3: 2012/03/19(月) 22:53:03.83 ID:Pw/FlpRa0
漬物石女 「…そうだろうか」
男 「自分じゃわかんないもんなのかなぁ」
漬物石女 「おおよそ100年も漬物の上に乗っていたのだ」
漬物石女 「わたしにとってこの香りが普通なんだ」
男 「そういうもんか」
漬物石女 「そういうものだろう」
男 「じゃなくて!」
男 「自分じゃわかんないもんなのかなぁ」
漬物石女 「おおよそ100年も漬物の上に乗っていたのだ」
漬物石女 「わたしにとってこの香りが普通なんだ」
男 「そういうもんか」
漬物石女 「そういうものだろう」
男 「じゃなくて!」
4: 2012/03/19(月) 22:55:51.38 ID:Pw/FlpRa0
男 「君は…えーと本当に…?」
漬物石女 「ああ 私は嘘はつかない」
漬物石女 「私はあなたの…現在は祖母上にあたるか…」
漬物石女 「その方の家の糠床に置かれている」
漬物石女 「漬物石だ」
6: 2012/03/19(月) 23:01:05.24 ID:Pw/FlpRa0
>>6それまじか…
どれだけかかるかわかんないけど、がんばる!
男 (マジかよ)
男 「あー…証拠とかは?証明できる?」
漬物石女 「うむ」(スクッ
男 (動くと糠臭がすごい…むせ返るようだ…)
男 (おにぎり食いてぇ)
どれだけかかるかわかんないけど、がんばる!
男 (マジかよ)
男 「あー…証拠とかは?証明できる?」
漬物石女 「うむ」(スクッ
男 (動くと糠臭がすごい…むせ返るようだ…)
男 (おにぎり食いてぇ)
9: 2012/03/19(月) 23:05:44.88 ID:Pw/FlpRa0
漬物石女 「解!」(ポンッ
漬物石女 「どうだ!」(ドヤァ
男 「うわぁ…マジかよ。この落書き…見覚えがある」
男 「俺が子供のとき描いたやつだ」
漬物石女 「あの時はくすぐったかったぞ」(クスリ
男 「ごめん。でも本当に漬物石なんだな。すごいシュールな絵だ…」
漬物石女 「最初からそういっている。君に嘘などつかないよ」
漬物石女 「どうだ!」(ドヤァ
男 「うわぁ…マジかよ。この落書き…見覚えがある」
男 「俺が子供のとき描いたやつだ」
漬物石女 「あの時はくすぐったかったぞ」(クスリ
男 「ごめん。でも本当に漬物石なんだな。すごいシュールな絵だ…」
漬物石女 「最初からそういっている。君に嘘などつかないよ」
10: 2012/03/19(月) 23:10:38.69 ID:Pw/FlpRa0
男 「…付喪神ってやつなのかな…」
漬物石女 「ツクモガミとはなんだ?」
男 「あんたみたいに人に使われていた物が長い年月を経て動き出す…」
男 「…妖怪みたいな?」
漬物石女 「妖怪か…」
漬物石女 「私ができることといえば、漬物をつけることぐらいなのだがな…」
男 (えぇっと…妖怪はひどかったな)
漬物石女 「ツクモガミとはなんだ?」
男 「あんたみたいに人に使われていた物が長い年月を経て動き出す…」
男 「…妖怪みたいな?」
漬物石女 「妖怪か…」
漬物石女 「私ができることといえば、漬物をつけることぐらいなのだがな…」
男 (えぇっと…妖怪はひどかったな)
12: 2012/03/19(月) 23:19:31.32 ID:Pw/FlpRa0
男 「すまん。妖怪なんていって。」
漬物石女 「ふふ…いいんだよ。この状況、当の私でも奇妙に感じる」
漬物石女 「面妖な類だと感じたとしても、無理はないだろう。」
男 「ごめん」
漬物石女 「気にしてくれるな」
男 「…」
漬物石女 「…」
14: 2012/03/19(月) 23:22:04.38 ID:Pw/FlpRa0
男 (…場が持たん)
男 「そうだ!風呂!風呂入ってこいっ」
漬物石女 「風呂か…話しには聞いていたが、どのようなものなのだろう」
漬物石女 「というか、そんなに臭うのか」(クンクン
男 「臭う!!さっきから腹が減って仕方ない!」
男 「一ッ風呂浴びてさっぱりしてこい!」
漬物石女 「ふむ。考えてみれば、100年の歳月働き詰めだった」
漬物石女 「水を浴びるのも久しい」
男 「じゃあ、とりあえず元の姿に戻ってくれ」
漬物石女 「おぉ、すっかり忘れていた。元の姿はやはりしっくりきてな」
男 「そうだ!風呂!風呂入ってこいっ」
漬物石女 「風呂か…話しには聞いていたが、どのようなものなのだろう」
漬物石女 「というか、そんなに臭うのか」(クンクン
男 「臭う!!さっきから腹が減って仕方ない!」
男 「一ッ風呂浴びてさっぱりしてこい!」
漬物石女 「ふむ。考えてみれば、100年の歳月働き詰めだった」
漬物石女 「水を浴びるのも久しい」
男 「じゃあ、とりあえず元の姿に戻ってくれ」
漬物石女 「おぉ、すっかり忘れていた。元の姿はやはりしっくりきてな」
15: 2012/03/19(月) 23:26:48.50 ID:Pw/FlpRa0
専ぶら導入したらなんかマシになったっぽい!
一回の投下量増やしてみます。
漬物石女 「人となる!」(ポンッ
男 「…よく見たら着物の柄、俺の落書きなんだな」
漬物石女 「あぁ、本当だ。私も今気づいた。」
男 「ごめんな…」
漬物石女 「?なぜ謝る。」
男 「いや、子供のころとはいえ、悪戯で…」
漬物石女 「…当時こそ不快な思いもしたが…」
漬物石女 「今ではこの模様は、私が私である数少ない証なんだ。」
漬物石女 「逆に感謝しているくらいだよ。」(フワリ
男 (優しく笑うやつだな…懐が深いというか…)
男 (積み重ねた歳月の成せるわざ…かな)
男 「ありがとう」
漬物石女 「こちらこそ、だよ」
一回の投下量増やしてみます。
漬物石女 「人となる!」(ポンッ
男 「…よく見たら着物の柄、俺の落書きなんだな」
漬物石女 「あぁ、本当だ。私も今気づいた。」
男 「ごめんな…」
漬物石女 「?なぜ謝る。」
男 「いや、子供のころとはいえ、悪戯で…」
漬物石女 「…当時こそ不快な思いもしたが…」
漬物石女 「今ではこの模様は、私が私である数少ない証なんだ。」
漬物石女 「逆に感謝しているくらいだよ。」(フワリ
男 (優しく笑うやつだな…懐が深いというか…)
男 (積み重ねた歳月の成せるわざ…かな)
男 「ありがとう」
漬物石女 「こちらこそ、だよ」
17: 2012/03/19(月) 23:30:06.29 ID:Pw/FlpRa0
男 「じゃ、風呂に行くか!」
漬物石女 「…風呂に関して、私が知るところは多くない」
漬物石女 「ご指導をいただけるとうれしい」(ペコリ
男 (礼儀正しい…ていうか固いのか)
男 (石だけに)(ププッ
漬物石女 「?」
男 (…これからのこと、相談しないとな)
男 「おう、もちろんだ。じゃ、行こうか。」
漬物石女 「うむ!」
風呂に行く途中
男 「ばーちゃん。風呂借りるね」
婆 「あぁ、お湯は張っといたよ」
漬物石女 「お婆様、お風呂お借りいたします」(スッ
漬物石女 「…風呂に関して、私が知るところは多くない」
漬物石女 「ご指導をいただけるとうれしい」(ペコリ
男 (礼儀正しい…ていうか固いのか)
男 (石だけに)(ププッ
漬物石女 「?」
男 (…これからのこと、相談しないとな)
男 「おう、もちろんだ。じゃ、行こうか。」
漬物石女 「うむ!」
風呂に行く途中
男 「ばーちゃん。風呂借りるね」
婆 「あぁ、お湯は張っといたよ」
漬物石女 「お婆様、お風呂お借りいたします」(スッ
18: 2012/03/19(月) 23:34:17.55 ID:Pw/FlpRa0
婆 「ふふ、ゆっくりしておいで」
(スタスタ
男 「…俺も大概だけど、ばーちゃんも適応力あるよな」
漬物石女 「お若い時分から拝見しているが…」
漬物石女 「男殿の祖母上は尊敬に値する御仁だよ」
漬物石女 「…男殿もしっかりと血を受け継いでいるように見える」
男 「世辞はいいよ…っと、ここだ。」
漬物石女 「ふふふ」
━…
男 「で、ここをひねればお湯が出るわけ」
漬物石女 「ふーむ…便利なものよなぁ。」
男 「俺にとってこれが当たり前だから…でも、そうだな。」
漬物石女 「うんっ。大体理解できたかと思う」
漬物石女 「では、入らせて頂くとしようか」
(スタスタ
男 「…俺も大概だけど、ばーちゃんも適応力あるよな」
漬物石女 「お若い時分から拝見しているが…」
漬物石女 「男殿の祖母上は尊敬に値する御仁だよ」
漬物石女 「…男殿もしっかりと血を受け継いでいるように見える」
男 「世辞はいいよ…っと、ここだ。」
漬物石女 「ふふふ」
━…
男 「で、ここをひねればお湯が出るわけ」
漬物石女 「ふーむ…便利なものよなぁ。」
男 「俺にとってこれが当たり前だから…でも、そうだな。」
漬物石女 「うんっ。大体理解できたかと思う」
漬物石女 「では、入らせて頂くとしようか」
21: 2012/03/19(月) 23:38:46.44 ID:Pw/FlpRa0
男 「うん、じゃあゆっくり入ってくれ。冷たいものでも用意しておくよ」
漬物石女 「え」
男「え」
漬物石女 「あの…」
男「え?」
漬物石女 「洗ってくれるのではないのか…?」
男 「…」
男 「…はいっ!?」
漬物石女 「いや、な?」
漬物石女 「私は男殿の…んー高祖母様か。」
漬物石女 「その方に河原から拾ってきていただいたのだ」。
漬物石女 「え」
男「え」
漬物石女 「あの…」
男「え?」
漬物石女 「洗ってくれるのではないのか…?」
男 「…」
男 「…はいっ!?」
漬物石女 「いや、な?」
漬物石女 「私は男殿の…んー高祖母様か。」
漬物石女 「その方に河原から拾ってきていただいたのだ」。
22: 2012/03/19(月) 23:43:22.67 ID:Pw/FlpRa0
漬物石女 (…)
男 「?」
漬物石女 「…あれほどの女傑はまたといないだろう」
男 「へぇ・・・」
漬物石女 「うむ・・・いや、今はおいておこう」
男 「ちょっと気になるな」
漬物石女 「その話はまたの機会としよう。それでな?」
漬物石女 「その方に漬物石として使うために、丁寧に洗っていただいたのだが、
それはとても気持ちがよかったことと記憶している。
男 「はい…」
漬物石女 「だからな?同じように男殿に洗っていただけるものと…」
男 「…」
男 「?」
漬物石女 「…あれほどの女傑はまたといないだろう」
男 「へぇ・・・」
漬物石女 「うむ・・・いや、今はおいておこう」
男 「ちょっと気になるな」
漬物石女 「その話はまたの機会としよう。それでな?」
漬物石女 「その方に漬物石として使うために、丁寧に洗っていただいたのだが、
それはとても気持ちがよかったことと記憶している。
男 「はい…」
漬物石女 「だからな?同じように男殿に洗っていただけるものと…」
男 「…」
23: 2012/03/19(月) 23:47:26.64 ID:Pw/FlpRa0
男 (同じように)
男 (丁寧に)
男 (だと!?)
漬物石女 「風呂とはそういうものではないのか…?」
男 「…漬物石女」
漬物石女 「う、うむ」
男 「お前が漬物石なら」
漬物石女 「私は漬物石だが?」
男 「最後まで聞きなさいっ」
漬物石女 「!す すまないっ」
男 「コホン…漬物石ならそういうこともあるだろう」
男 「でも、今は違うだろう。今は人間の姿」
男 「それも、女だ。」
漬物石女 「…?」
男 「」
男 (丁寧に)
男 (だと!?)
漬物石女 「風呂とはそういうものではないのか…?」
男 「…漬物石女」
漬物石女 「う、うむ」
男 「お前が漬物石なら」
漬物石女 「私は漬物石だが?」
男 「最後まで聞きなさいっ」
漬物石女 「!す すまないっ」
男 「コホン…漬物石ならそういうこともあるだろう」
男 「でも、今は違うだろう。今は人間の姿」
男 「それも、女だ。」
漬物石女 「…?」
男 「」
24: 2012/03/19(月) 23:48:48.23 ID:Pw/FlpRa0
漬物石女 「あの…それが…?」
男 (…マジかよ。わかんねーのか)
男 (感じる…今試されている…ッ !)
男 「えっと、からかってない?本当にわからない?」
漬物石女 「すまない。本当にわからないんだ。人の機微にはまだまだ疎い私だ。」
漬物石女 「許してほしい」(ペコリ
男 「」
男 (…こいつは今日初めて人の姿になったんだもんな)
男 (…マジかよ。わかんねーのか)
男 (感じる…今試されている…ッ !)
男 「えっと、からかってない?本当にわからない?」
漬物石女 「すまない。本当にわからないんだ。人の機微にはまだまだ疎い私だ。」
漬物石女 「許してほしい」(ペコリ
男 「」
男 (…こいつは今日初めて人の姿になったんだもんな)
26: 2012/03/19(月) 23:53:37.58 ID:Pw/FlpRa0
専ぶら使い慣れてなくてsageてたwww
男 (台所から動くこともなかっただろうし。)
男 「はぁ…」
男 「…人間の男女は一緒に風呂には入らないんだよ」
漬物石女 「そういうものなのか…でも、私は」
男 「いや必ずしもそうだというわけでもないんだがいや何を言っているんだ俺は」
男 「とにかく!」
男 「お前は一人ではいるんだ。」
漬物石女 「ふ ふむ」
男 「あ あれだ。何事も経験だ。」
漬物石女 「それは、確かに…」
男 「というわけだから、ゆっくり入れよ?」
漬物石女 「…ありがとう」
男 「なんかわかんなかったらばーちゃん呼んでくれ。」
漬物石女 「承知した」
男 (台所から動くこともなかっただろうし。)
男 「はぁ…」
男 「…人間の男女は一緒に風呂には入らないんだよ」
漬物石女 「そういうものなのか…でも、私は」
男 「いや必ずしもそうだというわけでもないんだがいや何を言っているんだ俺は」
男 「とにかく!」
男 「お前は一人ではいるんだ。」
漬物石女 「ふ ふむ」
男 「あ あれだ。何事も経験だ。」
漬物石女 「それは、確かに…」
男 「というわけだから、ゆっくり入れよ?」
漬物石女 「…ありがとう」
男 「なんかわかんなかったらばーちゃん呼んでくれ。」
漬物石女 「承知した」
28: 2012/03/19(月) 23:57:18.88 ID:Pw/FlpRa0
バタン
男 (ぐわああああぁぁぁぁぁぁぁ)
男 (一緒に風呂に入ろうとか!)
男 (…いや、仕方ないんだ。あいつは、昨日までただの漬物石だった)
男 (でもなんか普通に美人だしな…)
男 (くっ…静まれ…俺の魂よ…ッ)
男 「…はあ」
男 「麦茶でも入れておこう」
漬物石女 (ゴソゴソ
漬物石女 「人間の…特に男女の機微というもの…」
漬物石女 「風に聞こえることはあったが…」
漬物石女 「んぅ…よくわからない…」
男 (ぐわああああぁぁぁぁぁぁぁ)
男 (一緒に風呂に入ろうとか!)
男 (…いや、仕方ないんだ。あいつは、昨日までただの漬物石だった)
男 (でもなんか普通に美人だしな…)
男 (くっ…静まれ…俺の魂よ…ッ)
男 「…はあ」
男 「麦茶でも入れておこう」
漬物石女 (ゴソゴソ
漬物石女 「人間の…特に男女の機微というもの…」
漬物石女 「風に聞こえることはあったが…」
漬物石女 「んぅ…よくわからない…」
29: 2012/03/20(火) 00:01:17.41 ID:fUWmQY1w0
━…
男 「ああ、上がったのか。風呂はどうだった?」
漬物石女 「温かい湯というのはあのように気持ちいいものなのだなぁ」
漬物石女 「素晴らしかったよ。やみつきになりそうだっ」
男 「そうか!うん、大分臭いも取れたな。…その浴衣は?」
漬物石女 「ああ、祖母上に貸していただいた。」
漬物石女 「私が着ていた着物は、くりーにんぐ?に出していただけるそうだ」
男 「そっか。似合ってるよ。」
男 (いや半端ない。半端なく似合っておられる。)
男 (髪も下ろして…もうただの美人さんじゃん)
男 (てか、髪長いなー…)
男 「っと、そうだ。のど渇いただろう。はい麦茶」
漬物石女 「何から何まですまない」スッ
男 「ああ、上がったのか。風呂はどうだった?」
漬物石女 「温かい湯というのはあのように気持ちいいものなのだなぁ」
漬物石女 「素晴らしかったよ。やみつきになりそうだっ」
男 「そうか!うん、大分臭いも取れたな。…その浴衣は?」
漬物石女 「ああ、祖母上に貸していただいた。」
漬物石女 「私が着ていた着物は、くりーにんぐ?に出していただけるそうだ」
男 「そっか。似合ってるよ。」
男 (いや半端ない。半端なく似合っておられる。)
男 (髪も下ろして…もうただの美人さんじゃん)
男 (てか、髪長いなー…)
男 「っと、そうだ。のど渇いただろう。はい麦茶」
漬物石女 「何から何まですまない」スッ
31: 2012/03/20(火) 00:06:02.56 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「このご恩は必ず…」
男 「やめれ」
漬物石女 「ど どうした男殿?」
男 「お前はウチの漬物石だ。」
漬物石女 「そ そうだな。私はこの家で仕事ができることに誇りを持っている」
男 「…うん。お前はずーっと長い間、ウチで漬物を漬けてきてくれたわけだ」
漬物石女 「…ありがたいことだよ」
男 「そのおかげで俺たち家族はおいしい漬物を今日まで食べてこられた。」
漬物石女 「…」
男 「恩を返すのは俺たちのほうだ。」
漬物石女 「っ そんなことは…!」
男 「だから、お前が好きなだけ我が家にいてくれてかまわない。」
漬物石女 「…えっ…」
男 「おまえは俺たちの家族だよ」
漬物石女 「…」
男 「やめれ」
漬物石女 「ど どうした男殿?」
男 「お前はウチの漬物石だ。」
漬物石女 「そ そうだな。私はこの家で仕事ができることに誇りを持っている」
男 「…うん。お前はずーっと長い間、ウチで漬物を漬けてきてくれたわけだ」
漬物石女 「…ありがたいことだよ」
男 「そのおかげで俺たち家族はおいしい漬物を今日まで食べてこられた。」
漬物石女 「…」
男 「恩を返すのは俺たちのほうだ。」
漬物石女 「っ そんなことは…!」
男 「だから、お前が好きなだけ我が家にいてくれてかまわない。」
漬物石女 「…えっ…」
男 「おまえは俺たちの家族だよ」
漬物石女 「…」
32: 2012/03/20(火) 00:10:08.12 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「私は…」
漬物石女 「この家に仕えることができて…よかった。」
男 「…そか」
男 (柄にもないこと言っちゃったか…)
男 「だから、これから俺たちに頭下げるのは無しな」
漬物石女 「いや…親しき仲にもだな?」
男 「わ か っ た な ?」
漬物石女 「ううう、わかった…」
漬物石女 「…男殿はたまに強情だな」
男 「普通だ」
戸 (ガラリ
婆 「失礼するよ」
漬物石女 「これはおばあさま。様々な御厚意、感謝にたえま」
男 「漬物石女…?」
漬物石女 「うううう…今後ともよろしくお願いいたします」
漬物石女 「この家に仕えることができて…よかった。」
男 「…そか」
男 (柄にもないこと言っちゃったか…)
男 「だから、これから俺たちに頭下げるのは無しな」
漬物石女 「いや…親しき仲にもだな?」
男 「わ か っ た な ?」
漬物石女 「ううう、わかった…」
漬物石女 「…男殿はたまに強情だな」
男 「普通だ」
戸 (ガラリ
婆 「失礼するよ」
漬物石女 「これはおばあさま。様々な御厚意、感謝にたえま」
男 「漬物石女…?」
漬物石女 「うううう…今後ともよろしくお願いいたします」
34: 2012/03/20(火) 00:14:10.46 ID:fUWmQY1w0
婆 「ふふふ、これまで同様、ね?」
漬物石女 「…!はいっ」
男 (ニコリ
婆 「じゃあ、ご飯にしようかねぇ」
男 「うあーそういえば腹減ってた。晩飯何?」
婆 「今日は焼肉だよ」
男 「うわっマジで!?やったっ!」
漬物石女 「焼肉、か…調理されている姿を拝見したことはあります」
漬物石女 「ものを食べるというのは、経験したことがないので…」
男 「楽しみにしとけ!ばーちゃんの焼肉は絶品だぞ!」
婆 「焼肉なんて、誰が作ってもいっしょだよ」(ホホホ
男 「いや、タレとか焼き加減とかさぁ」
漬物石女 「ふふふ」
漬物石女 「楽しみだっ」
漬物石女 「…!はいっ」
男 (ニコリ
婆 「じゃあ、ご飯にしようかねぇ」
男 「うあーそういえば腹減ってた。晩飯何?」
婆 「今日は焼肉だよ」
男 「うわっマジで!?やったっ!」
漬物石女 「焼肉、か…調理されている姿を拝見したことはあります」
漬物石女 「ものを食べるというのは、経験したことがないので…」
男 「楽しみにしとけ!ばーちゃんの焼肉は絶品だぞ!」
婆 「焼肉なんて、誰が作ってもいっしょだよ」(ホホホ
男 「いや、タレとか焼き加減とかさぁ」
漬物石女 「ふふふ」
漬物石女 「楽しみだっ」
35: 2012/03/20(火) 00:18:04.42 ID:fUWmQY1w0
━…
漬物石女 「美味だ!」
男 「な?」
漬物石女 「人とはこんなものを毎日食べているのか…」
男 「いや、さすがに毎日焼肉ではないが」
漬物石女 「ずるいっ」
婆 「ふふ」
漬物石女 「糠床や、水屋のみんなにも食べさせてあげたいっ 」
男 「…糠床って…ほかのやつとしゃべれんの?」
漬物石女 「もちろん。大切な仕事仲間だ」
漬物石女 「野菜の鮮度やぬかの状態を互いに話し合って、
どう漬けるのが最善か決めるんだ。
梅干の漬けビンや、味噌壺なんかともよく話すな」
漬物石女 「みな気のいい職人たちだよ」
漬物石女 「美味だ!」
男 「な?」
漬物石女 「人とはこんなものを毎日食べているのか…」
男 「いや、さすがに毎日焼肉ではないが」
漬物石女 「ずるいっ」
婆 「ふふ」
漬物石女 「糠床や、水屋のみんなにも食べさせてあげたいっ 」
男 「…糠床って…ほかのやつとしゃべれんの?」
漬物石女 「もちろん。大切な仕事仲間だ」
漬物石女 「野菜の鮮度やぬかの状態を互いに話し合って、
どう漬けるのが最善か決めるんだ。
梅干の漬けビンや、味噌壺なんかともよく話すな」
漬物石女 「みな気のいい職人たちだよ」
38: 2012/03/20(火) 00:22:28.56 ID:fUWmQY1w0
男 「水屋ネットワーク…」
婆 (ズズ・・・
漬物石女 「私だけこんなにいい思いをして、申し訳ない。」
男 「…」
婆 「漬物石女ちゃんは長いこと我が家を支えてくれていた。」
婆 「その結果だよ。」
男 「・・・うん。お前が人の姿になれてんだ。」
男 「そいつらもいつか・・・」
漬物石女 「・・・うむ」
漬物石女 「いつか、みんなといっしょに焼肉を食べたいなぁ・・・」
男 「おう!そんときはばーちゃん、また頼むわ」
婆 「任せなさい」
漬物石女 「ふふふ、お願いします」(ペコリ
男 (・・・ま、いっか)
男 「そういえば、おまえ自分が漬けた糠漬けの味知ってんの?」
婆 (ズズ・・・
漬物石女 「私だけこんなにいい思いをして、申し訳ない。」
男 「…」
婆 「漬物石女ちゃんは長いこと我が家を支えてくれていた。」
婆 「その結果だよ。」
男 「・・・うん。お前が人の姿になれてんだ。」
男 「そいつらもいつか・・・」
漬物石女 「・・・うむ」
漬物石女 「いつか、みんなといっしょに焼肉を食べたいなぁ・・・」
男 「おう!そんときはばーちゃん、また頼むわ」
婆 「任せなさい」
漬物石女 「ふふふ、お願いします」(ペコリ
男 (・・・ま、いっか)
男 「そういえば、おまえ自分が漬けた糠漬けの味知ってんの?」
39: 2012/03/20(火) 00:26:30.32 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「・・・そういえば知らない。」
漬物石女 「それで仕事に誇りを持っていたなんて滑稽だな」(クスリ
男 「じゃあ食ってみろよ」
婆 「そうだねぇ。自分の仕事をみてみるといい」
漬物石女 「ん、ぬぅ・・・」
男 「どした」
漬物石女 「いや、想像もしていなかったので」
漬物石女 「心の準備が・・・」
男 「じゃ、取ってくるわ」
漬物石女 「!?」
男 (スタスタ
漬物石女 「お、男殿っ」
婆 (ニコニコ
━…
漬物石女 「それで仕事に誇りを持っていたなんて滑稽だな」(クスリ
男 「じゃあ食ってみろよ」
婆 「そうだねぇ。自分の仕事をみてみるといい」
漬物石女 「ん、ぬぅ・・・」
男 「どした」
漬物石女 「いや、想像もしていなかったので」
漬物石女 「心の準備が・・・」
男 「じゃ、取ってくるわ」
漬物石女 「!?」
男 (スタスタ
漬物石女 「お、男殿っ」
婆 (ニコニコ
━…
40: 2012/03/20(火) 00:30:17.20 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「う・・・むぅ」
糠漬け (ドヤァ
男 「食べろよ?おにぎりもあるぞ」
漬物石女 「し、しばし待ってくれ!」
漬物石女 「なぜか、胸がどきどきするのだ・・・」
男 (ニヤニヤ
漬物石女 「・・・」(ジトー
漬物石女 「男殿は意地悪だなっ」
男 「んなことのないよー」(棒
漬物石女 (ムスー
男 「まあ食べてみろって」
漬物石女 「・・・わかった」
漬物石女 「・・・」(プルプル
漬物石女 ぱくっ
男 (いったああああ!)
糠漬け (ドヤァ
男 「食べろよ?おにぎりもあるぞ」
漬物石女 「し、しばし待ってくれ!」
漬物石女 「なぜか、胸がどきどきするのだ・・・」
男 (ニヤニヤ
漬物石女 「・・・」(ジトー
漬物石女 「男殿は意地悪だなっ」
男 「んなことのないよー」(棒
漬物石女 (ムスー
男 「まあ食べてみろって」
漬物石女 「・・・わかった」
漬物石女 「・・・」(プルプル
漬物石女 ぱくっ
男 (いったああああ!)
41: 2012/03/20(火) 00:35:11.78 ID:fUWmQY1w0
男 「・・・どうよ?」
漬物石女 「・・・私は、食べるという経験は少ないけれど、」
男 「うん」
漬物石女 「焼肉の“おいしさ”を考慮に入れて、」
漬物石女 「自惚れでなければ・・・」
漬物石女 「これは・・・おいしい・・・と、思う」(チラリ
男 「あはは、そっか」
婆 (ニコリ
漬物石女 「な 何かおかしいか?」(アセアセ
男 「はは、いや。おまえが不安そうなのがおかしくて」
漬物石女 「っ~!?やっぱり男は意地悪だ!」
漬物石女 「・・・私は、食べるという経験は少ないけれど、」
男 「うん」
漬物石女 「焼肉の“おいしさ”を考慮に入れて、」
漬物石女 「自惚れでなければ・・・」
漬物石女 「これは・・・おいしい・・・と、思う」(チラリ
男 「あはは、そっか」
婆 (ニコリ
漬物石女 「な 何かおかしいか?」(アセアセ
男 「はは、いや。おまえが不安そうなのがおかしくて」
漬物石女 「っ~!?やっぱり男は意地悪だ!」
43: 2012/03/20(火) 00:39:38.32 ID:fUWmQY1w0
男 「お前がつけた糠漬けが、おいしくないわけないだろ」
漬物石女 「へ?」
男 「俺たちはうまいから毎日食ってんだ。だよなばーちゃん」
婆 「ふふふ、そうだねぇ。」
漬物石女 「…」
漬物石女 「…糠床たちに」
漬物石女 「よい、報告ができます」
婆 ニコニコ)「…そうかい」
男 (ニコリ
漬物石女 「本当に感謝の言葉もない。」
━…
漬物石女 「へ?」
男 「俺たちはうまいから毎日食ってんだ。だよなばーちゃん」
婆 「ふふふ、そうだねぇ。」
漬物石女 「…」
漬物石女 「…糠床たちに」
漬物石女 「よい、報告ができます」
婆 ニコニコ)「…そうかい」
男 (ニコリ
漬物石女 「本当に感謝の言葉もない。」
━…
44: 2012/03/20(火) 00:44:05.23 ID:fUWmQY1w0
━…
翌日 朝
男 「」
男 「ぬか臭い」
漬物石女 「…」
男 「…」
漬物石女 「いや、あのな?」
漬物石女 「昨日は様々な出来事が大変心に残ったんだ」
漬物石女 「だから、それを独り占めするのはもったいない気がして…」
男 「それで、漬物石の姿になって」
男 「糠床の上で一晩中語り合っていた、と」
漬物石女 「う…ん」
翌日 朝
男 「」
男 「ぬか臭い」
漬物石女 「…」
男 「…」
漬物石女 「いや、あのな?」
漬物石女 「昨日は様々な出来事が大変心に残ったんだ」
漬物石女 「だから、それを独り占めするのはもったいない気がして…」
男 「それで、漬物石の姿になって」
男 「糠床の上で一晩中語り合っていた、と」
漬物石女 「う…ん」
46: 2012/03/20(火) 00:47:08.76 ID:fUWmQY1w0
男 「…」
漬物石女 「そんなにか?そんなに臭うか?」
男 「臭う。めちゃめちゃ腹減る。」
漬物石女 「そうか…すまない」(シュン
男 「…お前が仲間と話すことに文句なんかない」
男 「…ただ、シャワーくらい浴びてくれ」
漬物石女 「しゃわー…ああ、あれだな!風呂場の。」
男 「それそれ。とりあえずいって来い」
漬物石女 「わかった。…しかし、そんなにか…?」(クンクン
男 「はあ、腹減った…飯だ飯」
漬物石女 「そんなにか?そんなに臭うか?」
男 「臭う。めちゃめちゃ腹減る。」
漬物石女 「そうか…すまない」(シュン
男 「…お前が仲間と話すことに文句なんかない」
男 「…ただ、シャワーくらい浴びてくれ」
漬物石女 「しゃわー…ああ、あれだな!風呂場の。」
男 「それそれ。とりあえずいって来い」
漬物石女 「わかった。…しかし、そんなにか…?」(クンクン
男 「はあ、腹減った…飯だ飯」
47: 2012/03/20(火) 00:51:12.82 ID:fUWmQY1w0
居間 食卓
男 「ばーちゃんおはよう~」
婆 「おはよう。今朝は漬物石女ちゃんが朝ごはんを作ってくれたんだよ」
婆 「お礼にって言ってね。あの子はいい子だねぇ」
男 「あいつ…気を使うなって言ったのに…」
婆 「手際がまたいいんだよ。ありゃいいお嫁さんになるね」
男 「嫁って…あいつ漬物石だぞ」
婆 「今はもう違うよ。」
男 「…」
漬物石女 トテトテ)「しゃわーを浴びてきた。いいお湯でした。臭いはどうだろうか」
男 「そうだな…もう大丈夫みたいだ」
男 (というか、石鹸のいい香りがががが)
男 「ばーちゃんおはよう~」
婆 「おはよう。今朝は漬物石女ちゃんが朝ごはんを作ってくれたんだよ」
婆 「お礼にって言ってね。あの子はいい子だねぇ」
男 「あいつ…気を使うなって言ったのに…」
婆 「手際がまたいいんだよ。ありゃいいお嫁さんになるね」
男 「嫁って…あいつ漬物石だぞ」
婆 「今はもう違うよ。」
男 「…」
漬物石女 トテトテ)「しゃわーを浴びてきた。いいお湯でした。臭いはどうだろうか」
男 「そうだな…もう大丈夫みたいだ」
男 (というか、石鹸のいい香りがががが)
48: 2012/03/20(火) 00:55:02.69 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「よかった。私は人の姿になれるし…郷に入っては郷に従え、と言うしな」
漬物石女 「人の世の常識にも慣れていかなければ。」
男 「そだな」
婆 「じゃあ、ご飯にしようかね」
漬物石女 「はいっ。お茶を入れてきますね。」
婆 「おや、ありがとう」
男 「…」
━…
漬物石女 「うむ。とても面白い!」
男 「これで大体案内し終えたかな」
漬物石女 「現在の住宅とは大変に便利なのだなぁ」
漬物石女 「昔は真冬でも素手で水仕事をしなければならなかったというのに・・・」
漬物石女 「そういった場面はほとんど改善されているといっていい。」
漬物石女 「世の女性たちはずいぶんと楽になったことだろう」(シミジミ
漬物石女 「人の世の常識にも慣れていかなければ。」
男 「そだな」
婆 「じゃあ、ご飯にしようかね」
漬物石女 「はいっ。お茶を入れてきますね。」
婆 「おや、ありがとう」
男 「…」
━…
漬物石女 「うむ。とても面白い!」
男 「これで大体案内し終えたかな」
漬物石女 「現在の住宅とは大変に便利なのだなぁ」
漬物石女 「昔は真冬でも素手で水仕事をしなければならなかったというのに・・・」
漬物石女 「そういった場面はほとんど改善されているといっていい。」
漬物石女 「世の女性たちはずいぶんと楽になったことだろう」(シミジミ
49: 2012/03/20(火) 00:58:15.53 ID:fUWmQY1w0
男 「昔は知らないけど、今は男も当たり前に家事するぞ?」
漬物石女 「なんと!」
漬物石女 「昔は男は外から、女は内から家を守るのが世の常だったが・・・」
漬物石女 「時勢とはやはり移ろうものなのだな・・・」
男 「でも協力し合ったほうがいいだろ?」
漬物石女 「それはそうだが…んう、どうやら私は学ばなければ
ならない事がたくさんあるようだ。」
男 「少しずつ慣れてけばいいよ。焦る必要はないしな」
漬物石女 「そうだな…」
男 「しばらく家の中でヒトに馴染んでいけばいい」
男 「慣れたら次は外だな。」
漬物石女 「! 外かっ」
漬物石女 「すっかり忘れていたが、今の私には足があるのだ。」
漬物石女 「外界に出られるではないか!」
漬物石女 「なんと!」
漬物石女 「昔は男は外から、女は内から家を守るのが世の常だったが・・・」
漬物石女 「時勢とはやはり移ろうものなのだな・・・」
男 「でも協力し合ったほうがいいだろ?」
漬物石女 「それはそうだが…んう、どうやら私は学ばなければ
ならない事がたくさんあるようだ。」
男 「少しずつ慣れてけばいいよ。焦る必要はないしな」
漬物石女 「そうだな…」
男 「しばらく家の中でヒトに馴染んでいけばいい」
男 「慣れたら次は外だな。」
漬物石女 「! 外かっ」
漬物石女 「すっかり忘れていたが、今の私には足があるのだ。」
漬物石女 「外界に出られるではないか!」
50: 2012/03/20(火) 01:01:18.91 ID:fUWmQY1w0
男 「やけにテンション上げてきたな」
漬物石女 「それはてんしょん(?)上がりもする!今まで想像でしか見たことのない世界だ」
漬物石女 「さぞ様変わりしていることだろう!」
男 「どれだけの変化かなんて、実際に見てきたわけではないからわからないが…」
男 「100年近く昔と比べたらかなり違うんじゃないか?」
漬物石女 「家の中でさえこの変わりようだろう」
漬物石女 「それはすごいことになっているに違いない。楽しみだなぁ!」
男 「楽しみは後に取っとこうぜ。今は慣れることだ。」
漬物石女 「うんっ。がんばって慣れるぞ!」
男 「ははは、がんばるのかよ。」
漬物石女 「楽しみだなぁっ」
━…
漬物石女 「それはてんしょん(?)上がりもする!今まで想像でしか見たことのない世界だ」
漬物石女 「さぞ様変わりしていることだろう!」
男 「どれだけの変化かなんて、実際に見てきたわけではないからわからないが…」
男 「100年近く昔と比べたらかなり違うんじゃないか?」
漬物石女 「家の中でさえこの変わりようだろう」
漬物石女 「それはすごいことになっているに違いない。楽しみだなぁ!」
男 「楽しみは後に取っとこうぜ。今は慣れることだ。」
漬物石女 「うんっ。がんばって慣れるぞ!」
男 「ははは、がんばるのかよ。」
漬物石女 「楽しみだなぁっ」
━…
51: 2012/03/20(火) 01:04:15.43 ID:fUWmQY1w0
━…
一週間後
男 「あのさぁ…」
漬物石女 「?」
男 「毎朝起きるとぬか臭くなってるのは…」
漬物石女 「うっ…」
男 「何とかならんのか」
漬物石女 「し、仕方ないだろう!私は漬物石だ。私の重みが多少なり漬物の味を作用するのだ」
漬物石女 「というか、そこまで臭うのか…?」
男 「臭う。臭い立つ」
男 「うーむ」
漬物石女 「と、とにかく!」
漬物石女 「その仕事をおろそかにしてはならない!」
一週間後
男 「あのさぁ…」
漬物石女 「?」
男 「毎朝起きるとぬか臭くなってるのは…」
漬物石女 「うっ…」
男 「何とかならんのか」
漬物石女 「し、仕方ないだろう!私は漬物石だ。私の重みが多少なり漬物の味を作用するのだ」
漬物石女 「というか、そこまで臭うのか…?」
男 「臭う。臭い立つ」
男 「うーむ」
漬物石女 「と、とにかく!」
漬物石女 「その仕事をおろそかにしてはならない!」
52: 2012/03/20(火) 01:07:52.53 ID:fUWmQY1w0
男 「それって他の重しを乗っけるんじゃだめなの?」
漬物石女 「!? い いけない!これは私の仕事だ!誰にも譲る気はない!!」
男 「あー…えっと」
漬物石女 「私の仕事なんだ!」
男 (そんな涙目にならんでも…)
男 「その、すまん」
漬物石女 「いや、わかってくれたならばそれでいいんだ。」
男 「…」
男 「じゃあさ」
漬物石女 「まだ言うか!」
男 「いや…後進を育てる…てか」
男 「弟子をとる気とかないのかなと…」
漬物石女 「弟子…?」
男 「100年の経験を次世代に引き継ぐ」
男 「それってお前にしかできないと思わないか?」
漬物石女 「!? い いけない!これは私の仕事だ!誰にも譲る気はない!!」
男 「あー…えっと」
漬物石女 「私の仕事なんだ!」
男 (そんな涙目にならんでも…)
男 「その、すまん」
漬物石女 「いや、わかってくれたならばそれでいいんだ。」
男 「…」
男 「じゃあさ」
漬物石女 「まだ言うか!」
男 「いや…後進を育てる…てか」
男 「弟子をとる気とかないのかなと…」
漬物石女 「弟子…?」
男 「100年の経験を次世代に引き継ぐ」
男 「それってお前にしかできないと思わないか?」
53: 2012/03/20(火) 01:10:46.77 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「そのために新しい漬物石を、と?」
男 「うーん…まあ、そうかな」
漬物石女 「…」
男 (あれ?なんかすげー真剣な顔を…)
漬物石女 「…わかった。少々時間をくれ。考えてみたい。」
男 「そ そうか。」
男 (弾みで出た言葉だったんだが…)
男 (まあ、ぬか臭さがなくなる可能性が出てきたし、いっか)
男 「んじゃま、シャワー浴びてこい」
漬物石女 「うむ。では行ってくる」
男 「ほいほい~」
男 「…」
男 (「私の仕事だ!」か…)
━…
男 「うーん…まあ、そうかな」
漬物石女 「…」
男 (あれ?なんかすげー真剣な顔を…)
漬物石女 「…わかった。少々時間をくれ。考えてみたい。」
男 「そ そうか。」
男 (弾みで出た言葉だったんだが…)
男 (まあ、ぬか臭さがなくなる可能性が出てきたし、いっか)
男 「んじゃま、シャワー浴びてこい」
漬物石女 「うむ。では行ってくる」
男 「ほいほい~」
男 「…」
男 (「私の仕事だ!」か…)
━…
54: 2012/03/20(火) 01:13:18.89 ID:fUWmQY1w0
━…
後日、男宅 居間にて
女 「で、この和服美人は何者なの」
漬物石女 「これは申し遅れました。私、男殿の家にて漬物石として仕えさせていただいております、漬物石女と申します。以後お見知りおきのほど…」
女 「…え?」
男 「漬物石女、頼む」
漬物石女 「承知。っ解!」(ポンッ
漬物石女 (ドヤァ
女 「はあぁ!?」
男 「このとおり、正真正銘の漬物石だ」
女 「ふぇ…?」
漬物石女 「どうかあまり驚かれぬよう…」
女 「い 石がしゃべってる!???!」
男 「まあ、これが普通の反応だよなぁ…」
漬物石女 「…我が家のお二人の異質さが際立つなぁ」
後日、男宅 居間にて
女 「で、この和服美人は何者なの」
漬物石女 「これは申し遅れました。私、男殿の家にて漬物石として仕えさせていただいております、漬物石女と申します。以後お見知りおきのほど…」
女 「…え?」
男 「漬物石女、頼む」
漬物石女 「承知。っ解!」(ポンッ
漬物石女 (ドヤァ
女 「はあぁ!?」
男 「このとおり、正真正銘の漬物石だ」
女 「ふぇ…?」
漬物石女 「どうかあまり驚かれぬよう…」
女 「い 石がしゃべってる!???!」
男 「まあ、これが普通の反応だよなぁ…」
漬物石女 「…我が家のお二人の異質さが際立つなぁ」
56: 2012/03/20(火) 01:16:01.86 ID:fUWmQY1w0
━…
女 「へー漬物石女ちゃん付喪神なんだ」
男 「…慣れるの早くない?」
女 「だって話してみたら普通にいい子なんだもん」
漬物石女 「ふふ、はい。私は世間一般で言うところのツクモガミというもののようです。」
男 「ほかで聞いたこと無いけどな…」
女 「私は女。男の幼馴染よ。よろしくね。」
漬物石女 「はい、女殿。よろしくお願いします。」(スッ
女 「うわっ お お願いしますっ」(ワタワタ
男 「何やってんだ…漬物石女も、女にかしこまる必要ないぞ」
女 「そりゃそうだけど、何であんたが言うのっ」
漬物石女 「ふふふ、お二人は仲がよろしいのですね」
男 「腐れ縁だよ。」
女 「へー漬物石女ちゃん付喪神なんだ」
男 「…慣れるの早くない?」
女 「だって話してみたら普通にいい子なんだもん」
漬物石女 「ふふ、はい。私は世間一般で言うところのツクモガミというもののようです。」
男 「ほかで聞いたこと無いけどな…」
女 「私は女。男の幼馴染よ。よろしくね。」
漬物石女 「はい、女殿。よろしくお願いします。」(スッ
女 「うわっ お お願いしますっ」(ワタワタ
男 「何やってんだ…漬物石女も、女にかしこまる必要ないぞ」
女 「そりゃそうだけど、何であんたが言うのっ」
漬物石女 「ふふふ、お二人は仲がよろしいのですね」
男 「腐れ縁だよ。」
57: 2012/03/20(火) 01:19:22.84 ID:fUWmQY1w0
女 「…で?今日は何なの?あんたから連絡してくるってことは何かあるんでしょ?」
男 「あー…漬物石女を紹介するっていうのもあったんだが…
すまんが、こいつが服買うのに付き合ってやってくれないか?」
女 「そりゃかまわないけど…」
漬物石女 「すみません。和服なら何とかなるのですが、現代の服装は詳しくないので…」
男 「いつも和服ってのも、不便だろうから…せっかくの休みにすまないな」
女 「…じゃあ交換条件ならいいよ。」
漬物石女 「交換条件とは…?」
女 「私は今の服の着こなしを教えてあげるから、
漬物石女ちゃんは着物の着付けおしえて?」
漬物石女 「着付け、ですか。」
女 「うん。私和服なんて成人式で着たきりだから…
そのときもおばあちゃんにほとんどやってもらったし、
日本人ならそれくらい知っておきたいって前から思ってたんだよね」
男 「着物の着付けか…俺もちょっと興味あるな」
男 「あー…漬物石女を紹介するっていうのもあったんだが…
すまんが、こいつが服買うのに付き合ってやってくれないか?」
女 「そりゃかまわないけど…」
漬物石女 「すみません。和服なら何とかなるのですが、現代の服装は詳しくないので…」
男 「いつも和服ってのも、不便だろうから…せっかくの休みにすまないな」
女 「…じゃあ交換条件ならいいよ。」
漬物石女 「交換条件とは…?」
女 「私は今の服の着こなしを教えてあげるから、
漬物石女ちゃんは着物の着付けおしえて?」
漬物石女 「着付け、ですか。」
女 「うん。私和服なんて成人式で着たきりだから…
そのときもおばあちゃんにほとんどやってもらったし、
日本人ならそれくらい知っておきたいって前から思ってたんだよね」
男 「着物の着付けか…俺もちょっと興味あるな」
58: 2012/03/20(火) 01:23:12.34 ID:fUWmQY1w0
女 「この条件でだめかな?」
漬物石女 「よろしくお願いします」(ニコリ
女 「よっし!張り切って選んじゃうよ!」
市街地 デパート内部
漬物石女 「大きな建物だなぁ」(ワクワク
男 「まぁ、ここら辺じゃあ一番でかい店だからなあ」
女 「女性服コーナーは4階だよ。じゃ、いこっか」
漬物石女 「はい。お願いします」(ドキドキ
男 (…)
男 (やっぱこうなるよな)
男 (来る途中から思っていたが…)
男 (和服を着こなし、かつこの美人っぷり)
男 (…注目の的過ぎる…)
漬物石女 「よろしくお願いします」(ニコリ
女 「よっし!張り切って選んじゃうよ!」
市街地 デパート内部
漬物石女 「大きな建物だなぁ」(ワクワク
男 「まぁ、ここら辺じゃあ一番でかい店だからなあ」
女 「女性服コーナーは4階だよ。じゃ、いこっか」
漬物石女 「はい。お願いします」(ドキドキ
男 (…)
男 (やっぱこうなるよな)
男 (来る途中から思っていたが…)
男 (和服を着こなし、かつこの美人っぷり)
男 (…注目の的過ぎる…)
59: 2012/03/20(火) 01:26:20.34 ID:fUWmQY1w0
女 ヒソヒソ)「これは早く服買ったほうがいいね」
男 ヒソヒソ)「そうだな…こっちの精神力が持たん」
女 「…あんた、まだその引きこもり体質治んないの?」
男 「…うるさい」
漬物石女 「いかがした?」
男女 (当の本人、気にも留めてないし…)
男 「なんでもないよ。ささっと服選ぼうぜ」
漬物石女 「なんだかわくわくしてきたっ」
女性服コーナー
女 「こんなのどうよ!?」(ジャーン
漬物石女 「実際着てみると、ひらひらとして落ち着かないものだな…」
男 「…いいんじゃね?」
女 「あんたさぁ、さっきからそればっかじゃん。ほかにないわけ?」
男 ヒソヒソ)「そうだな…こっちの精神力が持たん」
女 「…あんた、まだその引きこもり体質治んないの?」
男 「…うるさい」
漬物石女 「いかがした?」
男女 (当の本人、気にも留めてないし…)
男 「なんでもないよ。ささっと服選ぼうぜ」
漬物石女 「なんだかわくわくしてきたっ」
女性服コーナー
女 「こんなのどうよ!?」(ジャーン
漬物石女 「実際着てみると、ひらひらとして落ち着かないものだな…」
男 「…いいんじゃね?」
女 「あんたさぁ、さっきからそればっかじゃん。ほかにないわけ?」
60: 2012/03/20(火) 01:30:09.64 ID:fUWmQY1w0
男 「いや…」
男 (どれもこれも)
男 (似合いすぎている…ッ…!!!)
男 (なんでも着こなすとか、そんなのありか!?)
男 (…ここは正直に)
男 「…どれも似合ってるよ。好きなものにしたらいい。」
漬物石女 「そ そうだろうか」(テレテレ
女 「悔しいけれど、男に同意するわ。これは私の手には余るかも…」
漬物石女 「お、女殿!そんな事言わないでくれっ。女殿が頼りなんだ!
この私に、現代の服装についてご教授下さい!」(ペコリッ
女 「か、顔を上げてよ漬物石女ちゃん!」(アセアセ
男 (こいつら見てたら面白いけど、余計目立ってんな…)
男 「そろそろ再開しよう。漬物石女は何か気に入った服はなかったのか?」
漬物石女 「…どれも美しいとは思う。和服に比べて着脱が容易であるし…」
漬物石女 「しかし、どれかひとつ選べといわれると…」
男 (どれもこれも)
男 (似合いすぎている…ッ…!!!)
男 (なんでも着こなすとか、そんなのありか!?)
男 (…ここは正直に)
男 「…どれも似合ってるよ。好きなものにしたらいい。」
漬物石女 「そ そうだろうか」(テレテレ
女 「悔しいけれど、男に同意するわ。これは私の手には余るかも…」
漬物石女 「お、女殿!そんな事言わないでくれっ。女殿が頼りなんだ!
この私に、現代の服装についてご教授下さい!」(ペコリッ
女 「か、顔を上げてよ漬物石女ちゃん!」(アセアセ
男 (こいつら見てたら面白いけど、余計目立ってんな…)
男 「そろそろ再開しよう。漬物石女は何か気に入った服はなかったのか?」
漬物石女 「…どれも美しいとは思う。和服に比べて着脱が容易であるし…」
漬物石女 「しかし、どれかひとつ選べといわれると…」
61: 2012/03/20(火) 01:34:15.25 ID:fUWmQY1w0
女 「うーん…ほんとにどれも似合うから困っちゃうよね。贅沢な悩みだ。」
漬物石女 「…男に」
男 「ん?」
漬物石女 「男に、決めてほしい」
男 「えっ俺?」
漬物石女 「もちろんっ 私の服なのだ。私が決めるべきだと思う。
しかし、ここ1、2週間ほどヒトについて学んだけれど、
服装に関しては抜けていた。知識としてまったくないに等しいんだ。
女殿に決めていただくのも申し訳ない。
でも、か、家族である男にならっ」
漬物石女 「どんな服にでも、決めてもらってかまわない!」
女 「…」
漬物石女 「…男に」
男 「ん?」
漬物石女 「男に、決めてほしい」
男 「えっ俺?」
漬物石女 「もちろんっ 私の服なのだ。私が決めるべきだと思う。
しかし、ここ1、2週間ほどヒトについて学んだけれど、
服装に関しては抜けていた。知識としてまったくないに等しいんだ。
女殿に決めていただくのも申し訳ない。
でも、か、家族である男にならっ」
漬物石女 「どんな服にでも、決めてもらってかまわない!」
女 「…」
62: 2012/03/20(火) 01:37:32.43 ID:fUWmQY1w0
男 (家族、か)
男 「…このワンピースなんかどうだ?」
女 「そうね…漬物石女ちゃんは黒髪が長くて綺麗だし、
白を基調にしたこのワンピースは映えそう」
女 「男にしてはまともなチョイスね」
男 「だ だろ?」
漬物石女 「わんぴーす…」
漬物石女 「では、これにするとしよう!」
男 「い いいのか?」
漬物石女「言っただろう。男の決めてくれたものならばかまわない。
女殿に太鼓判も頂いたしな!」
女 「漬物石女ちゃん、その「女殿」っていう呼び方やめてよ。それに、敬語もだめ!」
漬物石女 「しかし、」
男 「女がそう言ってんだ。俺に接するときみたいに、気楽にしてやれ」
漬物石女 「そ そうか…その、すまなかった、お 女…」
女 「ふふっ、男の言うことなら素直に聞くんだね」(クスリ
男 「…このワンピースなんかどうだ?」
女 「そうね…漬物石女ちゃんは黒髪が長くて綺麗だし、
白を基調にしたこのワンピースは映えそう」
女 「男にしてはまともなチョイスね」
男 「だ だろ?」
漬物石女 「わんぴーす…」
漬物石女 「では、これにするとしよう!」
男 「い いいのか?」
漬物石女「言っただろう。男の決めてくれたものならばかまわない。
女殿に太鼓判も頂いたしな!」
女 「漬物石女ちゃん、その「女殿」っていう呼び方やめてよ。それに、敬語もだめ!」
漬物石女 「しかし、」
男 「女がそう言ってんだ。俺に接するときみたいに、気楽にしてやれ」
漬物石女 「そ そうか…その、すまなかった、お 女…」
女 「ふふっ、男の言うことなら素直に聞くんだね」(クスリ
63: 2012/03/20(火) 01:41:13.33 ID:fUWmQY1w0
男 「…おまえなぁ」
漬物石女 「男は家族だ。家族とは、互いに支えあい助け合うもの。
納得できないことならまだしも、その言葉に耳を傾けるのは当然だ」
女 「そっか」
男 「…」
男 「じゃあ会計に」
女 「何言ってんの」
男 「え」
女 「ワンピース一着じゃ着回しもできないでしょ。」
男 「」
女 「あと最低でも数着はほしいわ。お金ちゃんと持ってきた?」
男 「カードはあるが…」
女 「ん。じゃ大丈夫ね。ここ見終えたら次行くわよ」
漬物石女 「女、次とは…?」
漬物石女 「男は家族だ。家族とは、互いに支えあい助け合うもの。
納得できないことならまだしも、その言葉に耳を傾けるのは当然だ」
女 「そっか」
男 「…」
男 「じゃあ会計に」
女 「何言ってんの」
男 「え」
女 「ワンピース一着じゃ着回しもできないでしょ。」
男 「」
女 「あと最低でも数着はほしいわ。お金ちゃんと持ってきた?」
男 「カードはあるが…」
女 「ん。じゃ大丈夫ね。ここ見終えたら次行くわよ」
漬物石女 「女、次とは…?」
65: 2012/03/20(火) 01:45:25.93 ID:fUWmQY1w0
女 「下着、靴、小物、etc…」
男 「」
女 「買うものはまだたくさんあるんだから。男!気抜いてんじゃないわよ!!」
男 「」
女 「じゃ、どんどん行きましょうか。漬物石女ちゃん!」
漬物石女 「わわっ」
男 「」
女 「私も服買ってもらおー」
男 「おい」
━…
数時間後
男 「や やっと家に辿り着いた…」
漬物石女 「すまなかった…荷物もすべて持たせてしまって…」
男 「」
女 「買うものはまだたくさんあるんだから。男!気抜いてんじゃないわよ!!」
男 「」
女 「じゃ、どんどん行きましょうか。漬物石女ちゃん!」
漬物石女 「わわっ」
男 「」
女 「私も服買ってもらおー」
男 「おい」
━…
数時間後
男 「や やっと家に辿り着いた…」
漬物石女 「すまなかった…荷物もすべて持たせてしまって…」
67: 2012/03/20(火) 01:49:24.36 ID:fUWmQY1w0
男 「いや、元から荷物持ちくらいしかできなかったし、それはいいんだ。」
男 「ただ、女の買い物に付き合うと毎度恐ろしく疲れる…」
漬物石女 「あはは…」
漬物石女 「女はたくましくはきはきとした、気持ちのよいお人だな。
…私のことも最後には“友達”と…」
男 「あいつはまあ、あんなやつだ。」
男 「というか、漬物石女は平気なのか…?」
漬物石女 「んー最初こそ戸惑ったが、だんだんと慣れてしまって、
途中からは楽しくさえあったな」
男 (所詮は同属…ということか…っ!)
男 「とにかく疲れた…今日は飯食って風呂入って、さっさと寝よう…」
スタスタ
漬物石女 (…)
男 「ただ、女の買い物に付き合うと毎度恐ろしく疲れる…」
漬物石女 「あはは…」
漬物石女 「女はたくましくはきはきとした、気持ちのよいお人だな。
…私のことも最後には“友達”と…」
男 「あいつはまあ、あんなやつだ。」
男 「というか、漬物石女は平気なのか…?」
漬物石女 「んー最初こそ戸惑ったが、だんだんと慣れてしまって、
途中からは楽しくさえあったな」
男 (所詮は同属…ということか…っ!)
男 「とにかく疲れた…今日は飯食って風呂入って、さっさと寝よう…」
スタスタ
漬物石女 (…)
68: 2012/03/20(火) 01:52:41.61 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「お 男…」
男 「んーなんだ?」
漬物石女 「その、服を選んでくれてありがとう…」
男 「…ああ。気にすんな。ほんとにお前なんでも似合ってたから、
選ぶほうとしてはある意味気楽だったよ。」
漬物石女 「このワンピース…」(ギュッ
漬物石女 「一生大切にするから…」
男 「…お おう」
漬物石女 「…」
男 「…」
漬物石女 「そ それでは、おやすみなさいっ」
男 「お おやすみ…」
━…
男 「んーなんだ?」
漬物石女 「その、服を選んでくれてありがとう…」
男 「…ああ。気にすんな。ほんとにお前なんでも似合ってたから、
選ぶほうとしてはある意味気楽だったよ。」
漬物石女 「このワンピース…」(ギュッ
漬物石女 「一生大切にするから…」
男 「…お おう」
漬物石女 「…」
男 「…」
漬物石女 「そ それでは、おやすみなさいっ」
男 「お おやすみ…」
━…
69: 2012/03/20(火) 01:55:45.72 ID:fUWmQY1w0
━…
「か、家族である男にならっ」
「どんな服にでも、決めてもらってかまわない!」
漬物石女 (…私はこの家の、家族。)
漬物石女 (ニコリ
━…
ある朝
漬物石女 (ガラリ
婆 「おや、漬物石女ちゃん。おはよう。」
漬物石女 「!おばあさまっ、おはようございます。
お風呂に入らせていただいていました。」
婆 「ふふ、そう。ちゃんと芯まで温まったかい?」
漬物石女 「はい。いいお湯でした。
この姿になってからお風呂の魅力にとりつかれてしまって」
「か、家族である男にならっ」
「どんな服にでも、決めてもらってかまわない!」
漬物石女 (…私はこの家の、家族。)
漬物石女 (ニコリ
━…
ある朝
漬物石女 (ガラリ
婆 「おや、漬物石女ちゃん。おはよう。」
漬物石女 「!おばあさまっ、おはようございます。
お風呂に入らせていただいていました。」
婆 「ふふ、そう。ちゃんと芯まで温まったかい?」
漬物石女 「はい。いいお湯でした。
この姿になってからお風呂の魅力にとりつかれてしまって」
71: 2012/03/20(火) 01:58:44.58 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「毎朝男にぬか臭いといわれるものですから、
気になって臭いを落としていたら…おばあさまは気になりませんか?」
婆 「私も嗅ぎ慣れてるし、気にならないよ。それに、今は臭いも落ちているもの。」
漬物石女 「そ そうですか!」(クンクン
婆 「ふふふ。…髪に櫛を入れたほうがいいね。いらっしゃい。」
漬物石女 「っ!いつもありがとうございます、おばあさま。」(トタタ
化粧台前
櫛 (サラリ
婆 「漬物石女ちゃんの髪はほんとに綺麗だねぇ。」
漬物石女 「…ありがとうございます。」
婆 「…あなたを見てると義理の祖母を思い出す。」
漬物石女 「…」
婆 「…あなたは…」
漬物石女 「…ええ、私の姿は…」
気になって臭いを落としていたら…おばあさまは気になりませんか?」
婆 「私も嗅ぎ慣れてるし、気にならないよ。それに、今は臭いも落ちているもの。」
漬物石女 「そ そうですか!」(クンクン
婆 「ふふふ。…髪に櫛を入れたほうがいいね。いらっしゃい。」
漬物石女 「っ!いつもありがとうございます、おばあさま。」(トタタ
化粧台前
櫛 (サラリ
婆 「漬物石女ちゃんの髪はほんとに綺麗だねぇ。」
漬物石女 「…ありがとうございます。」
婆 「…あなたを見てると義理の祖母を思い出す。」
漬物石女 「…」
婆 「…あなたは…」
漬物石女 「…ええ、私の姿は…」
72: 2012/03/20(火) 02:02:22.15 ID:fUWmQY1w0
>>70深夜とか速報って何?
婆 「…私が嫁いできたときはもうお年を召していらしたけれど、
立ち姿の美しい聡明な方だった。」
漬物石女 「ええ。…ですから、私はこの姿に誇りを持っています。
…持たざるを得ないと言った方がよいでしょうか。」(クスリ
婆 「ふふふ。この世には自分と似た姿が3人はいるというし、
漬物石女ちゃんは漬物石女ちゃんだものね。」
漬物石女 「私は私、ですか…」
婆 (ニコリ
漬物石女 「肝に銘じておきます」(フワリ
婆 「…うん。そろそろいいかしらねぇ」(ポンポン
漬物石女 「ありがとうございました。」
婆 「じゃあ、朝ごはんにしようか。
漬物石女ちゃんのおかげで、朝の仕度がずいぶん楽になったよ。」
漬物石女 「いえっ、ご飯は電気じゃーにせっとしてすいっちを押すだけですし、
釜戸に火を入れる必要もありませんので」
婆 「…私が嫁いできたときはもうお年を召していらしたけれど、
立ち姿の美しい聡明な方だった。」
漬物石女 「ええ。…ですから、私はこの姿に誇りを持っています。
…持たざるを得ないと言った方がよいでしょうか。」(クスリ
婆 「ふふふ。この世には自分と似た姿が3人はいるというし、
漬物石女ちゃんは漬物石女ちゃんだものね。」
漬物石女 「私は私、ですか…」
婆 (ニコリ
漬物石女 「肝に銘じておきます」(フワリ
婆 「…うん。そろそろいいかしらねぇ」(ポンポン
漬物石女 「ありがとうございました。」
婆 「じゃあ、朝ごはんにしようか。
漬物石女ちゃんのおかげで、朝の仕度がずいぶん楽になったよ。」
漬物石女 「いえっ、ご飯は電気じゃーにせっとしてすいっちを押すだけですし、
釜戸に火を入れる必要もありませんので」
73: 2012/03/20(火) 02:05:34.20 ID:fUWmQY1w0
婆 「それに、漬物石女ちゃんが来てから男の笑顔が増えた。」
婆 「感謝しているよ」
漬物石女 「…」
婆 「あの子は人前で弱みを出さないけれど、
もし漬物石女ちゃんに頼ることがあったら
その時は話だけでも聞いてあげてちょうだい。」
漬物石女 「…はいっ」
婆 「よろしくね」(ニコリ
婆 「それじゃあ、男を起してきてくれるかい?」
漬物石女 「お任せください!」(トタタタ
男の部屋
PC (カタカタ
男 「…」
PC (タンッ
男 「…んーっ…あ゛~やっと終わった…」
婆 「感謝しているよ」
漬物石女 「…」
婆 「あの子は人前で弱みを出さないけれど、
もし漬物石女ちゃんに頼ることがあったら
その時は話だけでも聞いてあげてちょうだい。」
漬物石女 「…はいっ」
婆 「よろしくね」(ニコリ
婆 「それじゃあ、男を起してきてくれるかい?」
漬物石女 「お任せください!」(トタタタ
男の部屋
PC (カタカタ
男 「…」
PC (タンッ
男 「…んーっ…あ゛~やっと終わった…」
75: 2012/03/20(火) 02:09:06.85 ID:fUWmQY1w0
男 「メールに添付してっと…」
PC (ピロリン!
男 「はぁ…結局朝までかかっちまったな…」
男 (…どうやったらあいつみたいに楽しそうに…)
男 (ハァ
男 「眠い…」
漬物石女 コンコン)「男、私だ。入ってもいいだろうか。」
男 「…どーぞー」
漬物石女 「失礼します。朝ごはんができたから呼びに…?
どうした男。なんだか疲れてないか?」
男 「なんでもないよ。ちょっと寝不足なだけ。」
漬物石女 「夜更かしか。体によくないぞ。程々にな?」
男 「うん、ありがと。」
漬物石女 「どうする?朝ごはんは食べられるか?」
男 「もちろん食べるよ。すっごい腹減ってんだ。今日はどんな感じ?」
PC (ピロリン!
男 「はぁ…結局朝までかかっちまったな…」
男 (…どうやったらあいつみたいに楽しそうに…)
男 (ハァ
男 「眠い…」
漬物石女 コンコン)「男、私だ。入ってもいいだろうか。」
男 「…どーぞー」
漬物石女 「失礼します。朝ごはんができたから呼びに…?
どうした男。なんだか疲れてないか?」
男 「なんでもないよ。ちょっと寝不足なだけ。」
漬物石女 「夜更かしか。体によくないぞ。程々にな?」
男 「うん、ありがと。」
漬物石女 「どうする?朝ごはんは食べられるか?」
男 「もちろん食べるよ。すっごい腹減ってんだ。今日はどんな感じ?」
76: 2012/03/20(火) 02:11:15.43 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「今日はお豆腐とわかめ、油揚げの入った味噌汁に、
昨日の夜仕込んでおいた鯖の煮込み、卵焼き、納豆なんかだな。
もちろん白ご飯と私達の漬けた漬物もあるぞ?」
男 「だめだ。マジ腹減ってきた。早く食べよう。」
漬物石女 「ふふふ、おばあさまが居間で待っているよ。」
男 「さっさと行かないとな。…うーん、やっぱちゃんと寝ないと駄目だな…」(ブツブツ
漬物石女 (…男は夜更かしして何をしていたのだろう。
てれびの様な物の前に座っていたが…)
漬物石女 (そういえば、男はいつも何を…)
男 「どした?」
漬物石女 「あ、すまないっ。少し考え事を…」
男 「そんなのあとあと!今は飯のことだけ考えよーぜ。」
漬物石女 「あははは、そうだなっ」
━…
昨日の夜仕込んでおいた鯖の煮込み、卵焼き、納豆なんかだな。
もちろん白ご飯と私達の漬けた漬物もあるぞ?」
男 「だめだ。マジ腹減ってきた。早く食べよう。」
漬物石女 「ふふふ、おばあさまが居間で待っているよ。」
男 「さっさと行かないとな。…うーん、やっぱちゃんと寝ないと駄目だな…」(ブツブツ
漬物石女 (…男は夜更かしして何をしていたのだろう。
てれびの様な物の前に座っていたが…)
漬物石女 (そういえば、男はいつも何を…)
男 「どした?」
漬物石女 「あ、すまないっ。少し考え事を…」
男 「そんなのあとあと!今は飯のことだけ考えよーぜ。」
漬物石女 「あははは、そうだなっ」
━…
77: 2012/03/20(火) 02:16:31.49 ID:fUWmQY1w0
━…
ある日の男宅 縁側
女 「…ふぁ~…」
漬物石女 「…」
女 「今日は暖かいねぇ…」
漬物石女 「そうだなぁ…」
女 「こんな日はついつい気持ちが緩んじゃうねぇ…」
漬物石女 「そうかもなぁ…」
女 ゴロリ)「…空、青いなぁ。」
漬物石女 「本当だ。真っ青だ。」
女 「せっかく遊びに来たのに、だらだらしてごめんねぇ」
漬物石女 「この間のように買い物をするのも楽しいけれど、
こうしてゆっくり空を眺めるのも悪くないものだ。」
女 「そうだねぇ。悪くないよねぇ。」
漬物石女 「うむ。」
ある日の男宅 縁側
女 「…ふぁ~…」
漬物石女 「…」
女 「今日は暖かいねぇ…」
漬物石女 「そうだなぁ…」
女 「こんな日はついつい気持ちが緩んじゃうねぇ…」
漬物石女 「そうかもなぁ…」
女 ゴロリ)「…空、青いなぁ。」
漬物石女 「本当だ。真っ青だ。」
女 「せっかく遊びに来たのに、だらだらしてごめんねぇ」
漬物石女 「この間のように買い物をするのも楽しいけれど、
こうしてゆっくり空を眺めるのも悪くないものだ。」
女 「そうだねぇ。悪くないよねぇ。」
漬物石女 「うむ。」
78: 2012/03/20(火) 02:19:40.72 ID:fUWmQY1w0
女 「はぁ…。休日に縁側でまったり…。幸せだぁ。」
漬物石女 「ほんとになぁ…」
女 (グダー
漬物石女 「…」
漬物石女 「…女は」
女 「んー?」
漬物石女 「女は、自分がなぜここにいるか考えたことはあるか?」
女 「哲学するねえ…。うーん、無いなぁ。漬物石女ちゃんはなんでだと思うの?」
漬物石女 「私は…私も分からないんだ。人である経験の長い女ならと思ったんだが…」
女 「難しいねぇ…」
漬物石女 「…私がこの姿を得る前、漬物石のみであったときは、
そんなことを考える必要は無かった。
漬物石女 「なぜなら私がそこにいるのは、
奥方様…男の高祖母様が私を拾ってきてくださったからだし、
漬物石としての役割を果たすためだったから。」
漬物石女 「ほんとになぁ…」
女 (グダー
漬物石女 「…」
漬物石女 「…女は」
女 「んー?」
漬物石女 「女は、自分がなぜここにいるか考えたことはあるか?」
女 「哲学するねえ…。うーん、無いなぁ。漬物石女ちゃんはなんでだと思うの?」
漬物石女 「私は…私も分からないんだ。人である経験の長い女ならと思ったんだが…」
女 「難しいねぇ…」
漬物石女 「…私がこの姿を得る前、漬物石のみであったときは、
そんなことを考える必要は無かった。
漬物石女 「なぜなら私がそこにいるのは、
奥方様…男の高祖母様が私を拾ってきてくださったからだし、
漬物石としての役割を果たすためだったから。」
79: 2012/03/20(火) 02:22:32.79 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「しかし、この姿を得てから…
人として暮らせるようになってから分からなくなった。」
女 「…」
漬物石女 「家族と呼んでくれる人たちに囲まれ、
自分の漬けた漬物を食べ、
友と日の下で語らい…自分の足でどこまでも歩いていける。
漬物石であったときの私では想像もできないことばかりで、」
漬物石女 「とても、とても幸せなんだ。」
漬物石女 「でも、なぜ私なのか。」
漬物石女 「なぜ私だけが…」
漬物石女 「男やおばあさまは、がんばった結果だと言ってくださる。」
漬物石女 「でも、…なぜだろう。もっと決定的な『ここにいる理由』が欲しくなるんだ。」
漬物石女 「それを手に入れてはじめて、私は今ある生を受け入れ、
次に進めるのだと思う。」
人として暮らせるようになってから分からなくなった。」
女 「…」
漬物石女 「家族と呼んでくれる人たちに囲まれ、
自分の漬けた漬物を食べ、
友と日の下で語らい…自分の足でどこまでも歩いていける。
漬物石であったときの私では想像もできないことばかりで、」
漬物石女 「とても、とても幸せなんだ。」
漬物石女 「でも、なぜ私なのか。」
漬物石女 「なぜ私だけが…」
漬物石女 「男やおばあさまは、がんばった結果だと言ってくださる。」
漬物石女 「でも、…なぜだろう。もっと決定的な『ここにいる理由』が欲しくなるんだ。」
漬物石女 「それを手に入れてはじめて、私は今ある生を受け入れ、
次に進めるのだと思う。」
80: 2012/03/20(火) 02:25:07.12 ID:fUWmQY1w0
女 「ここにいる理由、かぁ…」
女 「…自分のルーツを辿ってみるってどうかな?」
漬物石女 「るーつ?」
女 「そう。自分の歴史を最初から辿ってみるの。そうすれば何か…」
漬物石女 「自分の歴史…」
女 「それで見つかるかは分かんないけど…」
女 「んー…でももしかしたら」
漬物石女 「?」
女 「理由なんて、気づけばもうあるものなのかも」
女 「うーん、私もちょっと探してみようかな…」
漬物石女 (…理由はもう…)
漬物石女 「…そうか。」
漬物石女 「ありがとう、女。何か…分かりかけてきた。」
女 「…自分のルーツを辿ってみるってどうかな?」
漬物石女 「るーつ?」
女 「そう。自分の歴史を最初から辿ってみるの。そうすれば何か…」
漬物石女 「自分の歴史…」
女 「それで見つかるかは分かんないけど…」
女 「んー…でももしかしたら」
漬物石女 「?」
女 「理由なんて、気づけばもうあるものなのかも」
女 「うーん、私もちょっと探してみようかな…」
漬物石女 (…理由はもう…)
漬物石女 「…そうか。」
漬物石女 「ありがとう、女。何か…分かりかけてきた。」
81: 2012/03/20(火) 02:30:37.35 ID:fUWmQY1w0
女 「えっほんと?」
漬物石女 「うん。この足で確かめに行ってみるよ。」
女 「…」(ニコリ
男 スタスタ)「へい、お客さん。お茶セットお待ち~」
漬物石女 「あっ、男。ありがとう。」
女 「遅いよ、店員さん。罰としてお茶請けにみたらし団子買ってきて。」
男 「ふっふっふ、残念だったな!
今日のお茶請けは、ばーちゃん特製みたらし団子だ!」(バーン
女 「やっぱおばあちゃん分かってる!」
婆 オホホ)「たくさんおあがり。」
漬物石女 「いただきますっ」
ワイワイ)
漬物石女 (私は…なんて幸せなんだろう)
漬物石女 (ここにいる理由…)
漬物石女 「…」
漬物石女 「うん。この足で確かめに行ってみるよ。」
女 「…」(ニコリ
男 スタスタ)「へい、お客さん。お茶セットお待ち~」
漬物石女 「あっ、男。ありがとう。」
女 「遅いよ、店員さん。罰としてお茶請けにみたらし団子買ってきて。」
男 「ふっふっふ、残念だったな!
今日のお茶請けは、ばーちゃん特製みたらし団子だ!」(バーン
女 「やっぱおばあちゃん分かってる!」
婆 オホホ)「たくさんおあがり。」
漬物石女 「いただきますっ」
ワイワイ)
漬物石女 (私は…なんて幸せなんだろう)
漬物石女 (ここにいる理由…)
漬物石女 「…」
83: 2012/03/20(火) 02:34:04.96 ID:fUWmQY1w0
男 「? 漬物石女―?」
漬物石女 「う うむ!なんだ?」
男 「どうかしたか?」
漬物石女 「…」
男 「?」
漬物石女 (…)
漬物石女 (…よし、決めた!)
━…
男 (なんだか最近、漬物石女の様子がおかしい)
男 (ずっとそわそわしている)
漬物石女 ソワソワ)
男 (かと思ったら、ちらちらこっちを見てくる)
漬物石女 チラチラ)
男 「どうしたってんだ?」
漬物石女 「う うむ!なんだ?」
男 「どうかしたか?」
漬物石女 「…」
男 「?」
漬物石女 (…)
漬物石女 (…よし、決めた!)
━…
男 (なんだか最近、漬物石女の様子がおかしい)
男 (ずっとそわそわしている)
漬物石女 ソワソワ)
男 (かと思ったら、ちらちらこっちを見てくる)
漬物石女 チラチラ)
男 「どうしたってんだ?」
84: 2012/03/20(火) 02:38:20.84 ID:fUWmQY1w0
男 (何か俺の持ち物壊したとか?)
男 (ま、まさか、俺の秘蔵のコレクションを見ちゃったとか…)
漬物石女 「お、男…」
男 「う うわっ!どどどどうしたっ?」
漬物石女 「今日はお、お願いがあるんだ」
男 「お願い…?」
男 (お願いって…ひ、秘蔵コレクションの破棄!?)
漬物石女 「あ、あんな破廉恥なもの私が暮らす家に置いておくなんて許せない!」
漬物石女 「破棄だ!即刻破棄!!」
男 「う、うわぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!」
漬物石女 「お 男…?」
男 ハッ)
男 (ま、まさか、俺の秘蔵のコレクションを見ちゃったとか…)
漬物石女 「お、男…」
男 「う うわっ!どどどどうしたっ?」
漬物石女 「今日はお、お願いがあるんだ」
男 「お願い…?」
男 (お願いって…ひ、秘蔵コレクションの破棄!?)
漬物石女 「あ、あんな破廉恥なもの私が暮らす家に置いておくなんて許せない!」
漬物石女 「破棄だ!即刻破棄!!」
男 「う、うわぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!」
漬物石女 「お 男…?」
男 ハッ)
85: 2012/03/20(火) 02:42:35.55 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「あ あのな…」
漬物石女 「行きたいところがあるんだ。」
男 「…へ?行きたいところ?」
漬物石女 「…私を拾っていただいた河原…」
男 「! ああ…」
漬物石女 「その、な」
漬物石女 「一緒に行ってくれないか…?」
男 (…今の漬物石女の始まりの場所…)
男 (…)
男 「…わかった。一緒に行くよ。」
漬物石女 (フワリ
漬物石女 「…ありがとう」
━…
漬物石女 「行きたいところがあるんだ。」
男 「…へ?行きたいところ?」
漬物石女 「…私を拾っていただいた河原…」
男 「! ああ…」
漬物石女 「その、な」
漬物石女 「一緒に行ってくれないか…?」
男 (…今の漬物石女の始まりの場所…)
男 (…)
男 「…わかった。一緒に行くよ。」
漬物石女 (フワリ
漬物石女 「…ありがとう」
━…
87: 2012/03/20(火) 02:44:56.94 ID:fUWmQY1w0
━…
男 (あいつにとってすべてが始まった場所…)
男 「よく考えたら、すごい確立だよなあ。曾々ばーちゃんが
何千何万とあるかわらの石ころからあいつを選ばなければ」
男 「今漬物石女はここにいないわけで…」
男 「なんか…スゲーな…」
男 「…」
男 「…秘蔵コレクションはデータ化してパソコンに入れるか…」
━・・・
男 (あいつにとってすべてが始まった場所…)
男 「よく考えたら、すごい確立だよなあ。曾々ばーちゃんが
何千何万とあるかわらの石ころからあいつを選ばなければ」
男 「今漬物石女はここにいないわけで…」
男 「なんか…スゲーな…」
男 「…」
男 「…秘蔵コレクションはデータ化してパソコンに入れるか…」
━・・・
88: 2012/03/20(火) 02:47:14.84 ID:fUWmQY1w0
━・・・
漬物石女 (あの場所に帰るのは本当に久しぶりだ)
漬物石女 (遠くの山々や、川の流れは健在だろうか)
漬物石女 (どうして今私がここに、こうしていることができるか、)
漬物石女 (あの方に問うことはもう叶わないけれど…)
漬物石女 (あそこへ行けば何かわかるかもしれない。)
漬物石女 (楽しみであるけれど、ひどく恐ろしい…)
漬物石女 (…)
漬物石女 (でも、男が一緒にいてくれる。私の家族が…)
漬物石女 「…ありがとう…」
━…
漬物石女 (あの場所に帰るのは本当に久しぶりだ)
漬物石女 (遠くの山々や、川の流れは健在だろうか)
漬物石女 (どうして今私がここに、こうしていることができるか、)
漬物石女 (あの方に問うことはもう叶わないけれど…)
漬物石女 (あそこへ行けば何かわかるかもしれない。)
漬物石女 (楽しみであるけれど、ひどく恐ろしい…)
漬物石女 (…)
漬物石女 (でも、男が一緒にいてくれる。私の家族が…)
漬物石女 「…ありがとう…」
━…
89: 2012/03/20(火) 02:50:01.58 ID:fUWmQY1w0
━…
数日後
男 「忘れ物ないか?」
漬物石女 「お弁当も持った、帽子もかぶった!」
男 「ん。俺も財布はちゃんと持ってる。」
婆 「それじゃあ行っといで」
漬物石女 「はい、おばあさま。行ってまいります」(ペコリ
男 「じゃあ、行ってきまーす」
自転車 シャアアア
漬物石女 「このじてんしゃというのは風を切って気持ちいいなっ」
男 「俺も久々に乗ったけど、やっぱ悪くないな。」
男 「河原まで2,30分ってとこか。」
漬物石女 「結構かかるのだな」
男 「そうだなー」
数日後
男 「忘れ物ないか?」
漬物石女 「お弁当も持った、帽子もかぶった!」
男 「ん。俺も財布はちゃんと持ってる。」
婆 「それじゃあ行っといで」
漬物石女 「はい、おばあさま。行ってまいります」(ペコリ
男 「じゃあ、行ってきまーす」
自転車 シャアアア
漬物石女 「このじてんしゃというのは風を切って気持ちいいなっ」
男 「俺も久々に乗ったけど、やっぱ悪くないな。」
男 「河原まで2,30分ってとこか。」
漬物石女 「結構かかるのだな」
男 「そうだなー」
90: 2012/03/20(火) 03:03:21.68 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 ガタンッ)「わわっ」
男 「おっとっと、ごめん。落ちないようにちゃんとつかまれよ?」
漬物石女 「う、うむ!」(キュッ…
━…
自転車 シャアアア
漬物石女 「…あ」
男 「ん?どした?」
漬物石女 「いや、あの山の形に見覚えが…」
男 「そうか、前見てみろ。見えてきたぞ!」
漬物石女 「…!」
━…
男 「おっとっと、ごめん。落ちないようにちゃんとつかまれよ?」
漬物石女 「う、うむ!」(キュッ…
━…
自転車 シャアアア
漬物石女 「…あ」
男 「ん?どした?」
漬物石女 「いや、あの山の形に見覚えが…」
男 「そうか、前見てみろ。見えてきたぞ!」
漬物石女 「…!」
━…
92: 2012/03/20(火) 03:13:29.16 ID:fUWmQY1w0
━…
河原
男 「ここが…」
漬物石女 「…」
漬物石女 「整備されて、様変わりしているが…川の形は変わっていない。」
漬物石女 「間違いない。ここだ。」
男 「石ころだらけだな…」
漬物石女 「私もここの石のひとつだった。それを奥方様に拾っていただいて…」
男 「奥方様ってのは、曾々ばーちゃんのことか?」
漬物石女 「そうだな。男から見れば…」
漬物石女 「しかし、私にとって奥方様は、初めてお仕えしたお方…
尊敬する恩人」
漬物石女 「唯一無二の方なのだ」
河原
男 「ここが…」
漬物石女 「…」
漬物石女 「整備されて、様変わりしているが…川の形は変わっていない。」
漬物石女 「間違いない。ここだ。」
男 「石ころだらけだな…」
漬物石女 「私もここの石のひとつだった。それを奥方様に拾っていただいて…」
男 「奥方様ってのは、曾々ばーちゃんのことか?」
漬物石女 「そうだな。男から見れば…」
漬物石女 「しかし、私にとって奥方様は、初めてお仕えしたお方…
尊敬する恩人」
漬物石女 「唯一無二の方なのだ」
93: 2012/03/20(火) 03:20:42.78 ID:fUWmQY1w0
男 「そういえば、前も曾々ばーちゃんのこといってたな。
俺もさすがに知らないから…」
男 「よかったら聞かせてくれないか?」
漬物石女 「…ふふ」
漬物石女 「あの方についてこの口で語れる日が来ようとは…思いもしなかった」
━…
漬物石女 「あの方…奥方様は、容姿端麗、文武ともに優れ、
女性にしておくのはもったいないと評判の娘だった。」
漬物石女 「旦那様と出会いになられたのは20のころだったか…
結納を済ませ、嫁入りの時分、品々とともに
ご実家から糠床をひとつ持ってこられた。」
男 「今家にあるやつとはちがうのか?」
漬物石女 「あぁ。そもそもが古いものであったしな、
もう大分前に寿命を迎えてしまったよ。」
漬物石女 「昔かたぎの堅苦しいやつだったが、腕は確かな職人だった…
…まあ、そのとき漬物石を持ってきていなくてな。」
俺もさすがに知らないから…」
男 「よかったら聞かせてくれないか?」
漬物石女 「…ふふ」
漬物石女 「あの方についてこの口で語れる日が来ようとは…思いもしなかった」
━…
漬物石女 「あの方…奥方様は、容姿端麗、文武ともに優れ、
女性にしておくのはもったいないと評判の娘だった。」
漬物石女 「旦那様と出会いになられたのは20のころだったか…
結納を済ませ、嫁入りの時分、品々とともに
ご実家から糠床をひとつ持ってこられた。」
男 「今家にあるやつとはちがうのか?」
漬物石女 「あぁ。そもそもが古いものであったしな、
もう大分前に寿命を迎えてしまったよ。」
漬物石女 「昔かたぎの堅苦しいやつだったが、腕は確かな職人だった…
…まあ、そのとき漬物石を持ってきていなくてな。」
94: 2012/03/20(火) 03:28:20.95 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「この河原に探しにこられた、というわけだ。」
漬物石女 「何事も全力で、駆け抜けるような御仁であった。
この河原でふさわしい石、…私だな、私を探しておられたときも、」
漬物石女 「それは真剣で…私は最初、砂金でも探しておられるのかと思っていた。」
漬物石女 「そして…何日かこの河原に通われ、ついに私たちは出会った。」
男 「…」
漬物石女 「最初に拾い上げられたときは何事かと思ったなぁ。」
漬物石女 「人に触れられるのは初めての経験であった故、
そのやわらかさにとても驚いたのを覚えている。」
漬物石女 「よく見るといつもの女性であったので、「何だ、自分の番か」と
無感動にそんなことを思ったな。」
漬物石女 「その女性は石を持ち上げては一部始終眺め、形を確かめたりしながら
元の場所に戻す、というのを繰り返していたので、私もそうなのだろうと。」
漬物石女 「ところがその女性は川で私を簡単に洗った後、
風呂敷に包んで私を自宅まで連れ帰ったのだ。」
漬物石女 「もう何がなんだかわからなかった…井戸水で徹底的に洗われた後
手ぬぐいできれいに拭かれ…」
漬物石女 「気づけば私は、“河原の石ころ”から、“漬物石”になっていた。」
漬物石女 「何事も全力で、駆け抜けるような御仁であった。
この河原でふさわしい石、…私だな、私を探しておられたときも、」
漬物石女 「それは真剣で…私は最初、砂金でも探しておられるのかと思っていた。」
漬物石女 「そして…何日かこの河原に通われ、ついに私たちは出会った。」
男 「…」
漬物石女 「最初に拾い上げられたときは何事かと思ったなぁ。」
漬物石女 「人に触れられるのは初めての経験であった故、
そのやわらかさにとても驚いたのを覚えている。」
漬物石女 「よく見るといつもの女性であったので、「何だ、自分の番か」と
無感動にそんなことを思ったな。」
漬物石女 「その女性は石を持ち上げては一部始終眺め、形を確かめたりしながら
元の場所に戻す、というのを繰り返していたので、私もそうなのだろうと。」
漬物石女 「ところがその女性は川で私を簡単に洗った後、
風呂敷に包んで私を自宅まで連れ帰ったのだ。」
漬物石女 「もう何がなんだかわからなかった…井戸水で徹底的に洗われた後
手ぬぐいできれいに拭かれ…」
漬物石女 「気づけば私は、“河原の石ころ”から、“漬物石”になっていた。」
95: 2012/03/20(火) 03:35:40.06 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「あの方が初めて旦那様の家で漬けた野菜はキュウリだったなぁ…
私の最初の仕事…もっとも、そのときはわけも分からずだったが。
糠床に手取り足取り教えてもらいながら、私は段々と仕事を覚えた。」
漬物石女 「それからは今思えばあっという間だった…社会の変革…戦争。
もっとも、私が実際にそれらを目にすることはなかったが。
奥方様も亡くなられ…
おばあさまが嫁いでこられ…男が生まれ…」
漬物石女 「ああ、そうだ…男が生まれたときは春なのに雪が降っていたなぁ。
我ら水屋連中はこっそりと祝杯を挙げたものだ。まぁ、実際に酒は飲んでいないが」(クスリ
漬物石女 「そして男に落書きされた」(ニコリ
男 「いや、だから…」
漬物石女 「私はうれしい。前にも言ったが、これは消えることのない、
私が私である証。」
漬物石女 「そして、私が確かに男と出会えたという証なんだ。
これはもう手放せないし、手放したくない。
それがうれしいんだ。」
私の最初の仕事…もっとも、そのときはわけも分からずだったが。
糠床に手取り足取り教えてもらいながら、私は段々と仕事を覚えた。」
漬物石女 「それからは今思えばあっという間だった…社会の変革…戦争。
もっとも、私が実際にそれらを目にすることはなかったが。
奥方様も亡くなられ…
おばあさまが嫁いでこられ…男が生まれ…」
漬物石女 「ああ、そうだ…男が生まれたときは春なのに雪が降っていたなぁ。
我ら水屋連中はこっそりと祝杯を挙げたものだ。まぁ、実際に酒は飲んでいないが」(クスリ
漬物石女 「そして男に落書きされた」(ニコリ
男 「いや、だから…」
漬物石女 「私はうれしい。前にも言ったが、これは消えることのない、
私が私である証。」
漬物石女 「そして、私が確かに男と出会えたという証なんだ。
これはもう手放せないし、手放したくない。
それがうれしいんだ。」
96: 2012/03/20(火) 03:45:53.72 ID:fUWmQY1w0
男 「…漬物石女」
漬物石女 「…途中から私の話になってしまっていたな」
男 「…色々あったんだろうな。」
漬物石女 「そうだな…かけがえのない思い出ばかりだ。」
男 「…漬物石女は…」
漬物石女 「?」
男 「ウチに来てよかったか…?」
漬物石女 「…」
ぽかっ
男 「ってぇ…」
漬物石女 「男は何を聞いてたんだ」(プンスカ
漬物石女 「そんなの…」
漬物石女 「よかったに決まっているではないか!」
漬物石女 「…途中から私の話になってしまっていたな」
男 「…色々あったんだろうな。」
漬物石女 「そうだな…かけがえのない思い出ばかりだ。」
男 「…漬物石女は…」
漬物石女 「?」
男 「ウチに来てよかったか…?」
漬物石女 「…」
ぽかっ
男 「ってぇ…」
漬物石女 「男は何を聞いてたんだ」(プンスカ
漬物石女 「そんなの…」
漬物石女 「よかったに決まっているではないか!」
97: 2012/03/20(火) 03:52:10.44 ID:fUWmQY1w0
男 「…ごめん」
漬物石女 「謝るな!余計に腹立たしい!」(プリプリ
漬物石女 「ううう、なぜこんなにいらいらするのか!」
男 (あーと、えーと)
男 「ええと、俺も」
男 「俺も、お前に出会えてよかったよ。ほ 本当だぞ。」
漬物石女 「ひぇ!?」
漬物石女 「そ …そうか。」
漬物石女 「そうか。」(エヘヘ
男 「えーと…つ、漬物石女…さん?」
漬物石女 「それならば許そう!」
男 「ほっ…」
漬物石女 「うん!それでは帰るとしようか!」
男 「もういいのか?」
漬物石女 「謝るな!余計に腹立たしい!」(プリプリ
漬物石女 「ううう、なぜこんなにいらいらするのか!」
男 (あーと、えーと)
男 「ええと、俺も」
男 「俺も、お前に出会えてよかったよ。ほ 本当だぞ。」
漬物石女 「ひぇ!?」
漬物石女 「そ …そうか。」
漬物石女 「そうか。」(エヘヘ
男 「えーと…つ、漬物石女…さん?」
漬物石女 「それならば許そう!」
男 「ほっ…」
漬物石女 「うん!それでは帰るとしようか!」
男 「もういいのか?」
98: 2012/03/20(火) 03:58:47.54 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「うむ。答えなぞ見つからなかったが、すっきりした。」
男 「答え?答えってなんだ?」
漬物石女 「私が私であるという、その答えだ。」
漬物石女 「そんなもの探して見つかるようなものではないな。
ふふ、それに気付けただけで収穫だ。
さあ、帰って糠床の様子でも見るとしよう!」
男 「お前本当に仕事好きな」
漬物石女 「漬物石としての私が、私が私であるその最大の証だ。それは決しておろそかにできない。まあ、今はそれだけではないが…」
漬物石女 「ふふふ、いや、何でもない」
男 「…お前ってさ」
漬物石女 「?」
男 「いや、…俺も何でもないや」
漬物石女 「?そうか」
男 (ある意味幸せ物だよなぁ、こいつ)
男 (それに比べて、俺は…)
男 「答え?答えってなんだ?」
漬物石女 「私が私であるという、その答えだ。」
漬物石女 「そんなもの探して見つかるようなものではないな。
ふふ、それに気付けただけで収穫だ。
さあ、帰って糠床の様子でも見るとしよう!」
男 「お前本当に仕事好きな」
漬物石女 「漬物石としての私が、私が私であるその最大の証だ。それは決しておろそかにできない。まあ、今はそれだけではないが…」
漬物石女 「ふふふ、いや、何でもない」
男 「…お前ってさ」
漬物石女 「?」
男 「いや、…俺も何でもないや」
漬物石女 「?そうか」
男 (ある意味幸せ物だよなぁ、こいつ)
男 (それに比べて、俺は…)
99: 2012/03/20(火) 04:04:19.91 ID:fUWmQY1w0
コツコツ
ゴチンッ
男 「いっだあぁぁぁ」
漬物石女 「おいおい、足元には気をつけ」
痛い…
漬物石女 「…?」
男 「ぐうぅぅ…!」
漬物石女 「男!少し静かにっ」
男 「ひぇ?」
痛いよお…
漬物石女 「…」(コツコツ
漬物石女 (スッ
漬物石女 「…お前か?」
ゴチンッ
男 「いっだあぁぁぁ」
漬物石女 「おいおい、足元には気をつけ」
痛い…
漬物石女 「…?」
男 「ぐうぅぅ…!」
漬物石女 「男!少し静かにっ」
男 「ひぇ?」
痛いよお…
漬物石女 「…」(コツコツ
漬物石女 (スッ
漬物石女 「…お前か?」
100: 2012/03/20(火) 04:10:08.54 ID:fUWmQY1w0
石幼女 「わっ。…おねえちゃんだあれ?わたしの声聞こえるの?」
漬物石女 「うむ。私も元石ころだからな。こっちの男がすまなかった。」
石幼女 「ううん。足が当たっただけだから…でもわたしびっくりしちゃって
…おにいちゃん大丈夫かな」
漬物石女 「大丈夫だ」(キッパリ
男 「ううぅぅぅ…」
石幼女 「…えと、でも元石ころって…?」
漬物石女 「ああ…私も昔な」
>男 「いや…後進を育てる…てか」
>男 「弟子をとる気とかないのかなと…」
>男 「100年の経験を次世代に引き継ぐ」
>男 「それってお前にしかできないと思わないか?」
漬物石女 「…」
漬物石女 「うむ。私も元石ころだからな。こっちの男がすまなかった。」
石幼女 「ううん。足が当たっただけだから…でもわたしびっくりしちゃって
…おにいちゃん大丈夫かな」
漬物石女 「大丈夫だ」(キッパリ
男 「ううぅぅぅ…」
石幼女 「…えと、でも元石ころって…?」
漬物石女 「ああ…私も昔な」
>男 「いや…後進を育てる…てか」
>男 「弟子をとる気とかないのかなと…」
>男 「100年の経験を次世代に引き継ぐ」
>男 「それってお前にしかできないと思わないか?」
漬物石女 「…」
101: 2012/03/20(火) 04:16:26.42 ID:fUWmQY1w0
石幼女 「あ あの…おねえちゃん?」
漬物石女 「お前、名はなんと言う。」
石幼女 「わ わたしは石幼女だよ?」
漬物石女 「ここで何をしていた?」
石幼女 「ふぇ?何を…?」
漬物石女 「…何もしていない、か?」
石幼女 「う うん。お空を見てた…」
漬物石女 「周りに友人はいるのか?」
石幼女 「・・・えと、みんなあんまりしゃべらないから…」
漬物石女 「だろうな。石とは本来無口なものだ。」
漬物石女 「問われたからといって、お前のようにしゃべることは稀だ。」
石幼女 「…ご ごめんなさい」
漬物石女 「謝る必要などない。ところで、石幼女よ」
石幼女 「な なあに?」
漬物石女 「空以外が見たくはないか?」
漬物石女 「お前、名はなんと言う。」
石幼女 「わ わたしは石幼女だよ?」
漬物石女 「ここで何をしていた?」
石幼女 「ふぇ?何を…?」
漬物石女 「…何もしていない、か?」
石幼女 「う うん。お空を見てた…」
漬物石女 「周りに友人はいるのか?」
石幼女 「・・・えと、みんなあんまりしゃべらないから…」
漬物石女 「だろうな。石とは本来無口なものだ。」
漬物石女 「問われたからといって、お前のようにしゃべることは稀だ。」
石幼女 「…ご ごめんなさい」
漬物石女 「謝る必要などない。ところで、石幼女よ」
石幼女 「な なあに?」
漬物石女 「空以外が見たくはないか?」
102: 2012/03/20(火) 04:22:34.55 ID:fUWmQY1w0
石幼女 「お空以外?お空よりもっときれいで面白かったりする?」
漬物石女 「そこは個人の感覚しだいだが・・・
石幼女にとってのそういうものがあるかもしれない。」
石幼女 「じゃあ、みたい!」
漬物石女 「決まりだな」
漬物石女 「おいっ 男!」
男 「な なんだぁ」
漬物石女 「決めた!」
男石幼女 「?」
漬物石女 「私は━…」
漬物石女 「こいつを弟子にする!」
男石幼女 「」
男 「…」
男 「…こいつって誰?」
━…
漬物石女 「そこは個人の感覚しだいだが・・・
石幼女にとってのそういうものがあるかもしれない。」
石幼女 「じゃあ、みたい!」
漬物石女 「決まりだな」
漬物石女 「おいっ 男!」
男 「な なんだぁ」
漬物石女 「決めた!」
男石幼女 「?」
漬物石女 「私は━…」
漬物石女 「こいつを弟子にする!」
男石幼女 「」
男 「…」
男 「…こいつって誰?」
━…
103: 2012/03/20(火) 04:28:43.46 ID:fUWmQY1w0
━…
帰宅後
石幼女 「おねえちゃんくすぐったいよぉ」///
漬物石女 「もうちょっとだ。がまんしなさい」(ゴシゴシ
漬物石女 「…うん。とっても綺麗になったぞ?鏡を見てみごらん」
石幼女 「…わあぁ。ぴかぴかしてる!…丸いあれが、わたし?」
漬物石女 「そうだよ。石幼女だ。」
石幼女 「…でも、どうしてわたしをぴかぴかにしたの?」
漬物石女 「いいか?よく聞くんだよ?
石幼女、お前は今日から漬物石になるんだ。」
石幼女 「つけのもいしってなに?」
漬物石女 「漬物石、だよ。」
漬物石女 「漬物石の仕事は、糠床に漬けられる野菜の重しになることだ。
私たちのさじ加減ひとつで、漬物が食べやすいしんなりしたものから、
おつまみに最適なカリッとしたものまでその姿を変えるんだ。
もちろん糠床の力も大きい。まあ、どうするかは要相談だな。」
帰宅後
石幼女 「おねえちゃんくすぐったいよぉ」///
漬物石女 「もうちょっとだ。がまんしなさい」(ゴシゴシ
漬物石女 「…うん。とっても綺麗になったぞ?鏡を見てみごらん」
石幼女 「…わあぁ。ぴかぴかしてる!…丸いあれが、わたし?」
漬物石女 「そうだよ。石幼女だ。」
石幼女 「…でも、どうしてわたしをぴかぴかにしたの?」
漬物石女 「いいか?よく聞くんだよ?
石幼女、お前は今日から漬物石になるんだ。」
石幼女 「つけのもいしってなに?」
漬物石女 「漬物石、だよ。」
漬物石女 「漬物石の仕事は、糠床に漬けられる野菜の重しになることだ。
私たちのさじ加減ひとつで、漬物が食べやすいしんなりしたものから、
おつまみに最適なカリッとしたものまでその姿を変えるんだ。
もちろん糠床の力も大きい。まあ、どうするかは要相談だな。」
105: 2012/03/20(火) 04:33:29.25 ID:fUWmQY1w0
石幼女 「???」
漬物石女 「うむ、いっぺんに色々言われても理解しきれないな。
あとはゆっくりやるか。体を拭いたら、みんなに紹介しよう…」
同時刻 居間
男 「ポテチうめー」ポリポリ
男 「…あいつがほんとに弟子をとるとはなぁ。
ぬか臭いのがなんか許せなくて、弾みで行っただけだったんだが…」
男 「石幼女だっけ。まあ、俺は声聞こえないんだけど」
男 (…)
男 (実のところ、なんかもう慣れたなんて言えないしな…今更)
男 「いい事…なのかね」
男 (ポリポリ
男 「…あいつ…何か、充実してね?」
男 「」
男 (…俺は…)
漬物石女 「うむ、いっぺんに色々言われても理解しきれないな。
あとはゆっくりやるか。体を拭いたら、みんなに紹介しよう…」
同時刻 居間
男 「ポテチうめー」ポリポリ
男 「…あいつがほんとに弟子をとるとはなぁ。
ぬか臭いのがなんか許せなくて、弾みで行っただけだったんだが…」
男 「石幼女だっけ。まあ、俺は声聞こえないんだけど」
男 (…)
男 (実のところ、なんかもう慣れたなんて言えないしな…今更)
男 「いい事…なのかね」
男 (ポリポリ
男 「…あいつ…何か、充実してね?」
男 「」
男 (…俺は…)
106: 2012/03/20(火) 04:38:56.24 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「男―」
男 「! …なんだ?」
漬物石女 「いやな?石幼女についてみなで話し合った結果、
今いる糠床を任すのは少々荷が重い、ということになってな?」
男 (みなって誰だっけ…ああ、水屋の愉快な仲間たちか)
男 「うん、それで?」
漬物石女 「うむ。今ある糠を少しわけてな?そちらを任そうと…」
漬物石女 「…? 男どうした?いつもの覇気がないが」
男 (うわ、顔に出てたか?)
男 「い いや、なんでもないよ」
漬物石女 「…男、人はな。本当に心当たりがないとき、
“何を問われているのか分からない”といった表情、様子になるものだ。
あまつさえ、どもったり」
男 (ギクッ)
漬物石女 「挙動が不審だったり」
男 (ギクッ)
男 「! …なんだ?」
漬物石女 「いやな?石幼女についてみなで話し合った結果、
今いる糠床を任すのは少々荷が重い、ということになってな?」
男 (みなって誰だっけ…ああ、水屋の愉快な仲間たちか)
男 「うん、それで?」
漬物石女 「うむ。今ある糠を少しわけてな?そちらを任そうと…」
漬物石女 「…? 男どうした?いつもの覇気がないが」
男 (うわ、顔に出てたか?)
男 「い いや、なんでもないよ」
漬物石女 「…男、人はな。本当に心当たりがないとき、
“何を問われているのか分からない”といった表情、様子になるものだ。
あまつさえ、どもったり」
男 (ギクッ)
漬物石女 「挙動が不審だったり」
男 (ギクッ)
107: 2012/03/20(火) 04:43:14.16 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「そういった仕草が散見されるとき、
それは嘘をついていると推測できるに足る根拠となりえるんだよ」
漬物石女 「まあ、奥方様の受け売りだが」
漬物石女 「で、男。何か悩み事か?」
男 (かなわねー…)
男 「…ちょっと考え事をしてただけだ。」
漬物石女 「その悩み事、話せないか?」
男 (…こいつに嫉妬してたなんて)
男 ボソッ「言えるわけねぇ」
漬物石女 「…そうか。」
男 「まあ、お前の相談は聞けるぞ?」
漬物石女 「…では聞いてもらうとしようか。」
男 「で、なんだって?糠を分けるって言ってたが」
それは嘘をついていると推測できるに足る根拠となりえるんだよ」
漬物石女 「まあ、奥方様の受け売りだが」
漬物石女 「で、男。何か悩み事か?」
男 (かなわねー…)
男 「…ちょっと考え事をしてただけだ。」
漬物石女 「その悩み事、話せないか?」
男 (…こいつに嫉妬してたなんて)
男 ボソッ「言えるわけねぇ」
漬物石女 「…そうか。」
男 「まあ、お前の相談は聞けるぞ?」
漬物石女 「…では聞いてもらうとしようか。」
男 「で、なんだって?糠を分けるって言ってたが」
108: 2012/03/20(火) 04:49:12.29 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「…ああ、小さな糠床をもうひとつ作って、石幼女にそちらを任せたい。」
漬物石女 「そのための容器を探している。
何か、丁度よさそうなものはないだろうか?」
男 「んーとりあえずここにはなさそうだ。…納戸とか蔵を見てみるか。
どんなのがいいかは俺には判断できないから、探すのを手伝ってくれ。」
漬物石女 「それはもちろんだ。」
男 「無かったらホームセンターに買いに行こう。
うっし、じゃあまずは納戸から攻めますか。」
漬物石女 「よろしく頼む」
漬物石女 (…私は男とは少しは近づけたと思っていたのだが…)
漬物石女 (まだ悩みを相談できる間柄ではない、か。)
漬物石女 (…くやしいなあ。いつかは気の置けぬ仲に成れるだろうか。)
漬物石女 (…)
漬物石女 (…なぜこうも心が荒れるのだろう。)
漬物石女 「…難しいな…」
━…
漬物石女 「そのための容器を探している。
何か、丁度よさそうなものはないだろうか?」
男 「んーとりあえずここにはなさそうだ。…納戸とか蔵を見てみるか。
どんなのがいいかは俺には判断できないから、探すのを手伝ってくれ。」
漬物石女 「それはもちろんだ。」
男 「無かったらホームセンターに買いに行こう。
うっし、じゃあまずは納戸から攻めますか。」
漬物石女 「よろしく頼む」
漬物石女 (…私は男とは少しは近づけたと思っていたのだが…)
漬物石女 (まだ悩みを相談できる間柄ではない、か。)
漬物石女 (…くやしいなあ。いつかは気の置けぬ仲に成れるだろうか。)
漬物石女 (…)
漬物石女 (…なぜこうも心が荒れるのだろう。)
漬物石女 「…難しいな…」
━…
109: 2012/03/20(火) 04:54:19.14 ID:fUWmQY1w0
たぶんここから前回の続き。長いw
━…
漬物石女 「皆の衆、これでいかがか。」
糠床 「うむ、適度な大きさばい。石幼女にぴったりったい!」
味噌壺 「これで石幼女も、漬物石としての生活を始められるがや」
梅干ビン 「石幼女、改めてよろしゅうな。」
石幼女 「ふぁ、はいっ。漬物石女おねえちゃんみたいな
立派な漬物石になれるように、わたしがんばります!」
糠床 「あはは、結構結構!わしらも手伝っちゃるけぇ、心配せんでいいばい」
味噌壺 「ああ。わしらも相談相手くらいにはなれりゃあ。
おみゃーさんも遠慮せず話しかけてくれればいいがや」
梅干ビン 「若い子は久しぶりやから、話しとるだけでうちら元気になれるわぁ」
漬物石女 「うん。皆の衆、石幼女をよろしくお願いする。」(ペコリ
糠床 「しかし、あの漬物石女が弟子を取るたぁ驚いたったい」
━…
漬物石女 「皆の衆、これでいかがか。」
糠床 「うむ、適度な大きさばい。石幼女にぴったりったい!」
味噌壺 「これで石幼女も、漬物石としての生活を始められるがや」
梅干ビン 「石幼女、改めてよろしゅうな。」
石幼女 「ふぁ、はいっ。漬物石女おねえちゃんみたいな
立派な漬物石になれるように、わたしがんばります!」
糠床 「あはは、結構結構!わしらも手伝っちゃるけぇ、心配せんでいいばい」
味噌壺 「ああ。わしらも相談相手くらいにはなれりゃあ。
おみゃーさんも遠慮せず話しかけてくれればいいがや」
梅干ビン 「若い子は久しぶりやから、話しとるだけでうちら元気になれるわぁ」
漬物石女 「うん。皆の衆、石幼女をよろしくお願いする。」(ペコリ
糠床 「しかし、あの漬物石女が弟子を取るたぁ驚いたったい」
110: 2012/03/20(火) 05:07:19.64 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 「ふふ、環境のあまりの変化に縋り付くだけで精一杯だよ。
男と奥様には大変良くしていただいている。お二人の助力あってこそだろう。」
石幼女 「…私もおねえちゃんみたいに人の姿になれるかな」
糠床 「がはは!あと100年は頑張らんとだめばい。」
石幼女 「ひゃくねんってどれくらい?」
漬物石女 「ふふふ、過ぎてみればあっという間だったよ。」
(ワイワイ
男 「…盛り上がって…んのかな」
男 「端から見ると、一人で楽しそうにしゃべるあぶない人だもんなぁ」
男 「何話してんだろ。」
梅干ビン 「で、で?あんた男とは最近どうなってん?」
漬物石女 「どう、か…特にどうも。普段どおり仲良くさせてもらっている。」
梅干ビン 「いや、そうじゃのーて」
男と奥様には大変良くしていただいている。お二人の助力あってこそだろう。」
石幼女 「…私もおねえちゃんみたいに人の姿になれるかな」
糠床 「がはは!あと100年は頑張らんとだめばい。」
石幼女 「ひゃくねんってどれくらい?」
漬物石女 「ふふふ、過ぎてみればあっという間だったよ。」
(ワイワイ
男 「…盛り上がって…んのかな」
男 「端から見ると、一人で楽しそうにしゃべるあぶない人だもんなぁ」
男 「何話してんだろ。」
梅干ビン 「で、で?あんた男とは最近どうなってん?」
漬物石女 「どう、か…特にどうも。普段どおり仲良くさせてもらっている。」
梅干ビン 「いや、そうじゃのーて」
111: 2012/03/20(火) 05:14:32.90 ID:fUWmQY1w0
糠床 (わしら基本的に人間の事ば分からんけど、
漬物石女は分からなさ過ぎたい。仕事一本の職人気質が仇になっとーばい…)
味噌壺 (漬物石と人間で子は出来るんがや?)
梅干ビン 「ほら、いろいろあるやろ?人…男女特有のうふふなハプニングとかぁ」
石幼女 「うふふなはぷにんぐってなあに?」
糠床 「…100年たったら教えてやるばい」
漬物石女 「…人間の男女については勉強不足だ。梅干ビンのいう
“うふふなハプニング”とやらがいったい何なのか、私には分からない。
故に、それが私の身に起きているのかいないのか、
それさえも分からないんだ。今後“うふふなハプニング”についてよく調べ、
報告できるよう努めたい。すまない。」
梅干ビン 「い、いや。下らんことやしそんなの調べんでえーよ」(アセアセ
糠床 (こればい。漬物石女は真面目すぎる。仕事以外の話は大体こんな調子たい。
いつになれば、もっと柔軟に会話できるようになるのか…
しかし…)
糠床 (人の姿になり、表情が増えた。たたずまいが柔らかくなった。
その証拠に弟子までとっとる。かじりつくように仕事のみに身を捧げていた、
あの漬物石女が…それもこれも…)
男 「奇妙だ…」
漬物石女は分からなさ過ぎたい。仕事一本の職人気質が仇になっとーばい…)
味噌壺 (漬物石と人間で子は出来るんがや?)
梅干ビン 「ほら、いろいろあるやろ?人…男女特有のうふふなハプニングとかぁ」
石幼女 「うふふなはぷにんぐってなあに?」
糠床 「…100年たったら教えてやるばい」
漬物石女 「…人間の男女については勉強不足だ。梅干ビンのいう
“うふふなハプニング”とやらがいったい何なのか、私には分からない。
故に、それが私の身に起きているのかいないのか、
それさえも分からないんだ。今後“うふふなハプニング”についてよく調べ、
報告できるよう努めたい。すまない。」
梅干ビン 「い、いや。下らんことやしそんなの調べんでえーよ」(アセアセ
糠床 (こればい。漬物石女は真面目すぎる。仕事以外の話は大体こんな調子たい。
いつになれば、もっと柔軟に会話できるようになるのか…
しかし…)
糠床 (人の姿になり、表情が増えた。たたずまいが柔らかくなった。
その証拠に弟子までとっとる。かじりつくように仕事のみに身を捧げていた、
あの漬物石女が…それもこれも…)
男 「奇妙だ…」
113: 2012/03/20(火) 05:21:35.01 ID:fUWmQY1w0
(ワイワイ
漬物石女 「…」
漬物石女 (…私は男に悩みも相談してもらえない…)
漬物石女 (…私は人間ではないから…)
漬物石女 (! な 何を考えているんだ私は!)(フルフル
漬物石女 (男は私を家族だと言ってくれた。初めて話してまだ数週間だが、
それが嘘偽りのない言葉であったと断言できる。)
漬物石女 (何か足りぬものがあるとすれば、それは間違いなく私にある。)
漬物石女 (これからいっそう人について学び、いつかは男に
相談してもらえるようになりたい・・・)
漬物石女 「…」
漬物石女 (…私は男に悩みも相談してもらえない…)
漬物石女 (…私は人間ではないから…)
漬物石女 (! な 何を考えているんだ私は!)(フルフル
漬物石女 (男は私を家族だと言ってくれた。初めて話してまだ数週間だが、
それが嘘偽りのない言葉であったと断言できる。)
漬物石女 (何か足りぬものがあるとすれば、それは間違いなく私にある。)
漬物石女 (これからいっそう人について学び、いつかは男に
相談してもらえるようになりたい・・・)
114: 2012/03/20(火) 05:32:48.54 ID:fUWmQY1w0
漬物石女 (手始めに男に“うふふなハプニングとやら”を聞いておくか)
石幼女 「…おねえちゃん?」
漬物石女 「おっと、すまない。
それでは、そろそろ石幼女に具体的な説明をしていこうか。」
糠床 「うーむ、誰かにものを教えるちゅーんは初めてばい。
こっちも教わることが多そうじゃ。」
漬物石女 「ふむ…。こちらも試行錯誤しながら、共に学ぼう。」
石幼女 「はいっ。よろしくお願いします!」
糠床 「いい返事じゃ!」
漬物石女 にこり
石幼女 「…おねえちゃん?」
漬物石女 「おっと、すまない。
それでは、そろそろ石幼女に具体的な説明をしていこうか。」
糠床 「うーむ、誰かにものを教えるちゅーんは初めてばい。
こっちも教わることが多そうじゃ。」
漬物石女 「ふむ…。こちらも試行錯誤しながら、共に学ぼう。」
石幼女 「はいっ。よろしくお願いします!」
糠床 「いい返事じゃ!」
漬物石女 にこり
117: 2012/03/20(火) 05:43:33.52 ID:fUWmQY1w0
石幼女 にこにこ
漬物石女 (…うーん、それにしても…)
漬物石女 (なんだ うふふって)
男 (マジで何話してんだろ)
男 (…)
男 (俺も漬物石女みたいに…)
男 「あー…」
携帯 ブブブ
男 「おっ?」
From:女
男 「…」
男 (…新しいこと始めてみるか)
男 ポチポチ)「女に相談が、っと…」
漬物石女 (…うーん、それにしても…)
漬物石女 (なんだ うふふって)
男 (マジで何話してんだろ)
男 (…)
男 (俺も漬物石女みたいに…)
男 「あー…」
携帯 ブブブ
男 「おっ?」
From:女
男 「…」
男 (…新しいこと始めてみるか)
男 ポチポチ)「女に相談が、っと…」
118: 2012/03/20(火) 05:51:43.64 ID:wJbnP4dj0
━…
後日 市街地 駅前喫茶店
男 「わるい!」
女 「大丈夫よ。まだ5分前だもん。あんた、時間には正確なのよね」
男 「日本人ですから」(キリッ
女 「はいはい。何頼む?」
男 「うーん…久々に甘いもん食いたいな。飲み物はコーヒーでいいや」
女 「じゃ適当に頼んじゃうね。すいませーん。このショートケーキとチーズケーキ。
あとコーヒーをもう一杯お願いします。」
男 「いつも悪いな。」
女 「…持ちつ持たれつよ。この間服も買ってもらったしね。
あんたの引きこもり体質は昔からだから」
男 「服はお前が強引にカウンターに持って言ったんだろが…まあ、礼は言っとく。」
後日 市街地 駅前喫茶店
男 「わるい!」
女 「大丈夫よ。まだ5分前だもん。あんた、時間には正確なのよね」
男 「日本人ですから」(キリッ
女 「はいはい。何頼む?」
男 「うーん…久々に甘いもん食いたいな。飲み物はコーヒーでいいや」
女 「じゃ適当に頼んじゃうね。すいませーん。このショートケーキとチーズケーキ。
あとコーヒーをもう一杯お願いします。」
男 「いつも悪いな。」
女 「…持ちつ持たれつよ。この間服も買ってもらったしね。
あんたの引きこもり体質は昔からだから」
男 「服はお前が強引にカウンターに持って言ったんだろが…まあ、礼は言っとく。」
119: 2012/03/20(火) 05:58:10.31 ID:wJbnP4dj0
女 「漬物石女ちゃん元気?」
男 「あー元気だぞ。この前も、弟子とか糠床とかと楽しそうにしゃべってた。」
女 「糠床としゃべれるんだ…てか弟子いるの」
男 「なんかあいつ充実してんだよなぁ。弟子だって最初嫌がってたのに、
何があったか知らんが突然弟子とるーってな」
女 「…ふーん。なにかきっかけって思い浮かばないの?」
男 「…あいつの故郷の河原に行ったんだよ。
流れで、そこで俺の曾々ばーちゃんやあいつ自身の話を聞いて、
…そういえばそのあと「すっきりしたー」って言ってたな。」
女 (直接にしろ間接にしろきっかけあんたじゃん)
男 「そしたら、俺が蹴っちゃった石を弟子にしちゃったんだよ」
女 「…漬物石女ちゃんっていい子よね」
男 「んー、そうな。大和撫子って雰囲気だし…
でもあの堅苦しい感じが、たまにすごくまどろっこしく思えるけどな。」
男 「あー元気だぞ。この前も、弟子とか糠床とかと楽しそうにしゃべってた。」
女 「糠床としゃべれるんだ…てか弟子いるの」
男 「なんかあいつ充実してんだよなぁ。弟子だって最初嫌がってたのに、
何があったか知らんが突然弟子とるーってな」
女 「…ふーん。なにかきっかけって思い浮かばないの?」
男 「…あいつの故郷の河原に行ったんだよ。
流れで、そこで俺の曾々ばーちゃんやあいつ自身の話を聞いて、
…そういえばそのあと「すっきりしたー」って言ってたな。」
女 (直接にしろ間接にしろきっかけあんたじゃん)
男 「そしたら、俺が蹴っちゃった石を弟子にしちゃったんだよ」
女 「…漬物石女ちゃんっていい子よね」
男 「んー、そうな。大和撫子って雰囲気だし…
でもあの堅苦しい感じが、たまにすごくまどろっこしく思えるけどな。」
120: 2012/03/20(火) 06:04:13.15 ID:wJbnP4dj0
女 「そうなんだ…」
男 「まあ、ああいうのを奥ゆかしいって言うんだろうけど?」(チラチラ
女 (イラッ
女 「で、あんたは、」
女 「その充実している漬物石女ちゃんに嫉妬し、その結果」
女 「私に仕事をくれ、と」
男 「っぐ…」
女 「無職童Oのあんたが労働意欲かき立てられるなんて、
漬物石女ちゃんすごいわ」
男 「どど 童Oちゃうわっ!!!」
女 「…はいはい。んじゃ、ちょうどいいのあったら回しとくから。
メール、ちゃんと返事するのよ?フリーデザイナーさん。」
男 「…ホウレンソウは社会人の基本だろうが。…ありがとう」
女 「なんかさ、…あんた丸くなってない?」
男 「まあ、ああいうのを奥ゆかしいって言うんだろうけど?」(チラチラ
女 (イラッ
女 「で、あんたは、」
女 「その充実している漬物石女ちゃんに嫉妬し、その結果」
女 「私に仕事をくれ、と」
男 「っぐ…」
女 「無職童Oのあんたが労働意欲かき立てられるなんて、
漬物石女ちゃんすごいわ」
男 「どど 童Oちゃうわっ!!!」
女 「…はいはい。んじゃ、ちょうどいいのあったら回しとくから。
メール、ちゃんと返事するのよ?フリーデザイナーさん。」
男 「…ホウレンソウは社会人の基本だろうが。…ありがとう」
女 「なんかさ、…あんた丸くなってない?」
121: 2012/03/20(火) 06:08:12.52 ID:wJbnP4dj0
男 「えっ?やっぱ最近ぐうたらしすぎて…」
女 「違うわよ。そういう意味ではあんたは細すぎ。もっと食べて肉付けなさい!
…じゃなくてっ」
男 「つまりもっとぐうたらしろ、と」
女 (イライラッ ポカッ!
男 「いたぁ」
女 「もういいわよ」
男 サスサス)「…何怒ってんだ?」
女 (…漬物石女ちゃんって)
女 (すごい)
━…
女 「違うわよ。そういう意味ではあんたは細すぎ。もっと食べて肉付けなさい!
…じゃなくてっ」
男 「つまりもっとぐうたらしろ、と」
女 (イライラッ ポカッ!
男 「いたぁ」
女 「もういいわよ」
男 サスサス)「…何怒ってんだ?」
女 (…漬物石女ちゃんって)
女 (すごい)
━…
122: 2012/03/20(火) 06:15:36.49 ID:wJbnP4dj0
━…
男宅
男 「ただいまー」
漬物石女 「ああ、男。おかえりなさい。」
男 「段々寒くなってくな。さすがにフリース一枚じゃ冷える」
漬物石女 「それはいけない。風邪をひいてしまう。風呂なら沸いているよ。」
漬物石女 「今日は私が晩ごはんを作らせていただいているので
楽しみにしているといい。」
男 「おお、お前の作る和食はマジ旨いからなぁ」
漬物石女 「ふふ、私の料理はあの台所に立ってこられた方々の見よう見まねなのだが・・・」
漬物石女 「そういってもらえると、やはりうれしい」(ニコリ
男 「うん。じゃ温まってくる。楽しみにしてるぞ?」
漬物石女 「いつも以上に気合が入るな!わかった。ゆっくり入ってきてくれ。」
男宅
男 「ただいまー」
漬物石女 「ああ、男。おかえりなさい。」
男 「段々寒くなってくな。さすがにフリース一枚じゃ冷える」
漬物石女 「それはいけない。風邪をひいてしまう。風呂なら沸いているよ。」
漬物石女 「今日は私が晩ごはんを作らせていただいているので
楽しみにしているといい。」
男 「おお、お前の作る和食はマジ旨いからなぁ」
漬物石女 「ふふ、私の料理はあの台所に立ってこられた方々の見よう見まねなのだが・・・」
漬物石女 「そういってもらえると、やはりうれしい」(ニコリ
男 「うん。じゃ温まってくる。楽しみにしてるぞ?」
漬物石女 「いつも以上に気合が入るな!わかった。ゆっくり入ってきてくれ。」
124: 2012/03/20(火) 06:21:04.93 ID:wJbnP4dj0
数時間後 居間
男 「ふぅー食った食った…ご馳走様でした。」
漬物石女 「お粗末さまでした。お茶は飲むか?」
男 「おーいただくー。あ、そー言えば女がまた一緒に遊ぼうっていってたぞ。」
漬物石女 「女が…それは楽しみだな。今日は女に会いに行っていたのか。」
男 「あー、うん。ちょっと相談でな。」
漬物石女 (ズキン)
漬物石女 「そっそうか。相談か。…その、問題は解決したのか?」
男 「んーそうだなぁ…もう少しかかるかな?」
漬物石女 「っ!それならばな?私に相談してみるといい!
100年の含蓄を遺憾なく発揮しよう!」
男 「あはは、うれしいけどまた今度な?」
漬物石女 「そ …そうか。」
男 「うん」
男 「ふぅー食った食った…ご馳走様でした。」
漬物石女 「お粗末さまでした。お茶は飲むか?」
男 「おーいただくー。あ、そー言えば女がまた一緒に遊ぼうっていってたぞ。」
漬物石女 「女が…それは楽しみだな。今日は女に会いに行っていたのか。」
男 「あー、うん。ちょっと相談でな。」
漬物石女 (ズキン)
漬物石女 「そっそうか。相談か。…その、問題は解決したのか?」
男 「んーそうだなぁ…もう少しかかるかな?」
漬物石女 「っ!それならばな?私に相談してみるといい!
100年の含蓄を遺憾なく発揮しよう!」
男 「あはは、うれしいけどまた今度な?」
漬物石女 「そ …そうか。」
男 「うん」
125: 2012/03/20(火) 06:27:04.27 ID:wJbnP4dj0
漬物石女 「…」
漬物石女 (女には相談できるけれど、私には、できない…)
漬物石女 (…悔しい…)
ワタシガニンゲンダッタラ…
漬物石女 (っく…)
男 「あのさぁ、漬物石女」
漬物石女 「…」
男 「? 漬物石女?」
漬物石女 「!? な なんだろうか?」
男 「いや…疲れてるみたいだな。やっぱりなんでもないよ。」
漬物石女 「っ疲れてなどいない!な 何か私に話しか?」
男 「あーまあ、そうだけど…いつでも話せるし…」
漬物石女 「わっ私は、今聞きたい!男の話を聞かせてくれ!!」
男 (…?)
漬物石女 (女には相談できるけれど、私には、できない…)
漬物石女 (…悔しい…)
ワタシガニンゲンダッタラ…
漬物石女 (っく…)
男 「あのさぁ、漬物石女」
漬物石女 「…」
男 「? 漬物石女?」
漬物石女 「!? な なんだろうか?」
男 「いや…疲れてるみたいだな。やっぱりなんでもないよ。」
漬物石女 「っ疲れてなどいない!な 何か私に話しか?」
男 「あーまあ、そうだけど…いつでも話せるし…」
漬物石女 「わっ私は、今聞きたい!男の話を聞かせてくれ!!」
男 (…?)
128: 2012/03/20(火) 06:33:38.34 ID:wJbnP4dj0
男 「何かあったのか?」
漬物石女 「な 何もない!」(キョドキョド
>男、人はな。本当に心当たりがないとき、
>“何を問われているのか分からない”といった表情、様子になるものだ。
>あまつさえ、どもったり
>挙動が不審だったり
>そういった仕草が散見されるとき、
>それは嘘をついていると推測できるに足る根拠となりえるんだよ
男 「あはは。」
漬物石女 「何かおかしかったか・・・?」
男 「いや、今の漬物石女の様子が、前にお前が言ってた
“嘘をついていると推測できるに足る根拠”てのにばっちり当てはまってたから」
漬物石女 「…ひぇ?・・・~!?」(カァァァ
男 「人のこといえないな」(クスリ
漬物石女 「な 何もない!」(キョドキョド
>男、人はな。本当に心当たりがないとき、
>“何を問われているのか分からない”といった表情、様子になるものだ。
>あまつさえ、どもったり
>挙動が不審だったり
>そういった仕草が散見されるとき、
>それは嘘をついていると推測できるに足る根拠となりえるんだよ
男 「あはは。」
漬物石女 「何かおかしかったか・・・?」
男 「いや、今の漬物石女の様子が、前にお前が言ってた
“嘘をついていると推測できるに足る根拠”てのにばっちり当てはまってたから」
漬物石女 「…ひぇ?・・・~!?」(カァァァ
男 「人のこといえないな」(クスリ
129: 2012/03/20(火) 06:39:16.86 ID:wJbnP4dj0
漬物石女 「ッくぅ~…そ それもこれも、男のせいなのだぞ!?」
男 「え゛?…俺?」
漬物石女 「そうだっ」
男 (全然心当たりがないが…)
男 「…なんで俺のせいなのか聞いてもいい?」
漬物石女 「…それは言えない」(フイッ
男 (!?)
男 「えーっと…なんかごめん」
漬物石女 「…謝る必要はない。悪いのは私だ…」
男 (えええぇぇ~?どっちなの…)
男 「…それなら、お互いごめんなさいして手討ちにしようか」
漬物石女 「い いや、男は悪くないんだ。元はといえば…」
男 「ごめんなさい。」
漬物石女 「…ごめんなさい。」
131: 2012/03/20(火) 06:47:37.47 ID:wJbnP4dj0
男 「よし、じゃあお互い疲れてるだろうから、今日はもう休んで」
漬物石女 「男の話をまだ聞いてない」
男 「え」
漬物石女 「話を聞き終わるまで寝ないし、寝かさない!」
男 「・・・はぁ、分かった。じゃあ聞いてもらうとしよう」
漬物石女 「う、うむ!」
男 「その・・・さ」
男 「お前ってさ、仕事好きだよな」
漬物石女 「?あ あぁ。私にとって男の言う“仕事”とは、
存在する意味そのものであるし・・・
もう、好き嫌いの枠を超えたところにあると思う」
133: 2012/03/20(火) 06:54:06.62 ID:wJbnP4dj0
男 「うん。それは前にも聞いたな。でもその後になんか言いかけてたろ。
…今はどうとか」
漬物石女…?あぁ、うん。確かにそんなことも言ったなぁ」(クスリ
男 「…それが何なのか気になってさ。」
漬物石女 「あの時は、…伝えたい言葉ではあったけれど、
口に出してしまうと無粋な気がしてな。黙っていた。」
男 「…聞いてもいいかな」
漬物石女 「…いつか伝えたいと思っていたし、いい機会かもしれない」
男 「…」
漬物石女 「私はこの家で漬物をつくることができて
大変嬉しく、そしてそれを誇りに思っている。…これは前に言ったな?」
男 「あぁ、似たようなことを初めてあった日に聞いたな」
漬物石女 「うん。その言葉に偽りなど微塵もない。」
漬物石女 「私がまだ人の姿を取れなかったころ、…つい先日までだが、
その誇りとは提供するところまでだった。」
漬物石女 「変わらぬ味を長きに渡って守り抜いてきた自負。
それを誇りにしていたんだ。」
…今はどうとか」
漬物石女…?あぁ、うん。確かにそんなことも言ったなぁ」(クスリ
男 「…それが何なのか気になってさ。」
漬物石女 「あの時は、…伝えたい言葉ではあったけれど、
口に出してしまうと無粋な気がしてな。黙っていた。」
男 「…聞いてもいいかな」
漬物石女 「…いつか伝えたいと思っていたし、いい機会かもしれない」
男 「…」
漬物石女 「私はこの家で漬物をつくることができて
大変嬉しく、そしてそれを誇りに思っている。…これは前に言ったな?」
男 「あぁ、似たようなことを初めてあった日に聞いたな」
漬物石女 「うん。その言葉に偽りなど微塵もない。」
漬物石女 「私がまだ人の姿を取れなかったころ、…つい先日までだが、
その誇りとは提供するところまでだった。」
漬物石女 「変わらぬ味を長きに渡って守り抜いてきた自負。
それを誇りにしていたんだ。」
134: 2012/03/20(火) 07:01:15.69 ID:wJbnP4dj0
漬物石女 「なにせ、私たちは漬物がどのように食べられるのか、おいしいのかさえも知りようがなかったから。」
漬物石女 「それ以外の誇りの持ちようを知らなかった…」
漬物石女 「でも私は知ってしまった。」
漬物石女 「“美味しい”といってもらえる喜びを。」
男 「…」
漬物石女 「そのときからだ。私の中で…
存在の意義という理由しかもたなかった“仕事”が、
それ以上のものに変わったのは。」
男 「…」
漬物石女 「…私は漬物石だ。」
漬物石女 「漬物石であるが、糠床を離れれば、ただの石ころ。」
漬物石女 「ぬか臭い石ころなんだ。」
漬物石女 「漬物石としての私なんてその程度…。薄っぺらな存在だ。」
男 (それは…)
漬物石女 「だから、私は“漬物石”という仕事にしがみ付くしかなかった。」
漬物石女 「漬物石の役割を果たしている間は、私は石ころではなかったから。」
漬物石女 「それ以外の誇りの持ちようを知らなかった…」
漬物石女 「でも私は知ってしまった。」
漬物石女 「“美味しい”といってもらえる喜びを。」
男 「…」
漬物石女 「そのときからだ。私の中で…
存在の意義という理由しかもたなかった“仕事”が、
それ以上のものに変わったのは。」
男 「…」
漬物石女 「…私は漬物石だ。」
漬物石女 「漬物石であるが、糠床を離れれば、ただの石ころ。」
漬物石女 「ぬか臭い石ころなんだ。」
漬物石女 「漬物石としての私なんてその程度…。薄っぺらな存在だ。」
男 (それは…)
漬物石女 「だから、私は“漬物石”という仕事にしがみ付くしかなかった。」
漬物石女 「漬物石の役割を果たしている間は、私は石ころではなかったから。」
140: 2012/03/20(火) 08:43:39.24 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「ただ、自分という存在を守りたくて…漬物石にかじりつき」
漬物石女 「気づけば100年…」
漬物石女 「浅ましいこと限りない。」
男 「・・・そんなことない。」
漬物石女 「・・・そう言ってくれるだけで救われる。」
漬物石女 「気づけば100年…」
漬物石女 「浅ましいこと限りない。」
男 「・・・そんなことない。」
漬物石女 「・・・そう言ってくれるだけで救われる。」
141: 2012/03/20(火) 08:50:57.31 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「・・・だがこの姿になり、男やおばあさま、女と話をして、
一緒に私の漬けた漬物を食べて・・・美味しい、と言っていただけて」
漬物石女 「嬉しかった・・・本当に。」
漬物石女 「それだけで胸がいっぱいになって・・・涙が出そうになるのだけれど、
食卓で泣き出されても困るだろう?だから我慢しっぱなしだ。」
男 「・・・」
一緒に私の漬けた漬物を食べて・・・美味しい、と言っていただけて」
漬物石女 「嬉しかった・・・本当に。」
漬物石女 「それだけで胸がいっぱいになって・・・涙が出そうになるのだけれど、
食卓で泣き出されても困るだろう?だから我慢しっぱなしだ。」
男 「・・・」
143: 2012/03/20(火) 08:59:11.92 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「仕事以上のもの、そう。いうなれば、今の私にとって“漬物石”とは」
漬物石女 「生きがい、なんだ。」
男 「・・・生きがい、か」
漬物石女 「私たちが漬けた漬物を男やおばあさまに食べていただける。
美味しいといっていただける。」
漬物石女 「私はそれで十分だ。それだけで生きていける。」
漬物石女 「生きがい、なんだ。」
男 「・・・生きがい、か」
漬物石女 「私たちが漬けた漬物を男やおばあさまに食べていただける。
美味しいといっていただける。」
漬物石女 「私はそれで十分だ。それだけで生きていける。」
144: 2012/03/20(火) 09:09:53.86 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「本当にありがとう」(フカブカ
男 (・・・こいつは・・・すごい。)
男 (仕事や自分と正面から向き合って、きっと・・・悩んで苦しんで)
男 「・・・自分を見つけたんだな」
漬物石女 「男・・・」
漬物石女 「・・・そうか。そうかもしれない。」
漬物石女 「河原で見つからなかった答えが、今なら分かる気がする。」
男 (・・・こいつは・・・すごい。)
男 (仕事や自分と正面から向き合って、きっと・・・悩んで苦しんで)
男 「・・・自分を見つけたんだな」
漬物石女 「男・・・」
漬物石女 「・・・そうか。そうかもしれない。」
漬物石女 「河原で見つからなかった答えが、今なら分かる気がする。」
145: 2012/03/20(火) 09:19:04.81 ID:WY4rj/nt0
男 「そっか」(ニコリ
男 「じゃあ、漬物石としての自分を、今まで以上に大事にしないとな!」
漬物石女 「ん?そんな肩書きなら、もういつでも捨てられるぞ?」
男 (…)
男 「…へ?」
漬物石女 「だって男は私のことを家族と」
漬物石女 「言ってくれただろう?」(ニッコリ
男 「あ…」
男 「じゃあ、漬物石としての自分を、今まで以上に大事にしないとな!」
漬物石女 「ん?そんな肩書きなら、もういつでも捨てられるぞ?」
男 (…)
男 「…へ?」
漬物石女 「だって男は私のことを家族と」
漬物石女 「言ってくれただろう?」(ニッコリ
男 「あ…」
153: 2012/03/20(火) 11:00:02.61 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「漬物石としての自分と」
漬物石女 「この家の家族としての自分。」
漬物石女 「どちらか選べといわれたら、私は迷いなく家族としての自分をとる。」
漬物石女 「この家の家族である誇り。」
漬物石女 「それが今、私の一番だっ」
漬物石女 「この家の家族としての自分。」
漬物石女 「どちらか選べといわれたら、私は迷いなく家族としての自分をとる。」
漬物石女 「この家の家族である誇り。」
漬物石女 「それが今、私の一番だっ」
155: 2012/03/20(火) 11:10:04.13 ID:WY4rj/nt0
男 (こいつ…)
ぎゅうっ
漬物石女 「え、えと…男…?どうした…」
男 「お前は俺の家族だ。」
男 「これからもずっと…!」
漬物石女 「っ」
漬物石女 「お…とこ、あ あり ひっく…が」
漬物石女 「ううぅうあぁぁ…!!」
男 「…」
157: 2012/03/20(火) 11:19:16.48 ID:WY4rj/nt0
━…
━…
男 (ナデナデ
男 「・・・落ち着いたか?」
漬物石女 「んぅ。・・・取り乱してしまってすまない。」
男 「いや、俺のせい・・・みたいなもんだし」
漬物石女 「ふふふ、男はやっぱり優しいな」
男 「そ そうか?」
━…
男 (ナデナデ
男 「・・・落ち着いたか?」
漬物石女 「んぅ。・・・取り乱してしまってすまない。」
男 「いや、俺のせい・・・みたいなもんだし」
漬物石女 「ふふふ、男はやっぱり優しいな」
男 「そ そうか?」
159: 2012/03/20(火) 11:29:44.41 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「それに・・・」(ギュウ
漬物石女 「・・・あたたかい・・・」
男 「s そそそそそうか」
男 (この状況・・・まずい。かなりまずい。)
男 (勢いとは時に、人を困らせやがる・・・!)
男 (というか)
男 (漬物石女が可愛すぎるっ)
男 (可愛いって言うか・・・愛しい?)
漬物石女 「・・・あたたかい・・・」
男 「s そそそそそうか」
男 (この状況・・・まずい。かなりまずい。)
男 (勢いとは時に、人を困らせやがる・・・!)
男 (というか)
男 (漬物石女が可愛すぎるっ)
男 (可愛いって言うか・・・愛しい?)
160: 2012/03/20(火) 11:39:01.68 ID:WY4rj/nt0
男 (なんかよく分からんがそんな感じだ)
男 (俺のあらぶる魂を押さえきれないかも…!)(グググ
漬物石女 「そういえば男」
男 「っなんでしゅか!?」
漬物石女 「…どうした。舌が回っていないぞ?」
男 (舌噛んだ)
男 (俺のあらぶる魂を押さえきれないかも…!)(グググ
漬物石女 「そういえば男」
男 「っなんでしゅか!?」
漬物石女 「…どうした。舌が回っていないぞ?」
男 (舌噛んだ)
162: 2012/03/20(火) 11:49:04.30 ID:WY4rj/nt0
男 「いあ、らんれもらいろ?」(ヒリヒリ
漬物石女 「どうして仕事のことが気になったんだ?」
漬物石女 「…そういえば…男はいつも家にいるが…」
漬物石女 「仕事は何なんだ?」
男 「・・・俺はフリーのデザイナーってことになってる。一応。」
漬物石女 「ふりーのでざいなーとは?」
漬物石女 「どうして仕事のことが気になったんだ?」
漬物石女 「…そういえば…男はいつも家にいるが…」
漬物石女 「仕事は何なんだ?」
男 「・・・俺はフリーのデザイナーってことになってる。一応。」
漬物石女 「ふりーのでざいなーとは?」
166: 2012/03/20(火) 12:00:49.19 ID:WY4rj/nt0
男 「デザイナーって言うのは、簡単に言えばもののあり様を決める人のことだ。」
男 「で、フリーって言うのは特定の企業や集団に属してないってこと。」
男 「えー…うん。例えばこの湯のみ。これを見てどう思う?」
男 「で、フリーって言うのは特定の企業や集団に属してないってこと。」
男 「えー…うん。例えばこの湯のみ。これを見てどう思う?」
167: 2012/03/20(火) 12:07:48.78 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「んん…形は100年前からあまり変わらないな。
しかし、図柄は今風といえばいいのか。
このように華やかなものは、昔はあまり見なかった。」
男 「うん。そういったものの柄なんかを考えて決めるのがデザイナーの仕事だ」
漬物石女 「それが男の仕事なのか!?」
しかし、図柄は今風といえばいいのか。
このように華やかなものは、昔はあまり見なかった。」
男 「うん。そういったものの柄なんかを考えて決めるのがデザイナーの仕事だ」
漬物石女 「それが男の仕事なのか!?」
168: 2012/03/20(火) 12:15:38.74 ID:WY4rj/nt0
男 「あぁ。っていうか、その湯飲みをデザインしたのは俺だ。」
漬物石女 「!? なんと!」
男 「俺の初めての仕事だよ。記念にばーちゃんにあげたんだけど、まだ使ってくれてる」
漬物石女 「はー・・・男もまた、素晴らしい仕事をしているんだなぁ」
男 「・・・それがそうでもなくてな。」
漬物石女 「!? なんと!」
男 「俺の初めての仕事だよ。記念にばーちゃんにあげたんだけど、まだ使ってくれてる」
漬物石女 「はー・・・男もまた、素晴らしい仕事をしているんだなぁ」
男 「・・・それがそうでもなくてな。」
169: 2012/03/20(火) 12:28:58.68 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「?それはどういう…」
男 「最初は企業の中でデザイナーとして仕事をしていたんだ。」
漬物石女 「最初はふりーではなかったのか。」
男 「そうだな。…最初はただ楽しかった。自分の考えたものが
製品になって店頭に並ぶのがおもしろくてな」
男 「最初は企業の中でデザイナーとして仕事をしていたんだ。」
漬物石女 「最初はふりーではなかったのか。」
男 「そうだな。…最初はただ楽しかった。自分の考えたものが
製品になって店頭に並ぶのがおもしろくてな」
171: 2012/03/20(火) 12:40:58.19 ID:WY4rj/nt0
漬物石女 「なんとなくわかるぞ?漬け上がった漬物が糠床から取り上げられる様子は、
いつ見ても満足感でいっぱいになるんだ。」
男 「…そだな。大体そんな感じだ。で、場数を踏んで経験値がたまってきて」
男 「だんだんと、俺にデザインしてほしいって客が出だした」
漬物石女 「すごいな!」
いつ見ても満足感でいっぱいになるんだ。」
男 「…そだな。大体そんな感じだ。で、場数を踏んで経験値がたまってきて」
男 「だんだんと、俺にデザインしてほしいって客が出だした」
漬物石女 「すごいな!」
172: 2012/03/20(火) 12:51:24.75 ID:WY4rj/nt0
男 「…ありがと。それで、勤めてた企業にいるより、自分で仕事を取ってきたほうが、
つまりフリーになったほうが金が稼げるようになり、勤めるのをやめた。」
漬物石女 「それ相応の対価が得られるように自ら場を改めるのは、
働くものの当然の権利だ。」
男 「・・・」
つまりフリーになったほうが金が稼げるようになり、勤めるのをやめた。」
漬物石女 「それ相応の対価が得られるように自ら場を改めるのは、
働くものの当然の権利だ。」
男 「・・・」
176: 2012/03/20(火) 13:35:22.33 ID:1Q7p6UOy0
男 「…」
男 「そして俺は」
男 「俺は…仕事を選り好みするようになった。」
男 「やり慣れた注文や簡単な注文ばかり受けるようになり、
新しいことに挑戦することも無くなった。」
男 「そのころからか…仕事が作業になったのは。」
男 「あんなに楽しかったデザインの仕事は、単なる金を稼ぐ手段になり下がり、」
男 「そして俺は」
男 「俺は…仕事を選り好みするようになった。」
男 「やり慣れた注文や簡単な注文ばかり受けるようになり、
新しいことに挑戦することも無くなった。」
男 「そのころからか…仕事が作業になったのは。」
男 「あんなに楽しかったデザインの仕事は、単なる金を稼ぐ手段になり下がり、」
178: 2012/03/20(火) 13:45:15.13 ID:1Q7p6UOy0
男 「苦痛でしかなくなった。」
男 「でも、それでもいいと思ってたんだ。」
男 「…漬物石女。お前に会うまでは。」
漬物石女 「私に…?」
男 「お前が仕事に誇りを持ってる姿を見て、…うらやましかった」
男 「笑ってくれ。俺はお前に嫉妬してたんだよ。」
漬物石女 「…」
男 「でも、それでもいいと思ってたんだ。」
男 「…漬物石女。お前に会うまでは。」
漬物石女 「私に…?」
男 「お前が仕事に誇りを持ってる姿を見て、…うらやましかった」
男 「笑ってくれ。俺はお前に嫉妬してたんだよ。」
漬物石女 「…」
179: 2012/03/20(火) 13:52:12.99 ID:1Q7p6UOy0
男 「前に俺の様子を見て心配してくれたときも、
お前に嫉妬する自分なんてみっともなくて言い出せなかった。」
男 「今日だってそうだ。出版社に勤める女に、新しい仕事をもらえないか、
その相談に行ってたんだ。お前に負けてるようで悔しくて・・・」
男 「とりあえず何か始めてみようって・・・かっこ悪いだろ」
お前に嫉妬する自分なんてみっともなくて言い出せなかった。」
男 「今日だってそうだ。出版社に勤める女に、新しい仕事をもらえないか、
その相談に行ってたんだ。お前に負けてるようで悔しくて・・・」
男 「とりあえず何か始めてみようって・・・かっこ悪いだろ」
184: 2012/03/20(火) 14:00:40.55 ID:1Q7p6UOy0
漬物石女 (そうだったのか・・・)
漬物石女 「・・・かっこ悪いとは思わない。」
漬物石女 「私は、男がありのままを話してくれて嬉しいし、
さらけ出してくれた勇気を見習いたい。」
男 「いや・・・これは流れで・・・」
漬物石女 「だとしてもだ。・・・私も、男が相談してくれないことに
一方的に腹を立てていたんだ。」
漬物石女 「・・・かっこ悪いとは思わない。」
漬物石女 「私は、男がありのままを話してくれて嬉しいし、
さらけ出してくれた勇気を見習いたい。」
男 「いや・・・これは流れで・・・」
漬物石女 「だとしてもだ。・・・私も、男が相談してくれないことに
一方的に腹を立てていたんだ。」
186: 2012/03/20(火) 14:09:26.93 ID:1Q7p6UOy0
漬物石女 「色々理由を探して…私が人間じゃないから、とか」
男 「関係ない。そんなの気にすんな。」
漬物石女 「…そう言ってくれると分かっていたから、そんな思考に及んだ
自分自身に対して無性に腹が立った」
漬物石女 「それどころか、女に嫉妬したりして…恥ずかしい限りだ。」
男 「関係ない。そんなの気にすんな。」
漬物石女 「…そう言ってくれると分かっていたから、そんな思考に及んだ
自分自身に対して無性に腹が立った」
漬物石女 「それどころか、女に嫉妬したりして…恥ずかしい限りだ。」
187: 2012/03/20(火) 14:18:09.33 ID:1Q7p6UOy0
漬物石女 「もうこんな気持ちを一人で抱えるのはまっぴらだ。」
漬物石女 「また男に話を聞いてほしい。だから、…男も私に相談してほしい」
男 「…ありがとう。そうさせてもらう。」
漬物石女 「…! うむっ。そのときは100年の重みとくと味わうがいい!」
男 「よろしく頼むよ」
漬物石女 「うん。じゃあ片付けて今日は休もう。」
漬物石女 「また男に話を聞いてほしい。だから、…男も私に相談してほしい」
男 「…ありがとう。そうさせてもらう。」
漬物石女 「…! うむっ。そのときは100年の重みとくと味わうがいい!」
男 「よろしく頼むよ」
漬物石女 「うん。じゃあ片付けて今日は休もう。」
191: 2012/03/20(火) 14:26:24.48 ID:1Q7p6UOy0
男 「よし。じゃあ食器洗うか・・・」(スクッ
漬物石女 「あっ」
男 「ん、どした?」
漬物石女 「いや、別に」
男 「?」
漬物石女 (・・・今の気持ちはなんだ?男が離れていった瞬間、すごく・・・)
漬物石女 (心にぽっかりと穴の空いたような・・・寂しさが・・・)
漬物石女 「あっ」
男 「ん、どした?」
漬物石女 「いや、別に」
男 「?」
漬物石女 (・・・今の気持ちはなんだ?男が離れていった瞬間、すごく・・・)
漬物石女 (心にぽっかりと穴の空いたような・・・寂しさが・・・)
194: 2012/03/20(火) 14:34:04.60 ID:1Q7p6UOy0
漬物石女 (もっと・・・)
漬物石女 (男にふれていたい・・・)
男 「漬物石女~?」
漬物石女 ビクッ)「わっなななんだっ」
男 「いや、洗剤切れかけてるから、ちょっとコンビニまで行ってくるわ」
漬物石女 「わ 私もいっしょに行っていいだろうかっ」
男 「?まあ、かまわんけど」
漬物石女 (男にふれていたい・・・)
男 「漬物石女~?」
漬物石女 ビクッ)「わっなななんだっ」
男 「いや、洗剤切れかけてるから、ちょっとコンビニまで行ってくるわ」
漬物石女 「わ 私もいっしょに行っていいだろうかっ」
男 「?まあ、かまわんけど」
196: 2012/03/20(火) 14:41:36.88 ID:1Q7p6UOy0
漬物石女 「ありがとうっ」(パァァ
男 「う うん。今すぐで大丈夫か。」
漬物石女 「もちろん」(トテトテ
漬物石女 (キュッ
男 「…」
漬物石女 (お 思わず裾をつかんでしまった)(アセアセ
男 「…行くか」
漬物石女 「うむ…」
男 「う うん。今すぐで大丈夫か。」
漬物石女 「もちろん」(トテトテ
漬物石女 (キュッ
男 「…」
漬物石女 (お 思わず裾をつかんでしまった)(アセアセ
男 「…行くか」
漬物石女 「うむ…」
197: 2012/03/20(火) 14:49:13.30 ID:1Q7p6UOy0
漬物石女 (本当は男に触れたいけれど、今はこれで精一杯だっ)
漬物石女 (なんなんだこの気持ちは!もやもやが解決したと思ったら、
また新しいもやもやが…)
漬物石女 (なぜこんなにも胸が…!)
漬物石女 「ううう」
男 (うああああぁぁぁなんだこれどきどきするぜちくしょぉぉぉぉぉ!!!)
━・・・
漬物石女 (なんなんだこの気持ちは!もやもやが解決したと思ったら、
また新しいもやもやが…)
漬物石女 (なぜこんなにも胸が…!)
漬物石女 「ううう」
男 (うああああぁぁぁなんだこれどきどきするぜちくしょぉぉぉぉぉ!!!)
━・・・
200: 2012/03/20(火) 15:00:42.43 ID:1Q7p6UOy0
(テクテク
男 「…」
漬物石女 「…」
男 (何をしゃべっていいか分からn)
漬物石女 「そうだ。男っ」
男 「な なんだ?」
漬物石女 「あの湯飲みが男のでざいなーとしての最初の仕事といったが、
アレは違うぞ?」
男 「?」
男 「…」
漬物石女 「…」
男 (何をしゃべっていいか分からn)
漬物石女 「そうだ。男っ」
男 「な なんだ?」
漬物石女 「あの湯飲みが男のでざいなーとしての最初の仕事といったが、
アレは違うぞ?」
男 「?」
202: 2012/03/20(火) 15:10:02.72 ID:1Q7p6UOy0
漬物石女 「男の最初の仕事は私だよ。」
男 「…あ」
漬物石女 「思えば、あんなに小さなころから男には才能があったんだな!」
男 「いや、あれは悪戯のらくがきで」
漬物石女 「いーや、そんなの関係ない!1番は私だっ。」
漬物石女 「…だめか?」
男 「…あ」
漬物石女 「思えば、あんなに小さなころから男には才能があったんだな!」
男 「いや、あれは悪戯のらくがきで」
漬物石女 「いーや、そんなの関係ない!1番は私だっ。」
漬物石女 「…だめか?」
204: 2012/03/20(火) 15:20:06.33 ID:1Q7p6UOy0
男 (ここで上目づかいってずるくね?)
男 「…分かった。ごめん、そういうことにしてくれ。」
漬物石女 「うんっ。そういうことにするぞ!」
男 (こいつ…なんか日増しにかわいく…)
漬物石女 「男!」
男 「今度は何だー?」
漬物石女 「これからもよろしくな!」
男 「…」(ニコリ
男 「おうっ」
男 「…分かった。ごめん、そういうことにしてくれ。」
漬物石女 「うんっ。そういうことにするぞ!」
男 (こいつ…なんか日増しにかわいく…)
漬物石女 「男!」
男 「今度は何だー?」
漬物石女 「これからもよろしくな!」
男 「…」(ニコリ
男 「おうっ」
208: 2012/03/20(火) 15:29:37.14 ID:1Q7p6UOy0
━・・・
━・・・
漬物石女の日記
私が人の姿を得てから、約一年が経過した。
字の練習と始めたこの日記も、すっかり日課のひとつになってしまった。
今日は、石幼女に出していた課題の提出期限だったので、内容を査定した。
━・・・
漬物石女の日記
私が人の姿を得てから、約一年が経過した。
字の練習と始めたこの日記も、すっかり日課のひとつになってしまった。
今日は、石幼女に出していた課題の提出期限だったので、内容を査定した。
209: 2012/03/20(火) 15:37:14.50 ID:1Q7p6UOy0
何度でも書くが、石幼女は筋がいい。野菜の水分調整等まだまだだが、
後数年もすれば、立派な漬物石になれるだろう。先が楽しみだ。
今日も男に触れることが出来た。嬉しい。
最近では、自分が触れたいときに触れられるようになった。
これは成長といっていいだろう。男も、嫌がっていない・・・と思う。
212: 2012/03/20(火) 15:45:01.91 ID:1Q7p6UOy0
女に相談して本当によかった。あのときの女の顔は忘れられない。
今でこそ、漫画などによって知識を蓄えている私であるが、
当時は本当に無知だった。・・・顔から火が出そうだ。
女も、さぞ素っ頓狂なことを聞くやつだと思ったことだろう。
苦々しげだったのも、きっとそのせい・・・いや、それだけではないか。
今でこそ、漫画などによって知識を蓄えている私であるが、
当時は本当に無知だった。・・・顔から火が出そうだ。
女も、さぞ素っ頓狂なことを聞くやつだと思ったことだろう。
苦々しげだったのも、きっとそのせい・・・いや、それだけではないか。
214: 2012/03/20(火) 15:55:00.67 ID:1Q7p6UOy0
私は幸せものだ。…今を失うのが怖い。
どうにも一歩踏み出せない。女は 「勝負」といっていたが、
この調子だと負けてしまうかもしれない。
女になら、と思う気持ちもあるけれど、負けたくはない。
幸い、一緒にいる時間は多い。
どうにも一歩踏み出せない。女は 「勝負」といっていたが、
この調子だと負けてしまうかもしれない。
女になら、と思う気持ちもあるけれど、負けたくはない。
幸い、一緒にいる時間は多い。
216: 2012/03/20(火) 16:03:21.19 ID:1Q7p6UOy0
・・・いつかこの気持ちが届くといいと思う。
いや、届けたい。
人間の、男女の機微というのは難しく、切なく
しかし、・・・素敵なものだ。
漬物石女 「さて、こんなものか。」
いや、届けたい。
人間の、男女の機微というのは難しく、切なく
しかし、・・・素敵なものだ。
漬物石女 「さて、こんなものか。」
217: 2012/03/20(火) 16:11:11.48 ID:1Q7p6UOy0
男 コンコン「おーい漬物石女―女が来たぞー。」
漬物石女 「む、そうか!」
女 「漬物石女ちゃーんっこんばんはー!」
漬物石女 「いらっしゃい。よく来たな。」
女 「おじゃまします!今夜も寝かさないよぉ。
どきっ!女だらけのパジャマパーティー!!」
漬物石女 「む、そうか!」
女 「漬物石女ちゃーんっこんばんはー!」
漬物石女 「いらっしゃい。よく来たな。」
女 「おじゃまします!今夜も寝かさないよぉ。
どきっ!女だらけのパジャマパーティー!!」
219: 2012/03/20(火) 16:18:38.22 ID:1Q7p6UOy0
男 「楽しそうだなぁ。俺もまぜろよー」
女 「毎回言ってんでしょ?女だけでしか話せないこともあんの!」
男 「ちぇー」
漬物石女 「ふふふ、男とはいつも話をしているではないか。」
男 「違うんだよ。こう、なんていうかさぁ・・・イベント特有の」
女 「はいはいわかった。いいから、茶でも持ってきな。」
男 「んだよー」
女 「毎回言ってんでしょ?女だけでしか話せないこともあんの!」
男 「ちぇー」
漬物石女 「ふふふ、男とはいつも話をしているではないか。」
男 「違うんだよ。こう、なんていうかさぁ・・・イベント特有の」
女 「はいはいわかった。いいから、茶でも持ってきな。」
男 「んだよー」
222: 2012/03/20(火) 16:31:34.15 ID:1Q7p6UOy0
婆 「お邪魔するよ」
女 「あ、おばあちゃんも来たね。じゃ始めようか。」
男 「ばーちゃんはいいのかよ!」
女 「おばあちゃんは女子でしょ!」
婆 「おっほっほ」
漬物石女 「ふふ」
男 「えー」
224: 2012/03/20(火) 16:50:50.00 ID:8A0/eFOC0
漬物石女 (本当に、私は幸せものだ)
漬物石女 (ずっとこのときを抱きしめていたいなぁ)
━・・・
━・・・
━・・・
━・・・
━・・・
━・・・
漬物石女 (ずっとこのときを抱きしめていたいなぁ)
━・・・
━・・・
━・・・
━・・・
━・・・
━・・・
226: 2012/03/20(火) 17:00:19.24 ID:8A0/eFOC0
━・・・
昔々、とある河原
(ザッザッ
奥方 「むぅ…」
奥方 「漬物石なんてすぐ見つけられると思っていたのだが…」(ゴトリ
奥方 「探し出すと、なかなか気に入ったものが見つからないものだな」
(ザッザッ
奥方 「丸く、安定感のある…新居にふさわしい…」
(ザッザッ
昔々、とある河原
(ザッザッ
奥方 「むぅ…」
奥方 「漬物石なんてすぐ見つけられると思っていたのだが…」(ゴトリ
奥方 「探し出すと、なかなか気に入ったものが見つからないものだな」
(ザッザッ
奥方 「丸く、安定感のある…新居にふさわしい…」
(ザッザッ
228: 2012/03/20(火) 17:14:11.38 ID:8A0/eFOC0
石ころ 「…」
奥方 「…ん?」
奥方 「おお!!これは…」
石ころ 「…」
奥方 「ふむ!決めた!!」
奥方 「今日からお前が、我が家の漬物石だ!」
石ころ 「…?」
奥方 「末永く━…」
奥方 「我が家族を見守ってくれ…」
━…
奥方 「…ん?」
奥方 「おお!!これは…」
石ころ 「…」
奥方 「ふむ!決めた!!」
奥方 「今日からお前が、我が家の漬物石だ!」
石ころ 「…?」
奥方 「末永く━…」
奥方 「我が家族を見守ってくれ…」
━…
229: 2012/03/20(火) 17:16:12.69 ID:8A0/eFOC0
━・・・
━・・・
━・・・
漬物石女 「奥方様…」
漬物石女 「…この身、尽きるまで…」
(ワイワイ
男 「? 漬物石女?」
漬物石女 「ふふふ」
漬物石女 「あのな…?」
━・・・
━・・・
漬物石女 「奥方様…」
漬物石女 「…この身、尽きるまで…」
(ワイワイ
男 「? 漬物石女?」
漬物石女 「ふふふ」
漬物石女 「あのな…?」
230: 2012/03/20(火) 17:20:50.43 ID:8A0/eFOC0
漬物石女 「ずっと一緒だぞ?」
男 「!」
男 「・・・ああ!」
男に、我が家族に、そして出会ったすべての“もの”たちに
ただ、感謝を。
おわり
男 「!」
男 「・・・ああ!」
男に、我が家族に、そして出会ったすべての“もの”たちに
ただ、感謝を。
おわり
233: 2012/03/20(火) 17:22:57.78 ID:8A0/eFOC0
終わったーwww長丁場お疲れ様でした。
支援、さるよけ、コメント,etc…
みんなに助けてもらってラストまで投稿することが出来ました。
ほんとありがとう!楽しかったけど、さすがに疲れたw
支援、さるよけ、コメント,etc…
みんなに助けてもらってラストまで投稿することが出来ました。
ほんとありがとう!楽しかったけど、さすがに疲れたw
237: 2012/03/20(火) 17:33:26.83
乙
238: 2012/03/20(火) 17:35:22.88
>>1乙!
引用元: 男 「ぬか臭い」
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