1: 2011/08/06(土) 00:23:45.26 ID:gGtRFReW0



 ――もう、いやだよ……

 あたしの想いは、あの子に伝えられない、絶対に叶わない……

 どうにもならない。 こんなに苦しいのなら、もう

 いっそ……忘れて……

 ―――シュウウウウウウウ


----------------------


~散歩道~

さやか「あ、杏子だ。おーい」

杏子 フラフラ

さやか「どしたの杏子? なんか顔色悪いよ。さてはまた道に落ちてるもん食ったね?」

杏子「あ……どうも。 あなた、あたしの知り合いなの?」

さやか「くっ、ツッコミなしですか。 そしてギャグをかぶせてきただと?」

杏子「あのー、あなた、誰だっけ」

さやか「えっ!?」


2: 2011/08/06(土) 00:25:06.58 ID:gGtRFReW0


さやか「あーはいはい、そういう遊びねー。凝ってるねえ、なんか口調まで変えちゃって」

杏子「え、あ……あたしの口調って、こういう感じじゃなかったの?」

さやか「おーい、いつまで続けんのよ~。さすがのさやかちゃんも面倒くさくなってきたよ?」

杏子「さやか……ちゃん?」

さやか「ちょっと」


杏子「あなた、さやかちゃんって言うんだ。お願い、教えて」

杏子「あたし、一体どうなってるの?」


杏子の真剣な瞳に、お調子こいていたさやかの顔色がサッと失せた。

さやか「まさか……あんた、マジで?」

さやか「き、記憶がないなんて言わないでよ?」

杏子「そうみたい、なの」

3: 2011/08/06(土) 00:25:39.03 ID:gGtRFReW0


~マミハウス~


さやか「ってわけなんですマミさん! 演技とも思えないし、杏子はそんなことする性格じゃないし」

さやか「どうしたらいいんでしょう、これってやっぱ記憶失くしたってことでしょうか、あのあの」

さやか「杏子が私のこと忘れちゃうなんてそんな、信じられないけど事実みたいで、その」

マミ「落ち着いて、美樹さん。いま分析するわ」

さやか「は、はい」

マミ「…………話を総合すると」

マミ「これは記憶喪失というものね!」ドヤァ

さやか「……いや、それは知ってます」

杏子「あたしも知ってます」

4: 2011/08/06(土) 00:26:36.26 ID:gGtRFReW0


マミ(体が軽い……こんなにスベったの初めて)

マミ「……コホン。 問題は、どこで何があってそうなったか……」

マミ「佐倉さん、いつからの記憶がないのか、わかる?」

杏子「わかりません……なんか、おぼろげで」

杏子「あ、自分が魔法少女だってことは、なんとなく覚えてます」

杏子「昔の家族のことも覚えてますけど。 あと、あなたは……巴マミさんですよね?」

マミ「(ぞわっ)佐倉さんに『さん』付けで呼ばれるの、初めてかも」


5: 2011/08/06(土) 00:27:09.24 ID:gGtRFReW0


さやか「マミさんのことは覚えてるの? なのに、なんで私は覚えてないのよ」

さやか「見た目のインパクトか? おっOいか、おっOいなのかぁ?」

杏子「だから、あの、断片的に……ううっ!」

マミ「どうしたの!」

杏子「うう、ああああっ! 痛い、頭が」ハァハァ

さやか「大丈夫、杏子!?」

マミ「フラッシュバックかも。佐倉さん無理しないで、今は横になって」

さやか「どこかで頭打ったのかも……そうだ」

6: 2011/08/06(土) 00:27:53.08 ID:gGtRFReW0


さやか「頭を打ってるなら、私の魔法で治癒できるはずじゃん!」

杏子「う、ううっ」ハァハァ

さやか「手をかざして……治癒魔法!」パアアアア!


マミ「どう?佐倉さん」

杏子「……ありがと、さやかちゃん。頭痛はおさまったみたい」

マミ「治ったのかしら? 最初から試せば良かったわね」

さやか「……いや」

さやか「治ったんなら、私のこと『さやかちゃん』なんて呼びませんよ」


7: 2011/08/06(土) 00:31:15.15 ID:gGtRFReW0


さやか「あと、魔法でわかったんですけど、外傷はないですよ。頭を打った形跡もない」

マミ「原因不明、突発的なものかしら。精神的なショックなどでも起こるというし」

杏子「医者に行っても、無理でしょうか……もっとも、保険証もないんですけど」

マミ「美樹さんの治癒魔法は、医者なんてはるかに凌駕するレベルよ」

マミ「それでも戻らないとなると……」

杏子 ショボン…

さやか「じゃあさ、こうしよう」

さやか「とりあえず何か思い出すまで、杏子うちで預かります」

杏子「え、迷惑じゃないかな」ウルウル

さやか「(ぞわっ)杏子のそんな態度、初めて見たよ」

さやか(しかしなんか……ちょっと可愛いな、コンチクショウ)

8: 2011/08/06(土) 00:32:16.57 ID:gGtRFReW0


~ミキハウス~


杏子「すみません、お邪魔します」

さやか「んな固くならずに、くつろいでいいよ。親にはOKもらったからさ、何日でも」

杏子「これがさやかちゃんの部屋……」

さやか「あとさあ、それやめてくんないかな」

杏子「え」

さやか「さやか、ちゃん、っての」

杏子「あ、すいません、さやかさん」

さやか「(ぞわっっ)うわあ、いやえーとね、違って」

杏子「……?」

さやか(こ、小首をかしげてる。リスみたいで妙に可愛い……けど)

さやか「コホン。さやかでいいの! 以前のあんたは私をそう呼んでたから」

杏子「なんか、気恥ずかしくて」

さやか「あんたにちゃんとかさんとか呼ばれる方が、私が恥ずかしいんだっつーの」


9: 2011/08/06(土) 00:33:23.73 ID:gGtRFReW0


杏子「さやか……?」

さやか「うむ、よろしい。 言葉ももっと砕けていいよ」

杏子「うん……あの、以前のあたしって、さやかと仲良しだったの?」

さやか「ぜんぜん」

杏子「ええっ!? じゃあなんで、あたしにこんなに親切にしてくれるの」

さやか「病人につらく当たるわけにいかないじゃん。 とりあえず以前は……」

さやか「顔を合わせればケンカばっかでした。私のこと、殴ってもわからないバカとか言ってました」

杏子「す、すいません!!」ドゲザアーーー!

さやか「おいおい、やめてってばぁ」

杏子「あたしがそんなひどいこと言ってたなんて、ほんとごめんなさい!」

さやか「謝るな! いや、いつか謝らせてやろうとは思ってたけどさー!」

さやか「あんた今日、すいませんとか、ごめんなさいとかばっかり言ってるじゃん」

杏子「すいません……あ」

さやか「だめだこりゃ」

10: 2011/08/06(土) 00:33:52.62 ID:gGtRFReW0


さやか(まいったなぁ。他人行儀っていう言葉の意味を知った気がする)

さやか(そうだよね……今の杏子にとって私は)

さやか(今日、知り合ったばかりの他人なんだ……)


杏子「あ、プリクラのシールだ」

さやか「そういうのは覚えてるんだね。生活そのものは問題ないのかな」

さやか(でもフラッシュバックもあるし、こんな状態で家がないのも危険だし)

杏子「えへへっ」

さやか「ん? ……あ、それは見るなぁーー!!」

杏子「やっぱり仲良しだったじゃん」

さやか(以前、二人で撮ったやつ……置きっぱなしだった!////)


11: 2011/08/06(土) 00:34:40.23 ID:gGtRFReW0


杏子「でもなんかこの写真、あたしちょっと不機嫌な顔してる?」

さやか「あー。私がダブルピースしながら光速で割り込んだからなあ」

杏子「やっぱり仲、悪かったのかな」

さやか「……ど、どうだろね////」


杏子(でも少し、わかった)

杏子(仲悪かったらこんなの残してない……よね)ニヘ

12: 2011/08/06(土) 00:35:17.02 ID:gGtRFReW0


さやか「杏子、ベッド使っていいからね、私は布団で寝るから」

杏子「あのさ」

さやか「ん?」

杏子「さやかちゃ……さやかって、優しいんだね」

さやか「べ、別にッ! あんた病気なんだから、早く寝なさいな」

杏子「なんか眠れそうになくて……あたし、これからどうなるのかなって」

杏子「記憶あやふやで、こんなんで魔女と戦っていけるのかなって」

杏子「……不安で」

さやか「杏子……」

さやか(ひょっとして性格がスレる前の杏子って、こんな感じだったのかな)

さやか(こんな弱気なとこ見るの、初めてだよ……)

13: 2011/08/06(土) 00:35:41.79 ID:gGtRFReW0


杏子「ぐすっ……」

さやか「げ、元気出しなよ」

さやか「魔法少女の戦いに関する記憶もあいまいなんでしょ? 今、戦うのは危険だよ」

さやか「魔女のことなんて気にしない! 私やマミさん、ほむらに任せておきなって」

杏子「……うん、ありがと」

さやか「(素直だ!)……調子狂うなあ」

さやか「あのさ、杏子」

杏子「スースー……」

さやか「誰が眠れないって?」

14: 2011/08/06(土) 00:36:12.36 ID:gGtRFReW0


~数日後、学校~


さやか『で、ですね。あれから杏子は元気は取り戻してきてるんですが』テレパシー

さやか『記憶は……やっぱり戻ってないです』

マミ『そっか。気の長い話になるかもしれないわね』

まどか『マミさん!さやかちゃん!』

さやマミ『まどか、どうしたの慌てて?』

まどか『ほむらちゃんが、ほむらちゃんが大変なの!すぐ来て!』

さやマミ『魔女と戦ってるの!? わかった、変身してすぐ向かう……』

まどか『そ、そうじゃないんだけど。とにかく屋上に来て!』

さやマミ『?』

15: 2011/08/06(土) 00:36:38.42 ID:gGtRFReW0


まどか「ほむらちゃん、大丈夫!? さやかちゃん達が来てくれたよ!」

マミ「暁美さん!」

ほむら「ううっ、頭が……痛い……」

まどか「ほむらちゃんが……」グスングスン

ほむら「巴さんに、美樹さん……?」ハァハァ

ほむら「教えてください。私は一体、どうなっているの」

さやか「え、まさかこれって」

まどか「ほむらちゃん!マミさんとさやかちゃんのこと、わかるんだね!」

まどか「記憶が戻ったんだね!!」


ほむら「……ごめんなさい、あなたのことは思い出せなくて」

まどか「」

16: 2011/08/06(土) 00:37:32.34 ID:gGtRFReW0


まどか「さやかちゃん、早く、ほむらちゃんを治療してあげて!」

さやか「うん。でも、頭痛はいったん治まると思うけど」パアアア

ほむら「ありがとう……楽になりました」

マミ「残酷だけれど、おそらく記憶は戻っていないわね。経験則で」

まどか「そ、そんな!」

さやか「あんなにまどまど言ってたほむらが、まどかのことを忘れるなんて……」

マミ「これだけは想像できなかった図ね」

まどか「うそだよね、ほむらちゃん!」

ほむら「あの、私、この人と仲良かったんですか?」

まどか「そんなぁ……ほむらちゃぁん……」ポロポロ

マミ(良かったなんてものじゃないわ。換気扇の油のごとくベッタベタだったのに)

17: 2011/08/06(土) 00:38:42.21 ID:gGtRFReW0


さやか「どう思います?マミさん」

マミ「佐倉さん一人ならともかく、さすがにこれは偶然じゃないでしょうね」

マミ「情報を集めてみるわ。この町で最近、突然の記憶喪失が多く出ていないか」

マミ「もし出ていなければ、魔法少女だけがこうなっている。 となると十中八九……」


さやか「ねえまどか。ほむらの昨日から今日までの行動、ある程度わかる?」

まどか「えっと、昨夜はふだんと変わりなく、私にメールくれたりしてたよ」

まどか「で、深夜に魔女の気配がするからパトロールに行くって」

さやか「マミさんの予感、ビンゴだ」

18: 2011/08/06(土) 00:39:53.10 ID:gGtRFReW0


マミ「ネットで調べた結果も、この町の一般人には今のところ類似した病例は無さそう」

マミ「つまり魔女の結界に近づきやすい魔法少女だけが、こうなったんでしょうね」

さやか「今度の相手は記憶を奪う魔女、ってことか……」

マミ『キュゥべえ、ちょっと来てくれる?』テレパシー



QB「やあマミ。面倒なことになっているようだね」ピョン

19: 2011/08/06(土) 00:40:47.73 ID:gGtRFReW0


マミ「あなた記憶を奪う魔女のこと、なにか知っている?」

QB「いや、僕もそんなのは知らないね」

マミ「本当でしょうね?」

QB「疑り深いなあ。 なんなら、鹿目まどかが契約すれば願い事で万事解決……」

さやか「お前ホンットに卑怯だな! ほむらの弱ってるトコに付け込むんじゃないわよ」

QB「卑怯ってのは理解できないけど……まあいいや。 僕は僕で調査してみるよ」

マミ「お願いね、キュゥべえ」

20: 2011/08/06(土) 00:41:42.06 ID:gGtRFReW0


ほむら「ごめんなさい、鹿目さん!!」

まどか「鹿目さんだなんて…… まどかって呼んでよ」アセアセ

ほむら「以前あなたのパンツ見たり、盗んだりしてたなんて、ごめんなさい!!」

まどか「声が大きいよほむらちゃん!////」アワアワ


さやか「ほむらは記憶なくなっても安定してんなあ……安定のほむほむ」

マミ(美樹さんに言われる日が来ようとはね)

22: 2011/08/06(土) 00:42:26.45 ID:gGtRFReW0


マミ「問題は、その魔女がどんな魔女で、どんな攻撃を受けるとそうなるのかが」

マミ「二人とも記憶がなくて、知ることができない。 うかつに私達が接触して」

さやか「もしマミさんと私まで記憶を奪われたら、この魔女の存在は」

マミ「ええ、完全に闇に紛れてしまうわね……キュゥべえを一応の布石にはしておいたけど」

さやか「やっかいなヤツだなぁ」

マミ「それにおそらく、これから一般人の被害も増えるはず。 急がないと」

さやか「まあ今までも、魔女の事前情報なんてほぼ無しで戦ってきたわけだし」

さやか「打って出るしかない、ってやつか」

さやか(杏子……絶対、元に戻してあげるから)


マミ(でも……どうして二人は一部の記憶を失くしながらも、生還しているのかしら?)

23: 2011/08/06(土) 00:43:32.20 ID:gGtRFReW0


~ミキハウス~


杏子「おかえり、さやか」

さやか「ただいまー。お風呂わいてる?」

杏子「わいてるよー。一緒に入らない?」

さやか「うん。   ……え」



ザパーー


24: 2011/08/06(土) 00:44:36.39 ID:gGtRFReW0


さやか「う……////」

杏子「さやかの体って、引き締まってるんだねー」セナカ ナガシ

さやか「(恥ずい……)なんでこんなことに」

杏子「うわ、胸大きい」フニョーン

さやか「や、ちょ、やめなさい! これなんて工口ゲ!?」

杏子「こういうのは定番イベントかなって思って」フンス

さやか「しょーもない記憶は残ってるんだなオイ!」

さやか(うう、杏子、スレンダーで髪も綺麗だなぁ……って何考えてんの私!)


25: 2011/08/06(土) 00:45:37.47 ID:gGtRFReW0


杏子「あのさ。あたしも魔女退治、連れてってよ」

さやか「何いってんの。今来たって、足手まといになるだけ……」

杏子「ギュッ」ダキツキ

さやか「うわひゃ!?」(ちょ、裸で……)

杏子「わかってる……わかってるけど」

杏子「友達が戦ってるのに、私は何もできないなんて、イヤなんだよ」

さやか「……////」ドキドキ

杏子「友達、なんだよね? あたしたち。 だったら役に立ちたいよ……」

さやか(杏子……そういや言ってたっけ)

さやか(最初は本当に純粋に、魔法少女として人の役に立ちたかったって……)


26: 2011/08/06(土) 00:46:19.65 ID:gGtRFReW0


さやか ブンブン「だめだめ!治ってからにしなさい!それに」

さやか「魔女の呪いみたいのでこうなったんなら、きっと倒せば元に戻れるから」

さやか「おとなしく待っててよ。 強ーいさやかちゃんは、絶対負けないからさ」

杏子「ほんとだね?」ウルウル

さやか「大ー丈夫だって!」

杏子「無事に帰ってきたら、美味しいもの作って待ってるから!」

さやか「え、うん……」

杏子「さやかは何が好きかなー、りんごが好きなら超でっかいアップルパイとか」

さやか「もういいもういい。それ以上はあたしの氏亡フラグになる……」


27: 2011/08/06(土) 00:47:23.28 ID:gGtRFReW0


~ 次の日、夜 ~


QB「わかったよ! 例の魔女の結界の位置が」タッタッタッ

マミ「偉いわキュゥべえ。どんな魔女かも分かった?」タッタッタッ

さやか「走りながらでいい、説明して!」タッタッタッ

QB「この魔女はもともとはこの地域に住んでいた、失恋した少女のようだね」

QB「おそらく魔女としての性質は『忘却』。 具体的な攻撃方法は不明だ」

さやか「一番知りたいとこがわかんないのかあー」

QB「仕方ないよ、接触した者はこの魔女についての記憶も消される。これが彼女の自衛手段」

QB「不可解なのは、過去に一般人男性が2人ほど結界に迷い込んだようなんだけど」

QB「魔女の記憶だけを消されて、まったくの無傷で生還していることだ」

さやか「はあ? 気まぐれな魔女だなあ」

マミ「着いたわよ。ここね」

28: 2011/08/06(土) 00:48:02.19 ID:gGtRFReW0


~ 魔女結界内 ~


魔女「ウオオオオオオ……!」

マミ「もうこっちに気付いているわ。 どうする?」

さやか「散開した方がいいですね。 まず私が囮になって、ヤツの注意を引きますから」

さやか「マミさんはそこを一撃、ティロフィナってください」

マミ「気をつけてよ、もしあなたまで記憶を失ったら」

さやか「頼みましたよ、マミさん!」ダッ!

マミ「ちょっと、美樹さん!!」

さやか「おーい魔女! こっちだ!!」ダダダダ


魔女「タ……スケ……テ」


さやか「えっ!」

マミ「魔女が、助けてって言った!? 攻撃もせずに」

さやか「まさか言葉が通じるの? こっちの話、聞いたりできるの?」


魔女「タス……ケテ……」

29: 2011/08/06(土) 00:48:47.09 ID:gGtRFReW0


さやか「もし話が通じるなら、呼びかけに応えるかも」

マミ「美樹さん危険よ、トラップかもしれない」

さやか「ちょっと魔女の人ー! 人の記憶を奪ったりしないで! 私達の話を聞いて……」

魔女「タ……ス……ケテ……」


魔女「  ア ゲ ル   」グオオオッ!!


さやか「うわ、いきなり来たー!?」

30: 2011/08/06(土) 00:49:28.58 ID:gGtRFReW0


マミ「やっぱり!美樹さん危ない!」ドンドンドンッ

魔女「 グォバァァアア 」

マミ「か、固い! あの魔女の表皮、マスケット銃が効かない!?」

さやか「何、これ……」

魔女の体の中心が開き、目玉のような核が浮き出る。

そこから青白い光条が漏れ出し、今にもさやかを包み込もうとしていた。


31: 2011/08/06(土) 00:50:11.42 ID:gGtRFReW0


「危ないッ!!!」シュンッ!

さやか「え、あれ!?」

マミ「佐倉さん!暁美さん!」

杏子「危なかったね。ほむらが時間を止めてくれて、あたしがさやかを抱えて移動したの」

さやか「バカ! なんで来たのよ! 家に居ろって言ったじゃん!」

ほむら「ハァハァ……わ、私達だって少しくらい戦えます」


32: 2011/08/06(土) 00:50:52.33 ID:gGtRFReW0


杏子「あたしは戦いのこととかも色々忘れてるし、バカって言われるのもわかってたけど」

杏子「それにさやかは……あたしにとっては出会ったばかりの人だけど」

杏子「でも、きっとさやかにとってはそうじゃないから!」


杏子「なに言いたいんだか自分でもわかんないけどさ……何か、したかったんだよ……」

さやか「杏子……」

さやか「あんがとね」

33: 2011/08/06(土) 00:51:33.00 ID:gGtRFReW0


魔女「 アゲル……タスケテ アゲル…… 」


QB「どうやらあの光に触れると、記憶を奪われるようだね」

魔女「ウオオオオオン!!」ゴゴゴゴ

さやか「ちょっとお! なんで私ばっか狙うのーー!?」ダダダダ

さやか「いや確かに囮になるとは言ったけどさあー!」ダダダダ

マミ「これは……あの魔女、佐倉さんと暁美さんが目に入っていない?」

マミ「気まぐれ? いえ、そうじゃないとしたら……」

さやか「マミさん早くーーッ!!」ゼエゼエ

マミ「とはいっても、普通の射撃は通らないのよ」

34: 2011/08/06(土) 00:52:03.27 ID:gGtRFReW0



マミ「でも、おかげで見えてきたわ。あれはどういう魔女なのか」

マミ「あの魔女が人間だった頃に、失恋した相手というのは……」

ほむら「ど、どういうことです?」

マミ「暁美さん、佐倉さん、私から離れて! 美樹さんも下がっていいわ」

さやか「え!?せっかく囮になってんのに?」ドタドタ


35: 2011/08/06(土) 00:52:29.88 ID:gGtRFReW0


マミ「ねえ魔女さん聞いて! 私ね、今、恋をしているの!」バッ

さやほむ杏「え」

魔女「ピクッ」

マミ「でもそれは叶わない、叶ってはいけない恋……とても苦しいの」


マミ「だってそうでしょう? 私が恋してしまった相手は、女の子なんですもの!」


さやほむ杏「ええええーー!? 何の話ーー!?」

魔女「ウウウ……」クルリ

マミ「魔女さん。 こんな私を助けてくださる?」

36: 2011/08/06(土) 00:53:16.57 ID:gGtRFReW0


魔女「……タスケテ……アゲル……!!!」ガバァァァ


マミ「そうよね――あなたはそうして、こっちを向いて本体の核を出すしかない」

マミ「男性も、すでに救済した者も、あなたの眼には映らない」


マミ「だってあなたはかつての自分と同じ、叶わぬ恋をする少女だけを」


マミ「その忘却の力によって、助けたくてたまらないんだものね」


37: 2011/08/06(土) 00:54:11.42 ID:gGtRFReW0


―――ドドドドドオオオン!!!!

魔女「ウオ……オォォ……」


マミの背後に既に召還されていた、超巨大なティロ・フィナーレの連発が、業火を呼んだ。
それは、魔女の青白く光る核を正確に射抜いていた。

マミ「もうあの攻撃はできないわ。今よ、美樹さん!」

さやか「これで、トドメだあああ!!!」ザシュッ!

さやかの剣が、魔女の体を真っ二つに切り裂いた。

グリーフシード 「 カラン 」

マミ「ごめんね……」

38: 2011/08/06(土) 00:54:59.90 ID:gGtRFReW0


忘却の魔女の消滅により呪いは消え、杏子とほむらの記憶は戻った。


さやか「やれやれ、今回走り回ってばっかしで疲れたぁ~」

杏子「けっ、あんなのに苦戦しやがって。ネタが割れりゃ、全然大したことなかったじゃんよ」

さやか「それに一度負けて、弱ヨワになってた知人がいましてねえ。ご存知ですかあなた?」

杏子「なーんーだとおー! やるか!!」

さや杏「ギャーギャー」

まどか「ホムラチャン!!!」

ほむら「マドカァーーー!!!」

マミ「平常運転っていう言葉の意味を知った気がするわね」

39: 2011/08/06(土) 00:55:32.92 ID:gGtRFReW0


さやか「あと、マミさん! あのとき言ってたのって本当ですか?」

マミ「え?」

さやか「マミさんが、女の子に恋してるって話」

ほむら「ほむッ!?」

杏子「うお、ほむらが超反応」

マミ「あ、あれは違うのよ! ウソウソ、魔女を罠にはめるための演技よ!////」

ほむら「それにしては本当っぽかったような、いやワザとらしくもあったけれど」

ほむら「逆にワザとらしさがこの場合、実はカムフラージュのような」グルグル

まどか「ほむらちゃん目が怖いよ、考察が本気すぎるよ……」

マミ「ホ、ホントにウソなんだからね!?」

杏子「どっちなんだよ」

40: 2011/08/06(土) 00:57:15.75 ID:gGtRFReW0


杏子「ていうかさ……さやか、あの魔女に狙われてたよな、執拗に」

さやか「へっ? あ、うん」

杏子「てことは、女の子に恋してるってことだよな」

さやか「//////」ボフーン!

さやか「な、いや、そんなことわわわわわ」

杏子「オイ誰なんだよ? 吐けよー」

さやか「その話には突っ込まないでよ、もう! あんた自爆したいの?」

杏子「え? 何のことだ」

ほむら「佐倉杏子が一番最初に狙われたのよね」

杏子「あ//////」

41: 2011/08/06(土) 00:58:04.29 ID:gGtRFReW0


マミ「それに」

マミ「あの魔女は、苦しい恋を忘れさせることが救いになると思い込んでいた。だから」

マミ「一番好きな人の記憶を奪ってたってこと、気付いてないわけじゃないわよね?」

杏子「なっ!?//////」ボフーン!

さやか「あーもう……バカ杏子//////」


ほむら「私はとっくに気付いていたわ、マドカァーーー!!!!」

まどか「なんかよくわかんないけど、ホムラチャーーーン!!!!」



~終わり~

42: 2011/08/06(土) 01:00:37.00



ナイスいちゃラブ
魔女化を知ってなおQBとそれなりの関係なのね

45: 2011/08/06(土) 01:08:31.03
お疲れ様でした。

47: 2011/08/06(土) 01:11:35.88
いいオリ魔女退治話だった 乙

引用元: 杏子「あなた、誰だっけ」さやか「えっ!?」