1: 2020/12/16(水) 21:00:16.357 ID:rzpVvS7I0
ブロロロロロ…
男「昨日はよく眠れたか?」
後輩女「いえ……。すいません、こんな大事な日に」
男「気にすんな。俺もだ」
男「なにしろ、これから俺たちは史上最悪の殺人鬼と面会するんだからな」
男「とはいえ、殺人鬼に会う前に事故氏したら洒落にならねえから、運転には気をつけないとな」
後輩女「面会許可を得られるまで、本当に長い道のりでしたもんね」
ブロロロロロ…
男「昨日はよく眠れたか?」
後輩女「いえ……。すいません、こんな大事な日に」
男「気にすんな。俺もだ」
男「なにしろ、これから俺たちは史上最悪の殺人鬼と面会するんだからな」
男「とはいえ、殺人鬼に会う前に事故氏したら洒落にならねえから、運転には気をつけないとな」
後輩女「面会許可を得られるまで、本当に長い道のりでしたもんね」
ブロロロロロ…
4: 2020/12/16(水) 21:04:23.695 ID:rzpVvS7I0
ブロロロロロ…
男「ところでお前、刑務所の等級は知ってるか?」
後輩女「はい、警備の厳重さで上からA級、B級、C級とあるんですよね」
男「ご名答。だが、これから俺たちが行く刑務所の等級は……A級より上の“S級”だ」
後輩女「S級……!?」
男「表向きには存在していない等級だ」
男「ようするに、それだけ表ざたにできないヤバイ連中が集まってる刑務所だってことだ」
男「その中でもこれから俺たちが会おうとしてる“奴”はダントツでヤバイ」
後輩女「……」ゴクッ
男「ところでお前、刑務所の等級は知ってるか?」
後輩女「はい、警備の厳重さで上からA級、B級、C級とあるんですよね」
男「ご名答。だが、これから俺たちが行く刑務所の等級は……A級より上の“S級”だ」
後輩女「S級……!?」
男「表向きには存在していない等級だ」
男「ようするに、それだけ表ざたにできないヤバイ連中が集まってる刑務所だってことだ」
男「その中でもこれから俺たちが会おうとしてる“奴”はダントツでヤバイ」
後輩女「……」ゴクッ
5: 2020/12/16(水) 21:08:09.335 ID:rzpVvS7I0
ブロロロロロ… キキッ
男「到着」
後輩女「まるで要塞だわ……!」
≪アヴァ・カトラズ刑務所≫
男「なんでも、アバシリ監獄とアルカトラズ刑務所にあやかって、この名前がつけられたそうだ」
後輩女「どちらも有名ですもんね」
男「現在、世界一厳重な刑務所だってことは間違いない」
男「ただし、“奴”を閉じ込めておくにゃ、これでも不安だっていう専門家もいるほどだ」
男「到着」
後輩女「まるで要塞だわ……!」
≪アヴァ・カトラズ刑務所≫
男「なんでも、アバシリ監獄とアルカトラズ刑務所にあやかって、この名前がつけられたそうだ」
後輩女「どちらも有名ですもんね」
男「現在、世界一厳重な刑務所だってことは間違いない」
男「ただし、“奴”を閉じ込めておくにゃ、これでも不安だっていう専門家もいるほどだ」
6: 2020/12/16(水) 21:12:16.702 ID:rzpVvS7I0
男「予約していた面会希望者です」
警備兵「お待ちしておりました」
警備兵「これより所持品のチェックを行いますので、ご了承ください」
男「当然でしょうね」
後輩女「なぜ、私たちがチェックを受けるんです?」
男「そりゃ、もし受刑者に武器や道具でも渡されてみろ。それを使って脱獄されるおそれがある」
後輩女「こんな要塞みたいな刑務所なのに?」
男「ここの受刑者なら、決して不可能じゃない」
警備兵「お待ちしておりました」
警備兵「これより所持品のチェックを行いますので、ご了承ください」
男「当然でしょうね」
後輩女「なぜ、私たちがチェックを受けるんです?」
男「そりゃ、もし受刑者に武器や道具でも渡されてみろ。それを使って脱獄されるおそれがある」
後輩女「こんな要塞みたいな刑務所なのに?」
男「ここの受刑者なら、決して不可能じゃない」
8: 2020/12/16(水) 21:15:07.489 ID:rzpVvS7I0
警備兵「金属探知機・X線検査ともに問題ありませんでした」
男「どうも」
警備兵「しかし、目視による検査もありますので……」
警備兵「そちらの女性は、女性スタッフの指示に従って、身体検査を受けて下さい」
後輩女「はい……」
女警備兵「では、こちらへどうぞ」
男「どうも」
警備兵「しかし、目視による検査もありますので……」
警備兵「そちらの女性は、女性スタッフの指示に従って、身体検査を受けて下さい」
後輩女「はい……」
女警備兵「では、こちらへどうぞ」
9: 2020/12/16(水) 21:18:03.694 ID:rzpVvS7I0
……
男「どうだった?」
後輩女「全身くまなく調べられましたよ……」
後輩女「とても先輩に話せないようなところまで……」
男「俺もさ。危うく新しい世界に目覚めるところだった」
後輩女「もう、先輩ったら!」
男「どうだった?」
後輩女「全身くまなく調べられましたよ……」
後輩女「とても先輩に話せないようなところまで……」
男「俺もさ。危うく新しい世界に目覚めるところだった」
後輩女「もう、先輩ったら!」
10: 2020/12/16(水) 21:22:47.863 ID:rzpVvS7I0
警備兵「続いて、心理テストを行います」
後輩女「心理テスト?」
警備兵「受刑者とコミュニケーションしても問題ない精神状態か、テストを受けて頂きます」
後輩女「どうしてこんなことを……?」
男「もし危ない思想の持ち主がいたら、受刑者を脱獄させるための行動をしかねないからな」
後輩女「なるほど……」
警備兵「それに、逆に受刑者に“影響”を受けてしまう可能性もありますからね」
後輩女「影響?」
警備兵「凶悪犯と接触して、魅了されて、自らも犯罪者になってしまうというケースもあるんですよ」
警備兵「ですから、心になんらかの瑕疵があると判断されれば、面会は許可できません」
後輩女「心理テスト?」
警備兵「受刑者とコミュニケーションしても問題ない精神状態か、テストを受けて頂きます」
後輩女「どうしてこんなことを……?」
男「もし危ない思想の持ち主がいたら、受刑者を脱獄させるための行動をしかねないからな」
後輩女「なるほど……」
警備兵「それに、逆に受刑者に“影響”を受けてしまう可能性もありますからね」
後輩女「影響?」
警備兵「凶悪犯と接触して、魅了されて、自らも犯罪者になってしまうというケースもあるんですよ」
警備兵「ですから、心になんらかの瑕疵があると判断されれば、面会は許可できません」
11: 2020/12/16(水) 21:23:59.451
大変ね
12: 2020/12/16(水) 21:26:08.700 ID:rzpVvS7I0
男「心理テスト……終了!」
男「どうやら、二人ともパスできたようだ。よかったな」
後輩女「矢継ぎ早に色んな問題を回答させられて、頭がこんがらがっちゃいましたよ」
男「そんぐらいでないと、心理テストなんていくらでも嘘つけちゃうってことなんだろう」
警備兵「では、こちらへどうぞ。所長がお待ちです」
男「分かりました」
男「どうやら、二人ともパスできたようだ。よかったな」
後輩女「矢継ぎ早に色んな問題を回答させられて、頭がこんがらがっちゃいましたよ」
男「そんぐらいでないと、心理テストなんていくらでも嘘つけちゃうってことなんだろう」
警備兵「では、こちらへどうぞ。所長がお待ちです」
男「分かりました」
13: 2020/12/16(水) 21:30:16.718 ID:rzpVvS7I0
所長「ようこそ、アヴァ・カトラズ刑務所へ」
所長「私が所長です」ニィ…
男「初めまして、お会いできて光栄です」
後輩女「は、初めまして」
後輩女(なんだか怖そうな人……)
後輩女「正直、この人自身が凶悪犯でもおかしくないようなオーラをまとってますね」ボソッ
男「失礼だぞ」ボソッ
男「だが……これぐらいでないと、この刑務所の所長は務まらないんだろうな」
所長「私が所長です」ニィ…
男「初めまして、お会いできて光栄です」
後輩女「は、初めまして」
後輩女(なんだか怖そうな人……)
後輩女「正直、この人自身が凶悪犯でもおかしくないようなオーラをまとってますね」ボソッ
男「失礼だぞ」ボソッ
男「だが……これぐらいでないと、この刑務所の所長は務まらないんだろうな」
14: 2020/12/16(水) 21:34:28.585 ID:rzpVvS7I0
所長「それにしても、大変な勇気だ」
所長「よりによって、“彼”との面会を望まれるとは」
男「今、戦争や犯罪史についての記事を執筆していましてね」
男「“彼”への取材はどうしても避けては通れない、という結論に至りました」
男「しかし……出来れば避けたかったというのが本音です」
所長「そうでしょう、そうでしょう」
後輩女(今までどんな相手を取材する時も平然としてた先輩が、明らかに緊張してる……!)
所長「よりによって、“彼”との面会を望まれるとは」
男「今、戦争や犯罪史についての記事を執筆していましてね」
男「“彼”への取材はどうしても避けては通れない、という結論に至りました」
男「しかし……出来れば避けたかったというのが本音です」
所長「そうでしょう、そうでしょう」
後輩女(今までどんな相手を取材する時も平然としてた先輩が、明らかに緊張してる……!)
16: 2020/12/16(水) 21:37:20.122 ID:rzpVvS7I0
所長「では参りましょうか」
男「はい」
所長「質問があれば、歩きながらどうぞ」
後輩女「では……」
後輩女「私、恥ずかしながら、今回会う受刑者についてほとんど無知なんですけれども……」
男「俺もあまり詳しくないし、殆ど話してないからな。余計な先入観を持たせたくなかった」
所長「“彼”について無知なことを恥じることはありません」
所長「パンドラの箱の中身を知らないことを、恥じたり責めたりする人間はいませんからな」
後輩女「その“彼”は……いったい何人ぐらい頃したんです?」
男「はい」
所長「質問があれば、歩きながらどうぞ」
後輩女「では……」
後輩女「私、恥ずかしながら、今回会う受刑者についてほとんど無知なんですけれども……」
男「俺もあまり詳しくないし、殆ど話してないからな。余計な先入観を持たせたくなかった」
所長「“彼”について無知なことを恥じることはありません」
所長「パンドラの箱の中身を知らないことを、恥じたり責めたりする人間はいませんからな」
後輩女「その“彼”は……いったい何人ぐらい頃したんです?」
17: 2020/12/16(水) 21:40:16.010 ID:rzpVvS7I0
後輩女「10人?」
所長「……」
後輩女「100人?」
所長「……」
後輩女「まさか……1000人?」
所長「そんなものではありません。ケタが違います」
後輩女「え……」
所長「何十万……何百万……下手するともっと……」
後輩女「ええ……!?」
男「“奴”が頃した人数は、数が多すぎてとても把握しきれるものじゃないんだ」
所長「……」
後輩女「100人?」
所長「……」
後輩女「まさか……1000人?」
所長「そんなものではありません。ケタが違います」
後輩女「え……」
所長「何十万……何百万……下手するともっと……」
後輩女「ええ……!?」
男「“奴”が頃した人数は、数が多すぎてとても把握しきれるものじゃないんだ」
19: 2020/12/16(水) 21:43:18.409 ID:rzpVvS7I0
所長「このエレベーターで、“彼”がいるエリアまで降ります」
男「はい」
後輩女「こんな頑丈そうなエレベーター初めて……」
ウイーン…
男「“彼”は何階にいるんですか?」
所長「地下200Fです」
後輩女「200……!」
所長「これでもまだ“彼”を閉じ込めておくには浅いと思いますが、なにせ最下層が地下200Fなのでね」
男「はい」
後輩女「こんな頑丈そうなエレベーター初めて……」
ウイーン…
男「“彼”は何階にいるんですか?」
所長「地下200Fです」
後輩女「200……!」
所長「これでもまだ“彼”を閉じ込めておくには浅いと思いますが、なにせ最下層が地下200Fなのでね」
20: 2020/12/16(水) 21:46:41.042 ID:rzpVvS7I0
男「所長さんから見て、“彼”の最も恐れるべきところはなんですか?」
所長「そうですなぁ……」
所長「その精神性でしょうな」
後輩女「精神性……」
所長「“彼”は後退を知りません」
所長「“彼”の心にあるのは、常に前進あるのみ」
所長「その高潔とも異常とも取れる精神性が、“彼”を最悪の殺人鬼にしたゆえんなのでしょう」
所長「そうですなぁ……」
所長「その精神性でしょうな」
後輩女「精神性……」
所長「“彼”は後退を知りません」
所長「“彼”の心にあるのは、常に前進あるのみ」
所長「その高潔とも異常とも取れる精神性が、“彼”を最悪の殺人鬼にしたゆえんなのでしょう」
21: 2020/12/16(水) 21:48:28.615 ID:rzpVvS7I0
ピピーッ
ウイーン…
所長「地下200Fに到着しました」
所長「といっても、もうしばらく歩きますので、心の準備をしておいて下さい」
男「まるで氏刑台に送られるような気分ですよ」
後輩女(いよいよ……最悪の殺人鬼と面会の時……!)
カツーン… カツーン…
ウイーン…
所長「地下200Fに到着しました」
所長「といっても、もうしばらく歩きますので、心の準備をしておいて下さい」
男「まるで氏刑台に送られるような気分ですよ」
後輩女(いよいよ……最悪の殺人鬼と面会の時……!)
カツーン… カツーン…
22: 2020/12/16(水) 21:50:34.072 ID:rzpVvS7I0
後輩女「最後に、もう一つ質問よろしいでしょうか」
所長「どうぞ」
後輩女「“彼”はいったい誰を頃したんですか? やはり市民や女子供を……?」
所長「いいえ、“彼”が頃したのは英雄(えいゆう)です」
後輩女「英雄……!?」
所長「世界屈指の、誰もが知る英雄を、何度も何度も執拗に殺戮したのです」
所長「時に、英雄の弟が犠牲になることもありました。嘆かわしいことです」
所長「どうぞ」
後輩女「“彼”はいったい誰を頃したんですか? やはり市民や女子供を……?」
所長「いいえ、“彼”が頃したのは英雄(えいゆう)です」
後輩女「英雄……!?」
所長「世界屈指の、誰もが知る英雄を、何度も何度も執拗に殺戮したのです」
所長「時に、英雄の弟が犠牲になることもありました。嘆かわしいことです」
24: 2020/12/16(水) 21:53:06.539 ID:rzpVvS7I0
所長「あの扉を開ければ、“彼”と面会できます。私が付き添うのはここまでです」
所長「面会は30分、それ以上は許可しません」
所長「“彼”は超強化ガラスの内側にいるので、あなた方に危害を加えることはないでしょうが……」
所長「もし万一そうなった場合、我々はあなた方二人を救助することより、“彼”の殺害を優先します」
所長「人質にされたら、助からないと思って下さい」
男「ご忠告どうも」
所長「それと最後に……殺人鬼と恐れられる“彼”ですが、厳密には殺人菌といった方が正しいかもしれません」
後輩女(どういうこと……? 恐ろしい菌を武器にするの……?)
所長「では、どうぞ」
男「入るぞ」
後輩女「は、はいっ!」
所長「面会は30分、それ以上は許可しません」
所長「“彼”は超強化ガラスの内側にいるので、あなた方に危害を加えることはないでしょうが……」
所長「もし万一そうなった場合、我々はあなた方二人を救助することより、“彼”の殺害を優先します」
所長「人質にされたら、助からないと思って下さい」
男「ご忠告どうも」
所長「それと最後に……殺人鬼と恐れられる“彼”ですが、厳密には殺人菌といった方が正しいかもしれません」
後輩女(どういうこと……? 恐ろしい菌を武器にするの……?)
所長「では、どうぞ」
男「入るぞ」
後輩女「は、はいっ!」
25: 2020/12/16(水) 21:55:35.883 ID:rzpVvS7I0
ゴゴゴゴゴ…
カツーン… カツーン…
男「……」
後輩女「……」
後輩女(“彼”が……史上最悪の大量殺人鬼……)
男「やっと……会えましたね」
男「これよりほんのわずかの間ですが、あなたを取材させて頂きます」
カツーン… カツーン…
男「……」
後輩女「……」
後輩女(“彼”が……史上最悪の大量殺人鬼……)
男「やっと……会えましたね」
男「これよりほんのわずかの間ですが、あなたを取材させて頂きます」
26: 2020/12/16(水) 21:56:17.434 ID:rzpVvS7I0
男「スーパーマリオブラザーズ1-1最初のクリボーさん」
完
完
27: 2020/12/16(水) 22:01:05.003
乙
厳重に閉じ込められてるクリボー想像したらワロタ
厳重に閉じ込められてるクリボー想像したらワロタ
28: 2020/12/16(水) 22:10:02.255
クリボーなら適当な段差1個置いとくだけで良いだろw
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります