1: 2017/10/05(木) 00:20:42.83 ID:Jbd9jAoy0

幼女「びええ」

八幡(いつものように高校までの道を歩いていると、泣いている幼女に出くわした)

八幡(人気のない道で、数少ない通行人も朝の忙しさにかまけ、幼女を視界に入れないように歩いていた)

八幡(俺は、平塚先生に遅刻する旨のメールを送った)

八幡「・・・ちょいとそこのお嬢ちゃんや。お母さんお父さんはどうした?」

幼女「びええ」

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507130442

2: 2017/10/05(木) 00:21:14.25 ID:Jbd9jAoy0
幼女「・・・お兄ちゃん、まだー・・・?」キュッ

八幡「もうすぐだよ、もうすぐ。すぐにお母さんは見つかるから。だからもうちょっと待っててくれ」

幼女「うんー・・・」スタスタ

八幡(中々見つからねぇなぁ・・・昼休みまでに登校できるか怪しいぞ)

八幡(警察に預けちまうのが手っ取り早いんだろうけど・・・何か放っておけないというか)

幼女「・・・あ!」

八幡(幼女が振り向いた方向から、鬼のような形相で女性が走ってきた)

八幡「お前のお母さんか?」

幼女「うん!おかあさ・・・」

母「知らない人に付いて行っちゃ駄目って言ったでしょ!」ガバッ

八幡「え」

母「大丈夫?何か変な所触られなかった?」

幼女「んーん」

八幡(その女性は俊敏な動きで幼女を抱きかかえると、何かおぞましい物を見るような目で俺を睨みつけた)

母「・・・っ!」

八幡(そして、勢い良く踵を返し、俺の目の前から早歩きで去っていった・・・)

八幡「・・・」

八幡(そりゃ、まぁ、こんなご時世。そんな反応が普通なのかもしれないが)

八幡「はぁー・・・」

3: 2017/10/05(木) 00:21:47.72 ID:Jbd9jAoy0
八幡(昼休み半ばの喧噪。それに紛れるように、俺は席に着いた)

沙希「・・・遅かったね。何かあった?」

八幡「あぁ、そんな感じだ」ボスン

八幡(俺は不貞腐れて、机に突っ伏した)

沙希「・・・嫌な事?」

八幡「・・・別に」

沙希「・・・」

八幡「・・・」

沙希「・・・」ナデナデ

八幡「!?」

4: 2017/10/05(木) 00:22:20.07 ID:Jbd9jAoy0
沙希「何があったか知らないけどさ、男の子なんだから。その、頑張んな」ナデナデ

八幡「・・・川崎さん。頭のこれは一体・・・?」

沙希「え・・・あっ・・・ごめっ、つい、大志にやるみたいに、自然と・・・」

八幡(・・・よもや、俺が弟扱いされる日が来ようとは)

沙希「すぐやめるから・・・」

八幡「いや」ガシッ

沙希「!?」

八幡「・・・もうちょい」

沙希「わ、わかった」ナデナデ

八幡「あぁー・・・」

沙希「・・・どう?」ナデナデ

八幡「さーちゃん好きー・・・」

沙希「ふふっ、何それ」ナデナデ

八幡(川崎の家庭的な暖かさが、指から頭へじんわり浸透していくようだった)

5: 2017/10/05(木) 00:22:50.73 ID:Jbd9jAoy0
結衣「・・・遅刻なんて珍しいなって思ってたら・・・何させてんのヒッキー」

八幡「おう、おはよう由比ヶ浜」

結衣「さ、サキサキに何させてんのって言ってんの!」

沙希「何か嫌な事あったみたいだから」

八幡「撫でてもらってる」

結衣「な、何それ・・・」

八幡「別に強制してる訳じゃないぞ。何かお姉ちゃんセンサーが反応しちゃったみたいでな。こいつから撫でて来たんだ」

沙希「べっ、別に、そんな・・・」

結衣「じゃあ私がやる!」

八幡「!?」

沙希「!?」

6: 2017/10/05(木) 00:23:18.30 ID:Jbd9jAoy0
結衣「サキサキ!交代!」

沙希「い、いやいいよ。あたしがやるから」

結衣「わ、私がやるってば!」

八幡「いや、もう十分・・・」

結希「あんた(ヒッキー)は黙ってて!」

八幡「はい」



結衣「じゃんけん」チョキ

沙希「ほい!」パー

結衣「やたっ!」

沙希「・・・ちっ」

結衣「それじゃあ早速・・・」


キーンコーンカーンコーン


八幡「・・・」

結衣「放課後に絶対やるからね!忘れないでね!」

八幡「へいへい」

7: 2017/10/05(木) 00:23:45.68 ID:Jbd9jAoy0
結衣「何先に帰ろうとしてるのっ!」グイッ

八幡「いや、別に逃げるつもりじゃ・・・教室だとまずいし。部室で」

結衣「う、うん。じゃあ、わかった・・・」

八幡「おう」スタスタ

結衣「・・・」スタスタ

八幡「・・・」

結衣「ね、もう誰もいないし、ここの廊下でよくない?」

八幡(どんだけだよ)

9: 2017/10/07(土) 20:16:49.07 ID:d9d5orPJ0
結衣「それじゃ、お邪魔しまーす・・・」スッ

八幡「おう」

結衣「・・・」ナデナデ

八幡「んん・・・」

結衣「・・・えへへ」ナデナデ

八幡(なんでお前が嬉しそうな顔してるんだよ)

結衣「どう?」ナデナデ

八幡「どう・・・って」

結衣「どう?」ナデナデナデナデ

八幡「・・・柔らかくて、気持ちいい」

結衣「・・・えへへへへ」ナデナデ

八幡(・・・だからなんでお前が嬉しそうな顔を)

10: 2017/10/07(土) 20:17:43.54 ID:d9d5orPJ0
めぐり「あ、比企谷くんと、結衣ちゃん。おはよー」

結衣「あ、めぐり会長。おはようございまーす」スッ

めぐり「もう会長じゃないけどねー。何してたの?結衣ちゃんが比企谷くんの頭を撫でていたように見えたけど」

結衣「なんか嫌な事あったみたいで・・・慰めてたんです」

めぐり「・・・そうなの?」

八幡「ええ、まぁ、でももう十分と」

めぐり「そっか・・・」ナデナデ

八幡「!?」

結衣「!?」

めぐり「あんまり、軽い事言えないけど・・・元気出して行こう!」ナデナデ

八幡「・・・癒されるぅ」

めぐり「本当?嬉しいな」ナデナデ

結衣「ちょっ、せ、先輩!」

八幡「マイナスイオンに殺される」

結衣「ふんっ」グイッ

八幡「ふおっ」

めぐり「じゃあね、結衣ちゃん比企谷くん!」タタッ

11: 2017/10/07(土) 20:18:18.93 ID:d9d5orPJ0
八幡「ああー・・・」スタスタ

結衣「・・・どうだった?」スタスタ

八幡「え?何が」

結衣「めぐり先輩の、なでなで」

八幡「え、そりゃあ、癒された」

結衣「私のと、どっちが良かった?」

八幡「どっちの、って・・・」

結衣「どっちが良かった!?」

八幡「いや、その、比べるような物じゃないというか、金子みすゞというか」

12: 2017/10/07(土) 20:19:14.40 ID:d9d5orPJ0
雪乃「・・・部室前で何を騒いでいるのかしら」

結衣「あっ、聞いてよゆきのん!ヒッキー今日嫌な事あったみたいでさ!」

雪乃「・・・そう」

結衣「それでサキサキがなでなでして慰めてて!」

雪乃「」ピクッ

結衣「次は私が撫でてあげて!」

雪乃「」ピクピクッ

八幡「おい、由比ヶ浜」

結衣「それからめぐり先輩にもなでなでしてもらって!」

雪乃「」ピクピクピクッ

結衣「で!?誰が一番良かったの!?」

八幡「いや、だから・・・」

13: 2017/10/07(土) 20:19:40.82 ID:d9d5orPJ0
雪乃「・・・比企谷くん。由比ヶ浜さん達の優しさにかまけて、自分の欲望の捌け口にするというのは頂けないわね。もっと彼女らの気持ちを考えなさい」

八幡「いや、そういう訳じゃあ・・・」

雪乃「けれど、貴方にも、その、落ち込んで慰めて欲しい時があるというのも、分かるわ」

八幡「ん?」

雪乃「だから、これからは私が慰めてあげる」ナデ

八幡「!?」

雪乃「その・・・どうかしら。こういうのは初めてで・・・」ナデナデ

八幡(雪ノ下の細い指がおずおずと俺の頭を上下する)

八幡「・・・大変よろしいと思います」

雪乃「そう・・・それは、良かったわ」ナデナデ

14: 2017/10/07(土) 20:20:14.29 ID:d9d5orPJ0
結衣「・・・誰が一番良かった?」

八幡「えっ」

雪乃「誰が一番良かったのかしら?」

八幡「えっ」

いろは「せんぱーい。生徒会のお仕事・・・何してんですか?」

結衣「なでなで決定戦」

いろは「なるほど。私も参加します」ナデナデ

八幡「!?」

いろは「元気になーれ。元気になーれ」ナデナデ

八幡「おお・・・」

いろは「どうですかー?せんぱーい」ナデナデ

八幡「可愛い」

いろは「へっ」

15: 2017/10/07(土) 20:20:55.37 ID:d9d5orPJ0
八幡「愛を感じる」

いろは「は、はぁー?なんですかいきなり、べ、別に愛込めたりとかしてませんけど!?」

八幡「そうなのか・・・」

いろは「あ、いや、ちょっとは込めたかも・・・です」

結衣「・・・」ナデナデナデ

雪乃「・・・」ナデナデナデ

八幡「うわっ、ちょっ何だお前らいきなり」

いろは「・・・!」ナデナデナデ

八幡「う、埋もれる!埋もれる!」

16: 2017/10/07(土) 20:21:23.70 ID:d9d5orPJ0
八幡「ただいまー」

小町「おかえりー」トテトテ

八幡(なんだ?わざわざ出迎えてくれるなんて珍しいな)

小町「お疲れー」ナデナデ

八幡「!?」

小町「結衣さんからメール来てさー。今日はお兄ちゃんを撫でる日なんでしょ?」

八幡(なんだそれは)

小町「えへへ、どう?気持ちいい?」

八幡「ああー・・・気持ちいいー・・・」ボフッ

小町「わっ、重い!お兄ちゃん重いから!」

八幡「小町がナンバーワンだ」

小町「もー、今日のお兄ちゃんは甘えん坊だなー。ま、今日ぐらいは小町がお姉ちゃんになってあげよっかなっ!」



=終=

19: 2017/10/08(日) 07:49:38.38
乙です

20: 2017/10/11(水) 12:00:32.46
戸塚が居ない

引用元: 八幡「弟になった日」【俺ガイル】