279: 2012/12/02(日) 19:22:23.54 ID:nfANqB9K0
レイ「碇くん……今日、学校。休まない?」

283: 2012/12/02(日) 19:23:07.41 ID:nfANqB9K0
シンジ「あ、綾波?急にどうしたんだよ」

レイ「別に……」

シンジ「体の調子でも悪いの?休むってこれから?もうすぐ学校に着くと思うけど……」

レイ「体は普通。そう、これから」

シンジ「何かあったの?」

レイ「どうして」

シンジ「いや、綾波がそんなこと言い出すなんて……アスカが言うには、分かるけど」

レイ「……」

シンジ「綾波?」

レイ「変?」

シンジ「へ、変じゃないよ。……そうだね、休もうか。たまにはいいよな」

レイ「……ありがとう」

287: 2012/12/02(日) 19:23:56.80 ID:nfANqB9K0
シンジ「でも先生たちには何て言おうかな」

レイ「?」

シンジ「ほら、口実だよ。僕なんてこの前車に撥ねられたなんて嘘言ったから……」

レイ「碇くん、車に撥ねられたの?」

シンジ「ああいや、それはアスカが勝手に言い出したんだ」

レイ「……」

シンジ「綾波?」

レイ「そう。私に任せて」

シンジ「だ、大丈夫?僕がやってもいいんだけど」

レイ「任せて」

290: 2012/12/02(日) 19:24:45.00 ID:nfANqB9K0
レイ「公衆電話」

シンジ「うん。ここなら怪しまれなさそうだ」

レイ「何の話?」

シンジ「あっ、いや、先生とかに見られたらマズイだろ?」

レイ「?」

シンジ「だから、休むのに登校しているところ見られちゃマズイだろって、そういう意味」

レイ「……そう」

シンジ(何か落ち込んでいるような……いや、どう考えても気のせいだよな)

レイ「じゃ、電話するから」

シンジ「うん。頑張って」

291: 2012/12/02(日) 19:25:17.25 ID:nfANqB9K0
レイ「……もしもし」

シンジ「……」

レイ「綾波レイです。私と碇くんは、欠席します」

シンジ(何て言うつもりなんだろ……)

レイ「……理由。……私と碇くんは、車に撥ねられました」

シンジ「え?」

レイ「はい。立てません。はい。失礼します」

シンジ「……綾波?」

レイ「これで、大丈夫」

シンジ「えっ、何が?どのへんが?」

301: 2012/12/02(日) 19:31:28.30 ID:nfANqB9K0
シンジ(よく分かんないな……。とにかく、また僕は怒られそうだ)

レイ「碇くん」

シンジ「うん?」

レイ「私の家、来る?」

シンジ「えっ……」

シンジ(綾波の家……。カード渡しに行ったとき以来だな。それで、あの時は……)

シンジ「いや、やめとくよ」

レイ「……分かった」

シンジ(あんなことがあって、また行ったんじゃ、どうにも信用ないしな……)

シンジ「よかったら僕の家にしない?」

302: 2012/12/02(日) 19:32:04.40 ID:nfANqB9K0
レイ「?」

シンジ「僕、というかミサトさん家だけど」

レイ「上がっていいの」

シンジ「大丈夫。ミサトさんは仕事だし。アスカは学校だしね」

レイ「……お邪魔する」

シンジ「はは、どうぞどうぞ」

シンジ(……でも、よく考えたら女の子を家に上げるってことだよな。大丈夫なのか?)

レイ「碇くん」

シンジ(しかも二人きり……。密室に、二人きり……)

レイ「碇くん。犬の糞踏んでる」

306: 2012/12/02(日) 19:36:04.03 ID:nfANqB9K0
~10分後~


シンジ「さ、上がってよ」

レイ「お邪魔します」

シンジ「……うん。やっぱ家は誰もいないみたいだ」

レイ「碇くん……慣れてる」

シンジ「え?」

レイ「学校を休む……サボッたこと、あるの?」

シンジ「ああ、えーと。一回アスカとね」

シンジ「でもあの時は酷い目にあったよ。途中でミサトさんが帰ってきちゃうし、アスカは」

シンジ「あ痛っ」

レイ「……」

シンジ「え……?綾波、今、蹴った?」

レイ「ごめんなさい。滑ったの」

308: 2012/12/02(日) 19:36:35.84 ID:nfANqB9K0
シンジ「そ、そう。気をつけてね。スリッパいる?」

レイ「誰の?」

シンジ「だ、誰のって……お客さま用、かな」

レイ「遠慮しておくわ」

シンジ「じゃあとりあえずリビングに行こう」

レイ「コーヒー」

シンジ「え?」

レイ「コーヒー、あるかしら」

シンジ「ああ、今入れるよ」

レイ「いい。私に入れさせて」

319: 2012/12/02(日) 19:43:21.59 ID:nfANqB9K0
レイ「碇くん。甘いほうが好き?」

シンジ「あーえっと、普通くらいかな」

レイ「…………」

シンジ「綾波?」

レイ「普通って、どのくらい?」

シンジ「……やっぱり僕が、」

レイ「碇くんは座ってて」

シンジ「て、適当でいいよ」

レイ「わかった」

322: 2012/12/02(日) 19:43:54.46 ID:nfANqB9K0
レイ「はい、どうぞ」

シンジ「ありがとう、綾波。……あれ、綾波の分は?」

レイ「私はいらないから」

シンジ「そう……何か悪いな。いただきます」

シンジ「ブッフォーーーッッ!!!」

レイ「碇くん……どうかした?」

シンジ「ゴホ、ゲホ……あ、綾波。砂糖と塩、間違えたでしょ……」

レイ「?」

シンジ「あとミルクじゃなくて、これ。何入れたの……固形物があるんだけど」

レイ「見当たらなかったから、ヨーグルトを入れた。牛の絵が書いてあったから……」

シンジ「……」

レイ「……」

336: 2012/12/02(日) 19:49:24.22 ID:nfANqB9K0
レイ「碇くん……私が毒味させたと思っている?」

シンジ「お、思ってない……とは言えない……」

レイ「残った分は、私が飲む」

シンジ「それはやめときなよ綾波!」

レイ「いいの。私が氏んでも……代わりはいるもの」

シンジ「さすがに氏ぬまではいかないと思うけど……」

シンジ(どうしよ。捨てるのも何か悪いよな……)

シンジ「ええい!」

レイ「碇くんっ」

シンジ「……っ……っ。ぷはあ……」

レイ「碇くん……」

343: 2012/12/02(日) 19:53:10.35 ID:nfANqB9K0
レイ「美味しかった?」

シンジ「ごめん。それはお世辞にも言えない」

レイ「そう……今度、また作るわ」

シンジ「うん。期待してるよ」

レイ「……」

シンジ「……」

レイ「……」

シンジ「……あのさ、何かする?」

レイ「何……するの?」

シンジ「え、いや……どうしよう」

346: 2012/12/02(日) 19:53:42.35 ID:nfANqB9K0
シンジ(綾波といいアスカといい、サボりは計画もなくするものなのかな)

シンジ(いやでも、普通そうか……。だとしたら、これからどうしよう)

レイ「碇くん」

シンジ「うん?」

レイ「誰か、この家に近づいてくる気がする」

シンジ「え?」

ガチャガチャ

アスカ「もーっ!宿題を家に忘れるなんてほんとありえないーッ!」

シンジ「あ、アスカの声だ……」

358: 2012/12/02(日) 19:58:46.00 ID:nfANqB9K0
シンジ「大変だ綾波!急いでどこかに隠れよう!」

レイ「……」

シンジ「僕の部屋!多分アスカは入ってこないから!急ごう!」

ガチャン

アスカ「はあ。こんなヘマやらすなんて、バカシンジじゃないんだから……」

シンジ(ふう。どうにか間に合ったみたいだ……)

シンジ「あれ。綾波?」

アスカ「さてと。あたしの部屋に――ッ!?」

レイ「……」

アスカ「きゃあああっ!!?」

レイ「大きな声を出すと、近所に迷惑よ」

アスカ「え、エコヒイキ!?何であんたがここにいんのよォ!?」

359: 2012/12/02(日) 19:59:30.01 ID:nfANqB9K0
シンジ(あ、綾波!何やってんだ……!?)

レイ「……」

アスカ「答えなさいよ!何であんたがこの家にいるわけ!?どうやって入ったのよ!」

レイ「……それは、問題じゃない」

アスカ「大問題よ!言っとくけどあんた、ただの不法侵入だからね!?」

レイ「……」

アスカ「あくまで黙り通すってワケ……?ふうん、そう。そういうこと」

アスカ「バカシンジ!!いるんでしょ!出て来なさいよ!!」

シンジ(やれやれ……面倒なことになったなぁ……)

レイ「碇くんはいないわ」

362: 2012/12/02(日) 20:00:10.18 ID:nfANqB9K0
アスカ「はぁ?あんたバカでしょ。あんたをこの家に上げるの、あいつくらいしかいないわよ」

レイ「違う。私が、勝手に入ったの」

アスカ「そう。じゃ警察に通報するから」

レイ「間違えた。葛城三佐に許可を貰ったの」

アスカ「ミサトに?何のため?大体あんた、今は学校のはずでしょ?」

レイ「あなたこそ、今は授業中のはずだけど」

アスカ「私は宿題忘れたから遅刻覚悟で取りに帰ったのよ。あんたなんて、学校に向かう気もないようだけど?」

レイ「お腹が痛いの」

アスカ「見え見えの嘘つくんじゃないわよ」

385: 2012/12/02(日) 20:08:13.28 ID:nfANqB9K0
レイ「本当は……そう。碇くんのところに物を取ろうと思って」

アスカ「はぁ?窃盗?」

レイ「碇くんがこの前、間違えて持って帰ってしまったの」

アスカ「何を」

レイ「……」

アスカ「言えないような物なの?」

レイ「生理用品、を」

アスカ「え?」

シンジ(え?)

390: 2012/12/02(日) 20:09:27.90 ID:nfANqB9K0
アスカ「バ、バカシンジが……あんたの……」

レイ「……」

アスカ「し、信じられない……。あいつ、本物の変態じゃない。確かにそれじゃ、言い出し辛いわ……」

レイ「納得してくれた?」

アスカ「あんたのことを許したわけじゃないわよ!止むを得ない事情があったところで、私の許可無しに家に上がるなんてありえないから」

アスカ「ただ……まあ、同情はするわ」

レイ「……」

アスカ「何よ」

レイ「別に……」

アスカ「なに、手伝えっていうの?探すのを」

レイ「そういうわけじゃ、」

アスカ「仕方ないわねえ別にあんたのためとかそういうのじゃ全然ないけどあのバカシンジのことだからもしかしたら私のも盗っていっているかもしれないし仕方なく嫌々探したいだけであってバカシンジの部屋を覗きたいとか、」

アスカ「そういうことじゃないから」

レイ「……そう」

402: 2012/12/02(日) 20:13:50.23 ID:nfANqB9K0
シンジ(大変だ……僕が極度の危ない人になった上、二人して部屋に来るなんて……)

アスカ「それじゃ、入りましょ」

シンジ(とりあえず綾波がいないって言ったんだし、隠れとかないと……布団の中?バレそうだな……)

レイ「失礼します」

シンジ(わあ!もう考えている暇なんてないっ!)

アスカ「ふん。相変わらず汚い部屋ね」

レイ「片付いているけど」

アスカ「雰囲気が汚いって言ってるのよ。いちいち噛み付かないでくれる?」

レイ「……」

アスカ「さて、あのバカシンジのことだから、普通に引き出しとかにしまっているんじゃないかしら」

レイ「……開けるの?」

アスカ「何よ。なにか問題があるっての?」

404: 2012/12/02(日) 20:14:38.74 ID:nfANqB9K0
アスカ「大体このあたしが、わざわざあんたみたいなエコヒイキのために働いてやってんのよ?感謝しなさいよ」

レイ「本当に私のため?」

アスカ「な、なによ」

レイ「実は自分の興味が優先されている……ちがう?」

アスカ「人聞きの悪いこと言うんじゃないわよ!誰がバカシンジの私物に興味沸くもんですか!」

レイ「そう。ならあなたは触らないで」

アスカ「~~~!!もういいわよ!あたしは自分の荷物取って学校行くから!鍵閉めなさいよ!じゃないとエヴァであんたん家潰すから!!」

レイ「それは犯罪行為」

アスカ「バカ!アホ!無表情女!」

レイ「人形とは……言わないのね」

アスカ「…………ふん」

407: 2012/12/02(日) 20:15:09.49 ID:nfANqB9K0
レイ「…………」

シンジ「…………」

レイ「……碇くん、もう大丈夫」

シンジ「ああ、綾波。ありがとう……ありがとう?」

レイ「危ないところだった」

シンジ「うん。僕はもう危ない人だけど」

レイ「どうして?」

シンジ「僕は、綾波の……大事なもの、盗った人なんだろ」

レイ「そうなの?」

シンジ「はあ……もういいや。悪気はないんだし」

408: 2012/12/02(日) 20:15:45.99 ID:nfANqB9K0
レイ「碇くんは……私の大事なものを奪った。……そうかもしれない」

シンジ「え?違うよ?奪ってないよ?」

レイ「私、随分変わってしまったって……自分でもそう思う」

シンジ「何の話?とにかく僕は誓って綾波の……それを、盗ったりしていないから」

レイ「碇くん……」

シンジ「綾波……?」


アスカ「はーいストップ」


シンジ「うわあっ!アスカ!?出て行ったんじゃなかったの!?」

アスカ「うわあ、じゃないわよバカシンジ!よくもこのあたしを騙したわね!!」

411: 2012/12/02(日) 20:20:23.81 ID:nfANqB9K0
アスカ「あんたもよこの変人女!よく堂々と嘘をついてくれたわね!」

レイ「嘘……?嘘じゃない」

アスカ「え?」

レイ「碇くんは……私の大事な物を、奪ったと思う」

シンジ「え?」

アスカ「バカシンジ……あんた本当に」

シンジ「ち、違うよアスカ!綾波なに言っているんだよぉ!」

レイ「碇くん。……ありがとう」

アスカ「きゃああ!おまけにお礼まで言うなんて!一体あんたらどういう関係なのよォ!!」

シンジ「違う!違うんだ!助けて助けてよ父さぁん!!」

ミサト「あんたたち……平日の昼間っから、学校行かずに随分と楽しそうじゃない」

416: 2012/12/02(日) 20:25:24.16 ID:nfANqB9K0
シンジ「ミサトさん!?」

ミサト「学校の先生から連絡があって、探しに来てみれば……案の定ね」

アスカ「ミサト聞いて!この二人変態なの!嫌よあたしこんなやつらと共闘するなんて!!」

レイ「変態?あなたたちは変態なの?碇くんも?」

ミサト「はーいはいはい!もー分かった!」

シンジ「ミサトさん……あの、これには理由が……」

ミサト「いいわよもう。教育面に関しては、こっちにだって責任があるし」

ミサト「ということで今日は、4人で正々堂々サボろうじゃない!」

アスカ「ミサトあんた、あたしたちを口実に抜けてきたのね!」

シンジ「ミサトさん……まあ、いいか」

レイ「……今日は学校、みんなでお休み」

レイ「これが、楽しいってことなのかしら」


終劇

541: 2012/12/02(日) 22:48:04.27

引用元: アスカ「バカシンジ。今日学校サボリなさいよ」