1: 2011/12/23(金) 21:11:57.17 ID:kVk737HQ0
カップル男「ち、近づいてくんじゃねえ!」

サンタ「ふぉっふぉっふぉっ」スタスタ

カップル女「い…いや!来ないで…!!」

サンタ「ふぉっふぉっふぉっ」シャキン

カップル男「な!?何のつもりだてめぇ!冗談じゃ済まねーぞ!?」

サンタ「ふぉっふぉっふぉっ」ドスッ

カップル男「」ドサッ

カップル女「い、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」

サンタ「ふぉっふぉっふぉっ」ザスッ

カップル女「」


6: 2011/12/23(金) 21:21:58.37 ID:Ljy3aiLK0
男「はああ、今年も俺は一人かあ~」

男友「なんだよ、暗い顔して」

男「クリスマスだよ、クリスマス。言っとくが俺は、クリスマスを女の子と過ごしたことがない」

男友「あ~」

男「あー、じゃねえよバカ。彼女がいるお前から見たらただ憐れなだけだろうが、こっちは氏ぬほど悲しいんだ!」

男友「……いや、案外それはラッキーかもしれないぜ」

男「はあ? 何言って」

男友「聞いてないのか。あの噂」

男「噂?」

7: 2011/12/23(金) 21:25:37.84 ID:Ljy3aiLK0
男「はああ? サンタさんが襲ってくる!?」

男友「今や学校中、その話題で持ちきりだぜ」

男「いやいやいや、意味分かんねえよ。なんだそのメルヘンチックな……お前まさか、今でもサンタさんを信じて……」

男友「んなわけないだろ。それより、2ちゃんねるって知っているか?」

男「ああ、知ってるよ。てかよく見てる」

男友「そこでさ、予告があったらしいんだよ。殺人の」

男「予告?」

男友「なんでも、聖夜のクリスマス、サンタクロースが幸せなあなたのものに現れます、って感じで」


9: 2011/12/23(金) 21:32:36.61 ID:Ljy3aiLK0
男友「それがスレだかなんだかの題名で、内容に殺人が。俺も聞いた話だからよくわかんねえけど、大量殺戮を実行しようとしているらしい」

男「へえ。でもそういうのって駄目だろ。警察が捕まえに……」

男友「そこがおかしいんだ。そのサンタは捕まっても変じゃないほどのことをした。けれど、捕まっていない」

男「…………」

男友「言いたいことは分かる。匿名掲示板なのに、何故サンタが捕まっていないことが分かるんだよ、だろ?」

男「そうだよ。何で捕まっていないと言い切れるんだ。お前はハッカーか何かか?」

男友「そのサンタってやつ、自分が立てたスレにいくつか書き込んだんだ、殺人の内容」

男友「クリスマスの一週間前に一人。五日前に三人。三日前に五人」

男友「二日前、十人。一日前、二十人。人を頃すってな」

11: 2011/12/23(金) 21:38:42.07 ID:Ljy3aiLK0
男「まさか……」

男友「そのまさかだ。今が何日か分かっているか?」

男「……今はクリスマスの二日前、二十三日」

男友「予告した人数が続々と氏んでいってる。驚くことに今日も既に三件、殺人事件だ」

男「な、なんでそんなことが分かる? お前の親は警察官か何か……って、確かそうだったな」

男友「ああ、父親がそういう仕事やっててな。こっそり覗いたら、その通りだったよ」

男「……へっ、本当だとしたら、恐ろしい話だな」

男友「落ち着いているが、他人事じゃないぜ?」

男友「それらの事件はすべて、この近くで起こっている」

14: 2011/12/23(金) 21:43:19.96 ID:Ljy3aiLK0
男「なっ、そんな話、俺は一度も耳にしていないぞ!」

男友「悪い悪い。言い方が悪かったな。それはすべて、俺たちの住む関東地方で起きているんだ」

男「……なんだ。確かに近いっちゃ近いが、それなら別に……」

男友「各都道府県の……県庁所在地の市でな」

男「!! それって、俺たちの市も……!」

男友「まだ今日をいれて三日あるとしても……いずれは順番が回ってくるってわけだ」

男友「もしクリスマス当日に狙われたら……」

男「…………」

男友「なーんてな。安心しろよ」

16: 2011/12/23(金) 21:46:36.43 ID:Ljy3aiLK0
男「は?」

男友「そのサンタが襲うのは、幸せな人……つまりカップルだけらしいんだ。だから、お前には関係ない話」

男「それもそれで嫌だな……」

男友「ははは。長い間つまんねえ話聞かせて悪かったな。んじゃ、俺帰るわ」

男「へいへい……ってカップル?」

男友「またな~」

男「おい! それじゃあお前は……!!」

男「って、行っちまったか……」

男「……はは、まさかな」

19: 2011/12/23(金) 21:51:54.31 ID:Ljy3aiLK0
男「ありえるわけねえ、そんな話。事件もきっと偶然に決まってる」

男「ま、彼女作んない理由ができただけでも良しとするか」

女「……忘れ物、忘れ物~! ってあれ? 男くん、まだ帰ってなかったの?」

男「お、女さん!?」

男(俺の愛しの! 高校入学当初から片思い中の女さんじゃねえか! 何故こんなとこに!!)

女「えへへ、数学の参考書忘れちゃってさ。期末に赤点を採ったものは課題があるので~す」

男「ああ、忘れ物ね。課題か、大変そうだ」

女「むっ! いいよね、男くんは頭良くて! 課題とは一番遠い存在だよ!」

男「そ、そんなことは……」

女「なんてね、冗談っ! 頭悪いのは自分の責任だし。これからは真面目に勉強します!」

21: 2011/12/23(金) 21:56:20.52 ID:Ljy3aiLK0
男「はは、応援するよ」

女「男くんからの応援があれば、他にはいらないね! 元気百ぱーせんとだ!」

男(相変わらず女さんは元気だなあ……そういうところが好きなんだけど)

男(……でも)

女「えりゃっ!」スッ

男「うわあっ! 何!? 背中に冷たいものがあ!」

女「えへへー、男くんの背中あったかーい。私の冷えた手が温まりますよお」

男「お、女さん勘弁して! マジ冷たいよっ!」

女「あははっ! ごめん、ごめん。男くんはまだ帰らないの?」

男「え? あ、うーんと、今帰ろうとしてたところで……」

男(待てよ? これって一緒に帰ろうって誘うチャンスじゃないのか?)

男「あ、あのさ!」

22: 2011/12/23(金) 22:01:13.12 ID:Ljy3aiLK0
男「良かったら……帰り、一緒に帰らない?」

男(やった、言えた! よくやったぞ、俺!)

女「え? あー」

男「……あ、もしかしたら用事ある?」

女「用事っていうか、その、さ」

DQN「おい女、いつまで忘れ物探してんだよ」

女「あ、DQNっ! ごめん、もう帰るところだから」

女「っていうわけでー……ごめんね、男くん!」

男「あ、いや、いいよ。こっちこそ引き止めてごめんね」

男(……そうだ。女さんにはDQNくんっていう彼氏がいるんだった)

男(忘れていたわけじゃないけど……はは、悲しいな)

DQN「なんだ? あの気弱そうな男は?」

女「ただのクラスメイトだよっ! いいから行こっ?」

男「……はあー……」

23: 2011/12/23(金) 22:04:55.43 ID:Ljy3aiLK0
帰り道

男「はあ。やっぱキツイな。好きな子に彼氏がいるってのは……」

男「それこそ、サンタに殺されちゃえば……って、そんなことになれば、女さんも氏んじゃうな」

男「第一、人を恨むなんて、そんなこと自体しちゃいけないっての……」

男「でも一体なんなんだろうな・、サンタ事件」

男「帰って詳しく調べてみるか」

25: 2011/12/23(金) 22:10:03.64 ID:Ljy3aiLK0


男「2ちゃんねる……サンタ……殺人予告……っと、検索!」

男「えーと…………あった、多分これだな」カチッ

男「へえ、男友の言ってた通りだ。日付が指定されてて……ん?」

男「『私はただ無差別に頃すわけではありません。要望、頼みがあった場合のみ、殺めます』」

男「『もし頃してほしい人がいたら、強く願ってください。その強さが私の力になり……』って、なんじゃこりゃ」

男「サンタだから、人の願い事を叶えるってか? アホらしい」

男「早くこんな物騒な事件、終わればいいのに……」

27: 2011/12/23(金) 22:13:20.45 ID:Ljy3aiLK0
学校

男「さて、授業の準備を……」

男A「おい、聞いたかよ!」

男B「ああ聞いた聞いた! 昨日、あの人数分、事件が起きたんだってな!」

男C「なんでも全員、ナイフで一突きらしいぜ!」

男D「そんなのより、もっとすげーのが目撃情報! 本当にサンタらしいんだ!」

男「……?」

男D「なんでも、赤色、白色、本当にサンタクロースみたいな服装をしてるらしいんだ!」

男(まじかよ……?)

28: 2011/12/23(金) 22:18:34.62 ID:Ljy3aiLK0
男友「よっ、おはよう、男! ……どうした? そんな難しい顔して」

男「なあ、男友。お前……いてっ!」ガタッ

DQN女「っ! ってーな! ぶつかってんじゃねえよ!」

男「わわっ! ごめん!」

DQN女「チッ……根暗が」スタスタ

男「…………」

男友「は、はは。そう落ち込むなよ男。アイツ多分、彼氏とられたから気が立ってんだ」

男「彼氏?」

男友「ああ、隣のクラスのDQNってやつ。見たことくらいはあるだろ? なんでも超仲良かったらしいのに、DQNが他の女に告られて、即乗り換えたらしいんだ」

男「……その女ってもしかして……」

男友「え? ああ、知ってんのか。うちのクラスの女だよ。しかし、同情するよな。いきなり振るなんて」

男友「きっと女のこと、頃したいくらい憎んでんだろうな」

43: 2011/12/23(金) 23:01:39.19 ID:Ljy3aiLK0
男「頃したいくらい……か」

男友「? あ、そういや、さっき何か言いかけてなかったか?」

男「ああ、うん。男友も彼女いるだろ? 危ないんじゃないのかってさ」

男友「まさかサンタのやつ?」

男「まさかも何も、それ以外ないだろ」

男友「はははっ。まあ、大丈夫だって! 昨日はお前を怖がらせるために言ったけど、あんなのただの偶然だよ」

男「…………」

男友「……すっかり信じてるな。分かったよ、外に出るのは昼間だけだ。夜は家にいる。それで安心だろ?」

男「まあ、そうかもしんないけど……」

男友「それよりもさ! 今日放課後付き合ってくれよ!」

44: 2011/12/23(金) 23:05:47.25 ID:Ljy3aiLK0
男「はあ?」

男友「いいだろ? どうせ彼女もいねーんだしっ!」

男「余計なお世話だ。つーか、お前分かってんのか? 今日は十二月二十四日。クリスマスイブだぞ?」

男友「クリスマスは男と遊んじゃいけないって法律でもあるのか?」

男「……彼女さんはどうすんだよ」

男友「明日遊ぶ約束してるよ。今日くらい、彼女じゃなく親友と遊んでもいいだろ?」

男「……はあ。分かったよ。どうせ一人だしな……パーッとやるか!」

男友「おう! まずはナンパだ!」

男「よーし!! ……って、ええ!?」

45: 2011/12/23(金) 23:10:07.56 ID:Ljy3aiLK0
放課後

男友「そこのお嬢さんたち! 僕たちとお茶してかない!?」

ギャルA「えっ、まじ? どーしよ」

ギャルB「うわ、声かけてきた人、超イケメンじゃね?」ヒソヒソ

ギャルA「でもその隣のやつが……」ヒソヒソ

ギャルB「あ……あれはちょっと無理だよね。暗いオーラが漂ってる」ヒソヒソ

男「…………」

ギャルA「すみませーん、せっかくのお誘いなんですけど、遠慮しときますー」

男友「あ、そうっすか。すんません、引き止めちゃって」

ギャルB「いえいえー」

男「…………」

47: 2011/12/23(金) 23:14:34.97 ID:Ljy3aiLK0
男「なあ、もうやめようぜ。俺のライフポイントはとっくにゼロだ」

男友「うーん、せっかくお前に良い相手を見つけてやろうとしたのに……」

男「仕方ないって。ていうか大体、隣にお前がいるせいで、ただでさえ冴えない顔の俺が、もっと冴えなくなるんだよ」

男友「うーん、男は俺的に十分格好良いと思うんだけどな」

男「そう言うのはお前と俺のかあちゃんだけだ。それとホ〇はお断り」

男友「あ、ひっでーの! はは、それじゃ、もう暗くなったし、どっかのファミレスにでも寄るか?」

男「うーん、きっと人が多いだろうし、てかカップルが多いだろうし、止めておこうぜ」

男友「確かに……。じゃあ、近くの公園に行くか」

男「ああ、そうしよう」

50: 2011/12/23(金) 23:18:41.86 ID:Ljy3aiLK0
男友「おっ! よっしゃベンチ空いてるー!」ドサッ

男「…………」ドサ

男友「何だよ冴えない顔してー! 女なんて世界中にいくらでもいるんだから気にすんなよ!」

男「いや、そうじゃなくてさ……」

男友「…………サンタのことか?」

男「……お前は心配じゃないのかよ。彼女が危険に晒されるかもしれないんだぞ」

男友「…………」

男「彼女はお前が何年間も想い続けて、やっと両思いになれた相手だろ!? そんな人を――」

男友「心配じゃないわけないだろ!!」

51: 2011/12/23(金) 23:25:24.08 ID:Ljy3aiLK0
男友「あいつのことは世界で一番好きだ。今まで好きになったどんな女よりも、一番……一番好きだ!」

男友「でもよ……心配なのは、彼女だけじゃねえ」

男「……?」

男友「サンタってのは、ただの頭のいかれた通り魔だ。カップルを狙うだどうの言っているが、それが本当だとも限らねえ」

男友「もしかしたら、ただ無差別に襲っている可能性もある……!」

男友「男! 俺の一番の親友として! お前も心配なんだよ!!」

男「なっ……」

男友「いっつもなよなよしてて、喧嘩したら誰にでも負けそうで、常に下を向いてて……」

男友「でも、心は誰よりも温かくて、優しい。いざという時は庇ってくれて、誰よりも頼りになる」

男友「確かに彼女も心配だけどよ……俺にとっちゃ、お前も同じくらい心配なんだ!」

男「お前……」

55: 2011/12/23(金) 23:31:49.93 ID:Ljy3aiLK0
男「……マジでホ〇だったんだな」

男友「あっ、おま! 人が真剣に恥ずかしい話してんのに!」

男「ははは! 自分で恥ずかしいって言ってりゃ世話ないぜ!」

男「……でも、ありがとうよ、男友」

男友「へっ。根暗のくせにキザったらしく言ってんじゃねえ」

男「うわ、ひでぇー!」

男「ま、お前の気持ちはすげえ分かった! その上で言う…………彼女さんも大切にしてやれよ」

男友「…………」

男「俺にとっちゃ、一番の親友がお前だ。昔からいろんな場面を見てきた。いつもモテモテなお前が、誰とも付き合わず、一生懸命に彼女だけを求めていたのも知っている」

男「せっかく夢が叶ったんだ。サンタとかいうふざけた奴に潰されちゃ、俺が許せねえんだよ。だから……」

男友「ああ、分かってるよ」

男友「あいつは、何があっても絶対に俺が守る」

56: 2011/12/23(金) 23:36:08.95 ID:Ljy3aiLK0
男「ああ、それでこそお前だ……」

男(……ん?)

男友「? どうした?」

男「あ、いや……」

男(今、公園の前を通ったの……女さんと、DQNくんだよな……)

男「…………」


DQN女「っ! ってーな! ぶつかってんじゃねえよ!」
男友「アイツ多分、彼氏とられたから気が立ってんだ」
男友「きっと女のこと、頃したいくらい憎んでんだろうな」


男(頃したいくらい……)


『私はただ無差別に頃すわけではありません。要望、頼みがあった場合のみ、殺めます』
『もし頃してほしい人がいたら、強く願ってください』


男「…………悪い、男友。用事思い出した」

58: 2011/12/23(金) 23:39:27.90 ID:Ljy3aiLK0
男友「え?」

男「俺といてくれてサンキュ! もう大丈夫だ! 心配せずに送り出してくれ!」ダッ

男友「あ、おま……ったく、気をつけろよなーっ!!」

男「ああ、お前もな!!」タッタッタ

男(……サンタの話を完全に信じたわけじゃない)

男(男友の言うとおり、偶然の可能性の方がずっと高いだろう)

男「……でも!」タタタタッ

男「何もせずにいられるかよ!!」ダッ

61: 2011/12/23(金) 23:43:09.36 ID:Ljy3aiLK0
男(追いついた……やっぱり女さんとDQNくんで間違いない)

女「ねー、次はどこ行こっかー!」

DQN「もう夜だしな。飯でも食いに行くか」

女「やったー! お腹ペコペコだよ~!」

男(…………)

男(……今は集中しろ。自分のことは後回しだ)

女「どこ行く? あ! あたし超美味しいところ知ってるんだ~!」

男(…………楽しそうだな、女さん)

62: 2011/12/23(金) 23:47:28.02 ID:Ljy3aiLK0
ファミレス

男(ただでさえ学生服なんだから、バレないようにしないと……)

店員「一名様ですか?」

男「はい……できるだけ、奥のテーブルがいいんですが」

店員「かしこまりました。あちらのお席へどうぞ」

男「……よし、こっからなら二人もギリギリ見えるし、バレにくいだろう」

男「にしても、サンタクロースか……」

男(事件についての詳細は知らない。でも、本当に頃しているとしたら昼間の可能性は薄いはずだ)

男(やっぱり夜……いや、深夜。それまでにあの二人が家とかにでも行ってくれるといいんだけど……)

63: 2011/12/23(金) 23:52:48.33 ID:Ljy3aiLK0
路上

男(…………)

女「もー真っ暗だよ~!」

DQN「あ~? せっかくのクリスマスなんだから、そんなの関係ねえだろー」

女「ん、それもそうだね! よーし、とことん付き合っちゃうぞ!」

男(…………あれから結構経ったな……もう、夜の十一時か)

男(何も異変はないし、やっぱりサンタなんて嘘……第一、今日じゃなくて明日の可能性もあるんだ)

男(気づかれないように尾行するのも疲れたし……何より)

女「ふっふ~ん♪ DQNくん、大好きっ!」

男(…………これ以上見続けるのは、キツイ…………)

65: 2011/12/23(金) 23:56:47.29 ID:Ljy3aiLK0
男(もう帰ろうかな。寒いし。そもそも赤白のサンタなんて目立ってしょうがないはずだ)

女「あ! あれ可愛い~!」

男(こんな明るい道じゃ現れないだろうし、注意するとしたら暗くて、危ない道……)

DQN「なんだありゃ。サンタの大群だな」

男(…………ん?)

男「うわ。なんだありゃ。夜中だってのにパレード? たくさんのサンタが歩いてるや」

男「はは、女さん、あんな楽しそうに近づいていって……」

男「…………っ!!!」

69: 2011/12/24(土) 00:02:40.19 ID:rhD47GK10
男(今一瞬、サンタの中に明かりで反射して光ったものがある……!)

男(普通なんかの装飾品って考えるのが当たり前だけど……本当にそうか?)

女「わー! サンタさん可愛い~!」

サンタ「…………」

男(一、二……全部で七体以上いるな。どれだ……?)

DQN「はは、こんだけサンタがいると気持ち悪いや」

サンタ「…………」

男(くそ、分からない。光ったのはあの一瞬だけか)

サンタ「…………」

男(とにかく、もし俺の勘が本当なら、このまま黙っているのはマズイ!)

サンタ「…………」

男「……行くぞ」

サンタ「…………」

73: 2011/12/24(土) 00:09:46.82 ID:rhD47GK10
男「あっ、偶然だね! 女さん!」

女「え? わ、男くん!」

DQN「あぁ~?」

男「おっ、DQNくんもいるじゃん! いやー、ラブラブだね二人とも!」

DQN「ああ? こっちはテメエみてえな根暗野郎、しらねえんだが?」ガシッ

男「わっ、首絞めないで。苦しいよ」

男(……これで、僕とDQNくんが固まる。サンタに一番近い女さんは完全に隙だらけになるはずだ)

男(だとすれば……)

サンタ「…………」スッ

男(この状況で、急に女さんに近づいてくるサンタ……)

女「え?」

男「アイツで間違いないはずだ!!!」ダッ!

75: 2011/12/24(土) 00:13:58.34 ID:rhD47GK10
DQN「おわぁっ!」

女「きゃっ!」

男「女さんごめん!!」ドンッ

女「いたっ!」

サンタ「っ……!」

男「おいアンタ!! 今、何を出そうとしたんだよ!!」

男「もしかして……ナイフじゃないのか!?」

サンタ「…………」

男「おい、どうなん――」

DQN「おい男! あぶねえぞ!!」

サンタ「ッ!!」シャキ

男「え? ってうわあ!!」

男(やばい! 本当に持ってたときの対処法考えてなかった!)

76: 2011/12/24(土) 00:16:13.93 ID:rhD47GK10
男「わわわわわ!!!」

サンタ「…………」

女「男くん、危ないっ!」ドンッ

男「ふげっ!」

DQN「どけお前ら!!」ダダッ

DQN「オラ! 俺が相手だ!!」

サンタ「…………っ」

男(そっか、DQNくんなら……!)

サンタ「…………」ダッ

男「って逃げた!?」

77: 2011/12/24(土) 00:19:22.58 ID:rhD47GK10
DQN「おい待て……ッ!」

女「DQN、もういいよ! 早くここから離れよう!」

男「そうだよ! ここにいるサンタに仲間がいるかもしれない!」

男(大半のサンタは急な事態にとまどっているけれど……)

男「とにかく逃げよう!」

DQN「チッ! 行くぞ、女!」ダッ

女「うん!」タッ

男「うわ、二人とも足速いな……」タッタッ

80: 2011/12/24(土) 00:25:41.87 ID:rhD47GK10
男「ここまでくればセーフかな……」

DQN「くそっ! 何なんだよ、アイツは!」

女「殺されそうに……なったのかな……」

男「とにかく、一刻も早く家に帰ったほうがいい。あのサンタは二人を狙っているはずだ」

DQN「何でそう言える!?」

男「聞いたことない? サンタの殺害事件。狙われるのは大半がカップルなんだ」

女「うそ……こわ……」

男「DQNくんも帰りな。女さんは僕が家まで送っていくから」

DQN「ああ!? なんでテメエが……!」

女「やめてDQNくん! あのサンタからあたしを助けてくれたのは、男くんだよ」

女「男くんがいなかったらあたし……殺されてた」

DQN「…………」

男「俺でも、逃げるまでの盾くらいにはなれるよ。ここは信じてほしい」

DQN「…………チッ! 女に何かしやがったら承知しねえからなあ!」

84: 2011/12/24(土) 00:31:25.42 ID:rhD47GK10
帰り道

男「……大丈夫? 女さん、肩が震えてるよ」

女「あはは、今思うと怖くなっちゃって……男くんはすごいね」

男「え?」

女「自分が氏ぬかもしれないのに、飛び出していって……」

男「え、ああ」

男(夢中だったから意識していなかったけど、俺も殺されそうだったんだよな……)

女「本当にありがとう」

男「はは、女さんが無事で良かったよ」プルルル

男「……あ、電話だ。ちょっとごめん」

男「なに? ……って母さんか。どうしたの、そんな慌てて」

男「え?」

男「…………嘘だろ…………?」

女「どうしたの? 男くん」

男「……………………男友が、殺された」

86: 2011/12/24(土) 00:34:47.42 ID:rhD47GK10
十二月二十五日 クリスマス 学校

男「…………」

男A「なあ、聞いたかよ……」

男B「ああ、男友だろ……」

男C「……あいつ、良い奴だったのにな」

男D「男友だけじゃない……この近辺で他にも殺されたやつがいるらしいぜ」

男「…………」

男(男友が、殺された)

男「…………っ」

91: 2011/12/24(土) 00:38:55.33 ID:rhD47GK10
男「…………」

男D「男友と一番仲良かったあいつ……いつにも増して暗いぞ」ヒソヒソ

男A「ばか、聞こえるぞ」ヒソヒソ

男「…………」

女「おはよう、男くん」ガララ

男「ああ、おはよう。女さ――じゃなかった。女」

男D「え?」

女「えへへへへ、大好きだよ、男くん」

男A「はあ!?」

男「俺も大好きだよ、女」

男ABCD「はあああ!!?」

94: 2011/12/24(土) 00:42:11.64 ID:rhD47GK10
男「それじゃ、行こうか、女」

女「うん! ダーリン♪」

男D「ちょ! ちょちょちょちょっと待てよ!」

男「……なんだ?」

男D「女さんは隣のクラスのDQNと付き合ってたはずだろ!? なんでお前と……!」

男「俺が告白した。そんで女がOKした。それだけだ」

男A「は? はああ!?」

女「今からDQNにこのラブラブっぷりを見せつけにいくの! えへへ~っ!」

男D「い、意味わかんねえ……」

98: 2011/12/24(土) 00:45:40.31 ID:rhD47GK10
男「よう、DQN」

DQN「あ、男! テメエ、あのあと女に何かしなかっただろう――」

女「ハロー、DQN♪」

DQN「…………は? なんでお前と女が腕組んで……?」

男「付き合うことになったんだ。暖かく見守ってくれよ」

女「ごめんねDQN! 君との付き合いはこれでおしまいっ!」

DQN「う、うそだろ? なあ女。こいつに強要されているだけだろ? なあ!?」

女「そんなわけないでしょー。ダーリン、キス!」

男「…………」チュッ

DQN「…………」

女「……どう? これで信じる気になった?」

101: 2011/12/24(土) 00:49:00.04 ID:rhD47GK10
DQN「て、めえ……!」

男「ああ、DQN。君の元カノって結構股が緩いんだね。中々美味だったよ」

DQN「ふざけんなよ……!」

女「ちょっとー、往生際が……」

DQN「んなの、ありえるわけねえんだ……ありえるわけねえんだよおおおお!!!」ドガッ

女「わわっ! 机蹴らないでよ!」

DQN「男ぉおおおおお!!! 絶対頃す!!!!!!」

男「……ッ」ダッ

DQN「待てやゴミ虫がああああああ!!!!!!」ダダダッ

102: 2011/12/24(土) 00:55:52.43 ID:rhD47GK10
放課後

男「DQNくんはガラスや置物の器物破損、道行く生徒への暴行により、停学」

男「ありがとう、女さん。上手くいったよ」

女「……うん。ねえ、これで本当に良かったの?」

男「……仕方のないことさ。こうしなきゃ……」

男「こうしなきゃ、サンタは俺の方へ襲ってこない」

女「…………」

男「サンタが来る条件は、一人の人間が、あるカップルを頃したいほどに憎むこと」

男「その役目をDQNくんは見事に果たしてくれた」

女「…………」

男「悪いけど、女さん。これで終わりではないよ。今日一日は、僕とカップルのフリをしてもらう」

女「分かってるよ……許せないんでしょ?」

男「ああ、当たり前だろ?」

男「男友を頃した奴を……許せるはずがない。必ず、僕の手でぶっ頃してやる……!!」

103: 2011/12/24(土) 00:59:13.77 ID:rhD47GK10
男「東京だ。東京へ行くよ、女さん」

女「え?」

男「まだサンタが現れていない地域さ。クリスマス、サンタはおそらくここに現れる」

男「俺たちを襲いに来たところを返り討ちだ……!!」

女「…………」

男「……大丈夫。女さんは絶対危険に晒さないよ。約束する」

男「いくらヘタレでも、好きな女の子くらいは命はって守りたいからね」

女「…………」

男「さあ、行こう」

104: 2011/12/24(土) 01:03:25.65 ID:rhD47GK10
東京都 深夜

男「さて、辺りは真っ暗だね。女さん」

女「うん……ここでいいの?」

男「ああ、暗い夜道。不審者が現れるには絶好の舞台だ」

男「そういえば、知ってるかい? クリスマスの夜は、サンタが何人頃すと宣言したか」

女「…………」

男「答えは全員だよ。願ったものを全員叶えてくれるんだ」

男「だから、俺たちのところにも絶対に現れる」

女「…………」

105: 2011/12/24(土) 01:07:22.16 ID:rhD47GK10
男(男友……)

男(俺は未だに信じられないよ。お前が氏んだなんて)

男(あの後、もしも俺が女さんの下へ向かっていなかったら、お前は助かったのかな?)

男(考えてみれば、当然だよな。お前は格好良くて、すごいモテてた)

男(お前が他の女の子と付き合うのを、憎んでいたのがいても、おかしくなかったんだ)

男(女さんが危険なように、お前も危険だった)

男(連絡先を知らないから分からないけれど、多分彼女さんも殺されていると思う)

男(ごめん……本当にごめん)

男(俺はお前に……何一つ恩返しできなかった……っ!)

107: 2011/12/24(土) 01:08:55.47 ID:rhD47GK10
男(俺が償えるとしたら、ただ一つだけ……)

女「ひっ!」

男(お前を頃した奴を……)

サンタ「…………」

男「頃すことだ」

108: 2011/12/24(土) 01:12:41.51 ID:rhD47GK10
男「よお、サンタさん。本当にその格好で現れるんだな」

サンタ「…………」

男「アンタは俺にどんなプレゼントをくれるんだ?」

サンタ「…………」

男「でも、悪いな。もうプレゼントを貰う齢でもねえんだ」

サンタ「…………」

男「逆にこっちからやるよ。赤い赤い、血を見せてやる」サッ

女「それ……ナイフ……!」

サンタ「…………」

男「いくぞぉおおおおおお!!!!!」

サンタ「………………ふふっ」

109: 2011/12/24(土) 01:15:41.18 ID:rhD47GK10
男「!?」ピタッ

女「え……?」

サンタ「だめだ、つい笑いが出ちまった」

男「な……っ!」

サンタ「男ぉ。やっぱお前には、そういう主人公みたいなセリフ似合わねえよ」

女「どういうこと……!?」

サンタ「ま、そう言う俺にも、帽子やヒゲは似合わないだろうけどな」

男「嘘だろ……っ!?」


男友「嘘でも何でもない。俺がサンタだよ、男」


 

112: 2011/12/24(土) 01:19:36.06 ID:rhD47GK10
男「…………なんで」

男友「あー、話すと面倒くせえなあ」

女「男友くん、亡くなったんじゃ……!!」

男友「縁起でもないこと言うなよ。まあ、そうし立てたのは俺なんだが」

男「説明しろよ……男友」

男友「はあ~、仕方ねえなあ。まあ、なんつーか、俺頃したいやつがいたわけよ」

男「なに……?」

男友「いや、つーか、頃しちゃったんだけど……俺の彼女」

男「は……?」

114: 2011/12/24(土) 01:24:27.75 ID:rhD47GK10
男友「聞いてくれよ、男。俺の彼女なあ、超清楚系なわけ」

男友「そんな娘と遊んでてさ、家に行ったとき、彼女がトイレに行ったわけよ」

男友「んで鳴り出す携帯。俺のじゃなくて彼女のな。まあ、なんつーか、これは俺が悪いんだが、つい見ちまったわけさ」

男友「そしたら画面に男の名前が現れるんだもん。俺はびっくり」

男友「幸い、ロックとかかかっていなかったから見たら……ま、浮気だったわけね」

男友「つっても、夫婦じゃないんだ。それくらいカップルにはつきものだろう。でも、そこからが笑えなかった」

男友「他にも何か隠し事あるんじゃないかって調べたら……なんと他にも男がいたわけよ」

男友「さすがの俺も驚いたね~。だって六股だよ? 六股。どんだけ股開けば気がすむんだっての」

115: 2011/12/24(土) 01:29:25.53 ID:rhD47GK10
男友「しかも、扱いが格段に違う。本気のやつと遊びのやつ、それがはっきりと分かる内容だったよ」

男友「なあ男? 俺はどっちだったと思う?」

男友「何年間も思い続けて、彼女のためにいろんなことをやって、失ったり、傷ついたりして……そんな俺が遊びだと思うか?」

男「……知らねえよ」

男友「遊びだったんだよぉぉおおおッッ!!!!」

女「ひっ!」ビクッ

男友「許せなかった。初めて人を頃したいほど憎んだ。というかまあ頃したわけだが」

男友「丁度季節も冬で、クリスマスだったから……サンタクロースを利用してな」

男「……待てよ、男友」

男友「あん?」

男「お前が彼女を憎んでいたのは分かった。でも、サンタ事件にはどうやってもお前だけじゃ実現不可能な部分がある」

117: 2011/12/24(土) 01:42:22.29 ID:rhD47GK10
男「まず、お前が言っていた……インターネットで殺害予告をすると警察に捕まるという部分だ」

男友「…………」

男「こればっかりはどうやっても逃れることなんかできない。お前はサンタクロースなんかじゃなく、人間なんだから」

男「次に、各地で起きている氏亡事件だ。お前は彼女を頃すことが目的だったとしたら、何故こんな回りくどいことをした? しかも、もしお前がやったとしたら、時間が……」

男友「それらに対しては簡単な話しだよ、男」

男友「サンタクロースがプレゼントを一人で運ぶなんて、可哀想だと思わないか? 実に大変なことだ」

男友「だから、複数で行った。男、サンタは俺一人じゃないんだよ」

男友「インターネットってのは便利なもんでね。俺と似た境遇のやつが簡単に見つかった」

男友「アイツを頃したい。絶対に許せない」

男友「境遇が似ていただけで、奴ら、頭は完全にいかれていたがな」

男友「そいつらと協力して、地域分担をしたんだ。何県はここ、何県はここ、ってな」

男友「ちなみに言うなら、あの殺害予告の人数なんてまるっきし嘘っぱちだ。それぞれが、決められた日に、己の恨んでいる人物を頃す」

男友「無論、人の願いを聞き入れて、そいつの望む人物を頃すことなんてない」

118: 2011/12/24(土) 01:48:43.31 ID:rhD47GK10
男「だとしても! インターネットに書き込んだ奴は捕まって――」

男友「ああ、捕まったよ?」

男「なっ……!?」

男友「馬鹿なやつでさ。ネットに弱いせいで、こういうことしちゃいけないの知らなかったらしい」

男「お前……!」

男友「さて、話はこのくらいでいいかい?」

女「待って! ならあなたは何で、昨日あたしを殺そうとしたの!?」

男「っ、そうだ! お前に女さんを殺そうとする理由が……」

男友「はあ~、面倒くさいなあ。だから言ってんじゃん。サンタは一人じゃないって」

男友「ほら、君たちの後ろにもいるよ?」

男「っ!?」バッ

DQN女「動かないで」

DQN女「動いたら、こいつを頃すわよ」

女「ひっ……!」

男「女さん!!」

119: 2011/12/24(土) 01:52:51.36 ID:rhD47GK10
男「なんでお前が……!」

DQN女「昨日この女を殺そうとしたのは私よ」

女「どういう……こと……?」

男友「いやあ、女さんのことをすごく恨んでいてね、彼女。俺の計画を話したら、すぐに乗ってくれたよ」

男友「そんで、俺も昨日女さんを頃す計画を手伝うつもりだったんだけど……少し手間取ってね、手伝えなかったんだ」

男友「だからこうして今、君たちの前に立っているんだよ」

男「ふざけんなッ!!」

男友「夜中に騒いじゃいけないよ。大丈夫、男を頃すつもりなんてない」

男友「頃すのは……女さんだけさ」

122: 2011/12/24(土) 01:56:46.44 ID:rhD47GK10
女「やめて……お願い、やめてぇ……!」

男友「ははは、ここにきて命乞いかい? ま、女さんに罪がないといえばないけどさ」

男友「ただ好きな男子に告白して、OK貰っただけだもんね」

DQN女「おしゃべりが長いよ。もう終わりにしよう」

男「ッ! やめろ!!」スッ!

男友「今更ナイフで威嚇なんて無理だよ。そんなんで止まるくらいなら、DQN女はここに来ていない」

男友「終わりさ」

女「…………ッ!!」


DQN「終わるのはどっちだカスども」

127: 2011/12/24(土) 02:07:03.72 ID:rhD47GK10
DQN女「なっ!」

DQN「悪いが、このナイフは預からせてもらうぜ」ザッ

女「た、助かったぁ……っ!」

男友「……なに? 何故、DQNがここにいる……!」

男「サンタが来る条件は相手を憎むことだったな」

男友「…………」

男「元から俺は、本当にサンタクロースなんているとは思っていなかったよ」

男「男友、お前がそうだったようにね」

男「女さんは昨日命を狙われた。サンタのルールで言うなら、それはつまり女さんを憎んだものがいるということだ」

男「それを確認できるのはおそらく学校にいる人物だけ。だから俺はあくまでルールに則って、DQNくんに俺を憎ませた」

男「まあ、そんなことしなくてもお前らは女さんを頃しに来たんだろうが、一応ルール通りのことをしたわけだ」

男「でもさ、お前たち、本当に信じていたのか? 親友が氏んだ翌日に彼女作ってハッピーになってるなんて」

129: 2011/12/24(土) 02:14:54.42 ID:rhD47GK10
女「男友くんが亡くなったって聞いた後、男くんと話しあったの」

女「DQNを一時騙すことになるけど、彼女のふりをして、あくまでもサンタのルールに従おう」

女「その後、DQNに訳を話して、力になってもらおう」

男「さすがにこんな貧弱な肉体で、サンタに勝てるなんて俺は思っちゃいないよ」

男「サンタが普通の人間であることを予想して、計画したんだ。DQNくんが助けに来る確立なんて〇パーセントと思わせようってね」

男「それにサンタのルールに従ったのだと思わせれば、こんな変なことしても不自然じゃない」

男友「…………」

DQN「悪いが既に警察は呼んでいる。反抗しても無駄だぜ」

男「なあ、男友……!」

男友「うああ……あああああああああああああッ!!!」ダダダッ

男「あっ、おい!!」

DQN「こっちは任せろ! お前はアイツを追え!」

男「……うん、頼んだ!」タッ

130: 2011/12/24(土) 02:17:59.16 ID:rhD47GK10
男「おい待てよ! 男友!!」タタタッ

男友「…………」ピタ

男「…………たとえどんなに人を憎んだとしても、頃していいとは思わない」

男友「……黙れ」

男「自首をしよう? これ以上、道を誤る必要なんてない」

男友「黙れ!!!」

男「黙らないよッ!!!」

男「なあ、俺は何でここにいる? 俺がここにいるのはお前のせいだって分からないのか?」

132: 2011/12/24(土) 02:24:01.32 ID:rhD47GK10
男「俺はクラスでも浮きがちだった。だから噂話なんて特に弱い」

男「お前がサンタの話を教えたから、部外者である俺がここにいるんだ」

男「今思い返しても、俺に教える必要なんてどこにもない」

男「なあ? お前は止めて欲しかったんじゃないのか?」

男友「…………」

男「たとえ浮気されても諦められなかった彼女。彼女を頃すことを、止めて欲しかったんじゃないのか!?」

男友「……………………そうかもしれないな」

男友「だから、男……見逃してくれよ」

男「なに……?」

男友「お前は一番の親友だろ!? 頼む見逃してくれよ!! 俺は頃す気なんてなかったんだ! でも止められなくて! 止まらなくて!!」

男「…………最後に一つだけ聞かせてくれ」

男「お前、昨日DQN女を手伝うつもりが、とまどったって言っていたよな」

男「何にとまどったんだ?」

男「そして、お前は氏んだことになっている。つまり見つかった氏体はお前じゃない」

男「氏体は、誰で、何故氏んでいるんだ?」

134: 2011/12/24(土) 02:31:28.76 ID:rhD47GK10
数日後

DQN女は警察に捕まり、殺人未遂として逮捕された。しかし、女とDQNの証言により、その罪は軽いものと見なされ、少年院は少しで出られるという。
女とDQNは別れた。別れはDQNの方から切り出したらしい。やはり彼にも、DQN女に対する罪の意識が少しはあったのだろうか。
その後の俺の学校生活は対して変わらなかった。ただ、毎日明るく話しかけてきたアイツがいなくなっただけで……。

男友は警察には捕まらなかった。しかし、どこか俺の知らないところで生きているわけでもない。
男友はその前日に氏んだのだから、捕まるわけも、生きているわけもない。
あの後、しまっている踏切に飛び出し、電車と接触したのは、きっと彼ではないのだろう。

最後の問いに対する答えは、返してもらっていないのだから。


おわり

136: 2011/12/24(土) 02:33:15.84
シリアスな感じ
おつ!

138: 2011/12/24(土) 02:35:35.27
最後よくわからんが乙!

引用元: カップル女「ちょっと何よアンタ!?」サンタ「ふぉっふぉっふぉっ」