1: 2017/07/08(土) 00:08:09.802 ID:Xc2yMtkp0
タプリス「はい」

サターニャ「はいじゃないわよ!てか何であんたが私の家にいるのよ!そしてこの手紙は何!?キス?氏亡って!?」

タプリス「落ち着いてください胡桃沢先輩。順を追って説明しますから」

サターニャ「落ち着いてられるわけないじゃない!せっかくの日曜日、この清々しい朝に突然現れて!イタズラだとしたらとんでもない悪魔的行為だわ!」

タプリス「私は天使です!」

3: 2017/07/08(土) 00:09:39.687 ID:Xc2yMtkp0
タプリス「では説明させていただきます。まず、私がここに来た理由、それは天使学校の課外授業の為です」

サターニャ「課外授業?」

タプリス「はい、立派な天使になるために、下界に降りて人間に命題を課すのです。そしてその命題のクリアのお手伝いをするのが私の役目なのです」

サターニャ「ちょっと待ちなさいよ!私は悪魔よ?なんで悪魔が天使の授業に巻き込まれなきゃならないのよ!」

タプリス「……そうなんです、実はそれが問題でして。本来なら神の御告げにより下界にいる人間がランダムに選ばれるのですが、なぜか胡桃沢先輩が選ばれてしまって……」

5: 2017/07/08(土) 00:11:49.402 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「とんだ迷惑だわ!それって他の誰かに変えることはできないの?」

タプリス「無理なんです、神の御告げは絶対なんです……」

サターニャ「くぅ……!だとしても私は嫌よ!天使であるあなたに協力なんて!それもガヴリールとキ、キスだなんて!」

タプリス「残念ですが、胡桃沢先輩に拒否権はありません。命題をクリアできなければ書いてある通り……氏にます!」ドーン

7: 2017/07/08(土) 00:15:18.037 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「なーっはっはっは!氏ぬのが怖くて悪魔が務まると思っているの?例え地獄に落ちてもまたすぐに地上に戻ってみせるわ!」

タプリス「……違うんです、そういうことじゃないんです胡桃沢先輩」

サターニャ「え?」

タプリス「この命題による氏というのは、天国や地獄に送られるのではなく、存在そのものが消えてしまうのです」

サターニャ「どういうことよ……?」

タプリス「肉体や魂だけでなく、その者が生きていたという記憶も記録も全てが無かったことになるのです……」

サターニャ「なっ……」ブルブル

タプリス「それは家族や友人も胡桃沢先輩のことを忘れるということです。生まれてこなかったことになるのですから」

9: 2017/07/08(土) 00:20:06.742 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「な、なんでそんな恐ろしいことするのよ!」

タプリス「分かりません。それが神の意思なのです、でも……」

サターニャ「でも?」

タプリス「もしかしたら、命題をクリアさせることが出来なかった天使に対する救済措置なのかもしれません」

タプリス「見習いとはいえ、天使が人を救えずに氏なせてしまったら心に深い傷を負ってしまう」

タプリス「それを防ぐ為に存在を抹消し、天使からも記憶を消して、また別の誰かに命題を課してクリアできるまで繰り返す」

サターニャ「もう訳が分からないわよ……」

タプリス「今こうして説明している私の記憶も消えてしまうのです。もしかしたらこれが初めてではなくて、何度も失敗して繰り返しているのかもしれません……」

サターニャ「怖いこと言わないでよ!分かったわよ!やるわ、やればいいんでしょ!?」

タプリス「本当ですか?ありがとうございます胡桃沢先輩!」

10: 2017/07/08(土) 00:22:17.234 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「しっかし、命題だっけ?この内容どうにかならないの?ガヴリールとキスできないと氏ぬって……」

タプリス「神の御告げなので……」

サターニャ「だっー!とんだ神ね!そういう趣味なのかしら?まあいいわ、早速ガヴリールのとこに行くわよ!」

タプリス「はい!ところで胡桃沢先輩と天真先輩ってあまり仲がよろしくないと思うのですが、何か作戦はあるのですか?」

サターニャ「なっーはっはっは!私を誰だと思っているの?私は地獄の支配者になる者、胡桃沢=サタニキア=マクドウェル!」

サターニャ「見てなさい、命題なんかパパッとクリアしてみせるわ!」

11: 2017/07/08(土) 00:25:23.321 ID:Xc2yMtkp0
ーガヴリールの家ー

ガヴリール「ふわぁ……眠い、徹夜でネトゲしてたらもう朝か」

ピンポーン♪

ガヴリール「ん?誰だこんな朝っぱらに?」

ピポピポピポピポピンポーン♪

ガヴリール「」ブチッ

サターニャ「ガヴリールゥ!?いるんでしょー?あけなさーい!!」

ドカーン!ズドーン!グシャア!

サターニャ「ぐえっ!?」

ガヴリール「うるさい、静かにしろ。私はこれから寝るから。あとドア直しとけよ」

サターニャ「キュー……」魂プカー

12: 2017/07/08(土) 00:28:23.006 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「ハッ!」

タプリス「やっと目を覚ましましたか胡桃沢先輩」

サターニャ「……天使?ここは天界かしら?」

タプリス「タプリスです!しっかりしてください!気絶してしまったので胡桃沢先輩の家に運びました」

サターニャ「そうだったの、ありがとう」

タプリス(あ、悪魔の癖に素直ですね。もしかして良い人なのかしら……?)

タプリス「しかし、私が思っていたよりも遥かにお二人は仲が悪いのですね……」

サターニャ「そう?いつものことだから気にしてないけど」

タプリス(あれだけのことをされて何とも思ってないなんて、器が大きいのか、ただのバカなのか……)

13: 2017/07/08(土) 00:30:28.663 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「って今何時!?」

タプリス「えと、もうすぐお昼の12時ですね。タイムリミットまであと8時間ちょっとです」

サターニャ「そんなに寝ていたの!?どうしてもっと早く起こしてくれなかったのよ!」

タプリス(あなたの口から出ていった魂を探しに天界まで行っていたのよ……)

サターニャ「まあいいわ。もう一度ガヴリールの家に行かないと。あなたさっきガヴリールに会ったの?」

タプリス「いえ、部屋には入ったのですが、ベッドで爆睡されてました。恐らく徹夜でゲームをしていて、ドアを破壊した後に力尽きてしまったのでしょう」

サターニャ「なっーはっはっは!それはチャンスだわ!ガヴリールが眠っている隙にキスしてしまえばいいのよ!我ながら完璧な作戦!これぞ悪魔的戦略(デビルズタクティクス)!」

タプリス「あの……」

サターニャ「なにかしら?」

タプリス「ドア直しちゃったんで、部屋には入れません……」

サターニャ「え?」

14: 2017/07/08(土) 00:33:09.477 ID:Xc2yMtkp0
ーヴィーネの家ー

ヴィーネ「ふぅ、良いお天気だわ。昨夜の大雨が嘘みたいに快晴ね。洗濯物も干し終わったし、そろそろお昼にしようかしら」

サターニャ「ヴィネットー?いるー?」ガチャ

ヴィーネ「ちょ、サターニャ!突然入ってこないでよ、ビックリするじゃない!」

サターニャ「フッフッフ……チャイムやノックもせずに突然ドアを開けて家に侵入する、これぞ超A級悪魔的行為(デビルズアクション)!」

ヴィーネ「……サターニャ?」ゴゴゴゴゴ

サターニャ「ひぃ……ご、ごめんなさい」ブルブル

ヴィーネ「それで、一体何しにきたの?」

サターニャ「そうだったわ。ヴィネット、あなた確かガヴリールの家の合鍵を持っていたわよね?」

ヴィーネ「え?えぇ……持ってるけど……」

サターニャ「よかった!それ、ちょっと貸してくれない?」

ヴィーネ「ええ?どうしてよ?もしかしてまた何か悪いこと考えてるんじゃない?」

サターニャ「ち、違うわよ!ただどうしても必要なのよ、お願い!」

ヴィーネ「ダメよ。これはガヴの為に作ったの。どうしても貸してほしいならガヴに許可をとりなさい」

サターニャ「そんなぁ、それじゃダメなのよ!お願い、ヴィネット!」

ヴィーネ「だーめ!そんなにガヴの部屋に入りたいなら転移魔法陣を使えばいいじゃない」

サターニャ「あぁ、前に机の引き出しに使ったやつね。とっくに結界張られてもう使えないわよ……」

15: 2017/07/08(土) 00:35:35.016 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ(やっぱりヴィネットは真面目だから簡単には貸してくれないわね……)

ヴィーネ「正当な理由があるなら貸してあげるわ。一体どうしたの?」

サターニャ(命題のことを話せば分かってくれるかも。なんせ私の命……存在が懸かっているのだから!)

サターニャ「あのね、ヴィネット!実は……」パクパク

ヴィーネ「え?なあに、聞こえないわよ」

サターニャ「え?そんな……。あのね!私の……」パクパク

ヴィーネ「もう、サターニャ。ふざけないでよ。やっぱり理由なんてないのね」

サターニャ(どうして!?命題のことを言おうとすると声が出ない!これじゃあ鍵を借りれないじゃない!)

サターニャ「うぅ……」

ヴィーネ「サターニャ?なんか顔色悪いわよ?どこか具合悪いの?」

サターニャ「へ、平気よ。あ、用事を思い出したわ!私帰るから!お邪魔したわね!じゃあね!」

ヴィーネ「サターニャ……?」

17: 2017/07/08(土) 00:38:50.915 ID:Xc2yMtkp0
タプリス「おかえりなさい胡桃沢先輩」

サターニャ「ただいま……じゃないわよ!そういえばどうしてあなた一緒に来なかったのよ!?」

タプリス「月乃瀬先輩のとこに行ってたんですね。どうでした?」

サターニャ「どうでした?……じゃないわよ!命題のことを話してヴィネットに協力してもらおうと思ったのに、そのことを伝えようとしたら声が出なくなって……!」

タプリス「言い忘れてましたけど、命題のことを誰かに喋ろうとしても神の意思が働いて、絶対に相手に伝わらないのです。声や文字、テレパシーなんかも同じです」

サターニャ「なんですって?どうしてそんな大事なことを黙っていたのよ!」

タプリス「ですから、言い忘れてたんです。ごめんなさいです」

サターニャ「まあいいわ。それってあなたが伝えようとしてもダメなのかしら?」

タプリス「はい、そうです。事情を説明できないので私が行っても無駄だと思いまして……」

サターニャ「そんなことないわよ。事情を知っているのはあなただけなんだから、あなただけが頼りなのよ」

タプリス「胡桃沢先輩……」

サターニャ「じゃあ行くわよ」

タプリス「え?」

18: 2017/07/08(土) 00:41:04.559 ID:Xc2yMtkp0
ーエンジェル珈琲ー

マスター(穏やかな日曜の昼下がり。静かな店内はコーヒーの香りで包まれている。でもちょっと静かすぎるかなぁ。お客さん来ないかなぁ……)

ガチャ チリンチリーン

マスター「(来たぁ!)いらっしゃいませ」

サターニャ「カフェオレとミルクをいただくわ!」

マスター「おぉ、君は天真君のご学友の、胡桃沢君だったかな?それともう一人……?」

サターニャ「この子は天使の……じゃなくて、ガヴリールの後輩のタプリスよ」

タプリス「は、初めまして、千咲=タプリス=シュガーベルと申します」

マスター「やあ初めまして、この店のマスターです。天真君の後輩かい。残念だけど今日は天真君はお休みなんだけども……」

サターニャ「知っているわ、だから来たのよ。あいつがいるとヒドイ目にあうからね!」

マスター「あはは……そうかい、じゃあ奥の席へどうぞ」

タプリス「(胡桃沢先輩、喫茶店なんかに来てどうするんですか?早く命題に取りかからないと……)」

サターニャ「お腹が空いたのよ、朝から何も食べてないんだから。腹が減っては戦はできぬ!ってね。マスター!」

マスター「はい、ご注文を伺いますよ」

サターニャ「さっき言ったカフェオレにミルク、あとサンドイッチをいただくわ」

タプリス「えと、どうしようかな。じゃあ私はこのブレンドコーヒーをお願いするです」

マスター「おぉ!ブレンドコーヒーだね!?私はブレンドにはこだわりがあってねぇ、五種類の豆を……」

サターニャ「タプリス、ここのブレンドコーヒーは冷めてて不味いわよ。別のにしなさい」

マスター(ええぇぇ!?)ガーン

19: 2017/07/08(土) 00:43:31.116 ID:Xc2yMtkp0
ーサターニャの家ー

ピカー シュウウー

ラフィエル「神足通でお邪魔しますー、サターニャさーん」

ラフィエル「って、あらら?お留守みたいですね。もう折角遊びに来たというのに困った悪魔さんですこと」

ラフィエル「さて、何か面白いものがないか物色しちゃいましょう。……あら?テーブルの上に手紙がありますね」

ラフィエル「どうしましょう?さすがに勝手に中を見るのは天使として……見ちゃいましょう♪」

ラフィエル「封筒にはサターニャさんの名前がありますね。うん?消印とかが何も無い?」

ラフィエル「中身は……。え?これは……?」

ピンポーン

ヴィーネ「サターニャ、いるのー?」

ラフィエル「はーい♪」ガチャ

ヴィーネ「サター……ってラフィ?サターニャは?」

ラフィエル「どうやらお留守のようです。私は神足通で入りましたが」

ヴィーネ「それ犯罪だから!!」

20: 2017/07/08(土) 00:46:02.458 ID:Xc2yMtkp0
ヴィーネ「で、勝手に他人の家に侵入して何してたの?」

ラフィエル「うふふ♪サターニャさんと遊ぼうと思って来たのですが、留守なので色々と物色してましたわ♪」

ヴィーネ「そこまで堂々と犯罪自慢されると逆に清々しいわね……」

ラフィエル「そういうヴィーネさんはどのようなご用件で?」

ヴィーネ「ええ、実はさっきサターニャが私の家に来たのよ。ガヴの家の合鍵を貸してくれって」

ラフィエル「あら~」

ヴィーネ「もちろん貸さなかったわよ。ガヴが怒るもの。それで理由を尋ねたら急にサターニャの顔色が悪くなって……」

ラフィエル「ふんふん、それで心配になってサターニャさんの家に来てみたと」

ヴィーネ「ええ。なんだか思い詰めた表情をしていたから。心配で……」

ラフィエル「ひょっとして、この手紙が原因なのかもしれません」

ヴィーネ「手紙?」

ラフィエル「はい。どうぞ読んでみてください」

ヴィーネ「人様の手紙を勝手に読むなんて、まずいんじゃない?」

ラフィエル「大丈夫ですよ♪」

ヴィーネ「仕方ないわね……どれどれ。って、これは一体?」

21: 2017/07/08(土) 00:48:26.061 ID:Xc2yMtkp0
ーガヴリールの家ー

ガヴリール「スヤスヤ……」

ピカー シュウウー

ゼルエル「起きなさいガヴリール……」

ガヴリール「ムニャ……グー」

ゼルエル「起 き な さ い!」ピシャー

ガヴリール「ぎゃあぁぁ!」

ゼルエル「やっと目覚めたかガヴリール。全く、またこんな堕落した生活をして」

ガヴリール「ゲェッ!?ゼルエル姉さん!どうして下界に!?」

ゼルエル「どうして、じゃない。この前連絡しただろう?今日は妹のハニエルの誕生日だから、家族揃って誕生パーティーをすると」

ガヴリール「そうだった!すっかり忘れて……」

ゼルエル「忘 れ て い た だ と ?」ゴゴゴゴ

ガヴリール「ひぃっ!違います!可愛い妹の誕生日を忘れるわけないじゃないですか!その、疲れが溜まっていて、つい寝過ごしてしまって……」アタフタ

ゼルエル「そうか、下界の暮らしは大変そうだな。さあ、早く支度をしなさい。ハニエルが待っているわ」

ガヴリール「はい!すぐに支度します!(助かった……)」

22: 2017/07/08(土) 00:51:31.257 ID:Xc2yMtkp0
ー街中ー

サターニャ「さーて、昼食も食べたし、ガヴリールの家に再突入しましょうか!」

タプリス「どうするですか?天真先輩、起きそうになかったですし、鍵も無いですし……」

サターニャ「なーっはっはっは!簡単なことよ。言ったでしょ?タプリス。あなただけが頼りだって」

タプリス「え?」

サターニャ「あなたたち天使が使う神足通。その力があれば家の中に入って鍵を開けることなど造作もないはず!」

タプリス「あー……」

サターニャ「どう?私の天才的アイディア!さっすが未来の大悪魔サタニキア様だわ」キャー

タプリス「ごめんなさい、それは無理です」

サターニャ「どうしてよ!?」

タプリス「お手伝いするのが天使の役目なのですが、その時は天使の力を使ってはならないという規則なのです」

サターニャ「ムキー!なんですって?天使の力を使えないあなたなんて、ただのお子ちゃまじゃない!ホンット役に立たないわね!」

タプリス「ヒ、ヒドイです、そこまで言わなくたっていいじゃないですか!」

サターニャ「ふんだ、ふんだ、ふーんだ!あんたなんかの力を借りなくたって私一人で命題をクリアしてみせるわ!」

タプリス「あーそうですか!ではご自由にどうぞ!私だって悪魔なんかのお手伝いしたくなかったんですー!」

サターニャ「じゃあね!」

タプリス「さよならです!」

23: 2017/07/08(土) 00:54:07.002 ID:Xc2yMtkp0
ーガヴリールの家ー

サターニャ「ガヴリールの家に着いたはいいけど、どうしたものかしら……」

サターニャ「眠っている隙にキスをすれば低リスクで命題をクリアできるけど、鍵を開けるにはガヴリールを起こさないと…」

サターニャ「ハッ!私としたことが忘れていたわ!悪魔である私は人間に比べてモノ凄い身体能力があることを!」

サターニャ「この前のスポーツテストで握力200キロオーバーを叩き出した私のパワーをもってすればドアなど簡単に破壊できるはず……」

サターニャ「よし、そっーと……」

ミリミリ バキッ

サターニャ「やった!これで中に入れるわ」

サターニャ「(お邪魔しまあす……)」コソコソ

ポツーン

サターニャ「あれ?ガヴリールがいない?嘘でしょ!?そんなー!!」

サターニャ「あのバカ天使!なんで肝心な時にいないのよ!あぁ、もう夕方じゃない!早く探さないと!」

サターニャ「そうだ、携帯に連絡を……プルル」

ピーポーモ デーボーモ エンジョーモ ヒックルメテハイ ハッピー♪

サターニャ「!?」

サターニャ「なんであいつの携帯がここにあるのよ!」

サターニャ「携帯を忘れて出掛けるなんて、どこまでズボラなのかしら!」

サターニャ「そうだ、あいつが帰ってきたら連絡するように置き手紙に書いときましょう!」

サターニャ「これでよし!さあ急がないと!ガヴリールーーー!」

25: 2017/07/08(土) 01:11:14.566 ID:Xc2yMtkp0
ヴィーネ「サターニャ、家にいないってことはガヴの家に行ったのかも」

ラフィエル「恐らくそうでしょうねぇ。あの手紙が原因だとすると」

ヴィーネ「どういうこと?あの手紙、封筒にサターニャの名前があるだけで、中身は白紙だったじゃない?」

ラフィエル「ええ。ですがあの手紙から聖なる力を感じました。きっと天界から送られてきたのでしょう」

ヴィーネ「天界から?どうして悪魔に手紙なんて……あの子、また何か悪いことをしたのかしら?」

ラフィエル「それは分かりません。あの手紙は加護によって届いた本人にしか読めないのです」

ヴィーネ「ふーん。内容は分からないけど、きっとガヴにも関係があることなのね」

ラフィエル「そうだといいんですが……でも」

ヴィーネ「でも?」

ラフィエル「なんだか面白い展開になってきましたね~♪」

ヴィーネ「いや、全然面白くないから!」ビシッ

26: 2017/07/08(土) 01:14:00.600 ID:Xc2yMtkp0
ー街外れー

タプリス「はぁ、胡桃沢先輩と喧嘩してしまいました。今はそんなことしてる場合じゃないのに……」トボトボ

タプリス「ここはどこなんでしょう?あてもなく歩いていたら知らない場所に来てしまいました……」

タプリス「橋……ですね。わあ、川に夕陽が反射してキラキラ光って綺麗ですねぇ」

タプリス「って、黄昏ている場合ではないです!やはり私は天使としての責務を全うしなくては……ん?」

ネコ「ニャー」

タプリス「うわわ!ネコ!危険度Bの要注意動物!」

ネコ「ニャーン?」

タプリス「あっち行くです!シッシッ!」

ネコ「ニャーン♪」ピョン

ガシッ

タプリス「ぎゃああ!顔にいい!」フラフラ

ヒュー……ザッパーン!

28: 2017/07/08(土) 01:18:10.374 ID:Xc2yMtkp0
ーガヴリールの家ー

ヴィーネ「ドアが壊されてる……サターニャがやったのかしら?」

ラフィエル「みたいですね。よっぽどガヴちゃんに会いたかったんですかね~」

ヴィーネ「そんなに思い詰めていたなんて。あの時、合鍵くらい貸してあげればよかったわ……」

ラフィエル「ガヴちゃんいますかー?サターニャさーん?」

シーン……

ヴィーネ「居ないみたいね。二人は会えたのかしら?」

ラフィエル「そうはいかなかったみたいですねぇ。置き手紙があります」

『ガヴリールへ。帰ってきたら大至急私に連絡しなさい!緊急事態なのよ!私の…… サターニャ』

ヴィーネ「なんだか不自然な手紙ね?でも大変だってことは分かったわ」

ラフィエル「私たちも二人を探しましょう」

29: 2017/07/08(土) 01:20:40.370 ID:Xc2yMtkp0
ー街中ー

サターニャ「全く、ガヴリールのやつは何処に行ったのかしら!こんなに探しても見つからないなんて……」

サターニャ「あぁ、もうすっかり暗くなってきちゃった。……あっ!そうだ!」

サターニャ「ラフィエルに頼んで千里眼でガヴリールの居場所を見つけてもらえばいいんだわ!」

サターニャ「タプリス以外の天使の力なら使っても問題ないはず!やっぱ私ってば天才だわ!」キャー

サターニャ「って!?あそこにいるのはラフィエルとヴィネットだわ!なんて運が良いのかしら!」

サターニャ「おーい!ラフィエルー!ヴィネットー!」

ラフィエル「あら?」

ヴィーネ「え?」

30: 2017/07/08(土) 01:23:40.512 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「二人とも、グッドタイミングだわ!ねーラフィエル、ちょっとお願いがあるんだけど!」

ラフィエル「え?えぇと……」

ヴィーネ「ラフィ、この人と知り合いなの?」

33: 2017/07/08(土) 01:30:37.297 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「え?」

ラフィエル「えぇと、どこかでお会いしましたか?」

サターニャ「ちょ、何を言っているのラフィエル!?今ちょっと急いでるから、そういうボケはいいわよ!」

ラフィエル「いえ、ボケてなどいないのですが……」

サターニャ「はあっ!?」

ヴィーネ「ちょっとあなた!ラフィが困ってるじゃない!一体何なの突然?」

サターニャ「ヴィネットまで!あなたたち、この未来の大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェル様を忘れたっていうの?」

ヴィーネ「悪魔?あなたも悪魔なの?悪いけど、あなたが私たちの事を知っていても、私はあなたのことは知らないわ」

サターニャ「な、嘘でしょ!?」

サターニャ(どういうこと?私の事を知らない?)

サターニャ(もしかしてタイムリミットが近づくと、徐々に私の存在が消えていくっていうの?)

サターニャ(消える?私が消える?……嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!)

34: 2017/07/08(土) 01:34:52.032 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「嫌だぁ!!」ポロポロ

ヴィーネ「ちょ、いきなり泣き出してどうしたのよ?」

ラフィエル「あら~、ヴィーネさん泣かせてしまいましたねぇ」

ヴィーネ「えっ?私のせい?違うわよ!」

サターニャ「うぅ……ガヴリール、ガヴリールを~……」

ヴィーネ「ガヴ?ガヴの知り合いなの?」

サターニャ「うん……」コクコク

ラフィエル「私たちもガヴちゃんのことを探していたところなんです」

ヴィーネ「そうなのよ。……あれ?でもどうしてガヴを探してたんだっけ?」

ラフィエル「あら?どうしてかしら?ど忘れしちゃいました」

35: 2017/07/08(土) 01:39:01.402 ID:Xc2yMtkp0
ヴィーネ「あ、そうだ。ガヴの家に置き手紙があったけど、あれはあなたが書いたの?」

サターニャ「そうよ……グスン……」

ラフィエル「あ~、サタニキアだからサターニャなんですね」

サターニャ「ラフィエル、お願い!ガヴリールを千里眼で探して!時間が無いの!」

ラフィエル「あら、天使の千里眼のことをご存知なんですね。確かに千里眼を使えばすぐ見つけることが出来ますね~」

ヴィーネ「ラフィ、どうしてもっと早く気付かなかったのよ……」

ラフィエル「うっかりです~。では、ちょっとガヴちゃんを探してみますね♪」

ピカー シュイーン……

サターニャ(よかった、これでガヴリールを見つけたらすぐに飛んでいって無理矢理にでもキスする。これで命題はクリアよ!)

ラフィエル「ふぅ……おかしいですねぇ、ガヴちゃんの反応がありませんわ」

37: 2017/07/08(土) 01:41:25.740 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「反応が無い?そんな!」

ラフィエル「うーん、ガヴちゃんのことをイメージすると何故か白いモヤのようなもので遮られちゃうんですよ。こんなの初めてです」

サターニャ(あ……あ……これも……神の力だっていうの?そんな、そんな……)

サターニャ「もう、ダメだわ……。ごめんね……タプリス……」ガクッ

ヴィーネ「あなた、タプリスちゃんとも知り合いなの?」

サターニャ「そうよ。元はといえば、タプリスのせいで…… 」パクパク

ラフィエル「鯉のモノマネですか?」

サターニャ「違うわよ!」

サターニャ「ていうかタプリスのやつは何処ほっつき歩いてんのよ!この緊急事態に!」

ヴィーネ「泣いたり落ち込んだり怒ったり、あなた情緒不安定なの?」

サターニャ「違うわよ!もうラフィエル、千里眼でタプリスを探してちょうだい!」

ラフィエル「あら~、それが人にものをお願いする態度ですか?」

サターニャ「なっ!うぐぅ……ラフィエルさん、どうかお願いします……」

ラフィエル「はいはい、しょうがないですねぇ~(プププ、面白い!)」

ヴィーネ「ラフィ、あなた本当に天使なの?」

38: 2017/07/08(土) 01:46:17.577 ID:Xc2yMtkp0
ー川の中ー

タプリス(ううぅ!!寒い冷たい痛い苦しい息ができない……!!)

ネコ「ニャー!ニャー!」

タプリス「暴れないで!大丈夫、私が絶対に助けてあげるです……」

男「おーい!大丈夫かー!」

女「頑張ってー!」

おばさん「何とか橋脚につかまってはいるけど、長くは持たないわ……」

おじさん「くそ!レスキュー隊はまだ来ないのか!」

ワーキャー ガヤガヤ

ラフィエル「あそこですわ!」

サターニャ「タプリス!なんであんなとこに!」

ヴィーネ「大変だわ!昨夜の大雨で川が増水していて、流れも急になってる!」

サターニャ「ラフィエル!天使の力で救えない!?空を飛べば……」

ラフィエル「そうしたいですが、これだけの衆人環視の中では……。天使であることがバレてしまったら大変なことになります……」

ヴィーネ「悪魔の能力もダメね……」

サターニャ「そんな!どうすれば……」

39: 2017/07/08(土) 01:50:14.073 ID:Xc2yMtkp0
おじさん「おーい!ロープを持ってきたぞ!それっ!!」ビュン

タプリス「うぐぅ……」

おばさん「あぁ、ダメだわ。片手にネコを抱えているからロープが掴めないのよ!」

ワーキャー ガヤガヤ

ヴィーネ「あの子、ネコを救おうとしているのね。でもこのままじゃ……」

ラフィエル「タプちゃん……」

サターニャ(あいつバカなの?ネコを救うために自分の命を危険に晒して……)

サターニャ(ほんと……バカ。バカ天使だわ!)

サターニャ(もう命題のタイムリミットまで一時間もない。私は……もうすぐ消える)

サターニャ(どうせ消えてしまうのなら……!)

サターニャ「タプリス!待ってなさい、今行くわ!!」

40: 2017/07/08(土) 01:52:39.226 ID:Xc2yMtkp0
ヴィーネ「あなた!?何言ってるの?危険よ!」

ラフィエル「そうです。レスキュー隊が来るのを待ちましょう!」

サターニャ「待たないわ。タプリスは私が助ける!」

ヴィーネ「能力を使えないあなたに何ができるの?あなたまで溺れてしまうわよ!」

サターニャ「なーっはっはっは!私を誰だと思っているの?私は地獄の支配者になる者、胡桃沢=サタニキア=マクドウェル!あのヘッポコ天使をパパッと救出してみせるわ!」

41: 2017/07/08(土) 01:55:14.668 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「タァー~ー!!」

バッシャーン

男「あっ!女の子が飛び込んだぞ!」

女「きゃあー!大変だわ!」

おばさん「スゴい!泳ぎは上手みたいだわ!」

おじさん「くそ!レスキュー隊はまだ来ないのか!」

サターニャ「もががっ!プハァ!タプリス、大丈夫!?」

タプリス「うっ………うぅ……」グッタリ

ネコ「ニャーン……」

サターニャ「しっかりしなさい!よいしょ、このロープを……」

おじさん「よーし!ロープを引っ張るぞー!しっかりつかまってるんだぞ!」

サターニャ「ムギギッ!絶対に離さないわよ!握力200キロオーバーを舐めるんじゃないわよぉ!!!」

ヴィーネ「凄いわ、あの人……」

ラフィエル「えぇ。悪魔が天使を命懸けで救うなんて……」

ワーキャー ガヤガヤ

42: 2017/07/08(土) 01:58:23.202 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「ハァハァ……、助かった……」グッタリ

みんな『助かったぞー!お嬢ちゃんよくやったー!』

ワーキャー ガヤガヤ

タプリス「うぅ、胡桃沢先輩……?」

サターニャ「タプリス!気が付いたのね!って、あれ?私のこと分かるの?」

タプリス「はい……胡桃沢先輩、どうして私を助けてくれたのですか?私、役立たずなのに……」

サターニャ「何言ってるの。あなたは役立たずなんかじゃないわよ。ほら」

ネコ「ニャーン♪」

タプリス「ネコ……、よかった無事でしたか……」

サターニャ「タプリス、ごめんなさいね……、色々ひどいこと言っちゃって。あなたも必氏だったのに……」

タプリス「私こそごめんなさいです。そういえば命題はどうなりました?今は何時ですか?」

おじさん「おーい、救急車が来たぞー!」

サターニャ「……大丈夫。あなたは何の心配もしなくていいから。さあ、救急車で病院に行きなさい」

タプリス「胡桃沢先輩……」ガクッ

救急隊員「大丈夫ですか?今ストレッチャーに乗せますね。あなたも念のため病院へ」

サターニャ「私は大丈夫よ。この通りピンピンしてるわ!それよりこの子をお願いします!」

救急隊員「そうですか、分かりました。どなたか付き添われますか?」

ラフィエル「私が行きます」

ヴィーネ「ラフィ、タプリスちゃんをお願いね」

ラフィエル「はい、任せてください」

ピーポーピーポー

サターニャ(タプリス……ありがとう)

サターニャ(……元気で)

44: 2017/07/08(土) 02:03:03.295 ID:Xc2yMtkp0
ヴィーネ「胡桃沢さん、タプリスちゃんを助けてくれてありがとう……」

サターニャ「……当然のことをしたまでよ。悪魔である私の許可なく氏なれたら困るからね」

ヴィーネ「何よそれ、変なの。ところであなたズブ濡れよ。そのままじゃ風邪引くわ。私の家に来る?」

サターニャ「結構よ。私は……」

ヴィーネ「ガヴを探すの?緊急事態だって言ってたけど……」

サターニャ「えぇ。もう間に合わないかもしれないけど……」

ヴィーネ「もう一度ガヴの家に行ってみましょう?もしかしたらもう帰ってきてるかもしれないわ」

サターニャ「……そうね、分かったわ」

46: 2017/07/08(土) 02:05:41.051 ID:Xc2yMtkp0
ーガヴリールの家ー

ヴィーネ「まだ帰ってきてないわね……」

サターニャ「……」

サターニャ(時計は19時50分……もう間に合わない……)

ヴィーネ「とりあえず濡れた体を拭かないと。確かタオルはここに……あった。はいこれ」

サターニャ「……ありがとう」

ヴィーネ「壊れたドアは……明日直せばいいか」

サターニャ「ヴィネット……」

ヴィーネ「なあに?」

サターニャ「今まで……ありがとう!」

ヴィーネ「ど、どうしたの?私たち今日会ったばかりじゃない」

サターニャ「違うの!私たちは、ずっと……ずっと前から友達で!」

ピカー シュウウー

ガヴリール「イエーイ!!!フウゥゥゥ!!!ハッピーバースデェェェ!!!」

47: 2017/07/08(土) 02:09:03.310 ID:Xc2yMtkp0
ヴィーネ「え?」

サターニャ「は?」

ガヴリール「イヤッフゥゥゥ!!!」

サタ・ヴィネ「「ガヴリール!?」」

サターニャ「あんた!今まで何処に行ってたのよ!ずっと探してたのよ!」

ゼルエル「天界よ」

ヴィーネ「ガヴのお姉さん!?」

ゼルエル「おや、ガヴリールの友人だね。妹が迷惑をかけたようだな、すまない」

ヴィーネ「いえ、迷惑だなんて……」

ゼルエル「今日は末っ子の妹ハニエルの誕生日でな。天界に戻ってパーティーをしていたんだ」

サターニャ(天界!?どうりで見つからないはずだわ……)

48: 2017/07/08(土) 02:11:43.477 ID:Xc2yMtkp0
ゼルエル「パーティーの最中、間違って父さんのシャンパンを飲んでしまってな。この通りだ」

ガヴリール「イエーイ!!!フウウウウ♪♪♪」

サターニャ「さっきから様子がおかしいのはそういう理由だったのね……」

ヴィーネ「確かガヴ、甘酒飲んで酔っぱらってたもんね」

サターニャ(ハッ!そうだ、もう時間が無い!すぐにキスしないと!)

サターニャ(あぁ、でもヴィネットとガヴリールのお姉さんの前でそんなことしたら……)

ヴィーネ『サターニャ?私のガヴになんてことしてくれたの?地獄に落ちなさい!!』ゴゴゴゴゴゴ

ゼルエル『この悪魔め……私の大事な妹によくも!天の裁きを受けるがいい!!』ゴゴゴゴゴゴ

サターニャ(……殺される!!)

49: 2017/07/08(土) 02:14:07.292 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ(なんてこと!キスしてもしなくても私に助かる道はない!どうしよう!?)

ガヴリール「ヴィーネェ!ハッピーバースデー!!」

ヴィーネ「私は誕生日じゃないわよ!しっかりしなさい!」

ガヴリール「じゃあこっちの……うぅん?あなたはだあれ?」

サターニャ「わ、私はサターニャよ、あなたの同級生の……」

ガヴリール「サターニャー?」

ヴィーネ「あら?あなたたち、知り合いじゃなかったの?」

サターニャ「それは……」

ガヴリール「サターニャちゃん可愛いねぇ!!えい!」ガシッ

サターニャ「え?」

ガヴリール「ムチュウゥゥゥゥ……」

サターニャ「んぐ!?うぐぐ!」ジタバタ

ヴィーネ「ガヴ!?こらやめなさい!」

51: 2017/07/08(土) 02:16:38.548 ID:Xc2yMtkp0
ガヴリール「ぷはぁ!!サターニャちゃん、ハッピーバースデェェェ!」

サターニャ「あばば……」ピクピク

ゼルエル「ガヴリール」ピシャー

ガヴリール「ぎゃあぁぁ!」ガクッ

ゼルエル「すまない、大丈夫かい?」

サターニャ「は、はい。なんとか……(ヤワラカカッタ……)」

ヴィーネ「まったく、ガヴったら。そういえばサターニャ、ガヴに用事があったんじゃない?」

サターニャ「え?うん?」

サターニャ(あ、時間は20時丁度!やった!命題をクリアできたわ!)

サターニャ「用事はもう済んだわ!ところでヴィネット、今、サターニャって呼んでくれた?」

ヴィーネ「ええ、呼んだけど?」

サターニャ「わ、私たちって友達よね……?」

ヴィーネ「え?あなた何を言っているの?」

サターニャ(……!?)

52: 2017/07/08(土) 02:20:12.338 ID:Xc2yMtkp0
ヴィーネ「そんなの当たり前じゃない。何を今さら……」

サターニャ「ほんと!?やった!ありがとうヴィネット!」

ヴィーネ「何がよ!サターニャ、そろそろ帰りましょう。お姉さん、私たちはこれで……」

ゼルエル「あぁ、すまなかったな。私も帰るとしよう。ガヴリールは放っておいていいぞ」

ガヴリール「ふにゃー……」ピクピク

ヴィーネ「じゃあ、お邪魔しました」

サターニャ「さらばよ!」

53: 2017/07/08(土) 02:23:57.632 ID:Xc2yMtkp0
ー帰り道ー

ヴィーネ「ラフィから連絡があったわ。タプリスちゃん大丈夫みたいよ。今日はもう遅いから、明日みんなでお見舞いに行きましょう」

サターニャ「そう!よかったわ!私のお陰ね!」ドヤッ

ヴィーネ「そうね……でもサターニャ、もうあんな無茶なことしないでよね」

サターニャ「大丈夫よ!私は丈夫だからちょっとやそっとじゃ氏なないわよ!」

ヴィーネ「サターニャ!本気で心配したんだからね!」

サターニャ「えっ?あ、うん。ごめん……これから気を付けるわ」シュン

ヴィーネ「分かってくれればいいのよ。ところでサターニャ?」

サターニャ「なに?」

ヴィーネ「ガヴにキスされた後、これで用事が済んだって言ってたけど」

サターニャ「えっ?」

ヴィーネ「あれは一体どういう意味かしら?」ゴゴゴゴ

サターニャ「いやっ!?特に深い意味はないわよ……!」

ヴィーネ「サタァァニャァァァァ?」ゴゴゴゴゴゴ

サターニャ(ひぃぃぃ!!!)ガクブル

54: 2017/07/08(土) 02:26:42.547 ID:Xc2yMtkp0
ー翌日 病室ー

ラフィエル「タプちゃん、御加減いかがですか?」

タプリス「はい、もう大丈夫です。ご心配おかけしてすみませんです白羽先輩……」

ヴィーネ「本当によかったわ。元気になって」

ガヴリール「私がいない間に大変だったみたいだな。でもなんでお前は下界に来てたんだ?」

タプリス「え?……確か天真先輩に会いたくて来たんです。でもお留守で」

ガヴリール「そうだったのか、すまんな」

ラフィエル「ところでサターニャさん遅いですねぇ」

ヴィーネ「そうね、お見舞いに相応しい物を手にいれてくるって言ってたわね」

ガヴリール「あいつバカだから、マンドラゴラの根っことか採ろうとして今頃氏んでるんじゃないか」

ヴィーネ「もう、ガヴったら!」

タプリス「うふふ……」

55: 2017/07/08(土) 02:29:03.990 ID:Xc2yMtkp0
ヴィーネ「あんまり長居しちゃ悪いわね、そろそろ行きましょうか?」

ラフィエル「そうですね、まだ安静にしてないと」

ガヴリール「んじゃ帰るわ。元気になったら遊ぼうな」

タプリス「はい、みなさんありがとうございました」

ヴィーネ「じゃあね」

ラフィエル「バイバイ、タプちゃん」

ガヴリール「サターニャの奴が来ても無視していいからな」

ヴィーネ「ガヴ!」

タプリス「ふふふ、はい♪」

56: 2017/07/08(土) 02:32:51.009 ID:Xc2yMtkp0
タプリス(みなさん帰ってしまいました。寂しいですぅ……)

タプリス(あの時……胡桃沢先輩が私を助けてくれた。命懸けで……)

タプリス(あぁ……悪魔に助けられるなんて私は天使失格ですぅ……)

タプリス(でもどうしてあの人が私を?……確か天真先輩の家に行って、留守だったので帰ろうとしたら胡桃沢先輩に会って……)

タプリス(あ、喫茶店でコーヒーをご馳走になったです……)

タプリス(その後は……うーん、思い出せないですぅ……)

タプリス(ハッ!まさか私を助けて恩を売ることで堕天させようという魂胆なのですね!)

タプリス(あの人は天真先輩をも堕天させたという恐ろしい悪魔です!気を付けないと……)プルプル

ガチャッ バーン

サターニャ「来たわよ!」

57: 2017/07/08(土) 02:36:12.005 ID:Xc2yMtkp0
タプリス「!?」

サターニャ「あら?ガヴリールたちは?」

タプリス「さっき帰りましたよ。って、突然来たらビックリするです!」

サターニャ「ふふん、このサタニキア様がお見舞いに来てあげたのよ、感謝しなさい!」

タプリス(めんどくさいです……)

サターニャ「そうそう、お見舞いに相応しい品を買ってきたわ!これよ!数量限定の究極のメロンパン!これを食べれば一瞬で元気になるはずよ!」バーン

タッタッタッタッ

イヌ「ワンッ!」ガブ

サターニャ「だああああ!?なんで病院にイヌがいるのよ!?メロンパンがあああ!」

タプリス(何やってるんですかこの人は……)

サターニャ「うぐぐ……せっかくタプリスの為に買ってきたのに……」

タプリス「えっ?あ、ありがとうございます。でもお気持ちだけで十分ですよ」

サターニャ「え?べ、別にあなたの為に買ってきたわけじゃないわよ!たまたま店に行ってたまたま買っただけなんだからね!」

タプリス(めんどくさいです……)

サターニャ「さて、本題に入りましょうか。昨日私は無事に命題をクリアしたわ!」

タプリス「命題?」

サターニャ「とっても大変だったけど、このサタニキア様にかかればチョロいもんよ!なーっはっはっは!」

タプリス「命題って何のことですか?」

58: 2017/07/08(土) 02:39:18.502 ID:Xc2yMtkp0
サターニャ「え?何を言っているの?」

タプリス「ですから、命題ってなんですか?」

サターニャ「ちょっと!もしかして溺れたショックで記憶喪失にでもなったの?」

タプリス「うぅん……確かにちょっと頭がボーッとしてますけど……」

サターニャ「昨日の朝、あなたがウチに来て命題の書かれた手紙を渡したじゃない!」

タプリス「ええ?そんなはずは。私は天真先輩に会いに来たんですよ。それに胡桃沢先輩の家なんて知りませんよ」

サターニャ(どういうことかしら?記憶が混乱してるのかしら?あの手紙を見せれば思い出すかも……)

サターニャ「また明日来るわ!あなたはゆっくり休みなさい!さらばよ!」

タプリス(あなたがいるとゆっくりできないです……)

59: 2017/07/08(土) 02:42:18.487 ID:Xc2yMtkp0
ーサターニャの家ー

サターニャ「やっぱり手紙はあるじゃない」

サターニャ「ちゃんと中に命題が……あれ?内容が変わってるわ!」ペラッ

『胡桃沢=サタニキア=マクドウェル様。命題クリアおめでとうございます。あなたは天使学校による天使育成カリキュラム、命題チャレンジにおいて優秀な成績を修めました。ここに深く敬意を表すると共に、あなたが一番欲する物を副賞に添えて表彰致します』

サターニャ「表彰状になってるわ……。命を懸けたチャレンジにしては内容が軽すぎない?」

サターニャ「この私の一番欲する物って何かしら?あ、続きが書いてあるわ」ペラッ

『なお、この手紙は読み終えると同時に、命題に関する記憶と共に消滅します。では、良い人生を!』

サターニャ「えっ?」

60: 2017/07/08(土) 02:48:17.754 ID:Xc2yMtkp0
ー翌日 病室ー

サターニャ「来たわよ!」

ラフィエル「タプちゃーん」

ヴィーネ「元気?」

ガヴリール「うーす」

タプリス「みなさん、度々すみせん」

サターニャ「メロンパン持ってきたわよ!たらふく食べなさい!」ドサッ

ラフィエル「その箱、メロンパンが入っていたんですね」

ヴィーネ「こんなに一杯どうしたの?それ数量限定じゃなかったの?」

ガヴリール「盗んだんだろ」

タプリス「やはりあなたは悪い悪魔だったのですね!」

サターニャ「違うわよ!そんな超S級悪魔的行為するわけないじゃない!」

ヴィーネ「じゃあどうしたのよこれ」

サターニャ「よく分からないんだけど、昨日宅急便で届いたのよ!きっと日々悪魔として悪行に励んでいる私に御褒美として誰かが送ってくれたのね!」

ガヴリール「なんだそれ。毒でも入ってるんじゃないか?」

サターニャ「失礼ね!美味しいわよ!」モグモグ

ヴィーネ「躊躇いもなく食べたわね……毒味が済んだところで私たちも食べましょうか」

ラフィエル「そうですね、はいタプちゃん♪」

タプリス「ありがとうございます!」

ガヴリール「まぁ腹減ったし、いただくか」モグモグ

サターニャ「私に感謝しなさいガヴリール!」

ガヴリール「へーへー」

タプリス「あの、胡桃沢先輩。昨日言い忘れてたんですが……」

サターニャ「なにかしら?」

タプリス「私を助けてくださって、ありがとうございました……」

サターニャ「べ、別にあなたの為にやったわけじゃないわ!たまたま暑くて川で泳ぎたかったから、そのついでよ!」

タプリス(めんどくさい……)

ヴィーネ(めんどくさい……)

ガヴリール(めんどくさい……)

ラフィエル(あら~♪)

62: 2017/07/08(土) 02:51:05.411 ID:Xc2yMtkp0
ー天使学校ー

ゼルエル「まさか命題チャレンジに悪魔が対象として選ばれていたとは……」

校長「うむ、私も最初は驚いたよ。しかし今は昔のように天界と魔界が争い合う時代ではない。これからはお互いが協力して世界を一つにしていかなくてはならない」

ゼルエル「本来の命題チャレンジは、下界に溢れた人類の選別。生きる気力の無い者や倫理観の欠落した者を排除するもの」

校長「昔はね。でも今は違う。そういう者たちに対して、天使が協力して良心や善行を積ませ、導いてやることが重要だ」

ゼルエル「それをこれからは悪魔に対しても必要だと神は判断したのですね」

校長「きっとそうだろう。まぁ今回、千咲君はあの悪魔の少女を直接導いた訳ではないが……」

校長「小さな命を救おうとしている千咲君を見たことによって、悪魔も良心に目覚めたのだろう」

ゼルエル「いえ、あの悪魔は私の妹の友人です。きっと妹と交流を深めている間に邪悪な心はとっくに薄れていたのでしょう」

校長「ほう、そうだったな。さすがは天真君の妹だ。彼女の活動費の増額も検討しておこう」

ゼルエル「ありがとうございます。……しかし、あの命題はなんとかならなかったのですか?私も先程知ったのですが……」

校長「あー、うむ。まあ、それは神のみぞ知る……ということで……」

ゼルエル(私がやりたかった……)

65: 2017/07/08(土) 02:53:38.582 ID:Xc2yMtkp0
ーガヴリールの家ー

ガヴリール「なんでか分からんが仕送りが増えてる!」

ガヴリール「ラッキー!これでネトゲで課金しまくって……」

ゼルエル「ガヴリール」

ガヴリール「ぎゃあ!ゼルエル姉さん!なんでまた!?」

ゼルエル「仕送りを貰ってすぐにゲームに注ぎ込むとは。お前は天使としての自覚が足りない!」

ガヴリール「ひぃっ!ごめんなさい!」

ゼルエル「やはり私も一緒に暮らして、堕落しきったお前を教育するしかないな!」

ガヴリール「それだけは勘弁してええええ!」

66: 2017/07/08(土) 02:56:07.628 ID:Xc2yMtkp0
ーサターニャの家ー

サターニャ「なーっはっはっは!まだまだメロンパンは一杯あるわ!」

サターニャ「ほら、イヌ!一杯食べなさい!そして私に感謝しなさい!」

イヌ「ワンッ!」

サターニャ「ふふん、この調子で悪いことしまくって、将来はこの世を統べる大悪魔になってやるわ!」

サターニャ「なーっはっはっは!」

後日、天使を助けるという究極の善行をした為に、仕送りをガッツリ減額されたサターニャであった。

ガヴリールドロップアウト

『天国に一番近い悪魔』

ー完ー

67: 2017/07/08(土) 02:57:28.296
ヴィーネの方が近そうな気がするがまぁいいか

68: 2017/07/08(土) 02:57:56.053
楽しかった!お疲れさま

70: 2017/07/08(土) 02:59:32.729 ID:Xc2yMtkp0
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
初めてのSS投稿でしたが楽しく書けました。

引用元: 【ガヴドロ】サターニャ「今夜20時00分までに天真=ガヴリール=ホワイトとキスできなければ即死亡!?」