11: 2012/10/21(日) 01:44:02.45 ID:T0xmv88v0
ゴロピシャーン!! プッン

?「きゃあ!? な、なんですか~?」

?「ん、停電か。今ブレーカー見に行くから動き回るなよ、転ぶと危ないからな」

?「あ、僕が見に行ってきます! 最近変えた携帯に懐中電灯機能が付いてるんで」

?「そうか、じゃあ頼むよ」

ジジジ……パチ、パチン

真「お、点いた? ははは、真に頼むまでもなかったな。一時的な停電だったみたいだ」

P「雷、結構近くに落ちたんでしょうか……?」

雪歩「え、ちょっと待って。なんで僕が目の前に」

P「え? ……あれ?」

真「あ」

12: 2012/10/21(日) 01:47:20.29 ID:T0xmv88v0
真「確認するぞ。真の体に俺ことPが入ってる。同じように、雪歩の体に真が。そして俺の体に……雪歩が」

P「きゅぅ」

雪歩「雪歩、目覚めてまたすぐ気絶しそうだなぁ……」

真「いっそ気絶してた方が幸せかもな、ははは」

雪歩「笑いごとじゃないですよ、プロデューサー……」

16: 2012/10/21(日) 01:52:17.25 ID:T0xmv88v0
真「しかし、どうしようか」

雪歩「僕らにはどうしようもない気がします、こんな訳の分からない状況」

真「だよなぁ」

雪歩「こんな漫画みたいな入れ替わりなんて、どうにか出来るはずがないんです」

真「……ん?」

雪歩「はぁ、こんなダメダメな僕って」

真「ちょっと待った雪歩! いや真!?」

雪歩「え、どうしたんですかプロデューサー? 僕は真ですけど」

真「あ、ああそう、だな。いや、真って、そんなネガティブしこうだったっけ?」

雪歩「え? なにかおかしかったですか?」

19: 2012/10/21(日) 01:57:47.91 ID:T0xmv88v0
真「おかしかったっていうか、雪歩とダブって見えたというか」

雪歩「本当になにを言っているんですか? 見た目が雪歩なんだからダブるも何も」

真「いや、そういうことじゃ……あれ、でも、うん。そうか、も?」

雪歩「変なの」

P「う、うぅ~ん……私、何が」

真「目が覚めたか雪歩? じゃなくて真? あれ、どっちだっけ?」

雪歩「あれは雪歩ですぅ、見た目で間違え過ぎですよ?」

真「え? 真、今お前」

P「ひ、きゃあぁ!? あわわ、私私私、なんでぇ!?」

真「ああ、もう! 落ち着け雪歩!」

P「ひっ! ま、真ちゃん、なんか怖いよぉ……」

23: 2012/10/21(日) 02:04:00.53 ID:T0xmv88v0
P「え? この低い声、あれ!? わた、私は萩原雪歩ですぅ!!」

雪歩「そうです、私は萩原雪歩ですぅ」

P「私が目の前にいて私は萩原雪歩で目の前の私は私が?」

真「真はちょっと黙ってろ!」

雪歩「へへ、ちょっと出来心で。雪歩?」

P「は、はいぃ……多分、私が萩原雪歩ですぅ……」

雪歩「そう、君は雪歩。よく聞いて、何故か分からないけど皆の体が入れ替わったんだ……ってこの説明じゃ駄目か。プロデューサー、お願いします」

真「ん」

24: 2012/10/21(日) 02:09:36.41 ID:T0xmv88v0
P「入れ替わってるん、ですね? 私が萩原雪歩でいいんですね?」

真「真?」

雪歩「はい、ふざけてすみませんでした。大丈夫、雪歩は雪歩だよ」

P「そ、そうなんだ……よかったぁ」

真「しかし、改めてどうしようかっておおーい!」

P「これが男の人、の体……ど、どんな風に」

真「雪歩、ストップ、ストーップ!」

P「え? どうしたの真ちゃん?」

真「俺はプロデューサー! 真はあっち! そこはさささ触っちゃいけないとこ!」

P「ああ、すまんすまん」

雪歩「え?」

P「ん?」

25: 2012/10/21(日) 02:14:50.26 ID:T0xmv88v0
雪歩「雪歩、今」

P「え? 何?」

雪歩「い、いえ……聞き間違いかも」

真(なんか、違和感があるような……どこだろう?)

P「あの、プロデューサー」

真「ん、どうしたの?」

P「あの、その、お手、お手ああ洗い」

真「? 行ってきなよ」

P「え!? でもさっき触っちゃ駄目だって……」

真「あ、ああ! そう、そうだな! じゃあ一緒にって余計駄目だー!」

P「ちょ、落ち着いて真」

真「だから真はあっちで僕はプロデューサーだって!」

P「す、すまん、見た目でつい」

28: 2012/10/21(日) 02:21:37.62 ID:T0xmv88v0
雪歩「あれ? なんか、また今……」

P「どうしたの、真ちゃん?」

真「雪歩、さっきから変だぞ?」

雪歩「な、なんでもないです」

P「とにかく、トイレに一緒に来てもらわないと」

真「だから、一人で行って下さいってば!」

雪歩「ふ、二人ともとにかく落ち着いてよぉ」

P「ええい、もういい! 真がそんな薄情な奴だと思わなかった、一人で行ってくる!」

真「ええどうぞ、そうして下さい!」

雪歩「うぅ、喧嘩は駄目だよぉ……」

30: 2012/10/21(日) 02:26:05.19 ID:T0xmv88v0
P「ふー、すっきりした」

真「ちょっとプロデューサー! 僕たちアイドルですよ? そういうのやめて下さい!」

P「ああ、ごめん雪歩。下品だったな」

雪歩「あ、いえ……」

真「ちょ、僕にもちゃんと謝ってくださいよ!」

P「あーすまんすまん」

真「……もう。僕だって、女の子なんだからもうちょっと……」

P「ん? 何か言ったか?」

真「なんでもないです!」

31: 2012/10/21(日) 02:31:13.82 ID:T0xmv88v0
雪歩「真ちゃん、プロデューサー。お茶淹れましたから、一息つきませんか?」

真「ありがとう、雪歩」

P「ああ、ありがとう雪歩」

雪歩「えへへ、お茶には心を落ち着ける効果がありますから」

真「停電で騒いでた僕らには丁度いいかもね」

P「だな、停電一つであんなに騒いで、あんなに……」

雪歩「? プロデューサー? あの、なんだか顔が」

真「プロデューサー? 雪歩が怖がってます、その顔やめて下さい」

P「……真、ちゃん?」

真「え!? な、何ですか急に!? そんなちゃん付けなんてして今更女の子扱いしたって遅くはないですけど!」

雪歩「ふふ、真ちゃんったら顔真っ赤」

32: 2012/10/21(日) 02:36:24.91 ID:T0xmv88v0
P「……私」

真「嬉しいですけどでもさっきのこと許すわけじゃ! ……って、あの、プロデューサー? 顔色、悪いですよ?」

雪歩「だ、大丈夫ですか? もしかして、私の淹れたお茶が美味しくなくて……」

P「真似、しないで」

真「プロデューサー? どうしたんですか? 真似ってなんの」

P「あなた、誰ですか……? なんで、真似するんですか」

雪歩「プロデューサー……? ご、ごめんなさい、やっぱり私の淹れたお茶」

P「やめて! 萩原雪歩は私! あなたじゃない!あなたは、違うの! 萩原雪歩じゃないの!」

34: 2012/10/21(日) 02:43:29.77 ID:T0xmv88v0
真「っ、プロデューサー!」

P「あ……痛、い」

真「雪歩はもっと痛いです。いい加減にして下さいプロデューサー、ふざけるにしても趣味が悪いです」

雪歩「真ちゃん、私……!」

真「雪歩、大丈夫? すぐに終わるから、もうちょっとだけ我慢してね」

雪歩「う、うん……」

P「真ちゃん……わた、しが」

真「プロデューサー……まだ続けるんですか? 今のプロデューサー、変です。おかしいですよ」

P「だって、私」

真「……はぁ。もういい、帰ろう雪歩。プロデューサー、僕も雪歩も明日また事務所には来ます。それまでに反省して、いつものプロデューサーに戻って下さい」

P「や、待っ」

ガチャ、バタン!

P「真、ちゃん……」

37: 2012/10/21(日) 02:49:52.14 ID:T0xmv88v0
雪歩「お、おはようございますぅ……」

P「おはよう、雪歩」

雪歩「ひっ」

P「あっと……ごめん、驚かせちゃったな。昨日のことも、まだ怒ってるよな?」

雪歩「いえ、私、別に」

P「この通りだ、許してくれ。昨日はなんだか、どうかしてた」

雪歩「……いえ、私はもう大丈夫です。それより真ちゃんに」

P「ああ、そうだな。真も随分怒らせちゃったし、ちゃんと謝らなきゃな」

真「おっはよーごさいまー……、プロデューサー」

P「すまなかった真!! 俺が馬鹿だった、どうか許してくれ!」

真「ちょ、土下座!? ま、待って下さ、ああもう顔あげて下さいよー!」

P「嫌だー! 真に許してもらうまではー!」

真「わ、分かりました許します! 許しますから靴舐めようとしないで下さいー!」

38: 2012/10/21(日) 02:59:01.40 ID:T0xmv88v0
真「全くもう、怒ってた気持ちなんてどっか行っちゃいましたよ」

P「いやー許してもらえてよかったよかった」

雪歩「お茶、淹れましたよー」

小鳥(……ふふ。プロデューサーさん、なんだか悩んでたみたいだけど、この事だったのね)

P「相変わらず雪歩のお茶は美味しいなー。さて、お茶も味わったことだし、そろそろ今日もレッスン行くか! 小鳥さん、留守お願いしますね!」

小鳥「はーい、お気をつけてーって、ピヨ? 今、名前で呼びま……もういない」

律子「おはようございまーす」

小鳥「え? あ、おはようございます律子さん」

律子「ん? 小鳥さん、これなんですか?」

小鳥「これ? あら、プロデューサーさん、手帳を落としていったのね。ああ、ページが折れ曲が」

40: 2012/10/21(日) 03:02:30.30 ID:T0xmv88v0
律子「? 小鳥さん、どうしたんですか?」

小鳥「律子さん、これ、プロデューサーさんの、手帳ですよね?」

律子「え? ええ、そのデザインは多分……」

小鳥「なんですか、これ」






私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪
歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩私は萩原雪歩萩原雪歩萩原雪歩萩
原雪歩萩原雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩雪歩



たすけてまことちゃん



おわり

45: 2012/10/21(日) 03:25:08.94 ID:T0xmv88v0
小鳥「うーん、最近食べ過ぎ飲み過ぎですっかり内臓が弱ってしまったわ」

P「音無さん、辛そうですけど大丈夫ですか? キャベジンどうぞ」

小鳥「まあ、ありがとうございます」

ゴロピシャーン!! プッン

ジジジ……パチ、パチン

小鳥「あら、一瞬停電しましたね。近くに落ちたのかしら。あら? プロデューサーさん?」

P「う、すみません音無さん。このキャベジンやっぱり俺が飲みます」

小鳥「え、ええ構いませんけど……大丈夫ですか? なんだか食べ過ぎ飲み過ぎで内臓が弱ったような顔です」

P「だ、大丈夫です。何故か食べ過ぎ飲み過ぎで内臓が弱ったような感じがしますが」

小鳥「仕事の付き合いもあるでしょうけどご自愛して下さいね、うちのアイドルの将来はプロデューサーさん頼みなんですから!」

P「はい、ははは……いてててて、本当になんなんだろこれ……」

おわり

47: 2012/10/21(日) 03:38:10.67 ID:T0xmv88v0
響「ほんとだ、このラーメン美味しいなー」

貴音「でしょう? これならいくらでも入るというものです」

響「いや流石にいくらでもはってなんでもう空の丼鉢が積み重なってるさー!?」

貴音「ああ、美味しい。食事とは真、素晴らしいものです」

響「もう、何も言わないさー……ずるずる」

ゴロピシャーン!! プッン

ジジジ……パチ、パチン

貴音「はて、停電でしょうか? ……む、大将! 早急にお代わりを! わたくし急にお腹がぺこちゃんなのです!」

響「ううー、ううー……このラーメン見た目より多いぞ、こんなの食べ切れないよ……」

大将「……ヂュイ!」

おわり

48: 2012/10/21(日) 03:45:29.87 ID:T0xmv88v0
真美「やよいっち→、こんなのむずすぎだよ→、答え見ちゃおうよ→」

やよい「駄目だよ真美! ちゃんと一回自分の力で解かなきゃ駄目!」

真美「そんなこと言ってやよいっちもさっきから書いて消して書いて消してばっかりじゃん」

やよい「えへへ」

律子「やよいはしっかりしてるわね。進んでなくてもちゃんと頭で考えることが大事なのよ、真美」

真美「んも→、答え見た方が楽じゃ→ん」

ゴロピシャーン!! プッン

真美「あ、停電だ→! これじゃーしゅくだいがしたくてもできないなーひまだからぴーえすぴーであそぼーっと」

律子「あんた一応役者の仕事も来てるでしょ、大根にも程があるわよ……」

ジジジ……パチ、パチン

やよい「あ、電気点きましたー!」

律子「ほらさっさと宿題再開する!」

真美「ちぇ→、でもこんなの一人じゃ無理だよ→」

律子「もう、しょうがないわねぇ。解説してあげるから見せてみなさい」

49: 2012/10/21(日) 03:54:08.21 ID:T0xmv88v0
真美「はいっ」

律子「何々ー? x=8,y=5,3(x+y)=?」

真美「こんなのややこし過ぎ! どうせxが犯人だよぅ!」

律子「……」

真美「りっちゃん? 突っ込んでくんないと寂しいんだけど」

律子「xが8、8ね。yがー、えー、5、5だから、って3? 何よこの3どこから出てきたのよ3……」

真美「おんや?」

律子「嘘でしょ、今時の中学生ってこんな難しい……ううん、そんなはずないわ、もうちょっとヒントがあればちゃんと私にも」

真美「りっちゃん大先生様! 約束通り解説をお願いしたいのですが!」

律子「え!? あ、うん、解説、解説よね!?」

真美「んっふっふ~、で、この問題はどう考えたらいいんですかな→?」

律子「この、問題、はー、えーっとー」

50: 2012/10/21(日) 04:00:23.71 ID:T0xmv88v0
やよい「~♪」

律子「そう、ね、xが8でyが5でしょ? その次に3があるってことは、8-5をしてるのよ!」

真美「なるほどなるほど」

律子「だからこの問題はいっぱい持ってる人が物を奪われた話なのよね、多く持っていたが為に恨みを買って奪われた、つまりxのケチが原因なの!」

真美「言い切りましたな」

律子「つまり、さっき真美が言った通りxが犯人で間違いないわ!」

真美「ななななんと、瓢箪から出たサビだったとは→!」

律子「うん、真美も中々やるわね。適当に見えてちゃんと勉強してたのね」

真美「まあこれぐらい、あさめちまえだよ→」

やよい「宿題おーわりっ」

真美「お、やよいっちも終わったって。りっちゃん見てあげてよ」

律子「うんうん、どれどれー?」

53: 2012/10/21(日) 04:08:00.10 ID:T0xmv88v0
3(x+y)=3x+3y=3×8+3×5=24+15=39

律子「……」

真美「……うわ、他のページも全部長ったらしい暗号だ」

やよい「えへ、ちゃんと出来てますかー?」

律子「ま、まあ間違ってるとは思うけど念の為に後ろの答えページで確認を……」

真美「だ、だよね→! あんな短い問題がこんなに長くなるわけ……」

やよい「えーと、ん、合ってるみたいで良かったですー!」

律子「……」

真美「……真美が出来ないのはまだいいとして、りっちゃん?」

律子「……」

やよい「ふー、宿題終わったら喉乾きますね。私、お茶淹れてきますー」

律子「わ、私がやるわ! やよいは真美に教えてあげて!?」

真美「あ、りっちゃん逃げるな→! チンミョ→なお縄につけ→い!」

律子「こんなの何かの間違いよー!!」

おわり

54: 2012/10/21(日) 04:24:24.99 ID:T0xmv88v0
ゴロピシャーン!! プッン

?「あら、停電」

?「雷、さっきからすごいですから」

ジジジ……パチ、パチン

小鳥「戻りましたね」

千早「そうね。さて、書類整理の続きを……あら?」

小鳥「!?」

千早「ち、千早ちゃん!? 千早ちゃん、よね?」

小鳥「はい、如月千早です……音無さんですか?」

千早「音無小鳥、2X独身でぐふぅ」

小鳥「一人で地雷踏んで倒れないで下さい!」

55: 2012/10/21(日) 04:28:20.51 ID:T0xmv88v0
千早「こんなことってあるのねえ……」

小鳥「不思議ですね。入れ替わったことも、自分が目の前にいるのも」

千早「そうね、体が別人になんて……はあぁ……」

小鳥「元は私の体です、勝手に胸に手を当てないで下さい」

千早「千早ちゃんもお姉さんのカラダ、触っていいのよ?」

小鳥「触りませんっ。というか小鳥さん、どんな生活をすればこんなに体中痛くなるんですか?」

千早「ピヨヨ……年を取ると誰だってそうなぐふぅ」

小鳥「だから一人で地雷を!」

57: 2012/10/21(日) 04:33:06.82 ID:T0xmv88v0
小鳥「……」

千早「……」

小鳥「……」

千早「……」

小鳥「頭を」

千早「?」

小鳥「あ、頭をぶつければ、もどったり……なんて、しませんよね忘すみませんれて下さい!」

千早「……ふふっ、そうね、やってみましょうか」

小鳥「じゃあ、行きますよ?」

千早「ええ」

小鳥「……せーのっ、えいっ!」

千早「ぐふぅ」

小鳥「痛……ああ、音無さん!?」


58: 2012/10/21(日) 04:35:48.72 ID:T0xmv88v0
千早「戻らなかったわねえ」

小鳥「すみません、音無さん。もう起きても平気ですか?」

千早「ええ、たんこぶは出来ちゃったかもしれないけど。私も案外、石頭だったのね」

小鳥「……くす」

千早「ふふ」


59: 2012/10/21(日) 04:43:11.60 ID:T0xmv88v0
千早「とはいえ、このままじゃまずいわよね……今日の予定は確か」

小鳥「3時からニューシングルのレコーディングです」

千早「移動時間1時間を差っ引くと残り3時間ちょっと……これ、戻るのかしら」

小鳥「どうでしょう、なにが原因だったのかも分からないですし難しいかもしれません」

千早「困ったわね、せめてプロデューサーさんがいれば心細くないのだけれど」

小鳥「レコーディングはプロデューサーも一緒に行くらしいので一旦戻ってくるとは思いますけど」

千早「今の時間は春香ちゃんのラジオ収録、だったわよね?」

小鳥「はい」

千早「困ったわねえ」

小鳥「はい……」

60: 2012/10/21(日) 04:49:07.65 ID:T0xmv88v0
小鳥「音無さん」

千早「どうしたの、急に立ち上がって?」

小鳥「歌を歌いましょう」

千早「……そうね、気が紛れるかも知れないわね。じゃあ何を」

小鳥「違います」

千早「え?」

小鳥「ニューシングルのレコーディングはもうすぐなんです、全力で練習をしましょう」

千早「え? え、ええ、そうね、私も出来る範囲で手伝うわ」

小鳥「違います」

千早「……まさか」

小鳥「そのまさかです。すぐに戻れる保証はありませんし、スタッフにも迷惑はかけられません」

千早「それは、そうだけど」

小鳥「時間がありません。始めますよ、如月千早さん」

62: 2012/10/21(日) 04:59:06.28 ID:T0xmv88v0
小鳥「腹式呼吸は基本ですよ!?」

小鳥「口を大きく! お尻を閉めて!」

小鳥「顎を引く! 引き過ぎです!」

小鳥「歌い方、思い出し始めましたか? じゃあここからが本番です、ピヨピヨ鳴いてる暇はありませんよ!」

小鳥「音がずれてます!」

小鳥「高音で掠れない! 息を意識して下さい!」

小鳥「姿勢!」

小鳥「もっと伸びやかに! はいスタッカート!」

小鳥「溜めて溜めて溜めて~はい! そうです、良い調子です!」

小鳥「パーカッションをちゃんと聞いて下さい!」

小鳥「姿勢!!」

小鳥「もっと感情を込めて、切なく!」

小鳥「姿勢!!!」

小鳥「姿勢!!!!」

千早「ピヨヨ~……」

63: 2012/10/21(日) 05:03:07.74 ID:T0xmv88v0
P「ただいま戻りましたー。千早ー、歌の調子はバッチリか?」

千早「ピヨヨヨ」

小鳥「大丈夫です、カナリアが歌を忘れる前に早く連れていって下さい」

P「カナリア? まあ、時間ですし連れていきますけど……? 大丈夫か千早? 気分悪いなら、少し休んでからでも」

千早「ピヨー……ピヨー……」

小鳥「姿勢」

千早「はいぃ!」

P「げ、元気だな……じゃあ、行ってきまーす」

小鳥「千早ちゃん、しっかりね?」

千早「はいぃ!」

64: 2012/10/21(日) 05:10:56.11 ID:T0xmv88v0
千早「音無さん、調子はどうですか?」

小鳥「旅行から帰ってきた我が家ってところ……腰も肩もこんなに重かったかしら?」

千早「その割には、嬉しそうですね?」

小鳥「まあね。なんだかんだ言ってもこの体じゃないと、私って感じがしないもの。千早ちゃんもそうでしょう?」

千早「音無さんの体でも良かったといえば良かったんですけど」

小鳥「駄目よ、千早ちゃんにこんな肩凝りのひどい体、使わせられないわ」

千早「くっ」

小鳥「ところで千早ちゃん?」

千早「はい?」

小鳥「私の体を使ってもらっている間に、随分と仕事が増えているような」

千早「その、私なりに小鳥さんの仕事をこなそうとしたんですけど……」

小鳥「失敗続きで、手伝わないのが手伝いと気付いて、放置した?」

千早「……はい、すみませんでした」

小鳥「ふふ、そんな申し訳なさそうな顔しないで。これは私の仕事ですもの、取っちゃ駄目よ」

千早「音無さん……ありがとう、ございます」

65: 2012/10/21(日) 05:14:15.69 ID:T0xmv88v0
小鳥「いいのよ、私だって千早ちゃんの楽しみにしていたお仕事取っちゃったし」

千早「それは、そうですけど……」

小鳥「だからおあいこ、ね?」

千早「……はい!」



小鳥(それに、ね、千早ちゃん。千早ちゃんの特訓は厳しかったけれど、歌う楽しさも思い出させてもらったわ……また、夢見ちゃおうかしら?)

おわり

70: 2012/10/21(日) 07:08:31.82 ID:27HMBVML0

真美「あれ→ 事務所にあずささんだけ→ ピヨちゃんは?」

あずさ「少し用があって出かけているみたいよ」

真美「ふーん、こんな大雨の降りそうな日に大変だね→」

あずさ「さっき、天気予報を見たら雷警報ですって。怖いわー」

真美「ふふっ、あずさお姉ちゃん、雷が怖いの→」

あずさ「あの大きな音がどうも苦手で……」

ドンガラガッシャーン!!

71: 2012/10/21(日) 07:13:02.91 ID:27HMBVML0

あずさ「きゃあ!!」

真美「わっ、停電? 真っ暗だよ→」

あずさ「えーと、ブレイカーはどこだったかしら? ……あれ、何か違和感かが? なんでしょう」

真美「んー、暗いからよく分からないけど何か急に背が高くなったというか肩が重いというか、一言で言うとどたぷーん?」

パッ

あずさ「あっ、電気がつきました……えっ?」

真美「──目の前に真美がいる? どういうこと→」

72: 2012/10/21(日) 07:21:02.69 ID:27HMBVML0

あずさ「あらあらまあまあどうしましょう」

真美「うう、なんだろうこの違和感バリバリジャカジャカなのは。真美は亜美がいるからもう一人の自分を見るのは慣れているのに」

あずさ「うふふ、子供の体か──なんか新鮮だわー。すごく軽くて何でもできそう」

真美「そしてこれが大人の体。おおっ、下を見ても胸が邪魔してつま先が見えないや」

真美「というか胸が重い……むしろ全身が重い? 何かアチコチに肉が貼り……」

あずさ「うふふ、真美ちゃん、何か言った~」

真美「いいえ、なんでもありません! あずさお姉ちゃんの体はとってもせくち→です」

73: 2012/10/21(日) 07:26:43.52 ID:27HMBVML0
真美「でも、実際問題どうするの→ このままだと……」

あずさ「そうよね、仕事とか私生活とかいろいろ影響があるでしょうし、とりあえず……」

真美「とりあえず?」

あずさ「お茶でも入れて落ち着きましょう」

真美「ズコ→」

あずさ「口に出しながらこけるの初めて見たかしら……」

──ティータイム

あずさ「なんか視点が小さくてお茶が入れにくかったわー」

真美「他人の体だからね。やっぱり違和感バリバリしょっ」

74: 2012/10/21(日) 07:34:11.67 ID:27HMBVML0

あずさ「まず、これからどうするかよねー。みんなに相談する? それとも黙っていたほうがいいかしら?」

真美「──話したほうがいいと思うな。多分、いや絶対亜美は一発で違和感を見抜くと思うよ」

あずさ「フフッ、いつも一緒だしね」

真美(というかこんな穏やかでおっとりした真美を見たら全員気づくよ→)

あずさ「仕事の方はどうかしらね? これが長引くならお互いに交換していかないといけない形になるわよね」

真美「えーと、スケジュール確認すると……幸い、今日は二人とも仕事は終わってるよね」

あずさ「明日は水着のグラビア撮影と歌の収録があったはずよ」

真美「こっちも子供服の撮影とバラエティーの収録があるけど……」

75: 2012/10/21(日) 07:46:24.04 ID:27HMBVML0

あずさ「二人ともアイドルをしているし特に問題は……」

真美「いやいやいや、問題がありまくりでしょう。何というか二人の雰囲気が違うんだよ」

あずさ「つまり──やっほー、真美デース。キャピルン♪」

真美「──うん、軽く殺意覚える。無理に演じようとするのは止めた方がいいね」

あずさ「あははっ、私もなんか恥ずかくて……童心に帰ると言われてもね」

真美「年の差はデカいよね。これがいおりんややよいっちなら……なんか余計大変かも」

あずさ「うふふっ、それはそうかもしれないわね」

真美「いおりんならお嬢様だからまだなんとかなるかな──けど礼儀作法とか面倒そうなのが多そう」

真美「やよいっちは……ごめん、妹とかは亜美だけで手一杯。沢山の妹弟なんて世話しきれないよ→」

76: 2012/10/21(日) 07:52:47.51 ID:27HMBVML0

あずさ「私は逆にたくさんの兄弟姉妹とか憧れるかも」

真美「あずさお姉ちゃんなら大丈夫かも」

ガチャ、

小鳥「ふうー、疲れた。もう雨もひどいけど横風が大変よ」

あずさ「お疲れ様。はい、タオルです。あっ、今熱いお茶をお入れしますね」

小鳥「……あっ、ありがと?」

真美「ピヨちゃんピヨちゃん、服が濡れてスケスケっすよ。せくち→な下着の線が見えまくりですよ」

小鳥「えっ、えっ? 何か違和感というかおかしい気がするのは気のせい?」

78: 2012/10/21(日) 08:02:05.95 ID:27HMBVML0

あずさ「うふふ、入れ替わってしまいましたー」

真美「そうそう♪」

小鳥「おっとりおしとやかで大人びている真美ちゃん、元気一杯にはしゃぐあずささん。これは……イケル!!」

真美「はいはいピヨちゃんぴょちゃん、妄想空間から戻ってきてね→」

小鳥「うっ、ごめんなさい……でも本当に入れ替わったの」

あずさ「ええっ、残念ながら──」

真美「ねえ、これからどうしたらいいのかな→」

80: 2012/10/21(日) 08:10:51.95 ID:27HMBVML0

小鳥「入れ替わる理由の定番なのは坂から落ちたり頭ぶつけたりしたからだけど……」

あずさ「原因は恐らく雷が落ちたせいみたいのようです」

小鳥「あらら、それはちょっと再現は難しそうね」

小鳥「それで、そろそろ帰る時間だけどどうするの」

あずさ「少し考えたのですけど今日のところは真美ちゃんを私の家に泊まらせようと思っているのです」

真美「んー、なんで?」

小鳥「あー、そっか、あずささんは一人暮らしだからね」

あずさ「ええっ、そういう訳で──」

小鳥「じゃあ、真美ちゃんの親御さんにはこちらから連絡するわね」

あずさ「はい、お願いしますね」

真美「わーい、お泊まりお泊り♪」

83: 2012/10/21(日) 08:18:11.99 ID:27HMBVML0

──あずさの家

あずさ「ただいま」

真美「うわー、これがあずさお姉ちゃんの家か→」

あずさ「ゆっくりくつろいでね。今何か作るから」

真美「はーい。でも考えてみたら、今はここが真美の家になるんだよね」

あずさ「うふふ、他人から見たらそうなるわね」

あずさ「さて、ご飯ご飯と。うーん、背が低いからやりにくいわね」

真美「わわっ、私も手伝うよ」

あずさ「ありがとう、真美ちゃん」

真美(自分の顔のはずなのになんか照れるな→ というかこの溢れる母性。バネェです)

84: 2012/10/21(日) 08:24:02.53 ID:27HMBVML0

あずさ「味噌野菜炒めに」

真美「野菜を素揚げするとこんなに変わるんだね。すごく美味しそう」

あずさ「手作りのぬか漬けと浅漬け」

真美「大根ときゅうりのぬか漬け。これ毎日かき混ぜるの? 大変だよ→ 白菜の浅漬けもしゃっきりしていてるね」

あずさ「豆腐とわかめの味噌汁」

真美「定番中の定番だね。でも、香りがなんか違う→」

あずさ「そして仕事上がりのビールです」

真美「ちょっとまったー!!」

あずさ「あら、真美ちゃんどうかしたの?」

85: 2012/10/21(日) 08:30:59.80 ID:27HMBVML0
美「ダメっしょ、ダメっしょ! 今のあずささんは真美なの、未成年なの! 分かる?」

あずさ「でも~。もう開けてしまいましたよ」 プシュ。

真美「言いながら開けるなー! これは私が飲みます。今の真美はあずさお姉ちゃんなので問題ありません」 ゴクゴク。

真美「にっ、苦いー」

真美「大人はなんでこんな苦いのを飲むの。全然美味しくないよ」 ゴクゴク。

あずさ「ふふっ、そう言いながら手が止まってないわよ」

真美「うん、苦いけどなんかコクがあってスッキリするの。前にこっそり飲んだ時よりも苦味は弱いし」

あずさ「そういえば大人と子供では子供の方が味覚が敏感と聞いたわね。そのせいかしらね」

87: 2012/10/21(日) 08:39:43.64 ID:27HMBVML0

真美「ふーん、そうなんだ。あ、何かこの頭のクラクラ、ちょっと良いかも」

あずさ「ねえ、私にも少しだけ……」

真美「だから、真美の体は未成年なんだよ」

あずさ「ううっ、真美ちゃんはイケズですー」

真美「もー、お姫ちんの真似をしてもダメだよ……ああっ、少しだけだからね」

あずさ「うふふ、ありがとう」 コクコク。

あずさ「うん、確かにいつもより味が強く感じるわね。慣れていないときついわ」

真美「なんかお酒飲むのが楽しくなっちゃった」

あずさ「では、じゃあ、このスコッチとかもいつもより美味しく感じるのかしらねー。あっ、ラムとかもいいかも」

真美「調子に乗るな→!!」

89: 2012/10/21(日) 08:47:57.32 ID:27HMBVML0

──寝室。

真美「……ねえ、これからどうなるのかな」

あずさ「さてね。なる様になるしか無いかもしれないわね」

真美「……ううっ」

あずさ「大丈夫、大丈夫よ」

真美(小さい真美の体なのに何か包まれている感じ。気持ちいいな……)

あずさ(本当の体がすごく小さく感じるわ。やっぱり怖いのよね。私も本当は不安だけど……頑張らないと)

真美「ねえ、抱きしめて」

あずさ「ええ、抱いて寝ましょう」

………………。

90: 2012/10/21(日) 08:53:48.85 ID:27HMBVML0

真美「元に戻りまちた→」

あずさ「戻りましたー」

真美「いやー、一時はどうなるかと思いまちたよ」

あずさ「うふふ、でも本当に良かったわ。これでお仕事とかも大丈夫だし家に帰れるわね」

真美「うん、でも──」

あずさ「なにかしら」

真美「また……泊まりに来てもいいかな」

あずさ「ええ、大歓迎よ」


なお、その日の二人のグラビア撮影は何故かあずささんの水着は元気一杯に。真美の子供服は非常に艶のある仕上がりになったとか。


終わり。

91: 2012/10/21(日) 08:57:21.69 ID:27HMBVML0
ちょっと美味しそうなシュチなので>>1ではないですが書いて見ました。
年の差のある二人を書きたかった。それだけです。本当に楽しかったです。
なんかまだまだアイデアはありましたがキリがいいのでここでシメといたしました。

他のももっと読んでみたいですよね。

100: 2012/10/21(日) 10:25:47.11 ID:T0xmv88v0
美希「はぁー、久々のお休みなの」

律子「その久々のお休みにどうして事務所にいるのよ」

美希「律子……さんは知らないの? 事務所にいると春香が美味しいお菓子作ってきてくれるんだよ?」

律子「あんたねえ、そんなことでわざわざ雨の中を事務所まで来たの?」

美希「そんなこと? ミキ、美味しいものを食べるの、大事なことって思うな」

102: 2012/10/21(日) 10:34:30.07 ID:T0xmv88v0
律子「それは確かに大事なことだけど、あんたお菓子ばっかり食べてるじゃない」

美希「ばっかりじゃないの。ちゃんバランスを考えてクッキー、ババロア、シフォンケーキでローテーションしてねってお願いしてるもん」

律子「……頼む美希も美希だけど、作ってくる春香にも問題があるわね」

美希「ねえ律子……さんは、甘いの嫌い?」

律子「別に嫌いじゃないわよ、食べてる時は幸せだし」

美希「あまーいーもーのたーべーてーしあっわっせっよっ♪ だね」

律子「ただ、食べた分だけ動かなきゃ全部贅肉になるから。そう思うと我慢したくなるのよ」

美希「ふぅーん、ミキ、いくら食べても太らないけど」

律子「羨ましいわね、全く」

103: 2012/10/21(日) 10:41:14.44 ID:T0xmv88v0
ゴロピシャーン!! プッン

?「あちゃー、さっきからゴロゴロ言ってたからなるかもとは思ってたけど、やっぱりか」

?「真っ暗だね。丁度いいし、ミキ寝るね? 春香が来たら起こして」

?「はぁ、もう勝手にしなさい。えーと、懐中電灯懐中電灯……」

ジジジ……パチ、パチン

美希「あ、点いた。ん? んん?」

律子「すぅー、すぅー……」

美希「なんで私が、え? なんか、声がおか……?」

律子「むにゃ、くー」

美希「どう見ても私よね……えーと、さっきまで机に向かっていて、美希と話していて、停電して、灯りが点いたらソファに寝転んでた」

律子「んん、すぅー……くー……」

美希「どうなってるのよ、これ……」

104: 2012/10/21(日) 10:46:51.43 ID:T0xmv88v0
美希「こんな時は、と、とにかく……とにかくどうするのよ!?」

律子「おにぎりさーん、待ってなのー……」

美希「この子はこの子でなんか幸せな夢見てるっぽいし、はぁ、なんなのよ」

春香「おはようございまーす」

美希「ん、おはよう春香」

春香「おはよう美希! 約束のシフォンケーキってあわわ、うるさかった、かな……?」

美希「大丈夫よ、ぐっすり寝てるみたいだし」

春香「ん? 美希、今日はなんかちょっと違う人みたいだね」

美希「あー……えっとね、春香。慌てず騒がず、落ち着いて聞いてね」

春香「う、うん……」

105: 2012/10/21(日) 10:54:52.10 ID:T0xmv88v0
春香「不思議ですねー、魂が入れ替わるなんて漫画みたい」

美希「実際、自分の身に起きてみると変な感じよ……」

春香「ふふ、中身は律子さんって分かってても、美希が眉間にシワ寄せて考え込んでる姿ってなんだか面白いですね」

美希「あんた、完全に他人事ね」

春香「あ、いえ! 良い意味で、良い意味でです!」

美希「いいわよ別に、実際他人事だろうし」

春香「そんなー! 同じ事務所の仲間じゃないですか、そんな冷たいこと言わないで下さーい!」

美希「はぁ……ふふ、いいわ。熱いお茶と、その手に持ってるお菓子で許してあげる」

春香「えへへ、じゃあすぐ用意しますね!」

106: 2012/10/21(日) 10:59:52.03 ID:T0xmv88v0
美希「……ほんとに美味しいわね、これは美希じゃなくても毎日食べたくなるわ」

春香「そんなに褒めても何も出ませんよー? あ、お茶のお代わり用意しますね!」

律子「う、うぅん……美味しそうな匂いがするの」

春香「あ、起こしちゃいましたか!? ごめんなさい!」

律子「……春香? どうして敬語なの?」

美希「春香、見た目は私の体でも中身は美希よ」

春香「そ、そうでした! えっと、おはよう、美希?」

律子「おはようなのー」

春香「あ、柔らかい笑顔」

美希「どういう意味よ」

春香「あ! 良い意味でです、良い意味で!」

美希「良い意味でってつければ良いってもんでもないわよ……」

107: 2012/10/21(日) 11:07:45.22 ID:T0xmv88v0
律子「ふぅーん、視線が低いと思ったらそういうことだったの」

美希「悪かったわね、低身長で」

律子「別に悪いなんて言ってないよ? こういうのも新鮮でいいなって思うの」

春香「あんまり驚かないんだね?」

律子「ほおっておけばその内戻るよ、焦ってもしょうがないの」

美希「どうすればそんな楽観出来るのよ……」

律子「あ、この箱ってもしかして中身はシフォンケーキ? 春香、ありがとうなの!」

春香「うん、今日のは特別美味しく出来たんだよ!」

律子「……ないよ?」

春香「え?」

律子「シフォンケーキ、どこにもないの」

春香「嘘、ちゃんと人数分作って……ほんとだ、一つも残ってない」

108: 2012/10/21(日) 11:15:53.05 ID:T0xmv88v0
律子「春香、ひどいの! 持ち上げてから落とすなんて、ミキ、意地悪だって思うな!」

春香「そんな、私は一つしか食べてな……律子、さん?」

美希「え? なに?」

春香「いくつ食べました?」

美希「そんなにいっぱい食べてないわ」

春香「いくつですか?」

美希「ちょっとだけよ」

春香「いくつです?」

美希「……十個少々」

律子「ひどいのは律子だったの! ミキのシフォンケーキ返してー!」

美希「わ、分かったよ謝るわ! その、すごく美味しかったからつい」

春香「えへへ、喜んでもらえて良かったです」

律子「ミキは全然良くないのー!」

109: 2012/10/21(日) 11:24:16.76 ID:T0xmv88v0
美希「全くもう、そこまで怒らなくてもいいじゃない。たかがお菓子で」

律子「そのたかがお菓子に夢中になってたのは誰なの?」

美希「ぐぬぬ……はいはい、コンビニで何か買ってきたらいいんでしょう? んもう。春香、他にいる物とかある?」

春香「いえ、特には」

美希「そ。えーとキー、キー……美希、車のキー頂戴。ジャケットの右ポケットにあるから」

律子「え? ミキ、車の運転出来ないよ?」

美希「あんたに運転なんて頼まないわよ、コンビニ行くから、はい」

律子「はい、って手を出されても。律子……さんは今美希の体なんだよ? おまわりさんが見たら捕まっちゃうの」

美希「あ」

律子「ミキ、早くイチゴババロア食べたいなー」

美希「こんな雨の中、歩いて行けって言うの!?」

春香「ま、まあコンビニはすぐそこですし」

美希「~~っ、分かったわよ! 行ってくるわよ!」

律子「律子、何を怒ってたのかな?」

春香「美希……」

110: 2012/10/21(日) 11:30:27.55 ID:T0xmv88v0
律子「遅いねー」

春香「今日、雨だけじゃなくて風もすごいから。律子さん帰ってきたらびしょ濡れだろうから、タオルと熱いお茶で迎えてあげないとね」

ゴロピシャーン!! プッン

?「きゃ」

?「あ、また停電なの」

?「さっき入れ替わった時も停電した時なんだっけ?」

?「そう、停電が直った時にはもう……って、え?」

ジジジ……パチ、パチン

春香「直ったね。美希、美希は雷とか平気? 私はちょっと苦手で」

律子「春香?」

春香「え? 何?」

律子「ってことはここは事務所?」

春香「う、うん、そうだけど……美希?」

111: 2012/10/21(日) 11:37:58.21 ID:T0xmv88v0
律子「春香、私は律子よ」

春香「え? え? あれ? じゃあ戻ったんですか?」

律子「みたいね……もしもし?美希?」

美希『律子ー! なんでミキ、パンツまでビショビショなのー!?』

律子「誰かがこんな天気なのにコンビニ行けって言ったからよ」

美希『ミキ、何も悪くないのに! こんなのってないのー!!』

律子「元気そうで良かったわ、気をつけて帰ってらっしゃい」

美希『ちょ、待』

112: 2012/10/21(日) 11:39:45.32 ID:T0xmv88v0
律子「さて、春香。美希はきっと震えながら帰ってくるだろうし、タオルと熱いお茶で迎えてあげないとね」

春香「ふふ、そうですね……律子さんって、厳しいんだか優しいんだか分からないですね」

律子「どういう意味よ?」

春香「あー、良い意味でです良い意味で」

律子「……ま、優しく厳しいのよ私は。期待してる子には特にね?」

春香「えー!? それって私、期待されてないってことですか!?」

律子「どうかしらねー?」

春香「そんなー!」

おわり

美希「なんなのなの!? なんなのなの!? こんなのってないの!!」

おわり

113: 2012/10/21(日) 11:49:05.12 ID:27HMBVML0
おつおつでーす

引用元: P「アイドルが入れ替わった」