1: 2011/11/15(火) 20:19:49.08 ID:eVkUfawyP
   放課後、軽音部部室

しとしと

唯「雨、よく降るね」

律「降らないと困るだろ、農家的に」

紬「うふふ。でも澪ちゃんは、良い歌詞が浮かぶんじゃなくて?」

澪「そうなんだけど、結局ありがちな文章になるんだよな」

紬「色々難しいのね」

唯「飴が降る。オレンジ、イチゴにマスカット。フルーツカラフルトッピング。みたいなのは?」

澪「良いな、それっ」

律「良いのかよ、おい」


4: 2011/11/15(火) 20:21:54.61 ID:eVkUfawyP
   しとしと

律「しかし、じめじめするのは何とも困るぜ」

紬「私も湿気で、髪型が変わるのよね」 ぐいぐい

唯「ムギちゃんは癖っ毛でも可愛いから大丈夫だよ」

紬「そうかしら」

澪「自分では、案外自分の魅力に気付かない物さ」

唯「だったら、私の魅力ってなんなのかな」

澪「・・・そうだな。例えば、この寝癖とか」

唯「澪ちゃんひどいよー」

律、紬「あはは」


5: 2011/11/15(火) 20:23:55.82 ID:eVkUfawyP
   カチャ

梓「済みません、遅れました」

唯「あずにゃん、雨降ってるよ」

梓「風情があって良いですよね。世界が静かになった感じで」

澪「梓も中々に詩人だな。次の曲は、梓が歌詞を書いてみるか?」

梓「私はそんな。あまりパッとしたフレーズも浮かびませんし」

律「面倒な事は、全部澪に押しつければ良いんだよ」

澪「律、お前な」

紬「まあまあ。梓ちゃん、お茶どうぞ」

梓「頂きます」

しとしと

梓(時間がゆっくり流れるみたいで、たまには雨も良いのかな)


7: 2011/11/15(火) 20:25:58.62 ID:eVkUfawyP
唯「・・・ああ、分かった」

律「何だ、急に」

唯「昨日あずにゃんが、洗面台で顔を洗ってたじゃない。どうしてかなと思ったら、今日雨が降るからだったんだね」

梓「・・・私は猫じゃありませんし、顔を洗ったのはケーキのクリームが付いたからです」

澪「猫も顔やヒゲは、毎日洗ってるしな」

唯「そっか。結構核心を突いたと思ったんだけどな」 じー

梓「ネコヒゲは生えてませんよ」

紬「でも、ネコヒゲを付けた梓ちゃんもきっと可愛いわよ」

唯「ネコ耳ブームの次は、ネコヒゲブーム到来だね」

律「だったら取りあえず、澪で試してみるか」

澪「油性のペンを持つんじゃない」 ぽふ


8: 2011/11/15(火) 20:27:54.62 ID:eVkUfawyP
しとしと

唯「全然止まないね」

律「雨乞いするか、雨乞い」

澪「願って止む物でも無いだろ。大体、雨乞いじゃないぞ」

律「あ、そうか。難しいな」

紬「てるてる坊主、作ってみる?」

唯「良いね。てる坊ちゃん」

律「誰なんだよ、それ」


10: 2011/11/15(火) 20:29:56.84 ID:eVkUfawyP
紬「自分で言い出してなんだけど、私てるてる坊主作るの初めてなの」

律「あれか。雨が降りそうな時、琴吹家ではウェザーコントロールか。ドライアイスを空中散布するのか」

澪「いくら何でも、それは無いだろ。・・・無いだろ?」

紬「勿論そんな事しないわよ。晴れの日には晴れの日の良さ、雨の日には雨の日の良さがあるんだから」

唯「世の中何にでも、良い所があるって事か。良かったね、りっちゃん」

律「いやいや。その言葉、100%お前に返すから」


11: 2011/11/15(火) 20:32:01.43 ID:eVkUfawyP
   10分後

律「意外と紐のバランスが難しいな」

澪「・・・なんだ、その顔は」

紬「ちょっと澪ちゃんぽいわね」

律「あ、分かっちゃった?」

唯「私も、私も」

澪「・・・なんだ、その顔は」

唯「あずにゃんだよ、あずにゃん」

梓(唯先輩には、私がこう見えてる訳か。・・・というか私、牙は生えてないよ)


13: 2011/11/15(火) 20:33:55.16 ID:eVkUfawyP
   しとしと

律「止まないな、当たり前だけど」

紬「本降りになる前に、今日はもう帰ろうか」

梓「そうですね。・・・唯先輩、どうかしました?」

唯「なんだか、壁が濡れてない?」

律「血の色に?」

澪「えっ」 びくっ


14: 2011/11/15(火) 20:35:54.63 ID:eVkUfawyP
唯「いや。これは多分、雨漏りだよ」

律「ちぇー、少しは乗れよな」

唯「えへへ。でもそうすると、澪ちゃんが怖がるかなと思って」

紬「唯ちゃんは、本当に優しいわね」

澪「よし。これからは、唯澪で頑張ろう」

唯「だったら、りっちゃんとムギちゃんとあずにゃんも加えて頑張ろうよ」

律「それだと、全員入ってるだろ」

唯「たはは、そかそか」

澪、紬「あはは」

梓(みなさん、それより壁を見て下さい)


15: 2011/11/15(火) 20:37:57.99 ID:eVkUfawyP
紬「・・・これって雨漏りじゃなくて、窓の隙間から雨が吹き込んでるわね」

澪「そういえば、じめじめして暑いからって少し開けたんだ」

律「閉めると暑いし、開けると濡れるし。どうにもならんな」

唯「そう考えると、お日様って偉いよね。いつもは全然気にしないけど、こういう時はそのありがたみが身に染みるよ」

律「そのお日様も出てこないし、今日はもう帰ろうぜ」

 ゴロゴロ、ドカーンッ

澪「わっ」

梓「にゃっ」

澪(にゃ?)


17: 2011/11/15(火) 20:39:58.17 ID:eVkUfawyP
律「雷、落ちたな」

唯「お、おへそ。おへそ隠さないと」

梓「・・・どうして私のおへそを押さえるんですか」

唯「おへそ。おへそ取られちゃうよ。あずにゃんの、可愛い可愛いおへそが取られちゃうんだよっ」

梓「真顔で言わないで下さい。私まで怖くなるじゃないですか」

律「でも待てよ。へそが取られて、なんか困るか?」

唯「え?」

梓「そう言われてみると」

澪「正直、無くて困る物でも無いか」

紬「みんな、何言ってるのっ。おへそのないウェスト周りなんて、ご飯のないカレーライスみたいな物じゃないっ」

律「微妙に例えが分からんし、ご飯がないならカレーライスじゃないだろ」


19: 2011/11/15(火) 20:41:56.67 ID:eVkUfawyP
澪「ムギの説はともかく、おへそを隠すのは戒めというか婉曲な注意じゃないかな」

唯「戒め?」

澪「雷でおへそを隠す時って、大抵梅雨時や夏場の夕立だろ。そして暑い時期に雨が降れば、急に気温が下がる」

梓「だからお腹が冷えないように、服を着たり何かを掛ける。引いては、おへそを隠すって事ですか」

澪「ああ。つまりは親心。子を思う優しさから来てる伝承じゃないかな」

唯「ありがたやー、ありがたやー」

澪(なんで私が拝まれてるのかな)


20: 2011/11/15(火) 20:43:57.25 ID:eVkUfawyP
律「オチも付いた所で、今日は帰るぞー」

紬「戸締まりオッケーです」

澪「忘れ物も無しと」

梓「トンちゃん、また明日ね」

唯「トンちゃんのおへそは・・・。ああ、そかそか。カメさんだから、おへそ無いのか」

梓「唯先輩は、ちゃんとありますか?」

唯「もう、あずにゃんのいじわる」

律、澪、紬「あはは」


23: 2011/11/15(火) 20:45:55.58 ID:eVkUfawyP
   夕方、商店街

律「しかし止まないな」

紬「私の髪の毛予想だと、明日まで降りそうね」

澪「ぷっ。随分斬新な予想だな。・・・あじさいか」

梓「やっぱりあじさいには、雨が似合いますね」

澪「花や植物全般もだろうな。可憐さと切なさが相まって、儚くも凛とした雰囲気を醸し出すんだ」

律「語るな、この野郎。・・・唯、どうした」

唯「でんでん虫いるよ」

澪「えっ」 びくっ

律「というか、でんでん虫なんて久し振りに聞いたぞ」


26: 2011/11/15(火) 20:47:59.13 ID:eVkUfawyP
律「秋山先生、でんでん虫はどうですか」

澪「ま、まあ。かたつむりも、雨には似合うと思うぞ。・・・遠目に見るならな」

梓「確かに、あまり間近で見たくは無いですね」

唯「でも、でんでん虫ってすごいよね。家をしょって過ごしてるんだから。ちょっとしたキャンピングカー?」

紬「怠けてるようで、家を背負ってるんだから意外に頑張ってるのよね。案外、侮れないわ」

唯、律、澪「うん、うん」

梓(そんな真面目になる事かな)


28: 2011/11/15(火) 20:50:04.52 ID:eVkUfawyP
唯「澪ちゃんの傘も、あじさい色だね」

澪「ああ。深いブルーだから」

律「唯のは赤の花柄か。持ち物だし、本人の性格が出るのかもな」

澪「律は思いっきり黄色か」

律「目立つし、他の人も持ってないから間違われにくいだろ」

紬「りっちゃんぽい、元気一杯なイメージよね」

唯「軽音部でも、キレンジャーのポジションだからね」

律「否定はしないが、お前が言うな」 ぽふ


29: 2011/11/15(火) 20:52:01.81 ID:eVkUfawyP
梓「ムギ先輩はフリル付きで、やっぱり様になってますよね」

紬「うふふ、ありがとう」

唯「ムギちゃんだったら、番傘とかも似合いそうだよね」

律「番傘か。私はああいうのって、唐傘小僧のイメージなんだよな」

梓「でも番傘って和傘ですよね。どうして唐傘、なんですか?」

澪「古代日本では海外から来た物に、唐という文字を当てたんだ。だから和傘でも、唐傘という訳さ」

紬「澪ちゃんは物知りね」

澪「敵を知り己を知れば百戦危うからず。唐傘小僧、恐るるに足らずだ」

律「唐傘小僧に、恐れる要素があるのかよ」


32: 2011/11/15(火) 20:54:11.13 ID:eVkUfawyP
唯「あずにゃんは、傘もちんまりしてるね」

梓「あまり大きいと、持ちにくいですから」

律「風に吹かれたら、飛んでいくんじゃないのか」

梓「飛びませんよ。飛んでいくイメージは、むしろ唯先輩じゃないですか?」

澪「それ、なんだか分かるな。お花畑の上で、ふわふわ舞い上がってるんだろ」

紬「そこには、一体どんなお花が咲いてるのかしらね」

澪「見てみたいよな。見渡す限り一面のお花畑を」

律「花が咲いてるのは、お前達の頭の中だろ」


33: 2011/11/15(火) 20:56:06.48 ID:eVkUfawyP
 ゴロゴロ、ゴロゴロ

唯「雷、まだ鳴ってるね。あずにゃんのおへそ、大丈夫?」

梓「他に心配する事があると思うんですけどね」

唯「・・・でも、おへそのないあずにゃんのお腹も案外良いのかな」

梓「え?」

紬「・・・うん。そう言われてみると、逆にありかしら♪」

梓「えー?」


35: 2011/11/15(火) 20:58:00.49 ID:eVkUfawyP
唯「その時はおへそのないあずにゃんのお腹を、撫で撫でしてみたいよね」

紬「あー、分かる分かる♪」

律「だったら、私のお腹がそうなったら?」

梓「びーたん、びたーん。ですよね」

唯、澪、紬「あー、分かる分かる♪」

律「えーっ?」


38: 2011/11/15(火) 21:00:00.67 ID:eVkUfawyP
   翌朝 3年生教室

しとしと

唯「今日も止まないね」

澪「楽器的にも、あまり良くないんだよな」

律「ムギ予報ではどうなんだ?」

紬「・・・この手触りだと、夕方頃には晴れるかも」

和「何の話してるの?」

唯「ムギちゃんがね、癖っ毛の具合で天気が分かるんだって」

和「唯は寝癖の具合で、昨日の寝相が分かるわね」

唯「もう、和ちゃんはー」

律、澪、紬「あはは」


40: 2011/11/15(火) 21:02:00.12 ID:eVkUfawyP
   2年生教室

純「あー、最悪だ。髪の毛が、湿気で全然収まんない」 ぐいぐい

梓「何?力が覚醒したの?もうすぐ、スーパー純に変身する訳?」

純「あのね。私も梓みたいに伸ばせば、少しは収まるのかな」

憂「でも長くすると、手入れが大変でしょ」

梓「まあね。髪を洗ったり乾かしたりする時間も長いし、夏は暑いし。どこかにからまっちゃたりするし」

純「ふーん。梓は梓で、苦労してるんだ」

梓「そこまででも無いんだけど。結局、好きで伸ばしてる訳だし」

純「私は、好きでこの髪型にしてる訳じゃ無いけどね・・・」


42: 2011/11/15(火) 21:03:59.30 ID:eVkUfawyP
純「大体この髪型って、逆に個性がありすぎるというか強いんだよね」

梓「でも、どこから見てもすぐに純って分かるじゃない」

憂「迷子になった時、ちょっと便利だよね」

純「これは、目印じゃないんだってば」

梓「特徴的なのが嫌だって事?」

純「嫌って程でも無いんだけどさ。これを見て、どう思う?」

憂「純ちゃんだなって思うよ♪」

梓(地味に天然だな)


43: 2011/11/15(火) 21:06:00.61 ID:eVkUfawyP
純「・・・もう自分で言っちゃうけどさ。モップみたいなんだよね」

梓「それは、その」

憂「あ、あはは」

純「後は「なんで頭にクリついてんの?」とか、言われたりしてさ」

憂「イガクリかな、やっぱり」

純「種類はどうでも良いのよ」 ぽふっ


46: 2011/11/15(火) 21:08:00.45 ID:eVkUfawyP
梓「じゃあ、美容院に行ってみれば?」

純「そこまで思い切りたくないというか。なんというか」

憂「だから私達に相談してくれたんだよね」

純「ま、まあね」 てれてれ

梓(全く。純はまだまだ、匂いが青いな♪) くんかくんか


48: 2011/11/15(火) 21:10:00.55 ID:eVkUfawyP
憂「まずは髪を解いてみる?」

純「そうすると、ボンバヘッドになりそうなんだよね」

憂「ああ、癖っ毛だから。でもお姉ちゃんも癖っ毛で、そこがすごい可愛いんだよ♪」

純「そういう問題なのかな」 するっ

梓「・・・まあ、良いんじゃないの」 ぷるぷる

純「梓。あんた、笑ってるでしょ」

梓「そ、そんな事ないひょっ」

純「ひょって何よ。ひょって」


50: 2011/11/15(火) 21:11:58.14 ID:eVkUfawyP
憂「・・・うーん、上手くブラシが通らないね」

梓「濡れタオル持って来たよ」

憂「ありがとう。・・・ちょっと落ち着いたかな」

梓「ん?ちょっと良い感じじゃない?」

純「本当?鏡、鏡見せて・・・。あ、これはちょっと」 にっこり

憂「でも、いつも濡らしておく訳にも行かないし。ストレートパーマは?」

純「お金掛かるし、真っ直ぐにしたい訳でも無いんだよね」

梓「注文が多いな、純は」

憂「小麦粉まぶされちゃうかもね」

梓「一体、どこの料理店なのよ」


54: 2011/11/15(火) 21:13:58.83 ID:eVkUfawyP
   軽音部 部室

カチャ

梓「済みません、遅れました」

律「あずにゃん、今日も雨止まないね」

梓「それなんですけど。純が、髪の毛がまとまらないって困ってましたよ」

紬「分かるわー、その悩み。湿気は楽器もだけど、髪にも良くないのよね」

唯「本当、本当」

唯、紬「ねー」

梓(ムギ先輩はともかく、唯先輩と純は気にするまでも無いと思うけどな)


55: 2011/11/15(火) 21:16:01.95 ID:eVkUfawyP
律「しかしこう湿気ってると、練習する気にもならん」

澪「そういう言い訳はいいから、早く位置に付け」

律「練習以外の事なら、何でもやってやるさ」

澪「この・・・」

ピンポンパンポーン

さわ子「3年の田井中律さん、職員室まで来て下さい。3年の田井中律さん、職員室まで来て下さい」

唯「よ、呼び出し」

紬「はっけよい」

唯、紬「のこったのこった」

澪、梓「あはは」

律「いや。何一つ笑い事じゃないし」


57: 2011/11/15(火) 21:18:00.83 ID:eVkUfawyP
 職員室

律「失礼しまーす」

さわ子「来たわね。・・・あら、みんなもついてきたの?」

唯「はっけよい、はっけよい」

さわ子「・・・ごめんなさい。全然意味が分からない」

澪「今のは気にしなくて結構です。それで、律を呼び出した理由なんですが」

さわ子「雨漏りしてる廊下があるから、ちょっと手伝って」

律「えー、どうして私が」

澪「練習以外なら、何でもやるんだろ」

律「むぐっ」

さわ子「良く分からないけど、お願いね。みんな、付いてきて」


58: 2011/11/15(火) 21:19:59.65 ID:eVkUfawyP
 3階廊下

 ポタ、ポタ、ポタ

律「それにしても、今時雨漏りって」

紬「でもこの校舎、結構古い建物だから」

澪「その分雰囲気というか、風情があるよな」

梓「はいです」

唯「長い間ずっと頑張ってきたんだね、この学校は」 ぺたぺた

律「もしかして、さわちゃんと同じ年齢だったりしてなー。がははー」

さわ子「人間てるてる坊主にするぞ、このデコッパチ」


59: 2011/11/15(火) 21:22:28.55 ID:eVkUfawyP
律「あー、ひどい目に遭った」

澪「自業自得だ。・・・こことここにバケツを置けばいいのかな」

紬「ここは雑巾だけで大丈夫そうね」

律「結局さわちゃんも帰っちゃったし」

梓「先生は色々忙しいんですよ。ほら、そっちにもバケツお願いします」 

ポタン、ポタン、ポタン

唯「・・・結構、良い音するね」

澪「律のドラムより良いかもな」

律「なんだとー」

紬「まあまあ。でも本当に、素朴で良い音よね」

梓「はいです」


60: 2011/11/15(火) 21:24:31.04 ID:eVkUfawyP
 ポタン、ポタン、ポタン

律「結構聞き入っちゃうな」

梓「ムギ先輩が仰ったように、素朴なのが良いんでしょうか」

澪「確かに私達は、凝っていた方が良いと思いがちだからな」

紬「その辺は、反省しないと駄目かも知れないわね」

唯「そんな事無いよ」

澪、紬「え?」


61: 2011/11/15(火) 21:26:28.52 ID:eVkUfawyP
唯「私は澪ちゃんの歌詞も、ムギちゃんのメロディも。どっちも大好きだから」

澪「唯」

紬「唯ちゃん」

唯「自然な音も良いけど、私は二人の作る曲が。放課後ティータイムの曲が一番好きなんだよ」

梓「私もです。澪先輩の優しい歌詞とムギ先輩の温かいメロディが、私も大好きですから」

澪「・・・ありがとう、梓」

紬「うふふ。でもそんなに言われると、ちょっと照れちゃうわね」

律「いやー、本当にな」

澪「お前は何もしてないだろ」 ぽふ


62: 2011/11/15(火) 21:28:30.54 ID:eVkUfawyP
   軽音部部室

律「ふー。仕事も済ませたし、今日はもう帰るか」

澪「練習は出来なかったけど、仕方ないな」

紬「でも私、さっきの雨音で良いインスピレーションが浮かんだの」

澪「奇遇だな。私もだ」

唯「えー、どんなのどんなの?」

澪「秘密秘密。雨漏りもりもり盛り上がりだ」

梓(まさか、それが歌詞じゃないよな)


64: 2011/11/15(火) 21:30:28.34 ID:eVkUfawyP
律「戸締まり良し、忘れ物無しと」

澪「・・・少し、空が明るくなってきてないか?」

唯「ほんとだ。雨が上がったかも知れないね。ムギちゃん、どう?」

紬「・・・多分、もう大丈夫だと思う」 さわさわ

澪「雨の時って、実際髪の毛がどうなるんだ?」

紬「ちょっと触ってみる?」

澪「じゃ、失礼して。・・・あー、良い手触りだな」 さわさわ

唯「私も私も」 さわさわ

紬「うふふ」

律「全然雨と関係無いじゃんよ。・・・梓は触らないのか?」

梓「いえ、そんな。滅相もない」

律「いいからいいから。ムギー、私達にも触らせろー」

梓(これは不可抗力、不可抗力だから♪) くんかくんか


66: 2011/11/15(火) 21:32:32.13 ID:eVkUfawyP
 夕方 商店街

梓「すっかり上がりましたね」

律「おー、夕日が眩しいぜ」

澪「律のおでこもな」

律「なんだとーっ」

紬「うふふ。でも雨はしっとしりた風情があって、私は好きよ」

唯「しっとり所なんて、チーズケーキみたいだよね」

紬「そうそう♪」

梓(え、何が?)


67: 2011/11/15(火) 21:34:33.68 ID:eVkUfawyP
澪「あ、あれ」 びしっ

律「ん、どうした?・・・おぉっ」

唯「虹が出てるっ。あずにゃん、虹だよ虹。5時なのに、虹が出てるとはこれいかに?」

梓「何ですかそれ。でも、すごい綺麗ですね」

澪「本当、綺麗だな。ムギが言ったように、やっぱり雨も良いかも知れない」

紬「うふふ」

澪「それに雨上がりって、なんだか良い匂いがするよな」

律「確かにな」

梓(皆さんの匂い程では無いですけどね♪) くんかくんか


70: 2011/11/15(火) 21:36:28.16 ID:eVkUfawyP
澪「あの虹は、一体どこに続いてるのかな」

梓「昨日皆さんが話してたような、一面のお花畑かもしれませんね」

紬「うふふ。唯ちゃんはどう思う?」

唯「んーとね。あの辺だと、隣町のケーキ屋さんかな」

律「そういう事を聞いてるんじゃないんだよ」 ぽふ

澪、紬、梓「あはは」



                                    終わり



72: 2011/11/15(火) 21:37:56.97

73: 2011/11/15(火) 21:38:12.58

みんな綺麗だな

79: 2011/11/15(火) 21:44:08.47 ID:eVkUfawyP
>>75

>>54
律「あずにゃん、今日も雨止まないね」

ですが、当方のミス。本来は

唯「あずにゃん、今日も雨止まないね」

でした。
ご指摘、ありがとうございます。

引用元: 唯「雨、よく降るね」