1: 2011/10/23(日) 09:31:57.92 ID:xHcizIvW0

……
………
…………

少女「勇者様?どうしたの…?」

カンダタ「……」

少女「勇者様……?」

カンダタ「違う…俺は…俺はっ…!」

……
………
………………

カンダタ「どういうことッスか勇者さん!」

勇者「例により、俺は魔王(♀)とつつましく暮らすことにした」

勇者「だから後のゴタゴタはお前に任せることにする」

勇者「まあ、適当にやってくれ。じゃ」ルーラー

カンダタ「あ、ちょっ勇者さん!?」

7: 2011/10/23(日) 09:44:06.45 ID:xHcizIvW0

カンダタ(とはいったものの、『上の世界』で悪事を重ねてきた俺だ)

カンダタ(そう簡単に話が通るだろうか…?)

カンダタ(まあ、『下の世界」に来てからはすっかり改心したけどさ)

カンダタ「せっかく牢屋から出られたんだ。街を歩いてみるか」

―――ガヤガヤ

カンダタ「なんだ?なんか騒がしいな…」

*「あ、勇者様だ!」

*「勇者様が帰還なさったぞ!」

―――ユウシャサマバンザーイ

カンダタ「な、なんだ、いったいどうなってんだ!?」

9: 2011/10/23(日) 09:48:10.71 ID:xHcizIvW0
*「勇者様!早くお城へ!王様がお待ちかねですZO!」

カンダタ「お、おう」

~~~城

王「よくぞやってくれた、勇者よ!お前の名は永遠に……」クドクド

カンダタ(どうなってんだ?てか俺、さっきまであんたの城に捕まってましたけど…)

カンダタ(勇者さんが何かしたっぽいな)

王「そなたにはこれから末長くこの国で暮らし、勇者の血脈を紡いでいってもらう」

王「そなたなら国中の女が選り取りみどりじゃぞ!がっはっは!」

カンダタ「……」ウホ

11: 2011/10/23(日) 09:52:54.01 ID:xHcizIvW0

王「そなたにロトの称号を与えよう!」

――そしてカンダタのマスク・マント・パンツはロトのマスク・ロトのマント・ロトのパンツとして…


おk!

12: 2011/10/23(日) 09:59:01.85 ID:xHcizIvW0

カンダタ「最初はどうなる事かと思ったけど、こりゃかなりついてるかもな」

カンダタ「この国は美人も多いしな。お、さっそく……」

♀A~Z「キャーユウシャサマー!」

カンダタ「ちょっ、そんなに引っ張るなって!」ニヘラニヘラ

カンダタ(わ、悪くない気分///)

少女「……」ジーッ

カンダタ(ん?なんか木陰に隠れた女の子こっちを見てる…)

少女「…」プイッ

カンダタ(あ、行っちゃった…まあ、いっか)

13: 2011/10/23(日) 10:09:49.71 ID:xHcizIvW0
カンダタ「ふぅ、女に囲まれるのは悪くないけど、けっこう疲れるな」

カンダタ「町のはずれまで来たから、ここなら誰も来ないだろ」

カンダタ「それにしても……女の子たち…やわらかかったな」ニヘラニヘラ

少女「…勇者さま」ボソ

カンダタ「うへぇあ!?」

カンダタ「え、あ、さっきの隠れてた女の子か」(やべ、聞かれたか?)アセアセ

カンダタ「ご、ごめんね、変なこと言って。今の嘘!嘘だから!」

少女「? 何のことですか?」ン?

カンダタ(良かった、いたいけな少女の勇者像をぶちこわすところだった…)

14: 2011/10/23(日) 10:22:02.48 ID:xHcizIvW0
カンダタ「なにか用?」

少女「あの…あの…」モジモジ

カンダタ「……」

少女「…えと……あの…」

カンダタ(なんか内気っぽい子だな…)

少女「あの…こ、これっ!」ズイッ

カンダタ「これは…花束…?」

少女「」コクン

カンダタ「くれるの?」

少女「」コクコク

カンダタ「…あ、ありがとう」

カンダタ(ずいぶんチャチな花束だな…)

15: 2011/10/23(日) 10:29:06.11 ID:xHcizIvW0


少女「あ、あの……自分で摘んだから…あんまり、キレイじゃないかも…」シュン

カンダタ「い、いやっ、そんなことないよ!嬉しいよ!」アセアセ

少女「本当にっ?」パァ

少女「あ、あと、あの……」モジモジ

少女「せかいを平和にしてくれて…ありがとうございますっ!」ペコリ

少女「///」ダッ

カンダタ「あ、ちょ…行っちゃった…」

カンダタ「…………」

カンダタ「俺じゃ…ないんだけどな…」フゥ

18: 2011/10/23(日) 10:44:57.56 ID:xHcizIvW0


~~~カンダタ邸

カンダタ「王様に家を丸々一軒もらったけど…」

カンダタ「広っ」ドデカー

カンダタ「逆にさみしいわ…」

カンダタ「勇者さんは…なんで俺なんかにこんなことさせるんだろうか…」

カンダタ「あの女の子も…ほんとは勇者さんに花束を渡したかっただろうに…」ショボーン

カンダタ「…なんか萎えちゃったな」

カンダタ「なに、寝て起きれば、また明日は女に囲まれるんだ」

カンダタ「寝ちまおう…」

19: 2011/10/23(日) 10:47:31.41 ID:xHcizIvW0
遅筆でスマン


……
………

―――ドンドンドン!

カンダタ「ん!?なんだ!?」

―――ドンドンドン!

カンダタ「客か?今寝ようとしてたのに…」

カンダタ「はーい、どちらさまで?」ガチャ

踊り子「勇者様~っ」ダキッ

カンダタ「うわぇあ!?何だ!?」

踊り子「何って、勇者様の夜のお世話をしに…」///

カンダタ「え、ええ~!?」アセアセ

踊り子「お部屋に入れていただけますか?」

カンダタ「は、ははははい!どうぞどうぞ!」(ま、まさか?)

踊り子「では、失礼します~」ニヤリ

21: 2011/10/23(日) 10:54:12.59 ID:xHcizIvW0


カンダタ「い、今お茶を…」アセアセ

踊り子「結構ですわ」クスッ

踊り子「それより、こちらへいらっしゃって?」

カンダタ「は…はい…」

踊り子「さ、ベッドに寝て下さいな」

カンダタ(な、なんか流されてる感があるけど…)

踊り子「さあ、始めましょう?」チュ

カンダタ(ああ、この娘の体…やわらけぇ…いい匂い…なんかもう、どうでもいいかも…)

踊り子「」ニヤリ

23: 2011/10/23(日) 11:10:54.66 ID:xHcizIvW0
……
………
…………

チュッ チュッ

(ああ、なんかきもちいい…)

(なんでこんなフワフワしてんだっけ…?)

パフパフ

(ああ、そっか、俺が勇者さんの代わりになって…)

(なんかカワイイ娘に誘われて…ベッドに寝かされて…)

ペロペロ

(それで、勇者さんの代わりに、お世話してもらって…)

(………勇者さんの…代わり…?)

24: 2011/10/23(日) 11:13:42.15 ID:xHcizIvW0

(…あれ?……そうか…)

『…っ』

(俺は…)

『…ますっ』

(勇者さんの…代わり…)



『……せかいを平和にしてくれて…ありがとうございますっ』

カンダタ「っ!」ハッ

踊り子「あら、起きちゃったんですね」

踊り子「ここからが本番ですのに」クスッ

カンダタ「…………スマン………帰ってくれ…」

踊り子「…え?」キョトン

カンダタ「申し訳ないけど、今日はここまででいい。帰ってくれ」

25: 2011/10/23(日) 11:19:08.02 ID:xHcizIvW0

……
………

ガチャ

踊り子「では、失礼します」

バタン

カンダタ「帰ったか…」

カンダタ「俺、途中から寝ちゃってたんだな…」

カンダタ「ていうか、あんな小さい子の夢を見てやる気が失せちゃうとか…」


27: 2011/10/23(日) 11:25:26.69 ID:xHcizIvW0


~~~数日後:町の酒場

カンダタ「ふう、なんだろ…この憂鬱な感じ…」

カンダタ「あの夜あの夢を見てから数日、なんとなく気持ちが晴れない…」

カンダタ「女に囲まれても、なんだか盛り上がらないし」

カンダタ「それにしても、酒場に来るにも変装が必要とは、意外と面倒くさいな」

カンダタ「ここ数日で、女たちのアタックがさらに強くなってきたし…」

踊り子・女給仕「×××」ヒソヒソ

カンダタ「っと、あの夜の踊り子だ。ここで働いてるのか」

カンダタ「給仕と何か話してるな。何の話だろうか」

30: 2011/10/23(日) 11:38:22.14 ID:xHcizIvW0

……

踊り子「勇者様との子を産めば王宮暮らしだって言うから誘ってみたけど、ありゃ駄目だわ」

踊り子「急に萎えたうえに『今日は帰ってくれ』って、ただのイOポだわ、ありゃあ」ハァ

女給仕「ふぅん、みんな躍起になってるのも、ご愁傷さまだわ」

女給仕「次期勇者の母は、その育成係として王宮の手厚い保護を受けられるっからて」

女給仕「みんな必氏になりすぎよ」ハァ

踊り子「仕方ないじゃない、それだけ王宮暮らしは魅力的なのよ」

踊り子「それじゃなきゃ、あんな男の相手なんて誰もしないわよ」フフフ

……

カンダタ「………」

32: 2011/10/23(日) 11:53:15.93 ID:xHcizIvW0

~~~町のはずれ

カンダタ「…そうだよな…女たちが理由もなく俺みたいな男に寄ってくるはずないよな…」ハァ

カンダタ「俺はもともと、小汚い盗賊で」

カンダタ「…所詮、勇者さんの偽物なんだから…」ハァ

少女「勇者様?」ヒョッコリ

カンダタ「うわっ!」ビクッ

少女「あ、ご、ごめんなさい、びっくりさせちゃって…」アワアワ

カンダタ(やばい、今度こそ聞かれた…?)ヒヤリ

少女「あの、あのあの…勇者様?」ビクビク

カンダタ(…気づかれてないみたいだな…)ホッ

カンダタ(しかしこの子は、どこから湧いてくるんだ?)

少女「あ、あの、あの…」モジモジ

カンダタ「ん?」

少女「あ、う、……///」ジレジレ

カンダタ(分かりにくい子だな…)

33: 2011/10/23(日) 11:58:46.63 ID:xHcizIvW0


カンダタ(…わかりにくい子だけど…)

カンダタ「…花束、ありがとうね」

少女「!」ハッ

カンダタ「嬉しかったよ」ニコ

少女「~~~っ」パァ

カンダタ(女たちと違って、この子は純粋な気持ちで俺に花束を贈ってくれた…)

カンダタ(たとえ、それが俺じゃなくて、勇者さんに向けられたものでも…)

36: 2011/10/23(日) 12:19:29.97 ID:xHcizIvW0

カンダタ(俺は、この子の素直さを裏切りたくない…)

少女「あ、あの、あの!」

カンダタ「ん?」

少女「勇者様の冒険の話!聞かせてください!」

カンダタ「冒険の話か…良いよ…」

少女「ほんとにっ?」ワクワク

カンダタ「ああ。じゃあ、悪い盗賊から王様の王冠を取り戻した時の話をしてあげよう…」

……
………
…………

~~~カンダタ邸

カンダタ「夕方まで付き合わされてしまった」フゥ

カンダタ「あの子はずいぶんと勇者さんにご執心だな」ハハハ

カンダタ「ん?なんだ、この紙きれは?こんなもの家に置いておいた覚えは…」カサカサ

カンダタ「! こりゃあ、勇者様からの手紙じゃねえか!なんだって今頃…」

40: 2011/10/23(日) 12:44:26.24 ID:xHcizIvW0

カン…カンなんだか へ』

カンダタ(ちょ、名前覚えとけよ…)

『俺はいま、女魔王と一緒にひっそりと幸せな夫婦生活を送っている。
 ちなみに魔王はめちゃくちゃ美人で料理もうまくて最高の女だ。
これがまた

カンダタ(ここは飛ばし読みしよう…)

『…と、このように俺たちは幸せにやっているし、人間の世界でも平和で穏やかな日常が流れていることだろう。
 しかし、魔王が生きていると知れたら、再び世界は混乱するだろう。
 俺たちは二人で暮らし、世界も平和にするために、お前を利用させてもらった。
 お前が魔王を倒した英雄として存在することで、人々に心の平穏がもたらされる。
 勝手ながら、よろしく頼んだぞ。

                       勇者より』

カンダタ「…まじかよ」

カンダタ「じゃあこれ、全部勇者さんが好きな女とくっつきたかっただけじゃねえか…」

カンダタ「無責任すぎる……」

41: 2011/10/23(日) 12:48:51.44 ID:xHcizIvW0

カンダタ「……でも、たしかにそうだよな…」

カンダタ「俺が本物の勇者じゃなくて、魔王がまだ生きているなんてことが知れたら…」

カンダタ「あの子…悲しむだろうな…」

カンダタ「………」


43: 2011/10/23(日) 13:03:48.74 ID:xHcizIvW0
…………
……………

カンダタ「なあ、君、他に友達とかと遊ばなくていいの?」

少女「え?」ピク

カンダタ「最近、ずっと俺と一緒にこうやって座って話をしてるけど…」

カンダタ「君には君の友達がいるだろう?」

少女「……」シュン

カンダタ(…地雷踏んだか…?)

少女「勇者様は…」

カンダタ「ん?」

少女「勇者様は…友達じゃないの…?」ウルウル

カンダタ「…そんなことない……友達だよ」

少女「~~~っ」パァ

少女「勇者様っ!」ダキッ

カンダタ「あ~…よしよし…」ナデナデ

カンダタ(やばい…俺、重症かも…)

44: 2011/10/23(日) 13:08:04.93 ID:xHcizIvW0

少女「勇者様、あの…」モジ

少女「私のうちに…遊びに来ませんか…?」モジモジ

カンダタ「え」

少女「と、友達だって…言ってもらえたから…」モジモジ

カンダタ「…い、いいよ。今度、お呼ばれしようかな」

少女「~~っ」パアァ

少女「約束ですっ!」

カンダタ「うん、約束だ」

~~~後日

少女「こ、ここが私のおうちです…」シュン

カンダタ(……ボロイ…)

カンダタ(この子が豊かではないとは思ってたけど、これほどとは…)

少女「あ、あの……」

カンダタ「さ!入ろう入ろう!今日はご飯もご馳走してもらえるんだよね?楽しみだ」

少女「は、はいっ、どうぞ上がってください」

46: 2011/10/23(日) 13:19:51.98 ID:xHcizIvW0


母「あら、勇者様!いらっしゃい!なんだかうちの娘がお世話になってるようで、申し訳ありません」ペコリ

カンダタ「いえいえ、そんな…」

少女「お母さん!ご飯できた~?」ヒョコ

母「もう少しですよ」フフフ

~~~夕飯後

カンダタ「お邪魔しました」

母「本当にお帰りになるんですか?なんなら今夜は泊って行っても…」

カンダタ「いえ、あの子もつかれて眠ってしまいましたし、今日はおいとまします」

母「…あの子は、かわいそうな子です」

母「魔物に父親を殺されて、貧しい家で育ちました」

母「内気な子でしたが、勇者様の話をするときは、本当に明かるくなってくれます」

母「今後とも、娘をよろしくお願いします」ペコリ

カンダタ「…それでは」

48: 2011/10/23(日) 13:29:54.89 ID:xHcizIvW0

~~~カンダタ邸

カンダタ「あの子、魔物に父親を殺されてたのか…」

カンダタ「どうりで勇者にご執心なわけだ」

カンダタ「魔王を倒した勇者は、父のかたき討ちをしてくれたヒーローだもんな」

―――コンコンコン

カンダタ「客か?はーい」ガチャ

少女「あ、あのぅ」モジモジ

カンダタ「あれ、どうしたの?寝てたはずじゃあ…」

少女「あの、お家に入れてもらってもいいですか…?」ションボリ

カンダタ「あ、うん、どうぞ」スス

カンダタ「お茶いれようか?」

少女「あ、いえ…つかれちゃったので…ベッドを貸してもらってもいいですか…?」

カンダタ「べつにいいけど…大丈夫?なんかいつになく暗いよ?」

少女「……」

カンダタ「…ベッドはこっちだよ」

49: 2011/10/23(日) 13:35:57.12 ID:xHcizIvW0

カンダタ「ほら、落ち着くまでベッドで横になってていいから、何があったのか

少女「っ」ギュッ

カンダタ「…え?」

少女「んん!」グイッ 

カンダタ「うわっ」ドサッ

カンダタ「俺をベッドに倒してどうすんのさ、ちょっと?大丈夫?」アセアセ

少女「…てください…」

カンダタ「え、何?聞こえない…」

少女「だいてください…」ボソ

カンダタ「」

52: 2011/10/23(日) 13:50:34.86 ID:xHcizIvW0
少女「だいて…ください」ウルウル

カンダタ「ちょ、なにを

少女「うっ…だいてくださいっ…ぐすっ…だ…てくださぃ…」ポロポロ

カンダタ(なんだ、どうなってんだ…)

少女「だいて…さいっぐすっ」ポロポロ

カンダタ(なんでそんなこと言うんだ)

少女「うっ…ううっ…くださ…ぐっす」ボロボロ

カンダタ(友達じゃなかったのか)

少女「くだ…ぃ…うっ」ボロボロ

カンダタ(なんでそんなに泣いてるんだ)

少女「だいて…くださ…うっ」ボロボロ」

カンダタ(なんで俺の息子は反応してるんだ…)

55: 2011/10/23(日) 14:05:34.67 ID:xHcizIvW0
カンダタ「!」ハッ

母『なんなら今夜は泊っていっても…』

カンダタ(まさか…あの優しそうな母親が?そんなはずは…)

カンダタ「なあ………お母さんに、言われたのか?」

少女「!」ビクッ

カンダタ「夕飯にも何か細工があったんじゃないか?」

少女「……」グスッ

カンダタ(なんてこった…)

カンダタ「やめてくれ…」

少女「」ビクッ

カンダタ「やめてくれ、こんなこと…友達だろ?」

少女「……」コク

カンダタ「大丈夫だから…何もしないから…こわがらなくていいから…」ヨシヨシ

少女「……うん」ぶわっ

カンダタ(なんてこった…)ナデナデ

56: 2011/10/23(日) 14:16:08.10 ID:xHcizIvW0
少女「ぐすっ…ぐすっ…」ギュッ

カンダタ「なにか温かい飲み物を持ってくるから、ここで待ってて」ナデナデ

少女「…」コクリ

カンダタ「良い子だ…」

……

カンダタ「貧しさが…こうさせたんだろうか…?」

カンダタ「あの優しそうな母親を、あのいたいけな少女を、こんな風にしてしまったのか…?」

カンダタ(そういえば、俺が盗賊を始めたのも、貧しさからだったな…)

カンダタ(なりふりかまってられなくて、明日生きるのが精いっぱいで…)

カンダタ(あの踊り子もそうだ、昔の俺やあの子ほどではないにしろ、全部このためだったんだ…)

カンダタ(こんなとき…)

カンダタ「こんなとき…世界を救ったあんただったら、この人たちをどう救うんだい?勇者さん…」

カンダタ「俺が本物の勇者だったら…この人たちを救えたのかな…?」

58: 2011/10/23(日) 14:27:04.01 ID:xHcizIvW0
~~~城

王「おお、勇者ではないか。久しいな」

カンダタ「はい。今日は折り入ってお願いをしたく参りました」

王「なんじゃ、なんなりと申してみよ!」ガッハッハ

カンダタ「…町にいる貧しい者たちの生活を、もう少し豊かにはしてやれんでしょうか?」

王「…」

カンダタ「王?」

王「…下がれ」シラー

カンダタ「はい?」

王「下がれと言っておる」

カンダタ「しかし王様っ!わた

王「あーあー!聞こえん聞こえん!!さっさと下がれ!」

カンダタ(腐ってる…)

59: 2011/10/23(日) 14:34:59.97
このカンダタもエミリネーターみたいな格好してんの?

63: 2011/10/23(日) 15:00:24.06 ID:xHcizIvW0
~~~町のはずれ

カンダタ「魔王が姿を消して、魔物が出なくなって…」

カンダタ「でも、本当に世界は救われたのか…?」

少女「勇者様…」ピョコ

カンダタ「うお…と、また突然現れるね、君は」

カンダタ「もう落ち着いた?」ナデナデ

少女「は、はい…あのときは…ごめんなさい…///」

カンダタ「もういいんだよ…」

カンダタ(あれから母親とも話をしとうとしたが、泣いて謝るばかりでどうにもならなかったな)

カンダタ「…勇者が…いや、俺が…救ったものって、なんだったんだろう」

少女「…?」

カンダタ「…いや、ごめん…忘れて」

65: 2011/10/23(日) 15:17:04.42 ID:xHcizIvW0
少女「わたしは…わたしは救われました…勇者様が魔物を追い払ってくれて…」

カンダタ「…」

カンダタ(違う…それは俺じゃない…違うんだ…)

カンダタ「………」

少女「勇者様?どうしたの…?」

カンダタ「…違う…」

少女「勇者様……?」

カンダタ「違う…俺は…俺はっ…!」

少女「…それに、いつもここにきて、私とお話をしてくれました」

少女「お家に遊びに来てくれました」

少女「あの夜、大丈夫だよって言って、抱きしめて頭をなでてくれました…」

少女「ありがとうございます、勇者さま…」ニコ

カンダタ「…」(…でも、でも俺は…そんなちっぽけなことしかできてない…)

カンダタ(この子の為に、他に俺に出来ることってなんだ?)

カンダタ(俺に出来ることは…)

68: 2011/10/23(日) 15:35:55.26 ID:xHcizIvW0
~~~城

王「何をやっておるか!城の宝物庫に侵入をゆるなど!」

兵士「はっ、申し訳ございません!」

王「魔物が消えて平和になったと思ったら、人間の盗人につけ入られるとは」グヌヌ



カンダタ「ふぅ、思ったよりチョロかったな」

カンダタ「俺の腕もまだまだにぶっちゃいないか」フフ

カンダタ(これは…きっと間違ってるんだ…)

カンダタ(これじゃあ俺は、本物の勇者になんかなれない…けど)

カンダタ(あの子を、そして昔の俺みたいな奴らを守るためには)

カンダタ(俺は、これをしよう…)

69: 2011/10/23(日) 15:38:40.55 ID:xHcizIvW0
~~~カンダタ邸

少女「勇者様!勇者様!朝起きたら、家の前にこんなにゴールドが!」バタン

少女「…勇者様?留守なのかな?」

少女「?なんだろうこれ…置手紙?私宛てだ…」

『少女へ 

 しばらく旅に出ようと思います。帰ってきたら、またお話をしましょう。

 それから―――



END



中途半端な終わらせ方で申し訳ない
つたない文だった上に色々煮詰まっちまった

読んでくれた皆さん、ありがとう

71: 2011/10/23(日) 15:40:50.29

74: 2011/10/23(日) 15:50:04.24
乙でした
なんか根本的なとこは丸投げな気もするから
きっと続きがあると信じてるよ

引用元: カンダタ「俺が…真の勇者…!?」