40: 2015/06/08(月) 00:15:37.81 ID:aDC5bSy60
平塚「……」八幡「先生?」
41: 2015/06/08(月) 00:19:21.60
奉仕部
平塚「比企谷? 帰ったんじゃなかったのか?」
八幡(……先生、目が赤いな)
八幡「いつもの置いておいた本を持ち帰るのを忘れてたんですよ」
平塚「なんだ、それなら明日来れば良かったじゃないか」
八幡「明日から春休みですよ? ただでさえ休みが短いのに、わざわざ取りに学校に来るとかあり得ませんよ」
平塚「君らしいな」
八幡「先生はどうしてここに?」
平塚「……まぁ、いろいろとな」
八幡「はぁ……?」
平塚「比企谷? 帰ったんじゃなかったのか?」
八幡(……先生、目が赤いな)
八幡「いつもの置いておいた本を持ち帰るのを忘れてたんですよ」
平塚「なんだ、それなら明日来れば良かったじゃないか」
八幡「明日から春休みですよ? ただでさえ休みが短いのに、わざわざ取りに学校に来るとかあり得ませんよ」
平塚「君らしいな」
八幡「先生はどうしてここに?」
平塚「……まぁ、いろいろとな」
八幡「はぁ……?」
42: 2015/06/08(月) 00:24:26.00 ID:aDC5bSy60
平塚「……なぁ比企谷、このあと暇かね?」
八幡「実は家がアレでして……」
平塚「誤魔化すならもう少しうまくやるんだな」グイッ
八幡「お、横暴だ! 本当に家がアレなんですって!」
平塚「そうか。君の家がそこまで大変なら、教師として家庭訪問をしよう」
八幡「……」
平塚「決まりだな」
八幡「実は家がアレでして……」
平塚「誤魔化すならもう少しうまくやるんだな」グイッ
八幡「お、横暴だ! 本当に家がアレなんですって!」
平塚「そうか。君の家がそこまで大変なら、教師として家庭訪問をしよう」
八幡「……」
平塚「決まりだな」
43: 2015/06/08(月) 00:30:54.67 ID:aDC5bSy60
八幡「なにするんですか? 残業代はきっちり貰いますよ?」
平塚「安心しろ。なにか雑用をさせるわけじゃない」
平塚「どこか飯でも食いに行こうと思ってな」
八幡「……金ないっす」
平塚「大丈夫だ。私が奢ってやろう」
八幡「先生、男前っすね」
平塚「それは褒めてるのか?」
平塚「安心しろ。なにか雑用をさせるわけじゃない」
平塚「どこか飯でも食いに行こうと思ってな」
八幡「……金ないっす」
平塚「大丈夫だ。私が奢ってやろう」
八幡「先生、男前っすね」
平塚「それは褒めてるのか?」
44: 2015/06/08(月) 00:37:07.12 ID:aDC5bSy60
八幡「どこ行くんですか?」
平塚「以前、君と行ったラーメン屋だよ」
八幡「ああ、先生が親戚の結婚式を抜け出した時に行ったラーメン屋ですか」
平塚「覚えてくれていたのか」
八幡「……忘れるわけないじゃないですか。あの時、お父さんから孫が早く欲しい的な話されてましたよね。……余計なお世話かもしれませんが、早く孫の顔見せてあげた方がいいっすよ」
平塚「比企谷、知ってるか? 人間は強いショックを与えると記憶を無くしたりするらしいぞ」ポキポキ
八幡「ぼ、暴力反対です! 人を殴っちゃいけないって教わらなかったんですか!」
平塚「言葉の暴力を振るっている人間がそんな事を言っても説得力はないな」ジリ
八幡「な、殴るのは……」
平塚「……」ナデナデ
八幡「え、えっ?」
平塚「……さぁ、行こうか」
平塚「以前、君と行ったラーメン屋だよ」
八幡「ああ、先生が親戚の結婚式を抜け出した時に行ったラーメン屋ですか」
平塚「覚えてくれていたのか」
八幡「……忘れるわけないじゃないですか。あの時、お父さんから孫が早く欲しい的な話されてましたよね。……余計なお世話かもしれませんが、早く孫の顔見せてあげた方がいいっすよ」
平塚「比企谷、知ってるか? 人間は強いショックを与えると記憶を無くしたりするらしいぞ」ポキポキ
八幡「ぼ、暴力反対です! 人を殴っちゃいけないって教わらなかったんですか!」
平塚「言葉の暴力を振るっている人間がそんな事を言っても説得力はないな」ジリ
八幡「な、殴るのは……」
平塚「……」ナデナデ
八幡「え、えっ?」
平塚「……さぁ、行こうか」
45: 2015/06/08(月) 00:40:57.48 ID:aDC5bSy60
ラーメン屋
八幡「先生って、濃い味が好きですよね」
平塚「そうだな。なんでも、濃いほうがいい。人間だってそうだ」
八幡「顔が濃いのがタイプなんですか?」
平塚「馬鹿者。個性とかそういうものだ。最近は癖のある生徒が減ってしまってな。正直、退屈だよ」
八幡「でも、教師としては手間が掛からない生徒の方がいいんじゃないですか?」
平塚「そうかもしれん。だが、面倒な生徒ほど可愛く思えるのだよ」
八幡「そういうもんなんですかね……?」
平塚「ああ、そういうものさ。……だから、私は君が気になってしまうんだろうな」
八幡「……それ、俺が面倒って言いたいんですか?」
平塚「そういう捻ねくれてる感性も君の良いところなのかもしれんな」
八幡「いや、俺は素直ですよ。世の中が曲がってるんです」
平塚「まぁ、そういうことにしといてやろう」
八幡「先生って、濃い味が好きですよね」
平塚「そうだな。なんでも、濃いほうがいい。人間だってそうだ」
八幡「顔が濃いのがタイプなんですか?」
平塚「馬鹿者。個性とかそういうものだ。最近は癖のある生徒が減ってしまってな。正直、退屈だよ」
八幡「でも、教師としては手間が掛からない生徒の方がいいんじゃないですか?」
平塚「そうかもしれん。だが、面倒な生徒ほど可愛く思えるのだよ」
八幡「そういうもんなんですかね……?」
平塚「ああ、そういうものさ。……だから、私は君が気になってしまうんだろうな」
八幡「……それ、俺が面倒って言いたいんですか?」
平塚「そういう捻ねくれてる感性も君の良いところなのかもしれんな」
八幡「いや、俺は素直ですよ。世の中が曲がってるんです」
平塚「まぁ、そういうことにしといてやろう」
46: 2015/06/08(月) 00:42:10.00 ID:aDC5bSy60
平塚「……」ズルズル
八幡「……」ズルズル
平塚「ふぅ……ここは相変わらず美味しいな。いつまでも、この味は変わらないでいてほしいものだ」
八幡「そうそう味なんて変わるもんじゃないでしょう?」
平塚「そうか? ある店は厨房に立っていた人がやめたら、まったく別物になっていたこともあったぞ」
八幡「ああ、たまにありますよね。でも、それは仕方ないですよ。時間が経てば人が入れ替わっていくもんですし」
平塚「……そうだな。いつまでも留まっている事なんて出来るわけないんだ」
八幡「先生……?」
平塚「あ、いや……なんでもないんだ……」
八幡「?」
八幡「……」ズルズル
平塚「ふぅ……ここは相変わらず美味しいな。いつまでも、この味は変わらないでいてほしいものだ」
八幡「そうそう味なんて変わるもんじゃないでしょう?」
平塚「そうか? ある店は厨房に立っていた人がやめたら、まったく別物になっていたこともあったぞ」
八幡「ああ、たまにありますよね。でも、それは仕方ないですよ。時間が経てば人が入れ替わっていくもんですし」
平塚「……そうだな。いつまでも留まっている事なんて出来るわけないんだ」
八幡「先生……?」
平塚「あ、いや……なんでもないんだ……」
八幡「?」
47: 2015/06/08(月) 00:43:23.64 ID:aDC5bSy60
平塚「な、なんだその……私だっていつかは結婚したりするだろうしな!」
八幡「あー。そうですねー」
平塚「……もう少し、真剣に答えろ」ギロ
八幡「せ、先生ならすぐにでもできますよ!」
平塚「それが出来ないんだよなぁ……」ガックリ
八幡(誰か貰ってくれよ! 頼むよ……)
八幡「あー。そうですねー」
平塚「……もう少し、真剣に答えろ」ギロ
八幡「せ、先生ならすぐにでもできますよ!」
平塚「それが出来ないんだよなぁ……」ガックリ
八幡(誰か貰ってくれよ! 頼むよ……)
48: 2015/06/08(月) 00:44:27.61 ID:aDC5bSy60
八幡「ごちそうさまでした。美味しかったです」
平塚「気にするな。君には楽しい思いをさせてもらったからな。そのお礼だよ」
八幡「いや、別に俺はなにも……」
平塚「君と過ごした、この1年間は大事な思い出だ。私の教師人生のなかで、もっとも濃密な時間だった」
平塚「ありがとう」
八幡「……なら、もっと奢ってもらわないと割りに合わないですね」
平塚「そうかもしれんな」ニヤ
平塚「気にするな。君には楽しい思いをさせてもらったからな。そのお礼だよ」
八幡「いや、別に俺はなにも……」
平塚「君と過ごした、この1年間は大事な思い出だ。私の教師人生のなかで、もっとも濃密な時間だった」
平塚「ありがとう」
八幡「……なら、もっと奢ってもらわないと割りに合わないですね」
平塚「そうかもしれんな」ニヤ
49: 2015/06/08(月) 00:45:20.11 ID:aDC5bSy60
3月31日 比企谷家
小町「お兄ちゃん、携帯鳴ってるよ?」
八幡「ん? そうか」
八幡(げっ……)
小町「なに固まってるの? ……結衣さんじゃん。出なよ」
八幡「いや、ほら父親がアレだから……」
小町「お父さんなら、仕事中だよ。まぁ、アレだけど」
八幡(親父が聞いたら泣くだろうなぁ……)
小町「お兄ちゃん、携帯鳴ってるよ?」
八幡「ん? そうか」
八幡(げっ……)
小町「なに固まってるの? ……結衣さんじゃん。出なよ」
八幡「いや、ほら父親がアレだから……」
小町「お父さんなら、仕事中だよ。まぁ、アレだけど」
八幡(親父が聞いたら泣くだろうなぁ……)
50: 2015/06/08(月) 00:46:22.54 ID:aDC5bSy60
小町「あっ、切れた」
八幡「お、そうか!」
小町「なに喜んでるのさ……ほら、かけ直したから」ポイッ
八幡「お、おい!」
結衣『もしもし、ヒッキー?』
八幡「お、おう。……それで何の用だよ? 俺、忙しいんだけど」
結衣『はぁ……もう少し、嘘つくなら考えてよ。ヒッキーが忙しいとかあり得ないし』
八幡「……」
八幡「お、そうか!」
小町「なに喜んでるのさ……ほら、かけ直したから」ポイッ
八幡「お、おい!」
結衣『もしもし、ヒッキー?』
八幡「お、おう。……それで何の用だよ? 俺、忙しいんだけど」
結衣『はぁ……もう少し、嘘つくなら考えてよ。ヒッキーが忙しいとかあり得ないし』
八幡「……」
51: 2015/06/08(月) 00:47:11.34 ID:aDC5bSy60
結衣『それでさ、平塚先生が異動しちゃうみたいなの』
結衣『ほら先生達の人事って新聞に乗るじゃん? それに書いてあって、海浜総合に行くみたい』
八幡「……」
結衣『だから、今日の夜にでも送別会を……ヒッキー聞いてる?』
八幡「……悪い」
結衣『えっ、ちょ……』ツーツー
結衣『ほら先生達の人事って新聞に乗るじゃん? それに書いてあって、海浜総合に行くみたい』
八幡「……」
結衣『だから、今日の夜にでも送別会を……ヒッキー聞いてる?』
八幡「……悪い」
結衣『えっ、ちょ……』ツーツー
52: 2015/06/08(月) 00:47:56.03 ID:aDC5bSy60
総武高 奉仕部
平塚「……」
八幡「先生、ここにいたんですか」
平塚「……どうした?」
八幡「お礼参りに来たんですよ」
平塚「卒業まで、あと1年もあるのにお礼参りかね?」
八幡「先生が卒業されるみたいなので」
平塚「……そうか。新聞でも発表されるんだったな」
平塚「……」
八幡「先生、ここにいたんですか」
平塚「……どうした?」
八幡「お礼参りに来たんですよ」
平塚「卒業まで、あと1年もあるのにお礼参りかね?」
八幡「先生が卒業されるみたいなので」
平塚「……そうか。新聞でも発表されるんだったな」
53: 2015/06/08(月) 00:50:21.66 ID:aDC5bSy60
八幡「なんで教えてくれなかったんですか」
平塚「教師には㊙守義務があるからな」
平塚「だから、君だけに特別に教えるなんてできないのだよ」
八幡「先生……」ジッ
平塚「……すまない。そんなのは詭弁なんだ。君にだけは言えなかったんだ」プイッ
平塚「……私は君が卒業するのを見届けたかった。君が変わっていく姿を見守っていたかった」ウルウル
平塚「それが叶わないと君に伝える時、私はきっと泣いてしまうから」ポロポロ
平塚「君に格好つけたくて、言えなかっただけなんだ……」
平塚「教師には㊙守義務があるからな」
平塚「だから、君だけに特別に教えるなんてできないのだよ」
八幡「先生……」ジッ
平塚「……すまない。そんなのは詭弁なんだ。君にだけは言えなかったんだ」プイッ
平塚「……私は君が卒業するのを見届けたかった。君が変わっていく姿を見守っていたかった」ウルウル
平塚「それが叶わないと君に伝える時、私はきっと泣いてしまうから」ポロポロ
平塚「君に格好つけたくて、言えなかっただけなんだ……」
54: 2015/06/08(月) 00:51:15.08 ID:aDC5bSy60
八幡「先生のダメなところをたくさん見てきたのに、いまさらそんなの気にしなくても……」
平塚「……そうだな。私は君に情けない姿を見せてきたな」
八幡「それに……先生は格好つけなくても、俺は格好いいって思います」
平塚「比企谷……」
八幡「まぁ、殴られたり、ワケわかんない部活に入れられたり、思うところはありますけど……」
八幡「でも、こんな俺を面倒見てくれたこと感謝してます」
八幡「……ありがとうございました」
平塚「……そうだな。私は君に情けない姿を見せてきたな」
八幡「それに……先生は格好つけなくても、俺は格好いいって思います」
平塚「比企谷……」
八幡「まぁ、殴られたり、ワケわかんない部活に入れられたり、思うところはありますけど……」
八幡「でも、こんな俺を面倒見てくれたこと感謝してます」
八幡「……ありがとうございました」
55: 2015/06/08(月) 00:53:52.95 ID:aDC5bSy60
八幡「それに先生が異動しても、もう二度と会わなくなるわけじゃないんですから」
平塚「そう、だな……ラーメン食いに行こう」
八幡「まぁ、暇なら付き合いますよ」
平塚「なら、大丈夫だな。君はいつも暇だろう?」
八幡「……どうですかね」
平塚「ああ、そうだ。君が20歳になったら飲みに行こう。その時には私は幸せな家庭を築いているだろうがな!」
八幡「へー。当てでもあるんですか?」
平塚「……いや、ないな」ガックリ
八幡「なら、その時にしてなかったら、俺を養ってください」
平塚「! お前、からかうのは……」
八幡「まぁ、先生が結婚してなかったらの話ですから。……嫌なら婚活頑張ってください」
平塚「なにを言ってるんだ。君こそ頑張りたまえ」
八幡「は? なんで俺が?」
平塚「私が養うにふさわしい男になってこい」
八幡「……」カァァ
平塚「必ず、迎えにこい。待っているよ」
八幡(そう言うと、先生は俺に大人のキスを教えてくれた)
END
平塚「そう、だな……ラーメン食いに行こう」
八幡「まぁ、暇なら付き合いますよ」
平塚「なら、大丈夫だな。君はいつも暇だろう?」
八幡「……どうですかね」
平塚「ああ、そうだ。君が20歳になったら飲みに行こう。その時には私は幸せな家庭を築いているだろうがな!」
八幡「へー。当てでもあるんですか?」
平塚「……いや、ないな」ガックリ
八幡「なら、その時にしてなかったら、俺を養ってください」
平塚「! お前、からかうのは……」
八幡「まぁ、先生が結婚してなかったらの話ですから。……嫌なら婚活頑張ってください」
平塚「なにを言ってるんだ。君こそ頑張りたまえ」
八幡「は? なんで俺が?」
平塚「私が養うにふさわしい男になってこい」
八幡「……」カァァ
平塚「必ず、迎えにこい。待っているよ」
八幡(そう言うと、先生は俺に大人のキスを教えてくれた)
END
56: 2015/06/08(月) 00:54:30.89 ID:aDC5bSy60
以上です。
59: 2015/06/10(水) 16:22:22.12
やっぱり先生がNo.1!
引用元: 八幡「なんで目瞑ってんの?」結衣「……」
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