2: 2014/08/10(日) 15:37:11.94 ID:8A47WYPM0

響「じゃあ自分料理作るから、あふぅの面倒見ててね」

伊織「ええ、わかったわ」

伊織「……とは言っても」チラッ

あふぅ「……zzz」

伊織「ずっと寝てるから見るも何もないのよね」

伊織「今の内にあふぅが散らかした部屋でも片付けようかしら」スタスタ

1: 2014/08/10(日) 15:35:18.53 ID:8A47WYPM0
※この話はぷちますの世界観を一部含んでいますが、暗くなることが予想されます。
 またタイトルのような描写が苦手な方はご注意ください。

 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407652508

3: 2014/08/10(日) 15:39:36.99 ID:8A47WYPM0

あふぅ「……ナノ」ムクリ

あふぅ「……」テクテク

あふぅ「……」テクテク

響「~♪」

あふぅ「……」チラッ

 あふうはお鍋を見つけた

4: 2014/08/10(日) 15:40:58.15 ID:8A47WYPM0

あふぅ「……」パカッ

 中身はお米+αだった

あふぅ「!」

あふぅ「……」チラッ

5: 2014/08/10(日) 15:42:13.25 ID:8A47WYPM0

響「~♪」

あふぅ「……ナノ」スッ

 カパッ

響「ん?」チラッ

響「……気のせいか」

6: 2014/08/10(日) 15:43:27.37 ID:8A47WYPM0

あふぅ「……」めっしめっし

あふぅ「……」めっしめっし

あふぅ「ナノ……」

あふぅ「……」コテン

あふぅ「……zzz」

7: 2014/08/10(日) 15:44:46.45 ID:8A47WYPM0

響「さて、あとはこれを煮れば、雑炊の完成だぞ」スッ

響「よっと、……あれ?こんなに重かったっけな」

響「ま、いっか。じゃあ火を……」カチッ

8: 2014/08/10(日) 15:49:40.19 ID:8A47WYPM0

響「圧力なべだから、時間は少し短めでいっか」

響「あ、蓋が開いた状態になってる。ちゃんと固定しなきゃ」カチッ

響「それにしても、お鍋が圧力なべしかないなんて思わなかったぞ……」

響「ま、元々は無人島だから仕方ないか」

9: 2014/08/10(日) 15:50:29.36 ID:8A47WYPM0

伊織「いやあぁぁ!」ドシーン

響「い、伊織!? 何があったんだ?」ダッ

響「い、伊織、大丈夫か!?」

伊織「いたた…… きー! 何なのよこの荷物!」

響「足の踏み場もないぞ……」

10: 2014/08/10(日) 15:51:24.87 ID:8A47WYPM0

伊織「ちょっと、あんたも手伝いなさいよ!」

響「あ、でもお鍋が……」

伊織「いいから引っ張って!」

響「う、うん」

11: 2014/08/10(日) 15:52:31.04 ID:8A47WYPM0



鍋「……」

鍋「……」グツグツ

あふぅ「ナノ!?」ガバッ

13: 2014/08/10(日) 15:54:22.29 ID:8A47WYPM0

あふぅ「ナノ! ナノ!」バタバタ

あふぅ「ナノナノ!! ナノ!」ジタバタ

あふぅ「ナノ!!! ナノーー!!」ジタバタ

あふぅ「ナ、ナノ……」グッタリ

14: 2014/08/10(日) 16:02:52.14 ID:8A47WYPM0



伊織「ありがとう、何とか片付いたわ」

響「あ! お鍋火にかけっぱなしだった!」

響「よ、良かった、溢れてはないぞ……」カチッ

伊織「ちょっと、大丈夫だったんでしょうね」

15: 2014/08/10(日) 16:03:52.26 ID:8A47WYPM0

響「うん、ちょうど考えてたくらいの時間だったから」

伊織「そ、そう、それなら良かったわ」

伊織「い、伊織ちゃんが片づけを手伝わせて料理がだめになったとか……」ボソボソ

響「?」

16: 2014/08/10(日) 16:06:59.86 ID:8A47WYPM0


響「なあ、伊織、あふぅはどこ行ったんだ?」

伊織「え?そっちの部屋で寝てない?」

響「こっちにはいないぞ」

伊織「嘘、さっきあんなによく寝てたのに」

響「あふぅ、どこ行ったんだー?」

伊織「まったく、さっさと出てきなさいよね」

17: 2014/08/10(日) 16:08:54.30 ID:8A47WYPM0



響「どこを探してもいないな……」

伊織「あと探してないのは、……そのお鍋くらいかしら」

響「じょ、冗談言うなよ。この中にいるわけ……」

伊織「どうしたのよ?」

響「もしかして、さっき妙に重いと思ったのは……」

伊織「え? あ、あんた何言ってるのよ! 冗談に決まってるじゃない!」

18: 2014/08/10(日) 16:09:40.99 ID:8A47WYPM0

響「じゃあ、……開けてみるか」

伊織「……」

響「……」

伊織「……」

19: 2014/08/10(日) 16:10:58.52 ID:8A47WYPM0

響「……開けるぞ」

伊織「……」

響「……」パカッ

20: 2014/08/10(日) 16:12:23.83 ID:8A47WYPM0

 
あふぅがいた。いや、あふぅだったものがいた。
すっかり煮えてしまったのか、面影はほとんどない。


響「あ…… あ、あ……」

21: 2014/08/10(日) 16:13:11.04 ID:8A47WYPM0

こんなことになると誰も思わなかった。
そしてこんなことをしようとは誰も思わなかった。
あまりにも非現実的だと思っていた。
しかしそれは実際に起きてしまった。
現実を理解しようとしないまま、自分たちは暫く呆然と立ち尽くしていた。

変わり果てたあふぅの姿を前にして。

22: 2014/08/10(日) 16:18:35.87
とけないし面影は普通にありそうだけどな

23: 2014/08/10(日) 16:18:38.97 ID:8A47WYPM0


伊織「何よ……、何よこれ」

響「な、んで……」

伊織「ちょっと、これどういうことよ! ねえ!」

響「じ、自分だってわからないぞ」

24: 2014/08/10(日) 16:21:31.10 ID:8A47WYPM0

伊織「わからないってこれ作ったのはあんたでしょ!?」

響「そ、それを言うならあふぅの面倒見るのは伊織の担当だっただろ!?」

伊織「な、だいたいあんたが鍋から目を離さなければ気づいたでしょ!?」

響「伊織が大きな物音を立てるから見に行ったんじゃないか!」

25: 2014/08/10(日) 16:22:22.91 ID:8A47WYPM0

そうして無意味な責任のなすりつけ合いが続いた。
途中から何を言ったのかすら覚えていない。
ただひたすらに散々何かを叫んで、ようやく何も始まらないことに二人で気づいた。

26: 2014/08/10(日) 16:24:59.27 ID:8A47WYPM0


響「どうしよう。と、とりあえず律子に電話を……」スッ

伊織「やめておきなさい」

響「ど、どうしてだ?」

伊織「あんた、あの事務所にあふぅを頃したって言ってみなさい?」

27: 2014/08/10(日) 16:25:41.30 ID:8A47WYPM0

伊織「明日から事務所にいられなくなるわよ」

響「あ……」

その時の伊織は恐ろしく冷静だった。
冷静に見えただけかもしれないが、それに比べてうろたえている自分がより一層馬鹿に見えた気がする。

28: 2014/08/10(日) 16:26:43.66 ID:8A47WYPM0

伊織「……あふぅは目を離した隙にいなくなった。かしら」

響「……う、うん」

伊織「まあ、いなくなったってことは言ったほうがいいかもしれないわ」

響「うん、後で電話する」

29: 2014/08/10(日) 16:27:27.22 ID:8A47WYPM0

伊織「あとは…… それね」

響「……山の中に埋めてくる」

伊織「そう、それなら律子に連絡する前に行ったほうがいいわね。律子なら飛んで来かねないわ」

響「ちょっと行ってくるぞ」

30: 2014/08/10(日) 16:28:17.24 ID:8A47WYPM0

伊織「あんた一人で行くつもり?」

響「え? だって……」

伊織「あんただけだとかわいそうだからこの伊織ちゃんがついてってあげるわ、光栄に思いなさい」

響「あ、ありがとう伊織」

31: 2014/08/10(日) 16:29:11.88 ID:8A47WYPM0


 山の中

響「……」ザックザック

伊織「……」ザックザック

お互い何も言わなかった。ただひたすら地面を掘ることに集中した。
そうしなければいけない気がしたし、とにかく早くあふぅを目の届かない場所へ持っていきたかった。
それはきっとお互いに同じ気持ちだった。

32: 2014/08/10(日) 16:29:53.34 ID:8A47WYPM0

響「これだけ掘ればいいんじゃないか?」

伊織「そうね」

響「じゃあ……」スッ

伊織「……」

33: 2014/08/10(日) 16:30:39.25 ID:8A47WYPM0


響「ごめんな、あふぅ。……さよなら」

伊織「……ごめんなさい」ボソッ

響「じゃあ、……戻そう」

伊織「……」

34: 2014/08/10(日) 16:32:40.36 ID:8A47WYPM0

宿に戻ってきた頃にはすっかり夕方になっていた。
大して食欲のない自分達は適当にあったものを食べて夕飯を終えた。
とにかくあの鍋のものは一口も食べなかった。

35: 2014/08/10(日) 16:33:23.77 ID:8A47WYPM0

響「あ、律子、あのさ、あふぅがいなくなっちゃったんだ」

響「うん、自分達も最初はすぐ戻ってくると思ったんだけど、夕飯の時間になっても帰ってこないんだ」

響「え? うん、いつもの無人島だよ」

響「うん、わかった。また戻ってきたら連絡するよ」

36: 2014/08/10(日) 16:33:59.33 ID:8A47WYPM0

伊織「……」

響「律子、明日こっちに来るって」

伊織「……」

響「……」

37: 2014/08/10(日) 16:34:37.00 ID:8A47WYPM0


 翌日

伊織「……来たわ」

響「う、うん」

律子「あんた達、あふぅは?」

響「……」

伊織「……」

38: 2014/08/10(日) 16:35:26.41 ID:8A47WYPM0

律子「そう…… とりあえずやよを連れてきたわ」

やよ「うっうー」


律子「やよ、あふぅの匂いをたどれないかしら?」

やよ「うっうー」すんすん

39: 2014/08/10(日) 16:36:02.83 ID:8A47WYPM0

やよ「……」すんすん

やよ「……」すんすん

やよ「うー」タッ

響「!?」

伊織「!?」

律子「わかったの!?」

40: 2014/08/10(日) 16:36:41.16 ID:8A47WYPM0

やよ「うっうー」クイクイ

律子「これは、お鍋?」

やよ「うー」

律子「この中に、いたの?」

41: 2014/08/10(日) 16:37:17.92 ID:8A47WYPM0

響(まずい!)

響「あ、も、もしかしてあれつまみ食いしたの伊織じゃなかったのか!?」

伊織「し、失礼ね! そんなことするわけないでしょ!」

律子「ほら、そこでけんかしないの」

響(……ごまかせた、のかな?)

42: 2014/08/10(日) 16:38:03.31 ID:8A47WYPM0

やよ「うー」

律子「そう、ここから先はわからないのね……」

律子「どうしたものかしら……」

律子「とりあえず外にも行くしかなさそうね」


43: 2014/08/10(日) 16:38:38.13 ID:8A47WYPM0


やよ「……」すんすん

やよ「うー」タッ

律子「この山のほうから匂いがするのかしら?」

44: 2014/08/10(日) 16:39:30.03 ID:8A47WYPM0

伊織(気を逸らすには……)

チャリーン

やよ「うっうー」ダッ

響「い、伊織何やってるんだよ!?」

伊織「う、うるさいわね! 走ったらポケットに入れておいた小銭が落ちちゃったのよ」

律子「ほら、そんなことでけんかしないの」

やよ「うっうー」ガジガジ

45: 2014/08/10(日) 16:40:22.43 ID:8A47WYPM0


 夕方

律子「結局手がかりはないわね……」

律子「仕方ないわ。今回はもう帰りましょう」

響「……」

伊織「……」

律子「大丈夫よ、今までみたいにすぐ帰ってくるから。ほら、そんな顔しないの」

46: 2014/08/10(日) 16:41:19.55 ID:8A47WYPM0


 事務所

小鳥「律子さん、どうでした?」

律子「……」

小鳥「そう、ですか……」

律子「でも私たちが落ち込んでいては仕方ありません。事務所のみんなにはなるべくいつも通りにしてもらうつもりです」

小鳥「そうですね。そのほうがあふぅちゃんも帰ってきやすいでしょうし」

47: 2014/08/10(日) 16:42:15.73 ID:8A47WYPM0

 翌日・事務所

響「……」

伊織「……」

貴音「響、災難でしたね」

響「貴音、ごめん」

貴音「響が悪いわけではありません。今日は営業までゆっくり休むのです」

響「うん」

48: 2014/08/10(日) 16:42:57.57 ID:8A47WYPM0

あずさ「伊織ちゃん……」

伊織「何よ」

あずさ「大変だったわね」

伊織「私は別に……」

あずさ「早く見つかるといいわね」

伊織「……」コクリ

49: 2014/08/10(日) 16:43:28.26 ID:8A47WYPM0

美希「あ、おにぎりなの!」

響「!?」ビクッ

伊織「!?」ビクッ

50: 2014/08/10(日) 16:43:59.51 ID:8A47WYPM0

貴音「響、どうかしましたか?」

響「な、何でもないぞ」

あずさ「伊織ちゃん、どうかしたの?」

伊織「な、何でもないわ」

51: 2014/08/10(日) 16:44:49.58 ID:8A47WYPM0

 帰り道

伊織「……やっぱり意識しちゃうわね。あの声」

響「うん、ほとんど同じだもんな」

伊織「かと言ってやめさせるのは不可能だし、耐えるしかないわね」

響「……いつまで?」

伊織「決まってるじゃない」

52: 2014/08/10(日) 16:45:47.33 ID:8A47WYPM0


伊織「氏ぬまでよ。私達か、美希が」

響「氏ぬ、まで……」

53: 2014/08/10(日) 16:47:57.08 ID:8A47WYPM0




律子「伊織、響、ちょっと来なさい!」

響「ど、どうしたんだ律子?」

伊織「なんだって言うのよ」

54: 2014/08/10(日) 16:48:26.45 ID:8A47WYPM0

あふぅ「ナノ!」

響「あ、あふぅ?」

律子「普通に無人島の山の中にいたわよ」

伊織「そ、そんなわけ……」

55: 2014/08/10(日) 16:49:03.61 ID:8A47WYPM0

響「あふぅ、ごめんな!」ガシッ

あふぅ「……ナノ」ドロッ

響「な、なんだ!? あふぅが融けて……」

律子「やっぱりあんた達だったのねー?」

56: 2014/08/10(日) 16:49:34.55 ID:8A47WYPM0

伊織「な、何よこれ!?」

律子「この子が寂しいってずっと泣いていたわよー」

律子「深い土の中でずーっとずーっと……」

57: 2014/08/10(日) 16:50:47.49 ID:8A47WYPM0


響「はっ!」

響「ゆ、夢か……」

響「……まだ1時だぞ」

響「……」

58: 2014/08/10(日) 16:51:24.12 ID:8A47WYPM0

響「……」

響「……」

響「はっ!」

響「……ま、また夢か」

59: 2014/08/10(日) 16:51:50.02 ID:8A47WYPM0


響「結局朝まで寝れなかったぞ……」チラッ

ちびき「……zzz」

響「……」

60: 2014/08/10(日) 16:52:24.98 ID:8A47WYPM0

 事務所

響「はいさーい!」ガチャ

千早「あら、我那覇さん。隈すごいわよ」

響「え? 本当か?」

千早「あふぅのことはあるかもしれないけど、ちゃんと寝なきゃだめよ」

響「う、うん」

61: 2014/08/10(日) 16:52:57.16 ID:8A47WYPM0

伊織「……あんた、寝てないわね?」

響「伊織だって隈すごいじゃん」

伊織「……」

響「……」

62: 2014/08/10(日) 16:53:31.12 ID:8A47WYPM0


美希「でーこちゃん!」ガバッ

伊織「で、でこちゃん言うな!」

美希「あ、でこちゃん隈すごいの。ちゃんと寝ないとだめなの」

響「!?」ビクッ

伊織「!? う、うるさいわね……」ビクッ

63: 2014/08/10(日) 16:54:09.80 ID:8A47WYPM0

美希「あれ?でこちゃんが大人しいの。 あ、眠いからかな?」

伊織「あー…… まあそんなところね」

美希「それなら美希のソファ使っていいよ」

伊織「いや、あんたのじゃないから」

64: 2014/08/10(日) 16:55:20.28 ID:8A47WYPM0

美希「いいのいいの」グイグイ

伊織「ちょ、押さないでよ!」

美希「じゃ、でこちゃんおやすみなの!」

伊織「!?」ビクッ

響「!?」ビクッ

伊織「だ、だからでこちゃん言うな!」

65: 2014/08/10(日) 16:55:59.46 ID:8A47WYPM0

美希「さてと…… あれ? 響、どうかしたの?」

響「い、いや、何でもないぞ」

美希「あ、響も寝てないからソファ使いたかった?」

響「そ、そういうわけじゃないから!」

美希「ひ、響? 急に大きい声出したらびっくりするの」

66: 2014/08/10(日) 16:56:31.03 ID:8A47WYPM0

響「あ、ご、ごめん……」

美希「響、今日のレッスンは出れそう?」

響「あ、うん、大丈夫だぞ」

美希「じゃあそろそろ行こう?」

響「う、うん」

67: 2014/08/10(日) 16:57:23.68 ID:8A47WYPM0

 レッスン場

響「よっ、とっ」

響「ふぅ……」

美希「……なんかやっぱり今日の響はキレがないって感じがするな」

68: 2014/08/10(日) 16:57:57.17 ID:8A47WYPM0

響「そ、そうか?」

美希「確かに色々あったかもしれないけど、響がそんなふうに落ち込んでちゃあふぅも帰ってこないって思うな」

響「!!?」ビクッ

美希「響?」

69: 2014/08/10(日) 16:58:35.26 ID:8A47WYPM0

 響「う、うるさい!!」バンッ

 美希「ひ、響……?」

 響「そうやってあふぅを思い出させるようなことばかり言ってさ!」

 美希「あ、あのね、響……」

 響「うるさいうるさいうるさい!!!」

70: 2014/08/10(日) 17:00:12.37 ID:8A47WYPM0

美希「響、聞いてる?」ジー

響「え? あ、ご、ごめん」

美希「もう、今日の響は本当に変だよ? やっぱり疲れてるんじゃないかな?」

響「う、うん。色々あったから疲れてるのかもしれないな……」

71: 2014/08/10(日) 17:01:01.58 ID:8A47WYPM0

美希「それなら今日はもう切り上げるの」

響「え? あ、か、帰るのは自分だけでいいぞ。美希はもっとレッスンしててよ」

美希「やなの」

響「!?」ビクッ

72: 2014/08/10(日) 17:02:12.68 ID:8A47WYPM0

美希「だって、今の響目を離したらどっかにいっちゃいそうなんだもん」

響「……」

美希「だから、ね?」ニコッ

響「……」

73: 2014/08/10(日) 17:02:59.93 ID:8A47WYPM0

 帰り道

響「……」

美希「……」

響「……」

美希「ミキね、この前あふぅとおにぎりの取り合いしたの」

響「……!?」ビクッ

74: 2014/08/10(日) 17:03:45.13 ID:8A47WYPM0

美希「それでね、結局ミキがおにぎり食べちゃったんだ」

響「……」

美希「だから帰ってきたら、あふぅにおにぎりいっぱいあげるの」

響「……っ」

美希「それでね、ごめんなさいって……」

75: 2014/08/10(日) 17:04:15.42 ID:8A47WYPM0

 響「帰ってこないよ」

 美希「え?」

 響「あふぅは帰ってこないよ」

 美希「ど、どうして響がそんなこと断言できるの!?」

 響「だって……」

76: 2014/08/10(日) 17:04:56.73 ID:8A47WYPM0

 美希「だって?」

 響「……あふぅは自分が頃したから」

 美希「じょ、冗談だよね? 響がそんなことするわけ……」

 響「頃したよ。事故かもしれないけど、自分が頃したのは確かだ」

 美希「な、なんで……? 響が?」

77: 2014/08/10(日) 17:05:28.41 ID:8A47WYPM0

美希「ひーびーきー?」ジー

響「うわぁ!? み、美希?」

美希「もう、さっきからボーっとしすぎなの」

響「!?」ビクッ

78: 2014/08/10(日) 17:06:10.38 ID:8A47WYPM0

響「あ、ご、ごめん……」

美希「……」

響「あ、あのさ、自分、ちょっと先に帰るね。事務所には電話しておくから。じゃあ」ダッ

美希「あ、ひ、響! 響!?」

79: 2014/08/10(日) 17:06:53.12 ID:8A47WYPM0

 響の家

響「はぁー、はぁー……」

響「む、無理だ。あの声とずっと生きていくのは」

響「何とか…… 何とかしないと」

80: 2014/08/10(日) 17:07:32.46 ID:8A47WYPM0

響「……っ」

 伊織『耐えるしかないわね』

 響『……いつまで?』

 伊織『決まってるじゃない』


 伊織『氏ぬまでよ。私たちか、美希が』

響「氏ぬまで……」

81: 2014/08/10(日) 17:08:07.49 ID:8A47WYPM0

響「……」

響「やだ、やだよ」ガタガタ

響「……」ガタガタ

響「……」

82: 2014/08/10(日) 17:08:50.84 ID:8A47WYPM0

響「美希の声を聞かずに済むのは……」

響「もうこれしか……」スッ

響「……」

響「あ、包丁に自分の顔が映ってる……」

響「……酷い顔」


83: 2014/08/10(日) 17:11:47.29 ID:8A47WYPM0

 翌日

響「はいさーい!」ガチャ

美希「あ、響おはようなの!」

響「み、美希、あのさ……」

美希「実は響に渡すものがあるの」

響「え? 自分に?」

84: 2014/08/10(日) 17:12:34.54 ID:8A47WYPM0

美希「うん! はい、おにぎりなの!」ジャーン

響「お、おにぎり?」

美希「うん! 響この前からずっと疲れてるみたいだから、ミキ特製おにぎりを食べれば元気出ること間違いないの!」ニコッ

響「う、あ……」

85: 2014/08/10(日) 17:13:22.99 ID:8A47WYPM0

美希「後は…… あ、でこちゃんおはようなの!」

伊織「あ、あんたはでこちゃん言うな!」

美希「でこちゃんにあげたいものがあるの!」

伊織「だから! って、何よそれ」

86: 2014/08/10(日) 17:14:03.70 ID:8A47WYPM0

美希「はい、おにぎりなの!」ジャーン

伊織「おにぎり?」

美希「うん! でこちゃんもこの前からずっと疲れてるみたいだから、ミキ特製おにぎりを食べて元気出すの!」ニコッ

伊織「あ、ありがと……」

87: 2014/08/10(日) 17:14:42.70 ID:8A47WYPM0

美希「~♪」

伊織「……響、いつまでそこにいるのよ」

響「い、……おり?」ポロポロ

伊織「何よ、あんた泣いてるの?」

88: 2014/08/10(日) 17:16:10.70 ID:8A47WYPM0

響「伊織……」ポロポロ

伊織「言いたいことがあるならさっさと言いなさいよ」

響「自分、……もう、ダメだ」

伊織「はぁ? あんた何言って……」

響「……ごめん」ダッ

伊織「あ、ちょっと待ちなさい! 響!!」

89: 2014/08/10(日) 17:17:02.73 ID:8A47WYPM0

 無人島

響「……ちびき、ありがとう」

ちびき「ないさー!」

響「……もう事務所帰っていいよ」

ちびき「だぞ?」

90: 2014/08/10(日) 17:17:39.73 ID:8A47WYPM0

響「うん、帰りたくなったら連絡するから」

ちびき「だぞ!」

鳥「……」バッサバッサ

響「……」

響「……帰りたくなったら、な」

91: 2014/08/10(日) 17:18:49.51 ID:8A47WYPM0

響「……」ザックザック

響「……」ザックザック

響「……」ザックザック

響「……」

92: 2014/08/10(日) 17:19:35.67 ID:8A47WYPM0

響「久しぶりだな、あふぅ」

あふぅ「」

響「元気…… じゃないよね」

あふぅ「」

93: 2014/08/10(日) 17:20:11.51 ID:8A47WYPM0

響「あの時、ちゃんとあふぅを頃したって言えば少しの許されたのかな?」

あふぅ「」

響「ううん、どっちにしてもダメだよな」

あふぅ「」

94: 2014/08/10(日) 17:20:48.92 ID:8A47WYPM0

響「大丈夫、もう一人にはしないよ」

あふぅ「」

響「おいで、一緒に寝よう?」

あふぅ「」

95: 2014/08/10(日) 17:21:25.38 ID:8A47WYPM0

響「え? そっちが来い? わかったわかった」

あふぅ「」

響「じゃあおやすみ、あふぅ」


 おわり

96: 2014/08/10(日) 17:23:18.68

伊織は…

98: 2014/08/10(日) 17:29:15.82 ID:8A47WYPM0
>>96
伊織のその後は読者の方々のご想像にお任せします。
ちょっと冷静にしすぎたかなと反省しています。ただ冷静に見えて、きっと彼女の心も響みたいに追い詰められてはいるんだろうなと思います。

100: 2014/08/10(日) 17:32:54.92 ID:8A47WYPM0

 伊織「あふぅを煮ちゃったわ……」 響「ギャグ編!」

※最初は本編と同じです

響「なあ、伊織、あふぅはどこ行ったんだ?」

伊織「え?そっちの部屋で寝てない?」

響「こっちにはいないぞ」

伊織「嘘、さっきあんなによく寝てたのに」

響「あふぅ、どこ行ったんだー?」

伊織「まったく、さっさと出てきなさいよね」

101: 2014/08/10(日) 17:33:30.89 ID:8A47WYPM0


響「どこを探してもいないな……」

伊織「あと探してないのは、……そのお鍋くらいかしら」

響「じょ、冗談言うなよ。この中にいるわけ……」

伊織「どうしたのよ?」

102: 2014/08/10(日) 17:34:30.34 ID:8A47WYPM0

響「もしかして、さっき妙に重いと思ったのは……」

伊織「え? あ、あんた何言ってるのよ! 冗談に決まってるじゃない!」

響「じゃあ、……開けてみるか」

伊織「……」

響「……」

伊織「……」

103: 2014/08/10(日) 17:35:06.77 ID:8A47WYPM0

響「……開けるぞ」

パカッ


あふぅ「ナノーー!!」バッ

響「あっつ!」

伊織「きゃっ」

あふぅ「ナノナノー!!」プンスカ

104: 2014/08/10(日) 17:35:39.40 ID:8A47WYPM0

響「ご、ごめんな、大丈夫か!?」

あふぅ「ナノ!」プンスカ

伊織「……どうして生きてるのよ?」

響「伊織」

伊織「な、何よ? 私何か変なこと言った?」

105: 2014/08/10(日) 17:36:19.59 ID:8A47WYPM0

響「ギャグに真面目なツッコミは無粋だぞ」

伊織「う、うるさいわね! なんでこれいきなりギャグになってるのよ!」

響「それより伊織! あふぅのご機嫌をとるために急いでおにぎりを作るんだ!」

伊織「わ、わかったわよ」

106: 2014/08/10(日) 17:37:11.12 ID:8A47WYPM0

おにぎりドーン

響「どうにか出来たぞ!」

伊織「私達の分も使ってね」

あふぅ「ナノ!」めっしめっし

響「自分たちの分は…… これ?」

107: 2014/08/10(日) 17:37:52.54 ID:8A47WYPM0

伊織「それあふぅが入ってた鍋じゃない!」

響「だって他にないんだぞ!?」

伊織「……わかったわよ」

響「じゃ、いただきます」

108: 2014/08/10(日) 17:38:19.04 ID:8A47WYPM0

伊織「はむ。……!? こ、これは……」

響「おいしい! おいしいぞ!」

伊織「……」コクリ

響「……」コクリ

109: 2014/08/10(日) 17:38:57.98 ID:8A47WYPM0

伊織「ねえ、あふぅ」

響「おにぎりもっと作ってあげるから、ちょっとお風呂に入らないか?」

あふぅ「ナノ!」ダッ

響「あ、待て!」

伊織「どこ行くのよ!」

110: 2014/08/10(日) 17:39:25.86 ID:8A47WYPM0

あふぅ「ナノー!」

律子「何、どうしたの?」

あふぅ「ナノナノ」

律子「へぇー、二人が、そう……」

111: 2014/08/10(日) 17:41:59.99 ID:8A47WYPM0

伊織「り、律子!?」

律子「あんた達、楽しそうなことしてたのねぇ?」

響「は、話せばわかるぞ!」

この後二人は律子に怒られましたが、あふぅのだし汁を飲ませたら律子も納得してくれました。

ただ熱湯はかわいそうだと、40℃くらいのお湯につかってもらうことが流行りました。

たまにはるかさんが入ろうとするのが困ったことですが……

かくして、今日も765プロ事務所は平和です。

 おわり

112: 2014/08/10(日) 17:44:07.60 ID:8A47WYPM0
これにて本当におわりです。
あふぅ汁はどんな味なのでしょうね?

ここまで見ていただいて本当にありがとうございました。

113: 2014/08/10(日) 17:44:25.90
おつおつー

引用元: 伊織「あふぅを煮ちゃったわ……」