タプリス「それは、その……日頃お世話になっているお礼といいますか」
ガヴリール「別に私、お前の世話とかしてないでしょ」
ガヴリール「ヴィーネとかの方が、よっぽどお前を気遣ってるじゃん」
ガヴリール「お礼するなら、あいつの方が良いと思うぞ」
タプリス「それは……そうかもしれませんが」
ガヴリール「それに私は、その日ネトゲのイベントで忙しいんだ」
ガヴリール「たかが風呂のために、遠出とかできん」
タプリス「うぅぅ……」
ガヴリール「……まぁでも、一番に誘ってくれたのは嬉しかったよ」
ガヴリール「ありがとな」
25: 2017/04/20(木) 21:37:18.477 ID:qHWXostz0
タプリス(こ、これでは、せっかく考えた計画を実行できません……)
タプリス(かくなる上は……最終手段です!)
タプリス(白羽先輩からお借りした、この天使石で)
タプリス(天真先輩を……)
タプリス「あー! ゴミの中に千円札が!!」
ガヴリール「えっ、どこどこ」
タプリス(ごめんなさい、先輩っ!)
タプリス「せーのっ、そぉい!」
ゴツンッ
27: 2017/04/20(木) 21:40:23.353 ID:qHWXostz0
-誕生日前日 温泉旅館前-
タプリス「ここが、わたしたちが泊まる旅館みたいですね」
ガヴリール「素敵な建物ですね。今から楽しみです」
タプリス「えへへ、そうですね」
ガヴリール「本当にありがとうね、タプリス。今日は私を誘ってくれて」
タプリス「いえいえ、福引きで当たっちゃっただけですから」
タプリス「き、気にしないでください!」
タプリス(それにしても、天使石……効果抜群です!)
タプリス(性格や容姿さえも、これは完全に……)
タプリス(天使学校時代の天真先輩、そのものですよ!)
タプリス(本当にありがとうございます、白羽先輩!)
ガヴリール「タプリス? どうかしましたか?」ズイッ
タプリス(せ、先輩が近っ、近いです!)
タプリス「い、いえ! と、とりあえず、中に入りましょうか」
29: 2017/04/20(木) 21:42:52.041 ID:qHWXostz0
-旅館内 フロント-
ガヴリール「では、チェックインしてきますね」
タプリス「あ、はい。わたしも一緒に」
受付「こちらにサインをお願いします」
ガヴリール「はい」
受付「天真様、ですね。かしこまりました」
仲居「お部屋までお荷物お持ちします、天真様」
タプリス「あ、えっと……よ、よろしくお願いします」
仲居「はい」ニコッ
タプリス(今の人、わたしのこと、天真様って呼んでた)
タプリス(天真様、天真……かぁ)
タプリス(天真……タプリス・シュガーベル……)
タプリス(なんちゃって)
タプリス「……えへへ」
ガヴリール「ふふっ、タプリス嬉しそうですね。何かありましたか?」
タプリス「い、いえ! なんでもないです!」
32: 2017/04/20(木) 21:46:08.019 ID:qHWXostz0
ガヴリール「そう? そんなお顔には見えませんでしたけど」
タプリス「えっと……他の人たちから見て」
タプリス「わたしたち二人って、どう見えてるのかなぁって」
ガヴリール「そうですね……仲の良い姉妹、だったりして」
タプリス「あはは、やっぱりそうですよね」
ガヴリール「でもそれだと……私の方が妹にしか見えませんね」
タプリス「せ、先輩が妹ですか……」
ガヴリール「そうだ、良いこと思いつきました」
ガヴリール「今日一日、それで過ごしてみませんか?」
ガヴリール「私が妹で、タプリスがお姉ちゃん」
タプリス「わ、わたしが先輩のお姉ちゃんですか?」
ガヴリール「そうですよ、タプリスお姉ちゃんっ」
タプリス「かはっ!」
タプリス(うっ、破壊力抜群です……かわいすぎます)
ガヴリール「ほら、お姉ちゃんも私のこと呼んでみて」
タプリス「えっと、なんという風に……」
ガヴリール「それは、ガヴリールって」
タプリス「そ、そんな無理です、絶対無理です! 恐れ多いです!」
ガヴリール「いいじゃないですか。私たち二人しかいないんですし」
33: 2017/04/20(木) 21:49:49.530 ID:qHWXostz0
タプリス「それに先輩には、ゼルエルさんがいるじゃないですか」
ガヴリール「確かに、ゼルエル姉さんは天使としても素晴らしい方で」
ガヴリール「尊敬していますし、自慢の姉ですが……」
ガヴリール「実はあまり、甘えさせてもらったことがないんです」
タプリス「そ、そうだったんですか……」
ガヴリール「その点、タプリスがお姉ちゃんだったら、思いきり甘えることができます」
ガヴリール「ですから、私の長年の夢を叶えてくれませんか?」
タプリス(うぅ、覚悟を決めるしかありませんね……)
ガヴリール「ほら、早く早く」
タプリス「ガ、ガ、ガヴ……」
タプリス「……ガヴリール」カァァ
ガヴリール「はいっ、お姉ちゃんっ」
ぎゅぅぅ
タプリス(はぅっ、抱きつかれちゃってますぅぅ……)
タプリス(せ、先輩がまさか、こんなに積極的な方だったなんて……)
タプリス(いえ、嬉しいですが、氏ぬほど嬉しいですが!)
タプリス「で、でもここまでで勘弁してください、お願いします……」
ガヴリール「そうですか……残念です」
ガヴリール「では、また今度ですね」ニコッ
タプリス「あはは……」
34: 2017/04/20(木) 21:52:39.354 ID:qHWXostz0
-客室-
タプリス「わっ、すごい豪華な和室ですね……」
ガヴリール「本当ですね。あ、見てください、タプリス。窓からの景色が」
タプリス「わぁ……湖に太陽の光が反射して、きらきらしてます」
ガヴリール「ええ、すごく綺麗……」
タプリス(あ、先輩の瞳も光を反射してて、とても綺麗……)
ガヴリール「タプリス? 私の顔に何かついていますか?」
タプリス「あ、いえ、その……先輩の目もきらきらしてて、綺麗だなぁって」
ガヴリール「そうですか、では……」スッ
タプリス「えっ」
ガヴリール「ずっと……見ていてくれても、いいんですよ?」
タプリス「それは……その……は、恥ずかしいといいますか……」
ガヴリール「その間、私もタプリスのこと、見てますから」
タプリス「うぅぅ……」カァァ
ガヴリール「ふふっ、かわいい。あ、今、お茶いれますね」
タプリス「あ、わたしがやりますよ!」
ガヴリール「いいんですよ、タプリスは座っていてください」
タプリス「は、はい。えと、ありがとうございます……」
35: 2017/04/20(木) 21:56:09.116 ID:qHWXostz0
タプリス「はぁ……それにしても和室は落ち着きますね」ズズッ
ガヴリール「そうですね。のんびりするには、とても良い場所です」
タプリス「ずっとこうしていたいです……」
ガヴリール「ええ、わかります……」
タプリス「……あれ、わたしたち、何をしに来たんでしたっけ」
ガヴリール「それは……」
タプリス・ガヴリール「あ」
-大浴場-
タプリス「うわぁ、すごい大きなお風呂。しかも、ほとんど貸し切りですね」
タプリス(それにしても、先輩とお風呂だなんて、ちょっと恥ずかしい……です)
ガヴリール「……」ジトー
タプリス「え、どうしましたか先輩、そんなにわたしの方を見て……」
ガヴリール「知りませんっ」
タプリス「えっ、えっ?」
ガヴリール「ほら、それよりも。せっかくですから、洗ってあげますね」
タプリス「え、先輩!? そ、そんなに引っ張らないでくださいっ」
39: 2017/04/20(木) 21:58:58.299 ID:qHWXostz0
ガヴリール「お客様、おかゆいところはございませんか?」
タプリス「あ、はぁい、気持ちいいです……」
ガヴリール「よかった。こうやって一度、髪を洗ってみたかったの」
タプリス「あははっ、わかります。あ、終わったら、交代してくださいね」
タプリス「わたしも先輩の髪、洗ってみたいです」
ガヴリール「ふふっ、ありがとう、タプリス」
タプリス「はぁ……露天風呂、最高ですねぇ……」
ガヴリール「なんといいますか、顔だけが外気に触れる感覚って」
ガヴリール「とても新鮮ですよね」
タプリス「あ、わかります、それ……露天風呂ならでは、ですよね」
ガヴリール「うーん、それにしても……」ズイッ
タプリス「せ、先輩?」
ガヴリール「ふふっ、タプリスの肌、もちもちしてますね」プニプニ
タプリス「ひゃぅ! も、もう先輩ったら……二の腕、突っつかないでくださいぃ」
タプリス「少し気にしてるんですから……」
ガヴリール「そんな、気にすることないと思いますよ」
タプリス「では、わたしも……反撃ですっ」プニプニ
ガヴリール「あははっ、タプリス。くすぐったいったら」プニプニ
タプリス「先輩だって……あははっ、くすぐったいですぅ……」
42: 2017/04/20(木) 22:01:46.763 ID:qHWXostz0
-脱衣所-
タプリス「はぁはぁ……ちょっとのぼせちゃいましたね」
ガヴリール「……タプリスがあんなに、はしゃいじゃうから」
タプリス「えぇー、先輩が最初に突っついてきたんですよっ」
ガヴリール「でも、その後はタプリスの方が多かったですっ」
タプリス「……ぷふっ」
ガヴリール「あはははっ」
ガヴリール「あぁ、笑ったらまた、体が熱くなってきましたね」
ガヴリール「少しだけ涼みに、外に出ませんか?」
タプリス「あ、いいですね、行きたいです!」
-湖畔-
タプリス「風がほんのり吹いていて、涼しくて気持ちいいです……」
ガヴリール「ほんとですね、体を冷ますにはちょうどいいかな」
タプリス「逆に寒くないですか? 大丈夫です?」
ガヴリール「ええ、大丈夫。ありがとうね」
タプリス「あ、向こうに手すりがありますね。湖の近くまで行けるみたいです」
ガヴリール「では、行ってみましょうか」
43: 2017/04/20(木) 22:04:11.189 ID:qHWXostz0
タプリス「ちょうど夕焼け時ですね、綺麗……」
ガヴリール「本当ね……夕日が湖面に沈んでいく……」
タプリス「ずっと見ていたく、なっちゃいます」
ガヴリール「ええ……でも、もし夕日をずっと見ることができたとしたら」
ガヴリール「こんな感動は生まれないと思わない?」
タプリス「えっ」
ガヴリール「夕日は沈んで、やがて見えなくなってしまうからこそ」
ガヴリール「こんなにも貴重で、綺麗だと、感じるのだと思うの」
タプリス「そうですね……こんなに楽しい時間も終わりがくるからこそ」
タプリス「本当に素敵な思い出になるんですね」
ガヴリール「うん……」
ぎゅっ
タプリス「あっ……」
ガヴリール「……私もそう思う」
タプリス「……」
ガヴリール「タプリス」
タプリス「なんですか?」
ガヴリール「私をここに連れてきてくれて、ありがとうね」
タプリス「……わたしの方こそ、一緒にここまで来ていただいて」
タプリス「ありがとうございます、先輩」
45: 2017/04/20(木) 22:07:37.439 ID:qHWXostz0
-客室-
タプリス「夜ごはん、ほんとにおいしかったですね」
ガヴリール「ええ、あそこまで手が込んでるとは思いませんでした」
タプリス「あ、部屋にお布団が敷かれてるみたい……ですけど」
ガヴリール「あら?」
タプリス「一組、しかありませんね。仲居さん間違えたのでしょうか」
ガヴリール「でも枕は二つありますよ」
タプリス「わ、わたし、聞いてきます」
ガヴリール「あ、待ってください」
タプリス「どうしました?」
ガヴリール「仲居さんもお忙しいでしょうし、私はこのままでも構いませんよ」
47: 2017/04/20(木) 22:13:04.776 ID:qHWXostz0
タプリス「え、えっと……それってつまり……」
タプリス「わたしと先輩が、一緒のお布団で寝るってことです……よね?」
タプリス「わ、わたし……そんなに寝相に自信はありませんし、その……」
タプリス「先輩にご迷惑をかけちゃうかもしれません」
ガヴリール「タプリスが嫌でしたら、とめませんが……」
タプリス「あぅぅ……」カァァ
ガヴリール「どうします?」
タプリス「で、でしたら……、一緒で、よ、よろしくお願いします……」
ガヴリール「ふふっ、わかりました」
ガヴリール「でも、さすがにまだ寝ないですよね?」
タプリス「えっ、あ、はい」
ガヴリール「タプリスとお話したいことが山ほどあるんですから」
タプリス「えへへ、わたしもですっ」
48: 2017/04/20(木) 22:16:45.138 ID:qHWXostz0
-深夜 客室-
タプリス(そろそろ、かな……)
タプリス「せ、先輩。実はですね……」
ガヴリール「どうしました?」
タプリス「この辺りって、街の明かりが少ないので、星がよく見えるんです」
タプリス「もし良かったら、屋上へ行って見てみませんか?」
ガヴリール「それは良いですね、行きましょうか」
-屋上-
ガヴリール「すごい! タプリス、見てっ! 満天の星空!」
タプリス「せ、先輩。足元は暗いですから、気をつけてくださいね」
ガヴリール「ふふっ、はーい。でも、本当に綺麗ね……」
ガヴリール「タプリスが提案してくれて、本当によかった」
ガヴリール「こんなにも素敵な眺めを、見ることができたんだもの」
タプリス「気に入ってもらえて、よかったです、先輩」
ガヴリール「えっ……タプリス?」
タプリス「今、0時になりました」
タプリス「天真先輩、誕生日おめでとうございます」
53: 2017/04/20(木) 22:54:34.165 ID:SSsKJ0E00
ガヴリール「誕生日って……あっ……」
タプリス「ごめんなさい、先輩。誕生日に何をあげたら喜んでもらえるか」
タプリス「これでもずっとずっと考えてたんですけど」
タプリス「全然思いつかなくて……」
タプリス「だからこれが……この星空が、わたしからのプレゼントです」
タプリス「受け取って、もらえませんか?」
ガヴリール「タプリス……」
タプリス「せ、先輩? ど、どうして泣いて……」
ガヴリール「……嬉しい」
タプリス「えっ」
ぎゅぅ
ガヴリール「嬉しい、本当に嬉しい……こんなに……」
ガヴリール「こんなに、素敵なプレゼントは生まれて初めて」
タプリス「……そんな、大げさですよ」
ガヴリール「だって、タプリスが私のために、ここまで考えてくれたんだもの」
ガヴリール「嬉しくないはずが、ないじゃない……」
タプリス「先輩……」
ガヴリール「ねぇ、タプリス。何かしてほしいことはある?」
タプリス「えっ」
ガヴリール「タプリスに何か、してあげたいの」
タプリス「そうですね、でしたら……」
タプリス「ベンチに座って、二人でゆっくり星を眺めませんか?」
55: 2017/04/20(木) 22:57:38.256 ID:SSsKJ0E00
ガヴリール「なんだか、こんなにも沢山の星に囲まれていると」
ガヴリール「私たちの方が、星々に見つめられているみたい」
タプリス「そ、それは……ちょっと恥ずかしいです」
ガヴリール「大丈夫、私がついているから」
タプリス「えへへ……はい」
タプリス「誰よりも早く……おめでとうって言えてよかった」
タプリス「先輩が生まれてきてくれて……」
タプリス「わたしと出会ってくれて、本当によかった」
ガヴリール「……」
ぎゅぅ
タプリス「先輩?」
ガヴリール「……私も、あなたと出会えて、本当に良かった」
ガヴリール「ねぇ、タプリス」
タプリス「なんですか?」
ガヴリール「今夜は月は出ていないけれど」
ガヴリール「星がとても……綺麗ですね」
タプリス「えっ……あ、はい、そうですね」
ガヴリール「……ふふっ」
タプリス「どうしました?」
ガヴリール「……なんでもありませんよ」
ガヴリール「ありがとうね、タプリス。また二人で一緒に、来ましょうね」
タプリス「……はい、先輩」
56: 2017/04/20(木) 23:00:34.220 ID:SSsKJ0E00
-帰りの電車の中-
ガヴリール「すぅ……すぅ……」
タプリス(先輩、寝ちゃってます……かわいいです)
タプリス(いろいろドタバタしましたが、成功、でいいですよね)
タプリス(ああでも、先輩を元に戻す必要は、本当にあるのでしょうか)
タプリス(このままの先輩の方が、良いのではないでしょうか)
タプリス(……)
タプリス(……いえ、やっぱりダメですね)
タプリス(帰ったらみなさんが……待っているんですから)
タプリス(いつもの天真先輩を、待っているんですから)
タプリス(先輩、最高の思い出をありがとうございました)
タプリス(またいつか……お会いしましょう)
ゴツンッ
おしまい
57: 2017/04/20(木) 23:00:58.755
乙
63: 2017/04/20(木) 23:10:45.554
綺麗な話だなー
64: 2017/04/20(木) 23:11:14.111
乙乙
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります