1: 2014/08/25(月) 16:18:45.12 ID:bN/Ilnpa0
チノ「そうなんです……。すいません」
チノはケホケホと咳き込みながらそう言うと、
ラビットハウス開店の準備を始めた。
ココア「ちょっと。お熱あるんだから仕事は無理だよ?」
チノ「でも……」
チノはケホケホと咳き込みながらそう言うと、
ラビットハウス開店の準備を始めた。
ココア「ちょっと。お熱あるんだから仕事は無理だよ?」
チノ「でも……」
4: 2014/08/25(月) 16:21:39.75 ID:bN/Ilnpa0
ココア「じゃあこうしようよ。
ラビットハウスはお姉ちゃんに任せて、
チノちゃんは部屋で休んでなさい」
チノ「ええっ」
ココア「大丈夫だよ。リゼちゃんもいるし。
それとも、私じゃ頼りないかな?」
チノ「そんなこと……」
ココア「ね?」
チノ「すいません……。じゃあお言葉に甘えてそうします」
ラビットハウスはお姉ちゃんに任せて、
チノちゃんは部屋で休んでなさい」
チノ「ええっ」
ココア「大丈夫だよ。リゼちゃんもいるし。
それとも、私じゃ頼りないかな?」
チノ「そんなこと……」
ココア「ね?」
チノ「すいません……。じゃあお言葉に甘えてそうします」
6: 2014/08/25(月) 16:24:48.66 ID:bN/Ilnpa0
ココア「……っ!? すごい熱だよっ!?」
チノ「……ちょっと、つらいかもです」
チノを部屋に運び、ベッドに寝かせると、
おでこ同士をくっつけたココアが驚きの声を上げた。
ココア「もう……。ダメだよ。すぐに無理するんだから」
チノ「え……。ええ……っ!?」
ココアは突然、チノの身体をきつく抱きしめた。
チノ「……ちょっと、つらいかもです」
チノを部屋に運び、ベッドに寝かせると、
おでこ同士をくっつけたココアが驚きの声を上げた。
ココア「もう……。ダメだよ。すぐに無理するんだから」
チノ「え……。ええ……っ!?」
ココアは突然、チノの身体をきつく抱きしめた。
8: 2014/08/25(月) 16:27:40.77 ID:bN/Ilnpa0
ココア「チノちゃんはすぐよくなーる。チノちゃんはすぐよくなーる」
ココアはチノの頭をよしよしと撫でながら、
耳元で囁くようにそう言った。
ココア「……はい! これでもう大丈夫!」
チノ「……」
身体が離れると、チノの目に、
ココアの太陽のような笑顔が飛び込んでくる。
ココア「私が小さい頃、風邪をひくとお母さんがいつもこうしてくれたの。
これでぐっすり寝たら、すぐ治っちゃうんだよ」
ココアはチノの頭をよしよしと撫でながら、
耳元で囁くようにそう言った。
ココア「……はい! これでもう大丈夫!」
チノ「……」
身体が離れると、チノの目に、
ココアの太陽のような笑顔が飛び込んでくる。
ココア「私が小さい頃、風邪をひくとお母さんがいつもこうしてくれたの。
これでぐっすり寝たら、すぐ治っちゃうんだよ」
9: 2014/08/25(月) 16:30:52.10 ID:bN/Ilnpa0
チノ「……」
ココアが部屋を出て行っても、
チノはずっとココアのことを考えていた。
チノ「……ココアさんの身体。あったかかったな」
胸がドキドキしているのは、風邪のせいだけなのだろうか。
身体が燃えるように熱いのは、発熱のせいだけなのだろうか。
チノ「ココアさん……」
いつしかチノは眠っていた。
ココアが部屋を出て行っても、
チノはずっとココアのことを考えていた。
チノ「……ココアさんの身体。あったかかったな」
胸がドキドキしているのは、風邪のせいだけなのだろうか。
身体が燃えるように熱いのは、発熱のせいだけなのだろうか。
チノ「ココアさん……」
いつしかチノは眠っていた。
11: 2014/08/25(月) 16:33:58.83 ID:bN/Ilnpa0
リゼ「大丈夫か? ココア」
ココア「う、うん。ちょっとチノちゃんが心配で……」
リゼ「そろそろ閉店だから、ココアだけでももう上がるか?」
ココア「……ううん。リゼちゃんに迷惑かけられないよ。
もう少しだけだから、頑張る。
さっきおかゆ持って行ったら、
チノちゃんぐっすり寝ていたし……」
リゼ「そうか。気になるなら、様子だけでも見てきていいぞ」
ココア「ありがとね。リゼちゃん」
ココア「う、うん。ちょっとチノちゃんが心配で……」
リゼ「そろそろ閉店だから、ココアだけでももう上がるか?」
ココア「……ううん。リゼちゃんに迷惑かけられないよ。
もう少しだけだから、頑張る。
さっきおかゆ持って行ったら、
チノちゃんぐっすり寝ていたし……」
リゼ「そうか。気になるなら、様子だけでも見てきていいぞ」
ココア「ありがとね。リゼちゃん」
12: 2014/08/25(月) 16:36:49.32 ID:bN/Ilnpa0
ココア「チノちゃーん」
チノ「すー……すー……」
ココア「……寝てるみたいね」
チノ「……」
ココア「おやすみ、チノちゃん」
チノ「……」
チノ「すー……すー……」
ココア「……寝てるみたいね」
チノ「……」
ココア「おやすみ、チノちゃん」
チノ「……」
14: 2014/08/25(月) 16:39:40.61 ID:bN/Ilnpa0
チノ「……風邪、治ってる」
翌朝。目覚めたチノは驚いていた。
あれほどあった高熱も、
悪寒も喉の痛みも全て吹き飛んでいたのだ。
チノ「おはようございます、ココアさん。
おかげさまで、熱下がりました」
ココア「ほんと? 良かったね!」
チノはキッチンへ行くと、
食事の準備をしていたココアにそう声をかけた。
翌朝。目覚めたチノは驚いていた。
あれほどあった高熱も、
悪寒も喉の痛みも全て吹き飛んでいたのだ。
チノ「おはようございます、ココアさん。
おかげさまで、熱下がりました」
ココア「ほんと? 良かったね!」
チノはキッチンへ行くと、
食事の準備をしていたココアにそう声をかけた。
15: 2014/08/25(月) 16:42:57.53 ID:bN/Ilnpa0
チノ「今日はバリバリ働きますよ」
チノは学校から帰るや、早速仕事の準備に取り掛かった。
ココア「……そうだねぇー」
チノ「……ココアさん?」
ココア「え?」
チノ「なんでそんなにフラフラしているんですか?」
ココア「別に普通だよー」
チノは学校から帰るや、早速仕事の準備に取り掛かった。
ココア「……そうだねぇー」
チノ「……ココアさん?」
ココア「え?」
チノ「なんでそんなにフラフラしているんですか?」
ココア「別に普通だよー」
16: 2014/08/25(月) 16:46:26.08 ID:bN/Ilnpa0
チノ「うわっ!」
ココアと額を合わせた瞬間、チノは飛びのいた。
チノ「すごい熱ですよ! 大変です!」
ココア「ええー……」
ココアがフラフラと、近くにある椅子に倒れ込むように座った。
ココア「チノちゃんごめん……。
今度は私が風邪ひいちゃったみたい……」
ココアと額を合わせた瞬間、チノは飛びのいた。
チノ「すごい熱ですよ! 大変です!」
ココア「ええー……」
ココアがフラフラと、近くにある椅子に倒れ込むように座った。
ココア「チノちゃんごめん……。
今度は私が風邪ひいちゃったみたい……」
17: 2014/08/25(月) 16:49:47.93 ID:bN/Ilnpa0
ココア「ごめんねぇ……。昨日はあんな偉そうなこと言って……」
チノ「いいんですよ。ココアさん」
チノはココアの身体をぎゅうっと抱きしめると、
頭をよしよしと撫でながら、耳元で囁いた。
チノ「ココアさんはすぐよくなーる。ココアさんはすぐよくなーる」
ココア「チノちゃん……」
チノ「これでもう、大丈夫ですね」
ぎこちない笑みを浮かべたチノの顔は、
風邪をひいているココアよりも真っ赤に染まっていた。
チノ「いいんですよ。ココアさん」
チノはココアの身体をぎゅうっと抱きしめると、
頭をよしよしと撫でながら、耳元で囁いた。
チノ「ココアさんはすぐよくなーる。ココアさんはすぐよくなーる」
ココア「チノちゃん……」
チノ「これでもう、大丈夫ですね」
ぎこちない笑みを浮かべたチノの顔は、
風邪をひいているココアよりも真っ赤に染まっていた。
19: 2014/08/25(月) 16:53:21.01 ID:bN/Ilnpa0
リゼ「ココアが心配なのか?」
チノ「えっ」
リゼ「お前らしくもない。オーダーミスとか、連発してるぞ」
チノ「……すいません」
リゼ「どうせ店も暇だし、様子だけでも見てくるか?
さっきおかゆ持って行ったときは、ココア寝ていたけどな」
チノ「リゼさん。ありがとうございます」
リゼ「いいって、いいって」
チノ「えっ」
リゼ「お前らしくもない。オーダーミスとか、連発してるぞ」
チノ「……すいません」
リゼ「どうせ店も暇だし、様子だけでも見てくるか?
さっきおかゆ持って行ったときは、ココア寝ていたけどな」
チノ「リゼさん。ありがとうございます」
リゼ「いいって、いいって」
20: 2014/08/25(月) 16:56:45.19 ID:bN/Ilnpa0
チノ「……ココアさーん」
ココア「すぅ……すぅ……」
チノ「寝ています……」
ココアはすやすやと眠っていた。
その寝顔を見たチノは、自身の心臓が大きく跳ねるのを感じた。
チノ「私……。何か変です……」
ココア「すぅ……すぅ……」
チノ「寝ています……」
ココアはすやすやと眠っていた。
その寝顔を見たチノは、自身の心臓が大きく跳ねるのを感じた。
チノ「私……。何か変です……」
22: 2014/08/25(月) 17:00:06.17 ID:bN/Ilnpa0
リゼ「どうだった?」
チノ「ココアさん、寝ていました」
リゼ「そうか。ただの風邪なら寝てれば治るだろ」
チノ「そうですね。私も一日で治りましたし」
リゼ「明日には復活するといいな」
チノ「はい。ココアさんがいないと、寂しいです」
チノ「ココアさん、寝ていました」
リゼ「そうか。ただの風邪なら寝てれば治るだろ」
チノ「そうですね。私も一日で治りましたし」
リゼ「明日には復活するといいな」
チノ「はい。ココアさんがいないと、寂しいです」
23: 2014/08/25(月) 17:03:47.44 ID:bN/Ilnpa0
ココア「チノちゃーん。おはよー」
チノ「ココアさん!」
チノがキッチンで食事の準備をしていると、
後ろから呼びかけられた。
ココア「おかげさまで良くなったよぉー」
チノ「それは良かったです。
今日は学校もお店もお休みなので、
一日のんびりして過ごしましょう」
ココア「そうだねー。ご飯食べたら、もうちょっと寝ようかな」
チノ「ココアさん!」
チノがキッチンで食事の準備をしていると、
後ろから呼びかけられた。
ココア「おかげさまで良くなったよぉー」
チノ「それは良かったです。
今日は学校もお店もお休みなので、
一日のんびりして過ごしましょう」
ココア「そうだねー。ご飯食べたら、もうちょっと寝ようかな」
25: 2014/08/25(月) 17:07:24.36 ID:bN/Ilnpa0
ココア「ふぁーあ……。チノちゃんにはああ言ったけど、
まだちょっと調子悪いかも」
朝食の後片付けを終えると、ココアはすぐ自室へ戻り、
ベッドに横になった。
まだちょっと調子悪いかも」
朝食の後片付けを終えると、ココアはすぐ自室へ戻り、
ベッドに横になった。
26: 2014/08/25(月) 17:10:36.02 ID:bN/Ilnpa0
チノ「ココアさーん」
チノがノブをひねると、ココアの部屋のドアがガチャリと音をたてた。
ココア「すぅ……すぅ……」
チノ「あれ。もう寝ています」
確か。
ココアが部屋に戻ってから、まだ10分と経っていないはずだ。
チノ「まだ体調が悪いのでしょうか……」
チノはココアの寝顔を覗き込んだ。
その瞬間、チノの中で何かが弾けると、
なんだかよく分からない感情が内に広がり、
やがてそれは心全体を覆ってしまった。
チノがノブをひねると、ココアの部屋のドアがガチャリと音をたてた。
ココア「すぅ……すぅ……」
チノ「あれ。もう寝ています」
確か。
ココアが部屋に戻ってから、まだ10分と経っていないはずだ。
チノ「まだ体調が悪いのでしょうか……」
チノはココアの寝顔を覗き込んだ。
その瞬間、チノの中で何かが弾けると、
なんだかよく分からない感情が内に広がり、
やがてそれは心全体を覆ってしまった。
28: 2014/08/25(月) 17:15:03.54 ID:bN/Ilnpa0
チノ「ココアさん」
チノはもぞもぞと布団に潜り込むと、
未だ眠ったままのココアをそっと抱きしめた。
すごく悪いことをしているような気がしたが、
自分の身体が、衝動が、止まらなかった。
全身にココアの体温を感じる。
熱のせいかその身体は汗ばんでいて、布団の中がやや湿っていた。
チノ「ココアさん……」
そのまますうっと深く息を吸い込むと、
ココアの匂いが鼻腔を通り抜け、
胸がそれで占められるのを感じ、頭がクラクラとした。
思わず抱きしめる手に力が入る。
ココア「……チノ、ちゃん?」
耳元で声がした。
チノはもぞもぞと布団に潜り込むと、
未だ眠ったままのココアをそっと抱きしめた。
すごく悪いことをしているような気がしたが、
自分の身体が、衝動が、止まらなかった。
全身にココアの体温を感じる。
熱のせいかその身体は汗ばんでいて、布団の中がやや湿っていた。
チノ「ココアさん……」
そのまますうっと深く息を吸い込むと、
ココアの匂いが鼻腔を通り抜け、
胸がそれで占められるのを感じ、頭がクラクラとした。
思わず抱きしめる手に力が入る。
ココア「……チノ、ちゃん?」
耳元で声がした。
30: 2014/08/25(月) 17:21:30.87 ID:bN/Ilnpa0
チノ「……っ!」
チノが慌てて身体を離すと、
呆けたような顔をしたココアと目が合った。
ココア「どうして、ここにいるの?」
チノ「それは……」
ココアは単純に質問しただけだったが、
チノはきつく問い詰められたような気がして、
完全に委縮してしまっていた。
チノが慌てて身体を離すと、
呆けたような顔をしたココアと目が合った。
ココア「どうして、ここにいるの?」
チノ「それは……」
ココアは単純に質問しただけだったが、
チノはきつく問い詰められたような気がして、
完全に委縮してしまっていた。
33: 2014/08/25(月) 17:27:10.72 ID:bN/Ilnpa0
ココア「あ、分かった。おまじないをしようとしてくれてたんでしょ?
やっぱり体調悪いのばれてたんだー」
ココアはそう言ってにっこりと笑った。
チノの心臓がまた大きく跳ねる。
ココア「チノちゃんは優しいんだね」
チノ「……」
やっぱり体調悪いのばれてたんだー」
ココアはそう言ってにっこりと笑った。
チノの心臓がまた大きく跳ねる。
ココア「チノちゃんは優しいんだね」
チノ「……」
35: 2014/08/25(月) 17:30:46.46 ID:bN/Ilnpa0
チノ「……違います」
ココア「えっ」
ココアの勘違いを肯定して、ごまかしてしまえばすべて済んだのに。
チノはそれをしなかった。
チノ「私、ココアさんが好きなんです」
チノは必氏の思いで言った。
身体が震え、ココアの目がまともに見れない。
チノ「だから、無防備に寝ているココアさんを見ていたら我慢できなくなって。
それで布団に潜り込んだんです」
ココア「……」
ココア「えっ」
ココアの勘違いを肯定して、ごまかしてしまえばすべて済んだのに。
チノはそれをしなかった。
チノ「私、ココアさんが好きなんです」
チノは必氏の思いで言った。
身体が震え、ココアの目がまともに見れない。
チノ「だから、無防備に寝ているココアさんを見ていたら我慢できなくなって。
それで布団に潜り込んだんです」
ココア「……」
37: 2014/08/25(月) 17:34:32.42 ID:bN/Ilnpa0
ココア「私もチノちゃんが好きだよ」
チノ「ココアさん……」
ココア「だってかわいい妹だもん。
チノちゃんに好きって言ってもらえて、うれしいな」
チノ「え……」
ココア「私も、ようやくチノちゃんに、
お姉ちゃんとして認められたんだね」
チノ「違っ……」
ココア「これからも”お姉ちゃんとして”好きでいてね」
チノ「ココアさん……」
ココア「だってかわいい妹だもん。
チノちゃんに好きって言ってもらえて、うれしいな」
チノ「え……」
ココア「私も、ようやくチノちゃんに、
お姉ちゃんとして認められたんだね」
チノ「違っ……」
ココア「これからも”お姉ちゃんとして”好きでいてね」
41: 2014/08/25(月) 17:38:10.93 ID:bN/Ilnpa0
チノ「どうしよう……」
一人部屋に戻ったチノは、
もうどうしたらいいのか分からなくなっていた。
布団に潜り込み、ガタガタと震えている。
ココアさんは私のことを嫌いになってしまっただろうか。
私のことを気持ち悪いと、突き放してしまうだろうか。
”お姉ちゃんとして”
強調してそう告げたココアの言葉が、
チノの頭の中で暴れまわっていた。
一人部屋に戻ったチノは、
もうどうしたらいいのか分からなくなっていた。
布団に潜り込み、ガタガタと震えている。
ココアさんは私のことを嫌いになってしまっただろうか。
私のことを気持ち悪いと、突き放してしまうだろうか。
”お姉ちゃんとして”
強調してそう告げたココアの言葉が、
チノの頭の中で暴れまわっていた。
42: 2014/08/25(月) 17:41:47.29 ID:bN/Ilnpa0
ココア「どうしよう……」
一人部屋に残されたココアは、
ひどく頭を悩ませていた。
チノちゃんは私の言葉で傷付いてしまっただろうか。
もう今までのような関係は築けないのだろうか。
ココア「もっとうまく、伝えられたんじゃないかなぁ……」
突然のことでココアも混乱してしまっていたのだった。
チノになんと言うべきだったのか。
考えているうちに、その体調の悪さも手伝って、
いつのまにかココアは眠りについていた。
一人部屋に残されたココアは、
ひどく頭を悩ませていた。
チノちゃんは私の言葉で傷付いてしまっただろうか。
もう今までのような関係は築けないのだろうか。
ココア「もっとうまく、伝えられたんじゃないかなぁ……」
突然のことでココアも混乱してしまっていたのだった。
チノになんと言うべきだったのか。
考えているうちに、その体調の悪さも手伝って、
いつのまにかココアは眠りについていた。
45: 2014/08/25(月) 17:45:08.59 ID:bN/Ilnpa0
ココア「チノちゃーん……」
チノは、突然聞こえたココアの声と、
ドアをノックする音に飛びあがりそうになった。
会いたくないな……。
チノはそう思ったが、同じ屋根の下で暮らしている以上、
避け続けることはできない。
話を付けるなら早い方がいいような気がした。
ココアが呼吸を整えながら部屋の前で待っていると、
やや遅れて返事があった。
チノ「ココアさんですか。どうぞ」
チノは、突然聞こえたココアの声と、
ドアをノックする音に飛びあがりそうになった。
会いたくないな……。
チノはそう思ったが、同じ屋根の下で暮らしている以上、
避け続けることはできない。
話を付けるなら早い方がいいような気がした。
ココアが呼吸を整えながら部屋の前で待っていると、
やや遅れて返事があった。
チノ「ココアさんですか。どうぞ」
46: 2014/08/25(月) 17:48:50.25 ID:bN/Ilnpa0
ココア「ごめんね。こんな夜遅くに」
チノ「いいですよ。……私の方こそ、さっきはすいませんでした。
いきなり変なことを言ってしまって」
ココア「……ううん。それでね。
実は、その話をしようと思って来たんだよ」
チノ「はい。なんとなく分かってました」
ココア「さっきは、私も突然でよく分からなくなって……。
私なりに考えたから、聞いてもらってもいい?」
チノ「いいですよ。……私の方こそ、さっきはすいませんでした。
いきなり変なことを言ってしまって」
ココア「……ううん。それでね。
実は、その話をしようと思って来たんだよ」
チノ「はい。なんとなく分かってました」
ココア「さっきは、私も突然でよく分からなくなって……。
私なりに考えたから、聞いてもらってもいい?」
50: 2014/08/25(月) 17:52:37.14 ID:bN/Ilnpa0
ココア「チノちゃんの感情はね、きっと勘違いなんだよ」
チノ「……そんなことはありません!」
思った以上に大きな声が出て、チノ自身驚いた。
でも。この想いを否定することは、
当人であるココアでも許すことはできなかった。
チノ「どうして、そんなこと言うんですか……!」
チノ「……そんなことはありません!」
思った以上に大きな声が出て、チノ自身驚いた。
でも。この想いを否定することは、
当人であるココアでも許すことはできなかった。
チノ「どうして、そんなこと言うんですか……!」
52: 2014/08/25(月) 17:56:07.95 ID:bN/Ilnpa0
ココア「私もね。チノちゃんくらいの年齢の頃、
友達のことを好きになったの。相手は女の子だったよ」
沈痛な面持ちで、とつとつとココアは語り始める。
その目があまりにも真剣だったので、
チノは黙って聞くことにした。
ココア「友達も私のことを好きって言ってくれて、
すごい嬉しかった。胸がドキドキして、
心がふわふわと、どこかに飛んでいっちゃいそうなくらいだった」
友達のことを好きになったの。相手は女の子だったよ」
沈痛な面持ちで、とつとつとココアは語り始める。
その目があまりにも真剣だったので、
チノは黙って聞くことにした。
ココア「友達も私のことを好きって言ってくれて、
すごい嬉しかった。胸がドキドキして、
心がふわふわと、どこかに飛んでいっちゃいそうなくらいだった」
54: 2014/08/25(月) 17:59:59.52 ID:bN/Ilnpa0
ココア「毎日手をつないで帰ったり、……キスしたり、とか」
ココアが恥ずかしそうに俯き加減でそう言うと、
チノは胸がチクリと痛んだ。
別の人とそうしていたのなんて、想像もしたくなかった。
ココア「でもね、これは思春期特有の、ただの勘違いなの。
人としての”好き”と、
異性を好きになる感情とを、ごっちゃにしているだけなんだよ」
チノ「違いますっ! 私のは……っ!」
チノが目に涙を浮かべながら声を荒げたが、
ココアは悲しげに眼を閉じ、黙って首を横に振るだけだった。
ココアが恥ずかしそうに俯き加減でそう言うと、
チノは胸がチクリと痛んだ。
別の人とそうしていたのなんて、想像もしたくなかった。
ココア「でもね、これは思春期特有の、ただの勘違いなの。
人としての”好き”と、
異性を好きになる感情とを、ごっちゃにしているだけなんだよ」
チノ「違いますっ! 私のは……っ!」
チノが目に涙を浮かべながら声を荒げたが、
ココアは悲しげに眼を閉じ、黙って首を横に振るだけだった。
55: 2014/08/25(月) 18:03:54.20 ID:bN/Ilnpa0
チノ「私は、ココアさんが本当に好きで……」
ココア「……」
ココアは何と言っていいか分からなかった。
ただ俯いて。沈黙を守っている。
チノ「本気なんですっ!」
ココア「んん……っ!?」
突然チノがココアの唇を奪った。
ココア「……」
ココアは何と言っていいか分からなかった。
ただ俯いて。沈黙を守っている。
チノ「本気なんですっ!」
ココア「んん……っ!?」
突然チノがココアの唇を奪った。
57: 2014/08/25(月) 18:09:49.58 ID:bN/Ilnpa0
ココアの過去の話に出てきた女性に、
嫉妬心が生まれていたからだろうか。
別段そうする気もなかったのに、
チノはココアとぎこちなく唇を重ね合わせていた。
チノ「……分かって、くれましたか」
ココア「……」
唇を離すと、チノは今にも泣き出しそうな顔で、
ココアに質問をぶつけた。
嫉妬心が生まれていたからだろうか。
別段そうする気もなかったのに、
チノはココアとぎこちなく唇を重ね合わせていた。
チノ「……分かって、くれましたか」
ココア「……」
唇を離すと、チノは今にも泣き出しそうな顔で、
ココアに質問をぶつけた。
60: 2014/08/25(月) 18:14:21.93 ID:bN/Ilnpa0
ココア「……分かったわ。チノちゃん」
チノ「えっ」
ココアは真剣な顔で、というよりも、
チノには怒っているように見えたが、
ゆっくりと口を開いた。
ココア「チノちゃんが本気で私のことを好きだって言うのは分かったよ。
じゃあそれを踏まえて質問するけど、
チノちゃんは私とどうしたい?」
チノ「どう……、って。ずっと、一緒にいたいです」
ココア「私がお姉ちゃん、チノちゃんが妹としても、
ずっと一緒にいられるよ? それじゃ不満?」
チノ「それは……」
チノ「えっ」
ココアは真剣な顔で、というよりも、
チノには怒っているように見えたが、
ゆっくりと口を開いた。
ココア「チノちゃんが本気で私のことを好きだって言うのは分かったよ。
じゃあそれを踏まえて質問するけど、
チノちゃんは私とどうしたい?」
チノ「どう……、って。ずっと、一緒にいたいです」
ココア「私がお姉ちゃん、チノちゃんが妹としても、
ずっと一緒にいられるよ? それじゃ不満?」
チノ「それは……」
62: 2014/08/25(月) 18:18:28.53 ID:bN/Ilnpa0
返答に困っているチノを見て、
我ながらいじわるな質問をしてしまったな、
とココアは思っていた。
好きだからどうしたいのか。
そんなものに、答えなど用意されていないのだ。
ココア「答えられないでしょう?」
チノ「……」
我ながらいじわるな質問をしてしまったな、
とココアは思っていた。
好きだからどうしたいのか。
そんなものに、答えなど用意されていないのだ。
ココア「答えられないでしょう?」
チノ「……」
67: 2014/08/25(月) 18:21:59.19 ID:bN/Ilnpa0
ココア「別にね、私だってチノちゃんの感情を、
すべて否定したいわけじゃないんだよ」
チノ「……そうなんですか」
俯いていたチノが顔を上げた。
ココア「私だって経験のあることだし……。
だから、その感情が形を変えずに、
ずっとチノちゃんの中にあったら、
もう一度私に言ってくれる?」
すべて否定したいわけじゃないんだよ」
チノ「……そうなんですか」
俯いていたチノが顔を上げた。
ココア「私だって経験のあることだし……。
だから、その感情が形を変えずに、
ずっとチノちゃんの中にあったら、
もう一度私に言ってくれる?」
72: 2014/08/25(月) 18:25:11.68 ID:bN/Ilnpa0
チノ「……分かりました」
ココア「うんっ。私がチノちゃんを好きだっていうのもホントだよ。
何か相談したいことがあったら、
”お姉ちゃん”に何でも言ってね」
チノ「……はい」
チノが必氏に涙を堪えているように見えたので、
その思いが決壊する前に、ココアは部屋を出て行った。
ココア「うんっ。私がチノちゃんを好きだっていうのもホントだよ。
何か相談したいことがあったら、
”お姉ちゃん”に何でも言ってね」
チノ「……はい」
チノが必氏に涙を堪えているように見えたので、
その思いが決壊する前に、ココアは部屋を出て行った。
78: 2014/08/25(月) 18:28:43.08 ID:bN/Ilnpa0
それから約半年の月日が流れた。
話し合いの直後はやや気まずさが残ってはいたものの、
一緒に仕事をし、暮らす中で徐々に打ち解け、
現在では元の関係にすっかり戻っていた。
チノ「ココアさん。ちょっとお話があるので、
夜に部屋に行ってもいいですか?」
ココア「いいよー」
仕事の休憩中にチノがそう言うと、
ココアはそれを快諾した。
話し合いの直後はやや気まずさが残ってはいたものの、
一緒に仕事をし、暮らす中で徐々に打ち解け、
現在では元の関係にすっかり戻っていた。
チノ「ココアさん。ちょっとお話があるので、
夜に部屋に行ってもいいですか?」
ココア「いいよー」
仕事の休憩中にチノがそう言うと、
ココアはそれを快諾した。
84: 2014/08/25(月) 18:32:20.11 ID:bN/Ilnpa0
ココア「ところで、なぁに? 昼間言ってた話って」
部屋に来たチノとしばらく雑談をした後、
ココアはそう切り出した。
チノは頬を赤く染めて、しばらく指をもじもじと動かしていたが、
意を決したように顔を上げると、ココアの目をまっすぐに見据えた。
チノ「ココアさん」
ココア「うん。どうしたの?」
チノ「私……」
ココア「うん」
チノ「好きな人が、できました」
終わり
部屋に来たチノとしばらく雑談をした後、
ココアはそう切り出した。
チノは頬を赤く染めて、しばらく指をもじもじと動かしていたが、
意を決したように顔を上げると、ココアの目をまっすぐに見据えた。
チノ「ココアさん」
ココア「うん。どうしたの?」
チノ「私……」
ココア「うん」
チノ「好きな人が、できました」
終わり
91: 2014/08/25(月) 18:39:02.86 ID:bN/Ilnpa0
ここまで読んでくれた方、レスくれた方、ありがとうございました。
92: 2014/08/25(月) 18:40:33.54
乙
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