1: 2010/07/24(土) 09:41:59.70 ID:1UVnyb8y0
大森「こんにちは、平沢憂さん。私はこういうものです。」

憂「えっと…はい?読売ジャイアンツスカウト…」

大森「東北・関東地区担当の大森剛と言います。えっと、お時間いただけますか?」

憂「ごめんなさい、今ちょっと用事が…」

大森「では、すみません。また伺います。」

2: 2010/07/24(土) 09:47:14.06 ID:1UVnyb8y0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
憂「もう、びっくりしちゃったよ」

純「ひょっとして、新手のナンパ?」

憂「そんな感じには見えなかったけど…」

梓「なになに…大森剛、知ってる?」

純「知らない。野球分かんないし」

憂「けっこう大きな人だったよ」

6: 2010/07/24(土) 09:51:31.78 ID:1UVnyb8y0
梓「ほんとにスカウトの人なのかな」

憂「まさか…私、野球やったことなんてないもん」

純「あ、でもそういや私たちバッセン行ったよね?」

梓「確かにあのとき憂は、めちゃくちゃ打ってたよね」

憂「そんな…たまたまだよ」

純「まぁ、ただのイタズラでしょ?だって…」

梓「うん、まぁ女の子だしね」

9: 2010/07/24(土) 09:59:05.47 ID:1UVnyb8y0
梓「あ、話変わるけど最近唯先輩どうしてる?」

憂「え?お姉ちゃんなら元気だよ。」

純「梓、いっつも唯先輩のことばっかり」

梓「え!?///だって唯先輩…心配なんだもん…」

憂「あはは、でもお姉ちゃん最近頑張ってるよ。一人で起きられるようになったし、ちゃんと大学行って勉強頑張ってるみたいだし」

梓「あの唯先輩が…大学生か…」

憂「でも、梓ちゃんに会いたいなぁって言ってたよ」

純「会いに行けばいいじゃん」

11: 2010/07/24(土) 10:03:37.65 ID:1UVnyb8y0
憂「今日はもう帰ってると思うよ」

梓「今日は…やめとく」

純「大学かぁ…受験どうしよ」

梓「憂はどうする?どこ受けるの?」

憂「お姉ちゃんと同じとこ受かればいいなぁ…って思ってるんだけど…」

純「憂~、そろそろお姉ちゃん離れしようよ」

憂「だって…はぁ…」

梓「そろそろ帰ろっか」

12: 2010/07/24(土) 10:07:09.59 ID:1UVnyb8y0
憂 (大学受験…かぁ…)

憂 (お姉ちゃんと同じとこに行きたいけど、大学行ったってとくにやりたいことがあるわけじゃないしなぁ…)

憂 (やりたいことか…)

憂 (プロ野球…)

憂 (まさか…だよね…)

憂「ただいまー」

14: 2010/07/24(土) 10:10:32.96 ID:1UVnyb8y0
唯「おかえりー、憂」

憂「待っててね、今ご飯作るから?」

唯「あ、憂。そういや憂に電話かかってきてたよ?大森さんって人から」

憂「大森さん…え?まさか…」

唯「知ってる人?」

憂「うん…あ、でもあとで話すね」

唯「あ、あと今日りっちゃん来るから!」

憂「じゃあ律さんの分も作っておく?」

唯「食べてくるっていってたしいいんじゃない?」

憂「分かった」

15: 2010/07/24(土) 10:13:47.14 ID:1UVnyb8y0
~~~~~~~~
律「おじゃまー!」

唯「りっちゃん!」

憂「律さんこんばんわ、どうぞ上がってください」

律「お、憂ちゃん!悪いね~。あと、こんなん買ってきた!」

唯「お~!ケ~キ!」

律「食おうぜ!あ、憂ちゃんの分もあるから」

憂「ありがとうございます!」

17: 2010/07/24(土) 10:17:11.77 ID:1UVnyb8y0
唯「モグモグ…それでさ、憂…大森さんって誰?」

憂「え?あの…その…」

律「お!?ついに憂ちゃんにオトコかぁ!?」

憂「いえ、そんなんじゃ…実はこういうことが今日あって…」

唯「ふむふむ」

律「う~ん、いたずらじゃないの?でも、大森ってどっかで聞いたことが…」

唯「知ってるの?」

18: 2010/07/24(土) 10:24:05.31 ID:1UVnyb8y0
律「うん、そんな選手巨人にいたんだ…芽はでなかったけどな。確かに今スカウトやってるはずだけど…」

憂「お姉ちゃん?大森さんは電話で何を言っていたの?」

唯「えっと…指名を…検討だとか…」

律「おいおい!さすがにそりゃねーし!」

憂「まさか、本当にジャイアンツのスカウトさんが私をスカウトしようってこと?」

唯「まさか…憂、女の子じゃん・・」

律「でもさあ…唯んちの電話番号まで知ってるんだもん…それで憂ちゃん本人にまでコンタクトしてる…」

律「イタズラにしては、手が込みすぎだろ」

20: 2010/07/24(土) 10:32:38.36 ID:1UVnyb8y0
唯「でも、憂は野球なんてやったことないじゃん…」

憂「そう…なのになんでだろう…」

律「ま、仮にホントに憂ちゃんがドラフトで指名されたとしても、嫌なら断りゃいーんだし」

唯「私は…嫌だよ、憂…プロ野球なんか…」

憂「まさか…私なんかがやれるわけないよ…」

25: 2010/07/24(土) 10:36:30.20 ID:1UVnyb8y0
翌朝
唯「やばい!寝過した…ってあれ…?」

憂「お姉ちゃん、今日は休みだよ」

唯「そか、よかった…びっくりしたよ、起きたらこんな時間だもん」

憂「もう、お姉ちゃんったら。ご飯できてるよ!」

唯「はーい!じゃ、いっただっきま~す!」

ピンポーン

26: 2010/07/24(土) 10:43:13.86 ID:1UVnyb8y0
唯「あれ?誰か来たよ?」

憂「私、出てくるね」

憂「どちらさまですかー?…あっ…」

大森「こんにちは。すみません、いきなり押しかけてしまって…」

山下「平沢憂さんですか?私は読売巨人軍のスカウト部長を務める山下と申します」

大森「今日はお時間の方、よろしいでしょうか?」

憂「え、あの…大丈夫です…」

唯「憂~誰が来たの~?」

山下「憂さんのご家族の方ですか?」

27: 2010/07/24(土) 10:46:49.52 ID:1UVnyb8y0
唯「へ?はい、あの…憂の姉です」

山下「では、ちょうどいいですね。憂さんとお話したいことがあるので、お姉さんにもお付き合いいただきたいのですが…」

唯「…え?私は…別にいいですけど…」

憂「あ、お二人とも、玄関じゃなんですから上がってください」

大森「これはどうも」

山下「では失礼します」

32: 2010/07/24(土) 10:56:33.49 ID:1UVnyb8y0
大森「単刀直入に申し上げます」

大森「我々、読売ジャイアンツは今年度のドラフト会議で平沢憂選手を野手として1位指名することを検討しております」

憂「え?本気ですか…」

大森「はい」

憂「でも…私、野球なんてやったことありませんよ?」

大森「ちょうど一年前、憂さんはバッティングセンターに行きましたよね?」

憂「はい…あの…それが」

大森「ちょうどそのとき、私もそこにいました」

37: 2010/07/24(土) 11:03:51.68 ID:1UVnyb8y0
大森「そこで、憂さん…いえ、憂選手のバッティングに無限の可能性を感じました」

唯「あの…何を言ってるのか分からないんですけど」

山下「憂選手には、素晴らしい野球の才能があるということです」

憂「別に、あれはたまたまですし…それに、特に指導をうけたことなんてないですし」

大森「指導を受けたこともない女の子が、プロ並みの技術を持っていたから私は驚いたのです」

唯「そんな、でたらめ言わないでください!」

大森「見れば、分かります」

42: 2010/07/24(土) 11:11:24.99 ID:1UVnyb8y0
憂「ほんと、たまたま一度バッティングセンターに行っただけで…人から打ったこともないですし」

山下「確かにバッティングセンターの機会が投げる球と人が投げる球じゃ違う」

大森「憂選手の腕の振り、上体、下半身の使い方…素晴らしい点はいくつもありますが…」

大森「特に私が感銘を受けたのは、憂選手のタイミングの取り方でした」

唯「あの…野球のことはよく分からないので…」

大森「実際に見てもらえば分かります…ついてきてくれませんか?」

72: 2010/07/24(土) 13:05:36.03 ID:1UVnyb8y0

憂「ここは…?」

山下「うちの二軍の本拠地、ジャイアンツ球場です」

岡崎「あ、山下さんに大森!」

大森「久しぶりです、岡崎さん」

岡崎「えっと…その子が例の?」

大森「はい、今年指名予定の平沢憂選手です」

岡崎「二軍監督の岡崎です。はじめまして」

憂「はじめまして…」

74: 2010/07/24(土) 13:14:44.15 ID:1UVnyb8y0
山下「えっと、岡崎監督…じゃあ、おねがいします」

岡崎「あぁ、はい。じゃあ、ちょっと来てください」

唯「これから…何するんですか?」

大森「憂選手と、ウチの若いピッチャーを対戦させるんです」

憂「え!?そんなの無理ですよ!!」

大森「大丈夫。君はまだ自分で自分の才能を自覚してないだけだから」

憂「そんな…プロのピッチャー相手なんて」

岡崎「いやいや、とはいっても二軍だし、ね?大丈夫、大丈夫。気楽にやってよ。」

唯「憂…できっこないよ…」

大森「お姉さん、見ててください。憂選手はやります。」

76: 2010/07/24(土) 13:19:31.19 ID:1UVnyb8y0
岡崎「小谷コーチ!来ましたよ!」

小谷「あ、この子が?平沢…えっと…」

憂「平沢憂です」

小谷「二軍の投手コーチの小谷です。よろしくね」

憂「はい、よろしくお願いします…」

小谷「じゃあ、君の相手を呼ぼうか…おい!!」

唯「憂…私あの人テレビで見たことある…」

内海「うっす」

82: 2010/07/24(土) 13:26:22.25 ID:1UVnyb8y0
大森「小谷コーチ!話が違うじゃないですか!」

小谷「え?コイツじゃダメ?」

大森「ダメも何も、ウチの左のエースじゃないですか…」

小谷「エースって言っても、ケガでこっちに落っこちてきたんだけどな」

岡崎「内海、ケガの具合はどうだ」

内海「大丈夫です。いつでも上で投げられます」

憂「え…あの…う、内海さん相手なんて…打てるわけないですよ!」

小谷「おい、内海!女の子だからって手を抜くなよ!」

86: 2010/07/24(土) 13:34:18.41 ID:1UVnyb8y0
内海、投球練習中

内海 (あー、なんで俺が…)

内海 (ま、でもけっこう可愛い子だな…)

岡崎「なかなかいい球来てるじゃない」

小谷「まぁ明日にも上げれますね」

大森「ちょっと待ってください!今日は憂選手に『プロでやれるかもしれない』って自信つけてもらうためなのに…」

岡崎「…大森…いくらお前が才能を見出したっていっても…女の子だぞ?」

小谷「女の子がやってけるほど、甘い世界じゃないって。普通に生きてく方があの子のためだよ」

大森「でも…」

岡崎「まぁ、所見で内海打てるほどの子だったら…欲しいっつたら欲しいけどね」

87: 2010/07/24(土) 13:38:28.58 ID:1UVnyb8y0

憂「お、おねがいしまーす…」

内海 (女の子相手って言っても…打たれたらかっこ悪いしな…)

内海 (あ、でもなんか打ちそうな構え?)

内海 (全力で…行くか!)ビュンッ!

審判「ボール!」

憂「え…!!!怖い…」

小谷「いきなり胸元へのカッターとは、アイツ本気じゃんか」

94: 2010/07/24(土) 13:45:56.57 ID:1UVnyb8y0
内海 (間を置かずに、二球目…と)ビュッ!

審判「ストライク!」

小谷「直球インコースギリギリか…なかなかアイツコントロールよくなったな」

憂 (速いっ…ダメだよ~)

大森「憂選手!…自分を信じて!僕も、信じてますから!」

岡崎「大森…無理なもんは無理だよ…」

憂 (お…大森さん…)

大森「あの子なら…やれます…平沢憂なら…」

憂 (大森さんは…私に期待してくれてる…信じてくれてる…だから…怖がっちゃダメ!)

内海 (ん?なんかいい顔してきたじゃないか…)

96: 2010/07/24(土) 13:55:45.27 ID:1UVnyb8y0
内海 (打つ気マンマン…って感じだな…)

憂 (いくよ…内海さん!)

内海 (じゃあ、これでどうだ!)シュッ!

憂 (絶対に、打つ!…えっ…あれっ…)シュンッ!

審判 「ストラーイク!」

岡崎「振っちゃったよ…チェンジアップ」

唯「憂…」

内海 (あー何俺素人の女の子相手に、こんな駆け引きやってるんだか…)

憂 (お…遅い球…?)

憂 (でも、落ち着け私…速い球に、体に向かってくる球に…遅い球…)

憂 (遅い球を待ってちゃ、速い球は打てない…速い球を待ちながら、遅い球にも対応しないと!)

内海 (でも、なんかこの子…本気で相手したくなるなぁ…)

98: 2010/07/24(土) 14:08:32.20 ID:1UVnyb8y0
憂 (でも、あの初めに来た体に向かってくるやつがきたらどうしよう…)

憂 (そのときは、そのときだよね!さぁ、いくよ!!)

岡崎「なぁ…大森…」

大森「はい?」

岡崎「女の子だ、女の子だって言ってたけどさ…なんか、あの子いいよね?平沢憂」

岡崎「ガキのころ、王さんとかミスターの打順が来るたびワクワクしながらテレビ見てたけど…」

岡崎「なんか、あんな気持ちになってきたよ…あの子見てたら…」

内海 (うーん…カーブもあるんだけどな…)

内海 (なんかこういう時は…一番投げたい球を投げるに限るよな!)

100: 2010/07/24(土) 14:14:04.90 ID:1UVnyb8y0
内海「行くぜ」ビュッ!

憂「」カキーン!

岡崎「おいおい…これは…」

大森「やった!やったぞ!」

唯「憂…すごい…」

内海「マジかよ…」

山下「多摩川まで飛んでった…そりゃ言い過ぎか」

憂「よしっ!」

104: 2010/07/24(土) 14:21:46.52 ID:1UVnyb8y0
大森「憂選手!やっぱり君はすごいよ!」

憂「大森さん!やりました!」

岡崎「すごいな…あのチェンジアップのあとで、ストレートをちゃんと待てるなんて…」

大森「はい、憂選手はリズム感があるというか…タイミングを取ることに関しては天才の中の天才です!」

唯「そういえば、憂が私の代わりに弾いたとき…ちゃんと合ったってりっちゃん言ってたね…」

岡崎「それもそうだけど、見た目は可愛いお嬢さんなのに…すごいパワーだな…」

憂「そ…そんな…恥ずかしいです…」

小谷「内海…悔しいか?」

内海「悔しいですけど…あの子が試合で俺のためにホームラン打ってくれるなら…悪くないですね」

106: 2010/07/24(土) 14:28:00.98 ID:1UVnyb8y0
カメラマン「なんなんだ…あの子は…」

記者「たまげたなあ…おい!写真とったか!?」

岡崎「憂選手、未来の巨人軍の4番の誕生を今、私は見ました」

小谷「そこまで言うのはまだ早いかもしれねえけど…少なくともプロではやってけるな」

憂「へへへ…」

大森「憂選手…入ってくれますか…?読売ジャイアンツに」

憂「…えっと…」

唯「ダメだよ!」

憂「お、お姉ちゃん…」

112: 2010/07/24(土) 14:40:49.53 ID:1UVnyb8y0
唯「ダメに決まってるよ!憂は女の子なんだよ!」

大森「でも、お姉さん…憂選手の実力はご覧の通り…」

唯「男の人ばっかりの世界に憂を置いておけないよ!」

大森「…それは…」

唯「それに、女のプロ野球選手はまだいないんでしょ!確かに憂はすごいのかもしれないけど…」

唯「もしダメだったらどうするの!何年も芽が出ずにくすぶって…」

大森「…」

唯「それでクビになったら、一体憂はどこに行けばいいの?」

大森「それは…」

唯「大森さん!あなたは、運よく辞めた後もお仕事がもらえたかもしれないけど…憂にはその後はあるの?」

唯「周りの子は大学に行って勉強してる間、社会に出ても役に立たない野球の練習ばっかりして…」

唯「それでいきなり社会に放り出されたら、一体どうすればいいの!?」

114: 2010/07/24(土) 14:48:35.14 ID:1UVnyb8y0
唯「憂が…そうなっちゃうの…私…いやだよ…」グスッ

憂「お…お姉ちゃん…」

唯「それに…うぅっ…私、憂がケガをして痛がってるとこなんて…見たくないよ…」

唯「うわぁ~ん…そんなのいやだよぉおお!!!!」

憂「お姉ちゃん…」

憂「…大森さん…」

大森「憂選手…」

憂「ごめんなさい…私、お姉ちゃんを心配させるようなこと…できません…」

憂「さ、帰ろ?お姉ちゃん」

唯「うい…」

憂「でも大森さん、私、大森さんが私にすっごい期待をかけてくれたこと…すごくうれしかったです」

憂「本当にごめんなさい!…みなさん、さようなら…」

大森「…憂選手…待っ…」

吉村「…大森…仕方ない。あれは俺たちじゃ無理だ」

118: 2010/07/24(土) 14:57:43.37 ID:1UVnyb8y0
翌日

律「『巨人、ドラフト一位はなんと無名の女子高生!』、かぁ」

澪「私、スポーツ新聞なんて買ったの初めてだ」

紬「たしかに、なんでもできる子だなぁ…とは思っていたけど…」

律「ここまでできた子だとはなぁ…憂ちゃん…」

唯「ダメだもん」

澪「唯…」

律「私的には、日本初の女子プロ野球選手※、見てみたいけどなあ…姉の身としては心配だよな」

※男性選手と一緒にプレーをする、という意味では独立リーグを含めれば吉田えりが第一号

122: 2010/07/24(土) 15:05:10.45 ID:1UVnyb8y0
唯「私たちもさ…武道館でライブやろうねって行ってたよね…」

澪「ああ、そうだったよな」

唯「みんな同じ大学に入ってさ、今でもこうして仲いいけど…」

律「もう…弾かなくなっちゃったよなあ…楽器…」

紬「大学入って、周りのみんなが将来のことを考えて必氏に勉強してるのを見てたら…ねえ…」

澪「なんだかもう、バンドをやろうって気がなくなっちゃったんだよな」

123: 2010/07/24(土) 15:10:02.50 ID:1UVnyb8y0
唯「仕方ないよ…それが正しいと思うもん…憂だって…」

律「でもさ、それを憂ちゃんに押し付けるのはよくねーんじゃねーか?」

紬「そうよ、唯ちゃん!憂ちゃんなら、クビになってもお父さんの会社で雇ってあげるから」

唯「…ムギちゃんありがと…でもね、別に憂が野球やりたいってわけじゃないし…」

律「そうか?なんかでも、このホームラン打ってる憂ちゃんの写真…すっごく楽しそうに見えるんだけどな…」

唯「…」

126: 2010/07/24(土) 15:15:43.29 ID:1UVnyb8y0
桜高

純「憂、一気に有名人だね」

梓「報道陣が…詰めかけてる…」

憂「大変なことになっちゃったね」

純「憂、ほんとにプロ野球選手にならないの?」

憂「うん」

梓「なんか憂ならすっごい活躍しそうだけどなぁ」

憂「そんなことないよ…それに…」

梓「唯先輩に、心配かけたくないんだよね」

憂「…うん」

127: 2010/07/24(土) 15:21:04.33 ID:1UVnyb8y0
梓「でもなんか意外だな~、唯先輩ならむしろ応援しそうだと思ったのに」

憂「お姉ちゃんも大人になったんだよ」

梓「そっか…でもちょっと残念な気もする」

純「でもさ、憂自身の気持ちはどうなの?ホントにやりたくないの?」

憂「……お姉ちゃんが笑ってくれれば、私それでいいの。お姉ちゃんが悲しむようなことはできないよ。」

純「…憂…あ、さわ子先生きたよ!」

さわ子「みんなおはよう。じゃあ出欠とります…って校長先生?」

校長「山中先生、ちょっと来てください」

さわ子「…え!?…平沢さん、ちょっと校長室までついて来てくれない?」

憂「あ…はい」

128: 2010/07/24(土) 15:28:02.12 ID:1UVnyb8y0
校長室

憂「失礼します…え!あ…あなたは…!?」

原「はじめまして、読売ジャイアンツ監督の原辰徳です」

憂「あ…こちらこそはじめまして!まさか、原監督さんが…」

原「はい、私が直々に来ました。憂選手、私たちと一緒に野球をやりませんか?」

憂「え…あ…あの…」

さわ子「あ、すみません…私、憂ちゃんの担任の山中さわ子と言います」

原「あ、先生でしたか。若くてお美しいですね。」

さわ子「…///」

原「あ、すみません。続けてください。」

132: 2010/07/24(土) 15:39:56.60 ID:1UVnyb8y0
さわ子「えっと…ウチは女子高でして、野球部なんてありません。」

さわ子「当然憂ちゃんは野球部に所属してるわけではないただの女の子で…野球をやってたわけでもないんです」

原「でも、憂選手が我がチームのエースからホームランを打った話は知ってますよね?」

さわ子「はい。私はあまり野球には通じていないのですが…」

さわ子「それでも、野球経験のない女の子をドラフトで指名する、これってかなり異例なことですね」

原「はい、そうですね。野球史上初めてのことじゃないでしょうか」

さわ子「ですので、担任としては前例のない道に生徒を送り出すことは不安と言いますか…」

さわ子「首を縦に振れることではありません」

136: 2010/07/24(土) 15:49:41.43 ID:1UVnyb8y0
原「憂選手、あなたはどうですか?」

憂「私は…野球をやろうとは思いません…」

原「そうですか…」

憂「私には姉がいて…私は姉のことが大好きで、いつも姉には笑っていてほしいと思っています。」

憂「姉は、この件については反対してます。私の身を案じてのことです…」

憂「私は、姉に心配をかけたくないのです。大森さんや、岡崎さんにも言いましたが…」

憂「原監督さん…ここまで来てくださったのに…ごめんなさい…」

さわ子「憂ちゃん…」

原「…分かりました。でも、一つだけ言いたいことがあります。聞いてくれませんか?」

憂「…はい。」

139: 2010/07/24(土) 15:58:35.83 ID:1UVnyb8y0
原「君に目をつけた大森剛という男の話をさせてください。」

原「大森剛…彼もまた、かつては我々ジャイアンツの選手でした」

憂「知ってます」

原「アマチュア時代は六大学で三冠王を獲るほどの強打者で、鳴り物入りでジャイアンツに入って来ました」

原「しかし、そのような選手でもプロでは結果を残せませんでした…」

原「日本シリーズでホームランを打ったこともありましたが、レギュラーを獲れそうでも獲れず」

原「ついには、近鉄へトレードに出されてしまいました。」

140: 2010/07/24(土) 16:03:35.54 ID:1UVnyb8y0
憂「…」

原「結果が出せなかったとはいえ…一生懸命な男でした。」

原「それは、私も選手として彼とプレーしていたころに、ひしひしと感じていました。」

原「そして、ジャイアンツを思う心…ジャイアンツ愛に溢れる男でもありました…」

原「ですから、トレードを言い渡されたときは…まさに青天の霹靂といった気持だったでしょう」

原「近鉄にいたころには、『近鉄の一軍よりも巨人の二軍の方がいい』と言ったとか言わないとか…」

143: 2010/07/24(土) 16:09:44.51 ID:1UVnyb8y0
原「近鉄を戦力外になり、彼はウチにスカウトとして戻って来ました。」

原「選手として貢献できなかった分、スカウトとして素晴らしい逸材を多く見つけ出したい」

原「そういう彼の想いは、彼の姿から伝わってきます」

憂「…」

原「ところで、憂選手。ウチの坂本勇人という選手をご存知でしょうか?」

憂「はい、知ってます。楽天のマーくんとライバルだっていう…」

原「はい、その坂本です。坂本は大森が見出した選手でした。」

145: 2010/07/24(土) 16:15:52.67 ID:1UVnyb8y0
原「当時の坂本は、楽天のマーくんや、今早稲田にいるハンカチ王子と比べると無名の存在でした」

原「もっともその年のドラフトでは当初我々は別の選手をドラフト一位で指名する予定でした」

原「しかし、大森は坂本のドラフト一位指名を強く推しました。進退をかける、とまで言って」

原「その熱意に負け、『外れ一位なら』という条件で坂本を指名することになりました」

原「その後の坂本の活躍は知ってますよね?しかし、あれは坂本一人の成功ではない。大森のジャイアンツ愛が見せたファインプレイなんです。」

147: 2010/07/24(土) 16:22:41.13 ID:1UVnyb8y0
原「私は大森という男を信じています。彼の持つ、熱いジャイアンツ愛を」

原「そして、大森という男が信じた選手たちも」

原「巨人軍監督というより…一人の野球人として言わせてください」

原「憂選手、私は大森が信じた選手と…君と野球がしたい!」

憂「原監督さん…」

原「これ以上は、もう言うことがありません…しかし、最後は憂選手…あなたの気持ち次第なので…」

原「でももし気が変わったら、プロ野球志望届をだしておいてくださいね。期日もうすぐなんで」

原「ほんとは、プロの監督が志望届を出す前の選手にこうやって会うのはいけないんですが…そこは気にしないでくださいね」

148: 2010/07/24(土) 16:27:49.53 ID:1UVnyb8y0
原「では、これで私は帰ります。いきなり押しかけて申し訳ありませんでした」

さわ子「いえいえ、お忙しい中…」

憂「待ってください…原監督さん…」

原「はい、なんでしょう」

憂「わたしは…たぶんプロにはならないと思います…でも、こうして原監督さんや大森さんがが私に期待してくれる」

憂「すごく…うれしかったです」

憂「ジャイアンツ愛とか、そういうのはちょっと分からないけど…」

原「…」

憂「でも、本当にうれしかったです…ありがとうございました」

原「どういたしまして。では憂選手の今後の活躍を期待しています。それでは…」

憂「はい…」

原「」ニッコリ

149: 2010/07/24(土) 16:31:09.86 ID:1UVnyb8y0
さわ子「憂ちゃん…わたし…憂ちゃんがプロ野球選手になることは勧められないけど…」

憂「…」

さわ子「唯ちゃんのこと気にして、自分の将来を決めるってのはよくないと思うわ」

憂「でも…」

さわ子「だって、これは憂ちゃんの人生なんだもん」

憂「お姉ちゃん悲しむとこ…私…」

さわ子「よく考えなさい」

152: 2010/07/24(土) 16:40:34.96 ID:1UVnyb8y0
憂 (私はお姉ちゃんのことが大好き)

憂 (お姉ちゃんが笑ってくれるなら、どんなことだってできるし…)

憂 (お姉ちゃんが悲しんだりするのは嫌だ…)

憂 (でも、原監督さんや大森さんが私に期待してくれる…)

憂 (それが、こんなにうれしいことなんて…)

憂 (それに、内海さんと対戦した時に感じた、あの気持ち…)

憂 (…ごめんなさい…お姉ちゃん…一度だけ、ワガママ言わせてください)

155: 2010/07/24(土) 16:46:14.11 ID:1UVnyb8y0
プロ志望届期日前夜

憂「今日はね、腕によりをかけたの!」

唯「すっごい!憂てんさい!」

憂「えへへ…そんなことないよ~」

唯「憂はなんでもできてすごいな~」

唯「でも、私は認めないから」

156: 2010/07/24(土) 16:55:24.07 ID:1UVnyb8y0
憂「…お姉ちゃん!」

唯「言わなくても分かるよ…憂のお姉ちゃんなんだもん」

憂「お姉ちゃんごめんなさい…でも、私…野球がやりたいの」

唯「認めないから」

憂「…お姉ちゃん…」

唯「憂のことが心配だし…それに…」

憂「それに…?」

唯「…私…憂に嫉妬してると思うんだ…」

158: 2010/07/24(土) 17:02:12.01 ID:1UVnyb8y0
憂「…お姉ちゃん…」

唯「グスッ…ううっ…わたしさぁ…高校の頃ホントにミュージシャンになりたくてさ…」

唯「りっちゃん、澪ちゃん…ムギちゃんとあずにゃんと一緒に武道館で弾けたらいいねって毎日言ってたよね?」

憂「うん、あの頃のお姉ちゃんは楽しそうだったよね」

唯「大学入って、いろんな人と出会って…みんなが自分の将来のことをしっかり考えて勉強してるの見てたら」

唯「急に、ミュージシャンになりたいって言ってた自分が不安になって…」

唯「気がついたら…もうギー太を持つこともなくなっちゃった…」

160: 2010/07/24(土) 17:09:37.16 ID:1UVnyb8y0
唯「憂、私…野球のことはよく分からないけどさ…」

憂「うん…」

唯「世の中には、プロになりたくて一生懸命練習したのになれない子たちってたくさんいるよね」

憂「…そうだね」

唯「それに比べて憂はとくに何もしてないのに、才能があるからって言ってスカウトされている」

憂「…」

唯「簡単に諦めちゃった私とその子たちを一緒にするのはおこがましいけどさ…」

憂「お姉ちゃん…」

唯「どう思うんだろうね?その子たちは憂のこと…」

憂「…」

唯「私…憂のこと…グスっ…快く…うわぁーん!ひっくっ…うぅ…」

161: 2010/07/24(土) 17:17:35.80 ID:1UVnyb8y0
憂「…お姉ちゃんごめん…」

唯「…ぐすっ…なんで憂が謝るの…妹がせっかくやりたいことができたのに…」

唯「…背中押してあげるどころか、嫉妬しちゃうお姉ちゃんで…ごめんなさい…うぅ…」

憂「ううん…私こそごめん…お姉ちゃんだっていろいろ辛いのに…」

唯「でもね、わたし…憂のこと快く送り出してあげられないけど…」

唯「私は…憂のお姉ちゃんだからね…辛くなったら、いつでも帰ってきていいんだからねっ…!」

憂「ぐすっ…ありがとう…お姉ちゃん…私、お姉ちゃんの妹でよかったよ」

162: 2010/07/24(土) 17:28:49.28 ID:1UVnyb8y0
ドラフト会議当日

『読売ジャイアンツ、ドラフト1位指名、平沢憂。内野手、桜が丘女子高校』

大森「来てくれて、ありがとう」

憂「大森さんの期待に応えられるよう、私、頑張ります。」

大森「大変なこともいろいろあるだろうけど…頑張ってね」

憂「ありがとうございます」

大森「ところで、これからはどうする?寮で暮らす?」

憂「はい、私も今日からジャイアンツの一員ですから」

大森「どうしよう…さすがに女の子だしな…ルーキーだけど別に特例で自宅からでもいいんだけど」

憂「いいえ、特別扱いしないでください。…ちゃんと寮で暮らします」

大森「うーん…分かった。特別扱いはしないけど、ちゃんと女の子扱いしてもらえるよう言っておくよ。さすがにね」

憂「…はい。」

165: 2010/07/24(土) 17:31:42.11 ID:1UVnyb8y0
大森「お姉さん…どうしてる?認めてもらえたかな…」

憂「姉は…認めてくれませんでした」

大森「そっか…」

憂「でも、いつか認めてもらえるように…お姉ちゃんに私がお姉ちゃんの妹で良かったって思ってもらえるように…」

憂「頑張ります!」

175: 2010/07/24(土) 18:55:28.15 ID:1UVnyb8y0
憂「あ、前に来たジャイアンツ球場が見える…近いんだ」

憂「えーっと、このへん、このへん…着いた!」

憂「ここがジャイアンツ寮かあ…」

寮長「平沢憂くんだね?」

憂「はい、お世話になります。よろしくおねがいします!」

寮長「こちらのほうこそよろしく。さっそく部屋案内するね?」

憂「はい!」

176: 2010/07/24(土) 19:01:47.45 ID:1UVnyb8y0
寮長「ここね。シャワー、トイレ付の一人部屋」

憂「すっごくいい部屋…いいんですか?」

寮長「うん、これが君の部屋だよ」

憂「でも…だいたい選手寮は二人部屋だって聞いたんですけど…」

寮長「まぁ、君の場合は特別に…ね?」

憂「そんな…別に特別扱いしてもらわなくても…」

寮「いいの、いいの!気にせず使ってちょうだい!」

寮 (こんな子と二人きりで過ごすなんて…ある意味生き地獄だっつーの!)

179: 2010/07/24(土) 19:10:33.07 ID:1UVnyb8y0
憂「先日のドラフトでジャイアンツに入団したばかりの平沢憂です」

憂「まだまだ初心者で、皆さんの足を引っ張ってしまうかもしれませんが…よろしくお願いします!」

パチパチパチパチ

大田「二年目の大田です、よろしく!」

円谷「円谷です、よろしく!」

憂「先輩方、どうもよろしくおねがいします!」

選手一同 (かわいいなあ…)

寮長 (あぁ…モテモテじゃん)

寮長「オホンっ…憂君…いきなり済まないが、歓迎会用の皿が足りないから持ってきてもらえないかな?」

憂「はい!今行きます!」ササっ

寮長「おいお前ら…手出したら」

寮長「頃すぞ」

180: 2010/07/24(土) 19:16:23.79 ID:1UVnyb8y0
秋季キャンプ@ジャイアンツ球場

円谷「」ササッ…パシッ!

円谷「」シュッ!

憂「」…ポロッ

憂「あ、すみません!」

岡崎「今のは平沢じゃない、おい円谷!」

円谷「スイマセン!」

岡崎「なんて球投げてんだ!どんなファーストでも捕れないわっ!」

190: 2010/07/24(土) 19:51:26.91 ID:1UVnyb8y0

岡崎「ん~…でも、期待以上ってか…守備もなかなかいいじゃないか」

カツノリ「ポジションどうするんですか?」

岡崎「上のポジションで今定まってないのは一塁と二塁…」

岡崎「平沢は、どっちに適性があるんだろうな…」

カツノリ「でも、強打者といったらファーストじゃないですか?」

岡崎「ああいう糞送球も捕ってアウトにしなきゃいけないから、決して楽なポジションじゃないんだけどな…」

岡崎「セカンドよりは負担はないから、打撃に専念させるにはいいんだけどな…」

岡崎「でも、意外と平沢…フットワークも軽快なんだよ」

193: 2010/07/24(土) 19:58:29.41 ID:1UVnyb8y0
荒井「平沢ーっ!ゴロ行くぞ!」

憂「はい!」

荒井「」カーン!

憂「」サッ!

憂「」パッ!

カツノリ「打球の来る位置の予測の正確さが、野球経験のなかった女の子とは思えませんね…」

岡崎「なんだか敏久思い出させるわ」

憂「コーチっ!次おねがいしまーすっ!」

岡崎「てかカツノリ、なんでお前いるんだよ…バッテリーコーチだろお前」

カツノリ「いいじゃないですか…休憩中に気になって見に来るくらい」

岡崎「…まぁ…誰だって気になるよなぁ…」

円谷「」ポロッ

岡崎「円谷ァ!!」

196: 2010/07/24(土) 20:09:25.52 ID:1UVnyb8y0
カツノリ「荒井さん!ノックお疲れです!」

荒井「お、カツノリ!」

カツノリ「憂ちゃんのバッティングはどうですか?」

荒井「評判通り。アレは弄れん」

カツノリ「そんなすごいんですか?」

荒井「陳腐な言葉だが…あれは天性の才能だ。下手に指導したら壊れちまうよ」

憂「おねがいしまーす!」

バッピ「じゃ、行きます」

憂「」カーン!カーン!カーン!

荒井「内海からでかいの一発打ったって聞いたけど、基本的には中距離砲ってとこかな」

カツノリ「コンパクトに打ちますね…」

荒井「コースに逆らわず、基本センター返し。それができないで燻ってるやつだっているんだから」

201: 2010/07/24(土) 20:20:12.32 ID:1UVnyb8y0
岡崎 (やっぱセカンドかな…)

岡崎 (一塁は由伸もいるし…スンちゃん(まだいるということで)もいるからなあ…)

岡崎 (たまには慎之助も回すかもしれないし…)

岡崎 (うーん、脇谷には悪いけど…一番ポジションとれそうなとこ、あそこだもんな…)

岡崎 (上にはそう言っておこうか)

岡崎「平沢!来い!」

憂「はい、監督!」

岡崎「今日からお前はセカンド一本でいく。いいな!」

憂「はい!」

203: 2010/07/24(土) 20:27:04.29 ID:1UVnyb8y0
憂「みなさん、お疲れ様です!お茶用意したんで飲んでください!」

大田「お、憂ちゃん悪いね!ありがと!」

中井「なんか憂ちゃんマネージャーみたいだな」

憂「ははは、みたいですねー」

加持前「憂ちゃんも新入りとはいっても選手なんだから、別にそんなことまでやらなくても…」

憂「そうですけど、家でもこんな感じだったんで」

大田「世話好きだったんだね。妹か弟?」

憂「お姉ちゃんです!毎日起こしてあげて…宿題も手伝ってあげて…」

選手一同「…」

206: 2010/07/24(土) 20:33:02.85 ID:1UVnyb8y0
円谷「憂ちゃんおかわり!」

憂「はいどうぞ、円谷さん!」

円谷「もう一杯!」

憂「もう、飲みすぎは体に毒ですよ!」

大田「…なんかいいお嫁さんになりそうだよな…」

憂「そんなことないですよ!」

大田「いやいや、絶対いいって!」

憂「大田さんしつこいです!」

選手一同「大田しつこいぞ!」

大田「…もう…」

円谷「俺…巨人入ってよかったわ…」

209: 2010/07/24(土) 20:38:23.32 ID:1UVnyb8y0
ジャイアンツ寮

憂「練習きついけど…なんか思ったより楽しくていいな…皆さんいい人だし…」

憂「野球…どんどん自分でも上手くなっていく感じが分かってくるんだもん」

憂「ギターはじめたころのお姉ちゃんも、こんな感じだったのかな…」

憂「…お姉ちゃん…」

憂「お姉ちゃんのギター…もう一度聴きたいなあ…」

210: 2010/07/24(土) 20:44:10.36 ID:1UVnyb8y0
憂「」トゥルルトゥルル…

憂「あ、お姉ちゃん?」

唯「憂!久しぶりだね」

憂「うん!久しぶり!ちゃんとやれてる?」

唯「ま~ね!りっちゃんが来て、ご飯作ってくれるんだよ!」

憂「…お姉ちゃん…」

唯「あ、でも!たまには自分で作ったりするよ!」

憂「そっか…じゃあ帰ったらお姉ちゃんが作った料理食べたいな…」

唯「へへ…」

212: 2010/07/24(土) 20:47:59.54 ID:1UVnyb8y0
憂「大学どう?大変じゃない?」

唯「大変だねー。レポート最近多いしさ…それでいてバイトも入れてるし…」

憂「じゃあギ…なんでもない。体には気をつけてね。無理はしちゃだめだよ。」

唯「…憂こそ、体に気をつけてね」

憂「ありがと。じゃ、切るね…おやすみ」

唯「うん、おやすみ」…プツッ

憂唯「はぁ…」

214: 2010/07/24(土) 20:54:35.19 ID:1UVnyb8y0
時は流れ、春、桜高

憂「…卒業生代表、平沢憂」

教師「起立!…礼!」

憂「…ふう」

純「憂お疲れ!」

憂「緊張したよ~…まさか答辞読まされるなんて思わなかったよ」

梓「まぁ、優等生でしかも本校初のプロ野球選手だもん!適任と言えば適任だよ」

純「最初で最後だと思うけどね」

憂「へへへ…」

215: 2010/07/24(土) 20:59:05.93 ID:1UVnyb8y0
憂「あ、そうそう聞いたよ!梓ちゃん、律さんたちとまたバンドはじめたんだってね!」

梓「うん、受験も終わって一段落して…そしたら誘ってくれたんだ」

憂「よかったね!」

梓「…うん…でも唯先輩は…」

憂「お姉ちゃん…」

梓「先輩方とまたバンドやれるのは楽しいけど…唯先輩いないとちょっと寂しい」

純「『ちょっと』、じゃないでしょ」

梓「…」

217: 2010/07/24(土) 21:06:54.65 ID:1UVnyb8y0
憂「ごめんね…梓ちゃん…」

梓「…憂が謝ることじゃないよ…別に誰かが謝ることじゃない…」

梓「時間が流れていっちゃっただけなんだよ…」

憂「…」

純「…あ、憂!今一軍なんだよね!一軍って、すごいよね?」

憂「へへへ…うん、大変だけど…うん、頑張ってるよ!」

梓「憂がここまですごい人だとは私思ってもいなかったよ」

憂「…今は卒業式に出るために特別にチームから離れさせてもらってるけど、すぐ戻らなきゃだめなんだ…」

純「じゃあ、これはしばしの再会ってやつだね」

憂「うん、そうだね…でもまた会えてよかったよ…純ちゃん、梓ちゃん…」

梓「わたしも…憂っ!!!」グスッ

219: 2010/07/24(土) 21:11:48.14 ID:1UVnyb8y0
憂「梓ちゃん…泣かないでよ…私まで…グスッ…泣きたくなっちゃうじゃない…」

憂「もお…」グスッグスッ

純「プロ野球選手になったと思ったら…こうして見るとただの女の子じゃない」

憂「純ちゃん…」ウルウル

純「そんな目で見ないでよ…もう!私まで…」グスッ

憂「純ちゃん、梓ちゃん…私の友達でいてくれてありがとうね…」

梓「何言うの…わたしこそ…」

純「私たち一生友達だからね!」

憂「…うん!」

221: 2010/07/24(土) 21:19:32.89 ID:1UVnyb8y0
時は戻り、キャンプ初日…宮崎

憂「え…!?私が一軍…?」

岡崎「そうだ。大抜擢だ。」

憂「岡崎監督…荒井コーチ…小谷コーチ…カツノリコーチ…みなさん…ありがとうございます!」

荒井「お前なら自信を持って上に推せるからな」

小谷「こんな小さいお嬢さんが…上で打ちまくってピッチャーを楽にさせてあげなさい」

カツノリ「ホントに期待してるよ」

岡崎「調子悪くなったら、いつでも歓迎するからな!また鍛えてやる!」

憂「…はい!私、頑張ります!」

233: 2010/07/24(土) 21:39:58.32 ID:1UVnyb8y0

憂 (一軍のメンバー表見よ!誰がいるのかな…)

憂 (大田さん…中井さん…やっぱり上がってきたね…)

憂 (藤村さん…あの俊足は捨てがたいよね…一気にブレークしちゃうかも)

憂 (ピッチャーは…中里さん!小谷コーチとマンツーマンで頑張ってたもんなあ…)

憂 (円谷さん…はいないか。頑張ってほしいなあ…)

235: 2010/07/24(土) 21:46:00.19 ID:1UVnyb8y0
サンマリンスタジアム

憂 (いる!いる!すっごい人たちがいっぱいいる!)

憂 (小笠原さん!)

憂 (由伸さん!)

憂 (阿部さん!)

憂 (すごい…テレビで見る人たちばっかりだ…)

ラミレス 「キミガ、ウイチャン?」

憂「うわっ!…ら、ラミレスさん!?」

239: 2010/07/24(土) 21:53:13.77 ID:1UVnyb8y0
ラミレス「ソウ!ボク、ラミレスダヨ!」

憂「はい!もちろん知ってますよ!四番のラミレスさん!」

ラミレス「ラミチャンデイイヨ!」

憂「はい、ラミちゃんさん!」

ラミレス「イイコダネ!ヨシ、イイコトオシエテアゲルヨ。マネシテ」

ラミレス「ゲッツ、アイーン、ソンナノカンケイネエッ!」

憂「ゲッツ、アイーン、ソンナノカンケイネエッ!」

ラミレス「イイヨ、イイヨ!ウイチャンニ、ソレ、ツカワセテアゲル!」

憂「…えっと…ありがとうございます!」

242: 2010/07/24(土) 21:57:51.77 ID:1UVnyb8y0
藤井「ラミちゃん、何教えてんだよw」

憂「えっと…あなたは…」

藤井「ピッチャーの藤井です!ヨロシク!」

憂「はい、よろしくお願いします…」

斎藤「…おい、藤井?」

藤井「さ、斎藤コーチ…!」

斎藤「えっと…君が平沢憂くんだね?投手コーチの斎藤です」

憂「斎藤コーチ…平沢憂です、よろしくお願いします!」

斎藤「おい、藤井…ちょっと来い…」

藤井「」ギクッ…

247: 2010/07/24(土) 22:02:04.50 ID:1UVnyb8y0
斎藤「おい、分かってるよな」

藤井「な…なんのことですか…」

斎藤「昨日のお前のブログ見たぞ…何が『やったー!明日憂ちゃんに会える☆』…だ」

藤井「べ、別にいいじゃないですか…」

斎藤「首脳陣全員お前が彼女に手を出すんじゃないかって、心配してるんだから…」

藤井「そ…そんなことないですよ…」

斎藤「巨人軍は紳士たれ、だからな…お前俺達の顔に泥を塗るなよ…」

藤井「…はい…」

250: 2010/07/24(土) 22:08:09.13 ID:1UVnyb8y0
内海「お、お嬢ちゃん久しぶり」

憂「あ、内海さん!お久しぶりです!」

内海「ほんとにプロ来たんだな…」

憂「はい!内海さん…また勝負してくださいね!」

内海「…お、やる気か?まぁまだキャンプ始まったばかりだし、シート打撃でも始まったらな!」

内海「でも、今度は絶対負けないからな」

豊田「お、女子高生に打たれた内海さんじゃないですかwww」

クルーン「ウツミ、ジョシコウセイニ、ウタレタwww」

内海「あの日以来、こんな扱いだからな」

憂「…ごめんなさい」

255: 2010/07/24(土) 22:12:49.73 ID:1UVnyb8y0
原「久しぶりだね、憂選手。やっぱり来てくれるって信じていたよ」

憂「あ、原監督さん!すみません、一度断っておきながら」

原「いいよ、いいよ。こうしてまた一人ジャイアンツ愛に目覚めてくれたんだから」

憂「…」

原「憂の覚醒したジャイアンツ愛に私はものすごく期待してるよ!じゃあ頑張れよ!」

原「あ、アイツを紹介しないとな…場合によっては君とコンビを組むかもしれない」

原「おーい!勇人!」

259: 2010/07/24(土) 22:16:15.20 ID:1UVnyb8y0
坂本「うっす、監督」

原「紹介するよ…って知ってるよね。うちの若きショート、坂本勇人だ」

坂本「えっと…彼女が…」

憂「はい!ルーキーの平沢憂です!よろしくお願いします!」

原「憂はセカンドだからな!お前たち二遊間組むかもしれないから仲良くしとけよ!」

憂「坂本さん、よろしくね!」

坂本「…おう」

263: 2010/07/24(土) 22:24:29.08 ID:1UVnyb8y0
吉村「よし!ノックの時間だ!まず坂本!」

吉村「去年はお前のエラーで落とした試合が何個かあるからな!今年は鍛え直すぞ!」

坂本「うっす!」

吉村「」カーン!カーン!カーン!

坂本「」シュパッ!シュパッ!シュパッ!

憂 (う…うまい…!)

伊原「あいつ、今年はすごい気合入ってますね」

原「こういう若いもんの気合が感じられるうちは、まだまだウチも安泰だね」

吉村「次!平沢!」

平沢「は、はい!」

267: 2010/07/24(土) 22:28:34.94 ID:1UVnyb8y0
憂 (どうしよう…あんなにうまくできるかな…?)

吉村「」カーン!カーン!カーン!

憂「」シュパッ!ポロッ!ポロッ!

憂「…!!!」

吉村「平沢、堅いぞ!またいくぞ!」

憂「は…はい!お、おねがいします!」

吉村「」カーン!カーン!カーン!

憂「」ポロッ!ポロッ!ポロッ!

憂 (そ…そんな…)

吉村「もういい!次、大田!」

269: 2010/07/24(土) 22:35:06.22 ID:1UVnyb8y0
憂「…ダメだ…」

大田「」シュパッ!シュパッ!シュパッ!

古城「」シュパッ!シュパッ!シュパッ!

憂「みんな、うまい…」

阿部「平沢さん、ドンマイ!」

憂「あ、阿部さん…」

阿部「いきなりルーキーで大抜擢だもん、そりゃすごいプレッシャーだよな」

憂「は…はい」

阿部「大丈夫、最初はこんな感じでも仕方ないから、ね?」

憂「…はい、ありがとうございます!」

憂「阿部さん…さすがキャプテン…優しいなあ…」

憂「でも…初日からこんなんじゃ…自信なくすなあ…」

273: 2010/07/24(土) 22:38:31.53 ID:1UVnyb8y0
宿舎

憂 (はぁ…どうしよう…まだ気にしちゃう…)

憂 (せっかく阿部さんにも励まされたのに…)

斎藤「おい、藤井!こんなところで何してる!」

藤井「ト、トイレっすよ!!」

憂 (ちょっと騒がしいな…)

憂 (そうだ!寝ちゃおう!寝ちゃおう!)

憂 (お姉ちゃんたちの歌でも言ってたしね)

憂 (…寝ちゃおう…)

277: 2010/07/24(土) 22:48:12.71 ID:1UVnyb8y0
憂 (あの、あなたは…?)

? (僕は君の先輩。巨人軍の先輩だよ…といっても生え抜きじゃないけどさ)

憂 (先輩…わたし…プロでやってく自信が…ないんです…)

? (みんな、入ってきたばかりの頃にはそう思っちゃうよ)

憂 (でも…どうしたらいいか…)

? (自信がないなら努力をしたらいい。自信がつくまで。君にはまだ時間がある)

憂 (そんな…簡単なことじゃないんです!私には…とても…)

? (…自分の可能性を自分で限定しちゃいけない)

? (ミスがどうした?周りが自分よりすごい?それがどうした?)

? (この世界は厳しい。でも努力すれば…道を模索すればこの世界はやってける)

280: 2010/07/24(土) 22:53:01.23 ID:1UVnyb8y0
? (僕だって入団したての時は打ちのめされたさ…)

? (でも、なんとかして18年間現役を続けられたんだ)

憂 (先輩…)

? (だから、頑張って)

? (平沢憂さん)

? (僕の背番号の継承者よ…)

憂「!!夢…」

憂「…でも…頑張れそうだ…ありがとう、先輩…」



原「…」

287: 2010/07/24(土) 22:59:57.41 ID:1UVnyb8y0
原「よし、最初のオープン戦だ!スターティングメンバーを発表する」

原「…3番、ショート勇人!」

原「4番、サード大田!」

原「5番…セカンド…憂!」

憂「はい!」

憂 (スタメンだ…よし、やるぞ!)

原「ピッチャーは…篤史…言って来い!」

中里「…やるぞ!」

憂 (中里さん…よし!打って中里さんを助けてあげるぞ!)

289: 2010/07/24(土) 23:03:24.84 ID:1UVnyb8y0
原「オープン戦初戦から中日か」

落合「…」

原「…」

原「なあ、憂?お前、どうしても苦手な奴っているか?」

憂「いませんよ?」

原「そっか…憂ならそう答えると思ったよ。」

憂「え?どうしたんですか?」

原「なんでもないって!頑張って来いよ!」

296: 2010/07/24(土) 23:14:18.29 ID:1UVnyb8y0
斎藤「中里力んでるなー。いきなり1氏2、3塁か…」

中里「はぁ…はぁ…」

原「自分をクビにした古巣相手だもんな…見返してやろうって気持ちが空回りしてるんだろうな」

憂 (中里さん…ファイト!)

中里 (苦しい…でもここは一人確実に抑えないと…)シュッ!

森野 (中里…甘いぞ…)カキーン!

中里 (やばっ…)

原 (痛烈ッ!)

297: 2010/07/24(土) 23:15:16.55 ID:1UVnyb8y0
憂 「」シュッ、パシッ!

森野 (そ、そんなぁ…)

坂本「」パシッ、シュッ!

小田嶋「」パシッ!

原「おし!よく捕ってゲッツーにした!憂!」

坂本「ナイスプレー!」

憂「…はい!」

中里「助かった…憂」

憂「はい!」

憂 (よーしっ!バットでも頑張るぞ!)

305: 2010/07/24(土) 23:21:19.16 ID:1UVnyb8y0
山井「」ピュッ!

大田「クソっ!」ブンッ!

審判「ストラーイク!バッターアウト!」

落合「なんでオープン戦なのにアイツあんなに調子いいのよ」

森「あれ…あんときの山井だよな」


原「一巡目…そして二巡目に入ってもここまで全員三振か…」

伊原「えっと…あれ山井ですよね?」

原「山井だ。あのときの…完全未遂の時の山井だ。」

憂 (スライダーって…あんなに曲がるものなのぉお???)

307: 2010/07/24(土) 23:26:23.16 ID:1UVnyb8y0
あ、ごめん…ゲッツーのとこ分かりにくかったよね…
ライナーとって、ランナー飛び出しアウトです。はい。


落合「あの子?例の女の子」

森「そう、平沢憂」

落合「あのさ、ウチのせがれがサイン欲しいって言ってたんだ」

森「ああ、フクシが」

落合「そう、フクシが」

審判「ボール!」

落合「お、よくあれ手を出さなかったね」

審判「ボール!」

森「あら、あっという間にツースリー」

311: 2010/07/24(土) 23:32:34.27 ID:1UVnyb8y0
憂 (よく我慢したぞ!私!)

小山 (振ってくれねえ…なかなか振ってくれねえ…)

山井 (おい…早くサインくれ…)

小山 (でも急に振らなくなったな…待球のサインでもでてるのか?)

小山 (おし、ここは、直球だ…たぶん振ってこないぞ…)

山井 「」シュッ!

憂 (あ!ストレートきた!)カキーンッ!

小山「うそ…柵越えちゃった…」

315: 2010/07/24(土) 23:38:26.63 ID:1UVnyb8y0
憂 (やった!初めての試合で初ホームラン!)

憂 (すっごい歓声…気持ちいいな!)

憂 (一周回って…ホームイン!)

原「憂、見事な初ホームランだな」

憂「ありがとうございます!原監督さん!」

原「さぁ、ほれ!」

憂「あの…なんですか?拳を突き上げて…」

原「グータッチだよグータッチ」

憂「あ、はい…グータッチ!」

原「これが憂の初グータッチだな。グータッチ記念日だ」

322: 2010/07/24(土) 23:44:41.46 ID:1UVnyb8y0
原「残念ながら試合は落としてしまったが…」

原「これはまだオープン戦で、いわばペナントシーズンの準備であるからして…以上!」

大田「すごい試合だったよな…」

中井「ああ…憂ちゃんのあのホームラン以外全員三振だもんな…山井さんまた金字塔だよ」

憂「中里さん…ごめんなさい…あの…負けを付けさせてしまって…」

中里「いいよいいよ…あれは仕方ない…てかあの山井さんには誰も投げ勝てない」

憂「でも…」

原 (とんでもない試合だったが…収穫はあったな…すごい大きな収穫だ)

坂本 (…憂…負けてらんねーな)

329: 2010/07/24(土) 23:50:45.15 ID:1UVnyb8y0
内海「憂!行くぞ!」シュッ!

憂「はい!内海さん!」カキーンッ!

豊田「内海さんまた女子高生に打たれてたwww」

クルーン「ウツミ、マタ、ジェーケーニウタレタwww」

内海「もう女子高生じゃないだろ!」

原「憂、そろそろ開幕も近いが絶好調だな!」

憂「あ、原監督さん!そうですね!最近いい感じです!」

原「でもな、今日はちょっと簡単にはいかないぞ…」

原「今日の日ハム戦…相手の先発はダルビッシュ有だ」

憂 (ダルビッシュさん…球界の…エース!!)

339: 2010/07/24(土) 23:55:52.34 ID:1UVnyb8y0
札幌ドーム

憂 (…ここが札幌ドーム…あれは…ダルビッシュさん!)

憂 (かっこいいな…そして…デカい…)

ダルビッシュ 「?」

憂 (こっち見た!?)

ダルビッシュ「」スタスタ

憂 (近づいてきた!?)

ダルビッシュ「えっと、君が平沢憂…?」

憂 (間近でみると…さらにデカイっ!!)

343: 2010/07/25(日) 00:00:51.73 ID:Yl914cxg0
憂「はい…は…はじめまして…」

ダルビッシュ「ここまで4割打って…7本…すごいね」

憂 (み…見下ろされている)

ダルビッシュ「対戦楽しみにしてたんだ」

憂「は…はい…!あの…ありが…」

ダルビッシュ「手、抜かないから」

憂「…!!!!」

原「お?憂選手がアップを始めたようです」

349: 2010/07/25(日) 00:08:43.43 ID:Yl914cxg0
原「憂、お前今日四番」

憂「え?そんな…ガッツさんもラミちゃんさんもいるのに…」

原「もう決まったことだ。今日は四番セカンド平沢憂」

憂「そんな…ねえ、ガッツさん?」

小笠原「…俺は気にせん」

憂「ラミちゃんさん!!」

ラミレス「アハハ、ウイ、カオガワラッテルヨ?ウレシソウ」

憂「え?え?え?え?え?」

原「オープン戦とはいえ伝統ある巨人の四番だ。アイツとこれから胸と胸を突き合わせたぶつかり合いをするなら…」

原「これほど相応しい打順はないだろ?憂?」

憂「胸と…胸///」

ラミレス「ハラサン、カッコイイコトイッタツモリカモリレナイケド、ソレセクハラダヨ」

354: 2010/07/25(日) 00:13:18.37 ID:Yl914cxg0
ダルビッシュ (小さな大打者…)

ダルビッシュ (若松さんかあ…是非対戦してみたかったな…)

ダルビッシュ (最近では…立浪さんかな…小さくてオーラあった人…)

ダルビッシュ (まぁ…でも…いっか…)

ダルビッシュ (俺は過去には生きられない…)

ダルビッシュ (そして、現在にはコイツがいる!!)

君を想うといつもハートドキドキ♪
『四番、セカンド…平沢憂』

356: 2010/07/25(日) 00:18:15.25 ID:Yl914cxg0
応援団「フワッフワッターイム!フワッフワッターイム!」

原「なんちゅう応援歌だ…これ…」

西村「最近注目のバンド、放課後ティータイムの曲なんですよ。ふわふわ時間(タイム)」

原「お、西村か…くわしいな…」

原「そういや前にお前が出囃子にしようとしてた曲…何て名前だったけ?」

西村「…ハレ晴れユカイ」

原「なんか似たタイトルだよな…って思った。それだけ」

361: 2010/07/25(日) 00:23:47.87 ID:Yl914cxg0
憂 (ダルビッシュさん…)

ダルビッシュ「」シュッ!

憂「」ブンッ

ダルビッシュ「」クッ!

憂「」ブンッ

ダルビッシュ「」ビュンッ!

憂「」ブンッ!!!!

憂「!!!!」

ダルビッシュ (すっげースイングだったな…でも…)

ダルビッシュ (言った通りだろ…手を抜かないって)

ダルビッシュ「これが…日本最強だ…」

憂「…ッ!!ちくしょおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

367: 2010/07/25(日) 00:30:23.63 ID:Yl914cxg0
憂「くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!!!!」

ラミレス「アノ…ウイガ…アンナニモ…」

原「ついにアイツの中の闘争本能が爆発したか…」

伊原「しかし…ありゃ暴れすぎですよ…」

憂「ダルビッシュッッッ!!!次はブッ倒すッッッ!!!ちくしょおおおおおお!!!!!」

原「さすがに…ヤバいな。おい誰か止めて来い!」

坂本「憂…これ全国ネットだぞ…!!!」

憂「え…やだ///」

原「いいコンビになりそうだな…」



唯「…あのおとなしかった憂が…」

370: 2010/07/25(日) 00:35:41.16 ID:Yl914cxg0
ダルビッシュ (なんだったんだ…さっきのは…)

ダルビッシュ (小さな大打者というより…小さな猛獣だったな…)

ダルビッシュ (あ…でも、さっきよりこえーな…)

ダルビッシュ (なんて言うか「闘志を収めた冷静という名の容器」っつーか…)

ダルビッシュ (なんかウマイこと言ったな、俺)

鶴岡 (言ってねーぞ!)

憂「お願いします」

ダルビッシュ (第二ラウンド)

377: 2010/07/25(日) 00:41:40.89 ID:Yl914cxg0
憂 (球が速い、さらに球種が多い…)

憂 (一度対戦してみて良くわかった…この人は力も技も超一流)

憂 (打ちたい…この人を打ちたい…でもどうすれば…?)

ダルビッシュ 「…」

憂 (私を見てる…キャッチャーのミットじゃなくて…私を…)

憂 (私の出方を伺っている…息を止めるために…まるで肉食獣…)

憂 (獣には…罠をしかけましょう…!)

383: 2010/07/25(日) 00:46:40.41 ID:Yl914cxg0
ダルビッシュ「」シュッ!

憂「くっ!」ブンッ!

ダルビッシュ (外の縦のスライダーを空振り…間違えない…)

ダルビッシュ (あの感じは…外の直球狙いだ…)

ダルビッシュ「」シュッ

球審「ボール!」

ダルビッシュ (内角は手を出す気ゼロ!)

386: 2010/07/25(日) 00:55:17.76 ID:Yl914cxg0
ダルビッシュ (まぁスコアラーさんの資料を昨晩見たが…)

ダルビッシュ (この平沢憂という打者がヒットにしている球のほとんどは直球…)

ダルビッシュ (初球から振ることはあまりなく…待ったうえでだいたい狙ってくる)

ダルビッシュ (ちょっと揺さぶりかけてみますか…)

ダルビッシュ 「」ビュンッ!

憂「!」

球審「ボール!」

ダルビッシュ (外への直球…しかしストライクゾーンから微妙に外した球…反応して止めたバット)

ダルビッシュ (すっげー選球眼だな…しかし俺の読みは間違っていないようだ)

388: 2010/07/25(日) 01:02:06.02 ID:Yl914cxg0
言い忘れましたが…憂は右打ちのつもりです

ダルビッシュ (まぁ…でもちゃんとカウントは稼がないとな…)

ダルビッシュ「」ビューンッ!

球審「スッ…ストラーイクッ!」

ダルビッシュ (おっしゃ、内から入ってくるカーブギリギリ決まった!)

ダルビッシュ (これが決まらなかったらちょっと焦るが…有さんギャンブル成功ですな)

ダルビッシュ (おし…次だな…)

憂「…」ゴゴゴゴゴゴ

ダルビッシュ「…」ゴゴゴゴゴゴ

390: 2010/07/25(日) 01:07:43.19 ID:Yl914cxg0
ダルビッシュ (これは…自信を持った一球…)

ダルビッシュ (最後に勝つのは自信がある奴だ…どの業界でもな)

ダルビッシュ (ラッキーパンチは続かない。まぁ、そんなこの世界長くはないけど…)

ダルビッシュ (それを理解するには十分すぎる歳月でした!どうもありがとうございました!)

ダルビッシュ (ダルビッシュ有、渾身のスライダーです!どうぞ!)ビュンッ!

憂「これは自信をもったひと振り」

ダルビッシュ「え?」

カーンッ!

396: 2010/07/25(日) 01:11:59.70 ID:Yl914cxg0
坂本「変態打ちに定評のあるガッツさん?」

小笠原「なんだ?」

坂本「ガッツさんはあんな風に打てるんですか?」

小笠原「俺なら打てるよ」

坂本「…すっげえ」

小笠原「すごいさ」

坂本「俺も打ちたいな…あんなホームラン…」

小笠原「お前なら打てるさ」

観客「わぁあああああああああああああ!!!!!!!!!」

400: 2010/07/25(日) 01:17:09.05 ID:Yl914cxg0
鶴岡「気にすんな」

ダルビッシュ「…」

鶴岡「あれは夢だ。あってはならないことが、たまたま、起きてしまっただけだ!」

ダルビッシュ「…イテテ」

鶴岡「ほらな」

ダルビッシュ「痛いよ」

鶴岡「ワンバウンドしそうなくらい縦に滑って落ちたスライダーが救いあげられてスタンドに入ったなんて」

鶴岡「夢以外のなにものでもないだろ?な?」

ダルビッシュ「よかった…」

鶴岡「何が」

ダルビッシュ「俺よりはるか遠くに現実逃避してる奴がいて」


403: 2010/07/25(日) 01:21:43.19 ID:Yl914cxg0
セ・リーグ開幕1日前

原「憂」

憂「原監督さん、こんにちわ!」

原「スタメン」

憂「え?」

原「開幕スタメンだ。おめでとう。」

憂「ほんとですか?ほんとに…ほんとですか?」

原「そうだ、開幕スタメンだ」

憂「ありがとうございます!よし、今日は張り切って練習するぞ!」

408: 2010/07/25(日) 01:27:00.54 ID:Yl914cxg0
原「今日はオフだ。気持ちは分かるが、休め。」

憂「私、練習したいです!」

原「憂…お前はすごい…しかしちょっと練習しすぎだぞ」

原「去年までは、たいして運動なんてしたこともないただの女の子だったんだから…」

憂「原監督さん…」

原「おまえのジャイアンツ愛はうれしい。でも、そんな焦らなくてもお前は確実に前に進んでいる。」

原「だから今日は休め。真の戦いは明日からだ。」

憂「はい!監督!」

412: 2010/07/25(日) 01:33:14.70 ID:Yl914cxg0
憂 (オフ…とは言ったものの…最近野球ばっかりで休みの日になにするのか分かんなくなっちゃったよ…)

憂 (野球やってなかった頃は…何してたんだろ…?)

憂 (えーっと、おうちで…)

憂 (休日なのにお姉ちゃんがゴロゴロしてて…)

憂 (「うい~アイス~アイス~」ってねだるから私は…)

憂 (そういや…最近お姉ちゃんに会ってないな…声すら聞いてないな…)

憂 (よし!おうちに帰るぞぉ!)

415: 2010/07/25(日) 01:36:38.37 ID:Yl914cxg0
憂「ただいま!」

唯「…憂!!おかえり!!」

憂「おねえちゃ~ん…会いたかったよぉ!!」

唯「おぉ、妹よ~!!」

憂「えへへ、お姉ちゃん暖かいや…」

唯「どうしたの、いきなり?びっくりしたよ!」

憂「今日はオフなんだ…だから帰って来ちゃった!お姉ちゃんに会いたかったんだもん!」

唯「グスン…憂…わたしもだよぉお!!!!」

416: 2010/07/25(日) 01:40:16.38 ID:Yl914cxg0
唯「今日は私が料理…作ってみました!」

憂「お姉ちゃんの料理…感無量だよぉ…!!!」

唯「喜びすぎだって…えへへ」

憂「じゃ、いただきます!…おいしい!」

唯「ほんと?がんばったんだ~!!もっと食べる!!」

憂「うん、おかわり!」

唯「う~い~…へへへ」

憂「おねえちゃ~ん…ふふふ」

418: 2010/07/25(日) 01:43:51.83 ID:Yl914cxg0
憂「いや~よく食べました!」

唯「食った!食った!」

憂「お姉ちゃん、料理うまかったんだね!」

唯「えへへ、憂に褒められるとうれしいよ」

憂「お姉ちゃん…」

唯「…何?」

憂「明日…開幕戦…私スタメンで出るんだ…お姉ちゃんに見に来てほしい」

419: 2010/07/25(日) 01:46:43.24 ID:Yl914cxg0
唯「…」

憂「…お姉ちゃん…」

唯「…ごめん…」

憂「…そっか…」

憂「でも、私頑張るから!」

唯「…」

憂「もっともっと頑張って…」

憂「お姉ちゃんに…」バタンッ

唯「憂!!…ちょっと…憂っ!!!!」

423: 2010/07/25(日) 01:51:55.68 ID:Yl914cxg0
憂「…お…ねえちゃ…ん…」

唯「酷い熱…!!!大丈夫!?大丈夫!?」

憂「…おいしかったよ…ありがとう…」

唯「体もアザだらけ…ボロボロ…」

憂「だいじょうぶ…すぐ…げんきに…なるから…」

憂「おねえちゃんの…りょう…り…たべれば…」

唯「憂!私分かってるんだよ!!」

唯「私の料理が不味いことくらい…分かってるんだよぉおお!!!!」

憂「おねえちゃん…だいすき…」

唯「わたしも…だいすきだよ…」グスッ

唯「明日なのに…明日なのに…神様、憂を治してよぉおおおおお!!!!!」

424: 2010/07/25(日) 01:56:25.61 ID:Yl914cxg0
開幕当日…

律「唯いないなあ…」

澪「せっかくの妹の晴れ舞台なのに…」

梓「最低です…憂かわいそう…」

純「梓…そこまで言わなくてもいいじゃん…」

紬「そうよ、何か事情があるのかもしれないわ?」

梓「だって…」

律「おい、スタメン発表だぞ!」

426: 2010/07/25(日) 02:01:49.43 ID:Yl914cxg0
広島東洋カープ

1(二)東出
2(遊)梵
3(右)廣瀬
4(三)栗原
5(左)嶋
6(一)岩本
7(中)赤松
8(捕)石原
9(投)前田健

428: 2010/07/25(日) 02:04:54.66 ID:Yl914cxg0
読売ジャイアンツ

1(遊)坂本
2(中)松本
3(一)小笠原
4(二)平沢憂
5(左)ラミレス
6(捕)阿部
7(右)長野
8(三)円谷
9(投)内海

432: 2010/07/25(日) 02:07:58.52 ID:Yl914cxg0
山下「大森くん、始まったね」

大森「はい…ん…あれ?なんか…」

山下「どうしたのかね?」

大森「なんだか違和感が…」

山下「うん、私も感じていたよ。サードの子、のことだよね?」

大森「はい…たぶんそうですよね」

435: 2010/07/25(日) 02:09:57.26 ID:Yl914cxg0
律「サードの人知ってる?」

澪「知らない」

~~~~~~~~~~~~
野村「誰?あのサード?」

大野「さぁ…ノーマークでした」

野村「対策立ててないの?ヤバいでしょ?」

大野「奇襲とは…さすが原巨人」

437: 2010/07/25(日) 02:14:13.54 ID:Yl914cxg0
原「まさか思いもしなかったよ…」

原「円谷とガッツ以外に一、三塁守れる奴が開幕直前に食中毒になるなんて…!!」

吉村「一応慎之助もファーストいけますけどね」

原「いや…さすがに開幕から正捕手をファーストで起用ってのもなあ…」

原「円谷…でもチャンスだぞ…」

440: 2010/07/25(日) 02:19:02.83 ID:Yl914cxg0
阿部「開幕だ…いろいろあったが…とりあえずこの一勝獲りにいくぞ!」

長野「あの…すいません…いいですか?」

阿部「なんだ長野?」

長野「その…開幕ピッチャーが女子高生に打たれる内海さんでホントにいいんですか?」

内海「おいィ?」

阿部「おい、内海よせ…」

内海「…確かに女子高生に打たれたけどな…もう俺は女子高生以外には絶対打たれねえ!」

阿部「開き直ったな」

442: 2010/07/25(日) 02:21:55.17 ID:Yl914cxg0
松本「あ、平沢さん…」

憂「…えっと…あの…誰ですか?」

松本「うそ…僕の名前知らないの?けっこう一緒にいるはずなのに…」

憂「ごめんなさい」

松本「そっか、まだ喋ったことないもんね。僕は外野手の松本!頑張ろうね!」

憂「…はい」

内海「…」

坂本「…」

444: 2010/07/25(日) 02:24:30.66 ID:Yl914cxg0
内海「おい」

憂「あ、はい?」

内海「俺、全部三振に取るからな」

憂「…え?」

内海「全部三振にすっから…心配すんな」

憂「はい…」

内海「はじまっぞ」

球審「プレイボール!」

観客「うぉおおおおおおおおおおおぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!」

446: 2010/07/25(日) 02:28:15.80 ID:Yl914cxg0
球審「ストライク!バッターアウト!」

球審「ストライク!バッターアウト!」

球審「ストライク!バッターアウト!」

原「内海…お前がこれほどの投手だったとは…」

斎藤「ここまで全打者全打席三振とは…」

内海「ぜってえ…三振にとるんだ…」

岩本「」ブンッ!

球審「ストライク!バッターアウト!」

451: 2010/07/25(日) 02:32:20.95 ID:Yl914cxg0
原「でもなあ…相手がマエケンじゃ…」

円谷「」スカッ!

球審「ストライク!バッターアウト!」

伊原「ありゃ…もうダルビッシュクラスの投手ですね」

原「マエケンの前じゃウチの打線も広島さんも変わらないな…」

452: 2010/07/25(日) 02:36:36.25 ID:Yl914cxg0
小笠原「おい」

憂「はい…?」

小笠原「無理するなよ」

憂「…」

塁審「アウト!」

原「ガッツ、ラミですら手玉に取られてるのか…」

伊原「しかし問題なのは…」

原「そう…あの子だね…どうしちゃったんだろ?」

憂「あれ?」スカッ!

球審「ストライク!バッターアウト!」

454: 2010/07/25(日) 02:44:45.62 ID:Yl914cxg0
? (起きるんだ)

憂 (え…?あなたは…先輩!)

? (行くんだ)

憂 (え?どこに?)

? (ドームに)

憂 (あ!私試合があるんだった…どうしよう、間に合わない!)

? (試合…じゃない)

憂 (え、でも今日は開幕戦…)

? (確かにそれもそうだけど…僕が伝えたいのは…今、一番伝えたいのは…)

? (大切な人のそばにいけ!ってことだよ)

? (君は、まだいてあげられるだろ?君の大切な人のそばに)

457: 2010/07/25(日) 02:50:48.43 ID:Yl914cxg0
原「9回か…ここまで両チームゼロ行進…」

斎藤「内海はよくやってるよ…あのマエケン相手に…」

原「ああ…なんか今日のアイツは…まるで何かを必氏に守るために投げてるみたいだな…」


阿部「疲れたか?」

内海「…いいえ、全く」

長野「全員三振だって意気込んだくせに…だっせーっすねw」

内海「てめえ新人王獲ったくれーで…」

内海「いや、いいんだ…まだ何も起きちゃいねー…これでいいんだ…」

憂「…」

461: 2010/07/25(日) 02:53:57.65 ID:Yl914cxg0
内海「あとちょっとだ…」

内海「氏球出したり…違う方向に打たれたりもしたが…」

内海「あとちょっとで終わるんだ…」

内海「なぁ?栗原」



栗原「…マエケン、勝たせてやんねーとな」

463: 2010/07/25(日) 02:59:54.43 ID:Yl914cxg0
内海 (つまらねーもん背負い込んでると思うよ…自分でも…)

内海 (重い…!背中が…!腕が…!足が…!)

内海 (でも…)

内海「力が湧いてくる」

球審「…ストライク…」


河村「154km/h!!!!内海が九回表に石原に投げた初球はなんと154km/h!!!!」

471: 2010/07/25(日) 03:08:33.27 ID:Yl914cxg0
栗原 (なんだ…こんな速いピッチャーだったか…?しかも9回…)

栗原 (わけわかんねえ…でも、内海は必氏だ…ものすごく勝ちたがってる…それだけは分かる…)

栗原 (でも、ウチのエースは…お前より…もっともっと勝ちたいんだ!!)

栗原 (そんなエースを…勝たせてやれないで…)

内海「…知るか…」

栗原 (なにが4番だ!!!!!)

内海「…お前の都合なんて、知るか!!!!」ビュッ…

カーン!

473: 2010/07/25(日) 03:11:51.33 ID:Yl914cxg0
内海 (おい…マジか…)

内海 (それより打球は…)

内海 (痛烈な…低い弾道のライナーが…)

内海 (み…ぎ…方向に…)

唯「…!!!!」

ドンッ!!!!

憂「お姉ちゃん!!!!」

477: 2010/07/25(日) 03:16:42.85 ID:Yl914cxg0
内海「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

小笠原「おい!大丈夫か!早く担架を!」

坂本「あんた…やっぱり…」

唯「みなさん…ごめんなさい…」

ラミレス「ウイチャンジャ…ナカッタノカ…」

原「早く…救護室へ連れてくんだ…」

唯「ご…ごめんなさい…」

479: 2010/07/25(日) 03:23:40.34 ID:Yl914cxg0
『読売ジャイアンツ、平沢憂選手の治療のため、ただいま試合を中断しています』

坂本「俺も…気づいていた…」

内海「…坂本…」

坂本「でも、あの人…なんか…すっごい決意をしてるようで…」

坂本「分かってても…言いだせなかった…内海さん…アンタだけに背負わせて…ごめん…」

内海「いや…おまえのせいじゃない…」

小笠原「いや…俺もだ…俺も知っていておきながら…」

長野「違う…仲間だって言うのに気付かなかった俺の方がいけないっしょ…」

原「だまれ」

原「全ては私の…監督の責任だ…」

483: 2010/07/25(日) 03:26:39.75 ID:Yl914cxg0
唯 (痛い…痛いよぉ…)

唯 (憂は…こんなところで頑張ってたんだね…)

唯 (何やってるんだろうね…私…)

唯 (やっぱすごいな…憂は…)

唯 (ほんと、私の自慢の妹…)

ガタンッ

憂「お…おねえちゃぁあああん!!!!」

487: 2010/07/25(日) 03:32:56.10 ID:Yl914cxg0
憂「おねえちゃん…いたくない…!?だいじょうぶ!!」

唯「大丈夫だよ…憂が来たら…もう全部よくなっちゃった…」

憂「なんでこんなことしたの!!危ないじゃない!!」

唯「憂、私がライブの前に熱出しちゃった時…代わりに行ってくれたんだってね?」

唯「その…おかえしだよ…」

憂「だからって…!!!!」

唯「ごめんね…いっつも頼ってばっかで…」

唯「何もできなくて…迷惑掛けてばかりで…」

唯「憂が新しい一歩を進めようとしたときに、背中を押してやれないような…」

唯「だめな…おねえちゃんで…」

491: 2010/07/25(日) 03:37:59.31 ID:Yl914cxg0
憂「そんな…お姉ちゃんは…何もしなくていいんだよ…」

憂「お姉ちゃんが、そこにいてくれるだけでいいんだよ…それだけで私はいいの!!」

唯「…うい…」

憂「…でもね…一つだけお姉ちゃんにお願いしたいことがあるの…」

憂「お姉ちゃんも、自分のやりたいことをやって…!!私にとって…それは」

憂「野球だから」

唯「…うん。いってらっしゃい…憂の素敵なお友達が待ってるよ…」

492: 2010/07/25(日) 03:40:41.18 ID:Yl914cxg0
内海「…!」

憂「皆さん…ご迷惑をおかけしました」

阿部「平沢さん…」

憂「私頑張ります…皆さんのためにも…お姉ちゃんのためにも…」

観客「うおぉおおおおおおおおぉおおぉおおおお!!!!!ういちゃぁぁああん!!!!!」

憂「そして、ここにいる観客さんのためにも」

494: 2010/07/25(日) 03:44:49.50 ID:Yl914cxg0
坂本「憂すまねえ…あの人は…」

憂「うん、私の大好きな…大切な人」

坂本「だったらなおさら…!!」

憂「大丈夫!心配しないで!…さぁあと1イニングがんばりましょう!」

坂本「…あぁ…」

憂「あ、円谷さん!一軍に上がってきたんですか!」

円谷「…いちゃダメ?」

憂「そんなことないですよ!円谷さん頑張ってたの知ってるもん…一緒にがんばりましょ!」

内海「あと一人!抑えるぞ!」

ナイン一同「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

496: 2010/07/25(日) 03:49:57.52 ID:Yl914cxg0
嶋「マエケンを勝たせるんだ…!」

ストライク!ストライク!バッターアウト!

内海「おっしゃぁあああああああ!!!!!」

原「憂…すまなかった…私が気づいれば…」

憂「いいんです。原監督さんも…誰も…悪くないんです」

原「だがしかし…これは…」

憂「じゃあ約束してください…」

憂「私がホームランを打ったら…」

憂「『ごめんなさい』って言うの…やめてくれますか?」

501: 2010/07/25(日) 03:56:19.78 ID:Yl914cxg0
マエケン『僕は見たんです…』

河村「白球が描く放物線が」

マエケン『僕の投げた初球…渾身のストレートが…』

河村「バックスクリーンに今、突き刺さったぁあああ!!!!」

マエケン『ピンポン玉のように飛んでいくのを』

河村「平沢憂…公式戦初試合で…なんとサヨナラホームラン!!!!!」


原「…」

憂「約束ですよ」

507: 2010/07/25(日) 04:01:31.80 ID:Yl914cxg0
一年後

インタビュアー「放送席、放送席…今日のヒーローインタビューは開幕戦3連続ホームランの平沢憂選手です!」

憂「あ、どうも~みなさんこんばんわ!」

観客「うおぉおおおおおおおおぉおおぉおおおお!!!!!ういちゃぁぁああん!!!!!」

イ「目が覚めるような三発でしたね」

憂「はい、吉見投手の球が私が思っていたところに来たので、すかさず打ちました!」

510: 2010/07/25(日) 04:09:42.42 ID:Yl914cxg0
イ「去年新人王、MVP、さらには三冠王と、衝撃のデビューでしたが、その勢いがまだ続いてるかのような活躍ですね!」

憂「はい、原監督さんや…スカウトの大森さん…」 

憂「チームメイトや裏方さん、そしてファンの皆さんの期待に応えられるよう、これからも頑張ります!」

イ「えっと…今年は打席に立つ出囃子の曲が…」

憂「そうなんです!去年も放課後ティータイムのふわふわ時間(タイム)だったんですが」

憂「今年は、去年再加入したお姉ちゃんのヴォーカルバージョンなんです!!!!」

憂「もう、打席に立つたびにお姉ちゃんの歌が聴けて幸せで幸せで…」

憂「今日の結果はそのおかげかもしれませんね!」

憂「じゃあみなさん、最後に恒例のアレやります!」

憂「お姉ちゃん…大好きぃいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」


511: 2010/07/25(日) 04:10:50.78
>>1

三冠王でMVPとか強すぎワロタ

引用元: 憂「プロ野球」