1: 2012/03/11(日) 18:49:59.55 ID:geclWrXx0
恭介「幼馴染だよ、幼馴染」

まどか「えっと……さやかちゃんのこと?」

恭介「うん」

まどか(今日、さやかちゃんが用事あるから上条くんに伝えてって言われて来たんだけど……)

まどか(すごい哲学的なことを聞かれてる気がするよ……)

恭介「鹿目さんも知ってる通り、僕とさやかは幼馴染って呼ばれる間柄だよね?」

まどか「う、うん、そうだね」

恭介「入院生活を続けてるとホントに暇でさ、色んなことを考えるんだよ」

恭介「それで、幼馴染ってなんなんだろうなぁ……って思ってさ」

まどか(やっぱり哲学的だよっ!)

2: 2012/03/11(日) 18:55:38.89 ID:geclWrXx0
まどか「よくわかんないんだけど、幼馴染は幼馴染じゃないのかな?」

恭介「まぁ確かにそうなんだけど……」

まどか「親しい友達、みたいな感じじゃないのかな?」

恭介「うーん……でも、僕とさやかが友達って言われても、イマイチぴんと来ないんだよね」

まどか「むつかしくてよくわかんないよ……」

恭介「かと言って、友達じゃないのかと言われたら、それも違うんだよね」

まどか「そ、そうだね」

恭介「やっぱり僕とさやかの間柄を言い表すとしたら、幼馴染って呼ぶのが一番しっくり来るんだよ」

まどか(どうしよう……上条くんが何を言いたいのかよくわからなくなってきたよ)

3: 2012/03/11(日) 18:59:41.84 ID:geclWrXx0
恭介「僕が言いたいのは、最上級としての間柄はなんなのかなってことさ」

まどか「え」

恭介「友達と親友だったら、親友の方が位は上って感じだよね?」

まどか「わたしとさやかちゃんの事だね!」

恭介「そうだね、さやかも鹿目さんのことは親友だって言ってる」

まどか「でも、親友よりは幼馴染の方が上って感じはするかな」

恭介「うーん……」

まどか「上条くんは、わたしの知らない昔のさやかちゃんを知ってるんだよね?」

恭介「そうだね。ホントに小さい頃からの付き合いだから」

5: 2012/03/11(日) 19:04:30.00 ID:geclWrXx0
まどか「それで、えっと……最上級の間柄、だったっけ?」

恭介「うん。やっぱり幼馴染がそうなるのかな?」

まどか「その……こ、恋人……が、それになるんじゃない……の、かな?」

恭介「え?」

まどか「だって、上条くんは男の子だし、さやかちゃんは女の子だよ?」

恭介「!?」

まどか「だったら、その……それが、一番の間柄、なんじゃないのかな……?」

恭介「え、あ、あぁ……そ、そうだったね」

まどか(なんでちょっと焦ってるんだろう?)

7: 2012/03/11(日) 19:07:27.54 ID:geclWrXx0
恭介「………」

まどか(上条くん、なんだか考えこんでるみたいだよ……)

恭介「……ふむ……」

まどか「で、でも、幼馴染ってことはホントに昔からの付き合いなんだよね?」

恭介「そうだね」

まどか「なら、友達って言うよりは家族って認識の方が正しいのかな?」

恭介「家族……」

まどか「兄妹?みたいな感じだよ」

恭介「僕が兄?」

まどか「さやかちゃんは妹って感じがするんだよね」

恭介「あー、なんとなくわかるかも」

9: 2012/03/11(日) 19:11:49.44 ID:geclWrXx0
まどか「あまりに近すぎて、異性としての認識があんまりないみたいな」

恭介「確かにそうだね。僕も、さやかと話してる時はすごい自然体な感じがするかな」

まどか「さやかちゃんも、上条くんの話をするときは嬉しそうにしてるよ」

恭介「学校でのさやかは、僕もしばらく知らないからな……」

まどか「退院の目途はまだ立ってないの?」

恭介「うん。手がこんな感じになっちゃったから、松葉杖を使って歩くってことも出来ないんだよ」

まどか「それじゃ、何も無しで歩けるようになってから退院ってことになるんだね」

恭介「そうだね。誰かが肩を貸してくれるんなら歩けるんだけど……」

まどか「それこそ、さやかちゃんの出番なんじゃないのかな」

恭介「え?」

まどか「さやかちゃん、上条くんのこと本当に心配してるみたいだから」

11: 2012/03/11(日) 19:14:32.27 ID:geclWrXx0
恭介「……ありがたいものだね。僕がどんなになっても、心配してくれるのって」

まどか「もちろん、わたしも心配してるよ。それに、クラスのみんなもね」

恭介「そっか……それなら、頑張ってリハビリして一日も早く退院出来るようにならないと」

まどか「応援してるよ、上条くん」

恭介「今日は来てくれてありがとう、鹿目さん。さやかにもよろしく言っておいて」

まどか「うん、わかったよ。それじゃね、上条くん」スタスタ ガララ

恭介「ふぅ……」

恭介「……さやかが持ってきてくれたCDでも聴こうかな……」カチッ

12: 2012/03/11(日) 19:17:48.79 ID:geclWrXx0
翌日―――

ガララ

さやか「やっほ、恭介」

恭介「さやか。今日は来れたんだね」

さやか「ん。昨日はゴメンね、急用が入って来れなかったんだ」ストン

さやか「代わりってわけじゃないけど、昨日はまどか来たよね?」

恭介「うん、来てくれたよ」

さやか「まどかとどんな話してたの?」

恭介「え、あ、それはえっと……」

さやか「?」

恭介(さやかの話をしてたなんて言うの、ちょっと恥ずかしいな……)

恭介「た、他愛ない話だよ。最近学校で何があったとか、そんな話」

13: 2012/03/11(日) 19:20:55.76 ID:geclWrXx0
さやか「そかそか」

恭介「たまに来てくれる人がいると、楽しいものがあるね」

さやか「あたしだけじゃ、やっぱり寂しい?」

恭介「いや、そんなことはないよ!ただ、普段あんまり話をしたことがないからさ、鹿目さんとは」

さやか「ん~……恭介が言ってくれれば、他にもあたしの友達、来てくれるようにお願いしてあげるよ?」

恭介「いいのかい?」

さやか「退屈だろうなってのはよくわかってるつもりだからね」

恭介「それじゃ、お願いしようかな」

さやか「了解了解。さやかちゃんの友達の多さを羨ましがるといいよ!」

15: 2012/03/11(日) 19:23:59.28 ID:geclWrXx0
さやか「まずはほむらからだね」

ほむら「まずはって言い方が気になるわね」

さやか「まぁまぁ、そうつんけんしないでよ。ほむらだって、一時期入院してたんでしょ?」

ほむら「ええ、そうね」

さやか「だったら、入院生活の退屈さってのをよくわかってるんじゃない?」

ほむら「確かにそうだけれど……わたし、上条恭介とは直接の面識、ないのよ?」

さやか「転校生と休学中の生徒だもんねぇ……接点は薄いよね」

ほむら「それでも構わないのなら、行ってもいいのだけれど……」

さやか「恭介にお願いされちゃったからね。お願いしますほむらさん!」オガミ

ほむら「……仕方ないわね」

さやか「さっすが、ほむらは話がわかるね!」

17: 2012/03/11(日) 19:26:34.97 ID:geclWrXx0
コンコン

恭介「はい、どうぞ」

ガララ

ほむら「こ、こんにちは」

恭介「さやかから話は聞いてるよ。僕の入院中に転校して来た、暁美ほむらさん……だよね?」

ほむら「あら、一応話は通っているのね」

恭介「僕がお願いした立場だからね」

ほむら「そう。………」ストン

恭介「………」

ほむら(か、会話が途切れてしまったわ……)

20: 2012/03/11(日) 19:31:02.70 ID:geclWrXx0
恭介「さやかから聞いたんだけど、さ」

ほむら「え、えぇ。何かしら?」

恭介「暁美さんも、入院していたって」

ほむら「……ああ、その話ね」

恭介「失礼じゃなければ、その辺りの話を聞きたいかな」

ほむら「いいわよ。と言っても、難しい話ではないけれどね」

ほむら「わたし、生まれつき心臓が弱かったのよ。この町には、療養としてってことになるわね」

恭介「そうだったんだ。苦労、したんだね」

ほむら「今はもうすっかりよくなったの。おかげで学校に通うことも出来ているわ」

21: 2012/03/11(日) 19:34:48.03 ID:geclWrXx0
恭介「僕も、早く学校に復帰したいなぁ」

ほむら「今度は上条の番よ」

恭介「え?」

ほむら「事故にあった、という話だけはさやかから聞いて知っているのだけれど……その後はどうなの?」

恭介「ああ……。もう、ダメだよ」

ほむら「……」

恭介「僕の手は、もう再起不能さ。重い物を持つことさえできない、役立たずの左手だ」スッ

ほむら(実際に見せてもらうのは初めてね……酷い傷跡が残っているわ)

恭介「お医者様に申告されたばかりの時は、もう何もかもダメだって思ったけれど……今は、立ち直ったと言えば嘘になるけれど……」

恭介「それでも、これが僕の運命だったのかな、って、受け入れる気にはなってきたかな」

23: 2012/03/11(日) 19:38:57.72 ID:geclWrXx0
ほむら「あなたは……強いのね」

恭介「はは、強くなんてないよ。さやかから聞いていない?僕に、やつあたりされた……って」

ほむら「いえ?何も聞いていないけれど」

恭介「え?」

ほむら「そんなことがあったの?」

恭介「………うん。申告された日の夕方にもね、さやかはお見舞いに来てくれてたんだ」

恭介「その時は、本当に目の前が真っ暗で……何もかもが煩わしかった」

恭介「ヴァイオリンを弾けなくなった僕に、変わらずCDを聴かせようとするさやかさえ……ね」

25: 2012/03/11(日) 19:42:26.14 ID:geclWrXx0
ほむら「………」

恭介「それで、ついやつあたりしちゃったんだ。今思えば、あの時完璧に見捨てられていてもおかしくなかったよね」

ほむら「……仕方ないわよ。自分の大切なものが目の前から無くなってしまうなんて、誰でも受け入れがたいものだわ」

恭介「……そうかな」

ほむら「そして、それでも受け入れるのが普通なのよね」

ほむら「わたしには、その普通が羨ましいわ」

恭介「え?」

ほむら「わたしは……自分の大切なものが目の前から無くなると知ったら、いつも逃げて来たもの」

27: 2012/03/11(日) 19:46:42.67 ID:geclWrXx0
恭介「暁美さん……?」

ほむら「何回も、何回も。受け入れるべき事実を受け入れず、逃げ続けて来た」

ほむら「……こんなこと、普通なら許されることじゃないわ」

恭介「………」

ほむら「それが出来るあなたは、やっぱり強いわよ」

恭介「……ありがとう」

ほむら「ごめんなさい、少し愚痴っぽくなってしまったわね」

恭介「いや、気にしていないよ。そっか、やっぱり、人には人それぞれの悩みがあるんだね」

ほむら「そうね。わたしもそうだし、あなたもそう。まどかにだってあるでしょうし、さやかにも……」

恭介「……?」

ほむら「……いえ、なんでもないわ」

30: 2012/03/11(日) 19:50:45.29 ID:geclWrXx0
ほむら「それじゃ、そろそろ帰るわ」スック

恭介「うん、ありがとう暁美さん」

ほむら「こちらこそ、いい話を聞かせてもらったわ」

ほむら「あなたも、一日も早く退院出来るといいわね」

恭介「うん、頑張るよ。次会う時は、学校の教室かな?」

ほむら「そうなることを祈っているわ」スタスタ ガララ


恭介「……逃げ続けて来た、か」

恭介「僕に、逃げ道なんてあるのかな……」

31: 2012/03/11(日) 19:54:09.99 ID:geclWrXx0
さやか「ほむら、恭介と話してどうだった?」

ほむら「彼は、強いわね」

さやか「……」

ほむら「自分の運命を、必氏に受け入れようとしている。わたしには出来なかったことを、彼は一生懸命やろうとしている」

ほむら「っ………わたしには、彼は少し眩しすぎたようね」ゴシゴシ

さやか「ほむら……」

ほむら「わたしの本来の運命は……もう、終わっているようなものなのよ。あの時、まどかが氏んじゃった時に……」

ほむら「今のわたしは、その運命から逃げて来た弱者」

さやか「そんなこと、ないと思うけどな」

33: 2012/03/11(日) 19:57:23.37 ID:geclWrXx0
さやか「ほむらは逃げたんじゃなくて、まどかとの約束を守る為に奔走してたってだけだよ」

ほむら「そう言ってくれると、ありがたいわね」

さやか「第一、しんみりしてるほむらなんてほむららしくないって!いつも通り、すまし顔で『愚かね、美樹さやか』くらい言ってくれなきゃ」

ほむら「ひと言余計なのよ、あなたは」

さやか「あはは、少しは調子戻ってきた?」

ほむら「……ええ、そうね。彼を……支えてあげなさい、さやか」

さやか「言われなくっても。幼馴染、だしね」

ほむら「………」

35: 2012/03/11(日) 20:00:14.78 ID:geclWrXx0
さやか「次は杏子にお願いしたいんだけど……」

杏子「あたし、ほむら以上に接点ねぇんだけど?」

さやか「うむ……でも、恭介のお願いだからね」

杏子「あたしが上条のお見舞いに行くことで、メリットはあるんだろうな?」

さやか「イケメンと二人っきりで話が出来る!」

杏子「………」

さやか「………ごめん、冗談。ロッキーおごるからさ、頼まれてくれないかな?」

杏子「はぁ……仕方ねぇな」

36: 2012/03/11(日) 20:03:13.97 ID:geclWrXx0
コンコン

恭介「はい、どうぞ」

ガララ

杏子「お邪魔するぜ」

恭介「佐倉杏子さん、だよね。キミの話も、さやかから聞いているよ」

杏子「どうせロクなことじゃねぇだろ?」ストン

恭介「まさか。学外の友達が出来た、ってよろこんでたよ」

杏子「お、おう……なんか意外だな」

恭介「でも、見たところ僕たちと変わらないくらいの歳だよね?」

39: 2012/03/11(日) 20:06:20.33 ID:geclWrXx0
杏子「そうだな。お前やさやかとは同い年だ」

恭介「学校、通ってないのかい?」

杏子「色々とあってな……今は気ままなホームレス生活さ」

恭介「……迷惑じゃなければ、その辺りの話を聞きたいんだけど」

杏子「ここに来る時点であたしには一定以上の迷惑がかかってるわけだけど?」

恭介「………」

杏子「なんてな、冗談だ。ちっと重い話になるけど……いいか?」

恭介「うん、お願い」

41: 2012/03/11(日) 20:10:31.46 ID:geclWrXx0
~~~

杏子「……」

恭介「……」

杏子「…おい、なんか言えよ」

恭介「え、あ、ゴメン。その……予想以上に重い話だったもので……」

杏子「気にすんな、予想通りの反応だよ」

恭介「……佐倉さんも、大変だったんだね」

杏子「これがあたしの運命みたいなもんさ。もうあんま気にしてねぇよ。今は今で楽しんでるからな」

杏子「さて、次はあんただ。あんたにも、色々と話すことがあんだろ?」

恭介「僕の話は、キミほど重い話ではないから安心して聞いてくれていいよ」

杏子「なんか引っ掛かる言い方だな……」

42: 2012/03/11(日) 20:14:57.94 ID:geclWrXx0
~~~

杏子「はぁ……ヴァイオリン、ねぇ」

恭介「大好きなものだっただけに、やっぱりショックは大きいかな」

杏子「でも、よかったじゃねぇか」

恭介「え?」

杏子「さやかみたいに、側で支えてくれる人がいるってのは、幸せなことだぞ?」

恭介「そう、だね……ホント、ありがたいよ、さやかの存在は」

杏子「お前にとって、さやかはどんな存在だよ?」

恭介「うーん……安心して寄りかかることのできる、幼馴染ってところかな」

杏子「幼馴染、か……」

43: 2012/03/11(日) 20:19:14.00 ID:geclWrXx0
杏子「でもな、忘れんなよ?」

恭介「え?」

杏子「あいつにだって、当然ながら人並みの悩みがある。お前がさやかに甘えるのは勝手だろうけど」

杏子「……たまには、逆にさやかを支えてやるくらいの気持ちを持てってことだ」

恭介「さやかの悩み……?」

杏子「それはあたしの口から言うべきことじゃねぇ。お前が気付いてやるか、さやかが話してくれるかを待つことだな」

恭介「……うん。そうだね」

杏子「付き合いが長いんなら、それくらいは出来るだろ?」

恭介「頑張ってみるよ」

45: 2012/03/11(日) 20:23:34.87 ID:geclWrXx0
杏子「男なんだから、しゃきっとしろよ!」バンッ

恭介「うわっ……と……」

杏子「っと、わりぃ」

恭介「はは、大丈夫だよ。今のは、『さやかに負担をかけ過ぎるな』っていう喝だってことで受け取っておくよ」

杏子「ん!そんだけ言えるんなら、大丈夫だな!」ニカッ

恭介「さやかの悩み、か。言われるまで、考えたこともなかったな」

杏子「……まぁ、無理はねぇだろうけどな。今は上条も、自分のことで精いっぱいだろうし」

恭介「支えてあげて、支えられて……それが、僕とさやかの理想の関係ってことになるのかな?」

杏子「そうだな。さやかも、そうなることを望んでると思うぞ?」

46: 2012/03/11(日) 20:26:07.04 ID:geclWrXx0
杏子「んじゃ、帰るかな」

恭介「ありがとう、佐倉さん」

杏子「おう!あんたも、頑張れよな!」スタスタ ガララ


恭介「……幼馴染、か」

恭介「やっぱり、僕は幸せ者なのかな」

47: 2012/03/11(日) 20:29:15.47 ID:geclWrXx0
さやか「ありがと、杏子。どうだった、恭介と話して?」

杏子「いい男じゃねぇか。ちっとばかり、頼りない気もするけどな」

さやか「療養中の人に求める物じゃないよ、それ!」

杏子「男なら、もっとしゃきっとしろってな」

さやか「杏子と一緒になる人は苦労するだろうねぇ……」

杏子「はん、あたしに釣り合う野郎が現れりゃいいけどな」

さやか「ホントに苦労しそうだよ……」

杏子「さやかも、少しはあいつを頼ってやれよ?」

さやか「え?」

杏子「あたしからは、そんだけだよ」

48: 2012/03/11(日) 20:32:48.82 ID:geclWrXx0
さやか「お次はマミさん!」

マミ「美樹さんの幼馴染、ね。わたしとも接点はないようなものだけれど……」

さやか「そこをどうにか!」

マミ「まぁ、美樹さんからのお願いだから聞いてあげるけれど……」

さやか「ありがとう、マミさん!」

マミ「でも、会話は続くのかしら……?」

さやか「恭介も、暇してるだろうからどんな話でも喜んで聞いてくれますよ」

マミ「深く考えない方がいいってことなのかしら……」

49: 2012/03/11(日) 20:35:44.53 ID:geclWrXx0
コンコン

恭介「はい、どうぞ」

ガララ

マミ「こんにちは、上条くん」

恭介「さやかから話は聞いています。僕たちの学校の先輩だ、って。巴マミ先輩、ですよね?」

マミ「ええ、そうよ」ストン

恭介「さやかから、僕のこと聞いてますよね?」

マミ「美樹さんの幼馴染で、今は事故にあって入院中、という話くらいしか聞いていないわね」

恭介「それで大体合ってます」

50: 2012/03/11(日) 20:38:38.53 ID:geclWrXx0
マミ「お見舞いに、ケーキを持って来たのだけれど……大丈夫かしら?」

恭介「食事制限とかはされていないので、大丈夫ですよ」

マミ「それじゃ、はい」

恭介「ありがとうございます!」

マミ「わたしお手製のケーキなのよ。よければ、感想を聞かせてくれないかしら?」

恭介「今食べてもいいんですか?」

マミ「いいわよ」

恭介「それじゃ、失礼して……」シュルッ

恭介「……す、すごい。お店で並んでるような感じのケーキですね」

マミ「うふふ、ありがとう」

53: 2012/03/11(日) 20:41:52.19 ID:geclWrXx0
恭介「い、いただきます」

マミ「どうぞ、召し上がれ」

恭介「ムグムグ……」

マミ「どうかしら?」

恭介「………お、おいしい……です」

マミ「少し甘さを押さえているのだけれど……」

恭介「これくらいの甘さの方が食べやすくていいですよ!うん、おいしい!」ムグムグ

マミ「あまりがっつきすぎると喉つかえるわよ?」

恭介「んむっ……ゴクンッ。ごちそうさまです」

マミ「見ていて気持ちのいい食べっぷりね。やっぱり、男の子ね?」

恭介「恐縮です……」

54: 2012/03/11(日) 20:45:54.76 ID:geclWrXx0
マミ「美樹さんから聞いたのだけれど……事故で、手を怪我したのよね?」

恭介「はい、そうです」

マミ「失礼でなければ、見せてもらってもいいかしら?」

恭介「? いいですけど……」スッ

マミ「………ふむ」ギュッ

恭介「っ……巴、さん?」

マミ(握力に影響が出る程の傷だから、ある程度は予測していたけれど……思った以上に傷は深いようね)

恭介「えっと、あの……」

マミ「ああ、ごめんなさい。派手に傷跡、残っているのね」

恭介「……僕の、ヴァイオリニストとしての運命を断ち切った傷ですからね。もう、この傷跡は消えることはないみたいです」

57: 2012/03/11(日) 20:49:26.53 ID:geclWrXx0
マミ「………もし……もしもの話よ?」

恭介「? は、はい……?」

マミ「あなたの傷を治すだけの奇跡を起こすことが出来るとして、それの対価としてあなたの身近な人が大変な目に合うとして……」

マミ「あなたは、その奇跡を起こしてほしいと思う?」

恭介「……どういう意味、ですか?」

マミ「言ったままの意味よ。あなたの身近な人……仮に、美樹さんとしましょうか」

マミ「彼女が大変な目に合うとして、それでもあなたはその奇跡を望む?」

恭介「………」

恭介(なんだか、軽々しく答えていいような質問じゃないような気がするな……)

60: 2012/03/11(日) 20:53:47.93 ID:geclWrXx0
マミ「………」

恭介「そうですね……。僕の手は、現代の医学では治らないという話は聞いていますか?」

マミ「ええ、聞いているわ」

恭介「それを宣告されたのが、ひと月前なんですけれど……それを宣告されたばかりの頃だったら、望んでいたかもしれないですね」

マミ「……今、は?」

恭介「今は、そうですね。これが僕の運命だったんだな、って、受け入れることが出来そうだから……」

恭介「……さやかが大変な目に合うのならば、そこまでして治したい、とは思えないですね」

マミ「………」

恭介「彼女は、僕の大切な幼馴染ですから。大変な目には、合わせたくは無い、ですね」

62: 2012/03/11(日) 20:57:45.44 ID:geclWrXx0
マミ「そう」

恭介「それが、どうかしたんですか?」

マミ「これで、あなたがその奇跡を望む、と言っていたら、わたしはあなたを見捨てていたでしょうね」

恭介「……はぁ…?」

マミ「合格、ってところよ、上条くん」

恭介「なんだかよくわからないですけど……ありがとうございます」

マミ「もう一度、左手を差しだしてくれるかしら?」

恭介「? は、はい……」スッ

マミ「これは、あなたが美樹さんを大切に思う気持ちに対する、ほんのちょっとの奇跡よ」ギュッ パァァァ

恭介「っ………?」

64: 2012/03/11(日) 21:01:50.01 ID:geclWrXx0
マミ「……はい、おしまい」パッ

恭介「あ、あの……今、何かしました?」

マミ「わたしは何もしていないわ。ああ、そうそう。あなた、知ってるかしら?」

マミ「この世界にはね、奇跡も魔法も、あるのよ?」ニコッ

恭介「……さやかも、同じような事を言っていたような気がします」

マミ「美樹さんが?」

恭介「はい。なんだろう、直接聞いたってわけじゃないんですけど……なんとなく、そんな気が」

マミ「………そう、だったの」

恭介「……?」グッグッ

67: 2012/03/11(日) 21:05:01.55 ID:geclWrXx0
マミ「左手がどうかしたかしら?」

恭介「……いえ、多分気のせいです」

マミ「……ふふ、頑張ってね、上条くん?」

恭介「は、はい……?」

恭介「あ、そうだ」

マミ「?」

恭介「巴先輩にも聞いておきたいんですけど……」

恭介「幼馴染って、なんなんでしょうね?」

マミ「えっ?」

69: 2012/03/11(日) 21:08:11.49 ID:geclWrXx0
恭介「僕とさやかの関係を、一番現す言葉だ、とは思っているんですけど……」

恭介「なんだか、最近はそれにも少し違和感を感じるようになりはじめまして」

マミ「………」

恭介「僕、何かおかしいこと言っていますかね?」

マミ「そうね、言っているわ」

恭介「うーん……なんなんでしょうか……」

マミ「あなたにとって、美樹さんはただの幼馴染、というだけではないと言うこと?」

恭介「……そう、ですね。暁美さんや佐倉さんとも話しているうちに、なんだかそんな気がし始めまして」

73: 2012/03/11(日) 21:12:30.13 ID:geclWrXx0
マミ「……ふふ、長い入院生活は、あなたにとっても美樹さんにとっても無駄なものじゃなかったのかもしれないわね」

恭介「……?」

マミ「失った時間は取り戻すことは出来ないけれど……これから、いくらでも新しい時間を刻んでいくことは出来るわ」

マミ「あなたも、早くに気付くことが出来ればいいわね?」

恭介「……はい……?」

マミ「もうこんな時間になるのね。そろそろ帰るわ」

恭介「あ、はい。ありがとうございました、巴先輩」

マミ「ええ。……リハビリ、頑張ってね?」ニコッ スタスタ ガララ


恭介「……」グッグッ

恭介「なんだろう、巴先輩に握ってもらってからやけに左手の調子がいいような……」グッグッ

76: 2012/03/11(日) 21:16:31.32 ID:geclWrXx0
さやか「マミさん、ありがとうございます。恭介、どうでした?」

マミ「とってもいい子ね。あなたが好きになる理由、なんとなくわかった気がするわ」

さやか「えっ!?い、いやそれはその……」

マミ「あら、もしかしてあなた、自分の気持ち、周りの人に知られていないとでも思っていた?」

さやか「え、あ、えとえと……~~……はい……」

マミ「ふふ、感情を隠すのは下手なのね、美樹さんは」

さやか「……~~~……もうっ!マミさんは恭介のこと、好きになったらダメですよっ!?」

マミ「心配しなくっても、あなたの上条くんを取ったりしないわ」

さやか「あ、あたしのじゃないですよっ!!」

78: 2012/03/11(日) 21:20:12.84 ID:geclWrXx0
数日後―――

ガララ

さやか「やっほ、恭介!お見舞いに来たよ!」

恭介「さやか。なんだか、ノック無しでドアを開けられたの、ずいぶんと久しぶりに感じるよ」

さやか「むっ、どういう意味さ?」

恭介「鹿目さんや暁美さん、佐倉さん、巴先輩は入る前にノックしてから入ってきたよ?」

さやか「だって、ほとんど毎日来てるんだもん、ノックなんてめんどくさいじゃん」

恭介「はは、まぁ、気持ちはわからなくもないけどね」

さやか「全くもう……」ストン

恭介「………」

さやか「……?恭介?」

80: 2012/03/11(日) 21:23:43.76 ID:geclWrXx0
恭介「ん、何?」

さやか「なんか……あったの?」

恭介「……まぁ、色々とね」

さやか「気になる言い方して……話してみなよ」

恭介「…………僕の手、なんだけどさ」

さやか「!」

恭介「昨日、また精密検査をしたんだよ」

さやか「……そ、それで?」

恭介「なんだか、お医者様もすごく驚いててさ……何かあったのかなって思って、聞いてみたんだ」

81: 2012/03/11(日) 21:28:39.63 ID:geclWrXx0
さやか「………ゴクッ」

恭介「傷跡の下……神経にまで届いてた傷が、癒えかけてるらしいんだ」

さやか「え?」

恭介「この派手な傷……僕の神経もズタズタにしたはずなんだけどね」

さやか「ど、どういうことっ?」

恭介「僕も難しい話はわからないんだけど……簡単に言うなら」

恭介「今後のリハビリ次第では、完全にではないけれど、握力が戻るかもしれないんだってさ」

さやか「嘘っ!?」

恭介「本当だよ」

87: 2012/03/11(日) 21:33:06.13 ID:geclWrXx0
さやか「え、そ、それじゃ……」

恭介「……うん。また、ヴァイオリン、弾けるようになるかもしれない」

さやか「左手、左手見せて!」ガバッ

恭介「う、うわっ!?」ガシッ

さやか「………」

恭介「さ、さやか?」ドキドキ

さやか「見ただけじゃわかんない……」

恭介「あはは、そりゃそうだよ。レントゲン写真でようやくわかるくらいなんだから」

さやか「でも、そっか……そしたら、また恭介のヴァイオリンの演奏を聴くことが出来るんだね」

恭介「まだ、確定したわけじゃないけどね」

88: 2012/03/11(日) 21:36:39.97 ID:geclWrXx0
さやか「……それでも、よかった。よかったよっ……グスッ」ウルウル

恭介「さやかっ?なんでキミが涙目になってるのさっ?」

さやか「っ……バカ。女の子の泣き顔なんて、見ないでよ……」

恭介「ごっ、ごめんっ!」バッ

さやか「………っ」ゴシゴシ

恭介「……………ありがと、さやか」ボソッ

さやか「……? なんか言った、恭介?」

恭介「ううん、なんでもない」

90: 2012/03/11(日) 21:39:38.97 ID:geclWrXx0
さやか「……もう、こっち向いてもいいよ、恭介」

恭介「う、うん……」オソルオソル

さやか「………」

恭介(さやか、まだ目が赤い……)

さやか「……何さ、人の顔、マジマジと眺めて」

恭介「えっ?あ、いや、なんでもないよ、うんっ!」

さやか「どうせ、あたしの目が赤いって思ってるんでしょ?」

恭介「うっ……ま、まぁ、うん」

さやか「当たり前でしょ……どんだけ恭介の事、心配してたと思ってるのさ……」ギュッ

恭介「……さやか……っ」

91: 2012/03/11(日) 21:43:45.34 ID:geclWrXx0
さやか「それなら、リハビリの道具とか、用意しないとね」

恭介「うん、そうだね。頑張ってリハビリして、またヴァイオリンを弾けるようにならないとね」

さやか「そういうことなら、さやかちゃんに任せといて!」

恭介「……ホント、ありがとね、さやか」

さやか「なに水くさいこと言ってんのさ!あたしたち、幼馴染でしょ?」

恭介「…………幼馴染、か」

さやか「?」

恭介「今ほど、この言葉が響いたことはなかったよ」

さやか「ど、どういうことさ?」

92: 2012/03/11(日) 21:46:45.41 ID:geclWrXx0
恭介「ねぇ、さやか」

さやか「な、何?」

恭介「幼馴染って、なんなんだろうね」

さやか「え?」

恭介「確かに、僕とさやかは幼馴染だよね」

さやか「う、うん、そうだけど……?」

恭介「でもさ、最近、その言葉に違和感を覚え始めているんだよね」

さやか「あたしと恭介が、幼馴染、っていうことに?」

恭介「うん」

94: 2012/03/11(日) 21:49:41.67 ID:geclWrXx0
さやか「え、で、でも……」

恭介「鹿目さんにも、同じことを聞いたんだよね」

さやか「………」

恭介「そしたら、最初は『親しい友達』だって言ってた」

さやか「うーん……それは、むしろ親友って言うんじゃないのかな」

恭介「うん。でも、僕とさやかが親友って言われても、イマイチぴんと来ないんだよ」

さやか「そう、だね。あたしも、恭介と親友って言われてもちょっとパッと来ないかな」

恭介「さやかにとっての親友は、僕と言うよりは鹿目さんだよね?」

さやか「そだね。まどかはあたしの親友だよ」

95: 2012/03/11(日) 21:53:05.63 ID:geclWrXx0
恭介「それで、最上級の関係ってなんなのかな、っていう話になったんだ」

さやか「さ、最上級……?」

恭介「うん。僕とさやかは、友達でもない、親友でもない、それに幼馴染でもないとなったら一体どういう関係なのかな、って思って」

恭介「そう考えると、最上級の関係が一番適してるんじゃないかな、って思って」

さやか「最上級の関係……っ」カァァァ

恭介「結局、その時は鹿目さんは『家族、兄妹みたいな関係』って言ってくれた」

恭介「僕も、ああ確かにそうかもな、って思ったんだ」

さやか「家族……」シュンッ

97: 2012/03/11(日) 21:56:11.89 ID:geclWrXx0
恭介「でも、今はまた違うかな」

さやか「ち、違う……?」

恭介「ここからは、僕の中で出た結論であって、まださやかには認めてもらえるなんて思ってないけれど……」

恭介「当たり前の事だけど、僕は男で、さやかは女の子だよね」

さやか(……恭介があたしのこと、『女の子』って言ってくれるの、考えてみたら初めてかも……)

恭介「その上で、家族、兄妹でもないとなったなら……あとは、ひとつしか残ってなかった」

さやか「………っ」

恭介「それは、『恋人』だよ」

100: 2012/03/11(日) 22:00:15.71 ID:geclWrXx0
さやか「っ!!」

恭介「……なんか、告白っぽくないけれど。実際、僕はさやかに告白しているつもりはないしね」

さやか「あ、え、そ、その……」

恭介「でも僕は多分、さやかとの関係はそういう関係を求めてるんだな、って思った」

さやか「っ………」

恭介「……ゴメン、急にこんなこと言っても、さやかを困らせるだけだよね?」

さやか「そ、そんなこと!」

恭介「わかってるよ。さやかは僕の事、ただの幼馴染としてしか見てないよね?」

さやか「……~~……」

恭介「今言ったことは、忘れてくれて構わないよ。僕が勝手にそう思ったってだけだから」

102: 2012/03/11(日) 22:04:09.28 ID:geclWrXx0
さやか「忘れられるわけ、ない!」

恭介「さ、さやか?」

さやか「バカっ!ホントにバカだよ、恭介っ!」

恭介「……」

さやか「あたしが今まで、どういう気持ちで恭介のお見舞いに来てたと思うのさっ!」

恭介「さやか……?」

さやか「あ、あたしは……あたしだって!恭介と、そういう関係になれたらな、って、ずっと思ってたっ!」

恭介「!」

さやか「……き、だよ……好き、だよ恭介っ……!」ギュゥゥッ

恭介「………さやか」

103: 2012/03/11(日) 22:08:55.39 ID:geclWrXx0
さやか「ずっとっ!恭介のこと、好きだったよっ!」

さやか「ただの幼馴染としてしか見てないなんて、そんなわけないよっ!」

恭介「………ありがとう、さやか」ギュッ

さやか「……っ」

恭介「うん。僕も、さやかの事、好きだ」グイッ

さやか「っ!」グラリ

恭介「そっか……知らないうちに、僕たち、両思いになってたんだね」ダキッ

さやか「……恭介……ぇっ……」ポロポロ

恭介「今は、顔、見たらダメだよね?」

さやか「っ……当然だよっ……女の子の泣き顔は、見たらダメなんだからっ……」ギュゥゥゥ

107: 2012/03/11(日) 22:13:50.61 ID:geclWrXx0
~~~

恭介「………」

さやか「………っ」カァァァ

恭介「な、なんか言ってよさやか」

さやか「バカっ……」

恭介「はは……さっきから、バカとしか言われてない気がするよ」

さやか「バカバカバカ!」

恭介「バカでも結構。こうして、幼馴染から更に一歩、進むことが出来たんだもんね」

さやか「……大バカ」

恭介「大バカでも結構だよ」

さやか「それじゃ、その………あ、あたしと恭介は……」

恭介「うん。今から僕たちの関係は『幼馴染』じゃなく、『恋人』だね」

108: 2012/03/11(日) 22:17:37.59 ID:geclWrXx0
さやか「……うん」ギュッ

恭介「……少し前までだったら、この左手も、さやかに握りしめられるだけだったね」ギュッ

さやか「っ……」

恭介「でも、今はもう違う。こうして、さやかの右手を、握り返すことが出来るんだね」

さやか「……それが、今は一番嬉しいかな」

恭介「え?」

さやか「恭介の左手が治って、最初に握ってくれたのがあたしの右手で……」

恭介「……うん」

さやか「幼馴染のままじゃ、それも叶わなかったことだよね」

恭介「そうかな?幼馴染のままでも、手を繋ぐくらいはしてもいいと思うけどね」

110: 2012/03/11(日) 22:21:07.02 ID:geclWrXx0
さやか「そ、そんなことされたら、その……」

恭介「?」

さやか「あたしの気持ちに、歯止めが効かなくなってるよ……」ボソボソ

恭介「その時はその時で僕としては嬉しいよ?」

さやか「……バカ」

恭介「今日、これで何回目かな?さやかに『バカ』って言われるの」

さやか「何回でもいいよ……これから、もっと言う回数増えると思うし」

恭介「そうだね。これからは、恋人としての時間を刻んでいくんだもんね」

さやか「~~~……よくもまぁ、そんな恥ずかしいセリフがポンポンと出て来るよね……」

恭介「嫌だった?」

さやか「そんなわけないよ……」

114: 2012/03/11(日) 22:24:40.72 ID:geclWrXx0
恭介「それじゃ、最後に……」

さやか「え?」

恭介「目、瞑ってもらえる?」

さやか「えぇっ!?」

恭介「いやなら、そのまま開けていても構わないけど……」

さやか「ば、バカっ!そのままでいいわけないじゃんっ!……~~…」ギュッ

恭介「うん。これなら恥ずかしくない……」チュッ

さやか「ンム……ハム」

恭介「………ン」ギュッ

さやか「……~~~……っ」タシタシ

恭介「……プハッ……」

さやか「……」ボーッ

恭介「これは、さすがに幼馴染のままじゃやることのなかったこと、だよね?」

さやか「………ん」

117: 2012/03/11(日) 22:28:59.72 ID:geclWrXx0
恭介「あれ、さやか?」

さやか「………」ボーッ

恭介「………?」

さやか「……」コテン

恭介「え、さ、さやか!?」

さやか「」

恭介「……い、意識を失ってる……」

さやか「んー……恭介ぇ……スー……」

恭介「緊張の糸が解けた、のかな?」ナデナデ

さやか「スー……大……好き、だよ……恭……」

恭介「あはは、夢でまで僕の事、見てくれてるのかな」ナデナデ

119: 2012/03/11(日) 22:31:19.77 ID:geclWrXx0
―――――
―――


さやか「……ん」パチ

恭介「あ、起きた?さやか」

さやか「恭……介……?」

恭介「うん、なに?」

さやか「…………………!?」ガバッ

恭介「遅いお目覚めだね」

さやか「え、あれ??あ、あたし、どうしてたの??」

恭介「どこからどこまで言って欲しい?」

さやか「…………………………遠慮、しときます」

恭介「そう?残念だね」

121: 2012/03/11(日) 22:36:05.95 ID:geclWrXx0
さやか「今、何時…?」

恭介「夜の10時だね」

さやか「うわっ、ヤバいっ!?もう帰んなきゃ!」

恭介「帰っちゃうの?」

さやか「ただのお見舞いでこんな遅くまでいるなんて不自然じゃん!?」

恭介「心配しなくっても、家には連絡行ってると思うよ?」

さやか「え?」

恭介「さやかが寝てる間に、看護師さんが来てね。僕から、電話してもらうように頼んだんだよ」

さやか「……それ、不味くない?」

恭介「え?」

さやか「あたしの父さんと母さん、なんて思ってるかわかったもんじゃないじゃんっ!!」

123: 2012/03/11(日) 22:39:26.67 ID:geclWrXx0
さやか「と、とりあえず!夜も遅いけどもう帰んなきゃ!」ダッ

恭介「あ、さやか!」

ガララ ピシャ

恭介「……行っちゃった。もう少しゆっくりしていってもいいのに」

………ガララ

恭介「?」

さやか「……」オズオズ

恭介(ヤバい、さやか可愛い)

さやか「え、えっとさ……一応確認取っておくけど……あ、あたしたちの関係って……?」

恭介「ああ、そんなこと。恋人、だよ?」

さやか「っ!」カァァァ

ピシャ タッタッタ―――

恭介「わざわざそれだけ確認しに戻って来たのか……」

125: 2012/03/11(日) 22:43:49.79 ID:geclWrXx0
エピローグ―――

恭介「そ、それじゃ……行くよ?」

さやか「が、合点……!」

恭介「………っ」ゴクリ

―――~♪

さやか「……!」

恭介「……弾けた……!」

さやか「おめでとう、恭介!」パチパチ

恭介「……さやかが、ずっと僕のことを支えてくれたからだよ」

さやか「そんなことないって!恭介が今まで頑張ってきた成果じゃん!」

128: 2012/03/11(日) 22:48:02.42 ID:geclWrXx0
恭介「いやいや、さやかが側にいてくれなかったら、きっと僕の手は治らなかったと思う」

さやか「またまた!おだてたって、何も出ないよ?」

恭介「さやかから何も出なくっても、僕から手は出せるから問題ないよ」

さやか「っ!?」

恭介「さやか……」ギュッ

さやか「ちょちょちょっと恭介っ!?それは反則っ!!」


杏子「あいつら、絶対あたしたちもいるって忘れてるよな?」

ほむら「バカップルね」

マミ「ふふ、幸せそうで何よりじゃないの」

まどか「丸く収まったみたいでよかったよ」


終わり

129: 2012/03/11(日) 22:48:27.72


132: 2012/03/11(日) 22:49:21.25
乙乙

いい恭さやだった

136: 2012/03/11(日) 22:54:02.52 ID:geclWrXx0
マミさんは何も言わないのは二人のことを本当に思っての事だ
仁美ちゃんも出すべきだったかと思ったが、仁美ちゃんを出したら絶対話こじれるだろうからやめておいた
まどポまであと四日か、こういう話があって欲しいと思いつつ俺は寝る

引用元: 恭介「幼馴染ってなんなんだろうね」まどか「え?」