1: 2020/12/18(金) 20:03:46.673 ID:bUBuW6rL0
勇者「覚悟しろ! お前を倒し、姫と平和を取り戻す!」

魔王「人間の分際でよくぞここまでたどり着いたものだ……」

魔王「勇者よ、貴様はただ頃すだけでは飽き足らん。貴様には究極の“絶望”を味わわせてやろう」

勇者「なんだと……!?」

魔王「一切の防御はしない。さぁ、貴様の最高の技を放ってこい!」

勇者「…………!?」

魔王「どうした、怖気づいたか?」

勇者「いいだろう、後悔するなよ!」

2: 2020/12/18(金) 20:06:32.835 ID:bUBuW6rL0
勇者「はああああああああ……!!!」

勇者(全魔力を剣に集中……!)バチバチバチッ

勇者「行くぞッ!」

魔王「…………」

勇者「魔滅閃ッ!!!」ブオンッ



ズガァァァァァンッ!!!



勇者「や、やった……! 魔王を倒した……!」

4: 2020/12/18(金) 20:09:30.634 ID:bUBuW6rL0
魔王「こんなものか?」シュゥゥゥ…

勇者「え……!?」

魔王「これが全力だとするなら……ガッカリだ」

勇者「そんな……魔滅閃を受けて無傷だなんて……」

魔王「フハハハハッ! “最強の必殺技が通用しなかった”……これほどの絶望はあるまい!」



【絶望シーン1 最強の必殺技が通用しない】

6: 2020/12/18(金) 20:12:23.455 ID:bUBuW6rL0
勇者「……ふっ」

魔王「む?」

勇者「笑わせてくれる、こんなのが絶望だと?」

魔王「ど、どういうことだ!?」

勇者「今から俺がもっとすごい絶望を味わわせてやる」

魔王「なにっ!?」

勇者「奥の手を放ってこい。そうすれば分かる」

魔王「ぐぬぅぅぅ……!」

8: 2020/12/18(金) 20:15:19.800 ID:bUBuW6rL0
魔王「魔界で100年修行して会得したこの技……」ゴゴゴゴゴ…

魔王「魔界の王が繰り出す最大奥義、受けてみるがいい!」

魔王「暗黒怨波ァァァァァッ!!!」



ズオオオオオオオオオッ!

ズガァァァァンッ!



魔王「ふははは、どうだ!?」

勇者「ぐ……!」シュゥゥゥ…

魔王「さすが勇者、生きておったか! だが、大ダメージのようだな!」

9: 2020/12/18(金) 20:18:15.940 ID:bUBuW6rL0
魔王「ならばもう一発――」

勇者「えぇと、今の技……たしかこうか?」ゴゴゴゴゴ…

魔王「え?」

勇者「暗黒怨波ァァァァァッ!!!」

魔王「ちょっ!?」



ズオオオオオオオオオッ!

ズガァァァァンッ!

10: 2020/12/18(金) 20:20:23.229 ID:bUBuW6rL0
魔王「うぐぐぐ……!」

魔王「バカな……! ワシが100年かけて会得した奥義を……!」

勇者「どうだ、“苦労して会得した技をコピーされる”……絶望しただろう!」

魔王「ぐぬぬぬ……! おのれ……!」



【絶望シーン2 苦労して会得した技をあっさりコピーされる】

13: 2020/12/18(金) 20:24:12.719 ID:bUBuW6rL0
魔王「ま、まだだ!」

勇者「ほう、まだやる気か?」

魔王「今度はワシが絶望を教えてやる!」

勇者「奥義をコピーされる以上の絶望はないと思うがねえ……」

魔王「これを使う!」サッ

勇者「それは?」

魔王「魔界に伝わる敵の強さを測る装置だ! これでお前を測定する!」ピピピ…

魔王「ほう、10000……素晴らしい数値だ。部下たちでは敵わぬわけだ」

勇者「おいおい、お前が絶望してるじゃないか」

14: 2020/12/18(金) 20:27:13.470 ID:bUBuW6rL0
魔王「次はお前がワシを測るといい」ポイッ

勇者「サンキュー」

勇者(俺が10000なら、魔王はせいぜい9000ぐらいのはず……)ピピピ…

150000

勇者「え……!? 15万……!?」

魔王「…………」ドヤァ…

勇者「いや、これはおかしい! きっと測り方を間違えて……」ピピピ…

150000

勇者「そ、そんな……!」

15: 2020/12/18(金) 20:29:26.953 ID:bUBuW6rL0
魔王「ワシの強さは……150000です」

勇者「うわああああっ……!」

勇者「1万と15万……こんなの勝負にならないじゃないか! どうしたらいいんだ!」

勇者「もうダメだ……!」

魔王「数字ほど分かりやすい指標もあるまい! フハハハハハッ!」



【絶望シーン3 強さを数値化したら敵が圧倒的に上だった】

18: 2020/12/18(金) 20:32:23.756 ID:bUBuW6rL0
勇者「次は俺の番だ!」

魔王「ほう? まだ足掻くのか。まぁいい、やってみせよ」

勇者「数字には数字でお返しするしかないようだな」

勇者「実は俺の国には勇者がたくさんいてな。≪勇者ランキング≫なんてのもあるんだ」

魔王「勇者を強さ順に序列化したものか」

勇者「その通り。今から俺の順位を教えてやろう……」

魔王(聞くまでもない。ここまでたどり着いたんだから、一位に決まってる……)

19: 2020/12/18(金) 20:35:28.573 ID:bUBuW6rL0
勇者「8位だ」

魔王「8……だと……!?」

勇者「俺の≪勇者ランキング≫は8位……つまり、俺より上がさらに7人いるってことだ」

魔王「そ、そんな……!」

魔王(こいつ一人にもこれだけ手こずってるのに、あと7人も……!?)

魔王(しかも、こういうランキングって大抵上位3人ぐらいがケタ違いの強さだし……)

魔王「どうすればよいのだ……!」

勇者「おやおや、顔が青ざめてるぞぉ? 絶望してしまったかなぁ?」



【絶望シーン4 強敵より強い奴がまだまだいると判明する】

21: 2020/12/18(金) 20:38:33.185 ID:bUBuW6rL0
魔王「ええい、まどろっこしい! こうなったら実力行使よ!」

魔王「せやぁぁぁっ!」

パキィンッ!

勇者「俺の剣が……!」

魔王「どうだ、“武器が折れる”! 共に戦ってきた相棒が砕け散り、さぞ絶望しただろう!」

勇者「ぐっ……!」



【絶望シーン5 武器が折れる】

23: 2020/12/18(金) 20:41:34.358 ID:bUBuW6rL0
勇者「まあ、武器折れって強化フラグでもあるんだけどな。新しい剣手に入ったり」サッ

魔王「新しい剣出してきやがった!」

勇者「俺は武器を折るなんて生ぬるい真似はしねえ。もっと深い絶望を味わわせる!」

勇者「はあっ!」

ズバッ! ボトッ…

魔王「ぐわああああああっ! 右腕がっ……!」



【絶望シーン6 四肢欠損】

24: 2020/12/18(金) 20:44:20.536 ID:bUBuW6rL0
勇者「終わったな……。いくら魔王といえど、片腕じゃ怖くない」

魔王「ぐ……ワシの運命もここまでか……」

勇者(やった……! 魔王に絶望を味わわせてやったぞ!)

魔王「なんちゃって!」

勇者「へ……」

魔王「ぬううう……ふんっ!」ズボォッ!

勇者「バカな……! 腕が再生しやがった……!」



【絶望シーン7 大ダメージを与えたと思ったら再生される】

26: 2020/12/18(金) 20:47:36.020 ID:bUBuW6rL0
魔王「フハハハハ、どうだ!」

勇者「こうなったら、これだけはやりたくなかったが……」

勇者「カモーン!」

魔仙人「ほっほっほ」

魔王「あなたは……師匠! 年老いてなお、ワシ以上の実力を持つ……!」

勇者「今から俺とこの魔仙人が戦う。お前は黙って見てろ」

魔仙人「行くぞよ」

勇者「来いっ!」

27: 2020/12/18(金) 20:50:12.623 ID:bUBuW6rL0
勇者「でぇやぁぁぁっ!」

魔仙人「きええええっ!」

ザンッ……!

魔仙人「うぐぐ……無念じゃ……」ドサッ…

魔王「師匠ッ! 師匠ォォォォォッ!」

魔王「そんな……魔界最強である師匠がこうも簡単に……」ガクッ

魔仙人「もう帰っていいの?」

勇者「あちらからどうぞ」



【絶望シーン8 味方サイドの最強キャラが倒されてしまう】

28: 2020/12/18(金) 20:51:20.174
大体ブリーチで見たことあるな

29: 2020/12/18(金) 20:53:25.008 ID:bUBuW6rL0
勇者「自分より強い師匠を倒され、絶望してしまったようだな」

魔王「あうう……」

勇者「今のお前なら容易くトドメを刺せる! 魔滅閃ッ!!!」

魔王「ぐぎゃああああああ……!」



ズガァァァァァンッ!!!



勇者「さっきは効かなかった魔滅閃だが、絶望したお前になら“効果は抜群”だ!」

勇者「魔王は氏体になった! 俺の勝利だ!」

30: 2020/12/18(金) 20:55:31.172 ID:bUBuW6rL0
魔王「ふ、ふふ……ふふふ……」ムクッ

勇者「な、なにっ!?」

魔王「これぞシンプルな絶望展開! “氏んだと思った敵が生きてた”!」

魔王「どうだ、絶望したかァ!?」

勇者「し、しました……」ガクガク



【絶望シーン9 氏んだと思った敵が生きていた】

31: 2020/12/18(金) 20:58:24.034 ID:bUBuW6rL0
魔王「終わりだ、勇者ッ!」

魔王「暗黒怨波ァァァァァッ!!!」



ズオオオオオオオオオッ!

ズガァァァァンッ!



魔王「やった! 勇者が消し飛んだ! ワシの勝ちだ!」

32: 2020/12/18(金) 21:01:35.871 ID:bUBuW6rL0
勇者「甘いな!」

魔王「ぬ……!? ふん、さっきワシがやったのと同じ絶望シーンではないか。芸のない奴め」

勇者「果たして同じかな?」

魔王「え……?」

勇者B「勝負だ、魔王!」

勇者C「やっとここまで来たぞ!」

勇者D「倒してやる!」

ウジャウジャウジャウジャウジャ…

魔王「ひいいいいっ! 倒したはずの勇者と同じのがいっぱい!」

勇者「ざっと100人はいるぞ」



【絶望シーン10 倒した敵と同じ奴が大量に現れた】

33: 2020/12/18(金) 21:02:37.287
メタル勇者かな?

34: 2020/12/18(金) 21:05:50.067 ID:bUBuW6rL0
魔王「やるな……」ハァハァ…

勇者「お前こそ……」ハァハァ…

魔王「この絶望対決、なんだか楽しくなってきた!」

勇者「分かる……普通に戦うより楽しい!」

魔王「こうなったら、どこまで絶望感を追求できるかとことんやってみないか?」

勇者「いいだろう! じゃあ、次はお前の番……」



「ねえ……二人とも、さっきから何してるの?」

35: 2020/12/18(金) 21:08:44.633 ID:bUBuW6rL0
勇者「え……!?」

魔王「姫……!?」

姫「てっきり私のために二人で氏闘してると思いきや、二人してふざけちゃって……」

勇者「いや、決してふざけてるわけじゃ……」

魔王「そうそう! ワシら、真剣に絶望について考えて……」

姫「ふうん、そう」

姫「だったら私が……二人に真の絶望を教えてあげる」パキポキ…

勇者「ひいいっ! ちょっと待って!」

魔王「落ちつこう? 話せば分か――」

36: 2020/12/18(金) 21:12:11.807 ID:bUBuW6rL0
勇者「ぎゃあああああああああああああっ!!!」

魔王「助けてええええええええええええっ!!!」

勇者と魔王が仲良くボコられたので、この物語はここでお終いです。

作者の次回作にご期待下さい!



【絶望シーンFinal 作品が打ち切りになる】







END

37: 2020/12/18(金) 21:15:56.584

応援してた作品が打切りになった時の絶望たるや…

引用元: 魔王「勇者よ、貴様には究極の“絶望”を味わわせてやろう」勇者「なんだと……!?」