1: 2020/11/04(水) 20:05:10.832 ID:OadfapUG0
料理人「さ、どうぞ!」
モグモグ…
審査員A「うーん……?」
審査員B「これかけない方がよかったような……」
審査員C「せっかくの味が台無しだわ」
料理人「え……え!?」
料理人(あんだけ褒めてくれた審査員たちのテンションがみるみる下がっていく……)
モグモグ…
審査員A「うーん……?」
審査員B「これかけない方がよかったような……」
審査員C「せっかくの味が台無しだわ」
料理人「え……え!?」
料理人(あんだけ褒めてくれた審査員たちのテンションがみるみる下がっていく……)
2: 2020/11/04(水) 20:07:10.516
ワロタ
4: 2020/11/04(水) 20:07:17.870
上等な料理にハチミツをブチまけるがごとき思想!
5: 2020/11/04(水) 20:10:12.718 ID:OadfapUG0
司会者「さあ、審査員5人による点数はこちら!」
料理人 35 ― 48 ライバル
司会者「ライバル選手の勝利です! 下馬評に反してかなりの差がつきました!」
ワアァァァァァ……!
ライバル「フッ、まあこんなもんだろ」
料理人「あぐうう……」
料理人(余計なことをしなければ……!)
料理人 35 ― 48 ライバル
司会者「ライバル選手の勝利です! 下馬評に反してかなりの差がつきました!」
ワアァァァァァ……!
ライバル「フッ、まあこんなもんだろ」
料理人「あぐうう……」
料理人(余計なことをしなければ……!)
6: 2020/11/04(水) 20:13:17.002 ID:OadfapUG0
料理人「ちくしょう……」
女「あまり落ち込まないでよ」
料理人「だけど……」
女「あんな見世物みたいな対決に負けたからってなんだっていうのよ」
女「料理人はタレントじゃないんだから!」
料理人「ありがとう……。お前は料理は下手だけど、励ますのは上手いよな」
女「なによそれ!」
料理人(ああ、また余計なことを……!)
女「あまり落ち込まないでよ」
料理人「だけど……」
女「あんな見世物みたいな対決に負けたからってなんだっていうのよ」
女「料理人はタレントじゃないんだから!」
料理人「ありがとう……。お前は料理は下手だけど、励ますのは上手いよな」
女「なによそれ!」
料理人(ああ、また余計なことを……!)
7: 2020/11/04(水) 20:16:19.875 ID:OadfapUG0
―料理店―
料理人(余計なことするのは、これだけじゃない。自分の店でも――)
肥満女「まぁ、おいしい! おかわりいただくわ!」
料理人「どうもー!」
料理人「お客さんみたいな食べっぷりを見てると、こっちも嬉しいですよ」
肥満女「ありがとぉ~!」
料理人「だからそんなに太っちゃうんでしょうね!」
肥満女「ひっどーい! やっぱりおかわりは無し!」
料理人「そんなぁ……」
料理人(余計なことするのは、これだけじゃない。自分の店でも――)
肥満女「まぁ、おいしい! おかわりいただくわ!」
料理人「どうもー!」
料理人「お客さんみたいな食べっぷりを見てると、こっちも嬉しいですよ」
肥満女「ありがとぉ~!」
料理人「だからそんなに太っちゃうんでしょうね!」
肥満女「ひっどーい! やっぱりおかわりは無し!」
料理人「そんなぁ……」
9: 2020/11/04(水) 20:19:10.571 ID:OadfapUG0
会社員「……」ジュル…
会社員「おおっ……」
会社員「このスープ……うまいねえ」
料理人「でしょう?」
料理人「ですが、唐辛子をかけるともっと……」パッパッ
会社員「ちょ、ちょっと何するんだ! 私は辛いのが苦手なのに!」
料理人「す、すいません! つい!」
会社員「おおっ……」
会社員「このスープ……うまいねえ」
料理人「でしょう?」
料理人「ですが、唐辛子をかけるともっと……」パッパッ
会社員「ちょ、ちょっと何するんだ! 私は辛いのが苦手なのに!」
料理人「す、すいません! つい!」
10: 2020/11/04(水) 20:22:46.933 ID:OadfapUG0
弟子「いかがでしょう?」
料理人「どれどれ」モグ…
料理人「ほう……なかなかの味だ」
弟子「ホントですか!」
料理人「お前も成長したな!」
弟子「やった!」
料理人「ホントはもっと早くこの域に達して欲しかったが」
弟子「ですよね……」
料理人(また余計なことをいっちまった!)
料理人「どれどれ」モグ…
料理人「ほう……なかなかの味だ」
弟子「ホントですか!」
料理人「お前も成長したな!」
弟子「やった!」
料理人「ホントはもっと早くこの域に達して欲しかったが」
弟子「ですよね……」
料理人(また余計なことをいっちまった!)
11: 2020/11/04(水) 20:26:17.214 ID:OadfapUG0
料理人「この間はごめんな」
女「なにが?」
料理人「料理が下手だなんていっちまって」
女「別に気にしてないって」
料理人「よかった……。胸はあまり大きくないけど、心は広いんだな」
女「喧嘩売ってんの!?」
料理人「ち、違うんだ! つい口から……!」
女「なにが?」
料理人「料理が下手だなんていっちまって」
女「別に気にしてないって」
料理人「よかった……。胸はあまり大きくないけど、心は広いんだな」
女「喧嘩売ってんの!?」
料理人「ち、違うんだ! つい口から……!」
12: 2020/11/04(水) 20:30:24.928 ID:OadfapUG0
料理人「ああ……俺はいつもこうだ……」
料理人「“そこで止まっとけ”ってところで止まれず、余計なことをしたり口走ったり……」
料理人「どうすればこの悪癖を直せるんだ……」
女「……」
女「だったら、治療してみる?」
料理人「どうやって?」
女「一つ、心当たりがあるのよ」
料理人「お前も最近忙しくて疲れてるだろうに、悪いな」
女「それこそ余計な心配ってやつよ」
料理人「“そこで止まっとけ”ってところで止まれず、余計なことをしたり口走ったり……」
料理人「どうすればこの悪癖を直せるんだ……」
女「……」
女「だったら、治療してみる?」
料理人「どうやって?」
女「一つ、心当たりがあるのよ」
料理人「お前も最近忙しくて疲れてるだろうに、悪いな」
女「それこそ余計な心配ってやつよ」
13: 2020/11/04(水) 20:34:13.574 ID:OadfapUG0
女「こんにちは」
料理人(エスニックな雰囲気が漂う場所だな……)
僧侶「おや、いらっしゃい」
僧侶「今日はなんの用かね?」
女「この人の悪いクセを矯正して欲しくて……」
料理人「いつもいつも、つい余計なことをしちゃうタチなんです」
僧侶「それはそれは。ではさっそく取りかかりましょう」
料理人(エスニックな雰囲気が漂う場所だな……)
僧侶「おや、いらっしゃい」
僧侶「今日はなんの用かね?」
女「この人の悪いクセを矯正して欲しくて……」
料理人「いつもいつも、つい余計なことをしちゃうタチなんです」
僧侶「それはそれは。ではさっそく取りかかりましょう」
14: 2020/11/04(水) 20:37:12.037 ID:OadfapUG0
僧侶「目をつぶって、深呼吸をして……」
料理人「はい……」
料理人「……」
僧侶「むんっ!」グサッ
料理人「!?」
料理人(頭に指を押しつけられ――)
僧侶「喝ッ!!!」
料理人「うわあああああ!?」
料理人「はい……」
料理人「……」
僧侶「むんっ!」グサッ
料理人「!?」
料理人(頭に指を押しつけられ――)
僧侶「喝ッ!!!」
料理人「うわあああああ!?」
15: 2020/11/04(水) 20:40:46.998 ID:OadfapUG0
料理人「な、なにを……!?」
僧侶「“念”を込めました」
料理人「ねん……?」
僧侶「今後はあなたが余計なことをしようとすれば、頭が痛くなり、それを防ぐでしょう」
料理人「まるで孫悟空が頭につけるアレですね」
僧侶「本来は、ダイエットしたい人が食べるのを抑えるため、といった使い方をする術なのですが」
僧侶「あなたにも効果があるはずです」
料理人「へぇ~……」
僧侶「“念”を込めました」
料理人「ねん……?」
僧侶「今後はあなたが余計なことをしようとすれば、頭が痛くなり、それを防ぐでしょう」
料理人「まるで孫悟空が頭につけるアレですね」
僧侶「本来は、ダイエットしたい人が食べるのを抑えるため、といった使い方をする術なのですが」
僧侶「あなたにも効果があるはずです」
料理人「へぇ~……」
17: 2020/11/04(水) 20:43:52.361 ID:OadfapUG0
女「どうだった?」
料理人「まだなんともいえないけど……すごい人を紹介してくれてありがとう」
女「どういたしまして」
料理人(ああいう妙な知り合いが多いよな、お前って)
料理人「うっ……!?」ズキッ…
料理人「いででででで……!」
女「まーたなにか余計な一言いおうとしたみたいね」
料理人「まだなんともいえないけど……すごい人を紹介してくれてありがとう」
女「どういたしまして」
料理人(ああいう妙な知り合いが多いよな、お前って)
料理人「うっ……!?」ズキッ…
料理人「いででででで……!」
女「まーたなにか余計な一言いおうとしたみたいね」
18: 2020/11/04(水) 20:46:57.472 ID:OadfapUG0
それから――
料理人「ふんふ~ん」ジャッジャッ…
料理人「よし、できた!」
料理人(だけど、ここらで隠し味入れたらもっとおいしくなるかも……)
料理人「ぐおっ!?」ズキッ…
料理人「や、やめとこう」
弟子「?」
料理人「ふんふ~ん」ジャッジャッ…
料理人「よし、できた!」
料理人(だけど、ここらで隠し味入れたらもっとおいしくなるかも……)
料理人「ぐおっ!?」ズキッ…
料理人「や、やめとこう」
弟子「?」
19: 2020/11/04(水) 20:49:18.898 ID:OadfapUG0
父「このチキン、おいしいな!」
息子「こっちの卵料理もおいしい!」
料理人「ありがとうございます」
料理人(親子で鶏肉と卵食べるって、ギャグみたいな光景……)
料理人「ぐうっ!?」ズキッ…
父「?」
息子「?」
料理人(また余計なこというのを、止めてくれた……)
息子「こっちの卵料理もおいしい!」
料理人「ありがとうございます」
料理人(親子で鶏肉と卵食べるって、ギャグみたいな光景……)
料理人「ぐうっ!?」ズキッ…
父「?」
息子「?」
料理人(また余計なこというのを、止めてくれた……)
20: 2020/11/04(水) 20:52:37.434 ID:OadfapUG0
弟子「こうですか?」グニグニ
料理人「もっとだ! もっと生地を練る!」
弟子「はいっ!」グニグニ
料理人(女の子の胸を揉むイメージで――)
料理人「くあっ!?」ズキッ…
料理人「えぇと……優しく揉んであげなさい」
弟子「? はいっ!」グニグニ
料理人「もっとだ! もっと生地を練る!」
弟子「はいっ!」グニグニ
料理人(女の子の胸を揉むイメージで――)
料理人「くあっ!?」ズキッ…
料理人「えぇと……優しく揉んであげなさい」
弟子「? はいっ!」グニグニ
21: 2020/11/04(水) 20:56:10.422 ID:OadfapUG0
女「調子はどう?」
料理人「おかげさまで上手くいってるよ。余計なことをしなくなったし、いわなくなった」
女「ホント、よかった! ……だけど」
料理人「だけど?」
女「こんな方法で、性質を変えちゃってよかったのかな」
女「“余計なことをしちゃう”ってのも、あんたの個性だったわけだし」
料理人「個性なんて立派なもんじゃないよ。ただの欠点だよ、欠点」
料理人「それよりさっき、また料理対決のオファーがあったんだけど……」
女「こないだの対決、結構評判よかったらしいからね。どうするの?」
料理人「もちろん出る! 今度こそライバルに勝つ!」
料理人「おかげさまで上手くいってるよ。余計なことをしなくなったし、いわなくなった」
女「ホント、よかった! ……だけど」
料理人「だけど?」
女「こんな方法で、性質を変えちゃってよかったのかな」
女「“余計なことをしちゃう”ってのも、あんたの個性だったわけだし」
料理人「個性なんて立派なもんじゃないよ。ただの欠点だよ、欠点」
料理人「それよりさっき、また料理対決のオファーがあったんだけど……」
女「こないだの対決、結構評判よかったらしいからね。どうするの?」
料理人「もちろん出る! 今度こそライバルに勝つ!」
23: 2020/11/04(水) 21:01:05.822 ID:OadfapUG0
当日――
ライバル「よく怖気づかずに出てきたな」
料理人「怖気づく? どうしてだ?」
ライバル「こないだ、あんな惨敗したばかりだってのに……また恥をかくつもりか?」
料理人「欠点は克服した……今日はお前に勝つ!」
ライバル「フッ、やってみろ! 今日も叩き潰してやる!」
ライバル「よく怖気づかずに出てきたな」
料理人「怖気づく? どうしてだ?」
ライバル「こないだ、あんな惨敗したばかりだってのに……また恥をかくつもりか?」
料理人「欠点は克服した……今日はお前に勝つ!」
ライバル「フッ、やってみろ! 今日も叩き潰してやる!」
24: 2020/11/04(水) 21:04:10.357 ID:OadfapUG0
司会者「料理をするお二人は入場して下さい!」
料理人「行ってくる!」
弟子「頑張って下さい!」
女「頑張ってね……」
料理人「どうした? 顔色が悪いけど……」
女「ううん、なんでも……ちょっと疲れ気味なだけ……」
料理人「そうか、ならいいんだけど」
料理人「行ってくる!」
弟子「頑張って下さい!」
女「頑張ってね……」
料理人「どうした? 顔色が悪いけど……」
女「ううん、なんでも……ちょっと疲れ気味なだけ……」
料理人「そうか、ならいいんだけど」
25: 2020/11/04(水) 21:06:16.434 ID:OadfapUG0
司会者「料理対決の始まりです!」
ワァァァァ……!
ライバル(前回はあいつの自爆に救われたからな……今度こそ完璧に勝つ!)
料理人(もう余計なことはしない! ブレーキをかけた料理を作って勝つ!)
ワァァァァ……!
ライバル(前回はあいつの自爆に救われたからな……今度こそ完璧に勝つ!)
料理人(もう余計なことはしない! ブレーキをかけた料理を作って勝つ!)
26: 2020/11/04(水) 21:10:08.193 ID:OadfapUG0
グツグツ… ゴトゴト…
料理人「ここでオリーブオイル入れて……」タラーッ…
料理人(味見……)モグッ
料理人「よし、これでいい!」
料理人(これ以上余計なことはしない! この料理を出せば勝てる!)
弟子「……あの」
料理人「なんだ? 対決中だぞ」
弟子「実は……」
料理人「ここでオリーブオイル入れて……」タラーッ…
料理人(味見……)モグッ
料理人「よし、これでいい!」
料理人(これ以上余計なことはしない! この料理を出せば勝てる!)
弟子「……あの」
料理人「なんだ? 対決中だぞ」
弟子「実は……」
27: 2020/11/04(水) 21:13:07.066 ID:OadfapUG0
料理人「なに!? あいつが倒れた!?」
弟子「はい……本人が思う以上に具合が悪かったみたいで……それで救急車で……」
料理人「……!」
弟子「すいません! 終わってから伝えた方がいいと思ったんですけど……」
ライバル(なんだ? 何があった?)
弟子「はい……本人が思う以上に具合が悪かったみたいで……それで救急車で……」
料理人「……!」
弟子「すいません! 終わってから伝えた方がいいと思ったんですけど……」
ライバル(なんだ? 何があった?)
29: 2020/11/04(水) 21:16:15.162 ID:OadfapUG0
料理人「いや……謝ることはない」
料理人「もし、終わってから伝えられてたら、俺はお前を怒鳴りつけてただろう」
弟子「師匠……」
料理人「火を止めて、と」カチッ
料理人「俺は行く! あいつのところに! たとえ何もできなくても!」
料理人「……!」ズキッ
料理人(やっぱりこれも……余計なことになるのか!)
料理人「もし、終わってから伝えられてたら、俺はお前を怒鳴りつけてただろう」
弟子「師匠……」
料理人「火を止めて、と」カチッ
料理人「俺は行く! あいつのところに! たとえ何もできなくても!」
料理人「……!」ズキッ
料理人(やっぱりこれも……余計なことになるのか!)
30: 2020/11/04(水) 21:19:31.359 ID:OadfapUG0
料理人(だが、俺は――)ズキズキッ…
料理人「あいつのところに駆けつけるのが、余計なこととは思わない!」
料理人「どんなに頭が痛くても、戦いを放り出しても、俺はあいつのところに駆けつける!」
料理人「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」ドドドドドッ
弟子「師匠ーッ!」
司会者「なんだァ!? 料理人選手、どこかへ走り去ってしまいました! 試合放棄か!?」
ライバル「……!?」
料理人「あいつのところに駆けつけるのが、余計なこととは思わない!」
料理人「どんなに頭が痛くても、戦いを放り出しても、俺はあいつのところに駆けつける!」
料理人「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」ドドドドドッ
弟子「師匠ーッ!」
司会者「なんだァ!? 料理人選手、どこかへ走り去ってしまいました! 試合放棄か!?」
ライバル「……!?」
33: 2020/11/04(水) 21:23:16.374 ID:OadfapUG0
女「……」
料理人「おい、大丈夫か?」
女「あれ……? あんた、なんでここに……。料理対決は……?」
料理人「放り出してきちまった」
女「どうして……せっかくリベンジの機会だったのに……」
料理人「別に。俺はタレントやってるわけじゃないしさ」
女「バカ……」
料理人「また余計なことしちまったな」
女「ホントだよ……。だけど……ありがとう」
料理人「お医者さんに聞いたら、色々疲労が溜まってたみたいだな。ゆっくり休めよ」
女「うん……」
料理人「おい、大丈夫か?」
女「あれ……? あんた、なんでここに……。料理対決は……?」
料理人「放り出してきちまった」
女「どうして……せっかくリベンジの機会だったのに……」
料理人「別に。俺はタレントやってるわけじゃないしさ」
女「バカ……」
料理人「また余計なことしちまったな」
女「ホントだよ……。だけど……ありがとう」
料理人「お医者さんに聞いたら、色々疲労が溜まってたみたいだな。ゆっくり休めよ」
女「うん……」
35: 2020/11/04(水) 21:27:32.900 ID:OadfapUG0
ライバル「フッ、ここにいたか」
料理人「あ……!」
ライバル「さっきの勝負は俺の勝ちだ」
料理人「当然だ。俺はお前から逃げ出したんだからな」
ライバル「――なんてな」
料理人「?」
ライバル「お前の料理を味見した……。あれがあのまま完成していたら、おそらくお前の勝ちだっただろう」
料理人「そんなのどうなってたか分からないだろ」
ライバル「とにかく、俺たちの決着はまだついてない! またいずれ勝負だ!」
料理人「ああ!」
ライバル「ちなみに、俺とお前の料理は会場で振る舞われたから安心しろよ」
料理人「そりゃどうも」
料理人(くそっ、俺と違ってあえて粋なことをするのが得意な奴め!)
料理人「あ……!」
ライバル「さっきの勝負は俺の勝ちだ」
料理人「当然だ。俺はお前から逃げ出したんだからな」
ライバル「――なんてな」
料理人「?」
ライバル「お前の料理を味見した……。あれがあのまま完成していたら、おそらくお前の勝ちだっただろう」
料理人「そんなのどうなってたか分からないだろ」
ライバル「とにかく、俺たちの決着はまだついてない! またいずれ勝負だ!」
料理人「ああ!」
ライバル「ちなみに、俺とお前の料理は会場で振る舞われたから安心しろよ」
料理人「そりゃどうも」
料理人(くそっ、俺と違ってあえて粋なことをするのが得意な奴め!)
37: 2020/11/04(水) 21:30:30.827 ID:OadfapUG0
その後――
料理人(対決を放り出した件は、ライバルのおかげもあってある種の美談で片付けられ――)
料理人(俺はペナルティを負わずに済んだ)
料理人(だが、その代償に――)
料理人「すいません、また元に戻ってしまったんですけど……」
僧侶「まさか、あの術を自力で解除するとは……驚きです」
僧侶「あの術は、本人が強引に解除してしまうと、もはや二度かかることはありません」
料理人「ってことは……」
僧侶「はい、元通りということで」ニコッ
料理人「そんなぁ……」
料理人(対決を放り出した件は、ライバルのおかげもあってある種の美談で片付けられ――)
料理人(俺はペナルティを負わずに済んだ)
料理人(だが、その代償に――)
料理人「すいません、また元に戻ってしまったんですけど……」
僧侶「まさか、あの術を自力で解除するとは……驚きです」
僧侶「あの術は、本人が強引に解除してしまうと、もはや二度かかることはありません」
料理人「ってことは……」
僧侶「はい、元通りということで」ニコッ
料理人「そんなぁ……」
38: 2020/11/04(水) 21:34:21.309 ID:OadfapUG0
―料理店―
料理人(結局、俺は元通りになってしまった。だけど――)
肥満女「おいしいわぁ~!」
料理人「いい食べっぷりですけど、また太りましたね!」
肥満女「なによそれ! だけどおかわり!」
会社員「あれ以来、辛いものも食べれるようになったんだ」
料理人「へぇ~、ひょっとして二枚舌なんじゃ?」
会社員「私はウソなどつかないよ!」
料理人(結局、俺は元通りになってしまった。だけど――)
肥満女「おいしいわぁ~!」
料理人「いい食べっぷりですけど、また太りましたね!」
肥満女「なによそれ! だけどおかわり!」
会社員「あれ以来、辛いものも食べれるようになったんだ」
料理人「へぇ~、ひょっとして二枚舌なんじゃ?」
会社員「私はウソなどつかないよ!」
39: 2020/11/04(水) 21:39:39.263 ID:OadfapUG0
料理人「へい、お待ち!」
女「ありがと」
女「おいしい! やっぱり料理に関しては大したもんだわ」
料理人「これをかけるともっとおいしくなるぞ!」パッパッ
女「また勝手なことを……!」
料理人(しまったぁ!)
女「ん? だけど、珍しくホントにおいしくなってる! うん……やるじゃん!」モグモグ
料理人(これが……俺の“味”だもんな)
おわり
女「ありがと」
女「おいしい! やっぱり料理に関しては大したもんだわ」
料理人「これをかけるともっとおいしくなるぞ!」パッパッ
女「また勝手なことを……!」
料理人(しまったぁ!)
女「ん? だけど、珍しくホントにおいしくなってる! うん……やるじゃん!」モグモグ
料理人(これが……俺の“味”だもんな)
おわり
40: 2020/11/04(水) 21:40:58.409
乙
42: 2020/11/04(水) 21:51:33.678
乙
ライバルがいい奴だったな
ライバルがいい奴だったな
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります