1: 2012/01/04(水) 23:33:06.11 ID:6rMMrBhn0
キョン「付き合うようになってどれくらいだ?」

ハルヒ「高2からだから…大体2年かな?」

キョン「…よく続いてるよな」

ハルヒ「何度か別れそうになったけどね」

キョン「ああ、すっげえ大喧嘩して…本当に大変だったな…」

ハルヒ「今となればお笑い話だけど。」

キョン「全くだ…」

5: 2012/01/04(水) 23:42:50.80 ID:6rMMrBhn0
ハルヒ「喧嘩の原因っても、殆どがあたしの我儘っだった」

キョン「ああ。無理難題言って来たり、暴走して人様に迷惑かけたりな。
    あとで謝りに行ったり、何とかしようとした俺と古泉の事を少しは
    労って欲しいもんだったぜ」

ハルヒ「しょーがないでしょ…あの時のあたしは夢を追いかける少女だったんだから。
    多少の暴走はつき物よ」

キョン「ほら、そーやって自分勝手な発言ばっかしてるとまた…」

ハルヒ「…ごめん」

8: 2012/01/04(水) 23:50:30.88 ID:6rMMrBhn0
キョン「んで?今日はどうすんだ?」

ハルヒ「ん~…気になってる映画見に行って…ウィンドウショッピングして…」

キョン「大学入って行動範囲広くなった割にはさして高校時代と変わんないのな」

ハルヒ「いいじゃない。どこに行ったかなんてよりもどういう時間を過ごしたかのほうが
    重要でしょ。お金かけて、無理して行った先が大したところじゃなかったら骨折り損の
    草臥れ儲けだわ」

キョン「若干意味違くないか?…だが、ごもっともだ」

9: 2012/01/04(水) 23:54:50.61 ID:6rMMrBhn0
キョン「…さて、もう予定時間を過ぎているんだが…遅いな」

ハルヒ「ほんと。高校卒業してから急にズボラになって…一体何があったのかしら」

キョン(俺にはなんとなく分かるけどな)

キョン「っと、そんなこと言ってる間に来たみたいだぜ?」

ハルヒ「…あ、ほんと」

12: 2012/01/05(木) 00:01:41.15 ID:6rMMrBhn0
バタン

古泉「いやあ、すみません。お待たせしてしまったようでs」

ハルヒ「遅い、罰金!!」

キョン「同感だ。最後に来るならまだしも、集合時間に10分も遅れてくるとは…」

古泉「すみません…交通が混雑していて…」

キョン「言い訳は見苦しいぞ。それくらい、お前なら予測できたろうが」

古泉「……すみません」

ハルヒ「しょうがないわね、もう…次遅れたら厳罰もんよ?」

キョン「じゃ、役者もそろったことだ。行って来いよ、涼宮」

ハルヒ「…そうね、行きましょ。一樹」

古泉「ええ、ハルヒさん」

ガチャ カランカラン

キョン「…」

15: 2012/01/05(木) 00:06:38.26 ID:IPpGO+Df0
キョン「はあ…」

???「くっくっく…若いですなあ」

キョン「なんだ、マスター。見てたのか?」

???「そんな、マスターなど…いいですよ。名で呼んでもらっても」

キョン「…で?新川さん、どうかしたんですか?」

新川「いえ、ひどく落ち込んでおられるようだったので…心配になって。」

キョン「貴方は俺の父親ですか…まあ、年齢的にはおかしくないですが…」

新川「ほっほっほ…貴方のような大きな子がいるほどには、私も年を取って居りませんよ」

16: 2012/01/05(木) 00:12:18.82 ID:IPpGO+Df0
新川「…もうあれから2年…ですか」

キョン「早いもんですよ。月日が経つのは。」

新川「それは私のセリフだと思うのですがな?キョンさんはそれほど年をお取りかな?」

キョン「あんなのに巻き込まれてたら、精神年齢の成長は半端じゃないですって」

新川「……色々なことがありましたなあ」

キョン「…まだ現在進行中でいろいろなことがありますけどね」

新川「ほっほ。まだまだ氏ねませんな。私も」

18: 2012/01/05(木) 00:19:06.84 ID:IPpGO+Df0
キョン「…にしても、なんで俺があいつらのお守をしなきゃならないんですかね。まあ、進んだ
    大学が同じってのもあるようですけど」

新川「高校時代は、古泉もよく言ってましたよ。貴方と同じことを、何度もね。」

キョン「…あいつに苦労かけてたってことは、まあ、認めますよ。俺のせいでできた閉鎖空間も
    多々あったって愚痴られてました」

新川「今では、古泉が主な原因になってますがな。…少しは自重してほしいものだ」

キョン「言えてますね。さっきだって、実際はやばかったんじゃないですか?」

新川「…貴方も分かってるでしょう?」

キョン「まあ、そうなんですが」

20: 2012/01/05(木) 00:27:22.27 ID:IPpGO+Df0
新川「実際、貴方が居なければとうに発生していましたから。閉鎖空間が」

キョン「…涼宮と古泉が付き合うことで俺もやっとこんなのから解放されると思ったんですが…」

新川「貴方は『鍵』ですよ。ちょっとやそっと、涼宮ハルヒの心が違う方に傾いたからと言って、
   そんな簡単にその重責から解放されるとは思わないほうがいいですな」

キョン「ま、以前のようにあいつについて回らなければならない状況に比べたら、あいつの話し相手になるくらいなんてこと
    ないですよ」

新川「それは、貴方だから言えることです。普通は、とても難しいことなのですぞ?」

キョン「…俺を過大評価し過ぎですって」

新川「御謙遜を…」

21: 2012/01/05(木) 00:35:32.17 ID:IPpGO+Df0
新川「…それに、貴方は今、彼よりもつらい状況に立っておられる」

キョン「こんな不景気の中、親も大した給料もらってないのに飢えることなく大学生活送ってる
    俺がつらい状況に、ですか?」

新川「…貴方の場合、人並みの幸せがかなり制限されますからな。実際、今の給料では少なすぎる
   くらいです」

キョン「…だから」

新川「過大評価ではありませんぞ」

キョン「…」

新川「彼女の相談に乗り、話し相手になりつつ神人との戦闘。そして大学での勉強。…さらに
   クラスでトップの成績を維持する。…並並のストレスではない」

キョン「…」

22: 2012/01/05(木) 00:42:09.57 ID:IPpGO+Df0
新川「だが、私たちはあなたに頼るしかない。精神の安定化は、古泉だけでは力不足。
   自分より劣るものに相談したくないという涼宮ハルヒの自尊心を守るための成績維持
   どれも、貴方の努力なくしては立ち行かない。そして何より…」

キョン「新川さん!!」

新川「…」

キョン「もう、結構です。慣れてるんですから…もう、いいんです」

新川「ですが…」

キョン「そんなことよりも、ほら」

prrrrrrrr…

キョン「お仕事の時間ですよ?」

24: 2012/01/05(木) 00:49:26.38 ID:IPpGO+Df0
閉鎖空間内

キョン「…こりゃまた」

新川「すごい数ですな…」

森「あっ、キョンさん!!やっと来てくれたんですね?!」

キョン「すみません。遅れてしまって。…さあ、片付けてしまいましょう。涼宮を
    あまり待たせるわけにはいきませんから…ね」

新川・森「…はい」

キョン「では…」ギュン!
――――――――――――――――――――――――――――――

キョン「計20体討伐完了。閉鎖空間は発生後20分で崩壊っと。残りの詳しい報告は
    …お任せしていいですか?」

森「ええ。」

pirrrrrrrr

キョン「お?今度はこっちからの呼び出しか…では、俺はこれで。」

新川「行ってらっしゃいませ」

森「御武運を…」

ブウウウウウン…

27: 2012/01/05(木) 00:57:00.30 ID:IPpGO+Df0
新川「…彼は強いですな」

森「…ええ、本当に」

新川「今日の神人も、彼が大半を倒してしまった…」

森「20分で15体…驚異的です。」

新川「さらには、このような状況を作り出している女性の相談相手になる。…下手をすれば
   世界は崩壊するというプレッシャーを感じながら…」

森「古泉のケアも行っているようですよ?」

新川「…今度、古泉にでも説教をしてやりますかな?」

森「いいですね、それ!私もご一緒いたします。」

新川「いいですとも」

28: 2012/01/05(木) 01:00:48.06 ID:IPpGO+Df0
数時間後・古泉宅

キョン「古泉、いるんだろ?」

ガチャ

古泉「…キョンくん、ですか?」

キョン「なんだ?涼宮のほうがよかったか?」ニヤ

古泉「…御冗談を。もう用件は分かってますよ。今日の事でしょう?」

キョン「分かってるなら話が早い。じゃ、上がらせてもらっていいかな?」

古泉「ええ、どうぞ…」

キョン「おう」

30: 2012/01/05(木) 01:06:56.24 ID:IPpGO+Df0
キョン「…」

古泉「…」

古泉「…今回は、その…」

キョン「説明せんでもいい。事の顛末は涼宮から聞いた」

古泉「…」

キョン「集合時間に遅れたことをいつまでも愚痴られた挙句、そのことを盾に結構
    奢らされたそうじゃないか。で、そのことが拗れて大喧嘩と…」

古泉「…すみません」

キョン「閉鎖空間の事を気にしてんのか?大丈夫だ。規模こそでかかったが、けが人は0だ」

31: 2012/01/05(木) 01:14:19.02 ID:IPpGO+Df0
古泉「…あの、ハルヒさんは?」

キョン「あいつも反省してるみたいだ。またやりすぎちゃった、古泉もわざと遅れてきたわけでもないのにって。
    お前の前だと、なんかむきになっちゃってって。…嫌われたわけじゃないみたいだぞ?」

古泉「…そうですか」

キョン「あいつも、嫌われちゃったかなあ…なんて言ってたぞ?それだけ想われてるってこった。
    幸せもんだな。お前」

古泉「…今すぐ、彼女に連絡します!!」ダッ

キョン「ちょいと待った!」

34: 2012/01/05(木) 01:21:16.63 ID:IPpGO+Df0
キョン「お前に一つ言っておくことがある」

古泉「?」

キョン「ハルヒと付き合い始めてから、随分とお前も素の自分を出すようになってきたよな?」

古泉「…ええ。もう、彼女のために自分を演じる必要が無くなりましたから」

キョン「今日の集合時間に遅れたのもか?」

古泉「…すみません」

キョン「素の自分を出すようになったのは、これはこれで喜ばしいことだ。あいつも
    お前が正直に自分をさらけ出すようになって、距離を感じなくなり、嬉しいとも
    言っている。」

古泉「…そうですか」

キョン「だがな、相手に迷惑かけそうなところくらいは隠せ。そのズボラなとこだって、気を付ければ
    なんとでもなるだろう?」

古泉「…はい」

35: 2012/01/05(木) 01:26:33.18 ID:IPpGO+Df0
>>32 書き溜めないせいです。即興です

キョン「…特に、だ。遅れそうなときは連絡入れろ。何かあったと思うだろ」

古泉「…すみません」

キョン「ま、今はこれくらいにしとくか。涼宮に連絡して来い」

古泉「はい!!」

キョン「じゃ、俺もう帰るわ。」

古泉「今日は…ありがとうございます。」

キョン「おう!」

バタン

キョン「…さてと、レポートやんなくちゃな。…飯も作るか。」

38: 2012/01/05(木) 01:33:18.53 ID:IPpGO+Df0
新川のタクシー内

新川「…皮肉なものですな」

森「何がです?」

新川「彼の事です」

新川「2年前、彼女から恋愛相談を受け、それを以て彼女への感情を理解したのですから。
   自分は、涼宮ハルヒが好きなのだと」

森「…そうでしたね」

新川「その相手が、同じ部活の仲間。…これも相当堪える…特に、あれくらいの子供には…」

森「彼に能力が芽生えたのも、その頃でしたね…」

新川「芽生えた、よりも移動した…のほうが正しいでしょう。古泉からは能力が消えているのだから…」

41: 2012/01/05(木) 01:40:29.03 ID:IPpGO+Df0
森「…彼が元に戻る日は来るのでしょうか?」

新川「来るとすれば…それは涼宮ハルヒの能力の消失の時でしょうな…」

森「…」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
キョン「ふー…こんなもんか」

キョン「さて、飯を作るか…今日は何にしようかね」

ピローン

キョン「ん?メール?…佐々木からか。」

キョン「今から会えないか?…か。ま、少しくらいは良いだろう」

43: 2012/01/05(木) 01:46:01.93 ID:IPpGO+Df0
とある市内のレストラン

キョン「よ!待たせたみたいだな」

佐々木「君という奴は…久しぶりの再会なのにそんな軽い挨拶で済ませるのかい?」

キョン「いいじゃないか。その方が俺たちっぽいだろ?」

佐々木「くくっ。それもそうだな。こんなところで立ち話もなんだ、入ろうじゃないか」

キョン「…随分と高そうだな」

佐々木「大丈夫さ。ここは全部僕が持つから」

キョン「俺だってバイトをしてるんだ。そこまで金に困っとらん」

佐々木「くっくっ…はいはい」

45: 2012/01/05(木) 01:51:38.01 ID:IPpGO+Df0
佐々木「さて…随分と痩せたな。キョン」

キョン「そうか?そうでもないぞ?」

佐々木「…最後にあった日と比べると、酷いもんだよ?」

キョン「ま、大学生になればそうなるもんだろ」

佐々木「……」

キョン「久しぶりの再会なんだ。楽しくいこうぜ?…今日は車か?」

佐々木「いや、公共機関で来ている」

キョン「なら、飲もうか」

佐々木「…ああ」

50: 2012/01/05(木) 01:58:02.75 ID:IPpGO+Df0
キョン「そんじゃ、二人の再会を祝して…乾杯」

佐々木「…乾杯」

キョン「最近はどうだ?お前は相当いい大学に入ったって聞いているが…」

佐々木「ぼちぼちさ。友達もかなりいるし、勉学のほうも問題ない」

キョン「それは良かった。ま、佐々木の事だから心配はしてなかったがな」

佐々木「随分と評価されたものだな、僕も。…そういう君はどうなんだい?」

キョン「ま、見た通り順調だぜ?」

佐々木「…僕にはそうは見えないな。むしろ、何事もうまくいってないんじゃないのかと思うくらいだ」

キョン「…気にしすぎだろ」

佐々木「…」

51: 2012/01/05(木) 02:06:31.23 ID:IPpGO+Df0
佐々木「気にし過ぎなわけないだろう…」

キョン「…」

佐々木「昔の君を知っていれば誰でもわかる。病的な痩せ方だ。ご母堂も心配しているだろう?」

キョン「生憎と、こっちに越してきてからは一度も顔を見せたことがないな」

佐々木「…親不孝者だな、君は」

キョン「返す言葉もないな…」

佐々木「ちゃんと食べてるのかい?」

キョン「お前は俺の母親か。ちゃんと食ってるって」

佐々木「そう見えないから言ってるんだろう!!…じゃあ、何か悩みでもあるのかい?」

キョン「…」

53: 2012/01/05(木) 02:14:54.44 ID:IPpGO+Df0
佐々木「沈黙は肯定と受け取るぞ。何でも聞く、だから話してくれないか?」

キョン「何もねえよ」

佐々木「嘘!!」

キョン「嘘じゃねえって…まあ、強いていえばバイトがチョイとばかし忙しいくらいだな」

佐々木「……」

キョン「ついでに、その上司が嫌らしいってのも付け加えておくか…」

佐々木「…………」

キョン「信じろって…そんで?今日はどんな用件だったんだ?」

佐々木「連れない奴だな、君も。親友同士の再会に用件など不要だろう?会いたくなったから
    誘ったまでだ。」

キョン「ふ…そうだな。じゃあ…明日は日曜だ。遅くまでお付き合い願えるかな?」

佐々木「…もちろんだとも」

54: 2012/01/05(木) 02:20:04.56 ID:IPpGO+Df0
夕食後

キョン「ふいー…結構飲んだな……」

佐々木「くっくっく…僕はまだまだいけるぞ?」

キョン「ほう…だったら、もう一軒行くか?」

佐々木「そうだな。ここら辺には僕の大学の行きつけのバーがあるんだ。そこに行こう」

キョン「よし来た!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
佐々木行きつけのバー

佐々木「こんばんは。マスター」

マスター「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

佐々木「ああ、席は空いてるかな?」

マスター「ええ、奥の席へどうぞ」

57: 2012/01/05(木) 02:29:35.86 ID:IPpGO+Df0
キョン「そういえばな…」

佐々木「…ふふっ」

キョン「ん?どうした、佐々木?」

佐々木「いや、大分昔のキョンに戻ってきたなと思っただけさ」

キョン「なんだよ、それ?」

佐々木「さっき会った時にはひどい顔をしていたんだぞ?隠してはいたようだが酷く疲弊していて、
    表情が固かったように見えた……ま、やつれているのはさっきと変わらないがな」

キョン「……」

佐々木「だが、今は良い顔をしているよ。キョン。君を少しでも楽にできているのなら、親友として
    これほど嬉しいことはない。」

59: 2012/01/05(木) 02:38:43.08 ID:IPpGO+Df0
眠いぜ!!


キョン「……ははっ。確かにお前といると、嫌なことも忘れて、時間も忘れてくつろぐことができる。
    変な気兼ねもする必要もないからな」

佐々木「その発言はいただけないぞ?僕だって女性なんだからな?最低限の気遣いだけはしてほしいものだ」

キョン「善処するよ」クスッ

佐々木「…まあ、そのことは抜きにしても、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。…僕だって、こんなに楽しく
    会話できるのは君くらいのものだよ」

キョン「お褒めに預かり、光栄だ……さて、大分遅くなってしまったな」

佐々木「夜はまだまだこれからだよ。キョン。…それとも、眠いのかい?」

キョン「幾何かな。今日もバイトのシフトが入ってたからな…」

佐々木「そうか…なら…」

63: 2012/01/05(木) 02:48:58.37 ID:IPpGO+Df0
ホテル

フロント「いらっしゃいませ」

佐々木「佐々木という名で予約していたものです」

フロント「佐々木様、ですか?…少々お待ちください……」

キョン(お前…何時の間に予約してたんだ?)ヒソヒソ

佐々木(くっくっ…どちらにせよ僕は今日、家に帰るつもりはなかったからね。元々部屋はとっておいたのさ)ヒソヒソ

キョン「…お前、ませてんのな」

佐々木「君ほどじゃないさ」

フロント「お待たせしました。お部屋は最上階になります。こちらがキーです」

佐々木「さあキョン、行こうか?眠いんだろう?」

キョン「…おう」

69: 2012/01/05(木) 02:56:58.40 ID:IPpGO+Df0
ホテル・スイートルーム

キョン「…こりゃあたまげた。俺の部屋の何倍あるんだよ…」

佐々木「そう言ってもらえると、予約したかいがあるというものだ…で、どうするんだい?本当に寝るのかい?」

キョン「……もう少し起きてようぜ?このホテルには温泉と、娯楽施設があるみたいだしな」

佐々木「おやおや、せっかく入ったアルコールを抜いてしまうのかい?もったいないことをするな。君は…」

キョン「もう一回飲みなおせばいいだけだ。そんじゃ、まずは風呂行こうぜ」

佐々木「くくっ…了解だ」

74: 2012/01/05(木) 03:04:01.34 ID:IPpGO+Df0
キョン「お…佐々木、お前も上がったのか…って、なんだその恰好は!!」

佐々木「なんだい、キョン。別に変な恰好はしてないだろう?」

キョン「いやいやいや…露出度高いって…キャミソールにハーフパンツはねえだろ…」

佐々木「少々のぼせてしまってね…時期的にもそこまで寒くないから問題ないだろう。それともなんだ?
    僕をそんな目で見てるのかい、きみは?」

キョン「ち、違う…ただ、成長してるな…色々と」

佐々木「褒め言葉と受け取っておこう。…次は娯楽かい?」

キョン「…いや、風呂入ったらちょっと眠くなってな……部屋に戻ろう」

佐々木「……そうかい」クスッ

75: 2012/01/05(木) 03:09:28.33 ID:IPpGO+Df0
ホテル・スイートルーム

佐々木「おや、キョン。何やらテーブルにワインが置かれているのだが…」

キョン「おう。俺が事前に頼んでおいたんだ。佐々木が風呂に入った後でな」

佐々木「ほう…珍しく気が利くじゃないか。これは明日はスコールにでもなりそうだ」

キョン「ここは熱帯じゃねえよ。…さ、行こうぜ」

佐々木「ああ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
キョン「それじゃ」

佐々木「乾杯」チン!

79: 2012/01/05(木) 03:15:10.30 ID:IPpGO+Df0
佐々木「くくっ…それにしても奇妙だ…」

キョン「あ?何がだよ?」

佐々木「この状況さ…こうやって一つ屋根の下に君とお酒を飲み、見つめあっている状況が…
    高校時代からしてみれば考えもつかないことだったからね」

キョン「…たしかにな」

佐々木「高校だったら涼宮さんが黙っちゃいないだろう。『高校生の男女が二人きりで寝るなんて不潔よ不潔!!』
    な~んて言ってね」

キョン「……そうだな」

佐々木「……」

81: 2012/01/05(木) 03:26:44.48 ID:IPpGO+Df0
佐々木「キョン、君の悩みが分かったよ…涼宮さんに関することだろう?…君も分かりやすい男だな…表情の
    変化を抑え切れていない…」

キョン「…」

佐々木「なにがあったのか、無理には聞かないさ。君が話してくれるまで、いつまででも待つさ。僕は君の見方だ。
    だから…君は一人じゃない」

キョン「ふっ…佐々木」スッ

佐々木「ひゃっ!!…なんだい、キョン…頬なんか撫でて…」カァァ

キョン「お前といると…やっぱり素が出ちまうみたいだ…」

佐々木「……それでいいんだよ、キョン。誰か一人くらいには甘えたらいいさ…」

キョン「…お前が優しくするから、俺も自分の気持ちを抑えられそうにない……」

佐々木「…えっ」

84: 2012/01/05(木) 03:33:40.07 ID:IPpGO+Df0
佐々木「…全く、我慢できないとは何のことかと思えば……」

キョン「いいだろ?一度、こうしてもらうのが夢だったんだ」

佐々木「それにしても、だ。ベッドがあるのに膝枕をしてほしいなんて、そんなことをいう奴は聞いたことがないぞ?」

キョン「いいじゃねえか。ここの枕なんかより、佐々木の膝のほうが寝心地がいい…」

佐々木「僕を寝かせない気かい?…全く」

キョン「それに…佐々木の顔も見れるし、いいこと尽くしだ」

佐々木「……馬鹿だな、君は」

キョン「なに分かり切ったことを…」

佐々木「…くっくっ」

85: 2012/01/05(木) 03:39:33.32 ID:IPpGO+Df0
チュンチュン…

佐々木「…ん?もう朝か……」

佐々木(あれ…なんで僕はベッドで寝てるんだ……?…まさか!!)バッ

佐々木(……着衣の乱れはないな。ていうことはあの後は何もなかったってことか…)

佐々木「キョン?…いないのかい?……あ、メモ書き?」

佐々木(すまん、シフトが入った。先に抜ける。これ、昨日の酒代と宿泊費な……全く、こういうところは変わってないな)

佐々木「さてと…おや?もうこんな時間か…シャワーを浴びてチェックアウトしなくてはな…」

87: 2012/01/05(木) 03:45:03.87 ID:IPpGO+Df0
~時間は少し遡り、早朝~

新川のタクシー内

新川「おや?キョンさん、昨日何か良いことでもあったのですかな?」

キョン「あれ、そう見えますか?」

森「ええ、なんだか明るくなっていますよ。昨日よりも…ね、教えてくださいよ!」

キョン「いえね、改めて自分がいかに恵まれているのか、自分を思ってくれてる人がいるのかを
    再認識したんですよ」

新川「?…誰かと会っていたということですかな?」

キョン「…ご想像にお任せしますっ」

112: 2012/01/05(木) 08:38:56.62 ID:IPpGO+Df0
閉鎖空間内

キョン「今回は何体出るんですかね…」

新川「それは正に神のみぞ知る、でしょうな」

森「…そろそろですね」

ウオオオオオオオオオオオオオオオン…

キョン「来たか…ん?」

新川「数は…10体ですか。今回の閉鎖空間の規模から考えて妥当でしょうな」

キョン「まあ、そうですが…様子がおかしいですね」

森「ええ、なんというか…大人しいです」

キョン「…」

113: 2012/01/05(木) 08:46:02.15 ID:IPpGO+Df0
キョン「大人しいなら好都合です。さっさと片付けましょう」

新川「ええ」

森「はい」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
キョン「…大人しい割には、随分と手ごわいやつでしたね…」

新川「ええ…討伐に40分もかかってしまいました…これは、何かありますね」

森「涼宮さんの能力が強化されたのでしょうか?」

新川「それも含めて、一度会議を開かなくてはなりませんな…キョンさん」

キョン「あ、はい!」

新川「報告書は私が作ります。昨日はお疲れでしょう。ゆっくり休んでください」

キョン「ああ、有難うございます。では、お言葉に甘えて…」

116: 2012/01/05(木) 08:54:10.70 ID:IPpGO+Df0

新川「…」

森「…今日の彼の態度、そして神人の振る舞い……何かありますね」

新川「ええ。あまり詮索はしたくありませんが…調査してみましょう…」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キョンのアパート

キョン「ふあ~~~~っ…ねみぃ……だけど閉鎖空間が発生してんだからまた…?」

キョン(…メールが来てねえな。っていうことは喧嘩はしなかったのか。…昨日の今日で喧嘩
    されても困るがな)

キョン「ということは発生原因は………まさかね」

キョン「…取り敢えず寝るか」

119: 2012/01/05(木) 09:01:31.12 ID:IPpGO+Df0
フロント「有難うございました。またご利用くださいませ」

佐々木「…なんということだ」

佐々木(キョンが置いて行ったお金入りの封筒…それにはホテル代と酒代を引いても手元に残るくらいの額
    が入っていた…)

佐々木(普通の学生がこんな額を手にできるわけがない…キョン、一体君は何のバイトをしているんだい?
    …余り干渉したくはないが、やむを得ないだろう)ピ

佐々木「もしもし?」

橘『佐々木さんですか?おはようございます!』

佐々木「ああ、おはよう。橘さん。いきなりで悪いんだけど少し頼めるかしら?」

橘『ええ、なんなりと』

120: 2012/01/05(木) 09:08:50.52 ID:IPpGO+Df0
数日後・大学内

ハルヒ「お早う!キョン」

古泉「おはようございます」

キョン「よう、涼宮。古泉。おはようさん…すっかり元通りだな」

古泉「…貴方のおかげですよ。本当に」

ハルヒ「…何度もごめんなさいね」

キョン「いいんだよ。団員その1として、団長と副団長に貢献できたなら欣快の極みだ」

ハルヒ「…ありがとう」ニコ

キョン「どういたしまして。ほら、授業始まるぜ?」

ハルヒ「うん。いこっ。一樹君」

古泉「ええ、ハルヒさん。」

キョン(あまり変わってるところはないか…)

ハルヒ「…」

121: 2012/01/05(木) 09:13:56.18 ID:IPpGO+Df0
昼休み

キョン「さーて。飯だ飯だ」

ハルヒ「キョン!」

キョン「お?どうした、涼宮?古泉は?」

ハルヒ「なんか用事があるらしくてね…今日は一人になっちゃったのよ。だから、さ」

キョン「分かった。お前に変なヤローが言い寄らないように団員その1が謹んでお守りいたしますよ」

ハルヒ「似合わないからやめなさいって。…じゃ、今日はどこで食べる?」

キョン「…そうだなあ」

123: 2012/01/05(木) 09:19:09.50 ID:IPpGO+Df0
学食

ハルヒ「お待たせ」

キョン「おう。んじゃ、食べますか」



ハルヒ「ねえ、あんたさあ、ここ数日やけに機嫌良いわよね?」

キョン「そうか?ま、嫌なことばかりじゃ人生やってけないだろう」

ハルヒ「そりゃそうだけど……ねえ、何かいいことでもあったの?」

キョン「ん~…ま、少しはな」

ハルヒ「ふーん……」

キョン「なんだよ、自分から聞いといてその反応」

ハルヒ「べっつにぃ?」

125: 2012/01/05(木) 09:25:57.92 ID:IPpGO+Df0
キョン「それにしてもさ…」

ハルヒ「?」

キョン「俺達って妙な関係だよな」

ハルヒ「何がよ」

キョン「だって、普通は彼女のそばに他の男を侍らせるなんてことしないだろ。並の男なら」

ハルヒ「…あたしと付き合ってるんだから、それ位許す気概がなくちゃ困るわ。…それに」

キョン「それに?」

ハルヒ「一樹君も、あんただから許してんのよ、二人きりで一緒にいるの。」

キョン「随分信用されてんだな、俺も…」

127: 2012/01/05(木) 09:32:51.27 ID:IPpGO+Df0
ハルヒ「まあ、こういう関係もいつまでも続くもんじゃないとは思うけどね…」

キョン「…ほう?」

ハルヒ「…あんたにだって?ほら、ひょっとしたら何かの手違いで彼女ができたりするのかもしれないし。
    その彼女がこの関係を許すかなんて分からないじゃない」

キョン「ま、言えてるな。世の中の女性がみんなお前みたいな性格してりゃ話は別、だけどな」

ハルヒ「…あんたって、そういう話あるの?」

キョン「ん?」

ハルヒ「だーかーら、付き合うとか、そういう話があるのかって聞いてんのよ!」

キョン「……残念ながら、今のとこは、な」

ハルヒ「…そう」

129: 2012/01/05(木) 09:40:14.31 ID:IPpGO+Df0
ハルヒ「…ま、あんたに彼女なんて考えられないけどね」

キョン「随分失礼な奴だな…これでも、結構なアプローチは受けてるんだぜ?」

ハルヒ「え?」

キョン「…なんだよ、そんなに意外かよ…失礼な奴だな」

ハルヒ「ああ、うん…だって、ねえ…」

キョン「…」

ハルヒ「あ、もうこんな時間。あたし、次も講義だから。」

キョン「おう、それじゃあな」ヒラヒラ

ハルヒ「ええ、また」

スタスタ

キョン「…彼女、ねえ……」

130: 2012/01/05(木) 09:44:52.01 ID:IPpGO+Df0
prrrrr

キョン「うを?!……ありゃ、バイトかよ」

キョン(どう考えても、俺が原因だよな、これ。全く…やれやれだ)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キョン「すみません。急いできたのですが」

新川「気になさらずに。さあ、参りましょう」

キョン「ええ」

141: 2012/01/05(木) 10:18:12.29 ID:IPpGO+Df0
キョン(…俺の読みが当たれば……今回の神人も…)

森「あら、今回の神人も割と大人しいですね…」

新川「ええ、最近の神人はどうも調子がおかしいですな…それまでの周りに当たり散らすような
   激しさが全くない」

キョン(やはり…か)

キョン「兎に角、倒してしまいましょう。話はそれからです」

森・新川「御意」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
30分後…

キョン「くっ…おりゃあ!!」

神人「ウオオオオオオオオ…」

キョン「はあっ…はあっ」

森「キョンさん!!後ろ!!」

キョン「!!おっと…」

神人「ウオオオオオオオオオオオオオオン!!」

キョン(…日に日に強力になってやがる。こりゃあ悠長なこと言ってらんないな…)

143: 2012/01/05(木) 10:25:07.65 ID:IPpGO+Df0
さらに1時間後…

キョン「…討伐完了。」

新川「…累計時間、1時間38分……過去最高レベルの時間です。」

森「はあ、はあ……こ、今回は、流石に堪えました……」

新川「…これはもう、早急に対策を打たねばなりませんな。このままではいずれ、氏傷者が出てしまう」

森「ええ、でも…この間の会議でも解決策が出ませんでしたし…」

キョン「そのことなんですが…」

新川「?……何かおありで?」

キョン「ええ、原因が分かったものですから。…俺の推察が正しければ、ですが」

森「本当ですか?!」

新川「それならば…早速会議を開くことにいたしましょう」

145: 2012/01/05(木) 10:33:42.04 ID:IPpGO+Df0
機関本部・会議室118

キョン「集まってもらったのは他でもありません。涼宮ハルヒの神人についてです。…ここ最近、彼らの行動、
    強さ…どれにも変化が生じているのはお気づきでしょう」

一同「…」

キョン「その原因なのですが…誠に申し訳ありませんが、恐らくこの自分に原因があると推測できます」

一同「!!」ザワザワ…

キョン「新川さんや森さん。その他大勢の方が俺の行動を監視、さらに先日の行動を調査していることから
    もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが…」

新川「…」

森「…」

キョン「初めて神人に変化の見られた日、その前日に…俺は重要観察対象、佐々木と私的に
    会合していました」

148: 2012/01/05(木) 10:42:44.71 ID:IPpGO+Df0
一同「…」

キョン「周りには十分気を遣ったつもりなんですが…どこかで見られていた、もしくは誰かから伝えられたのでしょう。
    会合していた時間、閉鎖空間が発生した時間帯から、恐らく後者の方が正しいでしょうが」

キョン「そして、本日の閉鎖空間。…その発生前に…涼宮ハルヒと接触。以後しばらく
    会話を交わしていました…」

機関A「と、いうことは…今回の閉鎖空間の発生も…」

キョン「ええ、俺が原因でしょう。…会話の中に、自分が誰かと付き合うかもしれないと匂わせてしまう
    形になってしまいましたから。…これは、俺の失態です」

機関B「そうでもないと思いますけどね。結果、原因が分かったのですから」

キョン「そう言っていただけると幸いです。…さて、ここからが本題です。このことを踏まえ、
    以後、どのように対策を立てていくのかが…ね」

150: 2012/01/05(木) 10:54:00.54 ID:IPpGO+Df0
機関C「…もっとも簡単な方法としては、貴方に私的な行動をできるだけ控えてもらう。…
   特に恋愛に関しては…これが挙げられると思いますが」

森「ちょっと待ってください!!彼に全部押し付けるとも取れますよ!!その発言は!」

機関A「私もその意見には賛同できませんな。…我々は人間だ。何れ、ぼろが出てしまう可能性がある。
   今回のように…ね。…それに、彼の人生を拘束するなど、したくはない」

機関C「…ですが、今回の原因は正にその私的な行動によるものです。…原因を取り除くのが一番の方法でしょう」

新川「そもそも、なぜ彼の行動によってこのような事態になったのか。…貴方はそれを理解しておられるのかな?」

機関C「それはもちろん。涼宮ハルヒは彼の事g」

キョン「議題からずれていますよ。一旦落ち着いてください」

一同「…」

154: 2012/01/05(木) 11:03:35.38 ID:IPpGO+Df0
キョン「確かに。俺が自身の行動を抑えれば今後はこのような事態になることはないでしょう…」

機関C「…」

キョン「…ですが、それでは根本的な解決にはならないんですよ」

機関D「それは…一体どういうことですか?」

キョン「先ほどの方の言いかけたこと。…おそらくこういおうとしていたのでしょう。」

キョン「『涼宮ハルヒは彼に好意を寄せている。だから他の女性との会合に嫉妬し、交際を匂わせることによって
    不安になっているのだ』と。…違いますか?」

機関C「…いえ、仰る通りです」

キョン「貴方は勘違いをしておられる。涼宮ハルヒが好意を抱いているのは、古泉一樹のみですよ?」

田丸(圭)「でも…それでは原因が貴方だということに聊か疑問が生じてくるのだが…」

156: 2012/01/05(木) 11:11:51.53 ID:IPpGO+Df0
キョン「いえいえ…まあ、確かに彼女から向けられている感情はある意味‘好意’と受け取ってもいいのでしょうが…
    一般に想い人に向けられるそれとは訳が違うのですよ。」

新川「『信頼』…といったところでしょうな。その感情は…」

キョン「ええ、仰る通りです。…だから、俺が誰かと付き合うことに関しては全く問題がないんです。むしろ問題なのは
    俺が彼女から離れていく。疎遠になっていく可能性があること。…これが問題なのです」

機関C「ならば尚のこと…貴方が私情を押し頃し、彼女の傍にいてあげれば…」

キョン「ですから、それで解決にはならないんですよ。」

162: 2012/01/05(木) 11:19:22.99 ID:IPpGO+Df0
キョン「これは古泉にも言えることですが…俺が急にいなくなってしまう…まあ、不慮の事故
    による他界が最も想像しやすいでしょうか…その場合にだって今回と同じことが起こりえます
    …いや、支えを失った神は暴走し、今回よりも酷いことになるでしょうね…」

キョン「ですが、こちらは神人と戦う身。いつ、そのようなことが起こるかなど分からない。…だから
    涼宮ハルヒには俺が居なくても大丈夫なようになってもらわなければならない」

機関C「…つまり、彼女の貴方からの独立を図ると?」

キョン「ええ、その通りです。」

森「ふふっ…まるで子供の親離れみたいですね。」

キョン「…森さん、俺にはあんなでかい子供、手に負えませんよ…」

165: 2012/01/05(木) 11:28:51.18 ID:IPpGO+Df0

キョン「そこで、ですが…俺に一つ案があります。…相当な荒治療ですが、ね」

機関A「ほう…できればお聞かせ願いたい」

キョン「では、お話しましょうか…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

一同「…」

キョン「…以上です。」

新川「…本当に、おやりになるおつもりですかな?」

キョン「ええ、俺は本気です」

田丸(裕)「これは君にとっても、我々にとっても非常に危険な案件だ…」

キョン「ええ、ですが…これが一番効果的です。…みなさん、協力していただけますか?」

一同「…」

キョン「沈黙は肯定と受け取りましょう。…では、今日はこれまでにしましょう。」

167: 2012/01/05(木) 11:36:49.20 ID:IPpGO+Df0
キョン「…ふぅ」

キョン(取り敢えず、決行の日まではゆっくりしようか……授業、もう終わってるよな)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

その頃

佐々木「…」チラッ…チラッ

佐々木(橘さん、遅いなあ…)

橘「はあっはあっ…す、すみません。遅れてしまって…」

佐々木「どうかしたの?随分疲れてるみたいだけど…」

橘「いえ、集めるのに手間取りまして…それに、追跡を撒いてきましたから…」

佐々木「そう…ごめんね、無理言って…」

橘「水臭いですよ。今さら。はい!!これ、結果です!」

佐々木「ああ、どうもありがとう…お礼にお茶でもどうかな?」

橘「喜んで!!」

170: 2012/01/05(木) 11:45:22.13 ID:IPpGO+Df0
土曜日

キョン「ふあ~っ…大分寝たな…」

prrrrr… prrrrr…

キョン「ん?…佐々木からか。」ピ

キョン「おう、どうした?」

佐々木『…キョン、今から会えるかい?』

キョン「おいおい、またか?この頃積極的だな。夜にもメールするようにもなったし」

佐々木『…嫌かい?なら、無理にとは言わないが…』

キョン「嫌なわけねーだろ。それじゃ、13時に、○○駅で待ち合わせよう」

佐々木『了解した…』ピ

キョン「…さてと、機関にも連絡しておくか」

172: 2012/01/05(木) 11:51:14.60 ID:IPpGO+Df0
○○駅前

キョン「おっす」

佐々木「やあ、キョン。10分も待ってしまったよ…早速だが、お茶にでもしよう」

キョン「了解だ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
佐々木「…」

キョン「どうした?何時もにもなく暗い顔して?」

佐々木「ああ、ゴメン。心配させてしまったかな?」

キョン「そんな顔、滅多にしないしないからな…で?なんかあったのか?」

佐々木「うん、それが今回、君を呼んだ理由なんだ」

キョン「…」

173: 2012/01/05(木) 11:57:19.15 ID:IPpGO+Df0
佐々木「僕がまだ橘さんと交流があることは知っているね?」

キョン「おう。前回聞いたな。」

佐々木「あの後、どうしても気になることがあってね。橘さんにお願いして調査してもらった。…キョン。君が前回
    おいていったお金の額は、並の大学生じゃ到底用意できない金額だ。…普通に2ヶ月は食べていける」

キョン「…」

佐々木「調べてもらったのは、キョン、他でもなく君の事についてだ。大学での状況、バイト、その他諸々について
    調べさせてもらった」

キョン「…プライバシーも何もあったもんじゃねえな」

佐々木「…それは高校時代も同じだろう」

174: 2012/01/05(木) 12:02:17.32 ID:IPpGO+Df0
佐々木「…何時からだい?能力に目覚めたのは?」

キョン「高2の時だ…丁度涼宮と古泉が付き合い始めた時からだな…」

佐々木「じゃあ…もう2年以上前から…」

キョン「ああ、神人退治を行っている」

佐々木「…辛くはないのかい?君は…好きだったんだろう?彼女の事」

キョン「…ああ」

佐々木「…今でもかい?」

キョン「黙秘権を発動させてもらおう」

177: 2012/01/05(木) 12:08:33.12 ID:IPpGO+Df0
キョン「それに…分かってるんだろう?俺が、今置かれている状況について。…今の状態じゃ、そうであろうと
    なかろうと、俺は奴の傍から離れることはできない」

佐々木「…他の女性と、付き合うことも?」

キョン「…論外、だろうな」

佐々木「………」

キョン「おいおい、黙り込むなよ…こんなこと、機関に入ってからとうに決意はできてたんだ。
    こんな事情がなかったとしても、どうせ俺は誰かと付き合う暇なんてなかったからな。だから
    後悔なんかs」

佐々木「僕は…」

キョン「…」

佐々木「僕は…涼宮さんが……憎い」

キョン「…物騒なこと言うなって」

佐々木「君も君だ!!」

180: 2012/01/05(木) 12:18:48.63 ID:IPpGO+Df0
佐々木「なんで…なんでそんなに冷静にいられるんだ…!!君からすれば…高校時代は散々振り回された
    挙句に、興味が無くなったら捨てられ、今度はお守を強制され…自由を奪われ、さらに目の前で
    進んでる想い人の恋をサポートさせられてるんだぞ?!!…彼女は自由に生きられるのに、それを
    守ってきた君は…自由に生きられない…幸せになることを許されていない…こんなの、あんまりだろう!!」

キョン「…佐々木」

佐々木「ぼ、僕だって…仕方ないと思って我慢してたんだ…君と、涼宮さんは、傍から見ても
    お似合いだったから…ああ、僕は、入り込む余地はないんだ。無理なんだって」

佐々木「それでも、もしかしたら…万に一つにでもって思って…ずっと、諦めなかった…
    キョン…今なら言えるよ…僕は、…いや。私は…あなたの事が、好き」

キョン「……」

185: 2012/01/05(木) 12:28:57.27 ID:IPpGO+Df0
佐々木「涼宮さんが古泉さんと付き合ってるのを聞いたときは…不謹慎だが、嬉しかった。
    …ああ、これで…私にもチャンスが与えられたんだって。もう、我慢しなくていいんだって」

キョン「…そうか」

佐々木「でも、大学生になるまで、誘うこともできなかった。臆病ものなの…私
    この間はやっと誘えて…たくさん話ができて……本当に嬉しかった」

佐々木「でも…でも…キョンが置かれている状況を聞いたときは…絶望の淵に落とされたよ…!!
    どうして?!なんで?!涼宮さんはキョンを諦めた…いや、他の異性に恋をしたんだろう?!
    なのに、どうしてキョンを束縛するの…なんで、私からチャンスを奪うの…こんなの…あんまりだよぉ
    …うぐっ、ううううう…」

キョン「佐々木…」

199: 2012/01/05(木) 13:09:37.02 ID:IPpGO+Df0
佐々木「うぐっ…ひっ…」

キョン「…ずっと、我慢してくれてたんだな」

佐々木「…」コクッ

キョン「…俺が余計な混乱に、余計な事件に巻き込まれないようにって…」

佐々木「…」コクッ

キョン「…ありがとな」ナデナデ

佐々木「…」ピクッ

佐々木「…キョン」

キョン「…これは機関の機密事項なんだが…今度、ある作戦が行われることになった」

佐々木「作…戦…?」

キョン「ああ。成功すればある程度自由になれるし、うまく行けば能力も消えるかもしれん」

205: 2012/01/05(木) 13:16:14.24 ID:IPpGO+Df0
佐々木「ホント?」

キョン「おう。…だから、さ。すべてが終わった時、その時は…もう一回。その言葉を聞かせてくれ」

佐々木「…返事は言ってくれないの?」

キョン「ああ、今は口にできない。どこかで盗聴されてるかも分からん」

佐々木「そっか。分かった。待ってるから…」

キョン「ありがとな…今日は、どうするんだ?見たところお色直しが必要みたいだが」

佐々木「くっくっ…今日はもういいさ、キョン。君からいい話を聞けたから。…どんな素晴らしいデート
    よりも価値があったよ。」

キョン「そうか…じゃ、また今度、な」

佐々木「ああ、また…」スッ

211: 2012/01/05(木) 13:21:22.47 ID:IPpGO+Df0

佐々木「…」スタスタ

キョン「…佐々木」ガシッ

佐々木「うわっ…なんだい、キョン?」

キョン「確かに言葉にはできないが…」スッ

佐々木「へ?!…んっ」

キョン「…これが俺の返事だ。…今度会うときは、改めて言うよ」

佐々木「もう…バカ…」ポー

キョン「ふっ…かわいいぞ?佐々木」

佐々木「ありがと。キョン…」

―――――――――――――――――――――――――――
それから 1週間

キョン「!!」(閉鎖空間の…ついに、来たか)

219: 2012/01/05(木) 13:30:15.74 ID:IPpGO+Df0
―――――――――――――――――――――――――――――――
キョン『次回、古泉が原因の閉鎖空間が発生した場合、俺は閉鎖空間外で待機させてもらいます』

森『ええ?!神人の討伐は、キョンくんがメインなのに…』

キョン『すみません。ですが、俺は涼宮の連絡を受けるために閉鎖空間に行くことができないんです』

新川『確かに、閉鎖空間内では一般の通信機器は機能しませんからな…涼宮さんの連絡を受けるとは…
   もしや…』

キョン『ええ、恐らく俺に助力を求めてくるでしょうから…それを断るんです。あくまで、やんわりと、ね』

キョン『強く拒絶してしまっては、それこそ世界崩壊の危機ですから。…通話が終了した後、俺も閉鎖空間へ
    向かいます…ここからが本番です』

221: 2012/01/05(木) 13:40:31.09 ID:IPpGO+Df0
キョン『恐らく涼宮は困惑するでしょうね。今まで信頼していた者から拒絶された…嫌われたのか、と』

キョン『閉鎖空間の拡大も、神人の強さも…過去最大となるでしょう』

森『なんでそんなことを…』

機関B『ショック療法のようなものなのだろう』

森『え…?』

機関B『依存をなくすためにまず突き放す。当然本人は悲しむ。…そこで手を伸ばしてはいけない。
   敢えてそれを耐えさせ、自分で何とかしよう…若しくは古泉と何とかしようと考えるだろう。
    彼女には信頼しきった友が少ないからな』

新川『長門有希も朝比奈みくるも、現在この地上にはいませんからな』

機関B『それを乗り越えれば、涼宮ハルヒは彼に依存せずにやっていく方法を身に着ける。…次に同じ
    ようなことが起こっても耐性がつく……』

キョン『ま、そんなところですかね。』

226: 2012/01/05(木) 13:49:46.06 ID:IPpGO+Df0
機関B『…相当危なっかしい方法だが、効率的だ。』

田丸(圭)『でも…万が一の事があるだろう?考えてあるのかな?』

キョン『いえ、大丈夫です。失敗なんてしませんよ。絶対に。…危険ではありますが』

機関C『なぜそんなことが言える?』

キョン『簡単です。あいつは…こんなことに負けない奴だから…ですよ』ニコッ

新川『…随分とうらやましい信頼関係ですな』

キョン『あいつとは十分な時間、共に過ごしてきましたからね。…今回の作戦は根競べのようなものです。
    …涼宮が俺から自立するのが先か』

森『…世界が崩壊するのが先か……ですか』

キョン『ええ、俺からの作戦は以上です』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

231: 2012/01/05(木) 13:55:28.74 ID:IPpGO+Df0
キョン(…今回は、こちらも一枚かんで相当大きな喧嘩になっているはずだ。…おそらく、そろそろ)

prrrrrr… prrrrrr…

キョン(来たか…!)ピ

キョン「もしもし」

ハルヒ『もしもし?キョン?…ちょっと今、いいかしら』

キョン「どうした?また喧嘩でもしたのか?」

ハルヒ『うん…だから…相談したいなって。…今からそっちに行っていいかしら』

キョン「…涼宮」

ハルヒ『何?』

キョン「悪い…今回は、俺は手を貸せない」

ハルヒ『……………え?』

234: 2012/01/05(木) 14:01:28.56 ID:IPpGO+Df0
閉鎖空間内

新川「!!……これは…」

森「すごい勢いで…閉鎖空間が拡大していく…!!」

新川「…今は、拡大を最小限に食い止めねば…!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
キョン「分かってくれ…涼宮。これは、お前の為でもあるんだ」

ハルヒ『なんで…あたしの事嫌いになっちゃったの?』

キョン「そんな訳ない!!…ただ、だめなんだ。これ以上、こんな関係を続けてちゃ…」

ハルヒ『だって…いつもキョンはあたしの傍にいて…見守ってくれてたじゃない!!今さらそれが
    なくなるなんて…あたし…』

キョン「…」

237: 2012/01/05(木) 14:07:24.81 ID:IPpGO+Df0
キョン「……ハルヒ」

ハルヒ『!!』

キョン「お前は、俺じゃなく、古泉を選んだんだ。…これからは、古泉が…俺の代わりに
    なってくれるさ…今、うまくいかないのは…まだまだ、一緒にいた時間が少ないせいだ
    …だから、俺に頼っちゃ、ダメだ」

ハルヒ『…キョン』

キョン「お前なら…我らがSOS団の団長なら、きっと大丈夫だ。……じゃあな」ピ

ハルヒ『ちょっと!!k』プツ

ツー ツー ツー

キョン「…すごい勢いで拡大してる…行くか。」グイッ

238: 2012/01/05(木) 14:12:16.28 ID:IPpGO+Df0
閉鎖空間内

キョン「…お待たせしました」

新川「おお、キョンさん。待っておりましたぞ」

キョン「すみません。…様子は……聞くまでもないですね」

森「ええ、すごい暴れっぷりです。…悲痛な叫び声が聞こえてきそうな位に…」

キョン「…っ、ここからが正念場です。行きますよ。…少しでも時間を多く稼ぐんです!!」

新川「ええ!!」

森「はい!!」

機関一同「オオー!!」

キョン(ハルヒ……耐えてくれ!!)

239: 2012/01/05(木) 14:18:24.78 ID:IPpGO+Df0
4時間後……

キョン「ぐはっ…ううっ」

神人「グオオオオオオオオオオオ…ン」

森「キャア!!」

新川「ぬう!!」

キョン(は、ははは…こりゃあ、思ったよりもきついな…)

キョン「拡大は…抑えられていますが…」

森「ええ、流石にこれ以上は…」

新川「ぐほっ…はあ…はあ…」

キョン(…まだか!!早く立ち直れよ!!バカハルヒ!!)

神人「グオオオオオオアアアアアアアアアアアアッ……」ズルッ

キョン「!!」

243: 2012/01/05(木) 14:23:08.45 ID:IPpGO+Df0
キョン「神人が…」

森「…崩壊していく」

キョン「涼宮……頑張ったな」

新川「…よ、ようやく終わり……ですか」

キョン「ええ、これでもう、涼宮も」

森「キョンさん!!後ろ!!」

キョン「え…?」

神人「グガアアアアアアアアアッ」ブンッ

キョン(しまっ…)

ドン…グシャア

新川「キョ…キョンさん?」

244: 2012/01/05(木) 14:28:20.68 ID:IPpGO+Df0
ズガアアアアン!!
キョン「ぐぼっ…」

新川「キョンさああああああああああああああああああん!!」

森「くっ、このっ!!」ビシュン

神人「アアアアアアアアアアアアアアアア…」ズルッ

新川「キョンさん?!しっかりして下さい!!」

森「キョンさん?!キョンさん!!」

ピシイィィィィィィィィ…

機関A「閉鎖空間が…崩壊する…」

田丸(裕)「救急車だ!!急げ!!」

機関C「は、はい!!」

キョン「は…ははっ…最後の最後で…ドジっちゃいましたね…」

森「キョンさん!!」

250: 2012/01/05(木) 14:58:09.77 ID:IPpGO+Df0

キョン「ってててててて…こりゃあ、派手にやられたな。…どうなってるんだ?
    俺の体…?」

新川「大丈夫です!!大丈夫ですから!!気を確かに!!」

キョン「あ、ああ…こりゃあ酷い…まるで人形みたいになってますね…ゲブゥッ…
    はあ…はあ…あばらも…何本か逝っちまったみたいだ」

森「大丈夫!!大丈夫ですから!!しっかりしてえええ!!」

キョン「…いいんです。これで……機関に入った時から、覚悟は決まってました。
    …こ、心残りがあるとしたら…あいつとの…約束が…」




佐々木「…あれは……キョン?!」

251: 2012/01/05(木) 15:02:56.24 ID:IPpGO+Df0
佐々木「キョン!!キョン!!どうしたの?!」

キョン「さ…佐々木か?」

佐々木「キョン!」

キョン「ご、ゴメンな…さ、最後に、気ぃ抜いちまって…や、やられ」

佐々木「分かった!分かったから…もう、しゃべらなくてもいい!!」

キョン「はは…にしても…がはっ…お前……なんつうタイミングで来るんだ…
    か、神様の…素質があるぜ…?」

機関C「きゅ、救急車が着きました!!」

254: 2012/01/05(木) 15:11:11.47 ID:IPpGO+Df0
救急車内

キョン「ささき…」スッ

佐々木「…キョン」ギュッ

キョン「や、約そ…く。は、果たさなきゃ…いけねえな…」

佐々木「…キョン、いいんだ…いいんだよ、キョン…」

キョン「…果たさせてくれ、たのむ」

佐々木「…」コクッ

佐々木「もう一度言います…私は。貴方が…好きです。誰よりも…」

キョン「…佐々木…俺からも、言うことがある…お、俺も…俺…の事…を気に…かけて、
    心配して…くれる、佐々木…が、好きだ。つ、付き合ってくれ」

佐々木「もちろんだ。…もちろんだよ。キョン」ポロポロ

キョン「良かった。…これで俺も……安心して…」

佐々木「キョン!」

258: 2012/01/05(木) 15:17:41.68 ID:IPpGO+Df0
機関G「バイタル低下!!心拍数減少!!ショック状態です!!」

佐々木「キョン!!…キョン!!いやあああああ!!逝かないで!!」

キョン「は、あ、あ…」

機関C「…くっ」




ビシュウウウウン

みくる「ふえええ…着きましたあ……」

長門「貴女はとても優秀。座標軸を少しもずらすことなく到着した」

佐々木「な、長門…さん?ど、どうしてここに?」

長門「…出張サービス。…今回は、特別」

みくる「特別にこの時間軸への時間移動が許可されたんです…異例なことなんですよ?…さ、長門さん?」

長門「この有機生命体の損傷を修復する」

262: 2012/01/05(木) 15:23:15.35 ID:IPpGO+Df0
佐々木「え…え?」

長門「本来、この時間軸のこの時間平面には私たちは存在していない。だから、過去の私たちが
   この時間平面へとやってきた」シュウウウウウ

みくる「それぞれの時間軸が交錯するポイントがあって…そこからこちらの時間軸に分岐してやってきたんです。
    …この時間軸は私の未来とは隔離されていますから、何をしてもOKです♪」

佐々木「あ、ああ…よ、よかった…うううう…」グスッ

長門「修復完了。後は安静にしていれば、1週間で完治する。」

佐々木「あ、ありがとう。長門さん…本当に…ありがとう」

264: 2012/01/05(木) 15:28:28.42 ID:IPpGO+Df0
長門「お礼なら、涼宮ハルヒに言うといい。」

佐々木「…え?」

長門「…推察にしか過ぎないが、この事態を把握できたのも、時間軸の分岐点を見つけたのも…そして
   間違いなくこの場所に飛んでこれたのも…彼女のおかげ。神は偉大」

みくる「長門さん…私は優秀だって言ったじゃないですかあ……」

長門「それは建前。…あなたの普段の行動からすると。涼宮ハルヒのおかげというのが妥当な線」

みくる「うう…ひどいですう」

266: 2012/01/05(木) 15:35:13.36 ID:IPpGO+Df0
佐々木「くくっ、分かったよ。長門さん。だが、そこまで朝比奈さんをいじめることはないだろう?
    実質、彼女が居なかったらキョンは助かってなかったんだから…」

佐々木「朝比奈さんも…本当にありがとう」

みくる「…キョンくん、大事にしてあげてくださいね?」

佐々木「…ああ、絶対に」

長門「…そろそろ時間」

みくる「…じゃあ、名残惜しいですけど。私たちはこれで…」

長門「失礼する」

バシュウウウン・・・

佐々木「さようなら…長門さん、朝比奈さん」

佐々木「…キョン、君はまた僕に心配をかけて……」ナデナデ

キョン「うっ…んん…」

佐々木「この借りは、一生かかってでも返してもらうからねっ」チュッ

269: 2012/01/05(木) 15:42:37.08 ID:IPpGO+Df0
1週間後

ハルヒ「キョーン!!遅い遅い!!」

古泉「ハルヒさん、彼は今日退院したばかりです。少し多めに見てあげるべきですよ」

ハルヒ「むー、分かったわよ」

古泉「ふふっ」ナデナデ

ハルヒ「へへっ」

キョン「おーおー…見せつけてくれんじゃねえか。」

佐々木「公衆の面前で…まったくやってくれるね…」

ハルヒ「何よ~あんたたちだって、そんな堂々と腕からめちゃって…恥ずかしくないの?!」

キョン「お前たちのバカップル具合よりはましだ…」

佐々木「それよりも涼宮さん今日はキョンの退院祝い+Wデートの日でしょ?」

ハルヒ「もちろん!!じゃあ、早くいくわよ~!!」

270: 2012/01/05(木) 15:49:08.22 ID:IPpGO+Df0
佐々木「わわっ…ちょっと、早いよ…キョ」

バシュン…バシュン

佐々木「ン…かは…」ガク

キョン「うっ…?」ガク

古泉「キョ、キョンくん?!」

ハルヒ「キョン!!佐々木さん?!」

古泉「!!…ハルヒさん!こっちに!!」

ハルヒ「いやっ…だって、だってえ…」

古泉「僕たちも狙われてるんです!!」

キキィ…バタン

森「古泉!!こっち!!」

古泉「!!了解しました!!」

275: 2012/01/05(木) 15:52:23.16 ID:IPpGO+Df0
藤原「…どうだ?二度目の血の味は?…現地民」

佐々木「ふ、…藤原…君?!」

キョン「…て、てめえ…何でこんなところに…!!」

キョン「そうか…あの時、ハルヒに俺たちの再開の情報を流したのは…」

藤原「御明察。僕らの組織だ」

278: 2012/01/05(木) 15:58:12.83 ID:IPpGO+Df0
キキィ

新川「待ちなさい!!」

藤原「おおっと、来ないでもらおうか…」バッ

新川「?!な…」

藤原「未来人組織謹製、特殊爆弾だ…このボタンを押すか、僕の心肺が停止すれば作動する」

藤原「…この二人を少しでも生かしておきたいなら、僕には手を出さないほうがいい」

新川「…っ」

藤原「…もっとも、スナイパーライフルで腹を撃たれてるんだ。いつまでもつかな?」

281: 2012/01/05(木) 16:04:24.01 ID:IPpGO+Df0
キョン「て、めええええ!!」

藤原「騒ぐな」ドカ

キョン「ぐえっ」

佐々木「キョ…キョン」

藤原「…お前らがくっついたお蔭で僕の計画が全て水泡に帰したんだ…全く。やってくれる」

藤原「涼宮ハルヒと古泉一樹も同様だ…今頃、僕らの組織によって包囲されているだろう」

佐々木「…なんで、今になって…?」

藤原「ふ…むしろ、このタイミングでなくてはならなかったんだ」

286: 2012/01/05(木) 16:11:49.89 ID:IPpGO+Df0
藤原「おい、キョンとやら。お前ならもう気づいているだろう」

キョン「…涼宮の力の…消失のタイミング、か…?」

藤原「ふ…さすがに『鍵』なだけはある。まだ頭が回るか」

キョン「…へっ…お前の目的ももうはっきりしてる、なんなら言い当ててやろうか?」

藤原「…」

キョン「お前…俺と佐々木の子孫だろ?…だが、古泉たちも狙うあたり…古泉と涼宮を掛け合わせても
    いいらしいな?」

藤原「…っ」

キョン「だから、お前は」
藤原「黙れ」バシュン!

288: 2012/01/05(木) 16:18:28.73 ID:IPpGO+Df0
キョン「」

佐々木「え、あ…?キョ、キョン?」

藤原「ふん。そうさ…あんたと涼宮ハルヒがくっつけば…姉さんが生まれる。
   だが、姉さんが誕生する組み合わせはそれしかない。…あんたが佐々木と
   くっつくだけなら…まだ可能性があった。…僕も姉さんも生まれてくる可能性が」

291: 2012/01/05(木) 16:26:32.37 ID:IPpGO+Df0
新川「き、貴様ああああ!!」バッ

佐々木「いやあああああああああああああああああ!!」

藤原「…よりにもよって涼宮ハルヒと古泉一樹がくっついたとなれば……姉さんは
   生まれてこない!!」バシュン

新川「あう…」ドサ

藤原「…好都合なことに涼宮ハルヒが能力を消失してくれたおかげで、未来保全のためこの時間軸は
   消されることが可決された…今回は…不確定要素を生み出さないための大掃除だ…」

佐々木「………」ガタガタ

藤原「俺の担当分の不確定要素排出者の排除は、あんたで最後だ。…じゃあな」バシュン

佐々木「…あう」ドサ

藤原「…」

295: 2012/01/05(木) 16:34:17.05 ID:IPpGO+Df0
藤原「…」ピ

藤原「そちらの様子はどうだ?…片付いた?なら撤退だ。例の収束ポイントまで戻るぞ」ピ

藤原「…これも、僕の望む世界のためだ。…悪く思うなよ?…分岐の一本が切れても収束ポイント以降の
   未来には影響はない…この世界は不要だ」

藤原「……世界が消える。…僕も脱出するか」シュン



報告:No.AHI-189076番の過去世界の消失を確認。現時間平面に影響なし。
   
報告終了。 再び任務を遂行する。

296: 2012/01/05(木) 16:35:40.99 ID:IPpGO+Df0
 



糸冬

298: 2012/01/05(木) 16:36:47.15 ID:IPpGO+Df0
なんかあれば、できるだけ答えます。
どっか、説明漏れがあるかもね

299: 2012/01/05(木) 16:36:50.08
おいスレタイは

300: 2012/01/05(木) 16:38:10.21 ID:IPpGO+Df0
>>299

1レス目の会話につながる感じです

304: 2012/01/05(木) 16:40:48.11
乙!


一応気持ち良く終わったな
良かったわ

引用元: キョン「幸せか?」 ハルヒ「ええ、もちろん」