1: 2012/06/29(金) 16:33:16.14 ID:CyUdgn7X0
女神「だいたいの話は聞いていますか?」

従者「三ヶ国が軍事力が高く世界掌握を狙っている、でしたよね」

従者「別段、珍しい話でもないと思うのですが?」

女神「その内の一国が酷い圧政を行っているのです」

女神「軍事を注力し過ぎており、民は重税に苦しむ状況……嘆かわしい事です」

従者「そこが他の国々を滅ぼしそうだ、と」

女神「逆なのですよ……」

従者「へ?」

5: 2012/06/29(金) 16:36:26.25 ID:CyUdgn7X0
女神「その圧政と噂される賄賂の横行により、内部から崩壊寸前なのです」

従者「ああ……そこの国が落とされるのが不味いのですね」

女神「三ヶ国は世界の掌握を望んでいます。今ここで一つの国が落ちればパワーバランスは崩れ……」

従者「なるほど……」

女神「是が非でもこれは阻止をしなくてはなりません」

女神「な、何よりくだんの争っている国は日の神と破壊の神を信仰しているのです」フルフル

従者「ああ……他宗潰し」

6: 2012/06/29(金) 16:39:23.14 ID:CyUdgn7X0
従者「分かりましたがどうやって人間界に?」

女神「私達神々には転生に近い術があるのです。人間の体を生成し、一時的にその体で活動してもらいます」

女神「とは言えそれでも人外の力を持つことになるでしょうから力加減は厳重注意で」

女神「目的達成した際にはこちらで肉体の破棄と共にこちらへの帰還の日時を設定」

女神「後は時間が来れば自動でこちらに帰ってきます」

従者「なんか凄い不安を覚える術なんですが……」

7: 2012/06/29(金) 16:42:26.41 ID:CyUdgn7X0
女神「因みに帰還に際して強く人間として生きる事を望めば、以後そのまま人間界で生きる事もできます」

従者「それって……うん? 色々と大丈夫なんですか?」

女神「勿論駄目ですよ。有力な者を失う事になるのですから……だからこそ、それだけの働きをした者にだけ与える役目でもあるのです」

従者「ああ誰にでもという訳ではないのですね」

女神「当然でしょう……それではいきますね」

従者「え、今から?」

8: 2012/06/29(金) 16:45:23.08 ID:CyUdgn7X0
女神『貴方は改革、もしくはクーデターに組して次の王を立てるのです』


従者「凄いアバウトにしてとんでもない役目を押し付けられてしまった……」

従者「それにしても……それってこの国だけで世界情勢は変わらないんじゃないのかなぁ」

従者「ああ、他の神々の従者が降りてきてるのか……そりゃあ女神様だけの問題じゃないもんな」

従者「さて、と……」パァ

男「知略はさっぱりだし地道に階級上げて上を目指さないとだな」

9: 2012/06/29(金) 16:48:36.15 ID:CyUdgn7X0
男(馬車に揺られて二日で到着か……)ガタゴト

男(今のうちに復習しておくか)ペラ

男(北部、周囲は山岳に囲まれ雪に閉ざされた国シルバースノウ。今のところ防衛が主軸)

男(西部、無数の山脈が聳え巨大な洞穴で暮らすロックケイブ。ここが精力的に進撃を繰り返している)

男(東部、灼熱の太陽と広大な砂漠地帯のシーサンド。軍事力を高めているが今の所静観)

男(南部、最果てまで続く樹海と苔生した土グリーングランド。シルバースノウ同様防衛中)

男(そしてここ中部……)

男(北東部より流れる川が蜘蛛の巣のように絡み合うウェッブリバー。進撃こそしていないが軍事に注力している)

男(なんていうかどこも隣の家の芝みたいな土地な気がするなぁ。経済的に厳しいわけでもなし)

男(あー……頑張らなくちゃあなぁ)

11: 2012/06/29(金) 16:51:49.60 ID:CyUdgn7X0
偉い人「お前達は今日よりこの国の礎となる……」

兵士(入隊楽だったなぁ……やっぱり人間はあまり強くないなぁ)

偉い人「常に精進し、如何なる時でも……」

兵士(逆に訓練は上手く手を抜かないと惨事だから困るけど)

偉い人「諸君らの活躍を期待すると共に……」

兵士(これだと魔界での戦闘の方が楽かもしれないなぁ)

兵士(あ、話終わったか? さあてこれからどうするか)

12: 2012/06/29(金) 16:54:42.39 ID:CyUdgn7X0
隊長「本日より、君達を指導する者だ」

隊長「私の訓練は甘くは無いぞ。皆心するように」

隊長「本日はこれ以降の予定は無い。各自17時まで自由とする」

隊長「時間厳守は最低限の規律だ。これにて解散とする」


兵士(訓練厳しいのかな? だとすると加減し易くて助かるなぁ)

兵士(にしても見事に華のない面子だなぁ)キョロ

13: 2012/06/29(金) 16:57:40.81 ID:CyUdgn7X0
兵士(現状、国王主体で圧政を行っている……周辺の家臣並びにその甘い汁を啜る有権者が味方か)

兵士(権力としては申し分は無いなぁ。動き辛い)

兵士(加えてこちらは王子とその家臣やらなんやらが改革の意思を持っている……か)

兵士(改革サイド弱いなぁ。どうしたもんだろうか)

兵士(軍事の一部はコネだけでできてる甘い汁組もあるしなぁ。排除しないと戦時の際に数だけの肉壁だ)

隊長「お前は兵士だったか? こんな所でどうしたのだ?」

兵士(まずは身近から埋めていくか?)

17: 2012/06/29(金) 17:00:33.27 ID:CyUdgn7X0
兵士「今周辺を見て回っているところであります!」ザッ

隊長「俺への敬礼は訓練の時だけで構わん」ヒラヒラ

隊長「確かお前は入隊試験でかなりの成績だったな」

兵士「そうなのですか?」

兵士(力加減やばい)

隊長「なんだ自覚がないのか? まあいい、お前は何を望んで兵士に志願したのだ?」

兵士(あれ、これはいいフラグ?)

18: 2012/06/29(金) 17:03:49.01 ID:CyUdgn7X0
兵士「自分はこの国を守り、より良い国にしたく志願したであります」ザッ

隊長「名誉、栄誉、富や地位に興味はないか?」

兵士(あ、やばい方かも? どうしよう、これどっちサイドの面接だ?)

兵士(訓練を厳しくするのは民を守る為? 自分達の権力を守る為? あー、くそ当って砕けろ)

兵士「自分はそういったものよりも、この国の発展を望むであります」

隊長「間があったな……いい子ぶったか?」

兵士(面接きっついなぁ)

19: 2012/06/29(金) 17:06:31.94 ID:CyUdgn7X0
兵士「自分が申す事はあまりにも不徳であり不……」

隊長「構わん、ここには我々しかいない」

兵士「この国は圧政と権力を持った者達により、着実と正しき道から逸れていっております」

兵士「隊長殿のこの問答が権力者達の者か、改革を望む者かで考えあぐねておりました」

隊長「では何故、私が改革を望む者だと判断した」

兵士「それにおきましては判断できませんでした」

兵士「ただ、隊長殿が如何なる立場であろうと、自分の考えを違える事などできなかっただけであります」

隊長「……」

兵士「……」ゴクリ

21: 2012/06/29(金) 17:09:35.70 ID:CyUdgn7X0
隊長「正直で宜しい。それではこちらも嘘偽り無く話してやろう」ニタァ

兵士(わー凄い嫌な笑顔)

隊長「お前はブラックリスト入りだ。以後華やかな出世は無いものと思え」

兵士(わー初っ端地雷踏み抜いたー)

隊長「お前は我々と共に地獄に付き合ってもらうのだからな」

兵士「……ん? え?」

隊長「そういう事だ。ま、今は精々精進しておけ」ポン

兵士(……なんだ、そういう事か)

23: 2012/06/29(金) 17:12:36.27 ID:CyUdgn7X0
兵士(一先ず、改革サイドへのパイプが手に入ったのは喜ぶべきか)ヒュン

兵士(今は訓練で評価を得て上に行くしかないな)ヒュヒュン

兵士(魔界みたく魔物がいてくれれば、討伐ですぐに評価を得られるんだけどなぁ)スッガッ

兵士(どうにか王子と接触したいな……彼はどうしたいのだろう?)スパァン

隊長「勝負あり! 勝者、兵士!」

兵士A「ぐぁー! 上の空のような奴にぃ!」

兵士(手加減難しすぎ笑えない)

24: 2012/06/29(金) 17:18:33.55 ID:CyUdgn7X0
癒しの神
信仰すると高い自然治癒力が得られる女神

まだ人間側に魔法が無い為、国を問わず屋外で活動する人も信仰している事がある

物腰が柔らかく落ち着いた神だが、その実やたら感情論で時折暴力も振るう


従者
癒しの神の従者にして、高耐久の高魔法耐性の戦士でリジェネレーションのおまけつき

従者の中では珍しく魔法が使えないので周りから馬鹿にされる事も多々

が、一対一で戦うとなると超耐久常時回復の鉄壁である為、従者の中で勝てる者はあまりいない

彼を除く癒しの神の従者は回復や支援の魔法型なので、周りから野蛮だと敬遠されているぼっち

他の神様
 女神     男神
癒しの神  破壊の神
月の神   日の神
風の神   土の神
水の神   病の神

25: 2012/06/29(金) 17:21:31.54 ID:CyUdgn7X0
……
隊長「やはり見込んだだけはあるな」

隊長「まさか七割も残るとはな」ケラケラ

「俺も何度か挫けそうだった」
「俺も俺も」
「まあ俺はこの人の隊の新人の生存率知ってるからな」
「四割だっけ」
「マジで?!」

兵士(この程度で?!)

26: 2012/06/29(金) 17:24:33.50 ID:CyUdgn7X0
隊長「これよりお前達は正式に部隊への配属となる」

隊長「ここから先は今以上厳しいからな。各自、覚悟をしろ」


兵士「と言われてやってきたが……」

騎士達「……」ザッ

兵士「なにこのただならぬ雰囲気、新人いびり始まる?」

27: 2012/06/29(金) 17:27:30.67 ID:CyUdgn7X0
騎士「諸君らが我々の隊についた事を心から歓迎しよう」

騎士「我々は仲間だっ! この意味、各自分かっているだろう」

兵士(ああ、ここにいる奴全員面接に合格した奴らなのか)

騎士「そう、君達兵士達も同じ志を持つ仲間なのだ!」

兵士(意外と本気で思っている奴いるんだなぁ)

騎士「これからは厳しく辛い日々になるだろう……だが抱いた大志を忘れるな」

兵士(まー頑張って俺が動きやすいように働いて欲しいなぁ)

騎士「私からは以上だ」

兵士(にしても金髪ロングの美人騎士か。改革側始まったな)

28: 2012/06/29(金) 17:30:42.10 ID:CyUdgn7X0
「おぉ、お前もか」
「お前、ちゃんちゃらおかしいとか言っておきながらこっち側かよ」
「マジでこの隊あったんだ……」

兵士(う~ん、それにしてもこれからどう評価を上げようか)

騎士「えーと、君と君と……そこの三人、あと君。私について来なさい」

兵士(あれご指名? なんだろう?)

「おおぉ?! まさか俺達、早速一目置かれているとか?!」
「お前はねーよ」
「俺もそんな優秀じゃあないはずだがなぁ」

兵士(……いや、こいつら確か一癖ある連中だったな。何かが突出しているとか……いきなり任務かな?)

29: 2012/06/29(金) 17:33:38.26 ID:CyUdgn7X0
騎士「君達にはすまないが明後日、西の国境に向かってもらいたい」

騎士「現在、隣国と膠着状態に戦場だ」

「わ、我々がですか?!」

騎士「安心したまえ。飽くまで雑務の人手が足らないという事だ」

騎士「君達も分かっているだろうが、我々を快く思わない連中は五万といる。そして今回の人員補充を我が隊から出せという指示だ」

騎士「今ここで精鋭を削る訳にはいかない……本当に申し訳ないが君達に託したいのだ」

兵士(新人に、か。立場も弱いし、集まっている人力もかなり薄そうだなぁ……きっつい)

30: 2012/06/29(金) 17:36:30.23 ID:CyUdgn7X0
兵士(う~ん、クーデター起こすにしても力が弱いし……)

兵士(いっそ国王が前線出てくれないかな。戦争に紛れて暗殺とか。ないなー)

兵士(まずは膠着状態の戦況をどうすべきか。戦争を起こすべきか回避すべきか……)コツコツ

兵士(鳥? あ、足に何か……極小規模の転移魔法の魔石? ああ、通信にって事か)

兵士「あーテステス……どうぞ」

『何処の誰だよ』

兵士「初っ端怒られた」

31: 2012/06/29(金) 17:39:32.18 ID:CyUdgn7X0
兵士「えーとウェッブリバーの兵士。癒しの神様の従者だ」

『ああ、そりゃあ良かった。俺は日の神様の従者でロックケイブで兵士をしている』

兵士「あー……俺明日からそっちとの国境に行くんだけどどうしたらいいんだろう」

『そっちの国の事情をどうするか次第じゃないのか?』

兵士「えーとね。国王を交代させたいんだけど、次代の王子は思想こそいいが力足らず」

兵士「ぶっちゃけどうしようか困っている」

『それなら何れにせよ戦争は回避すべきじゃないのか?』

32: 2012/06/29(金) 17:42:51.04 ID:CyUdgn7X0
『ロックケイブはウェッブリバーを攻めたがっているが、大義名分が無くて睨めっこなんだ』

『こっちは上手く戦争回避の根回しをしておく。うまく会談を設け、戦争の意思が無い事を伝えてくれ』

兵士「難易度高いなー……俺は新兵なんだけど」

『新兵? 降りてくるの遅くないか? 俺はもう一年前からいるぞ?』

兵士(三ヶ月前とか言えない……女神様、諸事情があったにせよ行動遅すぎです)

33: 2012/06/29(金) 17:45:46.70 ID:CyUdgn7X0
『じゃあ東部……そっちからは西部か。国境の戦線は任せたぞ』

兵士「了解。ああ、そうだこr」

『あ、もう時間が』パキィン

兵士「……魔石割れた。え、てかこの連絡用の鳥とか俺知らないんだけど」

兵士「女神様……? 俺には支給されないんですか? 酷くないですか?」ブツブツ

兵士「参ったな……周囲からの連絡待ちだとは」

34: 2012/06/29(金) 17:48:43.62 ID:CyUdgn7X0
……
「うわー緊張してきた」ガタゴト
「つっても俺達は炊き出しとかだろ」ガタゴト

兵士(いいなぁ気楽で……)

兵士(にしても資源だって何処の国もそこまで困っていないし土地もある)

兵士(まあ、シーサンドやシルバースノウはちょっとあれだが、ロックケイブに至っては全て山脈って訳でもないし)

兵士(鉱山だってそこかしこにあるから、金属が不足する事もないんだし何で侵略したいのかねぇ)

兵士(ああ……逆にか)

兵士(自国民以外の人間、どうにでもできる奴隷が欲しいと考えるべきか)

36: 2012/06/29(金) 17:51:32.56 ID:CyUdgn7X0
兵士(あの騎士の話だと国境付近に駐屯する兵を指揮しているのは改革側らしいが……)

兵士(どうやって会談の場を設けようものか……)

兵士(というかそもそも俺じゃそんな動きできないしなぁ)

兵士(指揮官かぁ……新兵の俺が助言? ないない)

兵士(取り次いでもらえるだろうか? 一か八かやってみるか)

38: 2012/06/29(金) 17:54:32.88 ID:CyUdgn7X0
指揮官「このまま膠着が続いては兵の士気も……どうしたものか」

「失礼致します。本国より支援の兵士が到着しました」

指揮官「甘い汁を啜っている者達のあてつけだろう……期待などできん」

「心中お察しします……ですがうち一名が騎士様より伝言があるとの」

指揮官「なに? もしや奇策でも……通せ」

39: 2012/06/29(金) 17:57:30.44 ID:CyUdgn7X0
指揮官「何?! 敵国に内通者だと?」

兵士「声をお静かに……」

指揮官「う、うむ……だがそのような話聞いた事が無いぞ」

兵士「当然です。秘密裏によるものでして一年ほど前から潜伏しているのだそうです」

兵士「少なくとも、この国境の駐屯に関しては戦争を回避すべく取り計らっているそうです」

兵士「後は会談の場を設け、こちらにも戦争を反対する意思を持つ者達がいる事を伝えさえすれば、との事です」

指揮官「ううむ……しかし、にわかに信じがたい」

兵士「私も最低限の情報だけを与えられ、指揮官殿に伝えよとの事なので……」

指揮官「……うむ、伝言しかと受け取った。ご苦労、通常の任務に戻りたまえ」

兵士「了解しました。あ、それとこの一件については黙秘をしてほしいと……」

指揮官「君も私も情報漏洩を恐れる立場だ。そのくらい弁えているさ」

40: 2012/06/29(金) 18:00:34.16 ID:CyUdgn7X0
……
「俺達、帰還命令が出たそうだぞ!」
「マジで?! 四日しか経っていないのに何があったんだ?」
「何でも敵国の兵士の数を減らしたらしい。それでこちらも減らすとか」
「それこそ攻め時じゃないのか? そもそも、こちらの撤退を狙った作戦かも」
「攻める理由、大義名分ってのがないんだから、いきなりは攻めてこれない」

兵士(うーん案外上手く行くもんだな)

兵士(各国にいる従者で根回ししていればある程度は戦争防げそうだな)

兵士(俺が力不足だけど)

41: 2012/06/29(金) 18:03:30.85 ID:CyUdgn7X0
騎士「無事で何よりだ。まさか状況があんな好転するとは予想外だったが……何はともあれ君達は今日は休むが良い」

騎士「明日からはみっちりと訓練だからな」


兵士(やれやれ……一つ問題が片付いたが、最大の問題が無策)

兵士(ん? 手紙? あ、女神様からか?)

土の神『シーサンドに従者を派遣中。近くウェッブリバーに対する攻撃が計画されている模様。注意されたし』

兵士「わー……別の神様から直々にか。超プレッシャー」

女神『各地で建造されている特殊武装の製造場を破壊してきなさい』

兵士「無理無理無茶振り」

女神『無茶無理無謀と思うのであれば貴方の成長はそこまでなのです』

兵士「テラESP」

42: 2012/06/29(金) 18:06:30.42 ID:CyUdgn7X0
兵士「だいたいそれ何処にあるかも分かっていないのに……」

土の神『追伸:各国に派遣されている者達は、世界平和の為の協議というテーブルに着かせるよう行動中』

土の神『一番課題がある国だろうが、頑張って国の方向性を和平に向けてくれ』

兵士「土の神様優しい……」

兵士「というかこの情報、本来女神様から落とされるべき内容だよなぁ……」

43: 2012/06/29(金) 18:09:31.79 ID:CyUdgn7X0
兵士(ここからどう動くべきか……)

兵士(てか、上層部には改革派の存在を分かっているのか……)

兵士(あえて改革派を潰したいアピールで、国王側をスパイとか?)

兵士(流石に両サイドに挟まれるのは無理だなぁ)

兵士(……武装の製造か。少し洗ってみるか?)

44: 2012/06/29(金) 18:12:35.30 ID:CyUdgn7X0
騎士「そんなものが分かっていたら我々がとっくに破壊工作を行っている」

兵士「ですよねー」

騎士「お前……本当に一介の兵士なのか? なんというか成績にしろ考え方にしろ」

騎士「何か人並みはずれたところがあるのだが……」

兵士「列記とした人ですよ……」

騎士「いや……そうなんだがなんというかだな」

兵士(まあそう擬態しているだけですが)

45: 2012/06/29(金) 18:15:26.14 ID:CyUdgn7X0
兵士「どうにか探せないですかね?」

騎士「割けるだけの人員がいないからな……なんなら君がやってみるか?」

兵士「え?」

騎士「いやむしろそれがいいな。うむ、それでは君はこれから周辺巡回の任に着いてもらおう」

騎士「そちらの部隊へは私から連絡しておこう。良き結果を期待しているよ」

兵士「えー」

46: 2012/06/29(金) 18:18:38.21 ID:CyUdgn7X0
兵士(やべぇどうしよう。首都内部から外される)

兵士(うおぉぉぉまずいぞ、まずいだろ!)コンコン

兵士(……こんな時間に?! 誰だ? 国王サイド?)ガチャ

衛生兵「……」

兵士「……」

衛生兵「……こんばんは」ツカツカ ガチャ

兵士「こんばん、え、いや、勝手に入って、てか誰?!」

47: 2012/06/29(金) 18:21:32.83 ID:CyUdgn7X0
衛生兵「水の神の従者、衛生兵をしております。以後お見知りおきを」ペコリ

兵士「あ、ああ……俺は癒しの神の従者の兵士だ。よろしく頼む」

衛生兵「巡回の任務に着くと聞いたので」サッ

兵士「国内の地図? 水脈に地質まで……どうやってこれを?」

衛生兵「水を伝って調べた。雨が降るとこの近辺は水浸し」

兵士「あー……羨ましい特典だなぁ。癒しの神様から頂いたのってリジェネレーションだけだからなぁ」

兵士「人間の体じゃ効果切れてるし……」

48: 2012/06/29(金) 18:24:31.45 ID:CyUdgn7X0
衛生兵「兵器の製造場を破壊するの?」

兵士「その話がきっかけで異動が決まったんだ」

衛生兵「建物の屋内までは分からないから……頑張って」

兵士「ああ、これだけでもかなり助かるよ。ありがとう」

兵士(ちょっと変な子だけどいいなぁ……天界にしろ自室に誰か招く事もあんまりないし)ジーン

衛生兵「……?」クビカシゲ

49: 2012/06/29(金) 18:27:47.83 ID:CyUdgn7X0
……
騎士「今日の巡回箇所はこの一帯だ」

騎士「巡回の任務とは不審者がいないかは基より、周囲に異常が無いかを調べるものである」

兵士「異常……ああ、川が多いから氾濫しそうな所とかか」

騎士「これを怠ると嵐の際に甚大な被害を被る。ある意味、最も重い役目であるのだ」

兵士「なるほど……それで、何故騎士様がこちらにおいでなのでしょうか?」

騎士「いくら私といえど、新米にあんな大役を投げっぱなしにはせんよ」

騎士「それに一々細かく教えている時間が部隊には無い。慣れて覚えろ」

騎士「ま、お前の話を聞く限りこの程度のスパルタ大した事もあるまい。巡回に行くぞ」

兵士(まーそりゃそうだ)

51: 2012/06/29(金) 18:30:39.61 ID:CyUdgn7X0
兵士「実際のところ周辺の調査って全く手付かずなのですか?」

騎士「……建物らしい建物は全て調べたさ」

騎士「だが今の所は何も発見されていない……だがあの国王が何もしていないとも思えんしなぁ」

兵士「公開されている国の地図にもこの一帯には何もないようですが」

騎士「そこは地質が悪いらしく建物が建てられないそうだ。それにその土地は十分に吸水すると沼化する事もあって立ち入り禁止だ」

兵士(水の従者の調べでは普通の地質だったな……とすれば国王側が隠蔽しているとかか?)

兵士「それって何時頃からの話ですか?」

騎士「私が生まれるずっと前だ……お前、ここの生まれじゃないのだな」

兵士(うへぇ地雷)

52: 2012/06/29(金) 18:33:36.47 ID:CyUdgn7X0
騎士「ま、あそこが怪しいのは子供でも分かる事だ。だが決して近づけないのだ」

兵士「見張りが多いとかですか?」

騎士「それもあるが、そこに至る道全てが国王側の施設が建っているのだよ」

兵士「……」

騎士「……」

兵士「もうそこへ全軍突入させましょうよ!!」

騎士「正直私もそう思うが、その先にある平地に建物がある保障もないのだよ」

騎士「本当にあるのであれば隠蔽を盾に突入しているさ」

兵士「あー……」

兵士(あれ? そういえば衛生兵の地図にも建物は存在していなかったな)

53: 2012/06/29(金) 18:36:35.39 ID:CyUdgn7X0
騎士「この一帯は雨が降ると酷いドロになる。雨天時は足元に気をつけろ」

兵士(もし何かあるとすると地下か……?)

騎士「その先にある……地図だとこのあたりだな」

兵士(確かにあの一帯の地中にとてつもなく浸透性が悪い堅い層があるみたいだが……)

騎士「豪雨で本流の水かさが増し周囲の川を飲み込み、ここまで浸水してしまうのだ」

兵士(入れずの平地に入り口? いやいや、見え見えの厳重さに入り口は作らないだろう)

騎士「なのでここの堤防の確認は厳密に行う事」

兵士(とすると何処か地下に道が? 衛生兵にもっと詳しく調べてもらいたいがうかうかしていられないしな)

騎士「お前……話を聞いているのか? 私が言った事を言ってみろ」

兵士「この周辺は吸水するとドロ状になる。この先の一帯は洪水における最終堤防になる為、厳重に点検を行う事」

騎士「……お前、上司に嫌われるタイプだな」

54: 2012/06/29(金) 18:39:29.31 ID:CyUdgn7X0
……
兵士(早くも半月……手元の地図から怪しそうな箇所はしらみつぶしにしてはいるが)

兵士(入り口なんて下手すれば人一人分の幅かもしれないからなぁ)

兵士(地図で確認したところで何処だろうと入り口にできるだろうからなぁ)

兵士(よくよく考えたら国王側の施設内部に入り口あったら手詰まりだし……どうしたものか)

衛生兵「……」クィクィ

兵士「誰だ袖を引っ張……君か」

衛生兵「大丈夫? 眉間に凄い皺」

兵士「勿論駄目だ……え、というか何で君がここにいるの?」

衛生兵「非番」

兵士(むしろ衛生兵の普段の仕事内容ってなんだろうか……)

55: 2012/06/29(金) 18:42:30.37 ID:CyUdgn7X0
衛生兵「同じ従者のよしみ。楽しく過ごしたい」

兵士「……結構重たい役目を背負っているの分かっているよね?」

兵士(でも凄い嬉しい自分がいる)

衛生兵「私の役目は人脈作り。ここに来るのも顔パス」ピース

兵士「すげぇ……てかそんな役目を?」

衛生兵「兵士の補佐をするよう女神様から仰せつかっている」

兵士(なんか周りの神様達はきっちり考えているなぁ……)

57: 2012/06/29(金) 18:45:51.93 ID:CyUdgn7X0
衛生兵「隠し通路……」

兵士「やっぱ難しいよね」

衛生兵「町内部を重点的に調べる事は可能……次の雨天時に頑張る」

兵士「頼む。正直、今は君が頼りだ」

衛生兵「……ま、任せて」カァ

兵士「衛生兵……」ギュ


兵士(とかになったらなったで嬉しいんだけどなぁ)

衛生兵「任せて。それが私の役目」タンタン

59: 2012/06/29(金) 18:48:20.75 ID:CyUdgn7X0
衛生兵
水の神の従者で回復のスペシャリストにして投擲武器でガシガシ攻撃するできる子

色んな所に現れては色んな相手と接点を持つ、何を考えているかよく分からない子

そんなキャラの所為で周りからはよく可愛がられている

のんびりしてはいるものの主たる水の神はSっ気が多い所為か、時折とんでもない事を口走る

各国の位置
           シルバースノウ
    月・水
ロックケイブ
破壊・日    
        ウェッブリバー
        癒し・水         シーサンド
    グリーングランド        土・病
    月・風

63: 2012/06/29(金) 19:02:17.72 ID:CyUdgn7X0
騎士「何? 強盗が多発? 分かった、居住区への巡回頻……」

兵士「騎士様、空き巣に入り込もうとする輩を捕まえました」ビシ


騎士「引ったくりか? ううむ……どうした」

兵士「非番中散歩しているところ、引ったくりされそうになったので返り討ちにしました」ビシ


「こんな国、滅んでしまえええぇぇ!!」
「うおおおぉぉぉ!!」
「ぼ、暴徒だ! 兵士は?! 助け……!」

騎士「周囲の兵士は民間人の避難を! 彼らは私が」

兵士「考え事してる時にうっせええぇぇぇ!!」ドガバキゴシャ

騎士「……君はなんなんだ?」

兵士「これは騎士様、お見苦しい所失礼致しました」フーッ フーッ

64: 2012/06/29(金) 19:06:47.11 ID:CyUdgn7X0
……雨の日
衛生兵「凄い活躍」

兵士「いや、なんか非番の時のイベント遭遇率が異常というか」

衛生兵「衛生兵の隊の中でも有名」

兵士「ど、どんな……?」ドキドキ

衛生兵「凄い新兵がいるって話題で持ちきり」

兵士(今度、他の部隊見て回ろうかなぁ)

衛生兵「でも顔が普通なのが残念だよねー、て言われてる」

兵士「Oh...」

衛生兵「大丈夫。虐め甲斐はあると思う」グッ

兵士「え、何言っているのこの子」

65: 2012/06/29(金) 19:09:36.67 ID:CyUdgn7X0
兵士「まあいいや……わざわざ雨の日に来たって事はそっちの話もあるんだろ?」

衛生兵「うん、調べがついた。恐らく入り口はこことここと……あとここ」

兵士「何処が一番怪しい?」

衛生兵「多分、ここ。地下に僅かな水の流れがある」

兵士「製造の為に水を引いてるって事か?」

衛生兵「そこまでは分からない……破壊工作、手伝う?」

兵士「……因みに何かできそうな事は?」

衛生兵「内部に続く水の流れに爆破魔法の魔石を大量投下」

兵士「えげつねぇ」

67: 2012/06/29(金) 19:12:35.80 ID:CyUdgn7X0
兵士「それだと内部で何作っているのかも、本当に危険な代物を作っているのかも分からないからなぁ」

衛生兵「微力ながら魔力が感じられる」

兵士「へえ魔法学はまだまだだと思ったけど……もう足がかりはできているのかな」

兵士「しかも場所を考えると魔法そのものを飛び越えて魔力を利用した道具でも開発しているのか? 人間は怖いな」

衛生兵「女神様に伺ったけど、まだ人間は魔法を扱うべきではないと」

兵士「ゴーサイン出てるのか……俺だけじゃ破壊工作も難しいしお願いしようかな」

衛生兵「分かった」ッオオオォォォォォン

68: 2012/06/29(金) 19:15:37.29 ID:CyUdgn7X0
兵士「……え?」ゴゴゴゴ

衛生兵「方位025、爆炎確認」ガタン

衛生兵「雨水より状況確認」ザアアァァ

衛生兵「……出入り口良し、通路良し、巨大空間良し、内部に生存者無し……極秘区画全破壊成功」

兵士「……ねえ、何やってるの」ダラダラ

衛生兵「破壊工作」ピース

兵士「それ、ある程度人間側と連携とらないとまずいんだけど」ダラダラ

衛生兵「……」

衛生兵「てへ」ペロ

兵士「とりあえず今日はありがとう……ちょっと考えなくちゃいけない事が多いからごめん」ダラダラダラ

70: 2012/06/29(金) 19:19:48.42 ID:CyUdgn7X0
騎士「兵士!」

兵士「騎士様……」ダラダラ

騎士「例の区画周辺で爆発が起こった! 巻き込まれた市民はいないそうだがこれは好機だ」

騎士「あの周辺に対し救護活動を敢行する。他の巡回部隊は現地に入った。我々も……」

兵士「はっ!」ビシ ダラダラ

騎士「……」

兵士「……」ダラダラ

騎士「……まさか、お前がやったのか?」

兵士「滅相もございません!」ダラダラ

73: 2012/06/29(金) 19:24:42.05 ID:CyUdgn7X0
騎士「酷い有様だな……」

「おい! ここいら一帯地中が爆発したみたいだぞ!」
「なんだこれは……地下室でもあったのか?!」
「酷いな……これじゃ中にいた奴は」
「とにかく瓦礫をどけろ! 生存者を探せ!」
「町の方でも爆発があったようだ! 誰かそちらに!」

騎士「兵士、君と私で町の方にあたるぞ」

兵士「りょ、了解!」

75: 2012/06/29(金) 19:27:37.08 ID:CyUdgn7X0
騎士「君は本当にこれに加担していないのだな」ガランガラン

兵士「それは……こうなってくれればと思いこそしましたが」ガラガラガラ

騎士「君は正直だな……流石の私もね。このようなテ口リズムの様な事は賛同できないよ」ガラン

騎士「聞いておいてなんだが、もし君が加担していたらどうしようかと思ったよ」ガラガラ

兵士(わー耳がもげそう)ガラガラ

騎士「それにしても……まさかここはあの平地にある地下室への通路なのだろうか?」ガラ

兵士「煙の上がっている箇所はあの平地に続いていますね……」ガラガラ

騎士「……一体何者がこの区画を見つけ、何のために破壊を」ブツブツ

兵士(神々の従者がやったなんて言えない)

76: 2012/06/29(金) 19:30:38.30 ID:CyUdgn7X0
騎士「生存者は無しか……嫌な話だな」

兵士(ごめんなさいごめんなさい)

騎士「国王側の兵士も到着したし、これ以上ここに留まり続けるのは無理だ。我々も引き上げよう」

兵士「了解です」


兵士(あー酷い目にあった……まさか衛生兵があんなアクティブだとは)ドサ

兵士(……とりあえず破壊はこれでいいのかな? 他にあったりしないよな)

兵士(絶対、改革側の破壊工作だって思われるよなぁ……動きづらくなるよな)

兵士(そろそろ反乱について真面目に考えないとだな。こうなった以上、状況は加速度的に変動していく……)コッコッ

77: 2012/06/29(金) 19:33:32.05 ID:CyUdgn7X0
兵士(鳥? 雨の中ご苦労な事だ……誰からだろう?)

兵士「あーこちら癒しの神の従者、ウェッブリバーの兵士」

『こちら病の神の従者ぁ、シーサンドの女でぇーす』

兵士「通信テスト完了。これより展開された転移魔法を切断する。オーバー」

『ちょちょ! マジなの! ちゃんとお仕事しているのよぉ!』

兵士「どっちの仕事だ」

78: 2012/06/29(金) 19:36:32.68 ID:CyUdgn7X0
『んもぅ、女ってだけでそんな冷たい態度とらないでよぉ』

兵士「うるせぇビッチ。こんなんが従者だなんて天界マジ終わったな」

『いけずぅ……天界に帰ったら夜這いしにいって上げるからねぇ』

兵士「天界でもそのノリなのかっ!」

『だからこの役目なのよぉ? 当たり前じゃなぁい』

兵士(うぜぇ)

80: 2012/06/29(金) 19:39:33.13 ID:CyUdgn7X0
『これでも顔広くて色んな情報が集まるんだからねぇ』

兵士「で、シーサンドの下の情報がウェッブリバーにどう関係が? そっちの性病がこっちで流行るってか?」

『もー冷たいわねぇ……もっと重たい話題よ』

『シーサンドがウェッブリバーに対して攻撃を計画しているわ』

兵士「それ、土の神様の手紙で読んだ」

『もう行動に入っているのよ?』

兵士「……マジ? 具体的には?」

『女相手に作戦概要を話すとでもぉ?』

兵士(うぜぇ)

81: 2012/06/29(金) 19:42:29.32 ID:CyUdgn7X0
『警戒してね。かなり真面目な作戦らしいわ』

『成功したらウェッブリバーを落とせる、というレベルらしいわよ』

兵士「にわかに信じられないな……どんな策かは分からないが、そう簡単に国は落ちないぞ?」

兵士「まさかそっちの武装や兵器の製造場って放置されている訳じゃないだろうな?」

『特殊な物は作っていないわねぇ……それだけとんでもない奇策って事かしらぁ』

兵士「あれちょっと待て? ロックケイブでさえ大義名分を求めていたのにシーサンドはどういうつもりだ?」

『勝った方が正義、だそうよ』

兵士「分かりやすい実力主義だなぁ……」

83: 2012/06/29(金) 19:45:38.30 ID:CyUdgn7X0
『あ、良い話もあるのよぉ。どうもウェッブリバー内部の情報はあまり把握できていないみたいよぉ』

兵士「……改革側とかか?」

『ふふ、シーサンドの奇策に対する備えはそこがキーになるのかしらね~』

兵士「……情報に感謝する」

『えぇ~それだけぇ? もっとお喋りしましょうよぉ』

兵士「こっちはこれから氏ぬほど忙しくなるんだぞ! んな暇ねーよ!」

『じゃあ~天界に帰ってから埋め合わせしてもらうわねぇ。じゃ~ね~』パキン

兵士(帰ったら敷地周辺に結界はっておこう)

97: 2012/06/29(金) 21:06:29.14 ID:CyUdgn7X0
騎士「お前はこれからどうする? 首都内部の任務に戻るか?」

兵士「あれ? 新兵として訓練とかは……」

騎士「お前にそれが必要だとは思えん。現場で鍛えろ」

兵士(ありがたいっちゃありがたいが、それって周囲が期待して見ている事の裏返しだよなぁ)

兵士(迂闊に行動できないしシーサンドの襲撃の件もあるしどうしようか)

騎士「考えあぐねているなら連れて行くぞ。お前は私の直属の部下として動いてもらう」

兵士「おお……大出世」

騎士「残念だな。その先にあるのは私と共に行く地獄のツアーのみだ」

兵士(皆何かにつけて地獄って言うな。やっぱり現状厳しいのを理解しているからか?)

98: 2012/06/29(金) 21:09:52.97 ID:CyUdgn7X0
「騎士様、こちらを。それでは失礼致します」

騎士「……ふむ」

兵士「どうかされましたか?」

騎士「シーサンドで不穏当な動きがあったそうだ」

兵士(あれ、シーサンドに潜伏している人でもいるのか? て事はロックケイブも?)

騎士「兵士、君ならどうする?」

兵士「そうですね、国境付近の警備を固め外部からの侵入に備えます」

兵士「また各地の砦に駐屯する兵も増員させ、敵軍の進行に対し速やかに軍隊を展開できるよう対策しておくぐらいは最低限かと」

99: 2012/06/29(金) 21:12:30.61 ID:CyUdgn7X0
騎士「ふむ、可能であれば国境に大軍を配備したいと」

兵士「ですがそれはあまりに危険な事ですし、シーサンドが正面切って進軍してくるとも言い切れませんからね」

騎士「なるほど……兵士」

兵士「はっ!」ビシ

騎士「ふふ、今更他に目が無い所で私に敬礼は不要だ」

兵士(うん? なんだこのフラグ?)

騎士「兵士……」ジッ

兵士(……あれあれ? マジフラグ? wktk)

騎士「お前は何者だ?」ガッ

102: 2012/06/29(金) 21:15:33.11 ID:CyUdgn7X0
兵士「えっ?」

騎士「私はお前に何者だ、と聞いている。答えろ」

兵士「じ、自分は一介の兵士であります」ダラダラ

騎士「私はシーサンドにて不穏当な動きがあったとしか言っていない」

騎士「ただ単に不穏当と言っただけなのに、お前はそれが我が国に対する侵略である事が当たり前の様に話した」

騎士「それとお前が私から言付かったという伝言やロックケイブの潜伏者とはなんだ? 答えてみろ」

兵士(うおおおおぉぉぉぉなんでぇぇぇぇ?!)ダラダラダラ

騎士「指揮官に取り次いだ兵士から聞いたよ……残念だったな、彼にも口封じをすべきだったな」

兵士(おわああぁぁぁぁ!)ダラダラダラダラ

103: 2012/06/29(金) 21:19:14.90 ID:CyUdgn7X0
騎士「お前は何が目的でこの国に来た? 兵士になった? さあ、答えてもr」カァンカァン

騎士「なに……火災?」カンカァン

兵士(このタイミングで……?)

騎士「……くそっ、お前は私と来い! 勝手な行動は許さんぞ!」バッ

兵士(奇策……まさかこれは襲撃か?)

衛生兵「兵士!」

騎士「兵士の仲間……? そこの衛生兵、所属する部隊名を……」

衛生兵「非常時につきお許し下さい。こちらを」ペラ

兵士「入国者リスト……やけに人が多いような?」

騎士「こんな時に何を……なんだこのキャラバンは? これだけの人数を通常の入国審査で通したのか?!」

兵士「まさかシーサンドの……」

105: 2012/06/29(金) 21:24:21.27 ID:CyUdgn7X0
衛生兵(昨日の雨の残りで調べた。二手に別れ一つは首都内部に。もう一方は首都北側を回って西へ)ヒソヒソ

兵士「……しまったそういう事か」

兵士「騎士様、敵の目的は恐らく国王の暗殺とロックケイブへの攻撃です」

騎士「いきなり何を……?」

兵士「この火災は陽動、本隊は既に城へと向かっているはず」

兵士「ロックケイブに向かっている者達は、我が軍に似せた装備をしている事でしょう」

兵士「ウェッブリバーの兵士に攻撃された、とロックケイブに大義名分を与える策だと思われます」

兵士(改革側の情報が無ければこれで十分だ。ロックケイブとの戦闘の漁夫の利を得るか、国王暗殺で浮き足立つ中を進撃するか)

兵士「やってくれたな……シーサンド」

106: 2012/06/29(金) 21:27:31.87 ID:CyUdgn7X0
騎士「……」

兵士「騎士様、今の貴女には我々が懐疑の塊に見える事と思います」

兵士「ですが信じて下さい。我々を……貴女の傍にいた自分を」

騎士「……非常事態につき他部隊の君にも協力してもらう」

衛生兵「この微力、ご自由にお使い下さい」

騎士「私に続け! 城に向かう!」

107: 2012/06/29(金) 21:30:32.28 ID:CyUdgn7X0
騎士A「そんな慌ててどうしたのです?」

騎士B「消火なら他の隊が出ましたし……逆方向では?」

騎士「緊急事態だ、我が軍に偽装した他国の兵士がロックケイブとの国境に向かっている」

騎士「奴らにウェッブリバーへ攻め入る大義名分を与えるつもりだ」

騎士A「……そんな話を本気でしているのですか?」

騎士「私が全責任を負う。一から四部隊はロックケイブとの国境に向かい、所属不明の部隊を発見次第食い止めろ!」

騎士「発見されたとあれば向こうから切りかかって来るだろう……各自一切の油断をするな!」

騎士「私の部隊はこれより陛下がおわす城へと向かう! この火災は陽動で狙いは暗殺だろう」

騎士「総員、氏力を以って臨め!!」

108: 2012/06/29(金) 21:33:28.63 ID:CyUdgn7X0
衛生兵(凄い統率力……次代の国王の側近候補)

兵士(間違いないな)

「しかし、陛下暗殺だなんて……」
「何事もなけりゃそれでいいだろ」

兵士(だがこの人数では王子まで守りきれるだろうか?)

兵士「騎士様、我々に王子護衛の任を」

騎士「何を言っているのだ? 暗殺対象は国王陛下だろう?」

109: 2012/06/29(金) 21:36:36.68 ID:CyUdgn7X0
兵士「もし、彼らが片道切符の暗殺であれば王子も対象に入っているはずです」

兵士「国王が討たれ、唯一の王位継承者の王子まで討たれでもしたら……」

「お前! その発言は!」

騎士「止せ、今は最悪の事態を想定して行動をせねばならない」

騎士「だが……なるほど。確かにその線は硬そうだな」

兵士(個人的には国王暗殺されて、俺らが王子守りぬくってのがベストなんだがなぁ)

騎士「……我々と言ったな」

衛生兵「頑張ります」

「え、この子衛生兵だよな」
「おいおい、新米兵士一人で王子護衛だと?!」

騎士「……二人とも殉職してでも王子を守り抜け。いいな!」

兵士「言わずもがな」

衛生兵「愛の無い……職場」

110: 2012/06/29(金) 21:39:34.20 ID:CyUdgn7X0
兵士「王子!」バン

王子「騒々しい、ぞ……君は? 初めて見る顔だが」

兵士「名乗らぬ無礼をお許し下さい。現在、国王陛下と王子に対し暗殺を企てている者がいます」

兵士「我々はその護衛にあたった者でございます」

衛生兵「頑張ります」

王子「そうか……ふっ、暗殺に際して来た護衛が兵士と衛生兵の二人か」

王子「所詮僕は……その程度なのだな」

兵士(ある意味一番安全なんだけどなぁ)

衛生兵(ねー)

112: 2012/06/29(金) 21:42:29.29 ID:CyUdgn7X0
暗殺者A「やはり既にいたか……」
暗殺者B「だがたかが二人よ」
暗殺者C「ウェッブリバーの王子よ、覚悟!」バッ

兵士「……」スバッズバン

衛生兵「……」シュバババ

生首A「」
顔半分C「」
的D「」

暗殺者B「な、なんだこいつら……本当に兵士と衛生兵なのか?」ガクガク

兵士「……」スラァン

暗殺者B「ひ、ひいいぃぃぃ!!」

113: 2012/06/29(金) 21:45:45.44 ID:CyUdgn7X0
亀甲縛りB「」

兵士「……良い趣味だ事」

衛生兵「淑女たるものこれくらい縛れないでどうします」

兵士(……水の神様?)ヒソ

衛生兵(うん)ヒソ

王子「……」ポカーン

兵士「王子、お怪我はございませんか?」

王子「き、君達がいて怪我をするという事態が想定できないよ」

王子「だがなるほど……君達二人だけが護衛というのも頷けた」

114: 2012/06/29(金) 21:48:29.06 ID:CyUdgn7X0
騎士「よし、これで暗殺者は全員か……」

暗殺者E「くっくく……馬鹿なやつらだ」

暗殺者F「俺達の隊長が今頃、王子様の首を刎ねている事だろうよ」

「騎士様、ここは我々に任せて王子様の下へ!」
「あいつら二人だけでは時間稼ぎにも……!」

騎士「……分かった、任せたぞ」

115: 2012/06/29(金) 21:51:45.04 ID:CyUdgn7X0
騎士(迂闊だった……まさか王子の方に注力していたとは)

騎士(確かに圧政を続けている方を残した方が、長い目で見た場合のダメージが大きい)

騎士(王子……どうかご無事で!!)ガチャン

王子「2上がり」ペィ

衛生兵「流しで私から、1のダブル、流しのキングのダブル、流しからの9、上がり」

兵士「ぐぬぬ……」ノコリイチマイ

121: 2012/06/29(金) 22:00:30.60 ID:CyUdgn7X0
騎士「……王子? 何をなさって」

王子「うむ、ちょっとした座興だ。騎士も交じるか?」

騎士「二人とも……護衛の任はどうした?」

衛生兵「生ゴミ三もご」パシ

兵士「暗殺者は四名。迎撃に成功。一人を捕獲、他三名を討ち取りました」

兵士「申し訳ないとは思いましたが氏体は侍女に任せ、我々はここに待機しておりました」

王子「こちらからだと父の様子が見えるからね。そちらの暗殺者も片付いたようだし、ただ待つのも暇であるからな」

騎士「さ、左様ですか」チラ

騎士(……何で亀甲縛りなんだ)

122: 2012/06/29(金) 22:04:08.23 ID:CyUdgn7X0
騎士「……兵士、衛生兵。申し訳なかった」

兵士「え?! ちょ、頭を上げて下さい!」

衛生兵「騎士様、何も悪い事していない」

騎士「いや……私はお前達を疑ってしまった。これほどまでに尽力している者に対してだ」

騎士「詫びたぐらいでは許されない事は百も承知だが……」

兵士「それは我々が信頼を得られなかった責任でもあります。ですからお顔をお上げ下さい」

124: 2012/06/29(金) 22:11:48.92 ID:CyUdgn7X0
衛生兵「私は部隊に戻るべき?」

兵士「あ、火災で被害を受けた人がいるかもしれないか……」

騎士「そうだな、ここは私と兵士が務める。君は自分の部隊の指揮下に戻ってくれ」

衛生兵「了解」タタタ

王子「それにしても君達は何者なんだい? もしかして騎士が見つけた特殊部隊の人とかか?」

騎士「そんな隊があったら私も苦労しませんよ……ですがまあそれ相応の力を持った者ではありますね」

騎士「最早君が何者なのか、私は問いただすのは止めるとしよう……ただこれからもこの国の為に力を貸して欲しい」スッ

兵士(ぅぉ……ここは差し出された手を握り返すべきなんだろうが……終わったら天界に帰るんだけどなぁ)ギュッ

騎士(え……凄い微妙そうな顔で握手された)

王子(……企んでいると言うより何か事情がありそう顔だな)

126: 2012/06/29(金) 22:15:29.60 ID:CyUdgn7X0
『兵士、起きているか?』コンコン

兵士「騎士様? 随分と早いですね……」ガチャ

騎士「すまんな、今日は忙しくなるからな。手伝ってくれ」

兵士「は、はあ……」

兵士(偽装部隊も止められたし……とするとシーサンドに対する事での会議とかか?)


近衛兵ABCD「……」
城内警護騎士ABC「……」

兵士「なんか縛られている人達がわんさかいる」

127: 2012/06/29(金) 22:20:00.47 ID:CyUdgn7X0
騎士「彼らは暗殺者が現れた際一目散に逃げ出したのだよ」

兵士「敵前逃亡ですか……しかもそれが分かっているって事は、騎士様の部隊が到着してからの事ですよね?」

騎士「ふん、大方ここまで侵入者などいやしないという慢心で、コネと賄賂で地位を上げた連中だ」

騎士「さて、国王陛下を守る立場でありながら敵前逃亡。これは氏罪を免れないな」

近衛A「……」ガタガタ
近衛D「氏にたくない氏にたくない」ブルブル
城内騎士A「……ぅぅ」ガクガク

騎士「ある条件を満たすのであれば、私からも口添えしてやらん事も無い」

騎士「これから三日三晩城壁に立たせる。そこで今までお前達が賄賂を贈った者の名と、お前達に賄賂を贈った者の名を叫び続けろ」

近衛兵B「……へ? な、なんですそれ」
城内騎士B「一体、それの何に意味が……」

騎士「やるのか、やらないのか」キッ

128: 2012/06/29(金) 22:24:02.76 ID:CyUdgn7X0
兵士(ああ、なるほど……そういう事か)

兵士(これで汚職とかなんか色々している連中を炙りだすんだな)

兵士(おまけに今回は改革側の大手柄だからな……国王側も口出し出来ない訳だ)

兵士(確かに市民に対するアピールポイントとしては高得点だろうが)

兵士(肝心の王位交代に繋げるには……国とは国民であるってやつかな?)

兵士(んな事言ったら、現国王はなんだよって話か……やっぱりきつそうだな)

129: 2012/06/29(金) 22:28:48.32 ID:CyUdgn7X0
騎士「これがあまり意味が無いと思っているな?」

兵士「いえいえ、まさかそんな」

騎士「何故、国王側が金で肥えた害虫を潰さずに置いているか分かるか?」

騎士「軍事力という観点からすれば最も害悪でしかない奴らだ」

兵士「……うーん?」

騎士「ああいう奴等は貴族等の出が多い。金で出世して下を出世させるのに金を貰う」

騎士「では一番最初に賄賂として贈られる先は何処だ?」

兵士「国王側……ああ、そういう事か……」

兵士「あれ、であればこれはもしや」

騎士「君のお陰だ……ありがとう、心から感謝する。君はきっと神が我が国に遣わせた者なのだろうな」

兵士(例えでなくそうなんですけどねー)

130: 2012/06/29(金) 22:32:29.87 ID:CyUdgn7X0
衛生兵「もう終わりそう?」

兵士「うーん、国王がどう出るか次第だけども……もう改革までそう遠くない感じかな」

衛生兵「どうして?」クビカシゲ

兵士「色々な賄賂の送り先が明るみに出たのさ。んでその中に、国王の圧政に賛同している連中が多くいるんだ」

兵士「これで国王周辺の強カードは崩れる。残るのは忠誠を誓っている者達だけだ」

衛生兵「改革側と力比べ?」

兵士「今更力比べはできないくらい同程度になっているんじゃないかな?」

兵士「ま、王族の親子水入らずの団欒で決着がついてくれればいいんだけど……」

兵士「いや……まだ問題はあるのか。シーサンドとロックケイブ」

兵士「結局両国共に好戦的であるから、ここがどうにかなってくれないとウェッブリバーだけじゃ任務完了とはいかないんだよなぁ」

132: 2012/06/29(金) 22:36:47.71 ID:CyUdgn7X0
『ロックケイブとウェッブリバーの国境の件お疲れさん』

『ああ、後シーサンドの襲撃もマジで助かったわ』

兵士「そっち今どうなっているんだ?」

『ロックケイブはもう大丈夫だよ。ああ、これもお前のお陰だったな』

衛生兵「なにかしたの?」

『ウェッブリバーに和平を目指す派閥があるってのをロックケイブに伝えてくれたんだ』

『既にシルバースノーとグリーングランドに対し攻撃を行っていたが、先日両国から和平の申し出があってな』

兵士「唐突に和平で納得したのか……」

『ロックケイブが一方的に攻撃していただけだからな。それにどうも両国で手を組んでいたみたいだしな』

133: 2012/06/29(金) 22:40:22.22 ID:CyUdgn7X0
『そんな所にウェッブリバーも王位が替わりそうだし、これ以上強行な姿勢を取ると』

『三ヶ国の連合軍を相手にせにゃならん、て事で諦めざるをえなくなったのさ』

兵士「まーうちはまだまだ分からないけどな」

『そうなのか? ロックケイブがウェッブリバーに放った間者からは、改革ムード真っ只中だって伝えられているぞ?』

兵士(逆に送り込まれていた件っ)

『まー俺より先に来ていた従者なんだけどな』

兵士(やべぇ……人間界に降りたの本気で俺が最後なんじゃ)

143: 2012/06/29(金) 23:18:43.14 ID:CyUdgn7X0
『ああ、後シーサンドについては一部の上層の人間が独断でウェッブリバーを落とそうとしたみたいだ』

『それに対する制裁やらなんやらで色々と揉めているみたいだな』

兵士「後はシーサンドか……」

『つっても次期国王の王子様がシルバースノーの美人さんにご執心らしくてな』

『和平の道を目指さないかと言い寄られてからというもの、国王を説得する日々らしいぞ』

衛生兵「ハニートラップ?」

兵士「否定できないな……」

『そんな訳だから俺達の仕事も後は時間の問題だろうな』

『不穏分子がいたら早急に片付けておくぐらいか。何かそちらからあるか?』

兵士「大丈夫だ。精々王子が暗殺されないように気をつけるよ」

145: 2012/06/29(金) 23:24:43.55 ID:CyUdgn7X0
……
王子「これからはウェッブリバーも……」

兵士(やれやれ……結局片付いたのは一番最後か)

衛生兵(シーサンドの王様替わった)

王子「まだまだ力不足である事は……」

兵士(何にせよこれで天界に帰れそうだ……しばらくゆっくりしたいな)

衛生兵(人間の生活楽しかった)

王子「皆手を取り合って暮らせる……」

146: 2012/06/29(金) 23:28:50.33 ID:CyUdgn7X0
兵士「さっき女神様から手紙がきたんだが、俺らの撤収は今日の夕方だってさ」

衛生兵「新生国王のパーティ……出たかった」ウル

兵士「はいはい、天界でもお疲れ会って事で宴会用意しているってさ」ナデナデ

兵士「それと別れを告げたい人がいれば……素性は明かさないなら会ってきていいってさ」

衛生兵「……お別れ」

衛生兵「……」フルフル

兵士「知り合いが多いんじゃないのか?」

衛生兵「書置きがあるし……泣いちゃってお別れできないと思う」

兵士(この子なんでしっかりしている時と子供っぽい時の差がこんなに激しいんだろう)ナデナデ

148: 2012/06/29(金) 23:33:35.21 ID:CyUdgn7X0
衛生兵「兵士はいいの……?」

兵士「うーん……騎士はお世話になったけど、俺も書置きしてきたからなぁ」

兵士「夕方までのんびり見て回ろうかなって思ってる。もう一時間もないんだけどさ」

騎士「おっ、こんな所にいたのか」

王子「ああ、良かった。式が始まる前に会いたかったのだぞ」

兵士(ありゃー向こうから来ちゃったか)

衛生兵(お別れする?)

兵士(こうなっちゃったらな)

150: 2012/06/29(金) 23:38:40.37 ID:CyUdgn7X0
王子「何かも君達のお陰だ。どのような褒美でもとらせよう」

兵士「褒美だなんて」

衛生兵「私達は世界が平和でありさえすればいいのです」

騎士「全く……君達二人は本当に何者なんだい」

騎士「……兵士」

騎士「これからも我々と共に、この国の為に力を貸して欲しい」スッ

騎士「可能であれば……その私とも……」ゴニョゴニョ

衛生兵(どうするの?)

兵士(いやー……正直嬉しいイベントも混じっているけど、どうするもこうするもないさ)

152: 2012/06/29(金) 23:43:22.41 ID:CyUdgn7X0
兵士「すみませんが……自分はその手を握り返す事ができません」

騎士「兵士……」

王子「何処かに行ってしまうのか? できれば君達にはウェッブリバーに留まって欲しいのだが」

兵士「自分達は元々、長くはいられない身でしたので」

騎士「せめて後一日だけでも……」

兵士「そういう訳にもいきませんので」ボロッ

王子「お前……体が!」

156: 2012/06/29(金) 23:47:41.91 ID:CyUdgn7X0
衛生兵「そろそろ……時間」ボロボロ

兵士「みたいだなぁ……あー素性。不可抗力だよな、これは」ボロボロ

王子「君達は一体……」

兵士「詳しくはお話できませんが、できれば内密にして頂ければ」ボコッ

騎士「人並み外れているとは思っていたが……そうか」

騎士「もう……会う事は出来ないのか?」

兵士「自分達と会う事が無いというのは、良き事の裏付けであるので」ボロ

158: 2012/06/29(金) 23:54:01.63 ID:CyUdgn7X0
騎士「襲撃の時から……何となくそんな気はしていたよ」

衛生兵「王子様……頑張って下さい」ボロ

王子「ああ、君達に報いる為に馬車馬のように働くさ」

騎士「私も……今以上に精進しよう」グス

衛生兵「……そろそろ限界」ボロボロ

兵士「みたいだな……」ボロボロ

騎士「兵士……!」

兵士「騎士様……半年ほどではありましたが、大変お世話になりました」ペコ

161: 2012/06/30(土) 00:02:48.23 ID:npyQ8ivo0
騎士「ああ……私からも、ありがとう」

王子「正しい言葉かは分からないが……君達も達者でな」

兵士「……」ニコリ

衛生兵「……」ペコ


兵;`;:;,',:., . ブァ


;','.` ; .. '


騎士「うぐっ……うぅ」

王子「彼らの為にも未熟な私に力を貸してくれないだろうか?」

騎士「……はい。下より我が剣は……ウェッブリバーに捧げております」

164: 2012/06/30(土) 00:06:38.76 ID:npyQ8ivo0
……
女神「お疲れ様です」

従者「……ふう、本当に疲れましたよ」

女神「本当に皆よく頑張ってくれました。勿論、貴方もね」

従者「……そうですか」

女神「……あら? 人間界が恋しいですか?」

従者「今の今まで向こうで生活していましたし……他者との繋がりもありましたからね」

166: 2012/06/30(土) 00:10:35.80 ID:npyQ8ivo0
……
従者「結局、神々毎に固まっての宴会になってしまったなぁ」

女神「何時もの事じゃないかしら?」

従者「今回、他の神様の従者と接点がもてたから、直接会って話をしたかったのですよ」

女神「人間界に降りて使命を果たした者へは、しばらくの休暇が与えられます」

女神「会いに行ってみればいいのでは?」

従者「わざわざ伺ってまで話す事もないからなぁ……会いたくないのもいるし」

女神「はあ、どんな事情かは分かりませんが……休暇の前に一つ頼みたい事がありまして」

女神「シルバースノウにとっても美味しいケーキがあると噂です。貴方は人間界に降りてこれを……」

従者「謹んでお断り申し上げます」


   女神「人の世が混迷しているようです」  終

168: 2012/06/30(土) 00:12:28.69

169: 2012/06/30(土) 00:13:09.06
おつー
衛生兵ちゃんの真の姿見たかった

引用元: 女神「人の世が混迷しているようです」