1: 2010/12/19(日) 22:00:28.72 ID:Wq7+SWYf0
唯「最近ヒマだよね~、りっちゃん」

律「だなぁ。何かこう面白い事ないかなー」

澪「お前ら受験生って事忘れてないか……」

唯「澪ちゃんは真面目なんだから~。ちょっと息抜きだよ~」

律「そうそう。それにしてもムギ遅いなー」

唯「掃除当番だっけ。早くお茶にしたいね~」

澪「お前ら息抜きの度合いを越してるぞ!」

律「ん? 噂をすれば……」ガチャ

2: 2010/12/19(日) 22:03:45.61 ID:Wq7+SWYf0
梓「あっちかな~♪ こっちかな~♪ あ、皆さん早いですね!」

唯「な~んだ、あずにゃんかぁ~」

律「タイミングわりぃなぁ」

澪「お前らなぁ……」

梓「なっ!? いきなり何ですか!」

唯「今はあずにゃんの癒しよりも、ムギちゃんの癒しを欲しているのです!」

律「そうなのでーす!」

澪「いい加減にしろっ!」ゴチン

律「あたーっ! 何でいつも私だけなんだよっ!」

澪「お前が一番殴りやすそうだからだ」

律「不公平だー! 異議を申し立てる!」

紬「まぁまぁ、ドミノ倒しでもして落ち着かない?」

5: 2010/12/19(日) 22:08:36.58 ID:Wq7+SWYf0
律「いーや、いくらムギの頼みでもこればかりは……って、ムギ!?」

梓「いつの間に……」

紬「ちょうどりっちゃんが澪ちゃんにぶたれる所からかしら」

律「そりゃまた良いタイミングで……それで何か言ってたっけ?」

澪「ドミノ倒し、って言ってなかったか」

紬「そう、ドミノ!」

唯「ドミノ? おぉ! 今日はドミノピザってこと?」

梓「唯先輩は食べ物から離れて下さい」

紬「え? ドミノピザって何?」

6: 2010/12/19(日) 22:13:41.11 ID:Wq7+SWYf0
唯「ムギちゃん、ドミノピザ知らないの?」

紬「ええ。ドミノと何か関係してるの?」

律「!」

澪「いやドミノピザっていうのは、そういう会社名――」

律「そう! ドミノ倒しのように色とりどりのピザを並べて、号令と共にピザを倒してその色彩を楽しむことなんだ!」

梓「そんなのいくらムギ先輩でも信じるわけ――」

紬「えぇ!? そ、それじゃあそのピザはどうなるの? もったいなくない?」

唯「おぉ、あっさり信じとる」

梓「ムギ先輩……」

律「勿論、目で楽しんだ後は舌で楽しむんだ! これがいわゆる『この後、スタッフが美味しく頂きました』ってやつだ!」

紬「お、おぉー!」

梓「ムギ先輩の目が輝き出してます……!」

8: 2010/12/19(日) 22:18:57.11 ID:Wq7+SWYf0
梓『ムギ先輩! もう少しで完成です!』

唯『頑張れ、ムギちゃ~ん!』

紬『うん、私頑張る!』

澪『あっ、ムギ危ない!』

紬『あぁ! 縦25列目、横47列目のバジル多目で作ったマルゲリータが倒れそう!!』

梓『そ、そんな! ここまで来て!』

律『心配するな、ムギぃ!』バッ

唯『あ、あれはりっちゃん!』

紬『りっちゃん!』

律『アチチ! さ、さぁ、私に構わないで完成させるんだ! 熱っつぅ!』

澪『あのままじゃトマトソースがおデコに付いて火傷必至だぞ!』

9: 2010/12/19(日) 22:23:24.06 ID:Wq7+SWYf0
紬『りっちゃん……そこまでして……』

唯『も、もうやめようよぉ……りっちゃんが帰らぬ人になっちゃうよぉ』

梓『そ、そうですよ。ドミノピザはまた作り直しましょう!』

紬『……嫌!』

唯『えぇ!?』

紬『ここで止めちゃったら、おデコを火傷してまで支援してくれたりっちゃんに申し訳が立たないわ!』

澪『ムギ……そうか、そうだな! 私達は何も出来ないけど、律の氏を無駄にはしたくないもんな!』

唯『頑張って、ムギちゃん!』

梓『あと一枚です!』

紬『澪ちゃん、皆……私、最後の一枚置きます!!』グチャ

10: 2010/12/19(日) 22:28:50.53 ID:Wq7+SWYf0
梓『あ……!』

澪『やった……!』

唯『完成だ~! やったね、りっちゃん! もう大丈夫だよ』

律『』

唯『あ、あれ? りっちゃん?』

澪『お、おい律。冗談は止めろよな』

梓『……律先輩、息してないです!』

唯『そ、そんな!』

澪『遅すぎたんだ……何もかも。折角ドミノピザが完成したのに、律がいないんじゃ……』

11: 2010/12/19(日) 22:33:35.33 ID:Wq7+SWYf0
紬『ううん、大丈夫よ!』

梓『でも、現に律先輩は虫ケラのように這いつくばってますよ?』

紬『大丈夫! えい!』パタ グチャ パタ グチャ

唯『ああ、色とりどりのピザが倒れていって……』

澪『この画は!』

梓『律先輩の顔です!』

12: 2010/12/19(日) 22:38:54.23 ID:Wq7+SWYf0
律『う、う~ん……あれ、皆どうしたんだ? ドミノピザは?』

澪『り、律! お前大丈夫なのか!?』

律『へ? 私はこの通りピンピンしてるよ?』

唯『うわ~ん、りっちゃんが蘇生した~!』

澪『っていうかチーズ臭っ!』

梓『とにかく、これにて大団円ですね!』

紬『よかったわ~。私、ドミノピザを完成させるのが夢だったの! さぁ、冷めない内に食べましょう』

唯律澪紬梓『美味しい美味しい』

13: 2010/12/19(日) 22:43:32.47 ID:Wq7+SWYf0
紬「はぁ~~……」ウットリ

律「おーい、帰ってこ~い」

澪「変なこと吹き込んだのはお前だろ!」ガツッ

律「二回目っ!」

梓「ムギ先輩、ムギ先輩!」

紬「はっ! あ、あれ? チーズの海は?」

梓「何を想像してたのかわかりませんけど、ドミノピザっていうのは単なる社名ですよ」

紬「えっ、そうなの? 残念……」

律「あいたた……それよりもさ、突然ドミノ倒しとかどうしたんだ?」

紬「特に深い理由はないんだけど、皆でやったら面白いかなぁって」

唯「ふっふっふっ……私には全部分かってるよ。ムギちゃん」

14: 2010/12/19(日) 22:49:00.93 ID:Wq7+SWYf0
唯「アレだよね、昨日のTVの特番みたんでしょ~」

紬「うふふ、そうなの~。皆でああいうの出来たら素敵じゃない?」

澪「そういえば何かやってたような気もするな」

梓「たまに見掛けますよね。TBSが番組改編した時にもやってた気がします」

律「はぁ……ま、それをやるとしてだ。どこでやるんだ?」

紬「あ、全然考えてなかった……どこか教室借りられないかしら」

澪「そんな都合よく空いてる教室あるかな? この部室使えなくなった時もあちこち回ったからな」

唯「あの時は大変だったねぇ。また体育館とか借りる?」

梓「あんな振動するとこでドミノは無理ですよ」

15: 2010/12/19(日) 22:55:09.11 ID:Wq7+SWYf0
律「となると、やっぱりここしかないな」

唯「おお、灯台下暗しだね!」

紬「良かった~」

澪「おおおい! ちっとも良くない!」

梓「そうですよ! 部室でやったら練習はどこでするんですか!」

唯「まあまあ、固い事言うでないよ~」

律「そうそう。これも軽音部の結束を高めるレクリエーションの一環だぜ」

紬「なるほど、それは素敵だわ~」

17: 2010/12/19(日) 22:58:14.50 ID:Wq7+SWYf0
澪「う……で、でもなぁ!」

律「なんだよー、なら多数決にでもするかぁ?」

澪「くっ、汚い……!」

梓「このパターンで私達、勝てた試しが無いですね……」

澪「わかったよ。やればいいんだろ、やれば!」

律「へっへー、やっりぃー!」

唯「わ~い、早速邪魔なものは片付けようよ」

紬「あ、待って唯ちゃん!」

唯「ふぇ?」

紬「机とか楽器とかそのままにしておかない?」

唯「えぇ~、何で?」

18: 2010/12/19(日) 23:00:36.37 ID:Wq7+SWYf0
律「ああ、よく障害物とか経由して設置しているやつあるな」

梓「ああいうの結構見ていて楽しいですよね」

紬「そう! そういうのやりたいの! そして、それも考慮した完成図を作成してきました~」

澪「なんて用意のいい……」

律「さっすがムギ。どれどれ~?」

梓「こ、これは……!」

21: 2010/12/19(日) 23:06:33.99 ID:Wq7+SWYf0
唯「何だっけこの草拾ってる絵。見た事あるな~」

梓「落穂拾いですよ、ミレーの」

唯「おお、そのミレー! ムギちゃん上手いね」

紬「頑張りました!」

律「いやいや、頑張ったのはよくわかるけどさ」

澪「これをドミノで表現するのは素人には無理じゃないか?」

紬「ええ~……」

律「ああっ! いや、何かこう、もう少~し簡単なやつでできないかな~なんて」

紬「だったら第二段も用意してあります!」

梓「(あるんだ!)」

澪「こ、これは……!」

23: 2010/12/19(日) 23:11:15.66 ID:Wq7+SWYf0
唯「わぁ、これ知ってるよ! ひまわりだよね! 誰が描いたのかは忘れちゃったけど」

梓「ゴッホですよ、唯先輩」

唯「おお、そのゴッホ! ムギちゃん上手いね」

紬「お陰で最近寝不足なの~」

律「いやいや、確かにこれならさっきよりは多少荒くとも出来そうだけどさ」

澪「縦横15メートルってサイズは無理有り過ぎだろう」

紬「ええ~……」

律「ああっ! いや、何かそのあの、もう少~しサイズを縮小できないかな~なんて」

紬「これくらい大きくないと芸術を表現するには物足りないと思うの!」

梓「(ムギ先輩には珍しい自己主張だけど、方向性がおかし過ぎるー!)」

24: 2010/12/19(日) 23:17:23.26 ID:Wq7+SWYf0
律「しかし、ムギ。現実的に考えて、この部室内じゃないと許可下りないと思うぞ」

澪「部活動に関係ないドミノの使用に許可が下りるのもおかしいんだけどな」

紬「はぁ……がっかり……」

唯「ん~、じゃあさ、学園祭の時のHTTのロゴでいいんじゃないかな?」

澪「おぉ」

梓「いいんじゃないですか?」

律「そうだなぁ、それならそこまで手間かかりそうでもなさそうだし」

紬「ありがとう、唯ちゃん!」

唯「えへへ~。 やっぱり皆でやるんだから、そういう共通の物にしたいよね」

紬「じゃあ私、図面と必要数のドミノを用意してくるわ!」ガチャバタン!

27: 2010/12/19(日) 23:23:11.63 ID:Wq7+SWYf0
澪「あっ、ムギ!」

律「あっ……という間に行ってしまったな……」

梓「いつも突拍子も無い気がしますけど、今回は更に輪をかけてましたね」

唯「そうだねぇ。ムギちゃん、最近特に積極的だよね」

律「(やっぱアレかな、澪)」

澪「(ん、何が?)」

律「(私ら、もうすぐ卒業だから5人の思い出を多く作っておこうってことなのかなぁ、って)」

澪「(ああ、そういうことか……ムギ……ぐすっ)」

律「(お、おいっ、澪! 泣くなよ! そんなんじゃ楽しい思い出を作ろうっていうムギの気持ち――)」

紬「お待たせー!!」バターン!

律「って、早ぇえよ!! もうちょっと心で語らせてくれよ!」

28: 2010/12/19(日) 23:29:11.11 ID:Wq7+SWYf0
梓「凄い早かったですね」

紬「すぐ始めたくって急いで作成してきたの! それでお願いがあるんだけど……」

唯「うん? な~に~?」

紬「完成した時に最初にドミノを倒す役をやらせて欲しいのっ!」

梓「は、はぁ……私は構いませんけど」

唯「ムギちゃんが用意してくれたんだから、遠慮せずにパターンってやっちゃえばいいよ」

紬「ほんと~! みんな、ありがとう!」

澪「……律」

律「はい……」

澪「本当にあれが皆の事を想っての行動か?」

律「は、いや……多分、恐らく、もしかしたら……普通に楽しんでるだけだと思います……」

澪「はぁ~」

29: 2010/12/19(日) 23:36:19.39 ID:Wq7+SWYf0
紬「――それじゃあ自分の分のドミノは行き渡った?」

唯「あるよ~」

澪「ああ、大丈夫みたいだ」

律「結構あるんだなぁ」

梓「そんなに大きいものじゃないですけど、これだけあるとちょっと重いですね」

律「ま、ボチボチ始めてみっかー」

唯紬「おおー!」

澪梓「お、おー……」

30: 2010/12/19(日) 23:41:26.42 ID:Wq7+SWYf0
澪「なんかこう……」

律「いざ始めると……」

澪「無心で作業してしまうな」

律「だな」

唯「おっと、りっちゃん油断大敵だよ! そういう時こそ瑣末なミスが生じるものらしいんだよ!」

梓「そう言ってる傍から唯先輩がミスしてますよ! ここは緑色です」

唯「あれ、そうだっけ~?」

律「でも、そんな梓も最初は綺麗に出来てるけど」

紬「どんどん幅が拡がっていってるわ~」

梓「あ、あれっ?」

32: 2010/12/19(日) 23:46:09.48 ID:Wq7+SWYf0
澪「律はそもそも幅が広すぎるぞ。それじゃ上手く出来ないだろ」

律「う~ん、こういうチマチマしたの苦手で……」

紬「逆に澪ちゃんは丁寧にやりすぎじゃないかしら」

澪「えっ。そ、そうか?」

唯「澪ちゃん、私達の半分位しか進んでないよ」

澪「本当だ……目の前しか見てなくて気付かなかったな」

梓「たかがドミノみたいに考えてましたけど、結構性格が出ますね」

紬「ふふ~、こうやって皆で楽しんでやりたかったの~」

律「楽しむのはいいけどさ」

紬「え?」

律「ムギも手を動かそうな。全然置いてないじゃないか」

紬「あ……ごめんなさい!」

梓「先は長そうですね……」

33: 2010/12/19(日) 23:51:42.49 ID:Wq7+SWYf0
唯「あ……くしゃみでそう……」

澪「ば、馬鹿、唯! 抑えろって!」ガバッ

唯「ふぁい……あ~、澪ちゃんのせいでくしゃみでなかったよ~」

澪「それでいいんだよ。唯の事だからダイナミックなくしゃみして、ドミノが倒れるってのが容易に想像できるからな」パタパタパタ

梓「澪先輩! 倒れてますよ、ドミノ!」

澪「えぇ!? うわわわ、またやり直しだぁ……」

唯「ごめんね、澪ちゃん。私がくしゃみでそうになったから」

澪「唯のせいじゃないよ……」

唯「ううん、ごめ……えっくしっ!!」パタパタパタ

梓「唯先輩! 倒れてますよ、ドミノ!!」

唯「あぁ~、御無体な~!」

紬「……」ニコニコ

律「(ムギのやつ、絶対この状況楽しんでるな……)」

34: 2010/12/19(日) 23:56:13.94 ID:Wq7+SWYf0
澪「ふーっ……やっとさっきまでの状態に戻せたよ」

唯「私も何とか戻せたよ~」

梓「今度は崩さないようにして下さいよ」

唯「だ~いじょうぶだって~」

澪「とにかく完成させて勉強なり練習なりしないとならないんだからな」

梓「そうですよ、これじゃドミノ部じゃないですか。こんなとこ純に見られたらまた変な想像されちゃいますよ」

紬「でもこのペースなら思ったより早くできそうじゃない?」

澪「そうだな……珍しく律も真面目にやってるからな」

律「……」

梓「逆に怖いですけど……私達も見習って作業しましょう」

唯「おっけー! 結構楽しくなってきたよ」

35: 2010/12/19(日) 23:59:25.57 ID:Wq7+SWYf0
唯「…………」

律「…………」

澪「…………」

紬「…………」

梓「…………」

律「…………りこぴん」

唯澪紬「!」

梓「?」

律「りこぴーん……ぴん!」

唯「ぶふっ!」パタパタパタ

36: 2010/12/20(月) 00:04:14.75 ID:846B/J6z0
律「りこぴんぴーん!」

澪「やっ、やめろよ……あはははは!」ガシャパタパタ

紬「あははははは!」パタパタパタ

梓「ちょ、ちょっと皆さんどうしたんですか!?」

唯「だって、りっちゃんが~……ぶははっ!」パタパタパタ

梓「ああぁ! こっちのまで倒さないで下さいよ!」

澪紬「あははっははは…………!」パタパタパタ

37: 2010/12/20(月) 00:08:44.88 ID:846B/J6z0
澪「――と、いうわけで」

律「」

澪「主犯も深く反省をしているようなので、再び作業を開始しようと思います」

唯「こりゃ見事なたんこぶだね」

梓「私と律先輩の一部以外、全部倒れてしまいましたからね……澪先輩じゃなくても怒りますよ」

紬「まあまあ、もう一度皆で頑張りましょう?」

澪「ムギは甘い! そうやって甘やかすから律が調子に乗るんだぞ」

律「いいじゃんかよー。黙ってやってても楽しくないじゃん」

唯「そうだよね~。あ、お茶しながら作業しようか?」

梓「それはそれで二次災害を招きそうな気がしますよ」

39: 2010/12/20(月) 00:15:29.82 ID:846B/J6z0
澪「とにかく再開するぞ。もう下校時間まで間が無いからな」

唯「あれ、もうそんな時間なんだ~」

律「しっかし、これってこのまま置いていって大丈夫なんかな? 明日来たら全部倒壊は嫌だな」

紬「何か貼り紙でもしておく? 『精密作業中につき注意!』とか」

澪「そうだな……とりあえずそれ位しかできないか」

唯「じゃあケローに貼っておくね」

梓「それまだ置いてあったんですか」

唯「こういうこともあろうかと置いてあったのです!」

澪「持ち帰るのが面倒だっただけだろ」

唯「えへへ~、澪ちゃん鋭いね~」

澪「全く……さ、とにかくできるとこまでやろう」

唯律紬梓「おおー!!」

40: 2010/12/20(月) 00:23:06.48 ID:846B/J6z0
梓「――あんなキモチ♪ こんなキモチ♪ 受け取った幸せなキモチ~♪」

梓「っと、部室到着。ドミノは……っと」

梓「うん、無事」

梓「結局日曜まで掛かっちゃったなぁ」

梓「律先輩のせいで土曜日まで皆で頑張るハメになったし」

梓「さすがに今日は皆さんには受験勉強を優先してもらうようにしたけど」

梓「もう少しで完成だし、トンちゃんのお世話もあるから私だけで丁度いいよね」

梓「唯先輩と律先輩の担当分が遅れてるから、そこを埋めるだけで完成かな」

梓「これでよしっ、と。途中の仕掛けで不具合が出ない限り上手く行くでしょ」

42: 2010/12/20(月) 00:31:54.61 ID:846B/J6z0
梓「あ、トンちゃんのごはん忘れてた。今あげるね」

梓「トンちゃんの水槽付近にもドミノがあるから倒さないように注意しないと」

梓「ぶつかって全部倒しちゃうなんて唯先輩でもやらないよ」

梓「……とはいえ……水槽付近に多く設置されてて……限界まで手を伸ばさないと届かない……」

梓「何とか届きそうだけど……この片足上げたままの体勢は……維持しきれないよ……」プルプル

梓「よし、届いた……後はトンちゃんのごはん入れるだけ……よしっ!」

梓「そして足を静かに戻して……」

梓「もう、少し……あっ」

44: 2010/12/20(月) 00:38:01.78 ID:846B/J6z0
梓「足は戻せたけど、水槽付近のドミノにちょっと触れちゃって斜めになってる」

梓「あれを直すには……また手を伸ばすしかないのか……」

梓「何か棒みたいなものでもあれば」

梓「ざっと見渡してもそれっぽいのなんて……むったん」

梓「――よっ……もうちょっと右に……よしっ、修正完了」

梓「後はぶつけないようにそーっと……戻して……ばっちり」

梓「うん、完璧。さすがにぶつけて倒すなんて初歩的なミスはしないよ」ドンッ

パタパタパタパタパタパタ……

梓「ああああああああ!!!」

46: 2010/12/20(月) 00:43:13.16 ID:846B/J6z0
梓「は、早く止めないと! えいっ!」

梓「ふー……何とか被害を最小限で抑えられた……」

梓「ギターはゆっくり置かないとね」

梓「そーっと寝かせて……これでよし」コトン

パタパタパタパタパタパタ……

梓「Oh、no……」

47: 2010/12/20(月) 00:48:50.62 ID:846B/J6z0
梓「まさか、かかとが引っ掛かるなんて誰が思ったでしょうか……」

梓「ドミノが倒れる音が止んだ」

梓「あんまり見たくないけど、振り返って確認を……」

梓「おおぉ……」

梓「うぅ……先輩方、綺麗にHTTのロゴマークが浮かび上がりましたよ……」

48: 2010/12/20(月) 00:51:18.64 ID:846B/J6z0
梓「どうしよう」

梓「このままじゃ吊るし上げだよ。一番楽しみにしてたムギ先輩なんか卒倒しちゃうかもしれない!」

梓「かといって今から元に戻すなんてできそうにもないし」

梓「こうなったら応急処置しかない! 毎日ピタゴラスイッチを録画してる私ならできるはず」

梓「ここをこうやって……これを通して設置して……最後にあれでお茶を濁す、と――――」

49: 2010/12/20(月) 00:56:45.92 ID:846B/J6z0
澪「――昨日気になってあの後梓に連絡したんだけどさ」

律「ふんふん」

澪「メール、返ってこないんだ」

唯「私も憂に聞いたんだけど、今日あずにゃん学校来てないみたい」

紬「梓ちゃん、どうしたんだろう」

律「案外ドミノが完成しなくて、部室に篭ってたりしてなー」

紬「さすがにそれは無いと思うけど……」

54: 2010/12/20(月) 01:00:14.53 ID:846B/J6z0
唯「あれ? なんか部室の扉に貼り紙があるよ?」

澪「本当だ」

律「何々~? 『お疲れ様です、先輩方。私はちょっとヨーロッパの方に修行に行ってくるんでしばらく留守にします』」

唯「どういうこと?」

澪「何だかさっぱりだな。修行?」

紬「とりあえず部室に入りましょう?」

律「そうだな。おい、梓居るのかー?」カチャパタパタパタ

57: 2010/12/20(月) 01:05:39.30 ID:846B/J6z0
唯「あっ、ドミノが設置されてた!」

澪「でもこれ……私達が設置してたやつとは全然違うぞ」

紬「けど、何か凄い仕掛けだわぁ」

律「お、おう。ドミノが倒れた先にビー玉があって……」

澪「そのビー玉が色んな仕掛けを上ったり下りたり」

唯「落下するよ!」

紬「振り子みたいなものがあって、それを支えていた留め具にビー玉が命中した!」

律「ってことは、その振り子が回転して」

澪「台の上に置いてあった半開きの電子レンジを閉めるようになってたのか」

唯「電子レンジが動き出したよ。何か入ってるね」

58: 2010/12/20(月) 01:11:10.39 ID:846B/J6z0
チーン!

律「温め完了したみたいだ……開けるぞ」

澪「こ、これは……!?」

紬「ピザ?」

唯「あ、この箱」

唯律澪紬『ドミノピザ!!』

59: 2010/12/20(月) 01:16:47.15 ID:846B/J6z0
紬「わぁ~、これがドミノピザなのね~」

唯「あずにゃんも粋な計らいをするね~」

律「いや、そうじゃないだろ……一体どういうことだ?」

澪「おい律、部室の隅に大量のドミノがあるぞ……」

紬「ということは」

唯「あずにゃんがドミノ倒壊させたってことかな?」

律「な、な、な、中野~~~!!!」





おしまい!

61: 2010/12/20(月) 01:31:07.94
あずにゃん可愛い

66: 2010/12/20(月) 01:40:03.93
乙やん

引用元: 梓「ドミノの中野梓」