1: 2020/09/19(土) 18:15:08.693 ID:JwBKcDgB0
課長「今日から配属になった新人君だ」
新人「よろしくお願いしやす!」
先輩「よろしく」
課長「君は仕事もできるし、面倒見もいいから、彼の教育係を頼むよ」
先輩「分かりま……」
先輩「!?」
新人「どうしやした?」
先輩(袖から入れ墨が見えてるぅ~!)
新人「よろしくお願いしやす!」
先輩「よろしく」
課長「君は仕事もできるし、面倒見もいいから、彼の教育係を頼むよ」
先輩「分かりま……」
先輩「!?」
新人「どうしやした?」
先輩(袖から入れ墨が見えてるぅ~!)
4: 2020/09/19(土) 18:18:12.734 ID:JwBKcDgB0
先輩「えぇと……新人君」
新人「へい!」
先輩「いきなりで申し訳ないんだけど、ご実家はなにを……?」
新人「あまり大きな声で話せる商売じゃございやせんが、“組”を少々」
先輩「組……!?」
新人「どうしやした? 汗がハンパなく出てますぜ」
先輩「いや、今日は暑いからね。アハハハ……」ダラダラダラ
新人「へい!」
先輩「いきなりで申し訳ないんだけど、ご実家はなにを……?」
新人「あまり大きな声で話せる商売じゃございやせんが、“組”を少々」
先輩「組……!?」
新人「どうしやした? 汗がハンパなく出てますぜ」
先輩「いや、今日は暑いからね。アハハハ……」ダラダラダラ
5: 2020/09/19(土) 18:21:13.371 ID:JwBKcDgB0
先輩「じゃあ、さっそく出かける。君にも同行してもらうよ」
新人「カチコミですかい!?」
先輩「カチコ……いや、仕事だよ仕事」
新人「了解ッス!」
新人「なんか道具(エモノ)は持っていきやすか!?」
先輩「(エモノて)いや、僕はだいたい手ぶらだね。なにか持っていっても構わないけど」
新人「そッスか」ゴソ…
先輩「……」チラッ
先輩(懐にピストルあるぅ~!)
新人「カチコミですかい!?」
先輩「カチコ……いや、仕事だよ仕事」
新人「了解ッス!」
新人「なんか道具(エモノ)は持っていきやすか!?」
先輩「(エモノて)いや、僕はだいたい手ぶらだね。なにか持っていっても構わないけど」
新人「そッスか」ゴソ…
先輩「……」チラッ
先輩(懐にピストルあるぅ~!)
7: 2020/09/19(土) 18:22:07.040
こんな後輩入ってきたら泣く
8: 2020/09/19(土) 18:24:22.259 ID:JwBKcDgB0
――
先輩「今日のところは、こんなものかな」
新人「いやー、先輩のお仕事ぶり、拝見させてもらいやした! すごかったッス! マジ尊敬ッス!」
先輩「いや、あれぐらいどうってことないよ」
先輩(さて、先輩として……初日に酒ぐらいご馳走した方がいいよな? 本当はあまり関わりたくないけど……)
先輩「えぇと、よかったらこの後飲みに行かない?」
新人「へい! 喜んでお供させてもらいやす!」
先輩「今日のところは、こんなものかな」
新人「いやー、先輩のお仕事ぶり、拝見させてもらいやした! すごかったッス! マジ尊敬ッス!」
先輩「いや、あれぐらいどうってことないよ」
先輩(さて、先輩として……初日に酒ぐらいご馳走した方がいいよな? 本当はあまり関わりたくないけど……)
先輩「えぇと、よかったらこの後飲みに行かない?」
新人「へい! 喜んでお供させてもらいやす!」
9: 2020/09/19(土) 18:27:07.987 ID:JwBKcDgB0
先輩「こんな居酒屋で悪いけど……」
新人「いえ、とんでもないッス!」
新人「ところで先輩……」
先輩「?」
新人「俺と……兄弟盃交わしてもらえねェですか」
先輩「さ、盃!?」
新人「お願いしやす!」
先輩(嫌だよぉ、こんなおっかないのと兄弟分になりたくないよぉ。僕はカタギだし……)
新人「いえ、とんでもないッス!」
新人「ところで先輩……」
先輩「?」
新人「俺と……兄弟盃交わしてもらえねェですか」
先輩「さ、盃!?」
新人「お願いしやす!」
先輩(嫌だよぉ、こんなおっかないのと兄弟分になりたくないよぉ。僕はカタギだし……)
10: 2020/09/19(土) 18:30:28.047 ID:JwBKcDgB0
先輩「いきなり兄弟ってのもなんだし……先輩後輩の盃ってのはどう?」
新人「全然かまわねッス!」
先輩「じゃ、じゃあ……これからも先輩後輩として仲良くやっていこう」
新人「へい!」
先輩「……」グイッ
新人「……」グイッ
新人「改めてお願いしやす! 先輩!」
先輩「へ、へい……(うつっちゃった)」
新人「全然かまわねッス!」
先輩「じゃ、じゃあ……これからも先輩後輩として仲良くやっていこう」
新人「へい!」
先輩「……」グイッ
新人「……」グイッ
新人「改めてお願いしやす! 先輩!」
先輩「へ、へい……(うつっちゃった)」
11: 2020/09/19(土) 18:33:25.042 ID:JwBKcDgB0
――
先輩「えぇと……今日は君にも仕事を手伝ってもらうよ」
新人「マジッスか! あざっす! 気合入れやす!」
先輩「じゃあ、僕に同行してもらうからね」
新人「へい!」
課長(なかなかよくやってるじゃないか)
先輩「えぇと……今日は君にも仕事を手伝ってもらうよ」
新人「マジッスか! あざっす! 気合入れやす!」
先輩「じゃあ、僕に同行してもらうからね」
新人「へい!」
課長(なかなかよくやってるじゃないか)
12: 2020/09/19(土) 18:37:04.764 ID:JwBKcDgB0
新人「す、すいやせん……足引っぱっちまって……!」
先輩「いや、いいんだよ。最初のうちはしょうがないさ」
新人「この上は、この上はァ、指を詰めて……!」ジャキン
先輩「ひっ!」
先輩「詰めんでいい! 詰めんでいい!」ガシッ
新人「先輩……なんって優しい……! あんた聖人だァ……! 仏様だァ……!」
先輩(これが普通なんだよ!)
先輩「いや、いいんだよ。最初のうちはしょうがないさ」
新人「この上は、この上はァ、指を詰めて……!」ジャキン
先輩「ひっ!」
先輩「詰めんでいい! 詰めんでいい!」ガシッ
新人「先輩……なんって優しい……! あんた聖人だァ……! 仏様だァ……!」
先輩(これが普通なんだよ!)
14: 2020/09/19(土) 18:41:12.888 ID:JwBKcDgB0
先輩「今日は13時から、得意先と打ち合わせがある」
新人「へい!」
先輩「僕に同行して、しっかり話を聞いておいてね」
新人「バッチメモりやす!」
先輩「それと、社会人の基本は時間を守ることだ。絶対に遅刻しちゃいけないよ」
新人「分かりやした!」
新人「へい!」
先輩「僕に同行して、しっかり話を聞いておいてね」
新人「バッチメモりやす!」
先輩「それと、社会人の基本は時間を守ることだ。絶対に遅刻しちゃいけないよ」
新人「分かりやした!」
15: 2020/09/19(土) 18:44:06.026 ID:JwBKcDgB0
先輩「どうも御無沙汰を」
得意先「こちらこそ」
得意先「いつも守って頂いてありがとうございます」
先輩「いえいえ、とんでもないです。仕事ですし、当然のことをしているだけです」
ペチャクチャ… ペチャクチャ…
新人「……」
新人(先輩……かっけえなァ……!)
得意先「こちらこそ」
得意先「いつも守って頂いてありがとうございます」
先輩「いえいえ、とんでもないです。仕事ですし、当然のことをしているだけです」
ペチャクチャ… ペチャクチャ…
新人「……」
新人(先輩……かっけえなァ……!)
16: 2020/09/19(土) 18:46:12.406 ID:JwBKcDgB0
新人「完璧な打ち合わせでしたね!」
先輩「まあね。上手くいってよかった」
プルルル…
先輩「はい、株式会社カイタイ……あ、はい、分かりました。すぐ向かいます」
先輩「仕事が入った。一緒に行こう」
新人「忙しいッスね」
先輩「忙しい時はとことん忙しい、社会人ってのはそういうものさ」
新人「へいっ!」
先輩「まあね。上手くいってよかった」
プルルル…
先輩「はい、株式会社カイタイ……あ、はい、分かりました。すぐ向かいます」
先輩「仕事が入った。一緒に行こう」
新人「忙しいッスね」
先輩「忙しい時はとことん忙しい、社会人ってのはそういうものさ」
新人「へいっ!」
17: 2020/09/19(土) 18:49:09.496 ID:JwBKcDgB0
新人「うへぇ~、立派なビルッスねぇ……」
先輩「今をときめくIT企業なんかの事務所がいっぱい入ってるからね」
先輩「もっとも……僕らの仕事相手はその隣だけど」
新人「そッスね」
先輩「じゃあ今日もはりきって行こう!」
新人「一発かましてやりやしょう!」
先輩「いや……二発かな」
先輩「今をときめくIT企業なんかの事務所がいっぱい入ってるからね」
先輩「もっとも……僕らの仕事相手はその隣だけど」
新人「そッスね」
先輩「じゃあ今日もはりきって行こう!」
新人「一発かましてやりやしょう!」
先輩「いや……二発かな」
18: 2020/09/19(土) 18:52:18.333 ID:JwBKcDgB0
――
新人「あの……先輩」
先輩「なんだい?」
新人「ウチの父親(オヤジ)が……ぜひ先輩に会いたいといってて……」
新人「一度、実家に来てくれませんかね?」
先輩「実家……!」
先輩(暴力団の本拠地なんか行きたくねえよ……怖いよ……)
新人「お願いしやす! どうかこの通りでござんす!」
先輩「……」
新人「あの……先輩」
先輩「なんだい?」
新人「ウチの父親(オヤジ)が……ぜひ先輩に会いたいといってて……」
新人「一度、実家に来てくれませんかね?」
先輩「実家……!」
先輩(暴力団の本拠地なんか行きたくねえよ……怖いよ……)
新人「お願いしやす! どうかこの通りでござんす!」
先輩「……」
19: 2020/09/19(土) 18:55:14.043 ID:JwBKcDgB0
先輩(しかし……新人君もよくやってくれてるし……無下にするのも……)
先輩「分かった……行こう!」
新人「あざっす!」
新人「さっそく迎えを来させるんで!」
先輩「いや、そんなことしないで――」
ブロロロロロ…
新人「来たッス!」
先輩(黒塗りの高級車来たァァァ!)
先輩「分かった……行こう!」
新人「あざっす!」
新人「さっそく迎えを来させるんで!」
先輩「いや、そんなことしないで――」
ブロロロロロ…
新人「来たッス!」
先輩(黒塗りの高級車来たァァァ!)
20: 2020/09/19(土) 18:58:33.840 ID:JwBKcDgB0
黒服「若、同僚のお方。さ、お車へ」
先輩(“お車”が“送る魔”に聞こえるよ……。僕、帰ってこれるかな……)
新人「いいか、この方に粗相したら、指じゃ済まさねえからな! 腕ごといくぞ!」
黒服「へい」
先輩(余計なこというんじゃないよ!)
ブロロロロ…
先輩(神様~、助けて~!)
先輩(“お車”が“送る魔”に聞こえるよ……。僕、帰ってこれるかな……)
新人「いいか、この方に粗相したら、指じゃ済まさねえからな! 腕ごといくぞ!」
黒服「へい」
先輩(余計なこというんじゃないよ!)
ブロロロロ…
先輩(神様~、助けて~!)
22: 2020/09/19(土) 19:03:40.507 ID:JwBKcDgB0
ブロロロロ… キキッ
黒服「到着しやした」
新人「ご苦労、オヤジを呼んできてくれ」
黒服「分かりやした」
先輩「大きなお屋敷だね……」
新人「大したことねッスよ」
先輩(こんなのどう見ても暴力団組長のお屋敷じゃん! 本当にありがとうございました)
黒服「到着しやした」
新人「ご苦労、オヤジを呼んできてくれ」
黒服「分かりやした」
先輩「大きなお屋敷だね……」
新人「大したことねッスよ」
先輩(こんなのどう見ても暴力団組長のお屋敷じゃん! 本当にありがとうございました)
23: 2020/09/19(土) 19:05:14.387 ID:JwBKcDgB0
黒服「あの……」
新人「なんだ?」
黒服「組長(オヤジ)がぜひ、先輩さんとサシで話したいと……」
先輩(え!?)
新人「是非そうしてくだせえ! 俺みたいな半端モンがいるとかえって邪魔でしょうし!」
先輩(嫌だよ~! 組長とサシなんて嫌だよぉ~! 帰りたいよぉ~!)
新人「なんだ?」
黒服「組長(オヤジ)がぜひ、先輩さんとサシで話したいと……」
先輩(え!?)
新人「是非そうしてくだせえ! 俺みたいな半端モンがいるとかえって邪魔でしょうし!」
先輩(嫌だよ~! 組長とサシなんて嫌だよぉ~! 帰りたいよぉ~!)
24: 2020/09/19(土) 19:08:23.569 ID:JwBKcDgB0
組長「……」
先輩「……」ゴクッ
先輩(結局サシになってしまった……)
組長「あんたが……息子の先輩かい」
先輩「は、は、はい……」
組長「い~いツラ構えしてらっしゃる。きっと仕事もお出来になるだろう」
先輩「いや、そんなことは……」
先輩「……」ガタガタ
組長「おや、武者震いですかい?」
先輩(怖くて震えてるだけだよ!)
先輩「……」ゴクッ
先輩(結局サシになってしまった……)
組長「あんたが……息子の先輩かい」
先輩「は、は、はい……」
組長「い~いツラ構えしてらっしゃる。きっと仕事もお出来になるだろう」
先輩「いや、そんなことは……」
先輩「……」ガタガタ
組長「おや、武者震いですかい?」
先輩(怖くて震えてるだけだよ!)
26: 2020/09/19(土) 19:11:39.521 ID:JwBKcDgB0
組長「あのバカ息子が、一般(カタギ)の仕事してェって言い出した時にゃ」
組長「なに考えてんだ、お前にゃ無理だ、と激昂(キレ)たもんですが……」
組長「あんたになら、息子を任せられる。どうか、息子を一人前に育ててやって下せえ」
先輩「……!」
先輩「分かりました……必ず息子さんを立派な社員にしてみせます!」
組長「ありがてえ……! ありがてえ……!」
先輩(思ったより怖い人じゃなくてよかった……)ホッ
組長「なに考えてんだ、お前にゃ無理だ、と激昂(キレ)たもんですが……」
組長「あんたになら、息子を任せられる。どうか、息子を一人前に育ててやって下せえ」
先輩「……!」
先輩「分かりました……必ず息子さんを立派な社員にしてみせます!」
組長「ありがてえ……! ありがてえ……!」
先輩(思ったより怖い人じゃなくてよかった……)ホッ
28: 2020/09/19(土) 19:14:31.417 ID:JwBKcDgB0
新人「どうでした、オヤジとの面談は?」
先輩「いやー、おっかなくて、緊張したよ」
新人「おっかない? なんでです?」
先輩「暴力団の組長さんなんておっかないに決まってるじゃないか!」
プルルルルル…
先輩「あ、もしもし……はい、すぐ向かいます!」
先輩「仕事だ、現場に向かおう!」
新人「へい!」
先輩「いやー、おっかなくて、緊張したよ」
新人「おっかない? なんでです?」
先輩「暴力団の組長さんなんておっかないに決まってるじゃないか!」
プルルルルル…
先輩「あ、もしもし……はい、すぐ向かいます!」
先輩「仕事だ、現場に向かおう!」
新人「へい!」
29: 2020/09/19(土) 19:16:34.200 ID:JwBKcDgB0
怪獣「ギャオオオオオオオン!!!」ズシン…
先輩「体長100メートルってとこか……ま、三発ぐらいかな」
先輩「怪獣退治専門会社……僕たち、株式会社カイタイの腕の見せ所だ! 君は援護を頼むよ」
新人「へい! サポートしやす!」
新人「……って、怪獣を素手で殴り殺せる先輩が、なんで今更暴力団なんぞにビビるんスか?」
先輩「しょうがないだろ! 怖いもんは怖いんだよ!」
― 完 ―
先輩「体長100メートルってとこか……ま、三発ぐらいかな」
先輩「怪獣退治専門会社……僕たち、株式会社カイタイの腕の見せ所だ! 君は援護を頼むよ」
新人「へい! サポートしやす!」
新人「……って、怪獣を素手で殴り殺せる先輩が、なんで今更暴力団なんぞにビビるんスか?」
先輩「しょうがないだろ! 怖いもんは怖いんだよ!」
― 完 ―
31: 2020/09/19(土) 19:20:36.317
乙
先輩つええええ
先輩つええええ
32: 2020/09/19(土) 19:22:22.911
一般-カタギ-の仕事(怪獣退治)
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります