1: 2012/10/10(水) 08:56:39.93 ID:a7W7o0HkO
男「……」ペラ

男「…………」ペラ

男「……これもだめか」パタン

男「……感動したい」

3: 2012/10/10(水) 09:00:23.83 ID:a7W7o0HkO
男「何をすれば感動出来るんだ……」

男「話題の本だって読んだ、映画だって見た」

男「なのに、全くダメだ。全然ダメだ」

男「……俺がこうなって、もう一年か」

4: 2012/10/10(水) 09:05:30.52 ID:a7W7o0HkO
一年前

女「大っ嫌い」サッ

男「……」

男「くそっ、何で上手く行かないんだ」

男「辛い……」

男「こんなに辛いなら、いっそ」

神「氏んだ方がマシか?」

男「……誰ですか」

神「神だ」

男「……はは、面白い冗談ですね」

神「お前を頃してやろう」

男「……」

5: 2012/10/10(水) 09:09:45.22 ID:a7W7o0HkO
神「氏ね」

男「っ……ぐあっ……」

神「お前は氏ぬ。生きたまま、な」

男「っ……っ……」

神「氏を願いながら、生にしがみつこうともがくお前に相応しいだろう?」

男「…………」

神「じゃあな」

6: 2012/10/10(水) 09:12:53.59 ID:a7W7o0HkO
現在

男「あれから……俺の心は氏んだ」

男「まともに笑顔も浮かべられない」

男「家族にすら気味悪がられる」

男「なのに自頃すら出来ない」

男「……」

男「本、買いに行くか」

7: 2012/10/10(水) 09:17:05.20 ID:a7W7o0HkO
男「……」テクテク

女「あっ……」

男「……」チラッ

女「うっ……いや……そ、の……」

男「……」テクテク

女「……ちょっとくらい、反応してくれたっていいじゃないか……」

男(女は俺に何か言いたいことでもあるのか?)

男(まぁ、どうでもいいか)

8: 2012/10/10(水) 09:23:09.03 ID:a7W7o0HkO
男(どれを買おう……)

?「これなんかオススメだが」

男「……なんで神様がこんな所にいるんだ」

神「人間の娯楽は私の娯楽だからだ」

男「ジャ○アンかよ」

神「で、どうだ。氏にながら生きる感想は」

男「……無い」

神「それもそうか。私が感想を言うための心を頃したのだから」

男「そうだな」テクテク

神「まったく、神のお茶目さん」テヘペロコツン

神「……清々しいまでに無視してレジに行きよった」

9: 2012/10/10(水) 09:27:46.80 ID:a7W7o0HkO
男(綺麗な風景でも見に行くか)

男(もしかしたら、感動するかもしれない)

神「おい、待て」

男「……何だ?」ピタッ

神「私も付いていくが、構わないか?」

男「勝手にしろ」

神「神に向かってそんな言葉遣いしたら、バチが当たるぞ」

男「もう当たってるよ」

神「はは、こやつめ」

10: 2012/10/10(水) 09:34:24.01 ID:a7W7o0HkO


男「……」ザザーン

神「綺麗だなぁ」ザザーン

男「……神はずっと生きてるのか」

神「神を呼び捨てにするとは良い度胸だな」

男「バチの話なら二度手間だからしなくていいぞ」

神「……まぁよい。あぁ、そうだ、ずっと生きている」

男「飽きないのか」

神「それは寿命がある者の考えだ」

神「余裕がないから、一度見れば十分だと言うのだ」

男「そんなもんか」

神「そんなもんだ」

男「……」ザザーン

11: 2012/10/10(水) 09:40:41.91 ID:a7W7o0HkO
男「……俺はどうなったんだ」

神「わかりやすく言うなら、心は氏んだが不老不氏、だ」

男「……そうか」ザッ

神「帰るのか?」

男「あぁ」テクテク

神「晩飯は何だ」テクテク

男「抜きだ」テクテク

神「お、おかずは?」テクテク

男「……意味が違う」テクテク

神「はぁ。つまらない反応だな」テクテク

男「……」テクテク

12: 2012/10/10(水) 09:45:52.71 ID:a7W7o0HkO
家~扉前

男「……女?」

神「彼女か?」

男「昔はそうだったが」

神「……お前、デリカシーが無いな」

男「お陰様で」

女「ひとりでブツブツ言ってなかった?」

男「気のせいだ。用事は何だ」

女「……お願い!僕をここに住ませて!」

男「構わない」

女「そう、だよね。急に押しかけて……え?良いの?」

男「あぁ」

女「じ、事情とか聞かなくていいの?」

13: 2012/10/10(水) 09:49:33.54 ID:a7W7o0HkO
男「話したいなら聞いてもいいが」

女「き、気まずくなったらどうしようとか思わないの?」

男「思わない」

女「じゃ、じゃあ」

男「まず中に入ろう。最近、夜は冷えるからな」

女「は、はい……」

神「これは面白そうな展開だな」

14: 2012/10/10(水) 09:55:48.27 ID:a7W7o0HkO


女「お邪魔します。そういえば、男は一人暮らしなんだっけ」

男「そうだ」

女「ご、ご飯とかどうしてる?も、もし良かったら、その、僕が作るけど」

男「食ってない」

女「へ……?どうゆうこと?」

男「……いや、冗談だ。飯は頼む」

女「!任せてっ」

神「男、私も料理を作ろうか」

男「好きにしろ」

女「へ、へ!?そんないきなり好きなんてそんな」

男「……いや、台所を好きに使ってって意味だ」

女「あ、あー。そゆことかー」

16: 2012/10/10(水) 10:00:53.72 ID:a7W7o0HkO
女「じゃあ作ってくるね!」

男「よろしく頼む」

男「……神、女にお前は見えてないのか?」

神「あぁ。いきなり私みたいな美少女が現れたらビックリだからな」

男「面倒だから喋るな」

神「……初めてこんな扱いされた。神なのに」

男「勝手に家に入ってきたからバチが当たったんだな」

神「まだそのネタ引っ張るのか」

17: 2012/10/10(水) 10:04:43.85 ID:a7W7o0HkO
男「神は飯を食べないよな?」

神「食べるに決まっているだろう。食べるのは最大の娯楽の一つだぞ」

男「そうか。じゃあ俺の分を食ってくれ」

神「何故食べない」

男「氏んでから味に対して何も感じなくなった。それに食わなくても生きることができる」

神「……そうか。まぁよい。だが、どうやって私に食べさせる?何もない空間に食べ物が消えていくのと一緒だぞ」

男「考えならある」

18: 2012/10/10(水) 10:11:23.41 ID:a7W7o0HkO
女「さぁ出来たよ!食べよう!」

男「あぁ。いただきます」

女(張り切って作りすぎちゃった……)

神「いただきます……まさかお前の膝の上に私を載せるとは」

女「……男」

男「何だ」

女「犬食いは行儀悪いよ」

神「しかたないだろう!こうしないと男が食ってるように見えないんだから!」

男「美味いし腹減ってるからこうなるんだ。すまない」

女「なっ……こ、今回だけだよ!次からはちゃんとしてね」

男「あぁ」

神「男!美味いぞこれ!」

19: 2012/10/10(水) 10:14:45.89 ID:a7W7o0HkO
男「ごちそうさま」

女「お粗末様でした。いやぁ、まさか全部食べちゃうなんて、僕ビックリだよ」

神「別に私が食いしん坊だからではないぞ!残したらもったいないからだなぁ」

男「美味かったからな」

女「えへへ……明日も腕によりをかけちゃうから!」

男「ああ、期待してる……主にこいつが」ボソッ

神「き、期待してなど……期待してるぞ!」

21: 2012/10/10(水) 10:20:06.12 ID:a7W7o0HkO
男「風呂、先に入っていいぞ」

女「わかった……覗かないでね?」

男「あぁ」

男「……神」

神「なんだ」

男「飯を食う方法についてなんだが」

神「覗きの手助けをしろというのかと思ったぞ」

男「俺の口に入れたらお前の口の中に入ってるとか出来ないのか」

神「無視か!まぁよい。出来るぞ」

男「ならそうしてくれ。行儀良くしろと言われたからな」

神「それは構わないが……一つ聞いて良いか」

男「……何だ」

22: 2012/10/10(水) 10:24:29.66 ID:a7W7o0HkO
神「何故女と一緒に住むことを快諾したのだ」

男「……どうでもいいからだ。何もかもな」

神「では何故女に私の存在を隠す」

男「説明が面倒だし、信じてくれないだろうからな」

神「……そうか。くだらないことを聞いたな。忘れてくれ」

男「あぁ……」

神「……」

男「本読むか」ペラ

男「……」ペラ

24: 2012/10/10(水) 10:28:55.52 ID:a7W7o0HkO
女「男、あがったよ」

男「わかった」パタン

男「……」ヌギヌギ

神「……」ヌギヌギ

男「……おかしくないか」

神「何がだ」

男「俺と一緒に風呂に入るつもりか?」

神「当たり前だろう。女に怪しまれないためには、これが最善だ」

男「はぁ……勝手にしろ」ガラッ

25: 2012/10/10(水) 10:33:42.51 ID:a7W7o0HkO
男「神は風呂にも入らなければいけないのか?」シャカシャカ

神「入らなくても大丈夫だがな。まぁ、娯楽の一つだ」

男「そうか」バシャーン

神「背中、擦ろうか」

男「あぁ、頼む」

神「なかなかどうして良い背中じゃないか」ゴシゴシ

男「そりゃどうも」

神「ふふっ」ダキッ

男「……何だいきなり」

神「男のロマンだろう?体で擦るってのは」ゴシゴシ

26: 2012/10/10(水) 10:39:27.86 ID:a7W7o0HkO
男「……汚れがちゃんと落ちない。ちゃんとやれ」

神「とかいってお前のはしっかりはんの……してないな」

男「わかったら真面目にやれ」

神「……たたないのか」

男「お陰様で」

神「なんだ、折角巨乳に体を変えたのに。ツルペタが好みなのか」

男「はぁ……早く流せ」

神「からかいがいが無いな」バシャーン

男「どうも。次からは頼まない」

神「可愛げもないな」

29: 2012/10/10(水) 10:45:24.66 ID:a7W7o0HkO
男「上がったぞ。女、寝室は……」

女「……」スースー

男「ソファで寝てやがる」

神「気持ちよさそうに寝てるな」

男「……仕方ない」ダキッ

神「お姫様抱っこ…だと…」

男「……」テクテク

男「今日は俺のベッドに寝かせるか」

神「私達はどこで寝るんだ」

男「……二階にツインベッドがある。そこで寝る」

30: 2012/10/10(水) 10:50:52.84 ID:a7W7o0HkO
神「ツッコまないのか。神も寝るのか?って」

男「お前の場合は何してもおかしくない。早くいくぞ」

神「おい、お姫様抱っこをしろ」

男「……ほら」ダキッ

神「これは……これはいいな……」

男「女より重いんだが」

神「本当にお前はデリカシーが無いな」

男「お陰様でな」

神「……」

男「……」

31: 2012/10/10(水) 10:58:55.54 ID:a7W7o0HkO
男「……」ペラ

神「寝ないのか?」

男「寝なくても氏なないからな」ペラ

神「……男、お前、何のために生きてるんだ」

男「目的なんて無い。不老不氏だから、生きてる。それだけだ」ペラ

神「……楽しいのか、それで」

男「楽しいわけ無いだろ」ペラ

神「……お前は私を恨んでいるのか」

男「神様なら何でもわかるだろ?聞くまでもない」ペラ

神「そうだな。心が無いんだから、怒りすら無い。当然だ」クスッ

男「その通りだ」ペラ

神「……おやすみ」

男「……」ペラ

32: 2012/10/10(水) 11:03:05.42 ID:a7W7o0HkO


女「……ん?あれ、ここどこだっけ……」

女「なんか…このベッド…男の匂いが…へへ、へへへ」

男「おはよう」

女「……お、おはよございみゃふ」

男「朝飯、頼むな」

女「……恥ずかしさで氏にそうだよ」

33: 2012/10/10(水) 11:11:03.83 ID:a7W7o0HkO
女「はい、どうぞ!」

男「いただきます」

男(昨日頼んだとおり、口に入れようとしたら消えるようになってるな)

女「どう?美味しい?」

男「あぁ、美味いよ」

女「……そ、そっか。ならよかった」

男「……」パクパク

女「……」パクパク

神「おふぉふぉおおお!おはへ、わらひをひっほふひふぉへぇるひぁ」(男ぉぉぉ!お前、私を窒息氏させる気かぁぁ)

男「……」チラッ

男「なるほど、わかった」

男「」ガツガツガツガツ

女「そ、そんな急いで食べなくても」

神「ふぁ、ふぁふぇるふぁー!」(ま、負けるかー!)ガツムシャゴックン

34: 2012/10/10(水) 11:21:21.76 ID:a7W7o0HkO
女「じゃあ、私行ってくるから」

男「あぁ、いってこい」

男「……」

神「お前はどこにも行かないのか」

男「ニートだからな」

神「人は生きるために働く。お前は何もしなくても生きれるからな。まぁ、当然か」

神「とまぁそんなことはどうでもいい。朝のことについて話そう」

男「何だ」

神「お前、私を窒息させようとしただろ!」

男「いや、俺はお前が美味い美味い言ってるのかと思って」

神「嘘はいい!でも私窒息しないからな!神様だから!残念でした!」

男「残念だったな……」

神「泣くぞ!そろそろ泣くぞ!」

35: 2012/10/10(水) 11:25:34.31 ID:a7W7o0HkO
神「はぁ……まぁ、そこでだ。思ったことが私に伝わるようにしたいのだが、どうだろう」

男「構わない。俺もそう頼もうと思っていた」

神「わかった。……いいぞ。今からは思えば伝わる」

男(こうか?)

神「大丈夫みたいだな。ところで、今日は何するんだ?」

男(本を買いに行く)

神「……昨日のはどうだった?」

男(普通だった)

神「私のおすすめが普通だったで切られた…」

37: 2012/10/10(水) 11:29:48.16 ID:a7W7o0HkO
男「行くか……」

神「なぁ、男。お前は何故本を読む」

男(感動したいから)

男「理由なんて無い。昨日も言っただろう」

神「……そうか。悪かったな」

男「構わない。良かったらお前のおすすめを教えてくれ」

神「あぁ、いいぞ」

38: 2012/10/10(水) 11:35:29.59 ID:a7W7o0HkO
書店

神「この小説は良いぞ」

男(どういう内容なんだ?)

神「感情を失った青年が、周りの助けで感情を取り戻すお話」

男(……そうか。買おう)

神「そういえば、男は働いていないのに金はどこから出してるんだ?」

男(親が金は入れてくれてる。家も親がくれた)

神「いわゆるボンボンというやつか」

男(そうだ)

39: 2012/10/10(水) 11:42:49.34 ID:a7W7o0HkO
神「いつから両親とは別に過ごしているんだ?」

男(あの日からだ)

男(感情の無くなった俺を気味悪がってな。もといた家を俺に渡して、別の家を建ててそこに行ったよ)

神「……そうか」

男(気にするな。前の俺も一人暮らししたがってたしな)

神「わかった。……ところで、遊園地に行かないか」

男(好きなのか?)

神「いや、その……行ったことが無くてな、行ってみたいんだ」

男「へぇ。わかった。行こう」

40: 2012/10/10(水) 11:49:55.16 ID:a7W7o0HkO
遊園地

男「大人、二枚」

チケット売り「あの、お連れ様の姿が見えないのですが」

男「あぁ、すいません。大人一枚で」

チケット売り「は、はい……」

神「あいつ見るからにビビっていたな」プフッ

男(笑ってやるな。大人の男がまるで見えない誰かと一緒にいる風に振る舞っていたんだ。誰でもビックリするだろう)

神「まぁな。だが、二人って言ってくれて嬉しかった。礼を言う。ありがとう」

男(俺にとっての事実を言っただけだ)

神「……ふふ。よし、最初はアレに乗るぞ!」

41: 2012/10/10(水) 11:52:18.77 ID:a7W7o0HkO
男(いきなりジェットコースターか)

神「ん?怖いのか?」ニヤニヤ

男(いや、神はどうやって乗るのかな、と)

神「……すっかり忘れていた」

男(わかった。俺に任せろ)

神「何をする気だ?」

42: 2012/10/10(水) 12:00:24.38 ID:a7W7o0HkO
ジェットコースター乗り場

案内「お一人様ですか?」

男「二人だ」

案内「え?でも一人しか」

男「ここにいるのが見えないのか?」ダキッ

神「お、おい!いきなり抱き寄せるな!」

案内「ひ、い、いますね!います!さぁ、お二人共、一番後ろにどうぞ!」

男(知ってるか、ジェットコースターは一番後ろが怖いらしい)

神「……全く、お前は強引すぎるぞ」

男(上手くいったんだからぐちぐち言うな)

神「……ふふっ、そうだな」

43: 2012/10/10(水) 12:05:59.28 ID:a7W7o0HkO
ジェットコースター

神「……凄いな」ガチャンガチャン

男(高いな)ガチャンガチャン

神「……ゴクリ」ガチャンガチャン

男(怖いのか?)ガチャンガチャン

神「ば、馬鹿言え!怖いわけが」ガチャン

男(もうすぐ落ちるぞ)

神「ま、前の奴らが消え、うわ、落ちる!落ちるぅぅう!」ギュッ

男(……)ギュッ

男(なんだ、この感覚……)

神「!?うわ、うわああああ」ゴーッ

44: 2012/10/10(水) 12:13:04.47 ID:a7W7o0HkO
メリーゴーランド

男(お姫様だっこすれば1人分でいけるよな)

神「なっ、いや、まぁ、仕方ない。よかろう。落とさないようにしっかり抱くのだぞ」

フリーフォール

神「高い!高い!氏ぬ!氏んじゃう!」

男(本当に不老不氏かよ)

神「う、うるさい!おち、落ちー!」

コーヒーカップ

神「これを回すのか?」

男(ああ。好きなようにいいぞ)

神「てぇぇぇい!」ギュルンッ

子供「あの人凄い!触ってないのにめちゃくちゃ回ってる!」

子供母「見ちゃいけません」

45: 2012/10/10(水) 12:17:18.55 ID:a7W7o0HkO
遊園地~夜

神「あぁ楽しかった。礼を言うぞ」

男(……まだ、乗ってない奴があるんじゃないか)

神「ああ……観覧車か」

男(高いから苦手なのか?)

神「そ、そんなことないぞ!よし、乗ろう!」

46: 2012/10/10(水) 12:22:35.96 ID:a7W7o0HkO
観覧車

男「……」

神「……隣に行っていいか」

男「構わないが」

神「失礼する」ストン

男「……」

神「……外、綺麗だな」

男「……わからない」

神「あっ……その、悪い」

男「なんで……なんでお前はあの時俺を頃したんだ……」

神「……」

男「わからない……」

47: 2012/10/10(水) 12:29:49.16 ID:a7W7o0HkO
男「お前は神様なのに、何でそんな、まるで人間なんだ」

男「感情豊かで、普通の女の子みたいで」

男「何でだ!人間であるはずの俺が、何でこんな!こんな!」

神「……」

男「……」

50: 2012/10/10(水) 12:35:19.48 ID:a7W7o0HkO
神「……私は、もとは人間だった」

男「……」

神「宇宙を創った神が、この地球を統べる神を人間の中から選んだ」

男「……」

神「適性のある人間は不老不氏にされ、神の力を与えられた」

神「ただ、そこには大きな欠陥があった」

神「私が海で景色に飽きないと言ったな?あれは、嘘だ」

神「元が人間の神は、何もかもに飽きてしまうんだよ。そして、心が壊れていく」

51: 2012/10/10(水) 12:42:22.78 ID:a7W7o0HkO
神「私は次の神の力の適合者を見つけた。そう、男、お前だ」

神「私が壊れるとき、私はお前に神の力を渡そうと決めた」

神「私は、次の神を決める時、その心を無感動にすればどうだろうかと思った」

神「そして時がきた。お前を頃した時、私はほぼ壊れていた」

神「躊躇いなど、無いはずだった。お前は感情の氏を願っていたし、私はそうしようとした」
神「だが、無理だった……私は失敗し、お前はただの不老不氏になった」

52: 2012/10/10(水) 12:49:50.27 ID:a7W7o0HkO
男「ただの……不老不氏?」

神「そうだ。お前の感情は氏んでなどいない。恐らく、殺そうとした時の力にあてられ、そう錯覚しているだけだ」

男「そんなわけ……」

神「現に今、お前の心は私に酷く憤っている」

神「今日の朝、お前の思ったことが私に伝わるようにしただろう」

男「……じゃあさ、ただの不老不氏の俺は、どうなるんだよ」

男「神の力の無い俺は、なり損ないのくせに心はある俺は、どうなるんだ?」

神「……私は」

男「そうだ、嘘なんだ、全部嘘なんだろ?そうだ!そうだ!はは!ははは!」

54: 2012/10/10(水) 12:53:57.72 ID:a7W7o0HkO
神「男」

男「神も人が悪いよな。良い雰囲気が台無しだぜ、全く」

神「男!……本当だ……全部、本当だ……」

男「……」

案内「お疲れ様でした。降りてくださ、きゃあっ」ガチャ

男「っ」ダッ

神「待て!……待ってくれ……」

神「男ぉ!」

55: 2012/10/10(水) 13:00:21.37 ID:a7W7o0HkO
男「……嘘だ……嘘だ……」

男「……なのに、なんで、こんなに辛いんだよ……」

男「感情なんていらない……だから俺を頃してくれよ……」

男「これから俺は氏ねないまま、ずっと、ずっと生きていかないといけないんだろ……」

男「無理だよ……無理だ……」

男「くっ……ああっ……」ポロポロ

女「……男」

男「なんで……女が?」

57: 2012/10/10(水) 13:05:34.07 ID:a7W7o0HkO
女「女の勘って奴だよ。それに、ここって、あの時の場所だから」

男「あの時……」

女「男が変わっちゃった日に、男が倒れてた場所」

女「遊園地に行って、その帰りに男に嫌いって言ってさ」

女「謝ろうと思ってすぐ戻ってきたら、倒れてるんだもん」

女「僕、本当にビックリしたんだよ」

女「それから君は、まるで感情が氏んじゃったみたいになって…」

女「ずっと謝りたかった」

58: 2012/10/10(水) 13:11:17.93 ID:a7W7o0HkO
女「あの時はごめんね」

男「なんでっ、今更っ」

女「今の男は、あの時の男と一緒だから」

女「感情豊かで、優しくて、そんな男が、僕は大好きだから」

男「……っ」ポロポロ

女「泣かないで……どうしたの?」ギュッ

男「もう遅いんだ。遅いんだよ……」

女「……どうして?」

59: 2012/10/10(水) 13:14:00.87 ID:a7W7o0HkO
男「俺はっ俺はっ……」

女「……まずは、家に帰ろう?そこで聞くから。まずは、落ち着こう。ね?」

男「あぁ……」

60: 2012/10/10(水) 13:21:13.40 ID:a7W7o0HkO


男「……」

女「……まだ信じれないけど、本当なんだよね?」

男「あぁ……」

女「僕は、僕は神様とちゃんと話すべきだと思う」

男「どうして」

女「多分、神様はね、優しすぎたんだよ」

女「人の心を壊すなんて出来なくて、そのせいで男は苦しんでいて」

女「きっとこの一年間、君を助けるにはどうすればいいのか、考えていたんだと思う」

女「そして、答えが出たから、会いに来たんだと思う」

61: 2012/10/10(水) 13:26:03.58 ID:a7W7o0HkO
男「……でも、もしそうだったとしても、どうやって会えば良い」

女「君の思うことがあっちはわかるんでしょ?呼べばいいんじゃない?」

男「それしかないよな……わかった」

男(神、さっきはごめん。俺、お前のこと、何も考えてなかった)

男(だから、話がしたい)

男(俺、家にいるから)

男「……伝わってくれ……」

62: 2012/10/10(水) 13:29:51.83 ID:a7W7o0HkO
男「……」

女「……」

男「っ……神」

神「来たぞ」

女「えっ、き、来た?」

神「ふむ、えい!女、見えるか?私が神だ」

女「ほ、本当に神様……?」

神「正真正銘、神だ。まぁ、不老不氏ではないけど、な」

63: 2012/10/10(水) 13:35:35.18 ID:a7W7o0HkO
神「男、私はまだお前に話していないことがある」

男「何だ」

神「私は神の力がまだある。だが、不老不氏と神の力は一セットのような物で、一緒にでなければ渡せない」

神「失敗したら、そうではないようだが、な」

男「そしたら、本当に無理なんじゃないか……」

神「まぁ、聞け。私はな、男、お前に助けられたんだ」

64: 2012/10/10(水) 13:41:16.34 ID:a7W7o0HkO
神「私がお前を殺そうとした時、躊躇った理由は、ただの私の甘さだ」

神「相手の感情を頃して、それで私が氏ぬためだけに全ての苦痛を押し付ける」

神「そんなことは出来なかった。私は神になって、人の生き氏にを決めてきたのに、今更手を汚すのを嫌がったんだ」

神「必氏に止めようとしたんだが、失敗して、結果は最悪のものになった」

神「私は自分を呪ったよ。そして、全てに絶望した私は、何もかも壊そうと思った」

65: 2012/10/10(水) 13:48:27.51 ID:a7W7o0HkO
神「私はどうやって世界を壊そうか、考えていた。そしてその方法が決まって、次こそは躊躇わないように、お前を見に行った。戒めとしてな」

神「するとどうだ、お前は本を読んでいた」

神「そして、本を読み終わるとこう呟いたんだよ。感動したい、って」

神「氏のうとしたんだろうが、不老不氏で氏ねないからな。そうすれば無気力になったり、自棄になると私は思っていたんだ」

神「なのに、こいつは足掻いていた。私は不老不氏では無いから、氏ぬことが出来る。なのに周りを巻き込んで氏のうなんて考えていた」

神「私は自分が恥ずかしかったよ」

66: 2012/10/10(水) 13:54:42.41 ID:a7W7o0HkO
神「そして思った。お前を助けたいって」

神「そして一つの方法を考えついた」

神「……私がいまからやる方法は、お前だけのために周りを不幸にする」

男「どういうことだ?」

神「お前はただの人間に戻れる。だが、この世から神はいなくなり、世界の秩序が乱れるだろう」

男「そんなの、絶対だめに決まってるだろ!」

神「……だろうな。だが、この方法しか考えつかなかったんだ」

女「……」

67: 2012/10/10(水) 14:00:48.48 ID:a7W7o0HkO
女「神様はさ、男のことが好きなんだよね?」

男「な、お前いきなり何を」

神「いまさら恥ずかしがる必要も無いだろう。ああ、好きだ。世界中の誰よりも愛している」

男「神……」

女「僕も男が好き。愛してる」

男「女……」

男「俺は、俺は……2人とも大好きだ。だから、三人で幸せになる方法を探したい」

男「どんなにその道がが険しくても、俺はそうする。絶対にだ」

68: 2012/10/10(水) 14:09:20.11 ID:a7W7o0HkO
神「……あと一つ、方法がある。絶対失敗すると思って、教えないつもりだったんだが」

男「教えてくれ」

神「神の力で時間を遡り、そこで私の行為を止めてもらう。成功すれば、ハッピーエンドだ」

女「失敗したら……?」

神「最悪の展開になるな。この世界が崩壊する」

男「……やるよ」

神「……わかった。ただ、時間を遡るのは想像を絶する苦痛だ。お前が不老不氏を得たからこそ、氏なずにすむだけで、な。それでもか?」

男「構わない。耐えてみせる」

70: 2012/10/10(水) 14:15:18.27 ID:a7W7o0HkO
女「僕が出来ることはある?」

神「そうだな……時間遡行中の男を励ましてもらおうか。私が力を貸すから、話しかけてくれ」

女「わかった……これくらいしか出来ないのが悔しいけど……男、僕は君を信じてる」

男「あぁ。ありがとう」

神「男、私に希望をくれてありがとう。遊園地、最高だった。頑張ってくれ」

男「最後、取り乱して悪かった……戻ったら、もう一回遊園地に連れて行く。ありがとう」

神「始めるぞ、準備はいいか?」

男「……始めてくれ」

71: 2012/10/10(水) 14:20:30.86 ID:a7W7o0HkO
神「…………」

男「神の力が流れてくる……」

神(私の最後のメッセージだ。女には申し訳ないが、今伝えておく)

男(あっちでその分の埋め合わせはしとくから、気にせず話せ)

神(実は、お前を頃すのを躊躇ったのは、もう一つ理由がある)

神(……初恋で、しかも一目惚れだったから、だ。向こうの世界で、私の初恋を実らせてくれよ)

男「っ!」シュン

73: 2012/10/10(水) 14:27:30.81 ID:a7W7o0HkO
男(暗い……)

男(何も見えない……)

男(っ!?なんだ、これ、痛い……?)

男「ああっ、ぐぁ、はっ、はぁっ」

男「痛い!痛い!あぁあああああああ!」

男(全身が切り刻まれてグチャグチャにされて意識がとびそ……)

女(男!頑張って!君は簡単に諦めるような人じゃないよ!)

男(女……そうだ、三人で幸せに……!)

女(頑張って!僕は、僕ら2人は君を信じてる!)

男(ありがとう……耐えてみせるよっ……)

男「ぁ、ぁ、ああああ!!」スッ

74: 2012/10/10(水) 14:34:40.42 ID:a7W7o0HkO
一年前

神「氏んだ方がマシか?」

男「!?」

男「戻った……」

神「?どうした。気でも狂ったか?」

男(神、女……ありがとう)

男「神、俺は君が大好きだ」

神「……は?」

男「君は優しいから、だからこそ神に選ばれたんだろ?優しいから、力を手に入れても、絶対に自分のために使わないから」

神「お前、何を言って」

男「今もそうだ。俺のためを思って、感情を殺そうとしているんだろ?それを自分勝手と君は言ったけど、自分と同じ辛さを味あわせないためにそうしようとした」

75: 2012/10/10(水) 14:41:25.01 ID:a7W7o0HkO
神「……」

男「そんな優しい君が大好きなんだ!」

神「……未来の私から唆されたか?は、未来の私は今の私の気持ちを忘れてしまったらしい」

神「何百年も神として生き、心をズタズタにされた私の、このドス黒い思いを忘れたのか?」

神「お前にわかるのか?私の苦しみが!未来の私はそれを吐き出して楽になったから、そんな世迷い事が言えるのだ!」

神「これは私の自己満足だ!お前など、今の私にとってはこの呪われた運命を断ち切るための障害に過ぎない!」

76: 2012/10/10(水) 14:47:54.62 ID:a7W7o0HkO
男「じゃあ俺が君の苦しみを分かち合う!」

神「どうやって?」

男「俺も、神になればいい!」

神「ふっ、ははっ!お前が私と同じ苦しみに耐えられるとでも?馬鹿を言うなよ、私は」

男「一人じゃ無理だろうさ。でも二人でなら、耐えられる!」

神「共に生きていこうとでも言うつもりか?ふざけるな、私はお前のことなど」

男「……観覧車だ」

神「好きではな……は?」

男「一緒に観覧車に乗ってくれ。それから俺をどうするか、決めればいい」

77: 2012/10/10(水) 14:54:05.69 ID:a7W7o0HkO
神「お前、馬鹿か?今お前など好きではないと」

男「俺が君を好きなのと同じくらい、君を俺に惚れさせてやる。今までの苦しみが吹っ飛ぶ位の幸福を君にあげるよ。それを味わってからでも、俺を頃すのは遅くない」ギュッ

神「さ、触るなっ!」バリッ

男「つっ……そんなことしても、絶対離さないぞ」ギュッ

神「……馬鹿な、今の痛みは人間には耐えきれないはず」

男「時間遡行の痛みと比べたら、まだ楽なほうだって。その前に会わせたい奴がいるから、ほら」テクテク

神「う、うむ……」テクテク

78: 2012/10/10(水) 14:58:22.91 ID:a7W7o0HkO
男「女」

女「あ、男……その、さっきは……」

男「気にしてないよ。まぁ、あんなことした後でなんだけど、会わせたい人が、いや、神がいるんだ」

女「え?神?どういうこと?」

男「神、女に見えるようにしてくれ」

神「なんで私が…はぁ。えい!」

女「なっ、い、いきなり人がっ」

男「紹介する。神だ」

神「……」

79: 2012/10/10(水) 15:04:00.22 ID:a7W7o0HkO
女「ていうか、なんで、手を繋いで」

神「こ、これは成り行きという奴で」

男「俺の大切な人だからだ」

神「あ……うぅ」

女「そんな……ひどいよ……そんなこと言うために追いかけてきたの……最低!」シュッ

男「そして、神と同じくらい、お前も大切なんだ」パシッ

女「何だよ!そんなの自分勝手すぎるよ!離して!」

男「嫌だ。絶対離さない。俺は三人で幸せになるって決めたんだ」

女「そんなの……急に言われても……」

男「だから三人で観覧車に乗ろう」

女「受け入れられな……え?」

80: 2012/10/10(水) 15:07:40.51 ID:a7W7o0HkO
遊園地~受付

男「大人三人」

受付「?三人ですか?」

男「あぁ、三人だ」

受付「わかりました」

男「ありがとう」

神「……れ、礼を言う。ありがとう」

男「はは、気にすんな」

女「……事情を説明して」

男「観覧車の中で、な」

女「わかったよ、もう……」

81: 2012/10/10(水) 15:13:23.64 ID:a7W7o0HkO
観覧車

男「三人座ると狭いな」

神「……私が小さくなれば、男の膝の上に乗っても問題ない」スルスル

男「そうだな、頼む」

神「……その代わり……手は繋いだままだぞ……」ポフッ

男「ああ、当たり前だろ」

女「僕を置いて仲の良いことで」ムスッ

男「後で膝枕でもなんでもやるからさ。」

女「……事情、説明してよ」

男「わかった。少し、長くなる」

82: 2012/10/10(水) 15:18:05.12 ID:a7W7o0HkO
女「そんなことが……」

神「……」

男「俺は、二人を愛してる。二人じゃなきゃだめなんだ。だから、三人で幸せになりたい」

女「……でも、やっぱり急には納得出来ないよ」

男「……どうすればいい」

女「証が欲しい。ずっと、私達二人を愛するって、証が欲しい」

神「……それは私が用意しよう」

83: 2012/10/10(水) 15:28:37.71 ID:a7W7o0HkO
神「私達三人で、神になれば良い」

女「……僕、も?」

神「嫌、か?」

女「ううん……僕、男が大好き。でも、それと一緒な位、神様も好きになれそう。男の話を聞いて、そう思った」

神「私も、男と一緒なくらい、女を好きになれそうな気がするんだ」

男「きっと、三人でなら、いつまでも生きていける。三人で支え合って、生きていこう。二人とも大好きだ」

神「……ありがとう、私を救ってくれて」

女「ありがとう、僕を好きになってくれて」

男「ありがとう、出逢ってくれて」

84: 2012/10/10(水) 15:40:39.59 ID:a7W7o0HkO
一年後

男「……」ペラ

神「何の本を読んでるんだ?」

男「感情を失った青年が、周りの助けで感情を取り戻すお話、だ」グスッ

女「……泣いてるの?」

男「あぁ……感動したよ。ありがとう、女、神。大好きだ」

神「…ふふっ」

女「えへへっ」

女・神「大好き!」



おわり

引用元: 男「感動したい」