1: 2020/10/28(水) 20:21:03.890 ID:491g0XRH0
悪魔「クックック……一人で出歩くとは不用意だったな、姫よ」
姫「キャーッ!」
悪魔「魔王様がお前を欲しがっている。ついてきてもらおう!」ガシッ
姫「いたっ!」
悪魔「さあ、魔王様のいる山へ――」バッサバッサ…
姫「ふんっ!」ドズッ
悪魔「ぐえっ!?(ひ、肘打ち……!?)」
姫「キャーッ!」
悪魔「魔王様がお前を欲しがっている。ついてきてもらおう!」ガシッ
姫「いたっ!」
悪魔「さあ、魔王様のいる山へ――」バッサバッサ…
姫「ふんっ!」ドズッ
悪魔「ぐえっ!?(ひ、肘打ち……!?)」
2: 2020/10/28(水) 20:24:09.200 ID:491g0XRH0
悪魔「うぐううっ……!」
姫「私が姫だからって油断してたから、思い切り入っちゃったわね」
姫「おととい来なさーい!」
悪魔「うぐぐぐ……くそぉ……! こんなの聞いてない……」バッサバッサ
姫「あー、スッキリした。さ、お城に帰ろっと」
…………
……
姫「私が姫だからって油断してたから、思い切り入っちゃったわね」
姫「おととい来なさーい!」
悪魔「うぐぐぐ……くそぉ……! こんなの聞いてない……」バッサバッサ
姫「あー、スッキリした。さ、お城に帰ろっと」
…………
……
3: 2020/10/28(水) 20:27:04.103 ID:491g0XRH0
国王「大変だ……! 魔王から『姫をさらった』という手紙が送られてきた!」
国王「頼む、勇者よ! 我が娘を取り戻してくれ!」
勇者「分かりました」
勇者「姫は美しく、国民みんなの憧れの存在……必ず救い出してみせます!」
国王「ありがとう、勇者よ」
姫(ゲ!? なぜか、私さらわれたことになってる……)
姫(魔王め……手紙出すのが早すぎるのよ!)
姫(これで無事に出ていったら、おかしなことになっちゃうじゃない!)
国王「頼む、勇者よ! 我が娘を取り戻してくれ!」
勇者「分かりました」
勇者「姫は美しく、国民みんなの憧れの存在……必ず救い出してみせます!」
国王「ありがとう、勇者よ」
姫(ゲ!? なぜか、私さらわれたことになってる……)
姫(魔王め……手紙出すのが早すぎるのよ!)
姫(これで無事に出ていったら、おかしなことになっちゃうじゃない!)
4: 2020/10/28(水) 20:28:48.936
姫が強いのか
5: 2020/10/28(水) 20:30:16.243 ID:491g0XRH0
国王「誰か、お供をつけようか?」
勇者「いえ、魔物相手なら少数精鋭の方が都合がいいです」
国王「それもそうか。並みの兵士では足手まといにしかならんしな」
勇者「最近、なかなか腕の立つ女戦士と知り合いましてね」
勇者「二人で姫を取り戻してきますよ」
姫(その女戦士ってのは……私!)
姫(お父様や城のみんなに内緒でやってる、私の仮の姿!)
姫(バレたら怒られる上、剣を振るうのも禁止されちゃうだろうから、絶対バレるわけにはいかない!)
姫(こうなったら急いで着替えないと!)
勇者「いえ、魔物相手なら少数精鋭の方が都合がいいです」
国王「それもそうか。並みの兵士では足手まといにしかならんしな」
勇者「最近、なかなか腕の立つ女戦士と知り合いましてね」
勇者「二人で姫を取り戻してきますよ」
姫(その女戦士ってのは……私!)
姫(お父様や城のみんなに内緒でやってる、私の仮の姿!)
姫(バレたら怒られる上、剣を振るうのも禁止されちゃうだろうから、絶対バレるわけにはいかない!)
姫(こうなったら急いで着替えないと!)
7: 2020/10/28(水) 20:33:03.651 ID:491g0XRH0
勇者「お、いたいた」
女戦士「!」
勇者「実はさ……」
女戦士「姫がさらわれて、魔王を倒しに行くんでしょ? 行ってあげるわ」
勇者「……やけに耳が早いな。まだなにもいってないのに」
女戦士「そ、そうかな?」
女戦士(なにしろ当事者なもんで)
女戦士「!」
勇者「実はさ……」
女戦士「姫がさらわれて、魔王を倒しに行くんでしょ? 行ってあげるわ」
勇者「……やけに耳が早いな。まだなにもいってないのに」
女戦士「そ、そうかな?」
女戦士(なにしろ当事者なもんで)
11: 2020/10/28(水) 20:36:23.675 ID:491g0XRH0
勇者「姫は美しく、気高く、国民みんなの人気者だ。俺にとっても憧れの人だ」
女戦士「……」カァ…
勇者「お前なんかと違ってな」
女戦士「……」ムカッ
勇者「魔王なんかには渡さない! 絶対助け出すんだ!」
女戦士「おー……」
勇者「もっとやる気出せよ! 姫になにかあったらどうする!」
女戦士(なにもないからやる気なんか出ないっての)
女戦士(それにしてもさぁ、多少メイク変えてるとはいえ、顔同じなのになんで気づかないの?)
女戦士(ま、いいか。その方が都合いいし)
女戦士「……」カァ…
勇者「お前なんかと違ってな」
女戦士「……」ムカッ
勇者「魔王なんかには渡さない! 絶対助け出すんだ!」
女戦士「おー……」
勇者「もっとやる気出せよ! 姫になにかあったらどうする!」
女戦士(なにもないからやる気なんか出ないっての)
女戦士(それにしてもさぁ、多少メイク変えてるとはいえ、顔同じなのになんで気づかないの?)
女戦士(ま、いいか。その方が都合いいし)
12: 2020/10/28(水) 20:39:11.348 ID:491g0XRH0
一方、その頃――
魔王「なにぃ!? 姫をさらうのに失敗した!?」
悪魔「は、はい……。肘打ち喰らっちゃって」
魔王「バカ! もう姫はさらったって手紙送っちゃったぞ! これじゃワシがバカみたいじゃないか!」
魔王「バカのせいでワシまでバカだ! ダブルバカだ!」
悪魔「申し訳ありません……」
部下「魔王様!」ババッ
魔王「なんだ?」
部下「この≪魔王の山≫に、勇者ともう一人が来て、『姫を取り戻す!』と暴れています!」
魔王「は? なんで……?」
魔王「なにぃ!? 姫をさらうのに失敗した!?」
悪魔「は、はい……。肘打ち喰らっちゃって」
魔王「バカ! もう姫はさらったって手紙送っちゃったぞ! これじゃワシがバカみたいじゃないか!」
魔王「バカのせいでワシまでバカだ! ダブルバカだ!」
悪魔「申し訳ありません……」
部下「魔王様!」ババッ
魔王「なんだ?」
部下「この≪魔王の山≫に、勇者ともう一人が来て、『姫を取り戻す!』と暴れています!」
魔王「は? なんで……?」
14: 2020/10/28(水) 20:42:17.316 ID:491g0XRH0
魔王「まぁいい……姫をさらう目的の一つは“勇者をおびき出して倒す”ことでもあるからな」
魔王「ワシの手下どもに伝えろ! 勇者を全力で迎撃しろとな!」
部下「ははっ!」
魔王「それにしても……勇者はともかく“もう一人”というのは誰だ?」
悪魔「誰でしょう……?」
魔王「お前は本当に使えんな!」
悪魔「す、すみません!」
魔王「ワシの手下どもに伝えろ! 勇者を全力で迎撃しろとな!」
部下「ははっ!」
魔王「それにしても……勇者はともかく“もう一人”というのは誰だ?」
悪魔「誰でしょう……?」
魔王「お前は本当に使えんな!」
悪魔「す、すみません!」
16: 2020/10/28(水) 20:45:40.929 ID:491g0XRH0
勇者「オラァッ!」ザシュッ!
女戦士「せやっ!」ズバッ!
魔物A「むぎゅう……」
魔物B「強すぎる……」
勇者「下っ端の魔物じゃ俺らの相手にならんぜ! なぁ?」
女戦士「そうね」
女戦士(このままだと……姫がいない魔王城に突入することになっちゃう。どうしよう……)
女戦士「せやっ!」ズバッ!
魔物A「むぎゅう……」
魔物B「強すぎる……」
勇者「下っ端の魔物じゃ俺らの相手にならんぜ! なぁ?」
女戦士「そうね」
女戦士(このままだと……姫がいない魔王城に突入することになっちゃう。どうしよう……)
17: 2020/10/28(水) 20:48:20.659 ID:491g0XRH0
ドラゴン「ここから先へは通さんぞ!」ズシン
勇者「ちっ、手強いのが出てきたな!」
ドラゴン「カァッ!!!」ゴォワァァァァァッ
勇者「うおっ!」
女戦士「きゃっ!」
ドラゴン「どうだ! 俺様の炎は!」
勇者「あの炎を喰らったらひとたまりもないな……」
勇者「俺が引きつけるから、お前はドラゴンを切りつけてくれ!」
女戦士「分かった!」
勇者「ちっ、手強いのが出てきたな!」
ドラゴン「カァッ!!!」ゴォワァァァァァッ
勇者「うおっ!」
女戦士「きゃっ!」
ドラゴン「どうだ! 俺様の炎は!」
勇者「あの炎を喰らったらひとたまりもないな……」
勇者「俺が引きつけるから、お前はドラゴンを切りつけてくれ!」
女戦士「分かった!」
18: 2020/10/28(水) 20:51:12.140 ID:491g0XRH0
勇者「行くぞ!」バッ
女戦士「うん!」バッ
ドラゴン「むっ! まず勇者をやってやる!」ゴワァァァァァッ
勇者「おっとぉ!」ババッ
勇者「今だ!」
女戦士「こっちよ! たあああっ!」ズバッ!
ドラゴン「グアアアアッ……!」ズン…
勇者「よっしゃー! よくやった!」
女戦士「イェーイ!」
女戦士(やっぱり戦うって楽しい~!)
女戦士「うん!」バッ
ドラゴン「むっ! まず勇者をやってやる!」ゴワァァァァァッ
勇者「おっとぉ!」ババッ
勇者「今だ!」
女戦士「こっちよ! たあああっ!」ズバッ!
ドラゴン「グアアアアッ……!」ズン…
勇者「よっしゃー! よくやった!」
女戦士「イェーイ!」
女戦士(やっぱり戦うって楽しい~!)
20: 2020/10/28(水) 20:54:32.900 ID:491g0XRH0
勇者「もうすぐ魔王のいる城だな」
女戦士「うん」
女戦士(そろそろ離脱して、姫にならないと……)
女戦士「うっ!」ガクッ
勇者「どうした?」
女戦士「さっきの戦いで足を痛めちゃって……引き返すからここからは一人で行ってくれる?」
女戦士(こうやって勇者と離れて、急いで魔王城に向かおう!)
女戦士「うん」
女戦士(そろそろ離脱して、姫にならないと……)
女戦士「うっ!」ガクッ
勇者「どうした?」
女戦士「さっきの戦いで足を痛めちゃって……引き返すからここからは一人で行ってくれる?」
女戦士(こうやって勇者と離れて、急いで魔王城に向かおう!)
22: 2020/10/28(水) 20:57:18.342 ID:491g0XRH0
勇者「引き返すんなら、俺もついていくよ」
女戦士「え、なんで!? まさか一人じゃ怖いの……?」
勇者「そうじゃねえよ。一人じゃお前が危ないだろ」
女戦士「一人で平気だって……」
勇者「姫みたいにさらわれたらどうする」
女戦士(さらわれに行くんだって!)
勇者「魔物を甘く見るな。せめて安全なところまでついていくよ」
女戦士(なんでこういう時に限って優しいのよ!)
女戦士「え、なんで!? まさか一人じゃ怖いの……?」
勇者「そうじゃねえよ。一人じゃお前が危ないだろ」
女戦士「一人で平気だって……」
勇者「姫みたいにさらわれたらどうする」
女戦士(さらわれに行くんだって!)
勇者「魔物を甘く見るな。せめて安全なところまでついていくよ」
女戦士(なんでこういう時に限って優しいのよ!)
23: 2020/10/28(水) 21:00:30.481 ID:491g0XRH0
女戦士「あ、やっぱり治った!」スクッ
勇者「え?」
女戦士「もうへっちゃら! やっぱり引き返すのなし!」ピョンピョン
勇者「大丈夫かよ」
女戦士「大丈夫大丈夫! さ、魔王城にレッツゴー!」
女戦士(全然大丈夫じゃない……どうしよう)
勇者「え?」
女戦士「もうへっちゃら! やっぱり引き返すのなし!」ピョンピョン
勇者「大丈夫かよ」
女戦士「大丈夫大丈夫! さ、魔王城にレッツゴー!」
女戦士(全然大丈夫じゃない……どうしよう)
24: 2020/10/28(水) 21:04:08.562 ID:491g0XRH0
魔王城――
バァンッ!
勇者「魔物ども、覚悟しろォ!」
悪魔「クックック……」
勇者「お前は……魔王の腹心の部下!」
女戦士(ゲ、こいつは!)
悪魔「お前たちは魔王様に会えん……なぜならここで俺に倒されるからだ」
勇者「そうはいかない! 姫は絶対返してもらう!」
悪魔「姫?」
バァンッ!
勇者「魔物ども、覚悟しろォ!」
悪魔「クックック……」
勇者「お前は……魔王の腹心の部下!」
女戦士(ゲ、こいつは!)
悪魔「お前たちは魔王様に会えん……なぜならここで俺に倒されるからだ」
勇者「そうはいかない! 姫は絶対返してもらう!」
悪魔「姫?」
25: 2020/10/28(水) 21:07:33.264 ID:491g0XRH0
悪魔「お前は何か勘違いしてるようだが、俺は姫をさらっては――」
女戦士「……」
悪魔「あれ?」
女戦士「……!」ギクッ
悪魔(どう見ても……こいつ、姫だよな。雰囲気は違うけど顔同じだし)
悪魔「姫ならすぐそこに――」
女戦士「……」ギヌロッ!
悪魔「ひっ!?」
勇者「?」
女戦士「……」
悪魔「あれ?」
女戦士「……!」ギクッ
悪魔(どう見ても……こいつ、姫だよな。雰囲気は違うけど顔同じだし)
悪魔「姫ならすぐそこに――」
女戦士「……」ギヌロッ!
悪魔「ひっ!?」
勇者「?」
27: 2020/10/28(水) 21:10:14.118 ID:491g0XRH0
女戦士「ちょっといい?」ガシッ
悪魔「わっ!」
女戦士「さっきはどうも、悪魔さん」
悪魔「えへへ……どうも」
女戦士「言うべきことは一つだけ。私が姫だってバラしたら……コロす」
悪魔「は、はい……」
女戦士「分かったら、戦闘始めましょうか」ニコッ
勇者(二人で何を話してるんだ……?)
悪魔「わっ!」
女戦士「さっきはどうも、悪魔さん」
悪魔「えへへ……どうも」
女戦士「言うべきことは一つだけ。私が姫だってバラしたら……コロす」
悪魔「は、はい……」
女戦士「分かったら、戦闘始めましょうか」ニコッ
勇者(二人で何を話してるんだ……?)
28: 2020/10/28(水) 21:13:26.914 ID:491g0XRH0
勇者「でやーっ!」
悪魔「キエーッ!」
ガキンッ! キンッ!
勇者「だああっ!」
ズバッ!
悪魔「ぐはぁぁぁ……! 参ったぁ……!」ドサッ
勇者「腹心だけあって、なかなか手強かったな」
勇者「――ってあれ? 女戦士!? どこ行った!?」
勇者(今更捜してられないし……魔王のところに行くしかない!)
悪魔「キエーッ!」
ガキンッ! キンッ!
勇者「だああっ!」
ズバッ!
悪魔「ぐはぁぁぁ……! 参ったぁ……!」ドサッ
勇者「腹心だけあって、なかなか手強かったな」
勇者「――ってあれ? 女戦士!? どこ行った!?」
勇者(今更捜してられないし……魔王のところに行くしかない!)
30: 2020/10/28(水) 21:16:54.500 ID:491g0XRH0
勇者「魔王ッ!」
魔王「やっと来たか……勇者よ」
勇者「麗しき姫をさらった罪……あまりに重い! 今日は徹底的に成敗してやる!」
魔王「ふん、なにをいっておる」
魔王「さらおうとしたのは事実だが……姫をさらってなどいんぞ。間抜けな部下がしくじったせいでな」
勇者「? なにをいって――」
姫「勇者様! 私はさらわれてますわ!」ババッ
魔王「!?」
勇者「ほらな! さらってるじゃねえか!」
魔王「やっと来たか……勇者よ」
勇者「麗しき姫をさらった罪……あまりに重い! 今日は徹底的に成敗してやる!」
魔王「ふん、なにをいっておる」
魔王「さらおうとしたのは事実だが……姫をさらってなどいんぞ。間抜けな部下がしくじったせいでな」
勇者「? なにをいって――」
姫「勇者様! 私はさらわれてますわ!」ババッ
魔王「!?」
勇者「ほらな! さらってるじゃねえか!」
31: 2020/10/28(水) 21:20:11.408 ID:491g0XRH0
魔王(あれ……? ワシは姫をさらってないよな? さらってたっけ? え、年かな……)
魔王「まあいい! ワシは姫をさらってたようだ!」
勇者「なにが“ようだ”だ、ふざけんな!」
魔王「ええい、今日こそ決着をつけてくれるわ!」
勇者「望むところだ……来い!」チャキッ
姫(マジな顔するとかっこいいのよね、こいつ。応援したくなっちゃう)
姫「頑張って……勇者様!」
勇者「はぁい」ニコッ
魔王「どこを見てる!」バキッ!
勇者「ぶげっ!」
姫(なにやってんのバカ!)
魔王「まあいい! ワシは姫をさらってたようだ!」
勇者「なにが“ようだ”だ、ふざけんな!」
魔王「ええい、今日こそ決着をつけてくれるわ!」
勇者「望むところだ……来い!」チャキッ
姫(マジな顔するとかっこいいのよね、こいつ。応援したくなっちゃう)
姫「頑張って……勇者様!」
勇者「はぁい」ニコッ
魔王「どこを見てる!」バキッ!
勇者「ぶげっ!」
姫(なにやってんのバカ!)
32: 2020/10/28(水) 21:23:23.697 ID:491g0XRH0
勇者「はーっ!」
魔王「かあああっ!」
キィンッ! バリバリッ! ザシュッ! ドカッ!
ズガガガッ! ドゴォンッ! ズガァンッ!
姫「……」
姫(すごい戦い……! あ~、混ざりたい! 武者震いしちゃう!)ブルブル…
勇者(姫が震えてる……! よほど怖かったに違いない……!)
魔王「かあああっ!」
キィンッ! バリバリッ! ザシュッ! ドカッ!
ズガガガッ! ドゴォンッ! ズガァンッ!
姫「……」
姫(すごい戦い……! あ~、混ざりたい! 武者震いしちゃう!)ブルブル…
勇者(姫が震えてる……! よほど怖かったに違いない……!)
34: 2020/10/28(水) 21:26:11.284 ID:491g0XRH0
勇者「勇者斬ッ!」ズシャッ!
魔王「がふっ……!」
魔王「うぐぐ……おのれ!」ヨロッ…
勇者「今だッ! だああああああっ!」
ザシュッ……!
魔王「ぐはぁっ!」
魔王「あぐぐぐ……またしても……無念……!」ドサッ…
勇者「ふん! ちったぁ反省するんだな!」
魔王「がふっ……!」
魔王「うぐぐ……おのれ!」ヨロッ…
勇者「今だッ! だああああああっ!」
ザシュッ……!
魔王「ぐはぁっ!」
魔王「あぐぐぐ……またしても……無念……!」ドサッ…
勇者「ふん! ちったぁ反省するんだな!」
36: 2020/10/28(水) 21:29:21.692 ID:491g0XRH0
勇者「姫……!」
姫「勇者様……!」
姫「助けて下さってありがとうございます!」
勇者「勇者として当然の務めを果たしたまでさ」
姫「私、怖かった……!」
勇者「そうだろう……。こんな魔物の巣窟に捕われてたんだからね」
勇者「二度とこんな目にはあわせないよ!」
姫(ホント……こういう時はかっこいいんだから)
姫(いい機会だわ……ここらで私の気持ちを伝えちゃおう!)
姫「勇者様……!」
姫「助けて下さってありがとうございます!」
勇者「勇者として当然の務めを果たしたまでさ」
姫「私、怖かった……!」
勇者「そうだろう……。こんな魔物の巣窟に捕われてたんだからね」
勇者「二度とこんな目にはあわせないよ!」
姫(ホント……こういう時はかっこいいんだから)
姫(いい機会だわ……ここらで私の気持ちを伝えちゃおう!)
37: 2020/10/28(水) 21:32:47.758 ID:491g0XRH0
姫「勇者様……」
勇者「なんだい?」
姫「私、前から勇者様が好きでした」
勇者「え」
姫「私と……ぜひ男女の交際をして下さいませ!」
勇者「……!」
姫(あんたが私を好きなのは知ってる……さぁ、イエスといえ! いうのだ!)
勇者「……姫」
勇者「なんだい?」
姫「私、前から勇者様が好きでした」
勇者「え」
姫「私と……ぜひ男女の交際をして下さいませ!」
勇者「……!」
姫(あんたが私を好きなのは知ってる……さぁ、イエスといえ! いうのだ!)
勇者「……姫」
38: 2020/10/28(水) 21:35:26.772 ID:491g0XRH0
勇者「それは……できない」
姫「え」
姫「な、なんで……? どうしてなの……?」
勇者「なぜなら、俺は……他に好きな人がいるから……」
姫(は……?)
姫(話が……違う……なんだこれ……)
姫(バカ……な……)ガクッ
勇者「姫!? 姫、しっかりしてくれ!」
姫「え」
姫「な、なんで……? どうしてなの……?」
勇者「なぜなら、俺は……他に好きな人がいるから……」
姫(は……?)
姫(話が……違う……なんだこれ……)
姫(バカ……な……)ガクッ
勇者「姫!? 姫、しっかりしてくれ!」
39: 2020/10/28(水) 21:38:33.822 ID:491g0XRH0
……
……
勇者「あ!」
女戦士「……」
勇者「お前、どこ行ってたんだよ! 急にいなくなりやがって! 魔王とタイマンするはめになったんだぞ!」
女戦士「うるさい! バカ!」
勇者「な、なんだよ……怒りたいのはこっちの方――」
女戦士「ふん!」
……
勇者「あ!」
女戦士「……」
勇者「お前、どこ行ってたんだよ! 急にいなくなりやがって! 魔王とタイマンするはめになったんだぞ!」
女戦士「うるさい! バカ!」
勇者「な、なんだよ……怒りたいのはこっちの方――」
女戦士「ふん!」
41: 2020/10/28(水) 21:41:18.199 ID:491g0XRH0
女戦士「……話は変わるけど」
勇者「?」
女戦士「あんたの好きな人って誰なのよ?」
勇者「は? なんだよいきなり?」
女戦士「いいから答えなさいよ! 答えなきゃこの場で決闘よ!」
勇者(なんだ、このド迫力は……)
女戦士「……」
勇者(答えなきゃマジで斬りかかってきそうな勢いだな……)
勇者「いいだろう、答えてやるよ」
勇者「?」
女戦士「あんたの好きな人って誰なのよ?」
勇者「は? なんだよいきなり?」
女戦士「いいから答えなさいよ! 答えなきゃこの場で決闘よ!」
勇者(なんだ、このド迫力は……)
女戦士「……」
勇者(答えなきゃマジで斬りかかってきそうな勢いだな……)
勇者「いいだろう、答えてやるよ」
43: 2020/10/28(水) 21:44:08.663 ID:491g0XRH0
勇者「お前だよ」
女戦士「は?」
勇者「俺はお前のことが好きなんだよ!」
女戦士「……」
勇者「こうやって肩並べて戦える女なんて……初めて出会ったしさ……。だから出会った時から……」
女戦士「なぁんだ、そうだったの~」ニヒヒヒ
勇者(急に機嫌がよくなった……)
女戦士「は?」
勇者「俺はお前のことが好きなんだよ!」
女戦士「……」
勇者「こうやって肩並べて戦える女なんて……初めて出会ったしさ……。だから出会った時から……」
女戦士「なぁんだ、そうだったの~」ニヒヒヒ
勇者(急に機嫌がよくなった……)
44: 2020/10/28(水) 21:45:18.891
ヒュー!
45: 2020/10/28(水) 21:47:16.672 ID:491g0XRH0
勇者「好きといえば、実は俺、さっき姫を傷つけてしまったんだ」
女戦士「ふうん」
勇者「すぐ謝りに行かないと……」
女戦士「は!? いや、行かんでいい! 行かんでいい!」
勇者「なんでだよ?」
女戦士「姫は全然傷ついてないから!」
勇者「なんでお前に分かるんだよ!」
女戦士(本人だからだよ!)
勇者「やっぱり行ってくる! 城にいるはずだし!」
女戦士「ちょっ!」
女戦士(あ~……めんどくせえ!)
女戦士「ふうん」
勇者「すぐ謝りに行かないと……」
女戦士「は!? いや、行かんでいい! 行かんでいい!」
勇者「なんでだよ?」
女戦士「姫は全然傷ついてないから!」
勇者「なんでお前に分かるんだよ!」
女戦士(本人だからだよ!)
勇者「やっぱり行ってくる! 城にいるはずだし!」
女戦士「ちょっ!」
女戦士(あ~……めんどくせえ!)
47: 2020/10/28(水) 21:50:13.212 ID:491g0XRH0
勇者「姫……!」
姫「ハァ、ハァ……あっ、勇者様!」
勇者「なんだか息が荒いね」
姫「ちょっと走ったもので。オホホホホ……」
勇者「あの、先ほどは申し訳ないことを……!」
姫「いえいえ、お気になさらず……ぜーんぜん気にしてません」
勇者(本当に気にしてないっぽいな。女性は強いな……)
勇者「それでは、一緒に戦ってくれた仲間のもとに戻るので」
姫「えっ(もうかよ!)」
姫「ハァ、ハァ……あっ、勇者様!」
勇者「なんだか息が荒いね」
姫「ちょっと走ったもので。オホホホホ……」
勇者「あの、先ほどは申し訳ないことを……!」
姫「いえいえ、お気になさらず……ぜーんぜん気にしてません」
勇者(本当に気にしてないっぽいな。女性は強いな……)
勇者「それでは、一緒に戦ってくれた仲間のもとに戻るので」
姫「えっ(もうかよ!)」
49: 2020/10/28(水) 21:53:16.683 ID:491g0XRH0
勇者「姫、気にしてなかったよ!」
女戦士「ゼェ、ゼェ、ゼェ……そう、よかったわね」
勇者「なんでそんなに疲れてるんだよ」
女戦士「さっきから……色々と忙しくて……」
勇者「そうだ、今日は一緒にメシ食わないか? 俺がおごるよ」
女戦士「別にいいけど」
女戦士「ゼェ、ゼェ、ゼェ……そう、よかったわね」
勇者「なんでそんなに疲れてるんだよ」
女戦士「さっきから……色々と忙しくて……」
勇者「そうだ、今日は一緒にメシ食わないか? 俺がおごるよ」
女戦士「別にいいけど」
50: 2020/10/28(水) 21:56:28.734 ID:491g0XRH0
勇者「そうだ! いっそ姫を誘って、三人で……」
女戦士「わぁぁぁぁっ! 二人でいい! 二人で! 余計なことすんな!」
勇者「ご飯は二人より三人のが楽しくないか?」
女戦士「楽しくない! 全然楽しくない! 二人きり最高ッ!」
女戦士(姫と女戦士がイコールってのをバラすのはもう少し後にしたいんだけど……)
女戦士(それまで私の体が持つかなぁ……)
~おわり~
女戦士「わぁぁぁぁっ! 二人でいい! 二人で! 余計なことすんな!」
勇者「ご飯は二人より三人のが楽しくないか?」
女戦士「楽しくない! 全然楽しくない! 二人きり最高ッ!」
女戦士(姫と女戦士がイコールってのをバラすのはもう少し後にしたいんだけど……)
女戦士(それまで私の体が持つかなぁ……)
~おわり~
51: 2020/10/28(水) 22:03:15.193
乙
いいラブコントだった
いいラブコントだった
52: 2020/10/28(水) 22:14:27.020
面白かった乙
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