1: 2020/07/31(金) 20:00:11.256 ID:R321kJb40
男「ふぅ……」
友人「どうしたんだ、落ち込んで」
男「俺さ、彼女と別れることにしたわ」
友人「え、なんで? お前あんなにベタ惚れしてたじゃん!」
男「まあな……」
男「だけど、あんなことされちゃ、百年の恋も冷めちまったよ……」
友人「いったいなにがあったんだよ」
友人「どうしたんだ、落ち込んで」
男「俺さ、彼女と別れることにしたわ」
友人「え、なんで? お前あんなにベタ惚れしてたじゃん!」
男「まあな……」
男「だけど、あんなことされちゃ、百年の恋も冷めちまったよ……」
友人「いったいなにがあったんだよ」
3: 2020/07/31(金) 20:04:09.455 ID:R321kJb40
男「彼女、よくデートに遅刻するんだよ」
友人「時間にルーズってことか」
友人「どんくらい? 10分? 20分?」
男「そんなもんじゃない。1時間2時間は当たり前。6時間待ったこともあった」
友人「6時間!?」
友人「時間にルーズってことか」
友人「どんくらい? 10分? 20分?」
男「そんなもんじゃない。1時間2時間は当たり前。6時間待ったこともあった」
友人「6時間!?」
4: 2020/07/31(金) 20:07:31.787 ID:R321kJb40
友人「お前、6時間なにやって過ごしてたんだよ!」
男「えーと、一人しりとりとか、一人ジャンケンとか、一人指相撲とか」
友人「スマホという文明の利器を生かせよ」
男「スマホで6時間潰すのは無理だろ」
友人「お前の遊びの方が……。それより一日の1/4が潰れてんじゃねえか……なんで帰らないんだよ」
男「いや、帰るとメチャクチャ恨まれるし。どんな報復があるか分からない」
友人「逆恨みだろそれ……そりゃ別れるわ」
男「いや、だけど遅刻癖に関しては、別れるほどムカついたわけじゃないんだよね」
友人「え、違うの?」
男「一人しりとりや一人ジャンケンって極めると楽しいし」
友人「お前なら5億年ボタンも耐えられちゃうかもな……」
男「えーと、一人しりとりとか、一人ジャンケンとか、一人指相撲とか」
友人「スマホという文明の利器を生かせよ」
男「スマホで6時間潰すのは無理だろ」
友人「お前の遊びの方が……。それより一日の1/4が潰れてんじゃねえか……なんで帰らないんだよ」
男「いや、帰るとメチャクチャ恨まれるし。どんな報復があるか分からない」
友人「逆恨みだろそれ……そりゃ別れるわ」
男「いや、だけど遅刻癖に関しては、別れるほどムカついたわけじゃないんだよね」
友人「え、違うの?」
男「一人しりとりや一人ジャンケンって極めると楽しいし」
友人「お前なら5億年ボタンも耐えられちゃうかもな……」
7: 2020/07/31(金) 20:10:06.347 ID:R321kJb40
男「それとスマホといったら、彼女デート中ずっとスマホいじってんだよね」
友人「あーいるいる。そういう奴。ゲームでもやってんのかな?」
男「俺としても、デートを楽しみたいわけだから、話しかけるワケよ」
男「なにやってんのーってさ」
友人「当然だな」
男「そしたら、ものすごい勢いでキレるんだよ。目覚まし時計のベルみたいな勢いで」
友人「ひでえな、それ……」
友人「あーいるいる。そういう奴。ゲームでもやってんのかな?」
男「俺としても、デートを楽しみたいわけだから、話しかけるワケよ」
男「なにやってんのーってさ」
友人「当然だな」
男「そしたら、ものすごい勢いでキレるんだよ。目覚まし時計のベルみたいな勢いで」
友人「ひでえな、それ……」
9: 2020/07/31(金) 20:13:26.314 ID:R321kJb40
友人「6時間待たされてそれじゃ、やってらんないだろ」
友人「百年の恋も冷めるってもんだ」
男「いや……スマホいじりも許せないってほどじゃないんだ」
友人「へ?」
男「今って道歩けばみんなスマホいじってるし、彼女だけが特別ってほどでもないし」
友人「結構特別だと思うけど……」
友人「百年の恋も冷めるってもんだ」
男「いや……スマホいじりも許せないってほどじゃないんだ」
友人「へ?」
男「今って道歩けばみんなスマホいじってるし、彼女だけが特別ってほどでもないし」
友人「結構特別だと思うけど……」
11: 2020/07/31(金) 20:16:15.856 ID:R321kJb40
男「あと、彼女やたらゲップするんだよね」
友人「あー、キツイな」
男「デート中……だいたい10発はする」
友人「多いな。半日デートするとして、一時間に一発ってところか」
男「いや、分間10発ぐらいやってる」
友人「は?」
友人「あー、キツイな」
男「デート中……だいたい10発はする」
友人「多いな。半日デートするとして、一時間に一発ってところか」
男「いや、分間10発ぐらいやってる」
友人「は?」
13: 2020/07/31(金) 20:19:54.249 ID:R321kJb40
友人「分間10発って、えぇと一分間に10発ゲップするってこと?」
男「そう」
友人「それをデート中ずっと?」
男「その通り」
友人「いや、それは無理だわ……百年どころか千年の恋も冷め――」
男「まあ、ゲップぐらいスルーすんのが彼氏の度量だと思うけど」
友人「スルーすんの!?」
男「そう」
友人「それをデート中ずっと?」
男「その通り」
友人「いや、それは無理だわ……百年どころか千年の恋も冷め――」
男「まあ、ゲップぐらいスルーすんのが彼氏の度量だと思うけど」
友人「スルーすんの!?」
14: 2020/07/31(金) 20:23:03.821 ID:R321kJb40
男「ただ鼻ほじり、あれはつらい」
友人「鼻までほじんの?」
男「思い切りほじる。人差し指を根元まで入れるぐらいほじる」
友人「根元って……ほじったらヤバイもんまでほじれちゃうだろそれ」
男「しかも取った鼻クソを食べるんだよ。クチャクチャって」
友人「気持ち悪くなってきた」
男「ま、これも許せないってほどじゃない。鼻クソが溜まりやすい体質なら仕方ないし」
友人「仕方なくないだろ」
友人「鼻までほじんの?」
男「思い切りほじる。人差し指を根元まで入れるぐらいほじる」
友人「根元って……ほじったらヤバイもんまでほじれちゃうだろそれ」
男「しかも取った鼻クソを食べるんだよ。クチャクチャって」
友人「気持ち悪くなってきた」
男「ま、これも許せないってほどじゃない。鼻クソが溜まりやすい体質なら仕方ないし」
友人「仕方なくないだろ」
15: 2020/07/31(金) 20:26:14.291 ID:R321kJb40
男「あと、彼女にはフケをかく癖があってさ」
男「暇さえあれば、こうやって髪の毛をガリガリやってフケを出すんだ」
友人「えええ……」
男「しかも、落ちたフケが溜まってくると、こっちめがけて吹きかけてくるの」
友人「ひえええ……」
男「だけど、その時の彼女の笑顔が天使みたいで可愛いから、これも許せちゃうんだけどね」
友人「悪魔みたいな笑顔しか想像できんわ」
男「暇さえあれば、こうやって髪の毛をガリガリやってフケを出すんだ」
友人「えええ……」
男「しかも、落ちたフケが溜まってくると、こっちめがけて吹きかけてくるの」
友人「ひえええ……」
男「だけど、その時の彼女の笑顔が天使みたいで可愛いから、これも許せちゃうんだけどね」
友人「悪魔みたいな笑顔しか想像できんわ」
17: 2020/07/31(金) 20:29:32.674 ID:R321kJb40
男「それと驚いたのが、彼女なんと総入れ歯なんだよ」
友人「総入れ歯!?」
男「一回クシャミした時、口からスポーンと入れ歯が出てきちゃって」
男「あれはビックリしたなぁ……」
友人「で、百年の恋も冷めちゃったと」
男「いや、別に? 驚いただけで、冷めちゃいない。ホッカホカ」
友人「まだ冷めないのかよ!」
友人「総入れ歯!?」
男「一回クシャミした時、口からスポーンと入れ歯が出てきちゃって」
男「あれはビックリしたなぁ……」
友人「で、百年の恋も冷めちゃったと」
男「いや、別に? 驚いただけで、冷めちゃいない。ホッカホカ」
友人「まだ冷めないのかよ!」
18: 2020/07/31(金) 20:32:46.958 ID:R321kJb40
男「ああ、でもあれは本当に困ったなぁ」
友人「何が?」
男「一緒に映画行ったんだよ」
男「俺は面白かったんだけど、彼女にはつまらなかったらしくてさ」
友人「そういうこともあるよな」
男「つまらない、下らない、ってずっと連呼すんの」
友人「嫌だなそれ」
男「しかも、上映中から」
友人「他の客にとっても最悪だな!」
男「ただ……俺は彼女のそういう正直なところに惚れたんだけど」
友人「正直なのかそれ?」
友人「何が?」
男「一緒に映画行ったんだよ」
男「俺は面白かったんだけど、彼女にはつまらなかったらしくてさ」
友人「そういうこともあるよな」
男「つまらない、下らない、ってずっと連呼すんの」
友人「嫌だなそれ」
男「しかも、上映中から」
友人「他の客にとっても最悪だな!」
男「ただ……俺は彼女のそういう正直なところに惚れたんだけど」
友人「正直なのかそれ?」
19: 2020/07/31(金) 20:35:26.805 ID:R321kJb40
男「でも時には、正直じゃない時もある」
友人「へえ?」
男「彼女……整形してたんだよ」
友人「整形? どこを?」
男「目」
友人「ああ……一重を二重にした、とか?」
男「それどころか、彼女は十重に整形してた」
友人「十重!?」
男「これも怒るほどのもんでもないけどな。見た目を少しでもよくしたいってのは当然の欲求だ」
友人「十重ってかえって気持ち悪くなるだろ……」
友人「へえ?」
男「彼女……整形してたんだよ」
友人「整形? どこを?」
男「目」
友人「ああ……一重を二重にした、とか?」
男「それどころか、彼女は十重に整形してた」
友人「十重!?」
男「これも怒るほどのもんでもないけどな。見た目を少しでもよくしたいってのは当然の欲求だ」
友人「十重ってかえって気持ち悪くなるだろ……」
21: 2020/07/31(金) 20:36:10.573
化け物じゃねーか
22: 2020/07/31(金) 20:39:37.342 ID:R321kJb40
男「ああ、それと彼女……浮気してたんだ」
友人「浮気!?」
男「それも10人と」
友人「10股!? いや、11股か……それでやっと別れようって決意したんだな?」
男「いや、それだけモテるってことだし、むしろ好感度がアップした」
友人「アップすんな! ていうか、なんで彼女はそんなにモテるんだよ!」
友人「浮気!?」
男「それも10人と」
友人「10股!? いや、11股か……それでやっと別れようって決意したんだな?」
男「いや、それだけモテるってことだし、むしろ好感度がアップした」
友人「アップすんな! ていうか、なんで彼女はそんなにモテるんだよ!」
23: 2020/07/31(金) 20:41:25.418 ID:R321kJb40
男「こんなこともあったなぁ」
友人「まだあるのかよ」
男「彼女、落ちてる財布を拾ってさ。どうするのかと思ったら……」
友人「まさか、届けずに……」
男「そう、なんのためらいもなくネコババしてさ」
友人「うわぁ……」
男「しかも迷いなくカード類なんかはゴミ箱に捨ててんの。落とし主は大変だったろうな」
友人「完全に手慣れた犯行じゃん……」
男「まあ、これも嫌いになるほどのことじゃないんだけど……」
友人「なれよ! 心広すぎるよ!」
友人「まだあるのかよ」
男「彼女、落ちてる財布を拾ってさ。どうするのかと思ったら……」
友人「まさか、届けずに……」
男「そう、なんのためらいもなくネコババしてさ」
友人「うわぁ……」
男「しかも迷いなくカード類なんかはゴミ箱に捨ててんの。落とし主は大変だったろうな」
友人「完全に手慣れた犯行じゃん……」
男「まあ、これも嫌いになるほどのことじゃないんだけど……」
友人「なれよ! 心広すぎるよ!」
24: 2020/07/31(金) 20:44:30.174 ID:R321kJb40
男「なにしろ、彼女はしょっちゅう俺のもの盗むからね」
友人「え」
男「彼女を家に上げると、いつも何かしらなくなってた。食糧とか、日用品とか、貴重品とか」
友人「いや、もうそれ犯罪だろ! 警察に訴えろよ!」
男「うーん、だけど盗まれるってことは、“自分の持ち物に盗むだけの価値がある”ってことだしな」
友人「ポジティブすぎんだよ、お前は!」
友人「え」
男「彼女を家に上げると、いつも何かしらなくなってた。食糧とか、日用品とか、貴重品とか」
友人「いや、もうそれ犯罪だろ! 警察に訴えろよ!」
男「うーん、だけど盗まれるってことは、“自分の持ち物に盗むだけの価値がある”ってことだしな」
友人「ポジティブすぎんだよ、お前は!」
25: 2020/07/31(金) 20:47:26.543 ID:R321kJb40
男「ああ、あとサバも読んでた」
友人「サバ?」
男「彼女の免許証見たら……実年齢は“俺にいってた年齢+50歳”だった」
友人「ハァ?」
友人「いや、まあ、総入れ歯だし……結構年いってる方が自然か……。ひょっとして遅刻癖も年のせい?」
友人「で、それが百年の恋も冷めた理由なんだな?」
男「いや? 年齢ぐらいじゃ俺の恋心は冷めないよ」
友人「なんなんだよもう! いつまで熱いんだよ!」
友人「サバ?」
男「彼女の免許証見たら……実年齢は“俺にいってた年齢+50歳”だった」
友人「ハァ?」
友人「いや、まあ、総入れ歯だし……結構年いってる方が自然か……。ひょっとして遅刻癖も年のせい?」
友人「で、それが百年の恋も冷めた理由なんだな?」
男「いや? 年齢ぐらいじゃ俺の恋心は冷めないよ」
友人「なんなんだよもう! いつまで熱いんだよ!」
29: 2020/07/31(金) 20:51:26.075 ID:R321kJb40
友人「いい加減に――」
男「嫉妬深いところもある」
友人「彼女が?」
男「ああ、俺がちょっと他の女性に目をやると、すぐ暴力を振るってくる」
友人「殴ったり蹴ったり?」
男「いや、カッターで斬りつけてくる」
友人「は?」
男「俺の肩を見てくれ。ほら、傷だらけ」
友人「ズタズタじゃねえかよ……。自分は浮気してるくせに……」
男「だけどヤキモチ妬かれるってのは悪い気分じゃないよな!」
友人「斬られるのは悪い気分になれよ……」
男「嫉妬深いところもある」
友人「彼女が?」
男「ああ、俺がちょっと他の女性に目をやると、すぐ暴力を振るってくる」
友人「殴ったり蹴ったり?」
男「いや、カッターで斬りつけてくる」
友人「は?」
男「俺の肩を見てくれ。ほら、傷だらけ」
友人「ズタズタじゃねえかよ……。自分は浮気してるくせに……」
男「だけどヤキモチ妬かれるってのは悪い気分じゃないよな!」
友人「斬られるのは悪い気分になれよ……」
30: 2020/07/31(金) 20:54:40.743 ID:R321kJb40
男「他には――」
友人「もういい! キリねえわ!」
友人「お前が彼女にどれだけ惚れてるか、どれだけのことを許してきたか、よーく分かった」
友人「それでも彼女と別れるんだろ? お前がその別れることを決意した理由を教えろ!」
男「分かった……教えてやる」
友人「……」ゴクッ
友人「もういい! キリねえわ!」
友人「お前が彼女にどれだけ惚れてるか、どれだけのことを許してきたか、よーく分かった」
友人「それでも彼女と別れるんだろ? お前がその別れることを決意した理由を教えろ!」
男「分かった……教えてやる」
友人「……」ゴクッ
32: 2020/07/31(金) 20:59:07.915 ID:R321kJb40
男「彼女……お前にベタ惚れなんだよ」
友人「え、俺?」
男「ある日話の流れで、俺とお前が写ってる写真を見せたら一発で惚れちゃってさ」
男「この人こそ運命の人、この人に一生つきまとう、絶対自分の物にする、とか言い出して……」
友人「え、え……?」
男「知らない奴との浮気はいくらでも許せたけど、流石にこれはねーよ……。百年の恋も冷めたわ」
男「多分もう、すぐ近くにいるだろうし、これがあいつへの別れの挨拶だ」
友人「すぐ近くって……え?」
男「じゃあな……あいつと幸せになってくれ! ……ちくしょうっ!」バッ
友人「おい……ちょっと待て」
友人「え、俺?」
男「ある日話の流れで、俺とお前が写ってる写真を見せたら一発で惚れちゃってさ」
男「この人こそ運命の人、この人に一生つきまとう、絶対自分の物にする、とか言い出して……」
友人「え、え……?」
男「知らない奴との浮気はいくらでも許せたけど、流石にこれはねーよ……。百年の恋も冷めたわ」
男「多分もう、すぐ近くにいるだろうし、これがあいつへの別れの挨拶だ」
友人「すぐ近くって……え?」
男「じゃあな……あいつと幸せになってくれ! ……ちくしょうっ!」バッ
友人「おい……ちょっと待て」
33: 2020/07/31(金) 21:00:46.556 ID:R321kJb40
友人「待ってくれええええええ……!!!」
ゲェップ…
完
ゲェップ…
完
34: 2020/07/31(金) 21:02:04.941
まさかのホラーだった
乙
乙
35: 2020/07/31(金) 21:04:07.024
乙
いいホラーだった
いいホラーだった
36: 2020/07/31(金) 21:04:28.689
この展開は読めなかった
おつ
おつ
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