15: 2012/02/19(日) 00:01:12.61 ID:cE9I47stO
沖縄から出てきてアイドルになったはいいけど、たまのオフはいつも一人さ……
事務所の仲間と休みが重なるなんてことめったにないから、仕方ないよな。


P「響、今度のオフあいてるか?」

響「じ、自分は忙しいからな! プロデューサーの相手してる隙なんかないかな~なんて」

嬉しかったのに、ついつい見栄を張っちゃった。
馬鹿だな、自分……

P「そうか。もし空いたら連絡しろよ。それから今日もお疲れ様」

プロデューサーは冷たいドリンクを自分に渡して、そのまま仕事に戻っていった。

20: 2012/02/19(日) 00:09:45.76 ID:cE9I47stO

オフの日、いつもよりおしゃれをしてみた。
けど電話をかける勇気が出ないんだ。

ハム蔵「ヂュイ!」

ハム蔵にまでバカにされてる気がするぞ。
でも、やっぱり自分には無理なんだ。
ボタンを押そうとしたら、なんだか心臓がどきどきする。
今日はいつも通り、家でまったり過ごすことにしよう!うん、それがいいぞ。


――その時電話がなったんだ。プロデューサーからだ……


響「プ、プロデューサア、どどどうかしたのきゃ!?」

気が動転してカミカミで答えると、電話越しにプロデューサーの笑ってる声が聞こえた。

P「今、大丈夫か? 忙しいならまた今度にしようとも思ったんだけど」

響「ちょうど今、暇になったところさ! だ、大丈夫だぞ! 」


こうして、今日はプロデューサーとお出かけすることになったんだ。

えっと……これってもしかしなくてもデートじゃないかあ!

24: 2012/02/19(日) 00:24:04.50 ID:cE9I47stO
一時間後、プロデューサーの車が迎えにきた。

P「すまないな、響。たまのオフなのに」

響「本当だぞ!で、今日はどうするんだ?」

伊織の変なとこが自分にも移っちゃったみたいだ。
なんで素直になれないんだろう。

P「ははは。ついてからのお楽しみだ」

響「う゛~つまんないとこだったら自分怒るからな~」

そういって自分を助手席に乗せると、プロデューサーは車を走らせた。
あまり整理されてないCDラックの中に、自分たちのCDがたくさんあって泣きそうになったのは内緒さ。

28: 2012/02/19(日) 00:37:00.01 ID:cE9I47stO

P「響は、実家にはたまに帰ってるのか?」

唐突にプロデューサーが聞いてきた。

響「トップアイドルになるまで帰らないって決めてるんだ」

P「それじゃあホームシックになっちゃうぞ?」

響「自分は完璧だからな。ホームシックなんてかかったことないぞ。ホントだぞ」

ホントは故郷が恋しくて、夜いつも泣きそうになるんだ。
でもプロデューサーに言ったってしょうがないよな。
だってトップアイドルになるために自分で選んだことなんだし……
いけない。鏡はないけど、多分今自分すごい暗い顔してたさ。
ちらりとプロデューサーがその顔を横目で見た気がする。うぅ……見られたくない顔見られちゃったぞ。
いやだなぁ……

それからプロデューサーは少し考えるふうな顔をして、口の中で「予定変更」とだけつぶやくと、またさっきまでの顔になった。

32: 2012/02/19(日) 00:50:36.54 ID:cE9I47stO
しばらく渋滞に捕まって、ようやく抜けた頃にはもう夕方近くになっちゃった。
出発したのが昼過ぎだから仕方ないけど、プロデューサーは一体どこに自分を連れて行くつもりなんだろう?

自分が知らない道をプロデューサーの車はどんどん走ってく。
磯の香りもどんどん強くなってきた。

P「もうすぐつくぞ~楽しみに待ってろよ!」

楽しみも何も流石にもうバレバレだぞ、プロデューサー。
ガードレールの向こうにはもう海が見えてるし。

響「楽しみだな~」

やよいじゃないけど気づいてない振りでもするか。

でも、海なんて事務所のみんなで来た以来だからいつぶりだろう?
だいぶ海なんてみてなかった気がするさ。

41: 2012/02/19(日) 01:17:20.54 ID:cE9I47stO
やっと海についたころには、大きな夕日が海に落ちそうなころで、海は一面茜色に染まってた。

P「沖縄の海よりはきれいじゃないかもしれないけど」

沖縄の海は真っ青で綺麗だけど、この時間は沖縄の海も茜色さ。こことおんなじあかい海さ。

P「ひとりで上京してきて大変だろうけど」

家族が一緒だから自分、寂しくないぞ。
夜、泣いたりなんかしてないぞ。

P「辛いときは辛いってちゃんと言えよ。っておい、響、泣くなよ。ほらほら」

涙で景色が滲んで、プロデューサー以外全部茜色に見えてきたぞ。海と空の境目も今はよくわかんないさ。
けど自分が泣いてるのは辛いからでも寂しいからでもなくて――

響「あ゛り、が、とう、プロデューサー……」

P「ははは。また来たくなったらいつでも言えよな」

48: 2012/02/19(日) 01:29:08.36 ID:cE9I47stO
夕日が沈んで暗くなると、自分たちは来た道を戻って家路についた。
今度は磯の香りがどんどん薄くなっていく。
今度は強がらずにプロデューサーにどんどん弱音をはいてみた。プロデューサーはのみこむようにきいてくれた。

響「それじゃあプロデューサー! 今日はありがとな! 楽しかったぞ!」

家に入って家族にただいまをいうと、いぬ美がほっぺたを舐めてきた。

いぬ美「わん!」

響「え?自分のほっぺがしょっぱいだって?」

もしプロデューサーにあの時チューされてたら、やっぱり同じこといわれたんだろうか。
って、何、変なこと考えてるんだ、自分。いぬ美がほっぺたなんて舐めてきたせいだぞ!

でも今日の初デートの思い出がしょっぱい味だっていうのはホントだな。
これからも泣く度に今日のことを思い出して楽になれそうな気がするぞ


おしまい

49: 2012/02/19(日) 01:35:46.49
俺も響のほっぺ舐めたい

50: 2012/02/19(日) 01:39:36.14

最近短いのが多いな

52: 2012/02/19(日) 01:40:58.77 ID:cE9I47stO
>>50
もしもしからだもの
許してくださいまし
よんでくれた人、保守してくれた人ありがとうございました

引用元: 響「今度の休日にプロデューサーと二人で出かけることになったぞ!」