1: 2019/09/24(火) 00:55:23.438 ID:1wlGRQGwa
とある病院の一室

高木さん「ここが西片の病室か…」

「西片!本当に俺のこと覚えてないのかよ!?」

「うん、ごめんね。えっと…」

「俺だよ!お前の恋人の!」

「……ごめん、やっぱりわからないや」

「もういい!」ガララッ

高木さん「!」

俺「っ…くそ、西片…なんで!」ウルウル

高木さん「……」

2: 2019/09/24(火) 00:56:04.416 ID:1wlGRQGwa
ガララッ

西片「……!やあ、いらっしゃい。君もオレの知り合いなのかな?」

高木さん「西片、やっぱり記憶喪失って本当だったんだね」

西片「あはは、そっちからしたら信じられないよね。さっきも1人、オレの恋人だっていう人を怒らせちゃったよ」

高木さん「(それって俺くんのことか。……あっ、そうだ)」

高木さん「さっきの男の人のことだよね?あの人、西片のストーカーだよ」

西片「えっ…」

高木さん「西片の本当の恋人は私だもん。ねぇ、本当に私のこと覚えてないの…?」ギュッ

西片「えっと…あの、ごめん。やっぱりなにも思い出せないよ。君の名前は…」

高木さん「高木、だよ。さっきの人は俺くんっていって、記憶をなくす前の西片にしつこくストーカーしてた人だから気をつけて」

西片「わかった。ありがとう高木さん」

高木さん「ふふ、わかってくれればいいんだよ。わかってくれれば…」ニヤッ

4: 2019/09/24(火) 00:56:50.514 ID:1wlGRQGwa
翌日

俺「はぁ、昨日はあまりのショックで病室を飛び出してきちゃったけど、西片にしてみればいきなり知らない人がきて自分の恋人だって言われたようなもんなんだよな…」

俺「こんなんじゃ恋人として失格だ。もう1度病院に行って謝らなきゃ!」

病室

俺「西片!昨日はごめん!」ガラッ

西片「君は…たしかオレのストーカーの!」

俺「? ストーカー?なんのことだよ…」

6: 2019/09/24(火) 00:58:41.732 ID:1wlGRQGwa
西片「記憶がないからって馬鹿にしないでくれ!お前がオレのストーカーだってことはもう知ってるんだ!帰ってくれ!!」

俺「いやいや、え?俺がストーカーだってどういう意味だよ?変な冗談はよしてくれ!」

西片「誰か!不審者が病室に!誰か来てくださーいっ!」

看護師「あなた!患者に何をするつもりですか!?こっちへ来なさい!」

俺「ちょ、違う!俺はただ話がしたいだけで!頼む、昨日のことなら謝るから!1度でいいから話だけでも聞いてくれ!頼むよ!」

ガララッ…ピシャンッ!!

俺「西片ぁーっ!!」

看護師「お帰りはこちらです。どうぞお引き取りください」

俺「くそぉ!!」

7: 2019/09/24(火) 01:00:14.180 ID:1wlGRQGwa
俺「はぁ…西片のやつ、俺がストーカーだってどういうつもりだよ…」トボトボ

高木さん「あっ、俺くん。もしかして俺くんも西片のお見舞いに?」

俺「高木さん!そう、なんだけど…実は西片、俺のことをストーカーかなにかと勘違いしてるみたいで…」

俺「そうだ!高木さんから西片に俺がストーカーっていうのは誤解だって伝えてくれないかな!?きっと高木さんの言うことなら西片も信じてくれると思うんだ」

高木さん「それは災難だったね。わかった、西片には私から伝えておくから安心して」

俺「ありがとう!頼んだよ高木さん!!」

8: 2019/09/24(火) 01:00:49.381 ID:1wlGRQGwa
西片「わかったよ高木さん。つまりさっきのストーカーはオレのことを本気で恋人だと思い込んでる異常者なんだね?」

高木さん「うん、はっきり拒絶して刺激するとどんな行動に出るかわからないから、あのストーカーに会ったら向こうに話を合わせて、こっそり私を呼んで欲しいんだ」

西片「でも、それじゃあ高木さんの方が危ないんじゃ…」

高木さん「西片は今記憶喪失なんだから、そんなこと考えなくていいんだよ。恋人のピンチを助けるのは当然のことでしょ?」

西片「高木さん…うん、ありがとう」

高木さん「安心して…西片は絶対に私が守ってあげるからね…」ニタリ

9: 2019/09/24(火) 01:01:53.081 ID:1wlGRQGwa
また翌日

ガララッ

西片「……!君は」

俺「西片、記憶喪失で俺のこと恋人だってわからないのは仕方ない。だから今日は1人の友人として話をしに…」

西片「俺くん、だったよね。オレの恋人の」

俺「!! 記憶が戻ったのか!?」

西片「いや、それはまだだけど…高木さんから俺くんがストーカーじゃないって話をされたからさ」

俺「……!(約束通り俺のこと西片に話しておいてくれたんだな。ありがとう高木さん!)」

西片「(気づかれないように高木さんのスマホに連絡入れないと…)」ピッピッ

10: 2019/09/24(火) 01:02:36.876 ID:1wlGRQGwa
俺「でさー、その初デートのとき、不良に絡まれた俺を西片が守ってくれたんだぜー!」

西片「へぇ、そうなんだ…(よく妄想でここまで話を膨らませられるもんだな…)」

俺「それにしても、西片に俺が恋人だったってことわかってもらえて本当によかったよ…!あのままストーカーとして扱われてたら、俺…!」ウルウル

西片「……!(涙…?)」

高木さん「西片!大丈夫!?」ガララッ

俺「!」

西片「高木さん!」パァァ

高木さん「俺くん、そろそろ面会時間終わりだからさ」

俺「あ…ご、ごめん。それじゃ高木さんも…」

高木さん「私は西片のお世話しなきゃだから」

俺「!! そんなの恋人である俺が…!」

西片「ごめん俺くん!恋人だからこそ、記憶が戻るまではあまり迷惑をかけたくないんだよね」

俺「に、西片がそういうなら…それじゃあ」

西片「またね、俺くん」

11: 2019/09/24(火) 01:05:28.949 ID:1wlGRQGwa
ガララッ

西片「……ふぅ、帰ったみたいだね」

高木さん「西片、ナイスフォローだったよ!西片のおかげで上手く言いくるめられたね」

西片「いいや、高木さんが来てくれたおかげだよ。オレだけじゃきっとあれこれ言って強引に居座られただろうからね」

高木さん「ふふ」

西片「ははっ」

・・・・・・

12: 2019/09/24(火) 01:06:13.311 ID:1wlGRQGwa
俺「あっ、病室にスマホ忘れた。面会時間過ぎてるらしいけど…忘れ物取りに行くくらいいっか」スタスタ

「ねぇ、西片…正直私のことどう思ってる?」

「えっ…オレが高木さんのことをかい?」

俺「!!」

「私ね、西片のことが好き…西片は記憶をなくして、私のことなにも覚えてないのかもしれないけど…」

「いや!オレも…俺も高木さんのこと好きだよ!」

俺「っ…!!に、西片…」

「たしかに記憶をなくす前の高木さんのことはオレにはなにも分からない。けど、記憶をなくしてからの高木さんはオレのこといっぱい助けてくれたじゃないか!」

「西片…」

「オレは記憶なんてなくても、高木さんのこと好きだよ」

「ありがとう。私も西片のこと大好きだよ…」

…………チュッ

俺「あっ…ああ、おぇっ…ぐっ、ああ!」ヨロヨロ…ダッ

病院 男子トイレ

俺「おえっ、あああ…があぁぁぁぁっ!!おええええっ!!!」ビチャビチャァッ

14: 2019/09/24(火) 01:07:52.464 ID:1wlGRQGwa
俺「……」

俺「……」

「オレは記憶なんてなくても、高木さんのこと好きだよ」

「ありがとう。私も西片のこと大好きだよ…」

…………チュッ

俺「うっ、あっぐ…おおおおおおお…!!!」ガクガク

俺「(はあはあ…落ち着け俺。西片が高木さんに惹かれるのは記憶喪失で弱っているところを優しくされたからだ)」

俺「(記憶さえもどればまた俺のことを…けど、西片は俺みたいな男より、可愛くて、頭もいい高木さんと付き合った方がよほど幸せなんじゃないのか…!?)」

俺「……決めた。明日もう1度だけ西片に会いに行こう」

15: 2019/09/24(火) 01:08:25.323 ID:1wlGRQGwa
翌日

俺「よぉ、西片」ガララッ

西片「……!俺くん」

西片「(また来たのかこのストーカーめ…!高木さんに連絡しないと)」ピッピッ

俺「あのさ、今日は西片にお別れを言いに来たんだよ」

西片「!」

17: 2019/09/24(火) 01:10:53.618 ID:1wlGRQGwa
俺「実はさ、今まで俺西片を騙してたんだ。記憶をなくす前の西片は俺と恋人だったなんて言ってたけどあれは嘘さ。本当高木さんと恋人だったんだ!」

西片「……そんなこと最初から知ってたさ」

俺「! はは…それじゃあ今まで、俺がストーカーだとわかってて、恋人のフリをしててくれてたってことか。西片は優しいなぁ…」ウルッ

俺「そんな優しい西片だから俺は好きになったんだ。なあ、今日でもう西片とは2度と会わないようにする。だから…最後に1度だけヤらせてくれよ!!」ガバッ

西片「っ…!?何をするんだ!やめろ!!」ジタバタ

俺「へへ、西片!西片ぁ!!」ギュウウッ

西片「このっ、いい加減にしろ!変態ストーカー野郎!!」バキィッ

俺「うぐぅっ!?」ドサッ

高木さん「はぁはぁ…西片!大丈夫!?」ガララッ

高木さん「……!俺くん!何してるの、西片から離れて!」

看護師「西片さん、大丈夫ですか!?」

看護師「! また性懲りも無く…次来たら警察を呼びますよ!面会時間は終わりです。もうお帰りください!!」

俺「はぁはぁ…」

西片「ははっ、ざまあみろ。これに懲りたらもう2度とオレに近づかないように…」

俺「西片…さよならっ」ウルウル

西片「!!」ドクンッ

高木さん「西片?大丈夫…?俺くんに変なことされなかった?」

西片「あぁ…大丈夫だよ。高木さん」

18: 2019/09/24(火) 01:11:41.750 ID:1wlGRQGwa
ピ-ポ-ピ-ポ-

高木さん「見て、パトカーが来てる。俺くん逮捕されちゃうんだ…」

西片「あぁ、そうだね…」

高木さん「ねぇ西片、本当に大丈夫?どこか怪我でもしてるんじゃないの?」

西片「どうしてだい?どこも痛くないし、この通りピンピンしてるよ?」

高木さん「じゃあなんで泣いてるの?」

西片「……!」ツツ-

西片「あれ…あれ…?おかしいな…早起きしたからかな…?」グスッ

高木さん「西片…なにかやらなきゃいけないことがあるんだよね。私西片のそんな顔見たくないよ」

高木さん「だから…行ってきて」

西片「……高木さん、ごめん!!」ダッ

バタン!!!!!

20: 2019/09/24(火) 01:14:58.986 ID:1wlGRQGwa
高木さん「……はーっ!」

高木さん「あはは…言わなきゃ、西片は私の物だったのにな…」ツツ-

高木さん「けど、西片のあんな寂しそうな顔見たら…もう負けを認めるしかないよ。……うっ、うぅ…うああああ…!!!」ポロポロ

21: 2019/09/24(火) 01:16:43.465 ID:1wlGRQGwa
警官「それじゃあ犯行を認めるんだね?」

俺「……はい」

警官「そうか、それじゃあ君を強姦未遂の容疑で逮捕…」

西片「お巡りさん!待ってください!!」

警官「!!」

俺「西片…!?どうしてここに!」

西片「どうしてって…当然だろ。俺くんは、オレの恋人なんだから!!」

俺「お前…記憶が戻って…!!」ハッ

俺「……いや、違うよ。西片の恋人は高木さんだ!俺はただの強姦魔だよ…」

西片「! どうしてそんなこと言うんだい!?俺くん!」

警官「これは、一体どういう状況だ…!?」

俺「ショックで記憶が混乱しているだけですよ。早いとこ署まで連れて行ってくださいよ」

警官「そ、そうだな…よし行こう」

22: 2019/09/24(火) 01:18:39.882 ID:1wlGRQGwa
西片「オレは、俺くんのことが好きだ!!」

俺「!!」

西片「俺くんはオレのこと嫌いなのかい!?」

俺「っ…そんなわけ…そんなわけないだろうっ!?だけど、西片は俺となんかより、高木さんと付き合った方が幸せに!!!」ウルッ

西片「俺くん!!!!」バッ

俺「な、何するんだよ西片…おい、やめ、離せって!」

…………チュッ

俺「///!??!!」

25: 2019/09/24(火) 01:26:44.663 ID:1wlGRQGwa
西片「はぁはぁ…もうなにも言わなくてもいいよ。俺くんがどんな嘘をつこうとしても、オレがその口を塞いじゃうからね」チュッ…レロッ

俺「んんんんんっ///!!?!!!」

警官 "……I don't know the situation."

警官 "But there is only one thing."

俺「はぁはぁ、うっ、うぅ…西片っ、西片ぁ!!」レロレロ

西片「俺くん、俺くんっ」チュパチュパ

警官 "The two are in love…"

俺「好きだ!好きだよ西片っ!!」

西片「オレも!俺くんのこと大好きだ!!」

警官 "Surely the love of the two will be eternal."

高木さん「西片…俺くんのこと幸せにしてあげてね」

チュッ♡


ー THE END ー

26: 2019/09/24(火) 01:29:02.083
これ実話だよ

28: 2019/09/24(火) 01:34:34.215
感動した

29: 2019/09/24(火) 01:35:33.725
おめでとう

30: 2019/09/24(火) 01:37:24.686
こりゃめでたいや

32: 2019/09/24(火) 01:55:41.634
イイハナシダナー

引用元: 高木さん「えっ…西片が記憶喪失…?」