1: 2017/05/03(水) 21:30:50.006 ID:nA4feUeE0
【帰り道】


ラフィエル「サターニャさんって、どういう人が好みなんですか?」

ラフィエル(夕焼けに赤く染まった帰り道で、以前から気になっていたことを聞いてみました)


サターニャ「あ、あぁあああああああ!!!!出ちゃった!!!!!!!!!」

ラフィエル(道路の白線の上だけを歩いていたサターニャさんが、黒いアスファルトを踏んでしまいます)

サターニャ「はっ!?な、何なのよ突然!!!」ブンブン

ラフィエル(サターニャさんが手を振りながら大声をあげる)

ラフィエル(もしかしたら顔も赤くなってるのかもしれません)

ラフィエル(今が昼間ならよく見えるんですが……)


サターニャ「う、う~ん、急にそんなこと聞かれてもねぇ……むむむ……」

ラフィエル(でも、夕暮れに見るサターニャさんも綺麗です)

ラフィエル(慌てたかと思えば今度は考え込むようにころころ変わる表情)

ラフィエル(その白い肌はオレンジ色になっているのに、赤い瞳と髪は元々の色を主張しています)

ラフィエル(私の銀髪では、こうはなりません)

4: 2017/05/03(水) 21:32:43.684 ID:nA4feUeE0
サターニャ「やっぱり悪魔的な人がいいわね!!」

ラフィエル「悪魔的……?」

サターニャ「そりゃ私が大悪魔なんだもの!!もっと凶悪な奴じゃないと釣り合わないじゃない!!!」ドヤァ

ラフィエル(本当に考えて言ってるんでしょうか)


ラフィエル「うふふ、どこにでもいそうですね♪」

サターニャ「どういう意味よ!!!!」









サターニャ「そういうあんたこそ、どんな奴が好みなのよ」

ラフィエル「私ですか?」

7: 2017/05/03(水) 21:35:52.725 ID:nA4feUeE0
ラフィエル「…………」

ラフィエル(もちろんサターニャさんです!なんて言えるわけないですよね)



ラフィエル「そうですねぇ。私は見ていて飽きない人が好みです」



サターニャ「飽きない……?いまいち想像できないわね……」


ラフィエル「退屈しない……というのでしょうか」

ラフィエル「私が何かしたときに、色々な反応を見せてくれる人ですかね」

ラフィエル「そんな人がいたら、きっと毎日導いて楽しむと思います」

ラフィエル(少しだけぼかして言ってみました。鈍感なサターニャさんなら気づかないはず……)



サターニャ「ちょっとあんた、そ、それって……っ!!!///」

ラフィエル(太陽が傾いて夕焼けが濃くなったのせいか、サターニャさんの顔の赤みも深くなった気がしました)

13: 2017/05/03(水) 21:39:58.730 ID:nA4feUeE0
――――

【喫茶店】


ラフィエル「ついにサターニャさんの好みのタイプを聞いてしまいました///」テレテレ

ヴィーネ「やったじゃないラフィ!」


ヴィーネ「それで!?サターニャは何て答えたの!?」ワクワク

ラフィエル(ヴィーネさんは恋バナというものが大好きだそうで、よく相談に乗ってもらってます)

ラフィエル(二人でいる時に好みのタイプを聞き出すよう提案してくれたのも、ヴィーネさんです)


ラフィエル「大悪魔の自分よりも悪魔的な人、らしいです」

ヴィーネ「いいわね!ぴったりじゃない!!」

ラフィエル「そんなぁ~……私、一応天使なんですが……」

ヴィーネ「自覚はあるのね……」

ラフィエル「対象外じゃないだけマシだと思っておきます」

ヴィーネ「いやど真ん中だから」

16: 2017/05/03(水) 21:45:16.478 ID:nA4feUeE0
ラフィエル「あ、それと、私の好みも伝えておきました」

ラフィエル「曖昧にして言ったので、きっと鈍感なサターニャさんは自分のことだとわからないと思います♪」

ラフィエル(そこがまた可愛いんですが♪)

ヴィーネ「まあ、順調に進んでそうで安心したわ」









 「お待たせしましたー」

 「ご注文のシュークリームです」


ヴィーネ「はーい」

ヴィーネ「じゃあ私はイチゴね」

ラフィエル(ヴィーネさんがイチゴホイップのシュークリームを取る)

ラフィエル「では私はカスタードで」

ラフィエル(最近は激辛からしシューは頼まなくなりました)

17: 2017/05/03(水) 21:49:44.258 ID:nA4feUeE0
――――


ヴィーネ「でね!!そのホラー映画を観た後、怖くて眠れなくなって、ガヴの家に避難したの!!」

ラフィエル(ハズレのないシュークリームを食べ終わり、苦いコーヒーを飲んで一息つく)

ラフィエル「深夜にですか……ガヴちゃん災難でしたね」

ヴィーネ「どうせネトゲやってて起きてるんだし、ちょっとくらい構わないわよ」



ラフィエル「そういえば、私も最近観た映画で印象深いものがありました」

ラフィエル(先日何本かレンタルした映画の一本をふと思い出しました)

ヴィーネ「へえ、どんなの?」

ヴィーネ「ホラーはもう十分だからやめてよね」

ラフィエル「ヴィーネさんの好きそうな恋愛映画ですよ♪」

19: 2017/05/03(水) 21:54:31.572 ID:nA4feUeE0
――――


ラフィエル(タイトルに惹かれて観たのですが、内容は特別面白くもない陳腐なものでした)

ラフィエル(主人公である高校生の女の子が、クラスメイトの男の子に恋をしてしまう話)

ラフィエル(どう見ても両想いなのに、女の子は男の子の気持ちに気づかないんです)

ラフィエル(それどころか女の子は男の子と少しでも一緒にいたくて、嫌がらせのような真似まで始めます)

ラフィエル(見てるとやきもきするのに、ラストシーンで無事結ばれたときは何故か感動してしまいました)

ラフィエル(こんなストーリーで感動するなんて、キャラじゃないんですが……)


――――

20: 2017/05/03(水) 21:59:21.705 ID:nA4feUeE0
ラフィエル「たぶんヴィーネさんに合うと思うんです」

ラフィエル「ヴィーネさん、恋愛映画好きでしたよね?」

ヴィーネ「うん」


ラフィエル「あっ、ついうっかりネタバレしてしまいましたね」

ラフィエル「てへっ♪」

ヴィーネ「いやまあ、それはいいんだけど……」






ヴィーネ「ラフィもサターニャのこと言えないくらい鈍感よね」

ラフィエル「はい?」

21: 2017/05/03(水) 22:03:29.021 ID:nA4feUeE0
――――

【学校】


キーンコーンカーンコーン

ガヴリール「よっしゃあああああああああああああ!!!!!!!!!明日から休みだぞ!!!!!!!!!!!!!!」ガタッ

ガヴリール「じゃあ私帰るから、お先!!!!」ダッ

ラフィエル(放課後、授業が終わるや否や教室を飛び出そうとするガヴちゃん……さすがです)

サターニャ「馬鹿みたいにテンション高いわね」

ラフィエル「ゴールデンウィークですからね~」ニコニコ

ガヴリール「馬鹿はお前だろ!!!!こんなネトゲしまくれる機会そうそうないんだぞ!!!!!!!!」

ガヴリール「これからガヴリールウィークなんだよ!!!!!!!!」

ガヴリール「当然バイトも休みをもらってる!!!!!」


ヴィーネ「ガヴ~?どこに行くつもりなのかしら~?」ゴゴゴゴゴ

ガヴリール「げっ」

ヴィーネ「これから夕飯の買い物に行くのよ。もちろんガヴも一緒にね」

ヴィーネ「連休だからってネトゲばっかりしてちゃダメよ。体壊さないように管理するからね」

ガヴリール「嘘……だろ……」

ズルズル

ラフィエル(ガヴちゃんがヴィーネさんに引きずられて帰っていきます)




ラフィエル「私たちも帰りましょうか」

サターニャ「そうね」

22: 2017/05/03(水) 22:07:51.910 ID:nA4feUeE0
――――

【帰り道】


ラフィエル(今日も夕焼けが綺麗ですね)


サターニャ「~~♪♪」

ラフィエル(サターニャさんが小石を蹴飛ばしながら歩いてます)




サターニャ「ねえ、ラフィエルって休みの日は何してるの?」

ラフィエル(小石を側溝に蹴落とすと、珍しくサターニャさんから質問されました)


ラフィエル「休みの日ですか……?」

サターニャ「まさかずっとネトゲしてるなんて言わないわよね」ジトーッ

ラフィエル「そんなガヴちゃんじゃないんですから……」


ラフィエル「休みの日には、大体サターニャさんのことを考えて――――ッ!!」

ラフィエル(危なかったです。うっかり正直に答えてしまうところでした……)

24: 2017/05/03(水) 22:12:37.709 ID:nA4feUeE0
ラフィエル「最近はよく映画というものを観ますね」

サターニャ「映画ぁ~?それ面白いの?」

ラフィエル「面白いかどうかは人によるかと……」

ラフィエル「ジャンルも色々ありますし。ファンタジー、アクション、SF、ホラー、コメディ、恋愛、他にもたくさん……」

サターニャ「へえ~」

ラフィエル(サターニャさん、映画に興味があるんでしょうか)

ラフィエル(というか、今まで観たことなかったんですかね……)



サターニャ「で、どれが面白いの?」

ラフィエル「また難しい質問しますね……」


ラフィエル「サターニャさんの性格なら……アクションかコメディが合うのではないかと」

ラフィエル「あ、ホラーも悪魔的でいいかもしれませんね♪」

サターニャ「悪魔!?良いじゃないそれ!!!」キラキラ

25: 2017/05/03(水) 22:17:01.836 ID:nA4feUeE0
サターニャ「……ってそうじゃなくて!!!!」

サターニャ「ラフィエルはどんな映画が好きなのよ?」



ラフィエル「へ……?私ですか?」キョトン

ラフィエル「私の好みはサターニャさんとは合わないと思いますが……」

サターニャ「いいから教えなさいよ」

ズイ


ラフィエル(ち、近いです……///)

ラフィエル(今の私、きっと顔真っ赤でしょうね……夕焼けで誤魔化せて良かったです)

ラフィエル(サターニャさん、いつになく積極的ですね……そんなに映画が好きなんでしょうか)

26: 2017/05/03(水) 22:21:38.295 ID:nA4feUeE0
ラフィエル「そ、そう言われても……私は何でも観るタイプなので……」

ラフィエル「……あっ、そうです」

ラフィエル(あれがありましたね)


ラフィエル「最近観たものでは、恋愛映画が良かったですね」

サターニャ「恋愛?」

ラフィエル「まあ特に面白いとも思えないのでお勧めしませんが……」

ラフィエル「自分で探して気になったものを観るのが良いと思いますよ♪」



サターニャ「ふ~ん、まあわかったわ……」

ラフィエル(夕焼けのせいか、サターニャさんの顔まで赤くなっているように見えました)

27: 2017/05/03(水) 22:24:57.615 ID:nA4feUeE0
――――

【ラフィエル宅】


ラフィエル(明日から連休です)

ラフィエル(と言っても特に予定もないのですが……)


ラフィエル(久しぶりに天界に帰ってみましょうか。この時期帰省する天使は多いと聞きますし)

ラフィエル(いえいえ、やはりここはいつものようにサターニャさんで……)

ラフィエル(ふふ、そんなことせずに普通に遊びに誘うのも良いかもしれませんね)


ラフィエル(まあ明日になってから考えることにしましょう……)

29: 2017/05/03(水) 22:29:56.508 ID:nA4feUeE0
――――

【翌朝】


ラフィエル「ふう……今日は洗濯日和ですね」

ラフィエル(小さな雲が数えられる程度しかありません)


バサッ

ラフィエル(ベッドシーツを広げてベランダに干します)

ラフィエル(これ大きいから面倒なんですよね……)








ラフィエル(洋服を干して……これで終わりです!!)


ラフィエル(さて……今日はこれからどうしましょう)

ラフィエル(サターニャさんを誘ってどこかに遊びにでも行きますか)

ラフィエル(……それ完全にデートですね///)テレテレ



prrrrrrrrrrr prrrrrrrrrrr

ラフィエル「あら……電話ですか」

30: 2017/05/03(水) 22:34:53.250 ID:nA4feUeE0
ラフィエル「いったい誰から…………ってサターニャさん!?!!??」


ポチッ

ラフィエル「はい!!!!!!!!!!」

 『うわっ!いきなり大声出さないでよ、びっくりするじゃない』

ラフィエル「すいません、つい……」


ラフィエル「それで、どうしたんですか?サターニャさんからかけてくるなんて珍しいですね」

 『レンタルショップで映画借りたんだけど観れないのよ!!!!』

 『ラフィエル詳しいんでしょ!!何とかしなさいよ!!』

ラフィエル「えぇー……」

ラフィエル「う~ん……それだけじゃ何で観れないのかわかりませんねぇ……」

 『ぶるー……れい……???っていうの借りたんだけど、DVDプレーヤーに入れても動かないのよ!!!!』

ラフィエル「あー……わかりました。でも借りるときに確認されると思うのですが……」

 『よくわからないことごちゃごちゃ言ってたけど聞き流しておいたわ!!!!」

31: 2017/05/03(水) 22:38:01.502 ID:nA4feUeE0
ラフィエル「そうですねぇ……原因はわかったので解決できますが……」

ラフィエル(私の家にBDプレーヤーありますからね)


 『ほんと!?じゃあ頼んだわよ!!!!』

ラフィエル(サターニャさんに頼られるこの快感……最高です!!!)

ラフィエル(ちょっとだけ導きたくなりました)


ラフィエル「では、このまま電話越しに三回、犬の鳴き真似をしてください」

 『はあ!?!!!??嫌よ!!!!!!!!!!』

ラフィエル「ラフィエル様、お願いしますワン!って言うだけでいいので……」

 『もう!!あんたまた私に意地悪して……っ!!!!この悪魔!!!!!!』

ラフィエル(悪魔……ですか)



 『まあいいわ。ラフィエル、何とかできるなら今から家に来なさいよ』

 『どうせ暇なんでしょ?一人で観るより二人で観たほうが楽しいに決まってるじゃない』

ラフィエル「私が行くんですか!?」

ラフィエル(BDプレーヤーを持って!?!?)

32: 2017/05/03(水) 22:42:47.186 ID:nA4feUeE0
 『それで、来るの?…………来ないの?』

ラフィエル「うふふ、もちろん行きますよ♪神足通ですぐに行きますから♪」

ラフィエル(サターニャさんは見ていて飽きないですからね)

ラフィエル(映画を見たときの反応も楽しみです)



ラフィエル(それにしても、何でこんなに天気の良い日に家で映画を観ようなんて思ったんでしょう)

ラフィエル(サターニャさんも変わってますね)


ラフィエル(さっき干した洗濯物を見るとゆらゆらと春の暖かい風に揺れていました)







ラフィエル(サターニャさんが借りたのは恋愛映画で、私が先日観たものでした)

34: 2017/05/03(水) 22:43:19.284 ID:nA4feUeE0
終わり

35: 2017/05/03(水) 22:43:38.441
えっ…唐突だな乙

36: 2017/05/03(水) 22:43:52.617
これはよいものだすごくよいものだ

引用元: ラフィエル「サターニャさんって、どういう人が好みなんですか?」