3: 2013/07/01(月) 01:30:25.58 ID:SHdQt9jL0
春香「じゃあ貴音さんと真美の取り合わせでたかまみなんてどうですか!?」

小鳥「良いわ春香ちゃん、その調子よ! その調子で妄想力を高めていくのよ!」

春香「はい!」

小鳥「私と見た目が似ているからもしやとは思っていたけれど、この子、すごい早さで成長している……!」

春香「たかまみ……たかまみ……!」

小鳥「最初は悪戯半分だった……暇を持て余す彼女を少し満たしてやろうと思い、ほんの入口を見せた、それだけだった……」

春香「四条貴音、双海真美……もう少し、もう少しで何かが見えそう……いいえ、見える……!」

小鳥「けれど春香ちゃん、貴女も選ばれし『淑女』の一人だった……いいえ、その頂点に君臨するべき存在かも知れないっ!」

春香「っ……き、来ましたー!」

小鳥「さあ見せて! 貴女のその妄想を!」

2: 2013/07/01(月) 01:21:47.95
たかまみはなかなか上級者だろ

4: 2013/07/01(月) 01:40:17.04 ID:SHdQt9jL0
貴音「本日は幾分、しおらしい様子ですが……何か?」

真美「お姫ちん、か。んなことないよー、真美は今日も元気百倍だよん」

貴音「そう、ですか? それならば良いのですが」

真美「うん、だいじょびだいじょび」

貴音「……」

真美「……」

貴音「似ているとは言え、別個の人間。喧嘩をすることもあるでしょう」

真美「……そんなの、言われなくても分かってるよ」

貴音「泣く程寂しいのであれば早々に仲直りをするのが吉でしょう。抵抗があるのであれば、わたくしも付き添いましょうか?」

真美「さっきの喧嘩したのかっていうのさ、ちょっち違うんだ。喧嘩とか、仲直りとか、そゆんじゃなくて……」

貴音「はて、ではあの涙は寂しさ故ではありませんでしたか。わたくしにも覚えがあるので、間違いないと見たのですが」

真美「ううん! 寂しいのは、当たってるんだけどっ……ほら、竜宮小町だから、さ」

貴音「なるほど。時に真美、隣に居るのは双海亜美でなくてはなりませんか?」

真美「え? お姫ち、わぁ!? ち、近」

貴音「他の誰かでは……四条貴音では、いけませんか?」

5: 2013/07/01(月) 01:48:49.26 ID:SHdQt9jL0
小鳥「ご、極上……! ミステリアスながらも包容力溢れる貴音ちゃんと普段と違い大人しい真美ちゃんのギャップ……正に極上……!」

春香「ふふ、ふ、どうですか小鳥さん?」

小鳥「甘酸っぱいすれ違いとは裏腹に、互いの人肌恋しさを埋め合うような熟れた輪郭すら見え隠れして、例えるならカプレーゼ!」

春香「モッツァレラチーズとトマトのサラダ、ですか?」

小鳥「爽やかな酸味と濃厚な味わいをオリーブオイルがしっとりとまとめ、黒胡椒の刺激も忘れない……この妄想、カプレーゼだわ!」

春香「なるほど……ところで小鳥さん、その表情から見て何か生み出しましたね?」

小鳥「素晴らしいわ、春香ちゃん。こんな短時間で妄想の生まれる音を聴くようになるなんて……」

春香「ふふ、もったいぶらないで下さい先輩……とっておきのたかまみを私にも見せて下さい」

小鳥「ええ、焦らなくともベテランの技という物をじっくり味わわせてあげるわ!」

8: 2013/07/01(月) 02:03:10.25 ID:SHdQt9jL0
真美「お姫ちん、このラーメン全然減らないよー! っていうかまだ麺に辿り着かないし! ただのもやしとキャベツの炒めものだよ!」

貴音「真美……食事とは爆弾を解体する様に、緊張と、静寂と、誠実さを共に行われるべき物ですよ」

真美「んなこと言ったってさー! あぐ、しゃくしゃく……うう、もう駄目お腹いっぱい! これ以上入んなーい!」

貴音「なんとしかし注文しておいて残すなど店主への非礼に当たりますここはわたくしが真美の分も食べるという事で一つ」

真美「……お姫ちん、初めからそれが狙いだったのかねぃ?」

貴音「はて」

真美「別にいいよもう! 残り全部お姫ちんにあ、げ……や、やっぱ今のナシナシ! ちゃんと真美が食べるから!」

貴音「しかし、先程満腹と」

真美「だってさ、ほらっ、か、間接ちゅーになっちゃう、し……」

貴音「間接……な、なんと」

真美「だからほら! 伸びちゃう前に食べちゃおう? ね?」

貴音「そう、ですねっ、はい。食事とは、
恋い慕う相手を愛しく啄む様に行われるべき物、ですから……」

真美「お、美味しいね、このラーメン!」

貴音「そそそうですね! わたくしはもう完食してしまいましたが!」

真美「それなら、じゃあさっ、真美の……分、ちょっと食べる? その、間接ちゅー……なっちゃうけど」

11: 2013/07/01(月) 02:11:55.56 ID:SHdQt9jL0
春香「甘酸っぱーい! なんですかこれ! 最高じゃないですか!! なんなんですかこれ!」

小鳥「ふふ、円熟していればこそ、基本の大切さが見えて来るということね」

春香「これは、これは例えるとするならばアップルパイですよ! アップルパイ!」

小鳥「ふぅん……うふふ、春香ちゃんはそう感じたのね?」

春香「とろけるように甘く、けれどギクシャクとした歯応えも残しつつ、それでいて平静を保ち合う二人……アップルパイ!」

小鳥「なるほど、言い得て妙と言った所かしら」

春香「はい、一見すれば何のことはないただパイですが、その中身は甘くスッキリとしていて……そして何より熱いんです!」

小鳥「鼻血、拭かなきゃ駄目よ」

春香「小鳥さんも、ね」

小鳥「ふ、ふふふふ……」

春香「えへへ、えへへへへ……」

小鳥「反撃の準備は整っているみたいね、その一撃は届くかしら?」

春香「それは聞いてのお楽しみって奴です、ふふん」

12: 2013/07/01(月) 02:24:52.59 ID:SHdQt9jL0
貴音「真美、腰に糸くずが付いていますよ……む?」

真美「いやん、それおパンツの紐だよーん♪ 今日の真美はスカートなのに、脱がせてどうするつもりなのーん?」

貴音「申し訳ありません! わ、わたくしとしたことが!」

真美「んっふっふ~! あーあ、お姫ちんが紐解いちゃったからおパンツ床に落ちちゃったー……ねえ」

貴音「ははははい!」

真美「このままじゃ真美までヘンタイ扱いされちゃうかも知んないよう、脱がせた人が履かせるべきっしょー」

貴音「そのような、そのような事わたくしは……それに、まで、とは」

真美「人の下着脱がせたお姫ちんはヘンタイさんだよ? ま、ちゃんと履かせてくれたら、タダの事故だったとも考えられるけどっ」

貴音「そん、な、しかし、いいえ……はい。では、真美。下着を履かせますよ」

真美「うん、お願ーい♪ スカートの中は見ちゃやーよ?」

貴音「そんなことは心得ております! ……む、ここを、結んで、こう、ふっ」

真美「あん♡」

貴音「きゃあ!? みょ、妙な声を出さないで下さい!」

真美「めんごめんごー、くすぐったくてついつい。うん、ちゃんとおパンツ履かせてくれてありがと、ヘンタイお姫ちん♪」

貴音「な、わたくしは変態などでは! ……もう、知りません!」

14: 2013/07/01(月) 02:34:03.01 ID:SHdQt9jL0
真美「そんな怒んなくてもいいじょーん、ちょっとしたジョークっしょー?」

貴音「わたくしを変態呼ばわりした事を謝るまでは許しません!」

真美「うう、お姫ちんごめんなさい! 真美が悪かったよう」

貴音「……分かってくれれば良いのです、反省しているならもうこの様な悪戯はやめるのですよ?」

真美「うん、これからはちゃんと自分で脱ぐね……?」

貴音「真美? 一体、何の話、を!?」

真美「えへへ……ヘンタイさんは真美の方だったみたい。最近お姫ちんのこと考えてると、お股が熱くなっちゃって……」

貴音「真美、双海真美! 何、何を」

真美「何? ナニだろう、真美も分かんないや、えへへ……そいで、熱いからこうやってすぐ脱いじゃうんだあ、あは……」

貴音「真美! しっかりするのです、正気に、ひ!?」

真美「んっふっふ~……お姫ちんのここ、真美のと同じくらい熱いよ? やっぱりお姫ちんもヘンタイさんだったんだね」

貴音「だ、やめて下、やめなさい……! 真美、手を離し……はぅ!」

真美「やーだよ……ヘンタイ同士、慰め合いっこしようよ、ね?」

15: 2013/07/01(月) 02:45:49.68 ID:SHdQt9jL0
小鳥「どて焼きですよー! お硬い牛筋もくってり柔らかになるまで煮込まれていくどて焼きですよー!!」

春香「私の繰り出す濃厚なたかまみ空間にぴよの音も出ないみたいですね」

小鳥「変幻自在に形を変えるこんにゃくの如き真美ちゃんの手管、大人の立場を忘れ熱に浮かされ蕩ける貴音ちゃんは牛筋そのもの!」

春香「ふふ、その例えで行くなら味の染みた大根は二人の下着ですか?」

小鳥「その通りよ! そしてアクセントの七味とネギは倒錯的な二人の関係や事務所で行われるハレンチ行為と言った所かしら!」

春香「お味の程はいかがですか?」

小鳥「私は、この至高の一皿に稲造一人を捧げてもいいわ!」

春香「あれ? お札に印刷されてる人に新渡戸稲造っていましたっけ?」

小鳥「……そ、それはそうと、こうなったら私のたかまみも喰らってもらわなきゃ困るわ!」

春香「何か引っかかる物があった気がしましたがいいでしょう! 長年淑女を続けて来られたその地力を見せてもらいます!」

17: 2013/07/01(月) 02:57:11.05 ID:SHdQt9jL0
貴音「待たせてしまいましたね、銭湯備え付けのどらいやぁは少々風力が弱く……」

真美「ううん、夜風が気持ちかったから全然、へ、ふぇ……ふぇっくし!」

貴音「む、まだ髪が乾いてないではありませんか。いけませんよ真美、風邪をひいてしまいます」

真美「そ、そう? ちゃんと乾かしたつもりだったんだけどなー」

貴音「湯船にもあまり浸かっていませんでしたね……この様に手が冷たいのも道理です、芯まで温まってこそのお風呂ですよ?」

真美「いやー、へへへ。だってお姫ちんのないすばでーを見てたらのぼせちゃいそうだったんだもん」

貴音「真美はずるいですね。その様に言われては、責められません……」

真美「えへへ……ふぇ、ふぇっきち!」

貴音「ふふ、早く帰って夕飯にしましょうか。何か温まる物、シチューなどどうでしょうか?」

真美「いいねいいねー、お姫ちんの作ってくれるシチュー美味しいから大好き!」

貴音「喜んでもらえて光栄です」

真美「あとね、お姫ちんも大好き!」

貴音「真美はずるいですね。その様に言われては、失敗も出来ません……ふふ」

真美「えへへ……」

18: 2013/07/01(月) 03:06:05.18 ID:SHdQt9jL0
春香「夫婦と言って差し支えのない二人! どこか漂う昭和の香り! 様々な背景が膨らんで、これはカップケーキのような!」

小鳥「ぐふ」

春香「きっと二人は夕飯の買出しでお肉の値段なんかのちょっとしたことで喧嘩するんでしょう! でも翌朝には仲直りしてるんでしょう!」

小鳥「ふ、ふふふ……そこまで見えるとは大したものよ」

春香「正しく理想の夫婦像! 六畳一間の安アパートだろうと幸せな家庭を築いて行くことでしょうね!」

小鳥「がはっ」

春香「こんな素晴らしいヴィジョンを見せられては私も黙っちゃいられません、行きますよ!」

小鳥「ええ……ええ、早く美味しいたかまみで私を癒して……」

21: 2013/07/01(月) 03:17:08.33 ID:SHdQt9jL0
真美「お姫ちんにプレゼントー! ドンドンパフパフー!」

貴音「おや、押花の栞ですか」

真美「四葉のクローバー、見つけるのにケッコー苦労したんだよー?」

貴音「ありがとうございます、それではわたくしからはこれを」

真美「ん、何々ー? えっと、これは……ストラップ?」

貴音「先日、撮影現場にて七宝焼きの体験がありましたので」

真美「ふーん、キレイだねこれ! ケータイに付けとこーっと!」

貴音「こちらの栞も大切に使わせて頂きます」

真美「お姫ちん、あんがと!」

貴音「こちらこそ、真美」

22: 2013/07/01(月) 03:25:51.20 ID:SHdQt9jL0
小鳥「ホックホク……ホックホクのコロッケ……! それも肉なんてほんの少ししか入ってない、おやつ代わりのコロッケ……!」

春香「どうですか!」

小鳥「贈り物は値段じゃない、心が大事なのね! 安いジャガイモでも良いの! 揚げたてのホックホクなら美味しいのよ!」

春香「何気ない日常の幸せが最高に幸せだって思うんです」

小鳥「毎日食べるからこそシンプルに美味しいものを! 分かるわ、すごく良く分かるわ春香ちゃん!」

春香「けれど、毎日同じじゃつまらない……ですよね?」

小鳥「そうね、たまには贅沢してとびっきり美味しいものも欲しいわよね」

春香「えへへ、期待しちゃいますよ?」

小鳥「ええ、私の妄想力はこんなものじゃない……まだまだ上へ昇れるはず、空へ虹をかけられるはず! だから!」

24: 2013/07/01(月) 03:37:08.58 ID:SHdQt9jL0
真美「ウェディングドレス、着られるなんて思ってなかったなー。ね、キレイ? キレイ?」

貴音「まこと、美しいですよ。どこに出しても恥ずかしくない、三千世界で一番の花嫁姿です」

真美「んっふっふ~、お姫ちんには負けちゃうかなー!」

貴音「おかしく、ないでしょうか? 私服ともステージ衣装ともまた勝手が違う故、どうにも落ち着かないのです……」

真美「ばーっちり! 宇宙で一番の真美がイチゴパン押すんだから間違いないっしょー!」

貴音「? 太鼓判、でしょうか? けれど、ふふ、真美が言うのならそうなのでしょうね、少し心持ちが楽になりました」

真美「変なのー、二人だけなんだから何も緊張することないよ」

貴音「……そうですね。静寂と光に満ちた教会で、こうして貴女と結ばれる。わたくしは今、これまで生きてきた中で一番幸せです」

真美「じゃあもう昔に戻れないね、この先ずーっと真美がこの幸せを続かせちゃうんだから!」

貴音「ふふ、それは楽しみです」

真美「真美も今までいっちばん幸せだよ、貴音……ちゅ」

貴音「んっ……」

25: 2013/07/01(月) 03:50:23.22 ID:SHdQt9jL0
春香「ウェディングケーキ来ましたー! はい二人揃ってー……今、入刀ー! 初めての共同作業は大成功ですよー!」

小鳥「ああ、私は今、空を……」

貴音「ただいま戻りまし、これは一体!?」

春香「ご来場の皆様もどうぞお写真を! 新婦二人の晴れ姿をばっちり撮ってあげてくださいねー!」

小鳥「奇跡でも、運でもない……繋ぐ、レインボー……!」

貴音「……面妖な」

真美「お姫ちーん、入口で立ち止まってどったのー?」

貴音「何でもありません。それはそうと、たまには二人きりで食事でもして帰りませんか?」

真美「お、いいねー! 真美どこでもいいよー!」

小鳥「……ハッ!? い、今貴音ちゃんと真美ちゃんが本当に帰ってきたような!?」

春香「ふぇ? 何言ってるんですか、そんなことあったらすぐに気付きますよー」

小鳥「それもそう、よ、ね……きゃー! 新たな天啓が来たわ! 二人は事務所で致してたけど、急に私が帰って来て二人は隠れて……!」

春香「ま、まさかそのまま火照った体を抑えきれずに声を頃しながら、音を立てない様に……!? 背徳的ですよ、背徳的!」

妄想と妄想はぶつかり合い、高め合い、鋭さを増し、淑女達は何か大事な物を失い続け、そうして765プロの夜は更けて行く……

おわり

27: 2013/07/01(月) 03:58:02.70 ID:SHdQt9jL0
あとがき

SPでの真美が大天使どころの話じゃなかったからこうなった

おわり

引用元: 春香「う~、たかまみわっほい!」小鳥「分かってきたわね!」