1: 2015/11/21(土) 02:49:17.368 ID:xVJko0RYa
亀少女「それから冬眠してる間に甲羅の中を汚すのをやめてくりゃれ」

6: 2015/11/21(土) 03:00:26.564 ID:xVJko0RYa
亀少女「日向ぼっこは日課じゃ、邪魔するでない」

亀少女「ええい近寄るな、上に乗っかるぞ」

亀少女「すまないの、これは本能なんじゃ。おー重そう。日向ぼっこが終わるまでどかないからの」

8: 2015/11/21(土) 03:03:48.685 ID:xVJko0RYa
亀少女「これ、のんきに見ておるでない。ぱーとなーの危機じゃぞ」

亀少女「ええい、わしは先祖と違ってそう首は伸びんのだ。早くひっくり返すがいい」

亀少女「尻尾を触るな、痴れ者!」

10: 2015/11/21(土) 03:13:23.623 ID:xVJko0RYa
亀少女「おお、くらくらするわい。まるで空を飛んでいるようじゃの」

亀少女「なんじゃ、立ってみれば案外小さく見えるもんだの」

亀少女「いや、きっすをするには丁度いい大きさじゃ。しっかり支えておくのじゃぞ」

11: 2015/11/21(土) 03:16:06.436
かわいい

12: 2015/11/21(土) 03:18:20.588 ID:xVJko0RYa
亀少女「なんという有様じゃ、すっかり萎んでおるぞ」

亀少女「わしはまだまだ生きるんじゃ、しっかりして貰わんと困るぞい」

13: 2015/11/21(土) 03:21:53.141 ID:xVJko0RYa
亀少女「大丈夫じゃ、公園がわしを引き取ってくれると言っておる」

亀少女「わしの仲間が沢山いるそうじゃ。がーるずとーくに花を咲かせるかの」

亀少女「子供が出来んかったのが残念じゃのう」

14: 2015/11/21(土) 03:23:24.633
なんで悲しい方に話が行ってるんだよ!もっとイチャイチャしろよ!

15: 2015/11/21(土) 03:33:29.443 ID:xVJko0RYa
亀少女「そう笑うでない、老人を馬鹿にするとバチが降るぞ」

亀少女「撫でても腹の虫は治らんぞ、噛み付いてやろうか」

亀少女「甲羅に抱きつくな、感覚がない。こういう時には手を握るもんじゃぞ」

亀少女「ああ、生きておる。暖かい」

16: 2015/11/21(土) 03:38:17.128 ID:xVJko0RYa
亀少女「重いだろう。どいてやってもいいぞえ」

亀少女「構わぬというなら、しばらくこうして居させてくりゃれ」

亀少女「ひどい夢じゃった。もう二度と見たくない」

亀少女「お主と別れたくない。それが遥か先の出来事であっても」

亀少女「少し見苦しい姿を見せるが、勘弁しておくれ」

亀少女「……ひっ……ひっく……ひぃ……」

18: 2015/11/21(土) 03:46:53.736 ID:xVJko0RYa
亀少女「おんぶ紐とは驚きじゃ。全く、重いだろうに」

亀少女「おお、あの八百屋に寄ってくれ。青々しい野菜が並んでおる」

亀少女「待たんか、あの八百屋だと言っておろうに」

亀少女「なんじゃここは?宝石店……?」

19: 2015/11/21(土) 03:50:53.959 ID:xVJko0RYa
亀少女「全く、そう店の者を困らせるでない。」

亀少女「せっかちじゃの。少しはわしを見習え。わしの指に合う指輪など、そうそうある訳ではあるまいに」

亀少女「大丈夫じゃ。印など必要ない。いや、送りたいと言うのであればやぶさかではないが……」

亀少女「分かった分かった。貴様にはかなわん。嬉しい。凄く嬉しいぞ、我が伴侶よ」

20: 2015/11/21(土) 04:04:27.690 ID:xVJko0RYa
亀少女「……ええい、甲羅を叩くでない!中に響くであろう」

亀少女「分かった、説明するぞ。先日、散歩中にないすばでーの女性と歩いていただろう」

亀少女「なあに、至って自然な事じゃ。同種と結ばれるのが世の摂理。わしは全然怒っとらんぞ。では甲羅に引き篭らせてくりゃれ」スポッ

亀少女「……は、栄養士……?」ニュー

亀少女「……地面に伏せて、口を前に突き出せ」

亀少女「いいからやらんか!そういう気分なんじゃ!」

21: 2015/11/21(土) 04:07:46.473
頭撫でたい

23: 2015/11/21(土) 04:19:10.557 ID:xVJko0RYa
亀少女「おお、感覚はないが分かるぞい。甲羅に艶が出ておるわ」

亀少女「なんだその手は。生身の部分には必要ないぞ」

亀少女「こ、こらっ!きゃっ、し、尻尾は駄目だと言っておろうに!ひっ!」

亀少女「ええい、貴様が悪いのだ。たとえ甲羅が重かろうが知ったことか。好きな事をさせてもらうぞえ」

24: 2015/11/21(土) 04:22:37.275 ID:xVJko0RYa
亀少女「たまに思うのだ。この甲羅を脱いで貴様を抱きしめられたならば、どんなに素晴らしい事か」

亀少女「ふふん、貴様はわしの身体を半分以上触っておらぬぞ」

亀少女「こ、こら!穴の中をいじるでない!く、くしゅぐったいだろう!」

亀少女「あはははっはは!や、やめ、えひゃひゃひゃひゃ!」

亀少女「ええい、腹が立つ!耳を食ってやろう!」カミカミ

26: 2015/11/21(土) 04:25:03.332 ID:xVJko0RYa
亀少女「貴様も随分老いたのう。白髪を染めるがいいぞえ」

亀少女「ああ、目が霞む。足を動かすのもおっくうだ」

亀少女「すまないが……わしの方が先に行くみたいだ」

亀少女「幸せじゃったよ、あなた」

28: 2015/11/21(土) 04:30:11.091 ID:xVJko0RYa
亀少女「んむ……ふわぁ~あ、おはよう……」

亀少女「わしの最後の日じゃ、ぱーてーは盛大にするんじゃろうの」

亀少女「なんだ、あなた。昨日今日にしては少し老いすぎているぞ」

亀少女「……馬鹿者、わざわざそんな事のために私を何年も冬眠させたというのか」

亀少女「いや、本当は……嬉しいぞ、とても……」

亀少女「手を握って、頭を撫でてくりゃれ……」

亀少女「ああ、皺まみれだが、昔と変わらぬ……暖かくて優しい手じゃ」

亀少女「おやすみ……もうすぐわしもそちらに……」

29: 2015/11/21(土) 04:34:16.598 ID:xVJko0RYa
彼が氏んで五分後に、彼女は甲羅に引きこもり、やがて医師によって氏亡が宣告された
生前の男の遺言により、彼と彼女は同じ骨壷に入り、同じ墓に埋められた
二人は時が流れるスピードに逆らい、自分達の道を開いた
願わくば彼らの魂が、あの世でも安らかであらん事を……

おわり

30: 2015/11/21(土) 04:35:03.946

33: 2015/11/21(土) 04:52:01.275
泣いた

引用元: 亀少女「こりゃ、暖房を入れんか。寒いぞ」