1: 2012/11/13(火) 03:49:32.43 ID:CuxIFJE60
男「俺がしてえのはそっち系じゃねえよ。女の子ときゃっきゃうふふしてえんだよ」

従姉妹「男が? 女の子と? 寝言は起きてる時に言うもんじゃないよ」

男「学生が妄想に耽るのは寧ろ健全だろうが」

従姉妹「そうやって妄想を正当化してる内は青春なんてできないだろうね」

男「畜生、せめてお前がもっと可愛らしい女の子だったら……」

従姉妹「ボクが可愛らしい女の子だったら男とツルんでないって」プクク

 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352746172

2: 2012/11/13(火) 03:49:56.43 ID:CuxIFJE60
男「だいたいなんでお前は家にいるんだよ、家に帰れよ」

従姉妹「休日にぼっちで可哀想な男を慰めに来てあげたんじゃん?」

男「余計なお世話だ。俺にはこれから街の曲がり角で女の子とぶつかるために散歩するんだよ」

従姉妹「発想がイタくてお姉さん悲しくなっちゃうわ」

男「年変わらねえだろうが姉振るんじゃねえ」

従姉妹「昔は一緒にお風呂入った仲だってのに」

男「んなもん股間に毛も生えてねえ頃の話だろうが」

従姉妹「ボクまだ生えてないよ」

男「え、あ、う」

従姉妹「男って意外にウブだよねえ」ニヤニヤ

男「てっめえ!」

3: 2012/11/13(火) 03:50:22.46 ID:CuxIFJE60
従姉妹「きゃー男ちゃんが怒ったーこわいーん」

男「弱者を気取るならまずレディースの服を着る所から始めやがれ」

従姉妹「似合うと思ってんの?」

男「……カマ臭え結果になるだろうな」

従姉妹「でしょでしょ? ボクは男装の方がいいんだよ、女の子にモテるし」

男「男じゃねえのにモテやがって……」

従姉妹「男の嫉妬は醜いよー。女の嫉妬は恐いけど」

男「」イラッ

4: 2012/11/13(火) 03:50:49.10 ID:CuxIFJE60
男「よし、もういい、勝負だ。負けたらさっさと帰れ」

従姉妹「いいよ。基本的にボクが勝利する勝負だから何度だって受けよう」

男「その減らず口を叩けなくしてやんぜ」

従姉妹「それで、勝負の内容は?」

男「……スマブラ?」

従姉妹「進歩のない男だなあ。少しは知的なゲームの一つでも常備しておきなよ」

男「うるせえスマブラは汗と涙で強くなる青春ゲームだ」

従姉妹「はいはい、青春青春」

5: 2012/11/13(火) 03:51:14.22 ID:CuxIFJE60
従姉妹「相も変わらず弱いね男」

男「負けた……プリン相手にボロっかすに負けた……」

従姉妹「"サイクロンキィック"! も当たらないしねえ」プクク

男「今日は調子が悪かったんだよ」

従姉妹「君の調子が良かったことなんてかれこれ十年はないよ」

男「十年後に後悔させてやる」

従姉妹「もう十年不調でいる予定の男にびっくりだ」プクク

男「っ。ちょっと出てくる」

従姉妹「ボクメロンソーダねー」

男「誰が買ってくるか!」

6: 2012/11/13(火) 03:51:46.37 ID:CuxIFJE60
男「畜生、あいつといるといつもペースを握られっぱなしだ」

男「なんであいつはあんなに飄々としてんだか……」

男「……あーくそ、ムカつくな」

ドンッ

男「いってて……危ねえだ」

女「いたた……」

男(ほんとにぶつかったっつーかB組の女さん!?)

男「ご、ごめん。大丈夫か?」

女「ん、平気だよ。ってあれ、A組の男くん?」

7: 2012/11/13(火) 03:52:15.92 ID:CuxIFJE60
男「そ、そうだ。あれ?なんで知ってんの?」

女「そりゃあ男くんが有名人だからだよ」

男「有名人? 俺が? ないない」

女「有名だよー。六月に四階から落ちてカスリ傷ですんだ不氏身の男くんだもん」

男「そんなこともあったっけか……」

女「ずっと聞いてみたかったんだ。どうして落ちたの?」

男「ね、寝ぼけてたんだよ」

男(言えねえ……友達とプロレスごっこしててドロップキックが外れた結果だなんて……
  ましてや飛ぶ時にアイキャンフライと叫んでたなんて言えねえ……)

女「男くん大物だねえ」アハハ

男(っ! こ、これは青春じゃねえか!?)

8: 2012/11/13(火) 03:52:45.29 ID:CuxIFJE60
女「あ、私の名前はねー」

男「女さん、だろ。知ってる」

女「おお? 私なんぞの名前を知っているとは……男くん、さては私のファンだな? なんてねー」アハハ

男(そりゃ知ってるって……人気女子選手権学年第四位だったし……俺が投票した人だし)

男「そうそう俺は女さんを冷却するためにだな……
  (どうして俺はこんなつまらねえことを口走った!?)」

女「……っぷ、男くん、くだらなすぎー」アハハ

男(第四位爽やか系少女……笑顔が可愛すぎんだろ)

男「女さん……好きだ!」

男(はああああああああああん!?)

9: 2012/11/13(火) 03:54:06.73 ID:CuxIFJE60
男(なにを言い出すんだこのアホは俺か俺なのか!?
  どうしてここで告白すんの意味わかんねえしそりゃ密かな恋心とかあったけど
  いくらなんでもタイミングっつーか下地っつーかあんだろおおおおお!?
  ぺらっぺらじゃねえか! ぺらっぺらな軽い野郎だと思われちまうじゃねえか!
  重厚だけどな! これ以上なく重みのある想いだったりするけどな!)

女「……そんな真顔で言われると、照れるよ//」

男「ご、ごめん、いきなり。えっと、あっと、その、忘れていいから!ほんとごめんっ」ダッ

グイッ

男「ぐえっ」

女「忘れていいって、告白してくれたのは嘘なの?」

男「嘘じゃ、ないけ、ど……いくらなんでも早急だっつーか、なんつーか」

女「男くん……男くんは有名人だけどさ、私は男くんが有名人になる前から男くんのこと知ってるよ?」

男「……え?」

女「私、かれこれ男くんに一年は片想いしてるからね」

10: 2012/11/13(火) 03:54:35.53 ID:CuxIFJE60
男「……まじで?」

女「まじでまじで。それでさ、男くん。他に言うことあったりする?」

男「……?」

女「好きとしか聞いてないんだけども」

男「っ。えと……付き合って、ください//」

女「ははっ、知らなかった、男くんって恥ずかしがり屋さんなんだね。
  うん、私も好きです。どうぞよろしくお願いしますっ」

男(……え? これは? 夢? 現実? 妄想? 妄想オチ?)

11: 2012/11/13(火) 03:55:11.15 ID:CuxIFJE60
男「女さん、ちょっと一発ビンタしてくれないか」

女「突然だねー。えいっ」ペチッ

男「もっと強く!」

女「こう?」ベチッ

男「想いを込めてえええ!」

女「そこまで言われちゃ引き下がれないね。ちゃーしゅーめえええん!」バチィッ

男「いっ! ……よっしゃああああ! いってえええええええ!」

女「付き合って早々だけど付き合い方を考えた方がいいのかな」

男「い、今のは現実かどうかを確かめたくてつい!」

女「ははっ、なーんてね」アハハッ

男(春が来たあああああああああああ!)

12: 2012/11/13(火) 03:55:40.74 ID:CuxIFJE60
男「たっだいまー」ラリホー

従姉妹「お、おかえり。顔面凶器と呼んでも差し支えない程に笑顔だね、恐いよ」

男「はっはっは、従姉妹ちゃんはいつも皮肉屋さんだねえ」グシャグシャ

従姉妹「だー髪をぐしゃぐしゃにすんなー。ってか誰だよ」

男「ん? 俺? 俺は……男、改め、青春男だ!」

従姉妹「どっかで聞いたような単語だなあ。宇宙人が擬態してるってな方がまだ好感がもてるや」

男「そうふくれんなってー。ほおらメロンソーダだぞーん」

従姉妹「どうしよう、殺意が沸くレベルでキモい」

13: 2012/11/13(火) 03:56:08.35 ID:CuxIFJE60
従姉妹「なに、まさかとは思うけど街角でタンを咥えた女の子とぶつかったの?」

男「タンは咥えてなかったけどなー」ニヘラニヘラ

従姉妹「程度の低いボケでもきっちりツッコんでくれよ! 恥ずかしいだろ!」

男「従姉妹ちゃんは意外に恥ずかしがり屋たんですねえ」ナデナデ

従姉妹「な……なでなですんな!」ジタバタ

14: 2012/11/13(火) 03:56:38.52 ID:CuxIFJE60
男「ただぶつかっただけじゃねえぞ。そのまま恋人ができた」

従姉妹「なるほど、ぶつかった対象が人じゃなくて車だったわけだ。病院行こう」

男「充分正常だっての。嘘じゃなくてほんとだって」

従姉妹「聞いてる限りじゃフラグ立ててないじゃん。妄想は脳内に留めておきなよ」

男「ほんとだって! B組の女さん! 明日聞いてみろよ」

従姉妹「B組の女さん? ハイスペックじゃん、男と不釣り合い過ぎ」

男「んなこたー解ってるよ、奇跡が起きたんだよ奇跡が」

従姉妹「嘘臭い……解った、明日本人に聞いてみる。今のうちに白状しないと男が恥かくだけだよ?」

男「しつけーな。聞いてみろっての。んじゃあ俺は自室で妄想すっから、んじゃな」

従姉妹「……あんな妄想野郎に彼女が?嘘でしょ……嘘、だよね?」

15: 2012/11/13(火) 03:57:24.66 ID:CuxIFJE60
翌日

従姉妹「やあ女ちゃん、ご機嫌いかが?」

女「いーちゃーん。ひっさー! いえーい!」

従姉妹「なんだかいつも以上にテンション高いね、女ちゃん。いいことでもあった?」

女「それがねー、A組の男くんと付き合うことになってさ、もう嬉しくて嬉しくて」エヘヘ

従姉妹「」

女「そういえば従姉妹なんだよね、いーちゃん」

従姉妹「うん、まあ、そうなんだけどさ。アレのどこがいいの?」

女「んー、私は一目惚れだからどこが良いってのはまだよく解らないなー」

従姉妹「女ちゃん、視力検査にいこう」

女「ばっちり2.0だよー。それにいーちゃん、私は男くんの顔に惚れたわけじゃないよ」

従姉妹「確かにアイツの顔面偏差値は平均値だしね……それじゃあなんで?」

女「それは……秘密だよー」エヘヘ

16: 2012/11/13(火) 03:57:52.43 ID:CuxIFJE60
昼休み

女「男くん、ご飯食べよー!」

男「……」メガテン

男友「お、おい、お前、あれ、どういうことだ、おい」

男「……夢じゃなかった」ポロポロ

男友「涙!? なぜここで涙を!?」

女「こらー、男くんを泣かせたなー」

男友「そそそんなことするわけないじゃんっ、ってか、二人ってどういう関係?」

女「恋人同士だよ」

教室「」シーン

17: 2012/11/13(火) 03:58:18.26 ID:CuxIFJE60
女「ほら、男くん、はやく行こうよー」

男「ああ、ごめん。んじゃな、友」

男友「抜け駆けしやがって!」

男「妄想同盟"闇に咲く蜜"は解散だな、ふっはっは」

男友「妄想[のろ]ってやる……妄想[のろ]ってやるぞお!」

男「なあ、友。大人って、こうしてなっていくんだな」

男友「裏切り者おおおおおおお!」

女「うん、男くんのお年頃エピソードは聞かなかったことにしよう」

18: 2012/11/13(火) 03:59:03.06 ID:CuxIFJE60
女「男くん、さっき教室で泣いてたけどなにかあったの?」

男「ああ、あれは……
  (言えねえ……一晩中妄想したせいで現実だったのかどうか自信が持てなくなって
  しかもメアド交換してねえし学校でも会わないしで不安だったなんて言えねえ……)」

男「カルチャーショックを受けてたんだ」

女「異文化交流!? 私がお昼誘ったのそんなに衝撃的だった!?」

男「家の家訓で、お昼を誘う時は相手の命を狙うつもりで行けというのがあってな」

女「何事にも全力で取り組みそうな家系だね……」

男「なんてな。なあ、明日からもお昼一緒に食べたいんだけど、いいか?」

女「うんっ」

19: 2012/11/13(火) 03:59:47.76 ID:CuxIFJE60
従姉妹「……なーんかうまいことやってんなあ」

従姉妹「交際してるのも嘘じゃなかったし、意外に男は話せてるみたいだし」

従姉妹「余計なおせっかいはいらなさそうだなあ」

従姉妹「そっか……あいつにも彼女ができたか」

従姉妹「……そっか」

22: 2012/11/13(火) 23:13:07.40 ID:CuxIFJE60
二ヶ月後

男「この卵焼きうめぇ!」

女「卵焼きには自信があるんだよ」エヘヘ

男「女さん料理上手なんだなあ。将来いい嫁さんになるな」

女「なーんかその将来図には男くんが居なさそうな口ぶりだね」

男「いや、いやいやいや、できればずっと一緒にいたいっつーか毎日女さんの飯食いたいっつーか//」

女「男くんが恥ずかしがり屋さんなのは変わらないねー」

男「この手の話題は気恥ずかしくなんだよ」プイッ

女「スネないでよーもっとお話してよー」アハハッ

男「ったく」

23: 2012/11/13(火) 23:13:39.88 ID:CuxIFJE60
従姉妹「激甘」ウゲェ

従姉妹「偶然でも君達と出くわすもんじゃないね。甘甘すぎてとろけそうだよ」

女「おー、いーちゃんやほー。一緒にご飯しようよー」

従姉妹「その熱愛っぷりでお腹一杯だから遠慮しておく」スタスタ

男「……そうか、んじゃまたな」

女「男くん、どうかした?」

男「なんかあいつ元気がなかったような気がしてな」

女「そうかな? 普通だった気がするけど」

男「んー……いや、やっぱなんか妙だ。うまく言えねえけど。付き合いが長いからかな」

女「親戚だもんねー。それなら元気づけてあげないとっ」

男「おっし、やってみるわ」

24: 2012/11/13(火) 23:14:06.71 ID:CuxIFJE60
一週間後

男「よお従兄妹」

従姉妹「なんだ、バニラ臭いと思ったら男か」

男「そんないい香りは漂ってねーよ。どこのアイドルだ」

従姉妹「褒めてないけどね」

男「皮肉ってんだろ? んなこた解ってんよ。それよりよ、久々にライブ行かね?」

従姉妹「ライブ? 女ちゃんと行きなよ」

男「残念ながら音楽の趣味は女さんと合わねえんだわ。このバンドなんだけどな」

従姉妹「ああ、確かに女の子受けは良くなさそうだ」

男「行こうぜ。チケット二枚あるし」

従姉妹「……はあ、仕方ないな」

25: 2012/11/13(火) 23:14:33.30 ID:CuxIFJE60
ライブ後

男「やっぱ最高だなあのバンドは!」

従姉妹「だね! 明日は首が起きそうもない」ニコニコ

男「おー俺もだ」

男「そだ、腹ペコだし飯食って帰ろうぜ」

従姉妹「いいね」

26: 2012/11/13(火) 23:14:59.65 ID:CuxIFJE60
従姉妹「……ふう」

男「なあ、なんかあったのか? 気分の浮き沈みが激しいぞ」

従姉妹「男には関係ないことだよ」

男「関係ないならよりいいじゃねえか。相談ぐらい乗るぞ?」

従姉妹「男に相談してもなあ。あまり意味なさそうだし」

男「気晴らしにはなんだろ」

従姉妹「そういうの好きじゃないからいいよ。大丈夫だから心配しないで。今日もありがと」

男「……ならいいけどよ」

27: 2012/11/13(火) 23:15:27.20 ID:CuxIFJE60
男「でもほんと、なんかあったらいつでも言えよ」

従姉妹「きゃーかっこいーぬれちゃうー。恋人ができて余裕だねえ、男」

男「茶化すな。本気だ」

従姉妹「……なんか今の男、小さい頃みたいだね」

男「そうか?」

従姉妹「うん。十年前の調子が良かった頃の男みたい」

従姉妹「だからどうだ、ってわけじゃないけどさ」

男「よくわかんねえな。ガキの頃のこととか覚えてねえし」

従姉妹「トリ頭の男が覚えてるわけないか」

男「なんせ三歩進んで二語忘れるからな」

従姉妹「それは苦しい」

男「厳しいな」

28: 2012/11/13(火) 23:15:54.09 ID:CuxIFJE60
従姉妹「それじゃあね」

男「あほか。家まで送るぞ」

従姉妹「いいよ、ここから歩いて五分だし」

男「なんかあったらどうすんだよ、もう夕暮れ越してっし」

従姉妹「大丈夫だって。こんな女に見えない女は変質者にも狙われないだろうし」

男「なんだそれ? お前らしくない言葉だな。なんにせよ、送る」

従姉妹「だから」

男「なんだろうとお前は女だろうが」

29: 2012/11/13(火) 23:16:21.71 ID:CuxIFJE60
従姉妹「……」

男「ほら、行くぞ」

従姉妹「……う」

男「ん?」

従姉妹「馬鹿野郎!」タッタッタッ

男「……よくわからん」

30: 2012/11/13(火) 23:16:47.59 ID:CuxIFJE60
翌日

女「昨日はどうだった? いーちゃん」

男「帰り際まではなんとかなってたような気がすんだが、最終的に怒って帰った。よくわからんかったな」

女「怒らせちゃったの? 男くん、なにか言ったんじゃない?」

男「んー……わからん。言っちまったのかなあ」

女「男くんはデリカシーに欠けるからなー」

男「すんません」

31: 2012/11/13(火) 23:17:13.19 ID:CuxIFJE60
翌週

男「どうやらあいつ学校来てないらしいんだよな」

女「え、あれから?」

男「うん。俺と遊んだ翌日から。最初は風邪かと思ったんだけどそうじゃないっぽいな。もう一週間だし」

女「……そっかー。男くん、様子見に行くんだよね」

男「行くよ。このまま不登校になられても寝覚めが悪いしな」

女「……本当にそれだけ?」

男「そりゃ多少は心配だけど」

女「それはいーちゃんが従姉妹だから?」

32: 2012/11/13(火) 23:17:40.32 ID:CuxIFJE60
男「従姉妹だからかは解らねえよ。物心つく前から遊んでたみたいだから、腐れ縁なんだろな」

女「……それならいいんだけど」

男「なんか歯に物が挟まったような言い方だな。どうした?」

女「……男くん、いーちゃんも女の子だよ?」

男「解ってんよ」

女「解ってないよ。だからいーちゃんは……」

女「私が言うことじゃないか。いってらっしゃい、男くん」

男「……いってくる。
  (女ってわけわかんねえ)」

33: 2012/11/13(火) 23:18:15.78 ID:CuxIFJE60
従姉妹の部屋前

男「おーい、従姉妹、大丈夫か?」コンコン

シーン

男「あんまし寝てっと床擦れすんぞ」

シーン

男「寝てんのか?」ガチャリ

34: 2012/11/13(火) 23:18:51.07 ID:CuxIFJE60
男「(久しぶりだな、こいつの部屋に入んの。
  綺麗にしてんだな。
  すやすやと寝てやがる。人の気も知らねえで)」

男「(写真立てか。
  ん? この写真って……懐かしいなおい。
  俺らがガキの頃の写真じゃねえか。
  しかも親に言われてやらされた初キス写真だし。
  なんでこんなもん……)」

従姉妹「……お、とこ?」

男「おう、おはよう。気分は大丈夫か?」

従姉妹「なにしにきたの」

35: 2012/11/13(火) 23:19:19.05 ID:CuxIFJE60
男「なにしにって、そりゃ見舞いだろ」

従姉妹「あっそ。ボクはこの通り元気だから帰ってよ」

男「なんか感じ悪いな。あ、そうだ。この前はごめんな」

従姉妹「なにが?」

男「帰りに怒ってたろ。俺があほなこと言っちまったから」

従姉妹「……なにを言ったことに対して謝ってんの?」

男「それは……わかんねえけど」

従姉妹「やっぱり女ちゃんの入れ知恵か。男がそんな些細なことに気づけるはずないもんね」

男「……悪い」

36: 2012/11/13(火) 23:19:48.66 ID:CuxIFJE60
従姉妹「じゃあもうさっさと帰ってよ」

男「でもお前、学校どうすんだよ」

従姉妹「そのことについては真面目に男は関係ないから黙ってなよ」

男「んな訳ねえだろ! この前から関係ない関係ないって、なに不貞腐れてんだよ!」

従姉妹「あーうるさいうるさい」

男「っ!」

従姉妹「なに耐えてんの? 拳握り締めてさ。殴りたいんでしょ? 殴れば?」

男「男が女を殴れる訳ねえだろ!」

従姉妹「……ほんと解ってない」

37: 2012/11/13(火) 23:20:33.32 ID:CuxIFJE60
従姉妹「女だから、女だからってさ」

男「だからお前は女だろうが。それともあれか? 男だと思われたいのか?
  だからレディースも着ねえのか?」

従姉妹「……っ!」ブチッ

グイッ

従姉妹「誰よりも女として見なかったのは男だろう!」

男「いや、お前は女だってさっきか」

従姉妹「ああ女だよ! あたしは女だ!
    男面してようがレディースが似合わなかろうが女なんだよ!
    ちっちゃい頃から男に惚れてる、普通の女なんだよ!」

男「惚れ……て?」

38: 2012/11/13(火) 23:21:09.43 ID:CuxIFJE60
従姉妹「好きな奴の前だから可愛くしてたいのに、
    身長は伸びるし可愛いからは離れてくし、
    それでも頑張ってオシャレしたら男にオカマって笑われるし、
    男にあたしの気持ちが解るか!」ポロポロ

従姉妹「女として見てもらえなくても傍にいたかったんだよ!
    友達でいいから一緒に遊びたかったんだよ!
    好きだって気持ちも男に彼女ができてから誤魔化せたと思ったのに……っ」ポロポロ

男「従姉妹……ごめん」

従姉妹「謝るな! そんなの……惨めだ……」グスッ

39: 2012/11/13(火) 23:21:37.33 ID:CuxIFJE60
従姉妹「帰って」

男「でもよ……」

従姉妹「帰れよ! でもの後になにも続かないだろう!?
    あたしはっ――ボクは! 慰められたいわけじゃない!」

男「……わかった」

従姉妹「二度と……二度と顔見せんな!」


40: 2012/11/13(火) 23:22:03.22 ID:CuxIFJE60
男「あいつ、俺が好きだったのか……。
  んなこと知りもしねえでずっと遊んでたのか。
  ずっと傷つけてたのか……」

男「どうしようもねえ馬鹿だな……。
  どうしたらいいのかもわかんねえ」

男「そういえば女さん、様子がおかしかったな。
  感づいてたのか?
  ……なんにせよ電話してみよう」

41: 2012/11/13(火) 23:22:31.15 ID:CuxIFJE60
男『従姉妹と話してきた』

女「そっか。どうだった? いーちゃん大丈夫そう?」

男『いや、大丈夫じゃないかも』

女「……ねえ、男くん」

男『ん?』

女「……もういーちゃんに会わないで欲しい」

男『な、なんでだ?』

女「約束して」

男『……わ、わかった。約束する』


女「ずるいなー、私は」

女「ほんと、ずるい女だ」

47: 2012/11/14(水) 22:09:35.59 ID:E+H26F4p0
一ヶ月後

女「やっ、男くん、お待たせー」

男「おはよう、ってのも違うか。もう昼休みだし」

女「私と男くんの昼休みらんでぶーも恒例になってきたね」

男「だな。そしてみるみる内に女さんの料理が上達していく」

女「やっぱり最初はあんまし美味くなかったんだー」ウアーン

男「美味しかったって! 上達しすぎていまや未知の味だから!」

女「それはフォローになってないと思うな」

48: 2012/11/14(水) 22:10:02.38 ID:E+H26F4p0
~~~~~~~

女「そしたらラスクが粉々になっちゃってねー」

男「……うん」

女「……なんと突然真夜中になった空の月から英雄が降り立ってー」

男「へえ」

女「粉々になったラスクを中心に召喚したら無能力者が降臨したんだよ」

男「凄いなそれは」

女「ねえ、話ちゃんと聞いてた?」

男「一字一句漏らさず聞いてたぞ」

女「じゃあ繰り返してみて」

男「ラスクが粉々になって真夜中の月から英雄が降り立って召喚陣描いたら無能力者が降り……」

女「それはどこの世界の話?」

男「す、少なくとも現実の話じゃねえかな」タラリ

49: 2012/11/14(水) 22:10:29.09 ID:E+H26F4p0
女「男くん、取り繕うのが上手くなったね」

男「日々成長してっからな」

女「でもそれは恋人同士で必要なことじゃないと思うんだよ」

男「うっ」

女「それにさっきのは皮肉だよ、男くん。
  全然取り繕えてないじゃん。
  最近は特にひどいよ、上の空で」

男「あー、皮肉だったか。女さんが皮肉言うと思ってなかったわ」

女「……いま誰かと比べた?」

男「(……鋭すぎる)」

50: 2012/11/14(水) 22:10:57.75 ID:E+H26F4p0
女「男くんにはそういうの似合わないね」

男「……ごめん。でも俺、普通にしてたら駄目なんだ。
  本気で女さんが好きなのに、あいつの顔が浮かんじまう」

女「それはどうしてだろう」

男「……」

女「答えられない?」

男「はっきりと解らねえんだ。
  恋愛感情として好きなのは女さんだ。これは間違いない。
  けど、従姉妹のことが本当に大切だ。
  これがなんて名前の感情か解らねえ」

女「そうかー。ねえ、男くん」アハハッ

女「それが解らないなら、別れよ」

51: 2012/11/14(水) 22:12:12.65 ID:E+H26F4p0
男「な、なんでそうなるんだよ。
  恋愛感情として女さんが好きなのは嘘じゃないし取り繕いでもないんだぞ」

女「だとしても、だよ。
  自分の恋人が、私以外に大切な人がいるけど、それがなぜだか解らないなんて言われたらね。
  私は不安で恐くなるんだよ」

女「答えがでないなら探そうよ。
  それに私はね、男くん。
  見つからない筈なのに、泥だらけになることも気にせずに探すような、
  そんな感情的な男くんが好きなんだよ。
  ごめんなさい。
  私のせいで無理をさせちゃったね。
  ごめんね」

女「きっと男くんはあれこれ考えない方がいいと思う。
  解らない物を解ろうとするよりも、
  見つけられない物を見つけようとした方がいいと思うんだ。
  そっちの方が男くんらしいから」

52: 2012/11/14(水) 22:12:43.59 ID:E+H26F4p0
男くんは私に別れを告げられたことがショックだったのか、
涙目になりながらごめんと謝った。

謝らなければいけないのは私なのに、
私がしたことは男くんを追い詰めただけだ。

ずる賢い女だ。
卑怯な女だ。

男くんを追い詰めることを知りながら追い詰めた。
そんなつもりはなかったのにと、自分に言い訳することもできない。

いーちゃんが男くんを好きなことは勘付いていた。
いーちゃんは男に興味がないと誤認してしまっている子が大半だけど、
男くんに一年も片想いして、眺めていた私にはそうとは思えなかった。
いーちゃんは男くんの前でだけ違う人になる。
"女の子"には遠くても、"女の子"であろうとしていた。

私はとても恐かった。
偶然と仰天が重なって付き合うことができたけど、
男くんがいーちゃんをどう想っているのか、考えただけで苦しくなった。

男くんと付き合うまで、私はこんなにも醜い自分を知らなかった。

53: 2012/11/14(水) 22:13:10.33 ID:E+H26F4p0
いーちゃんが悲しむのを解っていて男くんに励ますよう促した。
男くんが私に向けた気持ちを利用して、もう会わないでと約束させた。
その上、男くんが変わったのは私に気を遣っていたからだというのに、突き放した。

身勝手な女だ。
そして愚かな女だ。


男くんが去ったその場所で、
一人きりとなった私はあれこれと考えた。
こんなにも醜い自分を私は好きになれるだろうかと考えた。
こんなにも醜い自分を知ったら男くんは離れていってしまっただろうなと想像した。

込み上げるどろどろの感情が頭を痺れさせて、
涙腺は唐突に崩壊した。
子供のように大声を出して、
悔しさと虚しさを響かせた。

54: 2012/11/14(水) 22:13:37.30 ID:E+H26F4p0
ずる賢くて。
卑怯で。
身勝手で。
愚かで。

それでも嘘じゃなかった。
私は本当に男くんのことが好きだった。
好きだったんだと気づくまでもなく、男くんのことが好きだった。

けれど男くんはもういない。
男くんの背中を押したのは私だから。
どうしてそんなことをしたんだろう。罪悪感?
いや違う。私は言っていた。その言葉通りだ。

感情に素直でひたむきな男くんのことが、心から好きなんだよ。

「いかないで」と嗚咽に混ざる。
「なにを今更」とどこかで笑う。

61: 2012/11/15(木) 01:24:27.08 ID:SBPblUWB0
男「どうすりゃいいんだ」

男「(従姉妹を傷つけて、女さんを悲しませて……
  馬鹿通り越してんな)」

男「(感情のままに動く……そうして従姉妹を傷つけていた)」

男「(考えて動く……そしたら女さんを悲しませていた)」

男「(傷つけあうのが人間だとか、そうして絆は深まっていくとか、
  なんかの漫画で見た気がするけど。
  それってとんでもねえ我侭なんだな)」

男「(少なくとも俺には、大切な人を傷つける勇気なんてない……)」

62: 2012/11/15(木) 01:24:53.03 ID:SBPblUWB0
男「(このまま考えていても拉致が開かない。従姉妹に、女さんに謝りたくても、
  どう謝ればいいのかも解らない)」

男「(かといって感情に任せてしまっても、
  対面してしまったら言葉がなにも出てこない)」

男「(考えても駄目、感情も駄目……。
  想像してみるとどうなるんだ?)」

男「(例えば、従姉妹に恋人ができたとする。
  俺は心から喜べると思う。
  からかいながらもおめでとうと言えると思う。
  素直に嬉しいもんな)」

男「(でも、女さんに恋人ができたとする。
  俺は凄く悲しいし悔しいだろう。
  なんならその彼氏に喧嘩売りたいぐらいに腹が立つかもしれない。
  これは嫉妬だろうけど、好きだからだよな)」

63: 2012/11/15(木) 01:25:23.96 ID:SBPblUWB0
男「(女さんのことが好きで、
  従姉妹のことも好きだ。
  大切だし、大事にしたい。
  ……ああ、そうか、そういうことか)」

男「大切な人を傷つける勇気なんてねえ。
  けど、大切な人に嫌われたまま一人で生きていく勇気の方がねえ。
  やっぱりこれは我侭だ。でも、どうしようもない」

男「まずは、従姉妹とケリつけねえとな」

64: 2012/11/15(木) 01:26:02.48 ID:SBPblUWB0
男「従姉妹、俺だ」コンコン

ドア「」ドーンッ

男「っ――起きてるなら俺の声は聞こえるな」

従姉妹「なにも聞きたくない! 帰れ!」

男「そういうわけにはいかねえよ」

従姉妹「なんでだよ」

男「このままお前との縁が切れたら俺が嫌なんだよ!」

従姉妹「……入りなよ」

65: 2012/11/15(木) 01:26:29.90 ID:SBPblUWB0
従姉妹「……ボクはもう嫌なんだよ。
    男のことで一喜一憂するのは疲れたんだ。
    こうして来てくれて嬉しいよ。
    けど凄く自分が嫌いになる。
    だからお願いだ、そっとしておいてくれよ」

男「無理」

従姉妹「なっ」

男「ごめんな、従姉妹。本当にごめん。
  俺が今までお前をどれだけ傷つけていたかなんて、全然気づかなかった。
  なんせ楽しいからな、お前といるの。
  お前と遊んでるのが一番気楽だったしな。
  そして俺はこれからもそんな風にお前と遊びたい」

従姉妹「それが嫌だって言ってるだろ!?
    あたしが今までどんな想いでっ!」

男「だから、待ってる。いつまでも待ってるから。
  お前が俺を忘れるまで、いつまでも待ってる」

66: 2012/11/15(木) 01:27:01.38 ID:SBPblUWB0
従姉妹「……なんでだよ……どうせならすっぱりと嫌ってよ……」ポロポロ

男「そりゃ無理だろ。俺ら何歳から遊んでたと思ってんだ。
  それに、俺はお前が大切だし、はっきりと好きだと言える。
  けど、さっき気づいた――俺にとってお前は妹なんだ」

男「もしもお前がどっかの誰かと結婚したら、って考えた。
  そしたら不思議な気分になったんだ。
  その彼氏一回俺の前に連れてこい! って思った。
  多分、兄貴ってこういう気分なんだろな」

男「なあ従姉妹。俺は本当にお前が大切だし大好きだ。
  だからお前に嫌われたままでいるなんて苦しくてどうしようもねえ。
  お前の気持ちをなんも考えてやれてねえ我侭だけど、
  ごめんとしか言えない」

従姉妹「……謝れば許されると思ってんのかよ」

男「許されたいから謝ることしかできねえんだ。
  本当に、いつかでいい。
  すぐじゃなくても気にしない。
  俺が生きてる内なら、数十年後でもいい。
  いつまでもお前のことを待ってるから」

67: 2012/11/15(木) 01:27:28.15 ID:SBPblUWB0
従姉妹「……最低だ」

男「ごめん」

従姉妹「最低なのはあたしだ」

男「お前は悪くねえよ」

従姉妹「男が言った通りだね。あたしも男の気持ちなんてこれっぽちも考えてない。
    自分、自分、自分ばっかりだ。
    だけど、ごめん。
    男のことが好きだって想いを忘れられるかは約束できない」

従姉妹「仮に忘れられたとして、また前みたいな関係に戻れるかどうかもわからない。
    だから、この際だからすっきりとさせておく。
    ボクは男が好きだ。異性として、恋をしている。
    本当に大好きだ。
    ……今までありがとう」

男「……これが別れの言葉にならないことを願って、帰るわ。
  あと、学校にはいい加減来いよ。
  みんな心配してっから。お前のファンが泣いてんぞ」

従姉妹「明日から行くよ。もう大丈夫だから」

男「そっか……じゃあ、またいつか」

従姉妹「ばいばい」

68: 2012/11/15(木) 01:27:59.15 ID:SBPblUWB0
翌日 放課後

男「女さん、話がしたい」

女「私は男くんと口を聞きたくない」

男「じゃあ俺の話を聞くだけでいい。
  お願いだから、聞いてくれ」

女「好きにしなよ」

69: 2012/11/15(木) 01:28:35.74 ID:SBPblUWB0
男「昨日、従姉妹と話してきた。
  んで、従姉妹に言ってきた。
  俺はお前を妹のように思っている、って」

男「その上でもう一度言わせて貰うが、
  俺は女さんが好きだ。
  大好きだ。それ以外の言葉が出てこねえってぐらい好きだ」

女「ねー、男くん。
  昨日の今日だからよりを戻せるとか、そんなことを考えたりしてる?」

男「そんな計算はしてねえけど、
  好きだからよりを戻したいとは想ってる」

女「遅いよ。女の子はね、一日で人を忘れられる生き物なんだよ」

男「女さんは……俺のことはもう嫌いか?」

女「好きに決まってるじゃん」

70: 2012/11/15(木) 01:29:01.94 ID:SBPblUWB0
女「私は男くんの顔が真っ青になるくらい男くんが好きだよ。
  検索かけたら該当しすぎて表示しきれないくらい、頭の中は男くんでいっぱいなんだ。
  でも、私はそんな自分が好きじゃない。
  こんな私を男くんに見られたくない。
  だからもう、無理なんだ」

女「男くんがまだ私に好きだって言ってくれて嬉しいよ。
  もしかしたらいーちゃんとくっつくかもしれないって考えたから。
  私は恐いんだよ。
  男くんの身の回りの全てに嫉妬しちゃいそうで。
  そんなの、私は望んでない」

女「私は男くんに幸せでいてほしい。
  だから私は男くんと一緒にいたくない」

男「俺の幸せを勝手に決めんなよ!」

71: 2012/11/15(木) 01:29:30.40 ID:SBPblUWB0
男「俺は女さんと一緒にいたいんだよ。
  女さんと以外と幸せになっても意味ねえんだよ!」

女「やめてよ……やめてよ!
  私は男くんが好きなんだよ?
  そんな風に言われたら簡単に決心が揺らいじゃう」

男「好きならそれでいいじゃねえかよ。
  俺にはわかんねえよ」

女「私はきっと、男くんの幸せよりも自分自身の幸せを取るんだよ。
  それが男くんを不幸にするかもしれないの!」

男「それなら問題ねえじゃんか。
  俺だって自分自身の幸せを取るよ。
  だからこうやって、女さんが嫌がってんのに説得してんだから」

男「誰だってそうなんだよ、多分。
  誰だって自分が一番幸せになりたいんだ。
  相手を幸せにしてやりてえって考えるけど、それだって自分の幸せに繋がるんだ。
  自分が一番でいいじゃねえか。
  そしたら二人で幸せになっていけるだろ」

女「男くん……後悔、するよ?」

男「女さんと別れた方が後悔する。それだけは自信を持って言える」

女「……ありがと、男くん」

72: 2012/11/15(木) 01:29:59.84 ID:SBPblUWB0
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男「よっ」

従姉妹「やあ」

男「しっかし、馬子にも衣裳ったーこのことだな。
  似合ってんぜ、ウエディングドレス」

従姉妹「まさかボクがこんなものを着る日がくるなんてねえ」

男「可能性はゼロじゃねえだろ。今時は男だって着るんだからよ」

従姉妹「それもそうかな」


73: 2012/11/15(木) 01:31:30.19 ID:SBPblUWB0
男「今にして思うとよ、あの頃の俺らってなんつーか――恥ずかしいな」

従姉妹「あの頃? ああ、男が色々奮闘してた時ね」

男「奮闘ってよりは空回りだったような気がするけどな」

従姉妹「まあ、ああいうのは恥ずかしいもんなんじゃない?
    恥ずかしくて、痛くて、寒い。それが青春なんでしょ。
    なにせ"青い春"って書くぐらいだよ?
    なにもかもが未熟で当然だ」

男「言われてみりゃそうかもな。
  まあ、改めて――





  結婚おめでとう」

従姉妹「ありがとね」



Happy End.

76: 2012/11/15(木) 01:34:43.67 ID:SBPblUWB0
ってなわけで、終わり。

自己採点してみると中々低い。
難しいな、こういう話。
なんつうか、某アイズの寺谷くん的キャラが一人ほしいと思った。
特に男が葛藤してる時。

読んでくれてありがとう。

しかし色々と物足りないのも事実。
どうしようか。

78: 2012/11/15(木) 01:42:35.73
おつおつ

引用元: 男「青春してえ」従姉妹「夕日に向かって走ってきなよ」