1: 2017/04/28(金) 22:06:04.212 ID:tyYqqVl30
 
-図書館-


タプリス「んーっ」

タプリス(今日の下界の勉強は、これくらいにしておきますか)

タプリス(本を戻しにいかないと……って、あれは)


サターニャ「……」クイッ


タプリス(えっ……く、胡桃沢先輩ですよね?)

タプリス(図書館では初めてお会いしました……というか)

タプリス(眼鏡までかけて、なんだか真剣に勉強しているように見えます)


タプリス(いったい何を勉強しているんでしょう、気になります)

タプリス(でも邪魔しては何か悪い気がしますし、話しかけるのも躊躇われますね)

タプリス(こっそり後ろに回って、何をやってるのかだけでも……)

3: 2017/04/28(金) 22:09:25.463 ID:tyYqqVl30
 
 ススーッ

タプリス(なんだか本もたくさん読んでいるみたいですが、どれどれ……)

タプリス(んん? 量子……力学? って、何ですか……?)

タプリス(他にも聞いたことないような単語が、いっぱいです……)

タプリス(胡桃沢先輩って、こ、こんなに頭が良かったんですね)

タプリス(てっきり、わたしと同じくらいかと思っていました……)


 ひょこ

タプリス(んん? 今、胡桃沢先輩の耳元で何か動いたような……)

タプリス(まぁ、気のせいですかね)

タプリス(このまま邪魔にならないように、帰りましょう……)

タプリス(はぁ。なんだか、お仲間が一人減ってしまったようで悲しいです)

4: 2017/04/28(金) 22:12:23.263 ID:tyYqqVl30
 
-学校 教室-


担任「じゃあこの問題を……胡桃沢、解いてみろ」

サターニャ「はい」

 スラスラスラッ

サターニャ「できました」クイッ

担任「……」ジーン

サターニャ「先生」

担任「ああ……正解だ。席に戻っていいぞ」


ヴィーネ「」

ガヴリール「」

14: 2017/04/28(金) 22:15:25.825 ID:tyYqqVl30
 
-休み時間-


ヴィーネ「ねぇ、ちょっとサターニャ。最近どうしたのよ」

サターニャ「なによ、ヴィネット」クイッ

ヴィーネ「あんな難しい問題を解けるなんて、びっくりしたわ」

ヴィーネ「それに眼鏡までかけちゃって。また、なりきりごっこなの?」

サターニャ「はぁ……くだらない」

ヴィーネ「えっ」

サターニャ「ヴィネット。私は今、復習に忙しいの」

サターニャ「大した用じゃないなら、もういいかしら」クイッ

ヴィーネ「え、ちょ、ちょっと……」

15: 2017/04/28(金) 22:18:30.581 ID:tyYqqVl30
 
ヴィーネ「サターニャ、なんか変わったわよね」

ヴィーネ「急にあんな優等生みたいになって、何か悪いものでも食べたのかしら」

ガヴリール「まぁ別に真面目になったなら、なったで」

ガヴリール「それに越したことないんじゃないの」

ガヴリール「今までが不真面目すぎってのもあるし」

ヴィーネ「それもそうなんだけど、なんか調子狂うわね」

ガヴリール「ヴィーネ、お前さあ。私が一時的に戻った時もそう言ってたけど」

ガヴリール「自分の周りにダメな奴がいないと、落ち着かない性分なの?」

ヴィーネ「だ、誰のせいでこうなったと思って……」


 ひょこひょこ

ガヴリール「……とまぁ冗談は置いておいて」

ヴィーネ「もう、冗談ってなによ!」

ガヴリール「今、サターニャの肩の上で、何か動いてなかったか?」

ヴィーネ「えっ、私には何も見えなかったけど……」

ガヴリール「……そうか」

ヴィーネ「見間違いじゃないの?」

ガヴリール「ああ、そうかもな」

18: 2017/04/28(金) 22:21:22.368 ID:tyYqqVl30
 
-ラフィエルの家-


ラフィエル「それは、妖精の仕業かもしれませんね」

タプリス「えっ……よ、妖精ですか?」

ラフィエル「はい。ある日を境にして、急に人格が変わるなど」

ラフィエル「通常起こりえない現象の原因は大抵、妖精が関わっているといいます」

ラフィエル「タプちゃんが見たという小さな影もおそらく、その妖精の姿でしょう」

タプリス「なるほど……でもそうしますと」

タプリス「その妖精さんは、胡桃沢先輩にくっついている、ということですか?」

ラフィエル「ええ、その可能性が高いですね」

タプリス「だ、大丈夫なんです? それって……」


ラフィエル「そうですねぇ……大体の妖精の性格は、気分屋さんですので」

ラフィエル「飽きてしまったら、その場から離れていくでしょう」

ラフィエル「なので、もう少し様子を見てみましょうか」

タプリス「わ、わかりました」


ラフィエル「それに、真面目なサターニャさんというのも」

ラフィエル「大変貴重で、面白みがありますしね♪」

タプリス「あははは……」

20: 2017/04/28(金) 22:24:57.682 ID:tyYqqVl30
 
-数週間後 教室-


担任「じゃあ、この問題をそうだな……胡桃沢、頼んだぞ」

サターニャ「はい」

 スラスラスラッ

サターニャ「できました」クイッ

担任「……」

サターニャ「先生」

担任「……胡桃沢、間違ってるぞ」

サターニャ「なっ!? 嘘でしょう?」

担当「嘘ではない。どこか体の具合でも悪いのか?」

サターニャ「そ、そうかもしれないわね……」


ガヴリール「……」

21: 2017/04/28(金) 22:27:25.315 ID:tyYqqVl30
 
-休み時間-


ヴィーネ「なんだか最近、サターニャの調子が悪くなってない?」

ガヴリール「ああ、前の勢いはなんだったんだろうな」

ヴィーネ「まぁこれはこれで、以前のサターニャに戻った感じがして」

ヴィーネ「安心するんだけど」


 ひょこひょこひょこ

ガヴリール「ん?」

ヴィーネ「どうしたの、ガヴ」

ガヴリール「いや、サターニャの首筋で、なんかが動いて……」

ヴィーネ「なんか、って何よ」

ガヴリール「……まぁサターニャだし、いっか」

22: 2017/04/28(金) 22:30:27.503 ID:tyYqqVl30
 
-さらに数週間後 教室-


担任「胡桃沢!」

サターニャ「……」

担任「胡桃沢! 聞いてるのか!?」

サターニャ「……ふぁえ?」

担任「……もういい、廊下に立ってろ!」

サターニャ「ふぁい」



-放課後-


ヴィーネ「ちょっとサターニャ、大丈夫なの? 授業中もずっと上の空で……」

サターニャ「ふぁ?」

ガヴリール「急に頭が良くなったと思ったら、今度は前よりさらにアホになって」

ガヴリール「お前一体、何したんだよ」

サターニャ「ふぁにふぉ、ふぃふぇふぁいふぁふょ」

ヴィーネ「何言ってるのか、わからないし……」

 ひょこ

ガヴリール「なっ!?」

ガヴリール「サ、サターニャの耳から、なんか出てきた……」

ヴィーネ「どうしたのガヴ……って、なにこれ!?」


小さいおっさん「……」ジーッ

23: 2017/04/28(金) 22:33:31.019 ID:tyYqqVl30
 
ガヴリール「こ、こんな小さいおっさん、見たことないぞ……」

ヴィーネ「着ている服は可愛らしいのに、顔が妙に濃くて気持ち悪い……」

 サッ

ガヴリール「あっ、耳の中に戻った」

ヴィーネ「ガ、ガヴ、ちょっとこれ普通じゃないわよ」

ガヴリール「そんなの、見たらわかるわ!」

サターニャ「あば……」

ガヴリール「ん?」

サターニャ「あばっばばばばばばばっっ!!」

 バタンッ


ヴィーネ「ちょっとサターニャ! 大丈夫!? サターニャ!!」

ラフィエル「ヴィーネさん、今の叫び声は……って、サターニャさん!?」

ラフィエル「何が起こったんです?」

ガヴリール「……サターニャの耳から、小さいおっさんが出てきて」

ガヴリール「それが中に戻ったら、いきなり叫び出して倒れたんだ」

ラフィエル「これは……最悪の事態になってしまいましたね」

ガヴリール「お前まさか、何か知ってるのか?」


ラフィエル「とりあえず、サターニャさんを連れて私の家に行きましょう」

ラフィエル「詳しくは、そこでお話します」

24: 2017/04/28(金) 22:36:55.636 ID:tyYqqVl30
 
-ラフィエルの家-


タプリス「胡桃沢先輩!? どうしたんですか!?」

ガヴリール「なんだ、タプリスも来てたのか」

ヴィーネ「サターニャが学校で倒れてしまったのよ」

タプリス「そんな……、白羽先輩、もしかして……」

ラフィエル「ええ、これは妖精の仕業です」

ガヴリール「妖精だって? そんなのが、どうしてサターニャに……」


ラフィエル「理由はわかりません。ですがおそらく……」

ラフィエル「このままではサターニャさんの自我は完全に崩壊して」

ラフィエル「妖精に肉体を乗っ取られる危険があります」

タプリス「そ、そんな……」

ラフィエル「妖精は、いたずら好きで気まぐれな気性のはずなんですが……」

ラフィエル「どうやらサターニャさんのことを、大変気に入ってしまったようですね」

ラフィエル「その気持ちはわかりますが……」

ヴィーネ「いやいや、わからんでいいから」

タプリス「でもたしかに、胡桃沢先輩は生命力で溢れてますもんね」

ガヴリール「まぁ、それだけが取り柄だからな」


ラフィエル「おそらく妖精が一匹、外に出てきたとすれば」

ラフィエル「サターニャさんの体内には既に、三十匹以上は存在しているでしょう」

27: 2017/04/28(金) 22:40:20.693 ID:tyYqqVl30
 
ラフィエル「ですので、サターニャさんを救うには」

ラフィエル「体内にいる妖精を漏れなく、駆逐するしかありません」

タプリス「く、駆逐……」

ヴィーネ「でもそんなの、どうやって……」

ラフィエル「私に一つ、策があります」

ガヴリール「……まさかお前、あれを使うのか」


ラフィエル「白羽家に代々伝わる秘宝……その名も」

ラフィエル「ちいさくなーれ、です!」

タプリス「……ちいさく」

ヴィーネ「……なーれ?」


ガヴリール「私たちの体を小さくして、サターニャの体内に侵入し」

ガヴリール「妖精を直に倒す、ということか」

ラフィエル「はい、さすがガヴちゃんですね」


ヴィーネ・タプリス「いやいやいや……」

28: 2017/04/28(金) 22:44:32.476 ID:tyYqqVl30
 
サターニャ「」


ラフィエル「時間もあまりありませんから、そろそろ行きましょうか」

ヴィーネ「えぇ……本当に大丈夫なの?」

タプリス「こ、怖いです……」

ガヴリール「まぁ、危ないと思ったら出てくればいいしな」

ラフィエル「それにサターニャさんを助けるには」

ラフィエル「この方法しかありませんから」

タプリス「うぅ……わ、わかりました! 覚悟を決めます!」

ヴィーネ「タプちゃん……わかったわ、私も行く!」


ラフィエル「それではみなさん、サターニャさんの周りに集まってください!」

ラフィエル「秘宝よ! その力を解き放て!」

 パァァァッ

 ラフィエルたちは ちいさくなーれ をつかって ちいさくなった!


ガヴリール「サターニャの体のなかに入るぞ!」


――――――

――――

――

30: 2017/04/28(金) 22:48:43.881 ID:tyYqqVl30
 
-サターニャの体内-


タプリス「うええ、なんか足元がブヨブヨしますぅ」

ヴィーネ「たしかに歩きづらいわね……」

タプリス「壁もなんか……ウネウネしてますし……」ツン

 ナハッ

タプリス「ん?」ツンツン

 ナハッ ナハッ

タプリス「……」ツンツンツンツン

 ナハッ ナハッ ナハッ ナハッ

タプリス「ひぃぃぃっ! なんか変な音がしますぅ!!」


ガヴリール「おい、遊んでないで行くぞ」

ラフィエル「妖精たちはおそらく、サターニャさんの脳に集まっています」

ガヴリール「そこへ殴り込んで、殲滅だな」

ヴィーネ「ちょっと、あまり暴れすぎて脳を傷つけないようにね」

ヴィーネ「これ以上おバカになったら、可哀想じゃない」

31: 2017/04/28(金) 22:50:15.268
せんだみつおじゃったか・・・

32: 2017/04/28(金) 22:52:19.854 ID:tyYqqVl30
 
 ドドドドドドッ


ガヴリール「な、何の音だ?」

ラフィエル「これはまさか……」

タプリス「ひええ、怖いです……」

ヴィーネ「あっちから、何かたくさんやってくるわ!」


 ドドドドドドッ


MS細胞「ナハァ!!」

ガヴリール「なっ! ち、小さいサターニャがこんなに!?」

タプリス「か、囲まれちゃいましたぁ」

ラフィエル「おそらくこれらは、サターニャさんの免疫細胞です!」

ラフィエル「私たちを外敵と見なし、排除するつもりでしょう」

ヴィーネ「どうするのよこれ! 戦うの!?」

ガヴリール「ここでやられるわけにはいかないしな、やるしかないだろ」


MS細胞「ナハッ! ナハッ! ナハッ!」


ラフィエル「みなさん聞いてください」

ガヴリール「どうした、ラフィエル」

ラフィエル「ここは私に任せて、みなさんは先へ行ってください」

34: 2017/04/28(金) 22:55:20.965 ID:tyYqqVl30
 
ヴィーネ「えっ!? ラフィはどうするのよ!」

ラフィエル「私の推測ですが、この細胞は倒しても倒しても、次々と湧いてくるはず」

ラフィエル「そうなると、埒が明かなくなります」

ラフィエル「私がここで時間を稼ぐ代わりに、みなさんは」

ラフィエル「サターニャさんの脳にいる妖精を倒してください」

タプリス「そんな……いくら白羽先輩でも、この数は……」


ラフィエル「大丈夫ですよ、タプちゃん」

ラフィエル「サターニャさんの扱いなら、私が一番慣れていますから」

ガヴリール「……わかった」

36: 2017/04/28(金) 22:59:13.848 ID:tyYqqVl30
 
ヴィーネ「ちょっとガヴ! ラフィを見捨てる気!?」

ガヴリール「今の状況では、そうするのが最適だろう」

ラフィエル「ありがとうございます、ガヴちゃん」

ラフィエル「大丈夫ですよ、ヴィーネさん。危なくなったら、すぐに逃げますから」

ヴィーネ「……わかったわ。ラフィ……気をつけてね」

ラフィエル「ええ、任せてください」


ラフィエル「では、突破口を開きます! 神よ……我に力を……」

ラフィエル「エンジェル……アローォォォ!!」

 ビュン ズドォォン


ラフィエル「今です! みなさん!」

ガヴリール「突っ走るぞ!!」

タプリス「白羽先輩、ご武運を!」

 タッタッタッ

37: 2017/04/28(金) 23:01:51.091 ID:tyYqqVl30
 
-サターニャの脳の中-


ガヴリール「ぜぇ……ぜぇ……、ここがサターニャの脳みそか?」

タプリス「天真先輩、あそこに!」

小さいおっさん「!?」

ヴィーネ「見つけたわ、小さなおじさん! 覚悟しなさい!」


小さいおっさん「ドゥエェェェェェェェェ!!!!!!」

ガヴリール「ぐわっ、なんつう声だ!」

タプリス「み、耳が裂けそうですぅ……!」


 ドドドドドドッ


小さいおっさんたち「……」ズラズラッ

38: 2017/04/28(金) 23:04:44.875 ID:tyYqqVl30
 
ヴィーネ「やっぱり、一匹じゃなかったのね……でも、容赦はしないわ!」

ヴィーネ「いでよ! デビルトライデント! はぁぁぁぁっ!!」

 ザシュゥ

小さいおっさん「ちょぎぃぃぃぃっ!!」


ガヴリール「私もたまには、後輩に良いところ見せないとな」

ガヴリール「いくぞ、天真流奥義……」


ガヴリール「エンジェルぅ……ビィィィィムッ!!」

 ギュィィィン ドゴォォ

タプリス「す、すごい! 前方一列のおじさまたちが、消し飛びました!」

ガヴリール「ふっ」


ガヴリール「……もう限界みたいだ」ガクッ

ヴィーネ「はっや! もっとまんべんなく撃ちなさいよ!!」

39: 2017/04/28(金) 23:07:57.805 ID:tyYqqVl30
 
ヴィーネ「デビル……旋風撃っ!!」

 ブゥンブゥンブゥン ザシュザシュザシュゥッ

小さいおっさん「ぎぇぇぇぇぇっ!!」


ガヴリール「おーおー、ヴィーネだけでも何とかなりそうだな」

タプリス「月乃瀬先輩、すごく強いんですね……」

ガヴリール「あんな優しそうな顔してな。だから、あまり怒らせるんじゃないぞ」

タプリス「え、あ、はい……」

ヴィーネ「ちょっとガヴ! 聞こえてるわよ!!」

ガヴリール「おー、こわ」


小さいおっさんたち「ドゥエェェェェェェェェ!!!!!!」


ヴィーネ「え、なに!? 何をする気!?」

タプリス「の、残ったおじさまたちが次々と一箇所に集まっていきます!」


ガヴリール「おいおい、この展開は見たことあるぞ」

ヴィーネ「ええ、奇遇ね。私もよ……」


 なんと 小さいおっさん たちが……!

 合体して ちょっと小さいおっさん になった!!

41: 2017/04/28(金) 23:11:22.042 ID:tyYqqVl30
 
ちょっと小さいおっさん「……」

ヴィーネ「す、少し大きくなったくらいで!」

 ザシュッ シュンッ

ヴィーネ「なっ!? 消えた!?」

ガヴリール「ヴィーネ! 後ろだ!!」

ヴィーネ「えっ!?」

ちょっと小さいおっさん「そぉい」

 ドゴッ

ヴィーネ「きゃぁぁぁぁっ!!」


ガヴリール「くそっ、ヴィーネでもダメか……だったら」

ガヴリール「お前の出番だ! タプリス!」

タプリス「えぇぇぇぇぇっ!? む、無理ですぅ!!」

ガヴリール「ヴィーネがやられた怒りを、力に変えるんだ! ほらいけ!」ドンッ

タプリス「わっ、わわっ……も、もう、どうにでもなれです!」

タプリス「エンジェル、ぱーんち!!」

 ぽこっ

タプリス「えいっ! えいっ! えいっ!」

 ぽこっ ぽこっ ぽこっ

ちょっと小さいおっさん「でこぴん」

 パシッ バタンッ

タプリス「きゅぅ」

42: 2017/04/28(金) 23:14:14.405 ID:tyYqqVl30
 
ちょっと小さいおっさん「……インマイウェイ」ジリッ

ガヴリール「くそ……ここまでか……」


 ドドドドドドッ

ちょっと小さいおっさん「!?」

ガヴリール「こ、今度はなんだよ……」


MS細胞「ナハハァ!!」

ガヴリール「こ、こいつらは、サターニャの免疫細胞!?」


 ガシッ ガシッ ガシッ

ちょっと小さいおっさん「ぐぉぉぉぉぉっ!!」

ガヴリール「な、なんだ? 細胞たちがおっさんに襲いかかって……」

MS細胞「ナハッ! ナハッ! ナハッ!」


ヴィーネ「ガヴ……今、どういう状況なの?」

ガヴリール「ヴィーネ、起きたか。これはおそらく……」

ガヴリール「おっさんが大きくなりすぎてしまったせいで」

ガヴリール「サターニャの免疫細胞の攻撃対象になったみたいだな」


 ガシッ ガシッ ガシッ

ちょっと小さいおっさん「オタスケェ!!」


タプリス「あ! おじさまがどんどん崩れて……」

ヴィーネ「元の小さいおじさんたちに戻っていくわ!」

43: 2017/04/28(金) 23:17:31.252 ID:tyYqqVl30
 
小さいおっさんたち「……」

ガヴリール「よし、今がチャンスだ! ヴィーネ、私を肩車しろ!」

ヴィーネ「えっ!? それはいいけど、何するつもりよ!」

ガヴリール「エンジェルビームのチャージが……完了したッ!」

ヴィーネ「……なるほどね、大体わかったわ!」


ガヴリール「いくぞ、ヴィーネ!」

ヴィーネ「ええ、ガヴ!」


ヴィーネ「ローリングゥゥゥゥ!!」

ガヴリール「エンジェルゥゥゥゥ!!」

ガヴリール・ヴィーネ「ビィィィィィィィムッッ!!!!」

 ぐるんぐるんぐるんっ ズドドドドドドッッ


タプリス「すごい! 先輩たち、息ぴったりです!」

タプリス「月乃瀬先輩の回転力と、天真先輩の破壊力が合わさって……」

タプリス「全方位のおじさまたちが、吹き飛んでいきます!」


小さいおっさんたち「ぴぎゃぁぁぁぁぁっっ!!」

MS細胞「ナハァァァァァッ!!」


ガヴリール「やったか!?」

44: 2017/04/28(金) 23:20:09.214 ID:tyYqqVl30
 
ヴィーネ「あらかた、倒したみたいね」

ガヴリール「そうだな……、って、あそこに、まだ一匹残ってるぞ!」

小さいおっさん「!?」


ヴィーネ「ぐっ、回りすぎて目が……」

ガヴリール「くそ、私も力を使いすぎて……に、逃げられる!」

ガヴリール「タ、タプリス、頼んだ!」

タプリス「わ、わかりました!」

 しゅるしゅる

ガヴリール「ど、どうした、マフラーなんか外して」

タプリス「実は、わたしのマフラーは伸縮自在で、結構伸びるんです!」

タプリス「いきますよー! せーのっ! えーいっ!!」

 ビュゥゥン ギチィ

小さいおっさん「ぐえ」


タプリス「やりましたぁ! おじさまキャッチです!」

ガヴリール「でかしたぞ、タプリス!」

46: 2017/04/28(金) 23:23:20.992 ID:tyYqqVl30
 
 ドクンッ

タプリス「あ、あれ……」

ヴィーネ「私たちの体が……大きくなって、ない?」

ガヴリール「まずい、ちいさくなーれの効果が切れはじめたんだ」

タプリス「えぇっ!? そ、それじゃあ……」

ガヴリール「ああ、急いで脱出しないと、サターニャの頭が……大惨事だ」


 タッタッタッ

ガヴリール「ラフィエル! よかった、無事だったんだな!」

ラフィエル「ガヴちゃん! 妖精は!?」

ガヴリール「ああ、全滅させた! あとはここを出るだけだ!」

ラフィエル「そうですかそうですかぁ」


 タッタッタッ

ガヴリール「耳の出口が見えたぞ! 飛び込めみんな!」

 スポンッ スポンッ スポンッ

ガヴリール「危機一髪だったな……」

タプリス「ぜぇ……ぜぇ……、ぎりぎりでしたぁ!」

ヴィーネ「はぁ、はぁ……あ、あれ、ラフィは?」

47: 2017/04/28(金) 23:26:49.420 ID:tyYqqVl30
 
 ググッ

ラフィエル「うぅ……み、みなさーん」

タプリス「あ! 白羽先輩が耳の穴に挟まってます!!」

ガヴリール「どうした、ラフィエル! 出られないのか!?」

ラフィエル「む、胸がひっかかって……出られないですー……」

タプリス「はわわ……」

ガヴリール「胸を外せ!」

ヴィーネ「私に少しわけなさいよ!」

ラフィエル「無茶言わないでくださいー……」


ガヴリール「仕方ない……ヴィーネ、槍貸して!」

ヴィーネ「何に使うのよ!?」

ガヴリール「こうするんだ……よっ!!」


 ブゥン グサッ

タプリス「ああっ、槍が胡桃沢先輩の鼻の中に!」


サターニャ「ふぇ……ふえっ……ぶええええっくしゅん!!」


 スポンッ ヒューン

ラフィエル「あーれー……」

49: 2017/04/28(金) 23:29:15.594 ID:tyYqqVl30
 
サターニャ「こ、ここは……私、どうしてたのかしら」

ヴィーネ「よかった、サターニャも元に戻ったみたいね」

ガヴリール「手間かけさせやがって……」

タプリス「ぐすっ……胡桃沢先輩が無事でよかったです」

ラフィエル「サターニャさん!」


 ぎゅぅ

サターニャ「な、何よ、ラフィエル!? あ、暑苦しいじゃない!!」

ラフィエル「こんな時くらい、いいじゃないですか」

サターニャ「まぁ、よくわかんないけど、迷惑かけたみたいね」

サターニャ「その……すまなかったわ」

ラフィエル「いいんですよ、もう」

50: 2017/04/28(金) 23:32:20.853 ID:tyYqqVl30
 
ヴィーネ「ともあれ、これで一件落着ね。あー、なんかお腹すいちゃった」

ガヴリール「じゃあ、どっか食べにでも行くか」

タプリス「いいですね、行きましょうか!」


みんな「あはははははっ!!」




小さいおっさん「……」ジーッ



 妖精はけっして おとぎ話の中だけの存在ではありません

 振り返って よく見てみてください

 あなたの後ろにも 小さいおっさんが

 ほら




おしまい

54: 2017/04/28(金) 23:39:05.015
おつおつ

引用元: ガヴリール「千咲ちゃん、胡桃沢先輩の耳から出てきた小さいおっさんを退治する」