1: 2013/08/28(水) 23:38:21.77 ID:0OcaSI+K0
一同「「「真/真ちゃん/真クン/まこちん」」」

一同「「「お誕生日おめでとう!」」」

真「みんな、ありがとう!」

春香「ケーキですよ、ケーキ!」

真「わぁ、すっごいや! 可愛くて食べるのがもったいないぐらいだね」

やよい「春香さんと雪歩さんと私で作りました!」

雪歩「えへへ、喜んでもらえたなら嬉しいな」

真「うん。三人ともありがとう!」


https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377700701/

2: 2013/08/28(水) 23:42:21.55 ID:0OcaSI+K0
亜美「よし、コヨイはブレーカーだ!」

小鳥「無礼講よ、亜美ちゃん」

真美「朝まで飲んで食べて騒ごうぜ!」

律子「ダメに決まってるでしょ」

あみまみ「「ノリ悪いよー!」」

真「あはは……あ、プロデューサー!」

P「おう、18歳の誕生日おめでとう、真」

真「ありがとうございます! 18歳って、全然実感ないですけど」

真「ボクって、ちゃんと大人になれてるのかな、って……」

P「そうか? 真はみんなのいいお姉さんになってくれてるよ」

真「お、お姉さんですか? お姉さん……へへっ///」

真「あの、プロデューサー……」

P「ん?」

真「ボク、18歳になったら……」

P「なんだ?」

真「うぁ……あの……///」

美希「あー! 真クン、誕生日だからって抜け駆けはズルイの!」

真「み、美希!? 別に抜け駆けなんてしてないよ!」

美希「信用ならないの! ほら、二人ともこっち来て!」

P「ははは、わかったわかった」

真「うぅ、もう……」


しょうがないなぁ、明日でいいか。

18歳になったら、絶対に言おうって決めてたからね。


ボクの気持ちを、プロデューサーに……。

3: 2013/08/28(水) 23:44:10.56 ID:0OcaSI+K0
 ── 翌朝 765プロ事務所 ──


18歳かぁ……お酒はまだダメだけど、ボクももう大人なのかな。

可愛い女の子には……ちょっとなれなかったかもしれないけど。

でもいいんだ! これからは素敵な大人の女性を目指すんだから!


プロデューサーも、ボクのことみんなのいいお姉さん、って……。

ちゃんと、女の子? ううん、女の人? として見てくれてるってことだよね。

うはっ/// 照れちゃうなぁ///


 ガチャ

真「おはようございます!」


あれ? 誰もいないのかな?

鍵が空いてたから、プロデューサーか小鳥さんはいるはずだけど。


P「zzz……」


あ、プロデューサー……机で寝ちゃってる。

どうしよう? 起こしたほうがいいのかな?

起こして……。

今なら誰もいないし、昨日言えなかったことを……。


だ、ダメダメ! プロデューサー疲れてるんだから。

こんなときぐらい、少しでも休んでもらわないと。

4: 2013/08/28(水) 23:45:33.90 ID:0OcaSI+K0
真「大変ですよね。9人もアイドルを支えて……」

真「それなのに、ボクたちには少しも辛そうな素振りなんて見せないで……」

真「ボクがもうちょっと大人だったら、少しは頼ってくれましたか?」

真「……」

P「zzz……」

真「へへっ、油断しすぎです」

真「いたずらしちゃいますよ~?」

P「ん……zzz……」

真「嘘です……そんなことしません」

真「いつもありがとうございます、プロデューサー」

P「zzz……」

真「……」

真「ボクは、プロデューサーのこと……」


ううん、こんなの違う。

今言ったって、気持ちを伝えたつもりになって、それで自己満足するだけだ。

ちゃんと伝えなきゃ。

大切なことなんだから……。

5: 2013/08/28(水) 23:48:31.24 ID:0OcaSI+K0
ふぅ……なにか飲もうかな。

お茶は……ボクが淹れると渋くなるんだよなぁ。

雪歩はなんであんなに美味しく淹れられるんだろ?


とりあえずコーヒーでいいか。

あ、だったらプロデューサーの分も淹れよう。

少しは女らしいところもアピールしないとね。へへっ。


真「え~と、コーヒーコーヒーと……あった」

真「わぁ~、いい香りだなぁ」


粗挽き? ああ、なんか聞いたことあるかも。

でも、こんなのお湯に溶けるのかな?

前に律子が淹れてたのとは、全然違う気がするけど……。


ま、いっか。なんでもやってみないとね!

眠気覚ましには濃いほうがいいだろうから……よし、いっぱい入れよう!


 ザザー

真「お湯を注いで……」

 ジャー

真「かき混ぜれば……」

 シャカシャカ

真「……」

 シャカシャカシャカシャカ…

真「あれ? 溶けないぞ?」

6: 2013/08/28(水) 23:50:33.26 ID:0OcaSI+K0
おかしいなぁ。

コーヒーっぽい色にはなってるのに、なんで具入りみたいになってるんだろ?

粗挽きっていうぐらいだから溶けにくいのかな?


よし、すりつぶそう!

そうすれば溶けやすくなるよね!

 ゴリゴリ…

 ゴリゴリゴリゴリ…

うん、だいぶ粉っぽくなった。

さっきより少なめにして、お湯を注げば……。

 ジャー

これなら溶け……てるの、これ?


なんだか、すごくドロドロで毒々しい液体だなぁ。

僕の知ってるコーヒーとは違う気がするけど……。

で、でも、これなら眠気なんて一発で覚めるよね!


それじゃ、ボクの分も淹れて……。


 <ガチャ

 <オハヨウゴザイマス…オヤ?


誰か来た? あ、貴音か。

あ~あ、事務所じゃなかなか二人っきりってわけにはいかないかぁ。

でも、ちょうどいいや。

コーヒー冷めちゃったら美味しくないし、そろそろプロデューサーを起こそう。

7: 2013/08/28(水) 23:53:12.74 ID:0OcaSI+K0
貴音「あなた様。そのような姿勢では、休んでも疲れが取れませんよ」

P「zzz……」

貴音「ふむ……では」


貴音、なにしてるんだろ?

プロデューサーに……え!? 後ろから抱きついた!?


貴音「体を起こして……えいっ!」

 グイッ


こ、これは!?

貴音が後ろから支えて……。

 ポフッ

プロデューサーの頭が90に! 90に埋もれて!


貴音「ふふっ、貴音枕です」

真「!?」

貴音「む! 何奴!?」

真「」ビクッ

貴音「……」

真「……」

P「ぅ……zzz……」

貴音「……わたくしとしたことが、気のせいでしたか」

8: 2013/08/28(水) 23:57:24.16 ID:0OcaSI+K0
ボク、いま声出してないよね?

思わず隠れちゃったけど……気配で他人がわかる人なんて初めて見た……。

すごいなぁ……どうすればそんな達人みたいなことができるんだろ?

今度教えてもらおうかな……。


じゃなくて!


貴音「日頃から、このように素直に休んでくれればいいのですが……」

貴音「起きているときは、なにを言っても聞き流してばかりで……」

P「ん……zzz……」

貴音「今だけは……ゆっくりお休みください」


貴音……。


貴音「わたくしの胸の中で……」


ぐっ……!

なんだろう、この敗北感は。


ボクが同じことをしたら……。

 ペタペタ

ちくしょう……。

9: 2013/08/29(木) 00:00:23.16 ID:inbDNLsx0
真「……」

貴音「さて……そろそろ姿を見せたらどうですか?」チラッ

真「ひっ!?」

貴音「やはりあなたでしたか、真」

真「あ、あはは……おはよう」

貴音「おはようございます。ふふふ……」

真「……」

貴音「どうかしましたか?」

真「い、いや! なんでも!」

貴音「ふふっ、おかしなこと」

真「あはは……」

貴音「……」

真「……」

貴音「今見たこと……他言無用ですよ?」ニコッ

真「う、うん! 絶対に誰にも言わないよ!」

貴音「よい心がけです」ニコニコ

真「どういたしまして……」

貴音「ふふふ……」

真「……」ゾクッ


765プロの仲間が、初めて怖いと思いました……。

10: 2013/08/29(木) 00:02:40.88 ID:inbDNLsx0
P「ん……くぁ……!」

 ムクッ

真「あ、プロデューサー起きましたか?」

P「ん……おお」

P「真と貴音か、おはよう」

真「おはようございます!」

貴音「おはようございます、あなた様」

P「あ~……寝ちゃってたか」

真「もう少し休んでたほうがいいんじゃないですか? ボクが起こしますよ」

P「いや、朝のうちにやっておくことがあるんでな」

真「そうですか……」

P「時間になったら現場に送るから、二人ともそれまで適当にくつろいでいてくれ」

真「はい」

貴音「かしこまりました」

11: 2013/08/29(木) 00:04:56.15 ID:inbDNLsx0
貴音「おや? あなた様、おぐしが……」

P「ん? 寝ぐせか?」

貴音「はい。こちらが……」

 サッ…サッ…

P「お、おい。いいよ、自分でやるから」

貴音「遠慮なさらず」

P「遠慮っていうか……」

真「……」


貴音にこんなことされたら、男の人はたまらないだろうなぁ……。

ボクが同じことをやったって……女の子ぐらいしか喜んでくれないよね。


それにしたって……。

プロデューサー、デレデレしすぎです!

もう……!


P「も、もういいから。ありがとな貴音」

貴音「礼には及びません」

12: 2013/08/29(木) 00:07:10.96 ID:inbDNLsx0
貴音も、やっぱりプロデューサーのこと……なのかな?

美人だし、あずささんと同じぐらい……すごいし。

ボクなんて、なにひとつ勝てないよな……。


でも、ボクとひとつしか違わないのに大人だと思ってたけど……。

貴音枕とか……あはは。

ちょっと可愛いかも。


貴音「……」ジー

真「!?」

貴音「忘れさせて……あげましょうか?」

真「うん、忘れた! いえ、なにも見てません!」

貴音「ふむ……」ジー

真「……」ゴクッ

貴音「まあ、それはいずれ……」

真「えぇ!?」

P「なんの話だ?」

貴音「なんでもありませんよ。ふふっ」

真「あは、は……」

貴音「では、わたくしは向こうにいます」

P「おう」

真「はぁ……」

13: 2013/08/29(木) 00:08:55.89 ID:inbDNLsx0
P「ん~~~!さて、遅れを取り戻さないと……ん?」

真「ん?」

P「なんだか、コーヒー豆をぶちまけたみたいな匂いが……」

真「あ! ボク、コーヒー淹れたんです! よかったら」

P「え? 真が?」

真「むっ。どういう意味ですか?」

P「いやいや、せっかく真が淹れてくれたんだ。ありがたくいただくよ」

真「えっ、あ……はい、どうぞ」

P「いただきま……あ~、これは匂いだけで眠気が吹っ飛ぶな」

P「飲んだら意識も吹っ飛びそうだ……」

真「な、なにか変でしたか?」

P「コーヒー豆はな、お湯には溶けないんだよ」

真「え? でも、前に律子が……」

P「それはインスタントだな」

真「違うものなんですか!? ボク、そんなことも知らないで……」

P「まあ、よほど好きじゃないと、わざわざ豆から落とさないだろうからな」

真「……」

14: 2013/08/29(木) 00:11:10.91 ID:inbDNLsx0
P「できれば飲んでやりたいんだが……これはさすがに体に悪いな」

真「ごめんなさい……」シュン


なにやってんの、ボク……。

こんなの、女らしいとか以前の問題だよね……。


P「せっかく淹れてくれたのに、すまないな」

真「いえ、ボクが悪いんですから……」

P「今度一緒にコーヒーを淹れよう。やり方ぐらいは知ってるから」

真「え……?」

P「真なら、すぐに美味いコーヒーが淹れられるようになるよ」

真「ボクが……?」

P「ああ、真さえよければな」

真「は、はい! お願いします!」


失敗しちゃったのは恥ずかしいけど……怪我の功名っていうのかな?

プロデューサーと一緒に……へへっ、嬉しいな///


絶対に美味しいコーヒーを淹れられるようになりますからね!

今度こそ、プロデューサーに飲んでもらうんだから!


プロデューサーに……。

15: 2013/08/29(木) 00:13:07.60 ID:inbDNLsx0
よ、よし! 貴音は向こうに行ってるし、今なら二人きりで話せるはず。

とっくに覚悟は決まってるんだ。

あとはプロデューサーに伝えるだけ。


たぶん、ボクの望むような結果にはならないと思うけど……。

自分で決めたことだから!


 ガチャ

小鳥「おはようございます」

P「おはようございます、音無さん」


伝えるだけなんだけどなぁ……。


小鳥「あら、真ちゃんと……貴音ちゃんも。今日はずいぶん早いのね」

真「はい、プロデュ……じゃなくて! 朝から収録なんです」

小鳥「みんな、もう売れっ子ねぇ」

真「ボクなんて、まだまだ……」

P「そんなことないぞ。最近は男性ファンもだいぶ増えたじゃないか」

真「そ、そうですね……へへっ」

小鳥「真ちゃん可愛いもの。当然ですよ」

真「かゎ……///」

P「たしかに、こういうところが真の可愛いところですね」

小鳥「ね~」

真「もう! からかわないでください!」

小鳥「うふふ♪」

P「はは」

真「もう……///」

16: 2013/08/29(木) 00:15:11.84 ID:inbDNLsx0
小鳥「あ、私お茶淹れてきますね」

真「……」

P「お願いします」

小鳥「真ちゃんと……え~と、貴音ちゃ~ん」

貴音「なんでしょう?」

小鳥「お茶飲む?」

貴音「いただきます」

小鳥「お煎餅があったはずだから、お茶請けに出すわね」

貴音「なんと……!?」グゥ~

貴音「あ、いえ……お茶にはやはりお煎餅ですね」グゥ~

小鳥「あら、うふふ」

P「お~い貴音。アイドルなんだから、こっちまで聞こえるような腹の虫はダメだぞ」

貴音「あなた様、それはいけずです……」

小鳥「急いで用意するわね~」


小鳥さんか……。

意外となんでもできる人なんだよなぁ。

お料理だって上手だし。

ボクなんて、コーヒーひとつで失敗しちゃうぐらいなのに……。


たまに理解できないことを口走るけど……。

あの薄い変な本?のコレクションも、どうかと思うけど……。

美人だし優しいし、素敵な大人の女性だよね。


小鳥さんはプロデューサーのこと、どう思ってるんだろ?

プロデューサーは小鳥さんのこと……?

この二人は全然わからないよ……。

17: 2013/08/29(木) 00:18:05.82 ID:inbDNLsx0
小鳥「はい、貴音ちゃん。お茶とお煎餅お待たせ」

貴音「まるでわたくしが急かしたようではないですか」グゥ~

小鳥「うふふ、体は正直よね~」

貴音「はて、なんのことか……いただきます」

小鳥「はい、プロデューサーさんと真ちゃんも」

P「お、ありがとうございます」

真「いただきます!」

小鳥「それじゃ私も……」

P「うん?」

小鳥「はい?」

P「俺と音無さんの湯呑が入れ替わってるんですけど?」

小鳥「え? あらら、いっけな~い。ウッカリシテタワー」

P「そうですか、うっかりですか……はい」

小鳥「は~い。こっちがプロデューサーさんのでしたね~」

P「まったく……なにか変なものは入ってないでしょうね?」

小鳥「え~? 私をなんだと思ってるんですか~?」

小鳥「それはちょっとひどいですよ~」

P「どの口が言うんだか……」

小鳥「えへへ」


なんか、無性に腹立つのはなんでだろ……。

……。

ううん、気のせいだよね!


この二人は、やっぱりよくわからないけど……。

こういう関係……ちょっとだけ羨ましいな。

18: 2013/08/29(木) 00:20:24.28 ID:inbDNLsx0
プロデューサー、忙しそうだな……。

全然話しかけられないや……。

今日こそは、って……思ってたのに。

ボク、なんでこんなに間が悪いんだろ……。


P「よし、終わり!」

真「!」


い、今だ!

で、でも、ここじゃ小鳥さんががいるから……。


真「ぷ、プロデューサー!」

P「なんだ、真?」

真「ちょっと顔を貸してください!」

P「えっ」

真「えっ」

小鳥「……」

真「あ、あぁ……」

P「な、なに? 俺シメられちゃうの?」

真「ち、ちがっ……!」

P「え?」

真「なんでもないです……」

 トボトボ


ケンカ売ってどうするんだよ、ボク……。

まだなにも言えてないのに、こんなんじゃ嫌われちゃうよ……。

19: 2013/08/29(木) 00:23:23.60 ID:inbDNLsx0
 ── 律子・あずさin ──


律子「あ、プロデューサー殿。昨日の企画書の件なんですが……」

P「ああ、どうだった?」

律子「スポンサーは好印象だったんですが、あちらのディレクターが……」

P「あの人はなぁ……」


また仕事の話かぁ。

プロデューサー、休んでる暇あるのかな。


P「今日、時間見て挨拶してくるよ」

律子「お願いします。あの企画はどうしても通したいですから」

P「わかってる。任せろ」


律子はすごいよなぁ。

ボクとふたつしか違わないのに、プロデューサーと対等に仕事できるんだもん。

プロデューサーだって、たぶん律子のこと一番信頼してるよね。


もしボクが律子より年上だったら……?

ボクが一番になれた?

ううん、そういうことじゃないって、わかってる……。

20: 2013/08/29(木) 00:27:30.96 ID:inbDNLsx0
あずさ「あら、どうしたの真ちゃん?」

真「いえ、なんでも……」

あずさ「?」


あずささんは……反則だよなぁ。

大人の女性としてほぼ完璧な人なのに、その上すごく可愛いなんてさ。

貴音とか律子ならあずささんにだって負けないだろうけど、ボクなんか……。


律子「あずささん、ちょっといいですか?」

あずさ「あ、は~い」ドタプーン

真「……」


歩いただけで……。

あ、足元が見えないのは危ないよね!

ボクなんて足元の視界バッチリだし、運動の邪魔にもならないし!


それに……小さいほうが可愛い服だって多いもんね!

春香とか雪歩のほうが、そういうの似合うけど……。

そのくせボクよりも……大きいってどういうこと?


で、でも、大きいと肩がこるっていうし。

大変そうだよね、肩こり。なったことないからわからないけど!


律子「ふぅ……」トントン

あずさ「律子さん、肩こりですか? 私も最近ひどくて……」

小鳥「辛いですよね~、肩こり」コキコキ

貴音「なるほど、この肩の違和感が……」

真「くっ……!」


心が折れそうだ……。

ここに美希が来たら、ボクはもうダメかもしれない……。

21: 2013/08/29(木) 00:31:23.68 ID:inbDNLsx0
あずさ「真ちゃん、真ちゃん!」

真「は、はい? なんですか、あずささん?」

あずさ「この雑誌で紹介されてるカフェって、このあいだ真ちゃんと雪歩ちゃんがロケで行ったお店よね?」

真「そうです! ここのケーキ、すごく美味しかったんですよ!」

あずさ「いいわねぇ、私も行ってみたいわ~」

真「じゃあ、今度みんなで行きますか?」

貴音「参りましょう、ぜひ」ズイッ

真「うわっ!?」

あずさ「あらあら~」

貴音「けぇき……なんと甘美なる誘惑……」

真「あはは……簡単に背後を取られると、ボク自信なくしそうだよ」

貴音「?」

真「プロデューサーと律子と小鳥さんも一緒にどうですか?」

P「う~ん……甘いものは嫌いじゃないけど、わざわざ食べに行くほどでもなぁ」

真「でも、ほんとに美味しいんですよ」

律子「私はパス」

真「えぇ? なんで?」

律子「……聞かないで」ボソッ

真「なに? 聞こえな……」

律子「聞かないで!」バンッ

真「は、はい! ごめんなさい……」

22: 2013/08/29(木) 00:33:27.97 ID:inbDNLsx0
真「小鳥さんは?」

小鳥「私もスイーツは好きだけど……大人には大人の嗜みが、ね」

真「大人の?」

小鳥「というわけで、今夜にでもどうですか?」

あずさ「あら、うふふ。ちょうど大人組が揃ってますね」

小鳥「いうなれば……そう! 765プロ合法部!」

P「合法部って……」

律子「そんないかがわしい集団の一員なんて、思われたくないんですけど……」

小鳥「健全ですよ! 合法なんですから!」

律子「はいはい……」

P「まあ、あずささんと音無さんだけじゃ不安だから、つきあいますよ」

P「なあ、律子?」

律子「……」

小鳥「20歳以上は強制参加だから、抵抗しても無駄ですよ?」

律子「……」

あずさ「律子さんも、諦めが良くなりましたね~」

律子「……」

貴音「ふむ……まだお酒は飲めませんが、わたくしも興味がありますね」

小鳥「あら、貴音ちゃんも大人の世界を覗いちゃう?」

貴音「面妖な……」


18歳って、大人なのか子供なのかよくわからない年齢だよね。

20歳にならないと出来ないことのほうが多いし。

23: 2013/08/29(木) 00:35:36.12 ID:inbDNLsx0
そういえば、貴音はボクより誕生日が後だから、まだ18歳なんだ。

うん、立場は同じじゃないか。

だったらボクだって!


真「ぼ、ボクも!」

小鳥「え?」

真「ボクも参加したいな、って……」

P「真はダメだ」

真「ど、どうしてですか? 貴音だって……」

P「真はまだ高校生だろ」

真「あ……」

あずさ「そうね。もうちょっとだけ待ってから、一緒に行きましょうね?」

真「……」


わかるけど……。

貴音は大人で、ボクは子供?


真「ボクだって、もう子供じゃ……」

P「そんなことを言ってるようじゃ、まだ子供だ」

真「……!」


やっと……やっとプロデューサーと対等の立場になれたと思ったのに……。

高校を卒業したら、大人って認めてくれるんですか?

そこまで待っても、次は20歳じゃないから……?


20歳になったって、どうせ……。

どうせ、ボクのことなんてずっと子供扱いなんでしょ!?

24: 2013/08/29(木) 00:37:43.59 ID:inbDNLsx0
真「ボクだって合法です!」

律子「は?」

あずさ「え?」

貴音「?」

小鳥「んなっ!?」

P「お、おう……」

真「あれ?」

律子「真……それはちょっと」

小鳥「はっ! 閃いた!」

律子「閃くな」

P「忘れろ」

小鳥「ぐぬっ……!」

真「あ、ああ……」


うあぁぁぁぁ……! なに言ってんのボク!?

人前でこんな自己主張する人、どこにいるのさ!?


あ、ここにいた……。


真「……」プルプル

P「お、おい……真?」

真「うわあぁぁぁぁん!!」

 ダッタタタッ…

P「真!?」

25: 2013/08/29(木) 00:39:21.18 ID:inbDNLsx0
 ── 児童公園 ブランコ ──


 キィ……キィ……

みんなの前で、あんな……。

最悪だよ……。

もう事務所に戻りたくない……。


真「今日はもう休んじゃおうかな……」

P「それは……ゼェ……困るな……ハァ……」

真「ふわっ!? プロデューサー!?」

P「おう……スゥゥ……ハァァ……」

真「だ、大丈夫ですか?」

P「真のペースを追って走ったからな……氏ぬかと思った」

真「そこまでして追ってこなければいいじゃないですか……」

P「そういうわけにはいかないだろ」

P「お、ブランコか、懐かしいな。よ……っと」

真「……」

26: 2013/08/29(木) 00:41:25.66 ID:inbDNLsx0
P「大人でも座れるものなんだな」

 キィ……キィ……

真「ボクのことなんか放っておいてくださいよ」

P「放っておけるわけないだろ」

真「仕事があるからですか?」

P「は?」

真「そうですよね、どうせ……」

P「仕事があってもなくてもだ。俺はプロデューサーだぞ」

真「わかってますよ! プロデューサーはみんなのプロデューサーですからね!」

真「ボクのせいで、みんなに迷惑がかかるっていうんでしょ!?」

 ギィ…ギィ…

P「みんなに迷惑をかけたいのか?」

真「そんなわけないでしょ!」

P「だったら、子供みたいに聞き分けのないことを言うんじゃない」

真「子供ですよ……ボクなんて!」

P「……」


なにが大人の女性だよ……!

18歳になったらなんて……勝手に思い込んでただけじゃないか。

バカみたいだ……。

27: 2013/08/29(木) 00:42:40.86 ID:inbDNLsx0
真「うっ……ひぐっ……」グスッ

真「うぁ……うぅ……」ポロポロ

P「……」

真「み……見ないで、ください……」ポロポロ

P「見てないよ」

真「ひぐっ……ほんと、ですか……?」ポロポロ

P「ほんとに」

真「……」チラッ

P「……」

真「見てるじゃないですか……」

P「のヮの」

真「……怒りますよ?」

P「似てなかったか……」

真「似せようとしてたんですか!?」

P「春香には内緒な?」

真「できればボクも忘れたいぐらいです……」

P「そこまで言わなくても……」

真「……」

P「……」

真「バカ……」

P「ん?」

28: 2013/08/29(木) 00:44:30.06 ID:inbDNLsx0
真「プロデューサーのせいで、泣いてるのがバカバカしくなりました」

P「そっか、俺のせいか」

真「仕事の前に、もうちょっと発散しておきたかったんですけどね」

P「できれば、そうさせてやりたいんだけどな」

真「もう時間ないですよね?」

P「そうだな。少し急がないと」

真「走りますか?」

P「やめてくれ。今度こそ倒れる」

真「もう、だらしないですよ! 今度ボクと一緒に走り込みして鍛えましょうね」

P「ああ、今度な。そのあと一緒にコーヒーでも淹れるか?」

真「え? あ……はい///」

真「へへっ、約束ですからね!」

P「おう、約束だ」

真「えへへ……///」


ボクって単純だなぁ……って自分でも思うけど。

でも、いいや。

嬉しいことを嬉しいって思えるほうが幸せだもんね!

29: 2013/08/29(木) 00:46:28.43 ID:inbDNLsx0
P「歩きながら……少し話すか」

真「はい……あの」

P「なんだ?」

真「ボク、どうしてもプロデューサーに話したいことがあって……」

真「昨日から、なかなか言い出せなかったんですけど……」

P「……」

真「18歳になったら、きっと言おうって決めてたんです!」

P「18歳になったらか」

真「はい! ボクは……」

P「その前に俺からいいか?」

真「え? ええ!?」


ま、また言えないの!?

プロデューサーと二人っきりなんて、今しかないのに……・


P「俺もな、真が18歳になったら言おうと思ってたことがある」

真「へ?」


プロデューサーも? ボクが18歳になったら?

このタイミングでなんて……ええ!? まさか!?

30: 2013/08/29(木) 00:48:15.36 ID:inbDNLsx0
ど、ドキドキがやばい……。

顔に出てない……わけないよ! 絶対真っ赤だよ、ボク!

どうしよう……こ、こここ、こ告白されちゃったら……。


P「ほんとはな、昨日の誕生日までに真をトップアイドルにするつもりだったんだ」

真「とっ……え?」

P「そうできなかったのは、俺の力不足だ」

真「い、いえ、そんなこと……」


あ……ああ、なんだ。結局仕事の話か。


そうですよね! あのプロデューサーですからね!

別に期待してたわけじゃ……ありますよ! まったくもう!

鈍感! 朴念仁!

31: 2013/08/29(木) 00:50:34.37 ID:inbDNLsx0
「トップアイドルに育てることが、俺なりのけじめだったんだ」

真「けじめ?」

P「真に告白するためのな」

真「はあ、告白ですか…………告白ぅ!?」

P「驚きすぎだろ」

真「だ、だって……告白って?」

P「言ったぞ。たぶん真が考えてる通りの意味でな」

真「そ、そんな急に……///」

真「……って、あれ?」

P「どうした?」

真「するつもりだったってことは……?」

P「ああ、保留だ」

真「ええぇぇぇ!?」

P「少し落ち着け」

真「だって!」


少女漫画だったら、今まさにクライマックスですよ?

さあ、いよいよ次回! ってところで長期休載やられた気分ですよ!

いくらなんでも、乙女心をわかってなさすぎです!

32: 2013/08/29(木) 00:51:49.93 ID:inbDNLsx0
P「こればっかりはな。最低限のけじめとして決めてたことだ」

真「それならボクだって……」

真「18歳になったからって、大人になれたわけじゃないですけど……」

P「……」

真「でも、それがひとつのけじめだから、絶対に言おうって決めてたんです!」

P「ダメだ」

真「どうして!?」

P「その先を言って……アイドルを続けられるか?」

真「それは……!」


たぶん無理……。

プロデューサーの気持ちを……はっきりとじゃないけど知っちゃったから。

ボクはそんなに器用に、プライベートとアイドルを分けて振る舞えない。

それは自分でもわかってる。


P「少なくとも、俺は真のプロデューサーを続けられないな」

真「え……?」


なんで……そんなこと言うんですか?

イヤですよ、そんなの……。


絶対イヤです!

33: 2013/08/29(木) 00:53:06.33 ID:inbDNLsx0
P「真が可愛いくて、俺のほうが我慢できそうにない」

真「そんな言い方…………え?」

P「ん?」

真「……」

P「……」

真「……///」

P「どうした?」

真「……ズルいです///」

P「なにが?」

真「そういうのにボクが弱いと思って……///」

P「心外だな。正直に話したのに」

真「そんなこと言ってもごまかされませんからね///」

P「うん、やっぱり真は可愛いなぁ」

真「ぅぁ……///」

P「ん?」

真「プロデューサーのイジワル!///」

P「ははは」

34: 2013/08/29(木) 00:54:59.35 ID:inbDNLsx0
P「少し急ぎすぎたな」

真「え?」

P「あと一年待ってくれるか?」

真「あと一年? 次の誕生日ですか?」

P「ああ、それまでに真をトップアイドルにして……」

P「今度こそちゃんと告白するよ」

真「……」

P「ダメか?」

真「ボクの告白も、今度は聞いてくれますか?」

P「もちろん」

真「それ以上は待てないですよ?」

P「そこまで甲斐性無しじゃないよ」

真「ボクをほったらかして、他の娘となんて……」

P「ないない」

真「え~と、え~と、それから……」

P「まだあるのか?」

真「あ、そうだ!」

P「なんだ?」

真「ボクのこと、まこりんって呼んでください!」

P「ごめん、それは無理」

真「なんでですかー!」




───

──



35: 2013/08/29(木) 00:57:03.74 ID:inbDNLsx0
 ── 一年後 8月29日 ──


真「プロデューサー!」

P「おう、パーティーもそろそろお開きかな」

真「そうですね、もう遅いし」

P「律子と手分けしてみんなを送らないとな……」

真「その前に、なにか忘れてません?」

P「?」

真「もう! ボク、さっきから待ってたのに!」

P「わかってるよ。忘れてません」

真「だったら……」

真「この一年で、ちゃんとトップアイドルになったんですからね」

P「うん」

真「もう言い訳は聞きませんよ?」

P「しないよ、そんなこと」

真「今からボクのことはまこりんで!」

P「はいはい、まこりんまこりん」

真「愛がない!」

P「それは誤解だ」

真「へへっ、わかってますよ」

37: 2013/08/29(木) 00:58:40.98 ID:inbDNLsx0
P「よし! せっかくだから、みんなの前で発表するか」

真「はい! ……はい!?」

P「コソコソするよりはいいだろ?」

真「それはそうですけど……」

P「けど?」

真「もう、わかりましたよ!」

P「うん。じゃあみんなを……」

真「その前に」

P「ん?」

真「一年も待ったんだから、今日はボクのほうが先に言います」



ボクはプロデューサーが大好きです!

これからも、ずっと!




おわり

38: 2013/08/29(木) 00:59:43.57
まこりん可愛いわ
乙乙!

39: 2013/08/29(木) 00:59:54.69
乙なの

引用元: 真「ボクだって合法です!」