1: 2015/10/27(火) 22:22:23.988 ID:UrtFlb2S0
中川「はい。自白剤の亜種みたいなものですが偶然ウチの研究所で生まれてしまったのですが…」

両津「そんな物騒なモン持ち歩くんじゃねぇよ、そんな事よりワシは奥に隠れるから部長が来たら」

部長「ソレを貸しなさい中川君」

両津「げぇ!部長!!」

部長「お前というヤツは!警視総監直々の指名を断るつもりか!!」

両津「嫌に決まってるでしょう!誰が好き好んでアフリカなんぞにいかにゃならんのですか!!」


6: 2015/10/27(火) 22:27:50.496 ID:UrtFlb2S0
麗子「両ちゃんアフリカに行くの?」

両津「誰が行くもんか、大体一ヶ月もアフリカにいてみろ。再来週に控えたロボコンにだな」

プスッ

両津「」

部長「効果はどれくらい続くんだ?」

中川「えーっと…丸一日くらいでしょうか」

両津「『いやぁ、助かりますよ部長』(何て事してくれたんですか部長!!)」ペコペコ

両津「!?!?」

部長「成る程。効いているようだな」

両津「『中川君、君が持ってきてくれたお陰で自分に素直になれそうだよ』(中川君テメェこの野郎!お前がそんな薬持ってきたせいでこっちはヘンテコな事喋らされ出るんだぞコルァ!!)」

両津「!?!?」

麗子「なんだか…綺麗すぎて気持ち悪いわ」

9: 2015/10/27(火) 22:31:44.685 ID:UrtFlb2S0
両津「………」

中川「急に喋らなくなりましたね」

部長「反対の事をする…という事は、このバカはめちゃくちゃに叫びたいようだな」ポカッ

両津「『気持ちイィッ』(痛い!!)」

部長「うおっ、気持ち悪い」

両津「『部長のお陰ですよ!』(部長のせいでしょう!!)」

部長「じゃあ両津君。日本警官初のアフリカでボランティア計画第1号、やってくれるね?」ニッコリ

両津「『はい、喜んで!!』(嫌です、絶対嫌です!!)」

10: 2015/10/27(火) 22:37:36.404 ID:UrtFlb2S0
翌日


両津「お前のせいだぞ中川ァ!」

中川「いやぁ、すみません」thpr

両津「…結局明日からワシはアフリカでタダ働きだ……しかも丸々1ヶ月とは…」

麗子「いいじゃない。世界に目を向ける事もボランティアする事め人生を豊かにするわよ」

両津「お前らみたいな金持ちとワシら貧乏人は違うんだよ!ボランティアなんぞする余力があればバイトをする!!」

中川「まぁまぁ。お詫びというわけではないですが、先輩が帰ってきたら何でも奢りますよ」

両津「本当か?」ガタッ

中川「えぇ、食事限定で」

両津「食事限定……ぐ、まぁいい。約束だからな!」

両津(世界で1番高いメシを100杯は食ってやる。覚えておけよ中川!)

中川(派出所で暴れられるよりマシか…)

12: 2015/10/27(火) 22:50:21.535 ID:UrtFlb2S0
翌日の朝

両津「なんでワシがこんな目に…ブツブツ」

部長「日頃社会に迷惑をかけた分のツケだぞ両津頑張ってこい!」

両津「部長~!!」

署長「頑張ってくれ給え、1号君!」

両津「チクショー~!覚えてろ~~!!!」




両津「……いったい何時間かかるんだ?」

両津「……」

両津「………ボランティア先の資料でも見ておくか。クソッ、漫画でも持ってくればよかった!」

15: 2015/10/27(火) 23:04:44.943 ID:UrtFlb2S0
両津「……ポリオワクチンあぁん?何だこれは」ズイッ

両津「小児麻痺…はしかとおたふくかぜのワクチンまであるのか」

両津(ううむ、金になりそうな………ん?)

>世界ではいまだに1日約4,000人の子どもたちが、ワクチンが無いために命を落としています。

両津「4000人だと?2日で4000…1週間で28.000人!?どうしてこんなに氏ぬんだ……!?」






両津「……………そうだったのか。ワシは何度も自分の家が貧乏だった事を悩んだが、小さい事だったんだな…!」

16: 2015/10/27(火) 23:09:57.802 ID:UrtFlb2S0
両津「………」

>ポリオワクチン1人分...20円

>経口補水液15人分...100円

>>>1錠で水を4.5L綺麗にできる薬192錠...100円



両津「水を4.5Lも綺麗にする事ができる薬が約200錠で100円だと!1錠を100円…いや50円で日本で売るとしたら……」

両津「………」

両津「ワシの100円が10000円に!!……はならんかな。流石に日本は水が綺麗……な…」

両津(どうして水を綺麗にする薬なんぞ必要なんだ?水道から水くらい飲めるんじゃないのか??)

18: 2015/10/27(火) 23:13:58.015 ID:UrtFlb2S0
両津「泥水だと!!!!!!!!!!!!!」


両津「どうしてこんな子供に泥水なんか飲ませるんだ馬鹿な親め!!!虐待だぞキサマ!!」


両津「……なに?『水は茶色いものだと思っている』…だと?」


両津「…………ワシが行く国は…いったいどんなところなんだ」




中川「先輩、大丈夫でしょうか」

部長「アフリカゾウより頑丈だから大丈夫だろう」

麗子「そうだといいけど…」

19: 2015/10/27(火) 23:19:11.742 ID:UrtFlb2S0
ウェェェーーーン


ウェェェーーーン


両津「おい子供が泣いてるぞ」

ボランティア「…………」

両津「…最近の若者は……まったく」


両津「よしよし、大丈夫か」

子供「」

両津「!?おい、しっかりしろ!」ユサユサ

子供「」

両津「……!?!?」



ボランティア「………」

21: 2015/10/27(火) 23:23:31.527 ID:UrtFlb2S0
両津「どうなっとるんだ!さっきまでこの医療用ベットで泣いてただろうが!」

ボランティア「……ペラペーラ」

両津「外人か…おい、誰かワシと同じ日本人はいるか!!」

ボランティアB「自分、日本人ですけど」

両津「これは何だ、どうなっとるんだ!数秒前には泣き声を上げてた子供が今はもう息をしてないだろうが!!」

ボランティア「ペラペラ」

ボランティアB「ハァ…なるほど」

両津「何だ」

ボランティアB「どうやらその子は手遅れだったみたいです。どうやら肺炎の末期だったみたいで…」

ガッ

ボランティアB「ひぃっ!?」




両津「ふざけるんじゃない!!!!!!!!」

24: 2015/10/27(火) 23:30:28.882 ID:UrtFlb2S0
ザワザワ

ボランティアB「ちょ…声が大きいですって。ここには子供から大人まで居るんですよ、国際的に日本人は静かなイメージが」

両津「ばかもん!!!これは命の問題なんだぞ!!」

ボランティアB「そりゃそうでしょうけど…」

両津「この子を見ろ!どうみても、片手で数えるぐらいしか歳をとってないはずだ!」

ボランティアB「はぁ…」

両津「いいか!ワシがこのくらいの時は元気に外を走り回ってたぞ!!お前もそうだろうが!!」

ボランティアB「はぁ…」

両津「こんな子供が毎日4000人、4000人だぞ!毎日氏んどるんだ!どうしてそんなに平気でいられるんだ!!!!」



ボランティアB「じゃあ聞きますけど…その4000人、どうにかできるんですか」

両津「なに…?」



ボランティアB「その毎日氏んでる子供4000人、あなたにどうにかできるんですか?」

26: 2015/10/27(火) 23:39:10.355 ID:UrtFlb2S0
両津「どうにか…だと?」

ボランティアB「ね、無理でしょう?ここにいるボランティア全員が頑張った所でそんな数助けられるわけないじゃないですか」

ボランティア「「「……」」」


ボランティアB「助けられるようなら助けたいですよそりゃあ。でも、自分らにはそんな事できない。神様じゃないんですから。助けられる命は選別するしかないんです。少しでも生きる確率が高いなら助けて、低いなら見捨てるしか……」



バキィッッ


両津「……命の選別なんて、それこそ神様みたいな言い方しやがって…キサマ」ポキポキ

ボランティアB「な、何を…」

両津「いいかこら!氏んでも”命を見捨てる”なんて言葉を使うんじゃあない!!!!」

ボランティアB「で、でも自分らみたいな一介のボランティアにはそんな責任の無い事…」

両津「命を選別するなんて事が1番無責任だ!いいか、よく聞けおまえら!!外人なら翻訳に聞け!!!!」

27: 2015/10/27(火) 23:41:02.127 ID:UrtFlb2S0
ザワザワ


ボランティアB「ちょ、ちょっと……」



両津「ワシが、なんとかしてやる」




ザワザワ


両津「おい、この中で1番体が弱ってる子供は誰だ。聞け」


ボランティアB「えぇ…?」

32: 2015/10/27(火) 23:43:49.809 ID:UrtFlb2S0
ボランティアB「ペラペラ」

ボランティア「ペラペラ」

ボランティアB「……奥から3番目の女の子だそうです」

両津「そうか」


ズンズン

女の子「………?」

両津「おい、お前翻訳しろ」

ボランティアB「え…すんません、現地語はちょっと…」

両津「なら現地語が話せるやつを読んできてお前がそいつに言わせろ、いいな」

ボランティアB「もう……はぁ」

33: 2015/10/27(火) 23:49:30.113 ID:UrtFlb2S0
女の子「……??…?」

両津「…ほっそい手だな……ワシの何分の1だ?まったく…」

ボランティアB「ペラペラ」

ボランティアD「ペラペラ」

両津「名前はなんて言うんだ」

ボランティアB「ペラペラ」

ボランティアD「ペラペラ」

女の子「………、」

ボランティアD「ペラペラ」

ボランティアB「……ラドンナ、らしいです」

両津「…いいかラドンナちゃん、ワシがこの国を、いや、この世界からラドンナちゃんみたいに苦しい思いをする事が無いようにしてやる。ラドンナちゃんもきっと良くしてやる!それまで、ふんばれ。いいな!」

ボランティアB「ペラペラ」

ボランティアD「ペラペラ」

ラドンナ「…………、」

35: 2015/10/27(火) 23:52:59.564 ID:UrtFlb2S0
ボランティアD「ペラペラ」

ボランティアB「そんなことできるの?だそうです。…ねぇ、もうやめません?こんな無責任なことやめましょうよ」

両津「馬鹿を言え。ワシはやると言ったらやる男だ。……なぁに、すぐだ。すぐその時は来る。ワシを信じろ!」ニカッ


ラドンナ「……」ニコッ

両津「お、伝わったかな」

ボランティアB「まさか。……いや。まさかねぇ」


両津「よし…そうと決まれば……」

ボランティアB「どこに行くんです?」

両津「日本に帰る」

ボランティアB「はぁ!?」

37: 2015/10/27(火) 23:56:27.810 ID:UrtFlb2S0
派出所


両津「よう」

中川「先輩!?まだ1週間ですよ!!?」

両津「そんな事はどうでもいいんだよ。それでな、ちっと話があるんだが」

中川「…食事ですか?いいですけど、どうしてこんな早く」

両津「メシなんざどうでもいい。ワシは…頭がいいわけじゃ無い、だから幾つか知恵をだな」


部長「両津が帰ってきただと!?」


両津「あ部長、お久しぶりです」

部長「お久しぶりじゃない馬鹿者!」ポカッ

39: 2015/10/28(水) 00:02:21.801 ID:2B5YzwSI0
両津「いてぇっ」

部長「署長も熱を出して寝込んでしまった!本計画警察官第1号のお前が早々に逃げてきてどうするんだこの恥晒しめが!」

両津「いやぁ、やりたい事ができちゃって」

部長「まさか…ロボコンなどと言うつもりじゃないだろうな」

両津「そんな事はないです。断じて……少し研究を」


部長「氏ねこのバカ!」ポカッ

両津「…」

部長「キサマの研究なんて所詮アニメかゲームの話だろうが!そんな事より今からアフリカに飛んですぐに…」


バキッ


部長「ぐはぁっ?!」

中川「せ、先輩!?」

42: 2015/10/28(水) 00:05:32.554 ID:2B5YzwSI0
部長「りょぉおぉおぉうつぅぅぅぅゥウーーー!!!!!!!!私に手を挙げるとはいい度きょ」




両津「『氏ね』なんて簡単に言うんじゃ無いこの馬鹿者!!!!!!!!!」グイッ



部長「な、なんだと…」

中川「先輩!落ち着いて!」

両津「………ワシはしばらく休職する。部長、熱くなってすみません」カランカラン

中川「先輩!」



麗子「あら?今、もしかして両ちゃんが来てた?」

部長「なんだあいつは……一体何があったんだ」

中川「さぁ……?」

44: 2015/10/28(水) 00:11:40.203 ID:2B5YzwSI0
某大学

両津「ジョニーを呼んでくれ、ワシが来たといえばわかる」


某社

両津「電極を呼べ、ワシが来たといえばわかる」


某所

両津「ワシが来たといえば…」









.

45: 2015/10/28(水) 00:15:14.477 ID:2B5YzwSI0
ザワザワ

「なんだこの面子は」

「…両さんの人脈はどうなってるんだ?」

「さぁ…」

「お、両さんが来たぞ」


両津「今回集まってもらったのは他でも無い。ワシから、頼みがある」

ザワザワ

「頼み?」

「またか…」


両津「今回は大真面目だ。ワシはやらねばならん事がある、それに協力してもらいたい」

「協力?」

両津「見返りは渡す。ワシの宝全部をやる、そしてワシの目標が達成できた時、”皆さん”の名誉も保証する」

46: 2015/10/28(水) 00:18:30.596 ID:2B5YzwSI0
ザワザワ

「名誉って言ってもなぁ」

「両さんの宝物って……1番ドックを解放してくれるのか?」

「いや、騙されるな、そんなうまい話が…」


両津「頼む。この通りだ」ザッ

「おいおい…」

「どうなってるんだ?」

「あの両さんが土下座……?!」

「そんなに真面目な事なのか…?」




両津「……今のワシには頭をさげることしかできん。今までのワシの行動を振り返ってもそうだ。だが、その上で、ワシに協力してもらえないだろうか」

50: 2015/10/28(水) 00:27:43.594 ID:2B5YzwSI0
「両さんの目的とやらは一体何ですか」


両津「…プラス」

+「両さんがそこまでする内容が気になる。と、父が電話越しに言ってるので」

両津「………ワシは」

51: 2015/10/28(水) 00:28:13.870 ID:2B5YzwSI0
「そんな事ができるのか…?」

「予算の問題もあるな、一から研究となると施設や研究員も」

「だがこれが成功したら確かに協力しておけば名誉間違いなしだ」

「でも、両さんだろ?」

「まて、両さんならやれるかもしれない」

「確かに。やると言ったらやるのが両さんだもんな」

「多少のリスクはありますが、後の事を考えると確かに悪い話ではないと思います」

「よし、俺はやるぞ!」

「私も」

「自分も!!」


両津「………ありがとう…ありがとう……っ!」

両津(待ってろよ…ラドンナちゃん)

56: 2015/10/28(水) 00:35:35.852 ID:2B5YzwSI0
1ヶ月後


部長「あの馬鹿はまだ帰ってこんのか!」イライラ

中川「風の噂によると、本格的に何かを研究しているようですが…」

麗子「圭ちゃんも知らないの?」

中川「えぇ、先輩の人脈でかなり大物ばかりが集まって協力・融資をしているようなのですが……研究内容は超極秘らしく、僕でさえ噂程度にしか…」

部長「ヤツの人脈はどうなっとるんだ…」



TV『緊急ニュースです。『チームPYO-2』と名乗る研究チームが驚きの発明をしました』

丸井「これ両さんじゃないか!?」

部長「なんだと!?」

中川「テレビに出てるんですか?」

麗子「…ヒゲが伸びっぱなしだけど、確かに両ちゃんだわ」

60: 2015/10/28(水) 00:48:54.476 ID:2B5YzwSI0
TV『《両津「………我々が研究していたのは…『砂漠や荒れた大地に緑をすぐに蘇らせる方法』と『湖ほどの水を瞬時に浄化する事のできる方法』、そして『どんな難病でもたちどころに治療できる方法』の3つです。
それら全ての課題を解決し、実写試験もクリア。そして、現実にできるものとした事を… ここに報告します》」

TV『なお、この発明には数多くの有名企業・大学教授・著名人が協力しており…このまま記者会見場から実況でお伝えします』

中川「先輩…そんな事を、していたんですか」

麗子「でも…それが本当なら社会問題になるわよ。色んな企業、医師会からも非難の声があがると思うわ。特に、『どんな難病でもたちどころに治療できる方法』なんて…」

部長「…………」





会場

両津「……で、あるからして………我々の開発したX薬品は…」

両津(………)

両津「……この、方法では…」

61: 2015/10/28(水) 00:53:00.654 ID:2B5YzwSI0
記者A「よろしいでしょうか」

両津「…どうぞ」

記者A「これらが事実だとすると、大変な発明をしてしまったようです。経済には大きな利益をもたらすか、むしろ打撃を受ける事も……どちらにせよ、大きな変化が想定されます。それについてはどうお考」

両津「何も考えて……ません…」

記者A「は?」

両津「何故なら……………」ドサッ



ザワザワ


記者B「男性が倒れました!チームメンバーが駆け寄っています!」


.

62: 2015/10/28(水) 00:54:56.219 ID:2B5YzwSI0
派出所

部長「おい!両津!」

中川「僕たちも向かいましょう!この会場はここから比較的近いビルで行われているみたいです!」

麗子「私、今日は自分の車で来てるわ。使って!」

中川「ありがとう。麗子さんは?」

麗子「みんな行くわけにはいかないじゃない。ここでお留守番…」

丸井「待って、両さんが起き上がったよ!」

中川「何だって!?」

65: 2015/10/28(水) 01:04:42.025 ID:2B5YzwSI0
両津『そんなもの、くそくらえ……だ。ワシの知ったところではない』

記者A『…そうはいいますがね、これは重大な問題ですよ。仮にいくつもの企業が破産するような事態に陥ったら日本…いや世界経済が傾く事も……』

両津『世界のどこかで…今も年端のいかない子供が飢え、病におかされて氏んでいるんだぞ…そんな事態を見て見ぬ振りして…』

記者A『え?』


ツカツカ


記者A『な、何を』

両津『ワシらは同じ人間だ……ワシらより何十歳も歳下の子供達の、子供たちの消えていく命を知らぬ存ぜぬじゃとうらんだろうが』グイッ

記者A『ひ…』

69: 2015/10/28(水) 01:12:13.937 ID:2B5YzwSI0
両津『経済がなんだ、かかってこい!!子供の命を救えないで成り立つ経済なら倒れろ!!そもそもワシら大人がそんな状況に目を向けずにのうのうと生きていたという事が大間違いなんだぞ、こらァ!!!!!』






記者A『は、はなせ…』

両津『いいか!国も人種も関係ない!!ワシらは大人で、苦しんでいるのは子供だ!いや、子供だけじゃない、老人もワシらと同じ大人も苦しんでるんだぞ!ワシは助ける。助けてみせると約束したんだ、誰にも邪魔はさせん!!』


部長「両津…」


両津『ラドンナちゃん、見てるか!ワシは約束を守ったぞ!今から薬を届けてやるか………………』ドサッ

71: 2015/10/28(水) 01:16:02.105 ID:2B5YzwSI0
記者B『男性がまた倒れました!』

『両津!しっかりしろ!……よし、寝てるだけだな。おい、両津を運べ』

『はい』

記者A『……』

『彼はここ1ヶ月まともに寝ないで研究に没頭していたので、ここで力尽きてしまったようです。彼の意見も若干破綻したように聞こえたかもしれませんので改めて説明致します。そもそも世界中で病に苦しむ……』




中川「………部長」

部長「……あのバカを叩き起こすのは今度にしておこう。本当にまともに寝ていないようだ、馬鹿なことばかり言いおって…」

72: 2015/10/28(水) 01:20:02.799 ID:2B5YzwSI0
翌日



中川「えぇっ!?もうアフリカですか!?…わかりました、はい。失礼します」

麗子「どうしたの?」

中川「それが…先輩があの後10時間くらい寝てから飛び起きてアフリカに新薬を持って行っちゃったらしいんだ」

麗子「それは……大丈夫なの?」

中川「いや…あまり大丈夫ではないかな。でも先輩ならなんとしてでも持って行っただろうし…」

部長「そうか…」


prrrrrr


中川「国際電話?……もしもし」

両津『…ワシだ』

中川「先輩!?」

74: 2015/10/28(水) 01:23:52.510 ID:2B5YzwSI0
麗子「両ちゃん!?」

部長「何!?」

両津『頼みがある。中川』

中川「は、はい。なんでしょう」

両津『今すぐ、今すぐあの薬を届けてくれ。例の【本音と反対の行動をしてしまう薬】だ』

中川「え……分かりました。すぐに手配…いえ、持っていきます!!」

麗子「……」チラッ

部長「…中川君。少しだけ変わってくれ」

中川「…どうぞ」

部長「………両津か」

両津『あぁ……部長ですか。お久しぶりです、それと先日はどうもすみませ』

75: 2015/10/28(水) 01:28:41.151 ID:2B5YzwSI0
部長「すまなかった」

両津『えっ』

部長「それだけだ。早く帰って来い、仕事は山積みだ」

両津『……』

中川「……では、今から向かいますので。自家用機で直行します。今日の夜までには着いてみせます」

両津『あぁ……頼む』




麗子「どうしてよりによってあの薬を…」

中川「先輩の開発した新薬の方がよっぽど価値があると思うんだけど……それでも必要なんだ、届けてくるよ」

麗子「えぇ…気をつけてね」

76: 2015/10/28(水) 01:32:01.730 ID:2B5YzwSI0
現地・夜


中川「ペラペラ」

ボランティア「ペラペラ」スッ

中川「…!先輩、探しましたよ!」


両津「……中川か、すまんな。また借りを作ってしまった」

中川「どうしたんですか、その顔」

両津「目に埃が入った……早速だがあの薬をくれ」

中川「あ、ここにあります」

パシッ

グイッ

両津「………」グビグビ

中川「先輩、流石に一気に飲むのは…」

78: 2015/10/28(水) 01:35:09.075 ID:2B5YzwSI0
両津「………わ……はは」



中川「先輩?」

両津「わははははははははははははは!!!!!!」

中川「先輩…!?」

両津「わははははは!!!がーーっはっはっは!!!」ダッ




ボランティアB「あの、すみません」

中川「え?あ、はい」

ボランティアB「両さんのお知り合いの方ですか?」

中川「え、えぇ。変な話なんですが、【本音と反対の行動をする薬】を届けてくれと言われて…」

ボランティアB「……そう、ですか」

79: 2015/10/28(水) 01:37:38.783 ID:2B5YzwSI0
ボランティア「「「……」」」

ボランティアB「ペラペラ」


ボランティア「「「……!」」」


ザワザワ


中川「……何があったんですか?」

ボランティアB「両さんは…ラドンナという女の子に約束して、日本に帰って行ったんです」

中川「テレビでもその名前を言ってました…その女の子は?」

83: 2015/10/28(水) 01:42:56.839 ID:2B5YzwSI0
ボランティアB「ネットにその日のうちにアップされていた、両さんが日本で記者会見をした時の映像を見た直後に、病状が悪化して……そのまま」


中川「………そんな…」


ボランティアB「自分は聞いてないんですけど、ラドンナちゃんが、女性ボランティアの方に『両さんに、ありがとうって伝えて』って言って息を引き取ったらしいんです」

中川「………」

ボランティアB「両さんがこっちに着いた時に、その話をしたんですけど、それでも両さんは薬を飲ませようとしたんです。『ワシが絶対に治すと約束したんだ!』って叫びながら薬をきれいな水に溶かして口に流し込んで……」

中川「………そうですか」

84: 2015/10/28(水) 01:44:46.808 ID:2B5YzwSI0
両津「わははははははははははははは!!!」ダダダダダッ


両津「わっはっはっはっはっは!!!!!」


両津「はーっはっは………!!!」ズビッ


両津(ワシは……ワシは…!)



両津「わーーーっはっはっはっはっはっはっは!!!!!」

86: 2015/10/28(水) 01:45:26.823 ID:2B5YzwSI0



満足しました
みてくれてありがたう
おやすみ

95: 2015/10/28(水) 02:01:03.146 ID:2B5YzwSI0
ごめん野菜
最初からこのビジョンしかなくて

勢いでやった後悔はしてない

98: 2015/10/28(水) 03:00:44.763
かなしい

引用元: 両津「何?本音と反対の行動をしてしまう薬だと?」