1: 2011/03/08(火) 15:23:51.49 ID:iulw0dA+0
さやか「正確には友人に取られた……ははっ、まぁ、あたしがノロノロとしてたせいなんだけどさ……」

杏子「そうか……そいつは、その……残念だったな」

さやか「ホントよね……きっとあたし、どっかで恭介はあたしを選んでくれるんだって驕ってた。
    だから……こんなことになった」

杏子「ま、まぁ、ほら……元気出しなって!
   その……あたしも、なんて言葉をかけたらいいのか分かんないけどさ……新しい恋も、きっとすぐに見つかるって」

さやか「新しい恋……うん、そうだよね。それだったらきっと、あたしの考えは正しいんだ」

杏子「?」

さやか「……よしっ、決めた」

杏子「何を?」

さやか「あたし、女の子を好きになる」

杏子「」



注:まどかマギカSS
  マミさん生存(ほむほむ拘束解除成功によりマミさん救助成功)ルート妄想

7: 2011/03/08(火) 15:27:32.44 ID:iulw0dA+0
八話・駅のホーム



さやか「そもそもさぁ……お金持ちで可愛い女の子に言い寄られたからって、腐れ縁でずっとお見舞いに来てあげてた女の子をフるってどうなのよ? とあたしは思うわけ。
    いやね、そりゃ指を治してあげたってのも多少はあるよ? でもさ、その部分は別に良いのよ。
    どうせ恭介にはわかんないだろうし、話したところで可哀想なものを見る目向けられるだけだしさ」

杏子「あ、ああ……」

さやか「でもお見舞いに来てたのは違うくない!?
    奇跡も魔法も無かったことで良いけど、あたしの努力を無かったことにされちゃうのは違うでしょ!?
    そもそもCD代だって高かったしさ、それに時間作って行ってあげてたってのにさ、それを無視して他の女とくっつくかって話よ!」

杏子「そ、そうだな……」

さやか「そりゃあさ、あたしこんな身体だし? ゾンビだし? 恭介と付き合う資格はないんだろうけどさ……
    それでもさ! あたしに相談も無しに付き合った後に事後報告ってなによって訳よ!
    せめて一言恭介からあればあたしだってこんなに愚痴らないわよ! 恭介の幸せだもの!
    教えてくれてたら心にシコリは残るけど祝福はしたわよ!」

杏子「…………」

さやか「どうせ男なんて、目の前のお金持ち美人が告白してきたらすぐさま付き合うって言っちゃうわけでしょ?
    ま、そもそもあたしに対して恭介が何か想ってたのか疑問だけど。だからこその事後報告なんだろうし。
    っていうかなんか理不尽にキレられたこともあるし、まぁ不安定だったから仕方ないし、でも普通は後で謝るべきだろうに何も言わずに退院しちゃうし、
    もうなんていうか男ってほんっっっとうに身勝手!
    ……というわけで、女の子を好きになろうと思います」

杏子(やべぇ……あまりの剣幕に何も言い返せねぇ……)

8: 2011/03/08(火) 15:29:58.11 ID:iulw0dA+0
杏子「あ~……ともかく、だ……いくつか確認したいんだけど」

さやか「なに?」

杏子「アンタ、結局その男の指を治して魔法少女になったの、後悔してるってことかい?」

さやか「まさか。恭介の指が治ったおかげで、彼のバイオリンが聴けるようになるし、そこは後悔してないかな。
    なぁんていうのかな……事後報告された瞬間に、“恭介自身”と“恭介のバイオリン”って別にカテゴライズされちゃった感じ。
    だから、“恭介自身”は嫌いになったけど、“恭介のバイオリン”は大好きなまま。
    もしかしたらあたしって、そもそも恭介じゃなくて恭介のバイオリンが好きだったのかも、なんて考えちゃうぐらい」

杏子「そうかい……ま、それなら良いんだけどさ」

杏子(動揺か怒りか分かんないけど……そのへんの折り合いは無意識のうちについたってことか……)

さやか「マミさんの言葉を借りるんなら、結局あたしは恭介の夢を叶えたかったんだよね……夢を叶えた恩人、じゃなくてさ。
    そりゃ、恭介が仁美と付き合う前だったら、叶えた恩人として彼に感謝され、あわよくば付き合いたかったんだろうけど……
    今はもう、恭介のバイオリンだけ聴ければそれで良いや」

杏子「どうせその身体じゃ付き合えないからかい?」

さやか「ああ~……なんだろ。前はそんなことで悩んでたけど、今思えばそれって結局後付けの理由だったのかも。
    どうでも良くなった……とは違うけど、なんか清々しい気持ちになった今だとさ……
    恭介の指を治したの、町の人たちを魔女と使い魔から守る気持ちの延長上のような気がしてさ。
    ま……慕ってる人ほど沢山助けたい気持ちになるでしょ? ゾンビって言っても心は人間のままだし。
    だからきっと、アレはそういうものだったんだと思う」

10: 2011/03/08(火) 15:31:37.61 ID:iulw0dA+0
さやか「結局あたし達ってさ、魔法少女のあとに待つのは破滅じゃない?
    でもそれって、普通に生きてる人たちとなんも変わらないと思うの。大人しく氏ぬか撒き散らすかの違いだけで。
    ま、それがメチャクチャ大きいんだけど……なんかそういうの、もう魔法少女になった今になって考えても、無駄かなって思って」

杏子「へぇ……」

さやか「結局、今を精一杯生きるしかないと思うの。したいことをして、守りたいものを守って、さ。
    ……本音を言うと、周りに迷惑をかけない氏に方があれば良いな、とは思うんだけどね」

杏子「ふ~ん……失恋は人を強くするって言うけどさ、案外はずれじゃないのかもな」

さやか「ん?」

杏子「アンタのその考え、一回り大人になった感じがするよ」

さやか「えっ、そ、そうかな……」テレテレ///

杏子「ああ。少なくともあたしは好感が持てるね。
   前までみたいにウジウジ悩んで、自分を追い込め続けるよりかはさ。
   逃げれる場所は逃げりゃ良いんだよ。逃げてよくなることもある。
   アンタはそれで逃げるべき最高の場所で逃げれてる。開き直り、とも言うけどさ。
   でも……大人ってのはそういうもんさ。何もかもにがむしゃらに立ち向かって向き合うのは、子供のすること。
   立ち向かう場所と逃げる場所、向き合う場所と開き直る場所をちゃんと見極めるのが大人、ってね」

さやか「じゃああたしと付き合ってよ!」

杏子「」

11: 2011/03/08(火) 15:33:24.10 ID:iulw0dA+0
杏子「……いや、じゃあ、じゃないだろ。なんでそこに繋がんだよ」

さやか「え? だってアンタさっき、あたしに好感が持てるって……」

杏子(その後の言葉は素通りかよ……案外似てんじゃねぇの? コイツとその好きになった男って)

さやか「だからさ! あたしと付き合ってくださいっ!」

杏子「…………」

杏子(え~……どうしよ? なんかすんげぇ真剣なんだけど。
   あたし、ソッチのケはないんだよなぁ……。
   ……いや、まぁ恋愛感情を抜きにしたら、コイツのことは確かに結構好きだけどよ……
   でもそれって友情の延長だし……そんな気持ちで付き合っちゃダメだろうし……)

さやか「……だめ?」

杏子「いや、ダメ、って言うか……」

杏子(女同士って時点でおかしいだろ……ちょっとは疑問に思えよ)

さやか「そっか……そうだよね……あたしみたいな身勝手な女、好きになるわけ無いよね……」

杏子「別にそういう訳じゃ……」

さやか「いいの」

12: 2011/03/08(火) 15:35:28.65 ID:iulw0dA+0
さやか「そうやって気を遣うの、アンタらしいけど、別に良いよ。
    そうだね……だからあたしは、このままこのソウルジェムが濁るのを待つだけなんだよね……」ソッ

杏子「っ! いや、ちょっ、オマエこの黒さは……!」

さやか「うん。たぶんヤバイと思う。濁りきった後はどうなるか分かんないけどさ……でももう、このままあたしは――」

杏子「わ、わかったわかった! 付き合う! 付き合うから!」

さやか「えっ? ホント?」

杏子「本当、本当。だからさ、そのソウルジェム、ちょっと突き出してくんない?」

さやか「え? うん」

杏子「ほい、グリーフシード」コツン

さやか「え……? ちょ、コレ――」

杏子「腕、引くなよ。んなことしたら付き合うのキャンセルするからな」

さやか「…………」

杏子「よし、コレで穢れも取れ――ってうわ! タマゴが孵った!」

さやか「えぇ!?」

杏子「おいさやか! 戦闘準備だ! 魔女が出てくるぞっ!」

さやか「え? あ、おおぅ! まかせとけ!」

13: 2011/03/08(火) 15:38:38.26 ID:iulw0dA+0
~~~~~~

杏子「いや……ありえねぇ……アンタどんだけ穢れ溜め込んでたんだよ……」

さやか「いや~……ごめんごめん。でもまさかあんなに強いとは……」

杏子「あたしたち二人がかりでようやくとか……ふざけてんのか……?」

さやか「だからゴメンって。あ、でもまたグリーフシード落としたみたい。
    ……もしかしてコレって、無限機関なんじゃない?」

杏子「バカ言えっての。二人の濁りを考えれば、吸収した時よりも穢れが多くなってんだろ。
   これだとたぶん、こんなこと繰り返すうちに次第に消耗の方が激しくなって、吸収しきれねぇで戦ってる最中に真っ黒になんじゃねぇの?」

さやか「んむぅ……世の中上手くいかないもんですなぁ……」

杏子「ゾンビになった時点で気付いてんだろ」

さやか「いやぁ~……まぁ……あはは~……」

14: 2011/03/08(火) 15:40:13.54 ID:iulw0dA+0
杏子「全く……ともかく、さっきのグリーフシード、使って良いから」

さやか「え? アンタのは?」

杏子「あたしのはあたしのストックを使うさ。気にすんなって」

さやか「でも――」

杏子「付き合ってんだろ? だったら支え合ってもおかしいことじゃないってね」

さやか「っ……! うんっ! そうだよね! そうだそうだ……えへへ~……付き合ってんだもんね、あたしたち……」ニヤニヤ///

杏子「全く……嬉しそうにしやがって……」

杏子(でもま……あんな嬉しそうな表情してくれるんなら、コレで良かったのか――)

さやか「じゃあ次はまどかに告白しに行こうっ!」





杏子「…………………………………………は?」

16: 2011/03/08(火) 15:42:11.26 ID:iulw0dA+0
杏子「いや、ちょっと待て」

さやか「ん? なによ」

杏子「なんでそこでアンタの親友に告白しに行くって話になんだよ。
   あたしとつ、つ……付き合ってんじゃなかったのかよ……」///

杏子(ちょっ、付き合うとか言うのが、ちょっと恥ずかしいじゃねぇか……)///

さやか「いや、確かに付き合ってるよ」

杏子「だったらなんで――」

さやか「いやぁ~……でもさやかちゃんが望んでるのは、あくまでもハーレムですので」

杏子「なん……だと……?」

さやか「だから、次はまどか。その次はマミさん。んで最後に転校生。
    やっぱさ、あたしたち魔法少女のことを理解してくれる人で、ハーレムを作りたいわけよ。あたしとしては」

杏子「うっわ~……あっりえねぇ~……超下衆い考えじゃん、ソレ」

さやか「褒めてくれるでない」

杏子「褒めてると勘違いするような言葉一言も発してねぇんだけどな」

17: 2011/03/08(火) 15:43:54.49 ID:iulw0dA+0
杏子(あぁ~……でもこれってもしかして、さやかの不安定な精神はそのままってことなのか……?
   だからこんな意味の分からないことを……。……ってことは、ここで見捨てたら……)

杏子「……はぁ……」

杏子(正直、本当に助け続けて良いのかとか一瞬考えちまったけどよ……でも、この不安定なまま野放しにするのもヤバイしなぁ……
   まぁそもそも、なんかこのハーレム作り自体子供のお遊びみたいな感じもするし、
   あたし自身もコイツのことを真剣に恋愛感情込みで好きって訳でもねぇし、
   これぐらい軽い方が良いのか……)

杏子「しゃあねえなぁ……分かったよ。付き合うって言った以上、そのハーレム作成の旅にも付き合ってやるよ」

さやか「やっりぃ♪」

ズキッ

杏子(ん……? なんか胸の奥がチリチリする……さっきの戦闘のダメージか……? さっさと穢れを取っとくか)

さやか「んじゃ、さっそくまどかの家に行くとしましょう!」

杏子「はいはい」ハァ…

18: 2011/03/08(火) 15:47:16.07 ID:iulw0dA+0
~~~~~~

杏子「で、どうやって話すつもり? まさかあたしと一緒の方法でも取んのか?」

さやか「まさか。まどかには恭介に振られたこと話すとすごい気を遣うだろうから、言わないでおくの」

杏子「なんでだよ、親友だろ」

さやか「親友だからよ。その恭介と付き合った友人ってのが、あたしとまどかのもう一人の親友だもん。
    言っちゃったら……間に挟まれたまどかが、辛いだけだよ」

杏子「ふ~ん……」

杏子(その辺の気遣いが出来る程度にはおかしくなってないってことか……)

さやか「だから、普通に普通のことをする」

杏子「普通に普通のこと? 普通じゃなくなってるアンタが?」

さやか「そ。まどかの嫉妬心を煽るの」

杏子「具体的には?」

さやか「アンタと付き合ったことをまどかに言うの。
    そしたらきっとあたしのことを好きなまどかは『そんなの酷いよ! あたしだってさやかちゃんのこと好きだったのに!』ってなるって寸法」

杏子(モノマネが果てしなく似てねぇ……)

20: 2011/03/08(火) 15:48:47.21 ID:iulw0dA+0
杏子(っていうかその作戦、そもそも妄想の域を出てねぇだろ……
   その親友がアンタのことを好きなのは間違いないんだろうけど……たぶん、あたしと一緒で恋愛感情にまでは至ってないだろうし。
   でも――)

さやか「そしたら後はハーレムを作ろうとしてるって言って、一員になってもらう!
    全てを語らず嘘も言わない! 名づけてキュゥべぇ作戦!」

杏子「――良いんじゃないの、ソレで」

さやか「でしょ!?」

杏子(否定したら他の方法考えろって言われそうだし……めんどくせぇし、そのままでいっか)

さやか「よぉし! さやかちゃん、燃えてきたぞ~!」

杏子(普通にドン引かれて終わりそうだけどな……)

杏子「ま、頑張れよ~」

さやか「……なんか、すっげぇ他人事のように聞こえるんだけど……っていうかさっきさり気なく、あたしのことを普通じゃないとか言わなかった?」

杏子「気のせい気のせい。ほら、都合よくちょうどあそこ歩いてるの、その親友だろ?」

さやか「あ、ホントだ! お~い! まどか~!」

21: 2011/03/08(火) 15:50:01.24 ID:iulw0dA+0
まどか「あっ、さやかちゃん!」

タッタッタ…

まどか「もう……! どこ行ってたの!? ずっと探してたんだよ!?
    家にも帰ってないって言うし、もしかしてもう、魔女にやられちゃったのかと思ってたし……」

さやか「いや~……ごめんごめん。心配させちゃったみたいで」

杏子(普通に心配されてるだけなのに、なんでそんなに『これならいけるっ!』って雰囲気を出せるんだか……)

まどか「えっと……さやかちゃん。怪我とか、してない?」

さやか「してない、してない。大丈夫だって」

まどか「そう……」

さやか「それにさ、ずっとコイツといたから、危ないことも何も無かったよ」

杏子「…………」

まどか「あ、えっと……ありがとう、ございます……」

杏子「いんや。あたしは何もしてないよ」

杏子(何かしたのはたぶん、アンタの方だろうしな。
   アンタとマミのおかげで、コイツも自暴自棄から破滅には至ってなかったんだろうし)

22: 2011/03/08(火) 15:52:11.85 ID:iulw0dA+0
まどか「でも、ずっと傍にいてくれたんですよね?」

杏子「いてねぇよ。さっき見つけて、ようやく合流したところさ」

さやか「ちょっと!」ボソッ

杏子「あん?」

さやか「アンタとあたしの仲の良さを見せ付けてまどかを嫉妬させる作戦なんだから! ずっと一緒にいたってことにしといてよ!」ボソッ

杏子「ああ~……悪い、忘れてた」

まどか「? どうしたの? 二人共」

さやか「い、いやぁ~、なんにもないよ、まどか」

さやか「普通に声出してんじゃないよ! このバカッ!」ボソッ

杏子「へいへい。わるぅございましたね」ボソッ

まどか「なんか、内緒話ばっかりされると、さすがの私でも、その、気になるって言うか……」

さやか「あ、いやいや! そんな、まどかの悪口とかじゃないの!
    ただね、まどかに報告しないといけないことがあるのに、コイツが恥ずかしがっちゃってさ!」

杏子(人のせいかよっ!)

23: 2011/03/08(火) 15:53:04.86 ID:iulw0dA+0
まどか「ほう、こく……?」

さやか「うん、そう。いやぁ~……コイツすんげぇ恥ずかしがりやでさ。さっき見つけたとか言ってんの。
    昨日からずっと一緒だったってのに」

まどか「え? そうなの?」

杏子「……そうらしいぜ」

まどか「? らしい?」

さやか「ま、まあまあ! 気にしない気にしない! それよりもほら、報告したいんだって! まどかにさっ!」

まどか「あ、うん、そうだったね。なに? 良い知らせなのかな?」

さやか「それは……うん。あたしからしてみれば、良い知らせかな」

まどか「なになに?」

さやか「あたし、コイツと付き合うことになったの」

まどか「」

24: 2011/03/08(火) 15:54:07.49 ID:iulw0dA+0
まどか「」

杏子(ああ~……やっぱドン引いてる……ちょっと後ずさってるし。どう反応して良いのか迷ってるし。……ま、普通そうだわな)

まどか「……へ、へぇ~……そ、そうなんだ~……」

さやか「うん! そうなの!」

杏子(いやいやさやかさんよぉ~……そんな誇らしげにしてちゃダメだって。
   『こりゃ作戦通りだぜ!』って表情浮かべてちゃダメだって。
   アイツ、すんげぇ引いてるから。超ド級に引いて反応に困ってるから)

まどか「そ、それで、昨日からずっといたの?」///チラッ

さやか「うん、もうずっと! 夜から朝まで夜通しね!」

まどか「へ、へぇ~……」///チラッ

杏子(ん? 何見てんだ?)チラッ

ホテル街

杏子「」

25: 2011/03/08(火) 15:55:47.79 ID:iulw0dA+0
杏子(……ああ~……こりゃ本当にヤバくなってきた……あたしの尊厳とか色々なものまでヤバくなってきた……
   場所考えてする話だったなマジで。会った場所と会話内容で勘違いしちまうのは当たり前だろ……)

さやか「いやぁ~……一日中一緒で、本当に楽しかったよ」

杏子(そして案の定さやかは気付いてない……むしろ引かれてることにも気付いてねぇから嫉妬してもらおうと起きても無いこと言いやがるし……救えねぇな、こりゃ)

まどか「その……本当に、仲良しさんになったんだね……」///

さやか「まぁねぇ。もう今までずっと近くで語り合い続けるぐらいに」

まどか「ってことは、その……あ、朝から今までも……一緒だったの?」///

さやか「だからそう言ってんじゃん! なぁんていうのかなぁ……もうコイツってば本当、寝顔が可愛くて可愛くて」

まどか「そ、そうなんだ……」///

さやか「まぁ、まどかの寝顔も可愛いんだけど」

まどか「そ、そんなの……ほら、一夜を共にした人の前で言ったらダメだよ」///

さやか「そんなことないって」

まどか「し、嫉妬しちゃうよ? ね、ねぇ……?」///

杏子「いや~……そうでもねぇけど」

杏子(どうせデタラメだし)

26: 2011/03/08(火) 15:57:37.62 ID:iulw0dA+0
さやか「おやおや~? もしかしてまどかさん、あたし達の関係に嫉妬してるんですかなぁ~?」

まどか「そ、そんなことないよ……」///

杏子(本当にそんなことないと思うぞ。というより、どうしてそういう結論になれるのか逆に教えてくれ)

さやか「またまた~。照れなさんなって。なんだったらまどかも一緒に――」

まどか「い、一緒って!? も、もしかして、その……べ、ベッドの中で……」///

さやか「ベッド? あぁ、うん。そんなの当たり前だって」

まどか「あ、当たり前!?」///

さやか(あれ? 一緒に寝るって意味じゃないのかな……?)

まどか「そ、そんな……さやかちゃん……わ、私の知らない間に……お、大人に……」///

さやか「え? いや、でもあたし、まどかとも一緒に――」

まどか「い、いつの間に!?」///サッ

さやか(あれ? 何か、食い違ってる……?)

27: 2011/03/08(火) 15:58:30.34 ID:iulw0dA+0
さやか「……ね、ねぇまどか……なんで両腕で身体を抱いて、あたしから距離を取るようにしてるのかなぁ~?」

まどか「だ、だって……わ、私の知らない間に……わ、私が……その……」///

さやか「知らない間って……仁美と一緒にお泊り会したことあるでしょ?」

まどか「あの時!?」///

さやか「そうだよ」

まどか「ひ、仁美ちゃんがいるのに……堂々と……」///

さやか「え? いや、狭いベッドの中で笑いあいながら三人で――」

まどか「仁美ちゃんまで私の身体を!?」///

さやか「からだ……? ……あぁ……確かに寄り添って寝てたけど……」

まどか「よ、寄り添って……な、なんで私……起きなかったんだろ……」///

さやか「グッスリだったからね、まどか」

まどか「だからって……そんな……勝手すぎるよ!」///

さやか「なにが!?」

29: 2011/03/08(火) 15:59:40.41 ID:iulw0dA+0
まどか「せ、せめて一言いってくれても……いや、言われても断っただろうケド……」///

さやか「いや、言ったじゃん。それでみんなで楽しく寝てたじゃん」

まどか「その後に私がグッスリなのを確認して……さやかちゃんも仁美ちゃんも……」///

さやか(ん~……まどかがなんの話をしてるのかサッパリ分からん。……まぁいいや。とりあえず告白の続きを……)

さやか「それよりもさ、まどか。よかったらまどかも、あたしと付き合わない?」

まどか「つ、つきあう!?」///

さやか「うん。いやぁ~……いま実はさ――」

まどか「そ、そんな……指だけだと思ってたのに……そんな、ハイレベルなところまで踏み込んでるだなんて……」///

さやか「――ってお~い……まどか~?」

まどか「わ、私にはまだ早いよ! さやかちゃ~ん!」ダダダダダ…!

さやか「あれ!? まどか!? なにが早いの!? ねぇまどか! 分かるように説明していってよ~!」

杏子(……アイツ、耳年増すぎるんじゃねぇのか……?)

30: 2011/03/08(火) 16:00:58.70 ID:iulw0dA+0
さやか「…………」

杏子「…………」

さやか「……………………よし! 完璧!」

杏子「なにが!?」

さやか「やだなぁ~……とりあえず、嫉妬させることには成功してるでしょ? たぶん」

杏子「…………………………………………えぇ~……?」

さやか「今のはきっと、恥ずかしいゲージが最大までたまったせいで、思わず逃げ出しちゃったんだよ」

杏子(すっげぇプラス思考……)

さやか「だからきっと落ち着いたら、あたしのところにきて告白の件を訊きに来てくれるって」

杏子(たぶん訊かれるのは別のことだろうけどな)

31: 2011/03/08(火) 16:01:59.43 ID:iulw0dA+0
さやか「それじゃ! 次はマミさんの家だ!」

杏子「っていうか今更なんだけどよ、こんな夜遅くにマミん家に行ったら迷惑じゃない?」

さやか「大丈夫大丈夫。魔女狩りに復帰してるって話しだし、きっと今ちょうど帰って来てるところだって」

杏子(そうだとしても迷惑じゃないかって意味だったんだけどな)

33: 2011/03/08(火) 16:03:32.99 ID:iulw0dA+0
~~~~~~

杏子「んで、マミにも同じことすんの?」

さやか「まさか。正直な話、あたしってばマミさんにそんなに好かれて無いと思うし」

杏子「は?」

さやか「いやだって、恭介を助ける前に注意されてたのに、
    自分で自分の気持ちも定まってないのに勝手に契約したり、あまつさえそのことで何度も相談してたりしてさ。
    忠告を聞かなかったのに図々しい奴って思われてても当たり前かなぁ、って」

杏子「ん~……マミに限ってそれはないと思うけどな。なんだかんだ言ってアイツ、お前のことは大事な後輩だって思ってるだろうし。
   っていうかそうじゃなかったら、相談に乗ってもくれてなかっただろうしさ」

さやか「……本当……?」

杏子「ん?」

さやか「本当に、そうなのかな……?」

杏子「さぁてね。あたしはマミじゃねぇし、わかんねぇよ。
   ただ、自分の忠告を聞かなかったからって無視するほど、アイツも薄情じゃねぇさ。
   あたしですらそうなんだからよ」

さやか「…………」

杏子「きっと、お前の気持ちだって察してくれてるはずさ」

杏子(だからこそ、ソウルジェムが濁りきることもなかったんだろうし)

34: 2011/03/08(火) 16:04:39.78 ID:iulw0dA+0
さやか「……そっか……よしっ! アンタがそう言うんなら、きっとそうなんでしょう!」

杏子「おいおい……いきなり楽観的だな」

さやか「それだけアンタのことを信用してんのよ。
    ともかく、嫌われてないんなら、まずは好かれることから、って考えをすっ飛ばしても大丈夫よね」

杏子「……で、それじゃあどうするんだ?」

さやか「う~ん……嫌われてない、って言っても、まどかと違って短い付き合いだから嫉妬されるほどではないだろうし……
    まぁ、マミさんには普通に付き合ってくださいって言おうかな」

杏子(たぶん、さっきのヤツにもソレの方が良かったと……いや、変わんないか……)

さやか「んでその後に、ハーレムを目指してることを言う!
    全ての真実を言わず、引き下がれないところに立ってからようやく言うことから、この作戦名をキュゥべぇ作戦と命名しよう!」

杏子(さっきと全く同じ……)

35: 2011/03/08(火) 16:06:41.94 ID:iulw0dA+0
ピンポーン

マミ「は~い」ガチャ

さやか「こんばんは、マミさん」

マミ「あら、美樹さん。こんばんわ」

杏子「おう」

マミ「ん? 佐倉さんも一緒なんだ。珍しいわね、二人で来るなんて」

さやか「あれ? アンタって一人で来たことあるの?」

杏子「まあな。マミが復帰できるまでの間だけ呼び出されたからな。一度挨拶に来たことがあんだよ」

マミ「挨拶って。私と違って使い魔は倒さない、って宣言しに来たんじゃない。
   それと……私の後輩を倒すかもしれない、ってね。
   お世辞にも、挨拶とは言えないんじゃない?」

さやか「あ、あんた……!」

杏子「あ~……あの時は確かにそう言ったかもなぁ……」

マミ「そんなこと言ってたあなたが、いまや美樹さんと肩を並べて私のところに……状況って、変われば変わるものね。
   ともかく、玄関先でする話でも無いし、あがってちょうだい」

さやか「はい。お邪魔します」

36: 2011/03/08(火) 16:08:56.60 ID:iulw0dA+0
マミ「はい、紅茶」

さやか「ありがとうございます」

杏子「どうも」ポリポリ

さやか「って、アンタいつのまに……またお菓子なんて食べて」

杏子「あん? こんな時間まで動いてんだ。腹だって空くさ。それとも、アンタも食うかい?」

さやか「いい。こんな時間に食べたら体重計に乗るのが怖くなる」

杏子「そうかい。マミはどうする?」

マミ「私も遠慮するわ。そろそろ寝るつもりだったし、ポッキーなんて食べたら美樹さんと同じ。体重計に乗るのが怖くなるわ」

杏子「ふ~ん……体重なんて気にすることもないと思うけど」

さやか「アンタは少しは気にした方が良いと思うよ……」

杏子「太ってねぇから良いんだよ。そんなのは太ってから考えるさ」

37: 2011/03/08(火) 16:11:08.98 ID:iulw0dA+0
マミ「それよりも美樹さん。鹿目さんが心配してたわよ? 昨日からお家に帰ってないんですって?」

さやか「ああ~……まぁ、はい」

マミ「どうかしたの?」

さやか「いや~……ちょっと、色々と悩んでしまいまして……」

マミ「悩んだら私に相談してくれたら良いのよ。私はあなたの先輩で、あなたは私の後輩なんだから」

さやか「そうなんですけど……ちょっと、ね……」

杏子「そういえばマミは、魔法少女の身体とソウルジェムの関係は知ってるのか?」

マミ「ええ。暁美さんから聞かされたわ。魔法少女として復帰したその日に、“夜”のことと一緒にね」

杏子「そうかい。なら良いんだけどよ」

マミ「……まぁ、私も内心はこの身体について驚いたけれど……私の場合、一度本当に氏んだものだから。特に動揺はしなかったわ」

杏子「でもさ、コイツは違うだろ?」

マミ「そうね……確かに、美樹さんの場合は違うわね」

38: 2011/03/08(火) 16:13:41.96 ID:iulw0dA+0
マミ「彼の夢を叶えたいのか、彼の夢を叶えた恩人になりたいのか……その答えを出す前に契約したことは、確かに自業自得なのかもしれないけれど……
   どちらにしても、ちゃんと答えが出ていても、美樹さんにとって辛い選択になってたことに変わりはないものね」

さやか「…………」

マミ「ホント……美樹さんも気を遣っちゃって。
   私のためにグリーフシードを届けてくれるのはありがたいけれど、本当に相談したいことがあっても黙っちゃって。
   おかげで、ソウルジェムのこととか全く分からなかったわ」

さやか「……ごめんなさい……」

マミ「別に責めてるわけじゃないの。私のために気を遣って言わなかったんだろうし。
   ……そりゃそうよね。氏にそうになったショックでしばらく前線から抜けてたんだもの。
   そんな精神的に追い詰められてるときに、さらに追い詰めるようこと、言えないわよね。
   おかげで、美樹さんの負担、余計に増やしちゃったみたい。先輩、失格だね」

さやか「そ、そんなことありません!
    その、事情を話さないようにしてた私の相談に乗ってもらったこととか、話し相手になってくれたこととか……ありがたかったです!」

マミ「それを言われたら私だって、話し相手になってくれてたからこんなに早く復帰できたのよ。
   もしかしたらまだ、魔法少女として戦えてなかったかもしれないわ」

39: 2011/03/08(火) 16:14:43.92 ID:iulw0dA+0
マミ「っと、ごめんなさい。夜中に訪れたってことは、何か大切なお話があったのよね?
   それなのに私ばっかり話してしまって……」

さやか「ああ、良いんです良いんです。気にしないで下さい」

マミ「でも美樹さん、何か悩んでるのよね?」

さやか「いえ、まぁ……悩んでたというよりか……ちょっと、恭介にフられちゃいまして……それでちょっと、落ち込んでたんですよ」

マミ「あ……そうなの……ごめんなさい」

さやか「そんな、気にしないで下さい! それにフられたっていうより、友達と付き合いだしただけっていうか……そんな感じなんで!
    もう、ホント、マミさんが気にすることじゃないんですよ!」

マミ「でも……」

さやか「それにほら、マミさんには色々と相談に乗ってもらいましたから。
    おかげで、私の中の正義の味方がブレることはなくなりましたし。
    もしマミさんがいなかったらあたし……今頃、自分の存在価値とか、世界を守る価値とか、そういうのが分かんなくなってましたよ」

マミ「私は……ただ、頑張るあなたを褒めただけよ?」

さやか「それで良かったんですよ。きっと。
    ……あたしってばなんだかんだで、誰かに愛されたかったんだと思うし」

40: 2011/03/08(火) 16:16:20.76 ID:iulw0dA+0
さやか「マミさんに認められたみたいに感じられて……それだけで、あたしは嬉しかったんです。
    だからまだ、あたしは、魔法少女を続けいてられるんだと思います」

マミ「そう……そう言ってもらえると、うれしいわ」

さやか「それで、良かったらあたしと……付き合ってもらえませんか?」

杏子(……えっ? ここで言うの? すんげぇ良い話の途中のように感じんだけど)ポリポリ

マミ「付き合う? あぁ、お買い物かなにか? それなら明日の放課後にでも――」

さやか「違います!」

マミ「――えっ?」

さやか「恋人同士として! あたしと! お付き合いしてくださいっ!」

マミ「……本気?」

さやか「マジです!」

マミ「…………」

杏子(うっわ~……なんか、すんげぇ考えてる……大方、傷つけない断り方でも考えてんだろうが……
   つ~かさやかも、言うにしてもなんかタイミングがおかしすぎるだろ……)カチャ ズズー

マミ「!」ピーン

41: 2011/03/08(火) 16:17:59.52 ID:iulw0dA+0
マミ「ごめんなさい……じつは私、好きな人がいるの。だから美樹さん、あなたのその気持ちには、応えられない」

さやか「あっ……そうなん、ですか……」

マミ「本当にごめんなさいね。でも、その気持ちは先輩として嬉しいから」

さやか「……分かりました……」

マミ「そう。それなら良か――」

さやか「なら二番でも良いんで付き合ってください!」

杏子(往生際わりぃなぁ、おい……)ポリポリ

さやか「いえもうハーレムメンバーの中に加わってくれるだけで良いんで!」

マミ「――…………ちょっと待って。ハーレム……? どういうこと、美樹さん?」

さやか「しまった……! 口を滑らせちゃった……!」

杏子(あほだな、コイツ)ポリポリ

42: 2011/03/08(火) 16:18:32.69 ID:iulw0dA+0
マミ「……美樹さん、あなたは、私が好きで告白してきたのよね?」

さやか「……はい」

マミ「一番好きだから、同姓だけれども、告白してきたのよね?」

さやか「……えっと……」

マミ「それなのに……ハーレムメンバーって、どういうこと……?」

さやか「いえ、その……じつはさやかちゃん的に、沢山の魔法少女に囲まれ慕われる生活がしてみたいなぁ、なんて思ってまして……はい」

43: 2011/03/08(火) 16:19:47.17 ID:iulw0dA+0
マミ「具体的には?」

~~~~~~

杏子『さやか、今日はあたしと遊ぼうぜ!』

まどか『ダメだよ! さやかちゃんは今日は私と遊ぶの!』

マミ『違うわ。美樹さんは今日、私と一緒に紅茶を飲みながらお話をするのよ』

ほむら『ダメ。美樹さやかとは私が遊ぶ』

さやか『おいおいみんな……あたしの身体は一つだぜ。仲良く、みんなで遊ぼうじゃないか』

四人『『『『さ、さやかちゃ~ん……!』』』』

~~~~~~

さやか「……みたいな感じです」

杏子(誰のモノマネも似てねぇ……っつかその妄想がすでに色々と末期だ)

マミ「そう……それが美樹さんの望むハーレムだと……美樹さやかハーレムだと……そう言いたいの?」

さやか「まぁ、その……なんといいますか……その通りでございます」

さやか(迫力による重圧がハンパない……!)

44: 2011/03/08(火) 16:22:05.81 ID:iulw0dA+0
マミ「不誠実」

さやか「ぐっ……」

マミ「その一言に尽きるわよ」

さやか「返す言葉もございません……」

マミ「……ま、寂しいからこその反動だと思って、今日のところは大目に見ましょう」

さやか「あ、ありがとうございます~!」フカブカ~

マミ「そんな土下座までしなくても……でも、気持ちは伝わってきたわ。これからも仲良くやっていきましょう」

さやか「ああ……マミさんが天使のように見える……」

マミ「ふふっ、大げさね」

さやか「……そういえばマミさん。さっき言ってた好きな人ってのは誰なんです?」

マミ「ああ、それはね――」

杏子(どうせ断るためのデタラメだったんだろ)カチャ ズズ

マミ「――佐倉さんよ」

杏子「ぶほぉっ!」

さやか「うわきたなっ!」

47: 2011/03/08(火) 16:25:17.25 ID:iulw0dA+0
杏子「て、テメェ……一体何言って……」///

マミ「あら? 当然の帰結だと思わない?
   助けに来て、ってお願いしたら来てくれて、あまつさえ大切な後輩の面倒もちゃんと見てくれてるのよ?
   惚れるなって方がおかしいわよ。しかも同じ魔法少女だし」

杏子(くっ……楽しそうな笑みを浮かべやがって……この方がおもしろそうだから、って理由だけで言ってるなコイツ……!)

さやか「なるほど……確かにその通りかも……あたしもあのなんだかんだの面倒見の良さに惹かれたし……」

杏子「乗せられるなお前も!」

マミ「そうよね、佐倉さんってカッコイイしカワイイわよね」

杏子「か、かわっ……!」///

さやか「全く持ってその通りですよマミさん。
    でもそっか……コイツに惚れてるんなら、もしハーレム計画がバレなくても無理だったか……」

杏子「て、テメェら……」///

マミ「あら、美樹さんも美樹さんで魅力的よ」

杏子「いい加減に……」///

さやか「でも敵いませんって。コイツの良いところが分かってるだけに、ソレも分かっちゃいますよ」

杏子「本人がいるところでのその話をやめろっ!」///

48: 2011/03/08(火) 16:29:53.93 ID:iulw0dA+0
~~~~~~

お外

さやか「さて、次は転校生か」

杏子「…………」

さやか「なぁによ。まだ照れてんの?」

杏子「照れてねぇよ。ただ疲れてきただけだって……」

さやか「まさかアンタが褒められ慣れてないとはねぇ……」

杏子「褒められ慣れるってどうやれば良いんだよ、ったく……」

さやか「マミさんは失敗したから、次こそは成功しないとね、うん」

杏子(“は”っていうか、一回目も見事失敗してるだろ……)

杏子「……で、暁美ほむらはどうすんだ? というより、そもそもまずは最初にどうやって会うつもりなんだ?
   あたしは家知ってるけど……ずっといるとは限らねぇぞ」

さやか「え? 会うのなんて簡単でしょ。まどかのこと大切だからあたしを助ける、なんてことも言ってきたぐらいだし、たぶんアイツってずっとまどかの近くにいるんじゃない?」

杏子「へぇ……で、だからどうすんだ?」

さやか「まどかにパンツでも借りて地面に落としたら駆けつけてくるでしょ」

杏子「アンタの中での暁美ほむら像は救いようがないな……」

50: 2011/03/08(火) 16:35:15.33 ID:iulw0dA+0
杏子「そんな方法より、直接家に出向くか。いるかどうかも分かんないけど」

さやか「いやいや、絶対まどかのパンツ落とし釣り作戦の方が効果絶対だって」

杏子「そもそも、アンタの親友が貸してくれる訳ねぇだろ?」

さやか「あたしのことが大好きなまどかなら貸してくれるって」

杏子「もしそうなら結婚詐欺師に注意しろって教えておいてやりな」

さやか「まどかは純粋だからねぇ~……まあそこが可愛いんだけど」

杏子「そうかい」

さやか「あっ、もちろんアンタも可愛いわよ」

杏子「付け加えるように言われてもな……」

さやか「あれ? 照れてる?」

杏子「照れてねぇよ。ほら、とりあえず行くぞ」///

さやか「顔赤くしちゃって、かっわいい~♪」

ほむら「……ラブラブね、あなたたち」

51: 2011/03/08(火) 16:36:09.52 ID:iulw0dA+0
杏子「っ!」
さやか「うおっ!」

ほむら「……そんなに驚くことも無いんじゃない?」

さやか「だったら突然現れないでよ……」

杏子「ショックうけるぐらいならその驚かすような登場の仕方、止めた方がいいぞ?」

ほむら「いつも通りだったわ。ただ、あなた達が自分の世界に入っていただけ」

杏子「そ、そんなんじゃねぇし」///

さやか「それよりも転校生。一つ訊きたいんだけど」

ほむら「……なに?」

さやか「アンタってさ、あたしのこと嫌い?」

ほむら「ええ。当然よ」

杏子「バッサリ言うなぁ……」

さやか「でもコイツらしいじゃん?」

52: 2011/03/08(火) 16:37:47.61 ID:iulw0dA+0
さやか「して、その理由は?」

ほむら「まどかを激しく悲しませる要因だからよ」

さやか「ということは、あたしがまどかを悲しませる要因じゃなくなったら、アンタもあたしのことを嫌いじゃなくなるってことよね?」

ほむら「……なにが言いたいの? あなた」

さやか「好きです。あたしと付き合ってください!」

杏子(はやっ!)

ほむら「お断りするわ」

杏子(コッチもはやっ!)

さやか「えぇ~? なんでよ~?」

ほむら「どうしてもなにも、私があなたのことを嫌いなままだからよ」

さやか「もうまどかを悲しませることはしないって」

ほむら「……確かに……巴マミが生き残り、佐倉杏子がこの町に来てくれた時点で、あなたは崩壊しないみたいね」

さやか「? なんかおかしな言い方~」

ほむら「癖みたいなものよ。気にしないで」

53: 2011/03/08(火) 16:39:39.70 ID:iulw0dA+0
ほむら「それにそもそも、あなた自身が私のことを好きじゃないでしょ?」

さやか「いやぁ~……まぁ確かに、前まではそうだったかも」

ほむら「前……?」

さやか「そう、前。フられて、女の子を好きになるぞ! って決めた段階で、あたしってば魔法少女みんなと仲良くなりたいなぁ、って思って」

ほむら「くだらない……私たちは所詮、孤独に氏んでいくしかないのよ」

さやか「だとしても、同じ運命を背負っているもの同時、一緒に行動したって良いっしょ?」

ほむら「それだと、圧倒的にグリーフシードの数が少なくなるわ」

さやか「だったら、絆だけでも欲しいのよ、あたしは。別の町に行っても連絡を取り合うような関係がさ」

ほむら「それがなんになるって言うの?」

さやか「孤独が和らぐんじゃない?
    確かに、孤独だってアンタが言うのはにその通りだと思う。コイツだって言ってたし、マミさんだって言ってる。
    新米のあたしじゃ分かんない何かがあるんだと思う」

ほむら「それが分かってるだけでも十分よ」

さやか「でもさ、孤独になって氏んでいくまでの間、ずっと孤独でいる必要はないと思うんだ、あたしは」

54: 2011/03/08(火) 16:40:34.31 ID:iulw0dA+0
さやか「確かに氏ぬ時は辛いと思う。仲良くなった人と別れるのはイヤだと思う。
    でも、だからって孤独のままは、もっと寂しいんだよ」

ほむら「…………」

さやか「それにさ、ありきたりな言葉だけど……氏ぬ時に辛いとか悲しいとか思うのはさ、
    それだけ相手のことが好きだったってことの、なによりの証じゃない?
    あたしは、そういうのが欲しいの」

ほむら「だったら、私以外の魔法少女とそうなることね」

さやか「いいや。アンタも巻き込む」

ほむら「余計なお節介よ」

さやか「あたしってば元々、結構お節介な性格なのよ、これでも」

ほむら「だったら、理由を聞かせてもらえる?」

さやか「理由?」

ほむら「そう。私のことが嫌いなあなたが、どうして私まで誘うのかの理由を」

さやか「ん~……そうだなぁ……」

55: 2011/03/08(火) 16:42:03.98 ID:iulw0dA+0
さやか「もう嫌いじゃなくなったってのもあるけど……それ以上にやっぱ、普通に優しいから、かな」

ほむら「おかしなことを言うのね。
    あなたにあれだけのことを言って、あなたを殺そうとまでした私が、優しい?」

さやか「そう、優しい。だってアレって、まどかのことが大好きってことでしょ?」

ほむら「大好き……そうね、大切だわ」

さやか「でしょ? それだけ一途に誰かを思えるのって、きっと優しいからだよ。
    あの時は気付けなかったけどさ、今のあたしは、そうだって気付いてる。
    だから、前まで嫌い、だったんだよ。
    だってあたしも、まどかのこと大好きだからさ」

ほむら「…………」

56: 2011/03/08(火) 16:43:53.84 ID:iulw0dA+0
さやか「それにさ……アレもアレでツンデレだと思えば、結構心にクるんだよねぇ……」

ほむら「つん、でれ……?」

さやか「あれ? 知らない? 日頃ツンツンしてる子が、ふとした時にデレることを言うの。
    まぁさっき使ったのだと意味合いは変わってくるけど……
    あたしのことが好きなアンタが素直になれず、まどかを言い訳にしてあたしのソウルジェムを無理矢理にでも浄化しようとした、って感じに考えれば、嬉しいなって。
    あたしってばプラス思考だから、そうやって考えることも出来んの」

杏子(プラス思考っていうより脳内変換だな、オイ)

ほむら「そ、そんなことはないわ。私は本当に、まどかのためだけにあなたを助け――いいえ、利用しようとしたのよ」

さやか「ほらソレも」

ほむら「……?」

さやか「あたしに本心がバレたから動揺して、咄嗟に言い訳を口にしてるって感じ」

ほむら「か、勘違い甚だしいわ……そんなの」フイッ

さやか「お、転校生の素顔、始めてみたかも」

ほむら「っ!」

さやか「そういう表情、やっぱり可愛いよ、アンタ」ニカッ

ほむら「……っ!」ポン←フラグが立つ音

57: 2011/03/08(火) 16:45:12.63 ID:iulw0dA+0
杏子(ん? なんか音がしたような……)

さやか「あたしを殺そうと見せかけたのも、動揺している隙にソウルジェムを奪って無理矢理浄化しようとしてたって考えると……たまりませんなぁ……」

杏子(工口オヤジか)

さやか「ま、恭介にフられて、意気消沈して自暴自棄になって、ソウルジェムを濁らせてたあたしに、
    無理矢理とはいえ手を差し伸べてくれて……本当はちょっと、嬉しかったの。
    ……ま、全部、女の子を好きになった方が良いのかも、って考えてから気付けたことなんだけど。
    このツンデレとかのプラス思考も」

ほむら「……そう」

さやか「まどかやマミさんに相談乗ってもらって、さらにアンタにまで助けてもらって……あたしってば、そこまでされないと、きっと破滅してた。
    ううん、絶対に壊れてた。
    だからさ、みんなを好きにならないはずがないんだよ」

ほむら「…………そう、分かったわ」

さやか「え?」

ほむら「し、仕方が無いから……付き合ってあげても良いわ」

さやか「本当!?」

ほむら「ええ」

さやか「よっし! 正式決定版ハーレムメンバー二人目ゲットォ!」

ほむら「ちょっと待ちなさい」

58: 2011/03/08(火) 16:46:37.15 ID:iulw0dA+0
ほむら「ハーレムとはどういうこと?」

さやか「ん? だから言ったじゃん。みんなを好きになったって。
    だからあたし、今まであたしを助けてくれたまどかも含む魔法少女集めて、ハーレム作ろうとしてんの」

ほむら「そんな話は聞いていない」

さやか「まぁ、言ってないものね」

ほむら「……私の純情が弄ばれた……」ガクッ

さやか「えっ、ちょ、どうしたの転校生!?」

杏子(あー……アレってもしかして、マジだったんじゃねぇの?)

ほむら「…………」

さやか「おーい……」

ほむら「っ!」ハッ

ほむら(いえ、ちょっと待ちなさい。
    ハーレムメンバー……とは言っても、美樹さやかの器を考えるに、確実に優劣が生まれる。
    ならそこで……一番になれば良いだけの話……! そしたらさやかとまどかを独り占め……!)

さやか「……どうしたんだろ?」

杏子「察しろよ、正義の味方様のせいなんだからさ」

59: 2011/03/08(火) 16:47:55.88 ID:iulw0dA+0
ほむら「……仕方が無いわね」

さやか「おっ、復活」

ほむら「一度付き合うと言った以上、反故にする訳にもいかない……なら、一番に立つだけよ」

さやか「? なんの?」

杏子(たぶん、アンタのいうハーレムのだよ)

ほむら「美樹さやか」

さやか「ん? なに転校生」

ほむら「暁美ほむらよ。付き合うと言った以上、名前で呼んでちょうだい」

さやか「じゃあ、ほむら」

ほむら「ええ。それで結構よ。
    ……私は基本的にまどかを守ることが一番だけれど……あなたのことも、気に掛けるようにするわ」

さやか「お、ありがたいお言葉」

杏子(今の言葉こそツンデレだろうに……)

ほむら「それと明日、自暴自棄から解放されたあなたになら説明しても大丈夫でしょうから、伝えたいことがあるわ」

さやか「? なに?」

ほむら「“ワルプルギスの夜”についてよ」

60: 2011/03/08(火) 16:48:48.05 ID:iulw0dA+0
ほむら「あなたも戦力に数えておくから。……期待しておくわ」

さやか「今じゃダメなの?」

ほむら「今はもう遅いから、やめておくわ。あなたも、早く家に帰ってあげたほうが良いわ。親御さん達も心配してるだろうし」

ほむら(それに……私も今心臓がドキドキいってるし、一度落ち着かないと……)

さやか「ん……確かにそうかも……まぁもうそろそろ日が昇りそうだけど」

ほむら「それでも、よ」

さやか「……分かった。ありがとう、転校――いや、ほむら」

ほむら「ええ。それじゃあね、さやか」

62: 2011/03/08(火) 16:49:56.30 ID:iulw0dA+0
~~~~~~

杏子「んじゃ、忠告もされたところだし、なんだかんだで全員回ったし、あたし達も帰るとすっか」

さやか「そうね。っと、あ!」

杏子「あん? どうしたよ?」

さやか「大事なこと忘れてた……」

杏子「大事なこと?」

さやか「そう。アンタさ、いつまでこの町にいる?」

杏子「いつまでって……そうだな……さっきアイツが言ってた“ワルプルギスの夜”が終わるまでかな」

さやか「それが終わったらどうするの?」

杏子「どうするも何も……元居た縄張りに戻るか、他に空いてる縄張りに行くかするさ」

さやか「え? ずっとこの町にいないの?」

杏子「当たり前だろ。マミだって復帰してんだし、アンタだってこの町にいる。三人も魔法少女はいらないさ」

63: 2011/03/08(火) 16:51:22.34 ID:iulw0dA+0
さやか「そっか……じゃああたしも、アンタについていっていい?」

杏子「やめとけよ」

さやか「え……? なんで!?」

杏子「学校は出れるうちに出ときな。せめて義務教育は受けとけっての」

さやか「そんなの、ゾンビになった今は関係ない」

杏子「確かにそうかもしんないけどさ……あたし、バカとは一緒にいたくない」

さやか「だから――」

杏子「それにさ……コレはあたしの我侭なんだけど……学校ぐらいは、卒業しておいて欲しいんだ」

さやか「…………」

杏子「それにアンタには、あたし以外にも沢山の絆があんだろ?
   せめてそれに折り合いをつけるまで、キリのいいところまでは、この町にいて欲しいんだよ」

さやか「……ホントだよ。あんた、自分勝手すぎるよ」

杏子「今更じゃん?」

さやか「そうだよね……うん、そうだった。アンタってば、そういう人だったね」

67: 2011/03/08(火) 17:56:58.17 ID:iulw0dA+0
さやか「それじゃあさ……もしそのアンタの我侭聞かなかったら……あたしのこと、嫌いになる?」

杏子「どうだろうねぇ……ただ、呆れることは間違いないかな」

さやか「そっか……じゃあ、この町にいることにする。学校、卒業するまでは」

杏子「ああ。そうしな」

さやか「アンタは……いてくれないんだよね?」

杏子「ああ。あたしだって自分の命は惜しいからな。
   グリーフシード争奪戦みたいになるこの町に留まることはしないさ」

さやか「だったらあたし、卒業したら、アンタを探しに行く」

杏子「……はんっ、わざわざそこまでしなくてもいいっての」

さやか「え……?」

杏子「あたしが、あんたを迎えに来てやるからさ。だってあたしたち……付き合ってんだろ?」ニカッ

さやか「っ! うん……! ありがとう……嬉しいよ、杏子」

68: 2011/03/08(火) 17:58:37.30 ID:iulw0dA+0

杏子「……で、話が変わっちまってたけど、結局忘れてた大事なことってなんなんだ?」

さやか「……はぁ……あっきれた」

杏子「は?」

さやか「アンタ、結構鈍いよね」

杏子「アンタには言われたくないな、その言葉」

さやか「っていうか察して欲しいわけよ、さやかちゃん的には」

杏子「? 何をだよ」

さやか「使い魔の段階では無視して人を殺させて、魔女へと昇華させてから狩れって言ってるアンタに……
    あたしやマミさんとは全く違って魔法少女を徹底してるアンタについていくって言ってる時点で、あたしの気持ちを察して欲しいって言ってるの」

杏子「? なんだよ。一丁前にあたしを更正させようとでもしてんのか?」

さやか「はぁ……そんな訳ないでしょ。アンタの事情を知ってるだけに、ソレが無理だってことも分かっちゃってるし。
    だからそうじゃなくて、そういうのを抜きにしてまで、反発し合うことも決まってるのに一緒にいたいって言ってるあたしの気持ちを察して欲しいって言ってるの」

杏子「……わっかんねぇよ。さやかの言いたいことなんか」

さやか「ああ……そう。はいはい、分かりましたよ。ま、改めて名前を呼んでもらえただけでも良しとするわ、今日は」

70: 2011/03/08(火) 18:00:26.43 ID:iulw0dA+0
さやか「はぁ……」

さやか(今までの行動が全部照れ隠しで……本当に一番好きなのはアンタだって知って欲しかったんだけど……
    ま、あたしのやり方も不器用だったし、察しの悪い杏子じゃ無理か……)

杏子(なぁんて考えてそうだな……さやかのことだから。
   ……ったく、さすがのあたしでも分かるっての。あそこまで言われちゃあな。
   それに、明らかに他のみんなとは違って、全てが終わった後のことまで聞いてくんだからイヤでも分かるっての。
   ……でもさ、応えられるわけねぇだろ。……恥ずかしいし……)

杏子「なに落ち込んでるかしんないけどさ、とりあえず、元気だしなって」

さやか「アンタのせいだってのに、そんなこと言われても――」

杏子「名前で呼べよ」

さやか「……え?」

杏子「あたしも、アンタのことはこれから極力さやかって呼ぶようにするからさ。さやかも、あたしのことは名前で呼べよ。
   暁美ほむらも言ってたろ? 付き合ってるなら名前で呼び合うべきだって」

さやか「……ああ、そうね。そうだったね。分かったよ、杏子」

杏子(ま、今日のところはあたしも、コレが限界かな……?
   これ以上はさすがに照れない自信がないしな)

71: 2011/03/08(火) 18:02:24.36 ID:iulw0dA+0
杏子「んじゃ、さやか。また明日」

さやか「うん、また明日、杏子」

トコトコトコ…

杏子「…………」

杏子(……うん、なんかいいな。こういうのってさ)

杏子「…………」

さやか「杏子~!」

杏子「あん?」

さやか「また明日!」

杏子「さっきも聞いたっての! 大声で名前呼んでんじゃねぇ! 恥ずかしいだろうがっ!」

さやか「えへへ……ごめんごめん! それじゃあ本当に、おやすみ!」

杏子「ああ、はいはい! おやすみおやすみ!」

タッタッタ…

72: 2011/03/08(火) 18:04:16.17 ID:iulw0dA+0
杏子(まあまあ元気良く走って帰っちゃって……つい数時間前までしょげてたやつとは思えないね)

杏子「……でも、ま」

杏子(本当、アンタを救えてよかったよ)

杏子「放っておけないヤツだからさ。だから……これからもよろしくな……さやか」



終わり

90: 2011/03/08(火) 21:46:14.72

よかったぜ

引用元: さやか「恭介にフられた……」