1: 2012/04/22(日) 18:11:48.64 ID:+Is4cYzH0
まどか「テストどうだった?」

ほむら「まあ、なんとか追試は免れたわ」

さやか「ワルプルギスの夜を倒して、もう過去に戻ってないから勉強大変だって言ってたね」

ほむら「少なくともあの時の成績を維持するのは無理ね」

さやか「この後も色々学校行事があるから気長にやるとしますか」

ほむら「そうね、あの戦いも終わったのだし」

さやか「折角なら心機一転して明るい女でもなってみたら?」

ほむら「嫌よ、私には似合わないからあなたが何か変わりなさい」

2: 2012/04/22(日) 18:15:05.44 ID:+Is4cYzH0
さやか「そうかなあ、イメチェンすれば割と行けると思うけど」

まどか「さやかちゃんはまた髪型変えたりしないの?戻したりとか」

さやか「あのやつ?ちょっと今となってはねえ……」

ほむら「いいじゃない、失恋したら髪を切るという話はよく聞くわよ」

さやか「そんな傷口えぐるようなこと……」ガンッ

さやか「痛っ!…あーこんな所に脚立が」

3: 2012/04/22(日) 18:17:41.39 ID:+Is4cYzH0
まどか「さやかちゃん離れて!」

さやか「え……?」

バシャ!

さやか「きゃ!」

ほむら「美樹さやか!」

――

ほむら「落ちてきたペンキがかかってしまったわね」

さやか「うえ……一応制服予備に着替えたけど」

ほむら「後ろ髪の先にもペンキがかかっているわよ」

さやか「どうしよう、これ……」

5: 2012/04/22(日) 18:20:39.55 ID:+Is4cYzH0
ほむら「いっそ切ってしまったらどうかしら」

さやか「でも切り落とすとかなり短くなっちゃうし……」

まどか「大丈夫だよ、きっとさやかちゃん短くても似合うよ」

さやか「んー……そう?」

まどか「うん、私が切ってあげるから」

さやか「え、まどかが切るの?」

まどか「このくらいなら私もできるよ」

9: 2012/04/22(日) 18:25:12.66 ID:+Is4cYzH0
さやか「……はぁ」

まどか「うーん、切ったはいいものの」

ほむら「スカートをはいているから髪型がアンバランスね」

まどか「やっぱり前みたいにはいかないかあ」

さやか「……あたし、これからこの髪型で登校するの?」

ほむら「髪はまた生えてくるわ、伸びるまでの辛抱よ」

さやか「長いなあ……」

マミ「……あら、みんなしてどうしたの?」

まどか「あ、マミさん。ちょっとさやかちゃんにアクシデントがあって」

マミ「この子……?」

さやか「……」

10: 2012/04/22(日) 18:29:27.66 ID:+Is4cYzH0
マミ「あなた……美樹、さん?」

さやか「はい…」

ガシッ

さやか「え?」

マミ「あの時見た子、美樹さんだったのね!」

さやか「あの時……?」

マミ「数年前、近所の公園にいた子…」

マミ「男の子か女の子かいまいちわからなかったけれど、美樹さんだったのね」

さやか「なんかあまり嬉しくない言い方」

11: 2012/04/22(日) 18:33:18.72 ID:+Is4cYzH0
マミ「きっとあれは私の初恋、ひとめぼれだったのよ」

マミ「初めて見たときから心に残って離れなかった……」

マミ「いつか会いたいって、ずっと思ってた」

マミ「それが今日、こうして叶ったわ」

マミ「会えてうれしいわ美樹さん」

さやか「うーん」

マミ「私の家に来ない?晩御飯御馳走してあげるわよ、あなたたちもどう」

まどか「さやかちゃんお邪魔しようよ、気分転換に」

さやか「うん……」

14: 2012/04/22(日) 18:38:45.64 ID:+Is4cYzH0
マミのいえ

マミ「記念日だから奮発しちゃった」

ほむら「随分と値の張りそうな食材を使ったわね」

まどか「すごいよさやかちゃん、ごちそうだよ」

さやか「あ…うん、そうだね」

ほむら「少しは嬉しそうな顔をしなさい」

さやか「だって……明日から学校が憂鬱だなあ」

ほむら「小学生の時はそのくらいの長さだったんでしょ」

まどか「そ、そうだよ」

さやか「あの時とは違うよ、制服だってこれだし……」

15: 2012/04/22(日) 18:42:04.26 ID:+Is4cYzH0
マミ「美樹さんは服装が合わないから嫌なの?」

さやか「まあ……それもありますけど」

マミ「じゃあ、女子も男子の制服を着られるようにすればいいのよ」

まどか「え!?」

ほむら「本気なの?」

マミ「それなら美樹さんもいいでしょ」

さやか「あの、そういう意味じゃ」

マミ「それに、鹿目さんたちも美樹さんの男子制服姿見てみたいと思わない?」

まどか「見てみたいです」

ほむら「そうね、面白半分程度の興味は」

18: 2012/04/22(日) 18:46:15.08 ID:+Is4cYzH0
さやか「ちょっと、話を勝手に…」

マミ「じゃあ明日みんなで学校に掛け合って見ましょうか」

まどか「うまくいくかな」

ほむら「性別の隔てなく平等に異性の制服も着用できるようにすべきです」

ほむら「……とでも言ってみましょう」

さやか「……」

―学校

和子「本日よりわが校で異性の制服着用が認められることになりました」

まどか「ほんとに通っちゃった…」

仁美「さやかさん、どうしたんですのその髪型?」

さやか「ちょっと、色々あってね」

19: 2012/04/22(日) 18:49:52.12 ID:+Is4cYzH0
マミ「美樹さんやったわね、早速これに着替えましょう」

さやか「いつの間に用意したんですかそれ」

マミ「さっき買ってきたのよ、サイズも美樹さんの前の制服で調べたから」

さやか「用意周到ですね」

マミ「じゃあ、早く更衣室に行きましょう」

着替え後

さやか「流されるままに着てみたところ……」

ほむら「美樹さやかがこの学校で異性の制服着用第一号ね」

マミ「美樹さん、素敵」

まどか「すごく似合ってるよ」

さやか「…みんなはこれやらないの?」

まどか「私たちはちょっと……」

23: 2012/04/22(日) 18:54:30.73 ID:+Is4cYzH0
ほむら「まあ、概ね好評みたいでよかったじゃない」

ほむら「他の生徒もそのうち気にしなくなるわよ」

まどか「さやかちゃん、私あの時に戻ったみたいで嬉しいよ」

ほむら「む……」

上条「さやか、制服変えたんだね」

さやか「きょ、恭介!?」

上条「学校で変なことが決まったと思ってたけど、意外とさやかも似合ってるね」

さやか「そ、そう?あはは……」

上条「なんだかその格好だと親しみやすいよ」

さやか「ほ、ほんと?」

上条「いつも以上に気兼ねなく話せる感じがする」

上条「それじゃ僕は保健室に行ってくるから」スタスタ…

24: 2012/04/22(日) 18:59:04.63 ID:+Is4cYzH0
ほむら「…よかったじゃない、彼が志筑仁美と付き合い始めてから気になっていたけれど」

ほむら「これは意外とおいしいみたいよ」

さやか「こういうのも悪くない……かな?」

ほむら「ええ、その状態を続けていれば上条恭介との関係も良好のままよ」

ほむら「逆に元に戻ったら悪化するかもしれないわ」

さやか「……まあ、これも不便じゃないし…いいか」

マミ「美樹さん、今日も家によっていかない?泊って行ってもいいわよ」

さやか「あ…じゃあ、お言葉に甘えて……」

30: 2012/04/22(日) 19:05:23.01 ID:+Is4cYzH0
マミのいえ

マミ「美樹さん、この部屋使ってみない?」

さやか「使う……?」

マミ「空き部屋状態なのよ、だから美樹さん専用の部屋にしてみないかしら」

マミ「勉強道具や着替えを置けば一緒に暮らすことも出来るし」

マミ「傍にいられる時間も…増えるし」

さやか「それって、マミさんの家に居候しちゃっていいってことですか?」

マミ「美樹さんがよければ……ね」

さやか「あたしは全然構わないですよ」

さやか「でも……いいんですか。あたし部外者だし」

マミ「いいわよ、一緒にいてくれるなら私も楽しいわ」

さやか「あたしの親うるさくないから、そういうの誘われたら図々しく居ついちゃいますよ」

マミ「ええ、どうぞ」

37: 2012/04/22(日) 19:13:20.59 ID:+Is4cYzH0
―学校

マミ「美樹さんどうかしら、私の作ったお弁当」

さやか「とってもおいしいです、すみません朝忙しいのに」

マミ「気にしないで、作るのが一人でも二人でもあまり変わらないから」

ほむら「最近、二人とも仲がいいわね」

さやか「そう……かな」

ほむら「ええ、巴マミは美樹さやかをとても気に入っているように見えるわ」

マミ「わ、私そんなんじゃ…」

まどか「でも二人が並んでると見栄えするよ」

さやか「それって、具体的にどんな感じ?」

まどか「……恋人どうし…みたい。マミさん綺麗だしさやかちゃん格好いいよ」

マミ「そ、そんなこと……」

ほむら「……」

39: 2012/04/22(日) 19:19:11.14 ID:+Is4cYzH0
ほむら「……まどかは美樹さやかの事、どう思う?」

まどか「わ、わたし?」

まどか「私も……いまのさやかちゃん、好きだよ」

ほむら「なっ……」

―ほむらのいえ

ほむら「まどかが今の美樹さやかを好きだということは……」

ほむら「きっと、まどかは短髪が好きなのね」

ほむら「つまりこの後ろ髪を切れば私も……」

ほむら「……う」

ほむら「……中々踏み出せないわ」

42: 2012/04/22(日) 19:25:22.47 ID:+Is4cYzH0
ほむら「せっかくここまで伸ばしたのになんだかもったいない……」

ほむら「もう過去に戻ることもできない…」

ほむら「切ったら後には戻れないわ」

ほむら「やはりやめておき……」

まどか『ほむらちゃん、短くなった髪素敵だよ』

ほむら「……!!」

ほむら「まどかのためなら…!」ジョキ

ほむら「あ、あら……バランスが」

ほむら「こっちをもう少し……」ジョキ

ほむら「あ、また……」

44: 2012/04/22(日) 19:30:19.86 ID:+Is4cYzH0
―学校

ほむら「……おはよう、まどか」

まどか「おはよ……う、ほむらちゃん」

さやか「ほむら……あんた」

ほむら「ええ、私も髪を切ったの」ポリポリ

ほむら「それで私も男子の制服を着ることにしたのだけれど、どうかしら」

まどか「制服は……似合ってるよ」

ほむら「そう…よかったわ」

さやか「……服装の事はあたしもそうだからいいんだけどさ」

ほむら「や、やっぱりどこか変……かしら」ポリポリ

48: 2012/04/22(日) 19:34:45.90 ID:+Is4cYzH0
さやか「…ちょっと髪短くしすぎじゃないの」

ほむら「……似合って、ない?」

さやか「あ、いや!そういうのもいいと思うよ、うん」

まどか「ほむらちゃん刈り上げたんだね」

ほむら「中途半端な長さだと合わないと思ってね」

ほむら「思いのほかすっきりしたわ」ポリポリ

さやか「その後頭部かくのやめたら?」

ほむら「風通しが良すぎて落ち着かないのよ」

ほむら「時期に慣れるだろうから気にしないで」ポリポリ

50: 2012/04/22(日) 19:39:54.49 ID:+Is4cYzH0
―屋上

ほむら「この格好もなかなかいいわね」

さやか「そうでしょ、結構動きやすいし」

ほむら「あぐらをかくなんて今まであまりしてこなかったもの」

さやか「難点を挙げるとすれば、更衣室やトイレに行くと勘違いして叫ばれることかな」

ほむら「それについては顔を覚えてもらうしかないわ」

ほむら「逆に言えば今のうちなら男子トイレに入ってもきっと気付かれないわ」

さやか「そうだね、女子トイレが混んでる時には便利かもね」

まどか「さやかちゃん達男子トイレ使うの?」

ほむら「冗談よ、まどか。本気にしないで」

さやか「え、そうなの?」

ほむら「……」

54: 2012/04/22(日) 19:46:06.56 ID:+Is4cYzH0
マミ「美樹さん、今日の夜は外で食べない?一緒に行きたい場所があるの」

さやか「いいですよ、マミさんの行きたいところ楽しみです」

ほむら「……そういえば美樹さやかは今、巴マミの家で暮らしているのよね?」

さやか「そうだよ、部屋貸してもらってる」

マミ「でも勉強と寝る時以外は二人でリビングにいる事が多いわね」

マミ「一人暮らしは長かったけれど、今は美樹さんがいるから寂しくないわ」

ほむら「まるで安アパートを借りた新婚夫婦ね」

マミ「しっ失礼ね、ちゃんとしたマンションよ!」

ほむら「あら、否定するところはそこなの?」

マミ「う……」

57: 2012/04/22(日) 19:50:10.44 ID:+Is4cYzH0
さやか「あたしはマミさんとそういうの出来てうれしいけどなあ」

マミ「本当!?」

まどか「そういえばほむらちゃんも一人暮らしだよね」

ほむら「ええ……」

ほむら(……私も今は美樹さやかと条件は一緒)

ほむら(これは、チャンスなのかもしれない)

ほむら「まどか、お願いがあるのだけれど」

まどか「なに、ほむらちゃん?」

ほむら(一つ美樹さやかと違うとするなら……)

ほむら「急で悪いのだけど、まどかの家に泊めさせてもらってもいいかしら」

59: 2012/04/22(日) 19:54:11.87 ID:+Is4cYzH0
まどか「ええっ」

ほむら「一人暮らしは寂しいのよ、誰かのそばにいたいわ」

ほむら(誘う側が逆という事だけ)

まどか「……わ、わかった。帰ったらパパたちに聞いてみるね」

ほむら(やった!)

ほむら(半分女を捨ててこの姿になった甲斐があったわ)

―まどかの家

詢子「君がまどかの言ってたほむらちゃんかい?」

ほむら「はい、初めまして暁美ほむらと申します」

詢子「話を聞いててっきり女の子だと思ってたよ」

まどか「ママ、ほむらちゃんは女の子だよ」

62: 2012/04/22(日) 19:59:59.59 ID:+Is4cYzH0
詢子「何言ってるんだ、この格好は…」

ほむら「人生経験もかねてこの姿でいるんです」

まどか「ほら、うちの学校の制服お知らせがあったでしょ」

詢子「あ……ああ、確かにあったが……」

詢子「今はこういうのが流行りか……なるほど」

詢子「まあ泊まっていきなよ、女の子なら尚更構わないよ」

ほむら「ありがとうございます」

――

知久「そうか、ほむらちゃんはその年で独り暮らしなんだね」

詢子「ウチでよければ気が向いたらいつでも泊まりに来るといいよ」

まどか「ありがとうママ、パパ」

ほむら「恐れ入ります」

ほむら(この男装、なんて素晴らしい効果なの……!)

65: 2012/04/22(日) 20:03:57.52 ID:+Is4cYzH0
―学校

中沢「今日は暑いな」

上条「スカート履けば?」

中沢「お前頭いいな」

さやか「……なんかさ」

まどか「うん」

ほむら「私たち以外にも異性の制服を着る生徒が増えてきたわね」

仁美「どうですか、私も学ランを着てみたんですの」

ほむら「髪もバッサリ切ってしまえば完璧だったわね」

仁美「そこまでの勇気は……」

66: 2012/04/22(日) 20:10:38.42 ID:+Is4cYzH0
さやか「でも珍しいね、仁美がそういうの着るなんて」

仁美「ズボンですと足回りが動かしやすいですし……ふっ!」

仁美「こうやってブルマを履かなくても踵落としが気にせずできます」

ほむら「まどかも試に着てみないかしら?私の上着だけでもその上から」

まどか「うん」

ゴソゴソ

まどか「んーと……こう?」

さやか「なるほど、ほむらのサイズもあるけど上だけ着るとこうなるのかあ」

ほむら「上着に隠れるからスカートを履いてないように見えるわね」

まどか「あの、恥ずかしいから脱いでいい?」

67: 2012/04/22(日) 20:14:35.46 ID:+Is4cYzH0
さやか「まあ、男子のだと下半身もそうだけど首回りもリボンがないから楽だね」

ほむら「あなたは開けすぎなのよ、上着のチャックまで下げてワイシャツが覗いているわ」

さやか「いいじゃん、うちの学校はうるさくないんだし」

ほむら「上条恭介以上に着こなしているわよ」

ほむら「前の制服ではしっかりしていたのに」

さやか「あの窮屈さの反動でさ」

まどか「ほむらちゃんはホックまで閉めてるね」

ほむら「制服ですもの、きちんと着用すべきよ」

69: 2012/04/22(日) 20:17:28.81 ID:+Is4cYzH0
―屋上

さやか「ということを休み時間に話し合ったんです」

まどか「マミさんは着こなしどっちがいいと思います?」

マミ「そうね、リボンやネクタイをしているとだらしなく見えてしまうけれど」

マミ「学ランだったら多少は気にしなくてもいいんじゃないかしら」

ほむら「美樹さやかには甘いわね、巴マミ」

さやか「公正な評価の結果だよ」

ほむら「どうせ美樹さやかの首元が見えるのが好き、なんて理由でしょ」

マミ「ギクッ」

まどか「私はどっちも好きだよ」

ほむら「まどか、今日も泊まりに行っていいかしら」

まどか「いいよ、ママたちも構わないって言ってたし」

70: 2012/04/22(日) 20:21:58.56 ID:+Is4cYzH0
さやか「マミさん、あの部屋に合う本立て探したいんだけど放課後付き合ってもらってもいい?」

マミ「ええいいわよ、部屋の事で困ったことがあったら何でも言って」

さやか「ごめんね、掃除とかもしてもらっちゃって」

ほむら「……」

―マミのいえ

さやか「他にも探してたら遅くなっちゃったね」

マミ「新しい住人ができたんですもの、必要な物は買っておかないと」

マミ「すぐにお夕飯の準備するわね」

さやか「マミさんも帰ったばかりで疲れてない?コンビニで済ませちゃおうよ」

マミ「大丈夫よこれくらい……あら、お米がなくなりそう。ちょっと出かけてくるわね」

さやか「それならあたしが……」

マミ「いいの、美樹さんはゆっくりしてて」

73: 2012/04/22(日) 20:27:34.37 ID:+Is4cYzH0
―まどかの部屋

まどか「お風呂あがったよほむらちゃ……!」ビク

ほむら「そう、じゃあ私も入ろうかしら」

まどか「……」ドキドキ

ほむら「どうしたのまどか?」

まどか「あ、うん…ほむらちゃんが制服の上着脱ぐ姿が格好良かったから…」

ほむら「ああこれ、ハンガーにかけておこうと思って」

ほむら「そういえばまどか、宿題は終わったの?」

まどか「ううん、難しいところがあってまだ途中だよ」

ほむら「ならあとで一緒にやりましょう、私のわかるところなら教えてあげるわ」

まどか「ほんと?ありがとう」

74: 2012/04/22(日) 20:31:23.28 ID:+Is4cYzH0
―学校

さやか「ごめんマミさん、朝起きるの遅くて」

マミ「朝ご飯食べてないけど大丈夫?」

さやか「昼までなら何とか」

ほむら「……美樹さやか、ちょっといい」

さやか「ん、どうしたの」

ほむら「少し話したいことがあるのよ。巴マミ、借りるわよ」

マミ「え、ええ……」

――

ほむら「あなた、最近巴マミの世話になりすぎじゃないの」

さやか「いや、まあマミさん色々してくれるから……」

75: 2012/04/22(日) 20:37:04.48 ID:+Is4cYzH0
ほむら「逆にあなたは彼女に何かしてあげているの?」

さやか「うーん……そばにいてあげ……る?」

ほむら「自分で疑問形になる程度のものしかないのね」

さやか「だって……マミさん嬉しそうだし」

ほむら「……そばにいるだけで幸せ、なんてものは最初だけよ」

ほむら「そんなもの、次第に惰性化していって冷めていくだけ」

ほむら「愛する人から自分の仕事を増やす家族へ変わり……」

ほむら「それから手間のかかるペット……」

ほむら「そして、最後は動く粗大ゴミとしか認識されなくなる」

ほむら「……あなた、そのうち巴マミに捨てられるわよ」

さやか「!!……そんなのやだ!」

76: 2012/04/22(日) 20:43:10.16 ID:+Is4cYzH0
ほむら「それは彼女のお世話になりたいから?」

さやか「違うよ!」

さやか「この姿で一目ぼれでも構わない」

さやか「……マミさんがあたしを好きになってくれて嬉しかった」

さやか「マミさんといられるなら何もしてくれなくていい」

さやか「一緒にいたいよ……」

ほむら「意外とあなたも依存していたのね」

ほむら「身近にあるものを失うのがトラウマになっている感じよ」

77: 2012/04/22(日) 20:47:43.37 ID:+Is4cYzH0
ほむら「上条恭介が離れて行った傷は大きかったのかしら」

ほむら「まあ、それなら今の生活を改める事ね」

さやか「……マミさんを助けられるようになればいい?」

ほむら「そんなところね」

さやか「でもあたし魔法少女じゃないから、ああいうのできないし」

ほむら「上条恭介を説得して立ち直らせたのはよくやったわ」

ほむら「……志筑仁美に取られてしまったのは残念だったけれど」

ほむら「でも、魔法少女じゃないあなたにも他にできることがあるでしょ」

ほむら「あとは自分で考えなさい」

80: 2012/04/22(日) 20:52:33.50 ID:+Is4cYzH0
――

さやか「ほむらはああいってたけど……」

さやか「……やっぱり家事とか手伝えた方がいいかな」

さやか「でも料理とか上手くないしなあ」

さやか「こういうの相談できる人って……」

さやか「……あ、そうだ」

―マミ家

さやか「あ……あのさマミさん」

マミ「なあに?」

さやか「さっきスーパーに買い物行ってきたんだ」

さやか「それで……明日の朝ご飯とお弁当、あたしが作ってもいい?」

マミ「美樹さんが作ってくれるの?」

さやか「うん、だから明日は少し遅く起きても大丈夫だよ」

マミ「ふふ…なら甘えちゃおうかな」

81: 2012/04/22(日) 20:56:33.15 ID:+Is4cYzH0
―まどか家

ほむら「お父様、お手伝いします」

知久「え、でもせっかく来てくれたのに」

ほむら「お世話になっているので何か役に立ちたいんです」

知久「そうかい?じゃあお皿を並べてくれるかな」

ほむら「わかりました」

詢子「まどかの友達はいい子ばかりだね」

知久「友達といえば今日さやかちゃんから相談を受けたよ」

詢子「へえ、何を言ってたんだい?」

知久「料理や家事のこと聞かれてね、レシピのコピーを渡したよ」

83: 2012/04/22(日) 21:00:54.60 ID:+Is4cYzH0
まどか「そういえばさやかちゃん、なんだか落ち込んでる感じだったね」

ほむら「彼女も色々考えることがあるのよ」

ほむら「ところでまどか、あの猫ここで飼ったりはしないの?」

まどか「猫ってエイミーの事?外の方が伸び伸びできるかなと思って」

ほむら「家族構成として猫がいる方がいいのよ」

ほむら「それとまどかに妹と息子も」

まどか「む、息子って無理だよ……」

ほむら「まあ一人くらい足りなくてもそれらしくはなるわ」

84: 2012/04/22(日) 21:04:30.03 ID:+Is4cYzH0
―まどかの部屋

まどか「それじゃあそろそろ電気消すね、ほむらちゃん」

ほむら「ええ、明日も早いしそろそろ寝ないとね」

ほむら「布団も敷き終わったわ」

まどか「こうやって寝る前にほむらちゃんとお話できるのが夜の楽しみだよ」

ほむら「私もよ、まどか」

―翌朝

マミ「ん……あれ、もうこんな時間」

マミ「……そうだ。昨日は目覚まし付けなかったんだ」

マミ「台所から音が聞こえるわね」

マミ「とりあえず着替えて……」

マミ「おはよう美樹さん」

85: 2012/04/22(日) 21:08:33.73 ID:+Is4cYzH0
さやか「あ、おはようマミさん。もうすぐ朝ご飯できるから待ってて」

マミ「うん……こうして家でご飯を作ってくれるのを待つのは何年ぶりかしら」

マミ「なんだか期待しちゃうわね」

さやか「応えられるか不安だけど……おまたせしました」

マミ「オニオンスープとトーストにベーコンエッグね」

さやか「とりあえず今回は洋食をと思ったんだけど……ありきたりでごめん」

マミ「……でもこのスープ、レトルトじゃないわね」

さやか「折角料理を任されたんだから、ちゃんと手作りの方がということで」

さやか「……ただ、これに手間がかかって他が少しおざなりになっちゃって」

マミ「ううん、ありがとう。さあ、一緒に頂きましょう」

さやか「あ、うん。お弁当も出来てるから一緒に持って行くね」

86: 2012/04/22(日) 21:12:34.62 ID:+Is4cYzH0
―学校、屋上

ほむら「へえ、美樹さやかがお弁当を」

マミ「じゃあお楽しみの中身を見てみるとしましょうか」パカ

まどか「おかずがいっぱいだね」

ほむら「しかも種類が豊富ね」

さやか「もっと入れようかと思ったんだけど、ご飯のスペースなくなっちゃいそうだったから」

マミ「……もしかして、このおかず」

さやか「冷凍食品だとなんか悪いから弁当も自分で……」

ほむら「揚げ物がコロッケしかないわよ」

さやか「それは衣まぶしてオーブンで焼いたんだよ」

さやか「油で揚げた方がおいしいけど、今回は種類重視に」

88: 2012/04/22(日) 21:16:07.37 ID:+Is4cYzH0
まどか「さやかちゃん器用だね」

さやか「まどかのお父さんの受け売りだけどね」

マミ「でもどのおかずもおいしそうにできてるじゃない、美樹さん料理上手なのね」

ほむら「……ところで美樹さやか、どうしたのその弁当箱」

さやか「え……な、何か変?」

ほむら「ただの大きなタッパじゃない」

さやか「ああ……ちょっと入りきる物がこれしかなくって」

まどか「さやかちゃんそんなに食べるの?」

マミ「私の倍以上あるわね」

さやか「ほ…ほら、自分で作ったものは美味しいって言うじゃん」

ほむら「ちなみに、どうして中身を隠しながら食べているのかしら?」

99: 2012/04/22(日) 21:37:44.55 ID:+Is4cYzH0
さやか「か、隠してなんか!」

ほむら「なら見せてもらえるかしら」

さやか「う……それは」

マミ「美樹さん、もしかして……」

ほむら「蓋でガードしないの」サッ

さやか「あっ…」

まどか「わ、さやかちゃんのお弁当……」

ほむら「焦げているのと形が崩れたもので大量ね」

マミ「私のはみんな綺麗……」

さやか「あはは……食材は自分で買ったからその辺は大丈夫だよ」

マミ「……美樹さん、そのおかず私にもくれない?」

100: 2012/04/22(日) 21:41:09.87 ID:+Is4cYzH0
さやか「ええっ!…だ、駄目だよ」

さやか「こんな酷いの、マミさんには食べさせられない……」

さやか「苦いし、所々熱が通ってないし…」

マミ「味じゃなくて美樹さんの作ったものが食べたいのよ」ヒョイ

さやか「あ……」

マミ「ん……」モグモグ

ほむら「私も貰おうかしら」ヒョイ

さやか「ちょ、ちょっと」

ほむら「……いまひとつね」

さやか「グスン…」

102: 2012/04/22(日) 21:45:35.79 ID:+Is4cYzH0
マミ「私のお弁当の方は美味しいわよ。美樹さん、暁美さんにもあげていい?」

さやか「あ…どうぞ」

マミ「暁美さん、食べてみて」

ほむら「それじゃあ遠慮なく……」パク

ほむら「……なんだ、ちゃんとできてるじゃない」

さやか「よかった…」

ほむら「その失敗作が不味かっただけね」

まどか「私も食べてみていい?マミさん、さやかちゃん」

マミ「いいわよ。ね、美樹さん」

さやか「うん」

まどか「いただきます……」

まどか「パパの料理の面影があるね」

103: 2012/04/22(日) 21:49:17.03 ID:+Is4cYzH0
マミ「料理も繰り返していれば次第に上手くなっていくわよ」

ほむら「そうね、毎日その量を処理していたら太ってしまうし」

さやか「精進します……」

さやか「帰りにまた買い物いくかなあ」

マミ「そういえば今日3年生は放課後集会があるのよ」

マミ「遅くなるから、先に帰っててもらっていい?」

さやか「わかった、家で待ってるね」

104: 2012/04/22(日) 21:54:01.66 ID:+Is4cYzH0
―放課後

ほむら「まどかが映画に誘ってくれるなんて嬉しいわ」

まどか「ウェヒヒ、一緒に見たい映画があってね」

まどか「ついでに今日は料金が安い日だからね」

まどか「お財布にも優しいかなって」

ほむら「安い日……まあなんとかなるわね」

まどか「え、なにが?」

ほむら「すぐにわかるわよ」

105: 2012/04/22(日) 21:57:38.13 ID:+Is4cYzH0
ほむら「お願いします」

「すみません、レディスデーの割引は女性の方のみでして…」

ほむら「この身なりですが私は女です」

「え……あの、何か証明するものはお持ちですか」

ほむら「学生証の写真で…」

「…はい、確かに髪を伸ばされて女子の制服を着用されていますがこれだけでは……」

ほむら「イラ……保険証の性別欄でどうですか」

「これは……失礼いたしました」

106: 2012/04/22(日) 22:01:06.84 ID:+Is4cYzH0
―上映中

ほむら(……比較的男の子向けのアニメ映画ね)

ほむら(私を誘ったというのは女の子同士だとまどかが来にくかったからかしら)

ほむら(私でも外見以外は同じだけれど)

まどか「……」

ほむら(まあいいか、まどかは熱中してみているようだし話も意外と面白いわ)

ほむら(手を繋いで観るようなジャンルでないのが残念だけど)

ほむら(でも、このパンフレットは二人きりで映画を見に行った記念ね)

108: 2012/04/22(日) 22:04:51.91 ID:+Is4cYzH0
―マミのいえ

さやか「とりえあえずマミさんが帰ってくるまでにあたしが夕飯の準備をしなきゃ」

さやか「ついでに掃除もした方がいいかな」

ガンッ…ピンポーン

さやか「あれ、マミさんもう帰ったの」

さやか「チャイム鳴らしてるのは鍵を落としたのかな、暗証番号でも使って下通って」

ガチャ

杏子「…!!」

さやか「きょ、杏子!?」

杏子「…あぁ?なんであたしの名前知ってんだよ!」

109: 2012/04/22(日) 22:08:41.86 ID:+Is4cYzH0
さやか「なんでって…」

杏子「てかマミの家にいるってことは、あんたあいつとどんな関係なんだよ!」

さやか「どんな……今は一緒に住んでるよ」

杏子「住んでる!?……あのマミが、そんなっ」

杏子「……あいつがそんなこと…するはず……」

さやか「あの、なんでそんなにショックなのか分からないんだけど」

杏子「マミが簡単に男を連れ込むはずがねえ…」

杏子「……あんた、マミを騙してるんだろ」

さやか「ああ、なるほど……」

杏子「何一人合点してんだ!マミの事たぶらかしてたらただじゃおかねえぞ!」

110: 2012/04/22(日) 22:11:15.17 ID:+Is4cYzH0
――

杏子「最初からそう言えっての……」

さやか「いやあ、気づいてくれると思ってたから」

杏子「その服装の方に意識が行っちまったんだよ」

杏子「冷静になれば顔も声もさやかだってわかるんだけど」

さやか「髪が短いと雰囲気変わる?」

杏子「ああ、格好もそれだしな。女っぽくなくなる」

さやか「……どんな反応すればいいのか分からない」

杏子「後ろが短いからね、髪をボサッとしたようにする方法もあるけどさ」

113: 2012/04/22(日) 22:15:41.66 ID:+Is4cYzH0
さやか「ボサッと…て、杏子のポニーテールみたいなやつ?」

杏子「ああ、これは長さを合わせないで跳ねさせてるんだ」

杏子「縛り方も緩くしてるから、広がってる感じがするだろ?」

さやか(意識してやってたんだ)

さやか「んで今日はどうしたの、マミさんに用?」

杏子「用って程じゃないよ、ただなんとなくね」

さやか「マミさん遅くなるみたいだからここで待ってる?」

杏子「ん……じゃあそうするかな」

杏子「そういや、さやかは今マミと暮らしてるんだって?」

さやか「そうだよ、晩御飯作るから杏子も食べていくでしょ」

114: 2012/04/22(日) 22:20:14.20 ID:+Is4cYzH0
杏子「……もしかして、さやかが作るのか?」

さやか「うん、マミさんにばかりやらせるわけにもいかないし」

杏子「料理できるのかよ」

さやか「今日の朝から引き受けたばかりだけどなんとか…」

杏子「……あー、実は来週末までホテルの部屋借りてるんだ」

杏子「そこ晩飯出るからさ、遠慮しとくよ」

さやか「そう?残念だな」

杏子「やっぱり先に帰るよ、またな」

さやか「あ…うん」

杏子「ま、経験積んでからってことで…」

さやか「……?」

115: 2012/04/22(日) 22:23:28.39 ID:+Is4cYzH0
夕方

マミ「ただいま、思ったより早く帰れたわ」

さやか「あ、おかえりマミさん。まだ夕飯作ってる途中なんだ」

マミ「あら、美樹さんがやってくれるの?」

さやか「いつもお世話になってるからね」

さやか「そういえばさっき杏子が来たよ」

マミ「佐倉さんが?」

さやか「マミさん帰ってくるまで待つかと思ってたら、なんか途中で帰っちゃった」

マミ「そう、何か用事でもあったのかしら」

さやか「折角あたしが御馳走してあげるって言ったのに」

117: 2012/04/22(日) 22:28:13.20 ID:+Is4cYzH0
マミ「なら今日は私が美樹さんの料理を独占できるわね」

さやか「はは、マミさんに満足してもらえるようがんば……」

ザクッ!

さやか「!!!」

さやか「――ったあぁぁぁぁい!!」

マミ「美樹さん大丈夫!?」

さやか「包…丁が……」ポタポタ

マミ「ちょっと、爪が切り落とされちゃってるじゃない!」

マミ「待ってて、今魔法で治してあげる」

121: 2012/04/22(日) 22:32:25.78 ID:+Is4cYzH0
さやか「だ、だめ!」

マミ「何言ってるの、酷い怪我よ」

さやか「そんなことに大事な魔力を使わないで…」

マミ「で、でも……」

さやか「あたしは大丈夫、これくらい…平気、だから……」ポタポタ

マミ「美樹さん……」

マミ「……じゃあ救急箱持ってくるわね」

さやか「うん、ごめんね……」

123: 2012/04/22(日) 22:34:17.36 ID:+Is4cYzH0
―手当後

マミ「……これでよし、と」

さやか「…ありがとうマミさん」

さやか「途中のやつ、さっさと終わらせちゃうね」

マミ「今日は手の事もあるしやめておきなさい」

さやか「けどそれじゃ……」

マミ「まだ準備も始めたばかりだったし、今日は出前を取りましょ」

マミ「それなら私も楽できるから、ね?」

さやか「……ごめん、あたし役に立てなくて」

マミ「まだ始めたばかりじゃない、これからよ」

125: 2012/04/22(日) 22:36:44.33 ID:+Is4cYzH0
―数日後

さやか「…よし、完成」

マミ「ん……美樹さんおはよう」

さやか「おはよう、朝ご飯できたよ」

マミ「味噌汁の匂いで目が覚めた……」

マミ「……料理、うまくなったわね」

さやか「数こなしてるうちに慣れたかな」

マミ「ふあ……着替えてくるね」

127: 2012/04/22(日) 22:39:42.29 ID:+Is4cYzH0
―学校屋上

杏子「外から見てなんか生徒が変だと思っていたけどさ……」

さやか「よく先生とかに見つからずにここまでこれたね」

ほむら「まどかのお父様のお弁当は分けてあげないわよ」

杏子「そりゃ残念だ、それよりほむらまでその姿なのか」

ほむら「ええ、慣れれば中々着心地いいわよ」

杏子「ふーん」

まどか「杏子ちゃんも一応ズボンだね」

杏子「これは男装じゃないぞ」

さやか「杏子、あたしの弁当少し食べてみない?」

杏子「お、じゃあもらう」パク

129: 2012/04/22(日) 22:43:03.85 ID:+Is4cYzH0
杏子「うん、うまいじゃん」

マミ「それ、美樹さんが作ったのよ」

杏子「へえ、じゃあもう大丈夫だな」

さやか「大丈夫……?」

杏子「今日マミの家に泊まってもいい?ちょうどホテルも期限なんだ」

マミ「いいわよ」

―マミ家

杏子「はぁ…満腹」

さやか「お粗末様でした」

マミ「私も御馳走様」

杏子「マミに頼らないで料理を覚えたっていうのは正解だったな」

杏子「これならさやかとマミ交代でやれば、飯のレパートリーが増えて飽きないよ」

130: 2012/04/22(日) 22:46:44.08 ID:+Is4cYzH0
マミ「そうね、美樹さんとなら幅が広がるわね」

杏子「だからさやかもマミみたいに洒落た料理じゃなくて、もっと油っこくて豪快な奴頼むよ」

さやか「それじゃあたしの立場がないじゃん」

杏子「いいんだよ、外見的にはそれで」

杏子「ねえ、当分ここにいていい?それだと食費とかかからないしさ」

さやか「一応あたしのお金で買ってるんだけど」

杏子「なら少しは出してやるよ、ATM壊しに行けばいいわけだし」

さやか「あーわかったよ、お金はあたしが出すから」

杏子「んじゃ、あたしは風呂入って寝るとするか」スタスタ

131: 2012/04/22(日) 22:50:27.21 ID:+Is4cYzH0
マミ「……美樹さん、佐倉さんが寝たら一緒に映画見ない?帰りに借りて来たの」

さやか「映画?いいよ、どんなの借りて来たの」

マミ「ちょっとホラーものをね」

さやか「お、寝る前にそれを観るなんてマミさんもそういうの好きなんだ」

マミ「まあね」

マミ(二人並んで映画を見る)

マミ(これで怖がって隣に抱き着くのが定石)

マミ(でも、今の美樹さんの雰囲気だと私がやった方が似合うかしら)

マミ(魔女より怖いものが出てくる話か分からないけれど)

マミ(少し演技っぽくてもいいわよね)

133: 2012/04/22(日) 22:53:25.54 ID:+Is4cYzH0
―視聴中

マミ「……」

マミ(…全然怖くないわ)

マミ(むしろ怖い雰囲気を出したコメディ映画ね)

マミ(さすがにこれじゃ抱き着くわけにもいかないか…)

さやか「う……」ウトウト

マミ「美樹さんもあまり面白くないかしら」

さやか「いえ……少し…眠くて……」

マミ「なら、私の肩に少し体を預けてみない?」

さやか「ん……ありがと」コト

さやか「……すぅ」

マミ(これはこれでいいかな……)

134: 2012/04/22(日) 22:56:29.40 ID:+Is4cYzH0
―翌朝

マミ「こうやって腕を組んで登校してみたかったのよね」

さやか「今までやったことないから、少し恥ずかしいかな…」

マミ「や、やっぱりやめる?」

さやか「う、ううんっ…恥ずかしいだけ」

さやか「…もっとこうしていたいな」

マミ「私も……」

まどか「あ、さやかちゃんマミさんおはよう」

さやか「おはようまどか」

マミ「暁美さんも一緒ね」

ほむら「同じ家に住んでいるもの」

135: 2012/04/22(日) 22:59:44.99 ID:+Is4cYzH0
さやか「仲良く手繋いじゃって、やるねえ二人とも」

ほむら「あなたたちこそ腕を組んでいるじゃない」

マミ「好きな人の傍にいたいもの」

まどか「そういえば手をつなぐのと腕を組むのって、どっちの方が仲がいいのかな」

ほむら「そんなの手をつなぐ方に決まっているじゃない。素肌を合わせているんだし」

マミ「違うわ腕を組む方よ、こっちの方が体をくっ付けているわ」

ほむら「手をつなげばお互いの体温を感じることができるのよ?」ニギッ

まどか「ほむらちゃん手汗ばんできてるよ」

136: 2012/04/22(日) 23:01:43.77 ID:+Is4cYzH0
マミ「腕を寄せれば自分の鼓動を相手に伝えることができるわ」ギュッ

さやか「おっと……」

ほむら「そんなのは冬服の前では微々たるもの、手ならその影響を受けないわ」

マミ「あら、伝えられるのは鼓動だけじゃないわよ」

さやか「どっちもいい所があるよね」

まどか「さやかちゃんはどっちがいいと思う?」

さやか「判断できないから腕を組みながら手をつなぐ……とか?」

まどか「無理しないで」

137: 2012/04/22(日) 23:03:23.17 ID:+Is4cYzH0
―学校

上条「もうすぐ夏だね」

中沢「そうだな、プールの授業の時までこのブームが続いてほしいよな」

さやか「今日はご飯なに作ろうかなー」

ほむら「割とうまくいっているみたいじゃない」

さやか「まあね、マミさんが喜んでくれる顔を見るのが楽しみでさ」

ほむら「最初のころに比べたら見違えるようになったわね」

ほむら「……けれど、あなたにはまだわかっていない事があるわ」

さやか「わかってない事?」

ほむら「巴マミが求めているものよ」

さやか「そうかなあ、マミさんの期待に応えられるよう頑張ってるつもりだけど」

139: 2012/04/22(日) 23:05:48.58 ID:+Is4cYzH0
ほむら「甘い……甘いわ美樹さやか」

ほむら「あなたがこなしている事は主に日常的な家事……」

ほむら「確かにできるに越したことはないわ」

ほむら「けれど、今の私たちの姿で本当にしなくてはならないことはそれじゃないのよ」

ほむら「家事はその前提が出来てこそ……」

さやか「な…なにをすれば……」

ほむら「この姿で求められるもの……」

ほむら「それは家庭を維持する経済力!」

ほむら「次に相手を支えるたくましさ!」

ほむら「そして自分にしかない豊富な知識!」

さやか「はぁ……?」

140: 2012/04/22(日) 23:08:44.15 ID:+Is4cYzH0
ほむら「あなたにはそれができているというの?」

さやか「最初以外よくわからないけど、あたしまだ中学生だからそれはちょっと」

ほむら「お金のことは仕方ないわ、だから残りの二つよ」

さやか「うーん…」

ほむら「あなたは二人で買い物に行ってお米10㎏買ったら巴マミに持たせるの?」

ほむら「しつこいセールスマンが来たら彼女に追い返させるの?」

ほむら「家のエアコンが壊れたら彼女に説明書を読ませて修理させるの?」

ほむら「…次第に別のことで努力しても埋まらない溝ができるわよ」

ほむら「そして、それを傍から見ている人たちはこう思うわ」

ほむら「……妻に頼りっきりの駄目亭主、と」

さやか「亭主って…」

141: 2012/04/22(日) 23:12:04.06 ID:+Is4cYzH0
さやか「それにこの格好をしてるだけで、別にそういうことが得意な訳じゃないしさ」

ほむら「そんなもの、この私たちに惚れている相手には通用しない」

ほむら「真冬に半袖短パン履いて、『実は寒がりなんだ』と言っているようなもの」

ほむら「逆に言えば、そこをおさえてしまえば巴マミともっと深い関係になれるわよ」

さやか「……なるほど」

さやか「ちなみにさ、ほむらはまどかの家でそれをやってるわけ?」

ほむら「勿論、まどかの信頼を得るためには当然よ」

ほむら「今では同じ部屋で着替えもしているわ」

さやか「へえ……」

143: 2012/04/22(日) 23:14:23.90 ID:+Is4cYzH0
―翌朝マミ家

さやか「じゃあ杏子、行ってくるね」

杏子「……ん、ああ…行ってらっしゃい」

マミ「ベッドの中で見送りなんて優雅ね」

さやか「朝ご飯はテーブルの上にあるからね」

マミ「あ……ゴミを出しておかないと」

さやか「あたし持ってくよ」

マミ「そういえば古新聞もたまってきたわね」

さやか「ならそれも……よい、しょ」ズシ

マミ「美樹さん大丈夫、手伝おうか?」

さやか「へ、平気……気にしないで」

145: 2012/04/22(日) 23:16:46.86 ID:+Is4cYzH0
―まどか家

まどか「ほむらちゃんはどこか出かけたい場所ってある?」

ほむら「行きたい場所?まどかと一緒ならどこでも行きたいわよ」

ほむら「遊園地でも買い物でも付き合うわよ」

まどか「そうじゃなくて……あ、あのさ…今度二人っきりで旅行に行かない?」

ほむら「旅行…!いいわね、ぜひ行きたいわ」

まどか「ほんと?嬉しいな、実は候補を少し選んでて……」

ほむら「この時期なら沖縄もいいわね、海外も悪くないわ、でも近場のホテルで済ませるなら……」

まどか「この日帰りバスツアー、テレビでやっててほむらちゃんと行きたいと思ってたんだ」

ほむら「日帰り…?……ええ、いいんじゃないかしら」

まどか「これとかは夫婦や親子で来る人が多いみたいだね」

ほむら「!…中々いいものに目を付けたわね、まどか」

146: 2012/04/22(日) 23:18:10.47 ID:+Is4cYzH0
―マミ家

杏子「ただいまー飯―」

マミ「今作ってるところよ」

杏子「今日はマミが当番か、さやかは何してるの?」

マミ「先にお風呂に入っているわ」

杏子「……ああ、ほんとだ」

杏子「あいつの学ランが脱いだままだな」

杏子「……少し借りてもいいよな」

147: 2012/04/22(日) 23:21:25.45 ID:+Is4cYzH0
杏子「このホックが面倒だな……」

杏子「髪は下ろした方がいいかな」

杏子「……うん、中々あたしもサマになってるじゃないか」

杏子「あいつらと並んでも引けを取らないな」

杏子「やっぱ揃え方に気を配れば短髪じゃなくてもそれっぽく見えるもんだな」

杏子「さやかも髪を伸ばさせて、そのうちあたしが手入れしてやろう」

さやか「杏子ーあたしの制服知らな…なんだ、杏子が着てたのか」

杏子「ああ、ちょっとやってみたくなってね。結構似合うだろ」

さやか「うん、なんだか応援団みたいな雰囲気だね」

杏子「応援団?……なるほど」

148: 2012/04/22(日) 23:24:30.87 ID:+Is4cYzH0
――

マミ「あ…あの、美樹さん……」

さやか「ん、どしたの」

マミ「えっと……」モジモジ

マミ「美樹さんがよかったらでいいんだけど……」

マミ「きょ、今日は……私の部屋で…一緒に寝ない?」

さやか「!」

さやか「……うん、いいよ」

マミ「本当!?ありがとう」

マミ「じゃあ……あとで、私の部屋に…」

さやか「わ、わかった…」

152: 2012/04/22(日) 23:28:24.40 ID:+Is4cYzH0
―マミ部屋

さやか「結構くっ付かないとベッドから出ちゃうね」

マミ「や、やっぱり一つのベッドじゃ狭いかしら?」

さやか「ううん平気。あたし寝相悪くないし」

マミ「よかった……」

マミ「……美樹さんとこうやって向かい合って寝るの、初めてね」

さやか「今までは別の部屋で寝てたからね」

マミ「最初は美樹さんを私の家に招待して身の回りの事も…って思っていたのに」

マミ「いつの間にか、私の方がお世話になってしまっているわね」

さやか「そんなのまだまだだよ」

さやか「あたし、戦えないからこういう事しかできないし……」

154: 2012/04/22(日) 23:30:23.47 ID:+Is4cYzH0
――

杏子「眼が覚めたら腹が減ったな……」

杏子「冷蔵庫に何かないかな…」

杏子「…あれ、マミの部屋…少しドアが開いてるな」

杏子「今日はさやかと一緒に寝てるんだったか」

杏子「……少しくらい、覗いても罰は当たらないよな」

――

156: 2012/04/22(日) 23:36:28.95 ID:+Is4cYzH0
――

さやか「マミさん、あたし…役に立ってる?」

マミ「ええ、もちろんよ」

さやか「ホントに……?」

マミ「最近は私の方が少し怠けちゃってるかなって、思うくらいに」

さやか「…あたし、もっとマミさんを助けられるように頑張るよ」

さやか「もし悪いところがあったら言って、すぐ治す」

さやか「マミさんのそばにいても、邪魔にならないようにするから……」

マミ「美樹さん……?」

さやか「もっと色々手伝えるようにするから…」

さやか「だから…捨てないで……」

マミ「!」

163: 2012/04/22(日) 23:42:17.45 ID:+Is4cYzH0
マミ「……この所少し無理しているような感じがすると思っていたら、そういうことだったのね」

マミ「そんな事するわけないでしょう、」

さやか「だって…あたしはただの居候で……」

さやか「マミさんに愛想尽かされたら…ここに……いられない」

マミ「もう……もっと自信を持ちなさい」

マミ「折角普段は格好いいんだから、堂々としてなきゃ」

さやか「マミさん……」

マミ「……」

164: 2012/04/22(日) 23:47:17.54 ID:+Is4cYzH0
マミ「……私だって、ずっと怖かったわよ」

マミ「いつか……美樹さんがここを出て行ってしまうんじゃないかって」

マミ「私と一緒にいても、つまらないって思ってるんじゃないかって……」

マミ「私から一方的に誘ったから、いつか壊れてしまうかもしれないって…ずっと……」

さやか「……大丈夫だよ、あたしはどこにも行かない」

さやか「ねえ、もっと近くに寄ってもいい?」

マミ「……うん」

166: 2012/04/22(日) 23:50:50.94 ID:+Is4cYzH0
さやか「えへへ……」

さやか「マミさん、ドキドキしてるね……」

マミ「美樹さんこそ……」

さやか「……こうしていると、鼓動がうるさくて寝づらいかな?」

マミ「そうね、美樹さんのがよく伝わってくるわ」

さやか「なら、やっぱり…離れ……」

マミ「ダメッ…」ダキッ

さやか「おっ…と」

マミ「お互いの鼓動が落ち着いて静かになるまで、一緒にいましょう」

さやか「……わかった」

169: 2012/04/22(日) 23:53:35.59 ID:+Is4cYzH0
マミ「……何か、今の美樹さんに合うかっこいい台詞でも欲しいわね」

マミ「髪を短くした美樹さんに…」

さやか「かっこいい台詞……」

さやか「うーん、そうだなあ」

さやか「……俺が守ってあげるから」

マミ「!」

さやか「……な、なんて」

マミ「……」

マミ「クスッ…クク……」

170: 2012/04/22(日) 23:58:48.75 ID:+Is4cYzH0
さやか「あ、笑うなんてひどーい」

マミ「ごめんなさい、美樹さんがあまりにも真顔で言っていたから」

マミ「……でも、ありがとう」

マミ「そういってくれて、とっても嬉しい……」

さやか「はは……どういたしまして」

さやか(……でも、なんだろう)

さやか(こころなしか、マミさんの鼓動が早くなったような…)

172: 2012/04/23(月) 00:01:17.65 ID:V7aoYmTo0
――

杏子「……くっ付いてから動かないな」

杏子「何話してるのかよく聞こえないし」

杏子「このままいてももっと面白くなるかわからないな」

杏子「まあいいや、あたしも寝るか」

―翌朝

さやか(ん……)

さやか(朝……か)

さやか(でもなんだか暑いし動きづら…)

173: 2012/04/23(月) 00:03:26.42 ID:V7aoYmTo0
マミ「……」スヤスヤ

さやか(なんだ、マミさんに抱きしめられてたのか)

さやか(……もう少し、こうしていたいな)

さやか(ベッドから出るとマミさん起きちゃいそうだし、あとちょっとだけこのまま……)ギュ


マミ「……う…ん」

マミ「……あら…私、美樹さんと抱き合って…る?」

マミ「そっか、きっと美樹さんが私を抱きしめながら寝たから私も自然と……」

さやか「……」

マミ「可愛い寝顔ね、もっと眺めていたいくらい」

マミ「美樹さんの心臓の音を感じながら……」

マミ「ん…あったかい……」

174: 2012/04/23(月) 00:06:23.13 ID:V7aoYmTo0
―学校

まどか「一時間目なんで来なかったの?」

さやか「寝坊しちゃって途中から行くものなんだからってことで……」

ほむら「夜更かしでもしたんでしょ」

さやか「そうでもないんだけど、ちょっと二度寝しちゃってさ」

まどか「マミさん起こしてくれなかったの?」

さやか「マミさんも二度寝したって言ってた」

ほむら「あの巴マミがもう一度寝てしまう理由って何かしらね」

さやか「さ、さあ……」

176: 2012/04/23(月) 00:08:35.74 ID:V7aoYmTo0
―まどか家

知久「今度の友達は元気な子だね」

杏子「うん、まどかの家も飯がうまいな」

ほむら「どうして佐倉杏子がまどかの家に……」

杏子「まあ飯の食べ歩きってことで」

まどか「遠慮しないで食べてね杏子ちゃん」

ほむら「食べ終わったら巴マミの家に戻るんでしょ、ならさっさと食べて…」

杏子「今日はここに泊まっていくよ、まどかから許可も取ったし」

ほむら「な……」

杏子「飯食い終わってからわざわざあそこまで戻るのも面倒だしな」

177: 2012/04/23(月) 00:11:01.82 ID:V7aoYmTo0
―まどか部屋

ほむら「結局佐倉杏子はまどかの部屋なのね」

まどか「他のみんなの部屋に寝かせるわけにもいかないよ」

杏子「ていうか普段ほむらとまどかは同じ部屋で寝てるんだな」

ほむら「ええ、ここに住むようになってからは」

杏子「さやかたちはつい最近だからあんたたちの方が進んでるな」

まどか「す、進んでる……?」

ほむら「私たちの関係が親密という事よ」

ほむら「早く寝ましょう、私と佐倉杏子の布団も敷いたのだし」

杏子「でも同じベッドって事じゃあっちも健闘してるな」

ほむら「ピクッ」

まどか「さやかちゃんとマミさん、同じベッドで寝てるの?」

179: 2012/04/23(月) 00:13:35.98 ID:V7aoYmTo0
杏子「ああ、昨日は二人で抱きしめ合いながら寝てたよ」

ほむら「……今日遅刻した理由はそれだったのね」

ほむら「この間、腕を組むより手をつなぐ方がいいといったから」

ほむら「それに対抗して裸で抱き合って体温を共有し始めたのね……」

杏子「裸じゃないぞ」

ほむら「……まどか、私たちも」

まどか「あ、えっと……パパたちに見つかると恥ずかしいから」

まどか「ほむらちゃんがベッド使いたかったら交換してもいいよ」

ほむら「……いつか部屋を借りてルームシェアしましょう」

ほむら「そうすれば私たちを妨げるものはなくなるわ」

ほむら「そうだね、もう少し大人になったらね」


終わり

180: 2012/04/23(月) 00:15:52.90
乙乙

181: 2012/04/23(月) 00:16:04.50
乙乙
マミさや良かったです

引用元: マミ「髪切った?」