9: 2012/12/22(土) 02:55:12.39 ID:QA+JP2sY0
貴音「寝ているようですね、では今の内に」

雪歩「Zzz……」チラッ

雪歩(つい寝たふりをしちゃったけど、なにするんだろう?)

貴音「……」スッ

雪歩(あれは……水の入ったペットボトル?)

貴音「÷$638・$<^%〆%・♪○→&euro;#」

雪歩(ペットボトルを振り回しながら踊ってる!?)

貴音「……ツッコミがないということは本当に寝ているようですね」

雪歩(あ、危なかったよぅ……試されてたなんて)

貴音「ならば、今の内に」

雪歩(そんなに隠したいことって一体?)

貴音「……」スッ

雪歩(あれは……海亀の甲羅?)

10: 2012/12/22(土) 02:57:41.18 ID:QA+JP2sY0
貴音「ちょっと兄ちゃん、このコーラ飲まれへんで! どないなってんの!?」

雪歩(!?)

貴音「……ツッコミがないということは本当に寝ているようですね」

雪歩(あ、コーラと甲羅をかけた駄洒落だったんだ……)

貴音「ならば、今の内に」

雪歩(こんなツッコミにくい小芝居までして隠したいことって一体?)

貴音「……」スッ

雪歩(あれは……コアラのマーチの箱?)

11: 2012/12/22(土) 03:00:59.02 ID:QA+JP2sY0
貴音「元気があえばなんれもれきる! いーち! にーい! さーん! ツタンカーメンです」

雪歩(顎に当てて変なモノマネを始めた!?)

貴音「……ツッコミがないということは本当に寝ているようですね」

雪歩(ま、また試されてたんだ……うぅ、疑り深いなぁ)

貴音「では今の内に」

雪歩(でもこうなると何が何でも隠したいことを突き止めたい)

貴音「……」スッ

雪歩(あれは……うちわ?)

12: 2012/12/22(土) 03:04:54.84 ID:QA+JP2sY0
貴音「えーとうちわうちわ……あれ、うちわどこやったんやろか?」パタパタ

雪歩(仰いでる! 今手に持ってパタパタやってるよ! っていうかその関西弁何!?)

貴音「……ツッコミがないということは本当に寝ているようですね」

雪歩(危なかったぁ、今のは本当にツッコミそうになったよぅ……)

貴音「ならば、今の内に」

雪歩(もういい加減フェイントはないよね……四条さんは一体何をしようとしてるんだろう?)

貴音「……」スッ

雪歩(あれは……一升瓶?)

15: 2012/12/22(土) 03:10:48.64 ID:QA+JP2sY0
貴音「えーれふぁん、えーれふぁん♪ むーすこが長いのね、そーよ、たーざんのおーたけびよー♪」

雪歩(ダメエエエエ!! アイドルが一升瓶をそんなとこに当てて象さんはダメエエエエ!!)

貴音「……ツッコミがないということは本当に寝ているようですね」

雪歩(寝てないよ! ツッコミこらえるのに必氏だよ! 本当に四条さんはさっきから何してるの!?)

貴音「ならば、今の内に」

雪歩(もうフェイントはお腹いっぱいだよ! 早く済ませればいいのになんなの!?)

貴音「……」スッ

雪歩(あれは……カッターナイフ?)

18: 2012/12/22(土) 03:26:19.76 ID:QA+JP2sY0
サフッ。
そんな軽い音が、首筋の肉を切る音だと分かるまで随分と時間がかかった。
見上げれば、冷めた眼差しの四条さんが立っていた。

「あれ程騒いでいるのに、平気で寝ていられる訳がありません」

何かを告げているが、意識が散らばって意味を捉えられない。
ぬちゃり、と。
無意識に拭った首元は生温かく、粘つく水音が室内に響いた。

「さようなら、萩原雪歩。さようなら」

目の前が暗くなっていく。
声を出そうとしたが、そういえばさっきからまともに空気を吸えていない。
血に塗れ、震える指先を伸ばし……私は絶命した。

19: 2012/12/22(土) 03:26:52.02 ID:QA+JP2sY0
……

「!?……はっ、はっ、はっはぁ、はぁっ」
「目覚めましたか、萩原雪歩」

頬を冷や汗が伝う。
パジャマは寝汗でしとどに濡れ、目尻からは涙が溢れて止まらなかった。

「……怖い夢でも見ましたか?」

目の前に近付いてきた白魚のような指を、無意識の内に跳ね飛ばしていた。

「あ……ごめ、な、さ」
「いえ。怖がらせてしまったようですね、申し訳ありません」

言って、頭を下げる彼女。
夢。怖い夢、だった。そう、ただの夢。

「ごめん、なさい。怖い夢を見て、その、頭が混乱して」
「落ち着きなさい、萩原雪歩。もう夢は終わりましたよ」
「は、はいぃ……でも、あの、四条さん、私、四条さんの」
「萩原雪歩。夢は、並行世界の現実を覗き見たもの、という説があるのだそうです」
「……四条、さん?」

22: 2012/12/22(土) 03:34:03.23 ID:QA+JP2sY0
四条さんは手に持ったカッターナイフで、便箋の封を開けていた。

「わたくしは、常々ぱぱらっちなるものに悩まされてきました」

シュッ、シュッ。
紙が刃に裂かれる音が聞こえる。

「彼らは他人の秘密を暴くことが絶対の正義だとでも言うように、執念深くまとわりつきます」

シュッ、シュッ。
シュッ、シュッ。

「何者にもそのような勝手は許されないというのに……」

シュッ、シュッ。シュッ、シュッ。
シュッ、シュッ。シュッ、シュッ。

「雪歩、貴方もそう思いませんか?」

バラバラになった紙切れが、床の上に散らばった。

おわり

23: 2012/12/22(土) 03:38:27.28
コントかと思ったらホラーだったでござる

24: 2012/12/22(土) 03:39:55.27
つまり誰にでも隠したいことの一つや二つはあると

27: 2012/12/22(土) 04:12:30.29
なんなのなの……

28: 2012/12/22(土) 04:17:56.81
最後よくわからんけどつまり「並行世界でえーれふぁんしてる私を見たから頃します」ってことか

引用元: 貴音「…雪歩、萩原雪歩。まだ起きてますか?」ツンツン 雪歩「Zzz...」